(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】自動運転可能な車両
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/50 20060101AFI20230629BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20230629BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20230629BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20230629BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230629BHJP
【FI】
B60Q1/50 Z
G08G1/16 C
F21V23/00 115
F21W103:00
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019177878
(22)【出願日】2019-09-27
【審査請求日】2022-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【氏名又は名称】藤田 正広
(74)【代理人】
【識別番号】100182051
【氏名又は名称】松川 直宏
(74)【代理人】
【識別番号】100179280
【氏名又は名称】河村 育郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180747
【氏名又は名称】小森 剛彦
(72)【発明者】
【氏名】林田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】青木 駿
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/304801(US,A1)
【文献】特開2018-32433(JP,A)
【文献】特開2017-7600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/50
G08G 1/16
F21V 23/00
F21W 103/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転で走行可能な車両において自動運転の際に前記車両の外から視認されるように点灯可能な自動運転表示ランプと、
前記自動運転表示ランプの点灯状態を制御する制御部と、
を有し、
前記自動運転表示ランプは、前記車両の左右および前後で独立して点灯状態を制御可能な右前表示ランプ、左前表示ランプ、右後表示ランプ、および左後表示ランプ、を有し、
前記制御部は、
前記車両が駐停車状態から転舵する自動運転により発進する際に、駐停車中に消灯していた前記自動運転表示ランプとしての前記右前表示ランプ、前記左前表示ランプ、前記右後表示ランプ、および前記左後表示ランプの中の少なくとも一部の複数の表示ランプの点灯状態を、発進方向へ向かって順番に変化させる、
自動運転可能な車両。
【請求項2】
前記自動運転表示ランプを構成する複数の表示ランプは、前記車両の外周面に沿って前記車両の四角に設けられる、
請求項1記載の、自動運転可能な車両。
【請求項3】
前記自動運転表示ランプを構成する各表示ランプは、車幅方向において複数に分けられる点灯区間ごとに点灯制御が可能である、
請求項1または2記載の、自動運転可能な車両。
【請求項4】
前記制御部は、
前記車両が駐停車状態から自動運転により右前へ発進する場合、前記自動運転表示ランプとしての前記左後表示ランプ、前記左前表示ランプ、および前記右前表示ランプの点灯状態を順番に変化させるとともに、前記自動運転表示ランプとしての前記右後表示ランプの点灯状態を、前記車両の自動運転での走行中と同じ非点滅状態となるように点灯させ、
前記車両が駐停車状態から自動運転により左前へ発進する場合、前記自動運転表示ランプとしての前記右後表示ランプ、前記右前表示ランプ、および前記左前表示ランプの点灯状態を順番に変化させるとともに、前記自動運転表示ランプとしての前記左後表示ランプの点灯状態を、前記車両の自動運転での走行中と同じ非点滅状態となるように点灯させ、
前記車両が駐停車状態から自動運転により右後へ発進する場合、前記自動運転表示ランプとしての前記左前表示ランプ、前記左後表示ランプ、および前記右後表示ランプの点灯状態を順番に変化させるとともに、前記自動運転表示ランプとしての前記右前表示ランプの点灯状態を、前記車両の自動運転での走行中と同じ非点滅状態となるように点灯させ、
前記車両が駐停車状態から自動運転により左後へ発進する場合、前記自動運転表示ランプとしての前記右前表示ランプ、前記右後表示ランプ、および前記左後表示ランプの点灯状態を順番に変化させるとともに、前記自動運転表示ランプとしての前記左前表示ランプの点灯状態を、前記車両の自動運転での走行中と同じ非点滅状態となるように点灯させる、
請求項1から3のいずれか一項記載の、自動運転可能な車両。
【請求項5】
前記制御部は、
前記車両が駐停車状態から自動運転により右前へ発進する場合、前記自動運転表示ランプとしての前記左後表示ランプ、前記左前表示ランプ、および前記右前表示ランプを、前記車両についての右回りのフラッシュ点灯状態となるように点灯させるとともに、前記自動運転表示ランプとしての前記右後表示ランプの点灯状態を、前記車両の自動運転での走行中と同じ非点滅状態となるように点灯させ、
前記車両が駐停車状態から自動運転により左前へ発進する場合、前記自動運転表示ランプとしての前記右後表示ランプ、前記右前表示ランプ、および前記左前表示ランプを、前記車両についての左回りのフラッシュ点灯状態となるように点灯させるとともに、前記自動運転表示ランプとしての前記左後表示ランプの点灯状態を、前記車両の自動運転での走行中と同じ非点滅状態となるように点灯させ、
前記車両が駐停車状態から自動運転により右後へ発進する場合、前記自動運転表示ランプとしての前記左前表示ランプ、前記左後表示ランプ、および前記右後表示ランプを、前記車両についての左回りのフラッシュ点灯状態となるように点灯させるとともに、前記自動運転表示ランプとしての前記右前表示ランプの点灯状態を、前記車両の自動運転での走行中と同じ非点滅状態となるように点灯させ、
前記車両が駐停車状態から自動運転により左後へ発進する場合、前記自動運転表示ランプとしての前記右前表示ランプ、前記右後表示ランプ、および前記左後表示ランプを、前記車両についての右回りのフラッシュ点灯状態となるように点灯させるとともに、前記自動運転表示ランプとしての前記左前表示ランプの点灯状態を、前記車両の自動運転での走行中と同じ非点滅状態となるように点灯させる、
請求項1から3のいずれか一項記載の、自動運転可能な車両。
【請求項6】
前記制御部は、
自動運転で発進した前記車両が自動運転での通常の走行状態になると、前記自動運転表示ランプを構成するすべての表示ランプを、発進時の点灯状態から、自動運転での走行中の点灯状態へ切り替える、
請求項1から5のいずれか一項記載の、自動運転可能な車両。
【請求項7】
前記制御部は、
前記車両の車速が閾値以上になると、前記車両が発進を開始してからの経過時間が閾値以上になると、前記車両が車線に沿って走行している状態になると、前記車両に設けられるターンランプが消灯すると、自動運転で発進した前記車両が自動運転での通常の走行状態になると判断する、
請求項6記載の、自動運転可能な車両。
【請求項8】
前記車両が自動運転により発進する際に前記自動運転表示ランプの点灯制御に用いる前記自動運転表示ランプの点灯パターンとして、複数の発進方向についての複数の点灯パターンを記憶するメモリ、を有し、
前記制御部は、
前記車両が自動運転を開始する場合に、前記車両についての自動運転による発進方向に基づいて前記メモリから1つの前記点灯パターンを選択し、
選択した前記点灯パターンにより、自動運転中に点灯する前記自動運転表示ランプの点灯状態を制御した後に、
前記車両を駐停車状態から自動運転により発進させる制御を開始する、
請求項1から7のいずれか一項記載の自動運転可能な車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動運転可能な車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両では、車両の走行を自動化する自動運転の研究開発が進んでいる。
車両は、将来的には、たとえば目的地を設定すると、その目的地まで自動制御により走行し、目的地において駐停車するようになることが期待されている。
このような自動運転可能な車両では、走行する経路の適切な選択、進路の安全性の確認、危険の回避制御、を実行して、目的地まで事故などを起こすことなく走行することが求められると考えられる。
しかしながら、このような安全走行のための制御を実行し得たとしても、100%の安全性を保障し得るとは限らない。自動運転可能な車両による走行制御だけでは、確保可能な安全性について限界がある可能性がある。
【0003】
このため、このような自動運転可能な車両では、車両が自動運転中である場合に、たとえば車両の外から視認されるように自動運転表示ランプを点灯することが考えられる(特許文献1、2)。
自動運転可能な車両が自動運転中に自動運転表示ランプを点灯することにより、自動運転可能な車両が走行する道路やレーンにいる他の車両の乗員やその周囲にいる歩行者は、車両が自動運転中であることを把握でき、それに応じた行動や事前対応を準備することが可能になる。このように、自動運転可能な車両が走行する環境では、安全性を高めるためには、車両単独の制御のみでは限界があり、それ以外の歩行者や他の車両による協力が必要不可欠であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-032433号公報
【文献】特開2019-064471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自動運転可能な車両について、このように自動運転中に自動運転表示ランプを点灯し続けた場合、自動運転表示ランプによる消費電力が問題となる。自動運転表示ランプによる電力消費を抑制するためには、たとえば自動運転中の車両が路肩などに駐停車している場合には自動運転表示ランプを消灯することが考えられる。
しかしながら、このように駐停車中に自動運転表示ランプを消灯すると、たとえば以下のような課題が生じ得る。
たとえば、自動運転表示ランプを消灯して駐停車している自動運転中に車両が、たとえば乗員の乗車などにより急に発進を始めると、その周囲にいる歩行者や他の車両の乗員などは、止まっていると認識している車両が急に突然に発進したことに驚かされることになる。周囲にいる人は、急に発進する車両の動きに対して適切に対応することがむずしい。特に、周囲にいる人は、自動運転の車両に乗車しているドライバなどとアイコンタクトを得て、自動運転で発進しようとしている車両の進行方向を判断することが難しい。車両に自ら操作して発進させようとしているドライバなどが乗車していれば、発進前の周辺確認の際にドライバがたとえば車両の前を横断しようとしている歩行者と視線を合わせることにより、これから発進しようとしている意思を発進方向にいる人へ伝えることができるが、自動運転で発進する車両においてはそのような乗員が不在となる可能性が高い。
【0006】
このように自動運転可能な車両では、自動運転表示ランプによる電力消費を抑制しつつ、駐停車状態から発進する際にはそのことを車両の周囲にいる人へ好適に知らせるようにすることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る自動運転可能な車両は、自動運転で走行可能な車両において自動運転の際に前記車両の外から視認されるように点灯可能な自動運転表示ランプと、前記自動運転表示ランプの点灯状態を制御する制御部と、を有し、前記自動運転表示ランプは、前記車両の左右および前後で独立して点灯状態を制御可能な右前表示ランプ、左前表示ランプ、右後表示ランプ、および左後表示ランプ、を有し、前記制御部は、前記車両が駐停車状態から転舵する自動運転により発進する際に、駐停車中に消灯していた前記自動運転表示ランプとしての前記右前表示ランプ、前記左前表示ランプ、前記右後表示ランプ、および前記左後表示ランプの中の少なくとも一部の複数の表示ランプの点灯状態を、発進方向へ向かって順番に変化させる。
【0008】
好適には、前記自動運転表示ランプを構成する複数の表示ランプは、前記車両の外周面に沿って前記車両の四角に設けられる、とよい。
【0009】
好適には、前記自動運転表示ランプを構成する各表示ランプは、車幅方向において複数に分けられる点灯区間ごとに点灯制御が可能である、とよい。
【0010】
好適には、前記制御部は、前記車両が駐停車状態から自動運転により右前へ発進する場合、前記自動運転表示ランプとしての前記左後表示ランプ、前記左前表示ランプ、および前記右前表示ランプの点灯状態を順番に変化させるとともに、前記自動運転表示ランプとしての前記右後表示ランプの点灯状態を、前記車両の自動運転での走行中と同じ非点滅状態となるように点灯させ、前記車両が駐停車状態から自動運転により左前へ発進する場合、前記自動運転表示ランプとしての前記右後表示ランプ、前記右前表示ランプ、および前記左前表示ランプの点灯状態を順番に変化させるとともに、前記自動運転表示ランプとしての前記左後表示ランプの点灯状態を、前記車両の自動運転での走行中と同じ非点滅状態となるように点灯させ、前記車両が駐停車状態から自動運転により右後へ発進する場合、前記自動運転表示ランプとしての前記左前表示ランプ、前記左後表示ランプ、および前記右後表示ランプの点灯状態を順番に変化させるとともに、前記自動運転表示ランプとしての前記右前表示ランプの点灯状態を、前記車両の自動運転での走行中と同じ非点滅状態となるように点灯させ、前記車両が駐停車状態から自動運転により左後へ発進する場合、前記自動運転表示ランプとしての前記右前表示ランプ、前記右後表示ランプ、および前記左後表示ランプの点灯状態を順番に変化させるとともに、前記自動運転表示ランプとしての前記左前表示ランプの点灯状態を、前記車両の自動運転での走行中と同じ非点滅状態となるように点灯させる、とよい。
【0011】
好適には、前記制御部は、前記車両が駐停車状態から自動運転により右前へ発進する場合、前記自動運転表示ランプとしての前記左後表示ランプ、前記左前表示ランプ、および前記右前表示ランプを、前記車両についての右回りのフラッシュ点灯状態となるように点灯させるとともに、前記自動運転表示ランプとしての前記右後表示ランプの点灯状態を、前記車両の自動運転での走行中と同じ非点滅状態となるように点灯させ、前記車両が駐停車状態から自動運転により左前へ発進する場合、前記自動運転表示ランプとしての前記右後表示ランプ、前記右前表示ランプ、および前記左前表示ランプを、前記車両についての左回りのフラッシュ点灯状態となるように点灯させるとともに、前記自動運転表示ランプとしての前記左後表示ランプの点灯状態を、前記車両の自動運転での走行中と同じ非点滅状態となるように点灯させ、前記車両が駐停車状態から自動運転により右後へ発進する場合、前記自動運転表示ランプとしての前記左前表示ランプ、前記左後表示ランプ、および前記右後表示ランプを、前記車両についての左回りのフラッシュ点灯状態となるように点灯させるとともに、前記自動運転表示ランプとしての前記右前表示ランプの点灯状態を、前記車両の自動運転での走行中と同じ非点滅状態となるように点灯させ、前記車両が駐停車状態から自動運転により左後へ発進する場合、前記自動運転表示ランプとしての前記右前表示ランプ、前記右後表示ランプ、および前記左後表示ランプを、前記車両についての右回りのフラッシュ点灯状態となるように点灯させるとともに、前記自動運転表示ランプとしての前記左前表示ランプの点灯状態を、前記車両の自動運転での走行中と同じ非点滅状態となるように点灯させる、とよい。
【0012】
好適には、前記制御部は、自動運転で発進した前記車両が自動運転での通常の走行状態になると、前記自動運転表示ランプを構成するすべての表示ランプを、発進時の点灯状態から、自動運転での走行中の点灯状態へ切り替える、とよい。
【0013】
好適には、前記制御部は、前記車両の車速が閾値以上になると、前記車両が発進を開始してからの経過時間が閾値以上になると、前記車両が車線に沿って走行している状態になると、前記車両に設けられるターンランプが消灯すると、自動運転で発進した前記車両が自動運転での通常の走行状態になると判断する、とよい。
【0014】
好適には、前記車両が自動運転により発進する際に前記自動運転表示ランプの点灯制御に用いる前記自動運転表示ランプの点灯パターンとして、複数の発進方向についての複数の点灯パターンを記憶するメモリ、を有し、前記制御部は、前記車両が自動運転を開始する場合に、前記車両についての自動運転による発進方向に基づいて前記メモリから1つの前記点灯パターンを選択し、選択した前記点灯パターンにより、自動運転中に点灯する前記自動運転表示ランプの点灯状態を制御した後に、前記車両を駐停車状態から自動運転により発進させる制御を開始する、とよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、自動運転表示ランプは、車両の左右および前後で独立して点灯状態を制御可能な右前表示ランプ、左前表示ランプ、右後表示ランプ、および左後表示ランプ、を有する。そして、制御部は、車両が駐停車状態から自動運転により発進する際に、駐停車中に消灯していた自動運転表示ランプとしての右前表示ランプ、左前表示ランプ、右後表示ランプ、および左後表示ランプの中の少なくとも一部の複数の表示ランプの点灯状態を、発進方向へ向かって順番に変化させる。たとえばこれらの自動運転表示ランプを構成する四角の表示ランプそれぞれが車幅方向において複数に分けられる点灯区間ごとに点灯制御が可能である場合であれば、車両の前または後における左右1組の表示ランプにおいて複数の点灯区間の点灯状態を点灯または消灯が発進方向に対応する位置へ向かって逆向きで流れるようにフラッシュ点灯させたり、各表示ランプにおいて複数の点灯区間を順番に点灯または消灯して表示範囲が発進方向に対応する位置へ向かって逆向きで長短に変化するように点灯させたりすることにより、複数の表示ランプの点灯状態を、発進方向を示すように変化させることができる。
これにより、自動運転表示ランプを消灯して駐停車していた自動運転可能な車両が発進しようとする場合、車両の周囲にいる人は、車両の左右および前後に設けられる自動運転表示ランプとしての複数の表示ランプが駐停車中の消灯状態から変化することを視認できる。車両の周囲にいる人は、自動運転表示ランプを消灯して駐停車している自動運転可能な車両が自動運転により発進しようとしていることを確認できる。
しかも、本発明では、自動運転中に点灯する自動運転表示ランプとして車両の左右および前後に設けられる複数の表示ランプの点灯状態は、単に点灯するのではなく、発進方向へ向かって順番に変化する。自動運転表示ランプとして車両の左右および前後に設けられる複数の表示ランプの点灯状態がこのように変化する点灯となることにより、車両の周囲にいる人は、自動運転可能な車両についての、発進方向を視認により把握できる。
その結果、車両の周囲にいる人は、自動運転表示ランプを消灯して駐停車していた自動運転可能な車両が発進する際に、その発進方向を把握して、その発進に対して良好に対処できるようになる。
このように本発明では、自動運転表示ランプによる電力消費を抑制しつつ、駐停車状態から発進する際には単に発進することだけでなく発進方向を、車両の周囲にいる人へ好適に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の第一実施形態に係る、自動運転可能な自動車の説明図である。
【
図3】
図3は、
図1の自動車における自動運転表示ランプの配置の説明図である。
【
図4】
図4は、
図3の自動運転表示ランプの構造の説明図である。
【
図5】
図5は、
図2のメモリに記録される自動運転表示ランプの点灯パターンテーブルの説明図である。
【
図6】
図6は、
図2の自動運転/運転支援ECUが実行する自動運転中の自動車の制御のフローチャートである。
【
図7】
図7は、
図5の点灯パターンテーブルに基づく、発進方向に応じた自動運転表示ランプの点灯状態の一例の説明図である。
【
図8】
図8は、本発明の第二実施形態に係る、自動運転可能な自動車の自動運転表示ランプの配置、点灯状態、および点灯パターンテーブルの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0018】
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態に係る、自動運転可能な自動車1の説明図である。
図1には、自動運転と手動運転とで切り替えて走行可能な自動車1が示されている。
図1(A)では、自動車1は、たとえば乗員5の乗車を待つために車道の路肩寄りに駐停車している。車道には、他の自動車6が走行している。また、自動車1の周囲には、路肩を移動する歩行者7、車道を横断する歩行者7、がいる。自動運転可能な自動車1は、たとえば乗員5が乗ると、車道へ向かって発進して車道に合流して、車道を乗員5の目的まで自動運転により走行する。
図1(B)では、自動車1は、たとえば車道わきのパーキングの駐車スペースに駐停車している。パーキングスペースには他の自動車6が駐停車している。車道には、他の自動車6が走行している。また、自動車1の周囲には、道路を移動する歩行者7、がいる。自動運転可能な自動車1は、たとえば乗員5が乗ると、駐車スペースから車道へ向かって発進して、車道を乗員5の目的まで自動運転により走行する。
【0019】
このような自動運転可能な自動車1は、走行する経路の適切な選択、進路の安全性の確認、危険の回避制御、を実行して、目的地まで事故などを起こすことなく走行することが求められると考えられる。
しかしながら、このような安全走行のための制御を実行し得たとしても、100%の安全性を保障し得るとは限らない。自動運転可能な自動車1による走行制御だけでは、確保可能な安全性について限界がある可能性がある。
このため、このような自動運転可能な自動車1では、自動車1が自動運転中である場合に、たとえば自動車1の外から視認されるように自動運転表示ランプ10を点灯することが考えられる。
自動運転可能な自動車1が自動運転中に自動運転表示ランプ10を点灯することにより、自動運転中の自動車1の周囲にいる人は、自動車1が自動運転により走行していることを把握できる。周囲にいる人は、自動運転により走行している自動車1の動きに対処することができる。
しかしながら、このような自動運転表示ランプ10を自動運転中において点灯し続けると、自動運転可能な自動車1で利用可能な電力が、自動運転表示ランプ10の点灯により消費され続けることになる。このため、たとえば自動運転中の自動車1が路肩などに駐停車している場合には自動運転表示ランプ10を消灯することが考えられる。しかしながら、このように駐停車中に自動運転表示ランプ10を消灯してしまうと、今度は、たとえば以下のような課題が生じ得る。
たとえば、自動運転表示ランプ10を消灯して駐停車している自動運転中に自動車1が、たとえば乗員5の乗車などにより急に発進を始めると、その周囲にいる歩行者7や他の自動車6の乗員などは、止まっていると認識している自動車1が急に突然に発進したことに驚かされることになる。周囲にいる人は、急に発進する自動車1の動きに対して適切に対応することがむずしい。特に、周囲にいる人は、自動運転の自動車1に乗車しているドライバなどとアイコンタクトを得て、自動運転で発進しようとしている自動車1の進行方向を判断することが難しい。自動車1に自ら操作して発進させようとしているドライバなどが乗車していれば、発進前の周辺確認の際にドライバがたとえば自動車1の前を横断しようとしている歩行者7と視線を合わせることにより、これから発進しようとしている意思を発進方向にいる人へ伝えることができるが、自動運転で発進する自動車1においてはそのような乗員5が不在となる可能性が高い。
このように自動運転可能な自動車1では、駐停車状態から発進する際には特に駐停車状態から発進することを自動車1の周囲にいる人などの移動体に対して知らせることができるようにすることが求められる。
【0020】
図2は、
図1の自動車1の制御系20の説明図である。
図2には、自動車1の制御系20を構成する複数の制御装置が、それぞれに組み込まれる制御ECU(Electronic Control Unit)により代表して示されている。制御装置は、制御ECUの他に、たとえば制御プログラムおよびデータを記録する記憶部材、制御対象物またはその状態検出装置と接続される入出力ポート、時間や時刻を計測するタイマ、およびこれらが接続される内部バス、を有してよい。
図2に示される制御ECUは、具体的にはたとえば、駆動ECU21、操舵ECU22、制動ECU23、自動運転/運転支援ECU24、運転操作ECU25、検出ECU26、外通信ECU27、UI操作ECU28、ランプECU29、警報ECU30、である。自動車1の制御系20は、図示しない他の制御ECUを備えてよい。
【0021】
複数の制御ECUは、自動車1で採用されるたとえばCAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)といった車ネットワーク36に接続される。車ネットワーク36は、複数の制御ECUを接続可能な複数のバスケーブル37と、複数のバスケーブル37が接続される中継装置としてのセントラルゲートウェイ(CGW)38と、で構成されてよい。複数の制御ECUには、互いに異なる識別情報としてのIDが割り当てられる。制御ECUは、基本的に周期的に、他の制御ECUへ通知データを出力する。通知データには、出力元の制御ECUのIDと、出力先の制御ECUのIDとが付加される。他の制御ECUは、バスケーブル37を監視し、出力先のIDがたとえば自らのものである場合、通知データを取得し、通知データに基づく処理を実行する。セントラルゲートウェイ38は、接続されている複数のバスケーブル37それぞれを監視し、出力元の制御ECUとは異なるバスケーブル37に接続されている制御ECUを検出すると、そのバスケーブル37へ通知データを出力する。このようなセントラルゲートウェイ38の中継処理により、複数の制御ECUは、それぞれが接続されてるバスケーブル37とは異なるバスケーブル37に接続されている他の制御ECUとの間で通知データを入出力できる。
【0022】
外通信ECU27は、たとえば、自動車1の外に存在する通信基地局101、他の自動車6の通信装置と無線通信する。通信基地局101は、たとえばADAS(Advanced Driver Assistance System)通信網の基地局であっても、キャリア通信網の基地局であってもよい。キャリア通信網の基地局は、他の自動車6の通信装置だけでなく、乗員5が所持する携帯機器102と通信してよい。外通信ECU27は、直接的に通信する相手の種類ごとに複数に分けて自動車1に設けられてよい。そして、通信基地局101、他の自動車6の通信装置、および携帯機器102は、サーバ装置103とともに、交通システム100を構成する。外通信ECU27は、直接的には通信基地局101または他の自動車6の通信装置と無線通信することにより、サーバ装置103、他の自動車6または携帯機器102との間で通信データを送受する。
【0023】
UI操作ECU28には、たとえば乗員5とのユーザインタフェース機器として、表示デバイス31、操作デバイス32、が接続される。表示デバイス31は、たとえば液晶デバイス、映像投影デバイス、でよい。操作デバイス32は、たとえばタッチパネル、キーボード、非接触操作検出デバイス、でよい。表示デバイス31および操作デバイス32は、たとえば乗員5が乗る車室の内面に設置されてよい。UI操作ECU28は、車ネットワーク36から通知データを取得し、表示デバイス31に表示する。UI操作ECU28は、操作デバイス32に対する操作入力を、車ネットワーク36へ出力する。また、UI操作ECU28は、操作入力に基づく処理を実行し、その処理結果を通知データに含めてよい。UI操作ECU28は、たとえば、表示デバイス31に目的地などを設定するためのナビ画面を表示し、操作入力により選択した目的地までの経路を探索し、その経路データを通知データに含めてよい。経路データには、現在地から目的地までの移動に使用する道路のたとえばレーンなどの属性情報が含まれてよい。
【0024】
運転操作ECU25には、乗員5が自動車1の走行を制御するために操作部材として、たとえばハンドル41、ブレーキペダル42、アクセルペダル43、シフトレバー44、などが接続される。操作部材が操作されると、運転操作ECU25は、操作の有無、操作量などを含む通知データを、車ネットワーク36へ出力する。また、運転操作ECU25は、操作部材に対する操作についての処理を実行し、その処理結果を通知データに含めてよい。運転操作ECU25は、たとえば自動車1の進行方向に他の移動体や固定物がある状況においてアクセルペダル43が操作された場合、その異常操作を判断し、その判断結果を通知データに含めてよい。
【0025】
検出ECU26には、自動車1の走行状態を検出するための検出部材として、たとえば自動車1の速度を検出する速度センサ51、自動車1の加速度を検出する加速度センサ52、自動車1の外側の周囲を撮像するたとえばステレオカメラ、360度カメラといった周辺カメラ53、自動車1の位置を検出するGPS受信機54、などが接続される。検出ECU26は、検出部材から検出情報を取得し、検出情報を含む通知データを、車ネットワーク36へ出力する。また、検出ECU26は、検出情報に基づく処理を実行し、その処理結果を通知データに含めてよい。検出ECU26は、たとえば、加速度センサ52が衝突検出閾値を超える加速度を検出した場合、衝突検出を判断し、衝突検出結果を通知データに含めてよい。検出ECU26は、周辺カメラ53の画像に基づいて自車の周囲に存在する歩行者7や他の自動車6といった移動体を抽出し、移動体の種類や属性を判断し、画像中の移動体の位置や大きさや変化に応じて移動体の相対方向、相対距離、移動方向を推定し、これらの推定結果を含む移動体の情報を通知データに含めて車ネットワーク36へ出力してよい。
【0026】
自動運転/運転支援ECU24には、メモリ60が接続される。メモリ60は、プログラム、設定値、などが記録される。自動運転/運転支援ECU24は、メモリ60からプログラムを読み込んで実行する。これにより、自動運転/運転支援ECU24は、制御部として機能し得る。
たとえば、自動運転/運転支援ECU24は、車ネットワーク36から通知データを取得し、自動車1の走行を自動運転と手動運転とで切り替える。
また、自動運転/運転支援ECU24は、車ネットワーク36から通知データを取得し、自動車1の自動運転または運転支援のための制御を実行し、走行制御データを生成して駆動ECU21、操舵ECU22、および制動ECU23へ出力する。駆動ECU21、操舵ECU22、および制動ECU23は、入力される走行制御データに基づいて、自動車1の走行を制御する。
自動車1を自動運転する場合、自動運転/運転支援ECU24は、走行制御部として、車ネットワーク36から通知データを取得し、目的地までの経路を探索または取得する。自動運転/運転支援ECU24は、車ネットワーク36から通知データを取得し、自動車1に異常や危険がないか否かを判断し、自動車1に異常や危険がない場合には、経路にそって移動する進路についての走行制御データを生成して通知データとして出力する。自動運転/運転支援ECU24は、目的地の駐車場などに停車するまで、目的地に到達するまでその移動経路に沿って走行するようにGPS受信機54などの自車の位置情報に基づいて、自動車1の走行を制御する。自動車1についての異常または危険がある場合、自動運転/運転支援ECU24は、その異常または危険を回避するように走行制御データを生成して通知データとして出力する。
自動車1の運転を支援する場合、自動運転/運転支援ECU24は、車ネットワーク36を通じてUI操作ECU28から操作入力の通知データを取得し、その操作入力による操作を調整した走行制御データを生成して通知データとして出力する。自動運転/運転支援ECU24は、乗員5の運転操作に応じて、自動車1の走行を制御する。自動車1についての異常または危険がある場合、自動運転/運転支援ECU24は、その異常または危険を回避するように走行制御データを生成して通知データとして出力する。
【0027】
ランプECU29には、自動車1の前部に設けられるヘッドランプ71、自動車1の前後左右に設けられる方向指示器としてのターンランプ72、自動車1の後部に設けられるストップランプ73、自動車1の後部に設けられる後退灯としてのバックランプ74、自動運転表示ランプ10、が接続される。ヘッドランプ71、ターンランプ72、ストップランプ73、バックランプ74は、自動運転表示ランプ10とは別に、自動車1に設けられる他のランプである。
ランプECU29は、車ネットワーク36からランプを制御するための通知データを取得し、それに応じてヘッドランプ71、ターンランプ72、ストップランプ73、バックランプ74、自動運転表示ランプ10、の点灯状態を制御する。ランプECU29は、たとえば自動運転/運転支援ECU24が自動車1の走行を自動運転で制御している場合、自動運転/運転支援ECU24からの指示に基づいて、自動運転中に自動車1の外から視認されるように自動運転表示ランプ10を点灯する。これにより、たとえば自動車1の周囲にいる人は、点灯している自動運転表示ランプ10を視認することにより自動車1が自動運転中であることを把握できる。また、自動運転中の自動車1の走行に対処することができる。
【0028】
警報ECU30には、外スピーカ81、が接続される。警報ECU30は、車ネットワーク36から警報出力の通知データを取得し、それに応じて外スピーカ81から警報音を出力する。
【0029】
図3は、
図1の自動車1における自動運転表示ランプ10の配置の説明図である。
図3(A)は、
図1の自動車1の平面図である。
図3(B)は、自動車1の左側面図である。
図3(C)は、自動車1の前面図である。
図3(D)は、自動車1の後面図である。
図3の自動車1には、自動運転表示ランプ10として、右前表示ランプ11、右後表示ランプ12、左前表示ランプ13、左後表示ランプ14、を有する。自動運転表示ランプ10を構成する右前表示ランプ11、右後表示ランプ12、左前表示ランプ13、左後表示ランプ14は、同一色、たとえばターコイズブルーに点灯可能であるとよい。
【0030】
右前表示ランプ11は、自動車1の下部の外周面に沿って右前角に設けられる。左前表示ランプ13は、自動車1の下部の外周面に沿って左前角に設けられる。右前表示ランプ11と左前表示ランプ13との上には、ヘッドランプ71、ターンランプ72、が隣接して配置される。
右後表示ランプ12は、自動車1の下部の外周面に沿って右後角に設けられる。左後表示ランプ14は、自動車1の下部の外周面に沿って左後角に設けられる。右後表示ランプ12と、左後表示ランプ14とは、自動車1の後面の中央において隣接する。右後表示ランプ12と左後表示ランプ14との上には、バックランプ74、ストップランプ73、ターンランプ72、が隣接して配置される。
このように自動運転表示ランプ10を構成する複数の表示ランプ11~14は、自動車1の下部の外周面に沿って自動車1の四角に設けられる。自動運転表示ランプ10は、自動運転で走行可能な自動車1において、自動車1の外から略全周的に視認可能に設けられる。
そして、右前表示ランプ11、右後表示ランプ12、左前表示ランプ13、左後表示ランプ14は、自動車1の前後左右で独立して点灯状態を制御可能である。
なお、図中に破線で示すように、右前表示ランプ11と、左前表示ランプ13とは、自動車1の前面の中央において隣接してもよい。右後表示ランプ12と、左後表示ランプ14とは、自動車1の後面の中央において隣接してもよい。右前表示ランプ11と、右後表示ランプ12とは、自動車1の右側面の中央において隣接してもよい。左前表示ランプ13と、左後表示ランプ14とは、自動車1の左側面の中央において隣接してもよい。
【0031】
図4は、
図3の自動運転表示ランプ10の構造の説明図である。
図4には、右前表示ランプ11と、左前表示ランプ13とが図示されている。なお、右後表示ランプ12と、左後表示ランプ14とも、同様の構造を有する。
【0032】
右前表示ランプ11は、自動車1の前面での延在方向に沿って、複数の発光ユニット18が配列された構造を有する。右前表示ランプ11の複数の発光ユニット18は、自動車1の右前角から中央に掛けて一列に配列されて、自動車1の左右方向である車幅方向に沿って並ぶ。
左前表示ランプ13は、自動車1の前面での延在方向に沿って、複数の発光ユニット18が配列された構造を有する。左前表示ランプ13の複数の発光ユニット18は、自動車1の左前角から中央に掛けて一列に配列されて、自動車1の車幅方向に沿って並ぶ。
発光ユニット18は、たとえばLEDといった発光素子19を有する。この他にもたとえば、発光ユニット18は、共通の光源からの光を導く導光路を有してよい。
このように複数の発光ユニット18が車幅方向に沿って並べて形成される右前表示ランプ11、左前表示ランプ13、右後表示ランプ12、左後表示ランプ14のそれぞれは、発光ユニット18ごとに独立して点灯を制御可能である。発光ユニット18の車幅方向における幅で決まる点灯区間ごとに、点灯制御が可能である。たとえば自動車1の左右両側の発光ユニット18から中央の発光ユニット18へ向かって順番に点灯したりまたは順番に消灯したり、左右両側の発光ユニット18から順番に中央の発光ユニット18へ向かって点灯したりまたは消灯したりできる。これにより、表示ランプ11~14は、点灯または消灯が流れるようにフラッシュ点灯したり、表示範囲が車幅方向において長短に変化するように点灯したりできる。
この他にもたとえば、各表示ランプは、それに沿って延在する光源と、点灯区間ごとに可動可能な複数のシャッタと、を備えてもよい。この場合でも、複数のシャッタの開閉を、点灯区間ごとに制御可能である。
【0033】
図5は、
図2のメモリ60に記録される自動運転表示ランプ10の点灯パターンテーブル61の説明図である。
右前表示ランプ11、右後表示ランプ12、左前表示ランプ13、左後表示ランプ14それぞれの点灯状態は、点灯パターンテーブル61にしたがって制御される。
【0034】
図5の点灯パターンテーブル61は、各行ごとの、複数の点灯パターンのデータを有する。各点灯パターンのデータは、自動車1が自動運転により走行する際の走行状態に応じて選択して、自動運転表示ランプ10の点灯制御に用いられる。
【0035】
図5の一行目の点灯パターンのデータは、自動車1が自動運転より右前へ発進する際に用いられる。自動車1が自動運転より右前へ発進する場合、左後表示ランプ14、左前表示ランプ13、右前表示ランプ11は、その順番で切り替えて点灯される。左後表示ランプ14は、右端の発光ユニット18から左端の発光ユニット18までを順番に点灯する左フラッシュの点灯状態に制御される。左前表示ランプ13は、左端の発光ユニット18から右端の発光ユニット18までを順番に点灯する右フラッシュの点灯状態に制御される。右前表示ランプ11は、左端の発光ユニット18から右端の発光ユニット18までを順番に点灯する右フラッシュの点灯状態に制御される。右後表示ランプ12は、すべての発光ユニット18を点灯し続ける全面連続点灯状態に制御される。
【0036】
図5の二行目の点灯パターンのデータは、自動車1が自動運転より左前へ発進する際に用いられる。自動車1が自動運転より左前へ発進する場合、右後表示ランプ12、右前表示ランプ11、左前表示ランプ13は、その順番で切り替えて点灯される。右後表示ランプ12は、右フラッシュの点灯状態に制御される。右前表示ランプ11、左前表示ランプ13は、左フラッシュの点灯状態に制御される。左後表示ランプ14は、全面連続点灯状態に制御される。
【0037】
図5の三行目の点灯パターンのデータは、自動車1が自動運転より右後へ発進する際に用いられる。自動車1が自動運転より右後へ発進する場合、左前表示ランプ13、左後表示ランプ14、右後表示ランプ12は、その順番で切り替えて点灯される。左前表示ランプ13は、左フラッシュの点灯状態に制御される。左後表示ランプ14、右後表示ランプ12は、右フラッシュの点灯状態に制御される。右前表示ランプ11は、全面連続点灯状態に制御される。
【0038】
図5の四行目の点灯パターンのデータは、自動車1が自動運転より左後へ発進する際に用いられる。自動車1が自動運転より左後へ発進する場合、右前表示ランプ11、右後表示ランプ12、左後表示ランプ14は、その順番で切り替えて点灯される。右前表示ランプ11は、右フラッシュの点灯状態に制御される。右後表示ランプ12、左後表示ランプ14は、左フラッシュの点灯状態に制御される。左前表示ランプ13は、全面連続点灯状態に制御される。
このように、
図5の点灯パターンテーブル61は、複数の発進方向についての複数の点灯パターンを有する。前後左右に分ける4つの点灯パターンを有する。これらの発進方向ごとの複数の点灯パターンは、駐停車中の自動車1が発進する自動発進モードにおいて選択して用いられる。4つの点灯パターンでは、自動車1が駐停車状態から自動運転により発進する場合に、駐停車中に消灯していた自動運転表示ランプ10としての複数の表示ランプ11~14の中の少なくとも複数の表示ランプの点灯状態を、それぞれが対応する発進方向へ向かって順番に変化させる。
【0039】
また、
図5の五行目の点灯パターンのデータは、自動車1が発進を終えて経路にしたがって走行する自動経路走行モードにおいて用いられる。自動車1が経路にしたがって走行する場合、右前表示ランプ11、右後表示ランプ12、左前表示ランプ13、左後表示ランプ14はすべて、すべての発光ユニット18を点灯し続ける全面連続点灯状態に制御される。
【0040】
図6は、
図2の自動運転/運転支援ECU24が実行する自動運転中の自動車1の制御のフローチャートである。
自動運転/運転支援ECU24は、自動運転可能な自動車1の制御部として、
図6の処理を繰り返し実行する。
自動運転/運転支援ECU24は、
図6の処理により、自動運転可能な自動車1の自動運転を制御するとともに、自動運転表示ランプ10の点灯状態を制御する。
【0041】
ステップST1において、自動運転/運転支援ECU24は、
図2に示す自動車1の各部の制御ECUから、車ネットワーク36を通じて、制御に用いる情報を取得する。
【0042】
ステップST2において、自動運転/運転支援ECU24は、自動車1の自動運転を開始するか否かを判断する。自動運転/運転支援ECU24は、たとえば自動車1が自動運転での走行に設定されているか否かを判断する。自動運転/運転支援ECU24は、たとえばUI操作ECU28からユーザによる自動運転の設定データを取得している場合、自動車1が自動運転での走行に設定されていると判断する。また、自動運転/運転支援ECU24は、自動車1が自動運転で発進可能であるか、または発進する状態であるか、を判断してよい。自動運転/運転支援ECU24は、たとえば不図示のシートベルトの装着センサ、車内カメラ、ドアの開閉センサによる乗員5の乗車が検出されることに基づいて、自動車1に乗員5が乗ったと判断してよい。自動運転/運転支援ECU24は、自動運転での目的地や経路がUI操作ECU28により取得されている場合、発進する状態であると判断してよい。また、自動運転/運転支援ECU24は、UI操作ECU28の不図示の走行開始ボタンの操作に基づいて、発進する状態であると判断してよい。この他にもたとえば、自動運転/運転支援ECU24は、自動車1が自動運転による走行が可能な状態にあるのかを、たとえば不図示の駆動用のバッテリの残電力などに基づいて判断してよい。これらの判断により、自動車1が自動運転での走行を開始することが要求されて且つ可能である場合、自動運転/運転支援ECU24は、自動車1の自動運転を開始すると判断し、処理をステップST3へ進める。いずれかの判断結果が自動運転の開始に適していない場合、自動運転/運転支援ECU24は、すべての判断結果が自動運転の開始に適するようになるまで、本判断処理を繰り返す。
【0043】
ステップST3において、自動運転/運転支援ECU24は、自動車1が駐停車中であるか否かを判断する。ステップST3の処理タイミングにおいて既に自動車1が自動運転による走行を開始している場合、自動運転/運転支援ECU24は、自動車1が駐停車中でないと判断し、処理をステップST13へ進める。自動車1が自動運転による走行を開始していない駐停車中である場合、自動運転/運転支援ECU24は、自動車1が駐停車中でないと判断し、処理をステップST4へ進める。
【0044】
ステップST4において、自動運転/運転支援ECU24は、自動発進モードによる自動運転の制御を開始する。
【0045】
ステップST5において、自動運転/運転支援ECU24は、自動運転による走行する経路へ合流するための進路を生成する。たとえば自動運転/運転支援ECU24は、GPS受信機54から現在位置を取得する。自動運転/運転支援ECU24は、UI操作ECU28または外通信ECU27から、自動運転による走行する経路の情報を取得する。自動運転/運転支援ECU24は、現在位置から経路に合流するための、たとえば現在位置から経路の始点まで走行するための、経路合流進路を生成する。自動運転/運転支援ECU24は、これらの処理を、UI操作ECU28または外通信ECU27に実行するように指示してもよい。自動運転/運転支援ECU24は、経路合流進路を生成すると、その進路に沿って走り出すための発進方向を決定する。
【0046】
ステップST6において、自動運転/運転支援ECU24は、ステップST5で決定した自動運転による発進進路を用いて、メモリ60に記録されている
図5の点灯パターンテーブル61から、1つの点灯パターンを選択する。たとえば駐停車中の自動車1が自動運転により右前へ発進する場合、自動運転/運転支援ECU24は、
図5の第一行の点灯パターンを選択する。駐停車中の自動車1が自動運転により左前へ発進する場合、自動運転/運転支援ECU24は、
図5の第二行の点灯パターンを選択する。これら第一行の点灯パターンと、第二行の点灯パターンとは、第五行の自動走行中の点灯パターンとは異なる点灯状態の点灯パターンである。自動運転/運転支援ECU24は、自動車1が自動運転による走行を開始する場合に、自動運転による発進方向に基づいてメモリ60から1つの点灯パターンを選択する。
【0047】
ステップST7において、自動運転/運転支援ECU24は、選択した点灯パターンによる点灯の指示を、車ネットワーク36を通じてランプECU29へ出力する。これにより、ランプECU29は、自動運転表示ランプ10としての、右前表示ランプ11、右後表示ランプ12、左前表示ランプ13、左後表示ランプ14の点灯状態を、点灯パターンテーブル61にしたがって制御する。右前表示ランプ11、右後表示ランプ12、左前表示ランプ13、左後表示ランプ14は、選択された点灯パターンにより点灯を開始する。
【0048】
ステップST8において、自動運転/運転支援ECU24は、自動車1の発進準備処理を実行する。自動運転/運転支援ECU24は、駆動ECU21、操舵ECU22、制動ECU23などの自動車1の走行に用いる制御ECUを起動し、駆動ECU21、操舵ECU22、制動ECU23により制御される自動車1の走行に用いる各部への、たとえば不図示の駆動モータ、ミッションへの給電を開始する。自動運転/運転支援ECU24は、自動車1の各部の設定を、たとえばミッションギアの設定を、自動運転による走行を開始するためのものに切り替える。これにより、自動車1は、自動運転による走行を開始することができる状態になる。
【0049】
ステップST9において、自動運転/運転支援ECU24は、駐停車中の自動車1の周辺の情報を取得する。自動運転/運転支援ECU24は、たとえば周辺カメラ53による駐停車中の自動車1の周辺の画像や、その画像に基づいて認識された周辺の移動体の情報を取得する。周辺の移動体には、自動車1の近くを歩行する人、自動車1の近くの車道を走行する他の自動車6、などがある。
【0050】
ステップST10において、自動運転/運転支援ECU24は、自動車1が自動運転の制御により発進可能な状態にあるか否かを判断する。自動運転/運転支援ECU24は、たとえばステップST8の自動車1の発進準備処理が完了し、かつ、自動車1の周囲に経路合流進路で発進しても周囲の移動体の進路と重ならないと予想できる場合、発進可能な状態にあると判断し、処理をステップST11へ進める。発進可能な状態にない場合、自動運転/運転支援ECU24は、処理をステップST8へ戻す。自動運転/運転支援ECU24は、発進可能な状態にあると判断できるまで、ステップST8からステップST10の処理を繰り返す。この間、自動運転表示ランプ10としての、右前表示ランプ11、右後表示ランプ12、左前表示ランプ13、左後表示ランプ14は、選択された点灯パターンにより点灯し続けている。
【0051】
ステップST11において、自動運転/運転支援ECU24は、自動車1を駐停車状態から自動運転により発進させる制御を開始する。自動運転/運転支援ECU24は、駐停車状態の自動車1を経路合流進路に沿って走行するように自動運転による走行制御を実行する。これにより、自動運転/運転支援ECU24は、自動運転表示ランプ10を点灯した後に、駐停車状態から自動運転により発進することになる。
また、自動運転/運転支援ECU24は、自動車1の発進中の制御内容に応じて、自動運転表示ランプ10以外の他のランプについての点灯状態の切替指示を出力する。たとえば、自動運転/運転支援ECU24は、制動をかけて減速する場合、ストップランプ73の点灯指示を、ランプECU29へ出力する。これにより、ストップランプ73は、制動中に点灯する。また、自動運転/運転支援ECU24は、後退する場合、バックランプ74の点灯指示を、ランプECU29へ出力する。これにより、バックランプ74は、後退中に点灯する。また、自動運転/運転支援ECU24は、操舵する場合、ターンランプ72の点灯指示を、ランプECU29へ出力する。これにより、操舵側のターンランプ72は、操舵中に点灯する。これにより、自動運転/運転支援ECU24は、自動運転表示ランプ10の点灯を開始した後に、自動運転表示ランプ10以外の他のランプの点灯を制御することになる。他のランプが点灯するまでは、ほぼ自動運転表示ランプ10のみが点灯することになる。
【0052】
ステップST12において、自動運転/運転支援ECU24は、自動発進モードでの自動運転を終了するか否かを判断する。自動運転/運転支援ECU24は、たとえば経路合流進路での走行制御が完了した場合、速度センサ51により検出される車速が閾値を超えた場合、自動車1が発進を開始してからの経過時間が閾値以上になった場合、自動車1が経路の車線に沿って走行し始めている場合、発進の際に点灯させたターンランプ72が消灯している場合、自動車1は、自動運転での通常の走行が可能となっていると考えられる。これらの場合には、自動運転/運転支援ECU24は、自動発進モードでの自動運転を終了すると判断して、処理をステップST13へ進める。自動発進モードでの自動運転を終了すると判断しない場合、自動運転/運転支援ECU24は、処理をステップST9へ戻す。この場合、自動運転/運転支援ECU24は、自動発進モードでの自動運転を終了すると判断するまで、ステップST9からステップST12までの経路合流進路に基づく自動運転での走行制御を繰り返し実行する。
【0053】
ステップST13において、自動運転/運転支援ECU24は、自動経路走行モードによる自動運転の制御を開始する。すでに発進を開始している自動車1の走行モードは、自動発進モードから自動経路走行モードへ切り替わる。
【0054】
ステップST14において、自動運転/運転支援ECU24は、メモリ60に記録されている点灯パターンテーブル61から、自動経路走行モードでの点灯パターンを選択し、その点灯パターンでの点灯開始をランプECU29へ指示する。自動運転/運転支援ECU24は、
図5の第三行の自動走行の点灯パターンを選択する。この場合、ランプECU29は、複数の表示ランプ11~14のすべての点灯状態を切り換える。右前表示ランプ11、右後表示ランプ12、左前表示ランプ13、左後表示ランプ14は、それぞれの全面で連続点灯する。自動運転表示ランプ10を構成するすべての表示ランプ11~14は、発進時の点灯状態から、自動運転での走行中の本来の点灯状態へ切り替わる。
【0055】
ステップST15において、自動運転/運転支援ECU24は、目的地までの経路に基づく、自動走行制御を実行する。自動運転/運転支援ECU24は、たとえば経路に基づいて現在地からの短距離の次の進路を決定して、その進路での走行を制御することを繰り返してよい。
【0056】
ステップST16において、自動運転/運転支援ECU24は、自動運転を終了するか否かを判断する。自動運転/運転支援ECU24は、たとえば経路の終端である目的地に到達した場合、自動車1が目的地またはその近くで一定時間にわたり駐停車した場合、自動車1が目的地またはその近くで駐停車して乗員5が降車した場合、自動運転/運転支援ECU24は、自動運転を終了すると判断し、処理をステップST17へ進める。それ以外の場合、自動運転/運転支援ECU24は、処理をステップST15へ戻す。これにより、自動車1は、経路の車線に沿って走行し、目的地まで移動して駐停車する。
【0057】
ステップST17において、自動運転/運転支援ECU24は、目的地またはその近くで駐停車している自動車1について、最終的な駐停車制御を実行する。自動運転/運転支援ECU24は、たとえば空いているパーキングの駐車スペースまで自動運転で移動して駐停車する。自動運転/運転支援ECU24は、駆動ECU21、操舵ECU22、制動ECU23などの自動車1の走行に用いる制御ECUへの給電と、自動車1の走行に用いる各部への給電とを停止する。これにより、自動車1は、自動運転による走行を、即座に開始できない完全に駐停車した状態になる。
【0058】
ステップST18において、自動運転/運転支援ECU24は、消灯をランプECU29へ指示する。ランプECU29は、複数の表示ランプ11~14のすべてを消灯する。右前表示ランプ11、右後表示ランプ12、左前表示ランプ13、左後表示ランプ14は、すべて消灯する。
【0059】
図7は、
図5の点灯パターンテーブル61に基づく、発進方向に応じた自動運転表示ランプ10の点灯状態の一例の説明図である。
【0060】
図7(A)は、
図5の第一行の点灯パターンに基づく、右前へ発進する場合の自動運転表示ランプ10の点灯状態である。
この場合、自動運転表示ランプ10としての左後表示ランプ14、左前表示ランプ13、および右前表示ランプ11は、その順番で点灯する。また、左後表示ランプ14は、左フラッシュで点灯し、左前表示ランプ13および右前表示ランプ11は、右フラッシュで点灯する。これにより、自動運転表示ランプ10の点灯部分は、左後表示ランプ14から左前表示ランプ13へ、さらに右前表示ランプ11へ移動するように表示される。このように点灯部分が自動車1の周囲で左後から右前へ移動することにより、自動車1の周囲にいる少なくとも実線の歩行者7は、自動車1が自動運転により発進しようとしていることだけでなく、自動車1が右前へ向かって発進しようとしていることを、直感的に把握できる。
また、自動運転表示ランプ10としての右後表示ランプ12の点灯状態は、自動車1の自動運転での走行中と同じように全面にて連続的に点灯する。これにより、自動車1の後側にいる破線の歩行者7は、右後表示ランプ12の連続点灯により、自動車1が自動運転により発進しようとしていることを、直感的に把握できる。
【0061】
図7(B)は、
図5の第三行の点灯パターンに基づく、右後へ発進する場合の自動運転表示ランプ10の点灯状態である。
この場合、自動運転表示ランプ10としての左前表示ランプ13、左後表示ランプ14、および右後表示ランプ12は、その順番で点灯する。また、左前表示ランプ13は、左フラッシュで点灯し、左後表示ランプ14および右後表示ランプ12は、右フラッシュで点灯する。これにより、自動運転表示ランプ10の点灯部分は、左前表示ランプ13から左後表示ランプへ、さらに右後表示ランプ12へ移動するように表示される。このように点灯部分が自動車1の周囲で左前から右後へ移動することにより、自動車1の周囲にいる少なくとも実線の歩行者7は、自動車1が自動運転により発進しようとしていることだけでなく、自動車1が右後へ向かって発進しようとしていることを、直感的に把握できる。
また、自動運転表示ランプ10としての右前表示ランプ11の点灯状態は、自動車1の自動運転での走行中と同じように全面にて連続的に点灯する。これにより、自動車1の前側にいる破線の歩行者7は、右前表示ランプ11の連続点灯により、自動車1が自動運転により発進しようとしていることを、直感的に把握できる。
【0062】
なお、
図5の第二行の点灯パターンに基づく左前へ発進する場合と、第四行の点灯パターンに基づく左後へ発進する場合とについては、特段の図示をしない。これらの場合でも
図7に示す場合と同様に、自動運転表示ランプ10として自動車1の4角に設けられる複数の表示ランプ11~14の一部が、自動運転により発進する方向へ向かって順番にそれらの点灯状態が変化するため、自動車1の周囲にいる人は、自動車1がどちらの方向へ向かって発進しようとしているのかを把握することができる。
特に、発進方向とは前後方向において異なる表示ランプについては、点灯状態が変化しないように全面連続点灯状態とすることにより、自動車1の周囲にいる人は、自動車1がどちらの方向へ向かって発進しようとしているのかを、把握し易くなる。
これに対して、仮にたとえば自動運転表示ランプ10として自動車1の4角に設けられる複数の表示ランプ11~14のすべてが順番にそれらの点灯状態を変化させる場合、点灯位置が自動車1の周囲で回転するようになる。この場合、自動車1の周囲にいる人は、自動車1がどちらの方向へ向かって発進しようとしているのかを把握することが難しい。
このように、自動運転表示ランプ10を消灯して駐停車していた自動車1が自動運転により発進する場合に、自動運転表示ランプ10の点灯状態を、通常の点灯状態とは異なる状態として、その点灯を開始することにより、周囲にいる人、たとえば歩行者7や、他の自動車6の乗員などは、駐停車中であった自動車1が自動運転により発進しようとしていることを把握できる。また、その発進に対処することができる。
また、自動運転表示ランプ10が駐停車中の自動車1の発進方向に応じた点灯パターンで、その発進方向を示すように点灯することにより、それを視認した周囲の人は、駐停車中であった自動車1が自動運転により動き始めようとしている自動運転での発進方向を把握できる。また、その発進に対処することができる。
【0063】
以上のように、本実施形態では、自動運転表示ランプ10は、自動車1の左右および前後で独立して点灯状態を制御可能な右前表示ランプ11、左前表示ランプ13、右後表示ランプ12、および左後表示ランプ14、を有する。
そして、制御部としての自動運転/運転支援ECU24は、自動車1が駐停車状態から自動運転により発進する際に、駐停車中に消灯していた自動運転表示ランプ10としての複数の表示ランプ11~14の中の少なくとも一部の複数の点灯状態を、発進方向へ向かって順番に変化させる。これにより、自動運転表示ランプ10は、自動車1の側面において、転舵を伴う発進方向を表示することができる。特に、本実施形態では、各表示ランプの点灯状態を、点灯区間ごとに点灯位置が移動するように変化させる。これにより、複数の表示ランプ11~14は、発進方向を、より明確に表示することができる。
これにより、自動運転表示ランプ10を消灯して駐停車していた自動運転可能な自動車1が発進しようとする場合、自動車1の周囲にいる人は、自動車1の左右および前後の四角に設けられる自動運転表示ランプ10としての複数の表示ランプ11~14が、駐停車中の消灯状態から変化することを視認できる。自動車1の周囲にいる人は、自動運転表示ランプ10を消灯して駐停車している自動運転可能な自動車1が、自動運転により発進しようとしていることを確認できる。
【0064】
しかも、本実施形態では、自動運転中に点灯する自動運転表示ランプ10として自動車1の左右および前後の四角に設けられる複数の表示ランプ11~14の点灯状態は、単に点灯するのではなく、発進方向へ向かって順番に変化する。自動運転表示ランプ10として自動車1の左右および前後の四角に設けられる複数の表示ランプ11~14の点灯状態がこのように変化する点灯となることにより、自動車1の周囲にいる人は、自動運転可能な自動車1についての、発進方向を視認により把握できる。
その結果、自動車1の周囲にいる人は、自動運転表示ランプ10を消灯して駐停車していた自動運転可能な自動車1が発進する際に、その発進方向を把握して、その発進に対して良好に対処できるようになる。
【0065】
また、本実施形態では、自動運転表示ランプ10以外のたとえばターンランプ72などの点灯状態を変化させるのではなく、自動運転において点灯される自動運転表示ランプ10そのものの点灯状態を変化させている。これにより、自動運転で発進する自動車1において、自動運転表示ランプ10とともにたとえばそれと隣接している他のランプが同時に点灯が制御させる場合のように、たとえばこれら複数のランプの色がまざって視認されてしまうことを抑制できる。自動運転表示ランプ10の発光色が視認し難くなることを防止できる。たとえば自動運転表示ランプ10を構成する複数の表示ランプ11~14が、自動車1の下部の外周面に沿って設けられる場合、自動運転表示ランプ10の近くにはストップランプ73、ターンランプ72、バックランプ74、ヘッドランプ71が配置され得る。自動運転表示ランプ10とストップランプ73とが同時に点灯すると、これらの色が混ざって視認され易くなる。なお、自動運転表示ランプ10の点灯を開始した後に他のランプを点灯する場合には、一旦は自動運転表示ランプ10の発光色が視認されることになると考えられるため、自動運転表示ランプ10の発光色が視認され難くなることを抑制できる。
【0066】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る自動運転可能な自動車1について説明する。以下の説明では、主に上述した実施形態との相違点について説明する。上述した実施形態と同様の構成要素には、上述した実施形態と同じ符号を用いて、その説明を省略する。
【0067】
図8は、本発明の第二実施形態に係る、自動運転表示ランプ10の配置、点灯状態、および点灯パターンテーブル61の説明図である。
【0068】
図8(A)に示すように、自動運転表示ランプ10としての右前表示ランプ11は、自動車1の右前角から後方へ延在している。右前表示ランプ11は、自動車1の前面から右側面にかけて延在している。そして、複数の発光ユニット18は、自動車1の右側面において前後方向に沿って複数が並ぶ。
自動運転表示ランプ10としての左前表示ランプ13は、自動車1の左前角から後方へ延在している。左前表示ランプ13は、自動車1の前面から左側面にかけて延在している。そして、複数の発光ユニット18は、自動車1の左側面において前後方向に沿って複数が並ぶ。
自動運転表示ランプ10としての右後表示ランプ12は、自動車1の右後角から前方へ延在している。右後表示ランプ12は、自動車1の後面から右側面にかけて延在している。そして、複数の発光ユニット18は、自動車1の右側面において前後方向に沿って複数が並ぶ。
自動運転表示ランプ10としての左後表示ランプ14は、自動車1の左後角から前方へ延在している。左後表示ランプ14は、自動車1の後面から左側面にかけて延在している。そして、複数の発光ユニット18は、自動車1の左側面において前後方向に沿って複数が並ぶ。
このように、右前表示ランプ11、左前表示ランプ13、右後表示ランプ12、左後表示ランプ14は、自動車1の前面または後面から左右両側面へ回り込むようにして設けられる。右前表示ランプ11と、右後表示ランプ12とは、自動車1の右側から視認可能である。左前表示ランプ13と、左後表示ランプ14とは、自動車1の左側から視認可能である。
【0069】
図8(B)は、
図2のメモリ60に記録される自動運転表示ランプ10の点灯パターンテーブル61の説明図である。
右前表示ランプ11、右後表示ランプ12、左前表示ランプ13、左後表示ランプ14それぞれの点灯状態は、点灯パターンテーブル61にしたがって制御される。
【0070】
図8(B)の一行目の点灯パターンのデータは、自動車1が自動運転より右前へ発進する際に用いられる。自動車1が自動運転より右前へ発進する場合、左後表示ランプ14、左前表示ランプ13、右前表示ランプ11は、同時に点灯される。左後表示ランプ14は、複数の発光ユニット18が順番に点灯する左フラッシュの点灯状態に制御される。左前表示ランプ13は、複数の発光ユニット18から順番に点灯する右フラッシュの点灯状態に制御される。右前表示ランプ11は、複数の発光ユニット18が順番に点灯する右フラッシュの点灯状態に制御される。右後表示ランプ12は、すべての発光ユニット18を点灯し続ける全面連続点灯状態に制御される。この場合、同時にフラッシュ点灯される左後表示ランプ14、左前表示ランプ13、右前表示ランプ11のそれぞれは、
図8(A)に示すように、自動車1についての右回りのフラッシュ点灯状態に制御される。
【0071】
図8(B)の二行目の点灯パターンのデータは、自動車1が自動運転より左前へ発進する際に用いられる。自動車1が自動運転より左前へ発進する場合、右後表示ランプ12、右前表示ランプ11、左前表示ランプ13は、同時に点灯される。右後表示ランプ12は、右フラッシュの点灯状態に制御される。右前表示ランプ11、左前表示ランプ13は、左フラッシュの点灯状態に制御される。左後表示ランプ14は、全面連続点灯状態に制御される。この場合、同時にフラッシュ点灯される右後表示ランプ12、右前表示ランプ11、左前表示ランプ13のそれぞれは、
図8(A)と逆に、自動車1についての左回りのフラッシュ点灯状態に制御される。
【0072】
図8(B)の三行目の点灯パターンのデータは、自動車1が自動運転より右後へ発進する際に用いられる。自動車1が自動運転より右後へ発進する場合、左前表示ランプ13、左後表示ランプ14、右後表示ランプ12は、同時に点灯される。左前表示ランプ13は、左フラッシュの点灯状態に制御される。左後表示ランプ14、右後表示ランプ12は、右フラッシュの点灯状態に制御される。右前表示ランプ11は、全面連続点灯状態に制御される。この場合、同時にフラッシュ点灯される左前表示ランプ13、左後表示ランプ14、右後表示ランプ12のそれぞれは、
図8(A)と逆に、自動車1についての左回りのフラッシュ点灯状態に制御される。
【0073】
図8(B)の四行目の点灯パターンのデータは、自動車1が自動運転より左後へ発進する際に用いられる。自動車1が自動運転より左後へ発進する場合、右前表示ランプ11、右後表示ランプ12、左後表示ランプ14は、同時に点灯される。右前表示ランプ11は、右フラッシュの点灯状態に制御される。右後表示ランプ12、左後表示ランプ14は、左フラッシュの点灯状態に制御される。左前表示ランプ13は、全面連続点灯状態に制御される。
この場合、同時にフラッシュ点灯される右前表示ランプ11、右後表示ランプ12、左後表示ランプ14のそれぞれは、
図8(A)と同様に、自動車1についての右回りのフラッシュ点灯状態に制御される。
このように、
図8(B)の点灯パターンテーブル61は、複数の発進方向についての複数の点灯パターンを有する。
図5と同様に、前後左右に分ける4つの点灯パターンを有する。これらの発進方向ごとの複数の点灯パターンは、駐停車中の自動車1が発進する自動発進モードにおいて選択して用いられる。4つの点灯パターンでは、自動車1が駐停車状態から自動運転により発進する場合に、駐停車中に消灯していた自動運転表示ランプ10としての複数の表示ランプ11~14の中の少なくとも複数の表示ランプの点灯状態は、発進方向へ向かって同時にフラッシュ点灯される。
【0074】
このような点灯状態に制御されることにより、上述した実施形態と同様の効果を奏する。
【0075】
以上の実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。
【符号の説明】
【0076】
1…自動車(車両)、10…自動運転表示ランプ、11…右前表示ランプ、12…右後表示ランプ、13…左前表示ランプ、14…左後表示ランプ、18…発光ユニット、24…自動運転/運転支援ECU、60…メモリ、61…点灯パターンテーブル、71…ヘッドランプ、72…ターンランプ、73…ストップランプ、74…バックランプ