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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-14
(45)【発行日】2023-07-25
(54)【発明の名称】コネクタおよび接続方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/50 20060101AFI20230718BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
H01R4/50 B
H01R43/00 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019163642
(22)【出願日】2019-09-09
(65)【公開番号】P2021044094
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(72)【発明者】
【氏名】古本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】松尾 誠也
(72)【発明者】
【氏名】松永 章宏
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-129244(JP,A)
【文献】特開2018-156861(JP,A)
【文献】特開2014-203815(JP,A)
【文献】米国特許第04012093(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/58- 4/72
H01R12/00-12/91
H01R24/00-24/86
H01R43/00-43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル導体に接続されるコネクタであって、
突起と前記突起の根本部分に形成された押し込み部材側フランジとを有する押し込み部材と、
導電性材料から形成され且つ前記突起が挿入される凹状の突起収容部を有するコンタクトと
を備え、
前記押し込み部材側フランジは、前記突起を挟んで前記突起の前記根本部分の両側に配置され且つ前記フレキシブル導体を固定するための一対の固定部を有し、
前記フレキシブル導体が前記一対の固定部に隣接する前記突起の側面に沿うと共に前記一対の固定部により固定された状態で、前記突起が前記フレキシブル導体と共に前記コンタクトの前記突起収容部に挿入された場合に、前記突起の側面に沿う部分の前記フレキシブル導体が前記突起の側面と前記突起収容部の内面との間に挟まれて前記突起収容部の内面に接触することで前記コンタクトが前記フレキシブル導体に電気的に接続され
前記一対の固定部は、それぞれ前記押し込み部材側フランジに形成され且つ前記フレキシブル導体が挿入される切り欠きからなることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
フレキシブル導体に接続されるコネクタであって、
突起と前記突起の根本部分に形成された押し込み部材側フランジとを有する押し込み部材と、
導電性材料から形成され且つ前記突起が挿入される凹状の突起収容部を有するコンタクトと
を備え、
前記押し込み部材側フランジは、前記突起を挟んで前記突起の前記根本部分の両側に配置され且つ前記フレキシブル導体を固定するための一対の固定部を有し、
前記フレキシブル導体が前記一対の固定部に隣接する前記突起の側面に沿うと共に前記一対の固定部により固定された状態で、前記突起が前記フレキシブル導体と共に前記コンタクトの前記突起収容部に挿入された場合に、前記突起の側面に沿う部分の前記フレキシブル導体が前記突起の側面と前記突起収容部の内面との間に挟まれて前記突起収容部の内面に接触することで前記コンタクトが前記フレキシブル導体に電気的に接続され、
前記一対の固定部は、それぞれ前記押し込み部材側フランジに形成され且つ前記フレキシブル導体が通される貫通孔からなることを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
フレキシブル導体に接続されるコネクタであって、
突起と前記突起の根本部分に形成された押し込み部材側フランジとを有する押し込み部材と、
導電性材料から形成され且つ前記突起が挿入される凹状の突起収容部を有するコンタクトと
を備え、
前記押し込み部材側フランジは、前記突起を挟んで前記突起の前記根本部分の両側に配置され且つ前記フレキシブル導体を固定するための一対の固定部を有し、
前記フレキシブル導体が前記一対の固定部に隣接する前記突起の側面に沿うと共に前記一対の固定部により固定された状態で、前記突起が前記フレキシブル導体と共に前記コンタクトの前記突起収容部に挿入された場合に、前記突起の側面に沿う部分の前記フレキシブル導体が前記突起の側面と前記突起収容部の内面との間に挟まれて前記突起収容部の内面に接触することで前記コンタクトが前記フレキシブル導体に電気的に接続され、
前記突起は、前記突起の突出方向に対して直交する方向に前記突起を横断するように延び且つ前記フレキシブル導体を保持するための保持部を有することを特徴とするコネクタ。
【請求項4】
前記コンタクトは、筒状部と、前記筒状部の一端に形成されたコンタクト側フランジを有し、
前記突起が前記フレキシブル導体と共に前記コンタクトの前記突起収容部に挿入された場合に、前記押し込み部材側フランジと前記コンタクト側フランジとが互いに重なり合う請求項1~のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記フレキシブル導体は、導電糸からなる請求項1~のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記フレキシブル導体は、シート状または帯状の導体からなる請求項1~4のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記フレキシブル導体は、絶縁性の基板本体の表面上に露出するように配置され、
前記フレキシブル導体が前記突起収容部の内面に対向し、前記基板本体の裏面が前記突起の側面に対向するように、前記フレキシブル導体が前記押し込み部材に配置される請求項1~のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記コンタクトは、プラグ型のコンタクトである請求項1~7のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記コンタクトは、レセプタクル型のコンタクトである請求項1~7のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のコネクタを用いて前記コンタクトを前記フレキシブル導体に接続する接続方法であって、
前記フレキシブル導体を前記押し込み部材の前記突起の側面に沿わせながら前記突起の前記根本部分の両側に配置された前記押し込み部材の前記一対の固定部に固定し、
前記突起を前記フレキシブル導体と共に前記コンタクトの凹状の前記突起収容部に挿入することにより、前記突起の側面に沿う部分の前記フレキシブル導体が前記突起の側面と前記突起収容部の内面との間に挟まれて前記突起収容部の内面に接触することで前記コンタクトが前記フレキシブル導体に電気的に接続されることを特徴とする接続方法。
【請求項11】
複数の前記押し込み部材を平板状の押し込み用治具に仮固定し、
複数の前記押し込み部材の前記突起の側面にそれぞれ対応する前記フレキシブル導体を沿わせながら前記押し込み部材の一対の固定部に前記フレキシブル導体を固定し、
複数の前記コンタクトが保持されたハウジングに対して前記押し込み用治具を押しつけることにより、複数の前記押し込み部材の前記突起をそれぞれ対応する前記フレキシブル導体と共に対応する前記コンタクトの前記突起収容部に挿入し、
複数の前記押し込み部材から前記押し込み用治具を取り外す請求項10に記載の接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コネクタおよび接続方法に係り、特に、フレキシブル導体に接続されるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル導体に接続されるコネクタとして、例えば、特許文献1には、図26に示されるようなコネクタが開示されている。このコネクタは、フレキシブル基板1を間に挟んでフレキシブル基板1の両側に配置されるコンタクト2とベース部材3を備えている。
【0003】
コンタクト2に対向するフレキシブル基板1の表面上にフレキシブル導体4が露出しており、コンタクト2は、フレキシブル導体4に対向するように形成された凹状の突起収容部5を有し、ベース部材3には、フレキシブル基板1の裏面に向かって突出する突起6が形成されている。フレキシブル基板1により突起6が覆われるようにフレキシブル基板1を間に挟んでベース部材3の突起6がフレキシブル基板1と共にコンタクト2の突起収容部5に挿入されると、突起6によりフレキシブル基板1がコンタクト2の突起収容部5の内面に押しつけられ、突起収容部5の内面がフレキシブル基板1の表面上に露出しているフレキシブル導体4に接触することで、コンタクト2がフレキシブル導体4に電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-129244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ベース部材3の突起6をフレキシブル基板1と共にコンタクト2の突起収容部5に挿入する際に、突起6に対してフレキシブル基板1がずれ易く、コンタクト2およびベース部材3からなるコネクタをフレキシブル導体4に接続する作業が難しいという問題がある。
特に、突起6に比べてフレキシブル導体4の幅が短い場合には、突起6の頂部を横断するように突起6に対してフレキシブル導体4の位置を維持しながら、突起6とフレキシブル導体4とをコンタクト2の突起収容部5に挿入しなければならず、フレキシブル導体4へのコネクタの接続作業がさらに難しくなる。さらに、突起6に対するフレキシブル導体4の位置がずれてしまうと、フレキシブル導体4とコンタクト2との電気的接続の信頼性が損なわれるおそれがある。
【0006】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、フレキシブル導体に容易に接続することが可能で且つフレキシブル導体に対する電気的接続の信頼性を確保することができるコネクタを提供することを目的とする。
また、この発明は、フレキシブル導体に対してコンタクトを容易に電気的に接続する接続方法を提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係るコネクタは、フレキシブル導体に接続されるコネクタであって、突起と突起の根本部分に形成された押し込み部材側フランジとを有する押し込み部材と、導電性材料から形成され且つ突起が挿入される凹状の突起収容部を有するコンタクトとを備え、押し込み部材側フランジは、突起を挟んで突起の根本部分の両側に配置され且つフレキシブル導体を固定するための一対の固定部を有し、フレキシブル導体が一対の固定部に隣接する突起の側面に沿うと共に一対の固定部により固定された状態で、突起がフレキシブル導体と共にコンタクトの突起収容部に挿入された場合に、突起の側面に沿う部分のフレキシブル導体が突起の側面と突起収容部の内面との間に挟まれて突起収容部の内面に接触することでコンタクトがフレキシブル導体に電気的に接続され、一対の固定部は、それぞれ押し込み部材側フランジに形成され且つフレキシブル導体が挿入される切り欠きからなるものである。
【0008】
第2の発明に係るコネクタは、フレキシブル導体に接続されるコネクタであって、突起と突起の根本部分に形成された押し込み部材側フランジとを有する押し込み部材と、導電性材料から形成され且つ突起が挿入される凹状の突起収容部を有するコンタクトとを備え、押し込み部材側フランジは、突起を挟んで突起の根本部分の両側に配置され且つフレキシブル導体を固定するための一対の固定部を有し、フレキシブル導体が一対の固定部に隣接する突起の側面に沿うと共に一対の固定部により固定された状態で、突起がフレキシブル導体と共にコンタクトの突起収容部に挿入された場合に、突起の側面に沿う部分のフレキシブル導体が突起の側面と突起収容部の内面との間に挟まれて突起収容部の内面に接触することでコンタクトがフレキシブル導体に電気的に接続され、一対の固定部は、それぞれ押し込み部材側フランジに形成され且つフレキシブル導体が通される貫通孔からなるものである
第3の発明に係るコネクタは、フレキシブル導体に接続されるコネクタであって、突起と突起の根本部分に形成された押し込み部材側フランジとを有する押し込み部材と、導電性材料から形成され且つ突起が挿入される凹状の突起収容部を有するコンタクトとを備え、押し込み部材側フランジは、突起を挟んで突起の根本部分の両側に配置され且つフレキシブル導体を固定するための一対の固定部を有し、フレキシブル導体が一対の固定部に隣接する突起の側面に沿うと共に一対の固定部により固定された状態で、突起がフレキシブル導体と共にコンタクトの突起収容部に挿入された場合に、突起の側面に沿う部分のフレキシブル導体が突起の側面と突起収容部の内面との間に挟まれて突起収容部の内面に接触することでコンタクトがフレキシブル導体に電気的に接続され、突起は、突起の突出方向に対して直交する方向に突起を横断するように延び且つフレキシブル導体を保持するための保持部を有するものである
【0009】
コンタクトは、筒状部と、筒状部の一端に形成されたコンタクト側フランジを有し、突起がフレキシブル導体と共にコンタクトの突起収容部に挿入された場合に、押し込み部材側フランジとコンタクト側フランジとが互いに重なり合うことが好ましい。
フレキシブル導体は、導電糸、または、シート状または帯状の導体からなることが好ましい
あるいは、フレキシブル導体は、絶縁性の基板本体の表面上に露出するように配置され、フレキシブル導体が突起収容部の内面に対向し、基板本体の裏面が突起の側面に対向するように、フレキシブル導体が押し込み部材に配置されるように構成することもできる。
なお、コンタクトは、プラグ型のコンタクトとすることもでき、あるいは、レセプタクル型のコンタクトとすることもできる。
【0010】
この発明に係る接続方法は、上記のコネクタを用いてコンタクトをフレキシブル導体に接続する接続方法であって、フレキシブル導体を押し込み部材の突起の側面に沿わせながら突起の根本部分の両側に配置された押し込み部材の一対の固定部に固定し、突起をフレキシブル導体と共にコンタクトの凹状の突起収容部に挿入することにより、突起の側面に沿う部分のフレキシブル導体が突起の側面と突起収容部の内面との間に挟まれて突起収容部の内面に接触することでコンタクトがフレキシブル導体に電気的に接続される方法である。
【0011】
複数の押し込み部材を平板状の押し込み用治具に仮固定し、複数の押し込み部材の突起の側面にそれぞれ対応するフレキシブル導体を沿わせながら押し込み部材の一対の固定部にフレキシブル導体を固定し、複数のコンタクトが保持されたハウジングに対して押し込み用治具を押しつけることにより、複数の押し込み部材の突起をそれぞれ対応するフレキシブル導体と共に対応するコンタクトの前記突起収容部に挿入し、複数の押し込み部材から押し込み用治具を取り外すように構成することができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、押し込み部材の押し込み部材側フランジは、突起を挟んで突起の根本部分の両側に配置され且つフレキシブル導体を固定するための一対の固定部を有し、フレキシブル導体が一対の固定部に隣接する突起の側面に沿うと共に一対の固定部により固定された状態で、突起がフレキシブル導体と共にコンタクトの突起収容部に挿入された場合に、突起の側面に沿う部分のフレキシブル導体が突起の側面と突起収容部の内面との間に挟まれて突起収容部の内面に接触するので、フレキシブル導体に容易に接続することが可能で且つフレキシブル導体に対する電気的接続の信頼性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明の実施の形態1に係るコネクタを斜め上方から見た斜視図である。
図2】実施の形態1に係るコネクタを斜め下方から見た斜視図である。
図3】実施の形態1に係るコネクタの分解斜視図である。
図4】実施の形態1に係るコネクタに用いられる押し込み部材を示す斜視図である。
図5】実施の形態1に係るコネクタに用いられる押し込み部材を示す平面図である。
図6】実施の形態1に係るコネクタに用いられるコンタクトを示す斜視断面図である。
図7】実施の形態1における押し込み部材にフレキシブル導体が配置された状態を示す斜視図である。
図8】実施の形態1における押し込み部材にフレキシブル導体が配置された状態を示す平面図である。
図9】実施の形態1における押し込み部材にフレキシブル導体が配置された状態を示す側面図である。
図10】それぞれフレキシブル導体が配置された複数の押し込み部材を、複数のコンタクトが保持されたハウジングに位置合わせした状態を示す斜視図である。
図11】実施の形態1に係るコネクタにおけるコンタクトと押し込み部材およびフレキシブル導体を示す側面断面図である。
図12】実施の形態1の変形例に係るコネクタを組み立てる際に用いられる押し込み用治具を示す斜視図である。
図13】実施の形態1の変形例における複数の押し込み部材と複数のフレキシブル導体とが仮保持されている押し込み用治具を複数のコンタクトが保持されたハウジングに向けて押し込む状態を示す斜視図である。
図14】実施の形態1の他の変形例における押し込み部材にフレキシブル導体が配置された状態を示す側面図である。
図15】実施の形態2に係るコネクタに用いられる押し込み部材を示す斜視図である。
図16】実施の形態2における押し込み部材にフレキシブル導体が配置された状態を示す斜視図である。
図17】実施の形態2の変形例に係るコネクタに用いられる押し込み部材を示す斜視図である。
図18】実施の形態2の変形例における押し込み部材にフレキシブル導体が配置された状態を示す斜視図である。
図19】実施の形態2の他の変形例に係るコネクタに用いられる押し込み部材を示す斜視図である。
図20】実施の形態3における押し込み部材にフレキシブル導体が配置された状態を示す斜視図である。
図21】実施の形態3における押し込み部材にフレキシブル導体が配置された状態を示す平面図である。
図22】実施の形態3の変形例における押し込み部材にフレキシブル導体が配置された状態を示す斜視図である。
図23】実施の形態3の変形例における押し込み部材にフレキシブル導体が配置された状態を示す平面図である。
図24】実施の形態4に係るコネクタを示す斜視図である。
図25】実施の形態5に係るコネクタが接続されるフレキシブル導体を示す斜視図である。
図26】従来のコネクタにおけるコンタクトと突起およびフレキシブル基板を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1および図2に、実施の形態1に係るコネクタ11を示す。コネクタ11は、例えば、ウエアラブルデバイスを嵌合するための衣服側コネクタ部として使用されるもので、複数のフレキシブル導体21に接続されている。
【0015】
コネクタ11は、ハウジング12と、複数のコンタクト13と、複数のフレキシブル導体21を保持する複数の押し込み部材14を備えており、複数のコンタクト13と複数のフレキシブル導体21が互いに電気的に接続されている。ハウジング12は、凹部12Aを有しており、複数のコンタクト13は、それぞれ、ハウジング12の凹部12A内において、凹部12Aの平面状の底面に対し垂直に突出している。
フレキシブル導体21は、押し込み部材14に保持された状態で、ハウジング12の裏面12B側に配置されている。なお、フレキシブル導体21としては、複数の導電繊維を撚り合わせることにより作製された導電糸が使用されている。
【0016】
ここで、便宜上、ハウジング12の凹部12Aの底面がXY面に沿って延び、それぞれのコンタクト13が突出する方向を+Z方向と呼ぶことにする。
複数のコンタクト13として、X方向に配列された4対のコンタクト13が配置されており、それぞれの対をなす2つのコンタクト13は、Y方向に並んでいる。
【0017】
図3に示されるように、ハウジング12は、絶縁性樹脂等の絶縁性材料からなり、+Z方向に向かって開いている凹部12A内に、複数のコンタクト用貫通孔12Cが形成されている。凹部12Aは、図示しない相手側コネクタの一部が収容される相手側コネクタ収容部を構成するものである。複数のコンタクト用貫通孔12Cは、複数のコンタクト13にそれぞれ対応している。また、ハウジング12の-Z方向側の裏面12Bに、それぞれ-Z方向に突出する複数のボス12Dが形成されている。
【0018】
複数のコンタクト13は、それぞれ、金属等の導電性材料から形成されたプラグ型のコンタクトで、ハウジング12の凹部12Aに図示しない相手側コネクタの一部が収容された場合に、相手側コネクタの対応するコンタクトに接続されるものである。コンタクト13は、+Z方向に延びる円筒形状の筒状部13Aと、筒状部13Aの-Z方向端部からXY面に沿って延びるコンタクト側フランジ13Bを有している。
複数の押し込み部材14は、複数のコンタクト13に対応しており、それぞれ、+Z方向に延びる突起15と、突起15の-Z方向端部からXY面に沿って延びる押し込み部材側フランジ16を有している。
【0019】
ハウジング12の複数のコンタクト用貫通孔12Cと、複数のコンタクト13と、複数のフレキシブル導体21と、複数の押し込み部材14は、互いにZ方向に整列する位置に配置されている。
ハウジング12のコンタクト用貫通孔12Cは、コンタクト13の筒状部13Aの外径より大きく且つコンタクト側フランジ13Bの外径より小さい内径を有し、コンタクト13の筒状部13Aを円滑に挿入することができるように構成されている。
【0020】
図4に示されるように、押し込み部材14の突起15は、中心軸C1に沿って+Z方向に突出する概ね円柱形状の突起本体15Aを有している。突起本体15Aの+Z方向の先端部は、中心軸C1を挟んで2分割されており、これにより、突起15の+Z方向の先端部に、突起15の突出方向に開口し且つ突出方向に対して直交するY方向に突起15を横断するように延びる保持溝15Bが形成されている。
保持溝15Bは、導電糸からなるフレキシブル導体21の中間部を保持するための保持部を形成している。保持溝15Bが、フレキシブル導体21の直径寸法よりも小さい幅寸法を有していれば、フレキシブル導体21を+Z方向から保持溝15B内に押し込むことで保持溝15Bに保持させることができるので、好ましい。ただし、保持溝15Bは、フレキシブル導体21の直径寸法以上の幅寸法を有していてもよく、この場合も、突起15に対するフレキシブル導体21の位置を保持することができる。
【0021】
押し込み部材14の押し込み部材側フランジ16は、突起15の-Z方向端部からXY面に沿って延びるほぼ円板形状を有し、突起15を挟んで突起15の根本部分(-Z方向端部)のY方向の両側に配置された一対の切り欠き16Aを有している。これらの切り欠き16Aは、フレキシブル導体21を固定するための一対の固定部を形成している。
【0022】
図5に示されるように、それぞれの切り欠き16Aは、押し込み部材側フランジ16の外周部に向かって開口する開口端部16Bと、開口端部16Bに連通し且つ突起15の根本部分に隣接する位置に形成されたほぼ円形の拡張部16Cとを有している。開口端部16Bは、フレキシブル導体21の直径よりも小さい幅寸法を有し、拡張部16Cは、開口端部16Bの幅寸法よりも大きい直径寸法を有している。なお、拡張部16Cの直径寸法は、フレキシブル導体21の直径よりも大きくてもよく、あるいは、フレキシブル導体21の直径以下であってもよい。
このため、フレキシブル導体21は、切り欠き16Aの開口端部16Bから拡張部16Cにまで挿入されると、フレキシブル導体21の直径よりも小さい幅寸法を有する開口端部16Bの存在により、切り欠き16Aから+Y方向または-Y方向に外れることが防止されるように構成されている。
【0023】
図6に示されるように、コンタクト13の筒状部13Aは、+Z方向端部が閉じられた円筒形状を有し、コンタクト側フランジ13Bは、筒状部13Aの-Z方向端部に一体に形成され、筒状部13Aの内部に凹状の突起収容部13Cが形成されている。すなわち、突起収容部13Cの開口端部を囲むようにコンタクト側フランジ13Bが形成されている。
このようなコンタクト13は、例えば、プレス加工、切削、絞り加工等により作製することができる。
【0024】
コネクタ11を複数のフレキシブル導体21に接続する際には、まず、図7図9に示されるように、フレキシブル導体21が、押し込み部材14の押し込み部材側フランジ16における一対の切り欠き16Aと突起15の保持溝15Bに挿入されることにより、対応する押し込み部材14に保持される。
【0025】
このとき、例えば、フレキシブル導体21の先端部21Aが押し込み部材14から-Z方向側に突出するように、先端部21Aの近傍を押し込み部材側フランジ16の一方の切り欠き16Aに挿入し、フレキシブル導体21を突起15の側面に沿わせて、フレキシブル導体21の中間部21Bを突起15の保持溝15Bに挿入し、さらに、フレキシブル導体21を突起15の反対側の側面に沿わせながら押し込み部材側フランジ16の他方の切り欠き16Aに挿入する。
フレキシブル導体21は、図5に示される切り欠き16Aにおいて、開口端部16Bから拡張部16Cにまで挿入されており、これにより、フレキシブル導体21が切り欠き16Aから外れることが防止されている。
【0026】
フレキシブル導体21は、一対の切り欠き16Aに挿入されることで押し込み部材14に対して固定され、中間部21Bが突起15の保持溝15Bに挿入されることで、突起15に対するフレキシブル導体21の位置が保持される。
なお、フレキシブル導体21の先端部21Aは、押し込み部材14の-Z方向側において-Z方向に延びており、フレキシブル導体21の基端部21Cは、押し込み部材14の外部においてY方向に延びている。
このようにして、複数の押し込み部材14に、それぞれ対応するフレキシブル導体21が保持される。
【0027】
次に、図10に示されるように、それぞれ対応するフレキシブル導体21を保持する複数の押し込み部材14が、ハウジング12に配置された複数のコンタクト13の-Z方向側に位置合わせされる。なお、それぞれの押し込み部材14は、突起15が、ハウジング12に配置された対応するコンタクト13の方向に突出するような向きで配置される。
例えば、図10に示されるように、裏面12Bを上方に向けてハウジング12を図示しない作業台等の表面上に配置し、複数のコンタクト13の筒状部13Aを上方からハウジング12の複数のコンタクト用貫通孔12Cに挿入し、さらに、複数のコンタクト13の上方に、複数の押し込み部材14を、突起15が下方に突出するような向きで配置する。
【0028】
この状態で、複数の押し込み部材14を、それぞれ、対応するコンタクト13の突起収容部13Cに向けて押し付ける。これにより、複数の押し込み部材14の突起15が、複数のフレキシブル導体21と共に複数のコンタクト13の突起収容部13Cに挿入され、図1および図2に示されるコネクタ11が作製されると共に、複数のフレキシブル導体21へのコネクタ11の接続が完了する。
【0029】
このようにして押し込み部材14の突起15が、フレキシブル導体21と共に対応するコンタクト13の突起収容部13Cに挿入されると、図11に示されるように、突起15の保持溝15Bに挿入されているフレキシブル導体21の中間部21Bに隣接して中間部21Bの両側に位置する部分のフレキシブル導体21がそれぞれ突起15の側面とコンタクト13の突起収容部13Cの内面との間に挟まれる。これにより、フレキシブル導体21が突起収容部13Cの内面に接触し、コンタクト13がフレキシブル導体21に電気的に接続される。
【0030】
なお、それぞれの押し込み部材14において、フレキシブル導体21が一対の切り欠き16Aに挿入されることで押し込み部材14に固定されているので、フレキシブル導体21として押し込み部材14の突起15に比べてより細い導電糸が使用されていても、押し込み部材14の突起15を対応するコンタクト13の突起収容部13Cに挿入する際に、フレキシブル導体21の位置がずれることが防止される。このため、押し込み部材14の突起15を対応するコンタクト13の突起収容部13Cに挿入するだけで、コンタクト13をフレキシブル導体21に容易に接続することができる。
特に、押し込み部材14の突起15の先端部に形成されている保持溝15Bにフレキシブル導体21の中間部21Bが挿入されることにより、突起15とフレキシブル導体21との相対位置が維持されるので、フレキシブル導体21に対する電気的接続の信頼性を確保することが可能となる。
【0031】
なお、上記の実施の形態1では、押し込み部材14の突起15が、フレキシブル導体21の中間部を保持するための保持部として、突起15の突出方向に開口する保持溝15Bを有しているが、例えば、突起本体15Aを横切るようにY方向に突起本体15Aを貫通する保持孔を、フレキシブル導体21を保持するための保持部として用いることもできる。フレキシブル導体21は、保持孔に通されることで突起15に保持される。
【0032】
なお、コネクタ11は、図2に示されるハウジング12の裏面12B側に露出している複数の押し込み部材14の押し込み部材側フランジ16および複数のフレキシブル導体21を覆う、図示しないカバー部材を備えることが好ましい。カバー部材は、絶縁性材料からなり、ハウジング12の裏面12Bに突出する複数のボス12Dに対応した複数のボス収容孔を有し、ハウジング12の複数のボス12Dをカバー部材の複数のボス収容孔に圧入することにより、ハウジング12に固定することができる。あるいは、ハウジング12の複数のボス12Dをカバー部材の複数のボス収容孔に貫通させた状態で、複数のボス12Dの頭部を熱変形させることにより、カバー部材をハウジング12に固定してもよい。
【0033】
上記の実施の形態1においては、複数の押し込み部材14が、それぞれ、フレキシブル導体21と共に対応するコンタクト13の突起収容部13Cに挿入されるが、例えば図12に示されるような押し込み用治具31を使用することにより、複数の押し込み部材14を複数のコンタクト13の突起収容部13Cに同時に挿入することができる。
【0034】
図12において、押し込み用治具31は、平板状の治具本体31Aと、治具本体31Aの表面に形成された複数の押し込み部材側フランジ嵌合部31Bを有している。押し込み部材側フランジ嵌合部31Bは、押し込み部材14の押し込み部材側フランジ16とほぼ同等のサイズを有しており、押し込み部材側フランジ16を押し込み部材側フランジ嵌合部31Bに容易に嵌め込んで押し込み部材141を押し込み用治具31に仮固定することができるように構成されている。なお、押し込み用治具31に仮固定された押し込み部材14を引っ張ることで、容易に押し込み部材14を押し込み用治具31から取り外すことができる。
【0035】
また、それぞれの押し込み部材側フランジ嵌合部31Bの内部にフレキシブル導体収容孔31Cが形成され、治具本体31Aの表面には、複数の押し込み部材側フランジ嵌合部31Bから治具本体31Aの端縁部までそれぞれY方向に延びる複数のフレキシブル導体収容溝31Dが形成されている。フレキシブル導体収容孔31Cは、押し込み部材14に保持されたフレキシブル導体21の先端部21Aを収容し、フレキシブル導体収容溝31Dは、押し込み部材14に保持されたフレキシブル導体21の基端部21Cを収容するためのものである。
【0036】
このような押し込み用治具31を用いて複数のコンタクト13を複数のフレキシブル導体21に接続する際には、まず、押し込み用治具31の複数の押し込み部材側フランジ嵌合部31Bに、それぞれ、対応するフレキシブル導体21が保持された押し込み部材14の押し込み部材側フランジ16を嵌め込んで、押し込み用治具31に複数の押し込み部材14を仮固定する。このとき、それぞれの押し込み部材14に保持されているフレキシブル導体21の、-Z方向に突出する先端部21Aは、押し込み用治具31の対応するフレキシブル導体収容孔31Cに収容され、フレキシブル導体21の、Y方向に延びる基端部21Cは、押し込み用治具31の対応するフレキシブル導体収容溝31Dに収容される。
【0037】
次に、図13に示されるように、裏面12Bを上方に向けてハウジング12を図示しない作業台等の表面上に配置し、複数のコンタクト13の筒状部13Aを上方からハウジング12の複数のコンタクト用貫通孔12Cに挿入し、この状態で、仮固定されている複数の押し込み部材14の突起15が下方に突出するような向きで押し込み用治具31を上方からハウジング12に押し付ける。これにより、押し込み用治具31に仮固定されている複数の押し込み部材14の突起15が複数のフレキシブル導体21と共に複数のコンタクト13の突起収容部13Cに同時に挿入され、複数のコンタクト13が複数のフレキシブル導体21にそれぞれ電気的に接続される。
その後、複数の押し込み部材14から押し込み用治具31を取り外すことにより、図1および図2に示されるコネクタ11が作製される。
【0038】
なお、上記の実施の形態1においては、図9に示されるように、押し込み部材14に保持されたフレキシブル導体21の先端部21Aは、押し込み部材14の-Z方向側において-Z方向に延びているが、これに限るものではない。例えば、図14に示されるように、フレキシブル導体21の先端部21Aを、押し込み部材14の-Z方向側において屈曲させ、基端部21Cとは反対方向である-Y方向に延びるように構成することもできる。
このようにすれば、フレキシブル導体21の先端部21Aが押し込み部材14から-Z方向に延びることがないので、ハウジング12の裏面12Bに図示しないカバー部材を取り付けやすくなる。
【0039】
実施の形態2
図4および図5に示される押し込み部材14では、押し込み部材側フランジ16が、フレキシブル導体21を固定するための一対の固定部として、一対の切り欠き16Aを有しているが、これに限るものではない。例えば、図15に示される押し込み部材41のように、押し込み部材側フランジ42に一対の貫通孔42Aを形成し、これら一対の貫通孔42Aを一対の固定部として用いることもできる。この押し込み部材41は、図4および図5に示される押し込み部材14において、一対の切り欠き16Aを有する押し込み部材側フランジ16の代わりに一対の貫通孔42Aを有する押し込み部材側フランジ42を用いるものであり、その他の構成は、実施の形態1における押し込み部材14と同様である。
【0040】
すなわち、ほぼ円板形状の押し込み部材側フランジ42が、突起15の-Z方向端部からXY面に沿って延び、突起15を挟んで突起15の根本部分(-Z方向端部)のY方向の両側に隣接する位置に一対の貫通孔42Aが形成されている。貫通孔42Aは、フレキシブル導体21の直径よりも大きい直径を有している。
図16に示されるように、フレキシブル導体21は、押し込み部材41の押し込み部材側フランジ42における一対の貫通孔42Aに通されると共に突起15の保持溝15Bに挿入されることにより、押し込み部材41に保持される。
【0041】
このとき、例えば、フレキシブル導体21の先端部21Aが押し込み部材41から-Z方向側に突出するように、先端部21Aを押し込み部材側フランジ42の一方の貫通孔42Aに通し、フレキシブル導体21を突起15の側面に沿わせて、フレキシブル導体21の中間部21Bを突起15の保持溝15Bに挿入し、さらに、フレキシブル導体21を突起15の反対側の側面に沿わせながら押し込み部材側フランジ42の他方の貫通孔42Aに通す。
【0042】
フレキシブル導体21は、押し込み部材側フランジ42の一対の貫通孔42Aに通されることで、押し込み部材41に固定され、中間部21Bが突起15の保持溝15Bに挿入されることで、突起15に対するフレキシブル導体21の位置が保持される。
このような押し込み部材41を用いても、実施の形態1と同様に、コンタクト13をフレキシブル導体21に容易に接続することができ、また、フレキシブル導体21に対する電気的接続の信頼性を確保することが可能となる。
【0043】
また、図17に示されるような押し込み部材43を用いることもできる。この押し込み部材43は、図4および図5に示される押し込み部材14において、先端部に保持溝15Bを有する突起15の代わりに保持溝を有しない突起44を用いるものであり、その他の構成は、実施の形態1における押し込み部材14と同様である。
【0044】
すなわち、押し込み部材43の突起44は、+Z方向に突出する円柱形状の突起本体44Aを有し、突起44の-Z方向端部からXY面に沿ってほぼ円板形状の押し込み部材側フランジ16が延びている。突起44は保持溝を有しておらず、突起本体44Aの+Z方向の先端部は、XY面に沿って延びる平坦面を形成している。押し込み部材側フランジ16は、突起44を挟んで突起44の根本部分(-Z方向端部)のY方向の両側に配置された一対の切り欠き16Aを有している。
【0045】
図18に示されるように、フレキシブル導体21は、押し込み部材43の押し込み部材側フランジ16における一対の切り欠き16Aに挿入されることにより、押し込み部材43に保持される。
このとき、例えば、フレキシブル導体21の先端部21Aが押し込み部材43から-Z方向側に突出するように、先端部21Aの近傍を押し込み部材側フランジ16の一方の切り欠き16Aに挿入し、フレキシブル導体21を突起44の側面に沿わせて、フレキシブル導体21の中間部21Bを突起本体44Aの+Z方向の先端部に形成された平坦面上に位置させ、さらに、フレキシブル導体21を突起44の反対側の側面に沿わせながら押し込み部材側フランジ16の他方の切り欠き16Aに挿入する。
【0046】
フレキシブル導体21は、押し込み部材側フランジ16の一対の切り欠き16Aに挿入されることで、押し込み部材43に固定される。
このような押し込み部材43を用いても、実施の形態1と同様に、コンタクト13をフレキシブル導体21に容易に接続することができる。
ただし、実施の形態1における押し込み部材14では、フレキシブル導体21の中間部21Bが突起15の保持溝15Bに挿入されることで、突起15に対するフレキシブル導体21の位置が保持されるため、突起15が保持溝15Bを有する押し込み部材14は、コンタクト13とフレキシブル導体21との電気的接続の信頼性向上の観点において、図17の押し込み部材43よりも有利である。
【0047】
また、図19に示されるように、保持溝が形成されていない円柱形状の突起本体44Aを有する突起44と、一対の貫通孔42Aを有する押し込み部材側フランジ42とを備えた押し込み部材45を用いることもできる。
フレキシブル導体21は、押し込み部材側フランジ42の一対の貫通孔42Aに通されることで、押し込み部材45に固定され、フレキシブル導体21の中間部21Bは、突起本体44Aの+Z方向の先端部に形成された平坦面上に位置する。
このような押し込み部材45を用いても、実施の形態1と同様に、コンタクト13をフレキシブル導体21に容易に接続することができる。
【0048】
実施の形態3
上記の実施の形態1および2では、導電糸からなるフレキシブル導体21にコンタクト13を接続しているが、シート状または帯状の導体からなるフレキシブル導体に対しても、この発明を適用することができる。
図20および図21に示されるように、実施の形態1で用いられた押し込み部材14に、帯状の導体からなるフレキシブル導体51を保持させることができる。フレキシブル導体51は、先端部51Aから中間部51Bに至る部分、および、中間部51Bから基端部51C側の所定の長さにわたる部分が、フレキシブル導体51の長さ方向に沿った中心線により折り畳まれることにより二つ折りされている。
【0049】
そして、二つ折りされたフレキシブル導体51が押し込み部材14の押し込み部材側フランジ16の一対の切り欠き16Aにそれぞれ挿入されることで、フレキシブル導体51は、押し込み部材14に固定され、二つ折りされたフレキシブル導体51の中間部51Bが押し込み部材14の突起15の保持溝15Bに挿入されることで、突起15とフレキシブル導体51との相対位置が維持される。
【0050】
この状態で、押し込み部材14の突起15を、フレキシブル導体51と共に、図6に示されるコンタクト13の突起収容部13Cに挿入することにより、フレキシブル導体51の中間部51Bに隣接して中間部51Bの両側に位置する部分の二つ折りされたフレキシブル導体51がそれぞれ突起15の側面とコンタクト13の突起収容部13Cの内面との間に挟まれて、フレキシブル導体51が突起収容部13Cの内面に接触し、コンタクト13がフレキシブル導体51に電気的に接続される。
【0051】
二つ折りされたフレキシブル導体51が一対の切り欠き16Aに挿入されることで、フレキシブル導体51は押し込み部材14に固定されているので、押し込み部材14の突起15を対応するコンタクト13の突起収容部13Cに挿入する際に、フレキシブル導体51の位置がずれることが防止される。このため、押し込み部材14の突起15を対応するコンタクト13の突起収容部13Cに挿入するだけで、コンタクト13を帯状のフレキシブル導体51に容易に接続することができる。
【0052】
また、図17に示されるように、突起44が保持溝を有しない押し込み部材43に、帯状の導体からなるフレキシブル導体51を保持させることもできる。この場合、図22および図23に示されるように、フレキシブル導体51の中間部51Bは、二つ折りされることなく、押し込み部材43の突起44の+Z方向端面の上に配置され、押し込み部材43の押し込み部材側フランジ16の一対の切り欠き16Aに対応する部分のフレキシブル導体51のみが二つ折りされて一対の切り欠き16Aに挿入される。
【0053】
二つ折りされたフレキシブル導体51が押し込み部材43の押し込み部材側フランジ16の一対の切り欠き16Aにそれぞれ挿入されることで、フレキシブル導体51は、押し込み部材43に固定される。
この状態で、押し込み部材43の突起44を、フレキシブル導体51と共に、図6に示されるコンタクト13の突起収容部13Cに挿入することにより、フレキシブル導体51の中間部51Bに隣接して中間部51Bの両側に位置する部分のフレキシブル導体51がそれぞれ突起44の側面とコンタクト13の突起収容部13Cの内面との間に挟まれて、フレキシブル導体51が突起収容部13Cの内面に接触し、コンタクト13がフレキシブル導体51に電気的に接続される。
【0054】
フレキシブル導体51の二つ折りされた部分が一対の切り欠き16Aに挿入されることで、フレキシブル導体51は押し込み部材43に固定されているので、押し込み部材43の突起44を対応するコンタクト13の突起収容部13Cに挿入する際に、フレキシブル導体51の位置がずれることが防止される。このため、押し込み部材43の突起44を対応するコンタクト13の突起収容部13Cに挿入するだけで、コンタクト13を帯状のフレキシブル導体51に容易に接続することができる。
【0055】
実施の形態4
図24に、実施の形態4に係るコネクタ61を示す。このコネクタ61は、図1に示される実施の形態1に係るコネクタ11において、ハウジング12と複数のフレキシブル導体21との間にシート形状のコネクタ固定部材62が配置されたものであり、その他の構成は、実施の形態1に係るコネクタ11と同様である。
コネクタ固定部材62は、絶縁性を有する樹脂または布から形成されており、ハウジング12の外周部を切れ目なく囲むようにハウジング12の外側にまで延びている。
【0056】
また、コネクタ固定部材62は、ハウジング12の複数のボス12Dに対応する複数の図示しない貫通孔を有しており、これら複数の貫通孔に複数のボス12Dを圧入することにより、コネクタ固定部材62がハウジング12に保持される。
ハウジング12の外側において、コネクタ固定部材62の周縁部を絶縁性糸等により衣服の布に縫合することにより、コネクタ61を衣服に取り付けることが可能となる。
【0057】
実施の形態5
上記の実施の形態1~4では、導電糸からなるフレキシブル導体21または帯状の導体からなるフレキシブル導体51が、例えば絶縁性の基板本体に支持されることなく、独立して押し込み部材14、41、43、45の突起15、44とコンタクト13との間に配置されているが、これに限るものではなく、図25に示されるようなフレキシブル基板71に、この発明に係るコネクタを接続することもできる。
フレキシブル基板71は、絶縁性材料からなるシート状の基板本体72の表面上に、フレキシブル導体73が露出した状態で配置されたものである。
【0058】
このようなフレキシブル基板71にコネクタを接続する際には、フレキシブル導体73がコンタクト13の突起収容部13Cの内面に対向し、基板本体72の裏面が押し込み部材14、41、43、45の突起15、44の側面に対向するように、フレキシブル基板71が配置される。これにより、実施の形態1~4と同様にして、コンタクト13をフレキシブル導体73に電気的に接続することが可能となる。
【0059】
また、上記の実施の形態1~5では、プラグ型のコンタクト13が用いられているが、これに限るものではなく、同様にして、レセプタクル型のコンタクトを、フレキシブル導体21、51、73に接続するコネクタを構成することもできる。
【符号の説明】
【0060】
1 フレキシブル基板、2 コンタクト、3 ベース部材、4 フレキシブル導体、5 突起収容部、6 突起、11,61 コネクタ、12 ハウジング、12A 凹部、12B 裏面、12C コンタクト用貫通孔、12D ボス、13 コンタクト、13A 筒状部、13B コンタクト側フランジ、13C 突起収容部、14,41,43,45 押し込み部材、15,44 突起、15A,44A 突起本体、15B 保持溝、16,42 押し込み部材側フランジ、16A 切り欠き、16B 開口端部、16C 拡張部、21,51,73 フレキシブル導体、21A,51A 先端部、21B,51B 中間部、21C,51C 基端部、31 押し込み用治具、31A 治具本体、31B 押し込み部材側フランジ嵌合部、31C フレキシブル導体収容孔、31D フレキシブル導体収容溝、42A 貫通孔、62 コネクタ固定部材、71 フレキシブル基板、72 基板本体、C1 中心軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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