(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】移動体
(51)【国際特許分類】
B64C 1/12 20060101AFI20230628BHJP
B64C 1/00 20060101ALI20230628BHJP
G02F 1/167 20190101ALI20230628BHJP
G02F 1/16757 20190101ALI20230628BHJP
【FI】
B64C1/12
B64C1/00 B
G02F1/167
G02F1/16757
(21)【出願番号】P 2019145154
(22)【出願日】2019-08-07
【審査請求日】2022-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 恒平
(72)【発明者】
【氏名】大栗 孝之
(72)【発明者】
【氏名】山根 章弘
(72)【発明者】
【氏名】阪口 晃敏
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-537599(JP,A)
【文献】特表2008-531962(JP,A)
【文献】特開2011-203640(JP,A)
【文献】特開平10-204730(JP,A)
【文献】実開平02-051224(JP,U)
【文献】特開平06-255588(JP,A)
【文献】米国特許第7255062(US,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0057989(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 1/00
B64C 1/12
G02F 1/167
G02F 1/16757
F41H 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディと、
前記ボディの表面に配され、第1電極部を有する第1基板と、
前記第1電極部と対向して配された第2電極部を有する第2基板と、
前記第1電極部と前記第2電極部との間に配され、正および負の一方に帯電した電波吸収粒子と、
前記第1電極部と前記第2電極部との間に配され、前記正および前記負の他方に帯電した電波反射粒子と、
前記第1電極部と前記第2電極部との間に配され、前記電波吸収粒子と前記電波反射粒子とを収容するマイクロカプセルと、
前記第1電極部および前記第2電極部に入力する電位を制御する電位制御部と、
を備え
、
前記第1電極部は、一の前記マイクロカプセルに対向する複数の電極を有し、
前記電位制御部は、前記複数の電極に対し、互いに異なる電位を入力する、
移動体。
【請求項2】
前記電位制御部は、前記第1電極部および前記第2電極部に電位を入力した後に、前記電位の前記入力を停止する請求項
1に記載の移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、機体表面の凹凸を減少させ、レーダー反射断面積(RCS:Radar Cross Section)を減少させ、ステルス性能を向上させた航空機について開示がある。特許文献1の航空機は、有事の際にステルス機として運用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の航空機は、平時の際にもステルス機として機能してしまう。したがって、特許文献1の航空機は、平時の際にレーダーで捕捉し難い。このように、特許文献1の航空機は、有事および平時の運用を両立させることが困難であった。
【0005】
本発明は、有事および平時の運用を両立させることが可能な移動体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の移動体は、ボディと、ボディの表面に配され、第1電極部を有する第1基板と、第1電極部と対向して配された第2電極部を有する第2基板と、第1電極部と第2電極部との間に配され、正および負の一方に帯電した電波吸収粒子と、第1電極部と第2電極部との間に配され、正および負の他方に帯電した電波反射粒子と、第1電極部と第2電極部との間に配され、電波吸収粒子と電波反射粒子とを収容するマイクロカプセルと、第1電極部および第2電極部に入力する電位を制御する電位制御部と、を備え、第1電極部は、一のマイクロカプセルに対向する複数の電極を有し、電位制御部は、複数の電極に対し、互いに異なる電位を入力する。
【0009】
電位制御部は、第1電極部および第2電極部に電位を入力した後に、電位の入力を停止してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、有事および平時の運用を容易に両立させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図2は、機体の外表面の断面を示した第1の図である。
【
図3】
図3は、機体の外表面の断面を示した第2の図である。
【
図4】
図4は、機体の外表面の断面を示した第3の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
図1は、航空機1の概略斜視図である。以下では、航空機1の進行方向を前方向、航空機1の後退方向を後方向、航空機1の進行方向に対して右側を右方向、航空機1の進行方向に対して左側を左方向、鉛直方向上側を上方向、鉛直方向下側を下方向として説明する。
【0014】
図1に示すように、航空機(移動体)1は、機体(ボディ)3を備える。機体3は、胴体5と、主翼7と、水平尾翼9と、垂直尾翼(双尾翼)11とを含んで構成される。本実施形態では、航空機1は、軍用機(例えば、戦闘機)である。ただし、これに限定されず、航空機1は、民間機に適用されてもよい。
【0015】
胴体5は、機体3の機首側と機尾側とを結ぶロール軸方向に延在して設けられる。主翼7は、ロール軸方向における胴体5の中央部に設けられる。主翼7は、ロール軸方向と直交するピッチ軸方向において、胴体5の左右両側に一対設けられる。主翼7は、ピッチ軸方向において、胴体5から外側に向かって延在する。主翼7は、機体3に鉛直上方の揚力を発生させる機能を備える。
【0016】
水平尾翼9は、主翼7よりも胴体5の後方向側(機尾側)に設けられる。水平尾翼9は、ピッチ軸方向において、胴体5の左右両側に一対設けられる。水平尾翼9は、ピッチ軸方向において、胴体5から外側に向かって延在する。水平尾翼9は、機体3のピッチ軸回りの安定性を保つ機能を備える。
【0017】
垂直尾翼11は、主翼7よりも胴体5の後方向側(機尾側)に設けられる。垂直尾翼11は、ロール軸方向およびピッチ軸方向と直交するヨー軸方向において、胴体5から外側に向かって延在する。垂直尾翼11は、機体3のヨー軸回りの安定性を保つ機能を備える。
【0018】
図2は、機体3の外表面の断面を示した第1の図である。
図2に示すように、機体3は、外部空間に露出する外板13を備える。外板13の外表面(表面)13aには、電波制御構造100が設けられる。
【0019】
電波制御構造100は、第1基板101と、第1電極部103と、第2基板105と、第2電極部107と、電気泳動層109と、電位制御部111とを含んで構成される。
【0020】
第1基板101は、ガラスやプラスチックなどからなる透明基板である。ただし、第1基板101は、透明基板に限定されず、不透明な基板であってもよい。第1基板101は、外板13の外表面13aの全面に配される。ただし、第1基板101は、外板13の外表面13aのうち一部の領域に配されてもよい。例えば、第1基板101は、外板13の外表面13aのうち、少なくとも電波を反射し易い領域(正面領域、側面領域、下面領域、上面領域など)に配されてもよい。第1基板101は、例えば、不図示の接着剤層を介して外板13の外表面13aに貼付される。第1基板101は、第1電極部103を備える。
【0021】
第1電極部103は、複数の電極(第1電極103aおよび第2電極103b)を備える。第1電極103aおよび第2電極103bは、例えば、矩形状のセグメント電極により構成される。第1電極103aおよび第2電極103bは、第1基板101のうち外板13側とは反対側(電気泳動層109側)に配される。第1電極103aおよび第2電極103bは、第1基板101のうち電気泳動層109側の面内において、交互に配列される。
【0022】
第2基板105は、ガラスやプラスチックなどからなる透明基板である。第2基板105は、外板13に対し、第1基板101よりも外側に配される。第2基板105は、第1基板101と対向して配される。第2基板105は、第1基板101と対向する面とは反対側が外部空間に面している。第2基板105は、第2電極部107を備える。
【0023】
第2電極部107は、例えば、ITOなどの透明電極により構成される。第2電極部107は、第2基板105のうち外部空間とは反対側(電気泳動層109側)に配される。第2電極部107は、電気泳動層109を介して、第1基板101の第1電極部103と対向する。
【0024】
電気泳動層109は、第1基板101(第1電極部103)と第2基板105(第2電極部107)との間に配される。電気泳動層109は、第1基板101と第2基板105との間に挟持される。
【0025】
電気泳動層109は、マイクロカプセル115と、電波吸収粒子117と、電波反射粒子119と、分散媒121とを含んで構成される。
【0026】
マイクロカプセル115は、内部が中空の球形状に形成される。マイクロカプセル115は、例えば、透光性を持つ高分子樹脂で構成される。マイクロカプセル115は、外径(直径)が大凡40μmである。マイクロカプセル115は、内部に電波吸収粒子117と、電波反射粒子119と、分散媒121とを収容する。
【0027】
マイクロカプセル115は、第1電極部103と、第2電極部107との間に挟持される。マイクロカプセル115は、
図2中、上側において第2電極部107と対向し、
図2中、下側において第1電極103aおよび第2電極103bと対向する。マイクロカプセル115は、第1基板101の表面(外板13の外表面13a)に沿って並列される。
【0028】
マイクロカプセル115は、
図2中、左側半分が第1電極103aと第2電極部107との間に挟持され、
図2中、右側半分が第2電極103bと第2電極部107との間に挟持される。換言すれば、マイクロカプセル115は、第1電極部103と第2電極部107が対向する方向と直交する方向の一方側が、第1電極103aと第2電極部107との間に挟持され、他方側が第2電極103bと第2電極部107との間に挟持される。
【0029】
電波吸収粒子117は、帯電可能で、電波を吸収可能な材料により構成される。電波吸収粒子117は、外径(直径)が例えば2~3μmである。電波吸収粒子117は、例えば、負に帯電したカーボン粒子である。電波吸収粒子117は、マイクロカプセル115内に多数(複数)収容される。
【0030】
電波反射粒子119は、帯電可能で、電波を反射可能な材料により構成される。電波反射粒子119は、外径(直径)が例えば2~3μmである。電波反射粒子119は、例えば、正に帯電したアルミニウム粒子である。電波反射粒子119は、マイクロカプセル115内に多数(複数)収容される。本実施形態では、電波吸収粒子117が負に帯電し、電波反射粒子119が正に帯電する例について説明する。しかし、これに限定されず、電波吸収粒子117は、正に帯電し、電波反射粒子119は、負に帯電してもよい。つまり、電波吸収粒子117は、正および負の一方に帯電し、電波反射粒子119は、正および負の他方に帯電すればよい。
【0031】
分散媒121は、マイクロカプセル115内で電波吸収粒子117と電波反射粒子119とを分散させる液体である。分散媒121は、例えば、水、油、アルコール系溶媒などにより構成される。
【0032】
電位制御部111は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含むマイクロコンピュータでなり、電波制御構造100を統括制御する。電位制御部111は、第1電極部103(第1電極103a、第2電極103b)および第2電極部107と電気的に接続される。電位制御部111は、第1電極103a、第2電極103b、第2電極部107に電位を入力する。また、電位制御部111は、第1電極103a、第2電極103b、第2電極部107への電位の入力を停止する。
【0033】
電位制御部111は、第1電極103a、第2電極103b、第2電極部107に入力する電位を独立して制御することができる。つまり、電位制御部111は、互いに異なる電位を、第1電極103a、第2電極103b、第2電極部107に入力することができる。なお、電位制御部111は、互いに同じ電位を、第1電極103a、第2電極103b、第2電極部107に入力することもできる。
【0034】
以下、本実施形態の電波制御構造100の動作について説明する。
図2に示すように、電位制御部111は、第1電極103aおよび第2電極103bに正電位である電位+Vを入力する。また、電位制御部111は、第2電極部107にグランド電位GND(0V)を入力する。
【0035】
すると、マイクロカプセル115内の負に帯電した電波吸収粒子117は、相対的に高電位(正電位)に保持された第1電極103aおよび第2電極103b側に引き寄せられる。また、正に帯電した電波反射粒子119は、相対的に低電位(グランド電位)に保持された第2電極部107側に引き寄せられる。
【0036】
電位制御部111は、第1電極103a、第2電極103b、第2電極部107に電位を入力した後に、電位の入力を停止する。電位の入力が停止されても、マイクロカプセル115内の電波吸収粒子117および電波反射粒子119は、それぞれの粒子のクーロン引力により状態が保持される。したがって、電位制御部111は、第1電極103a、第2電極103b、第2電極部107への電位入力を停止することで、電位入力を継続する場合よりも、電波制御構造100における電力消費を抑制することができる。
【0037】
このとき、
図2に示すように、外部空間から機体3の外表面13aに向かって電波Pが飛来すると、電波Pは、マイクロカプセル115内の電波反射粒子119により大部分が電波P1として反射される。
【0038】
電波P1は、電波Pの大部分が反射された電波であるため、管制用レーダーや僚機レーダーは、電波制御構造100で反射された電波P1を捕捉し易い。したがって、管制用レーダーや僚機レーダーは、例えば、訓練などの平時の際に、航空機1をレーダーで捕捉し易くなる。つまり、航空機1は、平時の際にステルス機能を低減することができる。
【0039】
図3は、機体3の外表面の断面を示した第2の図である。
図3に示すように、電位制御部111は、第1電極103aおよび第2電極103bに負電位である電位-Vを入力する。また、電位制御部111は、第2電極部107にグランド電位GND(0V)を入力する。
【0040】
すると、マイクロカプセル115内の負に帯電した電波吸収粒子117は、相対的に高電位(グランド電位)に保持された第2電極部107側に引き寄せられる。また、正に帯電した電波反射粒子119は、相対的に低電位(負電位)に保持された第1電極103aおよび第2電極103b側に引き寄せられる。
【0041】
電位制御部111は、第1電極103a、第2電極103b、第2電極部107に電位を入力した後に、電位の入力を停止する。電位の入力が停止されても、マイクロカプセル115内の電波吸収粒子117および電波反射粒子119は、それぞれの粒子のクーロン引力により状態が保持される。したがって、電位制御部111は、第1電極103a、第2電極103b、第2電極部107への電位入力を停止することで、電位入力を継続する場合よりも、電波制御構造100における電力消費を抑制することができる。
【0042】
このとき、
図3に示すように、外部空間から機体3の外表面13aに向かって電波Pが飛来すると、電波Pは、マイクロカプセル115内の電波吸収粒子117により大部分が吸収され、吸収されなかった電波P2が電波制御構造100から反射される。ここで、電波P2は、電波P1に比べて電波強度が非常に小さくなる。
【0043】
電波P2は、電波Pの大部分が吸収された後の電波であるため、管制用レーダーや敵機レーダーは、電波制御構造100で反射された電波P2を捕捉し難い。したがって、管制用レーダーや敵機レーダーは、有事の際に、航空機1をレーダーで捕捉し難くなる。つまり、航空機1は、有事の際にステルス機として機能することができる。
【0044】
このように、本実施形態の航空機1は、電波制御構造100を備えることで、有事の際にレーダーで捕捉し難くし、平時の際にレーダーで捕捉し易くすることができる。その結果、本実施形態の航空機1は、有事および平時の運用を両立させることが容易になる。
【0045】
なお、電波制御構造100は、機体3の部位に応じて、
図2に示す電波反射状態と、
図3に示す電波吸収状態とを切り替える制御を実行してもよい。例えば、電波制御構造100は、機体3の前方向側(敵機側)あるいは左右方向側(敵機側)を電波吸収状態とし、航空機1の後方向側(僚機側)を電波反射状態としてもよい。これにより、航空機1は、敵機側をレーダーで捕捉し難くし、僚機側をレーダーで捕捉し易くすることができる。
【0046】
図4は、機体3の外表面の断面を示した第3の図である。
図4に示すように、電位制御部111は、
図4中、中央のマイクロカプセル115に対向する第1電極103aに正電位である電位+Vを入力する。電位制御部111は、
図4中、中央のマイクロカプセル115に対向する第2電極103bに負電位である電位-Vを入力する。電位制御部111は、第2電極部107にグランド電位GND(0V)を入力する。
【0047】
すると、
図4中、中央のマイクロカプセル115の左側半分に示されるように、負に帯電した電波吸収粒子117は、相対的に高電位(正電位)に保持された第1電極103a側に引き寄せられる。また、正に帯電した電波反射粒子119は、相対的に低電位(グランド電位)に保持された第2電極部107側に引き寄せられる。
【0048】
また、
図4中、中央のマイクロカプセル115の右側半分に示されるように、負に帯電した電波吸収粒子117は、相対的に高電位(グランド電位)に保持された第2電極部107側に引き寄せられる。また、正に帯電した電波反射粒子119は、相対的に低電位(負電位)に保持された第2電極103b側に引き寄せられる。
【0049】
このとき、外部空間から機体3の外表面13aに向かって電波Pが飛来すると、中央のマイクロカプセル115の左側において、不図示の電波Pは、マイクロカプセル115内の電波反射粒子119により大部分が電波P1として反射される。
【0050】
また、中央のマイクロカプセル115の右側において、不図示の電波Pは、マイクロカプセル115内の電波吸収粒子117により大部分が吸収され、吸収されなかった電波P2が電波制御構造100から反射される。
【0051】
これにより、電波制御構造100は、機体3のレーダー反射断面積(RCS:Radar Cross Section)を可変制御(調整)することができる。
【0052】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0053】
上記実施形態では、航空機1が電波制御構造100を備える例について説明した。しかし、これに限定されず、電波制御構造100は、船舶(移動体)に適用されてもよい。例えば、電波制御構造100は、船舶(ボディ)の外表面に取り付けられてもよい。なお、電波制御構造100は、ステルス形状を備えていない移動体(航空機1や船舶)に適用されてもよい。電波制御構造100は、ステルス形状を備えていない移動体に適用されることで、低コストに移動体にステルス性を付与することができる。ただし、電波制御構造100は、ステルス形状を備えた移動体に適用されてもよい。
【0054】
上記実施形態では、
図2~
図4において、電位制御部111が第2電極部107にグランド電位GNDを入力する例について説明した。しかし、これに限定されず、電位制御部111は、第2電極部107にグランド電位GND(0V)と異なる電位を入力してもよい。その場合、電位制御部111は、第1電極103aおよび第2電極103bに対し、第2電極部107に入力する電位よりも高い高電位(正電位)あるいは低い低電位(負電位)を入力すればよい。
【0055】
上記実施形態では、電気泳動層109がマイクロカプセル115を備える例について説明した。しかし、これに限定されず、電気泳動層109は、マイクロカプセル115を備えていなくてもよい。ただし、電気泳動層109は、マイクロカプセル115を備えることで、電波吸収粒子117および電波反射粒子119の偏りや凝集を生じ難くすることができる。
【0056】
上記実施形態では、電位制御部111が電位を入力した後に、電位の入力を停止する例について説明した。しかし、これに限定されず、電位制御部111は、電位を入力した後に、電位の入力を継続してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、移動体に利用できる。
【符号の説明】
【0058】
1 航空機(移動体)
3 機体(ボディ)
13 外板
13a 外表面(表面)
101 第1基板
103 第1電極部
103a 第1電極(複数の電極)
103b 第2電極(複数の電極)
105 第2基板
107 第2電極部
109 電気泳動層
111 電位制御部
115 マイクロカプセル
117 電波吸収粒子
119 電波反射粒子