(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】エアゾール定量吐出アクチュエーター
(51)【国際特許分類】
B65D 83/52 20060101AFI20230707BHJP
B65D 83/20 20060101ALI20230707BHJP
B65D 83/22 20060101ALI20230707BHJP
B05B 9/04 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
B65D83/52
B65D83/20
B65D83/22
B05B9/04
(21)【出願番号】P 2019124609
(22)【出願日】2019-07-03
【審査請求日】2022-05-10
(31)【優先権主張番号】P 2019071747
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000141118
【氏名又は名称】株式会社丸一
(74)【代理人】
【識別番号】100135437
【氏名又は名称】坂野 哲三
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雅之
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-299991(JP,A)
【文献】実開平01-124253(JP,U)
【文献】特開2019-011094(JP,A)
【文献】特開2013-180802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00-83/76
B05B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール容器のバルブステムに装着でき、内部に定量室を有し、押下げ・復帰動作によって一定量の内容物を外部に吐出できるアクチュエーターにおいて、
このアクチュエーターは、前記バルブステムと接続するステム接続部と、上下に往復動作を行って前記ステム接続部を動作させる作動部とからなり、
前記ステム接続部と前記作動部との間には流通路が形成され、この流通路の出口部が吐出口を形成し、
前記ステム接続部は、その下端に前記バルブステムと接続するステム接続口を有し、このステム接続口の出口部分に定量室が設けられ、
この定量室の天部には前記吐出口に連通する前記流通路が位置し、この流通路は前記作動部を押下する第1動作によって封止され、
次の作動部を押下する第2動作によってこの作動部が前記ステム接続部と前記バルブステムを共に押下してエアゾール容器内の内容物が前記定量室内に充填され、
次の作動部からの押下力を除去する第3動作によってこの作動部が上方に押し上げられる間に、前記流通路の封止が解除されることにより定量の内容物が吐出口から外部に吐出され、
前記ステム接続部がその内部に定量室を有する略筒体形状を有するものから成り、その底面部の略中央にステム接続口を有し、その天部の略中央には貫通孔が形成され、この貫通孔内に前記作動部の下端から下方に延長する延長部が挿入され、
前記貫通孔と前記延長部との間に前記流通路が形成され、
前記作動部を押下する第1動作によって前記延長部の基端部が前記貫通孔を封止して前記流通路が封止されることを特徴とするエアゾール定量吐出アクチュエーター。
【請求項2】
エアゾール容器のバルブステムに装着でき、内部に定量室を有し、押下げ・復帰動作によって一定量の内容物を外部に吐出できるアクチュエーターにおいて、
このアクチュエーターは、前記バルブステムと接続するステム接続部と、上下に往復動作を行って前記ステム接続部を動作させる作動部とからなり、
前記ステム接続部と前記作動部との間には流通路が形成され、この流通路の出口部が吐出口を形成し、
前記ステム接続部は、その下端に前記バルブステムと接続するステム接続口を有し、このステム接続口の出口部分に定量室が設けられ、
この定量室の天部には前記吐出口に連通する前記流通路が位置し、この流通路は前記作動部を押下する第1動作によって封止され、
次の作動部を押下する第2動作によってこの作動部が前記ステム接続部と前記バルブステムを共に押下してエアゾール容器内の内容物が前記定量室内に充填され、
次の作動部からの押下力を除去する第3動作によってこの作動部が上方に押し上げられる間に、前記流通路の封止が解除されることにより定量の内容物が吐出口から外部に吐出され、
前記作動部が、前記ステム接続部を囲繞して上下に往復動作を行ってステム接続部を動作させ、その上部に内容物を吐出する吐出口が配置されたものから成り、
前記ステム接続部は、その下端に前記バルブステムと接続するステム接続口を有し、このステム接続口から上方に向かって流路が形成され、この流路には横穴が形成されて前記定量室に連通し、
前記定量室の天部の略中央部に前記吐出口に連通する前記流通路が設けられ、この流通路の開口部に対向するように前記ステム接続部の上端部が近接した位置に配置され、
前記作動部の下端周縁部と前記ステム接続部とが樹脂バネによって接続されて前記定量室が形成され、
前記作動部を押下する第1動作によってステム接続部の上端部が前記定量室の天部に当接して前記流通路の開口部を封止することを特徴とするエアゾール定量吐出アクチュエーター。
【請求項3】
前記エアゾール容器の上端部に肩カバーを更に設け、前記作動部又は前記ステム接続部の外周にはこれらの外周を囲繞するように筒状の外周壁部を設け、前記肩カバーの内周壁面に沿って前記筒状の外周壁部が上下に摺動することができ、前記肩カバーの内周壁が前記作動部又は前記ステム接続部の上下動作のガイド壁面となることを特徴とする請求項
1又は2に記載のエアゾール定量吐出アクチュエーター。
【請求項4】
エアゾール容器のバルブステムに装着でき、内部に定量室を有し、押下げ・復帰動作によって一定量の内容物を外部に吐出できるアクチュエーターにおいて、
このアクチュエーターは、前記バルブステムと接続するステム接続部と、上下に往復動作を行って前記ステム接続部を動作させる作動部とからなり、
前記ステム接続部と前記作動部との間には流通路が形成され、この流通路の出口部が吐出口を形成し、
前記ステム接続部は、その下端に前記バルブステムと接続するステム接続口を有し、このステム接続口の出口部分に定量室が設けられ、
この定量室の天部には前記吐出口に連通する前記流通路が位置し、この流通路は前記作動部を押下する第1動作によって封止され、
次の作動部を押下する第2動作によってこの作動部が前記ステム接続部と前記バルブステムを共に押下してエアゾール容器内の内容物が前記定量室内に充填され、
次の作動部からの押下力を除去する第3動作によってこの作動部が上方に押し上げられる間に、前記流通路の封止が解除されることにより定量の内容物が吐出口から外部に吐出され、
前記作動部が、前記ステム接続部を囲繞して上下に往復動作を行ってステム接続部を動作させ、その上部に内容物を吐出する吐出口が配置されたものから成り、
前記ステム接続部は、その下端に前記バルブステムと接続するステム接続口を有し、このステム接続口から上方に向かって流路が形成され、この流路には横穴が形成されて前記定量室に連通し、
前記定量室の天部の略中央部に前記吐出口に連通する前記流通路が設けられ、この流通路の開口部に対向するように前記ステム接続部の上端部が近接した位置に配置され、
前記作動部を押下する第1動作によってステム接続部の上端部が前記定量室の天部に当接して前記開口部を封止し、
前記作動部内の定量室の下部にシール部材を設け、このシール部材が前記ステム接続部の横穴を封止することができるようにし、
前記第1動作によってステム接続部の上端部が前記流通路の開口部を封止すると共に前記シール部材が前記横穴の封止を解除し、
前記第2動作によってエアゾール容器内の内容物が前記定量室内に充填され、
前記第3動作によって、前記開口部の封止が解除されると共に前記横穴の封止が行われることを特徴とするエアゾール定量吐出アクチュエーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール容器のバルブステムに装着し、当該バルブステムを押下して容器内の内容物を外部に吐出するための吐出アクチュエーターに関し、とりわけ前記アクチュエーター内に定量室が設けられているエアゾール定量吐出アクチュエーターの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のエアゾール定量吐出アクチュエーターとしては、本願出願人が先に提案した下記特許文献に記載のものを挙げることができる。
下記特許文献1に記載の「エアゾール容器の定量噴射ボタン」は、簡易な構成にして確実な定量噴射ボタンを提供し、その定量室の容量も容易に設計変更できることを課題とする。
【0003】
上記特許文献に記載された発明に係る第2実施形態の構成はステム接続部と作動部とから成る。
ステム接続部には導通路が形成され、その導通路の入口がバルブステムと連通し、その出口が作動部の内部空間と連通する。ステム接続部の導通路から作動部の噴射口の間に定量室が形成される。ステム接続部の先端部分を作動部の内側に配置し、ステム接続部の先端側外壁面と作動部の内壁面の接合面に封止手段を設ける。
【0004】
この封止手段がステム接続部の先端側の細径部とそれに続く下方の大径部と、これらに係合する作動部の内壁面に設けた環状弁とから成る。
環状弁が大径部と係合した際に封止が行われ、環状弁が細径部と適合した際にその封止が解除される構成である。
【0005】
以上の構成により、上記作動部が押下され、この作動部の環状弁がステム接続部の大径部と係合することにより封止が行われて定量室が形成され、更に上記作動部を押下することによりバルブステムも押下されて内容物が上記定量室内に充填され、その後、作動部への押下力を除去することによって上記定量室内の内容物が上記作動部の上端部に設けられた噴射口から外部に噴霧されることとなるのである。
この従来例においては、7つの実施形態を提案しているが、上記の基本構成は略同じである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明においてもその課題は上記従来技術と同様なのであるが、上記従来のエアゾール容器の定量噴射ボタンにおいては、その部品点数が非常に多く、それらの個々の形状や形態も複雑なものとなっている。
本発明においても、上記従来のものと同様の課題を有しており、その課題を解決するために、より簡易な形態及び構造を採用すること、より部品点数の少ないものから形成でき、同様の効果を発揮できるエアゾール定量吐出アクチュエーターを提供することをその課題としている。
また、その定量室をより簡単により大きなものとすることができることもその課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、エアゾール容器のバルブステムに装着でき、内部に定量室を有し、押下げ・復帰動作によって一定量の内容物を外部に吐出できるアクチュエーターにおいて、このアクチュエーターは、前記バルブステムと接続するステム接続部と、上下に往復動作を行って前記ステム接続部を動作させる作動部とからなり、前記ステム接続部と前記作動部との間には流通路が形成され、この流通路の出口部が吐出口を形成し、前記ステム接続部は、その下端に前記バルブステムと接続するステム接続口を有し、このステム接続口の出口部分に定量室が設けられ、この定量室の天部には前記吐出口に連通する前記流通路が位置し、この流通路は前記作動部を押下する第1動作によって封止され、次の作動部を押下する第2動作によってこの作動部が前記ステム接続部と前記バルブステムを共に押下してエアゾール容器内の内容物が前記定量室内に充填され、次の作動部からの押下力を除去する第3動作によってこの作動部が上方に押し上げられる間に、前記流通路の封止が解除されることにより定量の内容物が吐出口から外部に吐出され、前記ステム接続部がその内部に定量室を有する略筒体形状を有するものから成り、その底面部の略中央にステム接続口を有し、その天部の略中央には貫通孔が形成され、この貫通孔内に前記作動部の下端から下方に延長する延長部が挿入され、前記貫通孔と前記延長部との間に前記流通路が形成され、前記作動部を押下する第1動作によって前記延長部の基端部が前記貫通孔を封止して前記流通路が封止されることを特徴とするエアゾール定量吐出アクチュエーターである。
【0009】
本発明の第2のものは、エアゾール容器のバルブステムに装着でき、内部に定量室を有し、押下げ・復帰動作によって一定量の内容物を外部に吐出できるアクチュエーターにおいて、このアクチュエーターは、前記バルブステムと接続するステム接続部と、上下に往復動作を行って前記ステム接続部を動作させる作動部とからなり、前記ステム接続部と前記作動部との間には流通路が形成され、この流通路の出口部が吐出口を形成し、前記ステム接続部は、その下端に前記バルブステムと接続するステム接続口を有し、このステム接続口の出口部分に定量室が設けられ、この定量室の天部には前記吐出口に連通する前記流通路が位置し、この流通路は前記作動部を押下する第1動作によって封止され、次の作動部を押下する第2動作によってこの作動部が前記ステム接続部と前記バルブステムを共に押下してエアゾール容器内の内容物が前記定量室内に充填され、次の作動部からの押下力を除去する第3動作によってこの作動部が上方に押し上げられる間に、前記流通路の封止が解除されることにより定量の内容物が吐出口から外部に吐出され、前記作動部が、前記ステム接続部を囲繞して上下に往復動作を行ってステム接続部を動作させ、その上部に内容物を吐出する吐出口が配置されたものから成り、前記ステム接続部は、その下端に前記バルブステムと接続するステム接続口を有し、このステム接続口から上方に向かって流路が形成され、この流路には横穴が形成されて前記定量室に連通し、前記定量室の天部の略中央部に前記吐出口に連通する前記流通路が設けられ、この流通路の開口部に対向するように前記ステム接続部の上端部が近接した位置に配置され、前記作動部の下端周縁部と前記ステム接続部とが樹脂バネによって接続されて前記定量室が形成され、前記作動部を押下する第1動作によってステム接続部の上端部が前記定量室の天部に当接して前記流通路の開口部を封止することを特徴とするエアゾール定量吐出アクチュエーターである。
【0011】
本発明の第3のものは、上記第1又は第2の発明において、前記エアゾール容器の上端部に肩カバーを更に設け、前記作動部又は前記ステム接続部の外周にはこれらの外周を囲繞するように筒状の外周壁部を設け、前記肩カバーの内周壁面に沿って前記筒状の外周壁部が上下に摺動することができ、前記肩カバーの内周壁が前記作動部又は前記ステム接続部の上下動作のガイド壁面となることを特徴とするエアゾール定量吐出アクチュエーターである。
【0014】
本発明の第4のものは、エアゾール容器のバルブステムに装着でき、内部に定量室を有し、押下げ・復帰動作によって一定量の内容物を外部に吐出できるアクチュエーターにおいて、このアクチュエーターは、前記バルブステムと接続するステム接続部と、上下に往復動作を行って前記ステム接続部を動作させる作動部とからなり、前記ステム接続部と前記作動部との間には流通路が形成され、この流通路の出口部が吐出口を形成し、前記ステム接続部は、その下端に前記バルブステムと接続するステム接続口を有し、このステム接続口の出口部分に定量室が設けられ、この定量室の天部には前記吐出口に連通する前記流通路が位置し、この流通路は前記作動部を押下する第1動作によって封止され、次の作動部を押下する第2動作によってこの作動部が前記ステム接続部と前記バルブステムを共に押下してエアゾール容器内の内容物が前記定量室内に充填され、次の作動部からの押下力を除去する第3動作によってこの作動部が上方に押し上げられる間に、前記流通路の封止が解除されることにより定量の内容物が吐出口から外部に吐出され、前記作動部が、前記ステム接続部を囲繞して上下に往復動作を行ってステム接続部を動作させ、その上部に内容物を吐出する吐出口が配置されたものから成り、前記ステム接続部は、その下端に前記バルブステムと接続するステム接続口を有し、このステム接続口から上方に向かって流路が形成され、この流路には横穴が形成されて前記定量室に連通し、前記定量室の天部の略中央部に前記吐出口に連通する前記流通路が設けられ、この流通路の開口部に対向するように前記ステム接続部の上端部が近接した位置に配置され、前記作動部を押下する第1動作によってステム接続部の上端部が前記定量室の天部に当接して前記開口部を封止し、前記作動部内の定量室の下部にシール部材を設け、このシール部材が前記ステム接続部の横穴を封止することができるようにし、前記第1動作によってステム接続部の上端部が前記流通路の開口部を封止すると共に前記シール部材が前記横穴の封止を解除し、前記第2動作によってエアゾール容器内の内容物が前記定量室内に充填され、前記第3動作によって、前記開口部の封止が解除されると共に前記横穴の封止が行われることを特徴とするエアゾール定量吐出アクチュエーターである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1のものにおいては、ステム接続部と、このステム接続部を動作させるために上下に往復動作を行う作動部のみから構成され、極めて簡易な構成としている。
そこには従来のアクチュエーターに備わるコイルスプリング等の作動部を上方に付勢する付勢手段を設けていない簡易な構成となっている。
本発明では、作動部の上方への付勢はバルブステムの上方への付勢力を利用しているのである。
【0019】
作動部の作動は、3つの動作によって行われる。即ち、前記作動部を押下する第1動作によってステム接続部と作動部との間の流通路が封止され、次の作動部を押下する第2動作によってこの作動部が前記ステム接続部を押下し且つ前記バルブステムも押下してエアゾール容器内の内容物が前記定量室内に充填され、次の作動部からの押下力を除去する第3動作によってこの作動部が上方に押し上げられる間に、前記流通路の封止が解除されることにより定量の内容物が吐出口から外部に吐出されることとなるのである。
【0020】
以上の3動作は、説明のために順次個別に記述しているが、アクチュエーターを押下げそしてその押圧力或いは押下力を除去して元の位置に復帰する一連の動作を意味している。
この一連の動作により、エアゾール容器内の内容物の一定量が吐出口から外部に吐出されるのである。
尚、ここで吐出されるエアゾール容器の内容物としては、各種の化粧料、例えば整髪料や洗顔料などのフォーム状又はムース状のものを例示することができる。
【0021】
以上のように本発明の第1のものにおいては、ステム接続部と作動部の2構成部材のみによって形成され、ステム接続部もその下端に設けられたステム接続口がバルブステムの上端部と接続しているものであればよく、作動部も上記ステム接続部を動作させるために上下往復動できるものであればよく、また、作動部の吐出口に連通する流通路をその定量室の天部に設けたものであればよく、この流通路を上記作動部を押下する動作によって封止できる構成であればよく、極めて簡易な構成から成るものであり、その内部にコイルスプリング等の付勢部材も不要となる。
【0022】
このような簡易な構成によりエアゾール容器の内容物の一定量を吐出できるものとした。
更に、上記のような簡易な構成を採用したことにより、上記ステム接続部又は作動部の外径を簡単により大きなものとすることができ、定量室の大容量化もより容易に可能となる。
【0023】
本発明においては、前記ステム接続部がその内部に定量室を有する略筒体形状を有するものから成り、その底面部の略中央にステム接続口を有し、その天部の略中央には貫通孔が形成され、この貫通孔内に前記作動部の下端から下方に延長する延長部が挿入され、前記貫通孔と前記延長部との間に前記流通路が形成され、前記作動部を押下する第1動作によって前記延長部の基端部が前記貫通孔を封止して前記流通路が封止される構成である。
この発明の具体的な実施形態は、後の詳細な説明中に記載した第6及び第7実施形態に該当するものである。
以上の簡易な構成により、上記3つの動作によって一定量の内容物が吐出される。
【0024】
本発明の第2のものは、前記作動部が、前記ステム接続部を囲繞して上下に往復動作を行ってステム接続部を動作させ、その上部に内容物を吐出する吐出口が配置されたものから成り、前記ステム接続部は、その下端に前記バルブステムと接続するステム接続口を有し、このステム接続口から上方に向かって流路が形成され、この流路には横穴が形成されて前記定量室に連通し、前記定量室の天部の略中央部に前記吐出口に連通する前記流通路が設けられ、この流通路の開口部に対向するように前記ステム接続部の上端部が近接した位置に配置され、前記作動部の下端周縁部と前記ステム接続部とが樹脂バネによって接続されて前記定量室が形成され、前記作動部を押下する第1動作によってステム接続部の上端部が前記定量室の天部に当接して前記流通路の開口部を封止することができるものである。
この第2の発明の具体的な実施形態は、後の詳細な説明中に記載した第4及び第5実施形態に該当するものである。
以上の簡易な構成により上記第1の発明と同様に、上記3つの動作によって一定量の内容物が吐出される。
【0025】
本発明の第3のものにおいては、上記第1又は第2の発明において、前記エアゾール容器の上端部に肩カバーを更に設け、前記作動部又は前記ステム接続部の外周にはこれらの外周を囲繞するように筒状の外周壁部を設け、前記肩カバーの内周壁面に沿って前記筒状の外周壁部が上下に摺動することができ、前記肩カバーの内周壁が前記作動部又は前記ステム接続部の上下動作のガイド壁面となるように構成したものである。
これにより前記作動部又はステム接続部の上下動を円滑に行うことができる。
【0028】
本発明の第4のものにおいては、前記作動部内の定量室の下部にシール部材を設け、このシール部材が前記ステム接続部の横穴を封止できるように構成したものである。
これにより、第1動作によってステム接続部の上端部が前記流通路の開口部を封止すると共に前記シール部材が前記横穴の封止を解除し、第2動作によってエアゾール容器内の内容物が前記定量室内に充填され、第3動作によって、前記流通路の開口部の封止が解除されると共に前記横穴の封止が行われることにより定量室内の内容物が吐出口から外部に吐出されることとなる。
【0029】
この第4発明においては、吐出される内容物は、上記横穴を封止したシール部材の上部の定量室内の所定量の内容物が吐出されることとなり、所望のより正確な定量の内容物が吐出されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1(A)】本発明のエアゾール定量吐出アクチュエーターに係る第1実施形態の中央縦断面図を図示しており、その不使用状態又は保管状態を示している。
【
図1(B)】上記第1実施形態の中央縦断面図を図示しており、作動部を押下した第1動作状態を示している。
【
図1(C)】上記第1実施形態の中央縦断面図を図示しており、更に作動部を押下した第2動作状態を示している。
【
図1(D)】上記第1実施形態の中央縦断面図を図示しており、作動部への押圧力を除去した第3動作状態を示している。
【
図2】本発明に係るアクチュエーターの第2実施形態を示す中央縦断面図である。
【
図3】本発明に係るアクチュエーターの第3実施形態を示す中央縦断面図である。
【
図4】本発明に係る他の実施形態の中央縦断面図を示しており、その(A)が第4実施形態を、その(B)が第5実施形態を図示している。
【
図5】
図4に図示した第4及び第5実施形態の外観を示す斜視説明図であって、その(A)が作動部のロック解除状態を示し、その(B)が作動部のロック状態を示している。
【
図6】本発明に係る他の実施形態の中央縦断面図を示しており、その(A)が第6実施形態を、その(B)が第7実施形態を図示している。
【
図7】
図6(A)に図示した第6実施形態の拡大説明図であって、その(A)が中央縦断面図、その(B)が外観を示す斜視説明図である。
【
図8】
図6(B)に示した第7実施形態の拡大説明図であって、その(A)が中央縦断面図、その(B)が外観を示す斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付の図面と共に本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明のエアゾール定量吐出アクチュエーターに係る第1実施形態の中央縦断面図を図示しており、その(A)が不使用状態又は保管状態を示し、その(B)が作動部を押下した第1動作状態を示し、その(C)が更に作動部を押下した第2動作状態を示し、その(D)が作動部への押圧力を除去した第3動作状態を示している。この(D)図は上記(A)図と同じ状態であるが、内容物を外部に吐出する状態を示している。
【0035】
本発明に係る上記第1実施形態に係るエアゾール定量吐出アクチュエーター(以下単に「アクチュエーター」という。)は、ステム接続部11と、このステム接続部11を囲繞するようにその基端部分を除く上方部分を内部に収納し、且つ、このステム接続部11の上下動を可能に収納する作動部12とから成る。
【0036】
エアゾール容器Cの内部には、各種の内容物が収容され、例えば整髪料や洗顔料等と各種の噴射剤とが封入され、その上端に設けられたバルブステムSを押下すると、これら内容物がバルブステムSから吐出される。
【0037】
エアゾール容器Cの上端周縁部には肩カバー30が設けられ、この肩カバー30の略中央部には凹所31が形成され、この凹所31内で上記作動部12の基端側が上下動できる。
即ち、上記作動部12の下端側の外周壁13が上記凹所31の内周壁に沿うように摺動して上下動できる。
【0038】
この凹所31の底面32の略中央部には貫通孔33が設けれ、この貫通孔33から上記バルブステムSが突出する。
このバルブステムSに上記ステム接続部11の下端部のステム接続口11sが接続する。
従って、このステム接続部11の下端部は上記貫通孔33内で上下動できる。
【0039】
上記ステム接続口11sから上方に流路11rが連続し、この流路11rの上部に横穴11yが設けられている。この横穴11yはこの第1実施形態では、その周壁に1個設けている。後述する第2及び第3実施形態では、定量室の容量が大きいために2個設けている。
【0040】
これらの横穴11yを封止できるシール部材15が上記作動部12の定量室16の底部に配置され、設けられている。
作動部12の上記定量室16の天部略中央部には開口部17が設けられ、この開口部17から流通路が形成されてその出口部が吐出口20を成す。
【0041】
より詳しくは、上記開口部17から上方に流通路が形成され、その後この流通路が横方向に折曲してその出口部となる吐出口20は、横方向を向いた状態に設けられている。
以下、各構成部材の動きの説明をする。
【0042】
まず、
図1(A)の状態は、不使用状体又は保管状態を示している。
この状態で、作動部12は一番上の位置に位置し、作動前の初期位置D
0に位置し、定量室16の天部中央の開口部17にステム接続部11の上端部11uが当接しない状態にあり、開口部17は開放されている状態となる。
【0043】
他方、ステム接続部11の横穴11yは、定量室16の底面に配設されたシール部材15によって封止された状態となっている。
この状態においては、バルブステムSが押下されていないため、エアゾール容器C内の内容物は全く吐出されない。
【0044】
次に、
図1(B)の状態は、本発明の第1動作D
1を示している。
図示したように、作動部12を指で少し下方に押下した状態がこの第1動作D
1である。
従って、図中D
1で示す第1動作の上下距離は、D
0に示された上下距離よりも短く、D
1<D
0の関係となっている。
この第1動作D
1によって、作動部12は少し下方に押し下げられ、これにより定量室16の天部がステム接続部11の上端部11uに当接し、開口部17が封止される。
【0045】
他方、同時に定量室16の底面部に設けたシール部材15は折れ曲がった状態となり、ステム接続部11の横穴11yの封止が解除されてステム接続部11の流路11rと定量室16とが連通する状態となる。
【0046】
次に、
図1(C)の状態は、上記
図1(B)の状態から更に作動部12を下方に押し下げた状態の第2動作D
2を図示しており、この状態でステム接続部11がステムバルブSを下方に押し下げ、エアゾール容器Cの内容物がバルブステムSから吐出され、ステム接続部11の流路11r及び横穴11yを流通して、定量室16内に流入することとなる。
ここで、第2動作D
2の上下距離は、第1動作D
1の上下距離よりも少し短くなり、D
2<D
1の関係となっている。
【0047】
この第2動作D2の状態のとき、定量室16の天部の開口部17はステム接続部11の上端部11uが当接して封止されているために、適切に定量室16内に内容物が貯留することとなる。
上記当接の状態について詳述すると、図ではステム接続部11の上方軸芯部分には孔部が形成され、その上端部分は筒状に形成されている。このような孔部が形成されているのは、成形上の都合であって、この孔部を設けずに実施することもできる。
この実施形態では、この孔部が形成されているために、その筒状の上端の周縁部が定量室16の天部に設けられた開口部17の外周部位に当接して封止が行われるのである。
【0048】
次に、
図1(D)の状態は、上記
図1(C)の状態で作動部12に及ぼしていた押下力を除去することにより、作動部12が上方位置に復帰する第3動作D
3の終了時を図示したものである。
上記第2動作D
2で作動部12に及ぼしていた押下力を除去することにより、作動部12は、バルブSの上方付勢力によって上方に押し上げられ、これにより横穴11yがシール部材15によって封止され、定量室16の天部の開口部17が解放される。これにより、定量室16内の内容物が作動部12の吐出口20から外界に吐出されることとなる。
【0049】
内容物の吐出が完了すると、定量室16内の内容物は消失して空となり、
図1(A)の初期位置D
0に復帰し(即ち、D
3=D
0となり)、不使用状態又は保管状態となるのである。
以上の通り、本発明においては、作動部12への押下動作及び作動部12への押下力の除去動作(上記第1乃至第3動作)の1連の1回の動作によって、定量室16内に貯留した一定量の内容物が外部に吐出されることとなる。
【0050】
ここで、上記シール部材15は、横穴11yを封止できない構造を採用することもできる。
その場合には、厳密な意味では、上記定量室16とステム接続部11の流路11rとバルブステムSの流路の全体が定量室ということとなる。
従って、定量室16の内容量を所定のものとすべく設計する際には、上記シール部材15が横穴11yを封止できる構造を採用することが相応しいものとなる。
【0051】
図2は、本発明に係るアクチュエーターの第2実施形態を示す中央縦断面図である。
この図に示したアクチュエーターは、
図1に図示した第1実施形態のものと比較して作動部の基端側の外径を大きくしたものであり、その他の構成は上記第1実施形態のものとほぼ同じである。
また、この
図2に示した状態は、上記第1実施形態の初期位置D
0及び第3動作D
3と同じ状態である。
【0052】
図2において、作動部12は一番上の位置に位置し、作動前の初期位置に位置し、定量室16の天部中央の開口部17にステム接続部11の上端部11uが当接しない状態にあり、開口部17は開放されている状態である。
【0053】
他方、ステム接続部11の横穴11yは、定量室16の底部に配設されたシール部材15によって封止された状態となっている。
この状態においては、バルブステムSが押下されないため、内容物は全く吐出されない。
【0054】
次に、作動部12を手指で少し下方に押下すること(第1動作)によって、作動部12は少し下方に押し下げられ、これにより定量室16の天部がステム接続部11の上端部11uに当接し、開口部17が封止される。
【0055】
他方、同時に定量室16の底部に設けたシール部材15は折れ曲がった状態となり、ステム接続部11の横穴11yの封止が解除されてステム接続部11の流路11rと定量室16とが連通する。
【0056】
次に、更に作動部12を下方に押し下げることにより、ステム接続部11がステムバルブを下方に押し下げることとなり、エアゾール容器の内容物がバルブステムから吐出され、ステム接続部11の流路11r及び横穴11yを流通して、定量室16内に流入する。
【0057】
このとき、定量室16の天部の開口部17はステム接続部11の上端部11uによって封止されているために、適切に定量室16内に内容物が貯留する。
【0058】
次に、作動部12に及ぼしていた押下力を除去することにより、作動部12が上方位置に復帰するため、つまり、作動部12はバルブステムの上方付勢力によって上方に押し上げられ、これにより横穴11yがシール部材15によって封止され、定量室16の天部の開口部17が解放され、定量室16内の内容物が作動部12の吐出口20から外界に吐出されることとなる。
【0059】
内容物の吐出が完了すると、定量室16内の内容物は消失して空となり、
図2の状態に復帰し、不使用状態又は保管状態となるのである。
以上の通り、本第2実施形態においても、作動部12への押下動作及び作動部12への押下力の除去動作(上記第1乃至第3動作)の1連の1回の動作によって、定量室16内に貯留した一定量の内容物が外部に吐出されることとなる。
【0060】
この第2実施形態においては、上記定量室16の内容積をより大きく設計しており、つまり、作動部12の下端部分の外径をより大きく設計することにより、1回に吐出できる吐出量を大きいものとしている。このため 横穴11yは、直径方向の対向する位置に2個設けている。
【0061】
図3は、本発明に係るアクチュエーターの第3実施形態を示す中央縦断面図である。
この第3実施形態は、上記第2実施形態と吐出口部分の形態が異なるのみで、他の構成は同じである。
【0062】
即ち、この第3実施形態においては、作動部12の吐出口20が作動部12の一番上の内側に窪んだ状態の湾曲面からなる上端面12tの中央部に設けられているのである。
作動部12の内部の定量室16の天部略中央に設けられた開口部17から流通路が上方に連続し、その出口が吐出口20を形成する。
この吐出口20には、噴口部材22が配設されて、この噴口部材22の頂部22sの下面から斜め上方向に放射状に内容物が吐出されるのである。
上記噴口部材は、特に設けずに上方方向、真上に吐出させるようにするここともできる。
その他の構成は上記第2実施形態と同じである。
【0064】
図4は、本発明に係る他の実施形態の中央縦断面図を示しており、その(A)が第4実施形態を、その(B)が第5実施形態を図示している。
図5は、
図4に図示した第4及び第5実施形態の外観を示す斜視説明図であって、その(A)が作動部のロック解除状態を示し、その(B)が作動部のロック状態を示している。
【0065】
これらの第4実施形態及び第5実施形態においては、上記第3実施形態の構成に近似しているが、作動部12が、内側の定量室16を形成する筒体部12cとこの筒体部12cを囲繞するようにその外側の外周壁部12wとの二重の筒体構造を有している。
他方、ステム接続部11の上端部11uは丸味を帯びた略円錐形状から成る上に尖がった形状を有し、その上方に位置する作動部12の流通路17pの開口部17の内周縁部に当接して前記流通路17pを封止できる構造である。
【0066】
そして、前記第1実施形態乃至第3実施形態のようなシール部材は設けていない。
この第4実施形態及び第5実施形態においては、作動部12の筒体部12cの下端部12bの全周が樹脂バネ14によってステム接続部11の下方周縁部に接続されているのである。
図4(A)の第4実施形態にあっては、当該樹脂バネ14が波板状の蛇腹形態を有し、
図4(B)に図示した第5実施形態にあっては、当該樹脂バネ14が断面波型形状のものから形成され、その弾力性を保持させている。
【0067】
その他の構成は、作動部12の天部の形状が異なる(上記第3実施形態では内側に窪んだ湾曲面からなり、上記第4及び第5実施形態ではフラットな平面からなる)が、上記第3実施形態の構成と同様である。
【0068】
以上の構成からなる第4実施形態及び第5実施形態に係るアクチュエーターにおいては、作動部12を押下する第1動作によって、作動部12が少し下方に押下され、定量室16の天部に位置する作動部12の流通路17pの開口部17の内周縁部にステム接続部11の上端部11uが当接して流通路17pが封止される。
【0069】
その際に、ステム接続部11自体は下方には移動しない。というのも、作動部12とステム接続部11とは上記樹脂バネ14で接続されており、作動部12が下方に押下する第1動作によっては樹脂バネ14のみが撓み、ステム接続部11はバルブステムの上方付勢力によりそのままの位置を維持するからである。
【0070】
次に第2動作により、更に作動部12が下方に押下されると、今度は、作動部12の開口部17とステム接続部11の上端部11uとが当接しているために、ステム接続部11及びバルブステムが共に下方に押下される。
これによって、エアゾール容器内の内容物が定量室16に流入し、充填されることとなる。
【0071】
その後、作動部12への押下力を除去する第3動作によってバルブステムは初期状態に復帰し、上記開口部17とステム接続部11の上端部11uとの当接が解除され、定量室16内の内容物は、開口部17、流通路17p、そしてその出口である吐出口20から外界に吐出されることとなるのである。
【0072】
ここで、このアクチュエーターの初期状態、即ち、不使用状態において、上記開口部17とステム接続部11の上端部11uとの関係は、ここに隙間を維持した状態であっても、隙間がない状態であっても、どちらでもよいということである。
即ち、ここに隙間がない状態であっても、定量室16内に充填された内容物には噴射剤等による所定の内圧が負荷された状態にあり、作動部12への押下力を除去すれば、前記内圧により作動部12は押し上げられ、当該内容物は上記流通路を通過して吐出口20から外界に吐出されるからである。
【0073】
上記第4及び第5実施形態においても、エアゾール容器の上端部には肩カバー30が設けられており、この肩カバー30には、その外周部に外周壁30wが筒状に起立するように設けられ、この外周壁30wが上記作動部12の外周壁部12wの上下動を案内できる構成を採用している。
【0074】
図5は、前記した通り、上記
図4に示した第4及び第5実施形態の外観を示しており、その(A)が作動部のロック解除状態を示し、その(B)が作動部のロック状態を示している。
即ち、この図から良く解る通り、作動部12の外周壁部12wの外周面には、段部12dが形成されており、この段部12dは、作動部12の天部からの下方長さを長短異ならせており、その下方長さの長い部位には段部12nを、その下方長さの短い部位には段部12mを設け、しかも、それぞれの段部12nと段部12mとを2つずつ、互い違いに形成しているのである。
【0075】
他方、肩カバーの外周壁30wの上端面の高さもその高い部位30nと、その上端面の低い部位30mとを設け、それぞれ互い違いに2ヶ所に設けている。
これにより、作動部12を周方向に回動させて、上記段部12nを外周壁30wの上端面の高い部位30nの位置に合致させた際に、作動部12は下方に移動させることが出来なくなり、作動部12がロックされた状態となるのである(
図5(B)の状態)。
今度は逆に作動部12を回動させて、上記段部12nを外周壁30wの上端面の低い部位30mの位置に移動させると、作動部12を下方に移動させることができ、ロック解除状態となるのである(
図5(A)の状態)。
【0076】
上記のような作動部12の押下をロックする構成は、上記第1実施形態乃至第3実施形態にも適用することができる。
【0077】
図6は、本発明に係る他の実施形態の中央縦断面図を示しており、その(A)が第6実施形態を、その(B)が第7実施形態を図示している。
図7は、
図6(A)に図示した第6実施形態の拡大説明図であって、その(A)が中央縦断面図、その(B)が外観を示す斜視説明図である。
図8は、
図6(B)に示した第7実施形態の拡大説明図であって、その(A)が中央縦断面図、その(B)が外観を示す斜視説明図である。
【0078】
まず、
図6(A)及び
図7に図示した第6実施形態においても、上記諸実施形態と同様にエアゾール容器CのバルブステムSに接続するステム接続部11と作動部12とからなるが、それぞれの形態又は形状が上記実施形態と異なる。
【0079】
即ち、上記ステム接続部11は、その天部11tの略中央部が平面的に形成され、その周辺部が外側に膨出した湾曲する形状を有し、この天部11tの中央部には貫通孔11hが設けられ、その底面の略中央部にはステム接続口11sが設けられている。
このステム接続口11sから上方に流路が形成され、定量室16が設けられている。
【0080】
更に、このステム接続部11には、上記定量室16を形成する筒体部11cの外周に前記筒体部11cを囲繞するように外周壁部11wを設けており、この外周壁部11wがエアゾール容器Cの上端部に設けた肩カバーの外周壁30wの内側で上下に摺動できる。
従って、上記外周壁30wが上記外周壁部11wのガイド壁の機能を発揮する。
【0081】
上記ステム接続部11の天部略中央部に設けた貫通孔11hには、作動部12の天部略中央部の下面から下方に延長して設けられた延長部12eが挿入する。
この実施形態では、この延長部12eは略筒体形状を有しており、この筒体形状の延長部12eの基端部12kが上記貫通孔11hの上端内周縁部に当接して流通路17pが封止される。
【0082】
即ち、上記ステム接続部11の天部に設けた貫通孔11hと作動部12の天部下面に設けた延長部11eとの隙間に流通路17pが形成され、この流通路17pが上記延長部11eの根元部外周が上記貫通孔11hの上端内周縁部と当接して封止される構造である。
また、この実施形態では、作動部12は、上記貫通孔11hに遊嵌されており、上記延長部12eの下端外周部に設けた鍔部11fにより上方に抜脱できないように形成されている。
【0083】
従って、定量室16内に充填された内容物の内圧により、この作動部11からの押下力を除去する第3動作によって内容物がこの作動部11を上方に押し上げて内部の内容物が吐出口20から外部に吐出することとなるのである。
この第6実施形態では、この吐出口20は、作動部11の周縁部の全周から外部に吐出することとなる。即ち、ステム接続部11の天部11tの貫通孔11hと作動部12の延長部12eとの間の隙間が流通路17pを形成し、この流通路17pは、この延長部12e外周から作動部12の外周に通じているため、その吐出口20の全周から内容物が外界に吐出する訳である。
【0084】
この実施形態の動作について以下説明する。
図6(A)及び
図7(A)は、不使用状態を示しているが、この状態から作動部12を手指で押下する第1動作によって、流通路17pが作動部12の延長部12eの基端部12kによって封止される。
【0085】
次に、更に作動部12を下方に押下する第2動作によって、ステム接続部11及びバルブステムSが下方に押下される。
これによって、エアゾール容器内の内容物が定量室16内に流入し充填される。
【0086】
最後に、作動部12への押下力を除去する第3動作によって、バルブステムSが上方に移動して内容物の吐出が停止され、定量室16内に充填された内容物が自身の内圧により作動部11を押し上げて流通路17pを通過して吐出口20から外界に吐出されることとなる。
【0087】
図7(B)に図示した外観説明図から良く解る通り、この第6実施形態においても、作動部12のロック手段を設けており、このロック手段は、上記
図5で説明したロック構造又はロック手段と全く同じ構成を採用している。
但し、この実施形態では、ステム接続部11を回動することにより、その外周壁部11wに設けた段部11dと肩カバー30とによりロック及びロック解除を行っている。
【0088】
最後に第7実施形態について、
図6(B)及び
図8に図示している。
この第7実施形態は、上記第6実施形態とほぼ同じであるが、その作動部12の形態が少し異なっている。
【0089】
即ち、この第7実施形態における作動部12は、その外周部に筒体形状の外周枠部12gが設けられ、この外周枠部12gは、ステム接続部11の天部11tに固定されている。
そして、作動部12の略中央下面から下方に延長する延長部12eが設けられているが、その下端外周に上記第6実施形態のような鍔部は形成されていない。
作動部11の外周枠部12gがステム接続部12に固定されているからである。
【0090】
この作動部12の天部には、
図8(B)から見て取れるように、樹脂バネ12s、12sが半円形状に設けられている。
つまり、天部中央部12tと上記外周枠部12gとが2個の半円形状の樹脂バネ12sにより接続され、天部中央部12tが適宜高さ位置に保持されているのである。
【0091】
従って、作動部12の天部中央部12tを手指によって押下する第1動作によって、天部中央部12tが下方に押下され、その中央下面設けられた延長部21eの基端部12kがステム接続部11の天部の貫通孔11hの上端周縁部に当接して、流通路17pが封止される。
【0092】
次に作動部12を押下する第2動作によって、ステム接続部11及びバルブステムSが押下され、エアゾール容器Cの内容物が定量室16内に流入し充填される。
最後に作動部12への押下力を除去する第3動作によって、バルブステムSが上方に移動して内容物の吐出が停止され、作動部12による流通路17pの封止も解除され、定量室16内に充填された内容物が流通路17pを通過して吐出口20から外界に吐出されることとなる。
【0093】
上記第6実施形態との相違は、この第7実施形態では、作動部12の天部中央部12tがその外周枠部12gに樹脂バネ12sによって保持されているために、不使用状態の際に流通路17pは開放された状態に維持されている点である。
【0095】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明においては以下の通り各種設計変更をすることができる。
まず、第1乃至第3実施形態に関しては以下の通り設計変更可能となる。
本発明においては、エアゾール容器のバルブステムから吐出された内容物がステム接続部の流路から作動部の定量室へと流入するが、この内容物の流通経路を遮断する構造に特徴がある。
【0096】
即ち、この流通経路遮断構造として、ステム接続部の上端部が作動部内の定量室天部の開口部を封止する構造を採用したものである。
換言すると、ステム接続部の上方への動きをバルブステムの付勢力を利用し、当該付勢力によりステム接続部が上方に付勢され、そのステム接続部の上端部が定量室の天部に設けられた開口部の周縁部に当接して開口部の封止を行うことができるように構成したのである。
【0097】
これにより、上記流通路遮断構造が極めて簡易なものとなり、その結果他の構成部材の形状及び形態も簡易なものとすることができたのである。
即ち、ステム接続部は、その下端部でエアゾール容器のバルブステムと接続し、内部に流路を有して横穴が配設されていればよく、作動部は、その基端部内に前記ステム接続部の上方部分を上下移動可能に囲繞するように設け、内部に定量室を配して、その天部に開口部を設け、この開口部にステム接続部の上端部が近接して配置されていればよいものとなる。
【0098】
吐出口も上記実施形態に示したように、横方向に向けて設けることもできるし、上方向に向けて設けることも、更には、斜め上方向又は斜め下方向に向けて設けるのも自由である。
上記第1乃至第3実施形態において、既に述べた通り、定量室の底面部又は底部に設けたシール部材に関してもステム接続部の横穴を封止しない構成を採用することもできる。
【0099】
しかし、定量室の内容量を一定とするために、上記シール部材は横穴を封止できる構造を採用することが望ましい。
上記実施形態では、上記横穴の数を第1実施形態では1個、或いは、第2及び第3実施形態では2個設けたが、その横穴の数も必要に応じて3個以上設けることも自由である。
【0100】
上記実施形態においては、何れの実施形態においても、肩カバーを設けたが、この肩カバーは設けずに実施することも可能である。
即ち、作動部の下止点(一番下の位置)をバルブステムの下止点と一致させることにより、肩カバーの凹所の底面部は不要となるし、ステム接続部とバルブステムとの連結も堅固なものとすることにより、作動部の上下摺動ガイド面となる肩カバーの凹所の内周壁がなくとも実施することが可能となる。
しかしながら、その外観や作動部の上下動作を確実なものとするために、肩カバーを設けて実施することが望ましい。
【0101】
他方、上記第4及び第5実施形態においては、作動部の構造は、定量室を形成する筒体部とこれを囲繞する外周壁部との二重構造としているが、この外周壁部を設けずに、上記筒体部を肩カバーの外周壁の内周面に摺動させる構造を採用することもできる。
【0102】
樹脂バネは、蛇腹状のもの、波型形状のものでなくともよく、適宜弾性を有し定量室を形成できる形態のものであればよい
ステム接続部の上端部と作動部の天部開口部との封止構造も、上記第1乃至第3実施形態のものを採用することもできる。
【0103】
吐出口部材も異なる形状のものを使用することもできるし、これを設けずに実施することもできる。
作動部のロック手段を設けてもよいし、これを設けずに実施することもできる。
【0104】
更に、上記第6実施形態及び第7実施形態においては、ステム接続部11が定量室を形成する筒体部とこれを囲繞する外周壁部との二重構造にしているが、この外周壁部を設けずに実施することもできる。
上記筒体部の外周が肩カバーの外周壁の内周面に摺動できる構造を採用することもできる。
【0105】
以上の通り、本発明のいずれの実施形態においても、従来のコイルスプリング等の付勢部材を一切使用せずに簡易な構成によってその課題を実現することができた。
また、本発明においては、定量室を含む全流通経路の封止構造として定量室の天部に設けた当接封止構造を採用することによって、極めて簡易な構成及び構造から成るエアゾール定量吐出アクチュエーターを提供することができた。
【符号の説明】
【0106】
11 ステム接続部
11c 筒体部
11d 段部
11f 鍔部
11h 貫通孔
11r 流路
11s ステム接続口
11t 天部
11u 上端部(ステム接続部の)
11w 外周壁部
11y 横穴
12 作動部
12b 下端部
12c 筒体部
12d、12n、12m 段部
12e 延長部
12g 外周枠部
12k 基端部
12t 上端面(作動部の)
12w 外周壁部
13 外周壁
14 樹脂バネ
15 シール部材
16 定量室
17 開口部
17p 流通路
20 吐出口
22 噴口部材
22s 頂部(噴口部材の)
30 肩カバー
30w 外周壁
31 凹所
32 底面
33 貫通孔
C エアゾール容器
S バルブステム