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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】カム装置及びステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/12 20060101AFI20230719BHJP
   B62D 1/184 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
F16H25/12 D
B62D1/184
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019202113
(22)【出願日】2019-11-07
(65)【公開番号】P2021076151
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】弁理士法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉下 傑
(72)【発明者】
【氏名】清水 宏高
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2016/114327(JP,A1)
【文献】特開2014-104870(JP,A)
【文献】特開2014-104862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 25/12
B62D 1/184
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に支持される可動側カムと、回転不能に支持される固定側カムと、を備え、
前記可動側カムは、軸方向一方側の側面に、可動側基準面と該可動側基準面よりも軸方向一方側に突出した可動側凸部とを円周方向に交互に配置してなる、可動側カム面を有しており、
前記固定側カムは、軸方向他方側の側面に、前記可動側凸部と同数の固定側基準面と、該固定側基準面よりも軸方向他方側に突出した前記可動側基準面と同数の固定側凸部とを円周方向に交互に配置してなる、固定側カム面を有しており、
前記可動側カムを前記固定側カムに対して相対回転させることにより、前記可動側凸部の先端面と前記固定側凸部の先端面とを突き合わせて軸方向寸法を拡大したロック状態と、前記可動側凸部と前記固定側凸部とを円周方向に交互に配置して軸方向寸法を縮小したアンロック状態とを、切り替え可能とした、カム装置であって、
前記可動側カム面と前記固定側カム面とのうちのいずれか一方のカム面は、前記一方のカム面を構成する前記可動側凸部と前記固定側凸部とのうちのいずれか一方の凸部の先端面よりも軸方向に凹んだ補助座面を有しており、
前記可動側カム面と前記固定側カム面とのうちのいずれか他方のカム面は、前記他方のカム面を構成する前記可動側凸部と前記固定側凸部とのうちのいずれか他方の凸部の先端面よりも軸方向に突出した補助突起部を有しており、
前記可動側凸部又は/及び前記固定側凸部の摩耗が進行してから、前記補助座面と前記補助突起部の軸方向端面とを接触させる、
カム装置。
【請求項2】
前記補助座面は、前記一方のカム面の径方向外側部に備えられており、前記補助突起部は、前記他方のカム面の径方向外側部に備えられている、請求項1に記載したカム装置。
【請求項3】
前記補助座面は、前記一方の凸部のうちで、前記アンロック状態から前記ロック状態に切り替える際に前記他方の凸部が乗り上げる側である円周方向第1側部分と、円周方向に関する位相が一致する部分に備えられている、請求項1~2のうちのいずれか1項に記載したカム装置。
【請求項4】
前記一方のカム面は、前記補助座面から円周方向に外れた部分に、前記一方の凸部の先端面よりも軸方向に突出したストッパ部をさらに有しており、
前記アンロック状態又は前記ロック状態で、前記ストッパ部の円周方向側面と前記補助突起部の円周方向側面とを当接させることで、前記可動側カムが前記固定側カムに対してそれ以上相対回転することを防止する、
請求項1~3のうちのいずれか1項に記載したカム装置。
【請求項5】
回転可能に支持される可動側カムと、回転不能に支持される固定側カムと、を備え、
前記可動側カムは、軸方向一方側の側面に、可動側基準面と該可動側基準面よりも軸方向一方側に突出した可動側凸部とを円周方向に交互に配置してなる、可動側カム面を有しており、
前記固定側カムは、軸方向他方側の側面に、前記可動側凸部と同数の固定側基準面と、該固定側基準面よりも軸方向他方側に突出した前記可動側基準面と同数の固定側凸部とを円周方向に交互に配置してなる、固定側カム面を有しており、
前記可動側カムを前記固定側カムに対して相対回転させることにより、前記可動側凸部の先端面と前記固定側凸部の先端面とを突き合わせて軸方向寸法を拡大したロック状態と、前記可動側凸部と前記固定側凸部とを円周方向に交互に配置して軸方向寸法を縮小したアンロック状態とを、切り替え可能とした、カム装置であって、
前記可動側カム面は、前記可動側凸部の先端面よりも軸方向他方側に凹んだ可動側補助座面を有し、かつ、前記可動側補助座面から円周方向に外れた部分に、前記可動側凸部の先端面よりも軸方向一方側に突出した可動側補助突起部を有しており、
前記固定側カム面は、前記固定側凸部の先端面よりも軸方向一方側に凹んだ固定側補助座面を有し、かつ、前記固定側補助座面から円周方向に外れた部分に、前記固定側凸部の先端面よりも軸方向他方側に突出した固定側補助突起部を有しており、
前記可動側凸部又は/及び前記固定側凸部の摩耗が進行してから、前記可動側補助座面と前記固定側補助突起部の軸方向端面とを接触させ、かつ、前記固定側補助座面と前記可動側補助突起部の軸方向端面とを接触させる、
カム装置。
【請求項6】
前記アンロック状態で、前記可動側補助突起部の円周方向側面と前記固定側補助突起部の円周方向側面とを当接させることで、前記可動側カムが前記固定側カムに対してそれ以上相対回転することを防止する、
請求項5に記載したカム装置。
【請求項7】
前記固定側カム面は、前記固定側補助座面及び前記固定側補助突起部から円周方向に外れた部分に、前記固定側凸部の先端面よりも軸方向他方側に突出した固定側ストッパ部をさらに有しており、
前記ロック状態で、前記可動側補助突起部の円周方向側面と前記固定側ストッパ部の円周方向側面とを当接させることで、前記可動側カムが前記固定側カムに対してそれ以上相対回転することを防止する、
請求項5~6のうちのいずれか1項に記載したカム装置。
【請求項8】
後端部にステアリングホイールを固定したステアリングシャフトを、内側に回転自在に支持するステアリングコラムと、
前記ステアリングコラムの軸方向一部に備えられたコラム側ブラケットと、
前記コラム側ブラケットを幅方向に貫通するコラム側通孔と、
前記コラム側ブラケットを幅方向両側から挟むように配置された1対の支持板部を有し、車体に支持される車体側ブラケットと、
前記1対の支持板部を幅方向に貫通する1対の車体側通孔と、
前記コラム側通孔及び前記1対の車体側通孔を幅方向に挿通した調節ロッドと、
前記調節ロッドに外嵌支持された可動側カム、及び、前記1対の支持板部のうちの片方の支持板部に対し回転不能に支持された固定側カムを有し、該固定側カムに対して前記可動側カムを相対回転させることにより、軸方向寸法を拡縮させるカム装置と、
前記可動側カムに固定され、該可動側カムを回転させる調節レバーと、を備え、
前記カム装置が、請求項1~7のうちのいずれか1項に記載したカム装置である、ステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カム装置及びステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用のステアリング装置には、運転者の体格や運転姿勢に応じて、ステアリングホイールの上下位置や前後位置を調節可能とする、ステアリングホイールの位置調節装置が組み込まれている。
【0003】
図10及び図11は、特開2016-94950号公報(特許文献1)に記載された、ステアリングホイールの位置調節装置を備えたステアリング装置の1例を示している。後端部にステアリングホイールが固定されるステアリングシャフト1は、ステアリングコラム2の内側に回転自在に支持されている。ステアリングコラム2の軸方向中間部には、1対の被挟持板部3からなるコラム側ブラケット4が備えられている。コラム側ブラケット4は、車体に支持された車体側ブラケット5に備えられた1対の支持板部6により、幅方向両側から挟持されている。1対の被挟持板部3を幅方向に貫通したコラム側通孔7、及び、1対の支持板部6を幅方向に貫通した車体側通孔8には、調節ロッド9が幅方向に挿通されている。調節ロッド9の基端部には、アンカ部10が備えられており、調節ロッド9の先端部には、ナット13が螺合されている。ナット13と片方(図11の左側)の支持板部6との間には、カム装置11及び調節レバー12が備えられている。
【0004】
カム装置11は、可動側カム14と、固定側カム15とからなる。可動側カム14は、調節ロッド9に外嵌支持されており、軸方向一方側(図11の右側)の側面に、円周方向に関する凹凸面である可動側カム面16を有している。固定側カム15は、片方の支持板部6に対して相対回転不能に支持されており、可動側カム面16に対向する軸方向他方側(図11の左側)の側面に、円周方向に関する凹凸面である固定側カム面17を有している。調節レバー12は、その基部を可動側カム14に対して相対回転不能に固定している。カム装置11は、調節レバー12の操作に基づき、可動側カム14を固定側カム15に対して相対回転させることにより、可動側カム面16と固定側カム面17との回転位相を変化させて、軸方向寸法を拡縮させる。これにより、1対の支持板部6同士の間隔を拡縮させて、1対の被挟持板部3を挟持する力の大きさを調節する。
【0005】
カム装置11の軸方向寸法を縮小して、1対の支持板部6により1対の被挟持板部3を挟持する力を小さくしたアンロック状態では、調節ロッド9がコラム側通孔7及び車体側通孔8の内側で変位できる範囲で、ステアリングホイールの位置調節が可能になる。これに対し、カム装置11の軸方向寸法を拡大して、1対の支持板部6により1対の被挟持板部3を挟持する力を大きくしたロック状態では、ステアリングホイールを、調節後の位置に保持することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-94950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、カム装置を長期間にわたり使用すると、可動側カム面及び固定側カム面の摩耗が進行し、可動側カムを固定側カムに対して相対回転させるのに要する力が小さくなる。この結果、調節レバーの操作に要する力が変化してしまう(小さくなる)。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、カム面の摩耗にかかわらず、可動側カムを固定側カムに対して相対回転させるのに要する力の変化を抑制できる、カム装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様にかかるカム装置は、可動側カムと、固定側カムとを備える。
前記可動側カムは、軸方向一方側の側面に、可動側基準面と該可動側基準面よりも軸方向一方側に突出した可動側凸部とを円周方向に交互に配置してなる、可動側カム面を有している。
前記固定側カムは、前記可動側カム面と軸方向に対向する軸方向他方側の側面に、前記可動側凸部と同数の固定側基準面と、該固定側基準面よりも軸方向他方側に突出した前記可動側基準面と同数の固定側凸部とを、円周方向に交互に配置してなる、固定側カム面を有している。
そして、前記可動側カムを前記固定側カムに対して相対回転させることにより、前記可動側凸部の先端面と前記固定側凸部の先端面とを突き合わせて軸方向寸法を拡大したロック状態と、前記可動側凸部と前記固定側凸部とを円周方向に交互に配置して軸方向寸法を縮小したアンロック状態とを、切り替え可能としている。
前記可動側カム面と前記固定側カム面とのうちのいずれか一方のカム面は、前記一方のカム面を構成する前記可動側凸部と前記固定側凸部とのうちのいずれか一方の凸部の先端面よりも軸方向に凹んだ補助座面を有している。
また、前記可動側カム面と前記固定側カム面とのうちのいずれか他方のカム面は、前記他方のカム面を構成する前記可動側凸部と前記固定側凸部とのうちのいずれか他方の凸部の先端面よりも軸方向に突出した補助突起部を有している。
前記可動側凸部又は/及び前記固定側凸部の摩耗が進行する(摩耗量が所定量に達する)までは、前記補助座面と前記補助突起部の軸方向端面との間に軸方向隙間を介在させておき、前記可動側凸部又は/及び前記固定側凸部の摩耗が進行してから(摩耗量が所定量に達してから)、前記補助座面と前記補助突起部の軸方向端面とを接触させる。
【0010】
本発明の一態様にかかるカム装置は、前記補助座面を、前記一方のカム面の径方向外側部に備え、前記補助突起部を、前記他方のカム面の径方向外側部に備えることができる。
あるいは、本発明の一態様にかかるカム装置は、前記補助座面を、前記一方のカム面の径方向内側部に備え、前記補助突起部を、前記他方のカム面の径方向内側部に備えることもできる。
【0011】
本発明の一態様にかかるカム装置は、前記補助座面を、前記一方の凸部のうちで、前記アンロック状態から前記ロック状態に切り替える際に前記他方の凸部が乗り上げる側である円周方向第1側部分と、円周方向に関する位相が一致する部分に備えることができる。
【0012】
本発明の一態様にかかるカム装置は、前記一方のカム面を、前記補助座面から円周方向に外れた部分に、前記一方の凸部の先端面よりも軸方向に突出したストッパ部をさらに有するものとし、前記アンロック状態又は前記ロック状態で、前記ストッパ部の円周方向側面と前記補助突起部の円周方向側面とを当接させることで、前記可動側カムが前記固定側カムに対してそれ以上相対回転することを防止することができる。
【0013】
本発明の一態様では、前記一方のカム面を前記固定側カム面とし、前記他方のカム面を前記可動側カム面とすることもできるし、前記一方のカム面を前記可動側カム面とし、前記他方のカム面を前記固定側カム面とすることもできる。
【0014】
あるいは、前記一方のカム面を前記固定側カム面とし、かつ、前記他方のカム面を前記可動側カム面とする発明と、前記一方のカム面を前記可動側カム面とし、かつ、前記他方のカム面を前記固定側カム面とする発明とを、同時に実施することもできる。
この場合には、前記可動側カム面を、前記可動側凸部の先端面よりも軸方向他方側に凹んだ可動側補助座面を有し、かつ、前記可動側補助座面から円周方向に外れた部分に、前記可動側凸部の先端面よりも軸方向一方側に突出した可動側補助突起部を有するものとする。
また、前記固定側カム面を、前記固定側凸部の先端面よりも軸方向一方側に凹んだ固定側補助座面を有し、かつ、前記固定側補助座面から円周方向に外れた部分に、前記固定側凸部の先端面よりも軸方向他方側に突出した固定側補助突起部を有するものとする。
前記可動側凸部又は/及び前記固定側凸部の摩耗が進行する(摩耗量が所定量に達する)までは、前記可動側補助座面と前記固定側補助突起部の軸方向端面との間、及び、前記固定側補助座面と前記可動側補助突起部の軸方向端面との間に、それぞれ軸方向隙間を介在させておき、前記可動側凸部又は/及び前記固定側凸部の摩耗が進行してから(摩耗量が所定量に達してから)、前記可動側補助座面と前記固定側補助突起部の軸方向端面とを接触させ、かつ、前記固定側補助座面と前記可動側補助突起部の軸方向端面とを接触させる。
前記可動側補助座面と前記固定側補助突起部の軸方向端面とが接触し始めるタイミングと、前記固定側補助座面と前記可動側補助突起部の軸方向端面とが接触し始めるタイミングとは、同時にすることもできるし、異ならせることもできる。
【0015】
本発明の一態様では、前記アンロック状態で、前記可動側補助突起部の円周方向側面と前記固定側補助突起部の円周方向側面とを当接させることで、前記可動側カムが前記固定側カムに対してそれ以上相対回転することを防止することができる。
【0016】
本発明の一態様では、前記固定側カム面を、前記固定側補助座面及び前記固定側補助突起部から円周方向に外れた部分に、前記固定側凸部の先端面よりも軸方向他方側に突出した固定側ストッパ部をさらに有するものとし、前記ロック状態で、前記可動側補助突起部の円周方向側面と前記固定側ストッパ部の円周方向側面とを当接させることで、前記可動側カムが前記固定側カムに対してそれ以上相対回転することを防止することができる。
【0017】
本発明の一態様にかかるステアリング装置は、ステアリングコラムと、コラム側ブラケットと、コラム側通孔と、車体側ブラケットと、1対の車体側通孔と、調節ロッドと、カム装置と、調節レバーとを備える。
前記ステアリングコラムは、後端部にステアリングホイールを固定したステアリングシャフトを、内側に回転自在に支持する。
前記コラム側ブラケットは、前記ステアリングコラムの軸方向一部に備えられている。
前記コラム側通孔は、前記コラム側ブラケットを幅方向に貫通するように備えられている。
前記車体側ブラケットは、前記コラム側ブラケットを幅方向両側から挟むように配置された1対の支持板部を有し、車体に支持される。
前記1対の車体側通孔は、前記1対の支持板部を幅方向に貫通するように備えられている。
前記調節ロッドは、前記コラム側通孔及び前記1対の車体側通孔を幅方向に挿通している。
前記カム装置は、前記調節ロッドに外嵌支持された可動側カム、及び、前記1対の支持板部のうちの片方の支持板部に対し回転不能に支持された固定側カムを有しており、該固定側カムに対して前記可動側カムを相対回転させることにより軸方向寸法を拡縮させる。
前記調節レバーは、前記可動側カムに固定され、該可動側カムを回転させる。
本発明の一態様にかかるステアリング装置では、前記カム装置が、本発明の一態様にかかるカム装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明のカム装置によれば、カム面の摩耗にかかわらず、可動側カムを固定側カムに対して相対回転させるのに要する力の変化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の実施の形態の第1例を示す、ステアリング装置の側面図である。
図2図2は、同じく図1のI-I線断面図である。
図3図3は、可動側カムを取り出して示す図であり、(A)は幅方向一方側から見た正面図を示しており、(B)は斜視図を示している。
図4図4は、固定側カムを取り出して示す図であり、(A)は幅方向他方側から見た正面図を示しており、(B)は斜視図を示している。
図5図5の(A)は、図3の(A)のII矢視模式図であり、図5の(B)は、図4の(A)のIII矢視模式図である。
図6図6は、カム装置を取り出して示す図であり、(A)-(X)はアンロック状態のカム装置を径方向外側から見た側面図であり、(A)-(Y)はアンロック状態のカム装置を幅方向他方側から見た正面図であり、(B)-(X)はロック状態のカム装置を径方向外側から見た側面図であり、(B)-(Y)はロック状態のカム装置を幅方向他方側から見た正面図である。
図7図7は、カム装置を取り出して示す斜視図であり、(A)はアンロック状態を示しており、(B)はロック状態を示している。
図8図8は、カム装置のロック状態における可動側補助座面と固定側補助突起部との位置関係を示す模式図であり、(A)は可動側カム面及び固定側カム面の摩耗が進行していない状態を示しており、(B)は可動側カム面及び固定側カム面の摩耗が進行した状態を示している。
図9図9は、カム装置のロック状態における固定側補助座面と可動側補助突起部との位置関係を示す模式図であり、(A)は可動側カム面及び固定側カム面の摩耗が進行していない状態を示しており、(B)は可動側カム面及び固定側カム面の摩耗が進行した状態を示している。
図10図10は、従来構造のカム装置を備えたステアリング装置を示す側面図である。
図11図11は、図10のIV-IV線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[実施の形態の第1例]
実施の形態の第1例について、図1図9を用いて説明する。
【0021】
〈ステアリング装置の全体構造〉
本例のステアリング装置には、運転者の体格や運転姿勢に応じて、ステアリングホイールの上下位置及び前後位置を調節するための位置調節機構(チルト機構及びテレスコピック機構)が組み込まれている。ステアリング装置は、ステアリングシャフト1aと、ステアリングコラム2aと、コラム側ブラケット4aと、車体側ブラケット5aと、カム装置11aと、調節レバー12aとを備えている。なお、上下方向、前後方向、及び、幅方向とは、特に断らない限り、車両の上下方向、前後方向、及び、幅方向をいう。
【0022】
ステアリングシャフト1aは、車体に支持されたステアリングコラム2aの内側に、回転自在に支持されている。ステアリングシャフト1aの後端部には、ステアリングホイールが固定される。ステアリングシャフト1aの前端部は、自在継手及び中間シャフトを介して、ステアリングギヤユニットのピニオン軸に接続される。このような構成により、ステアリングホイールの回転をピニオン軸に伝達し、該ピニオン軸の回転に伴って1対のタイロッドを押し引きすることで、操舵輪に舵角を付与する。
【0023】
ステアリングシャフト1aは、ステアリングホイールの前後位置の調節を可能にするために、前方に配置されたインナシャフト18と後方に配置されたアウタシャフト19とを、スプライン係合などにより、トルク伝達可能にかつ伸縮可能に組み合わせた構成を有している。インナシャフト18及びアウタシャフト19は、それぞれ鉄合金、アルミニウム合金などの金属製である。
【0024】
ステアリングコラム2aは、略円筒形状を有しており、車体に対して支持されている。ステアリングコラム2aは、ステアリングホイールの前後位置の調節を可能にするために、前方に配置されたインナコラム20の後端部に、後方に配置されたアウタコラム21の前端部を、軸方向に関する相対変位を可能に緩く嵌合し、全長を伸縮可能に構成している。インナコラム20及びアウタコラム21は、それぞれ鉄合金、アルミニウム合金などの金属製である。
【0025】
ステアリングコラム2aは、ステアリングホイールの上下位置の調節を可能にするために、ステアリングコラム2aの前端部に固定したギヤハウジング22を、幅方向に配置したチルト軸23を中心として車体に対し揺動可能に支持している。ギヤハウジング22の内部には、ウォーム減速機を収容しており、該ウォーム減速機は、ギヤハウジング22に固定した電動モータ24のトルクを増大して、ステアリングシャフト1aに伝達する。
【0026】
上述のように、チルト軸23を中心としたステアリングコラム2aの揺動変位に基づいて、ステアリングホイールの上下位置の調節を可能にするとともに、ステアリングシャフト1a及びステアリングコラム2aのそれぞれを伸縮構造とすることで、ステアリングホイールの前後位置の調節を可能にする。そして、ステアリングホイールを調節後の位置に保持するために、ステアリングコラム2aの軸方向中間部に、コラム側ブラケット4aを備えるとともに、車体に対して車体側ブラケット5aを支持している。
【0027】
コラム側ブラケット4aは、アウタコラム21の前端部の上部に、該アウタコラム21と一体に備えられており、幅方向に離隔して配置された1対の被挟持板部3aから構成されている。1対の被挟持板部3aは、略平板状に構成されており、それぞれの被挟持板部3aは、幅方向に貫通したコラム側通孔7aを備えている。コラム側通孔7aは、アウタコラム21の軸方向(前後方向)に伸長する長孔である。コラム側通孔7aには、合成樹脂製のスペーサ25が装着されている。アウタコラム21は、1対の被挟持板部3aの基端部(下端部)同士の間に、軸方向に延びたスリット26を備えている。これにより、アウタコラム21の前端部の内径を、弾性的に拡縮可能としている。なお、テレスコピック機構を備えない場合には、コラム側通孔は単なる円孔とする。
【0028】
車体側ブラケット5aは、鋼やアルミニウム系合金などの十分な剛性を有する金属板製で、天板部27と、1対の支持板部6aとを備えている。天板部27は、平板状に構成されており、通常時には車体に支持されているが、二次衝突の発生時には前方に離脱し、アウタコラム21の前方への変位を許容する。このために、天板部27は、後端縁に開口した1対の係止切り欠きを備え、かつ、該1対の係止切り欠きのそれぞれに対して、車体に固定した係止カプセル28を離脱可能に係止している。
【0029】
1対の支持板部6aは、幅方向に離隔して互いに略平行に配置されており、それぞれの上端部を、天板部27の下面に対して溶接などにより固定している。1対の支持板部6aは、コラム側ブラケット4aを幅方向両側から挟むように、1対の被挟持板部3aの幅方向外側に配置されている。1対の支持板部6aのそれぞれは、幅方向に貫通した車体側通孔8aを備えている。車体側通孔8aは、チルト軸23を中心として円弧状に湾曲した上下方向に伸長する長孔である。なお、チルト機構を備えない場合には、車体側通孔は単なる円孔とする。
【0030】
1対の支持板部6aにより1対の被挟持板部3aを締め付ける力を調節可能とするために、コラム側通孔7a及び車体側通孔8aを幅方向に挿通するように、調節ロッド9aを配置している。調節ロッド9aは、1対の支持板部6a同士の間隔よりも長い全長を有しており、先端部(幅方向一方側の端部、図2の右側の端部)に、雄ねじ部29を有しており、基端部(幅方向他方側の端部、図2の左側の端部)に、頭部のごときアンカ部10aを有している。雄ねじ部29には、ナット13aを螺合している。
【0031】
調節ロッド9aのうちで、ナット13aと幅方向一方側(図2の右側)の支持板部6aとの間に位置する部分には、スラストニードル軸受30を外嵌しており、アンカ部10aと幅方向他方側(図2の左側)の支持板部6aとの間に位置する部分には、カム装置11a及び調節レバー12aを外嵌している。そして、調節レバー12aの揺動操作に基づき、カム装置11aの軸方向寸法を拡縮させることで、1対の支持板部6aが1対の被挟持板部3aを締め付ける力を調節可能としている。以下、カム装置11aの構造について、詳しく説明する。
【0032】
《カム装置》
カム装置11aは、可動側カム14aと、固定側カム15aとからなる。可動側カム14aは、調節ロッド9aの基端寄り部分に外嵌支持されており、調節レバー12aの揺動操作に基づき、調節ロッド9aの中心軸回りを回転する。固定側カム15aは、可動側カム14aと同軸に配置されており、幅方向他方側の支持板部6aに対し回転不能に支持されている。可動側カム14aに備えられた可動側カム面16aと、固定側カム15aに備えられた固定側カム面17aとの間には、図示しないグリースが充填されている。調節レバー12aを揺動操作すると、可動側カム面16aと固定側カム面17aとの回転位相が変化するため、カム装置11aの軸方向寸法が拡大したロック状態と、カム装置11aの軸方向寸法が縮小したアンロック状態との切り替えが可能になる。以下、カム装置11aをロック状態に切り替える際の可動側カム14aの回転方向(ロック方向)を、円周方向一方向きとし、各図に矢印αで示し、カム装置11aをアンロック状態に切り替える際の可動側カム14aの回転方向(アンロック方向)を、円周方向他方向きとし、各図に矢印βで示す。
【0033】
〔可動側カム〕
可動側カム14aは、焼結金属製で、図3に示すように、中央部に、調節ロッド9aを挿通するための中心孔31を有している。可動側カム14aは、略円輪板状の可動側カム本体32と、略矩形板状の可動側係合部33とからなる。可動側カム本体32は、軸方向一方側(幅方向一方側、図2の右側、図3の(A)の表側)の側面に、円周方向に関する凹凸面である、可動側カム面16aを有している。可動側係合部33は、調節レバー12aの基部56を嵌合する部分であり、可動側カム本体32の軸方向他方側の側面に備えられている。本例では、可動側係合部33は、軸方向他方側から見て、略矩形の端面形状を有する。ただし、可動側係合部33の端面形状は、略矩形に限らず、後述する調節レバー12aの取付孔57と非円形嵌合可能な形状であれば、特に限定されない。
【0034】
可動側カム面16aは、平坦面状の可動側基準面34a、34bと、該可動側基準面34a、34bよりも軸方向一方側に突出した可動側凸部35a、35bとを、円周方向に交互に配置してなる。本例では、可動側基準面34a、34b及び可動側凸部35a、35bを、それぞれ4つずつ備えているが、可動側基準面及び可動側凸部の数については、複数であれば4つに限定されない。
【0035】
可動側基準面34a、34bのそれぞれは、可動側カム14aの中心軸に直交する仮想平面上に存在する平坦面であり、軸方向視で扇形状を有している。本例では、4つの可動側基準面34a、34bのうち、直径方向反対側2箇所に存在する可動側基準面34aの円周方向幅が、残り2つの可動側基準面34bの円周方向幅よりも広くなっている。すなわち、円周方向幅の広い(中心角の大きい)可動側基準面34aと、円周方向幅の狭い(中心角の小さい)可動側基準面34bとは、円周方向に離隔して交互に配置されている。可動側基準面34aの外径と可動側基準面34bの外径とは、互いに同じである。
【0036】
可動側凸部35a、35bのそれぞれは、可動側カム14aの中心軸に直交する仮想平面上に存在する先端面36a、36bを有しており、略台形状の断面形状を有している。
【0037】
4つの可動側凸部35a、35bのうち、直径方向反対側2箇所に存在する可動側凸部35aの円周方向幅が、残り2つの可動側凸部35bの円周方向幅よりも広くなっている。すなわち、円周方向幅の広い(中心角の大きい)可動側凸部35aと、円周方向幅の狭い(中心角の小さい)可動側凸部35bとは、円周方向に離隔して交互に配置されている。可動側凸部35a、35bと可動側基準面34a、34bとは、円周方向一方向きに、可動側凸部35a→可動側基準面34a→可動側凸部35b→可動側基準面34b→可動側凸部35a→・・・の順で配置されている。
【0038】
円周方向幅の広い可動側凸部35aは、円周方向一方側部分の径方向外側の端部に、軸方向視で略矩形状の切り欠き37aを有している。別な言い方をすれば、可動側凸部35aは、円周方向一方側部分の径方向内側部から中間部にわたる範囲に、径方向外側の端部よりも円周方向一方側に張り出した張出部38aを備えている。
【0039】
円周方向幅の狭い可動側凸部35bは、円周方向一方側半部の径方向外側の端部に、軸方向視で略矩形状の切り欠き(凹部)37bを有している。別な言い方をすれば、可動側凸部35bは、円周方向一方側半部の径方向内側部から中間部にわたる範囲に、径方向外側の端部よりも円周方向一方側に張り出した張出部38bを備えている。
【0040】
切り欠き37bの底面は、可動側凸部35bの先端面36bよりも軸方向他方側に凹んだ、可動側補助座面39になっている。可動側補助座面39は、可動側基準面34a、34bよりも軸方向一方側で、かつ、可動側カム14aの中心軸に直交する仮想平面上に存在する平坦面である。
【0041】
可動側補助座面39は、可動側カム面16aの径方向外側部のうち、直径方向反対側の2箇所に配置されている。具体的には、可動側補助座面39は、可動側凸部35bのうちで、カム装置11aをアンロック状態からロック状態に切り替える際に、後述する固定側凸部47bが乗り上げる側である円周方向一方側部分と、円周方向に関する位相が一致する(先端面36bの円周方向一方側部分の径方向外側に位置する)部分に備えられている。また、可動側カム面16a及び固定側カム面17aの摩耗が進行していない状態で、図5の(A)に示すように、可動側補助座面39の円周方向一方側の端縁部は、可動側凸部35bの先端面36bの円周方向一方側の端縁部である変曲点(先端面36bと可動側案内斜面41b(第2の可動側斜面41b2)との境界)P1と、円周方向に関する位相が一致している(変曲点P1の径方向外側に位置している)。なお、可動側凸部35bに関しては、円周方向一方側が、円周方向第1側に相当する。
【0042】
可動側カム面16aの外径は、円周方向にわたり一定ではなく、円周方向に関する位相が、可動側凸部35a、35bと一致した部分で大きくなる。可動側凸部35a、35bのうちで、可動側基準面34a、34bよりも径方向外側に位置する部分は、可動側カム面16aを構成しない薄板状の連結部40によって、円周方向に連結されている。
【0043】
可動側凸部35a、35bのそれぞれは、張出部38a、38bの円周方向一方側の側面に、可動側基準面34a、34bに対して傾斜した(可動側基準面34a、34bから立ち上がった)可動側案内斜面41a、41bを有している。なお、本例では、可動側凸部35bに備えられた可動側案内斜面41bは、可動側基準面34bに対する傾斜角度が大きい、円周方向一方側の第1の可動側斜面41b1と、可動側基準面34bに対する傾斜角度の小さい、円周方向他方側の第2の可動側斜面41b2とを備える。可動側凸部35a、35bの円周方向他方側の側面は、可動側案内斜面41a、41bよりも傾斜角度が大きくなっている。可動側凸部35a、35bの円周方向他方側の側面の傾斜は、可動側カム14aを成形型から取り出すのに必要な抜き勾配に相当するものである。
【0044】
可動側カム面16aは、径方向外側部のうち、直径方向反対側の2箇所位置に、可動側補助突起部42を有している。可動側補助突起部42のそれぞれは、可動側補助座面39(切り欠き37b)から円周方向に外れた、円周方向幅の広い可動側凸部35aの径方向外側に配置されている。可動側補助突起部42は、可動側凸部35aと一体的に設けられており、可動側凸部35aの先端面36aよりも軸方向一方側に突出している。可動側補助突起部42は、部分円筒状に構成されており、可動側凸部35aの円周方向中間部ないし他方側部分の径方向外側に配置されている。このため、可動側補助突起部42の円周方向一方側の側面は、可動側案内斜面41aよりも円周方向他方側に位置している。これに対し、可動側補助突起部42の円周方向他方側の側面は、可動側凸部35aの円周方向他方側の側面と、円周方向位置が一致している。可動側補助突起部42の軸方向一方側の端面は、可動側カム14aの中心軸に直交する仮想平面上に存在する平坦面である。
【0045】
〔固定側カム〕
固定側カム15aは、焼結金属製で、図4に示すように、中央部に、調節ロッド9aを挿通するための中心孔43を有している。固定側カム15aは、略円輪板状の固定側カム本体44と、略矩形板状の固定側係合部45とからなる。固定側カム本体44は、可動側カム面16aに対向する軸方向他方側(幅方向他方側、図2の左側、図4の(A)の表側)の側面に、円周方向に関する凹凸面である、固定側カム面17aを有している。固定側係合部45は、幅方向他方側の支持板部6aに備えられた車体側通孔8aに対し、相対回転不能に、かつ、該車体側通孔8aに沿った変位のみを可能に係合する部分であり、固定側カム本体44の軸方向一方側の側面に備えられている。
【0046】
固定側カム面17aは、平坦面状の固定側基準面46a、46bと、該固定側基準面46a、46bよりも軸方向他方側に突出した固定側凸部47a、47bとを、円周方向に交互に配置してなる。本例では、固定側基準面46a、46b及び固定側凸部47a、47bを、それぞれ4つずつ備えているが、固定側基準面及び固定側凸部の数については、可動側基準面及び可動側凸部とそれぞれ同数であれば、4つに限定されない。
【0047】
固定側基準面46a、46bは、固定側カム15aの中心軸に直交する仮想平面上に存在する平坦面であり、軸方向視で略扇形状を有している。本例では、4つの固定側基準面46a、46bのうち、直径方向反対側2箇所に存在する固定側基準面46aの円周方向幅が、残り2つの固定側基準面46bの円周方向幅よりも広くなっている。すなわち、円周方向幅の広い(中心角の大きい)固定側基準面46aと、円周方向幅の狭い(中心角の小さい)固定側基準面46bとは、円周方向に離隔して交互に配置されている。固定側基準面46aの外周縁は、固定側カム15aの中心軸を中心とした凸円弧状であるのに対し、固定側基準面46bの外周縁は、直線状である。
【0048】
固定側凸部47a、47bのそれぞれは、固定側カム15aの中心軸に直交する仮想平面上に存在する先端面48a、48bを有しており、略台形状の断面形状を有している。
【0049】
4つの固定側凸部47a、47bのうち、直径方向反対側2箇所に存在する固定側凸部47aの円周方向幅が、残り2つの固定側凸部47bの円周方向幅よりも広くなっている。すなわち、円周方向幅の広い(中心角の大きい)固定側凸部47aと、円周方向幅の狭い(中心角の小さい)固定側凸部47bとは、円周方向に離隔して交互に配置されている。固定側凸部47a、47bと固定側基準面46a、46bとは、円周方向一方向きに、固定側凸部47a→固定側基準面46b→固定側凸部47b→固定側基準面46a→固定側凸部47a→・・・の順で配置されている。
【0050】
円周方向幅の広い固定側凸部47aは、円周方向他方側部分の径方向外側の端部に、軸方向視で略矩形状の切り欠き(凹部)49を有している。別な言い方をすれば、固定側凸部47aは、円周方向一方側部分の径方向内側部から中間部にわたる範囲に、径方向外側の端部よりも円周方向一方側に張り出した張出部51を備えている。
【0051】
切り欠き49の底面は、固定側凸部47aの先端面48aよりも軸方向一方側に凹んだ、固定側補助座面50になっている。固定側補助座面50は、固定側基準面46a、46bよりも軸方向他方側で、かつ、固定側カム15aの中心軸に直交する仮想平面上に存在する平坦面である。
【0052】
固定側補助座面50は、固定側カム面17aの径方向外側部のうち、直径方向反対側の2箇所に配置されている。具体的には、固定側補助座面50は、固定側凸部47aのうちで、カム装置11aをアンロック状態からロック状態に切り替える際に、可動側凸部35aが乗り上げる側である円周方向他方側部分と、円周方向に関する位相が一致する(先端面48aの円周方向他方側部分の径方向外側に位置する)部分に備えられている。また、可動側カム面16a及び固定側カム面17aの摩耗が進行していない状態で、図5の(B)に示すように、固定側補助座面50の円周方向他方側の端縁部は、固定側凸部47aの先端面48aの円周方向他方側の端縁部である変曲点(先端面48aと固定側案内斜面52a(第2の固定側斜面52a2)との境界)P2と、円周方向に関する位相が一致している(変曲点P2の径方向外側に位置している)。これにより、カム装置11aがロック状態に切り替わる(軸方向寸法(リフト量)が最大になる)直前からロック状態に切り替わった後の状態で、固定側補助座面50は、可動側補助突起部42(の一部)と円周方向に関する位相が一致する(可動側補助突起部42と軸方向に対向する)。なお、固定側凸部47aに関しては、円周方向他方側が、円周方向第1側に相当する。
【0053】
固定側凸部47aは、張出部51の円周方向他方側の側面に、固定側基準面46aに対して傾斜した(固定側基準面46aから立ち上がった)、可動側凸部35aが乗り上がる固定側案内斜面52aを有している。これに対し、固定側凸部47bは、円周方向他方側の側面に、固定側基準面46bに対して傾斜した、可動側凸部35bが乗り上がる固定側案内斜面52bを有している。なお、本例では、固定側案内斜面52aは、固定側基準面46aに対する傾斜角度が大きい、円周方向他方側の第1の固定側斜面52a1と、固定側基準面46aに対する傾斜角度が小さい、円周方向一方側の第2の固定側斜面52a2とを備える。固定側凸部47a、47bの円周方向一方側の側面は、固定側案内斜面52a、52bよりも傾斜角度が大きくなっている。固定側凸部47a、47bの円周方向一方側の側面の傾斜は、固定側カム15aを成形型から取り出すのに必要な抜き勾配に相当するものである。
【0054】
固定側カム面17aは、径方向外側部のうち、直径方向反対側の2箇所位置に、固定側補助突起部53を有している。固定側補助突起部53のそれぞれは、固定側補助座面50(切り欠き49)から円周方向に外れた、円周方向幅の狭い固定側凸部47bの径方向外側に配置されている。固定側補助突起部53は、固定側凸部47bと一体的に設けられており、固定側凸部47bの先端面48bよりも軸方向他方側に突出している。固定側補助突起部53は、部分円筒状に構成されており、固定側凸部47bの円周方向中間部ないし一方側部分の径方向外側に配置されている。このため、固定側補助突起部53の円周方向他方側の側面は、固定側案内斜面52bよりも円周方向一方側に位置している。これに対し、固定側補助突起部53の円周方向一方側の側面は、固定側凸部47bの円周方向一方側の側面と、円周方向位置が一致している。これにより、図5の(A)に示すように、カム装置11aがロック状態に切り替わる直前からロック状態に切り替わった後の状態で、固定側補助突起部53(の一部)は、可動側補助座面39と円周方向に関する位相が一致する(可動側補助座面39と軸方向に対向する)。固定側補助突起部53の軸方向他方側の端面は、固定側カム15aの中心軸に直交する仮想平面上に存在する平坦面である。
【0055】
固定側カム面17aは、径方向外側部のうち、固定側補助座面50及び固定側補助突起部53から円周方向に外れた直径方向反対側の2箇所位置に、固定側ストッパ部54を有している。固定側ストッパ部54のそれぞれは、円周方向幅の広い固定側凸部47aの先端面48aの径方向外側部に備えられている。固定側ストッパ部54は、固定側凸部47aと一体的に設けられており、固定側凸部47aの先端面48aよりも軸方向他方側に突出している。固定側ストッパ部54は、部分円筒状に構成されており、固定側凸部47bのうちで切り欠き49から円周方向に外れた部分に備えられている。このため、固定側ストッパ部54の円周方向他方側の側面は、固定側案内斜面52aよりも円周方向一方側に位置している。これに対し、固定側ストッパ部54の円周方向一方側の側面は、固定側凸部47aの円周方向一方側の側面と、円周方向位置が一致している。
【0056】
円周方向に隣り合う固定側補助突起部53と固定側凸部47aの径方向外側の端部とは、固定側カム面17aを構成しない薄板状の連結部55によって、円周方向に連結されている。
【0057】
カム装置11aは、図6の(A)及び図7の(A)に示すように、ステアリングホイールの位置調節が可能になるアンロック状態で、可動側カム14aの可動側凸部35a、35bと、固定側カム15aの固定側凸部47a、47bとが円周方向に交互に配置される。これにより、可動側凸部35a、35bのそれぞれの先端面36a、36bが、固定側基準面46a、46bに当接し、固定側凸部47a、47bのそれぞれの先端面48a、48bが、可動側基準面34a、34bに当接する。この結果、カム装置11aの軸方向寸法が縮小する。
【0058】
上述したカム装置11aのアンロック状態から、調節レバー12aの揺動操作により、可動側カム14aを固定側カム15aに対して円周方向一方向きに相対回転させると、可動側凸部35a、35bに備えられた可動側案内斜面41a、41bが、固定側凸部47a、47bに備えられた固定側案内斜面52a、52bに案内されて摺接し、該固定側案内斜面52a、52bに乗り上がる。これにより、カム装置11aの軸方向寸法が拡大していく。その後、可動側凸部35a、35bに備えられた先端面36a、36bと、固定側凸部47a、47bに備えられた先端面48a、48bとが突き当たることで、図6の(B)及び図7の(B)に示すように、カム装置11aの軸方向寸法が最大になり、ステアリングホイールが調節後の位置に保持されるロック状態となる。
【0059】
特に本例では、可動側カム面16a及び固定側カム面17aの摩耗が進行していない(可動側凸部35a、35b及び固定側凸部47a、47bの摩耗量の合計が所定量に達していない)場合には、カム装置11aのロック状態(及びロック状態に切り替わる直前の状態)で、図8の(A)に示すように、可動側補助座面39と固定側補助突起部53の軸方向端面(一方側の端面)との間に軸方向隙間58aを介在させるとともに、図9の(A)に示すように、固定側補助座面50と可動側補助突起部42の軸方向端面(他方側の端面)との間に軸方向隙間58bを介在させている。このため、カム装置11aをアンロック状態からロック状態に切り替える際に、可動側補助座面39と固定側補助突起部53の軸方向端面、及び、固定側補助座面50と可動側補助突起部42の軸方向端面とが、それぞれ接触することはない。なお、本例では、カム装置11aが新品(可動側カム面16a及び固定側カム面17aの摩耗量がゼロ)の状態で、可動側補助座面39と固定側補助突起部53の軸方向端面との間に存在する軸方向隙間58aの大きさt1と、固定側補助座面50と可動側補助突起部42の軸方向端面との間に存在する軸方向隙間58bの大きさt2とが、互いに同じなるように各部の寸法を規制している。
【0060】
カム装置11aを使用することで、可動側カム面16a及び固定側カム面17aの摩耗が進行すると、軸方向隙間58a、58bは次第に小さくなる。そして、可動側凸部35a、35b及び固定側凸部47a、47bの摩耗量の合計が所定量に達すると、図8の(B)及び図9の(B)に示すように、軸方向隙間58a、58bは消滅する(ゼロになる)。これにより、可動側補助座面39と固定側補助突起部53の軸方向端面とが接触し始めるとともに、固定側補助座面50と可動側補助突起部42の軸方向端面とが接触し始める。本例では、軸方向隙間58aの大きさt1と軸方向隙間58bの大きさt2とを、互いに同じにしているため、可動側補助座面39と固定側補助突起部53の軸方向端面とが接触し始めるタイミングと、固定側補助座面50と可動側補助突起部42の軸方向端面とが接触し始めるタイミングとは同時(ほぼ同時)になる。
【0061】
また、可動側凸部35a、35bの先端面36a、36bと、固定側凸部47a、47bの先端面48a、48bとが突き当たった後、図6の(B)及び図7の(B)に示すように、可動側補助突起部42の円周方向一方側の側面と固定側ストッパ部54の円周方向他方側の側面とが当接することで、可動側カム14aが固定側カム15aに対して円周方向一方向きにそれ以上相対回転することが防止される。これに対し、アンロック状態では、図6の(A)及び図7の(A)に示すように、可動側補助突起部42の円周方向他方側の側面と固定側補助突起部53の円周方向一方側の側面とが当接することで、可動側カム14aが固定側カム15aに対して円周方向他方向きにそれ以上相対回転することが防止される。このように、本例では、可動側補助突起部42及び固定側補助突起部53に、可動側カム14aが固定側カム15aに対してそれ以上相対回転するのを防止するための、ストッパとしての機能を持たせることができる。
【0062】
調節レバー12aは、可動側カム14aを回転させて、カム装置11aの軸方向寸法を変更するためのものである。調節レバー12aは、金属板製で、略クランク形に屈曲した形状を有しており、図示しない把持部が備えられた先端側に向かうほど、後方側(運転席側)かつ下側に延びている。調節レバー12aの前端部(上端部)に備えられた基部56には、幅方向に貫通した、略矩形状の取付孔57が備えられている。調節レバー12aは、取付孔57を可動側カム14aに備えられた可動側係合部33に非円形嵌合させることで、可動側カム14aに対し相対回転不能に固定されている。このような構成により、調節レバー12aを揺動操作することで、可動側カム14aを固定側カム15aに対して相対回転させることが可能になる。なお、本例の構造では、調節レバー12aを揺動操作した際に、可動側カム14aだけでなく調節ロッド9aも同期して回転するが、可動側カムだけを回転させる(調節ロッドを回転させない)構成を採用することもできる。
【0063】
スラストニードル軸受30は、1対の軌道輪と、複数本のニードルとを備えている。スラストニードル軸受30には、カム装置11aをアンロック状態に切り替えた際に、内部隙間が存在するように各部の寸法を設定している。このため、スラストニードル軸受30は、カム装置11aをアンロック状態からロック状態に切り替える段階(可動側案内斜面41a、41bと固定側案内斜面52a、52bとが摺接する段階)で、内部隙間が徐々に減少するとともに、各ニードルが転動し始め、ロック状態になるまで各ニードルの転動が継続する。したがって、スラストニードル軸受30を設けることで、カム装置11aをアンロック状態からロック状態に切り替える際に生じる摩擦力を低減することができ、調節レバー12aの揺動操作を滑らかにすることができる。
【0064】
本例のステアリング装置において、ステアリングホイールの上下位置及び前後位置を調節するには、調節レバー12aを下方(図1の時計回り)に揺動させて、可動側カム14aを円周方向他方向きに回転させる。そして、可動側凸部35a、35bと固定側凸部47a、47bとを円周方向に関して交互に配置することで、カム装置11aの軸方向寸法を縮小し、カム装置11aをアンロック状態にする。これにより、1対の支持板部6aにより1対の被挟持板部3aを幅方向両側から挟持する力を小さくする(解除する)。この結果、調節ロッド9aが車体側通孔8aの内側で変位できる範囲で、ステアリングホイールの上下位置の調節が可能になるとともに、調節ロッド9aがコラム側通孔7aの内側で変位できる範囲で、ステアリングホイールの前後位置の調節が可能になる。
【0065】
これに対し、ステアリングホイールを調節後の位置に保持するには、ステアリングホイールを所望の位置に移動させた後、調節レバー12aを上方(図1の反時計回り)に揺動させて、可動側カム14aを円周方向一方向きに回転させる。そして、可動側凸部35a、35bの先端面36a、36bと固定側凸部47a、47aの先端面48a、48bとを互いに突き合わせることで、カム装置11aの軸方向寸法を拡大し、カム装置11aをロック状態にする。これにより、1対の支持板部6aにより1対の被挟持板部3aを幅方向両側から挟持する力を大きくする。この結果、1対の支持板部6aと1対の被挟持板部3aとの間の当接圧が上昇するとともに、アウタコラム21の前端部内周面とインナコラム20の後端部外周面との当接圧が上昇して、ステアリングホイールを調節後の位置に保持することが可能になる。
【0066】
特に本例のステアリング装置によれば、可動側カム面16a及び固定側カム面17aの摩耗にかかわらず、可動側カム14aを固定側カム15aに対して相対回転させるのに要する力の変化を抑制できる。
すなわち、本例では、可動側凸部35a、35b及び固定側凸部47a、47bの摩耗がある程度進行すると、カム装置11aがロック状態に切り替わる直前の状態からロック状態に切り替わった後の状態において、図8の(B)に示すように、可動側補助座面39と固定側補助突起部53の軸方向端面とを接触させるとともに、図9の(B)に示すように、固定側補助座面50と可動側補助突起部42の軸方向端面とを接触させることができる。このため、可動側凸部35a、35b及び固定側凸部47a、47bの摩耗が進行した場合にも、可動側カム14aを固定側カム15aに対して相対回転させるのに要する力(トルク)が小さくなることを抑制できる。したがって、調節レバー12aの操作力の変化を抑制することができる。また、可動側カム面16aと固定側カム面17aとの間の接触面圧が低下すること防止でき、カム装置11aの軸力(軸方向剛性)が低下することを抑制できるため、カム装置11aの耐久性の向上を図ることもできる。
【0067】
また、本例では、可動側補助座面39及び固定側補助座面50の円周方向に関する配置の位相を、可動側凸部35b及び固定側凸部47aのうちで摩耗が早期に進行しやすい部分と一致させている。すなわち、可動側凸部35bは、先端面36bの円周方向一方側の端縁部である変曲点P1の位置が、固定側凸部47bに対する接触面積が小さくなり接触面圧が高まることから、図5の(A)に摩耗後の輪郭線を二点鎖線で示すように、早期に摩耗しやすい。固定側凸部47aは、先端面48aの円周方向他方側の端縁部である変曲点P2の位置が、可動側凸部35aに対する接触面積が小さくなり接触面圧が高まることから、図5の(B)に摩耗後の輪郭線を二点鎖線で示すように、早期に摩耗しやすい。
【0068】
そこで本例では、可動側補助座面39の円周方向一方側の端縁部の位相を変曲点P1に一致させるとともに、固定側補助座面50の円周方向他方側の端縁部の位相を変曲点P2に一致させている。このため、変曲点P1の摩耗が進行すると、可動側カム14aに対する固定側カム15aのリフト量の低下に応じて、可動側補助座面39に対して固定側補助突起部53が近づき、変曲点P1と同位相の径方向外側部で、可動側補助座面39と固定側補助突起部53の軸方向端面とが徐々に接触し始める。また、変曲点P2の摩耗が進行すると、固定側カム15aに対する可動側カム14aのリフト量の低下に応じて、固定側補助座面50に対して可動側補助突起部42が近づき、変曲点P2と同位相の径方向外側部で、固定側補助座面50と可動側補助突起部42の軸方向端面とが徐々に接触し始める。可動側補助座面39と固定側補助突起部53の軸方向端面との間の接触面圧、及び、固定側補助座面50と可動側補助突起部42の軸方向端面との間の接触面圧は、変曲点P1及び変曲点P2の摩耗の進行の程度に応じて高くなる。このため、変曲点P1及び変曲点P2における摩耗によって生じる摩擦力(摩擦トルク)の低下分を、可動側補助座面39と固定側補助突起部53の軸方向端面との接触部で生じる摩擦力、及び、固定側補助座面50と可動側補助突起部42の軸方向端面との接触部で生じる摩擦力により補うことができる。したがって、可動側カム14aを固定側カム15aに対して相対回転させるのに要する力の変化を効果的に抑制でき、調節レバー12aの操作力の変化を効果的に抑制できる。
【0069】
上述した実施の形態では、補助座面及び補助突起部のそれぞれを、可動側カム面及び固定側カム面の両方のカム面に設けた場合について説明したが、本発明を実施する場合には、補助座面を、可動側カム面と固定側カム面とのうちの一方のカム面にのみ設け、補助突起部を、可動側カム面と固定側カム面とのうちの他方のカム面にのみ設けることもできる。また、補助座面及び補助突起部の円周方向に関する配置位置については、実施の形態で説明した位置に限定されず、その他の位置に配置することもできる。さらに、補助座面及び補助突起部は、可動側カム面及び固定側カム面の径方向内側部に備えることもできる。また、上述した実施の形態では、可動側カム面(可動側凸部)と固定側カム面(固定側凸部)との両方が摩耗した場合について説明したが、本発明は、可動側カム面(可動側凸部)又は固定側カム面(固定側凸部)のいずれか一方が摩耗する場合にも、同様の効果を奏する。
【0070】
実施の形態では、ステアリングホイールの位置調節装置として、チルト機構とテレスコピック機構との両方を備えた構造について説明したが、本発明を実施する場合には、チルト機構のみ、又は、テレスコピック機構のみを備えた構造を対象にすることができる。
【符号の説明】
【0071】
1、1a ステアリングシャフト
2、2a ステアリングコラム
3、3a 被挟持板部
4、4a コラム側ブラケット
5、5a 車体側ブラケット
6、6a 支持板部
7、7a コラム側通孔
8、8a 車体側通孔
9、9a 調節ロッド
10、10a アンカ部
11、11a カム装置
12、12a 調節レバー
13、13a ナット
14、14a 可動側カム
15、15a 固定側カム
16、16a 可動側カム面
17、17a 固定側カム面
18 インナシャフト
19 アウタシャフト
20 インナコラム
21 アウタコラム
22 ギヤハウジング
23 チルト軸
24 電動モータ
25 スペーサ
26 スリット
27 天板部
28 係止カプセル
29 雄ねじ部
30 スラストニードル軸受
31 中心孔
32 可動側カム本体
33 可動側係合部
34a、34b 可動側基準面
35a、35b 可動側凸部
36a、36b 先端面
37a、37b 切り欠き
38a、38b 張出部
39 可動側補助座面
40 連結部
41a、41b 可動側案内斜面
41b1 第1の可動側斜面
41b2 第2の可動側斜面
42 可動側補助突起部
43 中心孔
44 固定側カム本体
45 固定側係合部
46a、46b 固定側基準面
47a、47b 固定側凸部
48a、48b 先端面
49 切り欠き
50 固定側補助座面
51 張出部
52a、52b 固定側案内斜面
52a1 第1の固定側斜面
52a2 第2の固定側斜面
53 固定側補助突起部
54 固定側ストッパ部
55 連結部
56 基部
57 取付孔
58a、58b 軸方向隙間
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
図9
図10
図11