(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】画像形成装置、当該画像形成装置を備えるネットワークシステム、画像形成装置の制御プログラムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20230628BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
H04N1/00 J
B41J29/38 201
B41J29/38 301
H04N1/00 127Z
H04N1/00 C
(21)【出願番号】P 2019200454
(22)【出願日】2019-11-05
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】有福 直也
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-278735(JP,A)
【文献】特開平11-154063(JP,A)
【文献】特開2010-208210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00-1/64
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブデータに基づいて印刷を行う印刷手段と、
前記印刷ジョブデータに基づく印刷が完了した印刷完了時または当該印刷ジョブデータに基づく印刷が未完了でありかつ所定の転送条件が満たされた印刷未完了時に当該印刷ジョブデータに係る転送用データを所定の転送先へ転送する転送手段とを備え、
前記転送手段は、前記印刷完了時または前記印刷未完了時のいずれに転送されるのかを識別可能な態様で前記転送用データを転送する、画像形成装置。
【請求項2】
前記転送手段は、前記印刷完了時および前記印刷未完了時のいずれに転送されるのかに応じた名称を前記転送用データに付した上で当該転送用データを転送する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転送手段は、前記印刷完了時および前記印刷未完了時のいずれに転送されるのかに応じた前記転送先へ前記転送用データを転送する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記転送手段は、前記印刷完了時および前記印刷未完了時のいずれに転送されるのかに応じた識別データを前記転送用データに関連付けた状態で当該転送用データを転送する、請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記転送条件は、前記印刷ジョブデータに基づく印刷の実行中に当該印刷が停止するという第1条件を含む、請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記転送条件は、前記印刷ジョブデータに基づく印刷が不可能な状態が所定期間にわたって継続するという第2条件を含む、請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記印刷未完了時に前記転送手段により転送された前記転送用データに係る前記印刷ジョブデータに基づく印刷を前記印刷手段に改めて実行させる印刷制御手段をさらに備える、請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記印刷手段により改めて実行された前記印刷ジョブデータに基づく印刷が完了したときに前記印刷未完了時に転送された当該印刷ジョブデータに係る前記転送用データを前記転送先から削除する削除手段をさらに備える、請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
ファクスデータを受信するファクス受信手段をさらに備え、
前記印刷ジョブデータは、前記ファクス受信手段により受信された前記ファクスデータに基づくファクス印刷ジョブデータを含む、請求項1から8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の画像形成装置と、
前記転送先を含む転送先装置とを備える、ネットワークシステム。
【請求項11】
前記転送先へアクセス可能なアクセス装置をさらに備える、請求項10に記載のネットワークシステム。
【請求項12】
印刷ジョブデータに基づいて印刷を行う印刷手段を備える画像形成装置の制御プログラムであって、
前記印刷ジョブデータに基づく印刷が完了した印刷完了時または当該印刷ジョブデータに基づく印刷が未完了でありかつ所定の転送条件が満たされた印刷未完了時に当該印刷ジョブデータに係る転送用データを所定の転送先へ転送する転送手順を、前記画像形成装置のコンピュータに実行させ、
前記転送手順では、前記印刷完了時および前記印刷未完了時のいずれに転送されるのかを識別可能な態様で前記転送用データを転送する、制御プログラム。
【請求項13】
印刷ジョブデータに基づいて印刷を行う印刷手段を備える画像形成装置の制御方法であって、
前記印刷ジョブデータに基づく印刷が完了した印刷完了時または当該印刷ジョブデータに基づく印刷が未完了でありかつ所定の転送条件が満たされた印刷未完了時に当該印刷ジョブデータに係る転送用データを所定の転送先へ転送する転送ステップを含み、
前記転送ステップでは、前記印刷完了時および前記印刷未完了時のいずれに転送されるのかを識別可能な態様で前記転送用データを転送する、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、当該画像形成装置を備えるネットワークシステム、画像形成装置の制御プログラムおよび制御方法に関し、特に、印刷ジョブデータに基づいて印刷を行う印刷手段を備える画像形成装置、当該画像形成装置を備えるネットワークシステム、画像形成装置の制御プログラムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置の一例が、特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示された画像形成装置によれば、印刷手段による印刷データの印刷中に当該印刷データの印刷を不可能にする印刷エラーが発生すると、記憶手段を内蔵する他の画像形成装置へ当該印刷データが転送される。そして、印刷エラーが解消されると、その印刷エラーの発生時に他の画像形成装置へ転送された印刷データが当該他の画像形成装置から再取得され、この再取得された印刷データの印刷が改めて行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、印刷エラーが発生した場合のみならず、印刷エラーが発生しない場合にも、つまり印刷手段による印刷が完了した場合にも、当該印刷に供された印刷データが、厳密には印刷ジョブデータに係る転送用データが、所定の転送先へ転送される、という構成の画像形成装置もある。このような構成の画像形成装置においては、たとえば転送先へ転送された転送用データから当該転送用データに係る印刷ジョブデータに基づく印刷が完了したかどうかを直接的に確認することができれば、つまりそのことをユーザが画像形成装置の設置場所にまで出向くことなく確認することができれば、極めて有益である。
【0005】
そこで、本発明は、転送先へ転送された転送用データから当該転送用データに係る印刷ジョブデータに基づく印刷が完了したかどうかを直接的に確認することができる、新規な画像形成装置、当該画像形成装置を備えるネットワークシステム、画像形成装置の制御プログラムおよび制御方法を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、画像形成装置に係る第1の発明、当該画像形成装置を備えるネットワークシステムに係る第2の発明、画像形成装置の制御プログラムに係る第3の発明、および、画像形成装置の制御方法に係る第4の発明を含む。
【0007】
このうちの画像形成装置に係る第1の発明は、印刷手段と、転送手段と、を備える。印刷手段は、印刷ジョブデータに基づいて印刷を行う。そして、転送手段は、印刷ジョブデータに基づく印刷が完了した印刷完了時、または、当該印刷ジョブデータに基づく印刷が未完了でありかつ所定の転送条件が満たされた印刷未完了時に、当該印刷ジョブデータに係る転送用データを所定の転送先へ転送する。ここで、転送手段は、印刷完了時および印刷未完了時のいずれに転送されるのかを識別可能な態様で、転送用データを転送する。
【0008】
たとえば、転送手段は、印刷完了時および印刷未完了時のいずれに転送されるのかに応じた名称を転送用データに付した上で、当該転送用データを転送する。
【0009】
また、転送手段は、印刷完了時および印刷未完了時のいずれに転送されるのかに応じた転送先へ、転送用データを転送してもよい。
【0010】
さらに、転送手段は、印刷完了時および印刷未完了時のいずれに転送されるのかに応じた識別データを転送用データに関連付けた状態で、当該転送用データを転送してもよい。
【0011】
なお、本第1の発明における転送条件は、たとえば印刷ジョブデータに基づく印刷の実行中に何らかの原因により当該印刷が停止する、という第1条件を含む。
【0012】
また、転送条件は、印刷ジョブデータに基づく印刷が不可能な状態が所定期間にわたって継続する、という第2条件を含んでもよい。
【0013】
さらに、本第1の発明においては、印刷制御手段が、備えられてもよい。この印刷制御手段は、印刷未完了時に転送手段により転送された転送用データに係る印刷ジョブデータに基づく印刷を改めて印刷手段に実行させる。
【0014】
このような印刷制御手段が備えられる場合、削除手段が、さらに備えられてもよい。この削除手段は、印刷手段により改めて実行された印刷ジョブデータに基づく印刷が完了したときに、印刷未完了時に転送された当該印刷ジョブデータに係る転送用データを転送先から削除する。
【0015】
加えて、本第1の発明においては、ファクス受信手段が、さらに備えられてもよい。ファクス受信手段は、ファクスデータを受信する。この場合、印刷ジョブデータは、ファクス受信手段により受信されたファクスデータに基づくファクス印刷ジョブデータを含む。
【0016】
本発明のうちの第2の発明に係るネットワークシステムは、第1の発明に係る画像形成装置と、転送先装置と、を備える。ここで、転送先装置は、前述の転送先を含む。
【0017】
このような本第2の発明においては、アクセス装置が、さらに備えられてもよい。このアクセス装置は、前述の転送先へアクセス可能である。
【0018】
本発明のうちの第3の発明に係る画像形成装置の制御プログラムは、当該画像形成装置のコンピュータに、転送手順を実行させる。ここで、画像形成装置は、印刷手段を備える。この印刷手段は、印刷ジョブデータに基づいて印刷を行う。その上で、転送手順では、印刷ジョブデータに基づく印刷が完了した印刷完了時、または、当該印刷ジョブデータに基づく印刷が未完了でありかつ所定の転送条件が満たされた印刷未完了時に、当該印刷ジョブデータに係る転送用データを所定の転送先へ転送する。さらに、転送手順では、印刷完了時および印刷未完了時のいずれに転送されるのかを識別可能な態様で、転送用データを転送する。
【0019】
本発明のうちの第4の発明に係る画像形成装置の制御方法は、転送ステップを含む。ここで、画像形成装置は、印刷手段を備える。この印刷手段は、印刷ジョブデータに基づいて印刷を行う。その上で、転送ステップでは、印刷ジョブデータに基づく印刷が完了した印刷完了時、または、当該印刷ジョブデータに基づく印刷が未完了でありかつ所定の転送条件が満たされた印刷未完了時に、当該印刷ジョブデータに係る転送用データを所定の転送先へ転送する。さらに、転送ステップでは、印刷完了時および印刷未完了時のいずれに転送されるのかを識別可能な態様で、転送用データを転送する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、転送先へ転送された転送用データから当該転送用データに係る印刷ジョブデータに基づく印刷が完了したかどうかを直接的に認識することができる。このことはたとえば、画像形成装置の効率的な運用の実現に大きく貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施例に係るネットワークシステムの全体の構成を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施例における複合機の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1実施例における主記憶部のRAM内の構成を概念的に示すメモリマップである。
【
図4】
図4は、第1実施例における印刷管理タスクの一部の流れを示すフロー図である。
【
図5】
図5は、第1実施例における印刷管理タスクの別の一部の流れを示すフロー図である。
【
図6】
図6は、第1実施例における印刷管理タスクの残りの部分の流れを示すフロー図である。
【
図7】
図7は、第1実施例における自動削除タスクの流れを示すフロー図である。
【
図8】
図8は、第1実施例における印刷管理タスクの別の例の一部の流れを示すフロー図である。
【
図9】
図9は、第1実施例における印刷管理タスクのさらに別の例の一部の流れを示すフロー図である。
【
図10】
図10は、本発明の第2実施例におけるファクス受信フォルダの構成を概念的に示す図である。
【
図11】
図11は、第2実施例におけるファクス印刷状況が纏められた一覧の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、第2実施例における印刷管理タスクの一部の流れを示すフロー図である。
【
図13】
図13は、第2実施例における印刷管理タスクの別の一部の流れを示すフロー図である。
【
図14】
図14は、第2実施例における自動削除タスクの一部の流れを示すフロー図である。
【
図15】
図15は、本発明の第3実施例における印刷管理タスクの一部の流れを示すフロー図である。
【
図16】
図16は、第3実施例における印刷管理タスクの別の一部の流れを示すフロー図である。
【
図17】
図17は、第3実施例における印刷管理タスクのさらに別の一部の流れを示すフロー図である。
【
図18】
図18は、第3実施例における自動削除タスクの一部の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施例]
本発明の第1実施例について、
図1に示される企業用のネットワークシステム10を例に挙げて説明する。
【0023】
図1に示されるように、本第1実施例に係るネットワークシステム10は、画像形成装置の一例としての複合機(MultiFunction Peripheral:MFP)20と、転送先装置の一例としてのサーバ30と、アクセス装置の一例としての複数台のパーソナルコンピュータ(以下「PC」と言う。)40、40、…と、を含む。これらは、社内に敷設された内部回線の一例としてのLAN(Local Area Network)回線50に接続されることで、内部通信網の一例としての社内LANを構成する。さらに、LAN回線50は、外部通信手段の一例としてのルータ60を介して不図示の外部回線に接続され、ひいてはたとえばインターネットに接続される。加えて、複合機20は、不図示の公衆電話回線にも接続される。なお、サーバ30は、転送先の一例としての記憶部30aを有する。記憶部30aは、不図示のハードディスクドライブなどの適宜の記憶手段を含む。
【0024】
ここで、複合機20について、より詳しく説明すると、当該複合機20は、コピー機能、プリンタ機能、イメージスキャナ機能、ファクス機能などの複数の機能を備える。このような複合機20は、
図2に示されるように、画像読取部202、画像形成部204および通信部206を有する。併せて、複合機20は、制御部208および補助記憶部210を有する。さらに、複合機20は、表示部212および操作部214を有する。これらは、互いに共通のバス216を介して接続される。
【0025】
画像読取部202は、不図示の原稿の画像を読み取って当該原稿の画像に応じた2次元の画像データを出力する画像読取処理を担う、画像読取手段の一例である。このため、画像読取部202は、不図示の原稿載置台、光源、ミラー、結像レンズ、ラインセンサなどを含む画像読取ユニットを有する。併せて、画像読取部202は、当該画像読取ユニットを移動させるための不図示の駆動機構などを有する。また、画像読取部202は、オプション装置の1つである不図示の自動原稿送り装置(Auto Document Feeder:ADF)を有することがある。なお、画像読取部202は、とりわけコピー機能、イメージスキャナ機能およびファクス機能(ファクス送信機能)の実現に供される。
【0026】
画像形成部204は、印刷ジョブデータに基づく画像を不図示の用紙などのシート状の画像記録媒体に形成する画像形成処理を担う、画像形成手段の一例である。言い換えれば、画像形成部204は、印刷ジョブデータに基づいて印刷を行う、印刷手段の一例である。この画像形成部204による印刷(画像形成処理)は、たとえば公知の電子写真方式により行われる。このため、画像形成部204は、不図示の感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、定着装置などを有する。この画像形成部204による印刷後の画像記録媒体、言わば印刷物は、不図示の排紙トレイに排出される。なお、画像形成部204は、電子写真方式に限らず、たとえばインクジェット方式によって、印刷を行うものであってもよい。この画像形成部204は、とりわけコピー機能、プリンタ機能およびファクス機能(ファクス受信機能)の実現に供される。
【0027】
通信部206は、LAN回線50を介しての双方向の通信処理を担う、通信手段の一例である。併せて、通信部206は、前述の公衆電話回線を介しての双方向の通信処理をも担う。この公衆電話回線を介しての双方向の通信処理には、ファクス通信処理が含まれ、つまりファクス送信処理およびファクス受信処理が含まれる。すなわち、通信部206は、ファクス通信手段の一例でもあり、つまりファクス送信手段およびファクス受信手段の一例でもある。なお、通信部206は、LAN回線50を介してのファクス通信処理をも担い、たとえばインターネットを介してのファクス通信処理をも担い、つまりインターネットファクスの実現をも担う。この通信部206は、とりわけプリンタ機能、イメージスキャナ機能およびファクス機能の実現に供される。
【0028】
制御部208は、複合機20の全体的な制御を司る、制御手段の一例であり、いわゆるコンピュータである。この制御部208は、制御実行手段の一例としてのCPU(Central Processing Unit)208a、を有する。併せて、制御部208は、CPU208aが直接的にアクセス可能な主記憶手段としての主記憶部208bを有する。主記憶部208bは、不図示のROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含む。このうちのROMには、CPU208aの動作を制御するための制御プログラム(ファームウェア)が記憶される。そして、RAMは、CPU208aが制御プログラムに基づく処理を実行する際の作業領域およびバッファ領域を構成する。
【0029】
補助記憶部210は、補助記憶手段の一例であり、たとえば不図示のハードディスクドライブを含む。また、補助記憶部210は、フラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリを含む場合がある。この補助記憶部210には、後述するファクス受信データなどの種々のデータが記憶される。
【0030】
表示部212は、表示手段の一例としてのディスプレイ212aを有する。このディスプレイ212aは、たとえば液晶ディスプレイ(LCD)であるが、これに限らず、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどであってもよい。また、表示部212は、ディスプレイ212aの他に、不図示の発光ダイオード(LED)などの適宜の発光手段を有する。
【0031】
操作部214は、操作受付手段の一例としてのタッチパネル214aを有する。このタッチパネル214aは、ディスプレイ212aの表示面上に重なるように設けられることで、当該ディスプレイ212aと協働してタッチパネル付きディスプレイを構成する。このようなタッチパネル214aは、たとえば静電容量方式のパネルであるが、これに限らず、電磁誘導方式、抵抗膜方式、赤外線方式などの他の方式のパネルであってもよい。また、操作部214は、タッチパネル214a以外に、不図示の押しボタンスイッチなどの適宜のハードウェアスイッチを含む。
【0032】
さて、本第1実施例に係るネットワークシステム10によれば、複合機20は、各PC40、40、…のユーザを含む複数のユーザにより共用される。そして、複合機20は、前述の如く複数の機能を備えるが、とりわけファクス機能の補助的機能として、ファクス受信データ転送機能を備える。
【0033】
このファクス受信データ転送機能によれば、ファクス機能により受信されたファクスデータ、言わばファクス受信データ、に基づく印刷が完了すると、当該ファクス受信データに係る転送用データがサーバ30の記憶部30aへ転送される。ここで言う転送用データは、ファクス受信データに含まれる画像のデータであり、たとえばTIFF(Tagged Image File Format)形式のデータ(ファイル)である。
【0034】
また、ファクス受信データ転送機能によれば、ファクス受信データに基づく印刷が完了した印刷完了時のみならず、当該ファクス受信データに基づく印刷が未完了であり、かつ、所定の転送条件が満たされた印刷未完了時にも、当該ファクス受信データに係る転送用データがサーバ30の記憶部30aへ転送される。ここで言う転送条件としては、たとえばファクス受信データに基づく印刷の実行中に、何らかの原因により、とりわけ用紙切れや用紙詰まりなどの当該印刷を停止させる要因(印刷停止要因)が発生することにより、当該印刷が停止する、という第1条件が含まれる。すなわち、ファクス受信データに基づく印刷の実行中に、印刷停止要因が発生することにより当該印刷が停止した場合に、つまり第1条件が満たされた場合に、当該ファクス受信データに係る転送用データがサーバ30の記憶部30aへ転送される。
【0035】
さらに、ファクス受信データ転送機能によれば、印刷完了時および印刷未完了時のいずれに転送用データが転送されるのかに応じた名称、つまりファイル名が、当該転送用データに付される。たとえば、印刷完了時に転送される転送用データには、「fax_YYYYMMDD_XXXX_printing_OK.tif」というファイル名が付される。このファイル名のうちの特に「YYYYMMDD」は、転送用データに係るファクス受信データの受信年月日を表し、「XXXX」は、当該ファクス受信データの同受信年月日における受信順を表す。そして、「OK」は、転送用データが印刷完了時に転送されるデータであること、つまり印刷が完了したファクス受信データに係るデータであることを、表す。一方、印刷未完了時に転送される転送用データには、「fax_YYYYMMDD_XXXX_printing_NG.tif」というファイル名が付される。このファイル名のうちの「YYYYMMDD」および「XXXX」は、印刷完了時のものと同様、転送用データに係るファクス受信データの受信年月日および当該ファクス受信データの同受信年月日における受信順を表す。そして、「NG」は、転送用データが印刷未完了時に転送されるデータであること、つまり印刷が完了していないファクス受信データに係るデータであることを、表す。
【0036】
なお、ファクス受信データは、印刷に供される前に一旦(一時的に)、後述するファクス受信テーブル756(
図3参照)に記憶される。そして、ファクス受信テーブル756に記憶されたファクス受信データは、当該ファクス受信テーブル756に記憶された順(つまり受信順)に、いわゆるFIFO(First In, First Out)の順に、印刷に供される。より厳密に言えば、ファクス受信テーブル756にファクス受信データが記憶されると、このファクス受信データに基づいて、印刷用のファクス印刷ジョブデータが生成される。そして、このファクス印刷ジョブデータ、つまりファクス機能における印刷ジョブデータは、一旦(一時的に)、後述する印刷ジョブテーブル758(
図3参照)に記憶される。この印刷ジョブテーブル758には、コピー機能における印刷ジョブデータやプリンタ機能における印刷ジョブデータなどの他の印刷ジョブデータも記憶される。そして、印刷ジョブテーブル758に記憶された印刷ジョブデータは、当該印刷ジョブテーブル758に記憶された順(言わば受付順)に、つまりFIFOの順に、印刷に供される。
【0037】
印刷が完了した印刷ジョブデータは、印刷ジョブテーブル758から削除される。言い換えれば、それぞれの印刷ジョブデータは、その印刷が完了するまで、印刷ジョブテーブル758に残る。併せて、印刷が完了した印刷ジョブデータがファクス印刷ジョブデータである場合には、当該ファクス印刷ジョブデータに対応するファクス受信データもまた、ファクス受信テーブル756から削除される。言い換えれば、それぞれのファクス受信データもまた、それに対応するファクス印刷ジョブデータに基づく印刷が完了するまで、ファクス受信テーブル756に残る。
【0038】
加えて、ファクス印刷ジョブデータ(ファクス受信データ)に基づく印刷の実行中に、印刷停止要因が発生することにより当該印刷が停止した後、その印刷停止要因が解消されると、改めて当該ファクス印刷ジョブデータに基づく印刷が行われる。このようにして再開された印刷が完了すると、前述の印刷完了時と同様、当該印刷に供されたファクス印刷ジョブデータに係る転送用データがサーバ30の記憶部30aへ転送される。このときの転送用データには、印刷完了時に応じたファイル名が付される。併せて、印刷に供されたファクス印刷ジョブデータが印刷ジョブテーブル758から削除されるとともに、当該ファクス印刷ジョブデータに対応するファクス受信データがファクス受信テーブル756から削除される。一方、再開された印刷が改めて印刷停止要因の発生により停止した場合は、転送用データは転送されない。この場合は、当該印刷に供されたファクス印刷ジョブデータは、印刷ジョブテーブル758に残る。併せて、当該ファクス印刷ジョブデータに対応するファクス受信データもまた、ファクス受信テーブル756に残る。
【0039】
さらに、複合機20は、ファクス受信データ転送機能とは別の補助的機能として、自動削除機能を備える。この自動削除機能によれば、印刷停止要因の発生により印刷が停止した状態が、換言すればファクス印刷ジョブデータを含む全ての印刷ジョブデータに基づく印刷が不可能な状態が、所定期間にわたって継続した場合に、当該全ての印刷ジョブデータが印刷ジョブテーブル758から削除される。すなわち、印刷ジョブテーブル758がクリアされる。このような自動削除機能は、印刷ジョブテーブル758に印刷ジョブデータが記憶されたままの状態が長期間にわたって継続することによる不都合を回避するための、一種のセキュリティ機能である。ここで言う所定期間は、任意に設定可能であり、たとえば数分間程度が適当である。
【0040】
この自動削除機能により印刷ジョブテーブル758がクリアされると、その時点でファクス受信テーブル756に記憶されている全てのファクス受信データに係る転送用データがサーバ30の記憶部30aへ転送される。すなわち、前述の第1条件が満たされた場合のみならず、印刷停止要因の発生により印刷が不可能な状態が所定期間にわたって継続する、という第2条件が満たされた場合にも、その時点で印刷が未完了であるファクス受信データに係る転送用データがサーバ30の記憶部30aへ転送される。併せて、転送用データには、印刷未完了時に応じたファクス名が付される。このようにしてファクス受信テーブル756に記憶されている全てのファクス受信データに係る転送用データが転送された後、当該ファクス受信テーブル756から全てのファクス受信データが削除され、つまり当該ファクス受信テーブル756もクリアされる。
【0041】
サーバ30の記憶部30aへ転送された転送用データについては、それぞれのPC40からその内容を確認することができる。しかも、それぞれの転送用データには、「OK」および「NG」のいずれかを含むファイル名が付されているので、それぞれのPC40のユーザは、当該ファイル名からそれぞれの転送用データが印刷完了時および印刷未完了時のいずれに転送されたのかを直観的に把握することができる。すなわち、ユーザは、それぞれの転送用データに係るファクス印刷ジョブデータに基づく印刷が完了したのかどうかを、複合機20の設置場所にまで出向くことなく確認することができる。このことは、複合機20の効率的な運用に大きく貢献する。なお、サーバ30の記憶部30aへアクセス可能なPC40を任意に制限することができ、たとえば特定のユーザである管理者用のPC40にのみ制限することができる。
【0042】
前述のファクス受信テーブル756および印刷ジョブテーブル758は、主記憶部208bのRAM内に設けられる。
図3は、このRAM内の構成を概念的に示すメモリマップ70である。
【0043】
このメモリマップ70に示されるように、RAM内には、プログラム記憶領域710およびデータ記憶領域750が設けられる。このうちのプログラム記憶領域710には、前述の制御プログラムが記憶される。この制御プログラムは、表示制御プログラム712、操作検出プログラム714、画像読取プログラム716、画像形成プログラム718、通信制御プログラム720、ファクス受信管理プログラム722、印刷ジョブ管理プログラム724、印刷状態監視プログラム726、印刷管理プログラム728、自動削除プログラム730などを含む。
【0044】
表示制御プログラム712は、ディスプレイ212aに不図示の操作用画面などの各種の画面を表示させるのに必要な表示画面データを生成するためのプログラムである。操作検出プログラム714は、タッチパネル214aへの操作状態を検出するためのプログラムである。画像読取プログラム716は、画像読取部202を制御するためのプログラムである。画像形成プログラム718は、画像形成部204を制御するためのプログラムである。通信制御プログラム720は、通信部206を制御するためのプログラムである。そして、ファクス受信管理プログラム722は、ファクスデータを受信したときに、このファクス受信データをファクス受信テーブル756に記憶することを含め、当該ファクス受信テーブル756を管理するためのプログラムである。印刷ジョブ管理プログラムは、ファクス印刷ジョブデータを含む印刷ジョブデータを受け付けたときに、この印刷ジョブデータを印刷ジョブテーブル758に記憶することを含め、当該印刷ジョブテーブル758を管理するためのプログラムである。印刷状態監視プログラム726は、印刷停止要因が発生していないかどうかを含め、当該印刷が可能な状態にあるかどうかを監視するためのプログラムである。印刷管理プログラム728は、CPU208aに後述する印刷管理タスクを実行させるためのプログラムである。そして、自動削除プログラム730は、CPU208aに後述する自動削除タスクを実行させるためのプログラムである。
【0045】
一方、データ記憶領域750には、各種のデータが記憶される。この各種のデータとしては、表示画像生成データ752、操作データ754などがある。また、データ記憶領域750には、ファクス受信テーブル756、印刷ジョブテーブル758、印刷未完了テーブル760などが設けられる。
【0046】
表示画像生成データ752は、前述の表示制御プログラム712に基づく表示画面データの生成に用いられるポリゴンデータやテクスチャデータなどのデータである。操作データ754は、タッチパネル214aに対する操作状態を表すデータであり、詳しくは当該タッチパネル214aに対するユーザのタッチ位置(座標)を表す時系列のデータである。そして、ファクス受信テーブル756には、前述のファクス受信管理プログラム722に従って、ファクス受信データが一時的に記憶される。印刷ジョブテーブル758には、前述の印刷ジョブ管理プログラム724に従って、ファクス印刷ジョブデータを含む印刷ジョブデータが一時的に記憶される。言わばファクス受信テーブル756は、ファクス受信データを一時的に記憶するための第1記憶手段であり、印刷ジョブテーブル758は、印刷ジョブデータを一時的に記憶するための第2記憶手段である。そして、印刷未完了テーブル760には、印刷未完了時に転送された転送用データに関する情報が、たとえば当該転送用データのファイル名および転送日時を表す情報が、記憶される。なお、図示を含む詳しい説明は省略するが、ファクス受信テーブル756と同様の補助テーブルが、補助記憶部210にも設けられる。これは、停電などの不測の事態によりファクス受信テーブル756がクリアされるのを担保するためである。また、データ記憶領域750には、後述するフラグFなども記憶される。
【0047】
前述したように、複合機20は、ファクス受信データ転送機能を備えるが、このファクス受信データ転送機能は、CPU208aが印刷管理プログラム728に従って印刷管理タスクを実行することにより、実現される。この印刷管理タスクの流れを、
図4~
図6に示す。なお、CPU208aは、印刷が可能な状態にあるときに、この印刷管理タスクを繰り返し実行する。印刷が可能な状態にあるかどうかは、前述の如く印刷状態監視プログラム726に従って監視される。
【0048】
この印刷管理タスクによれば、CPU208aは、まず、ステップS1(
図4参照)において、印刷ジョブテーブル758を参照する。そして、CPU208aは、処理をステップS3へ進める。
【0049】
ステップS3において、CPU208aは、ステップS1における印刷ジョブテーブル758の参照の結果、当該印刷ジョブテーブル758に印刷ジョブデータが記憶されているかどうかを判定する。ここでたとえば、印刷ジョブテーブル758に印刷ジョブデータが記憶されていない場合(S3:NO)、CPU208aは、一旦、印刷管理タスクを終了する。一方、印刷ジョブテーブル758に印刷ジョブデータが記憶されている場合には(S3:YES)、CPU208aは、処理をステップS5へ進める。
【0050】
ステップS5において、CPU208aは、これから印刷に供しようとする印刷ジョブデータを特定する。すなわち、CPU208aは、印刷ジョブテーブル758に記憶されている印刷ジョブデータのうち、受付日時が最も早いデータを、これから印刷に供しようとする印刷対象データとして特定する。そして、CPU208aは、処理をステップS7へ進める。
【0051】
ステップS7において、CPU208aは、ステップS5で特定された印刷対象データがファクス印刷ジョブデータであるかどうかを判定する。ここでたとえば、印刷対象データがファクス印刷ジョブである場合(S7:YES)、CPU208aは、処理をステップS9へ進める。一方、印刷対象データがファクス印刷ジョブでない場合には(S7;NO)、CPU208aは、処理を後述するステップS11へ進める。
【0052】
ステップS9において、CPU208aは、所定のフラグFに“1”を設定する。このフラグFは、印刷対象データがファクス印刷ジョブデータであるかどうかを表すフラグである。すなわち、ステップS9においては、フラグFに“1”が設定されることにより、印刷対象データがファクス印刷ジョブデータであることが表される。このステップ9の実行後、CPU208aは、処理をステップS13へ進める。
【0053】
一方、CPU208aは、前述のステップS7からステップ11へ処理を進めた場合、当該ステップS11において、フラグFに“0”を設定する。すなわち、このステップS11においては、フラグFに“0”が設定されることにより、印刷対象データがファクス印刷ジョブデータではないこと、つまり当該印刷対象データがファクス印刷ジョブデータ以外の印刷ジョブデータであることが、表される。このステップ11の実行後、CPU208aは、処理をステップS13へ進める。
【0054】
ステップS13において、CPU208aは、印刷対象データに基づく印刷を開始し、厳密には画像形成部204に対して当該印刷(画像形成処理)を開始するように指示を与える。そして、CPU208aは、処理をステップS15へ進める。
【0055】
ステップS15において、CPU208aは、印刷停止要因が発生したかどうかを判定する。ここでたとえば、印刷停止要因が発生していない場合(S15:NO)、CPU208aは、処理をステップS17へ進める。一方、印刷停止要因が発生した場合には(S15:YES)、CPU208aは、処理を後述するステップS19(
図5参照)へ進める。なお、印刷停止要因が発生したかどうかは、前述の如く印刷状態監視プログラム726に従って監視される。
【0056】
ステップS17において、CPU208aは、印刷が完了したかどうかを判定する。ここでたとえば、印刷が完了していない場合(S17:NO)、CPU208aは、処理をステップS15へ戻す。一方、印刷が完了した場合は(S17:YES)、CPU208aは、処理を後述するステップS33(
図6参照)へ進める。
【0057】
ステップS19において、CPU208aは、印刷を停止するための印刷停止処理を行う。具体的には、CPU208aは、印刷を停止し、厳密には画像形成部204に対して当該印刷を停止するよう指示を与える。併せて、CPU208aは、印刷を(強制的に)停止することを表す不図示の印刷停止メッセージ画面をディスプレイ212aに表示する。さらに、CPU208aは、後述する自動削除タスクを実行する。その上で、CPU208aは、処理をステップS21へ進める。
【0058】
ステップS21において、CPU208aは、前述のフラグFに“1”が設定されているかどうかを、つまりステップS19で(言わば直近に)停止された印刷に供された印刷ジョブデータがファクス印刷ジョブデータであるかどうかを、判定する。ここでたとえば、フラグFに“1”が設定されている場合、つまり直近に停止された印刷に供された印刷ジョブデータがファクス印刷ジョブデータである場合(S21:YES)、CPU208aは、処理をステップS23へ進める。一方、フラグFに“0”が設定されている場合、つまり直近に停止された印刷に供された印刷ジョブデータがファクス印刷ジョブデータでない場合には(S21:NO)、CPU208aは、印刷管理タスクを終了する。
【0059】
ステップS23において、CPU208aは、印刷未完了テーブル760を参照する。そして、CPU208aは、処理をステップS25へ進める。
【0060】
ステップS25において、CPU208aは、ステップS23における印刷未完了テーブル760の参照の結果、直近に停止された印刷に供されたファクス印刷ジョブデータに対応する情報が当該印刷未完了テーブル760に記憶されていないかどうかを判定する。要するに、CPU208aは、直近に停止された印刷に供されたファクス印刷ジョブデータに係る転送用データが過去に転送されたことがないかどうかを判定する。ここでたとえば、直近に停止された印刷に供されたファクス印刷ジョブデータに対応する情報が印刷未完了テーブル760に記憶されていない場合、つまり当該ファクス印刷ジョブデータに係る転送用データが過去に転送されたことがない場合(S25:YES)、CPU208aは、処理をステップS27へ進める。一方、直近に停止された印刷に供されたファクス印刷ジョブデータに対応する情報が印刷未完了テーブル760に記憶されている場合、つまり当該ファクス印刷ジョブデータに係る転送用データが過去に転送されたことがある場合には(S25:NO)、CPU208aは、印刷管理タスクを終了する。
【0061】
ステップS27において、CPU208aは、直近に停止された印刷に供されたファクス印刷ジョブデータに係る転送用データを生成する。このとき、CPU208aは、当該転送用データに、印刷未完了時に応じたファイル名を付し、つまり前述の「fax_YYYYMMDD_XXXX_printing_NG.tif」というファイル名を付す。その上で、CPU208aは、処理をステップS29へ進める。
【0062】
ステップS29において、CPU208aは、ステップS27で生成した転送用データをサーバ30の記憶部30aへ転送(送信)する。そして、CPU208aは、処理をステップS31へ進める。
【0063】
ステップS31において、CPU208aは、ステップS29で転送した転送用データに関する情報(ファイル名および転送日時)を印刷未完了テーブル760に記憶(追加)し、つまり当該印刷未完了テーブル760を更新する。これをもって、CPU208aは、印刷管理タスクを終了する。
【0064】
また、CPU208aは、前述のステップS17からステップS33へ処理を進めた場合、当該ステップS33において、フラグFに“1”が設定されているかどうかを、つまりステップS17で(言わば直近に)完了した印刷に供された印刷ジョブデータがファクス印刷ジョブデータであるかどうかを、判定する。ここでたとえば、フラグFに“1”が設定されている場合、つまり直近に完了した印刷に供された印刷ジョブデータがファクス印刷ジョブデータである場合(S33:YES)、CPU208aは、処理をステップS35へ進める。一方、フラグFに“0”が設定されている場合、つまり直近に完了した印刷に供された印刷ジョブデータがファクス印刷ジョブデータでない場合には(S33:NO)、CPU208aは、処理を後述するステップS47へ進める。
【0065】
ステップS35において、CPU208aは、直近に完了した印刷に供されたファクス印刷ジョブデータに係る転送用データを生成する。このとき、CPU208aは、当該転送用データに、印刷完了時に応じたファイル名を付し、つまり前述の「fax_YYYYMMDD_XXXX_printing_OK.tif」というファイル名を付す。その上で、CPU208aは、処理をステップS37へ進める。
【0066】
ステップS37において、CPU208aは、ステップS35で生成した転送用データをサーバ30の記憶部30aへ転送する。そして、CPU208aは、処理をステップS39へ進める。
【0067】
ステップS39において、CPU208aは、印刷未完了テーブル760を参照する。そして、CPU208aは、処理をステップS41へ進める。
【0068】
ステップS41において、CPU208aは、ステップS39における印刷未完了テーブル760の参照の結果、直近に完了した印刷に供されたファクス印刷ジョブデータに対応する情報が当該印刷未完了テーブル760に記憶されているかどうかを判定する。要するに、CPU208aは、直近に完了した印刷に供されたファクス印刷ジョブデータに係る転送用データが印刷未完了時に転送されたことがあるかどうかを判定する。ここでたとえば、直近に完了した印刷に供されたファクス印刷ジョブデータに対応する情報が印刷未完了テーブル760に記憶されている場合、つまり当該ファクス印刷ジョブデータに係る転送用データが印刷未完了時に転送されたことがある場合(S41:YES)、CPU208aは、処理をステップS43へ進める。一方、直近に完了した印刷に供されたファクス印刷ジョブデータに対応する情報が印刷未完了テーブル760に記憶されていない場合、つまり当該ファクス印刷ジョブデータに係る転送用データが印刷未完了時に転送されたことがない場合には(S41:NO)、CPU208aは、ステップS43をスキップして、処理を後述するステップS45へ進める。
【0069】
ステップS43において、CPU208aは、直近に完了した印刷に供されたファクス印刷ジョブデータに対応する情報を、換言すればステップS37で転送した転送用データに対応する情報を、印刷未完了テーブル760から削除し、つまり当該印刷未完了テーブル760を更新する。そして、CPU208aは、処理をステップS45へ進める。
【0070】
ステップS45において、CPU208aは、直近に完了した印刷に供されたファクス印刷ジョブデータに対応するファクス受信データをファクス受信テーブル756から削除し、つまり当該ファクス受信テーブル756を更新する。その上で、CPU208aは、処理をステップS47へ進める。
【0071】
ステップS47において、CPU208aは、直近に完了した印刷に供されたファクス印刷ジョブデータを印刷ジョブテーブル758から削除し、つまり当該印刷ジョブテーブル758を更新する。これをもって、CPU208aは、印刷管理タスクを終了する。
【0072】
次に、自動制御タスクについて、説明する。この自動削除タスクは、自動削除プログラム730に従って実行される。この自動削除タスクの流れを、
図7に示す。
【0073】
この自動削除タスクによれば、CPU208aは、まず、ステップS101において、前述の所定期間を計測するためのタイマをリセットするとともにスタートさせる。ここで言うタイマは、たとえばCPU208aにより構成されるソフトウェアタイマである。そして、CPU208aは、処理をステップS103へ進める。
【0074】
ステップS103において、CPU208aは、前述の印刷停止要因が解消されたかどうかを判定する。なお、印刷停止要因が解消されたかどうかは、前述の如く印刷状態監視プログラム726に従って監視される。ここでたとえば、印刷停止要因が解消された場合(S103:YES)、CPU208aは、自動削除タスクを終了する。一方、印刷停止要因が解消されていない場合には(S103:NO)、CPU208aは、処理をステップS105へ進める。
【0075】
ステップS105において、CPU208aは、ステップS101でスタートさせたタイマがタイムアップしたかどうかを、つまり前述の所定期間が経過したかどうかを、判定する。ここでたとえば、タイマがタイムアップしていない場合、つまり所定期間が経過していない場合(S105:NO)、CPU208aは、処理をステップS103へ戻す。一方、タイマがタイムアップした場合、つまり所定期間が経過した場合には(S105:YES)、CPU208aは、処理をステップS107へ進める。
【0076】
ステップS107において、CPU208aは、印刷ジョブテーブル758をクリアし、つまり当該印刷ジョブテーブル758に記憶されている全ての印刷ジョブデータを削除する。そして、CPU208aは、処理をステップS109へ進める。
【0077】
ステップS109において、CPU208aは、ファクス受信テーブル756を参照する。その上で、CPU208aは、処理をステップS111へ進める。
【0078】
ステップS111において、CPU208aは、ステップS109におけるファクス受信テーブル756の参照の結果、当該ファクス受信テーブル756にファクス受信データが記憶されているかどうかを判定する。ここでたとえば、ファクス受信テーブル756にファクス受信データが記憶されていない場合(S111:NO)、CPU208aは、自動削除タスクを終了する。一方、ファクス受信テーブル756にファクス受信データが記憶されている場合には(S111:YES)、CPU208aは、処理をステップS113へ進める。
【0079】
ステップS113において、CPU208aは、これからその転送用データを転送しようとする対象となるファクス受信データを特定する。すなわち、CPU208aは、ファクス受信テーブル756に記憶されているファクス受信データのうち、受信日時が最も早いデータを、これからその転送用データを転送しようとする対象となる転送対象データとして特定する。そして、CPU208aは、処理をステップS115へ進める。
【0080】
ステップS115において、CPU208aは、印刷未完了テーブル760を参照する。その上で、CPU208aは、処理をステップS117へ進める。
【0081】
ステップS117において、CPU208aは、ステップS115における印刷未完了テーブル760の参照の結果、ステップS113で特定した転送対象データに対応する情報が当該印刷未完了テーブル760に記憶されているかどうかを、つまり転送対象データに係る転送用データが既に転送済であるかどうかを、判定する。ここでたとえば、転送対象データに対応する情報が印刷未完了テーブル760に記憶されている場合、つまり当該転送対象データに係る転送用データが既に転送済である場合(S117:YES)、CPU208aは、処理をステップS119へ進める。一方、転送対象データに対応する情報が印刷未完了テーブル760に記憶されていない場合、つまり当該転送対象データに係る転送用データがまだ転送されていない場合には(S117:NO)、CPU208aは、処理を後述するステップS121へ進める。
【0082】
ステップS119において、CPU208aは、転送対象データに対応する情報を印刷未完了テーブル760から削除し、つまり当該印刷未完了テーブル760を更新する。そして、CPU208aは、処理を後述するステップS125へ進める。
【0083】
一方、CPU208aは、前述のステップS117からステップS121へ処理を進めた場合、当該ステップS121において、転送対象データに係る転送用データを生成する。このとき、CPU208aは、前述の印刷管理タスクにおけるステップS27(
図5参照)と同様、転送用データに、印刷未完了時に応じたファイル名を付し、つまり「fax_YYYYMMDD_XXXX_printing_NG.tif」というファイル名を付す。そして、CPU208aは、処理をステップS123へ進める。
【0084】
ステップS123において、CPU208aは、ステップS121で生成した転送用データをサーバ30の記憶部30aへ転送する。その上で、CPU208aは、処理をステップS125へ進める。
【0085】
ステップS125において、CPU208aは、転送対象データをファクス受信テーブル756から削除し、つまり当該ファクス受信テーブル756を更新する。このとき、CPU208aは、補助記憶部210に設けられた前述の補助テーブルからも転送対象データを削除し、つまり当該補助テーブルを更新する。そして、CPU208aは、処理をステップS109へ戻す。
【0086】
以上のように、本第1実施例によれば、とりわけ複合機20のファクス受信データ転送機能によれば、ファクス受信データに基づく印刷が未完了であり、かつ、所定の転送条件が満たされた印刷未完了時に、当該ファクス受信データに係る転送用データがサーバ30の記憶部30aへ転送される。また、印刷未完了時に限らず、ファクス受信データに基づく印刷が完了した印刷完了時にも、当該ファクス受信データに係る転送用データがサーバ30の記憶部30aへ転送される。さらに、転送用データには、印刷完了時および印刷未完了時のいずれに転送されるのかに応じたファイル名が付される。すなわち、転送用データは、印刷完了時および印刷未完了時のいずれに転送されるのかを識別可能な態様で転送される。したがって、ユーザは、それぞれの転送用データの態様から、つまり当該転送用データに付されたファイル名から、当該転送用データが印刷完了時および印刷未完了時のいずれに転送されたデータであるのかを直観的に把握することができる。言い換えれば、ユーザは、それぞれの転送用データに係るファクス印刷ジョブデータに基づく印刷が完了したかどうかを、複合機20の設置場所にまで出向くことなく確認することができる。このことは、複合機20の効率的な運用に大きく貢献する。
【0087】
なお前述したように、ファクス受信データ転送機能は、CPU208aが印刷管理タスクを実行することにより実現される。このような印刷管理タスクを実行するCPU208aは、本発明に係る転送手段の一例である。また、当該印刷管理タスクによれば、印刷未完了時に転送用データが転送されたファクス受信データ(ファクス印刷ジョブデータ)については、改めて印刷に供されるが、このような印刷管理タスクを実行するCPU208aは、本発明に係る印刷制御手段の一例でもある。
【0088】
因みに、本第1実施例におけるファクス受信データ転送機能によれば、或るファクス印刷ジョブデータ(ファクス受信データ)に基づく印刷の実行中に、印刷停止要因の発生により当該印刷が停止した後、その印刷停止要因が解消されると、当該印刷が再開される。そして、再開された印刷が改めて印刷停止要因の発生により停止した場合は、転送用データは転送されない。すなわち、或るファクス印刷ジョブデータに基づく印刷の実行中に、印刷停止要因が何回(複数回)発生しようが、当該ファクス印刷ジョブデータに係る印刷未完了時の転送用データは、1回のみ転送される。これに代えて、或るファクス印刷ジョブデータに基づく印刷の実行中に、印刷停止要因が何回も発生した場合には、その印刷停止要因が発生するたびに、つまり何回でも、当該ファクス印刷ジョブデータに係る印刷未完了時の転送用データが転送されるように、構成されてもよい。そうするにはたとえば、印刷管理タスクのステップS25の“NO”(
図5参照)とステップS29との間に、
図8に示されるステップS51が設けられる。
【0089】
すなわち、CPU208aは、ステップS51において、直近に停止された印刷に供されたファクス印刷ジョブデータに係る転送用データを生成する。このとき、CPU208aは、当該転送用データに、印刷未完了時に応じたファイル名を付し、とりわけ過去に転送された転送用データと識別可能なようにたとえば「fax_YYYYMMDD_XXXX_printing_NG_NN.tif」というファイル名を付す。このファイル名のうちの「NN」には、転送用データの再送回数を表す番号(数字)が入力される。このステップS51の実行後、CPU208aは、処理をステップS29へ進める。
【0090】
このようなステップS51が設けられることで、或るファクス印刷ジョブデータに基づく印刷の実行中に、印刷停止要因が何回も発生した場合は、その印刷停止要因が発生するたびに、当該ファクス印刷ジョブデータに係る印刷未完了時の転送用データが転送される。そして、再送された転送用データには、「NN」という番号を含むファイル名が付される。したがって、ユーザは、この「NN」という番号を含むファイル名から、当該ファイル名が付された転送用データが何回再送されたのか、換言すれば当該転送用データに係るファクス印刷ジョブデータに基づく印刷が何回停止したのかを、直観的に認識することができる。
【0091】
また、本第1実施例におけるファクス受信データ転送機能によれば、印刷未完了時に転送された転送用データは、当該転送用データに係るファクス印刷ジョブデータに基づく印刷が(再開されることにより)完了した後も、サーバ30の記憶部30aに残り続ける。これに代えて、印刷未完了時に転送された転送用データについては、当該転送用データに係るファクス印刷ジョブデータに基づく印刷が完了した後に、サーバ30の記憶部30aから削除されるように、構成されてもよい。そうするにはたとえば、印刷管理タスクのステップS41の“YES”(
図6参照)とステップS43との間に、
図9に示されるステップS61が設けられる。
【0092】
すなわち、CPU208aは、ステップS61において、転送用データの転送先であるサーバ30の記憶部30aへアクセスする。そして、CPU208aは、サーバ30の記憶部30aに記憶されている転送用データのうち、直近に印刷が完了したファクス印刷ジョブデータに係る印刷未完了時の転送用データを、当該記憶部30aから削除する。このステップS61の実行後、CPU208aは、処理をステップS43へ進める。
【0093】
このようなステップS61が設けられることで、印刷未完了時に転送された転送用データについては、当該転送用データに係るファクス印刷ジョブデータに基づく印刷が完了した後に、サーバ30の記憶部30aから削除される。これは、サーバ30の記憶部30a(記憶容量)を効率的に使用するのに大きく貢献する。なお、ステップS61を含む印刷管理タスクを実行するCPU208aは、本発明に係る削除手段の一例である。
【0094】
[第2実施例]
続いて、本発明の第2実施例について、説明する。
【0095】
本第2実施例においては、印刷完了時の転送用データと、印刷未完了時の転送用データとが、互いに異なる転送先へ転送される。具体的には、
図10に示されるように、サーバ30の記憶部30aに、ファクス受信フォルダ(fax_receive)310という上位フォルダが設けられる。そして、ファクス受信フォルダ310の下位に、第1転送先としての印刷完了フォルダ(printing_OK)320と、第2転送先としての印刷未完了フォルダ(printing_NG)330とが、設けられる。その上で、印刷完了時の転送用データは、印刷完了フォルダ320に転送され、印刷未完了時の転送用データは、印刷未完了フォルダ330に転送される。
【0096】
このような本第2実施例によれば、それぞれの転送用データが印刷完了時および印刷未完了時のいずれに転送されたのかを識別し易く、とりわけ当該転送用データを整理するのに好都合である。たとえば、
図11に示されるように、それぞれの転送用データに係るファクス印刷ジョブデータに基づく印刷が完了したのかどうかを一覧80に纏めるのに好都合である。この一覧80には、それぞれの転送用データのファイル名と、当該転送用データに係るファクス印刷ジョブデータに基づく印刷が完了したのかどうかを表す印刷状況と、当該転送用データの作成日時(転送日時)とが、纏められる。この一覧80は、それぞれのPC40により確認することができ、少なくとも管理者用のPC40により確認することができる。なお、この一覧80は、印刷完了フォルダ320および印刷未完了フォルダ330を含むファクス受信フォルダ310の記憶内容に基づいて作成されるが、たとえば印刷完了フォルダ320の記憶内容に基づいて印刷完了時のみの転送用データに係る一覧が作成されてもよい。勿論、印刷未完了フォルダ330の記憶内容に基づいて印刷未完了時のみの転送用データに係る一覧が作成されてもよい。
【0097】
このような本第2実施例においては、前述の印刷管理タスクにおけるステップS27~ステップS29(
図5参照)に代えて、
図12に示されるステップS201~ステップS203が設けられる。併せて、当該印刷管理タスクにおけるステップS35~ステップS37(
図6参照)に代えて、
図13に示されるステップS211~ステップS213が設けられる。
【0098】
すなわち、CPU208aは、ステップS201において、直近に印刷が停止されたファクス印刷ジョブデータに係る転送用データを生成する。このとき、CPU208aは、当該転送用データに、たとえば「fax_YYYYMMDD_XXXX.tif」というファイル名を付す。このファイル名のうちの「YYYYMMDD」は、転送用データに係るファクス受信データの受信年月日を表し、「XXXX」は、当該ファクス受信データの同受信年月日における受信順を表す。そして、CPU208aは、処理をステップS203へ進める。
【0099】
ステップS203において、CPU208aは、ステップS201で生成した転送用データをサーバ30の記憶部30aの印刷未完了フォルダ330へ転送する。その上で、CPU208aは、処理をステップS31へ進める。
【0100】
また、CPU208aは、ステップS211において、直近に印刷が完了したファクス印刷ジョブデータに係る転送用データを生成する。このとき、CPU208aは、前述のステップS201と同様、当該転送用データに、たとえば「fax_YYYYMMDD_XXXX.tif」というファイル名を付す。そして、CPU208aは、処理をステップS213へ進める。
【0101】
ステップS213において、CPU208aは、ステップS211で生成した転送用データをサーバ30の記憶部30aの印刷完了フォルダ320へ転送する。その上で、CPU208aは、処理をステップS39へ進める。
【0102】
加えて、本第2実施例においては、前述の自動削除タスクにおけるステップS121~ステップS123(
図7参照)に代えて、
図14に示されるステップS301~ステップS303が設けられる。
【0103】
すなわち、CPU208aは、ステップS301において、直近に印刷が停止されたファクス印刷ジョブデータに係る転送用データを生成する。このとき、CPU208aは、前述のステップS201と同様、当該転送用データに、たとえば「fax_YYYYMMDD_XXXX.tif」というファイル名を付す。そして、CPU208aは、処理をステップS303へ進める。
【0104】
ステップS303において、CPU208aは、ステップS301で生成した転送用データをサーバ30の記憶部30aの印刷未完了フォルダ330へ転送する。その上で、CPU208aは、処理をステップS125へ進める。
【0105】
以上のように、本第2実施例によれば、印刷完了時の転送用データと、印刷未完了時の転送用データとが、互いに異なる転送先へ転送される。これは、それぞれの転送用データが印刷完了時および印刷未完了時のいずれに転送されたのかを識別するのに好都合であり、とりわけ当該転送用データを整理するのに好都合である。
【0106】
なお、本第2実施例においても、前述の第1実施例と同様に、それぞれの転送用データに、印刷完了時および印刷未完了時のいずれに転送されるのかに応じたファイル名が付されてもよい。すなわち、印刷完了時の転送用データには、たとえば「fax_YYYYMMDD_XXXX_printing_OK.tif」というファイル名が付されてもよい。そして、印刷未完了時の転送用データには、たとえば「fax_YYYYMMDD_XXXX_printing_NG.tif」というファイル名が付されてもよい。
【0107】
また、本第2実施例においても、
図8を参照しながら説明したのと同様に、或るファクス印刷ジョブデータに基づく印刷の実行中に、印刷停止要因が何回も発生した場合には、その印刷停止要因が発生するたびに、当該ファクス印刷ジョブデータに係る転送用データが転送されるように、構成されてもよい。この場合、転送用データには、たとえば前述の如く「NN」という当該転送用データの再送回数を表す番号を含むファイル名が付される。また、当該転送用データは、印刷未完了フォルダ330へ転送される。
【0108】
さらに、本第2実施例においても、
図9を参照しながら説明したのと同様に、印刷未完了時に転送された転送用データについては、つまり印刷未完了フォルダ330へ転送された転送用データについては、適宜に削除されるように、構成されてもよい。すなわち、印刷未完了フォルダ330へ転送された転送用データについては、当該転送用データに係るファクス印刷ジョブデータに基づく印刷が完了した後に、当該印刷未完了フォルダ330から削除されてもよい。
【0109】
[第3実施例]
続いて、本発明の第3実施例について、説明する。
【0110】
本第3実施例においては、それぞれの転送用データに、当該転送用データが印刷完了時および印刷未完了時のいずれに転送されるのかに応じた識別データが関連付けられる。そして、それぞれの転送用データは、当該転送用データに関連付けられた識別データと言わばセットとして、転送される。たとえば、印刷完了時の転送用データには、識別データとして「fax_YYYYMMDD_XXXX_OK.dat」というファイル名のデータ(いわゆるdatファイル)が関連付けられる。この識別データのファイル名のうちの「YYYYMMDD」は、当該識別データが関連付けられる転送用データに係るファクス受信データの受信年月日を表し、「XXXX」は、当該ファクス受信データの同受信年月日における受信順を表す。一方、印刷未完了時の転送用データには、識別データとして「fax_YYYYMMDD_XXXX_NG.dat」というファイル名のデータが関連付けられる。なお、それぞれの転送用データには、当該転送用データが印刷完了時および印刷未完了時のいずれであるのかに拘らず、「fax_YYYYMMDD_XXXX.tif」というファイル名が付される。
【0111】
このような本第3実施例によれば、それぞれの転送用データが印刷完了時および印刷未完了時のいずれに転送されたデータであるのかを、当該転送用データに関連付けられた識別データから識別することができる。また、それぞれの転送用データは、当該転送用データに関連付けられた識別データと一緒に(同じタイミングで)転送される必要はなく、たとえば当該転送用データに係るファクス印刷ジョブデータが印刷に供される前に、つまり識別データに先立って、転送されてもよい。
【0112】
このような本第3実施例においては、前述の印刷管理タスクにおけるステップS7の“YES”(
図4参照)とステップS9との間に、
図15に示されるステップS401~ステップS403が設けられる。併せて、当該印刷管理タスクにおけるステップS27~ステップS29(
図5参照)に代えて、
図16に示されるステップS411~ステップS413が設けられる。さらに、当該印刷管理タスクにおけるステップS35~ステップS37(
図6参照)に代えて、
図17に示されるステップS421~ステップS423が設けられる。なお、前述の印刷未完了テーブル760には、転送用データに関する情報ではなく、識別データに関する情報(ファイル名および転送日時)が記憶される。
【0113】
すなわち、CPU208aは、ステップS401において、印刷対象データに係る転送用データを生成する。このとき、CPU208aは、当該転送用データに、前述の「fax_YYYYMMDD_XXXX.tif」というファイル名を付す。そして、CPU208aは、処理をステップS403へ進める。
【0114】
ステップS403において、CPU208aは、ステップS401で生成した転送用データをサーバ30の記憶部30aへ転送する。その上で、CPU208aは、処理をステップS9へ進める。
【0115】
また、CPU208aは、ステップS411において、直近に印刷が停止されたファクス印刷ジョブデータに係る識別データ、厳密には当該ファクス印刷ジョブデータに係る転送用データに関連付けられる識別データを、生成する。このとき、CPU208aは、当該識別データに、印刷未完了時に応じた前述の「fax_YYYYMMDD_XXXX_NG.dat」というファイル名を付す。そして、CPU208aは、処理をステップS413へ進める。
【0116】
ステップS413において、CPU208aは、ステップS411で生成した識別データをサーバ30の記憶部30aへ転送する。その上で、CPU208aは、処理をステップS31へ進める。
【0117】
さらに、CPU208aは、ステップS421において、直近に印刷が完了したファクス印刷ジョブデータに係る識別データ、厳密には当該ファクス印刷ジョブデータに係る転送用データに関連付けられる識別データを、生成する。このとき、CPU208aは、当該識別データに、印刷完了時に応じた前述の「fax_YYYYMMDD_XXXX_OK.dat」というファイル名を付す。そして、CPU208aは、処理をステップS423へ進める。
【0118】
ステップS423において、CPU208aは、ステップS421で生成した識別データをサーバ30の記憶部30aへ転送する。その上で、CPU208aは、処理をステップS39へ進める。
【0119】
加えて、本第3実施例においては、前述の自動削除タスクにおけるステップS121~ステップS123(
図7参照)に代えて、
図18に示されるステップS501~ステップS507が設けられる。
【0120】
すなわち、CPU208aは、ステップS501において、前述のステップS401と同様の要領で転送用データを生成し、つまり「fax_YYYYMMDD_XXXX.tif」というファイル名の転送用データを生成する。そして、CPU208aは、処理をステップS503へ進める。
【0121】
ステップS503において、CPU208aは、ステップS501で生成した転送用データをサーバ30の記憶部30aへ転送する。その上で、CPU208aは、処理をステップS505へ進める。
【0122】
ステップS505において、CPU208aは、前述のステップS411と同様の要領で識別データを生成し、つまり「fax_YYYYMMDD_XXXX_NG.dat」というファイル名というファイル名の識別データを生成する。そして、CPU208aは、処理をステップS507へ進める。
【0123】
ステップS507において、CPU208aは、ステップS505で生成した識別データをサーバ30の記憶部30aへ転送する。その上で、CPU208aは、処理をステップS125へ進める。
【0124】
以上のように、本第3実施例によれば、それぞれの転送用データに、当該転送用データが印刷完了時および印刷未完了時のいずれに転送されるのかに応じた識別データが関連付けられる。したがって、ユーザは、それぞれの転送用データが印刷完了時および印刷未完了時のいずれに転送されたデータであるのかを、当該転送用データに関連付けられた識別データから識別することができる。
【0125】
なお、本第3実施例においては、それぞれの転送用データは、当該転送用データに関連付けられる識別データに先立って、つまり当該識別データと別々に、転送されたが、当該識別データと一緒に転送されてもよい。
【0126】
また、それぞれの転送用データと、当該転送用データに関連付けられる識別データとは、互いに異なる転送先へ転送されてもよい。
【0127】
さらに、識別データについては、印刷完了時と印刷未完了時とで互いに異なる転送先へ転送されてもよい。たとえば、前述の第2実施例に倣って、印刷完了時の識別データについては、印刷完了フォルダ320(
図10参照)に転送され、印刷未完了時の識別データについては、印刷未完了フォルダ330に転送されてもよい。
【0128】
加えて、本第3実施例においても、
図8を参照しながら説明した構成に倣って、或るファクス印刷ジョブデータに基づく印刷の実行中に、印刷停止要因が何回も発生した場合には、その印刷停止要因が発生するたびに、当該ファクス印刷ジョブデータに係る識別データが転送されるように、構成されてもよい。この場合、識別データには、たとえば「NN」という当該識別データの再送回数を表す番号を含むファイル名が付される。
【0129】
そして、本第3実施例においても、
図9を参照しながら説明した構成に倣って、印刷未完了時に転送された識別データについては、適宜に削除されるように、構成されてもよい。すなわち、印刷未完了時に転送された識別データについては、当該識別データと関連付けられた転送用データに係るファクス印刷ジョブデータに基づく印刷が完了した後に、削除されてもよい。
【0130】
[その他の適用例]
以上の各実施例は、本発明の具体例であり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。これら各実施例以外の局面にも、本発明を適用することができる。
【0131】
たとえば、転送用データ(および識別データ)の転送先については、サーバ30の記憶部30aに限らず、任意のPC40や複合機20の補助記憶部210などの他の箇所であってもよい。
【0132】
また、転送用データについては、TIFF形式のデータとしたが、これに限らず、PDF(Portable Document Format)形式などの他形式のデータであってもよい。言い換えれば、転送用データについては、その形式を任意に選択可能とするのが好ましい。
【0133】
そして、各実施例においては、ファクス印刷ジョブデータというファクス機能における印刷ジョブデータに係る転送用データが転送される場合について、説明したが、これに限らない。すなわち、ファクス機能における印刷ジョブデータに限らず、コピー機能における印刷ジョブデータやプリンタ機能における印刷ジョブデータなどの印刷を伴う機能における印刷ジョブデータについて、それらに係る転送用データが転送される場合にも、本発明を適用することができる。
【0134】
さらに、自動削除機能において、印刷ジョブテーブル758がクリアされる場合に、ファクス受信テーブル756もクリアされることとしたが、これに限らない。ファクス受信テーブル756については、クリアされない構成としてもよい。そうするにはたとえば、前述の自動削除タスク(
図7参照)におけるステップS111~ステップS125を当該自動削除タスクから排除するとともに、ステップS109の実行をもって当該自動削除タスクが終了される構成とすればよい。
【0135】
このようにファクス受信テーブル756をクリアするかどうかについては、設定により任意に選択可能(切替可能)としてもよい。また、自動削除機能そのものの有効化および無効化についても、任意に選択可能としてもよい。併せて、ファクス受信データ転送機能についても、その有効化および無効化を任意に選択可能としてもよい。
【0136】
加えて、画像形成装置として、複合機20を例示したが、当該画像形成装置は、複合機20に限らない。データを転送する機能を有する画像形成装置であれば、本発明を適用することができる。また、ネットワークシステム10についても、
図1に示される構成に限らない。
【0137】
そして、本発明は、画像形成装置および当該画像形成装置を備えるネットワークシステムという形態に限らず、当該画像形成装置の制御プログラムという形態、および、当該画像形成装置の制御方法という形態によっても、提供することができる。
【符号の説明】
【0138】
10 … ネットワークシステム
20 … 複合機
30 … サーバ
30a … 記憶部
40 … PC
204 … 画像形成部
206 … 通信部
208 … 制御部
208a … CPU
208b … 主記憶部