(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】フェライト磁心
(51)【国際特許分類】
H01F 27/255 20060101AFI20230711BHJP
H01F 27/24 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
H01F27/255
H01F27/24 P
(21)【出願番号】P 2022187023
(22)【出願日】2022-11-24
(62)【分割の表示】P 2018168175の分割
【原出願日】2018-09-07
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(72)【発明者】
【氏名】銭谷 亮治
【審査官】森岡 俊行
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-316038(JP,A)
【文献】実開昭57-20106(JP,U)
【文献】実開昭60-25123(JP,U)
【文献】実開平6-7221(JP,U)
【文献】特開2001-35728(JP,A)
【文献】特開2002-134330(JP,A)
【文献】実開平6-50323(JP,U)
【文献】米国特許第3007125(US,A)
【文献】中国特許出願公開第107452481(CN,A)
【文献】実開昭57-201824(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/255
H01F 27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一方向に突出する一対の外脚部と、前記一対の外脚部の間にあって前記外脚部と同一方向に突出する中脚部と、前記外脚部と前記中脚部とを接続する接続部と、を有するフェライト磁心であって、
各脚部が突出する方向をz軸方向、z軸と直交し、前記一対の外脚部どうしの対向方向をx軸方向、x軸およびz軸と直交する方向をy軸方向とし、前記接続部を下側として前記フェライト磁心をz軸方向からみたとき、
前記中脚部は半径R1の円形状であって、
前記一対の外脚部は、前記中脚部の中心を通るy軸方向の軸線に対して線対称形をなし、前記中脚部の中心に対して、x軸方向の軸線で規定される遠い側に平坦な第1の側面を有し、前記中脚部と対面する近い側に、前記中脚部と同心であって半径R2の円弧状の第2の側面を有し、前記y軸方向の両側に、それぞれ平坦な第3と第4の側面を有し、前記中脚部から遠い側の第4の側面と前記中心とのy軸方向の間隔h1
について、h1>R2
>R1の関係にあり、
前記第4の側面は、コイル部品を実装するための面であることを特徴とするフェライト磁心。
【請求項2】
前記h1と、前記中脚部から近い側の第3の側面と前記中心とのy軸方向の間隔h2とが異なっていて、h1>R2>h2>R1の関係にあることを特徴とする請求項1に記載のフェライト磁心。
【請求項3】
前記一対の外脚部は、前記x軸方向の幅において、前記中脚部の中心の位置での幅WMと、前記第3の側面の幅WTと、前記第4の側面の幅WBとが、WM<WT<WBの関係にあることを特徴とする請求項1に記載のフェライト磁心。
【請求項4】
請求項1に記載のフェライト磁心であって、前記第2の側面は、外周の半径がh1より小さい巻線を収納できる側面であるフェライト磁心。
【請求項5】
請求項1に記載のフェライト磁心であって、前記接続部はy軸方向の両側に前記中脚部に向かって窪んだ側面を備えるフェライト磁心。
【請求項6】
請求項1に記載のフェライト磁心であって、前記一対の外脚部は、前記中脚部の中心に対してx軸方向の軸線で規定される近い側の側面の一部に前記接続部と繋がらない部分を有し、前記部分の側面をx軸方向の軸線で規定される遠い側の側面と略平行な平坦な面としたフェライト磁心。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器に使用されるフェライト磁心およびそれを用いたコイル部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年急速に普及するEV(Electric Vehicle)、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)等の電動輸送機器の一つである電気自動車には大出力の電気モータや充電器等の機器が設けられていて、それらに用いられる電源装置には高電圧・大電流に耐えるトランスやチョーク巻線等のコイル部品やそれを用いた電子部品が要求される。コイル部品は、巻線の抵抗損失やフェライト磁心の磁気エネルギー損失によって発熱する。特に巻線の発熱が著しい。そのため、晒される環境最高温度よりも僅かに高い温度にコイル部品を安定させ、フェライト磁心が磁性を失う熱暴走を防ぐとともに、巻線自体やコイル部品を構成する部材に熱的な損傷が生じないことが求められる。
【0003】
コイル部品の発熱の対処として、実装する基板や金属ケース等の被装着体を介して冷却器として機能するヒートシンクや熱容量の大きなフレーム等に逃がす方法が一般的である。特許文献1では、
図10に示すように巻線等の発熱をフェライト磁心1に放熱性部材(被装着体)を接触させて放熱することが記載されている。放熱性部材は、例えば銅板やアルミニウム板など熱伝導率の大きな金属部材である。このようなコイル部品に使用されるフェライト磁心としては、所謂E型のフェライト磁心が知られている。E型のフェライト磁心は一対の外脚部20a、20bと、その間に設けられた中脚部(図示せず)と、それらを繋ぐ連結部30とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のコイル部品ではフェライト磁心1の中脚部に設けられた巻線200と被装着体との干渉を避けつつ、フェライト磁心1と被装着体との接触面積を大きく得るのに、フェライト磁心1の連結部30の背面を利用している。しかしながら、フェライト磁心間の熱経路(図中矢印で示す)に、組み合わせ面による熱伝導性を下げる熱的なギャップ210が形成されるため、被装着体からy軸方向に遠い部分の巻線やフェライト磁心の放熱が不十分となる場合があった。また、大きな発熱を生じさせる巻線200と被装着体との間にはフェライト磁心1の連結部30があるため、それらの間の熱経路の距離を短くすることも困難であった。
【0006】
そこで本発明は、フェライト磁心と被装着体との接触面積を確保しながら、巻線と被装着体との間隔を小さく出来て放熱性を改善可能なフェライト磁心と、それを用いたコイル部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、同一方向に突出する一対の外脚部と、前記一対の外脚部の間にあって前記外脚部と同一方向に突出する中脚部と、前記外脚部と前記中脚部とを接続する接続部と、を有するフェライト磁心であって、各脚部が突出する方向をz軸方向、z軸と直交し、前記一対の外脚部どうしの対向方向をx軸方向、x軸およびz軸と直交する方向をy軸方向とし、前記接続部を下側として前記フェライト磁心をz軸方向からみたとき、前記中脚部は半径R1の円形状であって、前記一対の外脚部は、前記中脚部の中心を通るy軸方向の軸線に対して線対称形をなし、前記中脚部の中心に対して、x軸方向の軸線で規定される遠い側に平坦な第1の側面を有し、前記中脚部と対面する近い側に、前記中脚部と同心であって半径R2の円弧状の第2の側面を有し、前記y軸方向の両側に、それぞれ平坦な第3と第4の側面を有し、前記中心脚から遠い側の第4の側面と前記中心とのy軸方向の間隔h1と、前記中脚部から近い側の第3の側面と前記中心とのy軸方向の間隔h2とが異なっていて、h1>R2>h2>R1の関係にあり、前記一対の外脚部は、前記x軸方向の幅において、前記中脚部の中心の位置での幅WMと、前記第3の側面の幅WTと、前記第4の側面の幅WBとが、WM<WT<WBの関係にあるフェライト磁心である。
【0008】
本発明においては、前記接続部はy軸方向の両側に前記中脚部に向かって窪んだ側面であるのが好ましい。
【0009】
また本発明においては、前記一対の外脚部は、前記中脚部の中心に対してx軸方向の軸線で規定される近い側の側面の一部に前記接続部と繋がらない部分を有し、前記部分の側面をx軸方向の軸線で規定される遠い側の側面と略平行な平坦な面とするのが好ましい。
【0010】
第2の発明は、第1の発明のフェライト磁心を一対と巻線を備え、コイル部品の実装面を前記フェライト磁心の前記第4の側面とし、前記第3の側面側から巻線の端部を引き出したコイル部品である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フェライト磁心と被装着体との接触面積を確保しながら、巻線と被装着体との間隔を小さく出来て放熱性を改善可能なフェライト磁心と、それを用いたコイル部品を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るフェライト磁心の構造を示す斜視図である。
【
図2】
図1で示したフェライト磁心の正面図である。
【
図3】
図1で示したフェライト磁心の右側面図である。
【
図4】
図1で示したフェライト磁心の背面図である。
【
図5】
図1で示したフェライト磁心の平面図である。
【
図6】
図1で示したフェライト磁心の底面図である。
【
図7】
図1で示したフェライト磁心を用いたコイル部品の斜視図である。
【
図8】
図7で示したコイル部品の組立方法を説明するための分解斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るコイル部品に用いるボビンの斜視図である。
【
図10】被装着体の面上に配置された従来のコイル部品の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係るフェライト磁心とそれを用いたコイル部品について具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論可能である。また説明に使用した図面は、発明の要旨の理解が容易なように要部を主に記載し、細部については適宜省略するなどしている。同一機能を有する部分については図面全体を通して共通した番号、記号を付与している。
【0014】
本発明の一実施形態に係るフェライト磁心の構造を
図1から
図6に示す。
図1は斜視図であり、
図2は正面図であり、
図3は右側面図であり、
図4は背面図であり、
図5は平面図であり、
図6は底面図である。このフェライト磁心1は、一対の外脚部20a,20bと、前記一対の外脚部20a,20bの間にあり、接続部30a,30bを介して繋がった中脚部10とを有する。尚、一対の外脚部20a,20bは第1外脚部20a、第2脚部20bともいう。第1外脚部20a、第2外脚部20bと中脚部10は接続部30a,30b側から同一の方向に延びる様に形成されている。
【0015】
各脚部が突出する方向をz軸方向、z軸と直交し、外脚部どうしの対向方向をy軸方向、y軸およびz軸と直交する方向をx軸方向とする。フェライト磁心の接続部を下側としてフェライト磁心をz軸方向からみたとき、第1外脚部20aと第2外脚部20bとは中脚部10の中心を通るy軸方向の軸線(以下、「中脚部10の中心を通るy軸方向の軸線」を「y軸方向の軸線」とも記載する)に線対称形をなしている。なお、このフェライト磁心の接続部を下側として、フェライト磁心をz軸方向からみたときの状態は、
図2で示す状態である。
【0016】
中脚部10は、使用時に磁気飽和を起こさないような断面積を有していればよく、図示した例ではz軸方向から見た形状が円形状であるが、多少の異同はあってもかまわない。後述するが、中脚部10の位置はy軸方向にてフェライト磁心1のy軸方向の中央からは偏倚して配置されている。
図2に示すとおり、この中脚部のz軸方向から見た円形状において、その円の半径をR1とする。
【0017】
第1外脚部20aと第2外脚部20bとは、中脚部10の中心に対してx軸方向の軸線で規定される遠い側に、平坦な第1の側面SW3を有し、前記中脚部10と対面する近い側に、略全体が中脚部10の側面OWに配置される巻線200の外形に沿うように、前記中脚部10と同心であって半径R2の円弧状の曲面をなす第2の側面SW1を有し、中脚部10の中心からの第1外脚部20aと第2外脚部20bの近い側の側面(第2の側面)までの距離を略同じとしている。なお前記距離は多少の異同を許容するが、巻線200との干渉を防ぐとともに放熱性の改善を考慮すれば、中脚部10の径方向において、その側面OWと第1外脚部20aの第2の側面SW3との間隔と、側面OWと第2外脚部20bの第2の側面SW3との間隔との差は最大でも1mm以下とするのが好ましい。
【0018】
また第1外脚部20aと第2外脚部20bは、y軸方向の軸線で規定される両側に第3の側面SW2と第4の側面SW4とを有し、この第3の側面SW2と第4の側面SW4とは平坦な面となっている。そして、中脚部10から遠い側の平坦な第4の側面SW4と中脚部の中心とのy軸方向の間隔h1と、中脚部から近い側の平坦な第3の側面SW2と中脚部の中心とのy軸方向の間隔h2とが異なっていて、h1>R2>h2>R1の関係となっている。また、外脚部20a,20bは、x軸方向の幅において、中脚部の中心の位置での幅WMと、第3の側面SW2の幅WTと、第4の側面SW4の幅WBとが、WM<WT<WBの関係となっている。
【0019】
またz軸方向からみた第1外脚部20aの端面の面積と第2外脚部20bの端面の面積を略同じで、かつ中脚部10の面積は第1外脚部20aと第2外脚部20bの端面の面積和Sと略同じとしている。中脚部10には巻線200が配置され磁気飽和を起こしやすい部分であるので、外脚部の面積和Sよりも大きく設定してもよい。また第1外脚部20a、第2外脚部20bは漏れ磁束が生じ易いので、中脚部10の面積を磁気飽和が生じない面積とした上で、中脚部10の面積を外脚部の面積和Sより小さくなるようにしても良い。
【0020】
また第1外脚部20a、第2外脚部20bは、中脚部10に近い側の側面の一部を前記接続部と繋がらない部分とし、前記部分の側面をx軸方向の軸線で規定される遠い側の側面と略平行な平坦な面SW5としても良い。
【0021】
フェライト磁心1の接続部30a、30bの側面は、くびれS1,S2を備えているのが好ましい。
図2に示すとおり、このフェライト磁心1の接続部30a,30bは、一方側では、折れ曲がった側面CW1,CW2を有し、他方側では、直線状の側面CW3を有し、くびれS1,S2を構成している。なお、接続部の側面CW1は、外脚部の第3の側面SW2と同一面を成している。フェライト磁心1は通常フェライト顆粒を圧縮して形成し、その成形体を焼結して得られるが、くびれS1,S2を設けることにより、成形の際に生じる成形体内での密度差を低減して焼結時の中脚部10での変形やクラック等の発生を低減することが出来る。また、くびれS1,S2をフェライト磁心1に組み合わせるボビンの位置決めにも利用することが出来る。
【0022】
フェライト磁心1の背面50側は平坦な面である。成形の際の金型から成形体の型離れや、稜角部における欠けや破損の防止を考慮して、背面50の端縁には片几帳の面取りを、各部の稜角部には曲面の面取りを設けている。このようなフェライト磁心1と、その中脚部10に配置される巻線と、フェライト磁心1に組み合わせるボビンとでコイル部品を構成する。
【0023】
図7はフェライト磁心を用いたコイル部品の斜視図である。
図8はコイル部品の組立を説明するための分解斜視図であり、
図9はコイル部品に用いるボビンの一例を示す斜視図である。ボビン60は巻線200とフェライト磁心1との間を仕切り、胴部70はフェライト磁心1の中脚部10を囲う筒状になっていて、その両端側には胴部70の周囲から立設された鍔部80を備えている。またそれぞれの鍔部80には対向する位置に位置決め部90,95が設けられている。位置決め部90はフェライト磁心1の接続部30a、30bの側面CW3に設けられたくびれに収まるように形成され、位置決め部95はフェライト磁心1の接続部30a、30bの側面CW2に設けられたくびれに収まるとともに、フェライト磁心1の接続部30a、30bの側面CW2と第1外脚部20a、第2外脚部20bの側面SW2を覆うよう形成されている。一対の鍔部80で区画された領域に巻線200が配置される。位置決め部95には導線を巻回する際の掛け止めとなり、巻線200の端部を分ける突起部85を備えている。
【0024】
巻線200が巻回され、中空に形成されたボビン60の胴部70にフェライト磁心1の中脚部10を挿入し、一対のフェライト磁心1,1の中脚部を挿入して組み合わせ、組み合わせたフェライト磁心1,1の外周にテープ(図示せず)を貼り付けて、あるいは接着により固定してコイル部品100とする。
【0025】
ボビン60は、巻線200を巻回形成する巻き型であるとともに、フェライト磁心1との間の絶縁を確保する。そのためボビンは、優れた絶縁性、耐熱性及び成形性を有する樹脂により形成するのが好ましい。ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が好ましく、それらを射出成形法等の公知の方法で成形したものを用いることができる
【0026】
巻線200に用いる導線は、銅やアルミニウム、その合金といった導電性材料からなる導体に絶縁被覆を備える被覆線が用いられる。一般的には導線にポリアミドイミドで絶縁被覆したエナメル線が用いられ、複数のエナメル線を縒って作成したリッツ線を用いるのが好ましい。巻線200の巻数は、要求される性能に基づいて適宜設定し、また線径も通電される電流により適宜選択することが出来る。コイル部品がトランスである場合に、一次巻線、二次巻線の巻き方に限定は無く、バイファイラ巻き、サンドイッチ巻き、分割巻き等のいずれかを適宜選択すれば良い。
【0027】
コイル部品100は、フェライト磁心1,1の第1外脚部20a、第2外脚部20bの第4の側面SW4を金属製の被装着体に接触又は近接させて使用する。被装着体はアルミニウム又はその合金、マグネシウム又はその合金、銅又はその合金等のような熱伝導率に優れた非磁性金属を用いることができる。被装着体とフェライト磁心1との間に密着性を向上させるため、高耐熱の放熱グリースを塗付して用いても良い。
【0028】
本発明のフェライト磁心1では、第1外脚部20a、第2外脚部20bの第4の側面SW4の幅(x軸方向の幅)を大きくし、被装着体との対向面積を大きくしている。また中脚部10を実装面となる第4の側面SW4から遠くなるようにすることで、巻線200の外周が第4の側面SW4側から突出しないが被装着体と近接するようにしている。またフェライト磁心1,1の組み合わせ面の位置を、従来のような熱経路の途中に熱的なギャップ210が形成される位置を避けて設定している。
【0029】
このような構成によれば、フェライト磁心1を通じて巻線200の発熱を効率よく被装着体へ逃がすことが出来、被装着体からy軸方向に遠い部分の巻線200やフェライト磁心1の発熱も、熱的なギャップを介さない熱経路や、巻線自体の周方向の熱経路によって、放熱性を確保して外部へ逃がすことが出来る。
【0030】
コイル部品100を金属製の被装着体に固定し、少なくとも巻線200と被装着体との間に熱伝導用フィラーを含む樹脂を充填することで、放熱性を一層向上することが出来る。樹脂はシリコーン樹脂が好ましく、熱伝導用フィラーは、Al2 O3 、ZrO2 、SiO2 、Si3 N4 、MgO等の熱伝導性に優れたセラミックから選択するのが好ましい。シリコーン樹脂に対するセラミックフィラーの混合量は、所望の放熱性、変形能、強度が得られるように調整するのが望ましい。更にコイル部品100の全体を、熱伝導用フィラーを含む樹脂によって埋設すれば、コイル部品100の放熱性を一層高めることが出来る。
【符号の説明】
【0031】
1 フェライト磁心
10 中脚部
20a 第1外脚部
20b 第2外脚部
30a、30b 連結部
60 ボビン
100 コイル部品
200 巻線