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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/493 20060101AFI20230706BHJP
   H04M 3/42 20060101ALI20230706BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
H04M3/493
H04M3/42 P
H04M1/00 R
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019165991
(22)【出願日】2019-09-12
(65)【公開番号】P2021044720
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】赤木 幸知
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-109619(JP,A)
【文献】特開2008-210085(JP,A)
【文献】特開2017-069750(JP,A)
【文献】特開2016-178507(JP,A)
【文献】特表2005-505760(JP,A)
【文献】特開昭60-091397(JP,A)
【文献】特開2006-197376(JP,A)
【文献】特開2010-161589(JP,A)
【文献】特開2005-341383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B19/00-31/00
G10L15/00-17/26
H04M 1/00
1/24- 3/00
3/16- 3/20
3/38- 3/58
7/00- 7/16
11/00-11/10
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置とサーバとを備えるネットワークシステムであって、
通信装置は、電話回線を介した発信者との通話中の音声を記憶して、当該通話終了後に前記電話回線を介して所定の電話番号に発信し、前記所定の電話番号の通話先に向けて前記記憶した音声を出力し、
前記通話先である前記サーバは、前記音声を解析して、所定のDTMF信号または音声を前記電話回線を介して前記通信装置に送信する、ネットワークシステム。
【請求項2】
請求項1のネットワークシステムの通信装置であって、
複数の電話番号と通話音声とを記憶するための記憶部と、
前記電話回線に接続するための通信部と、
前記通信部を介して少なくとも前記複数の電話番号に含まれない相手から受信したときに、当該通話終了後に前記通信部を介して所定の電話番号に発信し、前記所定の電話番号の通話先であるサーバに向けて前記記憶した通話音声を出力し、前記通話先であるサーバとの通話中に前記通信部を介して前記通話先であるサーバから所定のDTMF信号または音声を受け付けると警告を出力するための制御部と、を備える通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記通話先であるサーバとの通話を終了して前記通信部を介して予め登録されている所定の電話番号に発信して、警告メッセージを通話先に向けて出力する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
通話中の音声を記憶して、当該通話終了後に電話回線を介して所定の電話番号に発信し、前記所定の電話番号の通話先に向けて前記記憶した音声を出力する通信装置であって、
前記通話先であるサーバは、前記音声を解析して、所定のDTMF信号または音声を前記通信装置に送信するものであって、
複数の電話番号と通話音声とを記憶するための記憶部と、
電話回線に接続するための通信部と、
前記通信部を介して少なくとも前記複数の電話番号に含まれない相手から受信したときに、当該通話終了後に前記通信部を介して所定の電話番号に発信し、前記所定の電話番号の通話先であるサーバに向けて前記記憶した通話音声を再生速度を速めて出力し、前記通話先であるサーバとの通話中に前記通信部を介して前記通話先であるサーバから所定のDTMF信号または音声を受け付けると警告を出力するための制御部と、を備える通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話機や中継装置などの通信装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電話を利用した詐欺や電話による強引な売り込みおよび勧誘に対する対策として様々な技術が提案されている。
【0003】
例えば特開2006-196949号公報(特許文献1)には、通話内容警告付き電話機が開示されている。特許文献1によると、電話機に、通話内容から検出すべき検出対象の単語を予め登録しておく単語登録手段(単語・メールアドレス登録部、選択済単語記憶部)と、通話内容を録音する通話内容録音手段(通話録音部)と、通話内容録音手段で録音した通話内容から、単語登録手段に登録してある単語が含まれているか否かを検出する単語検出手段(音声認識・単語検出部)と、単語検出手段の検出処理で検出対象の単語が検出された場合に、その検出結果の情報を前記警告手段を介して外部へ警告通知する検出結果通知部を備えている。
【0004】
また、特開2007-96963号公報(特許文献2)には、電話装置が開示されている。特許文献2によると、予め、テキスト形式で複数のキーワードをキーワードメモリに格納しておく。着信時に発信者の電話番号を取得できなければ、通話開始に応じて音声バッファメモリに通話録音を開始する。通話相手の音声を、音声認識手段で文字列に変換する。認識結果とキーワードを比較手段で比較する。複数のキーワードが一致した場合に、判定手段で詐欺師からの電話と判断し、警告手段でランプを点滅させて通話者や周りの人に知らせたり、ハンドセットに警告音を送出して直接通話者に知らせる。また、発信者の電話番号が電話帳に登録されているかどうか調べて、登録されていれば通常の通話とすることもできる。
【0005】
また、特開2011-151451号公報(特許文献3)には、通信内容判別装置が開示されている。特許文献3によると、音声を入力してテキストファイルに変換する音声認識部と、テキストファイルと危険ワードリストに登録されたワードとをマッチングするマッチング部と、マッチング部のマッチング結果が所定の条件を満たすか否か判定する判定部と、マッチング結果が所定の条件を満たす場合にその旨を通知する通知部とを備える。これにより、通信内容を判別して通信相手の危険性を知ることができる。また、複数の危険ワードリストを備えることで、様々な詐欺等に対応することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-196949号公報
【文献】特開2007-96963号公報
【文献】特開2011-151451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、電話による詐欺被害の防止のための対策を講じることができる通信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面においては、通信装置とサーバとを備えるネットワークシステムが提供される。通信装置は、通話中の音声を記憶して、当該通話終了後に電話回線を介して所定の電話番号に発信し、所定の電話番号の通話先に向けて記憶した音声を出力し、連絡先であるサーバは、音声を解析して、所定のDTMF信号または音声を通信装置に送信する。
【発明の効果】
【0009】
上記の本発明の一局面によれば、電話による詐欺被害の防止のための対策を講じることができる通信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態にかかる通信システムの全体構成と動作概要とを示すイメージ図である。
図2】第1の実施形態にかかる電話機の構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態にかかる電話機での着信時の動作の流れを示すフローチャートである。
図4】第1の実施形態にかかるサーバの構成を示すブロック図である。
図5】第2の実施形態にかかる通信システムの全体構成と動作概要とを示すイメージ図である。
図6】第2の実施形態にかかる中継装置の構成を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
〔第1の実施の形態〕
<通信システムの全体構成と動作概要>
【0012】
まずは、図1を参照して、本実施の形態にかかる通信システム50の全体構成と動作概要について説明する。
【0013】
全体構成として、本実施の形態にかかる通信システム50は、主な構成として、通信装置の一例である電話機1と、サーバ100とから構成される。
【0014】
動作概要として、まず、電話機1は、知らない電話番号、たとえば電話帳や着信許可リストに登録されていない電話番号から着信すると、LEDを赤色に点滅させる(ステップS002)。これによって、詐欺の電話やセールスの電話などを受けた可能性があることや、警戒して電話応答することが望ましいこと、などをユーザに知らしめる。なお、以下では、電話番号を単に番号ともいう。
【0015】
なお、電話機1は、安全な電話番号として予め登録されている電話番号(例えば電話帳や許可リストに登録されている電話番号)から着信した場合は、LEDを緑色に点滅させる(ステップS002)。これによって、知り合いからの電話を受けた可能性が高いことや、安心して電話に出ても問題がないこと、などをユーザに知らしめることができる。
【0016】
ユーザが受話器を上げる(オフフックする)と、すなわちユーザが通話を開始すると、本実施の形態においては、電話機1は、通話内容の録音を開始する(ステップS004)。
【0017】
通話が終了すると、すなわちユーザが受話器を戻す(オンフックする)と、電話機1は、今回の通話相手が怪しくなかったか音声メッセージなどで注意喚起するとともに、今回の通話の内容に基づいて詐欺やセールスの可能性が高いか否かを今から確認する旨のメッセージを出力する(ステップS006)。
【0018】
そして、本実施の形態においては、電話機1は、電話回線を用いて、怪しい通話内容であったか否かを判断するための所定のサーバ100の電話番号に発信する(ステップS008)。電話機1は、サーバ100との通話が開始されると、先ほど録音した通話内容を再生し、そのまま通話音声としてサーバ100に向けて出力する(ステップS010)。
【0019】
これによって、サーバ100は、受信した通話音声を音声解析したり、詐欺などに利用される可能性が高いキーワードとのマッチングを行ったりして、先ほどの電話が詐欺に関するものである可能性が高いか否かを判断する(ステップS012)。なお、サーバ100における通話音声の音声データを取得してからの判断方法は特に限定するものではなく、公知の技術を用いてもよい。
【0020】
サーバ100は、判断の結果をDTMF信号で電話機1に送信する(ステップS014)。サーバ100が、詐欺などの可能性が低いと判断した場合は安全を示すDTMF信号を電話機1に送り、詐欺などの可能性が高いと判断した場合は危険を示すDTMF信号を電話機1に送る。
【0021】
電話機1は、安全を示すDTMF信号を受けた場合は、先ほどの通話が安全である旨を出力する。
【0022】
一方、電話機1は、危険を示すDTMF信号を受けた場合は、先ほどの通話相手が危険である旨を出力する(ステップS016)。これによってユーザは、警察や家族に電話をかけて相談したり、次からの電話に出ずに無視をしたりすることができる。
【0023】
本実施の形態においては、電話機1は、危険を示すDTMF信号を受けた場合は、電話回線を用いて、予め指定されている電話番号に発信する(ステップS018)。通話が開始されると、電話機1は、危険な電話を受けた旨の警告メッセージを相手先に向けて出力する。なお、予め指定されている電話番号は、家族の電話番号であったり、警察やその他の所定の機関の電話番号であったりしてもよい。
【0024】
これによって、本実施の形態においては、従来の電話用の通信回線(電話回線)を利用して、通話が危険であるか否かを判断したり、判断結果を電話機1から出力したりすることができる。以下では、このような機能を実現するための各装置の構成について説明する。
<電話機1の構成>
【0025】
次に、図2を参照しながら、本実施の形態にかかる電話機1の構成について説明する。図2に示すように、電話機1は、主に、装置全体を制御するための制御部10と、メモリ11とを含む。メモリ11は、制御部10で実行されるプログラムや電話帳データなどを記憶する。メモリ11は、着信履歴などを記憶する。また、メモリ11は、制御部10でプログラムを実行する際の作業領域となる。
【0026】
電話機1は、さらに、ディスプレイ13、マイク14、スピーカ15、操作部16、およびLED17を含む。上述したように、LED17は、少なくとも2種類の発光色の異なる光源(例えば、緑色LEDおよび赤色LED)を有する。各光源は、制御部10によってそれぞれ独立して発光が制御される。
【0027】
一例では、LED17は、透過性を有する導光部材を有している。この導光部材の背面に、緑色LEDおよび赤色LEDなどの光源が配置される。なお、LED17として複数色発光可能な1つのLEDを用いてもよい。LED17の発光色は、制御部10による制御に従って変更される。
【0028】
また、電話機1は、第1通信部18と第2通信部19とを含む。第1通信部18は、固定電話回線を介した通信を制御する。第2通信部19は、無線使用可能な受話器との間の無線通信を制御する。受話器が有線タイプの場合には、第2通信部19は、設けられていなくてもよい。
【0029】
固定電話回線を介して他の電話機から電話機1への発信があると、制御部10は、第1通信部18を介して着信の入力を受け付ける。このとき、制御部10は、発信元の電話番号(以下、電話番号を単に番号ということもある)の情報も受信する。制御部10は、メモリ11を参照しながら、発信元の番号が安全な番号として予め登録されている番号であるか否かを判断する。
【0030】
メモリ11には、電話帳や、短縮ボタンに関連付けられた電話番号や、サーバ100と通話するための第1の電話番号や、緊急時に電話をかけるべき第2の電話番号などを記憶するための記憶領域が設けられている。第2の電話番号とは、電話機1のユーザの子供の番号や警察の番号や所定の機関の電話番号であったりする。電話帳には、電話番号とそれに対応する名称とが対応付けて記憶されている。制御部10は、メモリ11に格納されている電話帳を参照し、発信元の番号が予め登録されている番号であるか否かを判断することができる。
【0031】
制御部10は、着信があった場合に、発信元の番号が電話帳に安全な番号として予め登録されている番号であるか否かの区別を表わす色のLEDを発光させる。安全な番号とは、例えば、電話帳に登録されている番号(家族の番号や友達の番号などのように名前が登録されている番号)や、短縮番号が設定されていたりする番号をいう。例えば、安全な番号として予め登録されている番号からの着信時には、制御部10は、LED17含まれる安全を連想させる緑色LEDを発光させる。また、安全な番号として登録されていない番号からの着信時には、制御部10は、注意や危険を連想させる赤色LEDを発光させる。
【0032】
また、本実施の形態においては、メモリ11は、自身のスピーカ15から出力するための危険な電話を受けた旨の警告音や警告メッセージの音声データや、第2の電話番号の相手先に流すための危険な電話を受けた旨の警告メッセージの通話音声データなども格納する。
<着信時の電話機の動作>
【0033】
次に、本実施の形態にかかる電話機1の着信時のより具体的な動作について説明する。図3を参照して、制御部10は、第1通信部18を介して外部からの着信を受けると以下の処理を実行する。
【0034】
制御部10は、着信と共に発信元から得られた発信元の番号がメモリ11内の電話帳に登録されているか否かを確認する(ステップS102)。ここで、発信元の番号が電話帳に登録されていることが確認されると(ステップS102でYES)、制御部10は、LED17に含まれている緑色LEDを発光させて、スピーカ15に呼び出し音を出力させる(ステップS104)。
【0035】
制御部10は、ユーザが受話器を持ち上げる(オフフックする)と(ステップS106にてYESである場合)、呼び出し音を止めて、第1通信部18を介して通話を開始する(ステップS108)。制御部10は、通話音声をメモリ11に記憶し始める(ステップS109)。制御部10は、ユーザが受話器を置いて(オンフックして)通話が終了すると(ステップS110にてYESである場合)、次の着信または発信を待ち受ける。
【0036】
なお、安全な番号として登録されている相手からの通話の場合は、通話音声を録音しない構成であってもよい。
【0037】
一方、発信元の番号が電話帳に登録されていない場合には(ステップS102でNO)、制御部10は、LED17に含まれている赤色LEDを発光させて、スピーカ15に呼び出し音を出力させる(ステップS114)。
【0038】
制御部10は、ユーザが受話器を持ち上げる(オフフックする)と(ステップS116にてYESである場合)、呼び出し音を止めて、第1通信部18を介して通話を開始する(ステップS118)。制御部10は、通話音声をメモリ11に記憶し始める(ステップS122)。
【0039】
ユーザが受話器を置いて(オンフックして)通話が終了すると(ステップS124にてYESである場合)、制御部10は、第1通信部18を利用してメモリ11に記憶されている第1の電話番号に電話を掛ける(ステップS126)。制御部10は、サーバ100との通話が開始されると、メモリ11に記憶されている最新の通話音声(直前の通話の音声記録)を再生し流し始める(ステップS128)。
【0040】
制御部10は、通話音声を流しながらサーバ100からのDTMF信号を待ち受ける(ステップS130)。なお、制御部10は、通話音声を流し終えても、サーバ100からのDTMF信号を受信するまでDTMF信号を待ち受ける(ステップS130)。
【0041】
制御部10は、サーバ100からDTMF信号を受信すると(ステップS130にてYESである場合)、安全である可能性が高いと判断された場合の第1の信号であるか、危険である可能性が高いと判断された場合の第2の信号であるか、を判断する(ステップS132)。安全である可能性が高いと判断された場合の第1の信号を受けた場合(ステップS132にてNOである場合)、制御部10は、今回の通話処理を終了して、次の着信または発信を待ち受ける。
【0042】
なお、このとき、制御部10は、先ほどの通話が安全であった旨をスピーカ15に音声で出力させたり、ディスプレイ13に表示させてもよいし、LED17に含まれている緑色LEDを発光させてもよい。
【0043】
また、制御部10は、通話音声を流している途中で、サーバ100からDTMF信号を受信すると(ステップS130にてYESである場合)、サーバ100との通話を終了するようにしてもよい。
【0044】
危険である可能性が高いと判断された場合の第2の信号を受けた場合(ステップS132にてYESである場合)、制御部10は、LED17に含まれている赤色LEDを発光(例えば点滅)させて警告を発しながら(ステップS134)、スピーカ15から警告音や警告メッセージを出力させる(ステップS136)。あるいは、制御部10は、ディスプレイ13に警告メッセージを表示させてもよい。
【0045】
制御部10は、第1通信部18を利用して、メモリ11に記憶されている第2の電話番号に電話をかける(ステップS138)。制御部10は、相手が電話にでると、電話機1のユーザが危険な電話を受けたこと示す警告のための通話音声メッセージを自動的に流し始める(ステップS140)。警告のための通話音声メッセージを流し終えると、制御部10は、今回の通話処理を終了して、次の着信または発信を待ち受ける。
【0046】
なお、制御部10は、メモリ11に記憶されている第2の電話番号に電話をかける場合、電話がつながるまで、すなわち危険な電話を受けたこと示す警告メッセージを伝えられるまで、所定時間ごとに、第1通信部18を利用して、第2の電話番号に電話をかけなおすことが好ましい。
【0047】
なお、サーバ100から、インターネットやキャリア網や電話回線などを介して、予め登録されている、電話機1のユーザの子供や警察や所定の機関にメールや電話やその他の通知を行ってもよい。
<サーバ100の構成>
【0048】
次に、本実施の形態にかかる通信システム50を構成するサーバ100の構成について説明する。図4に示すように、サーバ100は、主たる構成要素として、CPU(Central Processing Unit)110と、メモリ120と、操作部140と、通信インターフェイス160とを含む。
【0049】
CPU110は、メモリ120に記憶されているプログラムを実行することによって、サーバ100の各部を制御しながら、詐欺電話判別サービスを実現する。たとえば、CPU110は、メモリ120に格納されているプログラムを実行し、各種のデータを参照することによって各種の処理を実行する。
【0050】
メモリ120は、各種のRAMやROMなどによって実現され、サーバ100に内包されているものであってもよいし、サーバ100の各種インターフェイスに着脱可能なものであってもよいし、サーバ100からアクセス可能な他の装置内のデータベースであってもよい。メモリ120は、CPU110によって実行されるプログラムや、CPU110によるプログラムの実行により生成されたデータ、詐欺や強引なセールスや犯罪など、ユーザに不利益をもたらす通話で利用されやすいキーワードなどを記憶する。
【0051】
操作部140は、サービスの管理者などからの操作命令を受け付けてCPU110に入力する。
【0052】
通信インターフェイス160は、電話回線と接続されて、電話機1との通話を実現する。
【0053】
そして、本実施の形態においては、CPU110は、メモリ120にプログラムに従って、通信インターフェイス160を介して電話機1からの着信を受け付けて、通話音声を取得する。CPU110は、通話音声を取得しながら、当該通話音声を音声解析したり言語処理を行ったりすることによって、メモリ120のキーワードを参照しながら、詐欺やセールスや犯罪などのユーザに不利益をもたらす通話であるか否かを判断する。なお、この詐欺等の通話であるか否かの判断に関しては、従来の方法を利用すればよく、ここでは詳細な説明は繰り返さない。
【0054】
そして、CPU110は、判断結果に基づいて、通信インターフェイス160を介して、安全である可能性が高いと判断された場合の第1のDTMF信号か、危険である可能性が高いと判断された場合の第2のDTMF信号か、を電話機1に送信する。
〔第2の実施の形態〕
【0055】
上記の実施の形態では、通信装置として、電話機1を例に挙げて説明を行ったが、図5に示すように、通信装置の役割の一部を、電話回線と電話機1との間に配置される中継装置202が行ってもよい。
【0056】
たとえば、中継装置202は、図6に示すように、マイクやスピーカを有さなくてもよい。そして、制御部210が、第1の通信部218を介して受信した電話機1の通話音声をメモリ211に記憶したり、第1の通信部218を介して当該通話音声をサーバ100に送信したり、第1の通信部218を介してサーバ100からのDTMF信号を受けたり、第1の通信部218を介して第2の電話番号に電話をかけて通話音声として警告メッセージを流したりしてもよい。
【0057】
なお、中継装置202が、スピーカ15やディスプレイ13を有する場合、電話機1と同様に、安全である可能性が高いと判断された場合の第1の信号を受けた場合、次の着信または発信を待ち受ける。また、このとき、中継装置202は、先ほどの通話が安全であった旨をスピーカ15から音声で出力したり、ディスプレイ13に表示したりしてもよい。また、光源を有する場合、緑色LEDを発光させてもよい。
【0058】
一方、危険である可能性が高いと判断された場合の第2の信号を受けた場合、中継装置202は、光源に含まれる赤色LEDを発光(例えば点滅)させて警告を発しながら、スピーカ15から警告音や警告メッセージを出力させる。あるいは、中継装置202は警告メッセージをディスプレイ13から表示してもよい。
〔第3の実施の形態〕
【0059】
上記の実施の形態では、予め電話帳に登録されていない相手先の電話番号(安全な番号として予め登録されていない電話番号)に関して、通話音声を録音したり、通話音声をサーバ100に流したりするように構成されていたが、登録の有無にかかわらず、着信した電話全ての通話音声を録音したり、通話音声をサーバ100に流したりしてもよい。
【0060】
あるいは、初めてかかってきた電話番号のみに関して、通話音声を録音したり、通話音声をサーバ100に流したりしてもよい。
【0061】
あるいは、電話帳や許可リストに登録されていない電話番号から所定時間内に所定回数以上、電話がかかってきた場合に、通話音声を録音したり、通話音声をサーバ100に流したりしてもよい。
【0062】
あるいは、電話機1が発信した場合に関しても、電話帳や許可リストに登録されてない相手先の場合は、通話音声を録音したり、通話音声をサーバ100に流したりしてもよい。あるいは、電話機1が発信した場合にも電話帳や許可リストに登録されているかいないかにかかわらずに、通話音声を録音したり、通話音声をサーバ100に流したりしてもよい。
〔第4の実施の形態〕
【0063】
上記の実施の形態の構成に加えて、制御部10は、危険である可能性が高いと判断された場合の第2の信号を受けた場合(図3のステップS132にてYESである場合)に、警告などを出力するとともに、対象となる通話相手の電話番号を拒否リストとしてメモリ11に登録してもよい。そして、制御部10は、それ以降、通話を受けるたびに、拒否リストに登録されている電話番号からの電話を自動的に着信拒否してもよい。
〔第5の実施の形態〕
【0064】
上記の実施の形態の構成に加えて、制御部10は、サーバ100との通話が開始されると、メモリ11に記憶されている最新の通話音声(直前の通話の音声記録)を、再生速度を速めて流してもよい(図3のステップS128)。この場合は、サーバ100のCPU110は、速い速度で再生される通話音声に基づいて、当該通話音声を音声解析したり言語処理を行ったりすることによって、メモリ120のキーワードを参照しながら、詐欺やセールスや犯罪などのユーザに不利益をもたらす通話であるか否かを判断する。
〔第6の実施の形態〕
【0065】
上記の実施の形態の構成に加えて、サーバによる安全の度合の確認が完了していない通話音声が複数存在した場合、最新の通話音声だけについてサーバに安全度合いを確認するのではなく、制御部10が、順次サーバに対してそれらの通話音声の安全度合を確認するようにしてもよい。このようにすることで、安全な番号として予め登録されていない電話番号から連続して着信があった場合への対処も可能となる。
〔まとめ〕
【0066】
上記の実施の形態においては、通信装置とサーバとを備えるネットワークシステムが提供される。通信装置は、通話中の音声を記憶して、当該通話終了後に電話回線を介して所定の電話番号に発信し、所定の電話番号の通話先に向けて記憶した音声を出力し、連絡先であるサーバは、音声を解析して、所定のDTMF信号または音声を通信装置に送信する。
【0067】
また、上記のネットワークシステムの通信装置が提供される。通信装置は、複数の電話番号と通話音声とを記憶するための記憶部と、電話回線に接続するための通信部と、通信部を介して少なくとも複数の電話番号に含まれない相手から受信したときに、当該通話終了後に通信部を介して所定の電話番号に発信し、所定の電話番号の通話先であるサーバに向けて記憶した通話音声を出力し、通話先であるサーバとの通話中に通信部を介して通話先であるサーバから所定のDTMF信号または音声を受け付けると警告を出力するための制御部と、を備える。
【0068】
好ましくは、制御部は、通話先であるサーバとの通話を終了して通信部を介して予め登録されている所定の電話番号に発信して、警告メッセージを通話先に向けて出力する。
【0069】
また、上記のネットワークシステムの通信装置が提供される。通信装置は、複数の電話番号と通話音声とを記憶するための記憶部と、電話回線に接続するための通信部と、通信部を介して少なくとも複数の電話番号に含まれない相手から受信したときに、当該通話終了後に通信部を介して所定の電話番号に発信し、所定の電話番号の通話先であるサーバに向けて記憶した通話音声を再生速度を速めて出力し、通話先であるサーバとの通話中に通信部を介して通話先であるサーバから所定のDTMF信号または音声を受け付けると警告を出力するための制御部と、を備える。
【0070】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1 :電話機
10 :制御部
11 :メモリ
13 :ディスプレイ
14 :マイク
15 :スピーカ
16 :操作部
17 :LED
18 :第1通信部
19 :第2通信部
50 :通信システム
100 :サーバ
110 :CPU
120 :メモリ
140 :操作部
160 :通信インターフェイス
図1
図2
図3
図4
図5
図6