(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 11/49 20180101AFI20230707BHJP
F24F 11/88 20180101ALI20230707BHJP
F24F 11/50 20180101ALI20230707BHJP
F25B 49/02 20060101ALI20230707BHJP
H02M 7/10 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
F24F11/49
F24F11/88
F24F11/50
F25B49/02 570A
H02M7/10 B
(21)【出願番号】P 2019209750
(22)【出願日】2019-11-20
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】葛原 豊
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-058600(JP,A)
【文献】特開2000-014131(JP,A)
【文献】特開2000-350458(JP,A)
【文献】特開2007-225138(JP,A)
【文献】特開2013-181693(JP,A)
【文献】特開2015-145746(JP,A)
【文献】特開2018-078756(JP,A)
【文献】特開2019-100655(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0179874(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00 - 11/89
F25B 49/02
H02M 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機および室外機を備える空気調和機であって、
定格電圧280VのDCファンモータである室内ファンモータと、
商用電源AC100Vが印加されたときに、印加されたAC100VをDC140Vに変換し、変換されたDC140Vを倍電圧回路によってDC280Vに倍電圧化して前記室内ファンモータに供給可能であると共に、前記倍電圧回路の動作/不動作を切り替えることのできる切替手段を備えるDC電源回路と、
印加された電源がAC100VであるかAC200Vであるかを判定する第1判定部と、
前記第1判定部の判定結果に基づいて、印加された電源がAC100Vであるときには前記切替手段を制御して前記倍電圧回路を動作させ、印加された電源がAC200Vであるときには前記切替手段を制御して前記倍電圧回路を不動作とする制御部とを備えており、
前記制御部は前記室内機に備えられ、前記第1判定部は前記室外機に備えられており、
前記第1判定部は、その判定結果をシリアル通信にて前記制御部に伝達することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
請求項1に記載の空気調和機であって、
前記室内機に備えられ、印加された電源がAC100VであるかAC200Vであるかを判定する第2判定部を備え、
前記制御部は、前記第1判定部および前記第2判定部の判定結果が共にAC100Vである場合にはAC100Vが印加されたと判定し、前記切替手段を制御して前記倍電圧回路を動作させ、前記第1判定部および前記第2判定部の判定結果の少なくとも一方がAC200Vである場合にはAC200Vが印加されたと判定し、前記切替手段を制御して前記倍電圧回路を不動作とすることを特徴とする空気調和機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の空気調和機であって、
前記制御部は、AC200Vが印加されたと判定されたときには誤印加と判定し、前記室内機より誤印加検知の警告を発させることを特徴とする空気調和機。
【請求項4】
請求項1または2に記載の空気調和機であって、
前記DC電源回路は、AC100Vが印加されたと判定されたときには、前記倍電圧回路によって倍電圧化されたDC280Vを前記室内ファンモータに供給し、AC200Vが印加されたと判定されたときには、印加されたAC200VをDC280Vに変換して前記室内ファンモータに供給することを特徴とする空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内機と室外機とを有するセパレータ型の空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気調和機は、商用電源AC100Vを通電させる機種(100V機種)には定格電圧140VのDCファンモータを搭載し、商用電源AC200Vを通電させる機種(200V機種)には定格電圧280VのDCファンモータを搭載することが一般的であった。但し、空気清浄エアコンのように、100V機種であっても定格電圧280VのDCファンモータを搭載させ、室内ファンを高速回転させたいケースもある。このような場合、空気調和機に倍電圧回路を搭載し、AC100Vの入力電圧をDC140Vに変換した後、倍電圧回路によってDC280Vに倍電圧化して、定格電圧280VのDCファンモータを駆動することが行われる。
【0003】
また、特許文献1には、定格電圧280Vのモータを駆動するものであって、倍電圧回路を備えた電源装置が開示されている。特許文献1の電源装置は、AC100Vが入力されたときには倍電圧回路を動作させ、AC200Vが入力されたときには倍電圧回路を不動作とするものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
定格電圧280VのDCファンモータを駆動する100V機種の空気調和機において、ユーザが誤ってAC200Vの電源を印加したときに倍電圧回路が不所望に動作すると、DC560V以上の高電圧が発生し、各部品の定格電圧をオーバーして部品破壊を生じさせる恐れがある。
【0006】
このような倍電圧回路の不所望な動作を防止するため、従来は、100V機種の空気調和機に誤印加検知回路を搭載し、AC200Vの電源が誤印加されたときには警告を行っている。具体的には、室内機側のハードウェアで印加電圧値を検出し、この印加電圧値をマイコンのソフトウェアで判定することで誤印加検知を行っている。そして、AC200V電源の誤印加が検知された場合には、警告音などを発して電源の誤印加をユーザに警告するようにしていた。
【0007】
但し、このような誤印加検知回路は、正しく動作しなかったり、ソフトウェアバグにより誤検知が生じたりする可能性がある。その結果、倍電圧回路の不所望な動作を確実に防止できない恐れもある。
【0008】
また、特許文献1の電源回路は、印加された電源が100Vであるか200Vであるかを判定し、その判定に応じて倍電圧回路の動作/不動作を切り替えるものとなっている。しかしながら、印加電圧を判定する判定回路においても、上記の誤印加検知回路と同様に、正しく動作しなかったり、ソフトウェアバグにより誤判定が生じたりする可能性がある。そのため、200V印加時における倍電圧回路の不所望な動作が生じる恐れがある。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、倍電圧回路の不所望な動作をより確実に防止できる空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の空気調和機は、室内機および室外機を備える空気調和機であって、定格電圧280VのDCファンモータである室内ファンモータと、AC100Vが印加されたときに、印加されたAC100VをDC140Vに変換し、変換されたDC140Vを倍電圧回路によってDC280Vに倍電圧化して前記室内ファンモータに供給可能であると共に、前記倍電圧回路の動作/不動作を切り替えることのできる切替手段を備えるDC電源回路と、印加された電源がAC100VであるかAC200Vであるかを判定する第1判定部と、前記第1判定部の判定結果に基づいて、印加された電源がAC100Vであるときには前記切替手段を制御して前記倍電圧回路を動作させ、印加された電源がAC200Vであるときには前記切替手段を制御して前記倍電圧回路を不動作とする制御部とを備えており、前記制御部は前記室内機に備えられ、前記第1判定部は前記室外機に備えられており、前記第1判定部は、その判定結果をシリアル通信にて前記制御部に伝達することを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、第1判定部が室内機ではなく室外機に備えられているため、第1判定部による誤印加(AC200Vの印加)の判定結果はシリアル通信によって室内機側の制御部に伝達される。この場合、第1判定部が正しく動作しなかったり、ソフトウェアバグにより誤検知が生じたりした場合にも、制御部において第1判定部の動作不良などを認識することができる。すなわち、第1判定部が動作不良などの場合にも、倍電圧回路を不動作とすることができ、倍電圧回路の不所望な動作をより確実に防止することができる。
【0012】
また、上記空気調和機は、前記室内機に備えられ、印加された電源がAC100VであるかAC200Vであるかを判定する第2判定部を備え、前記制御部は、前記第1判定部および前記第2判定部の判定結果が共にAC100Vである場合にはAC100Vが印加されたと判定し、前記切替手段を制御して前記倍電圧回路を動作させ、前記第1判定部および前記第2判定部の判定結果の少なくとも一方がAC200Vである場合にはAC200Vが印加されたと判定し、前記切替手段を制御して前記倍電圧回路を不動作とする構成とすることができる。
【0013】
上記の構成によれば、室外機側の第1判定部と室内機側の第2判定部の両方で電源の誤印加検知を行うことができ、電源の誤印加に対する二重保護機能を有するものとなる。
【0014】
また、上記空気調和機では、前記制御部は、AC200Vが印加されたと判定されたときには誤印加と判定し、前記室内機より誤印加検知の警告を発させる構成とすることができる。
【0015】
上記の構成によれば、電源の誤印加(AC200Vの印加)が検知された時に、警告によってユーザに報知することができる。
【0016】
また、上記空気調和機では、前記DC電源回路は、AC100Vが印加されたと判定されたときには、前記倍電圧回路によって倍電圧化されたDC280Vを前記室内ファンモータに供給し、AC200Vが印加されたと判定されたときには、印加されたAC200VをDC280Vに変換して前記室内ファンモータに供給する構成とすることができる。
【0017】
上記の構成によれば、AC100VおよびAC200Vの何れが印加された場合でも、室内ファンモータを適正に駆動することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の空気調和機は、第1判定部が正しく動作しなかったり、ソフトウェアバグにより誤検知が生じたりした場合にも、制御部において第1判定部の動作不良などを認識することができ、第1判定部が動作不良などの場合にも、倍電圧回路の不所望な動作をより確実に防止することができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施の形態1に係る空気調和機の概略構成図である。
【
図2】実施の形態1に係る空気調和機における室内ファンモータの駆動制御系を示す構成図である。
【
図3A】
図2の駆動制御系におけるDC電源回路の構成を示す回路図であり、倍電圧回路の動作時を示している。
【
図3B】
図2の駆動制御系におけるDC電源回路の構成を示す回路図であり、倍電圧回路の不動作時を示している。
【
図4】
図2の駆動制御系における印加電圧検知回路の概略構成を示す図である。
【
図5】実施の形態2の空気調和機における室内ファンモータの駆動制御系を示す構成図である。
【
図6】実施の形態2に係る空気調和機において、室内ファンモータの起動シーケンスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態1に係る空気調和機10の概略構成図である。
【0021】
空気調和機10は、室内機100および室外機110により構成されている。空気調和機10における冷凍サイクルの経路上には、室内機100側に室内熱交換器101が備えられており、室外機110側に圧縮機111、室外熱交換器112、四方弁113および膨張弁114が備えられている。
【0022】
空気調和機10の暖房/冷房運転は、四方弁113によって冷媒の循環の向きを変えることで切り替えられる(
図1は暖房運転時の状態を示している)。すなわち、暖房運転時には、圧縮機111、室内熱交換器101、膨張弁114、室外熱交換器112、圧縮機111の順で冷媒が循環し、室内熱交換器101が凝縮器、室外熱交換器112が蒸発器として機能する。一方、冷房運転時には、圧縮機111、室外熱交換器112、膨張弁114、室内熱交換器101、圧縮機111の順で冷媒が循環し、室外熱交換器112が凝縮器、室内熱交換器101が蒸発器として機能する。
【0023】
また、室内機100には、室内熱交換器101で熱交換された空気を室内に送り出すための室内ファン102が備えられており、室外機110には、室外熱交換器112に空気を送るための室外ファン115が備えられている。
【0024】
本実施の形態1に係る空気調和機10において、室内ファン102用の室内ファンモータ120(
図2参照)は、定格電圧280VのDCファンモータである。このため、空気調和機10を商用電源AC100Vで動作させる場合、印加されるAC100VをDC140VにAC/DC変換する以外に、DC140VをDC280Vに倍電圧化することが必要となる。
【0025】
図2は、本実施の形態1に係る空気調和機10における、室内ファンモータ120の駆動制御系を示す構成図である。
図3Aおよび
図3Bは、
図2に含まれるDC電源回路130の構成を示す回路図であり、
図3Aは倍電圧回路の動作時、
図3Bは倍電圧回路の不動作時を示している。
【0026】
図2に示すように、空気調和機10は、室内機100側に室内ファンモータ120、DC電源回路130および室内側制御部140を備えており、室外機110側に印加電圧検知回路150および室外側制御部160を備えている。
【0027】
空気調和機10の電源(例えば、商用電源AC100V)は室内機100側で印加されるものであり、DC電源回路130を介して室内ファンモータ120に給電される。DC電源回路130は、整流回路、平滑回路、および倍電圧回路を備えて構成されている。具体的には、DC電源回路130は、
図3に示すように、4つのダイオードで構成される整流ブリッジ(整流回路)131と、コンデンサ132からなる平滑回路と、2つのコンデンサ133,134からなる倍電圧回路とを有している。さらに、DC電源回路130は、倍電圧回路の動作/不動作を切り替える切替手段として切替スイッチ135を有している。
【0028】
DC電源回路130において、切替スイッチ135のオン/オフは、室内側制御部140からの制御信号によって切り替えられる。すなわち、室内側制御部140は、特許請求の範囲に記載の制御部に相当する。そして、
図3Aに示すように切替スイッチ135がオンの場合は倍電圧回路が動作する。この場合、例えば、空気調和機10に商用電源AC100Vが印加されると、DC電源回路130の整流回路および平滑回路によってAC100VがDC140Vに変換され、倍電圧回路によってDC140VがDC280Vに倍電圧化される。これにより、商用電源AC100Vによって定格電圧280の室内ファンモータ120を適正に動作させることができる。
【0029】
但し、空気調和機10に商用電源AC200Vが誤って印加された場合に、切替スイッチ135がオンになっていると、DC電源回路130の整流回路および平滑回路によってAC200VがDC280Vに変換され、倍電圧回路によってDC280VがDC560Vに倍電圧化される。このような不所望な高電圧が負荷である室内ファンモータ120に与えられると、当然ながら、室内ファンモータ120における各部品の定格電圧をオーバーして部品破壊を生じさせる恐れがある。
【0030】
一方、
図3Bに示すように切替スイッチ135がオフの場合は倍電圧回路が動作しない。この場合、空気調和機10に商用電源AC200Vが印加されても、DC電源回路130の整流回路および平滑回路によってAC200VがDC280Vに変換されるのみであり、不所望な高電圧が室内ファンモータ120に与えられることはない。また、切替スイッチ135がオフの状態で商用電源AC100Vが印加されると、DC電源回路130によってAC100VがDC140Vに変換されて室内ファンモータ120に与えられるが、これによって部品破壊を生じることはない。
【0031】
本実施の形態1に係る空気調和機10は、
図2に示すように、商用電源AC200Vが誤印加された場合に、印加電圧検知回路150および室外側制御部160によってこれを検知することができる。印加電圧検知回路150は、AC100Vが印加された場合とAC200Vが誤印加された場合とで値が切り替わる印加電圧検知信号を室外側制御部160に出力する。室外側制御部160は、この印加電圧検知信号に基づいて印加電圧がAC100VであるかAC200Vであるかを判定する。これにより、印加電圧検知回路150および室外側制御部160は、特許請求の範囲に記載の第1判定部に相当する。さらに、室外側制御部160は、シリアル通信によって印加電圧の判定結果を室内側制御部140に通知する。
【0032】
図4は、印加電圧検知回路150の概略構成を示す図である。
図4において、印加電圧検知回路150は、抵抗R1~R4とコンパレータCp1とにより構成されている。コンパレータCp1には、DC電源回路130の整流回路(すなわち、整流ブリッジ131)から出力される2本の電源線のうち、ハイレベル電源線HDDの電位が抵抗R1~R4を介して入力される。コンパレータCp1は、入力されたハイレベル電源線HDDの電位を基準電位(閾値)と比較し、その比較結果を印加電圧検知信号として室外側制御部160に出力する。この印加電圧検知信号は、ハイレベル電源線HDDの電位と基準電位との何れが大きいかによってその出力が切り替わるものである。
【0033】
例えば、印加電圧検知信号の値は、ハイレベル電源線HDDの電位が基準電位(140Vと280Vとの間の電位に設定)よりも小さければ“0”となり、ハイレベル電源線HDDの電位が基準電位よりも大きければ“1”になるものとする。この場合、室外側制御部160は、印加電圧検知信号の値が“0”であれば印加電圧がAC100Vであると判定することができ、印加電圧検知信号の値が“1”であればAC200Vの誤印加であると判定することができる。
【0034】
本実施の形態1に係る空気調和機10は、室内機100側で電源が印加されるものであり、室内ファンモータ120およびDC電源回路130も室内機100に備えられている。このような場合、電源の誤印加検知を室内機100側で行うと、印加電圧検知回路が正しく動作しなかったり、ソフトウェアバグにより誤検知が生じたりしたときに、倍電圧回路の不所望な動作を確実に防止できない恐れがある。
【0035】
これに対し、空気調和機10では、印加電圧検知回路150は、室内機100ではなく室外機110に備えられている。このため、印加電圧検知回路150および室外側制御部160による誤印加の判定結果はシリアル通信によって室内側制御部140に通知され、室内側制御部140がこの判定結果に基づいて倍電圧回路の動作/不動作(切替スイッチ135のオン/オフ)を切り替える。
【0036】
これにより、空気調和機10では、印加電圧検知回路150が正しく動作しなかったり、ソフトウェアバグにより誤検知が生じたりした場合にも、室内側制御部140側で印加電圧検知回路150の動作不良などを認識することができる。したがって、室内側制御部140は、室外側制御部160からAC200Vの誤印加を通知された場合のみならず、印加電圧検知回路150が動作不良などの場合にも、倍電圧回路を不動作とすることができ、倍電圧回路の不所望な動作(AC200Vが誤印加された場合における倍電圧回路の動作)をより確実に防止することができる。
【0037】
〔実施の形態2〕
図5は、本実施の形態2に係る空気調和機10における、室内ファンモータ120の駆動制御系を示す構成図である。
図5に示す空気調和機10は、室外機110側における印加電圧検知回路150だけでなく、室内機100側にも印加電圧検知回路151を備えている。これにより、室外機110および室内機100の両方で電源の誤印加検知を行うことができ、電源の誤印加に対する二重保護機能を有するものとなる。
【0038】
室内機100に備えられる印加電圧検知回路151は、室外機110に備えられる印加電圧検知回路150と同様の構成、すなわち、
図4に示す構成とすることができる。また、印加電圧検知回路151が出力する印加電圧検知信号は、室内側制御部140に入力される。室内側制御部140は、この印加電圧検知信号に基づいて印加電圧がAC100VであるかAC200Vであるかを判定する。これにより、印加電圧検知回路151および室内側制御部140は、特許請求の範囲に記載の第2判定部に相当する。
【0039】
図6は、本実施の形態2に係る空気調和機10において、室内ファンモータ120の起動シーケンスを示すフローチャートである。
図6に示す起動シーケンスでは、空気調和機10に商用電源が印加される(S1)と、室内機100および室外機110のそれぞれで印加電圧判定が行われる。尚、この起動シーケンスの開始時点でDC電源回路130の切替スイッチ135はオフであり、倍電圧回路が不動作状態となっている。
【0040】
室内機100側の印加電圧判定(S2)では、印加電圧検知回路151が出力する印加電圧検知信号に基づき、印加電圧がAC100VであるかAC200Vであるかを室内側制御部140が判定する。
【0041】
また、室外機110側で印加電圧判定を行うためには、先ず、室内機100と室外機110との間のメインリレー(図示せず)をオンして室外機110に通電すると共に、室内機100と室外機110との間のシリアル通信を開始する(S3)。そして、室外機110側の印加電圧判定(S4)では、印加電圧検知回路150が出力する印加電圧検知信号に基づき、印加電圧がAC100VであるかAC200Vであるかを室外側制御部160が判定する。室外側制御部160による判定結果は、シリアル通信によって室内側制御部140に伝達される(S5)。
【0042】
室内側制御部140は、自己で判定したS2の判定結果と室外側制御部160から伝達されたS5の判定結果との両方において印加電圧がAC100Vであった場合(S6でYES)、DC電源回路130の倍電圧回路を動作させ、室内ファンモータ120を起動する(S7)。一方、室内側制御部140は、S2の判定結果と室外側制御部160から伝達されたS5の判定結果との何れか一方でも印加電圧がAC200Vであった場合(S6でNO)には、DC電源回路130の倍電圧回路を不動作とし、室内機100においてAC200Vの誤印加検知の警告(例えばビープ音などでの警告)を行う(S8)。
【0043】
〔実施の形態3〕
上記実施の形態1,2では、空気調和機10の電源(例えば、商用電源AC100V)が室内機100側から印加される場合を例示した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、空気調和機10の電源は室外機110側から印加されるものであってもよい。
【0044】
このように室外機110側から電源の印加が行われる空気調和機10であっても、室外機110側の印加電圧検知回路150および室外側制御部160によって誤印加検知の判定を行い、その判定結果をシリアル通信によって室内側制御部140に通知することで、実施の形態1の空気調和機10と同様の効果を得ることができる。
【0045】
上記実施の形態1~3で説明した空気調和機10においては、AC200Vの誤印加が検知された場合、DC電源回路130の倍電圧回路を不動作とし、AC200Vの誤印加検知の警告を行う構成を例示した。これは、空気調和機10が商用電源AC100Vを通電させる100V機種であることを想定した場合の構成である。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、空気調和機10は、商用電源AC100VおよびAC200Vの何れが通電されても使用可能な100V/200V共用機種とすることも可能である。すなわち、AC100Vの印加が検知された場合には、DC電源回路130の切替スイッチ135をオンとして倍電圧回路を動作させた状態で室内ファンモータ120を駆動し、AC200Vの印加が検知された場合には、DC電源回路130の切替スイッチ135をオフとして倍電圧回路を不動作とした状態で室内ファンモータ120を駆動することも可能である。但し、この場合には、室内ファンモータ120の駆動制御系以外も、AC200Vの印加に対応可能な構成とされる必要がある。
【0046】
また、上記実施の形態1~3で説明した誤印加検知を行うタイミングは、以下の例とすることが考えられる。
・空気調和機10の電源投入時(室内ファンモータ120の起動時)
・空気調和機10のコンセント挿入後の最初の電源投入時:空気調和機10においては、通常、電源コンセントが頻繁に抜き差しされることはないため、コンセント挿入後の最初の電源投入時のみ誤印加検知を行うものであってもよい。
・空気調和機10の運転中:上述の誤印加検知は、空気調和機10の運転中、常時行うものであってもよい。この場合は、AC200Vの誤印加だけでなく、電源電圧の変動による異常な高電圧印加をも検知でき、異常な高電圧印加が検知された場合には倍電圧回路を不動作に切り替えることで空気調和機10の保護を図ることができる。
【0047】
尚、通常の空気調和機は、送風運転時などで冷凍サイクルを動作させない場合には、室外機には通電せずに室内機のみで運転を行うが、上記実施の形態1~3に係る空気調和機10は、上記誤印加検知を行う場合には送風運転時などであっても室外機110への通電を行う。
【0048】
今回開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0049】
10 空気調和機
100 室内機
102 室内ファン
110 室外機
120 室内ファンモータ
130 DC電源回路
131 整流ブリッジ(整流回路)
132 コンデンサ(平滑回路)
133,134 コンデンサ(倍電圧回路)
135 切替スイッチ(切替手段)
140 室内側制御部(制御部、第2判定部)
150 印加電圧検知回路(第1判定部)
151 印加電圧検知回路(第2判定部)
160 室外側制御部(第1判定部)