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特許7315497情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-18
(45)【発行日】2023-07-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20230719BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20230719BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G06Q50/30
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020029732
(22)【出願日】2020-02-25
(65)【公開番号】P2021135606
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】浦 雅登
(72)【発明者】
【氏名】高尾 紘二
(72)【発明者】
【氏名】桜井 英之
(72)【発明者】
【氏名】堀田 啓介
(72)【発明者】
【氏名】増谷 利恵子
(72)【発明者】
【氏名】花輪 篤
(72)【発明者】
【氏名】大見 正宣
(72)【発明者】
【氏名】林 貴志
(72)【発明者】
【氏名】坂口 徹朗
(72)【発明者】
【氏名】名畑 厚志
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-190207(JP,A)
【文献】特開2019-75047(JP,A)
【文献】国際公開第2018/230720(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 1/16
G06Q 10/00 - 10/30
G06Q 30/00 - 30/08
G06Q 50/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の運行リクエストに基づいて、複数の車室ユニットと結合および分離可能な複数の車両プラットフォームを制御する情報処理装置であって、
前記複数の車両プラットフォームのうちのいずれかに対して、前記車室ユニットを第一の場所まで輸送し設置する第一の指令を送信することと、
前記設置された前記車室ユニットへの、人員の搭乗状況を表す状況データを取得することと、
前記状況データに基づいて判定された搭乗状況が、前記運行リクエストに含まれる条件を満たした場合に、前記複数の車両プラットフォームのうちのいずれかに対して、当該車室ユニットを、前記人員の目的地である第二の場所まで輸送する第二の指令を送信することと、
第三の場所に設置され、前記第二の場所を目的地とする人員が搭乗している第二の車室ユニットがある場合に、前記車室ユニットを前記第二の場所まで輸送中である前記車両プラットフォームに対して、前記第三の場所を経由することで、前記車室ユニットと共に前記第二の車室ユニットを輸送する第三の指令を送信することと、
を実行する制御部を有する、情報処理装置。
【請求項2】
前記第一の指令は、前記第一の場所まで走行する指令と、前記第一の場所において、前記車両プラットフォームから前記車室ユニットを分離させる指令と、を含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第二の指令は、前記第一の場所まで走行する指令と、前記第一の場所において、前記車両プラットフォームに前記車室ユニットを結合させる指令と、前記第二の場所まで走行する指令と、を含む、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記状況データは、前記車室ユニットから送信される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記状況データは、前記車室ユニット内のユーザ端末から送信される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第一の場所、および、前記第一の場所への前記車室ユニットの到着時刻を指定する前記運行リクエストをユーザ端末から受信する、
請求項1からのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記運行リクエストに基づいて、前記車室ユニットを前記第一の場所へ輸送する前記車両プラットフォームを選択する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
所定の運行リクエストに基づいて、複数の車室ユニットと結合および分離可能な複数の車両プラットフォームを制御する情報処理方法であって、
前記複数の車両プラットフォームのうちのいずれかに対して、前記車室ユニットを第一の場所まで輸送し設置する第一の指令を送信するステップと、
前記設置された前記車室ユニットへの、人員の搭乗状況を表す状況データを取得することと、
前記状況データに基づいて判定された搭乗状況が、前記運行リクエストに含まれる条件を満たした場合に、前記複数の車両プラットフォームのうちのいずれかに対して、当該車室ユニットを、前記人員の目的地である第二の場所まで輸送する第二の指令を送信するステップと、
第三の場所に設置され、前記第二の場所を目的地とする人員が搭乗している第二の車室ユニットがある場合に、前記車室ユニットを前記第二の場所まで輸送中である前記車両プラットフォームに対して、前記第三の場所を経由することで、前記車室ユニットと共に前記第二の車室ユニットを輸送する第三の指令を送信するステップと、
を含む、情報処理方法。
【請求項9】
前記第一の場所、および、前記第一の場所への前記車室ユニットの到着時刻を指定する前記運行リクエストをユーザ端末から受信するステップをさらに含む、
請求項に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記運行リクエストに基づいて、前記車室ユニットを前記第一の場所へ輸送する前記車両プラットフォームを選択する、
請求項に記載の情報処理方法。
【請求項11】
請求項8から10のいずれか1項に記載の情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両によって移動サービスを提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な用途向けに設計された自動運転車を派遣することでサービスを提供する試みがなされている。例えば、特許文献1には、サービスに対する需要と、車両の稼働状況に基づいて、派遣する車両を決定し、当該車両に対して移動を指令する装置が開示されている。
【0003】
また、自動運転車両を、待ち合わせに場所に利用するというアイデアがある。車両自体を待ち合わせ場所にすることで、待ち合わせに適したスペースを任意の場所に設置することができる。また、複数の人員が集合したタイミングですぐに出発することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-075047号公報
【文献】特開2007-072588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両を待ち合わせ場所にした場合、待ち合わせを行う全員が揃うまでの間、車両が停止したままとなる。すなわち、車両が移動体として活用されない時間が発生してしまう。
【0006】
本開示は上記の課題を考慮してなされたものであり、待ち合わせに用いる車両のアイドル時間を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第一の様態は、所定の車室ユニットと結合および分離可能な複数の車両プラットフォームを制御する情報処理装置である。
具体的には、前記複数の車両プラットフォームのうちのいずれかに対して、前記車室ユニットを第一の場所まで輸送し設置する第一の指令を送信することと、前記設置された前記車室ユニットに、当該車室ユニットに搭乗して移動する予定の全ての人員が搭乗した場合に、前記複数の車両プラットフォームのうちのいずれかに対して、当該車室ユニットを、前記人員の目的地である第二の場所まで輸送する第二の指令を送信することと、を実行する制御部を有することを特徴とする。
【0008】
また、本開示の第二の様態は、前記情報処理装置が行う情報処理方法である。
具体的には、前記複数の車両プラットフォームのうちのいずれかに対して、前記車室ユニットを第一の場所まで輸送し設置する第一の指令を送信するステップと、前記設置された前記車室ユニットに、当該車室ユニットに搭乗して移動する予定の全ての人員が搭乗した場合に、前記複数の車両プラットフォームのうちのいずれかに対して、当該車室ユニットを、前記人員の目的地である第二の場所まで輸送する第二の指令を送信するステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本開示の第三の様態は、車室ユニットを輸送する車両である。
具体的には、所定の車室ユニットを第一の場所まで輸送し設置する第一の運行を行うことと、前記設置された前記車室ユニットに、当該車室ユニットに搭乗して移動する予定の
全ての人員が搭乗した場合に、前記車室ユニットを、前記人員の目的地である第二の場所まで輸送する第二の運行を行うことと、を実行する制御部を有することを特徴とする。
【0010】
また、他の態様として、上記の情報処理装置が実行する情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、または、該プログラムを非一時的に記憶したコンピュータ可読記憶媒体が挙げられる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、待ち合わせに用いる車両のアイドル時間を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第一の実施形態に係る車両システムの全体構成図。
図2】シャーシユニットおよび車室ユニットの外観図。
図3】サーバ装置のシステム構成を示した図。
図4】シャーシデータおよび車室データの例。
図5】車室ユニットおよびシャーシユニットのシステム構成を示した図。
図6】サーバ装置が行う処理のフローチャート。
図7】シャーシユニットが行う処理のフローチャート。
図8】車室ユニットが行う処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態に係る情報処理装置は、車両プラットフォームによって、ユーザが搭乗した車室ユニットを輸送するシステムにおいて、車両プラットフォームの運行を制御する装置である。
【0014】
車両プラットフォームとは、例えば、複数の車輪と動力を備えた移動体である。車両プラットフォームは、走行する機能を有していればよく、必ずしも居室を備えている必要はない。車両プラットフォームは、居室としての機能を有する車室ユニットと結合および分離可能に構成される。車両プラットフォームは、車室ユニットを積載した状態で移動することができるほか、目的地において車室ユニットを分離することができる。
【0015】
本実施形態に係る車室ユニットは、座席やシートベルト等が備えられており、車両プラットフォームと結合した状態で、車室として機能する。
また、車室ユニットは、車両プラットフォームと分離した状態で、待ち合わせスペースとして機能する。
【0016】
例えば、ユーザが、複数の人員による待ち合わせを行ってから所定の目的地へ移動することを希望した場合、車両プラットフォームが、車室ユニットを積載して所定の場所まで当該車室ユニットを輸送し、待ち合わせスペースとして当該車室ユニットを設置する。
また、車室ユニットに、待ち合わせを行う全ての人員が到着した場合に、車両プラットフォームが当該車室ユニットを回収し、目的地へ輸送する。
【0017】
実施形態に係る情報処理装置は、このような車室ユニットを輸送する車両プラットフォームを制御する装置である。
具体的には、制御部が、前記複数の車両プラットフォームのうちのいずれかに対して、前記車室ユニットを第一の場所まで輸送し設置する第一の指令を送信する。
第一の指令を受信した車両プラットフォームは、所定の車室ユニットを、待ち合わせが行われる場所まで輸送し、設置する。これにより、待ち合わせに適したスペースを任意の場所に設置することができる。
【0018】
なお、第一の車両プラットフォームは、車室ユニットとともにユーザの元に留まる必要はない。例えば、車室ユニットを分離した後、第一の車両プラットフォームを他の業務に充当してもよい。かかる構成によると、車両プラットフォームの稼働率を向上させることが可能になる。
【0019】
また、制御部は、前記設置された前記車室ユニットに、当該車室ユニットに搭乗して移動する予定の全ての人員が搭乗した場合に、前記複数の車両プラットフォームのうちのいずれかに対して、当該車室ユニットを、前記人員の目的地である第二の場所まで輸送する第二の指令を送信する。
待ち合わせを行う複数の人員の全てが集まった場合、車両プラットフォームによって、車室ユニットをそのまま目的地まで輸送することで、移動時間を短縮することができる。
【0020】
また、前記第一の指令は、前記第一の場所まで走行する指令と、前記第一の場所において、前記車両プラットフォームから前記車室ユニットを分離させる指令と、を含むことを特徴としてもよい。
また、前記第二の指令は、前記第一の場所まで走行する指令と、前記第一の場所において、前記車両プラットフォームに前記車室ユニットを結合させる指令と、前記第二の場所まで走行する指令と、を含むことを特徴としてもよい。
車室ユニットの分離および結合は、公知の方法によって行うことができる。なお、車両プラットフォームは、車室ユニットを積載してもよいし、牽引してもよい。
【0021】
また、前記制御部は、前記設置された前記車室ユニットへの、前記人員の搭乗状況を表す状況データを取得することを特徴としてもよい。
状況データは、例えば、車室ユニットが有するコンピュータから取得してもよいし、車室ユニット内にあるユーザ端末(例えば、スマートフォン等)から取得してもよい。
【0022】
また、前記車両プラットフォームは、複数の車室ユニットを同時に輸送可能であり、第三の場所に設置され、前記第二の場所を目的地とする人員が搭乗している第二の車室ユニットがある場合に、前記制御部は、前記車室ユニットを前記第二の場所まで輸送中である前記車両プラットフォームに対して、前記車室ユニットと共に前記第二の車室ユニットを輸送する第三の指令を送信することを特徴としてもよい。
【0023】
このように、車両プラットフォームは、目的地が同一(または実質的に同一)である複数の車室ユニットをピックアップし、これら複数の車室ユニットを同時に輸送してもよい。かかる構成によると、単一の車両プラットフォームによる輸送能力を最大化することができる。
【0024】
また、前記制御部は、前記第一の場所、および、前記第一の場所への前記車室ユニットの到着時刻を指定する運行リクエストをユーザ端末から受信することを特徴としてもよい。
また、前記制御部は、前記運行リクエストに基づいて、前記車室ユニットを前記第一の場所へ輸送する前記車両プラットフォームを選択することを特徴としてもよい。
制御部は、受信した運行リクエストに基づいて、車両プラットフォームの運行計画を生成することができる。例えば、指定された時刻までに指定された場所へ到着可能な車両プラットフォームを選択するようにしてもよい。
【0025】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0026】
(第一の実施形態)
第一の実施形態に係る車両システムの概要について、図1を参照しながら説明する。本実施形態に係る車両システムは、与えられた指令に基づいて自律走行を行う一台以上の車両プラットフォームと、各車両プラットフォームに積載される一台以上の車室ユニット200と、前記指令を発行するサーバ装置100と、を含んで構成される。
以下、車両プラットフォームのことをシャーシユニット300と称する。また、車室ユニットという語を、単体で待ち合わせスペースとしても機能する複数の車室ユニットを総称する語として用いる。
【0027】
シャーシユニット300は、車室ユニット200を積載して走行することができる自動運転車両である。シャーシユニット300は、サーバ装置100から受信した指令に基づいて動作する。なお、シャーシユニット300は、必ずしも無人車両である必要はない。例えば、監視要員などが乗車していてもよい。また、シャーシユニット300は、必ずしも完全なる自律走行が可能な車両でなくてもよい。例えば、状況に応じて人が運転ないし運転の補助を行う車両であってもよい。
また、シャーシユニット300は、車室ユニット200と結合および分離することができる。
【0028】
シャーシユニット300と車室ユニット200は運行拠点に所属している。運行拠点では、運行していないシャーシユニット300および車室ユニット200の保管を行うこともできる。
【0029】
サーバ装置100は、シャーシユニット300を制御することで、ユーザに移動サービスを提供する装置である。
具体的には、サーバ装置100は、シャーシユニット300と車室ユニット200を管理しており、ユーザからの求めに応じて、シャーシユニット300と車室ユニット200の組み合わせを決定する。
そして、シャーシユニット300に対して、
(1)車室ユニット200を指定された場所まで輸送し、待ち合わせスペースとして当該車室ユニットを設置する指令(第一の指令)
(2)乗員が搭乗した車室ユニットを回収し、目的地まで輸送する指令(第二の指令)
のいずれかを発行する。
【0030】
なお、本実施形態において、「車室ユニットの設置」とは、シャーシユニット300によって輸送された車室ユニット200を、任意の場所(例えば、私有地、公共スペース等)においてシャーシユニット300から分離して静置し、待ち合わせスペースとして機能させることを指す。また、本明細書において、「車室ユニットの回収」とは、設置された車室ユニット200をシャーシユニット300と再度結合させ、車両を組成することを指す。
【0031】
サーバ装置100、車室ユニット200、シャーシユニット300は、ネットワークによって相互に接続される。ネットワークには、例えば、インターネット等の世界規模の公衆通信網であるWAN(Wide Area Network)やその他の通信網が採用されてもよい。また、ネットワークは、携帯電話等の電話通信網、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信網を含んでもよい。
【0032】
図2は、車両の外観を示した図である。本実施形態に係る車両は、シャーシユニット300と車室ユニット200から構成される。
【0033】
シャーシユニット300は、自動運転によって自律的に走行する自動車である。シャーシユニット300は、車輪、原動機ないし電動機、走行を制御する装置、自動運転装置な
どを含んで構成され、シャーシユニット300の運行を管理する装置から送信された所定の指令に従って走行する。シャーシユニット300は、一つ以上の車室ユニット200を積載して移動することができるが、単体でも走行可能である。
なお、本実施形態ではシャーシユニット300は自律走行車両であるが、シャーシユニット300は、ドライバが運転する車両、または、ドライバの監視の下で走行する半自律走行車両であってもよい。
【0034】
車室ユニット200は、ユーザを輸送するためのユニットであって、所定の設備を有するユニットである。所定の設備として、例えば、座席、テーブル、照明、空調設備などが挙げられるが、車室に備えられる設備であれば、これ以外であってもよい。また、車室ユニット200は、シャーシユニットから分離した状態で待ち合わせスペースとしても機能する。車室ユニット200は、待ち合わせ中にユーザが利用する設備(例えば、飲食設備、コンピュータ、テレビ、またはネットワーク設備等)を備えていてもよい。
【0035】
なお、前述した例では、車室ユニット200をシャーシユニット300に積載すると述べたが、シャーシユニット300と車室ユニット200とを所定の方法によって結合することができれば、車室ユニット200は必ずしもシャーシユニット300に載置される必要はない。
シャーシユニット300と車室ユニット200とを結合する方法は、特定の方法に限定されない。例えば、ロック機構などを用いて機械的に結合および分離させてもよいし、電磁石等を利用して結合および分離を実現してもよい。
また、シャーシユニット300に車室ユニット200を積載または降ろす方法は、例えば、専用のリフトを用いる方法、シャーシユニット300または車室ユニット200自体に備えられている機構を用いた方法等がある。シャーシユニット300に車室ユニット200を積載または降ろす方法は、特定の方法に限定されない。
本実施形態では、シャーシユニット300がリフトを備えており、任意の車室ユニット200を自律的に乗降させることができるものとする。
【0036】
サーバ装置100は、シャーシユニット300に対して、運行を指示する命令(以下、運行指令)を発行する。運行指令は、移動を行わせる指令や、リフトを用いて車室ユニット200の設置/回収を行わせる指令などを含む。
サーバ装置100は、例えば、所定の運行拠点において所定の車室ユニット200を積載し、所定の待ち合わせ地点へ走行し、到着後に車室ユニット200を降車させて設置する旨の運行指令を生成し、シャーシユニット300に送信する。
さらに、サーバ装置100は、例えば、待ち合わせ地点において、設置された車室ユニット200を積載し、指定された目的地へ走行する旨の運行指令を生成し、シャーシユニット300に送信する。
【0037】
次に、サーバ装置100の詳細について説明する。
図3は、サーバ装置100のシステム構成を示した図である。サーバ装置100は、通信部101、記憶部102、制御部103、入出力部104を含んで構成される。
【0038】
サーバ装置100は、一般的なコンピュータにより構成される。すなわち、サーバ装置100は、CPUまたはGPU等のプロセッサ、RAMまたはROM等の主記憶装置、EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を有するコンピュータである。なお、リムーバブルメディアは、例えば、USBメモリ、あるいは、CDやDVDのようなディスク記録媒体であってもよい。補助記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納され、そこに格納されたプログラムを主記憶装置の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等が制御されることによって、後述するような、所定の目的に合致した各機能を実
現することができる。ただし、一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。なお、サーバ装置100は、単一のコンピュータで構成されてもよいし、互いに連携する複数台のコンピュータによって構成されてもよい。
【0039】
通信部101は、サーバ装置100をネットワークに接続するための通信インタフェースである。通信部101は、例えば、ネットワークインタフェースボード、または、無線通信のための無線通信回路を含んで構成される。
【0040】
記憶部102は、主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は、制御部103によって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。補助記憶装置は、制御部103において実行されるプログラム、または、当該制御プログラムが利用するデータが記憶される装置である。
【0041】
さらに、記憶部102は、車室データと、シャーシデータを記憶する。図4は、記憶される車室データおよびシャーシデータの例である。
シャーシデータは、サーバ装置100の管理下にあるシャーシユニット300の位置情報、運行状態(例えば、待機中であるか、車室ユニット200を輸送中であるか、回送中であるか等)、または、輸送中である車室ユニット200を特定する情報などを含む。
また、車室データは、管理下にある車室ユニット200の属性(定員等)、位置情報、運行状態(例えば、分離状態であるか、シャーシユニット300に積載され運行中であるか等)、または、対をなすシャーシユニット300を特定する情報などを含む。
【0042】
シャーシデータおよび車室データは、シャーシユニット300および車室ユニット200から送信された情報に基づいて周期的に更新される。なお、各ユニットが非稼働状態にある場合、最後に受信した情報を最新の情報として扱ってもよい。
【0043】
これらのデータを記憶するデータベースは、プロセッサによって実行されるデータベース管理システム(DBMS)のプログラムが、記憶装置に記憶されるデータを管理することで構築される。本実施形態において利用されるデータベースは、例えばリレーショナルデータベースである。
【0044】
制御部103は、サーバ装置100が行う制御を司る演算装置である。制御部103は、CPUなどの演算処理装置によって実現することができる。
制御部103は、車両管理部1031と、運行指令部1032と、運行管理部1033の3つの機能モジュールを有して構成される。各機能モジュールは、補助記憶手段に記憶されたプログラムをCPUによって実行することで実現してもよい。
【0045】
車両管理部1031は、複数のシャーシユニット300および車室ユニット200と周期的に通信を行い、当該シャーシユニット300および車室ユニット200に関する情報を収集する。収集した情報は、車室データおよびシャーシデータに反映される。
【0046】
運行指令部1032は、シャーシユニット300を運行するための指令(運行指令)を生成する。運行指令部1032は、シャーシユニット300に対して、例えば、「所定の地点に車室ユニット200を設置し帰還する」、または、「所定の地点から車室ユニット200を回収し、指定された目的地へ向かう」旨を指示する。シャーシユニット300は、運行指令部1032が生成した運行指令に従って自律走行を行い、車室ユニット200の設置または回収を行う。
【0047】
運行管理部1033は、ユーザが所持する端末(ユーザ端末)、または、車室ユニット
200等と通信した結果に基づいて、シャーシユニット300の運行をトリガする。
例えば、ユーザ端末から、車両の運行リクエストを受信した場合に、シャーシユニット300および車室ユニット200の組み合わせを決定し、その運行をトリガする。運行管理部1033は、運行指令部1032を介して、所定の車室ユニット200をシャーシユニット300に積載させ、ユーザが指定した地点まで車室ユニット200を輸送し設置する旨の運行指令を生成する。これによって行われる運行を第一の運行と称する。
【0048】
また、車室ユニット200にて行われる待ち合わせに関するデータ(状況データ)を取得し、状況データが所定の条件を満たした場合(例えば、待ち合わせを行う全ての人が車室ユニット200に搭乗した場合)に、シャーシユニット300の運行をトリガする。運行管理部1033は、運行指令部1032を介して、待ち合わせスペースとして設置された車室ユニット200を回収し、ユーザが指定した目的地へ輸送する旨の運行指令を生成する。これによって行われる運行を第二の運行と称する。
【0049】
次に、図5を参照して、車室ユニット200およびシャーシユニット300について説明する。
車室ユニット200は、通信部201、記憶部202、制御部203、および入出力部204を含んで構成される。車室ユニット200は、バッテリから供給される電力で動作する。
【0050】
通信部201は、サーバ装置100およびシャーシユニット300と通信を行うための通信インタフェースである。
記憶部202は、情報を記憶する手段であり、RAM、または、磁気ディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体により構成される。
【0051】
制御部203は、車室ユニットの動作を制御するコンピュータである。制御部203は、例えば、マイクロコンピュータによって構成される。制御部203は、ROM(Read Only Memory)等の記憶手段に記憶されたプログラムをCPU(Central Processing Unit
)によって実行することで実現してもよい。
本実施形態では、制御部203は、車室ユニット200内において行われる待ち合わせの状況に関する情報を取得可能に構成される。例えば、制御部203は、待ち合わせを行う人の数、車室ユニット200に到着した人の数、待ち合わせの予定時刻、または、最終目的地などに関する情報を取得することができる。また、待ち合わせを行う人が全員到着し、車室ユニット200に搭乗した場合に、サーバ装置100に対して車室ユニット200の回収を依頼する。具体的な方法については後述する。
【0052】
入出力部204は、情報の入出力を行うためのインタフェースである。入出力部204は、例えば、ディスプレイ装置やタッチパネルを有して構成される。入出力部204は、キーボード、カメラ、近距離通信手段、またはタッチスクリーンなどを含んでいてもよい。
【0053】
次に、シャーシユニット300について説明する。
シャーシユニット300は、サーバ装置100から取得した運行指令に従って走行する車両プラットフォームである。具体的には、無線通信を介して取得した運行指令に基づいて走行経路を生成し、車両の周辺をセンシングしながら適切な方法で道路上を走行する。さらに、シャーシユニット300は、車室ユニット200を乗降させることができる。これにより、車室ユニット200の設置や回収を無人で行うことができる。
【0054】
シャーシユニット300は、センサ301、位置情報取得部302、制御部303、駆動部304、および通信部305を含んで構成される。シャーシユニット300は、バッ
テリから供給される電力で動作する。
【0055】
センサ301は、車両周辺のセンシングを行う手段であり、典型的にはステレオカメラ、レーザスキャナ、LIDAR、またはレーダなどを含んで構成される。センサ301が取得した情報は、制御部303に送信される。センサ301は、自律走行を行うためのセンサを含んで構成される。
センサ301は、シャーシユニット300に設けられたカメラを含んでもよい。例えば、Charged-Coupled Devices(CCD)、Metal-oxide-semiconductor(MOS)あるいはComplementary Metal-Oxide-Semiconductor(CMOS)等のイメージセンサを用いた撮
影装置を含むことができる。
【0056】
位置情報取得部302は、シャーシユニット300の現在位置を取得する手段であり、典型的にはGPS受信器などを含んで構成される。位置情報取得部302が取得した情報は、制御部303に送信される。
【0057】
制御部303は、センサ301から取得した情報に基づいて、シャーシユニット300の制御を行うコンピュータである。制御部303は、例えば、マイクロコンピュータによって構成される。
【0058】
制御部303は、機能モジュールとして、環境検出部3031、タスク制御部3032を有している。各機能モジュールは、ROM(Read Only Memory)等の記憶手段に記憶されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)によって実行することで実現して
もよい。
【0059】
環境検出部3031は、センサ301が取得したデータに基づいて、車両周辺の環境を検出する。検出の対象は、例えば、車線の数や位置、自車両の周辺に存在する車両の数や位置、自車両の周辺に存在する障害物(例えば歩行者、自転車、構造物、建築物など)の数や位置、道路の構造、道路標識などであるが、これらに限られない。自律的な走行を行うために必要なものであれば、検出の対象はどのようなものであってもよい。また、環境検出部3031は、検出した物体をトラッキングしてもよい。
環境検出部3031が検出した、環境に関するデータ(以下、環境データ)は、後述するタスク制御部3032へ送信される。
【0060】
タスク制御部3032は、サーバ装置100から受信した運行指令と、環境検出部3031が生成した環境データ、ならびに、位置情報取得部302が取得した自車両の位置情報に基づいて、自車両の走行を制御する。例えば、所定の経路に沿って走行し、かつ、自車両を中心とする所定の安全領域内に障害物が進入しないように自車両を走行させる。車両を自律走行させる方法については、公知の方法を採用することができる。
走行経路は、例えば、予め記憶された地図データを参照し、与えられた出発地と目的地に基づいて自動的に生成してもよい。また、外部のサービスを利用して生成してもよい。
【0061】
また、タスク制御部3032は、運行指令に基づいて、経路上および目的地にて所定のタスクを実行する。当該タスクには、例えば、「車室ユニット200を分離し、指定された地点に設置する」、「車室ユニット200を回収する」、または、「車両の到着をユーザに通知する」といったものがあるが、これらに限られない。
【0062】
駆動部304は、タスク制御部3032が生成した指令に基づいて、シャーシユニット300を走行させる手段である。駆動部304は、例えば、車輪を駆動するためのモータやインバータ、ブレーキ、ステアリング機構、または二次電池等を含んで構成される。
通信部305は、シャーシユニット300をネットワークに接続するための通信手段で
ある。本実施形態では、3G、LTE、または5G等の移動体通信サービスを利用して、ネットワーク経由で、サーバ装置100や車室ユニット200と通信を行うことができる。
なお、通信部305は、他の車両と車々間通信を行うための通信手段をさらに有していてもよい。
【0063】
シャーシユニット300は、車室または荷台に車室ユニット200を積載することができる。シャーシユニット300は、複数の車室ユニット200を積載可能に構成されてもよい。シャーシユニット300は、複数の車室ユニット200のうち所定の車室ユニット200のみを乗降させる機構(エレベータ、アクチュエータ、ガイドレール等)を備えている。これらの構成要素は、タスク制御部3032によって制御される。
【0064】
車室ユニット200およびシャーシユニット300は、運行中において、サーバ装置100に対して周期的に自己のステータスを通知する。サーバ装置100(車両管理部1031)は、通知された情報によってシャーシデータおよび車室データを更新する。以下は、送信される情報(ステータス情報)の例である。
【0065】
<シャーシユニット300>
・位置情報
・結合可能な車室ユニットのサイズ,重量,個数等
・現在結合している車室ユニットの識別子
・現在のバッテリ残量(SOC)
・走行可能距離
・運行経路に関する情報(運行中である場合)
・車室ユニットの設置/回収に関する情報
【0066】
<車室ユニット200>
・位置情報
・結合可能なシャーシユニット
・現在結合しているシャーシユニットの識別子
・現在のバッテリ残量(SOC)
・待ち合わせに関する情報
【0067】
次に、シャーシユニット300が車室ユニット200を輸送する方法について説明する。
図6は、ユーザから取得した運行リクエストに基づいてサーバ装置100が運行指令を生成する処理のフローチャートである。
【0068】
ステップS11では、運行管理部1033が、ユーザが所持する端末(ユーザ端末)から運行リクエストを取得する。運行リクエストには、以下の情報が含まれる。
・待ち合わせスペースとなる車室ユニットの設置希望場所
・車室ユニットの設置希望時刻
・出発予定時刻
・待ち合わせを行う人の数
・待ち合わせ後に向かう目的地
【0069】
ステップS12では、運行管理部1033が、車室ユニット200の輸送を行うシャーシユニット300を選択する。例えば、運行指令部1032は、記憶されたシャーシユニット300の位置情報および運行状態を参照し、サービスを提供可能なシャーシユニット300を決定する。
本ステップでは、例えば、指定された場所に指定された時刻までに到着可能なシャーシユニットを選択する。
【0070】
次に、ステップS13で、運行管理部1033が、シャーシユニット300に積載する車室ユニット200を決定する。本ステップでは、車室データを参照し、ユーザの要求に合致する車室ユニット200を提供可能な運行拠点を特定する。
本ステップでは、指定された条件に合致する車室ユニット(例えば、リクエストされた人数の人員が搭乗可能な車室ユニット)を選択してもよい。
車室ユニット200を提供可能な運行拠点が複数ある場合、指定された地点に最も近い拠点を選択してもよいし、ステップS12で選択したシャーシユニット300から最も近い拠点を選択してもよい。また、ユーザの要求に合致する車室ユニット200が複数ある場合、ユーザの属性によって車室ユニット200を絞り込んでもよい。例えば、スペックの異なる複数の車室ユニット200が候補として存在する場合、ユーザにとってオーバースペックなものを候補から除外してもよい。なお、ステップS12で選択されたシャーシユニット300に、適切な車室ユニット200が既に搭載されている場合、ステップS13は省略してもよい。
【0071】
ステップS14では、運行指令部1032が、シャーシユニット300が行うタスクを規定する運行指令(第一の指令)を生成し、シャーシユニット300に送信する。
ここで生成される運行指令は、(1)運行管理部1033が決定した車室ユニット200を積載し、(2)ユーザが指定した場所まで走行し、(3)到着後に車室ユニット200を分離し設置する旨を指示するものである。
シャーシユニット300の運行が開始された場合、その旨がユーザ端末に通知される。この際、車室ユニット200を視覚的に識別するための情報や、到着予定時刻などを通知してもよい。
【0072】
図7は、運行指令を受信したシャーシユニット300が行う処理のフローチャート図である。
ここでは、車室ユニット200を、待ち合わせ場所まで輸送する場合を例に説明を行う。
ステップS21では、シャーシユニット300(タスク制御部3032)が、受信した運行指令に基づいてタスクを生成する。例えば、所定の運行拠点において車室ユニットを積載するタスクと、指定された地点まで移動するタスクと、当該地点において車室ユニット200を設置するタスクと、運行拠点に帰還するタスクと、を生成する。
【0073】
ステップS22では、タスク制御部3032が、生成したタスクに基づいて、目標地点へ向けた走行を開始させる。なお、運行中においても、サーバ装置100に対するステータス情報の送信は周期的に行われる。
【0074】
対象の地点に接近すると(ステップS23)、タスク制御部3032が、近傍にて停車が可能な場所を探して停車し、所定のタスクを実行する(ステップS24)。所定のタスクは、例えば、車室ユニット200の積載、設置、回収、ユーザの呼び出しなどであるが、これ以外であってもよい。
【0075】
次に、タスク制御部3032が、生成したタスクに基づいて、次の目標地点の有無を判定し(ステップS25)、次の目標地点がある場合、運行を継続する。次の目標地点が無い場合、運行拠点へ帰還する。
【0076】
所定の地点に車室ユニット200が設置されると、待ち合わせスペースとしての車室ユニットの利用が開始される。図8は、待ち合わせスペースを設置した後で、車室ユニット
200(制御部203)が行う処理のフローチャート図である。
【0077】
まず、ステップS31で、待ち合わせの状況に関するデータ(状況データ)を取得する。状況データは、例えば、車室ユニット200に搭乗した人の数を含む。状況データは、ステータス情報とともに車室ユニット200から送信されてもよい。
状況データは、入出力部204を介して取得してもよいし、ユーザをセンシングした結果に基づいて制御部203が生成してもよい。例えば、車室内の画像を取得し、当該画像に基づいて、車室内の人の数を計数してもよい。また、各ユーザが所持する端末(携帯電話など)と通信することで、全ての人員が揃ったことを判定してもよい。
【0078】
次に、ステップS32で、状況データが所定の条件を満たしているか否かを判定する。例えば、車室ユニットに搭乗している人の数が、運行リクエストにおいて指定された人数に達した場合、条件を満たしたと判定される。本ステップで肯定判定となった場合、処理はステップS33へ進む。否定判定となった場合、処理はステップS31へ戻る。
【0079】
ステップS33では、サーバ装置100(運行管理部1033)に対して、シャーシユニット300による第二の運行を依頼する。
依頼を受信した運行管理部1033は、シャーシデータを参照し、当該車室ユニット200を回収するために派遣するシャーシユニット300を決定する。また、運行指令部1032を介して、当該車室ユニット200を回収し、指定された目的地まで輸送する旨の運行指令(第二の指令)を生成し、決定したシャーシユニット300に送信する。
【0080】
なお、運行を依頼する前に、ユーザに対して事前確認を行ってもよい。
また、本例では、車室ユニット200が状況データを取得し、条件を満たした場合に、サーバ装置100に対して第二の運行を依頼したが、サーバ装置100が、車室ユニット200から周期的に状況データを取得し、条件を満たしたか否かをサーバ装置100が判断するようにしてもよい。
【0081】
運行指令(第二の指令)を受信したシャーシユニット300は、図7に示した処理によって、指定された車室ユニット200を回収するタスクを実行する。
具体的には、待ち合わせ場所を目標地点として走行し、車室ユニット200を積載するというタスクを実行する。また、車室ユニット200の積載が完了した後、ユーザによって指定された目的地を目標地点として走行するタスクを実行する。
【0082】
以上説明したように、第一の実施形態によると、待ち合わせスペースとして機能する車室ユニットを用いて、ユーザの輸送を行うことができる。特に、待ち合わせスペースを設置してから、全ての人員が揃うまで、シャーシユニット300が異なるタスクを行えるため、車両プラットフォームの稼働率を向上させることができる。
【0083】
(第二の実施形態)
第一の実施形態では、一台のシャーシユニット300が、一台の車室ユニット200のみを積載したが、シャーシユニット300は、複数台の車室ユニット200を積載可能に構成されてもよい。
この場合、一台のシャーシユニットが、目的地が同一または近接している複数の車室ユニット200を積載し、輸送するようにしてもよい。
【0084】
例えば、サーバ装置100が、ステップS12でシャーシユニットを選択する際に、以下の条件を満たすシャーシユニットがあるか否かを判定する。
・現在、第二の運行を行っている
・当該第二の運行の最終目的地と、新たに輸送しようとする車室ユニットの目的地が同一
であるか、近接している
・従前の経路から大きく逸脱せずに、新たな車室ユニットを回収できる
【0085】
これらの条件に合致するシャーシユニット300が存在する場合、サーバ装置100は、対応するシャーシユニット300に対して、予定されていた車室ユニットに加え、二台目以降の車室ユニットを積載し、共に目的地へ輸送する旨の運行指令(第三の指令)を送信する。
シャーシユニット300は、当該第三の指令に従い、二台目以降の車室ユニットを回収するタスクを追加する。
かかる構成によると、一台のシャーシユニット300で複数の車室ユニット200を輸送することができるため、輸送効率を向上させることができる。
【0086】
(第三の実施形態)
第一および第二の実施形態では、サーバ装置100がシャーシユニット300に対して運行を指令したが、サーバ装置100が行う判断の一部または全部をシャーシユニット300が行ってもよい。
例えば、ステップS11で、ユーザが、任意のシャーシユニット300に対して直接運行をリクエストしてもよい。この場合、ステップS12の実行は省略される。また、この場合、サーバ装置100は、シャーシデータの管理のみを行い、必要に応じてシャーシユニット300に対してデータ(現在位置など)の提供を行うようにしてもよい。
また、ステップS33で、車室ユニット200が任意のシャーシユニット300に対して直接回収を依頼し、シャーシユニット300がこれに応答して、車室ユニット200を回収してもよい。
【0087】
(変形例)
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
例えば、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0088】
また、実施形態の説明では、待ち合わせという語を用いたが、一台の車室ユニットによって移動を行うユーザは一名であってもよい。この場合、当該ユーザが搭乗してすぐに、シャーシユニット300が第二の運行を開始してもよい。
また、実施形態の説明では、車室ユニット200に全ての人員が搭乗してから第二の運行を開始させたが、事前に第二の運行を開始させてもよい。例えば、運行リクエストによって指定された出発予定時刻ちょうどに出発できるよう、ある程度の人員が集まった段階で第二の運行を開始させてもよい。
【0089】
また、第一の運行を行うシャーシユニット300と、第二の運行を行うシャーシユニット300は別の個体であってもよいし、同一の個体であってもよい。さらに、待ち合わせスペースを設置する際は、必ずしも車室ユニットとシャーシユニットとが分離する必要はない。
【0090】
また、実施形態の説明では、状況データに基づいて第二の運行をトリガしたが、ユーザの要請、または、その他の状況に基づいて第二の運行をトリガするようにしてもよい。例えば、屋外の明るさや交通量が所定値以下になった場合に、第二の運行を開始させてもよい。かかる構成によると、例えば、夜間などにおいて、車室ユニットのセキュリティを確保することが可能になる。
【0091】
また、ユーザ端末からサーバ装置100に送信した運行リクエストを事後的に修正でき
るようにしてもよい。例えば、待ち合わせを行う人員の予定が変更になった場合を考慮し、出発予定時刻等を修正できるようにしてもよい。さらに、第二の運行中において、任意の地点を経由する指示を発行できるようにしてもよい。当該指示は、サーバ装置100に対して行ってもよいし、シャーシユニット300に対して直接行ってもよい。これにより、例えば、「予定時刻までに集合できない人を経路の途中で乗車させる」といった対応が可能になる。
【0092】
また、実施形態の説明では、シャーシユニット300を例示したが、実施形態に係る車両システムは、車両以外の乗り物に適用してもよい。例えば、航空機プラットフォーム(ドローン等)や船舶プラットフォームに車室ユニットを積載し、車室ユニットの輸送を行うこともできる。
【0093】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0094】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク・ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0095】
100・・・サーバ装置
101,201,305・・・通信部
102,202・・・記憶部
103,203,303・・・制御部
104,204・・・入出力部
200・・・車室ユニット
300・・・シャーシユニット
301・・・センサ
302・・・位置情報取得部
304・・・駆動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8