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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20230628BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
G03G21/00 370
G03G21/14
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019174279
(22)【出願日】2019-09-25
(65)【公開番号】P2021051197
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】加耒 佑一
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-133779(JP,A)
【文献】特開2005-331875(JP,A)
【文献】特開2003-295728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーからの指令を受け付ける操作部と、
カラー画像およびモノクロ画像を形成する機能を有する画像形成部と、
予め定められた前記画像形成部の初期動作を実行するための初期動作実行部と、
前記操作部、前記画像形成部および前記初期動作実行部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記初期動作時において、画像形成すべき旨の指令を予め定められた基準時刻までに前記操作部が受け付けた場合、前記初期動作のうち前記モノクロ画像の形成に必要な初期動作のみが継続しているときは、前記モノクロ画像の形成に必要な初期動作を継続させたまま、前記指令が前記カラー画像の形成に係るものである場合はさらに前記カラー画像の形成に必要な初期動作を実行して、前記画像形成部に画像形成を開始させ、
前記初期動作のうち前記カラー画像の形成に必要な初期動作が継続しているときは、前記カラー画像の形成に必要な初期動作を継続させたまま、前記画像形成部に画像形成を開始させ、
一方、画像形成すべき旨の指令を前記基準時刻までに前記操作部が受け付けなかった場合、前記初期動作を完了させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
記基準時刻は、前記初期動作のうち前記モノクロ画像の形成に必要な初期動作のみが継続している場合、前記初期動作の完了予定時刻から、前記モノクロ画像の形成に必要な初期動作を継続させた状態で前記カラー画像の形成に必要な初期動作の開始から完了までにかかる時間を差し引いた時刻である請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成部は、
感光体と、
前記感光体に接触して帯電する帯電部と、
前記帯電部に予め定められた帯電電圧を印加する帯電電圧印加部と、
前記感光体に静電潜像を形成する露光部と、
前記感光体にトナーを供給して前記静電潜像に対応するトナー像を形成する現像部と、
前記現像部に予め定められた現像電圧を印加する現像電圧印加部と、
転写ベルトにより前記トナー像を記録媒体に転写する転写部と、
前記転写部のクリーニングを行う転写クリーニング部と、
前記トナー像を前記記録媒体に加熱定着する定着部と、
前記記録媒体を搬送する搬送部とを備え、
前記制御部は、前記初期動作時において、前記帯電電圧印加部、前記露光部、前記現像電圧印加部、前記転写部、前記転写クリーニング部および前記定着部のうち、いずれか2以上の各部の動作を前記初期動作実行部に実行させた場合、前記2以上の各部の動作の完了予定時刻のうち、もっとも遅い時刻を前記初期動作の完了予定時刻とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記初期動作時において、前記帯電電圧印加部および前記現像電圧印加部にそれぞれ前記帯電電圧および前記現像電圧を印加させた後、画像形成すべき旨の指令を前記基準時刻までに前記操作部が受け付けた場合、前記帯電電圧印加部および前記現像電圧印加部にそれぞれ前記帯電電圧および前記現像電圧を印加させ続けたまま、前記画像形成部に画像形成を開始させ、
一方、画像形成すべき旨の指令を前記基準時刻までに前記操作部が受け付けなかった場合、前記帯電電圧印加部および前記現像電圧印加部にそれぞれ前記帯電電圧および前記現像電圧への印加を終了させることにより前記初期動作を完了させる請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
周囲の温度および湿度を計測する温湿度計測部と、
前記定着部の定着温度を計測する定着温度計測部とをさらに備え、
前記制御部は、前記操作部が受け付けた前記記録媒体の厚さおよび大きさの設定、前記温湿度計測部によって計測された周囲の温度および湿度、前記定着温度計測部によって計測された前記定着温度のうち少なくとも1つに基づき、前記初期動作の完了予定時刻を推定する請求項3または4に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複合機の起動時において、レーザー走査ユニット(LSU)の初期動作や定着部の温度調節、感光体ドラムや現像装置への高電圧(高圧)出力の安定化処理、画質調整(プロセスコントロール)動作等のウォームアップ動作が行われる。
【0003】
図5は、従来の複合機のウォームアップ動作の一例を示す説明図である。
図5において、横軸は、複合機のCPUの起動開始時からの経過時間を示す。
【0004】
図5(1)に示されるように、複合機の電源を入れた後、CPUの起動が開始される。
そして、CPUの起動完了後、図5(2)~(7)にそれぞれ示されるように、定着温度調節、LSUの準備動作、感光体ドラム(カラー・モノクロドラム)の高圧出力制御、転写クリーニングおよび画質調整(プロセスコントロール)動作等のウォームアップ動作を開始する。
【0005】
図5(4)(5)の高圧出力制御について、ウォームアップ開始時に感光体ドラムの帯電電圧の高圧立ち上げ処理(高圧安定化処理)を行った後、ウォームアップ完了前に立ち下げ処理を行い、完了状態となる。
【0006】
その後、ユーザーからのコピー等の印刷指示を受け付けた(ジョブが登録された)場合、再度感光体ドラムの高圧立ち上げ処理を行う。
そして、印刷の準備が完了した後、図5(8)に示すように、用紙を搬送して印刷を開始する。
【0007】
以上のように、複合機のウォームアップ動作の完了後、ユーザーがコピーボタンを押下した場合、再度感光体ドラムの高圧立ち上げ処理を行う必要がある。
そのため、感光体ドラムの高圧出力制御が安定化して印刷の準備が完了するまでの間、印刷が開始されず、長い待ち時間があった。
【0008】
一方、複合機のウォームアップ動作の完了を待たずに、ユーザーがコピーボタンを押下した場合、ウォームアップ完了前の感光体ドラムの高圧立ち下げ処理を行わず、高圧出力を立ち上げたまま印刷を開始することで、FCOT(ファーストコピータイム)を短縮することができる。
【0009】
しかしながら、高圧出力を立ち上げたままウォームアップ動作を完了させると、ユーザーがコピーボタンを押下するタイミングが遅い場合、コピーボタンの押下まで感光体ドラムを無駄に回転させることになるため、その分、感光体ドラムの寿命が短くなるおそれがある。
【0010】
このような高圧出力の立ち下げ処理の開始のタイミングについて、従来、画像が形成された記録紙の後端が転写手段を抜けたときに、次の印字要求を受信したかどうかによって、帯電手段の帯電を継続するか、立ち下げ処理をするかを制御することで、高圧出力の立ち下げ処理の開始を適正なタイミングで行うことができ、感光ドラムの高寿命化を行うことができる発明が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2009-151104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、ウォームアップ動作の完了後、ユーザーがコピーボタンを押下するタイミングが早かったとしても、定着温度調節、LSUの準備動作、転写クリーニングおよび画質調整動作など、感光体ドラムの高圧出力制御以外の初期動作に時間がかかった場合も、やはり感光体ドラムを無駄に回転させることになるため、感光体ドラムの寿命が短くなるおそれがある。
【0013】
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、その目的は、初期動作時間の短縮および感光体の高寿命化の両立が可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1)この発明は、ユーザーからの指令を受け付ける操作部と、画像形成部と、予め定められた前記画像形成部の初期動作を実行するための初期動作実行部と、前記操作部、前記画像形成部および前記初期動作実行部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記初期動作時において、画像形成すべき旨の指令を予め定められた基準時刻までに前記操作部が受け付けた場合、前記初期動作のうち画像形成に必要な動作を継続させたまま、前記画像形成部に画像形成を開始させ、一方、画像形成すべき旨の指令を前記基準時刻までに前記操作部が受け付けなかった場合、前記初期動作を完了させることを特徴とする画像形成装置を提供するものである。
【0015】
この発明において、「画像形成装置」は、トナーによる像形成に電子写真方式を用いるプリンタなどの複写(コピー機能)機能を有する複写機や複合機、または複写以外の機能をも含むMFP(Multifunctional Peripheral:多機能周辺装置)など、画像を形成して出力する装置である。
「前記初期動作のうち画像形成に必要な動作」は、例えば、感光体への帯電電圧の印加や、現像部への現像電圧の印加等などがあげられる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、初期動作時において、ユーザーからの画像形成指令を所定の基準時刻までに操作部が受け付けたか否かに基づき、初期動作のうち画像形成に必要な動作を継続させたまま、画像形成を開始すべきか否かの判断を行うため、初期動作時間の短縮および感光体の高寿命化の両立が可能な画像形成装置を実現する。
【0017】
さらに、この発明の好ましい態様について説明する。
【0018】
(2)この発明による画像形成装置において、画像形成すべき旨の指令を前記操作部が受け付けた後、前記画像形成が実行可能になるまでの時間を準備時間としたとき、前記基準時刻は、前記初期動作の完了予定時刻から前記準備時間を差し引いた時刻であってもよい。
【0019】
このようにすれば、初期動作の完了予定時刻および画像形成が実行可能になるまでの準備時間に基づき、初期動作のうち画像形成に必要な動作を継続させたまま、画像形成を開始すべきか否かの判断を行うため、初期動作時間の短縮および感光体の高寿命化の両立が可能な画像形成装置を実現することができる。
【0020】
(3)この発明による画像形成装置において、前記画像形成部は、感光体と、前記感光体に接触して帯電する帯電部と、前記帯電部に予め定められた帯電電圧を印加する帯電電圧印加部と、前記感光体に静電潜像を形成する露光部と、前記感光体にトナーを供給して前記静電潜像に対応するトナー像を形成する現像部と、前記現像部に予め定められた現像電圧を印加する現像電圧印加部と、転写ベルトにより前記トナー像を記録媒体に転写する転写部と、前記転写部のクリーニングを行う転写クリーニング部と、前記トナー像を前記記録媒体に加熱定着する定着部と、前記記録媒体を搬送する搬送部とを備え、前記制御部は、前記初期動作時において、前記帯電電圧印加部、前記露光部、前記現像電圧印加部、前記転写部、前記転写クリーニング部および前記定着部のうち2以上の動作を前記初期動作実行部に実行させた場合、前記2以上の動作の完了予定時刻のうち、もっとも遅い時刻を前記初期動作の完了予定時刻とするものであってもよい。
【0021】
このようにすれば、前記制御部は、前記初期動作時において、前記帯電電圧印加部、前記露光部、前記現像電圧印加部、前記転写部、前記転写クリーニング部および前記定着部のうち、いずれか2以上の各部の動作を前記初期動作実行部に実行させた場合、前記2以上の各部の動作の完了予定時刻のうち、もっとも遅い時刻を前記初期動作の完了予定時刻とし、前記初期動作の完了予定時刻および画像形成が実行可能になるまでの準備時間に基づき、初期動作のうち画像形成に必要な動作を継続させたまま、画像形成を開始すべきか否かの判断を行うため、初期動作時間の短縮および感光体の高寿命化の両立が可能な画像形成装置を実現することができる。
【0022】
(4)この発明による画像形成装置において、前記制御部は、前記初期動作時において、前記帯電電圧印加部および前記現像電圧印加部にそれぞれ前記帯電電圧および前記現像電圧を印加させた後、画像形成すべき旨の指令を前記基準時刻までに前記操作部が受け付けた場合、前記帯電電圧印加部および前記現像電圧印加部にそれぞれ前記帯電電圧および前記現像電圧を印加させ続けたまま、前記画像形成部に画像形成を開始させ、一方、画像形成すべき旨の指令を前記基準時刻までに前記操作部が受け付けなかった場合、前記帯電電圧印加部および前記現像電圧印加部にそれぞれ前記帯電電圧および前記現像電圧への印加を終了させることにより前記初期動作を完了させるものであってもよい。
【0023】
このようにすれば、初期動作時において、帯電電圧印加部および現像電圧印加部にそれぞれ帯電電圧および現像電圧を印加させた場合、画像形成指令を所定の基準時刻までに操作部が受け付けたか否かに基づき、前記帯電電圧印加部および前記現像電圧印加部にそれぞれ前記帯電電圧および前記現像電圧を印加させ続けたまま、画像形成を開始すべきか否かの判断を行うため、初期動作時間の短縮および感光体の高寿命化の両立が可能な画像形成装置を実現することができる。
【0024】
(5)この発明による画像形成装置において、周囲の温度および湿度を計測する温湿度計測部と、前記定着部の定着温度を計測する定着温度計測部とをさらに備え、前記制御部は、前記操作部が受け付けた前記記録媒体の厚さおよび大きさの設定、前記温湿度計測部によって計測された周囲の温度および湿度、前記定着温度計測部によって計測された前記定着温度のうち少なくとも1つに基づき、前記初期動作の完了予定時刻を推定するものであってもよい。
【0025】
このようにすれば、操作部が受け付けた前記記録媒体の厚さおよび大きさの設定、前記温湿度計測部によって計測された周囲の温度および湿度、前記定着温度計測部によって計測された前記定着温度のうち少なくとも1つに基づき、前記初期動作の完了予定時刻を推定するため、初期動作時間の短縮および感光体の高寿命化の両立が可能な画像形成装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】この発明の実施形態1に係るデジタル複合機の外観を示す斜視図である。
図2図1のデジタル複合機の内部構成を示す断面図である。
図3図1のデジタル複合機の概略構成を示すブロック図である。
図4図1のデジタル複合機の第1可視像形成ユニットの概略構成を示す説明図である。
図5】従来の複合機のウォームアップ動作の一例を示す説明図である。
図6図1のデジタル複合機において、中間転写ベルトと4組の感光体ドラムとの当接状態の切替動作を示す説明図である。 図6(A)は、中間転写ベルトと4組の感光体ドラムとの離間状態を示し、図6(B)は、中間転写ベルトと黒色の感光体ドラムとの当接状態を示し、図6(C)は、中間転写ベルトと4組の感光体ドラムとの全色の当接状態を示す。
図7図1のデジタル複合機において、ジョブの登録を早く受け付けた場合のウォームアップ動作の一例を示す説明図である。
図8図1のデジタル複合機において、ジョブの登録を遅く受け付けた場合のウォームアップ動作の一例を示す説明図である。
図9図1のデジタル複合機において、ジョブの登録を受け付けるタイミングとウォームアップ動作との関係を示す説明図である。 図9(A)は、所定の基準時刻よりも早くジョブの登録を受け付けた場合を示し、図9(B)は、所定の基準時刻よりも遅くジョブの登録を受け付けた場合を示す。
図10】この発明の実施形態2に係るデジタル複合機の概略構成を示すブロック図である。
図11】この発明の実施形態2に係るデジタル複合機において、定着温度の調節時間が長い場合のウォームアップ動作の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
【0028】
〔実施形態1〕
<デジタル複合機1の構成>
以下、図1および図2に基づき、この発明の実施形態1に係る画像形成装置の一例としてのデジタル複合機1の概要について説明する。
図1は、この発明の実施形態1に係るデジタル複合機1の外観を示す斜視図である。また、図2は、図1のデジタル複合機1の内部構成を示す断面図である。
【0029】
デジタル複合機1は、複写機能やスキャナ機能、ファクシミリ機能を有し、原稿から読み取った画像データをデジタル処理して出力する装置である。
【0030】
デジタル複合機1は、印刷モードとしてコピー(複写)機能、プリント機能、FAX機能を有しており、タッチパネル18(図3)からの操作入力や、パーソナルコンピュータ等の外部装置からの印刷ジョブの受信に応じた印刷機能が、制御部10(図3)によって選択される。
【0031】
<デジタル複合機1の内部構成>
図2において、デジタル複合機1はカラー複合機であり、光学系ユニット50、第1~第4可視像形成ユニット51~54、中間転写ベルト55、2次転写ユニット56、定着部2、内部用紙給送ユニット57および手差し用紙給送ユニット58ならびに排紙トレイ75を備える。
なお、デジタル複合機1は、カラー複合機に限られず、モノクロ複合機であってもよい。
【0032】
デジタル複合機1は、これら第1~第4可視像形成ユニット51~54、中間転写ベルト55および2次転写ユニット56を用いてトナー像を形成する。
【0033】
光学系ユニット50では、4つのレーザー光源64からのビームが4組の感光体ドラム59,65,66,67に届くように配置される。
【0034】
第1可視像形成ユニット51は、感光体ドラム59と、帯電ローラ60と、光学系ユニット50と、現像ユニット61aと、1次転写ユニット62aとを有する。
【0035】
像担持体となる感光体ドラム59の周囲に、帯電ローラ60、現像ユニット61aおよびクリーニングユニット63が配置されている。
【0036】
これらのユニットにより、感光体ドラム59にトナー像が形成され、トナー像が中間転写ベルト55に転写される。
【0037】
感光体ドラム59は、トナー像が表面に形成される像担持体であり、軸線回りに回転駆動可能に支持され、図示しない円筒状、円柱状または薄膜シート状(好ましくは円筒状)の導電性基体と、導電性基体の表面に形成される感光層とを含む。
【0038】
感光体ドラム59は、モーターギヤに係合された感光体ドラム59に取り付けられた図示しない感光体ドラム駆動ギヤによって、図2の紙面に向って反時計周りの方向に、例えば、周速度163mm/sで回転する。
【0039】
1次転写ユニット62aは、中間転写ベルト55を介して感光体ドラム59に圧接するように配置される。
【0040】
他の第2~第4可視像形成ユニット52~54についても、第1可視像形成ユニット51と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0041】
各ユニット51~54の現像ユニット61a,61b,61c,61dには、黒色(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のトナーがそれぞれ収容される。
【0042】
以下、各色の現像ユニット61a,61b,61c,61dを代表して、現像ユニット61と記載することもある。
また、各色の1次転写ユニット62a,62b,62c,62dを代表して、1次転写ユニット62と記載することもある。
【0043】
中間転写ベルト55は、各色のトナー像が転写され、表面に各色のカラートナー像が重畳される。
中間転写ベルト55は、テンションローラ68,69によって駆動され回動する。
中間転写ベルト55のテンションローラ68側に当接して2次転写ユニット56が配置される。
【0044】
2次転写ユニット56は、ワイヤコロナチャージャでトナーの帯電極性とは逆極性の高電圧を転写領域に印加することにより、中間転写ベルト55上に形成されたカラートナー像を内部用紙給送ユニット57および手差し用紙給送ユニット58から、それぞれ給送ローラ73および74によって送られてきた記録媒体31に転写する。
【0045】
その後、カラートナー像が転写された記録媒体31は定着部2の位置まで搬送される。
【0046】
また、中間転写ベルト55に当接してテンションローラ69側に配置される廃トナーボックス70には、2次転写後、中間転写ベルト55の表面に残ったトナーが回収される。
【0047】
定着部2は、2次転写ユニット56の下流側に配置される。
定着部2は、定着ベルト71および加圧ローラ72から構成される。
加圧ローラ72は、図示しない加圧機構により定着ベルト71に所定の圧力で圧接される。
また、定着部2の下流には、排紙トレイ75が設けられている。
【0048】
次に、図3に基づき、デジタル複合機1の概略構成を説明する。
図3は、図1のデジタル複合機1の概略構成を示すブロック図である。
【0049】
図3に示すように、デジタル複合機1は、制御部10、画像読取部11、画像形成部12、記憶部13、画像処理部14、通信部15、搬送部16、モーター17、タッチパネル18、電源19、電圧印加部20および初期動作実行部21を備える。
【0050】
以下、デジタル複合機1の各構成要素を説明する。
【0051】
制御部10は、デジタル複合機1を統合的に制御するものであって、CPU、RAM、ROM、各種のインターフェース回路等からなる。
【0052】
制御部10は、デジタル複合機1全体の動作をコントロールするために、各センサの検知、モーター、クラッチ、タッチパネル18等、あらゆる負荷の監視・制御を行う。
【0053】
画像読取部11は、原稿セット台に置かれた原稿または用紙トレイから搬送されてきた原稿を検知して読み取り、画像データを生成する部分である。
【0054】
画像形成部12は、画像処理部14によって生成された画像データを用紙上に印刷出力する部分であり、LSU121を備える。
【0055】
LSU121は、画像読取部11によって取得されたデジタル信号からなる画像情報に対応するレーザー光を帯電状態にある感光体ドラム59,65,66,67の表面に照射して、静電潜像を形成する装置である。
【0056】
記憶部13は、デジタル複合機1の各種機能を実現するために必要な情報や、制御プログラムなどを記憶する素子や記憶媒体である。例えば、RAMやROM等の半導体素子、ハードディスク、フラッシュ記憶部、SSD等の記憶媒体が用いられる。
【0057】
なお、データを保持する領域がハードディスクドライブで、プログラムを保持する領域がフラッシュ記憶部で構成するといったように、プログラムとデータが異なる装置に保持されてもよい。
【0058】
画像処理部14は、画像読取部11によって読み取られた原稿の画像を適正な電気信号に変換して画像データを生成する部分である。
【0059】
通信部15は、ネットワーク等を介して、コンピュータや携帯情報端末、外部の情報処理装置やファクシミリ装置等との通信をおこない、メールやFAXなどの種々の情報をこれら外部の通信装置と送受信する部分である。
【0060】
搬送部16は、手差トレイ、給紙カセットおよび原稿セット台に格納された用紙を排紙トレイ75まで搬送する部分である。
【0061】
モーター17は、感光体ドラム59,65,66,67、帯電ローラ60、1次転写ユニット62a,62b,62c,62d、定着部2などの構成要素を駆動するモーターである。
【0062】
タッチパネル18は、液晶パネル等から構成された表示パネルと、表示パネルに重ねて配置され、指がタッチされた位置を検出する静電容量方式等のタッチパネルとから構成され、表示部181および操作部182を備える。
【0063】
表示部181は、各種情報の表示を行い、タッチパネル機能によりユーザーからの指令を受け付ける部分である。
表示部181は、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、ELディスプレイなどで構成され、オペレーティングシステムやアプリケーションソフトウェアが処理状態など電子的なデータを表示するためのモニタやラインディスプレイなどの表示装置である。
制御部10は、表示部181を通じて、デジタル複合機1の動作および状態の表示を行う。
【0064】
操作部182は、デジタル複合機1を操作するためのインターフェースであり、ユーザーからの指令を受け付ける部分である。
【0065】
電源19は、デジタル複合機1の各部に電力を供給し、例えば、AT電源、ATX電源、SFX電源などが用いられる。
電源19は、帯電用電源191および現像用電源192を備える。
【0066】
電圧印加部20は、電圧を印加する部分であり、帯電電圧印加部201および現像電圧印加部202を備える。
帯電電圧印加部201は、予め定められた電圧を帯電ローラ60に印加する。
現像電圧印加部202は、予め定められた電圧を現像ローラ611aに印加する。
【0067】
初期動作実行部21は、予め定められた手順にしたがって、初期動作を実行する部分である。
【0068】
<デジタル複合機1の画像形成動作>
次に、図4に基づき、デジタル複合機1における画像形成動作を説明する。
図4は、図1のデジタル複合機1の第1可視像形成ユニット51の概略構成を示す説明図である。
【0069】
なお、以下の説明において、第1可視像形成ユニット51を例として説明するが、他の第2~第4可視像形成ユニット52~54についても同様である。
【0070】
図4において、感光体ドラム59は、回転方向R1(紙面に向かって反時計回りの方向)に回転する。
帯電ローラ60は、感光体ドラム59の回転を受けて回転方向R2(紙面に向かって時計回りの方向)に回転する。
実施形態1において、帯電ローラ60は、感光体ドラム59に従動するが、従動でなくてもよい。
【0071】
画像形成時において、感光体ドラム59の表面は、帯電ローラ60により一様に帯電される。
実施形態1において、感光体ドラム59表面を一様に、またオゾンを極力発生させることなく帯電するために、帯電ローラ方式が採用されている。
【0072】
図4に示すように、帯電ローラ60は、バネ等の図示しない付勢力により感光体ドラム59の表面に帯電に適した所定の圧力で圧接し、感光体ドラム59の回転に追従的に回転する。
【0073】
帯電電圧印加部201は、帯電ローラ60の芯金601の部分に帯電用電源191(高圧電源回路)から所定の帯電電圧を印加することにより、感光体ドラム59の表面を所定の電圧(例えば、-600V)で帯電させる。
実施形態1において、帯電された感光体ドラム59の表面電位Vdは-600Vである。
【0074】
光学系ユニット50は、帯電された感光体ドラム59の表面をレーザー光源64からのビームで露光することによって、感光体ドラム59の露光後の表面電位VLを例えば、-100V以下にして、静電潜像を形成する。
実施形態1において、感光体ドラム59の露光後の表面電位VLは-100Vである。
【0075】
なお、この発明は、正規現像方式および反転現像方式のいずれの方式にも適用可能であるが、実施形態1では、反転現象方式で説明する。
【0076】
光学系ユニット50からのレーザー光は、不図示のポリゴンミラーや各種レンズを通して、感光体ドラム59へ照射される。
【0077】
レーザー光源64は画像情報に基づいて制御され、感光体ドラム59の表面に画像情報に応じた静電潜像が形成される。
【0078】
現像ユニット61aは、感光体ドラム59上の静電潜像を現像し、トナー像を形成する。
感光体ドラム59上に形成された静電潜像は、現像ユニット61aによってトナーとキャリアを含む現像剤612aにより顕像化され、トナー像が形成される。
【0079】
図4に示すように、現像ユニット61aは、感光体ドラム59に対向して設けられる現像用のユニットであり、現像剤担持体としての現像ローラ611aは、感光体ドラム59の回転軸に平行な回転軸に回転自在に設けられる。
【0080】
現像ユニット61aは、例えば硬質の合成樹脂などからなる中空の容器状部材である。現像ユニット61aの中には、前述のようにトナーとキャリアとを含む2成分現像剤が収容されるが、トナーだけを含む1成分現像剤であってもよい。
【0081】
現像ローラ611aは、極性が異なる磁石部材を略交互に周方向に配置して形成されたマグローラである。
現像ローラ611aは、その磁力によって現像ユニット61a内に収容された現像剤612aを吸着する。
吸着された現像剤612aは、図示しない現像剤規制部材によって所定量の厚さに規制され、現像ローラ611aと感光体ドラム59とが近接する現像ニップ部に運ばれる。
【0082】
現像電圧印加部202は、現像ローラ611aの芯金613aの部分に現像用電源192(高圧電源回路)から所定の現像電圧を印加することにより、所定の電圧で帯電させる。
実施形態1において、現像ローラ611aの電位Vbは-450Vである。
【0083】
現像電圧は、感光体ドラム59の非露光部の表面電位Vd(-600V)よりも低い値に設定され、かつ、露光部の表面電位VL(-100V)よりも高い値に設定される。
【0084】
その結果、感光体ドラム59の帯電極性と同極性(実施形態1では負極性)に帯電したトナーが感光体ドラム59の露光部の表面電位VLに吸着してトナー像を形成する(反転現像)。
【0085】
一方、感光体ドラム59の非露光部の表面電位Vdは、現像ローラ611aの電位Vbよりも低いため、トナーの付着は防止される。
【0086】
1次転写ユニット62aの転写ローラ621aには、トナーと逆極性の電圧が印加されており、感光体ドラム59に現像されたトナー像を、1次転写ユニット62aと感光体ドラム59が近接する転写領域で、中間転写ベルト55上に転写する。
【0087】
実施形態1において、1次転写ユニット62aは、中間転写ベルト55を用いた構成となっているが、ワイヤーであってもよい。
【0088】
その他の第2~第4可視像形成ユニット52~54も同様に動作し、順次、中間転写ベルト55上にトナー像を転写する。
【0089】
中間転写ベルト55上のトナー像は2次転写ユニット56まで搬送される。
図2に示すように、内部用紙給送ユニット57の給送ローラ73または手差し用紙給送ユニット58の給送ローラ74から、記録媒体31がそれぞれ搬送経路RT1またはRT2を経由して供給される。
そして、トナーとは逆極性の電圧が2次転写ユニット56によって印加され、トナー像が記録媒体31に転写される。
【0090】
トナー像を担持した記録媒体31は、定着部2に搬送され、定着ベルト71および加圧ローラ72によって十分に加熱され、未定着のトナー像が記録媒体31に溶融・固着し、搬送経路RT4を経由して排出ローラERから排紙トレイ75に排出される。
【0091】
両面印刷の場合は、定着部2を通過して記録媒体31の表面の画像形成が終了した後、搬送経路RT3を経由して記録媒体31を反転させて裏面の画像形成を行う。
【0092】
転写後の感光体ドラム59には、中間転写ベルト55に転写されなかった転写残トナーが付着する。
この転写残トナーは、クリーニングユニット63に取り付けられたクリーニングブレード63aによって掻きとられ、クリーニングユニット63内部に、廃トナーとして回収される。
【0093】
除電ユニット76は、感光体ドラム59の表面の電荷を除去する。
なお、除電ユニット76の位置は、転写後から帯電前であれば、どこでも構わない。
【0094】
クリーニングローラ77は、帯電ローラ60に対向する位置に設けられ、帯電ローラ60の表面をクリーニングする。
【0095】
次に、図6に基づき、ウォームアップ時に中間転写ベルト55の転写位置を切り替える際の動作について説明する。
図6は、図1のデジタル複合機1において、中間転写ベルト55と4組の感光体ドラム59,65,66,67との当接状態の切替動作を示す説明図である。
【0096】
図6(A)は、中間転写ベルト55と4組の感光体ドラム59,65,66,67との離間状態を示し、図6(B)は、中間転写ベルト55と黒色の感光体ドラム67との当接状態を示し、図6(C)は、中間転写ベルト55と4組の感光体ドラム59,65,66,67との全色の当接状態を示す。
【0097】
図6(A)~(C)に示すように、中間転写ベルト55は、4組の感光体ドラム59,65,66,67と当接および離間可能に構成されている。
【0098】
制御部10は、中間転写ベルト55と4組の感光体ドラム59,65,66,67との当接状態を離間(図6(A))、黒色(図6(B))、全色(図6(C))と、予め定められた順序で切替可能に制御する。
【0099】
具体的には、制御部10は、図示しないカムの回転により、中間転写ベルト55の状態を図6(A)、(B)、(C)の順に移行させるものとする。
【0100】
なお、中間転写ベルト55の状態を移行させる順番は、図6(A)、(B)、(C)の順に限られず、例えば、図6(A)、(C)、(B)の順に移行させてもよいが、構成上のコスト等に起因して単一方向にのみカムを回転させるものとする。
【0101】
例えば、カラーおよびモノクロの画質調整(プロセスコントロール)を行う場合、図7(4)(5)に示すように、カラー・モノクロドラムの高圧出力制御を行った後、制御部10は、中間転写ベルト55の状態を離間(基準位置)(図6(A))から全色の感光体ドラム59,65,66,67に当接した状態(図6(C))に移行させる。
【0102】
次に、制御部10は、カラーおよびモノクロでパッチをうって値を読み、出力値を決定した後(図7(7))、制御部10は、中間転写ベルト55を黒色の感光体ドラム67に当接した状態(図6(B))に移行させて、転写クリーニングを行う(図7(6))。
【0103】
その後、転写クリーニング中にカラー印刷の印刷ジョブを操作部182が受け付けた場合、制御部10は、図6(C)に示すように、中間転写ベルト55を全色の感光体ドラム59,65,66,67に当接した状態に移行させる。
【0104】
ここで、モノクロドラムの高圧出力を行っているときに、ユーザーからのコピー等の印刷指示を受け付けた(ジョブが登録された)場合、モノクロドラムの高圧立ち下げ処理を行わず、高圧を立ち上げたままにしておくことで、FCOT(ファーストコピータイム)を短縮することができる。
【0105】
一方、図8に示すように、モノクロドラムの高圧立ち下げ処理を行った後に、ユーザーからのコピー等の印刷指示を受け付けた(ジョブが登録された)場合、カラー・モノクロドラムの高圧立ち上げ処理を行う。
【0106】
なお、図7および図8において、ウォームアップ時に(2)~(7)の初期動作を全て行う必要はなく、各部の動作チェックなど、状況に応じて、(2)~(7)のうち必要な初期動作のみを行うようにしてもよい。
【0107】
例えば、(7)の画質調整は、毎回行う必要はなく、所定の条件が満たされた場合に画質調整を実行するようにしてもよい。
例えば、デジタル複合機1の電源19を入れてCPUを起動した後、所定の枚数以上の印刷が実行された場合に、画質調整を実行するようにしてもよい。
また、デジタル複合機1がスリープモードから復帰した後、画質調整を実行するようにしてもよい。
【0108】
また、デジタル複合機1の電源19を突然OFFにした場合、転写位置が記憶されず、転写のポジションが不定になることがある。
このような場合、カラー・モノクロドラムの高圧出力制御を行わない場合であっても、デジタル複合機1の電源19を入れた後のウォームアップ時に、中間転写ベルト55を一周させることで、ホーム位置に戻して位置合わせを行う。
【0109】
次に、ジョブ登録のタイミングとウォームアップ動作(初期動作)との関係について説明する。
図9に実施形態1のジョブ登録のタイミングとウォームアップ動作(初期動作)との関係を示す。
【0110】
図9において、ウォームアップ動作(初期動作)の開始時刻をT0としたとき、初期動作の完了予定時刻がTEであったとする。
このとき、初期動作の完了後、カラー・モノクロドラムの高圧立ち上げ処理やLSU121の準備動作など、ジョブの実行までに必要な移行時間をジョブ移行時間TRとすると、初期動作の完了予定時刻TEからジョブ移行時間TRを差し引いた時刻TE-TRを基準時刻Thとする。
【0111】
ここで、図9(A)に示すように、基準時刻Thまでにジョブの登録があった場合(すなわち、ジョブ登録時刻TJ≦基準時刻Thの場合)、制御部10は、カラー・モノクロドラムの高圧立ち下げ処理を行わず、高圧を立ち上げたままにする。
【0112】
一方、図9(B)に示すように、基準時刻Thまでにジョブの登録がなかった場合(すなわち、基準時刻Th<ジョブ登録時刻TJの場合)、制御部10は、カラー・モノクロドラムの高圧立ち下げ処理を行うものとする。
【0113】
このように、ジョブが登録されるタイミングに応じて、ウォームアップ動作完了時の感光体ドラム59,65,66,67の高圧立ち下げ処理を行うべきか否かを決定することで、ウォームアップ時間の短縮および感光体ドラム59,65,66,67の無駄な回転の抑制を両立した感光体ドラム59,65,66,67の高圧出力制御を実現するデジタル複合機1を実現することができる。
【0114】
〔実施形態2〕
次に、図10および図11に基づき、この発明の実施形態2に係るデジタル複合機1において、定着温度の調節時間が長い場合のウォームアップ動作について説明する。
図10はこの発明の実施形態2に係るデジタル複合機1の概略構成を示すブロック図である。
図11は、この発明の実施形態2に係るデジタル複合機1において、定着温度の調節時間が長い場合のウォームアップ動作の一例を示す説明図である。
【0115】
実施形態2に係るデジタル複合機1の構成は、図10に示すように、定着部2の温度を計測する定着温度センサ122およびデジタル複合機1の周囲の温度および湿度を計測する温湿度センサ22をさらに備えるほかは、実施形態1と同一であるため、説明を省略する。
【0116】
印刷用紙のタイプが厚紙で用紙サイズが大きい場合や、気温が低い環境においては、定着温度の調節に長い時間がかかる場合がある。
【0117】
図11に示すように、ジョブの登録を早く受け付けた場合であっても、定着温度の調節に長い時間がかかる場合は(図10(2))、カラー・モノクロドラムの高圧立ち下げ処理を行い、定着温度調節が完了したタイミングでカラー・モノクロドラムの高圧立ち上げ処理を開始する。
【0118】
具体的には、定着温度センサ122および温湿度センサ22の計測結果と、操作部182が受け付けた用紙タイプおよび用紙サイズに基づき、定着温度の調節の完了予定時刻TEを推定する。
そして、当該完了予定時刻TEからジョブ移行時間TRを差し引いた時刻TE-TRを基準時刻Thとする。
【0119】
基準時刻Thまでにジョブの登録があった場合、制御部10は、カラー・モノクロドラムの高圧立ち下げ処理を行わず、高圧を立ち上げたままにする。
一方、基準時刻Thまでにジョブの登録がなかった場合、制御部10は、図11に示すように、カラー・モノクロドラムの高圧立ち下げ処理を行うものとする。
【0120】
このように、定着温度の調節時間およびジョブが登録されるタイミングに応じて、ウォームアップ動作完了時の感光体ドラム59,65,66,67の高圧立ち下げ処理を行うべきか否かを決定することで、ウォームアップ時間の短縮および感光体ドラム59,65,66,67の無駄な回転の抑制を両立した感光体ドラム59,65,66,67の高圧出力制御を実現するデジタル複合機1を実現することができる。
【0121】
なお、定着温度の調節時間に限らず、画質の調整時間や中間転写ベルト55のクリーニング等にかかる時間を推定し、当該推定結果に基づいて、ウォームアップ動作の完了予定時刻TEを推定した上で、ジョブが登録されるタイミングに応じて、ウォームアップ動作完了時の感光体ドラム59,65,66,67の高圧立ち下げ処理を行うべきか否かを決定するようにしてもよい。
【0122】
この発明の好ましい態様は、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含む。
前述した実施形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0123】
1:デジタル複合機、 2:定着部、 10:制御部、 11:画像読取部、 12:画像形成部、 13:記憶部、 14:画像処理部、 15:通信部、 16:搬送部、 17:モーター、 18:タッチパネル、 19:電源、 20:電圧印加部、 21:初期動作実行部、 22:温湿度センサ、 31:記録媒体、 50:光学系ユニット、 51:第1可視像形成ユニット、 52:第2可視像形成ユニット、 53:第3可視像形成ユニット、 54:第4可視像形成ユニット、 55:中間転写ベルト、 56:2次転写ユニット、 57:内部用紙給送ユニット、 58:手差し用紙給送ユニット、 59,65,66,67:感光体ドラム、 60:帯電ローラ、 61,61a,61b,61c,61d:現像ユニット、 62,62a,62b,62c,62d:1次転写ユニット、 63,63a:クリーニングブレード、 64:レーザー光源、 68,69:テンションローラ、 70:廃トナーボックス、 71:定着ベルト、 72:加圧ローラ、 73,74:給送ローラ、 75:排紙トレイ、 76:除電ユニット、 77:クリーニングローラ、 121:LSU、 122:定着温度センサ、 181:表示部、 182:操作部、 191:帯電用電源、 192:現像用電源、 201:帯電電圧印加部、 202:現像電圧印加部、 601:芯金、 611a:現像ローラ、 612a:現像剤、 613a:芯金、 621a:転写ローラ、 ER:排出ローラ、 R1,R2:回転方向、 RT1,RT2,RT3,RT4:搬送経路、 T0:開始時刻、 TE:完了予定時刻、 Th:基準時刻、 TJ:ジョブ登録時刻、 TR:ジョブ移行時間、 Vb:電位、 Vd:表面電位、 VL:表面電位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11