IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アドヴィックスの特許一覧

<>
  • 特許-車両の走行支援装置 図1
  • 特許-車両の走行支援装置 図2
  • 特許-車両の走行支援装置 図3
  • 特許-車両の走行支援装置 図4
  • 特許-車両の走行支援装置 図5
  • 特許-車両の走行支援装置 図6
  • 特許-車両の走行支援装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】車両の走行支援装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/10 20060101AFI20230719BHJP
   F02D 29/02 20060101ALI20230719BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
B60W30/10
F02D29/02 301
B60T7/12 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019056648
(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公開番号】P2020157810
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】橋本 陽介
【審査官】竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-327545(JP,A)
【文献】特開2007-186096(JP,A)
【文献】特開平11-227494(JP,A)
【文献】特開2008-120302(JP,A)
【文献】特開2009-070101(JP,A)
【文献】特開2004-090679(JP,A)
【文献】特開2004-322764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12- 8/1769
B60T 8/32- 8/96
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
F02D 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開始位置から目標位置までの車両走行を支援する車両の走行支援装置であって、
前記開始位置から前記目標位置までの車両の走行距離を基に、時間の経過に対する前記車両の車体速度に関する状態量の変化の指標である走行プロファイルを作成する作成部と、
前記走行プロファイルによって示される状態量の目標値である目標状態量に応じた操作量を、車両の駆動装置及び制動装置の少なくとも一方の装置に出力する出力部と、を備え、
前記作成部は、前記操作量に基づいた前記少なくとも一方の装置の駆動によって前記車両が走行している状態で、前記状態量の実値と前記目標状態量との差分が判定差分以上であるときに、前記車両の加速度が所定の制限値を超えないように前記走行プロファイルを再作成するようになっており、
前記作成部は、
前記車両を加速させる加速区間と、前記車両を定速走行させる定速区間と、を含む前記走行プロファイルを作成し、
前記出力部から前記加速区間に応じた前記操作量が前記少なくとも一方の装置に出力されることによって前記車両が走行している状態で前記走行プロファイルを再作成するときに、前記定速区間における前記車両の車体速度の目標である目標定速時車体速度、及び、前記定速区間に基づいて前記車両を走行させる時間の長さの少なくとも一方が変わるように前記走行プロファイルを再作成する
車両の走行支援装置。
【請求項2】
前記作成部は、前記出力部から前記定速区間に応じた前記操作量が前記少なくとも一方の装置に出力されることによって前記車両が走行している状態で前記走行プロファイルを再作成するときに、前記定速区間に基づいて前記車両を走行させる時間の長さが変わるように前記走行プロファイルを再作成する
請求項1に記載の車両の走行支援装置。
【請求項3】
前記車両の周辺環境に関する情報を取得する情報取得部を備え、
前記作成部は、前記出力部から出力された前記操作量が前記少なくとも一方の装置に出力されることによって前記車両が走行している状況下では、前記状態量の実値と前記目標状態量との差分が前記判定差分未満であっても前記車両の周辺環境の変化が検知されたときには、前記走行プロファイルを再作成する
請求項2に記載の車両の走行支援装置。
【請求項4】
前記車両は、第1走行モードと、前記第1走行モードで走行する場合よりも前記車両の乗員の快適性を優先する第2走行モードと、を含む複数の走行モードで走行可能なものであり、
前記作成部は、前記車両が前記第2走行モードで走行している場合、前記走行プロファイルに従って前記車両を走行させる際の当該車両の加速度の最大値が、前記車両が前記第1走行モードで走行している場合よりも小さくなるように、前記走行プロファイルを作成する
請求項1~請求項3のうち何れか一項に記載の車両の走行支援装置。
【請求項5】
運転者による運転操作に応じて前記車両が走行しているときに、前記運転操作の態様に関する値である運転操作関連値を記憶する記憶部を備え、
前記作成部は、前記走行プロファイルに従って前記車両を走行させる際の当該車両の加速度の最大値が、前記記憶部に記憶されている前記運転操作関連値に基づいた大きさとなるように、前記走行プロファイルを作成する
請求項1~請求項4のうち何れか一項に記載の車両の走行支援装置。
【請求項6】
前記作成部は、前記走行プロファイルのうちの前記車両を加速させる加速区間を、7次以下の多項式の関数を用いて作成する
請求項1~請求項5のうち何れか一項に記載の車両の走行支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目標位置までの車両走行を支援する車両の走行支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、駐車走行開始位置から目標駐車位置までの走行経路に従って車両を走行させる走行支援装置の一例が記載されている。この走行支援装置では、走行経路に従って車両を走行させるに際し、車両の車体速度の目標値の異なる複数の速度パターンが生成される。そして、自車両の周辺に存在する物体の情報を基に、各速度パターンの中から1つの速度パターンを目標速度パターンとして選択し、当該目標選択パターンに基づいて車両走行が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-2957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生成した各速度パターンのうちの第1速度パターンを目標速度パターンとして選択して車両走行を制御しているときに、上記情報が変化すると、目標速度パターンが第2走行パターンに変更されることがある。このように目標速度パターンが変更されると、車両の車体速度の目標値が変わる。この際、第2速度パターンの車体速度の目標値が第1速度パターンの車体速度の目標値よりも大きくて当該各目標値の乖離が大きいと、目標速度パターンの変更に伴って車両が急加速し、車両の乗員に不快感を与えてしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための車両の走行支援装置は、開始位置から目標位置までの車両走行を支援する装置である。この走行支援装置は、前記開始位置から前記目標位置までの車両の走行距離を基に、時間の経過に対する前記車両の車体速度に関する状態量の変化の指標である走行プロファイルを作成する作成部と、前記走行プロファイルによって示される状態量の目標値である目標状態量に応じた操作量を、車両の駆動装置及び制動装置の少なくとも一方の装置に出力する出力部と、を備える。そして、前記作成部は、前記操作量に基づいた前記少なくとも一方の装置に駆動によって前記車両が走行している状態で、前記状態量の実値と前記目標状態量との差分が判定差分以上であるときに、前記車両の加速度が所定の制限値を超えないように前記走行プロファイルを再作成する。
【0006】
上記構成によれば、走行プロファイルが作成されると、当該走行プロファイルによって示される状態量の目標である目標状態量に応じた操作量が、駆動装置及び制動装置の少なくとも一方の装置に出力される。これにより、操作量に基づいて上記少なくとも一方の装置が駆動することにより、車両が自動走行する。すなわち、走行プロファイルに従って車両が自動走行される。走行プロファイルに従って車両が自動走行している場合、状態量の実値と目標状態量との差分が判定差分以上であるときに、車両の加速度が所定の制限値を越えないように走行プロファイルが再作成される。走行プロファイルの再作成後では、再作成された走行プロファイルに従って車両が自動走行されることとなる。このように走行プロファイルが変わった際に、車両の加速度が制限値を越えることはない。したがって、上記構成によれば、走行プロファイルが再作成されたことに起因する車両の加速度の増大の抑制が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の車両の走行支援装置と、車両の駆動装置及び制動装置とを示すブロック図。
図2】初期位置から最終目標位置まで車両を自動走行させる際の走行経路を示す模式図。
図3】(a)は初期位置から最終目標位置までの走行プロファイルを示すグラフ、(b)は走行プロファイルに従って車両が走行する際の移動距離の推移を示すグラフ、(c)は走行プロファイルに従って車両が走行する際の車体加速度の推移を示すグラフ、(d)は走行プロファイルに従って車両が走行する際のジャークの推移を示すグラフ。
図4】同走行支援装置が実行する処理ルーチンを説明するフローチャートの前半部分。
図5】同処理ルーチンを説明するフローチャートの後半部分。
図6】第1実施形態において、走行プロファイルが再作成された場合のグラフ。
図7】第3実施形態の車両の走行支援装置の機能構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
以下、車両の走行支援装置の第1実施形態を図1図6に従って説明する。
図1には、本実施形態の走行支援装置30と、車両の駆動装置10と、車両の制動装置20とが図示されている。駆動装置10は、パワーユニット11と、駆動制御部12とを有している。パワーユニット11は、エンジンや電気モータなどの車両の動力源を有している。駆動制御部12は、パワーユニット11を制御することによって車両の駆動力を調整する。制動装置20は、制動アクチュエータ21と、制動アクチュエータ21を制御する制動制御部22とを有している。制動アクチュエータ21を作動させることにより、車両の制動力が調整される。
【0009】
走行支援装置30は、最終目標位置PSfまでの車両の自動走行を支援する支援制御を実施する機能部として、作成部31、制限値設定部32、情報取得部33、操作量導出部34及び出力部35を有している。
【0010】
作成部31は、最終目標位置PSfと、初期位置PSiから最終目標位置PSfまでの車両の走行距離である総合走行距離STtlとを基に、走行プロファイルPRVTtlを作成する。初期位置PSiとは、走行プロファイルPRVTtlに従った車両の自動走行の開始時点での車両の位置である。走行プロファイルPRVTtlとは、初期位置PSiを車両が通過した時点からの時間の経過に対する車両の車体速度に関する状態量の変化の指標である。本実施形態では、走行プロファイルPRVTtlとして、時間の経過に対する車体速度Vの変化の指標が作成される。すなわち、車体速度Vが「状態量」の一例である。走行プロファイルPRVTtlの作成処理については後述する。
【0011】
また、作成部31は、走行プロファイルPRVTtlに従って車両が自動走行している状況下で所定の再作成条件が成立すると、走行プロファイルPRVTtlを再作成する。走行プロファイルPRVTtlの再作成処理については後述する。
【0012】
制限値設定部32は、走行プロファイルPRVTtlを再作成するに際し、車両の加速度である車体加速度Gの制限値Gaveを設定する。制限値Gaveの設定処理については後述する。
【0013】
情報取得部33は、車両の周辺環境に関する情報を取得する。周辺環境としては、例えば、車両の周辺における障害物の有無、自車両から障害物までの距離、自車両の走行する道路の幅を挙げることができる。例えば、情報取得部33によって取得された情報のうち、最新の情報と前回の情報とを比較し、最新の情報と前回の情報との変化が所定以上であるときに周辺環境が変化したと検知することができる。
【0014】
操作量導出部34は、状態量の目標である目標状態量と、実際の状態量との偏差である状態量偏差を基に、駆動装置10の操作量DRPu及び制動装置20の操作量DRBaの少なくとも一方を導出する。目標状態量は、走行プロファイルPRVTtlから取得される。本実施形態では、走行プロファイルPRVTtlは、時間の経過に対する車体速度Vの変化の指標であるため、目標車体速度VTrが走行プロファイルPRVTtlから目標状態量として取得される。そして、目標車体速度VTrと実際の車体速度Vとの偏差が状態量偏差ΔSQとして算出される。実際の車体速度Vは、例えば、車両に設けられている車輪速度センサ101からの検出信号を基に導出することができる。
【0015】
出力部35は、操作量導出部34によって導出された駆動装置10の操作量DRPuを駆動制御部12に出力する。出力部35は、操作量導出部34によって導出された制動装置20の操作量DRBaを制動制御部22に出力する。
【0016】
駆動装置10の操作量DRPuが駆動制御部12に入力されると、駆動制御部12は、入力された操作量DRPuを基にパワーユニット11を制御する。制動装置20の操作量DRBaが制動制御部22に入力されると、制動制御部22は、入力された操作量DRBaを基に制動アクチュエータ21を制御する。このようにパワーユニット11及び制動アクチュエータ21を作動させることにより、走行プロファイルPRVTtlに従って車両を自動走行させることができる。
【0017】
次に、図2及び図3を参照し、走行プロファイルPRVTtlの作成処理について説明する。ここでは、作成処理の一例として、図2に実線で示す位置から車両100を発進させ、図2に二点鎖線で示す位置で車両100を停止させる場合の作成処理について説明する。
【0018】
この場合、図2における実線矢印が車両の走行経路TRであり、走行経路TRの始点が初期位置PSiであり、走行経路TRの終点が最終目標位置PSfである。また、初期位置PSiと加速終了位置PSaとの間の区間が、車両100を加速させる加速区間SEC1である。加速終了位置PSaは、初期位置PSiと最終目標位置PSfとの間に設定される。また、減速開始位置PSdと最終目標位置PSfとの間の区間が、車両100を減速させる減速区間SEC3である。減速開始位置PSdは、加速終了位置PSaと最終目標位置PSfとの間に設定される。そして、加速終了位置PSaと減速開始位置PSdとの間の区間が、車両100を定速走行させる定速区間SEC2である。
【0019】
図3(a)には、車両100をある車体速度Vになるまで加速させ、ある車体速度Vで車両100を定速走行させた後、車両100を減速させて停止させる際の走行プロファイルPRVTtlの一例が図示されている。図3(a)において、タイミングT11が、車両100が加速終了位置PSaに達する時刻に相当する。また、タイミングT12が、車両100が減速開始位置PSdに到達する時刻に相当する。また、タイミングT13が、車両100が最終目標位置PSfに到達する時刻に相当する。
【0020】
なお、図3(b)は、図3(a)に示した走行プロファイルPRVTtlに従って車両100を走行させた際における車両100の移動距離Xの推移を示している。また、図3(c)は、図3(a)に示した走行プロファイルPRVTtlに従って車両100を走行させた際における車両100の車体加速度Gの推移を示している。図3(d)は、図3(a)に示した走行プロファイルPRVTtlに従って車両100を走行させた際における車両100のジャークJの推移を示している。
【0021】
図3(a)に示した走行プロファイルPRVTtlのうち、加速区間SEC1における走行プロファイルPRV1は、車体速度Vを目標定速時車体速度VCTrまで増大させるためのものである。目標定速時車体速度VCTrとは、定速区間SEC2での目標車体速度VTrである。走行プロファイルPRV1は、図3(c)に示すように、時間の経過に応じて車体加速度Gを大きくし、車体加速度Gが最大値に達した以降では時間の経過に応じて車体加速度Gを「0(零)」まで小さくするものである。例えば、加速区間SEC1における中間時点で車体加速度Gが最大となるように、走行プロファイルPRV1が作成される。
【0022】
図3(a)に示した走行プロファイルPRVTtlのうち、定速区間SEC2における走行プロファイルPRV2は、車体速度Vを目標定速時車体速度VCTrで維持するためのものである。
【0023】
図3(a)に示した走行プロファイルPRVTtlのうち、減速区間SEC3における走行プロファイルPRV3は、車体速度Vを目標定速時車体速度VCTrから「0」まで減少させるためのものである。具体的には、走行プロファイルPRV3は、図3(c)に示すように、時間の経過に応じて車体加速度Gを小さくし、車体加速度Gが最小値に達した以降では時間の経過に応じて車体加速度Gを「0(零)」まで大きくするものである。例えば、減速区間SEC3における中間時点で車体加速度Gが最小となるように、走行プロファイルPRV3が作成される。
【0024】
加速区間SEC1における走行プロファイルPRV1の作成について説明する。走行プロファイルPRV1を作成する場合、例えば、上記の初期位置PSiが「開始位置PSs」に相当し、加速終了位置PSaが「目標位置PSt」に相当する。初期位置PSiからの車両100の移動距離X、車両の車体速度V、車体加速度G及びジャークJは、車両の車体速度に関する状態量の一例であり、以下の関係式(式1)~(式4)を用いて導出することができる。なお、関係式(式1)~(式4)において、「t」は初期位置PSiからの車両100の自動走行が開始されてからの時間である。
【0025】
【数1】
各関係式(式1)~(式4)は、上記時間tに関する7次以下の多項式の関数である。8個の係数C0~C7は、各関係式(式1)~(式4)による8個の相異なる制約条件を与えることによって導出される。制約条件として、異なる2つの位置での移動距離X、車体速度V、車体加速度G及びジャークJが用いられる。異なる2つの位置としては、例えば、初期位置PSi及び加速終了位置PSaを挙げることができる。初期位置PSiでの移動距離X(ts)、車両の車体速度V(ts)、車体加速度G(ts)及びジャークJ(ts)と、加速終了位置PSaでの移動距離X(te)、車両の車体速度V(te)、車体加速度G(te)及びジャークJ(te)とを行列式で表すと、以下の関係式(式5)の通りである。
【0026】
【数2】
移動距離X(ts),X(te)、車体速度V(ts),V(te)、車体加速度G(ts),G(te)、ジャークJ(ts),J(te)、及び、時間ts,teには、既知の値、又は、設定されている値がそれぞれ代入される。ここでいう「設定されている値」とは、例えば、車両モデルから決まる値である。よって、上記の各係数C0~C7は、逆行列を用いた演算によってそれぞれ導出することができる。なお、時間tが「t1」であるときの車両100の移動距離X(t1)は、以下の関係式(式6)のように表すことができる。関係式(式6)と関係式(式1)とを比較することにより、各係数C0~C7を既知の値、又は、設定されている値で表すことができることが理解できる。
【0027】
【数3】
初期位置PSiを車両100が発進してから加速終了位置PSaに達するまでに要する時間teは、初期位置PSiから加速終了位置PSaまでの走行距離に応じて設定される。すなわち、走行距離が長いほど時間teが長くなる。また、加速区間SEC1において車体加速度Gに対して上限値GLmが設定されている場合、上限値GLmに応じても時間teが可変する。すなわち、上限値GLmが小さいほど時間teが長くなる。さらに、目標定速時車体速度VCTrに応じても、時間teが可変する。すなわち、目標定速時車体速度VCTrが高いほど時間teが長くなる。
【0028】
そして、本実施形態では、上記関係式(式2)を用いることにより、加速区間SEC1における走行プロファイルPRV1が作成される。具体的には、関係式(式2)において、時間tを「ts」から「te」まで可変させた際における車体速度V(t)の推移が、走行プロファイルPRV1となる。
【0029】
次に、定速区間SEC2における走行プロファイルPRV2の作成について説明する。走行プロファイルPRV2を作成する場合、例えば、加速終了位置PSaが「開始位置PSs」に相当し、減速開始位置PSdが「目標位置PSt」に相当する。定速区間SEC2は、車体速度Vを目標定速時車体速度VCTrで保持する区間である。そのため、車体速度V(t)として目標定速時車体速度VCTrが設定される。そのため、車体加速度G(t)及びジャークJ(t)として「0(零)」がそれぞれ設定される。また、移動距離X(t)は、時間の経過に応じ、目標定速時車体速度VCTrに応じた速度で長くなる。
【0030】
次に、減速区間SEC3における走行プロファイルPRV3の作成について説明する。走行プロファイルPRV3を作成する場合、例えば、減速開始位置PSdが「開始位置PSs」に相当し、最終目標位置PSfが「目標位置PSt」に相当する。減速区間SEC3における走行プロファイルPRV3は、加速区間SEC1における走行プロファイルPRV1と同じ方法で作成することができる。すなわち、上記関係式(式1)~(式4)を用いることにより、減速開始位置PSdでの移動距離X(ta)、車体速度V(ta)、車体加速度G(ta)、ジャークJ(ta)が算出される。時間taは、初期位置PSiを車両100が発進してから車両100が減速開始位置PSdに達するのに要する時間である。また、最終目標位置PSfでの移動距離X(tb)、車体速度V(tb)、車体加速度G(tb)、ジャークJ(tb)が算出される。時間tbは、初期位置PSiを車両100が発進してから車両100が最終目標位置PSfに到達するまでに要する時間である。本実施形態では、車体速度V(ta)は目標定速時車体速度VCTrと等しく、車体速度V(tb)は「0(零)」と等しい。
【0031】
すると、上記関係式(式6)を用いて各係数C0~C7を導出した場合と同じ要領で、減速区間SEC3における走行プロファイルPRV3を作成する場合における各係数C0~C7が導出される。このように導出した各係数C0~C7を上記関係式(式2)に代入することにより、走行プロファイルPRV3が作成される。具体的には、関係式(式2)において、時間tを「ta」から「tb」まで可変させた際における車体速度V(t)の推移が、走行プロファイルPRV3となる。
【0032】
次に、図4及び図5を参照し、走行支援装置30が支援制御を実施する際の処理ルーチンについて説明する。本処理ルーチンは、最終目標位置PSfと、総合走行距離STtlとに関する情報を走行支援装置30が受信したことを条件に実行される。
【0033】
本処理ルーチンにおいて、ステップS11では、総合走行距離STtlが取得される。続いて、ステップS12において、加速区間SEC1における車体加速度Gの最大値GTrが設定される。すなわち、車体加速度の最大値GTrは、総合走行距離STtlと車体加速度Gとの関係を示すマップ又はテーブルを用いることによって導出される。よって、最大値GTrは、総合走行距離STtlに応じた値となる。例えば、最大値GTrは、総合走行距離STtlが長いほど大きい値となるように設定される。
【0034】
そして、次のステップS13において、制限値設定部32によって、制限値Gaveが設定される。本実施形態では、ステップS12で設定された最大値GTrを基に制限値Gaveが設定される。例えば、以下に示す関係式(式7)を用いることにより、制限値Gaveが導出される。この場合、制限値Gaveは、最大値GTrが大きいほど大きくなる。詳しくは後述するが、走行プロファイルPRVTtlは、当該走行プロファイルPRVTtlに従って車両100を自動走行させる際に車体加速度Gが最大値GTr以下となるように作成される。そのため、本実施形態では、走行プロファイルPRVTtlに応じた値が制限値Gaveとして設定されるということができる。
【0035】
【数4】
続いて、ステップS14において、目標定速時車体速度VCTrが設定される。目標定速時車体速度VCTrは、総合走行距離STtlと目標定速時車体速度VCTrとの関係を示すマップ又はテーブルを用いることによって導出される。よって、目標定速時車体速度VCTrは、総合走行距離STtlに応じた値となる。例えば、目標定速時車体速度VCTrは、総合走行距離STtlが長いほど高くなるように設定される。
【0036】
そして、ステップS141において、作成部31によって、加速区間SEC1における走行プロファイルPRV1が作成される。走行プロファイルPRV1は、加速区間SEC1で車体加速度Gが最大値GTrを越えないように作成される。具体的には、加速区間SEC1の中間位置で車体加速度Gが最大値GTrと等しくなるように走行プロファイルPRV1が作成される。上記の関係式(式2)などで用いられる各係数C0~C7として適切な値をそれぞれ設定してやることにより、加速区間SEC1の中間位置で車体加速度Gが最大値GTrと等しくなるような走行プロファイルPRV1を作成することができる。
【0037】
続いて、ステップS142において、作成部31によって、減速区間SEC3における走行プロファイルPRV3が作成される。走行プロファイルPRV3は、減速区間SEC3で車体加速度Gが最大値GTrと「-1」との積を下回ることがないように作成される。具体的には、減速区間SEC3の中間位置で車体加速度Gが最大値GTrと「-1」との積と等しくなるように走行プロファイルPRV3が作成される。上記の関係式(式2)などで用いられる各係数C0~C7として適切な値をそれぞれ設定してやることにより、減速区間SEC3の中間位置で車体加速度Gが最大値GTrと「-1」との積と等しくなるような走行プロファイルPRV3を作成することができる。
【0038】
そして、ステップS143において、作成部31によって、加速走行距離S1、定速走行距離S2及び減速走行距離S3がそれぞれ導出される。加速走行距離S1とは、総合走行距離STtlのうち、初期位置PSiから加速終了位置PSaまでの走行距離である。定速走行距離S2は、総合走行距離STtlのうち、加速終了位置PSaから減速開始位置PSdまでの走行距離である。減速走行距離S3は、総合走行距離STtlのうち、減速開始位置PSdから最終目標位置PSfまでの走行距離である。加速走行距離S1は、ステップS141で作成された加速区間SEC1における走行プロファイルPRV1を基に導出される。また、減速走行距離S3は、ステップS142で作成された減速区間SEC3における走行プロファイルPRV3を基に導出される。また、定速走行距離S2は、総合走行距離STtl、加速走行距離S1及び減速走行距離S3を基に導出される。具体的には、以下の関係式(式8)を用いることにより、定速走行距離S2を導出することができる。
【0039】
【数5】
続いて、ステップS15において、作成部31によって、定速区間SEC2の時間的な長さである定速走行時間T2が導出される。定速走行距離S2を目標定速時車体速度VCTrで除することにより、定速走行時間T2が導出される。そのため、定速走行時間T2は、定速走行距離S2が長いほど長くなる。また、定速走行時間T2は、目標定速時車体速度VCTrが低いほど長くなる。そして、ステップS151において、作成部31によって、定速走行時間T2及び目標定速時車体速度VCTrを基に、定速区間SEC2における走行プロファイルPRV2が作成される。走行プロファイルPRV2は、加速終了位置PSaから減速開始位置PSdまでの間では車体速度Vが目標定速時車体速度VCTrで保持されるように作成される。
【0040】
続いて、ステップS16において、作成部31によって、初期位置PSiから最終目標位置PSfまでの走行プロファイルPRVTtlが作成される。すなわち、作成部31は、加速区間SEC1における走行プロファイルPRV1、定速区間SEC2における走行プロファイルPRV2、及び、減速区間SEC3における走行プロファイルPRV3を繋げることにより、走行プロファイルPRVTtlを作成する。すなわち、ステップS141~S143,S15,S151,S16により、走行プロファイルPRVTtlの作成処理が構成される。走行プロファイルPRVTtlの作成が完了すると、処理がステップS17に移行される。
【0041】
ステップS17において、作成された走行プロファイルPRVTtlから現時点の目標車体速度VTrが目標状態量として取得される。すなわち、走行プロファイルPRVTtlで示される車体速度Vのうち、初期位置PSiを車両100が通過した時点からの時間tに対応する車体速度Vが目標車体速度VTrとして取得される。そのため、加速区間SEC1である場合には、時間の経過に応じて目標車体速度VTrが高くなる。定速区間SEC2である場合には、時間が経過しても、目標車体速度VTrは目標定速時車体速度VCTrで保持される。減速区間SEC3である場合には、時間の経過に応じて目標車体速度VTrが低くなる。続いて、ステップS18において、操作量導出部34によって、駆動装置10の操作量DRPu及び制動装置20の操作量DRBaが導出される。次のステップS19では、出力部35によって、操作量DRPuが駆動制御部12に出力され、操作量DRBaが制動制御部22に出力される。これにより、走行プロファイルPRVTtlに従った車両100の走行制御が実施される。
【0042】
そして、ステップS20において、車両100が最終目標位置PSfに到達したか否かの判定が行われる。例えば、初期位置PSiからの車両100の自動走行による車両100の移動距離XRが、総合走行距離STtlと等しいと判断できる場合、車両100が最終目標位置PSfに到達している。車両100が最終目標位置PSfに到達したとの判定がなされていない場合(S20:NO)、処理が次のステップS21に移行される。一方、到達したとの判定がなされている場合(S20:YES)、本処理ルーチンが終了される。すなわち、支援制御が終了される。
【0043】
ステップS21において、現時点の目標車体速度VTrから実際の車体速度VRを引いた値が状態量偏差ΔSQとして算出される。次のステップS22では、状態量偏差ΔSQの絶対値が判定差分ΔSQTh以上であるか否かの判定が行われる。状態量偏差の絶対値|ΔSQ|が、現時点の目標車体速度VTrと実際の車体速度VRとの差分である。判定差分ΔSQThは、現時点の目標車体速度VTrと実際の車体速度VRとの乖離が大きいか否かの判断基準として設定されている。そのため、状態量偏差の絶対値|ΔSQ|が判定差分ΔSQTh以上である場合、走行プロファイルPRVTtlの再作成が必要であり、再作成条件が成立したと判断できる。
【0044】
ステップS22において、状態量偏差の絶対値|ΔSQ|が判定差分ΔSQTh以上である場合(YES)、処理が後述するステップS24に移行される。この場合、走行プロファイルPRVTtlの再作成処理が実行される。一方、状態量偏差の絶対値|ΔSQ|が判定差分ΔSQTh未満である場合(S22:NO)、処理が次のステップS23に移行される。ステップS23において、情報取得部33によって取得された車両100の周辺環境に関する情報を基に、車両100の周辺環境の変化が検知されたか否かの判定が行われる。例えば、車両100の走行する道路の車幅が変化した場合、車両100の周辺環境の変化が検知される。また、車両100の周辺に位置する障害物が移動した場合、車両100の周辺環境の変化が検知される。そして、車両100の周辺環境が変化した場合、走行プロファイルPRVTtlの再作成が必要であり、再作成条件が成立したと判断できる。すなわち、本実施形態では、状態量偏差の絶対値|ΔSQ|が判定差分ΔSQTh未満であっても車両100の周辺環境の変化が検知されたときには、走行プロファイルPRVTtlが再作成される。
【0045】
車両100の周辺環境の変化を検知したとの判定がなされている場合(S23:YES)、処理が次のステップS24に移行される。この場合、走行プロファイルPRVTtlの再作成処理が実行される。一方、変化を検知したとの判定がなされていない場合(S23:NO)、処理が前述したステップS17に移行される。すなわち、走行プロファイルPRVTtlの再作成処理が実行されず、現時点の走行プロファイルPRVTtlに従った車両制御が継続される。
【0046】
ステップS24において、加速区間SEC1であるか否かの判定が行われる。加速区間SEC1における走行プロファイルPRV1から目標車体速度VTrが取得されている場合は、加速区間SEC1である。そして、加速区間SEC1であるとの判定がなされている場合(S24:YES)、処理が次のステップS25に移行される。ステップS25において、作成部31によって、第1再作成処理が走行プロファイルPRVTtlの再作成処理として実行される。第1再作成処理については後述する。そして、走行プロファイルPRVTtlの再作成が完了すると、処理が後述したステップS17に移行される。
【0047】
その一方で、ステップS24において、加速区間SEC1であるとの判定がなされていない場合(NO)、処理が次のステップS26に移行される。ステップS26において、定速区間SEC2であるか否かの判定が行われる。定速区間SEC2における走行プロファイルPRV2から目標車体速度VTrが取得されている場合は、定速区間SEC2である。そして、定速区間SEC2であるとの判定がなされている場合(S26:YES)、処理が次のステップS27に移行される。ステップS27において、作成部31によって、第2再作成処理が走行プロファイルPRVTtlの再作成処理として実行される。第2再作成処理については後述する。そして、走行プロファイルPRVTtlの再作成が完了すると、処理が後述したステップS17に移行される。
【0048】
その一方で、ステップS26において、定速区間SEC2であるとの判定がなされていない場合(NO)、減速区間SEC3であるため、処理が次のステップS28に移行される。ステップS28では、作成部31によって、第3再作成処理が走行プロファイルPRVTtlの再作成処理として実行される。第3再作成処理については後述する。そして、走行プロファイルPRVTtlの再作成が完了すると、処理が後述したステップS17に移行される。
【0049】
次に、図6を参照し、第1再作成処理について説明する。
第1再作成処理では、上記ステップS13で導出された制限値Gaveを用い、目標定速時車体速度VCTr、加速時間T1、定速走行時間T2及び減速時間T3が変わるように、走行プロファイルPRVTtlが再作成される。加速時間T1は加速区間SEC1の時間的な長さであり、減速時間T3は減速区間SEC3の時間的な長さである。
【0050】
状態量偏差の絶対値|ΔSQ|が判定差分ΔSQTh以上であるために第1再作成処理が実行される場合、状態量偏差ΔSQに応じ、目標定速時車体速度VCTrが補正される。状態量偏差ΔSQが正の値である場合、目標定速時車体速度VCTrは増大補正される。具体的には、状態量偏差ΔSQが正の値である場合、状態量偏差ΔSQが大きいほど目標定速時車体速度の増大補正量が多くなるように、目標定速時車体速度VCTrが増大補正される。状態量偏差ΔSQが負の値である場合、目標定速時車体速度VCTrは減少補正される。具体的には、状態量偏差ΔSQが負の値である場合、状態量偏差の絶対値|ΔSQ|が大きいほど目標定速時車体速度の減少補正量が多くなるように、目標定速時車体速度VCTrが減少補正される。
【0051】
また、車両100の周辺環境の変化が検知されたために第1再作成処理が実行される場合、周辺環境の変化の態様に応じ、目標定速時車体速度VCTrが補正される。例えば車両100の走行する道路の道幅が狭くなったことが検知された場合、目標定速時車体速度VCTrが減少補正される。一方、車両100の走行する道路の道幅が広くなったことが検知された場合、目標定速時車体速度VCTrが増大補正される。例えば、車両100の周辺に存在する障害物が車両100に接近してきた場合、及び、車両100の周辺に存在する障害物の数が増えた場合、目標定速時車体速度VCTrが減少補正される。
【0052】
第1再作成処理では、制限値Gaveと、補正後の目標定速時車体速度VCTrとを基に、加速区間SEC1のうち、再作成が必要と判断された時点以降における走行プロファイルPRV1が再作成される。すなわち、再作成が必要と判断された時点以降における走行プロファイルPRV1は、走行プロファイルが変更された際に車体加速度Gが制限値Gaveを越えないとともに、加速区間SEC1の終了時点で車体速度Vが補正後の目標定速時車体速度VCTrと等しくなるように、再作成される。再作成時であっても、例えば、上記の関係式(式5)が用いられる。この際、各係数C0~C7として適切な値をそれぞれ設定してやることにより、上記の条件を満たすように、走行プロファイルPRV1を再作成することができる。
【0053】
また、第1再作成処理では、補正後の目標定速時車体速度VCTrで車両100が定速走行するように、定速区間SEC2における走行プロファイルPRV2が再作成される。例えば、目標定速時車体速度VCTrが増大補正された場合、定速走行時間T2が短縮されるように走行プロファイルPRV2が再作成される。一方、目標定速時車体速度VCTrが減少補正された場合、定速走行時間T2が延長されるように走行プロファイルPRV2が再作成される。
【0054】
また、第1再作成処理では、車両100が減速開始位置PSdから最終目標位置PSfまで走行するに際し、車体速度Vが、補正後の目標定速時車体速度VCTrから「0」まで減少するように、減速区間SEC3における走行プロファイルPRV3が再作成される。再作成時であっても、例えば、上記の関係式(式5)が用いられる。この際、各係数C0~C7として適切な値をそれぞれ設定してやることにより、上記の条件を満たすように、走行プロファイルPRV3を再作成することができる。
【0055】
なお、図6には、第1再作成処理の実行によって再作成された走行プロファイルPRVTtlの一例が図示されている。図6には、目標定速時車体速度VCTrが減少補正された場合が図示されている。図6における実線は再作成前の走行プロファイルPRVTtlを示し、図6における破線は、第1再作成処理によって再作成された走行プロファイルPRVTtlを示している。
【0056】
目標定速時車体速度VCTrが減少補正された場合、走行プロファイルPRVTtlの再作成前と比較し、加速区間SEC1中では目標車体速度VTrの増大速度が低くなる。そのため、車両100が加速終了位置PSaに達するまでに要する時間が長くなる。すなわち、再作成後の走行プロファイルPRVTtlによれば、目標定速時車体速度VCTrが減少補正された場合、加速時間T1が延長される。
【0057】
また、目標定速時車体速度VCTrが減少補正された場合、走行プロファイルPRVTtlの再作成前と比較し、定速区間SEC2中では、車両100が加速終了位置PSaから減速開始位置PSdまで移動するのに要する時間が長くなる。すなわち、再作成後の走行プロファイルPRVTtlによれば、目標定速時車体速度VCTrが減少補正された場合、定速走行時間T2が延長される。
【0058】
また、目標定速時車体速度VCTrが減少補正された場合、走行プロファイルPRVTtlの再作成前と比較し、減速区間SEC3中では、車両100が減速開始位置PSdから最終目標位置PSfまで移動するのに要する時間が短くなる。すなわち、再作成後の走行プロファイルPRVTtlによれば、目標定速時車体速度VCTrが減少補正された場合、減速時間T3が短縮される。
【0059】
その一方で、目標定速時車体速度VCTrが増大補正された場合、走行プロファイルPRVTtlの再作成前と比較し、加速区間SEC1中では目標車体速度VTrの増大速度が高くなる。すなわち、再作成後の走行プロファイルPRVTtlによれば、加速時間T1が短縮される。また、再作成後の走行プロファイルPRVTtlによれば、目標定速時車体速度VCTrが増大補正された場合、定速走行時間T2が短縮される。また、再作成後の走行プロファイルPRVTtlによれば、目標定速時車体速度VCTrが増大補正された場合、減速時間T3が延長される。
【0060】
次に、第2再作成処理について説明する。
第2再作成処理では、定速走行時間T2が変わるように、定速区間SEC2における走行プロファイルPRV2が再作成される。状態量偏差の絶対値|ΔSQ|が判定差分ΔSQTh以上であるために第2再作成処理が実行される場合、状態量偏差ΔSQに応じ、定速走行時間T2が補正される。状態量偏差ΔSQが正の値である場合、状態量偏差ΔSQが大きいほど定速走行時間T2が長くなるように、定速走行時間T2が補正される。状態量偏差ΔSQが負の値である場合、状態量偏差の絶対値|ΔSQ|が大きいほど定速走行時間T2が短くなるように、定速走行時間T2が補正される。
【0061】
次に、図7を参照し、第3再作成処理について説明する。
第3再作成処理では、減速時間T3が変わるように、減速区間SEC3のうち、再作成が必要と判断された時点以降における走行プロファイルPRV3が再作成される。すなわち、状態量偏差の絶対値|ΔSQ|が判定差分ΔSQTh以上であるために第3再作成処理が実行される場合、状態量偏差ΔSQに応じ、減速時間T3が補正される。状態量偏差ΔSQが正の値である場合、状態量偏差ΔSQが大きいほど減速時間T3が短くなるように、減速時間T3が補正される。状態量偏差ΔSQが負の値である場合、状態量偏差の絶対値|ΔSQ|が大きいほど減速時間T3が長くなるように、減速時間T3が補正される。
【0062】
なお、再作成が必要と判断された時点以降における走行プロファイルPRV3は、例えば、上記の関係式(式5)を用いることにより再作成される。この際、各係数C0~C7として適切な値をそれぞれ設定してやることにより、上記の条件を満たすように、走行プロファイルPRV3を再作成することができる。
【0063】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)走行プロファイルPRVTtlが作成されると、走行プロファイルPRVTtlから目標車体速度VTrが取得され、駆動装置10の操作量DRPu及び制動装置20の操作量DRBaがそれぞれ導出される。そして、操作量DRPuに基づいてパワーユニット11が制御されたり、操作量DRBaに基づいて制動アクチュエータ21が制御されたりすることで、走行プロファイルPRVTtlに従って車両100が自動走行する。走行プロファイルPRVTtlに従って車両100が自動走行している場合、状態量偏差の絶対値|ΔSQ|が判定差分ΔSQTh以上であるときに、車体加速度Gが制限値Gaveを越えないように走行プロファイルPRVTtlが再作成される。すると、再作成された走行プロファイルPRVTtlに従って車両100が自動走行されることとなる。このように走行プロファイルPRVTtlが変わった際に、車体加速度Gが制限値Gaveを越えることはない。したがって、走行プロファイルPRVTtlが再作成されたことに起因する車体加速度Gの増大の抑制が可能となる。
【0064】
(2)なお、制限値Gaveは、走行プロファイルPRVTtlに従って車両100を走行させる際における車体加速度の最大値GTrを基に設定される。このように再作成前の走行プロファイルPRVTtlを加味して制限値Gaveを設定することにより、走行プロファイルPRVTtlが再作成された際に車体加速度Gが大きく変化することの抑制効果を高くすることができる。
【0065】
(3)走行プロファイルPRVTtlに従って車両100が自動走行するに際し、定速区間SEC2であるときに走行プロファイルPRV2の再作成が必要となった場合、定速走行時間T2が変わるように走行プロファイルPRV2が再作成される。そのため、走行プロファイルPRVTtlの再作成によって車体加速度Gが変化しない。したがって、走行プロファイルPRVTtlの再作成に際し、車体加速度Gが変化しない分、車両100の乗員が不快に感じてしまうことを抑制できる。
【0066】
(4)走行プロファイルPRVTtlに従って車両100が自動走行するに際し、加速区間SEC1であるときに走行プロファイルPRVTtlの再作成が必要となった場合、目標定速時車体速度VCTr、加速時間T1及び定速走行時間T2が変わるように走行プロファイルPRVTtlが再作成される。このように目標定速時車体速度VCTr、加速時間T1及び定速走行時間T2を可変させることにより、走行プロファイルPRVTtlの再作成に起因する車体加速度Gの増大を抑制できる。これにより、加速区間SEC1中に車体加速度Gが大きく変化することを抑制できるため、走行プロファイルPRVTtlの再作成に際して車両100の乗員が不快に感じてしまうことを抑制できる。
【0067】
(5)本実施形態では、車両100の周辺環境の変化が検知されたときに、走行プロファイルPRVTtlが再作成される。すなわち、周辺環境に応じた車体速度V及び車体加速度Gでの車両100の自動走行を提供することができる。これにより、走行プロファイルPRVTtlに従って車両100を自動走行させる際における安全性を高めることができる。
【0068】
(第2実施形態)
次に、車両の運転支援装置の第2実施形態を説明する。第2実施形態では、車両の走行モードを加味して走行プロファイルPRVTtlを作成する点が、第1実施形態と相違している。そこで、以下の説明においては、第1実施形態と相違している部分について主に説明するものとし、第1実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0069】
本実施形態の走行支援装置30を備える車両では、複数の走行モードが用意されている。複数の走行モードとして、第1走行モードMD1と、第2走行モードMD2とが用意されている。第1走行モードMD1は、通常時の走行モードである。第2走行モードMD2は、第1走行モードMD1での車両走行時よりも車両100の乗員の快適性を高くするモードである。言い換えると、第2走行モードMD2は、第1走行モードMD1よりも車両100の加速を抑えるモードである。例えば、車両100の急加速や急減速が要求されるような走行を車両100に行わせる場合、第1走行モードMD1で車両100が走行しているといえる。一方、車両100の急加速や急減速を必要としない場合、第2走行モードMD2で車両100が走行しているといえる。
【0070】
作成部31は、車両100の走行モードが第1走行モードMD1であるか第2走行モードMD2であるかを考慮し、走行プロファイルPRVTtlを作成する。すなわち、作成部31は、第2走行モードMD2で車両100を走行させる場合、総合走行距離STtlに基づいて設定される車体加速度の最大値GTrを、第1走行モードMD1で車両100を走行させる場合よりも小さくし、その上で、加速区間SEC1における走行プロファイルPRV1を作成する。これにより、当該走行プロファイルPRV1に従って車両100を自動走行させる場合、加速区間SEC1中では車体加速度Gがあまり大きくならない。また、初期位置PSiから加速終了位置PSaまで車両100を走行させるのに要する時間が長くなる。
【0071】
制限値設定部32は、車両100の走行モードが第1走行モードMD1であるか第2走行モードMD2であるかに基づき、上記関係式(式7)を用いて算出した制限値Gaveを補正する。例えば、関係式(式7)を用いて算出した制限値Gaveと、走行モードに応じた補正係数αとの積が、補正後の制限値Gaveとして導出される。例えば、第2走行モードMD2で車両100を走行させる場合、補正係数αとして「0(零)」よりも大きく且つ「1」未満の値が設定される。一方、第1走行モードMD1で車両100を走行させる場合、補正係数αとして「1」よりも大きい値が設定される。すなわち、第2走行モードMD2で車両100を走行させる場合、補正係数αは、第1走行モードMD1で車両100を走行させる場合よりも小さい。
【0072】
そして、作成部31は、走行プロファイルPRVTtlの再作成処理では、補正後の制限値Gaveを用い、走行プロファイルPRVTtlが再作成される。そのため、第2走行モードMD2である場合、車体加速度Gの上昇の抑制効果の高い加速区間SEC1における走行プロファイルPRVTtlが再作成される。一方、第1走行モードMD1である場合、車体加速度Gがより大きくなるように走行プロファイルPRVTtlが再作成される。
【0073】
したがって、本実施形態では、第2走行モードMD2である場合、走行プロファイルPRVTtlに従って車両100を自動走行させるときには車体加速度Gが大きくなりにくい。これにより、自動走行時に車体加速度Gが大きくなりすぎることに起因した不快感を乗員に与えることの抑制効果をより高めることができる。
【0074】
しかも、本実施形態では、加速区間SEC1中に走行プロファイルPRVTtlが再作成される場合であっても、第2走行モードMD2であるときには、第1走行モードMD1であるときと比較し、走行プロファイルPRVTtlの変更に起因する車体加速度Gの増大の抑制効果を高めることができる。
【0075】
一方、第1走行モードMD1である場合、走行プロファイルPRVTtlに従って車両100を自動走行させるときには、第2走行モードMD2である場合よりも車体加速度Gを大きくすることが可能となる。これにより、車両100の挙動を速やかに変化させることができる。
【0076】
なお、ここでは、第1走行モードMD1である場合、制限値Gaveを増大補正するようにしている。しかし、第2走行モードMD2である場合、第1走行モードMD1である場合よりも制限値Gaveを小さくできるのであれば、第1走行モードMD1である場合には関係式(式7)を用いて算出した制限値Gaveを補正しなくてもよい。
【0077】
(第3実施形態)
次に、車両の運転支援装置の第3実施形態を図7に従って説明する。第3実施形態では、車両100の運転者によるアクセル操作の履歴を加味して走行プロファイルPRVTtlを作成する点が、上記各実施形態と相違している。そこで、以下の説明においては、上記各実施形態と相違している部分について主に説明するものとし、上記各実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0078】
図7に示すように、走行支援装置30は、運転者によるアクセルペダル50の操作に基づいたパワーユニット11の作動によって車両100が走行するときに、その際のアクセル操作の態様に関する値であるアクセル操作関連値ACCを記憶する記憶部36を有している。アクセル操作関連値ACCは、アクセル開度センサ102からの検出信号を基に導出される値である。アクセル操作関連値ACCとしては、アクセル操作量、及び、アクセル操作速度などを挙げることができる。
【0079】
走行支援装置30は、記憶部36に記憶されている多数のアクセル操作関連値ACCを解析する解析部37を有している。例えば、解析部37は、車両100を急加速させるようなアクセル操作を行う機会が多いか少ないかの解析を行う。
【0080】
作成部31は、解析部37による解析結果を考慮し、走行プロファイルPRVTtlを作成する。すなわち、作成部31は、車両100を急加速させるようなアクセル操作を行う機会が少ないという解析結果が得られている場合、総合走行距離STtlに基づいて設定される車体加速度の最大値GTrを、車両100を急加速させるようなアクセル操作を行う機会が多いという解析結果が得られている場合よりも小さくする。その上で、作成部31は、加速区間SEC1における走行プロファイルPRV1を作成する。これにより、車両100を急加速させるようなアクセル操作を行う機会が少ないという解析結果が得られている場合、当該走行プロファイルPRV1に従って車両100を自動走行させることにより、車両100を急加速させるようなアクセル操作を行う機会が多いという解析結果が得られている場合と比較し、加速区間SEC1中に車体加速度Gが大きくなりにくい。また、初期位置PSiから加速終了位置PSaまで車両100を走行させるのに要する時間が長くなる。
【0081】
制限値設定部32は、解析部37による解析結果を基に、上記関係式(式7)を用いて算出した制限値Gaveを補正する。例えば、関係式(式7)を用いて算出した制限値Gaveと、解析結果に応じた補正係数βとの積が、補正後の制限値Gaveとして導出される。具体的には、車両100を急加速させるようなアクセル操作を行う機会が少ないという解析結果が得られている場合、補正係数βとして「0(零)」よりも大きく且つ「1」未満の値が設定される。一方、車両100を急加速させるようなアクセル操作を行う機会が多いという解析結果が得られている場合、補正係数βとして「1」よりも大きい値が設定される。すなわち、車両100を急加速させるようなアクセル操作を行う機会が少ないという解析結果が得られている場合、補正係数βは、車両100を急加速させるようなアクセル操作を行う機会が多いという解析結果が得られている場合よりも小さい。
【0082】
そして、作成部31は、走行プロファイルPRVTtlの再作成処理では、補正後の制限値Gaveを用い、走行プロファイルPRVTtlを再作成する。そのため、車両100を急加速させるようなアクセル操作を行う機会が少ないという解析結果が得られている場合、車体加速度Gの増大の抑制効果の高い加速区間SEC1における走行プロファイルPRVTtlが再作成される。一方、車両100を急加速させるようなアクセル操作を行う機会が多いという解析結果が得られている場合、車体加速度Gがより大きくなるように走行プロファイルPRVTtlが再作成される。
【0083】
したがって、本実施形態では、車両100を急加速させるようなアクセル操作を行う機会が少ないという解析結果が得られている場合、走行プロファイルPRVTtlに従って車両100を自動走行させるときには車体加速度Gが大きくなりにくい。これにより、車両100の運転者の趣向に沿った自動走行を提供することが可能となる。
【0084】
しかも、本実施形態では、加速区間SEC1中に走行プロファイルPRVTtlが再作成される場合であっても、車両100を急加速させるようなアクセル操作を行う機会が少ないという解析結果が得られているときには、当該機会が多いという解析結果が得られているときと比較し、走行プロファイルPRVTtlの変更に起因する車体加速度Gの増大の抑制効果を高めることができる。
【0085】
一方、車両100を急加速させるようなアクセル操作を行う機会が多いという解析結果が得られている場合、走行プロファイルPRVTtlに従って車両100を自動走行させるときには、当該機会が少ないという解析結果が得られている場合よりも車体加速度Gを大きくすることが可能となる。
【0086】
なお、ここでは、車両100を急加速させるようなアクセル操作を行う機会が多いという解析結果が得られている場合、制限値Gaveを増大補正するようにしている。しかし、車両100を急加速させるようなアクセル操作を行う機会が少ないという解析結果が得られている場合、車両100を急加速させるようなアクセル操作を行う機会が多いという解析結果が得られている場合よりも制限値Gaveを小さくできるのであれば、車両100を急加速させるようなアクセル操作を行う機会が多いという解析結果が得られている場合には関係式(式7)を用いて算出した制限値Gaveを補正しなくてもよい。
【0087】
(変形例)
・上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0088】
・上記各実施形態において、制限値Gaveを、車体加速度の最大値GTrに応じた値とすることができるのであれば、上記関係式(式7)を用いずに制限値Gaveを導出するようにしてもよい。例えば、最大値GTrを「2」以外の他の値(例えば、3)で除した値を制限値Gaveとして導出するようにしてもよい。また、最大値GTrから補正値を引いた値を制限値Gaveとして導出するようにしてもよい。
【0089】
・上記第1実施形態において、制限値Gaveは予め設定された値であってもよい。上記第2実施形態において、補正前の制限値Gaveとして規定値が設定される場合、補正前の制限値Gaveを走行モードに応じて補正し、補正後の制限値Gaveを用いて走行プロファイルPRVTtlの再作成を行うようにしてもよい。同様に、上記第3実施形態において、補正前の制限値Gaveとして規定値が設定される場合、補正前の制限値Gaveを解析部37の解析結果に基づいて補正し、補正後の制限値Gaveを用いて走行プロファイルPRVTtlの再作成を行うようにしてもよい。
【0090】
・上記第3実施形態において、アクセル操作以外の運転操作のうち、車体速度Vを変化させるような運転操作の履歴に基づいて走行プロファイルPRVTtlを作成するようにしてもよい。このような運転操作としてはブレーキ操作を挙げることができる。ブレーキ操作の履歴に基づいて走行プロファイルPRVTtlが作成される場合、記憶部36には、ブレーキ操作の態様に応じた値であるブレーキ操作関連値が記憶される。ブレーキ操作関連値としては、例えばブレーキ操作量やブレーキ操作速度を挙げることができる。この場合、解析部37によって、車両100を急減速させるようなブレーキ操作の頻度が解析される。作成部31によって、解析部37によって解析された頻度を考慮して走行プロファイルPRVTtlが作成される。
【0091】
また、運転操作の一例である操舵の履歴に基づいて走行プロファイルPRVTtlを作成するようにしてもよい。この場合、記憶部36には、操舵の態様に応じた値である操舵関連値が記憶される。操舵関連値としては、例えば操作速度を挙げることができる。解析部37によって、車両100を急旋回させるような操舵の頻度が解析される。作成部31によって、解析部37によって解析された頻度を考慮して走行プロファイルPRVTtlが作成される。
【0092】
また、作成部31は、運転者のアクセル操作の履歴、ブレーキ操作の履歴、及び、操舵の履歴の組み合わせに基づいて走行プロファイルPRVTtlを作成してもよい。
・上記第2実施形態では、走行プロファイルPRVTtlを作成するに際し、走行モードによって目標定速時車体速度VCTrを可変させないようにしているが、走行モードによって目標定速時車体速度VCTrを可変させるようにしてもよい。例えば、第2走行モードMD2である場合、目標定速時車体速度VCTrを、第1走行モードMD1である場合よりも低くするようにしてもよい。
【0093】
・加速区間SEC1における走行プロファイルPRV1を作成する場合、目標定速時車体速度VCTrまで車体速度Vを増大させることができるのであれば、上記関係式(式5)を用いることなく、走行プロファイルPRVTtlを作成するようにしてもよい。
【0094】
・加速区間SEC1である状況下で走行プロファイルPRVTtlの再作成が必要と判断された場合、目標定速時車体速度VCTr、加速時間T1及び定速走行時間T2のうちの一部のみが変更されるように、走行プロファイルPRVTtlを再作成するようにしてもよい。例えば、再作成に際し、目標定速時車体速度VCTrを変更しないようにしてもよい。この場合、加速区間SEC1における走行プロファイルPRV1は変わらず、定速区間SEC2における走行プロファイルPRV2が変更される。すなわち、加速時間T1は変わらず、定速走行時間T2が変わる。
【0095】
・総合走行距離STtlを取得したことを契機に加速区間SEC1における走行プロファイルPRV1を作成する場合、加速区間SEC1を複数に分割し、分割された区間毎に走行プロファイルを作成し、これら各走行プロファイルを結合することで走行プロファイルPRV1を完成させるようにしてもよい。例えば、加速区間SEC1を3つの区間に分割する場合の一例を説明する。この場合、分割された各区間のうち、最初の区間における走行プロファイルを作成するときには、初期位置PSiを開始位置PSsとし、初期位置PSiと加速終了位置PSaとの間の位置である第1位置を目標位置PStとした上で、走行プロファイルを作成することとなる。次の区間における走行プロファイルを作成するときには、上記第1位置を開始位置PSsとし、第1位置と加速終了位置PSaとの間の位置である第2位置を目標位置PStとした上で、走行プロファイルを作成することとなる。更なる次の区間における走行プロファイルを作成するときには、第2位置を開始位置PSsとし、加速終了位置PSaを目標位置PStとした上で、走行プロファイルを作成することとなる。
【0096】
・上記各実施形態では、車両100を加速させた後、車両100を定速走行させ、その後、車両100を減速させるような走行プロファイルPRVTtlを作成するようにしている。しかし、最終目標位置PSfに車両100が到達するまでの間に、車体速度Vをある速度まで上昇させるような走行プロファイルPRVTtlを作成するようにしてもよい。この場合、加速終了位置PSaとして最終目標位置PSfを設定し、加速区間SEC1における走行プロファイルPRV1を走行プロファイルPRVTtlとして設定するようにしてもよい。また、加速終了位置PSaとして最終目標位置PSfよりも手前の位置を設定し、加速区間SEC1における走行プロファイルPRV1と、定速区間SEC2における走行プロファイルPRV2とを基に走行プロファイルPRVTtlを作成するようにしてもよい。
【0097】
・上記各実施形態では、時間の経過に対する車体速度Vの変化の指標を時間の経過に対する状態量の変化の指標として走行プロファイルPRVTtlを作成している。しかし、車体速度以外の他の状態量の指標を走行プロファイルとして作成するようにしてもよい。例えば、時間の経過に対する車両100の移動距離Xの変化の指標を走行プロファイルとして作成するようにしてもよい。図3(b)が、時間の経過に対する車両100の移動距離Xの変化の指標を走行プロファイルの一例である。この場合、当該走行プロファイルから目標移動距離が目標状態量として取得され、当該目標移動距離と実際の移動距離とを基に駆動装置10の操作量DRPu及び制動装置20の操作量DRBaが導出されることとなる。
【0098】
また、例えば、時間の経過に対する車体加速度Gの変化の指標を走行プロファイルとして作成するようにしてもよい。図3(c)が、時間の経過に対する車体加速度Gの変化の指標を走行プロファイルの一例である。この場合、当該走行プロファイルから目標車体加速度が目標状態量として取得され、当該目標車体加速度と実際の車体加速度とを基に各操作量DRPu,操作量DRBaが導出されることとなる。
【0099】
また、例えば、時間の経過に対するジャークJの変化の指標を走行プロファイルとして作成するようにしてもよい。図3(d)が、時間の経過に対するジャークJの変化の指標を走行プロファイルの一例である。この場合、当該走行プロファイルから目標ジャークが目標状態量として取得され、当該目標ジャークと実際のジャークとを基に各操作量DRPu,操作量DRBaが導出されることとなる。
【0100】
・上記各実施形態では、目標状態量だけではなく、実際の状態量も加味して駆動装置10の操作量DRPu及び制動装置20の操作量DRBaを導出している。しかし、目標状態量を基に各操作量DRPu,操作量DRBaを導出するのであれば、各操作量DRPu,操作量DRBaの導出に際して実状態量を加味しなくてもよい。この構成であっても、状態量偏差の絶対値が大きくなると、走行プロファイルPRVTtlが再作成され、再作成後の走行プロファイルPRVTtlに従って車両100が自動走行することとなる。そのため、車両100を最終目標位置PSfに到達させることが可能となる。
【0101】
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)前記走行プロファイルに従って前記車両を走行させる際における当該車両の加速度の最大値を基に、前記制限値を設定する制限値設定部を備えることが好ましい。
【符号の説明】
【0102】
10…駆動装置、20…制動装置、30…走行支援装置、31…作成部、33…情報取得部、34…操作量導出部、35…出力部、36…記憶部、50…アクセルペダル、100…車両。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7