IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧 ▶ 富士重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-冷却器 図1
  • 特許-冷却器 図2
  • 特許-冷却器 図3A
  • 特許-冷却器 図3B
  • 特許-冷却器 図3C
  • 特許-冷却器 図3D
  • 特許-冷却器 図3E
  • 特許-冷却器 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-03
(45)【発行日】2023-07-11
(54)【発明の名称】冷却器
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20230704BHJP
   F01P 3/12 20060101ALI20230704BHJP
   H05K 7/20 20060101ALN20230704BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
F01P3/12
H05K7/20 N
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020033990
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021136404
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 博信
(72)【発明者】
【氏名】石原 義弘
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-266463(JP,A)
【文献】特開2019-046944(JP,A)
【文献】特開2007-049170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/473
F01P 3/12
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却液が流れる主流路であって上面に発熱体が取り付けられる主流路と、
前記主流路をバイパスするサブ流路と、
を備えており、
前記主流路と前記サブ流路の分岐点において前記サブ流路の天井が前記主流路の天井よりも高く、
前記分岐点よりも冷却液の流れ方向の上流側において、前記サブ流路の上流側の天井と前記主流路の上流側の天井との高さの差が前記流れ方向に沿って徐々に大きくなる、
冷却器。
【請求項2】
前記サブ流路の断面積が前記主流路の断面積よりも小さい、請求項1に記載の冷却器。
【請求項3】
前記主流路は蛇行している、請求項1または2に記載の冷却器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、上面に発熱体が取り付けられる冷却器に関する。
【背景技術】
【0002】
上面に発熱体が取り付けられる冷却器が知られている。例えば、特許文献1には、本体の内部に冷却液が流れる流路を備えており、本体の上面にバッテリが取り付けられる冷却器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-163714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷却液に気泡が混在すると冷却性能が低下する。気泡は流路の天井に接するため、本体の上面に取り付けられた発熱体に対する冷却性能が低下する。本明細書は、上面に発熱体が取り付けられる主流路を有する冷却器に関し、主流路に気泡が入らないようにする構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する冷却器は、冷却液が流れる主流路とサブ流路を備えている。主流路の上面に発熱体が取り付けられる。サブ流路は主流路をバイパスする。主流路とサブ流路の分岐点においてサブ流路の天井高さが主流路の天井高さよりも高い。冷却液に含まれている気泡は、天井高さの高いサブ流路に流れ、主流路には入らない。
【0006】
サブ流路は気泡が主流路を迂回するための流路であるため、断面積が小さくてもよい。すなわち、サブ流路の断面積は主流路の断面積よりも小さくてよい。サブ流路に冷却液が分散することによる主流路の冷却性能のロスを抑えることができる。
【0007】
分岐点よりも冷却液の流れ方向の上流側において、サブ流路の上流側の天井と主流路の上流側の天井との高さの差が流れ方向に沿って徐々に大きくなっているとよい。気泡がスムーズにサブ流路へと導かれる。
【0008】
本明細書が開示する技術は特に主流路が蛇行している冷却器に好適である。蛇行している主流路からは気泡が出にくい。蛇行している主流路に気泡が入ると長期間にわたって冷却性能が低下するおそれがある。気泡がバイパス流路を流れることで、長期間にわたる主流路の冷却性能の低下を回避することができる。
【0009】
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例の冷却器の上面図である。
図2図1の範囲IIの拡大図である。
図3A図2のIIIA線に沿った断面を示す。
図3B図2のIIIB線に沿った断面を示す。
図3C図2のIIIC線に沿った断面を示す。
図3D図2のIIID線に沿った断面を示す。
図3E図2のIIIE線に沿った断面を示す。
図4図2のIV-IV線に沿った断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照して実施例の冷却器10を説明する。図1に、冷却器10の上面図を示す。図中の座標系の+Z方向が「上」に相当する。冷却器10は、4個の主流路13と4個のサブ流路14を含んでいる。それぞれの主流路13の上面に、複数の電池セルの積層体(スタック20)が取り付けられる。スタック20と冷却器10は電気自動車に搭載される。スタック20は合計で数十キロワットの電力を出力することができる。スタック20は電力を出力している間と充電されている間に発熱する。スタック20は発熱体である。冷却器10は、4個のスタック20を冷却する。図1の太矢印線は、冷却液の流れの方向を示している。後述する主流路13は蛇行しているが、太矢印線は、冷却液の流れの概要を示しており、主流路13の蛇行には沿っていない。
【0012】
主流路13は水平方向で蛇行しており、スタック20と大きな接触面積を有する。接触面積が大きいので冷却器10はスタック20を効率よく冷却することができる。冷却液は液体であり、水あるいは不凍液である。
【0013】
冷却器10は冷却液の供給口11と排出口12を備えている。供給口11と排出口12には、不図示の冷却液の循環装置とラジエータが連結される。供給口11から供給される冷却液は、4個の主流路13に分配される。説明の便宜上、本明細書における「主流路」とはスタック20(発熱体)が取り付けられる部位を意味する。供給口11から主流路13の上流端までの流路を以下では案内路16と称する。「上流」、「下流」とは、冷却液の流れ方向の「上流」と下流」を意味する。別言すれば、流路の両端のうち供給口11に近い側が「上流端」に相当し、排出口12に近い側が「下流端」に相当する。
【0014】
主流路13に沿ってサブ流路14が通っている。サブ流路14は主流路13をバイパスする流路である。サブ流路14の断面積は主流路13の断面積よりも狭く、わずかな冷却液が流れる。図1において蛇行している流路が主流路13であり、サブ流路14は、主流路の上流端と下流端に連結されている。
【0015】
冷却液は液体であり、気泡が混入する場合がある。主流路13に気泡が混入すると、気泡は主流路13の天井に接触し、電池パック20に対する冷却性能を下げる。特に主流路13は蛇行しているので、一旦混入した気泡は長期間にわたり主流路13の中にとどまり、冷却性能を下げ続けるおそれがある。サブ流路14は、主流路13に気泡が混入することを防止する。
【0016】
図2に、図1の範囲IIの拡大図を示す。図2は、主流路13とサブ流路14の分岐点15の付近の拡大図である。太い破線矢印線が冷却液の流れを表している。分岐点15は、案内路16が主流路13とサブ流路14に分かれるポイントである。案内路16を流れてきた冷却液と気泡は、主流路13とサブ流路14のいずれかに入る。
【0017】
図2の破線IIIA-破線IIIEのそれぞれに対応する断面を図3A図3Eに示す。図3Aから図3Eに向けて冷却液が流れる。図3Aが上流側であり、図3Eが下流側である。図3Aから図3Eに示されているように、主流路13とサブ流路14の分岐点15においてサブ流路14の天井14aが主流路13の天井13aよりも高くなっている。図3A図3Eの距離dHが、主流路13の天井14aとサブ流路14の天井14aの高さの差を表している。主流路13とサブ流路14の天井の高さの差dHは、上流から下流に向けて徐々に大きくなる。
【0018】
図2のIV-IV線に沿った断面図を図4に示す。図4は、主流路13の断面を示しており、サブ流路14の断面は破線で示してある。太線は冷却液の流れを表している。図4の右が冷却液の流れの上流側に相当し、図4の左が下流側に相当する。図4からも、主流路13の天井13aとサブ流路14の天井14aの差が冷却液の流れ方向に沿って徐々に大きくなっている。
【0019】
主流路13とサブ流路14の天井高さの差により、気泡はサブ流路14へと導かれ、気泡が主流路13に入ることが防止される。
【0020】
なお、図3Aから図3Dまでは、主流路13とサブ流路14が分離していない。図3Eで、主流路13とサブ流路14が分離している。図3A図3Dは、分岐点15よりも上流側の断面を示しており、図3Eが分岐点15よりも下流側の断面を示している。図4においては破線Lが分岐点15に相当する。本明細書が開示する冷却器10は、主流路13とサブ流路14の分岐点15においてサブ流路14の天井14aが主流路13の天井13aよりも高い。ただし、厳密に表現すると次の通りである。分岐点15の上流側において、サブ流路14の上流側の天井が主流路13の上流側の天井よりも徐々に高くなる。分岐点15よりも上流側(すなわち案内路16の下流端)でサブ流路14の側の天井が主流路13の側の天井よりも徐々に高くなる。この構造により、気泡はサブ流路14へと導かれる。
【0021】
実施例で説明した技術に関する留意点を述べる。サブ流路14の断面積は主流路13の断面積よりもはるかに小さい。サブ流路14に流れる冷却液の流量は主流路13の流量に比べて小さい。サブ流路14の断面を小さくすることで、サブ流路へ冷却液が流れることによる冷却性能の損失を抑えることができる。サブ流路もスタック20(発熱体)に接するのがよい。サブ流路14を流れる冷却液も発熱体の冷却に貢献する。
【0022】
本明細書が開示する技術は、スタック20以外の発熱体を冷却する冷却器にも適用することができる。
【0023】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0024】
10:冷却器
11:入口
12:出口
13:主流路
13a:主流路の天井
14:サブ流路
14a:サブ流路の天井
15:分岐点
16:案内路
20:電池パック
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4