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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-04
(45)【発行日】2023-07-12
(54)【発明の名称】自動運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20230705BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20230705BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20230705BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20230705BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20230705BHJP
   B62D 101/00 20060101ALN20230705BHJP
   B62D 113/00 20060101ALN20230705BHJP
   B62D 137/00 20060101ALN20230705BHJP
【FI】
G01C21/34 ZYW
G08G1/16 C
B60W30/10
B62D6/00
G08G1/0969
B62D101:00
B62D113:00
B62D137:00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019051701
(22)【出願日】2019-03-19
(65)【公開番号】P2020153781
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑原 敬祐
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-142145(JP,A)
【文献】特開2015-152386(JP,A)
【文献】特開2016-028927(JP,A)
【文献】国際公開第2017/006651(WO,A1)
【文献】特開平10-089986(JP,A)
【文献】国際公開第2018/105037(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36、23/00-25/00
G08G 1/00-99/00
B60W 10/00-10/30、30/00-60/00
B62D 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部操作により運転モードを手動運転モードから自動運転モードに遷移させる自動運転選択部と、
道路地図情報を記憶する記憶部と、
自車両の現在位置を推定する自車位置推定部と、
搭乗者が操作して目的地の情報を入力するルート情報入力部と、
前記自車位置推定部で推定した前記自車両の現在位置と前記ルート情報入力部から入力された目的地とを結ぶ走行ルートを前記記憶部に記憶されている前記道路地図情報に基づいて構築する走行ルート設定部と、
自動運転制御部と
を備える自動運転支援装置において、
前記運転モードとして前記自車両を現在走行している車線に沿って自動的に直進走行させる運転支援モードを有し
前記自動運転制御部は、
前記自動運転選択部の操作により前記運転モードを前記自動運転モードに遷移させた場合、前記走行ルート設定部で構築した前記走行ルートに対して前記自車両を自動運転させるための目標進行路を設定する目標進行路設定部と、
前記目標進行路設定部で設定した前記目標進行路が本線から分岐路の方向へ設定されている場合、該目標進行路に沿って前記自車両を進路変更させることができるか否かを判定する進路変更判定部と、
前記進路変更判定部で進路変更不可と判定した後、前記走行ルート設定部に対して新たな走行ルートを構築させるリルート要求を行うリルート要求部と
前記進路変更判定部が進路変更不可と判定した場合、前記自車両が前記分岐路の入口に設定した分岐点を通過するまで前記運転支援モードを実行させる運転支援モード実行部とを備え、
前記目標進行路設定部は、前記リルート要求部の前記リルート要求に応じて前記走行ルート設定部で構築した新たな走行ルートに基づいて新たな目標進行路を設定することを特徴とする自動運転支援装置。
【請求項2】
前記進路変更判定部は、前記目標進行路設定部で設定した前記目標進行路が本線から分岐路の方向へ設定されている場合、現在の前記自車両の位置から前記分岐路の入口に設定した分岐点までの到達距離と、前記自車両が走行している車線から前記分岐路が接続している車線へ移動するための車線変更回数と車速とに基づいて求めた進路変更必要距離とを比較し、前記到達距離が前記進路変更必要距離よりも短い場合、進路変更不可と判定することを特徴とする請求項1記載の自動運転支援装置。
【請求項3】
前記リルート要求部は、前記自車両が前記分岐点を通過した後、前記走行ルート設定部に対して新たな走行ルートを構築させるリルート要求を行うことを特徴とする請求項1或いは2記載の自動運転支援装置。
【請求項4】
外部操作によりオートリルートのオン又はオフを設定するリルートオン・オフ入力部と、
前記リルートオン・オフ入力部でオートリルートがオフに設定されており、前記進路変更判定部が進路変更不可と判定した場合は、前記リルート要求を行わずに前記運転モードを前記運転支援モード又は前記手動運転モードへ遷移させる運転モード遷移部とを更に有することを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の自動運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者が進路変更の手前で運転モードを手動運転モードから自動運転モードに遷移させて自車両を自動運転させる際に、目標進行路に沿う進路変更が間に合わない場合は、新たな目標進行路を設定するようにした自動運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
運転者が運転する車両(自車両)に搭載されているカーナビゲーションシステムでは、運転者が目的地をセットすると、GPS衛星を代表とするGNSS(Global Navigation Satellite System )衛星等の測位衛星から受信した位置情報に基づいて自車両Mの現在位置(自車位置)を検出し、道路地図情報とのマッチングにより自車位置から目的地までの走行ルートを設定し、モニタに表示する。
【0003】
手動運転においては、構築した走行ルートをガイドに運転者自身のハンドル操作によって自車両を目的地へまで走行させる。一方、自動運転では、自車位置と高精度道路地図(ダイナミックマップ)とのマッチングにより自車位置から目的地までの走行ルートを構築し、高速道路や一般道路の一部、或いは全行程において自車両の運転を運転者に代わってシステムが行うことで走行させる。
【0004】
例えば、現在位置から目的地までの走行ルートを構築したが、自動運転が一部の区間、例えば高速道路に限定されている場合、運転者は自動運転により走行が可能な自動運転区間に到達するまで、自車両を自らの運転操作による手動運転モードで走行させる。そして、自動運転区間に到達した際に、自動運転スイッチをONすることで、運転モードが自動運転モードに遷移し、自車両の運転操作をシステムが引き継いで走行を継続させる。
【0005】
又、自動運転区間であっても、運転モードとして手動運転モードが設定されている場合は、運転者による自らの運転操作で自車両を走行させる。そして、途中で運転者が自動運転スイッチをONすれば、運転モードが自動運転モードに遷移し、自動運転による走行が開始される。その際、目的地が未設定の場合、システムは、通常の車線維持(ALK:Active Lane Keep)制御と追従車間距離制御(ACC:Adaptive Cruise Control)とによる運転支援モードで自車両を現在走行している車線に沿って直進走行させる。
【0006】
自動運転区間において、目的地が設定されていない運転支援モードにて自車両が走行している際に、運転者等が、目的地をセットした場合、ナビゲーションシステムは走行ルートを構築し、その後、運転者が自動運転スイッチをONすることで、運転モードが自動運転モードに遷移され、走行ルートに沿った自動運転が開始される。
【0007】
例えば、特許文献1(特開2016-28927号公報)には、自車両が自動運転区間を走行する状態で、且つ運転モードを手動運転モードから自動運転モードに遷移させた際に、自動運転モードを実施することができるか否かを判定し、例えば車線変更が必要な区間を走行しており、自動運転モードでは車線変更ができない場合には、自動運転モードを一時的に中断し、手動運転モードへ遷移させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2016-28927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した文献に開示されている技術では、運転モードが自動運転モードに遷移した際に、直前の走行ルートが分岐路方向へ設定されており、分岐路方向への進路変更が間に合わない場合は運転モードが自動的に手動運転モードに遷移されることになる。
【0010】
しかし、自動運転区間を走行中であって、運転者が運転モードを手動運転モードから自動運転モードに遷移させた直後に、運転モードが手動運転モードに遷移されてしまうことは、運転者の期待に沿う動作が得られず、運転者に混乱と不安感を与えてしまうことになる。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑み、運転者が運転モードを手動運転モードから自動運転モードに遷移させた直後に、運転モードが手動運転モードに遷移されてしまうことがなく、運転者の期待に沿う動作を得ることができて、運転者の受ける混乱と不安感を緩和することのできる自動運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、外部操作により運転モードを手動運転モードから自動運転モードに遷移させる自動運転選択部と、道路地図情報を記憶する記憶部と、自車両の現在位置を推定する自車位置推定部と、搭乗者が操作して目的地の情報を入力するルート情報入力部と、前記自車位置推定部で推定した前記自車両の現在位置と前記ルート情報入力部から入力された目的地とを結ぶ走行ルートを前記記憶部に記憶されている前記道路地図情報に基づいて構築する走行ルート設定部と、自動運転制御部とを備える自動運転支援装置において、前記運転モードとして前記自車両を現在走行している車線に沿って自動的に直進走行させる運転支援モードを有し、前記自動運転制御部は、前記自動運転選択部の操作により前記運転モードを前記自動運転モードに遷移させた場合、前記走行ルート設定部で構築した前記走行ルートに対して前記自車両を自動運転させるための目標進行路を設定する目標進行路設定部と、前記目標進行路設定部で設定した前記目標進行路が本線から分岐路の方向へ設定されている場合、該目標進行路に沿って前記自車両を進路変更させることができるか否かを判定する進路変更判定部と、前記進路変更判定部で進路変更不可と判定した後、前記走行ルート設定部に対して新たな走行ルートを構築させるリルート要求を行うリルート要求部と、前記進路変更判定部が進路変更不可と判定した場合、前記自車両が前記分岐路の入口に設定した分岐点を通過するまで前記運転支援モードを実行させる運転支援モード実行部とを備え、前記目標進行路設定部は、前記リルート要求部の前記リルート要求に応じて前記走行ルート設定部で構築した新たな走行ルートに基づいて新たな目標進行路を設定する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、自動運転制御部は、外部操作により運転モードを自動運転モードに遷移させた場合、走行ルート設定部で構築した走行ルートに対して自車両を自動運転させるために設定した目標進行路に沿って自車両を進路変更させることができるか否かを判定し、進路変更不可と判定した後、走行ルート設定部に対して新たな走行ルートを構築させるリルート要求を行い、このリルート要求に応じて構築した新たな走行ルートに基づいて新たな目標進行路を設定するようにしたので、運転者が運転モードを手動運転モードから自動運転モードに遷移させた直後に設定した目標走行路に沿って、自車両を進路変更させることができない場合であっても、運転モードが手動運転モードに遷移されてしまうことがなく、運転者の期待に沿う動作を得ることができ、運転者が受ける混乱と不安感を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】自動運転支援システムの機能ブロック図
図2】ナビ入力処理ルーチンを示すフローチャート
図3】自動運転支援制御ルーチンを示すフローチャート(その1)
図4】自動運転支援制御ルーチンを示すフローチャート(その2)
図5】自動運転支援制御ルーチンを示すフローチャート(その3)
図6】自動運転区間で運転モードを手動運転モードから自動運転モードに遷移させた際の車線変更の可否を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。図1に示す自動運転支援システムは、自車両M(図6のM1~M5参照)に搭載されている。この自動運転支援システム1は、自車両Mの現在位置(自車位置)を検出するロケータユニット11、自車両M前方の走行環境を認識するカメラユニット21、自車両M周辺の走行環境を監視する周辺監視ユニット22、及び自動運転制御部としての自動運転制御ユニット26を有している。このロケータユニット11、及びカメラユニット21は一方が不調を来した場合には、他方のユニットで自動運転支援を一時的に継続させる冗長系が構築されている。
【0016】
自動運転制御ユニット26は、自動運転が可能な自動運転区間を走行中にロケータユニット11とカメラユニット21とから得られた情報を比較し、現在走行中の道路形状が同一か否かを常時監視し、同一の場合に自動運転を継続させる。
【0017】
ロケータユニット11は道路地図上の自車位置を推定すると共に、この自車位置の周辺、及び前方の道路地図データを取得する。一方、カメラユニット21は自車両Mが走行している車線(自車走行車線)の左右を区画する区画線の中央の道路曲率を求めると共に、この左右区画線の中央を基準とする自車両Mの車幅方向の横位置偏差を検出する。更に、このカメラユニット21は、自車両Mの前方の先行車、歩行者や二輪車(自転車、自動二輪車)等の移動体を含む立体物、自車走行車線の左右を区画する区画線、道路標識、信号現示(点灯色)等を認識する。
【0018】
ロケータユニット11は、地図ロケータ演算部12と記憶部としての高精度道路地図データベース16とを有している。この地図ロケータ演算部12、後述する前方走行環境認識部21d、周辺環境認識部22b、及び自動運転制御ユニット26は、CPU,RAM,ROM、不揮発性記憶部等を備える周知のマイクロコンピュータ、及びその周辺機器で構成されており、ROMにはCPUで実行するプログラムやデータテーブル等の固定データ等が予め記憶されている。
【0019】
この地図ロケータ演算部12の入力側に、GNSS(Global Navigation Satellite System / 全球測位衛星システム)受信機13、自律走行センサ14、及びルート情報入力部としてのルート情報入力装置15が接続されている。GNSS受信機13は複数の測位衛星から発信される測位信号を受信する。又、自律走行センサ14は、トンネル内走行等GNSS衛生からの受信感度が低く測位信号を有効に受信することのできない環境において、自律走行を可能にするもので、車速センサ、ヨーレートセンサ、及び前後加速度センサ等で構成されている。すなわち、地図ロケータ演算部12は、車速センサで検出した車速、ヨーレートセンサで検出したヨーレート(ヨー角速度)、及び前後加速度センサで検出した前後加速度等に基づき移動距離と方位からローカライゼーションを行う。
【0020】
ルート情報入力装置15は、搭乗者(主に運転者)が操作する端末装置である。すなわち、このルート情報入力装置15は、目的地や経由地の設定、及び後述する走行ルート設定演算部12bに備えられているオートリルート機能のON/OFF設定等、地図ロケータ演算部12において走行ルートを設定する際に必要とする一連の情報を集約して入力することができる。
【0021】
このルート情報入力装置15は、具体的には、カーナビゲーションシステムの入力部(例えば、モニタのタッチパネル)、スマートフォン等の携帯端末、パーソナルコンピュータ等であり、地図ロケータ演算部12に対して、有線、或いは無線で接続されている。
【0022】
搭乗者がルート情報入力装置15を操作して、目的地や経由地の情報(施設名、住所、電話番号等)の入力、及び、入力した目的地や経由地の削除、オートリルート機能のON/OFFを行うと、この入力情報が地図ロケータ演算部12で読込まれる。
【0023】
地図ロケータ演算部12は、目的地や経由地が入力された場合、その位置座標(緯度、経度)を設定する。地図ロケータ演算部12は、自車位置を推定する自車位置推定部としての自車位置推定演算部12a、自車位置から目的地(及び経由地)までの走行ルートを設定する走行ルート設定部としての走行ルート設定演算部12bを備えている。
【0024】
又、高精度道路地図データベース16はHDD等の大容量記憶媒体であり、高精度な周知の道路地図情報(ローカルダイナミックマップ)が記憶されている。この高精度道路地図情報は、基盤とする最下層の静的情報階層上に、自動走行をサポートするために必要な付加的地図情報が重畳された階層構造をなしている。付加的地図情報としては、道路の種別(一般道路、高速道路等)、道路形状、左右区画線、道路標識、停止線、交差点、信号機等の静的な位置情報、及び、渋滞情報や事故或いは工事による通行規制等の動的な位置情報が含まれている。
【0025】
自車位置推定演算部12aは、GNSS受信機13で受信した測位信号に基づき自車両Mの現在の位置座標(緯度、経度)を取得し、この位置座標を地図情報上にマップマッチングして、道路地図上の自車位置(現在位置)を推定する。更に、自車走行車線を特定し、地図情報に記憶されている当該走行車線の道路形状を取得し、逐次記憶させる。
【0026】
更に、自車位置推定演算部12aは、トンネル内走行等のようにGNSS受信機13の感度低下により測位衛星からの有効な測位信号を受信することができない環境では、自律航法に切換え、自律走行センサ14によりローカライゼーションを行う。
【0027】
走行ルート設定演算部12bは、自車位置推定演算部12aで推定した自車位置の位置情報(緯度、経度)と、入力された目的地(及び経由地)の位置情報(緯度、経度)とに基づき、高精度道路地図データベース16に格納されているローカルダイナミックマップを参照する。そして、走行ルート設定演算部12bは、ローカルダイナミックマップ上で、自車位置と目的地(経由地が設定されている場合は、経由地を経由した目的地)とを結ぶ走行ルートを、予め設定されているルート条件(推奨ルート、最速ルート等)に従って構築する。そして、構築した走行ルートをカーナビゲーションシステムのナビ表示装置(ナビモニタ)35に表示された道路地図上に、自車両の現在位置を示すアイコンと共に表示する。尚、この走行ルートは交通状況(渋滞、交通規制等)に応じて、後述するオートリルート機能がOFFに設定されていても、所定時間毎にリルートされ、常に最適な走行ルートが構築される。
【0028】
一方、カメラユニット21は、自車両Mの車室内前部の上部中央に固定されており、車幅方向中央を挟んで左右対称な位置に配設されているメインカメラ21a及びサブカメラ21bからなる車載カメラ(ステレオカメラ)と、画像処理ユニット(IPU)21c、及び前方走行環境認識部21dとを有している。このカメラユニット21は、メインカメラ21aで基準画像データを撮像し、サブカメラ21bで比較画像データを撮像する。
【0029】
そして、この両画像データをIPU21cにて所定に画像処理する。前方走行環境認識部21dは、IPU21cで画像処理された基準画像データと比較画像データとを読込み、その視差に基づいて両画像中の同一対象物を認識すると共に、その距離データ(自車両Mから対象物までの距離)を、三角測量の原理を利用して算出して、前方走行環境情報を認識する。
【0030】
この前方走行環境情報には、自車両Mが走行する車線(走行車線)の道路形状(左右を区画する区画線、区画線間中央の道路曲率[1/m]、及び左右区画線間の幅(車線幅))、交差点、横断歩道、信号機、道路標識、及び路側障害物(電柱、電信柱、ガードレール、塀、駐車車両等)が含まれている。
【0031】
一方、周辺監視ユニット22は、自車両M周辺の移動体(車両、歩行者、二輪車等)を監視するもので、超音波センサ、ミリ波レーダやライダー(LIDAR;Light Detection and Ranging)等からなる周辺環境認識部センサ22a、及びこの周辺環境認識部センサ22aからの信号に基づいて自車両M周辺の移動体等の周辺環境情報を認識する周辺環境認識部22bを有している。
【0032】
又、自動運転制御ユニット26は、入力側にカメラユニット21の前方走行環境認識部21d、及び周辺監視ユニット22の周辺環境認識部22b、及び自動運転選択部としての自動運転スイッチ23が接続されている。更に、この自動運転制御ユニット26は、地図ロケータ演算部12と車内通信回線(例えばCAN:Controller Area Network)を通じて双方向通信自在に接続されている。
【0033】
自動運転スイッチ23は、運転者が運転モードとして自動運転モードを選択する意思を、外部操作で示すものであり、ハンドルのスポーク付近等、運転者の操作し易い位置に配置されている。例えば、手動運転モードで走行している自車両Mが自動運転区間に進入した後、自動運転スイッチ23をONすることで、運転モードが自動運転モードに遷移し、自動運転での走行が可能となる。尚、運転モードは、手動運転モードと自動運転モード以外に、ACC、ALK制御により自車両Mを走行車線に沿って自動的に直進走行させる運転支援モードが設定されている。
【0034】
又、この自動運転制御ユニット26の出力側に、自車両Mを走行ルートに沿って走行させる操舵制御部31、強制ブレーキにより自車両Mを減速させるブレーキ制御部32、自車両Mの車速を制御する加減速制御部33、及びモニタ、スピーカ等の報知装置34が接続されている。
【0035】
自動運転制御ユニット26は、自動運転区間において、操舵制御部31、ブレーキ制御部32、加減速制御部33を所定に制御して、GNSS受信機13で受信した自車位置を示す測位信号に基づき、自車両Mを、走行ルート設定演算部12bで構築した走行ルート上に設定した自動運転のための目標進行路に沿って自動走行させる。
【0036】
その際、前方走行環境認識部21dで認識した前方走行環境に基づき、周知の追従車間距離制御(ACC)、及び車線維持(ALK)制御により、先行車が検出された場合は先行車に追従し、先行車が検出されない場合は制限速度内のセット車速で自車両Mを走行させる。
【0037】
ところで、自車両Mを現在位置から目的地まで導く走行ルートの一部が自動運転区間として設定されている場合、運転者は自動運転区間に到達するまでは、自らの操作による手動運転モードにて走行ルートに沿った運転を行う。そして、自動運転区間に進入した後も、自動運転スイッチ23をOFFにしておけば、手動運転モードが継続される。一方、自動運転区間に進入した後、自動運転スイッチ23をONすれば、運転モードは自動運転モードに遷移する。従って、走行ルートの全てが自動運転区間であっても、自動運転スイッチ23がOFFの場合、運転モードは手動運転モードとなる。
【0038】
自動運転制御ユニット26は、運転モードが手動運転モードから自動運転モードに遷移した場合、先ず、走行ルート上に、自車両Mを自動運転させるための目標進行が自車両M前方の所定距離(数百メートル~数キロ先)に設定される。
【0039】
そして、この目標進行路が分岐路(ジャンクション、高速道路やバイパス道路の出口等)の方向に設定されている場合、自車両Mの現在位置から分岐路の入口に設定した分岐点までの距離を求め、自車両Mが現在走行している車線から分岐路方向への進路変更が可能か否かを調べる。尚、以下においては、便宜的に、本線内での走行路を変更することを「車線変更」、本線から分岐路方向へ走行路を変更することを「進路変更」と称する。
【0040】
そして、分岐路方向へ進路変更が可能な場合は自動運転モードを継続する。又、進路を変更することができない場合は、運転モードを運転支援モードに遷移させて、現在走行している車線を直進走行させ、分岐点を通過した際に、走行ルートを再構築する。
【0041】
上述した自動運転制御ユニット26で実行される自動運転の支援制御は、具体的には、図3図5に示す自動運転支援制御ルーチンに従って実行される。
【0042】
このルーチンでの自動運転支援を実行する前に、ロケータユニット11の走行ルート設定演算部12bで実行するナビ入力処理ルーチンについて説明する。
【0043】
このルーチンでは、先ず、ステップS1でオートリルートのON/OFFが設定されているか否かを調べる。オートリルートのON/OFFは、リルートオン・オフ入力部としての機能を備えるルート情報入力装置15にて設定するもので、搭乗者(主に、運転者)がカーナビゲーションシステムを起動させると、モニタに最初に選択画面が表示される。そして、搭乗者が、オートリルートのON/OFFを設定している場合、ステップS3へジャンプする。一方、オートリルートのON/OFFが設定されていない場合、ステップS2へ進み、オートリルートの設定を要求し、設定されるまで待機する。
【0044】
そして、搭乗者がオートリルートのON/OFFを設定した場合、ステップS3へ進む。このオートリルートのON/OFFの要求は、カーナビゲーションシステムのナビ表示装置(ナビモニタ)35に表示される。そして、ナビ表示装置35に表示された選択画面をタッチすることで設定する。尚、このオートリルートのON/OFFは、後述する自動運転支援制御ルーチンのステップS21で読込まれる。
【0045】
このオートリルートは、自動運転モードによる走行中に、自車両Mを目標進行路に沿って走行させることができなくなった場合に、新たな走行ルートを設定するか否かを選択するものである。従って、交通状況(渋滞、交通規制等)に応じて走行ルートを自動的に変更する、通常のリルート機能とは相違する。
【0046】
又、このオートリルートのON/OFFは、カーナビゲーションにおける初期設定画面で選択するようにしても良い。その場合、搭乗者がカーナビゲーションシステムを起動させると、ナビ入力処理ルーチンのプログラムは、先ず、ステップS3から開始される。
【0047】
ステップS3へ進むと、目的地が入力されているか否かを調べ、入力済みの場合はステップS6へジャンプする。又、目的地が入力されていない場合は、ステップS4へ進み、目的地の入力を要求し、入力されるまで待機する。尚、この目的地の入力には、経由地の入力も含まれている。
【0048】
そして、搭乗者が目的地を入力した場合、ステップS5へ進み、現在の自車位置から目的地までの走行ルートを、予め設定されている条件(推奨ルート、最速ルート等)に従って構築する。
【0049】
次いで、ステップS6へ進み、走行ルートをカーナビゲーションシステムのナビ表示装置35に表示した後、ステップS7へ進み、自動運転制御ユニット26からリルートの要求があるか否かを調べる。このリルートの要求は、後述する自動運転支援制御ルーチンのステップS20で行われる。
【0050】
運転モードが手動運転モードから自動運転モードへ遷移すると、自動運転を行うための目標進行路を走行ルート上に設定するが、目標進行路が分岐路方向に設定されており、自車両Mの現在位置から分岐路の入口までの距離が短く、進路変更させることができない場合がある。このような場合に、自動運転支援制御ルーチンのステップS20から走行ルート設定演算部12bに対してリルート要求を行う。
【0051】
そして、リルートの要求があった場合、ステップS8へ進む。又、リルートの要求がない場合は、ルーチンを抜ける。ステップS8へ進むと、現在地と目的地とを結ぶ新たな走行ルートを再構築し、ステップS9へ進み、新たに構築した走行ルートをナビ表示装置35に表示されている地図上に表示した後、ルーチンを抜ける。
【0052】
次に、自動運転支援制御ルーチンについて説明する。このルーチンでは、先ず、ステップS11で、自動運転スイッチ23の状態を読込み、ステップS12で自動運転スイッチ23がONか否かを調べる。自動運転のON/OFFは、ハンドルのスポーク付近等に配置されている自動運転スイッチ23を操作することで行う。
【0053】
そして、自動運転スイッチ23がOFFの場合、ステップS13へ分岐し、運転モードを手動運転モードに設定してルーチンを抜ける。手動運転モードでは、カーナビゲーションシステムのモニタに表示された道路地図上に、自車位置と走行ルートが表示され、運転者はモニタに表示された走行ルートに沿って自車両Mを走行させる。
【0054】
一方、自動運転スイッチ23がONされている場合は、ステップS14へ進み、ステップS14以降で、運転モードとして自動運転モードを実行させるか否かを判定する条件を調べ、条件が満足された場合、自動運転モードを実行させる。
【0055】
先ず、ステップS14では、ナビ入力処理ルーチンで設定した走行ルートを読込み、ステップS15へ進んで、走行ルート上に、自動運転制御により自車両Mを進行させるための目標進行路を設定する。この目標進行路は自車両Mの前方数百メートル~数キロ毎先まで設定するものであり、自車両Mを、走行ルートに沿って運転者の操作に寄らず自動的に走行させるために必要な制御条件を設定する。この制御条件としては、走行車線(3車線であれば、第1走行車線、第2走行車線、追越車線)の何れを走行させるか、走行車線を変更する場合の車線変更させるための目標ルート、分岐路(ジャンクション、高速道路やバイパス道路の出口等)へ進入させる際の目標ルート等がある。尚、このステップS15での処理が、本発明の目標進行路設定部に対応している。
【0056】
次いで、ステップS16へ進み、ステップS15で設定した目標進行路に基づき、目標進行路が分岐路方向に設定されているか否かを調べる。そして、分岐路方向に設定されている場合(図6参照)はステップS17へ進む。又、直進方向に設定されている場合はステップS29へジャンプする。
【0057】
ステップS17へ進むと、GNSS受信機13で受信した測位情報に基づいて求めた自車位置から高精度道路地図情報に設定した目標進行路から読込んだ直近の分岐路の入口に予め設定されている分岐点の走行車線上の位置までの距離(到達距離)Lkを求め、ステップS18へ進む。ステップS18では、到達距離Lkと、分岐路方向への進路変更を開始するまでに必要とする距離(進路変更必要距離)Lαとを比較し、現在の自車位置から分岐路方向への進路変更が可能か否かを調べる。尚、このステップS18での処理が、本発明の進路変更判定部に対応している。
【0058】
自車両Mを分岐路方向へ進路変更させるに際しては、分岐点L0に到達する前に自車両Mを第1走行車線において安定的に直進走行させる必要がある。又、自車両Mが第2走行車線、或いは追越車線を走行している場合には、車線変更させて、第1走行車線を安定的に直進走行させる必要がある。
【0059】
従って、分岐点L0において進路変更を開始するには、自車両Mを必ず第1走行車線で直進走行させた状態にしておく必要がある。そのためには、先ず、自車両Mがどの車線を走行しているかを調べる。そして、現在走行している車線から第1走行車線へ移動するに必要とする車線変更回数n(3車線の第1走行車線を走行している場合はn=0、中央の第2走行車線を走行している場合はn=1、追越車線を走行している場合はn=2)を設定すると共に、対応する進路変更必要距離Lα(αは車線位置)を設定する。尚、本実施形態では、3車線を例示して説明しているため、α=1~3(第1走行車線がα=1,第2走行車線がα=2,追越車線がα=3)となる。
【0060】
次いで、この車線変更回数nに、1回の車線変更に要する時間(必要車線変更時間)ts[sec]と車線変更開始前のウインカON時間tw[sec]とを加算した値を乗算し、これに自車両Mの車速V[m/sec]を乗算する。
【0061】
すなわち、進路変更必要距離Lα(但し、本実施形態ではα=1~3)は、
Lα=n(ts・tw)・V+Lm
となる。
【0062】
ここで、Lmは自車両Mを分岐路方向へ進路変更させるに際し、第1走行車線を安定的に直進させるために必要とする分岐点L0手前の安定区間距離であり、本実施形態は、30[m}程度に設定されている。
【0063】
この場合、必要車線変更時間ts、ウインカON時間tw、安定区間距離Lmを固定値とすると、進路変更必要距離Lαは車線変更回数nと車速Vで決定されることになる。尚、自車両Mが第1走行車線を走行している場合、安定区間距離Lmは0[m]であっても良い。
【0064】
例えば、ts=8[sec],tw=3[sec],V=25[m/sec](90[Km/h])、Lm=30[m]とした場合、自車両Mが第1走行車線を走行している状態では、第1走行車線での進路変更必要距離L1は、
L1=Lα=30[m]
となる。従って、運転モードが手動運転モードから自動運転モードに遷移し、図6に示すように自車両M1が第1走行車線の到達距離Lkの位置で自動運転が開始されたとき、この到達距離Lkが進路変更必要距離L1よりも長ければ(Lk≧L1)、進路変更は可能となる。
【0065】
又、自車両Mが第2走行車線を走行している場合は、n=1であるため、第2走行車線での進路変更必要距離L2は、
L2=305[m]
となる。
【0066】
更に、自車両Mが追越車線を走行している場合は、n=2であるため、追越車線での進路変更必要距離L3は、
L3=580[m]
となる。
【0067】
そして、自動運転が開始された際の進路変更必要距離Lαと到達距離Lkとを比較し、Lk≧Lαの場合は(図6のM1,M4,M5)、進路変更可能と判定しステップS24へ分岐する。又、Lk<Lαの場合は(図6のM3)、分岐路方向へ進路変更するためには到達距離Lkが短いと判定し、ステップS19へ進む。
【0068】
尚、図6の自車両M2は、分岐点L0を通過した後に運転者が運転モードを自動運転モードに遷移させた態様が示されている。この場合、自動運転モードでは、自車両M2を分岐路方向へ進路変更させることはできないが、運転者がハンドル操作を行い、或いはブレーキ操作で減速させながらハンドル操作を行えば、操舵オーバライドとなり、運転モードが手動運転モードに遷移するため、分岐路方向へ手動運転で進路変更させることは可能である。
【0069】
ステップS19へ進むと、自動運転モードを解除し、運転モードを運転支援モードに遷移させ、ステップS20へ進み、分岐点L0を通過するまで継続させる。この運転支援モードは、ACC、ALK制御により自車両Mを走行車線に沿って自動的に直進走行させるものであり、ステップS15で設定した目標進行路はキャンセルされる。尚、ステップS19,S20での処理が、本発明の運転支援モード実行部に対応している。
【0070】
従って、運転モードが手動運転モードから自動運転モードに遷移した直後の目標進行路が分岐路方向へ設定されており、自車両Mは分岐路方向への進路変更が間に合わない場合であっても、運転モードが運転支援モードに遷移されて、自動運転による直進走行が継続される。その結果、自車両Mを分岐路方向に設定した目標進行路に沿って走行させることができない場合であっても、運転モードが直ちに手動運転モードに遷移されてしまうことがなく、運転者の期待に沿う動作を得ることができ、運転者が受ける混乱と不安感を緩和することができる。
【0071】
そして、自車両Mが分岐点L0を通過した後、ステップS21へ進み、オートリルートがONされているか否かを調べる。このオートリールのON/OFFは、ナビ入力処理ルーチンのステップS2で設定されるもので、ONに設定されている場合はステップS22へ進み、走行ルート設定演算部12bに対し、リルート要求を送信して、ステップS14へ戻る。尚、このステップS22での処理が、本発明のリルート要求部に対応している。
【0072】
自動運転制御ユニット26からのリルート要求を受信した走行ルート設定演算部12bは、ナビ入力処理ルーチンのステップS7からステップS8へ進み、新たな走行ルートを再構築する。この新たな走行ルートは、上述したステップS14で読込まれ、ステップS15で新たな目標進行路が設定される。
【0073】
このように、目標進行路が分岐路方向へ設定されているが、自車両Mを分岐路方向へ進路変更させることができない場合は、運転支援モードにより現在走行している車線を自動的に直進させる。そして、分岐点を通過後、リルートさせて再構築した走行ルートに基づき目標進行路を新たに設定するようにしたので、分岐路方向への進路変更ができなかった場合であっても、運転者に手動運転を要求することなく、自動運転を継続させることができるため、運転者の期待に沿う動作となり、運転者の違和感や負担を軽減させることができる。
【0074】
又、ステップS21でオートリルートがOFFに設定されている場合は、ステップS23へ分岐し、運転モードを運転支援モード、又は手動運転モードに遷移させてルーチンを抜ける。ステップS23で設定される運転モードは、運転支援モードと手動運転モードとの何れかを、搭乗者が初期設定により予め選択するようにしても良い。或いは、運転支援モードを、ステップS19から引き継いで継続させるようにしても良い。尚、このステップS23での処理が、本発明の運転モード遷移部に対応している。
【0075】
一方、ステップS18からステップS24へ進むと、自車両Mが走行している車線を高精度道路地図情報とGNSS受信機13で受信した測位情報とに基づき判定し、分岐路に接続する車線(図6では第1走行車線)、すなわち、車線変更の必要がない車線を走行している場合は、ステップS29へジャンプする。又、分岐路に接続する車線以外の車線、すなわち、車線変更を必要とする車線を走行している場合は、ステップS25へ進む。
【0076】
ステップS25では、カメラユニット21の前方走行環境認識部21d、及び周辺監視ユニット22の周辺環境認識部22bからの情報を取得する。そして、ステップS26で、前方走行環境情報、及び周辺環境情報に基づき、車線変更する隣接車線に自車両Mの車線変更を阻害する並走車、後続車、先行車等が認識されているか否かを調べる。そして、車線変更後の走行車線に、自車両Mの車線変更を阻害する車両が認識された場合は、ステップS19へ戻り、運転モードが運転支援モードに遷移し、且つ、目標進行路をキャンセルする。又、車線変更を阻害する車両が認識されない場合は、ステップS27へ進む。
【0077】
このように、運転モードが手動運転モードから自動運転モードへ遷移した際に、自動運転により分岐路方向への進路変更が可能と判定された場合であっても、周辺を走行している車両の状況によって、分岐路に接続する車線(図6では、第1走行車線)の方向へ車線変更できない場合には、運転モードを運転支援モードに遷移させて、直進走行により自動運転を継続させるようにしたので、運転者に与える負担を軽減させることができる。
【0078】
例えば、図6において、追越車線を走行するM5は、車線変更が可能と判定されるが、第2走行車線を走行する自車両M4は、車線変更しようとする第1走行車線に並走車Pが認識されるため車線変更が不可と判定される。
【0079】
車線変更可能と判定されてステップS27へ進むと、自動車線変更(ALC:Auto Lane Change)制御を実行してステップS28へ進み、第1走行車線側への車線変更が完了するまで、ALC制御を繰り返し実行する。ALC制御は、自動運転制御ユニット26が設定した自車両Mを車線変更させるための目標進行路に沿って、自車両Mを走行させるために、操舵制御部31、ブレーキ制御部32、加減速制御部33を制御動作させるものである。
【0080】
例えば、追越車線を走行している自車両M5は、少なくとも進路変更必要距離L3より手前でALC制御が開始され、先ず、第2走行車線への車線変更を実行する。そして、第2走行車線への車線変更が完了した後、所定時間(例えば、3[sec])経過後、第1走行車線への車線変更を開始する。
【0081】
そして、ステップS28で第1走行車線への車線変更が完了したと判定した場合、ステップS29へ進み、自動運転制御ユニット26で設定した目標進行路に沿って自車両Mを自動的に走行させる自動運転モードを実行させてルーチンを抜ける。
【0082】
このように、本実施形態では、自動運転区間を走行中に運転者が自動運転スイッチ23をONして、運転モードを手動運転モードから自動運転モードへ遷移させた際に設定する目標進行路が分岐路方向へ設定され、現在の走行状態では分岐路歩行への進路変更が間に合わない場合であっても、運転モードが手動運転モードへ遷移することなく、走行ルートが再構築され、当該走行ルートに目標進行路が設定されるまでは運転支援モードで直進走行されるため、運転者の期待に沿う動作が得られ、運転者が受ける混乱と不安感とが緩和され、且つ、運転者の受ける負担を軽減することができる。
【0083】
又、本発明は、上述した実施形態に限るものではなく、例えば、本線が4車線以上の場合であっても、本実施形態を適用することができる。尚、運転モードが遷移する際には、報知装置34から運転者に対して、運転モードが切り替わる旨が報知される。
【符号の説明】
【0084】
1…自動運転支援システム、
11…ロケータユニット、
12…地図ロケータ演算部、
12a…自車位置推定演算部、
12b…走行ルート設定演算部、
13…GNSS受信機、
14…自律走行センサ、
15…ルート情報入力装置、
16…高精度道路地図データベース、
21…カメラユニット、
21a…メインカメラ、
21b…サブカメラ、
21c…画像処理ユニット、
21d…前方走行環境認識部、
22…周辺監視ユニット、
22a…周辺環境認識部センサ、
22b…周辺環境認識部、
23…自動運転スイッチ、
26…自動運転制御ユニット、
31…操舵制御部、
32…ブレーキ制御部、
33…加減速制御部、
34…報知装置
35…ナビ表示装置、
L0…分岐点、
L1,L2,L3…進路変更必要距離、
Lk…到達距離、
Lm…安定区間距離、
Lα…進路変更必要距離、
M(M1~M5)…自車両、
P…並走車、
V…車速、
n…車線変更回数、
ts…必要車線変更時間、
tw…ウインカON時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6