(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】自動販売機用商品見本
(51)【国際特許分類】
G07F 9/02 20060101AFI20230628BHJP
【FI】
G07F9/02 A
(21)【出願番号】P 2020078431
(22)【出願日】2020-04-27
【審査請求日】2022-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】520145470
【氏名又は名称】ベステクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100172096
【氏名又は名称】石井 理太
(72)【発明者】
【氏名】只野 和広
(72)【発明者】
【氏名】東 孝博
【審査官】平野 貴也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-165482(JP,A)
【文献】登録実用新案第3099774(JP,U)
【文献】特開平06-203262(JP,A)
【文献】特開平07-085346(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 5/00 - 9/10
G09F 1/00 - 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横幅が
実際の商品の半周長よりも短く且つ、
該実際の商品の直径
よりも長く形成され、表面部に商品展開画像が印刷された弾性を有するフィルム状の見本表示体と、該見本表示体を
前記実際の商品の直径を横幅とし、且つ、
前記実際の商品の周方向半径よりも大きな曲率半径で湾曲させた状態に保持する見本ホルダとを備えた自動販売機用見本において、
前記見本表示体は、高さが前記見本ホルダよりも高く形成され、
前記商品展開画像は、前記見本表示体の中央部に比べて側部側が低い倍率で印刷されているとともに、
前記見本表示体の前記見本ホルダに保持されていない部分の側部側の印刷倍率が保持されている部分よりも低いことを特徴とする自動販売機用見本。
【請求項2】
前記見本表示体は、切れ目に縁どられ、湾曲させた際に立ち上がるポップ部を備え、該ポップ部は中央部の印刷と同じ倍率で印刷されている請求項1に記載の自動販売機用見本。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶やペットボトル入りの飲料等を表示する自動販売機用の商品見本であって、商品展開画像を印刷したフィルム状の見本表示体をホルダに保持させてなる自動販売機用商品見本に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、缶やペットボトル入りの飲料を販売する自動販売機では、新商品の発売や場所、地域、季節等の条件に合わせて商品の入れ替えが行われ、それに伴い販売機の前面側に展示された商品見本も交換される。
【0003】
また、これらの商品見本は、色あせ等の劣化が生じると、商品イメージの低下を招くことから、商品見本を定期的に交換することが望ましい。
【0004】
一方、清涼飲料等は、商品毎に他種多様なデザイン、形状及び容量が採用されており、商品見本は、商品をイメージし易いように、このような多種多様なデザイン、形状及び容量に則したものにする必要がある。
【0005】
しかしながら、この種の商品見本では、形状や大きさの異なる多種・多様な商品毎に忠実に形状及び容量を再現した場合、製造コストが嵩み、高価となるという問題があった。
【0006】
そこで、近年では、商品見本展示用ステージに対して着脱可能に固定されたホルダに商品の画像を印刷したフィルム状の見本表示体を湾曲させた状態で保持させた自動販売機用商品見本が広く使用されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0007】
この自動販売機用商品見本は、商品の画像を樹脂製のフィルムに印刷し、画像を印刷した見本表示体を湾曲させた状態でホルダに保持させることによって立体的に表示できるようになっている。
【0008】
また、この種の自動販売機用商品見本は、フィルム状の見本表示体を共通のホルダに着脱可能に保持させるので、見本表示体に比べて寿命の長いホルダを交換せずに長期間使用することができ、コストの低減を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述の如き従来の技術では、フィルム状の見本表示体の幅を短くすると、見本表示体を湾曲させて保持させた際、見本表示体に印刷した画像が商品の実際の見た目と見え方が異なるという問題があった。
【0011】
さらに、従来の技術では、ホルダの大きさ(高さ)を小さいものに合わせて形成するため、500mlサイズの見本表示体をホルダに保持させる際、見本表示体の上側部分が保持されず、保持されている部分と保持されていない部分の曲率半径が異なるという問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、幅の短いフィルム状の見本表示体を好適に保持する自動販売機用見本の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の如き従来の問題を解決するための請求項1に記載の発明の特徴は、横幅が実際の商品の半周長よりも短く且つ、該実際の商品の直径よりも長く形成され、表面部に商品展開画像が印刷された弾性を有するフィルム状の見本表示体と、該見本表示体を前記実際の商品の直径を横幅とし、且つ、前記実際の商品の周方向半径よりも大きな曲率半径で湾曲させた状態に保持する見本ホルダとを備えた自動販売機用見本において、前記見本表示体は、高さが前記見本ホルダよりも高く形成され、前記商品展開画像は、前記見本表示体の中央部に比べて側部側が低い倍率で印刷されているとともに、前記見本表示体の前記見本ホルダに保持されていない部分の側部側の印刷倍率が保持されている部分よりも低いことにある。
【0014】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記見本表示体は、切れ目に縁どられ、湾曲させた際に立ち上がるポップ部を備え、該ポップ部は中央部の印刷と同じ倍率で印刷されていることにある。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る自動販売機用商品見本は、請求項1の構成を具備することによって、幅が短く、曲率半径が大きい状態で保持されるフィルム状の見本表示体を使用しても実際の見栄えに近い状態で表示することができ、見本表示体の幅を短くし、材料費の削減を図ることができる。また、見本表示体の見本ホルダに保持されている部分と保持されていない部分とで曲率半径に相違が生じた場合であっても、歪みのない一律的な表示とすることができる。
【0016】
さらに、本発明において、請求項2に記載の構成を具備することによって、商品の宣伝等に効果的な表示(所謂ポップ)を見本表示体と一体に形成することができるとともに、当該ポップを見本表示体の湾曲させることによって前面側に浮き上がらせた状態にすることができる。また、見本表示体を湾曲させても当該ポップ部分の表示を見やすい状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るに自動販売機商品見本の実施の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図1中の自動販売機見本をステージに取り付けた状態を示す部分破断側面図である。
【
図4】(a)は
図1中の見本ホルダを示す正面図、(b)は同側面図、(c)は同平面図である。
【
図5】
図1中の見本表示体の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係る自動販売機用商品見本の実施態様を
図1~
図6に示した実施例に基づいて説明する。図中符号A及びBは、自動販売機の前面扉に設置されるステージ、符号1はステージに固定される自動販売機用商品見本(以下、商品見本という)である。
【0019】
商品見本1は、商品の画像が印刷されたフィルム状の見本表示体2,11と、見本表示体2を保持する見本ホルダ3とを備え、見本表示体2が湾曲させた状態で見本ホルダ3に保持されることにより立体的に商品を表示するようになっている。
【0020】
見本ホルダ3は、
図4に示すように、弾性を有する合成樹脂材等によって形成され、フィルム状の商品見本1を保持するホルダ本体4と、ホルダ本体4の背面側に固定された背面側取付部5と、ホルダ本体4の下面部に固定された底面側取付部6とを備え、ステージ形状に合わせて背面側取付部5又は底面側取付部6をステージに固定させるようになっている。
【0021】
ホルダ本体4は、矩形状の背面基板7と、背面基板7の側縁より斜め内向きに突出した一対の保持片8,8と、背面基板7の下縁より前向きに突出した底受け部9とを備え、背面基板7の前面側にフィルム状の見本表示体2を湾曲させた状態で嵌め込み、見本表示体2の両側縁を保持片8,8の裏側に挿し込むとともに、下縁を底受け部9に支持させるようになっている。
【0022】
背面基板7は、上下方向に長い矩形板状に形成され、中央の上下に間隔をおいて採光用の開口部10,10が形成されている。
【0023】
この背面基板7は、対応する商品のうちで最も低い商品を表示する見本表示体2の高さに合わせた高さ、例えば、185gの所謂ショート缶の高さに合わせて形成され、それよりも背の高い例えば、350ml缶や500mlペットボトル等を表示する見本表示体11の高さより低くなっている。
【0024】
背面側取付部5は、互いに幅方向に間隔をおいた一対のスライド係合片12,12を備え、両スライド係合片12,12がステージAのホルダ着脱孔13の内縁と係合することによってステージAに固定されるようになっている。
【0025】
背面側取付部5に対応するステージAは、平板状の天板部14と、天板部14の前面側に前方下側に向けて傾斜した薄板状の見本設置部15とを備え、見本設置部15に長手方向に間隔をおいて複数のホルダ着脱孔13が開口し、ホルダ着脱孔13に背面側取付部5が係合することによって、見本ホルダ3が固定されるようになっている。
【0026】
ホルダ着脱孔13は、天板部14の前縁部から見本設置部15に跨って形成され、ステージの内側に配置されたLED電灯等の光源によって商品見本1が照らされるようになっている。
【0027】
スライド係合片12,12は、背面基板7背面の下端部より背面方向斜め上向きに延出した薄板状の傾斜延出部16と、傾斜延出部16の下面内側に配置された押圧部17と、傾斜延出部16の上端に支持された背面挿し込み片18と、傾斜延出部16の下端部背面側に突設された下側挿し込み片19とを備え、傾斜延出部16を見本設置部15の表面に宛がった状態で天板側よりホルダ着脱孔13にスライドさせることによって押圧部17がホルダ着脱孔13の内側縁を押圧するとともに、背面挿し込み片18がホルダ着脱孔13の側縁背面側に挿し込まれ、下側挿し込み片19がホルダ着脱孔13の下縁と係合するようになっている。
【0028】
尚、図中符号20は、着脱用つまみ部であって、両着脱用つまみ部20,20を内側(互いに近づく方向)に押して、両スライド係合片12,12を内側に撓ませることによって、押圧部17をホルダ着脱孔13の内縁より離脱させ、ホルダ着脱孔13に対し背面側取付部5をスライドし易いようにすることができる。
【0029】
底受け部9は、背面基板7の下端より前方に突出した半円板状に形成され、その中央に光透過孔21が開口され、該光透過孔21の周縁部下面に底面側取付部6が一体成形されている。
【0030】
底面側取付部6は、左右の対称な位置に一対のバネ片22,22を備え、バネ片22,22の先端の下端外周位置に抜け止め突起23が突設されている。
【0031】
この底面取付部に対応するステージは、特に図示しないが、上面に円形状のホルダ取付孔を備え、所定の回転角度(背面基板7が正面より所定の角度だけ回転した位置)で両バネ片22,22をホルダ取付孔に挿入し、その状態から見本ホルダ3を回転させ、商品見本1を正面に向けることで、バネ片22,22がホルダ取付孔の内縁に当接するとともに、抜け止め突起23がホルダ取付孔の周縁背面側に入り込み、見本ホルダ3がステージに固定されるようになっている。
【0032】
見本表示体2は、
図5に示すように、方形状をした弾性及び透明・透光性を有する合成樹脂製フィルム材2aにより形成され、合成樹脂製フィルム材2aの表面部に筒状の商品の外形を展開した状態の商品展開画像24が印刷され、湾曲させることによって実際の商品に近い状態に表示されるようになっている。
【0033】
この見本表示体2は、横幅が商品の半周長よりも短く且つ、実際の商品の直径よりもやや長く形成され、実際の商品の直径を横幅とし、且つ、周方向半径よりも大きな曲率半径で湾曲させるようになっている。
【0034】
商品展開画像24は、中央部の印刷の倍率を100%とした場合、中央部に比べて側部側に進むにつれて左右方向の印刷倍率を順次低くしていき、最も端側が最も低い倍率で印刷されている。
【0035】
一方、高さが見本ホルダ3よりも高く形成された見本表示体11では、
図1に示すように、下側部分が見本ホルダ3に両側が確実に保持されるが、上部は、両側部が保持されないため、保持されている部分に比べて曲率半径が大きくなる。
【0036】
そこで、この背の高い見本表示体2では、
図6に示すように、商品展開画像24が見本表示体2の見本ホルダ3に保持されていない部分の側部側の印刷倍率が保持されている部分よりも低い倍率で印刷されている。
【0037】
一方、見本表示体2,11には、
図5,6に示すように、中央部より外側に形成された切れ目25aによって縁どられたポップ部25が形成され、フィルム状の見本表示体2を湾曲させることによってポップ部25が前面側に立ち上がるようになっている。
【0038】
ポップ部25には、商品の販売促進のための図形や文字等(以下、ポップ画像という)26が印刷され、ポップ画像26は、商品展開画像24の中央部と同じ倍率で印刷され、見本表示体2を湾曲させても均一な表示が維持される。
【0039】
このように構成された自動販売機用商品見本1は、フィルム状の見本表示体2に印刷されている商品展開画像24が部分によって異なる倍率で印刷されていることによって、曲率半径が大きい状態で湾曲させても実際の見た目に近い状態で表示することができ、フィルムの幅を短くし、材料費の削減を図ることができる。
【0040】
また、ポップ部25や背が高く上部が保持されていない場合においても、倍率を調節することによって、実際の商品の見た目に近い立体的な表示とすることができる。
【0041】
尚、見本ホルダ3の態様は、上述の実施例の態様に限定されず、フィルム状の見本表示体2を湾曲させた状態保持する全てのホルダに対応することができる。
【0042】
また、上述の商品展開画像24の印刷倍率は、上述の実施例に限定されず、フィルム幅や曲率半径等の諸条件に応じて適宜選択することができる。
【符号の説明】
【0043】
A ステージ
1 商品見本
2 見本表示体
3 見本ホルダ
4 ホルダ本体
5 背面側取付部
6 底面側取付部
7 背面基板
8 保持片
9 底受け部
10 開口部
11 見本表示体
12 スライド係合片
13 ホルダ着脱孔
14 天板部
15 見本設置部
16 傾斜延出部
17 押圧部
18 背面挿し込み片
19 下側挿し込み片
20 着脱用つまみ部
21 光透過孔
22 バネ片
23 抜け止め突起
24 商品展開画像
25 ポップ部
26 ポップ画像