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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20230710BHJP
   G01N 35/08 20060101ALI20230710BHJP
   G01N 21/76 20060101ALN20230710BHJP
【FI】
G01N35/04 G
G01N35/08 E
G01N21/76
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022514331
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(86)【国際出願番号】 JP2021007264
(87)【国際公開番号】W WO2021205771
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-10-04
(31)【優先権主張番号】P 2020069652
(32)【優先日】2020-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】梶原 ゆり
(72)【発明者】
【氏名】小口 想
(72)【発明者】
【氏名】山下 太一郎
(72)【発明者】
【氏名】杉村 禎昭
(72)【発明者】
【氏名】宮川 亜依子
【審査官】岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-153178(JP,A)
【文献】特表2018-534567(JP,A)
【文献】特開2008-268069(JP,A)
【文献】特開平2-189446(JP,A)
【文献】特表2019-515257(JP,A)
【文献】特表2010-539987(JP,A)
【文献】中国実用新案第206292169(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/04
G01N 35/08
G01N 21/75-21/83
(57)【特許請求の範囲】
【請求項6】
(削除)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、血液や尿などの検体(サンプル)を自動的に分析する装置である。そして、自動分析装置の検出ユニットにおける免疫分析法として、検体を含む反応液をフローセル内へ導入し、発光させた光を光検出器で検出する方法が知られている。このようなフローセルを用いた検出方法として、例えば、特許文献1が挙げられる。
【0003】
一般に、従来の検出ユニットに搬入されるフローセルは、光電子増倍管との位置ずれが生じないよう、ネジを用いて基板に固定されている。このように、ネジを用いて基板に固定することで、フローセル内の流路と光電子増倍管で囲まれる領域の遮光性が高まり、光電子増倍管による信号測定時のS/N比の減少が抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-149305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、フローセルをネジで基板に固定する場合、フローセルを搬出入する度に、ネジを取付けたり取り外したりする必要があるため、作業性が高くない。
【0006】
本発明の目的は、フローセルを搬出入するときの作業性を高めた自動分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、光電子増倍管と、前記光電子増倍管の鉛直方向下方に配置される基板と、前記基板の鉛直方向下方に配置されるフローセルと、を備え、前記基板の下面に凸部および/または凹部を有し、前記フローセルの上面に凹部および/または凸部を有し、前記フローセルの前記凹部および/または凸部が、前記基板の凸部および/または凹部に嵌合した状態で、前記フローセルを鉛直方向に下方から上方へ押し付ける押付部材、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、フローセルを搬出入するときの作業性を高めた自動分析装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】自動分析装置の平面図。
図2】検出ユニットの流路構成を示す図。
図3】検出ユニットの外観を示す斜視図。
図4】検出ユニットの内部構造を示す斜視図(フローセルを装着した状態)。
図5】フローセルの断面斜視図。
図6】検出ユニットの内部構造を示す斜視図(フローセルを装着する前の状態)。
図7】押付部材の動作を連動させる連動機構の構成を示す正面図。
図8】左右2つの押付部材が、フローセルを同時に押し付ける様子を示す平面図。
図9】左右2つの押付部材が、フローセルを同時に押し付ける様子を、下方から見た斜視図。
図10】前後2つの押付部材が、フローセルを同時に押し付ける様子を示す平面図。
図11】前後2つの押付部材が、フローセルを同時に押し付ける様子を、下方から見た斜視図と、前方から見た正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0011】
まず、図1を参照して、自動分析装置の全体構成について説明する。図1は、自動分析装置の平面図である。
【0012】
本自動分析装置100は、ラック108と、ラック搬送ライン115と、検体分注機構116と、インキュベータ(反応ディスク)107と、収納ユニット106と、搬送機構105と、反応容器撹拌機構104と、廃棄孔102と、試薬ディスク117と、試薬分注機構110と、反応液吸引ノズル113と、検出ユニット114と、図示しない制御部と、を備える。
【0013】
ラック108には、検体(サンプル)を保持する検体容器103が架設されている。
【0014】
ラック搬送ライン115は、ラック108に架設された検体容器103を、検体分注機構116の近傍の検体分注位置まで移動させる。
【0015】
検体分注機構116は、回転駆動及び上下駆動するアーム部と、検体を吸引・吐出するノズル部と、を有する。ノズル部の先端には、検体分注チップが着脱可能となっている。この検体分注機構116は、検体分注位置にある検体容器103に対してノズル部を下降させて所定量の検体を吸引した後、アーム部を回転させてインキュベータ107上の所定位置にある反応容器109に検体を吐出する。
【0016】
インキュベータ107には、複数の反応容器109を設置可能な容器保持孔が、円周方向に複数形成されている。このインキュベータ107は、各反応容器109を、反応容器設置位置,試薬吐出位置,検体吐出位置,反応容器廃棄位置,等の所定位置まで移動させる回転動作を行う。
【0017】
収納ユニット106には、未使用の反応容器109と検体分注チップが複数設置されている。
【0018】
搬送機構105は、X軸,Y軸,Z軸の3方向に移動可能であり、反応容器109および検体分注チップの搬送を行う。例えば、搬送機構105は、未使用の反応容器109を、インキュベータ107の所定位置にある容器保持孔に搬送したり、未使用の検体分注チップを、検体分注チップ装着位置101に搬送したりする。また、例えば、この搬送機構105は、反応容器109を反応容器撹拌機構104へ搬送したり、使用済みの反応容器109や検体分注チップを廃棄孔102へ搬送したりもする。
【0019】
反応容器撹拌機構104は、インキュベータ107から取り出された反応容器109内の検体と試薬とを混合する機構である。
【0020】
廃棄孔102は、使用済みの反応容器109や検体分注チップを廃棄するための孔である。
【0021】
試薬ディスク117には、複数の試薬容器111が設置されている。試薬ディスク117の上部には試薬ディスクカバー112が設けられ、試薬ディスク117内部は所定の温度に保温される。試薬ディスクカバー112の一部には、開口部が設けられている。
【0022】
試薬分注機構110は、回転駆動及び上下駆動するアーム部と、試薬を吸引・吐出するノズル部を有する。この試薬分注機構110は、ノズル部の先端を試薬容器111内の試薬に浸漬して試薬を吸引するとともに、吸引した試薬を反応容器109に吐出する。
【0023】
反応液吸引ノズル113は、回転駆動や上下駆動により、インキュベータ107上の反応容器109で混合された反応液を吸引して検出ユニット114へ送る。
【0024】
検出ユニット114は、反応液吸引ノズル113で吸引された反応液に含まれる特定の成分の検出を行う。
【0025】
図示しない制御部は、自動分析装置100全体の動作を制御する。この制御部は、操作者からの入力を受けて、各機構等に制御信号を出力し、その動作の制御を行う。
【0026】
次に、自動分析装置100の動作について説明する。
【0027】
まず、搬送機構105は、収納ユニット106の上方まで移動すると下降し、未使用の反応容器109を把持して上昇する。その後、搬送機構105は、インキュベータ107の所定位置の上方まで移動すると、下降して反応容器109を容器保持孔に設置する。また、搬送機構105は、収納ユニット106の上方まで移動すると下降し、未使用の検体分注チップを把持して上昇する。その後、搬送機構105は、検体分注チップ装着位置101の上方まで移動すると、下降して検体分注チップを検体分注チップ装着位置101に設置する。次に、検体分注機構116は、検体分注チップ装着位置101の上方まで移動すると下降し、ノズル部の先端に検体分注チップを圧入して装着する。
【0028】
試薬分注機構110は、試薬ディスクカバー112の開口部の上方まで回転移動すると下降し、ノズル部の先端を試薬容器111内の試薬に浸漬して、所定量の試薬を吸引する。次いで、試薬分注機構110は、上昇した後に、インキュベータ107の所定位置の上方まで回転移動すると下降して、反応容器109に試薬を吐出する。
【0029】
また、検体分注チップを装着した検体分注機構116は、ラック108に載置された検体容器103の上方まで回転移動して下降し、検体容器103内の検体を所定量吸引する。その後、検体分注機構116は、インキュベータ107の検体吐出位置まで回転移動して下降し、試薬が分注された反応容器109に検体を吐出する。その後、検体分注機構116は、廃棄孔102の上方まで回転移動し、使用済みの検体分注チップを廃棄孔102へと廃棄する。
【0030】
その後、検体と試薬とが吐出された反応容器109は、インキュベータ107の回転によって所定位置に移動し、搬送機構105によって反応容器撹拌機構104へと搬送される。反応容器撹拌機構104は、反応容器109に対して回転運動を加えることで反応容器109内の検体と試薬を撹拌し、混和する。その後、反応容器109は、搬送機構105によって、インキュベータ107の所定位置に戻される。
【0031】
次に、この所定位置で一定の反応時間が経過すると、反応液吸引ノズル113は、反応容器109の上方へ移動して下降し、反応容器109内の反応液を吸引する。反応液吸引ノズル113で吸引された反応液は、検出ユニット114で分析される。
【0032】
ここで、検出ユニット114の構成について、図2を用いて説明する。免疫分析の分野では、反応液中の極微量(10-14mol以下)の測定対象物の存在および濃度を測定するための分析法として、蛍光法、化学発光法および電気化学発光法が利用されている。本実施形態では、反応液に電圧を印加したときに反応液から発せられる光を検出する、電気化学発光法を利用した例について説明する。
【0033】
電気化学発光法は、ホルモン等の測定対象物に抗原抗体反応により発光試薬を結合させ、発光試薬由来の発光を定量するもので、フローセル中に反応液を流しながら測定が行われる。
【0034】
検出ユニット114は、反応液が導入されるフローセル209と、反応液に含まれる磁性粒子を補足する磁気トラップ手段と、フローセル209内で発生した光を検出する光電子増倍管211と、を備えている。
【0035】
図2に示すように、フローセル209は、流路の入口側が、配管205を介して反応液吸引ノズル113に接続されており、流路の出口側が、反応液等を吸引するための圧力差を発生させるシリンジ204と、反応液等を排出するドレイン203と、に接続されている。なお、フローセル209の流路の出口側は、途中で流路切替弁201によって分岐され、一方がシリンジ204に、他方がドレイン203に至る。また、フローセル209は、光電子増倍管211の下方に位置するケース202内に収納され、セルフレーム210に固定される。
【0036】
磁気トラップ手段は、磁性粒子捕捉用磁石208と、磁石アーム207と、磁石駆動用モータ206と、で構成されている。この磁気トラップ手段は、磁石駆動用モータ206を駆動することにより、磁石アーム207を回転させ、磁性粒子捕捉用磁石208を作動位置(フローセル209に近づけた位置)と退避位置(フローセル209から遠ざけた位置)とに変位させる。
【0037】
光電子増倍管211は、フローセル209の上方に配置される光検出器である。また、フローセル209には、図示しない電圧印加手段が接続されており、この電圧印加手段により電圧が印加されると、フローセル209内に捕捉された磁性粒子に発光現象が起こる。この光電子増倍管211は、フローセル209内で発生した光の強度を計測する。
【0038】
次に、検出ユニット114における光強度の測定方法について説明する。
【0039】
まず、反応液吸引ノズル113が反応容器109内の反応液に浸漬された状態で、流路切替弁201が切替えられることで、ドレイン203側の流路を閉鎖しつつ、フローセル209側の流路を開放する。そして、シリンジ204が吸引側に動作すると、反応容器109内の反応液が吸引され、配管205を経由してフローセル209内に反応液が流入する。なお、反応液は、測定対象物を含む検体と、試薬(発光標識を含む試薬と、磁性粒子を含む試薬)と、が混合されたものであり、免疫複合体が形成されている。
【0040】
このとき、磁石駆動用モータ206が駆動し、磁石アーム207が90度回転するため、磁石アーム207の先端にある磁性粒子捕捉用磁石208が、フローセル209の直下に近接する(作動位置に移動する)。これにより、フローセル209を通過する反応液中の磁性粒子が、フローセル209に磁気的に捕捉される。
【0041】
その後、反応液吸引ノズル113が、発光反応補助液を含む容器まで移動し、発光反応補助液に浸漬された状態で、シリンジ204が吸引側に動作する。これにより、発光反応補助液がフローセル209内に流入し、免疫複合体が磁気的に捕捉された状態のまま、フローセル209内の残留反応溶液が発光反応補助液に置換される。
【0042】
次いで、シリンジ204の駆動が停止した後、磁石駆動用モータ206が反対方向に駆動し、磁石アーム207が90度逆回転するため、磁性粒子捕捉用磁石208がフローセル209から離間する(退避位置に移動する)。
【0043】
次に、光電子増倍管211は、フローセル209の上面に形成された光透過窓を介して、フローセル209内の暗電流出力信号を測定する。その後、電圧印加手段によりフローセル209内に電圧を印加することで、免疫複合体に含まれる発光標識の電気化学発光反応が誘起される。このとき、光電子増倍管211が、光透過窓を介して光の強度を測定し、免疫複合体に含まれる測定対象物を定量する。
【0044】
光強度の測定後は、反応液吸引ノズル113が、洗浄液を含む容器まで移動し、洗浄液に浸漬された状態で、シリンジ204が吸引側に動作する。これにより、洗浄液が配管205内およびフローセル209内に流入し、配管205内およびフローセル209内に残留する反応液および発光反応補助液が除去され、配管205およびフローセル209が洗浄される。
【0045】
最後に、流路切替弁201が切替えられることで、フローセル209側の流路を閉鎖しつつ、ドレイン203側の流路を開放する。そして、シリンジ204が吐出側に動作すると、シリンジ204内に残留する反応液、発光反応補助溶液および洗浄液が、ドレイン203へ排出される。
【0046】
そして、上述の動作が繰り返し行われることで、複数の検体に対して、複数の分析項目の分析が実施される。
【0047】
図3は、検出ユニット114の外観を示す斜視図である。検出ユニット114には、フローセル209および光電子増倍管211などが内蔵されている。ここで、電気化学発光法による免疫分析では、光電子増倍管211が、フローセル209内の免疫複合体に含まれる発光標識の発光反応による非常に微弱な光を低ノイズ下で受光し、電気信号として取り出す。したがって、光電子増倍管211による信号測定時のS/N比減少の主要因となる外光を遮断するために、検出ユニット114の筐体300および蓋301は、遮光性を有する部材で形成され、かつ、密閉性の高い構造となっている。
【0048】
蓋301は、ヒンジ303を介して筐体300と接続されており、蓋301を閉状態で固定する位置固定部材として締め治具304が、蓋301に設けられている。このため、蓋301を開閉する際に、ネジの取り付けや取り外しなどの作業が不要となり、フローセル209を搬出入する作業が短時間で容易に行える。
【0049】
また、筐体300の開口部302の周縁、すなわち、筐体300の側壁の前端には、全周に亘って密閉部材が設けられている。この密閉部材の材料は、黒色の軟質ゴムや軟質ポリウレタン等、クッション性かつ断熱特性を有する材料であれば、限定されない。なお、密閉部材は、蓋301の裏側で、筐体300の側壁の前端と対向する位置に設けても良い。このように、検出ユニット114は、密閉部材を有するので、密閉性が向上し、外光の侵入や、外気の侵入による温度変化を防ぐことが可能となっている。
【0050】
締め治具304は、筐体300と蓋301との間にある密閉部材に対して、蓋301を押し付けて蓋301の位置を固定するものであれば、フックなど他の固定部材でも良い。また、締め治具304は、筐体300に設けられ、筐体300側から蓋301に対して変位して係止するようなものであっても構わない。ただし、磁力によって蓋301を閉状態で固定するような構造の場合、磁気トラップ手段や光電子増倍管211を使った電気化学発光法による免疫分析電気化学発光法による免疫分析を与える可能性がある。このため、固定部材は、非磁性体で形成され、蓋301と筐体300とを機械的に締め付けるものであることが望ましい。
【0051】
図4は、検出ユニット114の内部構造を示す斜視図であり、フローセル209を装着した状態を示している。図4に示すように、検出ユニット114は、光電子増倍管211と、光電子増倍管211の鉛直方向下方に配置される基板401と、基板の鉛直方向下方に配置されるフローセル209と、を備えている。また、フローセル209の下面は、押付部材402によって、鉛直方向に下方から上方へ押し付けられているため、フローセル209と光電子増倍管211とが密着し、フローセル209内の流路と光電子増倍管211で囲まれる領域の遮光性が向上している。特に、押付部材402が、フローセル209を複数個所で押し付けているため、フローセル209と光電子増倍管211との密閉性がより高められている。また、押付部材402によりフローセル209を基板401に固定することで、ネジ等により固定する場合と比べて、フローセル209の取付作業や取外作業が容易となる。
【0052】
図5は、フローセル209の断面斜視図である。図5に示すように、フローセル209の上面には、内周側に凹部209aが円形状に形成され、その外周側に凸部209bが円周状に形成されている。なお、フローセル209の凸部209bの外周側であって、周方向のうち特定の位置には、位置決め孔が2か所形成されている。
【0053】
図6は、検出ユニット114の内部構造を示す斜視図であり、フローセル209を装着する前の状態を示している。図6に示すように、基板401の下面には、内周側に凸部404が円形状に形成され、その外周側に凹部405が円周状に形成されている。また、基板401の下面には、凹部405のさらに外側であって、周方向のうち特定の位置から、鉛直方向下方に向けて延びる位置決めピン403が設けられている。なお、位置決めピン403は、凸部404の中心に対して、対象の位置に2か所設けられている。
【0054】
そして、フローセル209を基板401に装着する際には、まず、フローセル209の凹部209aが基板401の凸部404に嵌合され、フローセル209の凸部209bが基板401の凹部405に嵌合される。そして、フローセル209の位置決め孔が、基板401の位置決めピン403に挿入されることで、フローセル209が、基板401に対して位置決めされる。その後、図4に示すように、複数の押付部材402がフローセル209の下面を押し付けることで、フローセル209は、光電子増倍管211との軸合わせがされた状態で、基板401に固定される。
【0055】
図7は、左右2つの押付部材402の動作を連動させる連動機構501の構成を示す正面図である。連動機構501は、操作つまみ502と、連結板503と、アーム506と、で構成されている。作業者が操作つまみ502を掴んで所定の方向に水平スライドさせると、連結板503およびアーム506を介して、それぞれの押付部材402が同時に対称に動き、2つの押付部材402がフローセル209を同時に押し付ける。フローセル209を着脱する際には、操作つまみ502を動かすだけで、2つの押付部材402を押し付けたり、離したりできるので、作業が容易となる。
【0056】
また、押付部材402は、その先端上面に押え部を有しており、この押え部でフローセル209の下面を押し付ける。押付時にフローセル209に対するチッピングと称される欠き傷を抑制するため、押付部材402は、ポリアセタール樹脂に代表される耐摩耗性、摺動性に優れる材料で成形されることが望ましい。なお、押付部材402の押付力は、アーム506と押付部材402とを連結するSUS軸505に取付けられた、押し圧ばね508のばね力が利用される。
【0057】
次に、押付部材402によるフローセル209のロック動作について、具体的に説明する。
【0058】
図8は、左右2つの押付部材402が、フローセル209を同時に押し付ける様子を示す平面図である。図8(1)は、押付部材402が退避状態にあるとき、図8(2)は、押付部材402がロック動作中の状態にあるとき、図8(3)は、押付部材402によるロック動作が完了した状態にあるとき、をそれぞれ示している。
【0059】
図9は、左右2つの押付部材402が、フローセル209を同時に押し付ける様子を、下方から見た斜視図である。図9(1)は、押付部材402が退避状態にあるとき、図9(2)は、押付部材402がロック動作中の状態にあるとき、図9(3)は、押付部材402によるロック動作が完了した状態にあるとき、をそれぞれ示している。
【0060】
まず、図8(1)および図9(1)の退避状態のときに、フローセル209が、基板401の下方から、当接面の凹凸に嵌合する形で装着され、フローセル209の位置決め孔に基板401の位置決めピン403が挿入される。
【0061】
その後、操作つまみ502が右側にスライドされると、図8(2)および図9(2)のロック動作中の状態を経て、図8(3)および図9(3)のように、フローセル209の下面が、2つの押付部材402で押し付けられ、ロックが完了する。なお、操作つまみ502が水平方向に右側へスライドされるにつれ、押ばね508が押付部材402を押し上げる。このとき、左側の押付部材402が、フローセル209の中心に対して左側を押し付け、右側の押付部材402が、フローセル209の中心に対して右側を押し付ける。したがって、フローセル209の押付力が左右で不均衡となるのを抑制でき、フローセル209内の流路と光電子増倍管211で囲まれる領域の遮光性が向上する。さらに、左右の押付部材402が同時にフローセル209を押し付けることも、押付力の不均衡を抑制するとともに、位置ずれを防止し、遮光性の向上に寄与する。
【0062】
このように、本実施形態によれば、ネジを使わないので、基板401を取り出さなくても、フローセル209の着脱が可能となる。
【0063】
ここで、変形例について、図10および図11を用いて説明する。変形例では、フローセル209の位置決め孔を、基板401の位置決めピン403の位置へ案内するガイド部材804が、検出ユニット114の左右に設けられている。これらのガイド部材804は、フローセル209の外郭形状に沿って、水平方向に湾曲しており、フローセル209の位置合わせをし易くする働きをしている。
【0064】
次に、変形例の押付部材809によるフローセル209のロック動作について、具体的に説明する。
【0065】
図10は、前後2つの押付部材809(板ばね805)が、フローセル209を同時に押し付ける様子を示す平面図である。図10(1)は、押付部材809が退避状態にあるとき、図10(2)は、押付部材809によるロック動作が完了した状態にあるとき、をそれぞれ示している。
【0066】
図11は、前後2つの押付部材809が、フローセル209を同時に押し付ける様子を、下方から見た斜視図と、前方から見た正面図である。図11(1-a)および図11(1-b)は、押付部材809が退避状態にあるとき、図11(2-a)および図11(2-b)は、押付部材809がロック動作中の状態にあるとき、図11(3-a)および図11(3-b)は、押付部材809によるロック動作が完了した状態にあるとき、をそれぞれ示している。
【0067】
まず、図10(1)、図11(1-a)および図11(1-b)の退避状態のときに、フローセル209が、基板401の下方の前方から、ガイド部材804に沿って挿入され、フローセル209の位置決め孔に基板401の位置決めピン403が挿入される。なお、ガイド部材804は、フローセル209に接触するため、チッピングを与えないように、ポリアセタール樹脂に代表される耐摩耗性、摺動性に優れる材料で成形されることが望ましい。
【0068】
その後、前後2つの押付部材809の動作を連動させる連動機構の操作レバー803が回転操作されると、図11(2-a)および図11(2-b)のロック動作中の状態を経て、図10(2)、図11(3-a)および図11(3-b)のように、フローセル209の下面が、2つの押付部材809で押し付けられ、ロックが完了する。また、フローセル209を長期間外さないことが分かっている場合には、図11(3-a)に示すように、ロックが完了した状態で、固定位置904にてねじを用いて固定すれば、より安定させることが可能である。
【0069】
ここで、操作レバー803は、回転軸807を介して前方の板ばね805と連結され、前方の板ばね805と後方の板ばね805が軸受部806で連結されているので、操作レバー803の回転動作により、前後の押付部材809が同時に移動するようになっている。なお、押付部材809の押付力は、板ばね805のばね力が利用される。また、押付部材809は、フローセル209に接触するため、チッピングを与えないように、ポリアセタール樹脂に代表される耐摩耗性、摺動性に優れる材料で成形されることが望ましい。
【0070】
変形例によれば、前側の押付部材809が、フローセル209の中心に対して前側を押し付け、後側の押付部材809が、フローセル209の中心に対して後側を押し付ける。したがって、フローセル209の押付力が前後で不均衡となるのを抑制でき、フローセル209内の流路と光電子増倍管211で囲まれる領域の遮光性が向上する。さらに、前後の押付部材809が同時にフローセル209を押し付けることも、押付力の不均衡を抑制するとともに、位置ずれを防止し、遮光性の向上に寄与する。
【0071】
上記の実施形態では、電気化学発光法による免疫分析に用いられる検出ユニット114を例に挙げて説明したが、蛍光法や化学発光法など他の分析方法に用いられる検出ユニットに対しても、本実施形態のヒンジ構造は適用できる。また、押付部材の個数や位置などは、あくまで一例であり、上述の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0072】
100 自動分析装置101 検体分注チップ装着位置102 廃棄孔103 検体容器104 反応容器撹拌機構105 搬送機構106 収納ユニット107 インキュベータ108 ラック109 反応容器110 試薬分注機構111 試薬容器112 試薬ディスクカバー113 反応液吸引ノズル114 検出ユニット115 ラック搬送ライン116 検体分注機構117 試薬ディスク201 流路切替弁202 ケース203 ドレイン204 シリンジ205 配管206 磁石駆動用モータ207 磁石アーム208 磁性粒子捕捉用磁石209 フローセル209a 凹部209b 凸部211 光電子増倍管301 蓋302 開口部303 ヒンジ304 締め治具401 基板402 押付部材403 位置決めピン404 凸部405 凹部501 連動機構502 操作つまみ503 連結板504 押圧ばね505 SUS軸506 アーム803 操作レバー804 ガイド部材805 板ばね806 軸受部807 回転軸809 押付部材904 固定位置
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11