(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-04
(45)【発行日】2023-07-12
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20230705BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20230705BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
G09F9/00 350A
G02F1/1333
G09F9/00 350Z
H04N5/64 541Z
(21)【出願番号】P 2019217665
(22)【出願日】2019-12-02
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(72)【発明者】
【氏名】楊 懿文
(72)【発明者】
【氏名】黒田 大輔
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-211054(JP,A)
【文献】特開2010-54900(JP,A)
【文献】特開2002-55354(JP,A)
【文献】特開2002-108225(JP,A)
【文献】特開2018-159732(JP,A)
【文献】特開平9-56419(JP,A)
【文献】実開平4-115406(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B13/00-18/00
G02F1/133-1/1334
1/1339-1/1341
1/1347
G09F9/00
H04N5/64-5/655
9/12-9/31
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H05K5/00-5/06
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルを有する表示ユニットと、
前記表示ユニットの背面側に位置するキャビネットと、
前記表示ユニットと前記キャビネットとを結合している面ファスナーと、
を備える、
表示装置。
【請求項2】
前記面ファスナーは、
前記表示ユニットに固定された第1結合部材と、
前記キャビネットに固定されており、前記第1結合部材と結合している第2結合部材と、
を有する、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1結合部材及び前記第2結合部材の一方は、
前記第1結合部材及び前記第2結合部材の他方側に向かって延びる柱状部と、
前記柱状部の先端に接続されており、前記第1結合部材及び前記第2結合部材の他方と係合する係合部と、
を有する、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1結合部材は、
第1基部と、
前記第1基部に接続された複数の第1結合子と、
を有し、
前記複数の第1結合子のそれぞれは、
前記第1基部から前記第2結合部材側に向かって延びる第1柱状部と、
前記第1柱状部の先端に接続されており、前記第1結合部材と前記第2結合部材との対向方向から視た際に前記第1柱状部よりも横断面積が大きな部分を含む第1先端部と、
を含み、
前記第2結合部材は、
第2基部と、
前記第2基部に接続された複数の第2結合子と、
を有し、
前記複数の第2結合子のそれぞれは、
前記第2基部から前記第1結合部材側に向かって延びる第2柱状部と、
前記第2柱状部の先端に接続されており、前記対向方向から視た際に前記第2柱状部よりも横断面積が大きな部分を含む第2先端部と、
を含み、
前記第1結合子は、前記第1結合部材と前記第2結合部材とが結合した状態において、前記第1柱状部が隣り合う前記第2柱状部の間に位置し、かつ、前記第1先端部が、前記第2先端部よりも前記第2基部側に位置するように構成されている、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1結合部材と前記第2結合部材とは、前記第1結合部材と前記第2結合部材とが結合した状態において、前記第1結合部材と前記第2結合部材とが前記対向方向において相対的に変位可能に構成されている、
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1柱状部の前記対向方向に沿った長さが、前記第2先端部の前記対向方向に沿った長さよりも長く、
前記第2柱状部の前記対向方向に沿った長さが、前記第1先端部の前記対向方向に沿った長さよりも長い、
請求項4または5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記面ファスナーを複数備え、
前記複数の面ファスナーは、前記第1結合部材と前記第2結合部材とが結合した状態において、前記第1結合部材と前記第2結合部材とが前記対向方向において相対的に変位可能な距離である変位可能距離が相互に異なる複数の面ファスナーを含む、
請求項5または6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記複数の面ファスナーは、
第1面ファスナーと、
前記第1面ファスナーよりも上方に位置する第2面ファスナーと、
を含み、
前記第2面ファスナーにおける前記変位可能距離が、前記第1面ファスナーにおける前記変位可能距離よりも大きい、
請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記複数の面ファスナーは、
第1面ファスナーと、
前記対向方向から視た際に、前記第1面ファスナーよりも外側に位置する第2面ファスナーと、
を含み、
前記第2面ファスナーにおける前記変位可能距離が、前記第1面ファスナーにおける前記変位可能距離よりも大きい、
請求項7に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1面ファスナーと前記第2面ファスナーとで、前記第1結合子及び前記第2結合子のそれぞれの密度が相互に異なる、
請求項8または9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第2面ファスナーにおける前記第1結合子及び前記第2結合子の密度が、前記第1面ファスナーにおける前記第1結合子及び前記第2結合子の密度よりも低い、
請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1面ファスナーと前記第2面ファスナーとで、前記第1結合子及び前記第2結合子の本数が相互に異なる、
請求項8~11のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記第2面ファスナーにおける前記第1結合子及び前記第2結合子の本数が、前記第1面ファスナーにおける前記第1結合子及び前記第2結合子の本数よりも少ない、
請求項12に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、表示部が固定された金属製のシャーシと、樹脂により形成されたリアキャビネットとがビスにより固定されているテレビジョン受信機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テレビジョン受信装置等の表示装置は、一般的に、駆動時に発熱する。特に、解像度が高い表示装置においては、発熱量が多い。表示装置が発熱すると、表示装置を構成している各部材間の熱膨張量差に起因して、部材間に応力が発生する場合がある。例えば、特許文献1に記載されているように、シャーシとリアキャビネットとがビスにより固定されている場合、シャーシとリアキャビネットとの間に熱応力が発生する虞がある。
【0005】
本開示の主な目的は、熱応力が生じにくい表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る表示装置は、表示ユニットと、キャビネットと、面ファスナーとを備える。表示ユニットは、表示パネルを有する。キャビネットは、表示ユニットの背面側に位置する。面ファスナーは、表示ユニットとキャビネットとを結合している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る表示装置の模式的縦断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る表示装置の模式的裏面図である。
【
図3】
図1の線IIIで囲まれた領域を拡大した模式的断面図である。
【
図4】第1実施形態に係る表示装置における面ファスナーによる結合部を拡大した模式的断面図である。
【
図5】第1実施形態における面ファスナーの一部分を拡大した模式的断面図である。
【
図6】第1実施形態において、第1結合部材と第2結合部材とが最も近接した状態の面ファスナーの一部分を示す模式的断面図である。
【
図7】第1実施形態において、第1結合部材と第2結合部材とが最も離れた状態の面ファスナーの一部分を示す模式的断面図である。
【
図8】第1実施形態において、第1結合部材と第2結合部材とがy軸方向に沿って相対的に変位した状態の面ファスナーの一部分を示す模式的断面図である。
【
図9】第2実施形態に係る表示装置の模式的裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る表示装置の模式的縦断面図である。
図2は、第1実施形態に係る表示装置の模式的裏面図である。
図3は、
図1の線IIIで囲まれた領域を拡大した模式的断面図である。なお、
図1においては、面ファスナー30と、表示ユニット10及びキャビネット20のそれぞれとの取り付け態様を模式的に描画している
【0010】
図1及び
図2に示す表示装置1は、画像、文字等を表示するための装置である。表示装置1は、例えば、ディスプレイ等であってもよいが、本実施形態においては、表示装置1は、テレビ信号を受信可能なチューナーを有するテレビ受信装置である。
【0011】
図1に示すように、テレビ受信装置としての表示装置1は、表示ユニット10と、キャビネット20と、面ファスナー30と、電源部(図示せず。)と、駆動部(図示せず。)と、脚部(図示せず。)とを備える。
【0012】
表示ユニット10は、表示パネル11を有する。表示パネル11は、例えば、液晶表示パネル、OLED(Organic Light Emitting Diode)表示パネル、量子ドット発光ダイオード(QLED)表示パネル、プラズマディスプレイパネル等であってもよい。以下、表示パネル11は、液晶表示パネルである例について説明する。
【0013】
図3に示すように、表示パネル11は、ガラス板を含む前面板11aと、ガラス板を含む背面板11bと、前面板11aと背面板11bとの間に配されたスイッチング層としての液晶層11cとを有する。このように表示パネル11は、ガラス板を含むため、表示パネル11の熱膨張率は、ガラス板の熱膨張率と類似している。
【0014】
表示ユニット10は、表示パネル11に加え、シャーシ12と、フレーム13と、照明部14とをさらに有する。
【0015】
フレーム13は、表示パネル11を囲うように額縁状に形成されている。フレーム13には、表示パネル11の周縁部が固定されている。具体的に、フレーム13は、第1フレーム13aと、第2フレーム13bとを有する。
【0016】
第1フレーム13aは、金属製である。第1フレーム13aは額縁状に形成されている。第1フレーム13aには、表示パネル11の周縁部の裏面が固定されている。具体的には、第1フレーム13aは、表示パネル11の周縁部の背面に対して粘着層または接着層を介して固定されている。
【0017】
第2フレーム13bは、表示パネル11の周縁部の前方を覆うように設けられている。第2フレーム13bは、表示パネル11の周縁部の前面に固定されている。具体的には、第2フレーム13bは、表示パネル11の周縁部の前面に対して粘着層または接着層を介して固定されている。
【0018】
第2フレーム13bは、略L字状の横断面形状を有する。第2フレーム13bは、表示パネル11の周縁部の前方を覆う第1部分と、表示パネル11及び第1フレーム13aの外方を覆う第2部分と、第1部分と第2部分とを接続している接続部とを有する。
【0019】
シャーシ12は、金属製である。シャーシ12は、表示パネル11とフレーム13との背面側に位置している。シャーシ12は、表示パネル11の背面側を覆っている。シャーシ12は、対向部12aと、取付部12bとを有する。対向部12aは、表示パネル11の裏面と、間隔をいて対向している。取付部12bは、対向部12aに接続されている。取付部12bは、対向部12aに対して垂直な方向(表示装置1の奥行き方向)に延びる部分を有する。シャーシ12は、取付部12bにおいて、フレーム13に取り付けられている。
【0020】
図1に示すように、対向部12aの表示パネル11側の面には、照明部14が設けられている。照明部14は、表示パネル11に対して白色の光を出射する。照明部14は、複数のLED(Light Emitting Diode)14aを有する。複数のLED14aは、対向部12aの上に、相互に間隔を置いてマトリクス状に実装されている。
【0021】
図2に示すように、シャーシ12は、キャビネット20から露出している露出部を有する。このシャーシ12の露出部に、図示しない脚部が取り付けられている。表示装置1は、この脚部により自立可能である。
【0022】
キャビネット20は、樹脂製である。
図1に示すように、キャビネット20は、表示ユニット10の背面側に位置している。具体的には、樹脂製のキャビネット20は、金属製のシャーシ12の背面側に位置している。キャビネット20は、表示ユニット10の背面の実質的に全体を覆うように設けられている。なお、キャビネット20は、バックキャビネットと呼ばれることもある。
【0023】
キャビネット20と表示ユニット10との間には、収容空間が形成されている。この収容空間に、表示ユニット10を駆動するための駆動部(図示せず。)と、駆動部に電力を供給するための電源部(図示せず。)とが配されている。表示装置1の駆動時において、電源部及び駆動部は発熱する。このため、電源部及び駆動部の発熱に起因して、表示装置1の駆動時に表示ユニット10(特に、シャーシ12)及びキャビネット20の温度が上昇する。表示装置1の解像度が高いほど電源部及び駆動部の発熱量が多くなる傾向にある。このため、表示装置1の解像度が高いほど表示ユニット10及びキャビネット20の温度の上昇量が大きくなりやすい傾向にある。
【0024】
図1に示すように、表示ユニット10とキャビネット20とは、面ファスナー(face fastener)30によって結合している。具体的には、表示ユニット10のシャーシ12とキャビネット20とが面ファスナー30によって結合している。
【0025】
ここで、「面ファスナー」とは、互いに引っかかりあっている一対の結合部材を有し、ふたつの部材を結合させる部材である。面ファスナーを構成している一対の結合部材は、一般的に、互いに結合した状態において、対向方向に変位可能である。面ファスナーは、一般的に、対向方向に変位可能な状態で引っかかり合って結合可能な一対の結合部材を有する。より具体的には、面ファスナーは、一般的に、対向方向において所定の範囲で変位可能な状態で引っかかり合って結合可能な一対の結合部材を有する。
【0026】
例えば、表示ユニットとキャビネットとを強固に固定する観点からは、表示ユニットとキャビネットとをビス等の締結部材を用いて固定することも考えられる。しかしながら、締結部材を用いて表示ユニットとキャビネットとを固定した場合、表示ユニットとキャビネットとは、実質的に、相互に変位不能に固定される。
【0027】
例えば、表示装置の駆動中等において表示装置の温度が上昇すると、表示ユニットとキャビネットとのそれぞれが熱膨張する。一般的に、表示ユニットとキャビネットとは、熱膨張率が異なる。このため、表示装置の温度が上昇したときの表示ユニットの熱膨張量とキャビネットの熱膨張量とは相互に異なる。よって、表示ユニットとキャビネットとが締結部材により相互に変位不能に固定されていると、表示装置の温度が上昇した際に、表示ユニットとキャビネットとの間に熱応力が発生する虞がある。表示ユニットとキャビネットとの間に大きな熱応力が発生すると表示ユニット及びキャビネットのうちの少なくとも一方が変形する虞がある。特に、表示ユニットのうち、キャビネットに取り付けられている部材(例えば、シャーシ)と、キャビネットとで材質が異なる場合は、表示ユニットとキャビネットとの間に大きな熱応力が発生しやすい。
【0028】
それに対して、表示装置1では、表示ユニット10とキャビネット20とが面ファスナー30によって結合している。このため、表示ユニット10とキャビネット20とが面ファスナー30により結合された状態において、表示ユニット10とキャビネット20とが所定の範囲で変位可能である。よって、表示ユニット10とキャビネット20とのそれぞれの温度が変化し、表示ユニット10とキャビネット20とのそれぞれの温度が上昇した場合であっても、表示ユニット10とキャビネット20との間に応力が発生し難い。従って、表示ユニット10及びキャビネット20が熱応力によって変形することが抑制されている。
【0029】
なお、面ファスナー30は、互いに引っかかりあっている一対の結合部材を有し、ふたつの部材を結合させる部材である限りにおいて特に限定されない。以下、本実施形態における面ファスナー30の具体的な構成について、
図4及び
図5を参照しながら詳細に説明する。
【0030】
図4に示すように、面ファスナー30は、第1結合部材31と、第2結合部材32とを有する。第1結合部材31と第2結合部材32とは、それぞれ、例えば、樹脂製であることが好ましい。
【0031】
第1結合部材31は、表示ユニット10に固定されている。具体的には、第1結合部材31は、表示ユニット10のシャーシ12に固定されている。第1結合部材31とシャーシ12とは、変位不能に固定されている。
【0032】
第2結合部材32は、キャビネット20に固定されている。第2結合部材32とキャビネット20とは変位不能に固定されている。第1結合部材31と第2結合部材32とは、互いに引っかかり合うことによって結合している。
【0033】
詳細には、第1結合部材31は、第1基部33aと、第1固定部34aと、複数の第1結合子35aとを有する。
【0034】
第1基部33aは、シート状である。第1基部33aの裏面には、第1固定部34aが接続されている。第1固定部34aは、第1基部33aの裏面から表示ユニット10側に突出している。第1固定部34aがシャーシ12に形成されている貫通孔12cに挿入されることにより、第1結合部材31がシャーシ12に対して固定されている。
【0035】
複数の第1結合子35aのそれぞれは、第1基部33aの第2結合部材32側の面に接続されている。複数の第1結合子35aのそれぞれは、第1基部33aから第2結合部材32側に向かって延びている。複数の第1結合子35aは、第2結合部材32と係合している。
【0036】
複数の第1結合子35aのそれぞれは、第1柱状部36aと、第1先端部37aとを有する。
【0037】
第1柱状部36aは、第1基部33aから第2結合部材32側に向かって延びている。第1柱状部36aは、柱状である。第1柱状部36aは、例えば、円柱状、多角柱状、横断面形状が長円形または楕円形である柱状であってもよい。
【0038】
第1先端部37aは、第1柱状部36aの先端に接続されている。第1先端部37aは、第1結合部材31と第2結合部材32との対向方向(x軸方向)から視た際に、第1柱状部36aよりも横断面積が大きな部分を含む。具体的には、本実施形態では、第1先端部37aは、球状または楕球状である。
【0039】
第2結合部材32は、第1結合部材31と実質的に同様の構成を有している。具体的には、第2結合部材32は、第2基部33bと、第2固定部34bと、複数の第2結合子35bとを有する。
【0040】
第2基部33bは、シート状である。第2基部33bの裏面には、第2固定部34bが接続されている。第2固定部34bは、第2基部33bの裏面からキャビネット20側に突出している。第2固定部34bがキャビネット20に形成されている貫通孔20cに挿入されることにより第2結合部材32がキャビネット20に対して固定されている。
【0041】
複数の第2結合子35bのそれぞれは、第2基部33bの第1結合部材31側の面に接続されている。複数の第2結合子35bのそれぞれは、第2基部33bから第1結合部材31側に向かって延びている。複数の第2結合子35bは、第1結合部材31と係合している。
【0042】
複数の第2結合子35bのそれぞれは、第2柱状部36bと、第2先端部37bとを有する。
【0043】
第2柱状部36bは、第2基部33bから第1結合部材31側に向かって延びている。第2柱状部36bは、柱状である。第2柱状部36bは、例えば、円柱状、多角柱状、横断面形状が長円形または楕円形である柱状であってもよい。
【0044】
第2先端部37bは、第2柱状部36bの先端に接続されている。第2先端部37bは、第1結合部材31と第2結合部材32との対向方向(x軸方向)から視た際に、第2柱状部36bよりも横断面積が大きな部分を含む。具体的には、本実施形態では、第2先端部37bは、球状または楕球状である。
【0045】
第1結合部材31と第2結合部材32とが結合した状態において、第1結合子35aは、第1柱状部36aが隣り合う第2柱状部36bの間に位置し、かつ、第1先端部37aが第2先端部37bよりも第2基部33b側に位置するように構成されている。また、第1結合部材31と第2結合部材32とが結合した状態において、第2結合子35bは、第2柱状部36bが隣り合う第1柱状部36aの間に位置し、かつ、第2先端部37bが第1先端部37aよりも第1基部33a側に位置するように構成されている。
【0046】
第1結合部材31と第2結合部材32とは、第1結合部材31と第2結合部材32とが結合した状態において、第1結合部材31と第2結合部材32とが対向方向(x軸方向)において相対的に変位可能に構成されている。
【0047】
具体的には、
図5に示すように、第1柱状部36aの対向方向(x軸方向)に沿った長さ(L1)が、第2先端部37bの対向方向(x軸方向)に沿った長さ(L2)よりも長い(L1>L2)。また、第2柱状部36bの対向方向(x軸方向)に沿った長さ(L3)が、第1先端部37aの対向方向(x軸方向)に沿った長さ(L4)よりも長い(L3>L4)。このため、第1結合部材31と第2結合部材32とは、第1結合部材31と第2結合部材32とが結合した状態において、
図6に示すように、第1先端部37aの先端が第2基部33bに当接した状態、または、第2先端部37bの先端が第1基部33aに当接した状態と、
図7に示すように、第1先端部37aと第2先端部37bとが接触した状態との間でx軸方向に変位可能である。例えば、L1とL3とが実質的に等しく、L2とL4とが実質的に等しい場合は、第1結合部材31と第2結合部材32とは、第1結合部材31と第2結合部材32とが結合した状態において、L1-L2(またはL3-L4)だけ、x軸方向に変位可能である。従って、第1結合部材31と第2結合部材32とが結合した状態における、第1結合部材31と第2結合部材32とのx軸方向における変位可能距離(以下、「第1結合部材31と第2結合部材32とが結合した状態における、第1結合部材31と第2結合部材32とのx軸方向における変位可能距離」を、単に「変位可能距離」と称することがある。)は、L1、L2、L3及びL4を調節することにより制御することができる。具体的には、L1及びL3を大きくし、L2及びL4を小さくすることにより、第1結合部材31と第2結合部材32とが結合した状態における、第1結合部材31と第2結合部材32とのx軸方向における変位可能距離を長くすることができる。
【0048】
第1結合子35aと第2結合子35bとのそれぞれが、例えば、樹脂部等の弾性部により構成されている場合、第1結合部材31と第2結合部材32との間に、対向方向(x軸方向)に対して垂直なy軸方向の応力が加わると、
図8に示すように、第1結合子35aと第2結合子35bとが屈曲し、第1結合部材31と第2結合部材32とがy軸方向に相対的に変位可能である。第1結合部材31と第2結合部材32とのy軸方向に沿った相対的な変位のしやすさ(変位に必要な応力の大きさ)は、第1結合子35a及び第2結合子35bの密度に依存する。第1結合子35a及び第2結合子35bの密度が高いほど、第1結合部材31と第2結合部材32とがy軸方向に沿って相対的に変位しにくくなる(変位に必要な応力の大きさが大きくなる。)。第1結合子35a及び第2結合子35bの密度が低いほど、第1結合部材31と第2結合部材32とがy軸方向に沿って相対的に変位しやすくなる(変位に必要な応力の大きさがちいさくなる。)。
【0049】
また、面ファスナー30の結合力の強さ(第1結合部材31と第2結合部材32との剥がれにくさ)は、第1結合子35a及び第2結合子35bの本数に依存する。第1結合子35a及び第2結合子35bの本数が多くなるほど、面ファスナー30の結合力が強くなり、第1結合部材31と第2結合部材32とが剥がれにくくなる。第1結合子35a及び第2結合子35bの本数が少なくなるほど、面ファスナー30の結合力が弱くなり、第1結合部材31と第2結合部材32とが剥がれやすくなる。
【0050】
図2に示すように、表示装置1は、複数の面ファスナー30を有する。すなわち、本実施形態では、表示ユニット10とキャビネット20とは、複数の面ファスナー30により結合されている。
【0051】
複数の面ファスナー30は、表示装置1の幅方向Wと高さ方向Hとに沿って相互に間隔を置いてマトリクス状に配されている。複数の面ファスナー30は、変位可能距離が相互に異なる複数種類の面ファスナー30を含む。
【0052】
表示装置1の駆動時等において、例えば、駆動部や電源部が発熱した場合におけるシャーシ12とキャビネット20との位置ずれ量は、各部位において同じであるとは限らない。シャーシ12とキャビネット20との位置ずれ量が大きい場所と、小さい場所とが生じる場合がある。例えば、シャーシ12とキャビネット20との最小位置ずれ量に基づいてすべての面ファスナー30の変位可能距離を設定すると、表示装置1が発熱したときにシャーシ12とキャビネット20との間に応力が発生する場合がある。例えば、シャーシ12とキャビネット20との最大位置ずれ量に基づいてすべての面ファスナー30の変位可能距離を設定すると、シャーシ12とキャビネット20との間の遊びが大きくなりすぎる場合がある。表示装置1では、複数の面ファスナー30が、変位可能距離が相互に異なる複数種類の面ファスナー30を含む。このため、表示ユニット10とキャビネット20との間の遊びの量が大きくなりすぎることを抑制しつつ、表示ユニット10及びキャビネット20に応力が発生することを効果的に抑制することができる。
【0053】
例えば、空気の対流に伴い、加熱された空気は上方に向かって移動する。このため、表示装置1のうち、上側部分が比較的高温になり、下側部分が比較的低温になる場合がある。
【0054】
そこで、本実施形態では、複数の面ファスナー30は、第1面ファスナー30aと、第1面ファスナー30aよりも上方に位置する第2面ファスナー30bとを含む。そして、上方に位置する第2面ファスナー30bにおける変位可能距離は、第1面ファスナー30aにおける変位可能距離よりも大きい。すなわち、表示装置1の駆動時において高温になりやすい上側に位置する第2面ファスナー30bにおける変位可能距離が、表示装置1の駆動時においてそれほど高温になりにくい下側に位置する第1面ファスナー30aにおける変位可能距離よりも大きい。従って、表示ユニット10とキャビネット20との間の遊びの量が大きくなりすぎることを抑制しつつ、表示ユニット10及びキャビネット20に応力が発生することを効果的に抑制することができる。
【0055】
具体的には、本実施形態においては、複数の面ファスナー30は、少なくともひとつの第1面ファスナー30aと、少なくともひとつの第1面ファスナー30aよりも上方に位置する少なくともひとつの第2面ファスナー30bと、少なくともひとつの第2面ファスナー30bよりも上方に位置する少なくともひとつの第3面ファスナー30cとを含む。第1面ファスナー30a、第2面ファスナー30b及び第3面ファスナー30cのうち、上方に位置する面ファスナーほど、変位可能距離が大きい。従って、表示ユニット10のキャビネット20との間の遊びの量が大きくなりすぎることをより効果的に抑制しつつ、表示ユニット10及びキャビネット20に応力が発生することをより効果的に抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態では、第1面ファスナー30aと第2面ファスナー30bと第3面ファスナー30cとで、第1結合子35a及び第2結合子35bのそれぞれの密度が相互に異なる。具体的には、第1面ファスナー30aにおける、第1結合子35a及び第2結合子35bのそれぞれの密度が最も高く、第2面ファスナー30bにおける、第1結合子35a及び第2結合子35bのそれぞれの密度が次に高く、第3面ファスナー30cにおける、第1結合子35a及び第2結合子35bのそれぞれの密度が最も低い。このため、高さ方向H及び幅方向Wに沿った遊びの量は、最も上側に位置し、最も高温になりやすい第3面ファスナー30cにおいて最も大きくなり、最も下側に位置し、最も高温になりにくい第1面ファスナー30aにおいて最も小さくなる。高さ方向H及び幅方向Wに沿った遊びの量は、上側に位置し、高温になりやすい面ファスナー30ほど大きくなる。従って、表示装置1が高温になった際においても、表示ユニット10とキャビネット20との間に応力が付加することがより効果的に抑制されている。
【0057】
本実施形態では、第1面ファスナー30aと第2面ファスナー30bと第3面ファスナー30cとで、第1結合子35a及び第2結合子35bの本数が相互に異なる。具体的には、第1面ファスナー30aにおける、第1結合子35a及び第2結合子35bの本数が最も多く、第2面ファスナー30bにおける、第1結合子35a及び第2結合子35bの本数が次に多く、第3面ファスナー30cにおける、第1結合子35a及び第2結合子35bの本数が最も少ない。このため、最も上側に位置し、最も高温になりやすい第3面ファスナー30cの結合力が最も弱い。従って、最も高温になりにくい下側部分における表示ユニット10とキャビネット20とが第1面ファスナー30aによって強固に接合されている。従って、表示装置1の温度上昇に伴って、表示ユニット10からキャビネット20が外れることが効果的に抑制されている。
【0058】
以下、本発明の好ましい実施形態の他の例について説明する。以下の説明において、上記第1実施形態と実質的に共通の機能を有する部材を共通の符号で参照し、説明を省略する。
【0059】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態に係る表示装置1aの模式的裏面図である。第2実施形態に係る表示装置1aは、第1実施形態に係る表示装置1と、表示ユニット10とキャビネット20との結合態様において異なる。
【0060】
表示装置1aでは、表示ユニット10とキャビネット20とに固定用の穴40が形成されている。穴40は、表示ユニット10とキャビネット20との対向方向(表示装置1の奥行き方向)から視た中央領域に設けられている。表示装置1aは、この穴40に挿入されるボルト等の締結部材によって壁等に対して固定される。例えば、表示ユニット10に形成された穴40と、キャビネット20に形成された穴40との位置がずれると、穴40への締結部材の挿入が困難となる。従って、表示装置1aでは、中央領域における、表示ユニット10とキャビネット20との間の遊び量を小さくする必要がある。
【0061】
図9に示すように、複数の面ファスナー30は、表示ユニット10とキャビネット20との対向方向(表示装置1の奥行き方向)から視たキャビネット20の中央部を中心に放射状に配列されている。複数の面ファスナー30は、表示ユニット10とキャビネット20との対向方向から視た際に、中央側に位置する第1面ファスナー30aと、第1面ファスナー30aよりも外側に位置する第2面ファスナー30bとを含む。
【0062】
第1面ファスナー30aと第2面ファスナー30bとでは、変位可能距離が相互に異なる。具体的には、第1面ファスナー30aにおける変位可能距離よりも、第2面ファスナー30bにおける変位可能距離が大きい。
【0063】
上述のように、表示装置1aでは、中央領域における、表示ユニット10とキャビネット20との間の遊び量を小さくする必要がある。
【0064】
そこで、本実施形態では、相対的に外側に位置している第2面ファスナー30bにおける変位可能距離が、第1面ファスナー30aにおける変位可能距離よりも大きい。このため、表示装置1aの温度が上昇したとしても、表示ユニット10とキャビネット20との間に応力が発生することを抑制することができる。
【0065】
第1実施形態と同様に、第2面ファスナー30bにおける第1結合子35a及び第2結合子35bの密度が、第1面ファスナー30aにおける第1結合子35a及び第2結合子35bの密度よりも低いことが好ましい。
【0066】
第2面ファスナー30bにおける第1結合子35a及び第2結合子35bの本数が、第1面ファスナー30aにおける第1結合子35a及び第2結合子35bの本数よりも少ないことが好ましい。
【0067】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、第1結合子35a及び第2結合子35bのそれぞれが、柱状部36a、36bと、先端部37a、37bとを有する例について説明した。
【0068】
但し、本発明において、面ファスナーの構成は、この構成に限定されない。例えば、第1結合子及び第2結合子のうちの一方が、ループ形状を有し、他方が、ループ形状の結合子に引っかかるフック形状を有していてもよい。
【0069】
上記実施形態では、シャーシ12とキャビネット(バックキャビネット)20とを面ファスナー30を用いて固定する例について説明した。但し、本発明において、面ファスナーで結合する対象は、シャーシ12とキャビネット20とに限定されない。例えば、別のキャビネットを、表示装置を構成する他の部材に対して、面ファスナーを用いて結合してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1、1a 表示装置
10 表示ユニット
11 表示パネル
20 キャビネット
30 面ファスナー
30a 第1面ファスナー
30b 第2面ファスナー
30c 第3面ファスナー
31 第1結合部材
32 第2結合部材
33a 第1基部
33b 第2基部
34a 第1固定部
34b 第2固定部
35a 第1結合子
35b 第2結合子
36a 第1柱状部
36b 第2柱状部
37a 第1先端部
37b 第2先端部