(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-12
(45)【発行日】2023-07-21
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20230713BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20230713BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
B41J29/38 401
B41J29/00 E
B41J29/00 Z
G06F3/12 322
G06F3/12 338
G06F3/12 378
G06F3/12 392
(21)【出願番号】P 2019179351
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南保 宏道
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-018577(JP,A)
【文献】特開2018-061168(JP,A)
【文献】特開2015-012443(JP,A)
【文献】特開2010-047004(JP,A)
【文献】特開2016-153280(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0085489(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 29/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印字媒体を搬送させる搬送手段と、
前記被印字媒体に対して印字を形成する印字手段と、
相互認識無線通信方式により複数の外部機器と無線通信可能な通信手段と、
情報の記憶を行う記憶手段と、
制御手段と、
を有する印刷装置であって、
前記制御手段は、
特定の前記外部機器の機器情報を前記記憶手段に登録する機器情報登録処理;
前記通信手段を介し前記印刷装置に対して新たに接続された1つの前記外部機器の前記機器情報が、前記記憶手段に登録済か否かを判定する登録判定処理;
前記登録判定処理で登録済ではないと判定された場合、前記1つの外部機器に対しての接続を休止状態とする接続休止処理;
前記機器情報登録処理により前記記憶手段に登録済の前記外部機器に対し、前記1つの外部機器の前記休止状態を解除してよいか否かの確認を促す解除確認処理;
前記解除確認処理に対応する前記外部機器からの、前記休止状態の解除の可否の通知を受信する可否受信処理;
前記可否受信処理で、前記休止状態の解除可の通知を受信した場合、前記1つの外部機器における前記休止状態を解除する休止解除処理;
を実行する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷装置において、
前記解除確認処理は、
前記通信手段を介し前記印刷装置に対して接続されている前記特定の外部機器に対し、前記1つの外部機器の前記休止状態を解除してよいか否かの確認要請通知を送信する、第1通知送信処理を含む
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2記載の印刷装置において、
前記制御手段は、さらに、
前記特定の外部機器に対して前記第1通知送信処理を実行している旨を、前記1つの外部機器に対して通知する、第2通知送信処理;
を実行する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載の印刷装置において、
前記外部機器のオペレーティングシステムは、
リンクキーを前記印刷装置と前記外部機器とで交換するとともに前記外部機器と前記印刷装置とのデータ送受信状態が実現されることにより前記外部機器と前記印刷装置とが接続される、第1OS、及び、
リンクキーを前記印刷装置と前記外部機器とで交換してペアリング状態が実現されることにより前記外部機器と前記印刷装置とが接続され、その後前記外部機器による印刷指示がなされた時に当該外部機器と前記印刷装置とがデータ送受信状態に移行し、さらにその後前記印刷指示に対応した印刷が終了した時に前記データ送受信状態が解除されて前記ペアリング状態に復帰する、第2OS、のいずれかであり、
前記記憶手段は、
前記外部機器との前記リンクキーの交換時に当該リンクキーを記憶し、
前記制御手段は、さらに、
前記記憶手段内に記憶される前記登録済の外部機器の前記リンクキーを消去不能とする消去不能化処理;
を実行する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項1記載の印刷装置において、
前記解除確認処理は、
前記搬送手段及び前記印字手段を制御し、前記特定の外部機器のアクセス情報を前記被印字媒体に形成するアクセス情報印刷処理を含む
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の印刷装置において、
前記制御手段は、さらに、
前記可否受信処理で、前記休止状態の解除可の通知を受信した場合、印刷可能である旨の通知を、前記1つの外部機器に対して行う第3通知送信処理;
を実行することを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部機器と無線通信を行う印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信によって複数の通信装置と通信可能なプリンタが知られている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術のプリンタでは、複数の通信装置のいずれの通信装置からの印字用データに基づく印字処理も行っていない状態で複数の通信装置のいずれかから印字用データを受信した場合、当該印字用データに基づく印字処理が完了するまでの間、複数の通信装置のうち当該印字用データの送信元となる第1通信装置以外の通信装置からの印字用データを受信しないように制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術のプリンタのように無線通信により複数の外部機器と接続可能である場合に、不特定の外部機器に対してむやみに接続して印刷可能とすると、セキュリティ確保の観点から好ましくない。これに対し、印刷装置に対して接続を要求している操作端末のセキュリティ上の安全性が確保されているかの確認を印刷装置自体が行うことは困難であり、要求された接続の実行判断が可能な構成が要望されていた。
【0005】
本発明の目的は、操作端末との間の無線通信においてセキュリティを高めることができる印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、被印字媒体を搬送させる搬送手段と、前記被印字媒体に対して印字を形成する印字手段と、相互認識無線通信方式により複数の外部機器と無線通信可能な通信手段と、情報の記憶を行う記憶手段と、制御手段と、を有する印刷装置であって、前記制御手段は、特定の前記外部機器の機器情報を前記記憶手段に登録する機器情報登録処理;前記通信手段を介し前記印刷装置に対して新たに接続された1つの前記外部機器の前記機器情報が、前記記憶手段に登録済か否かを判定する登録判定処理;前記登録判定処理で登録済ではないと判定された場合、前記1つの外部機器に対しての接続を休止状態とする接続休止処理;前記機器情報登録処理により前記記憶手段に登録済の前記外部機器に対し、前記1つの外部機器の前記休止状態を解除してよいか否かの確認を促す解除確認処理;前記解除確認処理に対応する前記外部機器からの、前記休止状態の解除の可否の通知を受信する可否受信処理;前記可否受信処理で、前記休止状態の解除可の通知を受信した場合、前記1つの外部機器における前記休止状態を解除する休止解除処理;を実行することを特徴とする。
【0007】
本願発明の印刷装置は、通信手段を介し、無線通信により複数の外部機器と接続可能である。しかしながら、不特定の外部機器に対してむやみに接続して印刷可能とすると、セキュリティ確保の観点から好ましくない。
【0008】
そこで、本願発明においては、制御手段により、機器情報登録処理と登録判定処理とが実行される。すなわち、まず機器情報登録処理で、例えば印刷装置の管理者の外部機器等、セキュリティ上の安全が確保されている特定の外部機器について、その機器情報が記憶手段に登録される。機器情報としては、例えば、Bluetooth(登録商標)アドレス等のアクセス情報、外部機器そのものの識別情報、等がある。
【0009】
上記のように登録がなされた状態で、通信手段を介し新たに1つの外部機器がアクセスして接続がなされた場合、上記登録判定処理において、その外部機器の機器情報が、すでに登録済のものであるか否か、が判定される。そして、登録済ではないと判定された場合には、前述の新たな外部機器に対する接続がいったん休止状態とされる(接続休止処理)。
【0010】
その後、前述の機器情報登録処理により登録済の外部機器(セキュリティ上の安全が確保されている特定の外部機器)に対し、上記新たな外部機器の休止状態を解除してよいか否かの確認が促される(解除確認処理)。これに対応して、上記登録済の外部機器からは、上記休止状態を解除してよいか否かの通知が送信され、制御手段において受信される(可否受信処理)。そして、休止状態を解除してよいとの通知が受信された場合には、上記新たな外部機器の休止状態が解除される。これにより、当該外部機器から送信された印字データによる、印刷装置における印刷処理が実行可能となる。
【0011】
以上のように、本願発明の印刷装置においては、未知の外部機器からの接続がなされた場合には、一旦、接続の休止状態とされた後、セキュリティ上の安全が確保されている特定の外部機器による確認がなされてから、上記休止状態が解除されて印刷が実行可能となる。これにより、不特定の外部機器に対してむやみに接続し印刷可能とする場合に比べ、セキュリティを高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、操作端末との間の無線通信においてセキュリティを高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態の印刷処理システムの全体構成を表すシステム構成図である。
【
図2】印刷処理システムの機能的構成を表す機能ブロック図である。
【
図3】アクセス情報記憶部の記憶領域内に設けた管理者端末アクセス情報記憶部とペアリング端末アクセス情報管理テーブル記憶部を表す図である。
【
図4】管理者端末アクセス情報記憶部の記録内容を表す図である。
【
図5】ペアリング端末アクセス情報管理テーブル記憶部の記録内容を表す図である。
【
図6】管理者端末が通信範囲内に存在する場合の接続可否確認シーケンス1の工程を表す、(a)は接続可否判断前の工程図、(b)は接続可否判断後の工程図である。
【
図7】ラベルプリンタの制御回路及び各操作端末のCPUが実行する接続可否確認シーケンス1の処理手順を表すシーケンスチャートである。
【
図8】管理者端末が通信範囲内に存在しない場合の接続可否確認シーケンス2の工程を表す、(a)は接続可否判断前の工程図、(b)は接続可否判断後の工程図である。
【
図9】ラベルプリンタの制御回路及び各操作端末のCPUが実行する接続可否確認シーケンス2の処理手順を表すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0015】
<印刷処理システムの構成>
まず、
図1を参照しつつ、本実施形態の印刷処理システムの全体構成を説明する。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の印刷処理システム1は、複数の操作端末、ここでは3台の操作端末2A,2B,2C(なお、以下適宜、「操作端末2A,2B,2C」を区別せず総称する場合、単に「操作端末2」という)と、ラベルプリンタ3と、を有する。操作端末2とラベルプリンタ3とは、例えばWi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等の適宜の相互認識無線通信方式により相互通信可能に無線接続される。なお、ラベルプリンタ3が印刷装置の一例に相当し、操作端末2が外部機器の一例に相当している。
【0017】
操作端末2は、操作ボタン14と、表示機能を備えかつ接触操作可能な表示部であるタッチパネル17と、を有する、いわゆるスマートフォンである。なお、操作端末2は、スマートフォンに限られず、いわゆるフィーチャーフォン、タブレット型コンピュータ、ノート型コンピュータ、デスクトップ型コンピュータ等でもよく、また表示部はタッチパネル17でなくてもよい。
【0018】
ラベルプリンタ3は、操作端末2との間で各種の情報や指示信号を送受し、操作端末2でのユーザの操作に基づき、所望のテキストや画像等の印字を備えた印字ラベルLを作成する。
【0019】
次に、
図2を参照しつつ、印刷処理システム1の機能的構成を説明する。
【0020】
<機能的構成>
図2に示すように、操作端末2Aは、CPU12と、RAM及びROM等からなるメモリ13と、上記操作ボタン14と、通信制御部15と、フラッシュメモリ等の大容量記憶装置16と、上記タッチパネル17と、を有する。
【0021】
メモリ13のRAMには、例えばユーザがタッチパネル17を適宜に操作することで作成された、上記印字ラベルLに表記したい所望の印字内容に対応した印字データが記憶される。
【0022】
CPU12は、メモリ13のRAMの一時記憶機能を利用しつつ、メモリ13のROMや大容量記憶装置16に記憶された各種プログラムを実行することで、操作端末2全体の制御を行う。
通信制御部15は、ラベルプリンタ3との間で行われる通信の制御を行う。
大容量記憶装置16は、例えば本体メモリであるが、これに限られず、SDメモリカード等の適宜の外部メモリでもよい。
【0023】
なお、
図2では、操作端末2B,2Cの詳細機能の図示を省略しているが、操作端末2Aと同一の詳細機能を備えている。
【0024】
ラベルプリンタ3は、制御回路201と、表示部205と、操作部206と、通信制御部208と、テープロールホルダ部210と、印字ヘッド204と、カッタ207と、搬送装置209と、を有する。なお、制御回路201が請求項記載の制御手段の一例に相当し、通信制御部208が通信手段の一例に相当し、印字ヘッド204が印字手段の一例に相当し、搬送装置209が搬送手段の一例に相当する。
【0025】
制御回路201は、CPU、RAM、ROM、及びフラッシュメモリ等からなり、アクセス情報記憶部201Aを有している。なお、アクセス情報記憶部201Aの詳細については後述する。ROMには、制御回路201のCPUに対し後述の
図7、
図9に示すシーケンスチャートの各手順を実行させるための処理プログラムが記憶されている。
【0026】
通信制御部208は、操作端末2の通信制御部15との間で行われる通信の制御を行う。
【0027】
テープロールホルダ部210には、テープ202を巻回したテープロール203(本来は渦巻き状であるが簡略化して同心円で図示)を着脱可能である(又は、テープロール203を備えたカートリッジを着脱可能としてもよい)。なお、テープ202は請求項記載の被印字媒体の一例に相当する。
【0028】
搬送装置209は、印字ヘッド204に対向して設けられており、テープロール203から繰り出されるテープ202を搬送する。
【0029】
印字ヘッド204は、搬送装置209により搬送されるテープ202に対し、操作端末2から受信された印字データに基づく印字を行う。
【0030】
カッタ207は、印字後のテープ202を所定の長さに切断して印字ラベルLとする。
【0031】
表示部205は、制御回路201から入力される各種の情報をユーザに対して表示する。
【0032】
操作部206は、ユーザからの操作を介して各種の情報や指示を制御回路201に入力する。
【0033】
<アクセス情報等の管理>
ここで、上述のように、ラベルプリンタ3は、通信制御部208を介した上記相互認識無線通信により、複数の操作端末2と通信可能である。この例においてラベルプリンタ3は、上記のBluetooth(登録商標)の規格に準拠し、その時点のラベルプリンタ3の通信範囲内に存在する複数の操作端末2に対しそれぞれのBluetooth(登録商標)アドレスなどの識別情報であるアクセス情報を交換し合って相互に識別して認識可能なペアリング状態となる。なお、アクセス情報が請求項記載の機器情報の一例に相当する。
【0034】
そして、その状態でユーザが操作端末2又はラベルプリンタ3のいずれかにおいて適宜に操作することで、公知の手法により、操作端末2とラベルプリンタ3とが、上記相互認識無線通信によるデータ送受信を実行中である接続状態にできる。なお本実施形態の例におけるラベルプリンタ3は、ペアリング状態にある複数の操作端末2のうちから複数台同時に接続状態として印字データなどの情報を送受可能であるが、印字データの送受処理自体は同時に1台のみしか受け付けることができない。
【0035】
さらに、不特定の操作端末2に対してむやみに接続して印刷可能とすると、セキュリティ確保の観点から好ましくない。このため本実施形態では、操作端末2を管理者端末、登録端末、及び未登録端末の3種類に区別してそれぞれのアクセス情報を管理することにより、無線通信におけるセキュリティ上の安全を図る。なお、管理者端末及び登録端末が請求項記載の特定の機器情報の一例に相当する。
【0036】
例えば
図3に示すように、上記アクセス情報記憶部201Aの記憶領域内に管理者端末アクセス情報記憶部201Aaとペアリング端末アクセス情報管理テーブル記憶部201Abとを設けている。電源をOFFしてもこれら管理者端末アクセス情報記憶部201Aaとペアリング端末アクセス情報管理テーブル記憶部201Abの記憶内容を維持できるよう、上記アクセス情報記憶部201Aは制御回路201内に設けたフラッシュメモリ(特に図示せず)の記憶領域に設けるのが望ましい。なお、アクセス情報記憶部201Aは請求項記載の記憶手段の一例に相当する。
【0037】
管理者端末アクセス情報記憶部201Aaは、上記表示部205と操作部206を介した別途の設定操作処理によって当該ラベルプリンタ3のユーザからあらかじめ1つだけ任意に登録設定された管理者端末アクセス情報とそれに関連する情報を記憶する。この管理者端末アクセス情報は、ユーザの1人である管理者が所有する管理者端末のアクセス情報であり、この管理者は所定のアクセス情報に対応する未登録端末がセキュリティ上の観点で当該ラベルプリンタ3と無線通信で接続しても安全かどうかを判断できるユーザである。
【0038】
この管理者端末アクセス情報記憶部201Aaは、例えば
図4に示すように、管理者端末アクセス情報(図中では「アクセスID」、以下同様)とこれに対応するリンクキー及びメールアドレスを記憶する。リンクキーは、相互認識無線通信方式において当該ラベルプリンタ3が管理者端末との間におけるペアリング状態からさらにデータ送受可能な接続状態へ移行する際に必要となるキー情報である。メールアドレスは、一般電話回線またはインターネット等を介して管理者端末にメールを送る際に用いるアドレス情報である。
【0039】
またペアリング端末アクセス情報管理テーブル記憶部201Abは、例えば
図5に示すように、当該ラベルプリンタ3が過去にペアリングして取得した複数の操作端末2のアクセス情報(図中では「アクセスID」、以下同様)とそれぞれに関連する情報を列記したペアリング端末アクセス情報管理テーブルを記憶する。なお、ペアリング端末アクセス情報管理テーブル記憶部201Abの記憶容量が有限であることで、最も古いアクセス情報を削除して新たなアクセス情報を新規に記憶するよう順次蓄積するいわゆるFIFO(First In First Out)で管理する。
【0040】
図示する例のペアリング端末アクセス情報管理テーブルでは、過去に取得した複数のアクセス情報と、各アクセス情報に対応してそれぞれの登録フラグ、リンクキー、印字データが記録されている。
【0041】
登録フラグは、対応するアクセス情報の操作端末2が登録端末として登録されているか否かを記録するフラグであり、図示する例ではレ点の記入でフラグが立っている状態を表記している。登録端末は、上記の管理者の判断によりセキュリティ上の観点で当該ラベルプリンタ3と無線通信で接続しても安全であるとして認められた操作端末2であり、図示する例のように対応する登録フラグにはレ点(フラグ内容が「真」)が記録されて登録される。なお、登録端末の登録については、あらかじめ管理者以外の当該ラベルプリンタ3のユーザから任意に登録設定されてもよい。このように登録された登録端末のアクセス情報と対応する関連情報(リンクキーなど)は、上記FIFOなどによる削除対象から除外されて当該ペアリング端末アクセス情報管理テーブルに永久保存される。
【0042】
逆に、当該ペアリング端末アクセス情報管理テーブルのうちで登録フラグにレ点が記録されずに(つまりフラグ内容が「偽」)未登録のままであるアクセス情報に対応した操作端末2は未登録端末とみなせる。未登録端末は、上記の管理者の判断によりセキュリティ上の安全が確認されていない操作端末2であり、このような未登録端末のアクセス情報と対応する関連情報(リンクキーなど)は、上記FIFOなどによる削除対象となって最も古いものから順に削除される。
【0043】
印字データは、対応するアクセス情報の操作端末2から直近で受信した印字データまたはその記憶領域を記録しており、図示する例では制御回路201のRAMのうちで印字データを記憶する領域の先頭番地が記録されている。
【0044】
<ラベルプリンタによる未登録端末の接続可否確認>
以下において、本実施形態のラベルプリンタ3による未登録端末の接続可否確認の具体的なシーケンスについて説明する。ここで、この接続可否確認については、管理者端末がラベルプリンタ3の通信範囲R内に存在しているか否かの違いによって2つのシーケンスが使い分けられる。
【0045】
<管理者端末が通信範囲内に存在する場合:シーケンス1>
例えば
図6に示すように、管理者端末がラベルプリンタ3の通信範囲R内に存在している場合には、以下の工程で接続可否確認シーケンス1が実行される。なお、図中に示す例においては、操作端末2Aが管理者端末2A、操作端末2Bが登録端末2B、操作端末2Cが未登録端末2Cとして示している(以下、同様)。
【0046】
まず、図中左側の
図6(a)において、所定の操作端末2がラベルプリンタ3に対して印字データを印字するよう接続要求(印刷要求)を送信した際には、リンクキーを交換して一時的に接続状態が成立し、当該操作端末2がそのアクセス情報とともに印字データも併せて送信する(I:接続要求(印刷要求))。この接続要求を受信したラベルプリンタ3は、その送信元のアクセス情報が登録端末2B(もしくは管理者端末2A)のものであるか未登録端末2Cのものであるかを上記ペアリング端末アクセス情報管理テーブルに照合して識別する。ここで特に図示しないが、接続要求の送信元が登録端末2Bであると識別できた場合には、そのまま受信した印字データを印字して接続状態を継続するだけでよく、接続可否確認シーケンスの実行は不要となる。なお、上記のように識別対象とされた操作端末2が請求項記載の1つの外部機器の一例に相当する。
【0047】
一方、接続要求の送信元が未登録端末2Cであると識別した場合には、ラベルプリンタ3は受信した印字データを保存したまま接続状態を一旦中断した上で、通信範囲R内に存在する管理者端末2Aに対して未登録端末2Cのアクセス情報とともに接続可否確認通知を送信して接続の可否判断を促す(II:接続可否確認)。なお、上記のように接続状態を中断した状態が請求項記載の接続の休止状態の一例に相当し、接続可否確認通知が請求項記載の確認要請通知の一例に相当する。またこの時、ラベルプリンタ3は、接続要求の送信元である未登録端末2Cに対して接続可否を確認中である旨を示す確認中通知を返信する(III:確認中通知)。
【0048】
そして接続可否確認通知を受けた管理者がアクセス情報を参照して接続可否を判断し、図中右側の
図6(b)に示すように、その判断内容を反映した接続可否応答が管理者端末2Aからラベルプリンタ3に送信される(IV:接続可否応答)。なお、この接続可否応答が請求項記載の休止状態の解除の可否の通知の一例に相当する。この接続可否応答を受信したラベルプリンタ3は、その判断内容と同等の内容を示す接続可否通知を未登録端末2Cに送信した上で(V:接続可否通知)、当該判断内容に応じて未登録端末2Cの登録及び印刷を実行する。
【0049】
具体的には、接続可否応答の判断内容が接続を許可する内容であった場合、上記ペアリング端末アクセス情報管理テーブル中において未登録端末2Cのアクセス情報を登録(対応する登録フラグにレ点を記録)するとともに、すでに受信している印字データを印字して印字ラベルLを作成する。なお、上記のように接続を許可する内容の接続可否応答が請求項記載の休止状態の解除可の通知の一例に相当する。また、接続可否応答の判断内容が接続を拒否する内容であった場合、登録や印刷を行わずに接続可否確認シーケンス1を終了する。
【0050】
<本実施形態で適用可能な操作端末のOSについて>
例えば、操作端末2がスマートフォンである場合、そのオペレーティングシステム(以下適宜、「OS」と称する)は複数種類存在し、OSによって、無線通信によるラベルプリンタ3との接続態様が異なる場合がある。例えば、OSがiOS(登録商標)である場合には、リンクキーをラベルプリンタ3と操作端末2とで交換した後、さらに操作端末2とラベルプリンタ3とがデータ送受信可能に接続されることで上記接続状態が実現される。なお、上記のiOSが請求項記載の第1OSの一例に相当する。
【0051】
このような種類のOSである場合には、ラベルプリンタ3との接続状態で印字データなどを送受信した後にも基本的にその接続状態は維持される。このため、未登録端末2Cとの間で一時的に接続状態となっても、その後に接続を許可する判断内容の接続可否応答を管理者端末2Aから受信するまでラベルプリンタ3側で接続状態を中断することが望ましい。
【0052】
一方、OSが例えばアンドロイド(登録商標)である場合には、リンクキーをラベルプリンタ3と操作端末2とで交換することで上記ペアリング状態が実現された後、ラベルプリンタ3による印刷指示がなされた時に操作端末2とラベルプリンタ3とがデータ送受信可能に接続されてペアリング状態から接続状態に移行する。そして、上記印刷指示に対応した印刷が終了した時に、上記データ送受信可能な接続状態が強制的に解除されて前記ペアリング状態に復帰する。なお、上記のアンドロイドが請求項記載の第2OSの一例に相当する。
【0053】
このような種類のOSである場合には、印字データの送受信後に自動的に非接続状態となって再接続する必要がないが、本実施形態のラベルプリンタ3ではこのタイミングで自発的に非接続状態とすることが望ましい。
【0054】
以上のように、本実施形態のラベルプリンタ3による接続確認シーケンスでは、接続対象とする操作端末2のOSの種類に応じて各制御手順の内容や順序を詳細に切り替えることが望ましい。
【0055】
<接続可否確認シーケンス1の制御手順>
上記の接続可否確認シーケンス1を実現するために、ラベルプリンタ3の制御回路201及び各操作端末2のCPU12によって実行される制御手順を、
図7のシーケンスチャートにより説明する。なお、
図7に示す接続可否確認シーケンス1のシーケンスチャートは、あらかじめ管理者端末2Aがラベルプリンタ3の通信範囲R内に存在していることが検出されている場合に実行される。
【0056】
まずステップMS105で、未登録端末2CのCPU12は、ラベルプリンタ3との間でアクセス情報及びリンクキーを交換し、印字データを送信することで、ペアリング、接続要求、及び印刷要求を実行する。このときの制御手順の詳細な内容や順序については、上述したように未登録端末2CのOSの種類に応じて適宜対応する。
【0057】
次にステップLS110で、ラベルプリンタ3の制御回路201は、接続要求の送信元である操作端末2のアクセス情報が登録済みのものであるか否かを判定する。なお、このステップLS110の手順が請求項記載の登録判定処理の一例に相当する。アクセス情報が登録済みのものであった場合、判定が満たされ(LS110:YES)、後述のステップLS155へ移る。
【0058】
一方、アクセス情報が未登録のものであった場合、判定は満たされず(LS110:NO)、ステップLS115へ移る。
【0059】
ステップLS115では、ラベルプリンタ3の制御回路201は、未登録のアクセス情報とともに接続可否確認通知を管理者端末2Aに送信する。なお、このステップLS115の手順が請求項記載の解除確認処理及び第1通知送信処理の一例に相当する。
【0060】
次にステップLS120で、ラベルプリンタ3の制御回路201は、接続の可否を確認中である旨の確認中通知を未登録端末2Cに送信する。これにより、未登録端末2Cのユーザは、接続可否の確認中であることを把握できる。なお、このステップLS120の手順が請求項記載の第2通知送信処理の一例に相当する。
【0061】
次にステップLS125で、ラベルプリンタ3の制御回路201は、未登録端末2Cとの間の接続状態を一旦中断する。このときの制御手順の詳細な内容や順序については、上述したように未登録端末2CのOSの種類に応じて適宜対応する。なお、このステップLS125の手順が請求項記載の接続休止処理の一例に相当する。
【0062】
この間に、管理者がアクセス情報を参照して接続の可否を判断し、管理者端末2Aを操作してその判断内容を入力する。これによりステップKS130で、管理者端末2AのCPU12は、その判断内容を反映した接続可否応答をラベルプリンタ3に送信する。なお、このときラベルプリンタ3が接続可否応答を受信する処理が請求項記載の可否受信処理の一例に相当する。
【0063】
次にステップLS135で、ラベルプリンタ3の制御回路201は、上記ステップKS130で受信した接続可否応答の判断内容に対応した接続可否通知を未登録端末2Cに送信する。これにより、未登録端末2Cのユーザは、接続可否の判断内容を把握できる。
【0064】
次にステップLS140で、ラベルプリンタ3の制御回路201は、上記ステップKS130で受信した接続可否応答の判断内容として接続が許可されたか否かを判定する。判断内容として接続が許可されなかった場合、判定は満たされず(LS140:NO)、印字データを消去するとともに接続状態を完全に終了してこのシーケンスを終了する。このときの制御手順の詳細な内容や順序については、上述したように未登録端末2CのOSの種類に応じて適宜対応する。
【0065】
一方、受信した接続可否応答の判断内容として接続が許可された場合、判定が満たされ(LS140:YES)、ステップLS145へ移る。
【0066】
ステップLS145では、ラベルプリンタ3の制御回路201は、ペアリング端末アクセス情報管理テーブルにおいて未登録端末2Cのアクセス情報に対応する登録フラグにレ点を記録して登録する。なお、このステップLS145の手順が請求項記載の機器情報登録処理及び消去不能化処理の一例に相当する。
【0067】
次にステップLS150へ移り、ラベルプリンタ3の制御回路201は、上記ステップLS125で中断した接続状態を再開する。このときの制御手順の詳細な内容や順序については、上述したように未登録端末2CのOSの種類に応じて適宜対応する。なお、このステップLS150の手順が請求項記載の休止解除処理の一例に相当する。
【0068】
次にステップLS155へ移り、ラベルプリンタ3の制御回路201は、上記ステップMS105で受信した印字データを印刷して印字ラベルLを作成する。このように接続中断前に受信した印字データを利用することで、接続が再開した後に新たに印字データを送受する手間を省略でき、作業が簡便となる。そしてこのシーケンスを終了する。
【0069】
<管理者端末が通信範囲内に存在しない場合:シーケンス2>
次に
図8に示すように、管理者端末2Aがラベルプリンタ3の通信範囲R内に存在しない場合に実行する接続可否確認シーケンス2について説明する。
【0070】
まず、図中左側の
図8(a)において、未登録端末2Cがラベルプリンタ3に対して接続要求(印刷要求)を送信した際には、リンクキーを交換して一時的に接続状態が成立し、当該操作端末2がそのアクセス情報とともに印字データも併せて送信する(I:接続要求(印刷要求))。この接続要求を受信したラベルプリンタ3は、その送信元が未登録端末2Cであると識別した場合には、印字データを保存したまま接続状態を一旦中断した上で、管理者端末2Aのメールアドレスを確認先情報として印刷する(II:確認先印刷)。この確認先情報の印刷内容は、上記管理者端末アクセス情報記憶部201Aaに記録されているメールアドレスをそのままの文字表記で印刷してもよいし、または図示するようにQRコード(登録商標)に変換して印刷してもよい。なお、上記のメールアドレスが請求項記載の特定の外部機器のアクセス情報の一例に相当する。
【0071】
未登録端末2Cのユーザは、印刷された確認先情報のメールアドレスを未登録端末2Cに認識させ(III:確認先認識)、当該メールアドレスで管理者に接続の可否判断を促すメールを未登録端末2Cのアクセス情報とともに接続可否確認通知として送信する(IV:接続可否確認)。このときのメールの送信は、特に図示しない一般電話回線や別途の通信ネットワークを介して送信すればよい。
【0072】
そして接続可否確認通知のメールを受けた管理者がアクセス情報を参照して接続可否を判断し、図中右側の
図8(b)に示すように、その判断内容を反映した接続可否応答が管理者端末2Aからラベルプリンタ3に送信される(V:接続可否応答)。この接続可否応答を受信したラベルプリンタ3は、その判断内容と同等の内容を示す接続可否通知を未登録端末2Cに送信した上で(VI:接続可否通知)、当該判断内容に応じて未登録端末2Cの登録及び印刷を実行する。なお、接続が許可される判断内容を示す場合の接続可否通知が請求項記載の印刷可能である旨の通知の一例に相当する。
【0073】
<接続可否確認シーケンス2の制御手順>
上記の接続可否確認シーケンス2を実現するために、ラベルプリンタ3の制御回路201及び各操作端末2のCPU12によって実行される制御手順を、
図9のシーケンスチャートにより説明する。なお、
図9に示す接続可否確認シーケンス1のシーケンスチャートは、あらかじめ管理者端末2Aがラベルプリンタ3の通信範囲R内に存在していないことが検出されている場合に実行される。
【0074】
まずステップMS205で、未登録端末2CのCPU12は、ラベルプリンタ3との間でアクセス情報及びリンクキーを交換し、印字データを送信することで、ペアリング、接続要求、及び印刷要求を実行する。このときの制御手順の詳細な内容や順序については、上述したように未登録端末2CのOSの種類に応じて適宜対応する。
【0075】
次にステップLS210で、ラベルプリンタ3の制御回路201は、接続要求の送信元である操作端末2のアクセス情報が登録済みのものであるか否かを判定する。アクセス情報が登録済みのものであった場合、判定が満たされ(LS210:YES)、後述のステップLS260へ移る。
【0076】
一方、アクセス情報が未登録のものであった場合、判定は満たされず(LS210:NO)、ステップLS215へ移る。
【0077】
ステップLS215では、ラベルプリンタ3の制御回路201は、未登録端末2Cとの間の接続状態を一旦中断する。このときの制御手順の詳細な内容や順序については、上述したように未登録端末2CのOSの種類に応じて適宜対応する。
【0078】
次にステップLS220へ移り、ラベルプリンタ3の制御回路201は、管理者端末2Aのメールアドレスを確認先情報として印刷する。なお、このステップLS220の手順が請求項記載のアクセス情報印刷処理の一例に相当する。
【0079】
次にステップMS225へ移り、未登録端末2CのCPU12は、上記ステップLS220で印刷されたメールアドレスを認識する。
【0080】
次にステップMS230へ移り、未登録端末2CのCPU12は、上記ステップMS225で認識したメールアドレスで、当該未登録端末2Cのアクセス情報とともに接続の可否判断を促す接続可否確認通知を管理者端末2Aにメールで送信する。
【0081】
その後に、管理者がアクセス情報を参照して接続の可否を判断し、管理者端末2Aを操作してその判断内容を入力する。これによりステップKS235で、管理者端末2AのCPU12は、その判断内容を反映した接続可否応答をラベルプリンタ3に送信する。
【0082】
次にステップLS240で、ラベルプリンタ3の制御回路201は、上記ステップKS235で受信した接続可否応答の判断内容に対応した接続可否通知を未登録端末2Cに送信する。これにより、未登録端末2Cのユーザは、接続可否の判断内容を把握できる。なお、接続が許可される判断内容を示す接続可否通知を送信する場合のこのステップLS240の手順が請求項記載の第3通知送信処理の一例に相当する。
【0083】
次にステップLS245で、ラベルプリンタ3の制御回路201は、上記ステップKS235で受信した接続可否応答の判断内容として接続が許可されたか否かを判定する。判断内容として接続が許可されなかった場合、判定は満たされず(LS245:NO)、印字データを消去するとともに接続状態を完全に終了してこのシーケンスを終了する。このときの制御手順の詳細な内容や順序については、上述したように未登録端末2CのOSの種類に応じて適宜対応する。
【0084】
一方、受信した接続可否応答の判断内容として接続が許可された場合、判定が満たされ(LS245:YES)、ステップLS250へ移る。
【0085】
ステップLS250では、ラベルプリンタ3の制御回路201は、ペアリング端末アクセス情報管理テーブルにおいて未登録端末2Cのアクセス情報に対応する登録フラグにレ点を記録して登録する。
【0086】
次にステップLS255へ移り、ラベルプリンタ3の制御回路201は、上記ステップLS215で中断した接続状態を再開する。このときの制御手順の詳細な内容や順序については、上述したように未登録端末2CのOSの種類に応じて適宜対応する。
【0087】
次にステップLS260へ移り、ラベルプリンタ3の制御回路201は、上記ステップMS105で受信した印字データを印刷して印字ラベルLを作成する。そしてこのシーケンスを終了する。
【0088】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態では、未知の操作端末2からの接続がなされた場合には、一旦、接続の休止状態(接続中断)とされた後、セキュリティ上の安全が確保されている管理者端末2Aによる確認がなされてから、上記休止状態が解除されて印刷が実行可能となる。これにより、不特定の操作端末2に対してむやみに接続し印刷可能とする場合に比べ、セキュリティを高めることができる。この結果、操作端末2との間の無線通信においてセキュリティを高めることができる。
【0089】
また、本実施形態では特に、接続可否確認シーケンス1において、ステップLS115の手順により、ラベルプリンタ3に対して接続されている管理者端末2Aに対し、未登録端末2Cの接続中断状態を解除してよいか否かの接続可否確認通知を送信する。
【0090】
これにより、登録済の管理者端末2Aがラベルプリンタ3に接続されている状態において、当該ラベルプリンタ3に対し未知の操作端末2からの接続がなされた旨を上記管理者端末2Aのユーザである管理者に対し報知することができる。また、当該未知の操作端末2からの印字データにより印刷を行ってもよいかどうか、を当該管理者に判断させることができる。
【0091】
また、本実施形態では特に、接続可否確認シーケンス1において、ステップLS120の手順で、管理者端末2Aに対して接続可否通知を送信している旨の確認中通知を、未登録端末2Cに対して通知する。これにより、新たにラベルプリンタ3へ接続した未登録端末2Cのユーザに対し、当該ラベルプリンタ3における印刷許可を得るための待機中である旨を報知することができる。
【0092】
また、本実施形態では特に、操作端末2のオペレーティングシステムは、iOS(登録商標)、及び、アンドロイド(登録商標)、のいずれかである。iOS(登録商標)は、リンクキーをラベルプリンタ3と操作端末2とで交換するとともに操作端末2とラベルプリンタ3とのデータ送受信状態が実現されることにより操作端末2とラベルプリンタ3とが接続される。アンドロイド(登録商標)は、リンクキーをラベルプリンタ3と操作端末2とで交換してペアリング状態が実現されることにより操作端末2とラベルプリンタ3とが接続され、その後操作端末2による印刷指示がなされた時に当該操作端末2とラベルプリンタ3とがデータ送受信状態に移行し、さらにその後に印刷指示に対応した印刷が終了した時にデータ送受信状態が解除されてペアリング状態に復帰する。そして、ペアリング端末アクセス情報管理テーブル記憶部201Abでは、操作端末2とのリンクキーの交換時に当該リンクキーを記憶し、さらに、ステップLS145の手順ではペアリング端末アクセス情報管理テーブル記憶部201Abに記憶される登録済の登録端末2Bのリンクキーを消去不能とする。
【0093】
本実施形態のラベルプリンタ3では、iOS(登録商標)またはアンドロイド(登録商標)の各OSを用いた接続がなされるとき、操作端末2との間でリンクキーが交換され、そのリンクキーはペアリング端末アクセス情報管理テーブル記憶部201Abに順次記憶される。通常、このようにして記憶されるリンクキーの数は有限であり、上限値を超える場合は古いものから順に削除されていく。
【0094】
その際、本実施形態においては、登録済である登録端末2Bのリンクキーについては、登録フラグでのレ点の記録によって消去不能とされる。これにより、登録端末2Bのリンクキーを上記削除の対象から外すことができるので、未知の操作端末2からの接続がなされた場合に、その旨を上記管理者端末2Aの管理者に対し確実に報知することができる。
【0095】
また、本実施形態では特に、接続可否確認シーケンス2において、ステップLS220の手順で搬送装置209及び印字ヘッド204を制御し、管理者端末2Aのメールアドレスをテープ202に形成する。
【0096】
これにより、管理者端末2Aがラベルプリンタ3に接続されていない(そのままでは当該管理者端末2Aの管理者からの印刷許可を得られない)場合において、未登録端末2Cのユーザは、テープ202に形成されたメールアドレス(もしくはそのQRコード(登録商標))に基づき管理者端末2Aにアクセス(メールを送信)して、当該未登録端末2Cからの印字データにより印刷を行うための印刷許可を得ることができる。
【0097】
また、本実施形態では特に、接続可否確認シーケンス2において、ステップLS240の手順で、接続を許可する判断内容の接続可否応答を受信した場合、印刷可能である旨の接続可否通知を、未登録端末2Cに対して行う。
【0098】
これにより、未登録端末2Cのユーザに対し、管理者端末2Aの管理者からの印刷許可が得られ、当該未登録端末2Cからの印字データにより印刷を行えることを知らせることができる。
【0099】
なお、上記のように接続が許可される内容の接続可否通知を送信する際にすでに未登録端末2Cから印字データを受信済みである場合には、当該接続可否通知で「先ほどの印字データを印刷しますか?」と確認する内容を含めて送信してもよい。そして未登録端末2Cからの返信内容に応じて、ラベルプリンタ3は印字データの印刷を実行するか否かを判断してもよい。
【0100】
また、印字データをまだ受信していない場合には、「接続が許可されました。印字データを送信してください。」と要請する内容を含めて接続可否通知を送信してもよい。そしてラベルプリンタ3は、未登録端末2Cから印字データを受信し、印刷してもよい。
【0101】
なお、以上において、
図1、
図2等の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0102】
また、
図7、
図9等に示すシーケンスチャートは本発明を上記シーケンスのフローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0103】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0104】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0105】
1 印刷処理システム
2 操作端末(外部機器)
2A 管理者端末(特定の外部機器)
2B 登録端末(特定の外部機器)
2C 未登録端末(1つの外部機器)
3 ラベルプリンタ(印刷装置)
201 制御回路(制御手段)
201A アクセス情報記憶部(記憶手段)
201Aa 管理者端末アクセス情報記憶部
201Ab ペアリング端末アクセス情報管理テーブル記憶部
202 テープ(被印字媒体)
204 印字ヘッド(印字手段)
208 通信制御部(通信手段)
209 搬送装置(搬送手段)
R 通信範囲