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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】メタマテリアルを用いた電磁気受信
(51)【国際特許分類】
   H01Q 19/06 20060101AFI20230718BHJP
   H01Q 15/02 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
H01Q19/06
H01Q15/02
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019038402
(22)【出願日】2019-03-04
(65)【公開番号】P2019193252
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-02-07
(31)【優先権主張番号】15/956,408
(32)【優先日】2018-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ダルトン・ウィリアムズ
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0199281(US,A1)
【文献】特開2002-374107(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第02951877(FR,A1)
【文献】特開平02-260804(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0225563(US,A1)
【文献】特表2010-526318(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105140652(CN,A)
【文献】V.S. Asadchy, Y. Ra’di, J. Vehmas, and S.A. Tretyakov,Functional Metamirrors Using Bianisotropic Elements,Phisical Review Letters,米国,American Physical Society,2015年,Vol.114,Iss.9,pp.095503-1~095503-5,DOI: https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.114.095503
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイス(100)であって、
複数の電磁的複異方性デバイス(102)と、
導電層(110)と、
前記複数の電磁的複異方性デバイスと前記導電層との間に位置するスペーサ層(104)と、
前記複数の電磁的複異方性デバイスと前記導電層との間に位置する電磁的インタフェースデバイス(106)であって、電磁波(114)の受信に応答して電気信号(124)を出力するように構成されている電磁的インタフェースデバイスと、を備え、
前記複数の電磁的複異方性デバイスのうち一つの電磁的複異方性デバイス(500B)が一対の連結しているC形粒子(510、520)を含み、前記一対の連結しているC形粒子(510、520)が、第一平面に平行に向けられる第一C形粒子(510)と、前記第一平面に非平行な第二平面に平行に向けられる第二C形粒子(520)を含む、デバイス。
【請求項2】
前記複数の電磁的複異方性デバイスのうち一つの電磁的複異方性デバイス(500C)が、導電性表面部(530)及び複数の磁極(534、536)を有する粒子を含み、前記複数の磁極の向きが、前記導電層に対する接平面である平面に垂直で且つ前記粒子を通過する直線(112)に対して角度がずらされていて、前記複数の磁極の向きが前記平面から角度がずらされている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記複数の電磁的複異方性デバイスのうち一つの電磁的複異方性デバイス(500A)が、導電性物質を備えるΩ形粒子を含み、前記導電性物質の第一部分(502)が円弧を形成するように位置し、前記導電性物質の第二部分(504)が前記円弧から第一方向に延伸し、前記導電性物質の第三部分(506)が前記円弧から第二方向に延伸し、前記第一方向が前記第二方向と反対である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記導電層が接地面の少なくとも一部を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記複数の電磁的複異方性デバイスが、第一対(402、404)の隣接する電磁的複異方性デバイスと、第二対(422、424)の隣接する電磁的複異方性デバイスとを含み、前記第一対の隣接する電磁的複異方性デバイスが第一ピッチ(406)で互いに離隔されていて、前記第二対の隣接する電磁的複異方性デバイスが第二ピッチ(426)で互いに離隔されていて、前記第一ピッチが前記第二ピッチと異なる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第一対のうち第一電磁的複異方性デバイスが第一高さ(408)で前記導電層から離隔されていて、前記第二対のうち第二電磁的複異方性デバイスが第二高さ(430)で前記導電層から離隔されていて、前記第一高さが前記第二高さと異なる、請求項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記複数の電磁的複異方性デバイスが同心円アレイ(602B)で位置する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記電磁的インタフェースデバイスが、光学センサと、光起電セルと、一つ以上のアンテナ素子とのうち一種以上を含み、前記電磁的インタフェースデバイスが複数のアンテナ素子(106A~106C)を含み、前記複数のアンテナ素子に結合された共通フィードライン(122D)を更に備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記スペーサ層が誘電体を含み、前記デバイスがフレキシブルである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記複数の電磁的複異方性デバイスが埋め込まれるポリマー層(904)を更に備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記複数の電磁的複異方性デバイスと前記導電層との間の層内に位置する第二複数の電磁的複異方性デバイス(802)を更に備える請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
複数の電磁的複異方性デバイスと、導電層と、前記複数の電磁的複異方性デバイスと前記導電層との間に位置するスペーサ層とを含むデバイスにおいて電磁波を屈折させること(1102)と、
前記複数の電磁的複異方性デバイスと前記導電層との間に位置する電磁的インタフェースデバイスにおいて屈折電磁波を受信すること(1104)と、
前記屈折電磁波の受信に応答して電気信号を前記電磁的インタフェースデバイスから出力すること(1106)と、を備え、
前記複数の電磁的複異方性デバイスのうち一つの電磁的複異方性デバイスが一対の連結しているC形粒子を含み、前記一対の連結しているC形粒子が、第一平面に平行に向けられる第一C形粒子と、前記第一平面に非平行な第二平面に平行に向けられる第二C形粒子(520)を含む、方法。
【請求項13】
前記電磁波が、前記デバイスの表面(202)に対する接平面である平面(204)の垂線(112)に対して最大80度の入射角度(116)で前記デバイスと交わる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記屈折電磁波が、前記垂線に平行な角度において前記電磁的インタフェースデバイスに受信される、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概してメタマテリアルを用いることによって電磁波を受信すること及び電磁的インタフェースデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電磁波(例えば、無線周波数(RF,radio frequency)波、光波、電磁スペクトルの他の部分の波等)は広範な応用において用いられる。例えば、電磁波は、通信、測距及び検出、無線電力伝送や、他の多くの応用に用いられる。RF伝送では、一つ以上の電磁波形を含む信号が送信器によって生成され、送信器に結合されたアンテナから放出される。光伝送では、信号は、光のビームを生成する源(レーザ等)によって生成され、光学系(レンズ、反射器等)を用いて、光のビームを特定の方向に向ける。信号がRFベースであろうが光ベースであろうが、受信デバイスは典型的に信号を伝播電磁波から電気信号(例えば、導体中の交流(AC,alternating current)や直流(DC,direct current))に変換して用いる。信号を使用するためには、受信デバイス(又はその一部)は、その受信デバイスが電磁波の十分なエネルギーを電気信号に変換することができるように、電磁波と交わらなければならない。
【0003】
多くの受信デバイスは方向性を有する(例えば、一部の方向において他の方向よりも高い利得を有する)。従って、送信デバイスによって伝送されたエネルギーがどのくらい受信デバイスにおいて電気信号に変換されるのかは、信号送信器及び受信デバイスの相対的な位置に部分的に依存し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
特定の実施形態では、デバイスは、複数の電磁的複異方性デバイスと、導電層と、複数の電磁的複異方性デバイスと導電層との間に位置するスペーサ層とを含む。また、デバイスは、複数の電磁的複異方性デバイスと導電層との間に位置する電磁的インタフェースデバイスも含む。電磁的インタフェースデバイスは、電磁波の受信に応答して電気信号を出力するように構成される。
【0005】
他の特定の実施形態では、方法は、複数の電磁的複異方性デバイスと、導電層と、複数の電磁的複異方性デバイスと導電層との間に位置するスペーサ層とを含むデバイスにおいて電磁波を屈折させることを含む。本方法は、更に、複数の電磁的複異方性デバイスと導電層との間に位置する電磁的インタフェースデバイスにおいて屈折電磁波を受信することを含む。また、本方法は、屈折電磁波の受信に応答して電気信号を電磁的インタフェースデバイスから出力することも含む。
【0006】
他の特定の実施形態では、方法は、電磁的インタフェースデバイスを導電層上に配置することを含む。電磁的インタフェースデバイスは、電磁波の受信に応答して電気信号を出力するように構成される。また、本方法は、導電層及び電磁的インタフェースデバイス上にスペーサ層を配置することも含む。本方法は、更に、複数の電磁的複異方性デバイスをスペーサ層上に配置することを含む。
【0007】
本願記載の特徴、機能及び利点は多様な実施形態において独立に達成可能であり、他の実施形態では組み合わせ可能であり、その更なる詳細は以下の説明及び図面を参照することで分かるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】複数の電磁的複異方性デバイスと電磁的インタフェースデバイスとを含むデバイスを示すブロック図である。
図2】構造体に結合されその構造体の形状とコンフォーマルになっている(一致している)図1のデバイスを示す図である。
図3図3Aは、単一の電磁的インタフェースデバイスと単一のフィードラインとを有する図1のデバイスの一例を示す図である。図3Bは、複数の電磁的インタフェースデバイスと複数のフィードラインとを有する図1のデバイスの一例を示す図である。図3Cは、複数の電磁的インタフェースデバイスと一つにまとめられたフィードラインとを有する図1のデバイスの一例を示す図である。
図4図4Aは、図1のデバイスの一例を示し、図4B図4C及び図4Dにより詳細に示される領域を特定する図である。図4B図4C及び図4Dは、図4Aのデバイスの部分の詳細図を示す図である。
図5図5Aは、図1のデバイスの一例を示し、図5B図5C及び図5Dにおいて態様な実施形態に従ってより詳細に示される領域を特定する図である。図5Bは、図1及び図5Aの電磁的複異方性デバイスの特定の実施形態に係るΩ形粒子を示す図である。図5Cは、図1及び図5Aの電磁的複異方性デバイスの特定の実施形態に係る一対の連結しているC形粒子を示す図である。図5Dは、図1及び図5Aの電磁的複異方性デバイスの特定の実施形態に係る傾斜したロッド形粒子を示す図である。図5Eは、図5Dの傾斜したロッド形粒子の断面図を示す図である。
図6図6Aは、図1のデバイスの特定の実施形態の上面図を示す図である。図6Bは、図1のデバイスの他の特定の実施形態の上面図を示す図である。
図7A】特定の実施形態に係る図1のデバイスと電磁波の相互作用を示す図である。
図7B】他の特定の実施形態に係る図1のデバイスと電磁波の相互作用を示す図である。
図8】複数層の電磁的複異方性デバイスを有する図1のデバイスを示すブロック図である。
図9図9A図9B図9C図9D及び図9E図1のデバイスを形成する方法の一例を示す図である。
図10図1のデバイスを形成する方法の一例のフローチャートである。
図11図1のデバイスを用いて電磁波に応答して電気信号を生成する方法の一例のフローチャートである。
図12図1のデバイスを含むビークルのライフサイクルの態様を示すフローチャートである。
図13図1のデバイスを含むビークルのブロック図の例示である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態は、所謂メタマテリアルを用いて、受信デバイスが電磁信号を受信することができる入射角度の範囲を広げる。本願においては、電磁波を閾値利得で受信することができる最大の入射角度を許容角度と称する。許容角度によって各方向に境界付けされる領域を許容領域と称する。特定の態様では、本開示のデバイスの許容角度は80度以上である。従って、そのようなデバイスの許容角度は、平坦な構造の場合には、デバイスの平面の垂線の周りに、その垂線に対して80度以上の角度で回転円錐を含む。一部態様では、デバイスがフレキシブルであり、デバイスを非平坦な構造(例えば、凸構造)で配置することができるので、許容領域は更に広くなり得る。例えば、デバイスを、凸構造体(円錐や球等)にコンフォーマルに結合させることができる。凸構造では、デバイスの許容領域は顕著に広くなり得て、最大360度に達し得る(例えば、デバイスの表面の特定の垂線からいずれの方向にも180度)。具体的な例として、一部実施形態では、本開示の特定の態様に係るアンテナは、15dBを超えるアンテナ信号利得を維持しながら、空の85%を同時に(移動なしで)撮像することができる。
【0010】
本開示のメタマテリアルは、導電層(例えば接地面)から間隔が空けられた複数の電磁的複異方性デバイス(例えば、複異方性(bi‐anisotropic)で磁気分極したメタ粒子)を含む。複数の電磁的複異方性デバイスと導電層とが共に(場合によっては他の部品と共に)屈折デバイスを形成する。以下で更に説明するように、屈折デバイスは、入射電磁波を接地面に向けて高効率で屈折させる。例示すると、一部実施形態では、屈折は、80度を超える許容角度にわたって無損失のものである(例えば、ユニティゲインを有する)。
【0011】
参照を簡単にするため、非限定的に、屈折デバイスの隣接する電磁的複異方性デバイス同士の間の間隔を、本願では、図面に示されている多様な実施形態に対応させて「水平間隔」や「ピッチ」と称する。この点について、「水平」は、重力や他の外部指示対象に対する特定の向きを称するものではなく、隣接する電磁的複異方性デバイス同士の間の間隔の指称を単純にするのに便利なためだけに用いられていることを理解されたい。同様に、参照を簡単にするため、非限定的に、屈折デバイスの特定の電磁的複異方性デバイスと導電層(例えば、接地面)との間の間隔を、本願では、図面に示されている多様な実施形態に対応させて「垂直間隔」や「高さ」と称する。この点について、「垂直」は、重力や他の外部指示対象に対する特定の向きを称するものではなく、特定の電磁的複異方性デバイスと導電層との間の間隔の指称を単純にするのに便利なためだけに用いられていることを理解されたい。
【0012】
屈折デバイスの電磁的複異方性デバイスの水平間隔は、屈折させる電磁波の波長に基づいたものとなる。一部実施形態では、異なる複数の水平間隔を用いて、屈折デバイスをより広範な波長で動作させることができる。異なる複数の水平間隔とは、屈折デバイスの第一対の電磁的複異方性デバイス同士の間の水平間隔が屈折デバイスの第二対の電磁的複異方性デバイス同士の間の水平間隔とは異なることを称する。
【0013】
同様に、屈折デバイスの電磁的複異方性デバイスと接地面との間の垂直間隔も、屈折させる電磁波の波長に基づいたものとなり、垂直間隔は、屈折デバイスの電磁的複異方性デバイス毎に異なり得る。一部実施形態では、第一組の電磁的複異方性デバイスは第一層中で互いに水平方向に間隔が空けられ得て、第二組の電磁的複異方性デバイスは第二層中で互いに水平方向に間隔が空けられ得る。このような実施形態では、第一層と第二層との垂直間隔が異なり得る。
【0014】
電磁的インタフェースデバイス(又は一組の電磁的インタフェースデバイス)は、電磁的複異方性デバイスと接地面との間に位置する(例えば、屈折デバイス内の層中に位置する)。「電磁的インタフェースデバイス」との用語は、本願において、電磁波を電気信号に変換するように選択された構造及び物質を有するデバイスを称する。従って、「電磁的インタフェースデバイス」との用語は、RF電磁波に応答して、光に応答して(人間の可視波長範囲内の光であろうと、人間の可視波長範囲外の光であろうと)、電磁スペクトルの他の部分の波に応答して、又はこれらの組み合わせにおいて、電気信号を生成するデバイスを含む。電磁的インタフェースデバイスの例として、無線周波数範囲やマイクロ波周波数範囲の電磁波に応答して電気信号を生成する多様な種類のアンテナが挙げられる。他の例の電磁的インタフェースデバイスとして、赤外線波長と紫外線波長との間の電磁波に応答して電気信号を生成する多様な種類の光センサ、例えば、半導体系光検出器(例えば、光起電セル、光学センサ、電荷結合素子(CCD,charge coupled device)、アクティブ画素センサ)が挙げられる。また、電磁的インタフェースデバイスとして、他の波長範囲の電磁波を検出する他の種類のセンサ、例えば、略1ミリメートルから0.1ミリメートルの波長範囲内の所謂テラヘルツ波を検出する半導体系センサや、電磁スペクトルの他の部分を感知するそのような他のセンサが挙げられる。
【0015】
図1は、複数の電磁的複異方性デバイス102と電磁的インタフェースデバイス106とを含むデバイス100の特定の例を示すブロック図である。図1の例は、平坦な構造におけるデバイス100の概観とその一般的な動作とを与える。デバイス100の多様な特徴に関する更なる詳細は、後続の図面を参照して例示され説明される。
【0016】
図1では、デバイス100は導電層110(大抵の実施形態では接地面として用いられ、本願では接地面と称されることもある)を含む。電磁的インタフェースデバイス106が導電層110の上にある。図1に示される例では、第二スペーサ層108が電磁的インタフェースデバイス106と導電層110との間にある。スペーサ層104(例えば、第一スペーサ層)が電磁的インタフェースデバイス106の上にあり、電磁的複異方性デバイス102がスペーサ層104の上にある。
【0017】
また、図1は、デバイス100の表面の垂線112に対して入射角度116を有する入射電磁波114を示す。図1では、垂線112はデバイス100の上面に対して示されているが、デバイスの多様な層が比較的均一な厚さを有する場合、垂線112はデバイス100の他の表面の垂線(例えば、垂線112の位置の下にある接地面の表面の垂線)に対して平行なものとなる。また、図1は、デバイス100の許容角度118を示す。入射電磁波114の入射角度116が許容角度118以下であると、電磁的複異方性デバイス102によって入射電磁波114の少なくとも一部が導電層110に向けて屈折される。
【0018】
一般的に、デバイス100の透過率(例えば、導電層110に向けて屈折される入射電磁波114の割合)は、電磁的複異方性デバイス102の水平間隔の関数である。特定の例では、隣接する電磁的複異方性デバイスの磁気モーメント同士の間の距離が入射電磁波114の波長の略1.05倍である水平間隔を用いて、入射電磁波114の無損失又はほぼ無損失の屈折を達成することができる。
【0019】
デバイス100の許容角度118は、電磁的複異方性デバイス102と導電層110との間の垂直間隔の関数である。特定の例として、一部実施形態では、電磁的複異方性デバイス102と導電層110との間の垂直間隔が入射電磁波114の波長の略1.43倍である場合、入射電磁波114の無損失又はほぼ無損失の屈折についての許容角度118は略83度である。
【0020】
他の水平間隔及び/又は他の垂直間隔も使用可能である。特に、非平坦な構造(図2に示されるような構造)では、そのデバイス100自体の形状によってデバイス100の許容領域が拡張されているので、83度より大幅に小さな許容角度118でも、極めて広い領域からの電磁波114を許容することができる。このような構造では、顕著な悪影響なく、垂直間隔を入射電磁波114の波長未満に減少させることができる。また、多くの応用では、入射電磁波114の無損失又はほぼ無損失の屈折は要されない。このような実施形態では、電磁的複異方性デバイス102同士の水平間隔は上記の比から外れ得る。一部実施形態では、特定の波長における単一の伝送効率のために広範な波長にわたる動作が好ましい。このような実施形態では、水平間隔は、第一対の電磁的複異方性デバイス102と第二対の電磁的複異方性デバイス102との間で異なり得る。一部実施形態では、以下で更に説明するように、水平間隔と垂直間隔との両方が電磁的複異方性デバイスの対ごとに異なる。
【0021】
導電層110からと電磁的複異方性デバイス102からとの電磁的インタフェースデバイス106の電気的絶縁を促進し、また、電磁的複異方性デバイス102と導電層110との間の目的の垂直間隔を提供するために、スペーサ層104、108は誘電体を含む。特定の例として、スペーサ層104、108の一方又は両方がフレキシブルな誘電性ポリマー層、例えば、ポリイミド層やポリフッ化ビニリデン層を含み得る。一部の例では、電磁的インタフェースデバイス106が、導電層110からの電磁的インタフェースデバイス106の十分な電気的絶縁を提供する層を含み、又はそのような層の上に形成され、若しくはそのような層の中に形成され、このような例では、第二スペーサ層108が省略可能である。このような例では、スペーサ層104の厚さと、電磁的インタフェースデバイス106を含む層の厚さとが、目的の垂直間隔を与える。追加的に又は代替的に、電磁的インタフェースデバイス106を含む層が、電磁的複異方性デバイス102からの電磁的インタフェースデバイス106の十分な電気的絶縁を提供することができ、このような例では、スペーサ層104が省略可能である。このような例では、電磁的インタフェースデバイス106を含む層の厚さ(及び、存在する場合には、第二スペーサ層108の厚さ)が、目的の垂直間隔を与える。
【0022】
電磁的インタフェースデバイス106は、導体122を介して回路120に結合され(例えば、電磁的に結合され)、電磁的インタフェースデバイス106に当たる又は交わる電磁波114の一部に応答して電気信号124を回路120に提供する。異なる種類の電磁的インタフェースデバイス106は異なる種類の電気信号124を生成する。従って、電磁的インタフェースデバイス106に結合される回路120の具体的な種類は、電磁的インタフェースデバイス106にある程度依存する。第一例では、電磁的インタフェースデバイス106は光起電セルを含む。この第一例では、電気信号124は一般的にDC電圧であり、回路120は電力回路、例えば、電力変換回路(例えば、DC‐DC変換器、DC‐AC変換器)、充電回路、配電回路、電力管理回路、又はこれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。第二例では、電磁インタフェースデバイス106はアンテナを含む。この例では、電気信号124は一般的に振動電圧であり、回路120はアンテナインタフェース回路(例えば、整合ネットワーク)、振動電圧内の変調されたデータを復号する多様な部品を含む受信器、及び信号処理回路を含む。代替的に又は追加的に、第二例において、回路120は、電磁波114の一部からエネルギーを抽出する電力回路を含む。第三例では、電磁波インタフェースデバイス106は光学センサ(例えば、CCD、アクティブ画素センサ)を含む。この第三例では、電気信号124は一般的にデジタル信号であり、回路120は画像処理回路を含む。
【0023】
一部実施形態では、デバイス100はフレキシブルであり(例えば、フレキシブル物質製である)、デバイス100を表面部にコンフォーマルに結合させることができる。例えば、特定の実施形態では、デバイス100は航空機のレドームにコンフォーマルに結合可能である。この実施形態では、デバイス100は、(物理的に又は電子的に)走査することなく、空の大部分からの電磁波を受信及び/又は検出することができる。デバイス100の曲率が許容角度の減少をある程度埋め合わせることができるので、一部実施形態では、許容可能な伝送効率を提供しながら、デバイス100の全厚さが、電磁波114の自由空間波長の半分という小ささとなり得る。
【0024】
図2は、構造体200に結合され、その構造体200の形状と一致している(コンフォーマルになっている)図1のデバイスを示す図である。X軸220及びY軸222に平行な平面における構造体200の断面図が図2に示されている。図2に示される断面図は湾曲した形状を有し、デバイス100が構造体200に対してコンフォーマルになっている(例えば、構造体200の形状を呈している)。構造体200の湾曲形状はZ軸(図示されていないが、図2に示される紙面に出入りして延在する)に沿って均一であり得る。代わりに、構造体200はY軸222及びZ軸に平行な平面、X軸220及びZ軸に平行な平面、又はその両者において湾曲し得る。
【0025】
図2は、複数の平面204A、204B及び204Cも示し、その各々は、各箇所におけるデバイス100の表面202に対する接平面である。図2は、デバイス100の複数の垂線112A、112B及び112Cを更に示す。各垂線112A、112B、112Cは各箇所における対応する平面204A、204B、204Cと垂直である。
【0026】
図2は、デバイス100を湾曲させることをどのようにして用いて、デバイス100の許容領域210を広げることができるのかを示す。例示目的のため、垂線112Cに対する許容角度(図面を煩雑にしないために図2に示さず)は、図1の許容角度118と同様であるとする。垂線112Cに対する許容角度によって形成される許容領域の境界212Cが図2の両側に示されている。従って、境界212Cは、デバイス100が垂線112Cを有する平坦な構造内にある場合(図1のような場合)における、デバイス100の許容領域の寸法を示す。
【0027】
図2に示されるように、デバイス100を湾曲させることによって、デバイス100は、境界212Cによって画定される領域よりも広い許容領域210を有する。例えば、垂線112Aの箇所において、デバイスは許容角度118Aを有し、これは垂線112Cにおける許容角度と同じであるが、デバイス100の曲率のため、許容角度118Aは、境界212Cよりも広い(広い角度領域をカバーする)許容領域210の境界212Aを与える。同様に、垂線112Bの箇所において、デバイス100は許容角度118Bを有し、これは垂線112Cにおける許容角度と同じであるが、デバイス100の曲率のため、許容角度118Bは、境界212Cよりも広い(広い角度領域をカバーする)許容領域210の境界212Bを与える。
【0028】
図2は凸曲面を有するように配置されたデバイスを示しているが、デバイス100は他の構造において異なる曲率を有することができる。例えば、一部実施形態では、デバイス100は、凹曲面や複雑曲面(例えば、一つ以上の変曲点を有するもの)を有するように配置可能である。更に、図2は、断面図において構造体200の表面の一部に対してのみコンフォーマルにされたデバイス100を示しているが、他の実施形態では、デバイス100が断面図において構造体200を完全に囲むことができる。このような実施形態では、許容領域210も完全に構造体200を囲み、XY平面のあらゆる角度位置からの電磁波114を許容することができる。Z軸に沿ってデバイス100を湾曲させることによって、デバイス100をあらゆる方向からの電磁波114を許容するように構成することができる。
【0029】
図3A図3B及び図3Cは共に電磁的インタフェースデバイス106と回路120の多様な結合配置構成を示す。図3A図3B及び図3Cでは、導体122は、絶縁開口部304を介して導電層110を貫通するものとして示されている。しかしながら、他の実施形態(図1に示される例等)では、導体122は、導電層110と電磁的インタフェースデバイス106との間の層内や、電磁的インタフェースデバイス106を含む層内の給電(フィード)ネットワークの一部である。このような実施形態では、導体122は、導電層110を貫通せず、デバイス100の端部に延伸し得る。
【0030】
図3Aは、図1のデバイス100が、単一の回路120に結合された単一の電磁的インタフェースデバイス106を有する例を示す図である。従って、図3Aは、電磁的インタフェースデバイス106と回路120との一対一配置構成の例を示す。
【0031】
図3Bは、図1のデバイス100が複数の電磁的インタフェースデバイス106A、106B及び106Cを有する例を示す図である。また、図3Bは、複数の回路120A、120B及び120Cを示し、各回路120A、120B、120Cは各導体122A、122B、122Cを介して各電磁的インタフェースデバイス106A、106B、106Cに結合される。従って、図3Bは、電磁的インタフェースデバイス106と回路120との一対一配置構成の例を示す。電磁的インタフェースデバイス106A、106B、106Cがアンテナ素子を含む場合、図3Bの一対一配置構成を用いて、各アンテナ素子の出力を個別に位相変調して(例えばビームフォーミングして)、電磁的インタフェースデバイス106A、106B、106Cを電子的に指示又は走査することができる。
【0032】
図3Cは、図1のデバイス100が、単一の回路120に結合された複数の電磁的インタフェースデバイス106A、106B及び106Cを有する例を示す図である。図3Cでは、各導体122A、122B、122Cが各絶縁開口部304A、304B、304Cを介して導電層110を貫通していて、導体122A、122B及び122Cがまとめられて回路120への単一の接続部122D(例えば、共通フィードライン)を形成している。従って、図3Cは、電磁的インタフェースデバイス106と回路120との多対一配置構成の例を示す。電磁的インタフェースデバイス106A、106B、106Cがアンテナ素子を含み、図3Cの多対一配置構成を用いる場合、各アンテナ素子の出力は回路120によって個別に位相変調されない。
【0033】
一部実施形態では、電磁的インタフェースデバイス106と回路120との一対一結合(図3A図3Bに示されるもの等)が、どの電磁的インタフェースデバイス106が特定の電気信号124を発生させたのかを示す情報を保持することを可能にする。どの電磁的インタフェースデバイス106が特定の電気信号124を発生させたのかを示す情報を用いて、電磁波114の到来方向(又は入射角度116)を決定又は推定することができる。到来方向推定を用いて、例えば、デバイス100に対する相対的な電磁波114の源の方向を決定することができる。
【0034】
到来方向情報の保持がデバイス100の動作にとって重要ではない場合、電磁的インタフェースデバイス106A、106B、106Cと回路120との多対一結合(図3Cに示されるもの等)が使用可能である。一部実施形態では、図3Cのように、複数の電磁的インタフェースデバイス106A、106B及び106Cを、それらの出力を単一の回路120に結合することによってグループ化してまとめることができる。このような実施形態では、こうしたグループを複数用いることによって、到来方向情報を保持することができる。例えば、このような実施形態では、電磁的インタフェースデバイス106A、106B、106Cの各々が、各単一の回路に結合された一グループの複数電磁的インタフェースデバイスを表すものとなり得る。
【0035】
図3A図3Cのそれぞれでは、各導体122、122A、122B、122C、122Dが単一の導体(例えば、トレースやワイヤ)又は複数の導体(バスを形成するように配置された複数のトレースや複数のワイヤ)を表すものとなり得ることを理解されたい。他の実施形態では、導体122又は複数の導体122A、122B、122Cは、異なる方法で配線され、例えば、導電層110の表面上の絶縁トレースに沿って配線される。
【0036】
図4Aは、図1のデバイスの一例を示し、図4B図4C及び図4Dにより詳細に示される領域を特定する図であり、図4B図4C及び図4D図4Aのデバイス100の部分の詳細図を示す図である。具体的には、図4Bはデバイス100の部分400の詳細図を示し、図4Cはデバイス100の部分420の詳細図を示し、図4Dはデバイス100の部分440の詳細図を示す。
【0037】
デバイス100の部分400は、ピッチ406によって示される水平間隔で互いに離隔された第一対の電磁的複異方性デバイス402及び404を含む。電磁的複異方性デバイス402は、高さ408によって示される導電層110からの垂直間隔を有し、電磁的複異方性デバイス404は、高さ410によって示される導電層110からの垂直間隔を示す。
【0038】
デバイス100の部分420は、ピッチ426によって示される水平間隔で互いに離隔された第二対の電磁的複異方性デバイス422及び424を含む。電磁的複異方性デバイス422は、高さ428によって示される導電層110からの垂直間隔を有し、電磁的複異方性デバイス424は、高さ430によって示される導電層110からの垂直間隔を示す。
【0039】
デバイス100の部分440は、ピッチ446によって示される水平間隔で互いに離隔された第三対の電磁的複異方性デバイス442及び444を含む。電磁的複異方性デバイス442は、高さ448によって示される導電層110からの垂直間隔を有し、電磁的複異方性デバイス444は、高さ450によって示される導電層110からの垂直間隔を示す。
【0040】
一部実施形態では、電磁的複異方性デバイス102は規則的なパターン(図6A及び図6Bに示されるようなもの)に従って配置される。このような一部パターンでは、各対の電磁的複異方性デバイス102のピッチは、各他の対の電磁的複異方性デバイス102のピッチに等しい。例えば、図4C及び図4Dは、ピッチ426がピッチ446に等しい様子を示す。他のこのようなパターンでは、ピッチの少なくとも一部が互いに異なる。例えば、図4B及び図4Cは、ピッチ406がピッチ426に等しくない(例えば、この例では小さい)様子を示す。
【0041】
一部実施形態では、デバイス100が平坦な配置にある場合、複数の電磁的複異方性デバイス102は同一平面上にある。このような実施形態では、高さ408、410、428、430、448及び450は等しい(又は実質的に等しい、つまり、製造公差内で等しい)。例えば、図4Bは高さ408が高さ410に等しい様子を示す。他の実施形態では、電磁的複異方性デバイス102は複数の層内に配置され、デバイス100が平坦な配置にある場合、各層内の電磁的複異方性デバイス102は同一平面上にある。このような実施形態の一例では、電磁的複異方性デバイス402、404、444が、高さ408、410及び450が等しく(又は実質的に等しく、つまり、製造公差内で等しく)なるように第一層を形成することができ、電磁的複異方性デバイス422、424及び442が、高さ428、430及び448が等しく(又は実質的に等しく、つまり、製造公差内で等しく)なるように第二層を形成することができる。この例では、第一層の高さ408、410及び450は、第二層の高さ428、430及び448に等しくない。上記では二層としたが、一部実施形態では、デバイス100は、二層よりも多層の電磁的複異方性デバイス102を含む。
【0042】
異なるピッチ406、426、446、異なる高さ408、410、428、430、448、450、又はこれらの組み合わせを用いて、デバイス100が動作する波長範囲を広げることができる。例えば、上述のように、デバイス100の伝送効率及び許容角度は電磁波114の波長、水平間隔、及び垂直間隔に関係している。また、上述のように、許容角度の減少は、デバイス100の形状によって対処可能である。従って、単一のデバイス100内において異なる水平間隔及び垂直間隔を用いることによって、許容角度の実質的な損失無く、複数の(典型的に重複する)波長範囲に対して高い伝送効率を達成することができる。また、一部実施形態では、図7Bを参照して更に説明するように、異なる水平間隔及び垂直間隔を較正データと共に使用して、デバイスの100の平坦な配置に対する到来方向情報を保持することができる。
【0043】
図5Aは、図1のデバイスの例を示し、図5B図5C図5D及び図5Dの多様な実施形態に従ってより詳細に示される特定の電磁的複異方性デバイス500を特定する図である。図5B図5Aの電磁的複異方性デバイス500の特定の実施形態に係るΩ形粒子500Aを示す図である。図5C図5Aの電磁的複異方性デバイス500の特定の実施形態に係る一対の連結しているC形粒子500Bを示す図である。図5D図5Aの電磁的複異方性デバイス500の特定の実施形態に係る傾斜したロッド形粒子500Cを示す図である。図5E図5Dの傾斜したロッド形粒子500Cの断面図を示す図である。
【0044】
図5BのΩ形粒子500Aは、導電性物質(金属等)を含む(又はそれ製である)。導電性物質は、導電性物質の第一部分502が円弧を形成するように配置される。導電性物質の第二部分504はその円弧から第一方向に延伸し、導電性物質の第三部分506はその円弧から第一方向の反対の第二方向に延伸する。導電性物質は第二部分504と第三部分506との間にギャップ508を画定する。
【0045】
図5に示される実施形態では、Ω形粒子500Aは、第一方向が図1の垂線112に平行となり、第二方向が垂線112に反平行になるように向けられる。しかしながら、他の実施形態では、Ω形粒子500Aは異なる向きを有し得る。Ω形粒子500Aの向きについての唯一の制約は、Ω形粒子500Aが図1の電磁波114に晒される際に、Ω形粒子500Aに誘起される磁気モーメントが垂線112と整列しないようにして、また隣接するΩ形粒子500Aの磁気モーメント同士が整列しないような向きにすることである。言い換えると、Ω形粒子500Aの向きは、Ω形粒子が電磁的に複異方性(bi‐anisotropic)であるようにされる。
【0046】
図5Cの一対の連結しているC形粒子500Bは第一C形粒子510及び第二C形粒子520を含む。C形粒子510及び520は両方とも導電性物質(金属等)製である(又は含む)。図5Cに示される例では、第一C形粒子510は第一平面(例えば、図2の軸を用いるYZ平面)に平行に向けられ、第二C形粒子520は第二平面(例えば、図2の軸を用いるXY平面)に平行に向けられる。この例では、第一平面は第二平面と直交している。つまり、第一C形粒子は第二C形粒子に対して90度回転している。C形粒子510、520の磁場の相互作用が、一対のC形粒子500Bが電磁波114に晒される際に電磁的に複異方性の応答を提供する。従って、C形粒子510、520の具体的な向きは他の実施形態では異なり得る。例えば、一部実施形態では、第一平面が第二平面と非直交で非平行である。また、図5Cでは、第一C形粒子510は第二C形粒子520と同様のサイズ及び形状を持つものとして示されている。他の実施形態では、第一C形粒子510は、第二C形粒子520と異なるサイズを有し、第二C形粒子520と異なる形状(例えば、異なるプロポーション)を有し、又はそれら両方となる。
【0047】
図5D及び図5Eの傾斜したロッド形粒子500Cは、導電性表面部530と、複数の磁極534及び536を有する磁性物質532とを含む。一部実施形態では、磁性物質532は導電性磁性物質、例えばNiFe、NiFeCo、又は他の合金である。他の実施形態では、磁性物質532はセラミック磁性物質であり、導電性表面部530は、セラミック磁性物質上の導電性又は半導体の薄層で形成される。このような実施形態では、酸化物層又は他の絶縁層を磁性物質532と導電性表面部530との間に配置し得る。磁極534及び536は、導電層110の接平面である平面の垂線に平行で且つ傾斜したロッド形粒子500Cを通る直線に対して角度がずらされるように配置される。また、磁極534、536は、その平面からも角度がずらされて向けられる。言い換えると、磁極534と536との間で延伸する直線538は、垂線112に平行ではなく、且つ傾斜したロッド形粒子500Cの直下の導電層110の部分に対する接平面である平面に平行ではない(ここで、「直下」とは垂線112の方向についてのものである)。
【0048】
図6A及び図6Bは二つの特定の実施形態に係る図1のデバイス100の上面図を示す図である。また、図6A及び図6B図2のX軸220及びZ軸604も示す。図6A及び図6Bは電磁的複異方性デバイス102の二つのパターン例(例えば、図6Aのパターン602A、図6Bのパターン602B)を示す。パターン602Aは矩形アレイであり、パターン602Bは同心円アレイである。パターン602A及び602Bは単に例示的なものであり、他の実施形態では、他の配置構成の電磁的複異方性デバイス102を用いて、他のパターンを形成することができる。例えば、一部実施形態では、電磁的複異方性デバイス102を、単位セル当たり一つよりも多くの電磁的複異方性デバイス102を含むパターンで配置することができ、その単位セルは、単位セルのパターン(図6A及び図6Bのような電磁的複異方性デバイス102のパターン以外のもの)を形成するように配置可能である。例示すると、複数の電磁的複異方性デバイス102を含む単位セルを矩形アレイ(パターン602Aの矩形アレイと同様のもの)で繰り返すことができ、又は複数の電磁的複異方性デバイス102を含む単位セルを同心円アレイ(パターン602Bの同心円アレイと同様のもの)で繰り返すことができる。
【0049】
図7Aは特定の実施形態に係る図1のデバイスと電磁波の相互作用を示す図である。図7Aでは、電磁的複異方性デバイス102は、デバイス100の表面の垂線112に平行な角度で入射電磁波114を屈折させるように配置される(例えば、垂直間隔と水平間隔を有する)。この実施形態では、デバイス100が図1のような平坦な構造である際に、入射電磁波114に関する到来方向情報(例えば、入射角度116を示す情報)は、デバイスが入射電磁波114を屈折させた後に保持されない。つまり、入射電磁波114の入射角度116がデバイス100の許容角度内にある限り、入射電磁波114の屈折部分は、垂線112に平行な方向において電磁的インタフェースデバイス106と交わる。従って、電磁波114Aは、電磁波114Bの第二入射角度とは異なる第一入射角度を有する。それにもかかわらず、屈折後には、電磁波114Aの屈折部分702Aは、電磁波114Bの屈折部分702Bと実質的に平行になる。
【0050】
図7Bは、他の特定の実施形態に係る図1のデバイスと電磁波の相互作用を示す図である。図7Bでは、電磁的複異方性デバイス102は、垂線112に非平行な角度で入射電磁波114の少なくとも一部を屈折させるように配置される(例えば、垂直間隔と水平間隔を有する)。この実施形態では、デバイス100が図1のような平坦な構造である際に、入射電磁波114に関する到来方向情報(例えば、入射角度116を示す情報)を保持することができる。例えば、入射電磁波114の異なる部分が、異なる電磁的インタフェースデバイス106A、106B、106C、又は単一の電磁的インタフェースデバイス106の異なる部分(例えば、画素領域)と交わるように異なって屈折される。このような実施形態では、第二スペーサ層108は、電磁的複異方性デバイス102に対する特定の箇所に電磁的インタフェースデバイス106が位置決めされて、電磁的インタフェースデバイス106で検出されるような入射電磁波114の屈折部分の到来方向情報の決定を促進するように入射電磁波114の屈折部分と交わるように選択された厚さを有し得る。回路120(図示せず)は、電磁波114の対応する到来方向に対して、異なる電磁的インタフェースデバイス106A、106B、106C(例えば、異なるアンテナ素子)によって、又は単一の電磁的インタフェースデバイス106の異なる部分(例えば、画素領域)によって生成された電気信号をマッピングする較正データを記憶することができる。
【0051】
図8は、複数層の電磁的複異方性デバイスを有する図1のデバイス100を示すブロック図である。図4A図4D及び図7Bは、異なる垂直間隔を有する複数の電磁的複異方性デバイス102を有するデバイス100の実施形態の例を示していた。一部実施形態では、垂直間隔を異ならせることは、電磁的複異方性デバイス102を有する第一層と、第二電磁的複異方性デバイス802を有する第二層とを含む二つの別々の層の電磁的複異方性デバイスを有するデバイス100を形成することによって達成可能である。導電層110上で異なる垂直間隔を有することに加えて、電磁的複異方性デバイス102は、電磁的複異方性デバイス802とは異なる水平間隔を有することができる。一部実施形態では、電磁的複異方性デバイス102を第一パターンを形成するように配置し、電磁的複異方性デバイス802を第一パターンとは異なる第二パターンを形成するように配置することができる。更に、図8は二層の電磁的複異方性デバイス(例えば、電磁的複異方性デバイス102及び第二電磁的複異方性デバイス802)を示しているが、他の実施形態では、デバイス100は、二層よりも多層の電磁的複異方性デバイスを含むことができる。
【0052】
図9A図9B図9C図9D及び図9Eは、図1のデバイスを形成する方法の一例を示す図である。図9Aに示される第一工程900では、第二スペーサ層108を導電層110上に形成する。比較的均一で制御された厚さの堆積物質を提供する堆積方法を用いて、第二スペーサ層108を形成することができる。例えば、液体を導電層110上に堆積させ、液体を均一に分散させて液層の厚さを制御するように導電層を回転させるスピンオン法を用いて、第二スペーサ層108を形成することができる。他の例では、アディティブマニュファクチャリング法、例えば、熱可塑性ポリマーや硬化可能な熱硬化性樹脂を用いる所謂“3Dプリンティング”を用いて、第二スペーサ層108を形成する物質を堆積させることができる。一部実施形態では、第二スペーサ層108を堆積及び硬化後に更に処理して、目的の厚さを得ることができる。例えば、化学機械研磨工程や同様の工程を行って、第二スペーサ層108の厚さをレベリング及び調整し得る。他の実施形態では、電磁的インタフェースデバイス106は複数のアンテナ素子を含み、それらアンテナ素子は、アディティブパターニングやサブトラクティブパターニングを用いて、例えば、第二スペーサ層108上に銅(又は他の導電層)をパターニングして、アンテナ素子を形成するように配置された複数の導電性パッチを形成することによって、製造される。このような実施形態では、給電ネットワーク(例えば、一つ以上のフィードライン)を、電磁的インタフェースデバイス106を含む層内に、又は第二スペーサ層108内部にパターニングすることもできる。
【0053】
図9Bは、第一工程900に続く第二工程910を示す。第二工程910では、電磁的インタフェースデバイス106(又は一組の電磁的インタフェースデバイス106)を第二スペーサ層108に結合する。一部実施形態では、電磁的インタフェースデバイス106は事前に完成デバイスとして用意され、この場合、第二工程910は、電磁的インタフェースデバイスを目的の箇所に整列させて、電磁的インタフェースデバイス106を第二スペーサ層106に機械的に結合することを含む。一部実施形態では、第二工程910の前に導体122が配置され、この場合、第二工程910は、電磁的インタフェースデバイス106を導体122に電気的に結合することも含み得る。一部実施形態では、電磁的インタフェースデバイス106は第二工程910中に形成される。例えば、3Dプリンティング工程や導電性インクプリンティング工程を用いて、電磁的インタフェースデバイス106を第二スペーサ層108上に堆積させることができる。このような実施形態では、第二スペーサ層108に対する電磁的インタフェースデバイス106の付着を改善するように第二スペーサ層108の表面を前処理することができる。
【0054】
図9Cは、第二工程910に続く第三工程920を示す。第三工程920では、スペーサ層104を形成する。第二スペーサ層108の形成に関して上述したように、3Dプリンティング工程や堆積工程を用いて、スペーサ層104を形成することができる。
【0055】
図9Dは、第三工程920に続く第四工程930を示す。第四工程930では、スペーサ層104上に層902を形成し、電磁的複異方性デバイス102を層902に結合する。代わりに、電磁的複異方性デバイス102をスペーサ層104に結合することができる。層902は、電磁的複異方性デバイス102の相対的な位置関係を維持するように機能する。例えば、層902は、(例えば機械的に配置することによって)電磁的複異方性デバイス102が結合される接着剤であり得る。他の例では、層902は、電磁的複異方性デバイス102が形成されるパターン化層を含み得る。この例では、層902は犠牲層であり(例えば、電磁的複異方性デバイス102の形成後に除去される)、又は残存してデバイス100の一部となり得る。電磁的複異方性デバイス102を別途形成して、層902に結合することもできるし、例えば、3Dプリンティング法や金属堆積を用いて、電磁的複異方性デバイス102を適所に形成することもできる。
【0056】
図9Eは、第四工程930に続く第五工程940を示す。第五工程940では、保護層904を電磁的複異方性デバイス102の周り及び/又は上に形成する。例えば、保護層は、摩耗等に対して電磁的複異方性デバイス102を機械的に保護するポリマー層を含み得る。
【0057】
図9Aから図9Eは、デバイス100を形成するのに使用可能な方法の単に一例に過ぎない。他の実施形態では、工程900、910、920、930、940のうち一つ以上が他の工程に置換されたり、工程900、910、920、930、940のうち一つ以上が省略されたり、追加の工程が行われたりし得る。例えば、接着層を電磁的インタフェースデバイス106に結合させて、電磁的インタフェースデバイス106を導電層110に結合させるのに使用することができる。この例では、接着層が第二スペーサ層108の代わりとなり得る。従って、第一工程900が省略可能である。他の例として、一部実施形態では、導電層110が非常に薄く(例えば、金属箔)、簡単に損傷する。このような例では、第一工程900の前に、導電層110をキャリア層に結合する工程(図示せず)が行われ得る。この例では、他の工程900、910、920、930、940のうち一つの後に、キャリア層を除去することができる。他のこのような例では、電磁的複異方性デバイス102を含む第一組の層が、導電層110、第二スペーサ層108及び電磁的インタフェースデバイス106を含む第二組の層とは別々に形成される。例えば、第三工程930及び第四工程940を、後で除去されるキャリア層(図示せず)上で行うことができる。この例では、第一組の層(電磁的複異方性デバイス102を含む)がキャリア層上に形成され、次いで、第二組の層に取り付けられる。例示すると、第一組の層及び第二組の層が形成された後に、第一組の層、第二組の層、又はそれら両方に接着剤を適用し、第一組の層及び第二組の層を互いに押し付けて、デバイス100を形成する。この例では、層同士の間の間隔、例えば、導電層110に対する、電磁的インタフェースデバイス106に対する、又はこれら両方に対する電磁的複異方性デバイス102の垂直間隔を制御するように、圧力を層102、104、106、108、110に印加する。
【0058】
図10は、図1のデバイスを形成する方法1000の一例のフローチャートである。図10に示される例では、方法1000は、1002において導電層上に電磁的インタフェースデバイスを配置することを含み、その電磁的インタフェースデバイスは電磁波の受信に応答して電気信号を出力するように構成される。例えば、電磁的インタフェースデバイスは、デバイス100の電磁的インタフェースデバイス106を含む又は対応し得る。電磁的インタフェースデバイスを導電層に直接付着させることによって、電磁的インタフェースデバイスを、導電層の上にあるスペーサ層(例えば、第二スペーサ層108)に付着させることによって、導電層又はスペーサ層上に電磁的インタフェースデバイスを形成することによって(例えば、アディティブマニュファクチャリング法を用いる)、又はこれらの組み合わせによって、電磁的インタフェースデバイスを導電層上に配置することができる。
【0059】
また、方法1000は、1004において導電層及び電磁的インタフェースデバイスの上にスペーサ層(例えば、スペーサ層104)を堆積することを含む。この点について、導電層及び電磁的インタフェースデバイスの「上」にスペーサ層を堆積することとは、スペーサ層、導電層及び電磁的インタフェースデバイスを含む積層体を形成することを称する。このような積層体においては、スペーサ層は、導電層の部分、電磁的インタフェースデバイスの部分、又は導電層及び電磁的インタフェースデバイスの両方の部分に直接接触し得る。しかしながら、この点について、スペーサ層は、導電層及び電磁的インタフェースデバイスの「上」に形成されるためには、導電層と電磁的インタフェースデバイスとに直接接触する必要はないことを理解されたい。
【0060】
更に、方法1000は、1006において、複数の電磁的複異方性デバイスをスペーサ層上に配置することを含む。この点について、上述のように、「上」は、積層体を形成することを称するものであって、直接接触を示唆したり排除したりするものではない。特定の実施形態では、複数の電磁的複異方性デバイスは事前に形成されて、スペーサ層上に適用又は位置決めされる。他の実施形態では、複数の電磁的複異方性デバイスは、スペーサ層又は介在層上に、アディティブマニュファクチャリング法、例えば、導電性インクプリンティングや、導電性樹脂を用いる3Dプリンティングを用いて、形成される。複数の電磁的複異方性デバイスは、少なくとも一つのΩ形粒子(図5BのΩ形粒子500A等)、少なくとも一対の連結しているC形粒子(図5Cの一対のC形粒子500B等)、導電性表面部及び複数の磁極を有する少なくとも一つの粒子(図5D及び図5Eの傾斜したロッド形粒子500C等)、他の導電性複異方性粒子、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0061】
図10に示される例では、方法1000は、1008において、複数の電磁的複異方性デバイスをポリマー層内に埋め込んで、電磁的複異方性デバイスのアレイを形成することも含む。例えば、複数の電磁的複異方性デバイスを図9Eの保護層904内に埋め込むことができる。
【0062】
図11は、図1のデバイスを用いて、電磁波に応答して電気信号を発生させる方法1100の一例のフローチャートである。図11に示される例では、方法1100は、1102において、複数の電磁的複異方性デバイスと、導電層と、複数の電磁的複異方性デバイスと導電層との間に配置されたスペーサ層とを含むデバイスにおいて電磁波屈折させることを含む。例えば、デバイス100は、電磁的複異方性デバイス102と、導電層110と、電磁的複異方性デバイス102と導電層110との間に配置されたスペーサ層104とを含む。上述のように、デバイス100は、電磁波114の入射角度116がデバイス100の許容角度118以下である場合に、電磁波114を導電層11に向けて屈折させる。
【0063】
更に、方法1100は、1104において、複数の電磁的複異方性デバイスと導電層との間に配置された電磁的インタフェースデバイスにおいて屈折電磁波を受信することを含む。例えば、デバイス100は、電磁的複異方性デバイス102と導電層110との間に電磁的インタフェースデバイス106を含む。導電層110に向かう電磁波114の屈折の結果として、電磁波114の屈折部分が電磁的インタフェースデバイス106と交わる又は当たる(例えば、入射する)。
【0064】
また、方法1100は、1106において、屈折電磁波の受信に応答して電気信号を電磁的インタフェースデバイスから出力することを含む。例えば、上述のように、電磁的インタフェースデバイス106は、電磁波114の屈折部分に応答して電気信号124を発生させるように構成される。
【0065】
図12及び図13を参照して、本開示の例を、図12のフローチャートに例示されるようにビークルの製造及びサービス方法1200と、図13のブロック図に例示されるようなビークルシステム1300について説明する。図12のビークルの製造及びサービス方法1200によって製造されたビークル、図13のビークル1300としては、例示的で非限定的な例として、航空機、自動車、列車、トラック、バス、船舶、ロケット、宇宙船、自律型ビークル、他のビークルが挙げられる。
【0066】
図12では、方法1200は、ビークル1300の製造の前、間、後における複数の段階を含む。製造前では、例示的な方法1200は、1202において、ビークル1300の仕様及び設計を含む。ビークル1300の仕様及び設計では、方法1200は、デバイス100の設計、配置及び/又は動作を、特に回路120等のビークルの部品とデバイス100の相互作用に関して、規定することを含み得る。例えば、回路120は、デバイス100の電磁的インタフェースデバイス106によって出力された電気信号124を受信して使用するように仕様決定され設計され得る。更に、製造前では、1204において、仕様及び設計に基づいて、ビークル1300用の材料、(デバイス100用の材料を含む)を調達し得る。
【0067】
製造中では、方法1200は、1206において部品及びサブアセンブリの製造を含み、1208においてビークル1300のシステム統合を含む。例えば、部品及びサブアセンブリの製造は、図9A図9E図10に関して説明したようにデバイス100を形成することを含み得る。システム統合は、デバイス100と回路120又はビークル1300の他の部品を電気的に相互接続(配線)することを含み得る。
【0068】
方法1200は、1210においてビークル1300の認証及び配送を含み、1212においてビークル1300を運行/就航させることを含む。認証及び配送は、関連する規格又は規制認証プロセスに基づいて、デバイス100及び回路120の動作を認証することを含み得る。例示すると、ビークル1300が航空機を含む場合、デバイス100及び回路120を含む航空機を、関連する航空規格及び規制について試験し得る。
【0069】
顧客による運行/就航の間に、ビークル1300の保守点検(変更、再構成、改修等も含み得る)の予定が立てられ得る。方法1200は、1214において、ビークル1300の保守点検を行うことを含む。一例では、ビークル1300の保守点検を行うことは、デバイス100の保守点検を行うことを含み得る。代替例では、ビークル1300の保守点検を行うことは、ビークル1300にデバイス100を設置して、デバイス100を回路120に結合して、デバイス100を動作及び使用可能にすることを含み得る。
【0070】
方法1200の各工程は、システムインテグレータ、サードパーティ、及び/又はオペレータ(例えば、顧客)によって行われ得る。本願の説明を目的として、システムインテグレータとしては、特に限定されず、ビークル製造者、主要システム下請業者が挙げられ、サードパーティとしては、特に限定されず、販売業者、下請業者、供給業者が挙げられ、オペレータは、航空会社、リース会社、軍、サービス組織等であり得る。
【0071】
図13を参照すると、デバイス100を含むビークル1300の例示的な実施形態のブロック図が示されている。ビークル1300は、図12の方法1200の少なくとも一部によって製造されたものであり得る。図13に示される例では、ビークル1300は、フレーム1304(例えば、構造体)、内装1306、及び複数のシステム1308を含む。複数のシステム1308は、ビークル1300の種類に応じて異なる。しかしながら、図13に示される例では、複数のシステム1308は、推進システム1310、電気システム1312、環境システム1314、油圧システム1316のうち一つ以上を含む。図13では、複数のシステム1308はデバイス100も含み、そのデバイス100は、電磁的複異方性デバイス102と、導電層110と、電磁的複異方性デバイス102と導電層110との間に配置された電磁的インタフェースデバイス106とを含む。また、複数のシステム1308は回路120も含み、回路120はデバイス100に結合されて、電磁波の受信に応答してデバイス100によって出力された電気信号124を受信する。
【0072】
更に、本開示は以下の項に係る例を含む。
【0073】
項1
複数の電磁的複異方性デバイスと、導電層と、複数の電磁的複異方性デバイスと導電層との間に位置するスペーサ層と、複数の電磁的複異方性デバイスと導電層との間に位置する電磁的インタフェースデバイスとを備え、電磁的インタフェースデバイスが電磁波の受信に応答して電気信号を出力するように構成されている、デバイス。
【0074】
項2
複数の電磁的複異方性デバイスのうち一つの電磁的複異方性デバイスが、導電性表面部及び複数の磁極を有する粒子を含み、複数の磁極の向きが、導電層に対する接平面である平面に垂直であり且つ粒子を通過する直線に対して角度がずらされていて、複数の磁極の向きが平面から角度がずらされている、項1に記載のデバイス。
【0075】
項3
複数の電磁的複異方性デバイスのうち一つの電磁的複異方性デバイスが、導電性物質を備えるΩ形粒子を含み、導電性物質の第一部分が円弧を形成するように位置し、導電性物質の第二部分が円弧から第一方向に延伸し、導電性物質の第三部分が円弧から第二方向に延伸し、第一方向が第二方向と反対である、項1に記載のデバイス。
【0076】
項4
複数の電磁的複異方性デバイスのうち一つの電磁的複異方性デバイスが、一対の連結しているC形粒子を含む、項1に記載のデバイス。
【0077】
項5
導電層が接地面の少なくとも一部を含む、項1に記載のデバイス。
【0078】
項6
複数の電磁的複異方性デバイスが、第一対の隣接する電磁的複異方性デバイスと、第二対の隣接する電磁的複異方性デバイスとを含み、第一対の隣接する電磁的複異方性デバイスが第一ピッチで互いに離隔されていて、第二対の隣接する電磁的複異方性デバイスが第二ピッチで互いに離隔されていて、第一ピッチが第二ピッチと異なる、項1に記載のデバイス。
【0079】
項7
第一対のうちの第一電磁的複異方性デバイスが第一高さで導電層から離隔されていて、第二対のうちの第二電磁的複異方性デバイスが第二高さで導電層から離隔されていて、第一高さが第二高さと異なる、項6に記載のデバイス。
【0080】
項8
複数の電磁的複異方性デバイスが同心円アレイで位置する、項1に記載のデバイス。
【0081】
項9
電磁的インタフェースデバイスが、光学センサと、光起電セルと、一つ以上のアンテナ素子とのうち少なくとも一つを含む、項1に記載のデバイス。
【0082】
項10
電磁的インタフェースデバイスが複数のアンテナ素子を含み、複数のアンテナ素子に結合された共通フィードラインを更に備える、項9に記載のデバイス。
【0083】
項11
スペーサ層が誘電体を含む、項1に記載のデバイス。
【0084】
項12
複数の電磁的複異方性デバイスが埋め込まれるポリマー層を更に備える項1に記載のデバイス。
【0085】
項13
デバイスがフレキシブルである、項1に記載のデバイス。
【0086】
項14
複数の電磁的複異方性デバイスと導電層との間に位置する第二複数の電磁的複異方性デバイスを更に備える項1に記載のデバイス。
【0087】
項15
複数の電磁的複異方性デバイスと、導電層と、複数の電磁的複異方性デバイスと導電層との間に位置するスペーサ層とを含むデバイスにおいて電磁波を屈折させることと、複数の電磁的複異方性デバイスと導電層との間に位置する電磁的インタフェースデバイスにおいて屈折電磁波を受信することと、屈折電磁波の受信に応答して電気信号を電磁的インタフェースデバイスから出力することとを備える方法。
【0088】
項16
電磁波が、デバイスの表面に対する接平面である平面の垂線に対して最大80度の入射角度でデバイスと交わる、項15に記載の方法。
【0089】
項17
屈折電磁波が垂線に平行な角度で電磁的インタフェースデバイスに受信される、項16に記載の方法。
【0090】
項18
電磁波の受信に応答して電気信号を出力するように構成された電磁的インタフェースデバイスを導電層上に配置することと、スペーサ層を導電層及び電磁的インタフェースデバイス上に配置することと、複数の電磁的複異方性デバイスをスペーサ層上に配置することとを備える方法。
【0091】
項19
複数の電磁的複異方性デバイスをポリマー層中に埋め込んで、電磁的複異方性デバイスのアレイを形成することを更に備える項18に記載の方法。
【0092】
項20
複数の電磁的複異方性デバイスをスペーサ層上に配置することが、複数の電磁的複異方性デバイスを含む第一組の層、又は電磁的インタフェースデバイスを含む第二組の層に接着剤を適用することを含み、接着剤を用いて第一組の層を第二組の層を取り付けることを更に備える、項18に記載の方法。
【0093】
本願記載の例の例示は、多様な実施形態の構造の一般的な理解を提供するためのものである。例示は、本願記載の構造や方法を利用する装置やシステムの全ての要素及び特徴を完全に説明するためのものである。当業者には本開示を読むことで多くの他の実施形態が明らかになるものである。他の実施形態は本開示に基づいて利用され導出され得るものであって、構造や論理の置換や変更は本開示の範囲から逸脱せずに行われるものである。例えば、方法工程は図面に示されているのとは異なる順序で行われ得て、一つ以上の方法工程が省略され得る。従って、本開示及び図面は例示的なものであって限定的なものではないとみなされるものである。
【0094】
更に、具体的な実施形態が本願で例示され説明されているが、同じ又は同様の結果を得るように設計される将来的な配置構成が、示されている具体的な実施形態に取って代わり得ることを理解されたい。本開示は、多様な実施形態の将来的な適応及びバリエーションを全てカバーするものである。当業者には本開示を読むことで上記実施形態の組み合わせや、本願で具体的に説明されていない他の実施形態が明らかになるものである。
【0095】
本願の要約書は理解のために提出されているものであって、請求項の範囲や意味を解釈したり限定するために用いられるものではない。また、上記詳細な説明では、簡潔化のために、多様な特徴がまとめられていたり、単一の実施形態において説明されていたりするものであり得る。上述の例は例示的なものであって、本開示を限定するものではない。また、本開示の原理に従って多数の修正や変更が可能であることを理解されたい。添付の特許請求の範囲で反映されているように、請求項は、開示されているいずれかの例の全ての特徴よりは少ない特徴を対象としているものとなり得る。従って、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその等価物によって定められるものである。
【符号の説明】
【0096】
100 デバイス
102 電磁的複異方性デバイス
104 スペーサ層
106 電磁的インタフェースデバイス
108 第二スペーサ層
110 導電層
120 回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13