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  • 特許-遊技機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20230718BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
A63F7/02 334
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018238778
(22)【出願日】2018-12-20
(65)【公開番号】P2020099446
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 孝公
【審査官】平井 隼人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-029901(JP,A)
【文献】特開2010-252987(JP,A)
【文献】特開2015-130901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定範囲を変位することが可能であり、特定位置に位置することが可能な可動役物と、
前記可動役物が前記特定位置に位置しているとき検出信号を出力する第一センサと、前記可動役物が前記特定位置に位置しているとき検出信号を出力する第二センサと、
を備え、
前記可動役物は、所定方向に沿って直線状に変位するものであり、前記第一センサおよび前記第二センサは、前記所定方向における位置が同じとなるように設けられており、
前記可動役物を前記特定位置に向かって前記所定方向に変位させる制御を行う際、
前記第一センサおよび前記第二センサのいずれもから検出信号が出力されたことをもって当該可動役物が前記特定位置に到達したと判断する一方、
前記第一センサおよび前記第二センサの一方から検出信号が出力されなかった場合には、前記可動役物が前記特定位置に到達するのに必要な理論変位量を超える超過変位量分、前記可動役物を動作させる
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
可動役物および当該可動役物の位置を検出するセンサを備えた遊技機が公知である。例えば下記特許文献1には、可動役物が原位置から外れたことを検出するセンサを備えた遊技機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-117733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、可動役物および当該可動役物を検出するセンサを備えた遊技機において、当該センサに発生した異常により遊技者に対して不具合が顕在化してしまうおそれを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、所定範囲を変位することが可能であり、特定位置に位置することが可能な可動役物と、前記可動役物が前記特定位置に位置しているとき検出信号を出力する第一センサと、前記可動役物が前記特定位置に位置しているとき検出信号を出力する第二センサと、を備え、前記可動役物を前記特定位置に向かって変位させる制御を行う際、前記第一センサおよび前記第二センサのいずれもから検出信号が出力されたことをもって当該可動役物が前記特定位置に到達したと判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機によれば、可動役物を検出するセンサに発生した異常により遊技者に対して不具合が顕在化してしまうおそれを低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態にかかる遊技機を模式的に示した正面図である。
図2】可動役物を説明するための図である。
図3】検出回路を説明するための図である((a)は検出回路の概要を示した図であり、(b)は第一センサおよび第二センサの両方が正常である場合の回路出力を示した図であり、(c)は一方のセンサ(第一センサ)が非検出異常である場合の回路出力を示した図であり、(d)は一方のセンサ(第一センサ)が常時検出異常である場合の回路出力を示した図である)。
図4】参考回路(検出回路との比較用)を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
○全体構成
以下、本発明にかかる遊技機1(ぱちんこ遊技機)の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0009】
遊技機1は遊技盤21を備える。遊技盤21は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置62(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域211に案内する通路を構成するガイドレール95が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域211には、始動入賞口92、大入賞口93、アウト口94などが設けられている(なお、遊技領域211の構成は簡略化している(一部の遊技釘や入賞領域を省略している))。表示装置22の表示領域221は、遊技盤21に形成された開口212を通じて視認可能となる領域である。
【0011】
公知の遊技機と同様に、始動入賞口92に遊技球が進入することを契機として当否判定(当否抽選)が実行される。表示領域221には、当否判定結果を示す図柄(以下、識別図柄80と称する)が表示される。本実施形態の識別図柄80は「数字」を含む図柄であるが、当該態様はあくまで一例である。本実施形態では、最終的に示される三つの識別図柄80の組み合わせにより当否判定結果が当たりであるかどうかが報知される。
【0012】
また、遊技領域211には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域211を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0013】
このような遊技機1では、発射装置96を操作することにより遊技領域211に向けて遊技球を発射する。遊技領域211を流下する遊技球が、始動入賞口92や大入賞口93等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0014】
なお、遊技球を貯留する下皿や上皿、当否判定の具体的な方法等、本発明に関係のない遊技機1の構成要素や制御態様については説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0015】
○可動役物およびそれを制御するための構成
以下、可動役物10およびそれを制御するための構成について説明する。可動役物10は、原位置と演出位置との間を往復動作させることが可能なものである(原位置が本願発明における特定位置に相当する)。本実施形態にかかる可動役物10は、原位置(図2(a)参照)と演出位置(図2(b)参照)との間を直線的にスライド動作するものであるが、当該動作態様(動作の経路)はどのようなものであってもよい。また、可動役物10自体の態様(形状や装飾等)はどのようなものであってもよい。可動役物10が表示装置であってもよい。
【0016】
可動役物10の駆動源は図示しないステッピングモータ(以下、単にモータと称することもある)である。モータから可動役物10に至るまでの動力伝達構造はどのようなものであってもよいから説明を省略する。モータの回転量(ステップ数)と可動役物10の変位量は比例するから、基本的にはモータの回転量により可動役物10の変位量や現在位置が判断されることになる。
【0017】
前後方向において、可動役物10は、表示装置22の表示領域221(表示面)よりも前方に位置する。本実施形態では、可動役物10が原位置に位置するときと演出位置に位置するときとでは、当該可動役物10が表示領域221に重なる範囲が異なる。具体的には、可動役物10が原位置に位置するときよりも演出位置に位置するときの方が、当該可動役物10が表示領域221の前方で重なる範囲が大きくなる(図2参照)。遊技者視点でいえば、可動役物10が原位置に位置するときよりも演出位置に位置するときの方が、表示領域221における可動役物10に覆われて見えない部分の大きさが大きくなるということである。表示領域221に識別図柄80が表示されている状態(当否判定結果を報知する演出が実行されている状態)にて可動役物10が演出位置に位置したときには、(原位置に位置しているときに比して)当該識別図柄80が見えにくくなるともいえる。本実施形態では、原位置に位置する可動役物10はその全体が表示領域221に重ならない状態となり、演出位置に位置する可動役物10はその全体が表示領域221に重なる状態となる。
【0018】
可動役物10が原位置に位置しているかどうかを検出するための回路(以下、検出回路30と称する)について説明する。検出回路30は、第一センサ31と第二センサ32、AND回路33、を含む(図3(a)参照)。第一センサ31および第二センサ32は、いずれも、可動役物10が原位置に位置するときには当該可動役物10を検出する位置に設けられるものである。つまり、可動役物10が原位置に位置しているときには第一センサ31および第二センサ32は検出信号を出力する。可動役物10が演出位置に位置しているときには第一センサ31および第二センサ32は可動役物10を検出しない(検出信号が出力されない)。なお、第一センサ31および第二センサ32が可動役物10自体を直接検出するのではなく、可動役物10と一体的に変位するものを検出することで間接的に可動役物10を検出する構成としてもよい。本実施形態では、「コ」の字型のフォトセンサを用い、可動役物10と一体的に変位する部分が原位置において検出範囲(「コ」の内側)に進入するように配置している(図2(a)参照)。また、本実施形態では、第一センサ31および第二センサ32のいずれも、可動役物10検出時のセンサ出力(検出信号)は「L」(信号)であり、可動役物10非検出時のセンサ出力(非検出信号)が「H」(信号)である。
【0019】
本実施形態では、第一センサ31および第二センサ32から出力された信号は反転させられた上(例えば、シュミットトリガ311、321により反転させられる)でAND回路33に入力される。上述した通り、第一センサ31および第二センサ32のいずれも、検出信号は「L」であり、非検出信号は「H」(信号)であるから、可動役物10検出時には反転された「H」がAND回路33に入力され、可動役物10非検出時には反転された「L」がAND回路33に入力されることになる。
【0020】
したがって、図3(b)に示すように、検出回路30に異常がなければ(センサに異常がなければ)、可動役物10が原位置に位置しているときには、AND回路33の入力1は「H」、入力2は「H」となるから、AND回路33の出力(以下、回路出力と称することもある)は「H」となる。一方、可動役物10が第一センサ31および第二センサ32の検出範囲外(演出位置は検出範囲外である)に位置しているときには、AND回路33の入力1は「L」、入力2は「L」となるから、回路出力は「L」となる。すなわち、回路出力が「H」であるかどうかに基づき、可動役物10が原位置に位置しているかどうかを判断する。
【0021】
回路出力は図示しない可動役物10の制御手段に出力される。可動役物10を演出位置から原位置に戻す際には、回路出力が「L」から「H」に変わったことをもって可動役物10が原位置に到達したと判断する。つまり、第一センサ31および第二センサ32のいずれもから検出信号が出力され、回路出力が「H」となったことをもって可動役物10が原位置に到達したと判断する。制御手段は回路出力が「H」となったことをもって可動役物10(モータ)を停止させる。これにより、可動役物10が原位置に位置した(原位置に戻った)状態となる。
【0022】
上記制御は検出回路30に異常が存在しないときの制御である。本実施形態における検出回路30は、回路に異常が生じたとき、具体的には第一センサ31および第二センサ32の一方に異常が生じたときの作用が一般的な回路(後述する参考回路)に比して優れるものである。なお、第一センサ31および第二センサ32の両方が一度に異常となってしまう事象が発生する確率は極めて低いため、このような事象が発生することを想定する必要はない。
【0023】
各センサの異常態様としては大まかに分けて二つのパターンが考えられる。一つはセンサが常時非検出状態となるもの(可動役物10がどのような位置に位置したときであっても検出信号が出力されることがないもの)である(以下、非検出異常と称する)。非検出異常の原因としては、ハーネスの断線、センサ構成部品の故障等が考えられる。もう一つはセンサが常時検出状態となるもの(可動役物10がどのような位置に位置したときであっても検出信号が常に出力された状態となるもの)である(以下、常時検出異常と称する)。常時検出異常の原因としては、センサ構成部品の故障等が考えられる。
【0024】
一方のセンサが非検出異常となった状況(他方のセンサは正常である)を想定する。例えば第一センサ31が非検出異常となった状況においては、図3(c)に示すように、可動役物10がどのような位置に位置していようとも、第一センサ31からは非検出信号である「H」が出力され続けるのであるから、AND回路33の入力1には「L」が入力され続ける。したがって、AND回路33の出力、すなわち回路出力が「H」となることはなく、「L」が出力され続けることになる。なお、第二センサ32が非検出異常となった(第一センサ31は正常である)場合でも同様である。
【0025】
可動役物10を演出位置から原位置に変位させる際にも、回路出力は「L」が出力され続けることになる。具体的には、可動役物10が原位置に到達することを契機とした回路出力の「L」から「H」への切り替わりが発生しない。換言すれば、実際に可動役物10が原位置に位置していたとしても、原位置に位置していると判断されることがない状態である。このような場合には、回路出力が「H」となること契機として可動役物10(モータ)を停止させるという制御を行うことができない。つまり、回路出力に基づき可動役物10の原位置到達の有無を判断することはできない。このような場合、本実施形態では、以下のような特殊制御を行う。
【0026】
図示しない記憶手段には、演出位置から原位置まで変位するのに必要な可動役物10の変位量(以下、理論変位量と称する)が記憶されている。厳密には、可動役物10が演出位置から原位置まで変位するのに必要な駆動源であるモータのステップ数である。また、記憶手段には、当該理論変位量を超える変位量である超過変位量が記憶されている。本実施形態では、「理論変位量×1.2=超過変位量」としている。
【0027】
可動役物10が演出位置に位置する状態で、理論変位量分可動役物10を動作させれば、理論上は可動役物10が原位置に到達することになるが、上述した通り、通常時には(両センサともに正常であるときには)、回路出力が「L」から「H」に変化することをもって可動役物10が原位置に到達したと判断してモータを停止させる。つまり、第一センサ31および第二センサ32の検出機能を利用して可動役物10を原位置で停止させる。
【0028】
これに対し、一方のセンサが非検出異常であるときには、特殊制御として、超過変位量分可動役物10を動作させる。すなわち、回路出力の「L」から「H」への切り替わりが発生せず、センサによる検出機能を利用することができないのであるから、理論上必要な動作量の1.2倍分の動作を行うことで可動役物10が確実に原位置まで戻るようにしている(理論値よりも20%分余裕をもって動作させることで確実に原位置に戻す。なお、超過分(本実施形態でいう20%)は適宜増減することが可能である)。このように、一方のセンサが非検出異常であり、センサによる検出機能を利用することができない状態であっても、超過変位量分可動役物10を動作させて可動役物10が原位置に戻るようにすることで、遊技者に対して不具合が顕在化してしまうおそれが低い。すなわち、内部的にはセンサの異常が生じてはいるが、遊技者に視認される可動役物10の動き自体はセンサが正常であるときと変わらないため、センサの異常が遊技者のクレームに繋がってしまうおそれが低いという利点がある。
【0029】
一方のセンサが常時検出異常となった状況(他方のセンサは正常である)を想定する。例えば第一センサ31が常時検出異常となった(第二センサ32は正常である)状況においては、図3(d)に示すように、可動役物10がどのような位置に位置していようとも、第一センサ31からは検出信号である「L」が出力され続けるのであるから、AND回路33の入力1には「H」が入力され続ける。第二センサ32は正常であるのであるから、AND回路33の入力2には、可動役物10が原位置に位置するときには「H」が入力され、可動役物10が演出位置に位置するときには「L」が入力されることになる。AND回路33の出力、すなわち回路出力は、可動役物10が原位置に位置するときには「H」となり、可動役物10が演出位置に位置するときには「L」となる。なお、第二センサ32が常時検出異常となった(第一センサ31は正常である)場合でも同様である。
【0030】
このように、一方のセンサが常時検出異常となったとしても、可動役物10が演出位置から原位置に変位したときには、回路出力が「L」から「H」に切り替わるのであるから、当該切り替わりを契機として可動役物10(モータ)の動作を停止させればよい。つまり、第一センサ31および第二センサ32のいずれもが正常であるときと同様に、可動役物10を原位置で停止させることができる。
【0031】
○参考回路
本実施形態における検出回路30の有利な点を、参考回路との比較で説明する。図4(a)に示すように、参考回路は、一のセンサを備える。当該一のセンサは、可動役物10が原位置に位置するときには当該可動役物10を検出する位置に設けられるものであって、上記実施形態における第一センサ31や第二センサ32と同じものである。当該センサの出力は、反転して出力される。したがって、図4(b)に示すように、参考回路(センサ)に異常がないときには、参考回路の出力は、可動役物10が原位置に位置しているときには「H」となり、可動役物10が演出位置に位置しているときには「L」となる。
【0032】
図4(c)に示すように、上記一のセンサが非検出異常となった場合(センサ出力が常時「H」となった場合)には、参考回路の出力は常時「L」となる。すなわち、可動役物10が演出位置から原位置に変位する際に「L」から「H」への切り替わりが発生しない。換言すれば、実際に可動役物10が原位置に位置していたとしても、原位置に位置していると判断されることがない状態である。回路の出力についてみれば、上記実施形態にて説明した参考回路において一方のセンサが非検出異常となった状況(他方のセンサは正常である)と同じである。したがって、上記実施形態体にて説明した特殊制御を行うことで、可動役物10を確実に原位置に戻すことができる。
【0033】
一方、図4(d)に示すように、上記一のセンサが常時検出異常となった場合(センサ出力が常時「L」となった場合)には、参考回路の出力は常時「H」となる。可動役物10が原位置以外の位置(センサの検出範囲外)に位置していたとしても、原位置に位置していると判断される状態である。例えば、可動役物10を演出位置から原位置に変位させるべき場面において、可動役物10が演出位置に位置しているのにも拘わらず、参考回路の出力は「H」であるから、可動役物10が原位置に位置していると判断されて原位置への変位が実行されない状況となる。すなわち、可動役物10が演出位置に留まったままとなってしまい、遊技者からのクレームが発生しやすい状況となってしまう。特に、上記実施形態にて説明したように、原位置に位置するときよりも演出位置に位置するときの方が、表示領域221における可動役物10に覆われて見えない部分の大きさが大きくなる設定であれば、可動役物10により表示領域221に表示される識別図柄80等が見えにくくなるため、遊技者からのクレームが発生する蓋然性が高くなってしまう。
【0034】
これに対し上記実施形態にて説明した検出回路30であれば、第一センサ31および第二センサ32の一方が常時検出異常となった場合であっても、可動役物10が演出位置に位置するときの回路出力は「L」であり、原位置に位置するときの回路出力は「H」である(図3(d)参照)から、可動役物10を演出位置から原位置に変位させるべき場面において、可動役物10が演出位置に留まったままとなってしまう状況とはならない。
【0035】
○まとめ
以上説明したように、本実施形態にかかる遊技機1では、可動役物10を原位置に向かって変位させる際、第一センサ31および第二センサ32のいずれもから検出信号が出力されたことをもって、可動役物10が原位置に位置したと判断する。このようにすることで、一方のセンサが常時検出異常となったとしても、他方のセンサ(正常なセンサ)により可動役物10が原位置に到達したと判断されるため、可動役物10を原位置に位置させることができる。すなわち、可動役物10が原位置以外の位置(演出位置等)に留まったままとなり、遊技者に対して不具合が顕在化してしまうおそれを低減することができる。
【0036】
また、一方のセンサが非検出異常となった場合には、可動役物10が原位置に位置していると判断されることはない(回路出力が常時「L」となる)ところ、可動役物10を超過変位量分動作させる特殊制御を実行するため、可動役物10が原位置に到達しない状態となってしまうおそれが低減される。すなわち、可動役物10が原位置に到達せずに、遊技者に対して不具合が顕在化してしまうおそれを低減することができる。
【0037】
また、本実施形態では、第一センサ31の出力および第二センサ32の出力(厳密には、各出力が反転されたもの)がAND回路33に入力され、当該AND回路33からの出力に基づき各種制御を行う。つまり、検出回路30全体の出力としては一つ(1ビット)である。かかる点は、参考回路として示したようなセンサが一つのみの構成と変わらない(参考回路の出力も一つである)から、制御回路全体としての負荷の増大も抑制される。
【0038】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0039】
上記実施形態では、可動役物10が原位置に位置しているときに当該可動役物10が第一センサ31および第二センサ32に検出される構成であることを説明したが、原位置以外の位置に可動役物10が位置するときにおいて当該可動役物10が第一センサ31および第二センサ32に検出される構成としてもよい。つまり、可動役物10が第一センサ31および第二センサ32に検出されることとなる位置(特定位置)は、原位置に限られない。
【0040】
上記実施形態にかかる遊技機1はいわゆるぱちんこ遊技機であるが、可動役物10を備えた遊技機であれば、回胴式遊技機等の他の遊技機に対しても同様の技術思想が適用可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 遊技機
10 可動役物
22 表示装置
221 表示領域
30 検出回路
31 第一センサ
32 第二センサ
80 識別図柄
図1
図2
図3
図4