(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-10
(45)【発行日】2023-07-19
(54)【発明の名称】画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20230711BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
G03G15/08 322Z
G03G21/00 370
G03G21/00 386
(21)【出願番号】P 2019054030
(22)【出願日】2019-03-22
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】南川 友樹
(72)【発明者】
【氏名】直井 宏夫
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-354466(JP,A)
【文献】特開2008-039805(JP,A)
【文献】特開2004-354463(JP,A)
【文献】特開2008-033197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/08
G03G 13/095
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/08
G03G 15/095
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを収容する現像装置、
補給用トナーを収容するトナー容器、
前記トナー容器から前記現像装置に向けて前記補給用トナーを搬送する補給動作を行うためのトナー搬送部材、
前記トナー搬送部材を駆動させる駆動手段、
前記トナー搬送部材の累積駆動量に相関する算出用の駆動量に応じて、前記トナー容器におけるトナー残量を検出する第1検出手段、
前記トナー容器のトナー切れを検出する第2検出手段、
前記第2検出手段でトナー切れが検出された場合に、予め想定される前記トナー搬送部材の累積駆動量である想定駆動量と、実際の前記トナー搬送部材の累積駆動量である実駆動量とを比較して、補正値を算出する第1算出手段、
前記第1算出手段で算出された前記補正値で、前記算出用の駆動量および前記補給動作における前記トナー搬送部材の駆動量のいずれか一方を補正する補正手段、
複数の前記トナー容器のそれぞれの補正値を記憶する記憶手段、および
前記記憶手段に記憶される前記複数のトナー容器のそれぞれの補正値の平均値を算出する第2算出手段を備え、
前記補正手段は、前記第2算出手段で算出された前記平均値で、前記算出用の駆動量および前記補給動作における前記トナー搬送部材の駆動量のいずれか一方を補正し、さらに
前記第1算出手段で算出された前記補正値と、前記第2算出手段で算出された前記平均値との差が所定値以上であるかどうかを判断する第1判断手段、および
前記第1判断手段で前記補正値と前記平均値との差が所定値以上であると判断された場合に、前記補正値の変更を推奨する旨を報知する報知手段を備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記報知手段によって前記補正値の変更を推奨する旨が報知された場合に、前記補正値を変更する変更手段をさらに備える、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記補正値に対応する数値の入力を受け付ける入力手段をさらに備え、
前記補正手段は、前記入力手段に入力された前記数値に対応する前記補正値で、前記算出用の駆動量および前記補給動作における前記トナー搬送部材の駆動量の少なくとも一方を補正する、請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記入力手段は、外部コンピュータから送信される前記数値を受信する受信手段をさらに備え、
前記補正手段は、前記受信手段で受信した前記数値に対応する前記補正値で、前記算出用の駆動量および前記補給動作における前記トナー搬送部材の駆動量のいずれか一方を補正する、請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー容器の使用本数が所定の数に到達したかどうかを判断する第2判断手段をさらに備え、
前記補正手段は、前記第2判断手段で前記トナー容器の使用本数が所定の数に到達したと判断された場合に、前記第1算出手段で算出された前記補正値で、前記算出用の駆動量および前記補給動作における前記トナー搬送部材の駆動量のいずれか一方を補正する、請求項1から4までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
トナーを収容する現像装置と、補給用トナーを収容するトナー容器と、前記トナー容器から前記現像装置に向けて前記補給用トナーを搬送する補給動作を行うためのトナー搬送部材を備える、画像形成装置の制御プログラムであって、
前記画像形成装置のプロセッサに、
前記トナー搬送部材を駆動させる駆動ステップ、
前記トナー搬送部材の累積駆動量に相関する算出用の駆動量に応じて、前記トナー容器におけるトナー残量を検出する第1検出ステップ、
前記トナー容器のトナー切れを検出する第2検出ステップ、
前記第2検出ステップでトナー切れが検出された場合に、予め想定される前記トナー搬送部材の累積駆動量である想定駆動量と、実際の前記トナー搬送部材の累積駆動量である実駆動量とを比較して、補正値を算出する第1算出ステップ、
前記第1算出ステップで算出された前記補正値で、前記算出用の駆動量および前記補給動作における前記トナー搬送部材の駆動量のいずれか一方を補正する補正ステップ、
複数の前記トナー容器のそれぞれの補正値を記憶させる記憶ステップ、および
前記複数のトナー容器のそれぞれの補正値の平均値を算出する第2算出ステップとして機能させ、
前記補正ステップでは、前記第2算出ステップで算出された前記平均値で、前記算出用の駆動量および前記補給動作における前記トナー搬送部材の駆動量のいずれか一方を補正し、さらに
前記第1算出ステップで算出された前記補正値と、前記第2算出ステップで算出された前記平均値との差が所定値以上であるかどうかを判断する第1判断ステップ、および
前記第1判断ステップで前記補正値と前記平均値との差が所定値以上であると判断した場合に、前記補正値の変更を推奨する旨を報知する報知ステップ
を実行させる、制御プログラム。
【請求項7】
トナーを収容する現像装置と、補給用トナーを収容するトナー容器と、前記トナー容器から前記現像装置に向けて前記補給用トナーを搬送する補給動作を行うためのトナー搬送部材を備える、画像形成装置の制御方法であって、
(a)前記トナー搬送部材を駆動させるステップ、
(b)前記トナー搬送部材の累積駆動量に相関する算出用の駆動量に応じて、前記トナー容器におけるトナー残量を検出するステップ、
(c)前記トナー容器のトナー切れを検出するステップ、
(d)前記ステップ(c)でトナー切れが検出された場合に、予め想定される前記トナー搬送部材の累積駆動量である想定駆動量と、実際の前記トナー搬送部材の累積駆動量である実駆動量とを比較して、補正値を算出するステップ、
(e)前記ステップ(d)で算出された前記補正値で、前記算出用の駆動量および前記補給動作における前記トナー搬送部材の駆動量のいずれか一方を補正するステップ、
(f)複数の前記トナー容器のそれぞれの補正値を記憶させるステップ、および
(g)前記複数のトナー容器のそれぞれの補正値の平均値を算出するステップを含み、
前記ステップ(e)では、前記ステップ(g)で算出された前記平均値で、前記算出用の駆動量および前記補給動作における前記トナー搬送部材の駆動量のいずれか一方を補正し、さらに
(h)前記ステップ(d)で算出された前記補正値と、前記ステップ(g)で算出された前記平均値との差が所定値以上であるかどうかを判断するステップ、および
(i)前記ステップ(h)で前記補正値と前記平均値との差が所定値以上であると判断した場合に、前記補正値の変更を推奨する旨を報知するステップを含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法に関し、特にたとえば、トナーを用いて用紙に画像を形成する、画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、背景技術の画像形成装置の一例が開示される。背景技術の画像形成装置では、装置本体に着脱可能なトナー収容部品を有する画像形成装置において、トナー収容部品から装置本体の現像部に補給されるトナーの補給時間の累積値が求められ、この値からトナー残量等のトナー量が推測される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、背景技術の画像形成装置では、トナー補給用モータの回転速度のばらつきまたはユーザの使用条件等を含む画像形成装置の使用環境によって、単位補給時間あたりのトナー補給量が変動するため、トナー残量を正確に推定することが難しいという問題がある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、画像形成装置の使用環境に応じて適切にトナー残量を推定することができる、画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、トナーを収容する現像装置、補給用トナーを収容するトナー容器、トナー容器から現像装置に向けて補給用トナーを搬送する補給動作を行うためのトナー搬送部材、トナー搬送部材を駆動させる駆動手段、トナー搬送部材の累積駆動量に相関する算出用の駆動量に応じて、トナー容器におけるトナー残量を検出する第1検出手段、トナー容器のトナー切れを検出する第2検出手段、第2検出手段でトナー切れが検出された場合に、予め想定されるトナー搬送部材の累積駆動量である想定駆動量と、実際のトナー搬送部材の累積駆動量である実駆動量とを比較して、補正値を算出する第1算出手段、第1算出手段で算出された補正値で、算出用の駆動量および補給動作におけるトナー搬送部材の駆動量のいずれか一方を補正する補正手段、複数のトナー容器のそれぞれの補正値を記憶する記憶手段、および記憶手段に記憶される複数のトナー容器のそれぞれの補正値の平均値を算出する第2算出手段を備え、補正手段は、第2算出手段で算出された平均値で、算出用の駆動量および補給動作におけるトナー搬送部材の駆動量のいずれか一方を補正し、さらに第1算出手段で算出された補正値と、第2算出手段で算出された平均値との差が所定値以上であるかどうかを判断する第1判断手段、および第1判断手段で補正値と平均値との差が所定値以上であると判断された場合に、補正値の変更を推奨する旨を報知する報知手段を備える、画像形成装置である。
【0010】
第2の発明は、第1の発明に従属する画像形成装置であって、報知手段によって補正値の変更を推奨する旨が報知された場合に、補正値を変更する変更手段をさらに備える。
【0011】
第3の発明は、第1または第2の発明に従属する画像形成装置であって、補正値に対応する数値の入力を受け付ける入力手段をさらに備え、補正手段は、入力手段に入力された数値に対応する補正値で、算出用の駆動量および補給動作におけるトナー搬送部材の駆動量のいずれか一方を補正する。
【0012】
第4の発明は、第3の発明に従属する画像形成装置であって、入力手段は、外部コンピュータから送信される数値を受信する受信手段をさらに備え、補正手段は、受信手段で受信した数値に対応する補正値で、算出用の駆動量および補給動作におけるトナー搬送部材の駆動量のいずれか一方を補正する。
【0013】
第5の発明は、第1から第4までのいずれかの発明に従属する画像形成装置であって、トナー容器の使用本数が所定の数に到達したかどうかを判断する第2判断手段をさらに備え、補正手段は、第2判断手段でトナー容器の使用本数が所定の数に到達したと判断された場合に、第1算出手段で算出された補正値で、算出用の駆動量および補給動作におけるトナー搬送部材の駆動量の少なくとも一方を補正する。
【0014】
第6の発明は、トナーを収容する現像装置と、補給用トナーを収容するトナー容器と、トナー容器から現像装置に向けて補給用トナーを搬送する補給動作を行うためのトナー搬送部材を備える、画像形成装置の制御プログラムであって、画像形成装置のプロセッサに、トナー搬送部材を駆動させる駆動ステップ、トナー搬送部材の累積駆動量に相関する算出用の駆動量に応じて、トナー容器におけるトナー残量を検出する第1検出ステップ、トナー容器のトナー切れを検出する第2検出ステップ、第2検出ステップでトナー切れが検出された場合に、予め想定されるトナー搬送部材の累積駆動量である想定駆動量と、実際のトナー搬送部材の累積駆動量である実駆動量とを比較して、補正値を算出する第1算出ステップ、第1算出ステップで算出された補正値で、算出用の駆動量および補給動作におけるトナー搬送部材の駆動量のいずれか一方を補正する補正ステップ、複数のトナー容器のそれぞれの補正値を記憶させる記憶ステップ、および複数のトナー容器のそれぞれの補正値の平均値を算出する第2算出ステップを実行させ、補正ステップでは、第2算出ステップで算出された平均値で、算出用の駆動量および補給動作におけるトナー搬送部材の駆動量のいずれか一方を補正し、さらに第1算出ステップで算出された補正値と、第2算出ステップで算出された平均値との差が所定値以上であるかどうかを判断する第1判断ステップ、および第1判断ステップで補正値と平均値との差が所定値以上であると判断した場合に、補正値の変更を推奨する旨を報知する報知ステップを実行させる、制御プログラムである。
【0015】
第7の発明は、トナーを収容する現像装置と、補給用トナーを収容するトナー容器と、トナー容器から現像装置に向けて補給用トナーを搬送する補給動作を行うためのトナー搬送部材を備える、画像形成装置の制御方法であって、(a)トナー搬送部材を駆動させるステップ、(b)トナー搬送部材の累積駆動量に相関する算出用の駆動量に応じて、トナー容器におけるトナー残量を検出するステップ、(c)トナー容器のトナー切れを検出するステップ、(d)ステップ(c)でトナー切れが検出された場合に、予め想定されるトナー搬送部材の累積駆動量である想定駆動量と、実際のトナー搬送部材の累積駆動量である実駆動量とを比較して、補正値を算出するステップ、(e)ステップ(d)で算出された補正値で、算出用の駆動量および補給動作におけるトナー搬送部材の駆動量のいずれか一方を補正するステップ、(f)複数のトナー容器のそれぞれの補正値を記憶させるステップ、および(g)複数のトナー容器のそれぞれの補正値の平均値を算出するステップを含み、ステップ(e)では、ステップ(g)で算出された平均値で、算出用の駆動量および補給動作におけるトナー搬送部材の駆動量のいずれか一方を補正し、さらに(h)ステップ(d)で算出された補正値と、ステップ(g)で算出された平均値との差が所定値以上であるかどうかを判断するステップ、および(i)ステップ(h)で補正値と平均値との差が所定値以上であると判断した場合に、補正値の変更を推奨する旨を報知するステップを含む、制御方法である。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、画像形成装置の使用環境に応じて適切にトナー残量を推定することができる。
【0017】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1はこの発明の一実施例である画像形成装置10の全体を正面から見た概略構成図である。
【
図2】
図2はカートリッジ収納部の外観構成を示す図解図である。
【
図3】
図3はトナーカートリッジおよび駆動ユニットの外観構成を示す斜視図である。
【
図4】
図4は
図1の画像形成装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は
図4に示した画像形成装置のRAMのメモリマップの一例を示す図解図である。
【
図6】
図6は画像形成装置のCPUのトナー残量管理処理の一例を示すフロー図である。
【
図7】
図7は補正値設定処理の一例を示すフロー図である。
【
図8】
図8はトナー補給処理の一例を示すフロー図である。
【
図9】
図9はトナー残量算出処理の一例を示すフロー図である。
【
図10】
図10は第2実施例の補正値設定処理の一例を示すフロー図である。
【
図11】
図11は第2実施例のトナー補給処理の一例を示すフロー図である。
【
図12】
図12は第2実施例のトナー補給処理の他の例を示すフロー図である。
【
図13】
図13は第2実施例のトナー補給処理の他の例を示すフロー図である。
【
図14】
図14は第3実施例の補正値設定処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施例]
図1は、この発明の一実施例である画像形成装置10の全体を正面から見た概略構成図である。
【0020】
図1を参照して、第1実施例の画像形成装置10は、カラープリンタであって、電子写真方式によって用紙(記録媒体)に多色または単色の画像を形成する。ただし、画像形成装置10は、モノクロプリンタであってもよい。また、画像形成装置10は、プリンタに限定される必要はなく、コピー機またはファクシミリ或いはこれらの機能を備えた複合機であってもよい。
【0021】
なお、この明細書では、画像形成装置10を正面から見た場合の水平方向のうち、向かって左側を左方向に規定し、向かって右側を右方向に規定する。また、画像形成装置10を上方(下方)から見た場合の奥行き方向のうち、画像形成装置10の正面側を前方向(正面方向)に規定し、画像形成装置10の背面側を後方向(背面方向)に規定する。
【0022】
先ず、画像形成装置10の基本構成について概略的に説明する。
図1に示すように、画像形成装置10は、感光体ドラム12、現像装置14、帯電器16、クリーニングユニット18、露光装置20、中間転写ベルトユニット22、2次転写ローラ24、定着ユニット26およびトナーカートリッジ32等のコンポーネントを備え、給紙トレイ28から搬送される用紙上に画像を形成し、画像形成済みの用紙を排出トレイ30に排出する。上述の各コンポーネントは、画像形成装置10の装置本体(筐体)10a内に収容される。用紙上に画像を形成するための印刷画像データとしては、外部コンピュータから入力される画像データが利用される。ただし、印刷画像データとしては、画像形成装置10がスキャナ機能を備える場合には、外部から入力される画像データのみならず、スキャナによって原稿から読み取った画像データを利用することもできる。
【0023】
ここで、画像形成装置10において扱われる画像データは、ブラック(BK)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびイエロー(Y)の4色のカラー画像に応じたものである。このため、感光体ドラム12、現像装置14、帯電器16、クリーニングユニット18およびトナーカートリッジ32のそれぞれは、各色に応じた4種類の潜像を形成するように4個ずつ設けられ、これらによって4つの画像ステーションが構成される。たとえば、4つの画像ステーションは、中間転写ベルトユニット22に含まれる中間転写ベルト36の表面の走行方向(周回移動方向)に沿って1列に並んで配置され、中間転写ベルト36の走行方向における下流側から、つまり2次転写ローラ24に近い側から、ブラック用、マゼンタ用、シアン用およびイエロー用の順に配置される。ただし、各色の配置順は、適宜変更可能である。
【0024】
感光体ドラム12は、導電性を有する基体の表面に感光層(光導電層)が形成された像担持体であって、図示しない駆動部によって軸線回りに回転可能に支持される。基体は、円筒状、円柱状、薄膜シート状などの種々の形状を採ることができる。感光層は、光を照射されることで導電性を示す材料によって形成される。第1実施例の感光体ドラム12としては、アルミニウムで形成された円筒状の基体と、この基体の外周面上に形成される、アモルファスシリコン(a-Si)、セレン(Se)、または有機光半導体(OPC)からなる感光層とを含むものが用いられる。
【0025】
現像装置14は、搬送ローラ、現像ローラおよび現像ハウジング等を含み、感光体ドラム12の表面に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーによって顕像化する(トナー像を形成する)ものである。現像ハウジングの内部には、現像槽が形成される。現像槽には、トナーが収容(貯留)され、このトナーが、現像ローラを介して感光体ドラム12に供給される。
【0026】
また、現像槽には、トナー供給パイプ34を介して、トナー補給部材(トナーカートリッジ)32が接続される。トナーカートリッジ32は、未使用のトナー(補給用トナー)を貯蔵する容器(トナー容器)であって、現像装置14の上方に設けられる。トナー供給パイプ34は、トナーカートリッジ32の内部(トナー排出口)と現像槽に形成されるトナー補給口とを連結(接続)する。トナーカートリッジ32に貯蔵される補給用トナーは、トナー供給パイプ34を介して現像槽に供給(補給)される。なお、トナーカートリッジ32の詳細については後述する。また、トナーカートリッジには、トナーおよびキャリアから成る現像剤(二成分現像剤)が貯蔵されても良い。この場合、トナーカートリッジは、必要に応じて現像装置14(現像槽)に二成分現像剤を供給する。
【0027】
帯電器16は、感光体ドラム12の表面を所定の極性および電位に帯電させる装置である。帯電器16としては、ブラシ型帯電装置、ローラ型帯電装置、コロナ放電装置、イオン発生装置などを用いることができる。
【0028】
クリーニングユニット18は、感光体ドラム12から中間転写ベルト36にトナー像が転写された後に、感光体ドラム12の表面に残存するトナーを除去すると共に回収し、感光体ドラム12の表面を清浄化する。たとえば、クリーニングユニット18は、トナーを掻き取るための板状部材であるクリーニングブレードと、掻き取ったトナーを回収するための回収容器とを備える。
【0029】
各画像ステーションにおいて、感光体ドラム12の回転方向回り(
図1では反時計回り)に、帯電器16、現像装置14およびクリーニングユニット18がこの順序で配置される。現像装置14は、現像ローラ(図示せず)の回転軸が感光体ドラム12の回転軸と平行に並ぶように配置される。また、帯電器16は、自身の回転軸が感光体ドラム12の回転軸と平行に並ぶように配置される。さらに、クリーニングユニット18は、クリーニングブレード(図示せず)の長手方向が感光体ドラム12の回転軸方向と一致するように配置される。ただし、
図1においては、感光体ドラム12の回転軸方向は、画像形成装置10を背面から見た場合の奥行き方向(前後方向)である。
【0030】
露光装置20は、現像装置14の下方に設けられる。露光装置20は、レーザ出射部および反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成され、帯電された感光体ドラム12の表面を露光することによって、画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム12の表面に形成する。
【0031】
中間転写ベルトユニット22は、中間転写ベルト36、駆動ローラ38、従動ローラ40および4つの中間転写ローラ(1次転写ローラ)42等を備え、各画像ステーションの感光体ドラム12の上方に配置される。
【0032】
中間転写ベルト36は、可撓性を有する無端状のベルトであって、カーボンブラック等の導電性材料を適宜配合した合成樹脂またはゴム等によって形成される。中間転写ベルト36は、駆動ローラ38および従動ローラ40等の複数のローラによって張架され、その表面(外周面)が感光体ドラム12の表面に当接するように配置される。そして、中間転写ベルト36は、駆動ローラ38の回転駆動に伴い、所定方向(
図1では反時計回り)に回転(周回移動)する。
【0033】
駆動ローラ38は、図示しない駆動部によってその軸線回りに回転可能に設けられる。従動ローラ40は、中間転写ベルト36の周回移動に伴って回転すると共に、中間転写ベルト36に一定の張力を与えて中間転写ベルト36の弛みを防止する。
【0034】
中間転写ローラ42は、中間転写ベルト36を挟んで各感光体ドラム12と対向する位置のそれぞれに配置され、中間転写ベルト36の内周面と圧接されて中間転写ベルト36の周回移動に伴い回転する。図示は省略するが、この中間転写ローラ42には、転写バイアスを印加する転写電源が接続される。画像形成時には、感光体ドラム12の表面に形成されたトナー像を構成するトナーの帯電極性とは逆極性の電圧が中間転写ローラ42に印加される。これによって、感光体ドラム12と中間転写ベルト36との間に転写電界が形成され、この転写電界の作用によって、感光体ドラム12に形成されたトナー像が中間転写ベルト36の外周面に転写される。たとえば、カラー画像を形成する場合には、各感光体ドラム12に形成された各色のトナー像が中間転写ベルト36に順次重ねて転写(1次転写)されて、中間転写ベルト36の外周面に多色のトナー像が形成される。
【0035】
また、中間転写ベルト36を挟んで駆動ローラ38と対向する位置には、2次転写ローラ24が配置される。2次転写ローラ24には、図示しない転写電源が接続され、画像形成時には、この転写電源によって2次転写ローラ24に電圧(2次転写電圧)が印加される。そして、電圧が印加された2次転写ローラ24によって形成される転写電界の作用により、中間転写ベルト36と2次転写ローラ24との間の転写ニップ域を用紙が通過するときに、中間転写ベルト36の外周面に形成されたトナー像が用紙に転写(2次転写)される。その後、中間転写ベルト36の表面に残存したトナーは、図示しない転写ベルトクリーニングユニットによって除去および回収される。
【0036】
定着ユニット26は、ヒートローラおよび加圧ローラ等を備え、2次転写ローラ24の上方に配置される。ヒートローラは、所定の定着温度となるように設定されており、ヒートローラと加圧ローラとの間の定着ニップ域を用紙が通過することによって、用紙に転写されたトナー像が溶融、混合および圧接されて、用紙に対してトナー像が熱定着される。
【0037】
また、画像形成装置10の装置本体10a内には、給紙トレイ28に載置された用紙を2次転写ローラ24および定着ユニット26を経由させて排出トレイ30に送るための用紙搬送路L1が形成される。この用紙搬送路L1には、搬送ローラ44,46,48およびレジストローラ50等の用紙搬送手段が適宜配置される。
【0038】
画像形成装置10では、外部コンピュータから入力される印刷画像データが受信されると、プリント(印刷)ジョブが実行される。印刷ジョブが実行されると、給紙トレイ28に載置された用紙が図示しないピックアップローラによって1枚ずつ用紙搬送路L1に導かれ、搬送ローラ44によってレジストローラ50まで搬送される。そして、レジストローラ50によって、用紙の先端と中間転写ベルト36上のトナー像の先端とが整合するタイミングで2次転写ローラ24に用紙が搬送され、用紙上にトナー像が転写される。その後、定着ユニット26を通過することによって用紙上のトナー像が熱定着され、搬送ローラ46,48を経て排出トレイ30上に用紙が排出される。
【0039】
次に、
図2および
図3を参照して、第1実施例のトナーカートリッジ32および装置本体10aのカートリッジ収納部52について説明する。
図2はカートリッジ収納部52の外観構成を示す図解図である。
図3はトナーカートリッジ32および駆動ユニット70の外観構成を示す斜視図である。
【0040】
図2に示すように、装置本体10aには、4つのトナーカートリッジ32(画像ステーション)のそれぞれに対応して、4つの容器収納部(カートリッジ収納部)52が設けられる。4つのカートリッジ収納部52の各々には、対応するトナーカートリッジ32が挿抜可能に収納(装着)される。たとえば、画像形成装置10を正面から見た場合の前面側(前側)に、カートリッジ収納部52の開口が設けられる。
【0041】
トナーカートリッジ32は、カートリッジ収納部52の開口から背面側(後側)に向けてカートリッジ収納部52に挿入される。また、トナーカートリッジ32は、抜去される場合には、カートリッジ収納部52から前側に引き出され(取り出され)る。
【0042】
また、装置本体10aは、その前面に開閉可能に設けられた蓋10bを有する。蓋10bは、閉じられた状態で4つのカートリッジ収納部52の前面側を覆うように設けられる。また、蓋10bが開けられた状態では、カートリッジ収納部52および収納されたトナーカートリッジ32が外部に露出する。
【0043】
図3に示すように、トナーカートリッジ32は、容器本体60およびコネクタ(以下、「カートリッジ側コネクタ」という)62を含む。
【0044】
容器本体60は、前後方向に延びる長手筒状の容器であり、その内部に補給用トナーを収容する。図示は省略するが、容器本体60の後側端部には、補給用トナーを排出するトナー排出口が形成される。また、容器本体60の内部には、オーガスクリュ、および容器本体60内のトナーを解すように撹拌するとともにオーガスクリュにトナーを供給する撹拌部材等が設けられる。
【0045】
また、カートリッジ側コネクタ62は、容器本体60の後側端部に設けられる。図示は省略するが、カートリッジ側コネクタ62には、画像形成装置10の制御部に電気的に接続するためのカートリッジ側端子が設けられ、このカートリッジ側端子は、トナーカートリッジ32に設けられるCRUMチップ(記憶部材)64に電気的に接続される。たとえば、CRUMチップ64は、カートリッジ側コネクタ62のソケットの内部などに設けられる。なお、この第1実施例では、記憶部材の一例として、CRUMチップが用いられる場合について示してあるが、これに限定される必要はない。記憶部材としては、EEPROM(登録商標)などの他の不揮発性メモリを用いることもできる。
【0046】
CRUMチップ64には、トナーカートリッジ32が適用可能な(適合する)画像形成装置10の機種を表した機種情報、トナーカートリッジ32の識別情報およびトナー補給動作(以下、単に「補給動作」ということがある。)を管理するための管理情報などのトナーカートリッジ32に関する情報が記憶される。トナーカートリッジ32に関する情報は、トナーカートリッジ32の製造時にCRUMチップ64に記憶される。
【0047】
また、カートリッジ側コネクタ62は、トナーカートリッジ32がカートリッジ収納部52に収納されると、装置本体10a内(カートリッジ収納部52)に設けられるコネクタ(以下、「本体側コネクタ」という)に接続される。本体側コネクタ(図示せず)には、画像形成装置10の制御部に電気的に接続される本体側端子90(
図4参照)が設けられる。カートリッジ側コネクタ62と本体側コネクタとが接続されることによって、カートリッジ側端子と本体側端子90とが接触する。したがって、CRUMチップ64と画像形成装置10の制御部とが電気的に接続される。すなわち、画像形成装置10の制御部(CPU80:
図4参照)がCRUMチップ64にアクセス可能な状態となる。
【0048】
また、カートリッジ収納部52奥側(後側)には、トナーカートリッジ32に貯蔵される補給用トナーを現像槽に供給するための駆動ユニット70が設けられる。トナーカートリッジ32と駆動ユニット70とは、トナーカートリッジ32がカートリッジ収納部52に収納された(収納位置に位置する)場合に連結される。
【0049】
駆動ユニット70は、トナー補給用モータ72および駆動伝達部材(図示せず)等を含む。トナー補給用モータ72は、汎用の回転モータであって、上述した画像形成装置10の制御部(CPU80)によって制御される。ただし、第1実施例では、トナー補給用モータ72は、トナー補給用モータ72の回転速度が一定になるように制御される。
【0050】
駆動伝達部材は、回転駆動源であるトナー補給用モータ72の回転駆動力をトナーカートリッジ32の内部に設けられたオーガスクリュまたは撹拌部材(以下、まとめて「トナー搬送部材」ということがある。)に伝達するための部材である。トナーカートリッジ32と駆動ユニット70とが連結されると、駆動伝達部材は、トナー搬送部材に機械的に連結される。したがって、トナーカートリッジ32と駆動ユニット70とが連結された場合、トナー補給用モータ72の回転駆動力は、駆動伝達部材を介してトナー搬送部材に伝達される。このため、トナー搬送部材は、駆動伝達部材から伝達される回転駆動力によって回転される。
【0051】
トナー搬送部材が回転されると、容器本体60内の補給用トナーは、撹拌されながら後側に向かって搬送される。すなわち、補給用トナーは、容器本体60の後側端部に設けられるトナー排出口に向かって搬送され、トナー供給パイプ34を介して現像装置14に供給される(補給動作)。このように、トナー搬送部材は、トナーカートリッジ32から現像装置14に向けて補給用トナーを搬送する補給動作を行うための部材である。
【0052】
図4は
図1に示す画像形成装置10の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、画像形成装置10はCPU80を含み、CPU80には、バス82を介して、RAM84、記憶部86、トナー補給用モータ72、トナー切れセンサ88および本体側端子90などが接続される。また、図示は省略するが、上述した画像形成装置10の各コンポーネントもバス82を介してCPU80に接続される。
【0053】
CPU80は、画像形成装置10の全体的な制御を司り、上述した画像形成装置10の各コンポーネントの動作を統括的に制御する。RAM84は、CPU80のワーク領域およびバッファ領域として使用される。記憶部86は、たとえばHDDであり、CPU80が画像形成装置10の各コンポーネントの動作を制御するための制御プログラムおよび後述する補正値データ304dなどを記憶する画像形成装置10の主記憶装置である。ただし、HDDに代えて、またはHDDとともに、SSD、フラッシュメモリ、EEPROMなどの他の不揮発性メモリが用いられてもよい。
【0054】
トナー切れセンサ88は、トナーカートリッジ32内のトナーが無くなったこと(トナー切れ)を検出するためのセンサである。たとえば、トナー切れセンサ88は、トナーカートリッジ32内に設けられる圧電センサまたは光学センサ等であり、トナーカートリッジ32内の液面の高さに応じた信号を出力する。トナー切れセンサ88がトナーカートリッジ32内に設けられる場合には、トナーカートリッジ32内の液面の高さが所定の高さよりも低くなったときに、トナー切れが検出される。
【0055】
また、トナー切れセンサ88は、現像装置14(現像槽)またはトナー供給パイプ34に設けられても良い。この場合、トナー切れセンサ88は、透磁率センサ等であり、現像槽またはトナー供給パイプ34に落下するトナーの有無に応じた信号を出力する。トナー切れセンサ88が現像槽またはトナー供給パイプ34に設けられる場合には、トナー搬送部材が回転された場合であっても、現像槽またはトナー供給パイプ34に落下するトナーが無い場合に、トナー切れが検出される。
【0056】
ただし、トナー切れが検出されると、画像形成装置10のユーザに、トナー切れが発生したことが報知される。たとえば、画像形成装置10がディスプレイを備える場合には、トナー切れが発生したことを示すメッセージがテキストでディスプレイに表示される。また、画像形成装置10がスピーカを備える場合には、トナー切れが発生したことを示すメッセージが音声または音でスピーカから出力される。なお、トナー切れが発生している間は、画像形成装置10では印刷ジョブが実行されない。トナー切れが発生したトナーカートリッジ32が新しい(未使用のトナーが収容されている)トナーカートリッジ32に交換されると、トナー切れが解消し、印刷ジョブが実行できるようになる。
【0057】
なお、
図4に示す画像形成装置10の電気的な構成は単なる一例であり、これに限定される必要はない。図示は省略するが、画像形成装置10には、ネットワークに接続して外部コンピュータと通信するための通信回路等も設けられる。
【0058】
本実施例の画像形成装置10では、トナー搬送部材の駆動量に応じて、各画像ステーション(各色)のトナーカートリッジ32内のトナー残量が推測(算出)される。簡単に説明すると、各トナーカートリッジ32から現像装置14に未使用のトナーが補給される際のトナー搬送部材の累積駆動量に相関する算出用の駆動量から、トナー使用量(ひいてはトナー残量)が算出される。ただし、トナー搬送部材の駆動量は、トナー搬送部材の駆動速度、すなわちトナー補給用モータ72の回転速度Srと、トナー搬送部材の駆動時間、すなわちトナー補給時間Taとによって定まる。この第1実施例では、トナー補給用モータ72の回転速度Srが一定であるので、トナー搬送部材の駆動時間(補給時間)をトナー搬送部材の駆動量として取り扱う。以下、トナー残量の具体的な算出方法について説明する。
【0059】
まず、本実施例の画像形成装置10では、トナー残量を算出するにあたり適用される補正値(補正係数)αが設定される。補正値αは、トナー切れが検出された際に、トナー切れが発生すると想定されるトナー搬送部材の累積補給時間(第1想定時間TL:想定駆動量に相当)と、実際にトナー切れに至るまでのトナー搬送部材の累積補給時間(実駆動量に相当)Tnとを比較して設定(算出)される。ただし、補正値αは、各色のトナーカートリッジ32(画像ステーション)毎に設定される。
【0060】
また、補正値αを算出するにあたり、或るトナーカートリッジ32における、トナー切れが発生すると想定される第1想定時間TLに対する実際にトナー切れに至るまでのトナー搬送部材の累積補給時間Tnの割合である理想補正値αnが各色の画像ステーション毎に算出される。
【0061】
理想補正値αnは、以下の数1に示す算出式によって算出される。
【0062】
[数1]
αn=Tn/TL
たとえば、補給動作において、トナー供給パイプ34に落下するトナーの量(トナー落下量)が設定値(想定値)よりも大きい場合には、第1想定時間TLよりもトナー切れに至る時間(累積補給時間Tn)が短くなるので、理想補正値αnの値は小さくなる。すなわち、トナーカートリッジ32内のトナーの減りが想定よりも早い場合には、理想補正値αnの値は小さくなる。一方、トナー落下量が設定値よりも小さい場合には、第1想定時間TLよりも累積補給時間Tnが長くなるので、理想補正値αnの値は大きくなる。すなわち、トナーカートリッジ32内のトナーの減りが想定よりも遅い場合には、理想補正値αnの値は大きくなる。
【0063】
そして、各色の画像ステーション毎にそれまでに使用されたトナーカートリッジ32の理想補正値αnの平均値αaveが算出される。
【0064】
平均値αaveは、以下の数2に示す算出式によって算出される。
【0065】
[数2]
αave={αave(N-1)+αn}/N
数2において、“N”は各色の画像ステーション毎にそれまでに使用されたトナーカートリッジ32の本数(使用本数)を示す変数である。トナーカートリッジ32の使用本数Nの初期値はゼロ(0)であり、トナー切れが発生する毎にトナーカートリッジ32の使用本数Nに1が加算される。
【0066】
そして、この数2において算出される平均値αaveが補正値αとして用いられる(補正値αに平均値αaveが代入される)。ただし、本実施例では、トナーカートリッジ32の使用本数Nが所定の数(たとえば5本)に到達するまでは、平均値αaveを補正値αとして反映させないようにしてある。なお、補正値αには、初期値1(100%)が設定されており、トナーカートリッジ32の使用本数Nが所定の数に到達するまでは、初期値が補正値αとして用いられる。また、所定の数を1に設定し、最初にトナー切れが発生したとき(1本目のトナーカートリッジ32がトナー切れとなったとき)から、平均値αaveを補正値αとして用いるようにしても良い。
【0067】
次に、画像形成装置10で印刷ジョブが実行されると、用紙上に形成される印刷画像の内容(印字率)に応じて、トナー補給処理が実行される。具体的には、トナー補給処理が実行されると、印刷画像の印字率に応じて、消費される各色のトナーの量(トナー消費量)が算出され、トナー消費量に相当する量の補給用トナーが、トナーカートリッジ32から現像槽に補給される。すなわち、補給動作が行われる。補給動作が行われる際にトナーカートリッジ32から現像槽に補給される補給用トナーの量(トナー補給量)は、トナー搬送部材の駆動量に相関する。ただし、第1実施例では、トナー補給用モータ72の回転速度Srは一定であるので、トナー補給時間Taが変化されることによって、トナー搬送部材の駆動量が調整される。
【0068】
次に、補給動作が完了すると、その補給動作におけるトナー補給時間Taが累積補給時間Tnに加算される。すなわち、累積補給時間Tnが更新される。なお、累積補給時間Tnの初期値はゼロ(0)であり、補給動作が行われる毎にトナー補給時間Taが累積補給時間Tnに加算される。
【0069】
累積補給時間Tnが更新されると、累積補給時間Tnと、トナー切れが発生すると想定されるトナー搬送部材の累積補給時間(第2想定時間)Txとの関係で、トナー残量Tzが算出される。ただし、本実施例では、第2想定時間Txの初期値は、上述した第1想定時間TLと同じ時間である。
【0070】
トナー残量Tzは、以下の数3に示す算出式によって算出される。
【0071】
[数3]
Tz=1-Tn/Tx
数3において算出されるトナー残量Tzは、トナーカートリッジ32の内容量に対するトナーカートリッジ32内に現存するトナーの量の割合を示すものである。このトナー残量Tzにトナーカートリッジ32の内容量(未使用の状態の補給用トナーの量)を乗ずることによってトナーの残量を推定することができる。
【0072】
ただし、本実施例では、トナー残量Tzが算出される前に、第2想定時間Txが補正される。補正後の第2想定時間Txは、以下の数4に示す算出式によって算出される。
【0073】
[数4]
Tx=αTx
数4のように、第2想定時間Txに補正値αが乗じられる(第2想定時間Txが補正値α倍される)ことによって第2想定時間Txが補正される。したがって、累積補給時間Tnと、補正後の第2想定時間Txとの関係で、トナー残量Tzが算出される。すなわち、本実施例では、累積補給時間Tnおよび補正後の第2想定時間Txが、トナー残量Tzを算出するための算出用の駆動量となる。
【0074】
上述したように、トナー落下量が設定値よりも大きい場合(トナーの減りが想定よりも早い場合)には、補正値αの値(理想補正値αnの値)が小さくなり、トナー落下量が設定値よりも小さい場合(トナーの減りが想定よりも遅い場合)には、補正値αの値が大きくなる。このため、トナーの減りが想定よりも早い場合には、補正後の第2想定時間Txは、補正前よりも短い時間となる。一方、トナーの減りが想定よりも遅い場合には、補正後の第2想定時間Txは、補正前よりも長い時間となる。
【0075】
ここで、数3の算出式に示すように、第2想定時間Txは、トナー残量を低下させるのに要する時間である。このことから、本実施例では、トナーの減りが想定よりも早い場合には、トナー残量を低下させるのに要する時間が短くなるように補正され、トナーの減りが想定よりも遅い場合には、トナー残量を低下させるのに要する時間が長くなるように補正される。すなわち、本実施例では、補給動作におけるトナー落下量に合わせて、トナー残量を低下させるのに要する時間を変化させる。
【0076】
画像形成装置10の上記のような動作は、CPU80がRAM84に記憶された制御プログラムを実行することによって実現される。具体的な処理については、後でフロー図を用いて説明する。
【0077】
図5は
図4に示したRAM84のメモリマップ300の一例を示す図解図である。
図5に示すように、RAM84は、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304を含む。RAM84のプログラム記憶領域302には、画像形成装置10の制御プログラムが記憶される。制御プログラムは、画像形成プログラム302a、トナー補給プログラム302b、トナー切れ検出プログラム302c、補正値算出プログラム302dおよびトナー残量算出プログラム302eを含む。
【0078】
画像形成プログラム302aは、印刷ジョブが実行される際に、画像形成装置10が備える各コンポーネントを制御して、印刷画像に応じて多色または単色の画像を用紙に印刷するためのプログラムである。
【0079】
トナー補給プログラム302bは、用紙上に形成される印刷画像の印字率に応じて、各色のトナー消費量を算出し、トナー消費量に相当する量の補給用トナーが、トナーカートリッジ32から現像槽に補給されるように、トナー補給用モータ72を制御して、トナー搬送部材を駆動させるためのプログラムである。すなわち、トナー補給プログラム302bは、トナーの補給動作を行うためのプログラムである。
【0080】
トナー切れ検出プログラム302cは、トナー切れセンサ88の出力に応じて、各トナーカートリッジ32におけるトナー切れを検出するためのプログラムである。
【0081】
補正値算出プログラム302dは、トナー切れが検出された際に、第1想定時間TLおよび累積補給時間Tnに応じて、上述した方法で、補正値αを算出するためのプログラムである。
【0082】
トナー残量算出プログラム302eは、補給動作が完了したときに、算出用駆動時間データ304fに対応する算出用の駆動量に応じて、トナー残量Tzを算出するためのプログラムである。本実施例では、トナー残量算出プログラム302eは、更新後の累積補給時間Tnおよび第2想定時間Txに応じて、トナー残量Tzを算出するためのプログラムである。ただし、トナー残量算出プログラム302eは、補正値算出プログラム302dに従って算出された補正値αで第2想定時間Txを補正して、累積補給時間Tnおよび補正後の第2想定時間Txに応じて、トナー残量Tzを算出するためのプログラムでもある。
【0083】
なお、図示は省略するが、プログラム記憶領域302には、画像形成装置10の全体的な処理(メイン処理)および画像形成装置10の各種の機能を選択および実行するためのプログラムなども記憶される。
【0084】
RAM84のデータ記憶領域304には、想定時間データ304a、累積補給時間データ304b、平均補正値データ304c、補正値データ304d、使用本数データ304eおよび算出用駆動時間データ304fなどが記憶される。
【0085】
想定時間データ304aは、第1想定時間TLおよび第2想定時間Txについてのデータである。累積補給時間データ304bは、実際にトナー切れに至るまでのトナー搬送部材の累積補給時間Tnについてのデータである。平均補正値データ304cは、各色の画像ステーション毎にそれまでに使用したトナーカートリッジ32の理想補正値αnの平均値αaveについてのデータである。補正値データ304dは、補正値αについてのデータである。使用本数データ304eは、各色の画像ステーション毎のトナーカートリッジ32の使用本数Nについてのデータである。算出用駆動時間データ304fは、トナー残量Tzを算出するためのトナー搬送部材の累積駆動量に相関する算出用の駆動時間についてのデータである。第1実施例では、算出用駆動時間データ304fは、累積補給時間Tnおよび補正後の第2想定時間Txについてのデータである。
【0086】
なお、図示は省略するが、データ記憶領域304には、制御プログラムの実行に必要なレジスタが設けられたり、制御プログラムの実行に必要な他のデータが記憶されたりする。
【0087】
図6は画像形成装置10のCPU80のトナー残量管理処理の一例を示すフロー図である。このトナー残量管理処理は、用紙上に画像を形成するための画像形成処理と並行して実行される。また、トナー残量管理処理は、各色の画像ステーション(トナーカートリッジ32)毎に実行される。
図6に示すように、CPU80は、トナー残量管理処理を開始すると、ステップS1で、印刷ジョブを実行するかどうかを判断する。ステップS1で“NO”であれば、つまり、印刷ジョブを実行しないと判断した場合は、ステップS1に戻る。一方、ステップS1で“YES”であれば、つまり、印刷ジョブを実行すると判断した場合は、ステップS3で、補正値αを読み出し、ステップS5で、トナー補給処理を行い、ステップS7で、トナー残量算出処理を行い、ステップS9で、トナー切れが発生したかどうかを判断する。
【0088】
ステップS9で“NO”であれば、つまり、トナー切れが発生していないと判断した場合は、ステップS1に戻る。一方、ステップS9で“YES”であれば、つまり、トナー切れが発生したと判断した場合は、ステップS11で、補正値設定処理を行い、ステップS13で、トナー切れをユーザに報知して、ステップS15で、トナーカートリッジ32が交換されたかどうかを判断する。
【0089】
ステップS15で“NO”であれば、つまり、トナーカートリッジ32が交換されないと判断した場合は、ステップS13に戻る。一方、ステップS15で“YES”であれば、つまり、トナーカートリッジ32が交換されたと判断した場合は、ステップS1に戻る。
【0090】
図7は補正値設定処理の一例を示すフロー図である。この補正値設定処理のフローは、上述したトナー残量管理処理のステップS11において実行されるサブルーチンである。
【0091】
図7に示すように、CPU80は、補正値設定処理を開始すると、ステップS31で、トナーカートリッジ32の使用本数を示す変数Nに1を加算して、ステップS33で、累積補給時間Tnを取得して、ステップS35で、第1想定時間TLを取得して、ステップS37で、第1想定時間TLに対する累積補給時間Tnの割合である理想補正値αnを算出する。
【0092】
続いて、ステップS39で、理想補正値αnに応じて平均値αaveを算出して、ステップS41で、変数Nが所定数以上かどうかを判断する。ステップS41で“NO”であれば、つまり、変数Nが所定数未満であると判断した場合には、トナー残量管理処理にリターンする。一方、ステップS41で“YES”であれば、つまり、変数Nが所定数以上であると判断した場合は、ステップS43で、補正値αに平均値αaveを代入して、トナー残量管理処理にリターンする。
【0093】
図8はトナー補給処理の一例を示すフロー図である。このトナー補給処理のフローは、上述したトナー残量管理処理のステップS5において実行されるサブルーチンである。
【0094】
図8に示すように、CPU80は、トナー補給処理を開始すると、ステップS51で、印刷画像の印字率を取得して、ステップS53で、印刷画像の印字率に応じてトナー補給時間Taを設定し、ステップS55で、印刷画像の印字率に応じてトナー補給用モータ72の回転速度Srを設定し、ステップS57で、トナー補給時間Taおよび回転速度Srに従って補給動作を実行して、ステップS59で、トナー補給時間Taを累積補給時間Tnに加算して、トナー残量管理処理にリターンする。
【0095】
図9はトナー残量算出処理の一例を示すフロー図である。このトナー残量算出処理のフローは、上述したトナー残量管理処理のステップS7において実行されるサブルーチンである。
【0096】
図9に示すように、CPU80は、トナー残量算出処理を開始すると、ステップS71で、累積補給時間Tnを取得して、ステップS73で、第2想定時間Txを取得して、ステップS75で、補正値αで第2想定時間Txを補正して、ステップS77で、トナー残量Tzを算出して、トナー残量管理処理にリターンする。
【0097】
この第1実施例によれば、補給動作におけるトナー落下量に合わせて、トナー残量を低下させるのに要する時間を変化させる。したがって、トナー補給用モータの回転速度のばらつきまたはユーザの使用条件等の、画像形成装置の使用環境を考慮してトナー残量を算出するので、画像形成装置10の使用環境に応じて適切にトナー残量を推定することができる。
【0098】
また、第1実施例によれば、過去に使用したトナーカートリッジ32の理想補正値αnの平均値αaveが補正値αとして用いられるので、トナーカートリッジ32毎の製品ばらつき等の影響を受けにくくなり、適切にトナー残量を推定することができる。
【0099】
なお、第1実施例では、トナー補給用モータ72の回転速度が一定になるように制御されるようにしたが、これに限定される必要はない。たとえば、トナー補給用モータ72としてステッピングモータ等の回転速度を変更可能なモータを用いるようにして、トナー補給用モータ72の回転速度Srおよびトナー補給時間Taの少なくとも一方が変化されることによって、トナー搬送部材の駆動量が調整されるようにしても良い。
【0100】
また、第1実施例では、トナー搬送部材の駆動時間(補給時間)をトナー搬送部材の駆動量として取り扱うようにしたが、トナー補給用モータ72の回転数をトナー搬送部材の駆動量として取り扱うようにしても良い。
[第2実施例]
第2実施例の画像形成装置10は、トナー残量の算出方法の一部が異なる以外は、第1実施例の画像形成装置10と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
【0101】
第2実施例の画像形成装置10では、第1想定時間TLに対する、補正値α倍した累積補給時間Tnの割合が、理想補正値αnとなる。
【0102】
第2実施例では、理想補正値αnは、以下の数5に示す算出式によって算出される。
【0103】
[数5]
αn=αTn/TL
また、第2実施例の画像形成装置10では、トナー補給用モータ72の回転速度Sr、トナー補給時間Taおよび累積補給時間Tnの少なくとも1つが補正される。さらに、第2実施例の画像形成装置10では、第2想定時間Txが補正されない。すなわち、第2想定時間Txは、初期値(第1想定時間TLと同じ時間)から変化しない。
【0104】
まず、トナー補給用モータ72の回転速度Srが補正される場合について説明する(第1の場合)。この第1の場合では、補給動作が実行される前に、回転速度Srが補正される。具体的には、回転速度Srに補正値αが乗じられる(回転速度Srが補正値α倍される)。
【0105】
上述したように、トナー落下量が設定値よりも大きい場合(トナーの減りが想定よりも早い場合)には、補正値αの値が小さくなるので、回転速度Srが小さくなる。すなわち、トナー搬送部材によって搬送されるトナーの量(トナー落下量)が減少する。また、トナー落下量が設定値よりも小さい場合(トナーの減りが想定よりも遅い場合)には、補正値αの値が大きくなるので、回転速度Srが大きくなる。すなわち、トナー搬送部材によって搬送されるトナーの量が増加する。このように、第1の場合では、補給動作におけるトナー落下量が設定値に近づくように、トナー搬送部材の駆動量を変化させる。なお、第1の場合では、回転速度Sr以外のトナー搬送部材の駆動量(補給時間等)は補正されない。
【0106】
次に、トナー補給時間Taが補正される場合について説明する(第2の場合)。この第2の場合では、補給動作が実行される前に、トナー補給時間Taが補正される。具体的には、トナー補給時間Taに補正値αが乗じられる(トナー補給時間Taが補正値α倍される)。
【0107】
第2の場合では、トナー落下量が設定値よりも大きい場合には、補正値αの値が小さくなるので、トナー補給時間Taが短くなる。すなわち、トナー搬送部材によって搬送されるトナーの量(トナー落下量)が減少する。また、トナー落下量が設定値よりも小さい場合には、補正値αの値が大きくなるので、トナー補給時間Taが長くなる。すなわち、トナー搬送部材によって搬送されるトナーの量が増加する。このように、第2の場合では、補給動作におけるトナー落下量が設定値に近づくように、トナー搬送部材の駆動量を変化させる。
【0108】
ただし、第2の場合では、補給動作が完了したあと、その補給動作における補正される前のトナー補給時間Ta(算出用のトナー補給時間Ta)が累積補給時間Tnに加算される。すなわち、補正後のトナー補給時間Taを補正値αで割った時間が累積補給時間Tnに加算される。したがって、第2の場合では、算出用のトナー補給時間Taは、印刷画像の印字率に応じて設定される時間(設定時間)となり、実際のトナー補給時間Taは、補給動作におけるトナー落下量が設定値に近づくように補正された時間となる。なお、第2の場合では、トナー補給時間Ta以外のトナー搬送部材の駆動量(回転速度Sr、他の補給時間等)は補正されない。
【0109】
次に、算出用のトナー補給時間Taが補正される場合について説明する(第3の場合)。この第3の場合では、補給動作が完了したあと、トナー補給時間Taが累積補給時間Tnに加算される前に、トナー補給時間Ta(算出用のトナー補給時間Ta)が補正される。ただし、第3の場合では、補給動作におけるトナー補給時間Taは補正されない。具体的には、トナー補給時間Taを補正値αで割った時間が、累積補給時間Tnに加算される補正後のトナー補給時間Taとして用いられる。
【0110】
第3の場合では、トナー落下量が設定値よりも大きい場合には、補正値αの値が小さくなるので、算出用のトナー補給時間Taが長くなる。すなわち、トナー残量を算出するにあたり、トナー残量を低下させるのに要する時間が長くなる。また、トナー落下量が設定値よりも小さい場合には、補正値αの値が大きくなるので、算出用のトナー補給時間Taが短くなる。すなわち、トナー残量を算出するにあたり、トナー残量を低下させるのに要する時間が短くなる。このように、第3の場合では、補給動作におけるトナー落下量に合わせて、トナー残量を低下させるのに要する時間を変化させる。
【0111】
以下、フロー図を用いて、第2実施例におけるトナー残量管理処理について説明するが、第1実施例で説明したトナー残量管理処理と同じ処理については同じ参照符号を付し、重複した内容については、説明を省略するまたは簡単に説明することにする。
【0112】
図10は第2実施例の補正値設定処理の一例を示すフロー図である。
図10に示すように、CPU80は、補正値設定処理を開始すると、ステップS35で、第1想定時間TLを取得して、ステップS91で、第1想定時間TLに対する、補正値α倍した累積補給時間Tnの割合である理想補正値αnを算出して、ステップS39に進む。
【0113】
なお、ステップS35までの処理およびステップS39以降の処理の内容については、第1実施例と同じであるので説明を省略する。
【0114】
図11は第2実施例における第1の場合のトナー補給処理の一例を示すフロー図である。
図11に示すように、CPU80は、トナー補給処理を開始すると、ステップS55で、回転速度Srを設定し、ステップS111で、補正値αで回転速度Srを補正して、ステップS57に進む。なお、ステップS55までの処理およびステップS57以降の処理の内容については、第1実施例と同じであるので説明を省略する。
【0115】
図12は第2実施例における第2の場合のトナー補給処理の一例を示すフロー図である。
図12に示すように、CPU80は、トナー補給処理を開始すると、ステップS55で、回転速度Srを設定し、ステップS131で、補正値αでトナー補給時間Taを補正して、ステップS57で、トナー補給時間Taおよび回転速度Srに従って補給動作を実行して、ステップS133で、補正前のトナー補給時間Taを累積補給時間Tnに加算して、トナー残量管理処理にリターンする。なお、ステップS55までの処理の内容については、第1実施例と同じであるので説明を省略する。
【0116】
図13は第2実施例における第3の場合のトナー補給処理の一例を示すフロー図である。
図13に示すように、CPU80は、トナー補給処理を開始すると、ステップS57で、トナー補給時間Taおよび回転速度Srに従って補給動作を実行して、ステップS151で、補正値αでトナー補給時間Taを補正して、ステップS59で、トナー補給時間Taを累積補給時間Tnに加算して、トナー残量管理処理にリターンする。なお、ステップS57までの処理の内容については、第1実施例と同じであるので説明を省略する。
【0117】
また、図示は省略するが、第2実施例におけるトナー残量算出処理では、第1実施例で説明したステップS75(補正値αで第2想定時間Txを補正する)が省略される。
【0118】
この第2実施例によれば、第1実施例と同様に、補給動作におけるトナー落下量に合わせて、トナー残量を低下させるのに要する時間を変化させるので、画像形成装置10の使用環境に応じて適切にトナー残量を推定することができる。
【0119】
また、第2実施例によれば、補給動作におけるトナー落下量が設定値に近づくように、トナー搬送部材の駆動量を変化させるので、画像形成装置10の使用環境に応じて適切にトナー残量を推定することができる。
[第3実施例]
第3実施例の画像形成装置10は、補正値αをユーザが入力できるようにした以外は、第1実施例の画像形成装置10と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
【0120】
図示は省略するが、第3実施例の画像形成装置10は、ユーザによる入力操作を受け付ける操作部(操作装置または操作パネル)をさらに備える。この操作部(入力手段に相当)には、タッチパネル付きのディスプレイおよび操作ボタン等が設けられる。
【0121】
タッチパネル付きのディスプレイには、入力操作を受け付けるためのソフトウェアキーを含む操作画面およびユーザに画像形成装置10についての情報を提供するための表示画面等が表示される。操作ボタンは、ハードウェアキーであって、たとえば、数字を入力するためのテンキー(数字キー)などが含まれる。なお、ソフトウェアキーとは、たとえばタッチパネル付きのディスプレイの表示面上にソフトウェア的に再現されたキー(アイコン)のことを言う。これに対して、ハードウェアキーとは、物理的な装置として設けられたキー(ボタン)のことを言う。また、画像形成装置10への操作入力とは、ソフトウェアキーにおける操作入力(たとえばタッチパネルへのタッチ入力)およびハードウェアキーにおける操作入力(操作ボタンのボタン操作)などの各部への操作入力を意味する。
【0122】
第3実施例の画像形成装置10では、タッチパネル付きのディスプレイに、補正値αを入力するための補正値入力画面が表示される。補正値入力画面には、補正値αの変更を推奨する旨のメッセージおよび補正値αを入力する入力ボックス等が表示される。この補正値入力画面において、数字キー等が操作されることによって、入力ボックスに補正値α(入力値)が入力される。入力値が決定されると、その入力値が補正値αに代入される。また、入力ボックスに、補正値αに対応する数値を予め表示しておき、操作部への入力操作に応じて、補正値αに対応する数値、すなわち補正値αを変更(調整)できるようにしても良い。なお、入力ボックスに補正値αを入力せずに、補正値入力画面を閉じることもできる。すなわち、補正値αが入力されない場合もある。
【0123】
ただし、補正値入力画面は、補正値設定処理において算出される理想補正値αnと平均値αaveとの差が所定値(±5~10%以上)以上である場合に、タッチパネル付きのディスプレイに表示される。このように、理想補正値αnと平均値αaveとが大きく異なる場合には、トナー落下量が異常である可能性がある。すなわち、トナーカートリッジ32、駆動ユニット70およびトナー切れセンサ88等の部品において不具合が発生している可能性がある。つまり、補正値入力画面は、理想補正値αnと平均値αaveとの差が所定値以上である場合に、トナー落下量が異常である旨をユーザに報知するための画面である。このように、トナー落下量が異常である場合には、補正値αを変更することによって、一時的に対処することができることもある。
【0124】
なお、補正値設定処理において算出される理想補正値αnと平均値αaveとの差に関わらず、ハードウェアキーまたはソフトウェアキーの操作に応じて、補正値入力画面が表示されるようにしても良い。
【0125】
また、不具合が発生したことに起因して、理想補正値αnと平均値αaveとの差が所定値以上となった場合には、平均値αaveを用いるよりも、理想補正値αnを用いる方が、不具合の対処として適切な場合がある。このような場合には、入力ボックスに、理想補正値αnに対応する数値を予め表示しておき、補正値αを理想補正値αnに変更することを推奨する旨のメッセージを表示しても良い。
【0126】
さらに、操作部に代えて、ネットワークを介して画像形成装置10に接続される外部コンピュータ(たとえば管理者のコンピュータ)から補正値αが入力できるようにしても良い。この場合、理想補正値αnと平均値αaveとの差が所定値以上である場合、外部コンピュータにトナー落下量が異常である旨の情報およびその他の画像形成装置10の動作状況についての情報等が送信される。このとき、外部コンピュータのユーザ(たとえば画像形成装置10および外部コンピュータを含むシステムの管理者)には、トナー落下量が異常である旨が報知され、外部コンピュータのディスプレイには、補正値入力画面が表示される。このようにすれば、外部コンピュータのユーザは、理想補正値αn、平均値αaveおよびその他の画像形成装置10の動作状況を監視して、補正値αを入力することができる。
【0127】
以下、フロー図を用いて、第3実施例におけるトナー残量管理処理について説明するが、第1実施例で説明したトナー残量管理処理と同じ処理については同じ参照符号を付し、重複した内容については、説明を省略するまたは簡単に説明することにする。
【0128】
図14は第3実施例の補正値設定処理の一例を示すフロー図である。
図14に示すように、CPU80は、補正値設定処理を開始すると、ステップS41で“YES”であれば、ステップS171で、理想補正値αnと平均値αaveとの差が所定値以上かどうかを判断する。ステップS171で“NO”であれば、つまり、理想補正値αnと平均値αaveとの差が所定値未満であれば、ステップS43に進む。一方、ステップS171で“YES”であれば、つまり、理想補正値αnと平均値αaveとの差が所定値以上であれば、ステップS173で、補正値αの変更を推奨する旨をユーザに報知して、ステップS175で、補正値αが入力されたかどうかを判断する。ここでは、ユーザによって入力された入力値が決定されたかどうかを判断する。
【0129】
ステップS175で“NO”であれば、つまり、補正値αが入力されない場合には、ステップS43に進む。一方、ステップS175で“YES”であれば、つまり、補正値αが入力された場合には、入力値を補正値αに代入して、トナー残量管理処理にリターンする。なお、ステップS41までの処理の内容については、第1実施例と同じであるので説明を省略する。
【0130】
この第3実施例によれば、補正値αをユーザが入力できるので、画像形成装置10で不具合が発生した場合等において、個別に対処することができる。
【0131】
なお、第3実施例に示した態様は、第2実施例にも組み合わせて採用することが可能である。
【0132】
また、上述の実施例の構成に加えて、トナー残量が所定量以下となった場合に、トナー残量が少ない旨がユーザに報知されるようにしても良い。さらに、トナー残量が所定量以下となった場合に、ネットワーク等を通して新しいトナーカートリッジ32が自動的に発注されるようにしても良い。この発明によれば、適切にトナー残量を推定することができるので、適切なタイミングで、トナー残量が少ない旨をユーザに報知したり、自動的に新しいトナーカートリッジ32が発注したりすることができる。このため、トナー切れによって画像形成装置10が使用不能となることを抑制ないし防止できる。
【0133】
さらにまた、上述の実施例で挙げた具体的な数値、構成等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。
【0134】
また、上述の実施例で示したフロー図の各ステップは、同じ結果が得られるのであれば、処理される順番は適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0135】
10 …画像形成装置
14 …現像装置
32 …トナーカートリッジ
70 …駆動ユニット
72 …トナー補給用モータ
80 …CPU
84 …RAM
86 …記憶部
88 …トナー切れセンサ