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  • 特許-介護ソフト連携が可能な呼出システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】介護ソフト連携が可能な呼出システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20180101AFI20230719BHJP
   H04M 9/00 20060101ALI20230719BHJP
   A61G 12/00 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
G06Q50/22
H04M9/00 H
A61G12/00 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019028875
(22)【出願日】2019-02-04
(65)【公開番号】P2020126569
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】593036051
【氏名又は名称】ジーコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 泉
【審査官】佐伯 憲太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-038501(JP,A)
【文献】特開平09-034908(JP,A)
【文献】特開平09-044572(JP,A)
【文献】特開2001-258859(JP,A)
【文献】特開2002-149825(JP,A)
【文献】特開2004-358218(JP,A)
【文献】特開2014-115785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 50/22
G16H 10/00-80/00
H04M 9/00
A61G 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被介護人の居室内に配置された呼出装置から送信される呼び出し信号を受信した場合、前記呼出装置の装置番号を介護士が使用する情報端末装置に送信し、前記情報端末装置から送信される介護作業記録を受信した場合、当該介護作業記録を履歴ファイルに保存する第1のデータ処理装置と、
前記被介護人に関する情報を集計して介護の管理業務を効率化するための集計ソフトに従いデータ処理を行う第2のデータ処理装置と
を備え、
前記第2のデータ処理装置は、前記集計に用いる項目である介護作業項目の記載された介護作業リストを保持し、
前記第1のデータ処理装置は、前記第2のデータ処理装置から出力された前記介護作業リストを取得し、取得した前記介護作業リストに記載された介護作業項目を選択項目として使った入力画面を前記情報端末装置に表示させ、
前記第1のデータ処理装置は、前記入力画面に対し前記介護士が入力した介護作業記録を前記情報端末装置から受信し、
前記第1のデータ処理装置は、前記履歴ファイルに保存している介護作業記録を前記第2のデータ処理装置に送信し、
前記第2のデータ処理装置は、前記第1のデータ処理装置から送信される介護作業記録を前記集計に用いる
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記第1のデータ処理装置は、階層構造で表現されている前記介護作業項目を選択項目として使った前記入力画面を前記情報端末装置に表示させる
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のデータ処理装置は、任意の文字情報を入力できる項目を含む前記入力画面を前記情報端末装置に表示させる
請求項1および2の何れか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者介護施設等で使用される呼出システムと介護ソフトのデータ連携に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高齢者介護施設等では、被介護人(入所者)の呼び出しに対応できるように呼び出しシステムを利用している場合が多い。呼出システムは、被介護人の居室内に設置された呼出装置の操作や各種センサーの動作によって被介護人が介護士に連絡できるようになっており、呼び出しを受けた介護士は、被介護人の元へ行き必要な作業を行う。
【0003】
このような呼出システムは、管理用PCを備えており、被介護人の氏名、居室番号、呼び出しの日時、更に対応した介護士の氏名や施した作業内容等の履歴を保存する機能を持っている場合がある。
【0004】
また高齢者介護施設等では、上記のような呼び出しシステムの他に介護日誌作成、介護計画作成、請求書作成等の管理業務を効率化するための集計ソフト(以降介護ソフトとする)を導入しているところもある。介護ソフトでも呼出システムの履歴保存機能と同様に、入所者の氏名や居室番号に加えて健康状態や介護作業記録等を保存しており、これらの情報を集計して日誌や介護計画、請求書等を自動的に作成している。
【0005】
介護ソフトでは、介護士が行った介護作業の記録は重要な情報であり、多くの場合このような情報は手作業で入力が行われており、施設管理者にとっては大変な負担となっている。このような状況に鑑み、近年呼出システムが保存する履歴を自動的に読み込んで集計する介護ソフトも考案されている。
【0006】
例えば下記に先行技術文献として記載した特開2005-333361号公報に開示されている技術では、オーダリングシステム(介護ソフトに相当)とナースコール親機(呼出システムに相当)との間でネットワークを介してお互いのファイルを転送することで、両者が保存している情報を利用できるようにしている。
【0007】
このような介護ソフトと呼出システムで共有される情報は、例えば呼び出しを行った被介護者の氏名、居室番号、呼び出し日時、対応した介護士の氏名、施した作業内容、対応終了日時等である。
【0008】
呼出システムは、被介護人により操作された呼出装置の番号、操作された日時、前記呼出装置の番号に関連づけられた被介護人の氏名や居室番号等を自動的に履歴ファイルに保存する。更に介護士が携帯する情報端末装置を備えているシステムではこれを呼び出し、介護士が情報端末装置でこの呼び出しに応答すると対応した介護士の情報および応答した日時も自動的に履歴ファイルとして保存される。
【0009】
呼出システムにおいて、対応した作業内容の入力には様々な方法が考案されているが、一例として介護士が持つ情報端末装置の画面に作業内容を複数表示して、該当する作業内容をタップして選択できるようにするものである。作業内容の選択は、階層的に表示した項目から絞り込むこともできるので、多くの作業内容候補から簡単な操作で目的の作業内容を選択できる。
【0010】
前記のような介護士が携帯する情報端末装置から作業内容を入力する呼出システムの履歴を介護ソフトが読み出して集計に利用する場合、情報端末装置の選択画面に表示される選択肢は、介護ソフトが集計に使用する項目と一致していることが望ましい。連携機能を有する呼出システムと介護ソフトを同一業者が提供している場合は、上記選択肢と集計項目を一致させることは容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【文献】特開2005-333361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、呼出システムや介護ソフトの利用者は、各施設の規模や利用目的に合致した呼出システムと介護ソフトを導入するため、呼出システムと介護ソフトを提供する事業者が異なる場合が多く、履歴ファイルの連携や上記選択肢と集計項目を一致させることは困難であった。また連携機能を有することによってシステム導入の選択の幅が制限されるのは利用者にとって不利益となる。
【0012】
本発明はこのような課題に鑑みて行われたものであり、介護ソフトが必要とする集計項目を、呼出システムの情報端末装置における作業内容入力操作時の表示および選択項目に反映させることで、多様な介護ソフトとの連携が容易な呼出システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決する手段として本発明は、被介護人の居室内に配置された呼出装置から送信される呼び出し信号を受信した場合、前記呼出装置の装置番号を介護士が使用する情報端末装置に送信し、前記情報端末装置から送信される介護作業記録を受信した場合、当該介護作業記録を履歴ファイルに保存する第1のデータ処理装置と、前記被介護人に関する情報を集計して介護の管理業務を効率化するための集計ソフトに従いデータ処理を行う第2のデータ処理装置とを備え、前記第2のデータ処理装置は、前記集計に用いる項目である介護作業項目の記載された介護作業リストを保持し、前記第1のデータ処理装置は、前記第2のデータ処理装置から出力された前記介護作業リストを取得し、取得した前記介護作業リストに記載された介護作業項目を選択項目として使った入力画面を前記情報端末装置に表示させ、前記第1のデータ処理装置は、前記入力画面に対し前記介護士が入力した介護作業記録を前記情報端末装置から受信し、前記第1のデータ処理装置は、前記履歴ファイルに保存している介護作業記録を前記第2のデータ処理装置に送信し、前記第2のデータ処理装置は、前記第1のデータ処理装置から送信される介護作業記録を前記集計に用いることを特徴とするシステムを提供する。
【0014】
本発明のシステムにおいて前記第1のデータ処理装置は、階層構造で表現されている前記介護作業項目を選択項目として使った前記入力画面を前記情報端末装置に表示させてもよい
【0015】
また、本発明のシステムにおいて前記第1のデータ処理装置は、任意の文字情報を入力できる項目を含む前記入力画面を前記情報端末装置に表示させてもよい
【発明の効果】
【0016】
本発明は、連携できる介護ソフトを制限せずに、介護ソフトが集計に必要とする内容を情報端末装置の簡単な操作で入力し、介護作業の履歴を介護ソフトに転送できる呼出システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】 本発明による呼出システムと介護ソフトの連携の実施例
図2】 本発明による連携情報の流れ
図3】 情報端末装置の表示例
図4】 介護作業リストの記述例
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0018】
以下に図面を参照しながら本発明による呼出システムと介護ソフトの連携動作を説明する。図1に示すのは本発明の実施例である。呼出システム1と介護ソフト2はローカルエリアネットワーク3を介して相互に通信可能な状態にある。
【0019】
呼出システム1の管理用PC1-3は、介護ソフト2の介護ソフト用PC2-1が持っている入所者リスト2-3および職員リスト2-4に加えて介護作業リスト2-2を読み込む。情報端末装置1-6は、管理用PC1-3からこれらの情報を受け取り、表示項目や介護作業入力時の選択項目に反映させる。
【0020】
介護作業リスト2-2には、介護ソフト2が集計に必要な介護作業項目が記載されている。入所者リスト2-3には、被介護人の氏名や居室番号等が記載されている。職員リスト2-4には、介護士や施設職員の氏名等が記載されている。
【0021】
これらを情報端末装置1-6が読み込むことで、情報端末装置1-6で介護作業記録を入力するときに表示される入所者の氏名や居室番号、対応する介護士の氏名に加えて、選択できる介護作業項目等を介護ソフト2で使用している表記と一致させ、更にその表記で管理用PC1-3の履歴ファイル1-4に介護作業記録を保存することができる。
【0022】
情報端末装置1-6で入力された介護作業記録は、管理用PC1-3の履歴ファイル1-4に保存されると共に、定期的に介護ソフト用PC2-1に転送される。履歴ファイル1-4に保存されている情報は、介護ソフト2で集計に必要な項目と一致しているので、介護ソフト2は、これを集計して日誌や介護計画、請求書等を作成できる。
【0023】
次に、介護作業リスト2-2の情報を情報端末装置1-8の介護作業記録項目に反映させる方法について説明する。図3は、情報端末装置1-8で介護作業記録を入力する画面の例を示したものである。入力操作は、階層構造に限定するものではないが、ここではわかりやすいように階層構造を例とする。
【0024】
入力操作は、区分、大項目、小項目1、小項目2の順で画面に表示される項目を選択していき目的の項目が入力できる。例えば、身体介護→食事→食事量と選択すると完食、9/10、8/10・・・1/10のように食事量を示す一覧が表示されるので、ここから値を選択する。
【0025】
図3で示すような情報端末装置1-8の介護作業記録の入力画面は、介護作業リスト2-2の記述によって決まる。図4は、図3の入力画面を作るための介護作業リスト2-2の記述例である。この記述例では、一つの記録項目を区分、大項目、小項目1、小項目2の順で一行に記述している。この記述例では小項目2までを記載しているが、項目の数は任意である。
【0026】
ここに記述した項目名がそのまま情報端末装置1-8の表示と履歴ファイル1-4への記録に使われるので、介護ソフト2は、集計に必要な項目をこの記述方法に従って記述し、介護作業リスト2-2を作成すれば、本発明の呼出システム1と連携が可能になる。
【0027】
図4にあるように、介護作業リスト2-2の記述には、&P、&S、&Mなどの制御文字が使える。これによって各入力項目に適したグラフィックユーザーインターフェイスを設定できる。この例では体温の入力にはピッカー(&P)、食事量の入力にスピナー(&S)が使われる。相談の入力にあるマニュアル(&M)は、任意の文字を入力できる入力枠を表示する。また、介護作業リスト2-2の記述方法には、文字に加えてアイコンを含んでもよい。
【0028】
次に呼出システム1の動作を詳しく説明する。被介護人が操作する複数の呼出装置1-1が無線により無線親機1-2と通信可能な状態にあり、無線親機1-2はローカルエリアネットワーク3を介して情報管理装置である管理用PC1-3と通信可能な状態にある。
【0029】
更に管理用PC1-3は、ローカルエリアネットワーク3に無線で接続された複数の介護士が持つ情報端末装置1-6とも通信可能な状態にある。情報端末装置1-6の例としてはスマートフォンやタブレット、ノートパソコンがある。また本実施例では無線接続方式としてWiFiアクセスポイント1-5を介しているが、この方式に限られるもではない。
【0030】
被介護人が呼出装置1-1を操作すると無線親機1-2を介して管理用PC1-3に呼び出し信号が送信される。管理用PC1-3は、操作された呼出装置1-1の装置番号を情報端末装置1-6に送信する。介護士は着信した情報端末装置1-6で対応操作を行い、呼び出しを行った被介護人のところへ行き、必要な介護作業を実施し、作業内容を情報端末装置1-6を使って入力する。最後に復旧を送信して対応を終える。
【0031】
呼び出しから対応終了までの情報端末装置1-6の操作による一連の記録は、管理用PC1-3によって履歴ファイル1-4に保存される。更に定期的に介護ソフト用PC2-1に転送される。
【0032】
情報端末装置1-6からの作業内容入力は、呼出装置1-1の呼び出し動作に対応するだけではなく、見回り介護時の作業入力のように呼出装置1-1の動作無しに行われることもある。
【0033】
情報端末装置1-6を使用可能にするには、呼出システム1にログインしなければならない。情報端末装置1-6を使用する介護士は、あらかじめ決められたパスワードを使ってログインを行う。ログインが完了すると情報端末装置1-6は、管理用PC1-3から入所者リスト2-3および職員リスト2-4に加えて介護作業リスト2-2の情報を受け取る。
【0034】
次に図2を参照して介護作業リスト2-2、入所者リスト2-3および職員リスト2-4を呼出システム1と介護ソフト2の間で転送する方法について説明する。
【0035】
図2で、CSV書き出しファイル2-5は、介護ソフト2から呼出システム1へ情報を渡すためのもので、介護作業リスト2-2、入所者リスト2-3および職員リスト2-4をCSV形式で保存したファイルである。逆にCSV読み込みファイル2-6は、呼出システム1から介護ソフト2へ情報を渡すためのもので、管理用PC1-3が履歴ファイル1-4を基にCSV形式で定期的に保存するファイルである。
【0036】
このように本発明の呼出システム1は、連携する介護ソフト2に応じたCSV書き出しファイル2-5とCSV読み込みファイル2-6を用意することで、様々な介護ソフトとの連携を可能にしている。
【0037】
この実施例では一例としてCSV形式の書き出しファイルおよび読み込みファイルとしているが、ファイルの形式はCSV形式に限るものではなく、XML等のマークアップ言語やJSON等のファイルも可能である。
【0038】
管理用PC1-3と介護ソフト用PC2-1間の情報のやりとりは、この実施例に示すファイルを共有する方式に限らず、PC間の直接通信によるものでもよい。
【0039】
ここまでの説明では、呼出装置1-1は被介護人の操作によるものとしているが、呼出装置1-1はこの形態に限らず、例えばマットセンサーや人感センサーの反応によるものや、カメラの静止画や動画から特徴的な状態を検出するもの等を採用してもよい。この場合、センサーの種類や静止画データ、動画データを履歴ファイル1-4に保存することも可能である。
【0040】
この実施例で呼出装置1-1は、無線によって無線親機1-2を介して管理用PC1-3と通信しているが、これは有線接続でもよい。
【0041】
この実施例では、履歴ファイル1-4は呼出システム1の管理用PC1-3に保存して、CSV書き出しファイル2-5、CSV読み込みファイル2-6は介護ソフト用PC2-1に保存している。
【0042】
しかし、これらのファイルは管理用PC1-3、介護ソフト用PC2-1および情報端末装置1-6からアクセスできる場所であれば上記の保存場所に限るものではなく、すべてのファイルが管理用PC1-3にあってもよいし、ここでは図示しないが例えばサーバー上に保存することも可能である。
【0043】
更に、履歴ファイル1-4、CSV書き出しファイル2-5、CSV読み込みファイル2-6をクラウドサーバー上に保存することで、呼出システム1と介護ソフト2を異なる地域で利用することも可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 呼出システム
1-1 呼出装置
1-2 無線親機
1-3 管理PC
1-4 履歴ファイル
1-5 WiFiアクセスポイント
1-6 情報端末装置
2 介護ソフト
2-1 介護ソフト用PC
2-2 介護作業リスト
2-3 入所者リスト
2-4 職員リスト
2-5 CSV書き出しファイル
2-6 CSV読み込みファイル
3 ローカルエリアネットワーク
図1
図2
図3
図4