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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】磁気処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/48 20230101AFI20230706BHJP
【FI】
C02F1/48 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022185850
(22)【出願日】2022-11-21
【審査請求日】2022-11-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503249201
【氏名又は名称】株式会社環境機器
(74)【代理人】
【識別番号】100206678
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100192795
【弁理士】
【氏名又は名称】小牧 哲也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 和史
(72)【発明者】
【氏名】木下 正明
【審査官】阪▲崎▼ 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-327693(JP,A)
【文献】特開2008-253935(JP,A)
【文献】特開2005-246148(JP,A)
【文献】特開2010-132819(JP,A)
【文献】特開2000-210675(JP,A)
【文献】特開2003-088874(JP,A)
【文献】特開2011-149195(JP,A)
【文献】実開平02-083096(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/46-1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性体の導管を挿通可能な挿通孔と、
前記挿通孔を介して対向配置された一対の磁石と、
前記一対の磁石を収容した外装部と、を備え、
前記一対の磁石は異極同士が互いに対向するように配置され、
前記一対の磁石が生成する磁界により、前記挿通孔に挿通された前記導管の内部を流動する流体に磁気を作用させる磁気処理装置であって、
前記外装部は、前記一対の磁石のうち一方の磁石を収容する第1分割体と、前記一対の磁石のうち他方の磁石を収容する第2分割体と、を備え、
前記第1分割体は、前記第2分割体と接触する第1接触面を有し、前記第1接触面に第1溝部、第1凸部および第1凹部が形成され、
前記第2分割体は、前記第1分割体と接触する第2接触面を有し、前記第2接触面に第2溝部、第2凸部および第2凹部が形成され、
前記第1凸部の全てが前記第2凹部に入り込み、かつ、前記第2凸部の全てが前記第1凹部に入り込むことで、前記第1接触面と前記第2接触面とが互いに接触する接触状態になるとともに、前記第1溝部と前記第2溝部とによって前記挿通孔が形成され、
前記接触状態は、前記磁界の引力によって保持され
前記第1凹部には、段差状の第1切欠部が形成され、
前記第2凹部には、段差状の第2切欠部が形成され、
前記第1凸部が前記第2切欠部に当接し、かつ、前記第2凸部が前記第1切欠部に当接することにより、前記第1接触面と前記第2接触面とが互いに接触していない非接触状態になり、
前記非接触状態は、前記磁界の引力によって保持される
ことを特徴とする磁気処理装置。
【請求項2】
非磁性体の導管を挿通可能な挿通孔と、
前記挿通孔を介して対向配置された一対の磁石と、
前記一対の磁石を収容した外装部と、を備え、
前記一対の磁石は異極同士が互いに対向するように配置され、
前記一対の磁石が生成する磁界により、前記挿通孔に挿通された前記導管の内部を流動する流体に磁気を作用させる磁気処理装置であって、
前記外装部は、前記一対の磁石のうち一方の磁石を収容する第1分割体と、前記一対の磁石のうち他方の磁石を収容する第2分割体と、を備え、
前記第1分割体は、前記第2分割体と接触する第1接触面を有し、前記第1接触面に第1溝部、第1凸部および第1凹部が形成され、
前記第2分割体は、前記第1分割体と接触する第2接触面を有し、前記第2接触面に第2溝部、第2凸部および第2凹部が形成され、
前記第1凸部の全てが前記第2凹部に入り込み、かつ、前記第2凸部の全てが前記第1凹部に入り込むことで、前記第1接触面と前記第2接触面とが互いに接触する接触状態になるとともに、前記第1溝部と前記第2溝部とによって前記挿通孔が形成され、
前記接触状態は、前記磁界の引力によって保持され、
前記第1分割体は、前記外装部の外壁のうち前記一方の磁石の周囲を覆う部分を構成する第1側壁部と、前記外装部の外壁のうち前記第1接触面と対向する部分を構成する第1対向壁部と、前記外装部の外壁のうち前記第1接触面を有する第1接触壁部と、を備え、
前記第2分割体は、前記外装部の外壁のうち前記他方の磁石の周囲を覆う部分を構成する第2側壁部と、前記外装部の外壁のうち前記第2接触面と対向する部分を構成する第2対向壁部と、前記外装部の外壁のうち前記第2接触面を有する第2接触壁部と、を備え、
前記外装部内には、前記外装部を補強する補強部材が設けられ、
前記補強部材は、前記第1対向壁部と前記一方の磁石との間に設けられて前記第1分割体を補強する第1補強部材と、前記第2対向壁部と前記他方の磁石との間に設けられて前記第2分割体を補強する第2補強部材と、を備え、
前記第1補強部材および前記第2補強部材は、防磁効果を有する素材で構成されることで、前記一対の磁石を防磁する防磁部とされている
ことを特徴とする記載の磁気処理装置

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導管の内部を流動する流体に磁気を作用させる磁気処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一対の磁石が生成する磁界により、流体に磁気を作用させる磁気処理装置が提案されている。例えば特許文献1に記載の磁気処理装置は、外部から水(流体)を流入させるための流入口と、流入口から取り込んだ水を外部に流出させるための流出口とを備え、流入口から取り込んだ水を該装置の内部で磁気化する。これにより、水の不純物を除去して、排水管等の内部腐食を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-69192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の磁気処理装置を工場等の既存の導管に取り付けるためには、まず、導管の一部を切断し、その後、導管の一方端を流入口に、導管の他方端を流出口にそれぞれ取り付ける必要があり、導管への取り付けが煩わしい。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、導管への取付が容易な磁気処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための解決手段として、
本発明の磁気処理装置は、
非磁性体の導管を挿通可能な挿通孔と、
前記挿通孔を介して対向配置された一対の磁石と、
前記一対の磁石を収容した外装部と、を備え、
前記一対の磁石は異極同士が互いに対向するように配置され、
前記一対の磁石が生成する磁界により、前記挿通孔に挿通された前記導管の内部を流動する流体に磁気を作用させる磁気処理装置であって、
前記外装部は、前記一対の磁石のうち一方の磁石を収容する第1分割体と、前記一対の磁石のうち他方の磁石を収容する第2分割体と、を備え、
前記第1分割体は、前記第2分割体と接触する第1接触面を有し、前記第1接触面に第1溝部、第1凸部および第1凹部が形成され、
前記第2分割体は、前記第1分割体と接触する第2接触面を有し、前記第2接触面に第2溝部、第2凸部および第2凹部が形成され、
前記第1凸部の全てが前記第2凹部に入り込み、かつ、前記第2凸部の全てが前記第1凹部に入り込むことで、前記第1接触面と前記第2接触面とが互いに接触する接触状態になるとともに、前記第1溝部と前記第2溝部とによって前記挿通孔が形成され、
前記接触状態は、前記磁界の引力によって保持される
ことを特徴とする磁気処理装置である。
【0007】
また、前記第1凹部には、段差状の第1切欠部が形成され、
前記第2凹部には、段差状の第2切欠部が形成され、
前記第1凸部が前記第2切欠部に当接し、かつ、前記第2凸部が前記第1切欠部に当接することにより、前記第1接触面と前記第2接触面とが互いに接触していない非接触状態になり、
前記非接触状態は、前記磁界の引力によって保持される
ことを特徴とする磁気処理装置であってもよい。
【0008】
また、前記第1分割体は、前記外装部の外壁のうち前記一方の磁石の周囲を覆う部分を構成する第1側壁部と、前記外装部の外壁のうち前記第1接触面と対向する部分を構成する第1対向壁部と、前記外装部の外壁のうち前記第1接触面を有する第1接触壁部と、を備え、
前記第2分割体は、前記外装部の外壁のうち前記他方の磁石の周囲を覆う部分を構成する第2側壁部と、前記外装部の外壁のうち前記第2接触面と対向する部分を構成する第2対向壁部と、前記外装部の外壁のうち前記第2接触面を有する第2接触壁部と、を備え、
前記外装部内には、前記外装部を補強する補強部材が設けられ、
前記補強部材は、前記第1対向壁部と前記一方の磁石との間に設けられて前記第1分割体を補強する第1補強部材と、前記第2対向壁部と前記他方の磁石との間に設けられて前記第2分割体を補強する第2補強部材と、を備え、
前記第1補強部材および前記第2補強部材は、防磁効果を有する素材で構成されることで、前記一対の磁石を防磁する防磁部とされている
ことを特徴とする磁気処理装置であってもよい。
【0009】
また、請求項3に記載の外装部を複数有しており、
前記複数の外装部のうち前記一方の外装部と前記他方の外装部とは、前記一方の外装部の前記一対の磁石と、前記他方の外装部の前記一対の磁石とが互いに異極同士となるように前記導管に沿って配置される
ことを特徴とする磁気処理装置であってもよい。
【0010】
また、請求項3に記載の外装部を複数有しており、
前記複数の外装部のうち前記一方の外装部と前記他方の外装部とは、前記一方の外装部の前記一対の磁石と、前記他方の外装部の前記一対の磁石とが互いに同極同士となるように前記導管に沿って配置される
ことを特徴とする磁気処理装置であってもよい。
【0011】
また、非磁性体の内部導管を挿通可能な挿通孔と、
前記挿通孔を介して対向配置された一対の磁石と、
前記一対の磁石を収容した外装部と、を備え、
前記一対の磁石は異極同士が互いに対向するように配置され、
前記外装部は、前記一対の磁石のうち一方の磁石を収容する第1分割体と、前記一対の磁石のうち他方の磁石を収容する第2分割体と、を備え、
前記第1分割体は、前記第2分割体と接触する第1接触面を有し、前記第1接触面に第1溝部、第1凸部および第1凹部が形成され、
前記第2分割体は、前記第1分割体と接触する第2接触面を有し、前記第2接触面に第2溝部、第2凸部および第2凹部が形成され、
前記第1凸部の全てが前記第2凹部に入り込み、かつ、前記第2凸部の全てが前記第1凹部に入り込むことで、前記第1接触面と前記第2接触面とが互いに接触する接触状態になるとともに、前記第1溝部と前記第2溝部とによって前記挿通孔が形成され、
前記接触状態は、前記磁界の引力によって保持されており、
前記一対の磁石が生成する磁界により、前記挿通孔に挿通された前記内部導管の内部を流動する流体に磁気を作用させる磁気処理装置の取付方法であって、
既存の外部導管の一部を切除して、入口側外部導管および出口側外部導管に分離する分離工程と、
前記入口側外部導管および前記出口側外部導管に前記内部導管を接続する接続工程と、
前記第1分割体と前記第2分割体との間に、前記内部導管を介在させた状態で、前記第1分割体と前記第2分割体を前記接触状態とする一体化工程を備えている
ことを特徴とする磁気処理装置の取付方法としてもよい。
【0012】
また、非磁性体の内部導管を挿通可能な挿通孔と、
前記挿通孔を介して対向配置された一対の磁石と、
前記一対の磁石を収容した外装部と、を備え、
前記一対の磁石は異極同士が互いに対向するように配置され、
前記外装部は、前記一対の磁石のうち一方の磁石を収容する第1分割体と、前記一対の磁石のうち他方の磁石を収容する第2分割体と、を備え、
前記第1分割体は、前記第2分割体と接触する第1接触面を有し、前記第1接触面に第1溝部、第1凸部および第1凹部が形成され、
前記第2分割体は、前記第1分割体と接触する第2接触面を有し、前記第2接触面に第2溝部、第2凸部および第2凹部が形成され、
前記第1凸部の全てが前記第2凹部に入り込み、かつ、前記第2凸部の全てが前記第1凹部に入り込むことで、前記第1接触面と前記第2接触面とが互いに接触する接触状態になるとともに、前記第1溝部と前記第2溝部とによって前記挿通孔が形成され、
前記接触状態は、前記磁界の引力によって保持されており、
前記第1分割体は、前記外装部の外壁のうち前記一方の磁石の周囲を覆う部分を構成する第1側壁部と、前記外装部の外壁のうち前記第1接触面と対向する部分を構成する第1対向壁部と、前記外装部の外壁のうち前記第1接触面を有する第1接触壁部と、を備え、
前記第2分割体は、前記外装部の外壁のうち前記他方の磁石の周囲を覆う部分を構成する第2側壁部と、前記外装部の外壁のうち前記第2接触面と対向する部分を構成する第2対向壁部と、前記外装部の外壁のうち前記第2接触面を有する第2接触壁部と、を備え、
前記外装部内には、前記外装部を補強する補強部材が設けられ、
前記補強部材は、前記第1対向壁部と前記一方の磁石との間に設けられて前記第1分割体を補強する第1補強部材と、前記第2対向壁部と前記他方の磁石との間に設けられて前記第2分割体を補強する第2補強部材と、を備え、
前記第1補強部材および前記第2補強部材は、防磁効果を有する素材で構成されることで、前記一対の磁石を防磁する防磁部とされており、
前記一対の磁石が生成する磁界により、前記挿通孔に挿通された前記内部導管の内部を流動する流体に磁気を作用させる磁気処理装置の取付方法であって、
既存の外部導管の一部を切除して、入口側外部導管および出口側外部導管に分離する分離工程と、
前記入口側外部導管および前記出口側外部導管に前記内部導管を接続する接続工程と、
前記入口側外部導管と前記内部導管との間に、前記入口側外部導管と前記内部導管との間からの流体の漏出を防止するとともに防磁効果を有する入口側パッキン部材を取り付ける入口側取付工程と、
前記出口側外部導管と前記内部導管との間に、前記出口側外部導管と前記内部導管との間からの流体の漏出を防止するとともに防磁効果を有する出口側パッキン部材を取り付ける出口側取付工程と、
前記第1分割体と前記第2分割体との間および入口側パッキン部材と出口側パッキン部材との間に、前記内部導管を介在させた状態で、前記第1分割体と前記第2分割体を前記接触状態とする一体化工程と、を備えている
ことを特徴とする磁気処理装置の取付方法としてもよい。
【0013】
また、この磁気処理装置の取付方法としては、前記分離工程の後に、切除された前記既存の外部導管の一部に代えて、前記入口側外部導管および前記出口側外部導管よりも径の小さい前記内部導管に交換する交換工程を備えているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、導管への取付が容易な磁気処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】モータを冷却するための水冷システムである。
図2】水冷システムの導管に取り付けられた磁気処理装置である。
図3】水冷システムの導管に取り付けられた磁気処理装置である。
図4】水冷システムの導管に取り付けられた磁気処理装置である。
図5】水冷システムの導管に取り付けられた磁気処理装置である。
図6】磁気処理装置を示す斜視図である。
図7】磁気処理装置を示す側面図である。
図8】磁気処理装置の第1分割体および第2分割体を示す斜視図である。
図9】第1分割体および第2分割体を示す左側面図である。
図10】第1分割体および第2分割体を示す正面図である。
図11】第1分割体を示す平面図である。
図12】第2分割体を示す平面図である。
図13】第1分割体の第1凹部および第2分割体の第2凹部を説明するための図である。
図14】第1分割体を分解した分解斜視図である。
図15】第1分割体および第2分割体を分解した左側面図である。
図16】第1分割体と第2分割体とが接触した接触状態を説明するための図である
図17】第1分割体と第2分割体とが接触していない非接触状態を説明するための図である。
図18】変形例1に係る磁気処理装置の取付方法の各工程を模式的に説明する図である。
図19】変形例1に係る面取り工程を模式的に説明する図である。
図20】変形例1に係る入口側パッキン部材(出口側パッキン部材)を示す側面図である。
図21】変形例2に係る一対の磁石の位置関係および磁極関係を模式的に説明する図である。
図22】変形例3に係る一対の磁石の位置関係および磁極関係を模式的に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、水冷システムSを模式的に示した模式図である。水冷システムSは、自動車や船舶などに搭載されるモータを冷却水で冷却するためのシステムである。
【0018】
水冷システムSは、非磁性体の導管(外部導管)1、水冷式モータ2、インバータ装置3、循環ポンプ4、熱交換器5、磁気処理装置100を主に備えている。
【0019】
導管1は、冷却水(流体)を水冷式モータ2に供給するための水路である。導管1から供給される冷却水は、水冷式モータ2の熱を発散する。冷却水の温度は、水冷式モータ2の熱を発散することにより上昇する。インバータ装置3は、直流を交流に変換する逆変換装置である。循環ポンプ4は、冷却水を導管1内で還流(流動)させるためのポンプである。図1に示す矢印Aは、冷却水の還流方向を示している。熱交換器5は、導管1内で還流している冷却水を冷却するための機器である。
【0020】
磁気処理装置100は、導管1の内部を還流する冷却水に磁気および遠赤外線を作用させるための装置である。磁気処理装置100は、導管1の外周面1aに着脱可能に取り付けられている。冷却水は、磁気処理装置100により、磁気活性化する。
【0021】
次に、磁気処理装置100について詳細に説明する。
【0022】
図2乃至5は、導管1に取り付けられた磁気処理装置100を示した図である。以下の説明において、左右方向は、磁気処理装置100が取り付けられた導管1の軸方向を指すものとする。また、図2乃至15の各図面において、左右方向をX方向、前後方向をY方向、上下方向をZ方向で示す。
【0023】
図2乃至5に示すように、磁気処理装置100は、挿通孔101、第1磁石103、第2磁石105を備えている。以下の説明において、第1磁石103および第2磁石105のことを、適宜、「一対の磁石」という。
【0024】
本実施形態では、遠赤外線を発生するシリカ等の鉱物を粉末にして接着材に混ぜてなる塗布剤を、第1磁石103の下面(第1磁石103において導管1に対向する面)および第2磁石105の上面(第2磁石105において導管1に対向する面)に塗布することで、第1磁石103および第2磁石105のそれぞれの表面に遠赤外線を発生する遠赤外線発生部としての塗布層(図示せず)を構成する。一対の磁石の磁力および各塗布層の遠赤外線により、導管1内の冷却水(液体)の分子クラスターは分散する。塗布層からの遠赤外線は、冷却水の分子に吸収されることにより、分子にエネルギーを与え、共振共鳴反応を起こさせることによって分子を振動させる。このように、各塗布層の遠赤外線は、分子を高エネルギー状態に励起し、磁力の効果を受けやすくするため、結果として水分子のクラスターがバラバラになりやすくなり、その状態をより長時間保持させる。
【0025】
挿通孔101は、磁気処理装置100を導管1に取り付けるための孔である。一対の磁石は、導管1内を還流する冷却水(活性水)に磁気を作用させるためのものである。
【0026】
図2に示すように、挿通孔101は、X方向に直線状に延びている。挿通孔101は、開口部111、開口部113を有している。開口部111は、X1方向に開放し、開口部113は、X2方向に開放している。
【0027】
図3は、導管1に取り付けられた磁気処理装置100をX1方向から見た左側面図である。図2図3に示すように、両開口部111,113は、Y1方向およびY2方向に幅広の楕円状に形成されている。導管1が挿通孔101に挿通されている状態では、導管1の外周面1aと挿通孔101の内周面101aとが、Z1方向およびZ2方向で互いに当接し、外周面1aと内周面101aの間に隙間101d、および隙間101eが生じている。
【0028】
一対の磁石は、希土類永久磁石である。一対の磁石は、直方体形状をなしている。一対の磁石はそれぞれ、概略、長手方向(X方向)に45mm、短手方向(Y方向)に30mm、厚み方向(Z方向)に10mmに形成されている。
【0029】
本実施形態では、一対の磁石として、希土類永久磁石を採用したが、これに限られず、希土類永久磁石と同等の残留磁束密度および保磁力を持つ永久磁石を採用してもよい。また、それぞれの一対の磁石のサイズは、上述のものに限定されず、仕様に応じて適宜変更可能であるし、また、同一のサイズのみならず、互いに異なるサイズを用いるようにしてもよい。
【0030】
図4は、導管1に取り付けられた磁気処理装置100をY1方向から見た正面図である。同図に示すように、第1磁石103は導管1のZ1側に配置され、第2磁石105は導管1のZ2側に配置されている。一対の磁石は、導管1の中心軸線に対して平行に配置され、異極同士が互いに対向している。より詳細には、第1磁石103は下面103a(Z2側の面)がN極側で上面103b(Z1側の面)がS極側となるように配置され、第2磁石105は上面105aがS極側で下面105bがN極側となるように配置されている。この結果、第1磁石103のN極側の下面103aと、第2磁石105のS極側の上面105aとが互いに対向している。
【0031】
図6図7は、導管1に取り付けられていない磁気処理装置100を示した図である。磁気処理装置100は、第1分割体200と、第2分割体300とを備えている。以下の説明において、第1分割体200および第2分割体300のことを、適宜、「一対の分割体」という。
【0032】
本実施形態では、一対の分割体同士が互いに連結して一体となることにより磁気処理装置100の本体を構成する外装部110となる。一対の分割体は、一対の分割体同士が互いに接触する接触面を有しており、該接触面に凸部および凹部が形成されている。一対の分割体が一体となる際、凹部と凸部とが嵌合して外装部110を構成することで磁気処理装置100となる。なお、一対の磁石のうち第1磁石103は第1分割体200の内部に収容され、第2磁石105は第2分割体300の内部に収容されている。
【0033】
次に、図8乃至15を参照しながら、第1分割体200について説明する。以下の説明では、第1分割体200が第2分割体300のZ1側に位置している状態を例にとって説明する。
【0034】
第1分割体200は、第1側壁200a、第2側壁200b、第3側壁200c、第4側壁200d、第1接触壁200e、第1対向壁200f、を有しており、これら各壁200a乃至200fにより箱状に形成されている。
【0035】
図15等に示すように、第1側壁200aは、第1磁石103のX1側を覆う。第2側壁200bは、第1磁石103のX2側を覆う。第3側壁200cは、第1磁石103のY1側を覆う。第4側壁200dは、第1磁石103のY2側を覆う。第1接触壁200eは、第1磁石103のZ2側を覆う。図9等に示すように、第1接触壁200eは、第1接触面203、第1接触面205、および第1溝部207からなる。第1対向壁200fは、第1磁石103のZ1側を覆う。すなわち、第1分割体200は、外装部110の外壁のうち第1磁石103の周囲を覆う部分を構成する第1側壁部200Aと、外装部110の外壁のうち第1接触面203、205を有する第1接触壁部200eと、外装部100の外壁のうち第1接触壁部200e(第1接触面203、205)と対向する部分を構成する第1対向壁部200fと、を有している。
【0036】
以後、第1側壁200aと、該第1側壁200aに対向した第2側壁200bと、第3側壁200cと、該第3側壁200cに対向した第4側壁200dと、を総括して、「第1側壁部200A」と称することもある。
【0037】
第1接触面203は、一対の分割体同士が接触する接触面である。図9は、第1分割体200をX1方向から見た左側面図であり、図11は、第1分割体200をZ2方向から見た底面図である。図9図11に示すように、第1接触面203は、第1溝部207のY1側に形成され、第1溝部207を介して、第1溝部207のY2側に配置されている第1接触面205と接続している。第1接触面203には、第1凸部209が形成されている。
【0038】
第1凸部209は、一対の分割体が一体となる際に、第2分割体300の第2凹部311と嵌合するものである。図9に示すように、第1凸部209は、第1接触面203に対し略垂直に(Z2方向に)突出している。第1凸部209は、X1方向から見たとき、Z1方向からZ2方向に向かうにつれて、Y方向の寸法が漸次小さくなっており、略台形状に形成されている。また、図10に示すように、第1凸部209は、Y1方向から見たとき、X方向に横長の矩形状をなしている。
【0039】
第1接触面205は、一対の分割体同士が接触する接触面である。図11に示すように、第1接触面205は、第1溝部207を介して、第1接触面203と接続しており、第1溝部207のY2側に形成されている。第1接触面205には、第1凹部211が形成されている。
【0040】
第1凹部211は、一対の分割体が一体となる際に、第2分割体300の第2凸部309と嵌合するものである。第1凹部211を説明するにあたり図11図13(a)を用いて説明する。なお、図13(a)は、第1分割体200をX1方向から見たときの左側面図であり、同図では、第1凹部211を説明するために、第1凹部211の断面形状を図示している。
【0041】
第1凹部211は、第1開口部211a、第1切欠部211b、第1底部211cを有している。
【0042】
図11に示すように、第1開口部211は、第1分割体200をZ2方向から見たとき、X方向に延びており、略縦長方形状に形成されている。図13(a)に示すように、第1切欠部211bは、当接面211dを有している。当接面211dには、第2分割体300の第2凸部309の端部(先端面)309aが当接する。また、図13(a)に示すように、第1底部211cは、第1切欠部211bの当接面211dに対して高い位置(Z1側の位置)にあり、この段差部分が、第2分割体300の第2凸部309を収容する第1スペース211eとなっている。
【0043】
第1溝部207は、先述の挿通孔101の一部を構成するものである。図11に示すように、第1溝部207は、第1分割体200の第1側壁200aから該第1側壁200aに対向する第2側壁200bまで、X方向に直線状に延びている。図9に示すように、第1溝部207の表面207aは、第1接触面203および第1接触面205と連続している。第1溝部207は、一対の分割体が一体となる際に、後述の第2溝部307と組み合わさる(詳細は後述)。
【0044】
図14は、第1分割体200を分解した分解斜視図であり、図15は、第1分割体200および第2分割体300を分解した左側面図である。第1分割体200は、第1ベース230、第1カバー250を有している。
【0045】
第1ベース230は、第1接触壁200eを有している。第1カバー250は、第1側壁部200A、第1対向壁200fを有している。第1ベース230および第1カバー250は、磁石(磁界)の影響を受けない材料で形成されている。第1ベース230と第1カバー250とは、図示せぬ係止部により、閉塞状態に固定されて、内部空間を有する第1分割体200となる。なお、第1ベース230と第1カバー250とを溶接や接着等により閉塞状態に固定するようにしてもよく、要は、第1ベース230と第1カバー250を閉塞状態に固定するようにすればよい。
【0046】
第1分割体200の内部(外装部110の内部)には、第1磁石103、第1補強部材107、第1補強部材109、緩衝部材120が収容されている。
【0047】
第1ベース230には、第1磁石103を収容するための第1収容部231が形成されている。第1収容部231は、第1ベース230をZ1方向から見たとき、X方向に横長の横長方形状をなしている。第1磁石103は、Z1方向にS極、Z2方向にN極となるように、第1収容部231に収容されている(図21(a)も併せて参照)。つまり、第1磁石103の下面103aがN極となる。
【0048】
第1補強部材107と第1補強部材109は、金属(例えば、鉄)等の高透磁率の材料で形成されており、防磁効果を有する。これら第1補強部材107、109は、第1カバー250よりも剛性の高い材料で形成されている。第1補強部材107、109は、第1分割体200(第1カバー250)を補強する部材であり、第1収容部231(第1磁石103)を覆う。第1補強部材107は第1収容部231のZ1側に、第1補強部材109は第1補強部材107のZ1側にそれぞれ、積み重ねられている。第1補強部材107と第1補強部材109との間には、緩衝部材120が介在している。
【0049】
第1補強部材107は、第1被覆部107a、第2被覆部107b、第2被覆部107c、を有している。第1被覆部107aは、第1磁石103のZ1側の上面103b(S極)を覆う。第2被覆部107bは、第1磁石103の側面のうちY1側の側面103cを覆う。第2被覆部107cは、第1磁石103の側面のうちY2側の側面103dを覆う。
【0050】
第1補強部材109は、第1被覆部109a、第2被覆部109b、第2被覆部109c、を有している。図15に示すように、第1被覆部109aは、緩衝部材120のZ1側の上面120aを覆う。第2被覆部109bは、緩衝部材120の側面のうちY1側の側面120bを覆う。第2被覆部109cは、緩衝部材120の側面のうちY2側の側面120cを覆う。
【0051】
緩衝部材120は、スポンジやゴム等の弾力性を有する材料で形成されており、直方体状をなす。緩衝部材120は、第1補強部材107および第1補強部材109に密着している。
【0052】
次に、図8乃至15を参照しながら、第2分割体300について説明する。以下の説明では、第2分割体300が第1分割体200のZ2側に位置している状態を例にとって説明する。
【0053】
図8等に示すように、第2分割体300は、第1側壁300a、第2側壁300b、第3側壁300c、第4側壁300d、第2接触壁300e、第2対向壁300fを有しており、これら各壁300a乃至300fにより箱状に形成されている。
【0054】
図15等に示すように、第1側壁300aは、第2磁石105のX1側を覆う。第2側壁300bは、第2磁石105のX2側を覆う。第3側壁300cは、第2磁石105のY1側を覆う。第4側壁300dは、第2磁石105のY2側を覆う。第2接触壁300eは、第2磁石105のZ1側を覆う。第2接触壁300eは、第2接触面303、第2接触面305、第2溝部307を有している。第2対向壁300fは、第2磁石105のZ2側を覆う。すなわち、第2分割体300は、外装部110の外壁のうち第2磁石105の周囲を覆う部分を構成する第2側壁部300Aと、外装部100の外壁のうち第2接触面303、305を有する第2接触壁部300eと、外装部110の外壁のうち第1接触壁部300e(第2接触面303、305)と対向する部分を構成する第2対向壁部300fと、を有している。
【0055】
以後、第1側壁300aと、該第1側壁300aに対向した第2側壁300bと、第3側壁300cと、該第3側壁300cに対向した第4側壁300dと、を総括して、「第2側壁部300A」と称することもある。
【0056】
第2接触面303は、一対の分割体同士が接触する接触面である。図9は、第2分割体300をX1方向から見た左側面図であり、図12は、第2分割体300をZ1方向から見た底面図である。図9、12に示すように、第2接触面303は、第2溝部307のY2側に形成され、第2溝部307を介して、第2接触面305と接続している。第2接触面303は、一対の分割体が一体となる際に、先述の第1接触面205と接触する。第2接触面303には、第2凸部309が形成されている。
【0057】
第2凸部309は、一対の分割体が一体となる際に、第1分割体200の第1凹部211と嵌合するものである。図9に示すように、第2凸部309は、第2接触面303に対し略垂直にZ1方向に突出している。第2凸部309は、X1方向から見たとき、Z2方向からZ1方向に向かうにつれて、Y方向の寸法が漸次小さくなっており、略台形状に形成されている。また、図10に示すように、第2凸部309は、Y1方向から見たとき、X方向に横長の矩形状をなしている。
【0058】
第2接触面305は、一対の分割体同士が接触する接触面である。図12に示すように、第2接触面305は、第2溝部307を介して、第2接触面303と接続しており、第2溝部307のY2側に形成されている。第2接触面305は、一対の分割体が一体となる際に、先述の第1接触面203と接触する。第2接触面305には、第2凹部311が形成されている。
【0059】
第2凹部311は、一対の分割体が一体となる際に、第1分割体200の第1凸部209と嵌合するものである。第2凹部311を説明するにあたり図12図13(b)を用いて説明する。なお、図13(b)は、第2分割体300をX1方向から見たときの左側面図であり、同図では、第2凹部311を説明するために、第2凹部311の断面形状を図示している。
【0060】
第2凹部311は、第2開口部311a、第2切欠部311b、第2底部311cを有している。
【0061】
図12に示すように、第2開口部311は、第2分割体300をZ1方向から見たとき、X方向に延びており、略縦長方形状に形成されている。図13(b)に示すように、第2切欠部311bは、当接面311dを有している。当接面311dには、第1分割体200の第1凸部209の端部(先端面)209aが当接する。また、図13(b)に示すように、第2底部311cは、第2切欠部311bの当接面311dに対して低い位置(Z2側の位置)にあり、この段差部分が、第1分割体200の第1凸部209を収容する第2スペース311eとなっている。
【0062】
第2溝部307は、先述の挿通孔101の一部を構成するものである。図12に示すように、第2溝部307は、第2分割体300の第1側壁300aから該第1側壁300aに対向する第2側壁300bまで、X方向に直線状に延びている。図9に示すように、第2溝部307の表面307aは、第2接触面303および第2接触面305と連続している。第2溝部307は、一対の分割体が一体となる際に、第1溝部207と組み合わさる(詳細は後述)。
【0063】
図15は、第1分割体200および第2分割体300を分解した左側面図を示したものである。第2分割体300は、第2ベース330、第2カバー350を有している。
【0064】
第2ベース330は、第2接触壁300eを有している。第2カバー350は、第2側壁部300A、第2対向壁300fを有している。第2ベース330および第2カバー350は、磁石(磁界)の影響を受けない材料で形成されている。第2ベース330と第2カバー350とは、図示せぬ係止部により、閉塞状態に固定されて、内部空間を有する第2分割体300となる。なお、第2ベース330と第2カバー350とを溶接や接着等により閉塞状態に固定するようにしてもよく、要は、第2ベース330と第2カバー350を閉塞状態に固定するようにすればよい。
【0065】
第2分割体300の内部(外装部110の内部)には、第2磁石105、第2補強部材111、第2補強部材113、緩衝部材220が収容されている。
【0066】
第2ベース330には、第2磁石105を収容するための第2収容部331が形成されている。第2収容部331は、図14に示す第1収容部231と同様に、第2ベース330をZ2方向から見たとき、X方向に横長の横長方形状をなしている(図示省略)。第2磁石105は、Z1方向にS極、Z2方向にN極となるように、第2収容部331に収容されている(図21(a)も併せて参照)。つまり、第2磁石105の上面105aがS極となる。
【0067】
第2補強部材111および第2補強部材113は、金属(例えば、鉄)等の高透磁率の材料で形成されており、防磁効果を有する。これら第2補強部材111、113は、第2カバー350よりも剛性の高い材料で形成されている。第2補強部材111、113は、第2分割体300(第2カバー350)を補強する部材であり、第2収容部331(第2磁石105)を覆う。第2補強部材111は第2収容部331のZ2側に、第2補強部材113は第2補強部材111のZ2側に、それぞれ重ねられている。第2補強部材111と第2補強部材113との間には、緩衝部材220が介在している。
【0068】
第2補強部材111は、第1被覆部111a、第2被覆部111b、第2被覆部111c、を有している。第1被覆部111aは、第2磁石105のZ2側である下面105b(N極)を覆う。第2被覆部111bは、第2磁石105の側面のうちY1側の側面105cを覆う。第2被覆部111cは、第2磁石105の側面のうちY2側の側面105dを覆う。
【0069】
第2補強部材113は、第1被覆部113a、第2被覆部113b、第2被覆部113c、を有している。第1被覆部113aは、緩衝部材220のZ2側である下面220aを覆う。第2被覆部113bは、緩衝部材220の側面のうちY1側の側面220bを覆う。第2被覆部113cは、緩衝部材220の側面のうちY2側の側面220cを覆う。
【0070】
緩衝部材220は、スポンジやゴム等の弾力性を有する材料で形成されており、直方体状をなす。緩衝部材220は、第2補強部材111および第2補強部材113に密着している。
【0071】
次に、第1分割体200と第2分割体300との一体化について、適宜、図面を参照しながら説明する。以下の説明において、説明の便宜上、第1分割体200の第1接触面203および第1接触面205のことを「第1接触面」といい、第2分割体300の第2接触面303および第2接触面305のことを「第2接触面」という。
【0072】
まず、作業者は、互いに分離している一対の分割体をそれぞれの手に持ち、これらを互いに対向させる。このとき、図9,13に示すように、第1接触面203と第2接触面305、および第1接触面205と第2接触面303、をそれぞれ対向させた状態(以下、第1状態という。)とする。この第1状態は、第1凸部209と第2凹部311、、および第2凸部309と第1凹部211、をそれぞれ対向させた状態ともいえる。
【0073】
次に、第1状態にある一対の分割体を互いに近接させる。このとき、第1分割体200と第2分割体300との距離が所定の距離になったとき、一対の磁石が生成する磁界の引力により、一対の分割体は、さらに近接する方向に移動する。すなわち、第1磁石103の下面103a(N極)と、第2磁石105の上面105a(S極)と、が互いに引き合う方向に移動する。
【0074】
ここで、図13に示すように第1凹部211には、第2凸部309の全てを収容するための第1スペース211eと、第2凸部309の端部309aが当接可能な第1切欠部211bと、が設けられている。これと同様に、第2凹部311には、第1凸部209の全てを収容するための第2スペース311eと、第1凸部209の端部209aが当接可能な第2切欠部311bと、が設けられている。
【0075】
本実施形態では、第1凸部209が第2スペース311eに収容可能な状態にある場合には、第2凸部309も第1スペース211eに収容可能な状態となるように、第1凸部209、第1凹部211、第2凸部309および第2凹部311がそれぞれ形成されている。これと同様に、第2凸部309が第1スペース211eに収容可能な状態にある場合には、第1凸部209も第2スペース311eに収容可能な状態となるように、第1凸部209、第1凹部211、第2凸部309および第2凹部311がそれぞれ形成されている。なお、以下の説明において、一対の分割体が互いに近接する方向に近づくとき、第1凸部209が第2スペース311eに収容可能な状態、あるいは、第2凸部309が第1スペース211eに収容可能な状態のことを「第2状態」という。
【0076】
一方、本実施形態では、第1凸部209の端部209aが第2切欠部311bの当接面311dに当接可能な状態にある場合には、第2凸部309の端部309aも第1切欠部211bの当接面211dに当接可能な状態となるように、第1凸部209、第1切欠部211b(第1凹部211)、第2凸部309、第2切欠部311b(第2凹部311)がそれぞれ形成されている。これと同様に、第2凸部309の端部309aが第1切欠部211bの当接面211dに当接可能な状態にある場合には、第1凸部209の端部209aも第2切欠部311bの当接面311dに当接可能な状態となるように、第1凸部209、第1切欠部211b(第1凹部211)、第2凸部309、第2切欠部311b(第2凹部311)がそれぞれ形成されている。なお、以下の説明において、一対の分割体が互いに近接する方向に近づくとき、端部209aが当接面311dに当接可能な状態、あるいは端部309aが当接面211dに当接可能な状態のことを「第3状態」という。
【0077】
次に、第2状態にある一対の分割体が、前記磁界の引力により、さらに近接する方向に移動する。これにより、第1凸部209が第2スペース311eに収容され、第2凸部309が第1スペース211eに収容される。このとき、前記磁界の引力により、第1接触面203と第2接触面305とが面接触し、第1接触面205と第2接触面303とが面接触する。すなわち、一対の分割体は第1接触面と第2接触面とが互いに接触している接触状態となり(一体化工程)、これにより外装部110が構成されて磁気処理装置100となる。
【0078】
前記接触状態、すなわち、第1分割体200と第2分割体300とが一体化している状態は、図6,7,16に示す状態であり、作業者が一対の分割体から手を離しても、前記磁界の引力により接触状態は維持される。そして、接触状態では、図16に示すように、第1溝部207の表面207aと第2溝部307の表面307aとが連続した状態となって、導管1を挿通するための挿通孔101が形成される。つまり、第1分割体200と第2分割体300とが一体となることで、磁気処理装置100の外装部110に、第1溝部207と第2溝部307とで構成された挿通孔101が出現する。
【0079】
図16に示すように、一対の分割体が接触状態となったとき、第1磁石103の下面103a(N極)における幾何中心位置Pと、第2磁石105の上面105a(S極)における幾何中心位置Qとを通る仮想線Mは、第1磁石103の下面103aおよび第2磁石105の上面105aに対し直交する。
【0080】
一方、第3状態にある一対の分割体が、前記磁界の引力により、さらに近接する方向に移動する。これにより、第1凸部209の端部209aが第2切欠部311bの当接面311dに当接し、第2凸部309の端部309aが第1切欠部211bの当接面211dに当接する。このとき、第1接触面203と第2接触面305、第1接触面205と第2接触面303、が何れも接触していない非接触状態となる。
【0081】
前記非接触状態は、使用者が一対の分割体から手を離しても、前記磁界の引力により維持される。そして、図17に示すように、非接触状態では、第1接触面と第2接触面とが互いに平行な状態となる。また、非接触状態では、接触状態と異なり、第1溝部207の表面207aと第2溝部307の表面307aとが連続していない状態となって、第1溝部207と第2溝部307とによって挿通孔101が形成されていない状態となる(換言すれば、挿通孔101よりも径の大きい挿通孔が形成されている状態ともいえる)。
【0082】
図17に示すように、一対の分割体が非接触状態となったとき、接触状態と異なり、第1磁石103の下面103aにおける幾何中心位置Pと、第2磁石105の上面105aにおける幾何中心位置Qとを通る仮想線Nは、第1磁石103の下面103aおよび第2磁石105の上面105aに対し直交しない(換言すれば、仮想線Nは、仮想線Mに対して傾斜した状態となっているともいえる)。
【0083】
次に、磁気処理装置100を導管1に取り付ける例について説明する。
【0084】
まず、作業者は、一方の手に所持している第2分割体300を導管1の外周面1aに接触させる。このとき、導管1の軸方向(X方向)に第2溝部307の形成方向を沿わせるようにして、外周面1aのZ2側に第2溝部307の表面307aを接触させる。この状態で、他方の手に所持している第1分割体200を第2分割体200に対向させる。このとき、第1接触面203と第2接触面305、および第1接触面205と第2接触面303が互いに対向している状態(第1状態)とする。そして、第1分割体200を第2分割体300に近接させて、第1凸部209が第2スペース311e(第2凸部309が第1スペース211e)に収容可能な前記第2状態とする。このとき、前記磁界の引力により、第1分割体200と第2分割体300とがさらに近接する方向へ移動して、第1接触面と第2接触面とが互いに接触して外装部110を構成することで、挿通孔101に導管1が挟まれている状態となる。このようにして、磁気処理装置100が導管1に取り付けられる。
【0085】
磁気処理装置100が導管1に取り付けられている状態では、図3図16に示すように、仮想線Mは、第1磁石103の位置P、第2磁石105の位置Q、導管1の位置Rをそれぞれ通る。導管1の位置Rは、導管1の中心軸線上に位置する中心位置に相当する。なお、先述のように、第1磁石103の位置Pは、第1磁石103の下面103aにおける幾何中心位置に相当し、第2磁石105の位置Qは、第2磁石105の上面105aにおける幾何中心位置に相当する。そして、仮想線Mは、第1磁石103の下面103aおよび第2磁石105の上面105aに対し直交し、第1磁石103の位置Pから導管1の位置Rまでの距離と、第2磁石105の位置Qから導管1の位置Rまでの距離とが同距離となる。これにより、一対の磁石は、導管1内を流動する冷却水の流動方向(X1方向)と直交するように、冷却水に磁力を作用させる。言い換えると、冷却水は、N極とS極との間に存在する磁力線に対して垂直方向に流動する。なお、導管1の位置Rにおける磁束密度は、1000~5000ガウスとなる。
【0086】
以上のように、磁気処理装置100は、挿通孔101を介して異極同士が互いに対向する一対の磁石を備えているため、挿通孔101に挿通された導管1内を流動する冷却水(流体)を磁気活性化することができる。これにより、水冷式モータ2の冷却効率を増加させ、かつ、循環ポンプ4の負荷を抑えるとともに、導管1内にスケール・スライムや水藻等が発生することを抑制することができる。なお、磁気処理装置100によって磁気活性化された冷却水(以下、「活性水」という。)は、磁気活性化されていない通常の水と比較して、分子クラスターが小さく均一であり、熱伝導率(熱伝導係数)が高い。これにより、活性水は、水冷式モータ2の冷却効率を増加させ、かつ、循環ポンプ4の負荷を抑える。また、活性水は、界面活性力・溶解力・浸透力が非常に高く、電子励起作用が働き電子が活発に動く高エネルギー状態にある。これにより、活性水は、水に含まれる炭酸カルシウムや鉄分等を除去して、導管1内にスケール・スライムや水藻等が発生することを抑制する。
【0087】
また、磁気処理装置100は、導管1を挿通可能な挿通孔101と、第1磁石103を収容する第1分割体200と、第2磁石105を収容する第2分割体300と、を備え、第1分割体200と第2分割体300とで導管1を挟み込むようにして、挿通孔101に導管1を挿通させることで、磁気処理装置100を導管1に取り付けることができるため、導管1への取り付けが容易な磁気処理装置100を提供することができる。
【0088】
特に、本実施形態では、磁気処理装置100を導管1に取り付けた後に、作業者が一対の分割体から手を離しても、一対の磁石が生成する磁界の引力により、第1分割体200と第2分割体300とが互いに離れない状態(接触状態)を維持することができる。これにより、磁気処理装置100が導管1から脱落することを防止することができる。つまり、一対の磁石は、冷却水を磁気活性化する機能と、第1分割体200と第2分割体300とが互いに離れない状態を維持する機能との双方を兼ねている。よって、磁気処理装置100が導管1から脱落することを防止するための部材を別途設ける必要が無い。
【0089】
また、磁気処理装置100を導管1に取り付けるとき、第1分割体200と第2分割体300との距離が所定の距離となったとき、第1磁石103と第2磁石105が生成する磁界の引力により、両分割体が互いに引き合うため、磁気処理装置100を導管1に取り付ける労力を軽減することができる。
【0090】
また、本実施形態では、一対の分割体同士が接触する接触面に凸部(凸部209,309)および凹部(凹部211,311)が形成され、第1凸部209の全てが第2凹部311の第2スペース311eに入り込み、かつ、第2凸部309の全てが第1凹部211の第1スペース211eに入り込むことで、外装部110となって磁気処理装置100を構成するため、これら凸部および凹部は、第1分割体200と第2分割体300とを一体化させるための位置決めとして機能する。
【0091】
特に、本実施形態では、何れか一方の凸部が対応する凹部に入り込む状態にある場合には、他方の凸部も対応する凹部に入り込む状態にあるため、作業者は、何れか一方の凸部を対応する凹部に挿入しさえすれば、一対の分割体を一体とすることができるため、磁気処理装置100の取り付けが容易である。
【0092】
また、本実施形態では、図16に示すように、作業者が第1凸部209を第2凹部311の側壁311fに接触させる、あるいは、第2凸部309を第1凹部211の側壁211fに接触させることで、一対の磁石の間に存在する磁力線が、導管1内を流動する冷却水の流動方向に対し垂直となる状態、すなわち、仮想線Mが、第1磁石103の位置P、第2磁石105の位置Q、導管1の位置Rをそれぞれ通る状態を容易に創出することができる。
【0093】
また、本実施形態では、図16に示すように、第1底部211cのY方向における領域よりも、第2凸部309の端部309aのY方向における領域の方が狭く、同様に、第2底部311cのY方向における領域よりも、第1凸部209の端部209aのY方向における領域の方が狭いため、作業者は、一方の分割体に対して他方の分割体をY方向にスライドさせるようにして、一対の分割体を互いに分離させることもできる。
【0094】
また、本実施形態では、凹部211,311には、段差状の切欠部211b,311bが設けられ、第1凸部209を第2切欠部311b(当接面311d)に、第2凸部309を第1切欠部211b(当接面211d)に、それぞれ当接させることで、第1接触面と第2接触面(第1接触面203と第2接触面305、第1接触面205と第2接触面303)が接触していない非接触状態となる。この非接触状態は、作業者が一対の分割体から手を離しても、前記磁界の引力により維持されるため、例えば、作業者は、一対の分割体を非接触状態として導管1に仮留めしておき、磁気処理装置100の外装部110の正確な取り付け位置を見定めた後に、仮留めしていた一対の分割体を接触状態として、磁気処理装置100を導管1に取り付けるといった作業を実現することができる。
【0095】
特に、本実施形態では、何れか一方の凸部が対応する当接面に当接している状態にある場合には、他方の凸部も対応する当接面に当接している状態にあるため、作業者は、何れか一方の凸部を対応する当接面に当接している状態にしさえすれば、一対の分割体を非接触状態とすることができるため、磁気処理装置100の導管1への仮留めが容易である。
【0096】
本実施形態では、図3に示すように、導管1が挿通孔101に挿通されている状態において、導管1と挿通孔101とが、上下方向(Z1,Z2方向)で互いに当接しているため、磁気処理装置100が導管1に対して導管1の周方向に回転してしまうことを防止することができる。
【0097】
また、本実施形態では、図3に示すように、挿通孔101の開口部111,113は、Y1方向およびY2方向に幅広の楕円状に形成されており、導管1が挿通孔101に挿通されている状態において、導管1と挿通孔101との間に隙間101d,101eが生じているため、導管1よりも径の大きい導管に磁気処理装置100を取り付けることが可能である。この場合、一対の分割体同士が接触していない状態となるが、この状態であっても、仮想線Mが、第1磁石103の位置P、第2磁石105の位置Q、導管1の位置Rをそれぞれ通る状態を創出することは可能である(図示省略)。
【0098】
また、本実施形態では、第1補強部材107、109は、第1カバー250よりも剛性が高い材料で形成されているため、第1分割体200を補強することができる。これと同様に、第2補強部材111、113は、第2カバー350よりも剛性が高い材料で形成されているため、第2分割体300を補強することができる。
【0099】
特に、補強部材107、109、111、113は、防磁効果を有する材料で形成され、図14、15に示すように、第1補強部材107、109は、第1磁石103を被覆し、第2補強部材111、113は、第2磁石105を被覆する。これにより、一対の磁石による磁力が一対の分割体の外部に及ぶことを防止すること、すなわち、一対の磁石による磁力が、磁力を作用させる必要のない箇所にまで及ぶことを防止することができる。その結果、本実施形態の磁気処理装置100は、導管1の中心(位置R)に作用する磁束密度が小さくなることを防止するのみならず、その磁束密度を大きくすることも可能となる。
【0100】
本実施形態では、緩衝部材120が第1補強部材107と第1補強部材109に密着するように、両補強部材の間に介在しているため、第1カバー250に外力が加わった際に、第1補強部材107、109に加わる衝撃を緩和することができるとともに、第1分割体200の内部に収容されている第1補強部材107、109がその内部で暴れることを防止することができる。これと同様に、緩衝部材220は、第2補強部材111、第2補強部材113に対する衝撃を緩和するとともに、両補強部材111、113が第2分割体300の内部で暴れることを防止することができる。
【0101】
なお、緩衝部材120の厚み(Z1方向の高さ)は、第1収容部231における第1磁石103の接地面から第1対向壁200fの内側面(図示せず)までの高さから、第1磁石103の厚みと第1補強部材107および109の厚みとの合計を減算した値よりもわずかに厚い程度が好ましい。換言すれば、「第1磁石103の厚み+第1補強部材107の厚み+第1補強部材109の厚み+緩衝部材120の厚み」>「第1収容部231における第1磁石103の接地面から第1対向壁200fの内側面までの高さ」とするようにすることで、より一層、第1分割体200の内部に収容されている第1補強部材107、109が暴れることを防止することができる。なお、詳細な説明を省略するが緩衝部材220についても同様のことがいえる。
【0102】
次に、上述した実施形態の変形例を説明するが、その説明にあたり、上述した構成要素と同様な構成要素には同一の符号を付することにより、その説明を省略または簡略化するものとする。
【0103】
図18は、変形例1に係る磁気処理装置100の取付方法を模式的に示す図である。上述の実施形態においては、導管1にそのまま磁気処理装置100を取り付けた場合(上記一体化工程のみの場合)を例示しているのに対し、本変形例では、導管(外部導管)1の一部を切除することに起因した各種工程を有する点で異なる。
【0104】
まず、図18(a)に示すように、分離工程では、導管(外部導管)1の一部である切除部分1C(図1において、導管1のうち水冷式モータ2と循環ポンプ4との間の一部)を切除することで、冷却水が流入する入口側外部導管1Aと、冷却水が流出する出口側外部導管1Bに分離する(分離工程)。
【0105】
次に、図18(b)に示すように、切除部分1Cに代えて内部導管10を入口側外部導管1Aおよび出口側外部導管1Bに接続する(交換工程、接続工程)。内部導管10は、入口側外部導管1Aおよび出口側外部導管1Bよりも径の小さい導管である。
【0106】
本変形例では、各外部導管1A、1B(外部導管1)の径を「1」とした場合、内部導管10の径を「0.8」とするようにしている。この接続工程の具体的な方法としては、例えば、以下の(1)乃至(3)が挙げられる。要は、接続工程としては、各外部導管1A、1Bと内部導管10とが冷却水の漏出のない水密な状態となるように接続されていればよい。なお、図19(a)に示すように、接続工程の前に、内部導管10の両端部における内周縁部に面取りを施して面取り部Rを形成する面取り工程を行うことが好ましい。この場合、図19(b)に示すように、入口側外部導管1Aおよび出口側外部導管1Bに内部導管10を接続した際において、入口側導管1Aおよび出口側導管1Bの内周壁と、内部導管10の内周壁との接続部分Wが連続した滑らかな曲線となって、導管内の冷却水の円滑な還流を図ることができる。
(1)内部導管10の両側端部をそれぞれ、入口側外部導管1A内および出口側外部導管1B内に圧入する。
(2)内部導管10の両側端部を入口側外部導管1Aおよび出口側外部導管1Bに溶接する。
(3)内部導管10の両側端部を入口側外部導管1Aおよび出口側外部導管1Bに接着する。
【0107】
次に、図18(c)に示すように、入口側導管1Aと内部導管10との間に、入口側導管1Aと内部導管10との間からの冷却水の漏出を防止するとともに防磁効果を有する入口側パッキン部材400を取り付ける(入口側取付工程)とともに、出口側導管1Bと内部導管10との間に、出口側導管1Bと内部導管10との間からの冷却水の漏出を防止するとともに防磁効果を有する出口側パッキン部材450を取り付ける(出口側取付工程)。
【0108】
図20に示すように、入口側パッキン部材400(出口側パッキン部材450)は、ゴム等の弾力性を有し、入口側導管1Aと内部導管10との間をパッキングするシート状のパッキン部401(451)と、金属(例えば、鉄)等の高透磁率材料といった防磁効果を有するとともに、第1カバー250よりも剛性の高い材料からなる板状の防磁板403(453)とを互いの面同士を貼り合わせるようにして一体化されることにより構成されている。なお、図20において、符号403a(453a)は、入口側パッキン部材400(出口側パッキン部材450)を入口側導管1A(出口側導管1B)のフランジ面にネジ留めするためのネジ孔であり、符号403b(453b)は、内部導管10を挿通するための挿通孔である。
【0109】
次に、図18(d)に示すように、第1分割体200と第2分割体300との間および入口側パッキン部材400と出口側パッキン部材450との間に、内部導管10を介在させた状態で、第1分割体200と第2分割体300とを接触状態とする(上述の実施形態で説明した一体化工程を行う)ことにより、磁気処理装置100が内部導管10に取り付けられる。
【0110】
本変形例では、交換工程および接続工程により、各外部導管1A、1B(外部導管1)よりも径の小さい内部導管10を、各外部導管1A、1Bに接続していることによって、入口側外部導管1A内の冷却水が内部導管10に流入する際の流速を速くすることができる。これにより、冷却水の冷却能力が高まり(熱交換の効率が上がり)、ポンプの故障や負担が減り、配管内に汚れが付かないため寿命が長くなるとともに流速の低下を防止することができる。
【0111】
なお、本変形例では、各外部導管1A、1B(外部導管1)の径を1とした場合、これらよりも径の小さい内部導管10の径を0.8とするようにしているが、これに限定されず、各外部導管1A、1B(外部導管1)の径を1とした場合、小さい内部導管10の径(以後、「K」という)を0.4~1の範囲(0.4≦K≦1の範囲)のいずれかとするようにしても良く、より好ましくは0.75~0.85の範囲(0.75≦K≦0.85)のいずれかとすることがより好ましい。1より大きな値(換言すれば、導管1よりも径の大きい内部導管10)だと、上記冷却効果、流速の向上にほとんど変化がみられない一方、0.4未満だと外部導管1Aから内部導管10への冷却水が流入し難くなり、かえって冷却水の流れが滞る結果となるからである。また、「0.75≦K≦0.85」の範囲とした場合、他の値よりも好適な冷却効果や流速の向上(以後、単に「効果A」とする)を図ることができる。
【0112】
この効果について、各外部導管1A、1Bと内部導管10との径の比率による冷却水の冷却能力および流速についての関係について試験を行った結果を表1に示す。この試験では、冷却水として水を用い、径が2cmの外部導管1A、1Bを用いた。この試験を行った結果、以下の表1に示すように、「0.75≦K≦0.85」とした場合は、他の値よりも好適に効果Aを奏することができ、「0.4≦K<0.75」および「0.85<K≦1」の場合は、「0.75≦K≦0.85」よりも劣るが或る程度の効果Aを奏することができ、「0<K<0.4」および「1<K」の範囲の場合はほとんど又は全く効果Aを奏することができなかった。
【0113】
【表1】
〇:好適な効果Aあり
△:〇には劣るが効果Aあり
×:ほとんど又は全く効果Aなし
【0114】
また、本変形例に係る一体化工程によって、外装部110内におけるY1側、Y2側、Z1側、Z2側はそれぞれ、防磁効果を有する第1補強部材107、109によって被覆されているとともに、外装部110におけるX1側、X2側はそれぞれ、防磁効果を有する入口側パッキン部材400、出口側パッキン部材450によって被覆されている状態となる。換言すれば、第1補強部材107、109と、第2補強部材111、113と、入口側パッキン部材400と、出口側パッキン部材450とで、一対の磁石を防磁する防磁部を構成している。これにより、外装部110内の一対の磁石のX1側、X2側、Y1側、Y2側、Z1側、Z2側の全てが防磁されることとなるため、一対の磁石の磁力の閉鎖空間を形成することができる。この結果、外装部110内の一対の磁石の磁力が、磁力化させる必要のない箇所である外装部110外にまで及ぶことをより一層防止することができる。
【0115】
図21は、変形例2に係る磁気処理装置100を模式的に示す図である。本変形例2では、磁気処理装置100として、複数の外装部110を有している点が上述の実施形態と異なる。すなわち、上述の実施形態では、図21(a)に示すように、単一の外装部110を有する磁気処理装置100が導管1に取り付けられていることを例示した。なお、この外装部110内に配置された第1磁石103においては、その上半分がS極で下半分がN極となっている一方、第2磁石105においては、その上半分がS極で下半分がN極となっている。これに対し、本変形例では、図21(b)および(c)に示すように、2つの外装部110によって磁気処理装置100を構成していることを例示している点で異なる。
【0116】
図21(b)は、2つの外装部110、110が互いに接触した状態で導管1に沿って配置されている状態を模式的に示している。図21(b)で見て、X1側(以後、単に「左側」ということもある)の外装部110は、Z1側(以後、単に「上側」ということもある)に第1分割体200が位置しZ2側(以後、単に「下側」ということもある)に第2分割体300が位置するように配置されている一方、X2側(以後、単に「右側」ということもある)の外装部110は、上側に第2分割体300が位置し下側に第1分割体200が位置するように配置されている。換言すれば、左側の外装部110は、図21(a)に示す状態で配置されている一方、右側の外装部110は、図21(a)に示す状態に対して、その上下が逆になるように配置されている。
【0117】
互いに隣り合う2つの外装部110、110において、左側の外装部110の上側の第1分割体200と、右側の外装部110の上側の第2分割体300とが左右に(X1方向及びX2方向に)互いに対向するように隣り合い、左側の外装部110の下側の第2分割体300と、右側の外装部110の下側の第1分割体200とが左右に互いに対向するように隣り合う。
【0118】
図21(b)、図21(c)における以下の説明において、左側の外装部110のうち、第1磁石103のことを「左側の第1磁石103」といい、第2磁石105のことを「左側の第2磁石105」という。同様に、右側の外装部110のうち、第2磁石103のことを「右側の第2磁石103」といい、第1磁石103のことを単に「右側の第2磁石103」という。
【0119】
図21(b)における状態では、左側の第1磁石103のX2側と、右側の第2磁石105のX1側とが互いに対向する。換言すれば、左側の第1磁石103のX2側の上半分(S極)と、右側の第2磁石105のX1側の上半分(N極)とが異極同士で対向し、左側の第1磁石103のX2側の下半分(N極)と、右側の第2磁石105の下半分(S極)とが異極同士で対向する。同様に、左側の第2磁石105のX2側の上半分(S極)と右側の第1磁石103の上半分(N極)と、左側の第2磁石105のX2側の下半分(N極)と右側の第1磁石103のX1側の下半分(S極)とがそれぞれ、異極同士で対向する。
【0120】
このため、左側の第1分割体200と右側の第2分割体300との間、および左側の第2分割体300と右側の第1分割体200との間にそれぞれ磁界の引力が働き、左側の外装部110と右側の外装部110とが互いに近接する方向に移動する(図21(b)の矢印BおよびC参照)。この結果、左側の外装部110のX2側の面と、右側の外装部110のX1側の面とが接触状態となる。
【0121】
2つの外装部110を図21(b)に示すように配置することで、左右の外装部110、110のそれぞれの第1分割体200および第2分割体300相互の接触状態(図21(b)で見て上下方向の磁界の引力による接触状態)のみならず、左側の外装部110と右側の外装部110との接触状態(図21(b)で見て左右方向の磁界の引力による接触状態)が生じるため、2つの外装部110からなる磁気処理装置100が導管1から脱落することをより一層防止することができる。
【0122】
図21(c)は、2つの外装部110、110が互いに離間した状態で導管1に沿って配置されている状態を模式的に示している。図21(c)で見て、左側の外装部110は、上側に第1分割体200が位置し下側に第2分割体300が位置するように配置されている一方、右側の外装部110も、上側に第1分割体200が位置し下側に第2分割体300が位置するように配置されている。換言すれば、左右の外装部110、110はともに、図21(a)に示す状態で配置されている。
【0123】
図21(c)では、互いに隣り合う2つの外装部110、110において、左側の外装部110の上側の第1分割体200と、右側の外装部110の上側の第2分割体300とが左右に互いに対向するように隣り合い、左側の外装部110の下側の第2分割体300と、右側の外装部110の下側の第1分割体200とが左右に互いに対向するように隣り合う。
【0124】
この状態では、左側の第1磁石103のX2側と、右側の第1磁石103のX1側とが互いに対向する。換言すれば、左側の第1磁石103のX2側の上半分(S極)と、右側の第1磁石103のX1側の上半分(S極)とが同極同士で対向し、左側の第1磁石105のX2側の下半分(N極)と、右側の第1磁石103の下半分(N極)とが同極同士で対向する。同様に、左側の第2磁石105のX2側の上半分(S極)と右側の第2磁石105の上半分(S極)とが、左側の第2磁石105のX2側の下半分(N極)と右側の第2磁石105のX1側の下半分(N極)とがそれぞれ、同極同士で対向する。
【0125】
このため、左側の第1分割体200と右側の第2分割体300との間、および左側の第2分割体300と右側の第1分割体200との間にそれぞれ磁界の斥力が働き、左側の外装部110と右側の外装部110とが互いに離間する方向に移動する(図21(c)の矢印DおよびE参照)。この結果、左側の外装部110のX2側の面と、右側の外装部110のX1側の面とが離間状態(接触しない状態)となる。なお、図21(c)において、符号S1は、左右の外装部110が、X1方向またはX2方向に移動することを阻止するストッパであり、このストッパS1の位置を調整することで、左右の外装部110間の距離を調整可能となっている。また、符号S2は、左右の外装部110がそれぞれに収納された一対の磁石の引力によって、導管1に対して導管1の周方向に回転することを阻止するストッパである。
【0126】
左右の外装部110、110を導管1に対して離間して配置したい場合においては、2つの外装部110、110の間にスペーサー等を設けなくても、2つの外装部110を図21(c)に示すように配置するだけで、一対の磁石の斥力によって2つの外装部110の離間状態を維持することができ、離間した状態での取付が容易となる。
【0127】
図22は、変形例3に係る磁気処理装置100を模式的に示す図である。上述の実施形態、変形例1および2では、図21(a)に示すように、S極とN極とが上下(Z1方向およびZ2方向)に分かれた第1磁石103および第2磁石105を用いたのに対し、変形例3では、図22(a)に示すように、S極とN極とが左右に分かれた第1磁石503および第2磁石505を用いている点で異なる。
【0128】
図22(a)に示すように、外装部110における第1分割体200の第1磁石503は、図22(a)で見て、その左半分がS極であり、その右半分がN極となっている。同様に、外装部110における第2分割体300の第2磁石505は、その左半分がN極であり、その右半分がS極となっている。換言すれば、第1磁石503の左半分と第2磁石505の左半分とが異極同士で対向し、第1磁石503の右半分と第2磁石505の右半分とが異極同士で対向する。このため、第1磁石503の左半分と第2磁石505の左半分との間、および第1磁石503の右半分と第2磁石505の右半分との間に、磁界の引力が発生し、第1分割体200および第2分割体300が接触状態を維持する。このように構成しても、上述の実施形態および各変形例と同様な作用効果を奏する。
【0129】
また、図22(a)に示す外装部110については、上述の変形例2と同様に複数用いることも可能である。すなわち、図22(b)に示すように、この図22(b)で見て、左側の外装部110は、上側に第1分割体200が位置し下側に第2分割体300が位置するように配置されている一方、右側の外装部110も、上側に第1分割体200が位置し下側に第2分割体300が位置するように配置されている。換言すれば、左右の外装部110、110はともに、図22(a)に示す状態で配置されている。
【0130】
互いに隣り合う2つの外装部110、110において、左側の外装部110の上側の第1分割体200と、右側の外装部110の上側の第1分割体200とが左右に互いに対向し、左側の外装部110の下側の第分割体300と、右側の外装部110の下側の第1分割体200とが左右に互いに対向する。
【0131】
この状態では、左側の第1磁石503のX2側と、右側の第1磁石503のX1側とが対向する。換言すれば、左側の第1磁石503のX2側(N極)と、右側の第1磁石503のX1側(S極)とが異極同士で対向し、左側の第2磁石505のX2側(S極)と、右側の第2磁石505のX1側(N極)とが異極同士で対向する。
【0132】
このため、左側の第1分割体200と右側の第1分割体200との間、および左側の第2分割体300と右側の第2分割体300との間にそれぞれ磁界の引力が働き、左側の外装部110と右側の外装部110とが互いに近接する方向に移動する(矢印BおよびC参照)。この結果、左側の外装部110のX2側の面と、右側の外装部110のX1側の面とが接触状態となる。このようにしても、図21(b)に示す変形例2と同様な作用効果を奏する。
【0133】
一方、2つの外装部110を図21(c)に示すように配置することも可能である。すなわち、図21(c)で見て、左側の外装部110は、上側に第1分割体200が位置し下側に第2分割体300が位置するように配置されている一方、右側の外装部110は、上側に第2分割体300が位置し下側に第1分割体200が位置するように配置されている。換言すれば、左側の外装部110は、図22(a)に示す状態で配置されている一方、右側の外装部110は、図22(a)に示す状態に対して、その上下が逆になるように配置されている。
【0134】
互いに隣り合う2つの外装部110、110において、左側の外装部110の上側の第1分割体200と、右側の外装部110の上側の第2分割体300とが左右に互いに対向し、左側の外装部110の下側の第2分割体300と、右側の外装部110の下側の第2分割体200とが左右に互いに対向する。
【0135】
この状態では、左側の第1磁石503のX2側と、右側の第2磁石505のX1側とが対向する。換言すれば、左側の第1磁石103のX2側(N極)と、右側の第2磁石505のX1側(N極)とが同極同士で対向し、左側の第2磁石505のX2側(S極)と、右側の第1磁石503のX1側(S極)とが同極同士で対向する。
【0136】
このため、左側の第1分割体200と右側の第2分割体300との間、および左側の第2分割体300と右側の第1分割体200との間にそれぞれ磁界の斥力が働き、左側の外装部110と右側の外装部110とが互いに離間する方向に移動する(矢印DおよびE参照)。この結果、左側の外装部110のX2側の面と、右側の外装部110のX1側の面とが離間状態(接触しない状態)となる。このようにしても、図21(c)に示す変形例2と同様な作用効果を奏する。
【0137】
本実施形態では、モータを冷却水で冷却するための水冷システム1を一例として示したがこれに限定されない。
【0138】
本実施形態では、第1分割体200が導管1のZ1側に配置されるとともに、第2分割体300が導管1のZ2側に配置されるように、磁気処理装置100が導管1に取り付けられている状態を例にとって説明したが、これに限定されないことは言うまでもない。例えば、第1分割体200が導管1のY1側に配置されるとともに、第2分割体300が導管1のY2側に配置されるように、磁気処理装置100が導管1に取り付けられている状態であってもよい。
【0139】
また、本実施形態および各変形例では、単一の第1磁石と単一の第2磁石とを用いたが、これに限定されず、複数の第1磁石と複数の第2磁石を用いるようにしてもよいことは言うまでもなく、第1磁石および第2磁石の個数については特に限定しない。具体的には、本実施形態を例にとると、複数の第1磁石103(第2磁石105)を上下に重ねる(Z1方向またはZ2方向に重ねる)ようにしたり、あるいは、複数の第1磁石103(第2磁石105)を並設(X1方向、X2方向、Y1方向、Y2方向のいずれかの方向に沿って並べるように配置)するようにしたりしてもよい。ここで、複数の第1磁石103(第2磁石105)を並設する場合には、互いに隣り合う第1磁石103(第2磁石105)相互の磁力の影響を受けないようにするため、互いに隣り合う第1磁石103間(第2磁石105)間に、上述の防磁効果を有する材料からなる仕切り壁(仕切りリブ)を設けるようにすることが好ましい。
【0140】
また、本実施形態および各変形例では、複数の第1補強部材と、複数の第2補強部材とを用いたが、これに限定されず、単一の第1補強部材、単一の第2補強部材を用いるようにしてもよいことは言うまでもなく、第1補強部材および第2補強部材の個数については特に限定しない。
【0141】
本実施形態では、導管1の一部を切除して分離する分離工程を設けたが、この分離工程に代えて、導管1の一部に圧力を加えることにより(例えば、絞り加工等)導管1の一部の径を他の個所よりも小さくする絞り工程を行うようにしても良い。また、本実施形態では、磁気処理装置の取付方法として、概して、「分離工程、交換工程、接続工程、入口側取付工程、出口側取付工程、一体化工程」を設けたが、これらのうち、「入口側取付工程、出口側取付工程」を省略して、「分離工程、交換工程、接続工程、一体化工程」とするようにしてもよいし、一体化工程のみ(この場合、図1に示す導管1に対して、一体化工程を行うこととなる)としてもよい。
【符号の説明】
【0142】
1 導管
1A 入口側導管
1B 出口側導管
10 内部導管
100 磁気処理装置
101 挿通孔
103 第1磁石
105 第2磁石
107、109 第1補強部材
111、113 第2補強部材
110 外装部
200 第1分割体
200A 第1側壁部
200e 第1接触壁部
200f 第1対向壁部
203 第1接触面
205 第1接触面
207 第1溝部
209 第1凸部
211 第1凹部
211b 第1切欠部
300 第2分割体
300A 第2側壁部
300e 第2接触壁部
300f 第2対向壁部
303 第2接触面
305 第2接触面
307 第2溝部
309 第2凸部
311 第2凹部
311b 第2切欠部
400 入口側パッキン部材
450 出口側パッキン部材
【要約】
【課題】 導管への取付が容易な気化処理装置を提供する。
【解決手段】 第1磁石103を収容する第1分割体200と、第2磁石105を収容する第2分割体300とを備え、第1分割体200の第1接触面203に第1溝部207、第1凸部209、第1凹部211が形成され、第2分割体300の第2接触面303に第2溝部307、第2凸部309、第2凹部311が形成され、第1凸部211の全てが第2凹部311に入り込み、かつ、第2凸部309の全てが第1凹部211に入り込むことで、第1接触面203と第2接触面303とが互いに接触する接触状態になるとともに、第1溝部207と第2溝部307とによって挿通孔101が形成され、接触状態は、磁界の引力によって保持される。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5
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図9
図10
図11
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図19
図20
図21
図22