(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】ポリイミド樹脂、ワニス及びポリイミドフィルム
(51)【国際特許分類】
C08G 73/10 20060101AFI20230719BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
C08G73/10
C08J5/18 CFG
(21)【出願番号】P 2020556119
(86)(22)【出願日】2019-11-12
(86)【国際出願番号】 JP2019044365
(87)【国際公開番号】W WO2020100904
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】P 2018215826
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安孫子 洋平
(72)【発明者】
【氏名】大東 葵
(72)【発明者】
【氏名】関口 慎司
【審査官】堀内 建吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-203117(JP,A)
【文献】特開2016-29126(JP,A)
【文献】特開平5-178991(JP,A)
【文献】特開2008-304569(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110229340(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第1810856(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2004-0058259(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 73/10
C08J 5/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テトラカルボン酸二無水物に由来する構成単位A及びジアミンに由来する構成単位Bを有するポリイミド樹脂であって、
構成単位Aが、下記式(a-1)で表される化合物に由来する構成単位(A-1)、及び下記一般式(a-2)で表される化合物に由来する構成単位(A-2)からなる群から選ばれる少なくとも1つの構成単位を含み、
構成単位Bが、下記式(b-1)で表される化合物に由来する構成単位(B-1)、及び下記一般式(b-2)で表される化合物に由来する構成単位(B-2)を含む、ポリイミド樹脂。
【化1】
(式(a-1)中、Xは、単結合又は酸素原子を示す。式(a-2)中、Arは、置換又は非置換のアリーレン基を示す。)
【化2】
(式(b-2)中、Z
1及びZ
2はそれぞれ独立に2価の脂肪族基、又は2価の芳香族基を示し、R
1及びR
2はそれぞれ独立に1価の芳香族基、又は1価の脂肪族基を示し、R
3及びR
4はそれぞれ独立に1価の脂肪族基を示し、R
5及びR
6は、それぞれ独立に1価の脂肪族基又は1価の芳香族基を示し、m及びnはそれぞれ独立に1以上の整数を示し、mとnとの和は2~1000の整数を示す。但し、R
1及びR
2の少なくとも一方は1価の芳香族基を示す。)
【請求項2】
構成単位(A-1)が、下記式(a-1-1)で表される化合物に由来する構成単位、及び下記式(a-1-2)で表される化合物に由来する構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1つの構成単位を含む、請求項1に記載のポリイミド樹脂。
【化3】
【請求項3】
構成単位(A-2)が、下記式(a-2-1)で表される化合物に由来する構成単位、及び下記式(a-2-2)で表される化合物に由来する構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1つの構成単位を含む、請求項1又は2に記載のポリイミド樹脂。
【化4】
【請求項4】
構成単位A及び構成単位Bの合計に対するポリオルガノシロキサン単位の含有量が5~45質量%である、請求項1~3のいずれかに記載のポリイミド樹脂。
【請求項5】
構成単位B中における構成単位(B-2)の比率が0.01~15.0モル%である、請求項1~4のいずれかに記載のポリイミド樹脂。
【請求項6】
前記式(b-2)における、mとnとの和が、3~500の整数である、請求項1~5のいずれかに記載のポリイミド樹脂。
【請求項7】
構成単位Aが、下記式(a-3)で表される化合物に由来する構成単位(A-3)を含む、請求項1~6のいずれかに記載のポリイミド樹脂。
【化5】
【請求項8】
構成単位Aが、下記式(a-4)で表される化合物に由来する構成単位(A-4)を含む、請求項1~7のいずれかに記載のポリイミド樹脂。
【化6】
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載のポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸が有機溶媒に溶解してなる、ワニス。
【請求項10】
請求項1~8のいずれかに記載のポリイミド樹脂を含む、ポリイミドフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリイミド樹脂、ワニス及びポリイミドフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミド樹脂は、電気・電子部品等の分野において様々な利用が検討されている。例えば、液晶ディスプレイやOLEDディスプレイ等の画像表示装置に用いられるガラス基板を、デバイスの軽量化やフレキシブル化を目的として、プラスチック基板へ代替することが望まれており、当該プラスチック基板として適するポリイミドフィルムの研究が進められている。このような用途のポリイミドフィルムには高い透明性が求められる。
また、ガラス支持体やシリコンウェハ上に塗布したワニスを加熱硬化してポリイミドフィルムを形成する場合には、ポリイミドフィルムに残留応力が生じる。ポリイミドフィルムの残留応力が大きいと、ガラス支持体やシリコンウェハが反ってしまうという問題が生じるため、ポリイミドフィルムには残留応力の低減も求められる。
さらに、ポリイミドフィルムの要求特性として複屈折による位相差が小さく、リタデーションが低いことが求められる。
【0003】
特許文献1には、低残留応力のフィルムを与えるポリイミド樹脂として、ジアミン成分としてα,ω-アミノプロピルポリジメチルシロキサン及び4,4’-ジアミノジフェニルエーテルを用いて合成されたポリイミド樹脂が開示されている。
特許文献2には、低残留応力のポリイミドフィルムとして、ジアミン成分としてビストリフルオロメチルベンジジン、及びケイ素含有ジアミン類を用いて合成されたポリイミド樹脂前駆体をイミド化して形成されるポリイミドフィルムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-232383号公報
【文献】国際公開第2014/098235号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、ポリイミドフィルムには様々な特性が要求されるが、それら特性を同時に満足させることは容易ではない。特に、低残留応力と低リタデーションの特性を両立させることは困難であった。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、高い透明性に優れるとともに、低リタデーションかつ低残留応力を示すフィルムが形成可能なポリイミド樹脂、該ポリイミド樹脂の前駆体を含むワニス、及び該ポリイミド樹脂を含むポリイミドフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、特定の構成単位の組み合わせを含むポリイミド樹脂が上記課題を解決できることを見出し、発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明は、下記の[1]~[10]に関する。
[1]
テトラカルボン酸二無水物に由来する構成単位A及びジアミンに由来する構成単位Bを有するポリイミド樹脂であって、
構成単位Aが、下記式(a-1)で表される化合物に由来する構成単位(A-1)、及び下記一般式(a-2)で表される化合物に由来する構成単位(A-2)からなる群から選ばれる少なくとも1つの構成単位を含み、
構成単位Bが、下記式(b-1)で表される化合物に由来する構成単位(B-1)、及び下記一般式(b-2)で表される化合物に由来する構成単位(B-2)を含む、ポリイミド樹脂。
【0008】
【化1】
(式(a-1)中、Xは、単結合又は酸素原子を示す。式(a-2)中、Arは、置換又は非置換のアリーレン基を示す。)
【0009】
【0010】
(式(b-2)中、Z1及びZ2はそれぞれ独立に2価の脂肪族基、又は2価の芳香族基を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に1価の芳香族基、又は1価の脂肪族基を示し、R3及びR4はそれぞれ独立に1価の脂肪族基を示し、R5及びR6は、それぞれ独立に1価の脂肪族基又は1価の芳香族基を示し、m及びnはそれぞれ独立に1以上の整数を示し、mとnとの和は2~1000の整数を示す。但し、R1及びR2の少なくとも一方は1価の芳香族基を示す。)
[2]
構成単位(A-1)が、下記式(a-1-1)で表される化合物に由来する構成単位、及び下記式(a-1-2)で表される化合物に由来する構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1つの構成単位を含む、前記[1]に記載のポリイミド樹脂。
【0011】
【0012】
[3]
構成単位(A-2)が、下記式(a-2-1)で表される化合物に由来する構成単位、及び下記式(a-2-2)で表される化合物に由来する構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1つの構成単位を含む、前記[1]又は[2]に記載のポリイミド樹脂。
【0013】
【0014】
[4]
構成単位A及び構成単位Bの合計に対するポリオルガノシロキサン単位の含有量が5~45質量%である、前記[1]~[3]のいずれかに記載のポリイミド樹脂。
[5]
構成単位B中における構成単位(B-2)の比率が0.01~15モル%である、前記[1]~[4]のいずれかに記載のポリイミド樹脂。
[6]
前記式(b-2)における、mとnとの和が、3~500の整数である、前記[1]~[5]のいずれかに記載のポリイミド樹脂。
[7]
構成単位Aが、下記式(a-3)で表される化合物に由来する構成単位(A-3)を含む、前記[1]~[6]のいずれかに記載のポリイミド樹脂。
【化5】
[8]
構成単位Aが、下記式(a-4)で表される化合物に由来する構成単位(A-4)を含む、前記[1]~[7]のいずれかに記載のポリイミド樹脂。
【化6】
[9]
前記[1]~[8]のいずれかに記載のポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸が有機溶媒に溶解してなる、ワニス。
[10]
前記[1]~[8]のいずれかに記載のポリイミド樹脂を含む、ポリイミドフィルム。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高い透明性に優れるとともに、低リタデーションかつ低残留応力を示すフィルムが形成可能なポリイミド樹脂、該ポリイミド樹脂の前駆体を含むワニス、及び該ポリイミド樹脂を含むポリイミドフィルムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[ポリイミド樹脂]
本発明のポリイミド樹脂は、テトラカルボン酸二無水物に由来する構成単位A及びジアミンに由来する構成単位Bを有するポリイミド樹脂であって、
構成単位Aが、下記式(a-1)で表される化合物に由来する構成単位(A-1)、及び下記一般式(a-2)で表される化合物に由来する構成単位(A-2)からなる群から選ばれる少なくとも1つの構成単位を含み、
構成単位Bが、下記式(b-1)で表される化合物に由来する構成単位(B-1)、及び下記一般式(b-2)で表される化合物に由来する構成単位(B-2)を含む。
【0017】
【化7】
(式(a-1)中、Xは、単結合又は酸素原子を示す。式(a-2)中、Arは、置換又は非置換のアリーレン基を示す。)
【0018】
【化8】
(式(b-2)中、Z
1及びZ
2はそれぞれ独立に2価の脂肪族基、又は2価の芳香族基を示し、R
1及びR
2はそれぞれ独立に1価の芳香族基、又は1価の脂肪族基を示し、R
3及びR
4はそれぞれ独立に1価の脂肪族基を示し、m及びnはそれぞれ独立に1以上の整数を示し、mとnとの和は2~1000の整数を示す。但し、R
1及びR
2の少なくとも一方は1価の芳香族基を示す。)
【0019】
<構成単位A>
構成単位Aは、ポリイミド樹脂に占めるテトラカルボン酸二無水物に由来する構成単位であって、構成単位Aは、下記式(a-1)で表される化合物に由来する構成単位(A-1)、及び下記式(a-2)で表される化合物に由来する構成単位(A-2)からなる群から選ばれる少なくとも1つの構成単位を含む。
【0020】
【0021】
式(a-1)におけるXは、単結合又は酸素原子を示す。式(a-2)におけるArは、置換又は非置換のアリーレン基を示す。
式(a-1)で表される化合物としては、下記式(a-1-1)で表される化合物、及び下記式(a-1-2)で表される化合物が挙げられる。即ち、構成単位(A-1)としては、式(a-1-1)で表される化合物に由来する構成単位、及び式(a-1-2)で表される化合物に由来する構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1つの構成単位を含む。構成単位(A-1)における、これらの構成単位は1種を単独で用いることもでき、任意の割合で2種以上を併用してもよい。
【0022】
【0023】
式(a-1-1)で表される化合物は、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)であり、その具体例としては、下記式(a-1-1s)で表される3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s-BPDA)、下記式(a-1-1a)で表される2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a-BPDA)、下記式(a-1-1i)で表される2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(i-BPDA)が挙げられる。中でも、下記式(a-1-1s)で表される3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s-BPDA)が好ましい。
【0024】
【0025】
式(a-1-2)で表される化合物は、オキシジフタル酸無水物(ODPA)であり、その具体例としては、下記式(a-1-2s)で表される4,4’-オキシジフタル酸無水物(s-ODPA)、下記式(a-1-2a)で表される3,4’-オキシジフタル酸無水物(a-ODPA)、下記式(a-1-2i)で表される3,3’-オキシジフタル酸無水物(i-ODPA)が挙げられる。中でも、下記式(a-1-2s)で表される4,4’-オキシジフタル酸無水物(s-ODPA)が好ましい。
【0026】
【0027】
構成単位Aが式(a-1-1)で表される化合物に由来する構成単位を含むことによって、フィルムの耐熱性及び熱安定性が向上し、残留応力がより低下する。
構成単位Aが式(a-1-2)で表される化合物に由来する構成単位を含むことによって、残留応力及びリタデーションがより低下し、無色性も向上する。
【0028】
【0029】
上記式(a-2)におけるArは、非置換のアリーレン基でもよく、さらに置換のアリーレン基でもよい。置換のアリーレン基とは、非置換のアリーレン基の水素原子が任意の置換基により置換されている基を意味する。
Arにおける非置換のアリーレン基としては、o-フェニレン基、m-フェニレン基、p-フェニレン基、4,4’-ビフェニリレン基、2,6-ナフチレン基等が挙げられる。これらの中で、p-フェニレン基、4,4’-ビフェニリレン基が好ましい。
置換のアリーレン基における任意の置換基としては、炭素数1~8のアルキル基;ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、前記アルキル基の水素原子を前記ハロゲン原子で置換したハロゲン化アルキル基等が挙げられる。これらの中で、メチル基が好ましい。任意の置換基の数は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。置換基が2つ以上ある場合、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
置換のアリーレン基の具体例としては、2,2’,3,3’,5,5’-ヘキサメチル-4,4’-ビフェニリレン基等が挙げられる。
Arとしては、p-フェニレン基、2,2’,3,3’,5,5’-ヘキサメチル-4,4’-ビフェニリレン基が好ましい。
置換又は非置換のアリ-レン基の炭素数(但し、置換基の炭素数は含まない)は、好ましくは6~20であり、より好ましくは6~12である。
【0030】
式(a-2)で表される化合物の好適例としては、下記式(a-2-1)で表される化合物、及び下記式(a-2-2)で表される化合物が挙げられる。即ち、構成単位(A-2)としては、式(a-2-1)で表される化合物に由来する構成単位、及び式(a-2-2)で表される化合物に由来する構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1つの構成単位を含むことが好ましい。構成単位(A-2)は、1種を単独で用いることもでき、任意の割合で2種以上を併用してもよい。
【0031】
【0032】
式(a-2-1)で表される化合物は、p-フェニレンビス(トリメリテート)二無水物(TAHQ)である。式(a-2-2)で表される化合物は、国際公開第2014/046180号に記載されている化合物であり、本明細書ではTMPBP-TMEの略号で示される。
【0033】
構成単位Aが式(a-2-1)で表される化合物に由来する構成単位を含むことによって、残留応力がより低下する。
構成単位Aが式(a-2-2)で表される化合物に由来する構成単位を含むことによって、フィルムの無色透明性がより向上する。
【0034】
構成単位Aは、構成単位(A-1)、及び構成単位(A-2)の両方を含んでいてもよく、構成単位(A-1)、又は構成単位(A-2)のいずれか一方を含んでいてもよい。構成単位(A-1)は残留応力をより低下させる観点から好ましく、構成単位(A-2)はYIが低下し、無色透明性に優れる観点から好ましい。
【0035】
構成単位Aが構成単位(A-1)、又は構成単位(A-2)のいずれか一方を含む場合、構成単位A中における構成単位(A-1)又は構成単位(A-2)の比率は、好ましくは45モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、特に好ましくは99モル%以上である。その比率の上限値は特に限定されず、即ち、100モル%である。同様に、構成単位A中における構成単位(A-1)、又は構成単位(A-2)の比率は、好ましくは45~100モル%、より好ましくは70~100モル%、更に好ましくは90~100モル%、特に好ましくは99~100モル%である。構成単位Aは、構成単位(A-1)、又は構成単位(A-2)のいずれか一方のみからなっていてもよい。
【0036】
構成単位Aが構成単位(A-1)、及び構成単位(A-2)の両方を含む場合、構成単位A中における構成単位(A-1)の比率は、好ましくは10~90モル%であり、より好ましくは20~80モル%であり、更に好ましくは40~60モル%である。
構成単位A中における構成単位(A-2)の比率は、好ましくは10~90モル%であり、より好ましくは20~80モル%であり、更に好ましくは40~60モル%である。
【0037】
構成単位A中における構成単位(A-1)、及び構成単位(A-2)の合計の比率は、好ましくは50モル%以上であり、より好ましくは70モル%以上であり、更に好ましくは90モル%以上であり、特に好ましくは99モル%以上である。構成単位(A-1)及び(A-2)の合計の比率の上限値は特に限定されず、即ち、100モル%である。構成単位Aは、構成単位(A-1)と構成単位(A-2)とのみからなっていてもよい。
【0038】
構成単位Aは、構成単位(A-1)及び構成単位(A-2)以外に、下記式(a-3)で表される化合物に由来する構成単位(A-3)を含んでいてもよい。耐熱性を向上し、低リタデーションを実現する観点から、構成単位(A-3)を含むことが好ましい。
【0039】
【化15】
式(a-3)で表される化合物は、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)である。
【0040】
構成単位Aは、構成単位(A-1)及び構成単位(A-2)以外に、下記式(a-4)で表される化合物に由来する構成単位(A-4)を含んでいてもよい。耐熱性を向上し、低リタデーションを実現する観点から、構成単位(A-4)を含むことが好ましい。
【0041】
【化16】
式(a-4)で表される化合物は、9,9’-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物(BPAF)である。
【0042】
構成単位Aは、本発明の効果を損なわない範囲で、構成単位(A-1)、構成単位(A-2)、構成単位(A-3)及び構成単位(A-4)以外の構成単位を含んでもよい。そのような構成単位を与えるテトラカルボン酸二無水物としては、特に限定されないが、ピロメリット酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物;1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタ-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、及びジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物等の脂環式テトラカルボン酸二無水物;並びに1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
構成単位Aに任意に含まれる構成単位(A-1)、及び構成単位(A-2)以外の構成単位は、1種でもよいし、2種以上であってもよい。
構成単位Aは、前記構成単位(A-1)、及び構成単位(A-2)以外の構成単位を含まないことが好ましい。
【0043】
なお、本明細書において、芳香族テトラカルボン酸二無水物とは芳香環を1つ以上含むテトラカルボン酸二無水物を意味し、脂環式テトラカルボン酸二無水物とは脂環を1つ以上含み、かつ芳香環を含まないテトラカルボン酸二無水物を意味し、脂肪族テトラカルボン酸二無水物とは芳香環も脂環も含まないテトラカルボン酸二無水物を意味する。
【0044】
<構成単位B>
構成単位Bは、ポリイミド樹脂に占めるジアミンに由来する構成単位であって、下記式(b-1)で表される化合物に由来する構成単位(B-1)、及び下記一般式(b-2)で表される化合物に由来する構成単位(B-2)を含む。
構成単位Bにおける、構成単位(B-1)及び構成単位(B-2)の組み合わせは、透明性に優れ、かつ低残留応力及び低リタデーションの特性を両立させる観点から好ましい。
【0045】
【0046】
式(b-1)で表される化合物は、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(6FODA)である。
【0047】
式(b-2)中、Z1及びZ2はそれぞれ独立に2価の脂肪族基、又は2価の芳香族基を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に1価の芳香族基、又は1価の脂肪族基を示し、R3及びR4はそれぞれ独立に1価の脂肪族基を示し、R5及びR6は、それぞれ独立に1価の脂肪族基、又は1価の芳香族基を示し、m及びnはそれぞれ独立に1以上の整数を示し、mとnとの和は2~1000の整数を示す。但し、R1及びR2の少なくとも一方は1価の芳香族基を示す。
なお、式(b-2)において、[ ]によって並列記載されている2以上の異なる繰り返し単位は、[ ]の順序にかかわらず、それぞれランダム状、交互状又はブロック状のいずれの形及び順序で繰り返されていてもよい。
【0048】
式(b-2)中、Z1及びZ2における2価の脂肪族基又は2価の芳香族基は、フッ素原子で置換されていてもよく、酸素原子を含んでいてもよい。エーテル結合として酸素原子を含んでいる場合、以下に示す炭素数は、脂肪族基又は芳香族基に含まれる全ての炭素数のことをいう。
2価の脂肪族基としては、炭素数1~20の2価の飽和又は不飽和の脂肪族基が挙げられる。2価の脂肪族基の炭素数は3~20が好ましい。
2価の飽和脂肪族基としては、炭素数1~20のアルキレン基、アルキレンオキシ基、エーテル結合を有する飽和脂肪族基が挙げられ、アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基等が例示でき、アルキレンオキシ基としては、例えば、プロピレンオキシ基、トリメチレンオキシ基等が例示できる。 2価の不飽和脂肪族基としては、炭素数2~20のアルキレン基が挙げられ、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、末端に不飽和二重結合を有するアルキレン基が例示できる。
2価の芳香族基としては炭素数6~20のアリーレン基、炭素数7~20のアラルキレン基等が例示できる。Z1及びZ2における炭素数6~20のアリーレン基の具体例としては、o-フェニレン基、m-フェニレン基、p-フェニレン基、4,4’-ビフェニリレン基、2,6-ナフチレン基等が挙げられる。
Z1及びZ2としては、特に、トリメチレン基、p-フェニレン基が好ましく、トリメチレン基がより好ましい。
【0049】
式(b-2)中、R1~R6における1価の脂肪族基としては、1価の飽和又は不飽和脂肪族基が挙げられる。1価の飽和脂肪族基としては炭素数1~22のアルキル基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が例示できる。1価の不飽和脂肪族基としては炭素数2~22のアルケニル基が挙げられ、例えば、ビニル基、プロペニル基等が例示できる。これらの基はフッ素原子で置換されていてもよい。
式(b-2)のR1、R2、R5及びR6における1価の芳香族基としては、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~30であり、かつアルキル基で置換されたアリール基、炭素数7~30のアラルキル基等が例示できる。1価の芳香族基としては、アリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
R1及びR2の少なくとも一方は1価の芳香族基を示すが、R1及びR2がともに1価の芳香族基であることが好ましく、R1及びR2がともにフェニル基であることがより好ましい。
R3及びR4としては、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
R5及びR6としては、1価の脂肪族基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0050】
以上のように、式(b-2)で表される化合物のなかでも、下記式(b-21)で表される化合物が好ましい。
【0051】
【化18】
(式(b-21)中、m及びnは、式(b-2)と同じである。)
【0052】
式(b-2)及び式(b-21)における、mは1価の少なくとも1つの芳香族基が結合するシロキサン単位の繰り返し数を示し、nは1価の脂肪族基が結合するシロキサン単位の繰り返し数を示す。
m及びnはそれぞれ独立に1以上の整数を示し、m及びnの和(m+n)は2~1000の整数を示す。m及びnの和は、好ましくは3~500の整数、より好ましくは3~100、更に好ましくは3~50の整数を示す。
m/nの比は、好ましくは5/95~50/50、より好ましくは10/90~40/60、更に好ましくは20/80~30/70である。
【0053】
式(b-2)で表される化合物及び式(b-21)で表される化合物の官能基当量(アミン当量)は、好ましくは150~5,000g/mol、より好ましくは400~4,000g/mol、更に好ましくは500~3,000g/molである。
なお、官能基当量とは、官能基(アミノ基)1モルあたりの式(b-2)で表される化合物の質量を意味する。
【0054】
構成単位A及び構成単位Bの合計に対するポリオルガノシロキサン単位の含有量は、好ましくは5~45質量%、より好ましくは7~40質量%、更に好ましくは10~35質量%、より更に好ましくは13~35質量%、より更に好ましくは18~35質量%、より更に好ましくは25~35質量%、より更に好ましくは28~35質量%である。当該ポリオルガノシロキサン単位の含有量が前記範囲内にあると、低リタデーションと低残留応力とを両立できる。
本発明におけるポリオルガノシロキサン単位は、構成単位(B-2)と同じ意味をもつものであって、構成単位A及び構成単位Bの合計に対するポリオルガノシロキサン単位の含有量は、構成単位A及び構成単位Bを与える原料の合計仕込み量に対する構成単位(B-2)を与える化合物、好ましくは式(b-2)で表される化合物の仕込み量の質量比から算出される。
【0055】
式(b-2)で表される化合物の市販品として入手できるものとしては、信越化学工業株式会社製の「X-22-9409」、「X-22-1660B-3」、「X-22-161A」、「X-22-161B」等が挙げられる。
【0056】
構成単位B中における構成単位(B-1)の比率は、耐熱性の観点から、好ましくは85.0~99.9モル%、より好ましくは88.0~99.5モル%、更に好ましくは92.0~99.0モル%、より更に好ましくは95.0~99.0モル%、より更に好ましくは97.0~99.0モル%であり、構成単位B中における構成単位(B-2)の比率は、好ましくは0.01~15.0モル%、より好ましくは0.5~12.0モル%、更に好ましくは1.0~8.0モル%である。
構成単位B中における構成単位(B-1)と構成単位(B-2)の合計の含有比率は、好ましくは35~100モル%、より好ましくは50~100モル%、更に好ましくは75~100モル%、特に好ましくは100モル%である。構成単位Bは構成単位(B-1)と構成単位(B-2)とのみからなっていてもよい。
【0057】
構成単位Bは構成単位(B-1)及び構成単位(B-2)以外の構成単位を含んでもよい。
そのような構成単位を与えるジアミンとしては、特に限定されないが、1,4-フェニレンジアミン、p-キシリレンジアミン、3,5-ジアミノ安息香酸、1,5-ジアミノナフタレン、2,2’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジアミン、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、1,4-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノベンズアニリド、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、1-(4-アミノフェニル)-2,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-1H-インデン-5-アミン、α,α’-ビス(4-アミノフェニル)-1,4-ジイソプロピルベンゼン、N,N’-ビス(4-アミノフェニル)テレフタルアミド、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、及び9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン等の芳香族ジアミン;1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、及び1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジアミン;並びにエチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンが挙げられる。
構成単位Bに任意に含まれる構成単位(B-1)及び構成単位(B-2)以外の構成単位は、1種でもよいし、2種以上であってもよい。
構成単位Bは、構成単位(B-1)、及び構成単位(B-2)以外の構成単位を含まないことが好ましい。特に、低リタデーションを実現する観点から、構成単位Bは、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンに由来する構成単位を含まないことが好ましい。
【0058】
なお、本明細書において、芳香族ジアミンとは芳香環を1つ以上含むジアミンを意味し、脂環式ジアミンとは脂環を1つ以上含み、かつ芳香環を含まないジアミンを意味し、脂肪族ジアミンとは芳香環も脂環も含まないジアミンを意味する。
【0059】
本発明のポリイミド樹脂は、ポリイミド鎖(構成単位Aと構成単位Bとがイミド結合してなる構造)以外の構造を含んでもよい。ポリイミド樹脂中に含まれうるポリイミド鎖以外の構造としては、例えばアミド結合を含む構造等が挙げられる。
本発明のポリイミド樹脂は、ポリイミド鎖(構成単位Aと構成単位Bとがイミド結合してなる構造)を主たる構造として含むことが好ましい。したがって、本発明のポリイミド樹脂中に占めるポリイミド鎖の比率は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、更に好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは99質量%以上である。
【0060】
本発明のポリイミド樹脂を用いることで、透明性に優れ、更に低残留応力、及び低リタデーションであるフィルムを形成することができ、当該フィルムの有する好適な物性値は以下の通りである。
全光線透過率は、厚さ10μmのフィルムとした際に、好ましくは85%以上であり、より好ましくは87%以上であり、更に好ましくは89%以上である。
イエローインデックス(YI)は、厚さ10μmのフィルムとした際に、好ましくは5.5以下であり、より好ましくは4.8以下であり、無色透明性に優れる観点から、好ましくは3.8以下、より好ましくは3.5以下である。
本発明のポリイミド樹脂は、厚さ10μmのポリイミドフィルムとした際の厚み位相差(Rth)の絶対値が、好ましくは200nm以下であり、より好ましくは150nm以下であり、更に好ましくは110nm以下であり、特に好ましくは90nm以下である。なお、本明細書において、「低リタデーション」とは、厚み位相差(Rth)が低いことを意味し、好ましくは厚み位相差(Rth)が前記範囲内にあることをいう。
残留応力は、好ましくは26MPa以下であり、より好ましくは20MPa以下であり、更に好ましくは15MPa以下である。
なお、本発明における上述の物性値は、具体的には実施例に記載の方法で測定することができる。
【0061】
本発明のポリイミド樹脂を用いることで形成することができるフィルムは、以下のような好適な物性値を有する。
ガラス転移温度(Tg)は、好ましくは200℃以上であり、より好ましくは220℃以上であり、更に好ましくは250℃以上である。
【0062】
[ポリイミド樹脂の製造方法]
本発明のポリイミド樹脂は、上述の構成単位(A-1)を与える化合物、及び上述の構成単位(A-2)を与える化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むテトラカルボン酸成分と、上述の構成単位(B-1)を与える化合物、及び上述の構成単位(B-2)を与える化合物を含むジアミン成分とを反応させることにより製造することができる。
本発明のポリイミド樹脂は、当該ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸をイミド化(脱水閉環)する方法により製造することが好ましい。ポリアミド酸は、上述のテトラカルボン酸成分と上述のジアミン成分との重付加反応の生成物である。
【0063】
構成単位(A-1)を与える化合物としては、式(a-1)で表される化合物が挙げられるが、それに限られず、同じ構成単位を与える範囲でその誘導体であってもよい。当該誘導体としては、式(a-1)で表されるテトラカルボン酸二無水物に対応するテトラカルボン酸及び当該テトラカルボン酸のアルキルエステルが挙げられる。構成単位(A-1)を与える化合物としては、式(a-1)で表される化合物(即ち、二無水物)が好ましい。
同様に、構成単位(A-2)を与える化合物としては、式(a-2)で表される化合物が挙げられるが、それに限られず、同じ構成単位を与える範囲でその誘導体であってもよい。当該誘導体としては、式(a-2)で表されるテトラカルボン酸二無水物に対応するテトラカルボン酸及び当該テトラカルボン酸のアルキルエステルが挙げられる。構成単位(A-2)を与える化合物としては、式(a-2)で表される化合物(即ち、二無水物)が好ましい。
【0064】
テトラカルボン酸成分は、構成単位(A-1)を与える化合物及び構成単位(A-2)を与える化合物を合計で、好ましくは50モル%以上含み、より好ましくは70モル%以上含み、更に好ましくは90モル%以上含み、特に好ましくは99モル%以上含む。構成単位(A-1)を与える化合物及び構成単位(A-2)を与える化合物の合計の含有量の上限値は特に限定されず、即ち、100モル%である。テトラカルボン酸成分は構成単位(A-1)を与える化合物と構成単位(A-2)を与える化合物とのみからなっていてもよい。
【0065】
テトラカルボン酸成分は、構成単位(A-1)を与える化合物、又は構成単位(A-2)を与える化合物のいずれか一方を含む場合、構成単位(A-1)を与える化合物、又は構成単位(A-2)を与える化合物を、全テトラカルボン酸成分中、好ましくは45モル%以上含み、より好ましくは70モル%以上含み、更に好ましくは90モル%以上含む。構成単位(A-1)を与える化合物、又は構成単位(A-2)を与える化合物の含有量の上限値は限定されず、即ち、100モル%である。テトラカルボン酸成分は、構成単位(A-1)を与える化合物、又は構成単位(A-2)を与える化合物のいずれか一方のみからなっていてもよい。
【0066】
テトラカルボン酸成分は、構成単位(A-1)を与える化合物、及び構成単位(A-2)を与える化合物の両方を含む場合、構成単位(A-1)を与える化合物は、全テトラカルボン酸成分中、好ましくは10~90モル%含み、より好ましくは20~80モル%含み、更に好ましくは40~60モル%含む。同様に、構成単位(A-2)を与える化合物は、全テトラカルボン酸成分中、好ましくは10~90モル%含み、より好ましくは20~80モル%含み、更に好ましくは40~60モル%含む。
【0067】
テトラカルボン酸成分は、構成単位(A-1)を与える化合物、及び構成単位(A-2)を与える化合物以外に、構成単位(A-3)を与える化合物を含んでもよく、耐熱性を向上し、低リタデーションを実現する観点から、構成単位(A-3)を与える化合物を含むことが好ましい。
構成単位(A-3)を与える化合物としては、式(a-3)で表される化合物が挙げられるが、それに限られず、同じ構成単位を与える範囲でその誘導体であってもよい。当該誘導体としては、式(a-3)で表されるテトラカルボン酸二無水物に対応するテトラカルボン酸及び当該テトラカルボン酸のアルキルエステルが挙げられる。構成単位(A-3)を与える化合物としては、式(a-3)で表される化合物(即ち、二無水物)が好ましい。
【0068】
テトラカルボン酸成分は、構成単位(A-1)を与える化合物、及び構成単位(A-2)を与える化合物以外に、構成単位(A-4)を与える化合物を含んでもよく、耐熱性を向上し、低リタデーションを実現する観点から、構成単位(A-4)を与える化合物を含むことが好ましい。
構成単位(A-4)を与える化合物としては、式(a-4)で表される化合物が挙げられるが、それに限られず、同じ構成単位を与える範囲でその誘導体であってもよい。当該誘導体としては、式(a-4)で表されるテトラカルボン酸二無水物に対応するテトラカルボン酸及び当該テトラカルボン酸のアルキルエステルが挙げられる。構成単位(A-4)を与える化合物としては、式(a-4)で表される化合物(即ち、二無水物)が好ましい。
テトラカルボン酸成分は、構成単位(A-1)を与える化合物、構成単位(A-2)を与える化合物、構成単位(A-3)を与える化合物、及び構成単位(A-4)を与える化合物以外の化合物を含んでもよく、当該化合物としては、上述の芳香族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、及び脂肪族テトラカルボン酸二無水物、並びにそれらの誘導体(テトラカルボン酸、テトラカルボン酸のアルキルエステル等)が挙げられる。
テトラカルボン酸成分に任意に含まれる構成単位(A-1)、及び構成単位(A-2)を与える化合物以外の化合物は、1種でもよいし、2種以上であってもよい。
【0069】
構成単位(B-1)を与える化合物としては、一般式(b-1)で表される化合物が挙げられるが、それに限られず、同じ構成単位を与える範囲でその誘導体であってもよい。当該誘導体としては、一般式(b-1)で表される化合物に対応するジイソシアネートが挙げられる。構成単位(B-1)を与える化合物としては、一般式(b-1)で表される化合物(即ち、ジアミン)が好ましい。
同様に、構成単位(B-2)を与える化合物としては、一般式(b-2)で表される化合物が挙げられるが、それに限られず、同じ構成単位を与える範囲でその誘導体であってもよい。当該誘導体としては、一般式(b-2)で表される化合物に対応するジイソシアネートが挙げられる。構成単位(B-2)を与える化合物としては、一般式(b-2)で表される化合物(即ち、ジアミン)が好ましい。
【0070】
ジアミン成分は、構成単位(B-1)を与える化合物を、得られるポリイミド樹脂の耐熱性の観点から、好ましくは85.0~99.9モル%含み、より好ましくは88.0~99.5モル%含み、更に好ましくは92.0~99.0モル%含み、より更に好ましくは95.0~99.0モル%含み、より更に好ましくは97.0~99.0モル%含む。
同様に、ジアミン成分は、構成単位(B-2)を与える化合物を、好ましくは0.01~15.0モル%含み、より好ましくは0.5~12.0モル%含み、更に好ましくは1.0~8.0モル%含む。
【0071】
構成単位(B-1)を与える化合物と構成単位(B-2)を与える化合物の合計の含有比率は、全ジアミン成分中、好ましくは35モル%以上、より好ましくは50モル%以上、更に好ましくは75モル%以上である。構成単位(B-1)を与える化合物と構成単位(B-2)を与える化合物の合計の含有比率の上限値は特に限定されず、即ち、100モル%である。ジアミン成分は構成単位(B-1)を与える化合物と構成単位(B-2)を与える化合物とのみからなっていてもよい。
【0072】
ジアミン成分は構成単位(B-1)を与える化合物、及び構成単位(B-2)を与える化合物以外の化合物を含んでもよく、当該化合物としては、上述の芳香族ジアミン、脂環式ジアミン、及び脂肪族ジアミン、並びにそれらの誘導体(ジイソシアネート等)が挙げられる。
ジアミン成分に任意に含まれる構成単位(B-1)を与える化合物、及び構成単位(B-2)を与える化合物以外の化合物は、1種でもよいし、2種以上であってもよい。
【0073】
本発明において、ポリイミド樹脂の製造に用いるテトラカルボン酸成分とジアミン成分の仕込み量比は、テトラカルボン酸成分1モルに対してジアミン成分が0.9~1.1モルであることが好ましい。
【0074】
また、本発明において、ポリイミド樹脂の製造には、前述のテトラカルボン酸成分及びジアミン成分の他に、末端封止剤を用いてもよい。末端封止剤としてはモノアミン類あるいはジカルボン酸類が好ましい。導入される末端封止剤の仕込み量としては、テトラカルボン酸成分1モルに対して0.0001~0.1モルが好ましく、特に0.001~0.06モルが好ましい。モノアミン類末端封止剤としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、4-メチルベンジルアミン、4-エチルベンジルアミン、4-ドデシルベンジルアミン、3-メチルベンジルアミン、3-エチルベンジルアミン、アニリン、3-メチルアニリン、4-メチルアニリン等が推奨される。これらのうち、ベンジルアミン、アニリンが好適に使用できる。ジカルボン酸類末端封止剤としては、ジカルボン酸類が好ましく、その一部を閉環していてもよい。例えば、フタル酸、無水フタル酸、4-クロロフタル酸、テトラフルオロフタル酸、2,3-ベンゾフェノンジカルボン酸、3,4-ベンゾフェノンジカルボン酸、シクロペンタン-1,2-ジカルボン酸、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸等が推奨される。これらのうち、フタル酸、無水フタル酸が好適に使用できる。
【0075】
ポリアミド酸を得るための、前述のテトラカルボン酸成分とジアミン成分とを反応させる方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
具体的な反応方法としては、(1)テトラカルボン酸成分、ジアミン成分、及び溶剤を反応器に仕込み、0~120℃、好ましくは5~80℃の範囲で1~72時間撹拌する方法、(2)ジアミン成分、好ましくは構成単位(B-2)を与える化合物以外のジアミン成分、及び溶剤を反応器に仕込んで溶解させた後、テトラカルボン酸成分を仕込み、0~120℃、好ましくは5~80℃の範囲で1~72時間撹拌し、その後、ジアミン成分として、好ましくは構成単位(B-2)を与える化合物、及び溶剤を仕込み、0~120℃、好ましくは15~80℃の範囲で0.5~10時間撹拌する方法、等が挙げられる。上記のうち、(2)の製造方法が好ましい。
80℃以下で反応させる場合には、得られるポリアミド酸の分子量が重合時の温度履歴に依存して変動することなく、また熱イミド化の進行も抑制できるため、ポリアミド酸を安定して製造できる。
【0076】
ポリアミド酸の製造に用いられる溶剤は、生成するポリアミド酸を溶解できるものであればよい。例えば、非プロトン性溶剤、フェノール系溶剤、エーテル系溶剤、カーボネート系溶剤等が挙げられる。
【0077】
非プロトン性溶剤の具体例としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-メチルカプロラクタム、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチル尿素等のアミド系溶剤、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等のラクトン系溶剤、ヘキサメチルホスホリックアミド、ヘキサメチルホスフィントリアミド等の含リン系アミド系溶剤、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸(2-メトキシ-1-メチルエチル)等のエステル系溶剤等が挙げられる。
【0078】
フェノール系溶剤の具体例としては、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、2,6-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール等が挙げられる。
エーテル系溶剤の具体例としては、1,2-ジメトキシエタン、ビス(2-メトキシエチル)エーテル、1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン、ビス〔2-(2-メトキシエトキシ)エチル〕エーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等が挙げられる。
カーボネート系溶剤の具体的な例としては、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。
上記反応溶剤の中でも、アミド系溶剤又はラクトン系溶剤が好ましく、アミド系溶剤がより好ましく、N-メチル-2-ピロリドンが更に好ましい。上記の反応溶剤は単独で又は2種以上混合して用いてもよい。
【0079】
上記方法により、溶剤に溶解したポリアミド酸を含むポリアミド酸溶液が得られる。
得られるポリアミド酸溶液中のポリアミド酸の濃度は、通常ポリアミド酸溶液中の1~50質量%であり、好ましくは3~35質量%、より好ましくは10~30質量%の範囲である。
【0080】
ポリアミド酸の数平均分子量は、得られるポリイミドフィルムの機械的強度の観点から、好ましくは5,000~200,000である。なお、ポリアミド酸の数平均分子量は、例えば、ゲルろ過クロマトグラフィー測定による標準ポリメチルメタクリレート(PMMA)換算値より求めることができる。
【0081】
[ポリアミド酸ワニス]
本発明のワニスは、本発明のポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸が有機溶媒に溶解してなるものである。即ち、本発明のワニスは、本発明のポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸及び有機溶媒を含み、当該ポリアミド酸は当該有機溶媒に溶解している。
有機溶媒はポリアミド酸が溶解するものであればよく、特に限定されないが、ポリアミド酸の製造に用いられる溶剤として上述した化合物を、単独又は2種以上を混合して用いることが好ましい。
本発明のワニスは、上述のポリアミド酸溶液そのものであってもよいし、又は当該ポリアミド酸溶液に対して更に希釈溶剤を追加したものであってもよい。
【0082】
本発明のワニスは、効率よくイミド化を進行させる観点から、更にイミド化触媒及び脱水触媒を含有させることができる。イミド化触媒としては、沸点が40℃以上180℃以下であるイミド化触媒であればよく、沸点が180℃以下のアミン化合物が好ましいものとして挙げられる。沸点が180℃以下のイミド化触媒であれば、フィルム形成後、高温での乾燥時に該フィルムが着色し、外観が損なわれるおそれがない。また、沸点が40℃以上のイミド化触媒であれば、十分にイミド化が進行する前に揮発する可能性を回避できる。
イミド化触媒として好適に用いられるアミン化合物としては、ピリジン又はピコリンが挙げられる。上記のイミド化触媒は単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
脱水触媒としては、無水酢酸、プロピオン酸無水物、n-酪酸無水物、安息香酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物等の酸無水物;ジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド化合物;等を挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0083】
本発明のワニスに含まれるポリアミド酸は溶媒溶解性を有しているため、室温で安定な高濃度のワニスとすることができる。本発明のワニスは、ポリアミド酸を5~40質量%含むことが好ましく、10~30質量%含むことがより好ましい。ワニスの粘度は0.1~100Pa・sが好ましく、0.1~20Pa・sがより好ましい。ワニスの粘度は、E型粘度計を用いて25℃で測定された値である。
また、本発明のワニスは、ポリイミドフィルムの要求特性を損なわない範囲で、無機フィラー、接着促進剤、剥離剤、難燃剤、紫外線安定剤、界面活性剤、レベリング剤、消泡剤、蛍光増白剤、架橋剤、重合開始剤、感光剤等各種添加剤を含んでもよい。
本発明のワニスの製造方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。
【0084】
[ポリイミド樹脂/ポリイミドフィルム]
本発明のポリイミドフィルムは、本発明のポリイミド樹脂を含む。したがって、本発明のポリイミドフィルムは、透明性に優れ、更に低リタデーション及び低残留応力を示す。本発明のポリイミドフィルムが有する好適な物性値は上述の通りである。
本発明のポリイミドフィルムは、前述のポリアミド酸が有機溶媒に溶解してなるワニスを用いて製造することができる。
【0085】
本発明のワニスを用いてポリイミドフィルムを製造する方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。例えば、ガラス板、金属板、プラスチックなどの平滑な支持体上に本発明のワニスを塗布、又はフィルム状に成形した後、該ワニス中に含まれる反応溶剤や希釈溶剤等の有機溶媒を加熱により除去し、ポリアミド酸フィルムを得て、該ポリアミド酸フィルム中のポリアミド酸を加熱によりイミド化(脱水閉環)し、次いで支持体から剥離することにより、ポリイミドフィルムを製造することができる。
【0086】
ポリアミド酸ワニスを乾燥させてポリアミド酸フィルムを得る際の加熱温度としては、好ましくは50~150℃である。ポリアミド酸を加熱によりイミド化する際の加熱温度としては、好ましくは200~500℃、より好ましくは250~450℃、更に好ましくは300~400℃の範囲から選択することができる。また、加熱時間は、通常1分~6時間であり、好ましくは5分~2時間、より好ましくは15分~1時間である。
加熱雰囲気は、空気ガス、窒素ガス、酸素ガス、水素ガス、窒素/水素混合ガス等が挙げられるが、得られるポリイミド樹脂の着色を抑えるためには、酸素濃度が100ppm以下の窒素ガス、水素濃度が0.5%以下含む窒素/水素混合ガスが好ましい。
なお、イミド化の方法は熱イミド化に限定されず、化学イミド化を適用することもできる。
【0087】
本発明のポリイミドフィルムの厚みは用途等に応じて適宜選択することができるが、好ましくは1~250μm、より好ましくは5~100μm、更に好ましくは7~50μmの範囲である。厚みが1~250μmであることで、自立膜としての実用的な使用が可能となる。
ポリイミドフィルムの厚みは、ワニスの固形分濃度や粘度を調整することにより、容易に制御することができる。
【0088】
本発明のポリイミドフィルムは、カラーフィルター、フレキシブルディスプレイ、半導体部品、光学部材等の各種部材用のフィルムとして好適に用いられる。本発明のポリイミドフィルムは、液晶ディスプレイやOLEDディスプレイ等の画像表示装置の基板として、特に好適に用いられる。
【実施例】
【0089】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
実施例及び比較例で得たフィルムの各物性は以下に示す方法によって測定した。
【0090】
(1)フィルム厚さ
フィルム厚さは、株式会社ミツトヨ製のマイクロメーターを用いて測定した。
(2)全光線透過率、イエローインデックス(YI)
全光線透過率及びYIは、JIS K7105:1981に準拠し、日本電色工業株式会社製の色彩・濁度同時測定器「COH400」を用いて測定した。
(3)ガラス転移温度(Tg)
株式会社日立ハイテクサイエンス製の熱機械的分析装置「TMA/SS6100」を用いて、引張モードで試料サイズ3mm×20mm、荷重0.1N、窒素気流下(流量200mL/分)、昇温速度10℃/分の条件で、残留応力を取り除くのに十分な温度まで昇温して残留応力を取り除き、その後室温まで冷却した。その後、前記残留応力を取り除くための処理と同じ条件で試験片伸びの測定を行い、伸びの変曲点が見られたところをガラス転移温度として求めた。
【0091】
(4)厚み位相差(Rth)
厚み位相差(Rth)は、日本分光株式会社製のエリプソメーター「M-220」を用いて測定した。測定波長590nmにおける、厚み位相差の値を測定した。なおRthは、ポリイミドフィルムの面内の屈折率のうち最大のものをnx、最小のものをnyとし、厚み方向の屈折率をnzとし、フィルムの厚みをdとしたとき、下記式によって表されるものである。
Rth=[{(nx+ny)/2}-nz]×d
【0092】
(5)残留応力
ケーエルエー・テンコール社製の残留応力測定装置「FLX-2320」を用いて、予め「反り量」を測定しておいた、厚み525μm±25μmの4インチシリコンウェハ上に、ポリアミド酸ワニスを、スピンコーターを用いて塗布し、プリベークした。その後、熱風乾燥器を用いて、窒素雰囲気下、350℃30分(昇温速度5℃/分)の加熱硬化処理を施し、硬化後膜厚6~20μmのポリイミドフィルムのついたシリコンウェハを作製した。このウェハの反り量を前述の残留応力測定装置を用いて測定し、シリコンウェハとポリイミドフィルムの間に生じた残留応力を評価した。
【0093】
実施例及び比較例にて使用したテトラカルボン酸成分及びジアミン成分、並びにその略号等は下記の通りである。
<テトラカルボン酸成分>
s-BPDA:3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(三菱ケミカル株式会社製、式(a-1-1s)で表される化合物)
a-BPDA:2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(式(a-1-1a)で表される化合物)
TMPBP-TME:本州化学工業株式会社製、式(a-2-2)で表される化合物
TAHQ:p-フェニレンビス(トリメリテート)二無水物(マナック株式会社製、式(a-2-1)で表される化合物)
s-ODPA:4,4’-オキシジフタル酸無水物(マナック株式会社製、式(a-1-2s)で表される化合物)
CBDA:1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(式(a-3)で表される化合物)
BPAF:9,9’-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物(JFEケミカル株式会社製;式(a-4)で表される化合物)
<ジアミン成分>
6FODA:2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(ChinaTech (Tianjin) Chemical Co., Ltd.製、式(b-1)で表される化合物)
X-22-1660B-3:両末端アミノ変性シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製、式(b-2)で表される化合物(官能基当量:2200g/mol又は2170g/mol))
TFMB:2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(セイカ株式会社製)
【0094】
実施例及び比較例において使用した、溶媒の略号等は下記の通りである。
NMP:N-メチル-2-ピロリドン(三菱ケミカル株式会社製)
【0095】
〈実施例1〉
ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた500mLの5つ口丸底フラスコに、6FODAを26.227g(0.0780モル)と、NMPを109.317gとを投入し、系内温度50℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
この溶液に、s-BPDAを23.536g(0.0800モル)と、NMPを27.329gとを一括で投入し、マントルヒーターで50℃に保持したまま7時間撹拌した。
その後、NMPを83.66g添加し均一化した後、NMP13.940gに溶解させたX-22-1660B-3(官能基当量2200g/mol)8.800g(0.0020モル)を添加した。その後80℃に昇温し1時間撹拌したあと室温に戻し、固形分濃度20質量%のポリアミド酸ワニスを得た。
続いてガラス板上、シリコンウェハへ、得られたポリアミド酸ワニスをスピンコートにより塗布し、ホットプレートで80℃、20分間保持し、その後、窒素雰囲気下、熱風乾燥機中350℃で30分加熱し(昇温速度5℃/min)、溶媒を蒸発させ、さらに熱イミド化させポリイミドフィルムを得た。結果を表1に示す。
【0096】
〈実施例2〉
ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた500mLの5つ口丸底フラスコに、6FODAを16.069g(0.0478モル)と、NMPを90.744gとを投入し、系内温度50℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
この溶液に、s-BPDAを7.355g(0.0250モル)と、TMPBP-TMEを15.465g(0.0250モル)と、NMPを22.686gとを一括で投入し、マントルヒーターで50℃に保持したまま7時間撹拌した。
その後、NMPを69.447g添加し均一化した後、NMP11.574gに溶解させたX-22-1660B-3(官能基当量2200g/mol)9.724g(0.0022モル)を添加した。その後80℃に昇温し1時間撹拌したあと室温に戻し、固形分濃度20質量%のポリアミド酸ワニスを得た。
得られたポリアミド酸ワニスを用いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製し、ポリイミドフィルムを得た。結果を表1に示す。
【0097】
〈実施例3〉
ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた500mLの5つ口丸底フラスコに、6FODAを9.550g(0.0284モル)と、NMPを65.600gとを投入し、系内温度50℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
この溶液に、TMPBP-TMEを18.558g(0.0300モル)と、NMPを16.400gとを一括で投入し、マントルヒーターで50℃に保持したまま7時間撹拌した。
その後、NMPを50.204g添加し均一化した後、NMP8.367gに溶解させたX-22-1660B-3(官能基当量2200g/mol)7.036g(0.0016モル)を添加した。その後80℃に昇温し1時間撹拌したあと室温に戻し、固形分濃度20質量%のポリアミド酸ワニスを得た。
得られたポリアミド酸ワニスを用いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製し、ポリイミドフィルムを得た。結果を表1に示す。
【0098】
〈実施例4〉
ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた500mLの5つ口丸底フラスコに、6FODAを26.952g(0.0772モル)と、NMPを115.507gとを投入し、系内温度50℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
この溶液に、s-BPDAを23.536g(0.0800モル)と、NMPを28.877gとを一括で投入し、マントルヒーターで50℃に保持したまま7時間撹拌した。
その後、NMPを88.398g添加し均一化した後、NMP14.733gに溶解させたX-22-1660B-3(官能基当量2200g/mol)12.390g(0.0028モル)を添加した。その後80℃に昇温し1時間撹拌したあと室温に戻し、固形分濃度20質量%のポリアミド酸ワニスを得た。
得られたポリアミド酸ワニスを用いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製し、ポリイミドフィルムを得た。結果を表1に示す。
【0099】
〈実施例5〉
ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた500mLの5つ口丸底フラスコに、6FODAを26.502g(0.0788モル)とNMPを128.368g投入し、系内温度50℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
この溶液に、s-BPDAを24.386g(0.0829モル)と、NMPを32.092gとを一括で投入し、マントルヒーターで50℃に保持したまま7時間撹拌した。
その後、NMPを98.241g添加し均一化した後、NMP16.373gに溶解させたX-22-1660B-3(官能基当量2200g/mol)17.881g(0.0041モル)を添加した。その後80℃に昇温し1時間撹拌したあと室温に戻し、固形分濃度20質量%のポリアミド酸ワニスを得た。
得られたポリアミド酸ワニスを用いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製し、ポリイミドフィルムを得た。結果を表1に示す。
【0100】
〈実施例6〉
ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた500mLの5つ口丸底フラスコに、6FODAを27.311g(0.0812モル)と、NMPを130.538gとを投入し、系内温度50℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
この溶液に、s-BPDAを24.386g(0.0829モル)と、NMPを32.635gとを一括で投入し、マントルヒーターで50℃に保持したまま7時間撹拌した。
その後、NMPを99.902g添加し均一化した後、NMP16.650gに溶解させたX-22-1660B-3(官能基当量2200g/mol)18.234g(0.0041モル)を添加した。その後80℃に昇温し1時間撹拌したあと室温に戻し、固形分濃度20質量%のポリアミド酸ワニスを得た。
得られたポリアミド酸ワニスを用いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製し、ポリイミドフィルムを得た。結果を表1に示す。
【0101】
〈実施例7〉
ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた500mLの5つ口丸底フラスコに、6FODAを25.299g(0.0752モル)と、NMPを130.254gとを投入し、系内温度50℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
この溶液に、s-BPDAを23.536g(0.0800モル)と、NMPを32.563gとを一括で投入し、マントルヒーターで50℃に保持したまま7時間撹拌した。
その後、NMPを99.684g添加し均一化した後、NMP16.614gに溶解させたX-22-1660B-3(官能基当量2200g/mol)20.944g(0.0048モル)を添加した。その後80℃に昇温し1時間撹拌したあと室温に戻し、固形分濃度20質量%のポリアミド酸ワニスを得た。
得られたポリアミド酸ワニスを用いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製し、ポリイミドフィルムを得た。結果を表2に示す。
【0102】
〈実施例8〉
ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた500mLの5つ口丸底フラスコに、6FODAを16.276g(0.0484モル)と、NMPを86.080gとを投入し、系内温度50℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
この溶液に、TAHQを22.917g(0.0500モル)と、NMPを21.520gとを一括で投入し、マントルヒーターで50℃に保持したまま7時間撹拌した。
その後、NMPを65.878g添加し均一化した後、NMP10.980gに溶解させたX-22-1660B-3(官能基当量2170g/mol)6.922g(0.0016モル)を添加した。その後80℃に昇温し1時間撹拌したあと室温に戻し、固形分濃度20質量%のポリアミド酸ワニスを得た。
得られたポリアミド酸ワニスを用いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製し、ポリイミドフィルムを得た。結果を表2に示す。
【0103】
〈実施例9〉
ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた500mLの5つ口丸底フラスコに、6FODAを16.057g(0.0478モル)と、NMPを90.938gとを投入し、系内温度50℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
この溶液に、TAHQを22.917g(0.0500モル)と、NMPを22.735gとを一括で投入し、マントルヒーターで50℃に保持したまま7時間撹拌した。
その後、NMPを69.596g添加し均一化した後、NMP11.599gに溶解させたX-22-1660B-3(官能基当量2170g/mol)9.743g(0.0022モル)を添加した。その後80℃に昇温し1時間撹拌したあと室温に戻し、固形分濃度20質量%のポリアミド酸ワニスを得た。
得られたポリアミド酸ワニスを用いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製し、ポリイミドフィルムを得た。結果を表2に示す。
【0104】
〈実施例10〉
ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた500mLの5つ口丸底フラスコに、6FODAを28.477g(0.0847モル)と、NMPを111.585gとを投入し、系内温度50℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
この溶液に、s-BPDAを25.324g(0.0861モル)と、NMPを27.896gとを一括で投入し、マントルヒーターで50℃に保持したまま7時間撹拌した。
その後、NMPを85.397g添加し均一化した後、NMP14.233gに溶解させたX-22-1660B-3(官能基当量2170g/mol)5.977g(0.0014モル)を添加した。その後80℃に昇温し1時間撹拌したあと室温に戻し、固形分濃度20質量%のポリアミド酸ワニスを得た。
得られたポリアミド酸ワニスを用いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製し、ポリイミドフィルムを得た。結果を表2に示す。
【0105】
〈実施例11〉
ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた500mLの5つ口丸底フラスコに、6FODAを27.511g(0.0818モル)と、NMPを117.638gとを投入し、系内温度50℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
この溶液に、s-ODPAを26.057g(0.0840モル)と、NMPを29.410gとを一括で投入し、マントルヒーターで50℃に保持したまま7時間撹拌した。
その後、NMPを90.029g添加し均一化した後、NMP15.005gに溶解させたX-22-1660B-3(官能基当量2170g/mol)9.453g(0.0022モル)を添加した。その後80℃に昇温し1時間撹拌したあと室温に戻し、固形分濃度20質量%のポリアミド酸ワニスを得た。
得られたポリアミド酸ワニスを用いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製し、ポリイミドフィルムを得た。結果を表2に示す。
【0106】
〈実施例12〉
ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた500mLの5つ口丸底フラスコに、6FODAを26.407g(0.0785モル)と、NMPを111.487gとを投入し、系内温度50℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
この溶液に、s-ODPAを12.502g(0.0403モル)と、s-BPDAを11.857g(0.0403モル)と、NMPを27.872gとを一括で投入し、マントルヒーターで50℃に保持したまま7時間撹拌した。
その後、NMPを85.322g添加し均一化した後、NMP14.220gに溶解させたX-22-1660B-3(官能基当量2170g/mol)8.959g(0.0021モル)を添加した。その後80℃に昇温し1時間撹拌したあと室温に戻し、固形分濃度20質量%のポリアミド酸ワニスを得た。
得られたポリアミド酸ワニスを用いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製し、ポリイミドフィルムを得た。結果を表2に示す。
【0107】
〈実施例13〉
ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた500mLの5つ口丸底フラスコに、6FODAを26.124g(0.0777モル)と、NMPを111.794gとを投入し、系内温度50℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
この溶液に、s-ODPAを12.502g(0.0403モル)と、s-BPDAを11.857g(0.0403モル)と、NMPを29.449gとを一括で投入し、マントルヒーターで50℃に保持したまま7時間撹拌した。
その後、NMPを184.053g添加し均一化した後、NMP26.29gに溶解させたX-22-1660B-3(官能基当量2170g/mol)12.621g(0.0029モル)を添加した。その後50℃に保持したまま1時間撹拌したあと室温に戻し、固形分濃度15質量%のポリアミド酸ワニスを得た。
得られたポリアミド酸ワニスを用いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製し、ポリイミドフィルムを得た。結果を表3に示す。
【0108】
〈実施例14〉
ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた500mLの5つ口丸底フラスコに、6FODAを26.116g(0.0777モル)と、NMPを118.678gとを投入し、系内温度50℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
この溶液に、s-ODPAを20.003g(0.0645モル)と、s-BPDAを4.743g(0.0161モル)と、NMPを29.670gとを一括で投入し、マントルヒーターで50℃に保持したまま7時間撹拌した。
その後、NMPを185.435g添加し均一化した後、NMP26.490gに溶解させたX-22-1660B-3(官能基当量2170g/mol)12.716g(0.0029モル)を添加した。その後50℃に保持したまま1時間撹拌したあと室温に戻し、固形分濃度15質量%のポリアミド酸ワニスを得た。
得られたポリアミド酸ワニスを用いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製し、ポリイミドフィルムを得た。結果を表3に示す。
【0109】
〈実施例15〉
ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた500mLの5つ口丸底フラスコに、6FODAを26.119g(0.0777モル)と、NMPを118.390gとを投入し、系内温度50℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
この溶液に、s-ODPAを17.502g(0.0564モル)と、s-BPDAを7.114g(0.0242モル)と、NMPを29.597gとを一括で投入し、マントルヒーターで50℃に保持したまま7時間撹拌した。
その後、NMPを184.984g添加し均一化した後、NMP26.430gに溶解させたX-22-1660B-3(官能基当量2170g/mol)12.688g(0.0029モル)を添加した。その後50℃に保持したまま1時間撹拌したあと室温に戻し、固形分濃度15質量%のポリアミド酸ワニスを得た。
得られたポリアミド酸ワニスを用いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製し、ポリイミドフィルムを得た。結果を表3に示す。
【0110】
〈実施例16〉
ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた500mLの5つ口丸底フラスコに、6FODAを26.112g(0.0777モル)と、NMPを119.262gとを投入し、系内温度50℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
この溶液に、s-ODPAを25.003g(0.0806モル)と、NMPを29.816gとを一括で投入し、マントルヒーターで50℃に保持したまま7時間撹拌した。
その後、NMPを186.347g添加し均一化した後、NMP26.621gに溶解させたX-22-1660B-3(官能基当量2170g/mol)12.775g(0.0029モル)を添加した。その後50℃に保持したまま1時間撹拌したあと室温に戻し、固形分濃度15質量%のポリアミド酸ワニスを得た。
得られたポリアミド酸ワニスを用いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製し、ポリイミドフィルムを得た。結果を表3に示す。
【0111】
〈実施例17〉
ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた500mLの5つ口丸底フラスコに、6FODAを26.199g(0.0779モル)と、NMPを108.739gとを投入し、系内温度50℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
この溶液に、s-ODPAを12.502g(0.0403モル)と、CBDAを7.903g(0.0403モル)と、NMPを27.185gとを一括で投入し、マントルヒーターで50℃に保持したまま7時間撹拌した。
その後、NMPを169.904g添加し均一化した後、NMP24.273gに溶解させたX-22-1660B-3(官能基当量2170g/mol)11.649g(0.0027モル)を添加した。その後50℃に保持したまま1時間撹拌したあと室温に戻し、固形分濃度15質量%のポリアミド酸ワニスを得た。
得られたポリアミド酸ワニスを用いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製し、ポリイミドフィルムを得た。結果を表3に示す。
【0112】
〈実施例18〉
ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた500mLの5つ口丸底フラスコに、6FODAを25.998g(0.0773モル)と、NMPを132.942gとを投入し、系内温度50℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
この溶液に、s-ODPAを12.502g(0.0403モル)と、BPAFを18.475g(0.0403モル)と、NMPを33.236gとを一括で投入し、マントルヒーターで50℃に保持したまま7時間撹拌した。
その後、NMPを207.723g添加し均一化した後、NMP29.674gに溶解させたX-22-1660B-3(官能基当量2170g/mol)14.244g(0.0033モル)を添加した。その後50℃に保持したまま1時間撹拌したあと室温に戻し、固形分濃度15質量%のポリアミド酸ワニスを得た。
得られたポリアミド酸ワニスを用いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製し、ポリイミドフィルムを得た。結果を表3に示す。
【0113】
〈実施例19〉
ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた500mLの5つ口丸底フラスコに、6FODAを26.010g(0.0774モル)と、NMPを131.468gとを投入し、系内温度50℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
この溶液に、BPAFを18.475g(0.0403モル)と、s-BPDAを11.857g(0.0403モル)と、NMPを32.867gとを一括で投入し、マントルヒーターで50℃に保持したまま7時間撹拌した。
その後、NMPを205.419g添加し均一化した後、NMP29.346gに溶解させたX-22-1660B-3(官能基当量2170g/mol)14.087g(0.0032モル)を添加した。その後50℃に保持したまま1時間撹拌したあと室温に戻し、固形分濃度15質量%のポリアミド酸ワニスを得た。
得られたポリアミド酸ワニスを用いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製し、ポリイミドフィルムを得た。結果を表3に示す。
【0114】
〈実施例20〉
ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた500mLの5つ口丸底フラスコに、6FODAを26.136g(0.0777モル)と、NMPを116.314gとを投入し、系内温度50℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
この溶液に、a-BPDAを11.857g(0.0403モル)と、s-BPDAを11.857g(0.0403モル)と、NMPを29.079gとを一括で投入し、マントルヒーターで50℃に保持したまま7時間撹拌した。
その後、NMPを181.741g添加し均一化した後、NMP25.963gに溶解させたX-22-1660B-3(官能基当量2170g/mol)12.460g(0.0029モル)を添加した。その後50℃に保持したまま1時間撹拌したあと室温に戻し、固形分濃度15質量%のポリアミド酸ワニスを得た。
得られたポリアミド酸ワニスを用いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製し、ポリイミドフィルムを得た。結果を表3に示す。
【0115】
〈比較例1〉
ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた500mLの5つ口丸底フラスコに、6FODAを26.899g(0.0800モル)と、NMPを94.146gとを投入し、系内温度50℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
この溶液に、s-BPDAを23.536g(0.0800モル)と、NMPを23.536gとを一括で投入し、マントルヒーターで50℃に保持したまま5時間撹拌した。
その後、NMPを84.059g添加し均一化した後、室温に戻し固形分濃度20質量%のポリアミド酸ワニスを得た。
得られたポリアミド酸ワニスを用いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製し、ポリイミドフィルムを得た。結果を表4に示す。
【0116】
〈比較例2〉
ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた500mLの5つ口丸底フラスコに、6FODAを16.812g(0.0500モル)と、NMPを73.979gとを投入し、系内温度50℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
この溶液に、s-BPDAを7.355g(0.0250モル)と、TMPBP-TMEを15.465g(0.0250モル)と、NMPを18.495gとを一括で投入し、マントルヒーターで50℃に保持したまま5時間撹拌した。
その後、NMPを66.053g添加し均一化した後、室温に戻し固形分濃度20質量%のポリアミド酸ワニスを得た。
得られたポリアミド酸ワニスを用いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製し、ポリイミドフィルムを得た。結果を表4に示す。
【0117】
〈比較例3〉
ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた500mLの5つ口丸底フラスコに、6FODAを13.450g(0.0400モル)と、NMPを101.705gとを投入し、系内温度50℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
この溶液に、TAHQを18.333g(0.0400モル)と、NMPを25.426gとを一括で投入し、マントルヒーターで50℃に保持したまま5時間撹拌した。
その後、NMPを52.971g添加し均一化した後、室温に戻し固形分濃度15質量%のポリアミド酸ワニスを得た。
得られたポリアミド酸ワニスを用いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製し、ポリイミドフィルムを得た。結果を表4に示す。
【0118】
〈比較例4〉
ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた500mLの5つ口丸底フラスコに、TFMBを27.831g(0.0869モル)と、NMPを111.596gとを投入し、系内温度50℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
この溶液に、s-BPDAを25.975g(0.0883モル)と、NMPを27.899gとを一括で投入し、マントルヒーターで50℃に保持したまま7時間撹拌した。
その後、NMPを85.405g添加し均一化した後、NMP14.234gに溶解させたX-22-1660B-3(官能基当量2170g/mol)5.977g(0.0014モル)を添加した。その後80℃に昇温し1時間撹拌したあと室温に戻し、固形分濃度20質量%のポリアミド酸ワニスを得た。
得られたポリアミド酸ワニスを用いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製し、ポリイミドフィルムを得た。結果を表4に示す。
【0119】
〈比較例5〉
ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーンスターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた500mLの5つ口丸底フラスコに、TFMBを21.814g(0.0681モル)と、NMPを111.305gとを投入し、系内温度50℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
この溶液に、TAHQを31.851g(0.0695モル)と、NMPを27.826gとを一括で投入し、マントルヒーターで50℃に保持したまま7時間撹拌した。
その後、NMPを85.183g添加し均一化した後、NMP14.197gに溶解させたX-22-1660B-3(官能基当量2170g/mol)5.963g(0.0014モル)を添加した。その後80℃に昇温し1時間撹拌したあと室温に戻し、固形分濃度20質量%のポリアミド酸ワニスを得た。
得られたポリアミド酸ワニスを用いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製し、ポリイミドフィルムを得た。結果を表4に示す。
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
表1~3に示すように、特定のテトラカルボン酸成分及び特定のジアミン成分を用いて製造した実施例1~20のポリイミドフィルムは、透明性に優れ、更に低リタデーション及び低残留応力に優れるものであった。