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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20230629BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018099295
(22)【出願日】2018-05-24
(65)【公開番号】P2019201940
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島崎 徳人
(72)【発明者】
【氏名】伊東 秀城
【審査官】中村 俊太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-154961(JP,A)
【文献】特開2013-146412(JP,A)
【文献】特開2013-059476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一原位置から第一演出位置に変位することが可能な第一可動部材と、
前記第一可動部材とは別に独立して動作させることが可能な部材であって、第二原位置から第二演出位置に変位することが可能な第二可動部材と、
前記第一可動部材を前記第一演出位置に位置させ、前記第二可動部材を前記第二演出位置に位置させる可動演出を実行する演出実行手段と、
前記第一可動部材および前記第二可動部材よりも前方に設けられた遊技部材と、
を備え、
前記遊技部材には、当該遊技部材を前後方向に貫く開口が形成されており、
前記第一可動部材は、前記第一原位置に位置するときよりも、前記第一演出位置に位置するときの方が、前記遊技部材に覆われずに前記開口に重なる範囲が大きくなるものであるとともに、前記第一演出位置に位置するときには前記遊技部材における前記開口の一方縁よりも外側の部分と一部が重なった状態となり、
前記第二可動部材は、前記第二原位置に位置するときよりも、前記第二演出位置に位置するときの方が、前記遊技部材に覆われずに前記開口に重なる範囲が大きくなるものであるとともに、前記可動演出では前記第二演出位置に近づくにつれて前記一方縁から前記開口側に飛び出て当該開口に重なる範囲が次第に大きくなるよう変位するものであり、
前記可動演出を実行する際、前記第一演出位置に向かう前記第一可動部材の変位が前記第二演出位置に向かう第二可動部材の変位よりも先に開始されて前記第二可動部材が前記第二演出位置に向かう変位を開始する時点では前記第一可動部材が前記第一演出位置に位置しているようにされることで、前記第二演出位置に向かって変位する前記第二可動部材の少なくとも一部が前記第一演出位置に位置する前記第一可動部材に覆われた状態となり、
前記可動演出にて、前記第二可動部材が前記第二演出位置に向かう変位を開始する時点よりも、前記第二可動部材が前記第二演出位置に到達した時点の方が、当該第二可動部材が前記遊技部材および前記第一可動部材のいずれにも覆われずに露出する範囲が大きいことを特徴とする遊技機。
ただし、前記第一可動部材は前記第一原位置から直線状に変位して前記第一演出位置に到達するものではなく、かつ、前記第二可動部材は前記第二原位置から直線状に変位して前記第二演出位置まで到達するものではないものとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
可動部材を備える遊技機において、可動部材の動作が完了するまでの時間が長くなると、動作の途中にある可動部材が目立ってしまい、遊技者が興醒めしてしまうおそれがある。このような状況を回避する一つの手法としては、可動部材を高速で動作させるようにすることが考えられる(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-38794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、可動部材を備える遊技機において、動作の途中にある可動部材が目立ってしまうのを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、第一原位置から第一演出位置に変位することが可能な第一可動部材と、前記第一可動部材とは別に独立して動作させることが可能な部材であって、第二原位置から第二演出位置に変位することが可能な第二可動部材と、前記第一可動部材を前記第一演出位置に位置させ、前記第二可動部材を前記第二演出位置に位置させる可動演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記可動演出を実行する際、前記第一演出位置に向かう前記第一可動部材の変位が前記第二演出位置に向かう第二可動部材の変位よりも先に開始されることで、当該第二可動部材が前記第二演出位置に位置するまでの一部の期間中、当該第二可動部材の少なくとも一部が前記第一可動部材に覆われた状態となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機によれば、動作の途中にある可動部材が目立ってしまうのを抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態にかかる遊技機の正面図である。
図2】表示装置(表示領域)に表示された識別図柄および保留図柄を示した図である。
図3】可動演出を説明するための図であって、第一可動部材が第一原位置に、第二可動部材が第二原位置に、第三可動部材が第三原位置に位置した状態を示した図である。
図4】可動演出を説明するための図(図3の続き)であって、第一可動部材が第一演出位置に、第二可動部材が第二原位置に、第三可動部材が第三原位置に位置した状態を示した図である。
図5】可動演出を説明するための図(図4の続き)であって、第一可動部材が第一演出位置に、第二可動部材が途中位置(相対原位置)に、第三可動部材が第三演出位置に位置した状態を示した図である。
図6】可動演出を説明するための図(図5の続き)であって、第一可動部材が第一演出位置に、第二可動部材が第二演出位置(相対演出位置)に、第三可動部材が第三演出位置に位置した状態を示した図である。
図7】第一具体例を説明するための図である。
図8】第五具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明にかかる遊技機1の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、表示装置91、始動入賞口904、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。かかる表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、表示領域911の形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。
【0011】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0012】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0013】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口は複数設けられていてもよい)。具体的には、始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(当否判定情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、当該数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(いわゆる変動が開始される)こととなるが、ある数値が取得されたときに、それより前に取得された数値に基づく当否判定結果が報知されている際には、当該ある数値に基づく当否判定結果が開始されるまで、図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。未だ当否判定の報知が開始されていない数値(以下単に保留と称することもある)の最大の記憶数(最大保留数)は適宜設定することができる。本実施形態における記憶手段が記憶できる最大保留数は、一種の始動入賞口904につき四つである。記憶手段に上記数値(当否判定情報)が記憶されていることは、保留図柄80として表示される(図2参照)。なお、本実施形態では、当否判定の報知が開始される時点で、取得された数値が大当たりとなる数値か否かが判断されることとなるが、数値が取得されたときに当否判定を行い、当否判定結果自体を記憶させておく構成としてもよい(この場合には当否判定結果自体が、当否判定情報に相当することとなる)。また、取得された数値は、当否判定結果を報知する演出の具体的な内容を決定するための数値としても利用される。
【0014】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0015】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される識別図柄70(図2参照)の組み合わせによって当否判定結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の識別図柄70を含む識別図柄群70g(左識別図柄群70gL、中識別図柄群70gC、右識別図柄群70gR)が変動を開始し、最終的に各識別図柄群70gから一の識別図柄70が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各識別図柄群70gから選択されて停止した識別図柄70の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、同じ識別図柄70の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。なお、各図においては、識別図柄70を構成する「数字(文字)」のみを図示するが、当該数字とキャラクタ等が組み合わされた図柄を識別図柄70として設定することができる。
【0016】
遊技の趣向性を向上させるため、種々の演出が実行される。本実施形態では、当該演出の一種として、可動演出が実行される。可動演出は、第一可動部材10および第二可動部材20(図1図3図6等参照)が動作する演出である。以下、これら可動部材について説明する。
【0017】
第一可動部材10は、原位置(他の可動部材との原位置と区別するため第一原位置とすることもある)と演出位置(他の可動部材の演出位置と区別するため第一演出位置と称することもある)との間を変位可能に設けられた部材である。本実施形態では、第一可動部材10として二つの部材(左第一可動部材10L、右第一可動部材10R)が設けられている。左第一可動部材10Lと右第一可動部材10Rは異なる範囲を変位するものであるが、以下の説明においてはいずれの第一可動部材10の原位置も第一原位置と、いずれの第一可動部材10の演出位置も第一演出位置と称する。左第一可動部材10L、右第一可動部材10Rの前側には、演出効果を発現する装飾(電飾等を含んでいてもよい)が形成されている。
【0018】
第一可動部材10は、ベース部材40に支持されている。ベース部材40は、遊技機1の本体側に動かないように固定された枠部材であり、その全部または大部分が遊技盤90に覆われて(遊技盤90の後方に位置して)遊技者には視認できない部材である。ベース部材40は、複数の部材が組み合わされてなるものであってもよい。本実施形態における左第一可動部材10Lおよび右第一可動部材10Rは、その一方側の端部がベース部材40に対して回動自在に支持されている。左第一可動部材10Lは、第一原位置においてその右側端部がベース部材40に対し回動自在に支持されている。右第一可動部材10Rは、第一原位置においてその左側端部がベース部材40に対し回動自在に支持されている(図3参照)。第一可動部材10を動作させる第一駆動源(図示せず)の動力が伝達されることで、左第一可動部材10Lは上方に向かって時計回り(右側)に回動して第一演出位置に到達する。同様に、左第一可動部材10Lは上方に向かって反時計回り(左側)に回動して第一演出位置に到達する(図4参照)。つまり、左第一可動部材10Lと右第一可動部材10Rは、第一原位置から互いに近づく方向に回動して第一演出位置に到達する。左第一可動部材10Lと右第一可動部材10Rは、第一原位置に位置するとき(図3参照)には、その全部または大部分が遊技盤90(開口901の下側の部分)に覆われた状態にある。第一演出位置に位置する(図4参照)と、その全部または大部分が遊技盤90の開口901を通じて視認可能な状態(表示領域911の前側に位置する状態(図1参照))となる。第一可動部材10の変位は、第一原位置から第一演出位置に向かうにつれて、開口901に重なる領域(開口901を通じて視認される領域)が増加するような態様を含むものであるともいえる。
【0019】
なお、第一駆動源の動力を左第一可動部材10Lや右第一可動部材10Rに伝達する動力伝達機構の構造はどのようなものであってもよいから説明を省略する。一の駆動源の動力が左第一可動部材10Lと右第一可動部材10Rの両方に伝達されるものとしてもよいし、左第一可動部材10Lを変位させるための駆動源と右第一可動部材10Rを変位させるための駆動源が別のものであってもよい。本実施形態では、第一原位置に位置する左第一可動部材10Lと右第一可動部材10Rが略同時に動作を開始し、両者が略同時に第一演出位置に到達するように設定されている。
【0020】
第二可動部材20は、原位置(他の可動部材との原位置と区別するため第二原位置とすることもある)と演出位置(他の可動部材の演出位置と区別するため第二演出位置と称することもある)との間を変位可能に設けられた部材である。第二可動部材20の前側には、演出効果を発現する装飾(電飾等を含んでいてもよい)が形成されている。本実施形態における第二可動部材20は、第三可動部材30に対し変位可能に支持された部材である。
【0021】
第三可動部材30は、原位置(他の可動部材との原位置と区別するため第三原位置とすることもある)と演出位置(他の可動部材の演出位置と区別するため第三演出位置と称することもある)との間を変位可能に設けられた部材である。当該第三可動部材30は、ベース部材40に支持されている。本実施形態における第三可動部材30は、動力伝達部材31を介してベース部材40に接続されている。動力伝達部材31は、その一端がベース部材40に対し回動自在(回動軸を中心として回動自在)に接続され、他端が第三可動部材30に接続されている。本実施形態では、第三可動部材30と動力伝達部材31は、互いの相対位置を変化させることができないように一方が他方に対し固定された関係にある。第三可動部材30の前側には、演出効果を発現する装飾(電飾等を含んでいてもよい)が形成されている。
【0022】
第三可動部材30は、第三原位置(図3図4参照)においては、その大部分が遊技盤90(開口901の下側の部分)に覆われた状態にある。第三駆動源(図示せず)の動力が動力伝達部材31に伝達されることにより、第三可動部材30が動力伝達部材31の回動軸を中心として変位し、第三演出位置に到達することになる(図5参照)。第三演出位置に位置すると、第三可動部材30の全部または大部分が遊技盤90の開口901に重なる(表示領域911の前側に位置する)。第三駆動源から動力伝達部材31までの動力伝達機構はどのようなものであってもよいから説明を省略する。第三可動部材30は、第一可動部材10とは別に(独立して)変位させることができるものであればよい。
【0023】
第二可動部材20は、第三可動部材30に対して変位自在に接続されている。図示しないが、本実施形態では、第二可動部材20と第三可動部材30の一方にスライドレールが、他方にスライドレールに係合するスライダが設けられており、当該スライドレール内をスライダが移動することにより、第二可動部材20は第三可動部材30に対して直線状に変位する。本実施形態では、第二可動部材20と第三可動部材30は、ともに略長方形状の部材であり、第二可動部材20は第三可動部材30の先端側(回動軸の反対側)から突出する大きさを変化させるように変位する(図5図6参照)。つまり、第二可動部材20と第三可動部材30を一つの演出ユニットとみれば、第三可動部材30に対して第二可動部材20が変位することで、両可動部材によって構築されるユニット全体の大きさが変化するかのようなものとなる。本実施形態では、第三可動部材30の前側に第二可動部材20が設けられているため、第三可動部材30に対する第二可動部材20の変位量が大きくなるほど、第三可動部材30における第二可動部材20に覆われずに露出する部分が大きくなる。ただし、当該前後関係を逆にしてもよい。つまり、第三可動部材30の後側に第二可動部材20が設けられた構成とし、第三可動部材30に対する第二可動部材20の変位量が大きくなるほど、第二可動部材20における第三可動部材30に覆われずに露出する部分が大きくなるような設定としてもよい。
【0024】
第二可動部材20は、第二駆動源(図示せず)の動力により第三可動部材30に対して変位する。第二駆動源の動力を第二可動部材20まで伝達する動力伝達機構はどのようなものであってもよい。本実施形態では、長穴(貫通孔であるかどうかは問わない)が形成され、第二可動部材20に接続された第一伝達部材21と、当該長穴に係合する突起が形成され、当該突起が形成された反対側に設定された回動軸を中心として第二駆動源の動力により回動する第二伝達部材22を有し、第二可動部材20が変位したときに長穴内を突起がスライドすることで、第二可動部材20がどのような位置にあっても第二駆動源の動力が第二可動部材20に伝達されるような動力伝達機構が構築されている。つまり、第二駆動源の動力が、第二可動部材20にのみ伝達されて(第一可動部材10や第三可動部材30には伝達されず)、第二可動部材20の第三可動部材30に対する相対的な位置を変化させることができるような動力伝達機構が構築されている。第二可動部材20は、第一可動部材10とは別に(独立して)変位させることができるものであるといえる。
【0025】
詳細を後述するように、第二可動部材20は、原位置(他の可動部材との原位置と区別するため第二原位置とすることもある)と演出位置(他の可動部材の演出位置と区別するため第二演出位置と称することもある)との間を変位する。第二可動部材20は、第三可動部材30に支持されたものであるため、第三可動部材30が変位することによっても変化する。また、第三可動部材30に対して相対的に変位することによっても変化する。第三可動部材30に対する第二可動部材20の相対的な位置に関し、第三可動部材30に対して第二可動部材20が変位していないときにおける位置を相対原位置と、第二駆動源が駆動されて第三可動部材30に対する第二可動部材20の変位量が最も大きくなった位置を相対演出位置とすると、第二可動部材20の第二原位置は、第三可動部材30が第三原位置にあり、かつ第二可動部材20が相対原位置に位置した状態における位置(図3図4に示す位置)である。また、第二可動部材20の第二演出位置は、第三可動部材30が第三演出位置にあり、かつ第二可動部材20が相対演出位置に位置した状態における位置(図6に示す位置)である。
【0026】
第二可動部材20および第三可動部材30は、第一可動部材10よりも後方に位置する。本実施形態における各可動部材は、平面方向(前後方向に直交する平面に沿う方向)に沿って変位するものであるため、各可動部材がどのような位置に位置しようとも、前後方向における位置関係が変わることはない。上述した通り、本実施形態では、第三可動部材30の手前側に第二可動部材20が設けられている。そのため、前後方向における各可動部材の位置関係は、前から、第一可動部材10(最も前)、第二可動部材20、第三可動部材30というようなものとなる。なお、上述した通り、第二可動部材20と第三可動部材30の前後関係は逆であってもよい。つまり、第一可動部材10が、第二可動部材20や第三可動部材30よりも前に位置するような設定であればよい。
【0027】
また、本実施形態では、第三可動部材30に接続される支持部材35が設けられている(図3図6参照)。支持部材35は、一端がベース部材40に接続され、他端が第三可動部材30に接続されている。支持部材35は、何らかの駆動源によって変位する部材ではなく、第三可動部材30が変位したときに、当該第三可動部材30の変位に合わせて変位する部材(第三可動部材30に従動するもの)である。第三可動部材30と支持部材35の接続箇所は、第三可動部材30の回動軸の反対側に設定されている。第三可動部材30に対し第二可動部材20が変位したときには、第二可動部材20の勢いにより第三可動部材30の先端側(回動軸の反対側)がぶれてしまうおそれがある。支持部材35は、当該第三可動部材30の「ぶれ」を抑制するためのものである。当該支持部材35により、第三可動部材30に支持される第二可動部材20の「ぶれ」も抑制される。
【0028】
本実施形態における可動演出は、次のような流れで各可動部材が動作する。各可動部材が原位置に位置した状態(図3参照)から、第一駆動源を駆動し、第一可動部材10を第一原位置から第一演出位置に変位させる。このとき、第二可動部材20や第三可動部材30は原位置に位置したままとされる(第二駆動源や第三駆動源は駆動していない)(図4参照)。つまり、第一演出位置に向かう第一可動部材10の変位が、第二演出位置に向かう第二可動部材20の変位や第三演出位置に向かう第三可動部材30の変位よりも先に開始される。本実施形態では、第一可動部材10が第一演出位置に到達するまで、第二可動部材20や第三可動部材30は原位置に位置したままとされる。
【0029】
第一可動部材10が第一演出位置に到達した後、第三駆動源を駆動し、第三可動部材30を第三原位置から第三演出位置に向かって変位させる(図5参照)。この際、第三可動部材30が第三演出位置に到達するまでは、第二駆動源を駆動しない。つまり、第三可動部材30に対する第二可動部材20の位置を変位させない。換言すれば、第二可動部材20を相対原位置に位置させたまま、第三可動部材30を第三演出位置に位置させる。第二可動部材20は、第三可動部材30に対する相対的な位置については変化していないが、第三可動部材30の変位に伴ってその位置を変化させることになる。第三可動部材30が第三演出位置に位置し、かつ第二可動部材20が相対原位置に位置するときにおける第二可動部材20の位置(絶対的な位置)を途中位置とすると、上記第三可動部材30の第三原位置から第三演出位置への変位に伴って、第二可動部材20が第二原位置から途中位置まで変位する(以下、このような第二可動部材20および第三可動部材30の変位を、第一段階の動作と称することもある)ということになる。
【0030】
このように変位する第二可動部材20および第三可動部材30の少なくとも一部は、予め第一演出位置に到達している第一可動部材10に覆われる。具体的には、第一演出位置に位置する第一可動部材10は、その全部または大部分が遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能な状態となるものであるところ、当該第一可動部材10の視認可能な部分は、変位する第二可動部材20および第三可動部材30の軌跡の前側に位置する。換言すれば、仮に第一可動部材10が第一演出位置に位置していなかったとすると(第一原位置に位置していたとすると)、途中位置に向かって変位する第二可動部材20および第三演出位置に向かって変位する第三可動部材30の少なくとも一部が遊技盤90に形成された開口901を通じてそのまま視認されるものの、第一可動部材10が第一演出位置に位置していることで、変位する第二可動部材20および第三可動部材30の少なくとも一部が覆われて視認できない状態となる。すなわち、第一可動部材10が第一演出位置に位置している分、第二可動部材20および第三可動部材30の視認可能な範囲が狭まるため、変位する両可動部材が視認されにくい状態となる。
【0031】
第一段階の動作が完了した時点、すなわち第二可動部材20が途中位置に、第三可動部材30が第三演出位置に位置した状態においても、第二可動部材20および第三可動部材30の少なくとも一部は第一演出位置に位置する第一可動部材10に覆われた状態にある(図5参照)。つまり、第一演出部材が第一演出位置に位置していなければ(第一原位置に位置していれば)開口901を通じて視認される第二可動部材20および第三可動部材30の少なくとも一部が正対する遊技者には視認できない状態にある。
【0032】
第一段階の動作が完了した後、第二駆動源を駆動する。これにより、第三可動部材30が第三演出位置に位置した状態のまま、当該第三可動部材30に対して第二可動部材20が変位する。すなわち、第二可動部材20は、第三可動部材30に対する相対的な位置を相対原位置から相対演出位置に変化させる(図6参照)。これにより、第二可動部材20が第二演出位置に到達することになる(以下、このような第一段階の動作完了後の第二可動部材20の変位を第二段階の動作と称することもある)。なお、本実施形態では、第一段階の動作が完了した後即座に第二段階の動作が実行される。つまり、第一段階の動作と第二段階の動作は連続したものであり、両動作を第二可動部材20と第三可動部材30による一連の動作とみることもできる。また、第二可動部材20が第二原位置から第二演出位置に向かって変位する一連の動作とみることもできる。上述した通り、当該変化は、第二可動部材20が第三可動部材30の先端側(回動軸の反対側)から突出する大きさを変化させるようなものである。第一可動部材10との関係においては、第一段階の動作が完了した時点よりも、第二段階の動作が完了した時点の方が、第二可動部材20における第一可動部材10に覆われずに露出する範囲が大きくなることになる。本実施形態では、第一段階の動作が完了した後、第二段階の動作が実行されることで、第一演出位置に位置する第一可動部材10(右第一可動部材10R)の右側から露出する第二可動部材20の範囲が大きくなるような変化が生じる。遊技者の視点で言えば、第一段階の動作中は第一可動部材10に覆われることで第二可動部材20の動きが見えにくく、第二段階の動作により第二可動部材20が大きく露出するというような演出態様となる。
【0033】
このように、本実施形態にかかる遊技機1では、可動演出の際、第一演出位置に向かう第一可動部材10の変位が、第二演出位置に向かう第二可動部材20の変位よりも先に開始されることで、変位する第二可動部材20が第一可動部材10に覆われる。第一可動部材10および第二可動部材20は、それぞれの動作を独立して制御することが可能なものであり、両可動部材の変位が同時に開始されるようにすることも可能であるが、敢えて第一可動部材10の変位が第二可動部材20の変位よりも先に開始されるようにしている。このようにすることで、動作の途中にある第二可動部材20が目立ってしまうのが抑制される。また、本実施形態では、第三演出位置に向かう第三可動部材30も第一可動部材10に覆われることになるため、動作の途中にある第三可動部材30が目立ってしまうのが抑制される。第二可動部材20や第三駆動部材の動作速度を高めることが困難またはコストアップを招くがゆえ、第二可動部材20や第三駆動部材の動作が遅いといった状況において特に有効であるといえる。
【0034】
特に、本実施形態では、第一可動部材10が第一演出位置に到達した後、第二可動部材20および第三可動部材30の変位(第一段階の動作)が開始されるから、変位する第二可動部材20および第三可動部材30が目立ちにくい。
【0035】
また、本実施形態では、第一可動部材10が第一演出位置に到達した後、第二可動部材20の第二段階の動作が実行される。このようにすることで、その全部または一部が第一可動部材10に覆われていた第二可動部材20が、当該第二段階の動作により大きく露出するというような面白みのある演出形態が構築される。
【0036】
以下、上記実施形態にかかる遊技機1を改良、変形、具体化等した具体例について説明する。なお、以下の具体例を用いて説明する技術的事項を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0037】
○第一具体例
上記実施形態における第二可動部材20は、第三可動部材30に支持された部材であること、すなわち第三可動部材30が変位したときには、それとともに変位する部材であることを説明したが、このような部材でなくてもよい。端的にいえば、第三可動部材30に相当するものが設けられていない構成としてもよい。例えば以下のような構成とすることが考えられる。
【0038】
第二可動部材20は、他の部材の変位に伴ってではなく、それ自体が変位することで、第二原位置と第二演出位置との間を変位するものとする。そして、第一可動部材10と第二可動部材20の両方を動作させる可動演出を実行するに際し、第一演出位置に向かう第一可動部材10の変位が第二演出位置に向かう第二可動部材20の変位よりも先に開始されるようにする(図7参照)。第一可動部材10と第二可動部材20は、先に変位した第一可動部材10により、第二演出位置に向かう第二可動部材20の少なくとも一部が覆われるような位置関係にあるものとする。このようにしても、動作の途中にある第二可動部材20が目立ってしまうのが抑制される。好ましくは、第一可動部材10が第一演出位置に到達した後、第二演出位置に向かう第二可動部材20の動作が開始されるようにする(図7(b)(c)参照)とよい。
【0039】
○第二具体例
上記実施形態では、第一可動部材10として左第一可動部材10Lおよび右第一可動部材10Rの二つが設けられていることを説明したが、一の第一可動部材10が設けられた構成としてもよい。また、三つ以上の第一可動部材10が設けられた構成としてもよい。また、複数の第二可動部材20や第三可動部材30が設けられた構成としてもよい。
【0040】
○第三具体例
上記実施形態では、第一可動部材10が第一演出位置に到達した後、第二可動部材20および第三可動部材30の変位が開始されることを説明したが、第一可動部材10が第一演出位置に向かう変位を開始した後であって、第一可動部材10が第一演出位置に到達するよりも前に、第二可動部材20および第三可動部材30の変位(第一段階の動作)が開始されることがあってもよい。
【0041】
このように設定されていても、先に変位を開始した第一演出位置に向かう第一可動部材10により、その後変位を開始した第二可動部材20および第三可動部材30の少なくとも一部が覆われるから、動作の途中にある第二可動部材20や第三可動部材30が目立ってしまうのが抑制される。すなわち、第一可動部材10の変位の開始と第二可動部材20および第三可動部材30の変位の開始が同時、または第一可動部材10の変位の開始よりも第二可動部材20および第三可動部材30の変位の開始が早い構成とする場合よりも、第一可動部材10の変位の開始が第二可動部材20および第三可動部材30の変位の開始よりも早い構成とした場合の方が、第一可動部材10がより早く遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能な状態となるということであるから、動作途中にある第二可動部材20および第三可動部材30が第一可動部材10によって覆われる作用(被覆作用)が高められることになる。ただし、上記実施形態のように、第一可動部材10が第一演出位置に到達した後、第二可動部材20および第三可動部材30の変位が開始されるようにすれば、第一可動部材10による被覆作用がより確実に発現されるものとなるといえる。
【0042】
○第四具体例
上記実施形態では、第一可動部材10が第一演出位置に向かう変位を開始した後に、第二可動部材20および第三可動部材30が変位を開始することを説明したが、当該変位の開始タイミングの遅早(前後)は変更することも可能である。当該変位の開始タイミングの遅早によらず、第一可動部材10が第一演出位置に到達する時点が、第一段階の動作が終了する時点(すなわち第二可動部材20が途中位置に、第三可動部材30が第三演出位置に到達する時点)よりも前である設定であればよい。
【0043】
このように、先に第一可動部材10が第一演出位置(遊技盤90に形成された開口901に重なる範囲が最も大きい状態)に到達するようにすれば、動作途中にある第二可動部材20および第三可動部材30が第一演出位置に位置する第一可動部材10に覆われる状況が生じ、当該動作途中にある第二可動部材20および第三可動部材30が目立たなくなるという作用が奏される。
【0044】
○第五具体例
第二可動部材20が第二原位置から第二演出位置に向かって変位を開始し、第二演出位置に到達するよりも前の途中時点、または第二演出位置に到達した後、第一可動部材10が第一原位置に戻り、第二演出位置に位置する第二可動部材20による演出が実行されるものとする(図8参照)。つまり、最終的に第一可動部材10と第二可動部材20が組み合わされたかのような演出形態が構築されるというものではなく、第二可動部材20(上記実施形態のように第二可動部材20が第三可動部材30に支持された構成とするのであれば第二可動部材20および第三可動部材30)が遊技者に示される演出態様とする。このようにすれば、まず遊技者に対して第一可動部材10が示された後、当該第一可動部材10によって動作が見えにくくされた第二可動部材20が示されるという流れの演出となる。
【0045】
このように、可動演出において最終的に遊技者に示されるものが、第一可動部材10と第二可動部材20の両方である必要はなく、演出の途中で第一可動部材10が第一原位置に戻る構成としてもよい。
【0046】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0047】
上記実施形態にかかる遊技機1はいわゆるぱちんこ遊技機であるが、可動する部材を備えた遊技機であれば、回動式遊技機等の異なる遊技機に対しても同様の技術思想が適用可能である。
【0048】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0049】
・手段1
第一原位置から第一演出位置に変位することが可能な第一可動部材と、
第二原位置から第二演出位置に変位することが可能な第二可動部材と、
前記第一可動部材を前記第一演出位置に位置させ、前記第二可動部材を前記第二演出位置に位置させる可動演出を実行する演出実行手段と、
を備え、
前記可動演出を実行する際、前記第一演出位置に向かう前記第一可動部材の変位が前記第二演出位置に向かう第二可動部材の変位よりも先に開始されることで、当該第二可動部材が前記第二演出位置に位置するまでの一部の期間中、当該第二可動部材の少なくとも一部が前記第一可動部材に覆われた状態となることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、動作途中にある第二可動部材が目立ってしまうのが第一可動部材により抑制される。
【0050】
・手段2
前記可動演出は、前記第二可動部材が前記第二原位置から途中位置に変位する第一段階の動作の後、当該途中位置から前記第二演出位置に変位する第二段階の動作が実行されるものであり、
前記第二可動部材の前記第二段階の動作が開始される時点において、前記第一可動部材が前記第一演出位置に位置しているように制御されることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
このようにすることで、第一可動部材が第一演出位置に位置した後、第二可動部材が変位するという面白みのある演出形態を構築することが可能である。
【0051】
・手段3
前記途中位置に位置する前記第二可動部材が前記第一演出位置に位置する前記第一可動部材に覆われる範囲は、前記第二演出位置に位置する前記第二可動部材が前記第一演出位置に位置する前記第一可動部材に覆われる範囲よりも大きいことを特徴とする手段2に記載の遊技機。
このようにすることで、第一可動部材が第一演出位置に位置した後、第二可動部材が大きく露出するという面白みのある演出形態を構築することが可能である。
【0052】
・手段4
第三原位置から第三演出位置に変位することが可能な第三可動部材を備え、
前記第二可動部材は、前記第三可動部材に対し変位することが可能となるように、当該第三可動部材に支持されたものであり、
前記第一段階の動作は、前記第三可動部材が前記第三原位置から前記第三演出位置に変位することに伴って前記第二可動部材が前記途中位置に変位するものであり、
前記第二段階の動作は、前記第三可動部材に対して前記第二可動部材が変位することで、当該第二可動部材が前記途中位置から前記第二演出位置に変位するものである
ことを特徴とする手段2または手段3に記載の遊技機。
このようにすることで、動作途中にある第三可動部材が目立ってしまうのが第一可動部材により抑制される。
【符号の説明】
【0053】
1 遊技機
10 第一可動部材(10L 左第一可動部材 10R 右第一可動部材)
20 第二可動部材
30 第三可動部材
40 ベース部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8