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  • 特許-発光組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】発光組成物
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/12 20230101AFI20230720BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20230720BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20230720BHJP
   C07D 251/24 20060101ALI20230720BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20230720BHJP
   C08K 5/3492 20060101ALI20230720BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20230720BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20230720BHJP
   H10K 101/30 20230101ALN20230720BHJP
【FI】
H10K50/12
H05B33/10
C09K11/06
C09K11/06 690
C07D251/24
C08L101/00
C08K5/3492
H05B33/14 B
H10K85/60
H10K101:30
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020533772
(86)(22)【出願日】2018-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 GB2018053721
(87)【国際公開番号】W WO2019122899
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-10
(31)【優先権主張番号】1721674.8
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】カムテカー,キラン
【審査官】渡邊 吉喜
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-530802(JP,A)
【文献】国際公開第2017/103586(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0077470(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0319776(US,A1)
【文献】特開2010-138121(JP,A)
【文献】特表2018-521955(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0233429(US,A1)
【文献】米国特許第06229012(US,B1)
【文献】特開2007-223928(JP,A)
【文献】特開2006-225322(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103570629(CN,A)
【文献】特表2019-501997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/00
H05B 33/10
C09K 11/06
C07D 251/24
C08L 101/00
C08K 5/3492
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
700nmを超えるピーク波長を有するフォトルミネセンススペクトルを有する発光材料と、式(I)の非ポリマー材料とを含む組成物。
(式中、
Ar、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立して、非置換又は1つ以上の置換基で置換されているC6-20アリール基であり、
それぞれ独立して出現するArは、
(式中、各出現におけるRは、独立して、置換基であり;各出現におけるRは、独立して、置換基であり、ここで、R基は環を形成するために連結され得る;pは、0、1または2であり;qは、0、1、2、3または4であり;及び、rは、0、1、2または3である。)
から選択され、
mは、0、1、2または3である。)
【請求項2】
Ar、Ar、ArおよびArが、それぞれ独立して、置換されていないか、または1つ以上の置換基で置換されているフェニルである、請求項1に記載の配合物。
【請求項3】
前記発光材料が燐光材料である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
1以上の溶媒に溶解した請求項1~のいずれか1項に記載の組成物を含む溶液。
【請求項5】
アノードと、カソードと、アノードとカソードとの間の発光層とを含み、発光層が請求項1~のいずれか1項に記載の組成物を含む有機発光デバイス。
【請求項6】
前記アノードおよびカソードの一方の上に前記発光層を堆積させる工程と、前記発光層の上に前記アノードおよびカソードの他方を堆積させる工程とを含む、請求項5に記載の有機発光デバイスを形成する方法。
【請求項7】
前記発光層は、請求項4に記載の溶液を堆積させ、前記1つ以上の溶媒を蒸発させることによって形成される、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光組成物、特に有機発光デバイスでの使用に適した組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
活性有機材料を含む電子デバイスには、有機発光ダイオード(OLED)、有機光応答デバイス(特に、有機光起電デバイスおよび有機光センサ)、有機トランジスタおよびメモリアレイデバイスなどのデバイスが含まれる。活性有機材料を含有するデバイスは、低重量、低消費電力、および柔軟性などの利点を提供することができる。さらに、可溶性有機材料の使用はデバイスの製造における溶液処理、例えば、インクジェット印刷またはスピンコーティングの使用を可能にする。
【0003】
OLEDは、アノードと、カソードと、少なくとも1つの有機発光層を含むアノードとカソードとの間の1つ以上の有機層とを含む。
正孔はアノードを通してデバイスに注入され、電子はデバイスの動作中にカソードを通して注入される。発光材料の最高占有分子軌道(HOMO)内の正孔と最低非占有分子軌道(LUMO)内の電子とが結合して、そのエネルギーを光として放出する励起子を形成する。
発光層は、半導体ホスト材料と、ホスト材料から発光ドーパントにエネルギーが移動する発光ドーパントとを含むことができる。例えば、J. Appl. Phys. 65, 3610, 1989(非特許文献1)は蛍光発光ドーパントをドープしたホスト材料(すなわち、光が一重項励起子の減衰を介して発光される発光材料)を開示している。
【0004】
赤外線発光材料を含有するOLEDも、例えば、Chuk-Lam Ho、Hua Li and Wai-Yeung Wong、"Red to near-infrared organometallic phosphorescent dyes for OLED applications"(非特許文献2)に開示されているように、公知である。
【0005】
WO2017/103586 (特許文献1)には赤外線エミッタ用のホストが開示されている。
【0006】
米国特許出願公開第2006/141287号(特許文献2)は、電子輸送層に使用するための材料を開示している。
【0007】
米国特許出願公開第2016/329502号(特許文献3)は、芳香族または複素芳香族環系に結合した2つの置換トリアジン、ピリジン、ピリミジンまたはピラジン環を有する有機化合物を開示している。
【0008】
CN103570629(特許文献4)は、ピリミジニル、ピラジニルまたはトリアジニル基を含有するベンズアントラセン誘導体を開示している。
【0009】
米国特許出願公開第2011/0240982号(特許文献5)は、式:
の化合物を開示している。
式中、nは1または2の整数を表し、Arは3個以上の環を有する縮合多環式芳香族基を表し、Tはトリアジン基を表す。
【0010】
特開2006-225320号公報(特許文献6)には、1,3,5-トリアジン化合物が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【文献】J. Appl. Phys. 65, 3610, 1989
【文献】Chuk-Lam Ho, Hua Li and Wai-Yeung Wong, “Red to near-infrared organometallic phosphorescent dyes for OLED applications”, J. Organomet. Chem. 751 (2014), 261-285.
【特許文献】
【0012】
【文献】WO2017/103586
【文献】米国特許出願公開第2006/141287号
【文献】米国特許出願公開第2016/329502号
【文献】CN103570629
【文献】米国特許出願公開第2011/0240982号
【文献】特開2006-225320号公報
【発明の概要】
【0013】
第1の態様では、本発明は、600nmを超えるピーク波長を有するフォトルミネセンススペクトルを有する発光材料と、式(I)の基を含む材料とを含む組成物を提供する。
【0014】
式中、
Ar、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、非置換または1つ以上の置換基で置換されるC6-20アリール基であり、それぞれ独立に出現するArは、非置換または1つ以上の置換基で置換されるヘテロアリーレン基またはC6-20アリーレン基であり、mは0、1、2又は3である。
【0015】
第2の態様では、本発明は、1以上の溶媒に溶解された第1の態様による組成物を含む溶液を提供する。
【0016】
第3の態様では、本発明は、アノードと、カソードと、アノードとカソードとの間の発光層とを含む有機発光デバイスを提供し、発光層は第1の態様による組成物を含む。
【0017】
第4の態様では、本発明は、第3の態様による有機発光デバイスを形成する方法を提供し、この方法はアノードおよびカソードの一方の上に発光層を堆積させる工程と、発光層の上にアノードおよびカソードの他方を堆積させる工程とを含む。
【0018】
以下、図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態によるOLEDを示す。
【発明の詳細な説明】
【0020】
式(I)の基を含む材料が提供される。
【0021】
式中、Ar、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、非置換または1つ以上の置換基で置換されるC6-20アリール基であり、それぞれ独立に出現するArは、非置換または1つ以上の置換基で置換されるヘテロアリーレン基またはC6-20アリーレン基であり、mは、0、1、2又は3である。
【0022】
Arは、単環であってもよく、または2つ以上の縮合環からなっていてもよい。例示的なアリーレン基Arとしてはフェニレン、好ましくは1,4-結合フェニレン;2つ以上の縮合ベンゼン環の基、例えば、ナフチレン、場合により1,4-または2,6-結合ナフタレンまたはアントラセン、場合により5,10-結合アントラセン;およびフルオレン、場合により2,7-結合フルオレンが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なヘテロアリーレン基Arには、ベンゼンよりも求電子性が低いヘテロアリーレン基、例えば、CおよびN原子から選択される環原子を有する6員ヘテロアリーレン基、例えばピリジンが含まれる。
【0023】
Arは置換されていなくてもよく、または各出現において同じであっても異なっていてもよい1つ以上の置換基Rで置換されていてもよい。Rは、以下に記載されるような置換基から選択され得る。
【0024】
場合により、Arは以下から選択される。
【0025】
ここで、Rは、各出現において独立して置換基であり;Rは、各出現において独立して置換基であり、ここで、R基は環を形成するために連結され得る;pは、0、1または2であり;qは、0、1、2、3または4であり;及び、rは、0、1、2または3である。
【0026】
好ましくは、各出現におけるRは、F;CN;NO;およびC1-20からなる群から独立して選択され、ここで、前記アルキル基の1つ以上の隣接しない、非末端のC原子は、O、S、NRまたはSiR 、COOまたはCOで置き換えられてもよく、ここで、各出現におけるRは、C1-20のヒドロカルビル基、場合により、C1-12アルキル基、非置換のフェニル、または1つ以上のアルキル基で置換されたフェニルである。最も好ましくは、前記又は各々のRは、C1-12アルキル基である。
【0027】
本明細書で使用されるアルキル基の「非末端炭素原子」は、n-アルキル鎖のメチル基または分岐アルキル鎖のメチル基以外の炭素原子を意味する。
【0028】
好ましくは、各出現におけるRは、
-アルキル、場合によりC1-20アルキル基(ここで、1つ以上の非隣接の非末端C原子は、場合により置換されたアリールまたはヘテロアリール、O、S、C=Oまたは-COO-で置換されていてもよく、及び、1つ以上のH原子はFで置き換えられてもよい。);
-アリール基およびヘテロアリール基、好ましくはC6-20アリール基、より好ましくはフェニルであり、これらは非置換であっても1つ以上の置換基で置換されていてもよい;及び
-アリール又はヘテロアリール基、好ましくはC6-20アリール基、より好ましくはフェニル基の直鎖又は分岐鎖であり、これら基の各々は独立に置換されていてもよい
から成る群から独立して選択される。
【0029】
がアリールもしくはヘテロアリール基、またはアリールもしくはヘテロアリール基の直鎖もしくは分岐鎖を含む場合、前記又は各アリールもしくはヘテロアリール基は、置換されていないか、または1つ以上の置換基で置換されていてもよい。置換基は、任意に、アルキル、例えば、C1-20アルキル基からなる群から選択され、ここで、1つ以上の非隣接C原子は、O、S、C=Oおよび-COOで置き換えられてもよく、アルキル基の1つ以上のH原子はFで置き換えられてもよい。
【0030】
場合により、Ar、Ar、ArおよびArの置換基は、Rから選択され、ここで、各出現におけるRは上述のような置換基Rから独立して選択される。
【0031】
Ar、Ar、ArおよびArはそれぞれ、好ましくはフェニルである。
【0032】
式(I)の基を含む材料は、1つ、2つまたはそれ以上のAr、Ar、ArおよびArがポリマーのポリマー鎖に直接的に連結されているか、または2価の連結基Rによってポリマー鎖に連結されているポリマーであってもよい。好ましくは、式(I)の基が1つもしくは2つの直接結合によって、または1つもしくは2つの二価基Rによって重合体鎖に結合される。
【0033】
実施形態では、材料はポリマーであり、式(I)の基は、ポリマー鎖に2つの直接結合を有する繰り返し単位であり、場合により式(Ia)、(Ib)または(Ic)の基である。
【0034】
式(Ia)の繰り返し単位が好ましい。式(Ia)の例示的な繰り返し単位は、以下のモノマーから形成され得る。
【0035】
式中、フルオレンに結合した各R及び、フェニルに結合した各Rは、それぞれ、RおよびRに関して記載したとおりである。
【0036】
好ましくは、式(Ia)、(Ib)または(Ic)の繰り返し単位を含むポリマーは共役ポリマーである。好ましくは、式(Ia)、(Ib)および(Ic)の繰り返し単位は隣接する繰り返し単位の芳香族またはヘテロ芳香族基に直接結合している。
【0037】
式(Ia)、(Ib)または(Ic)の繰り返し単位を含むポリマーは、ホモポリマーまたは式(I)の繰り返し単位および1つ以上の共繰り返し単位を含むコポリマーであってもよい。
【0038】
共繰り返し単位は、限定するものではないが、C6-20アリーレン繰り返し単位;5~20員環ヘテロアリーレン繰り返し単位;及び/又はアリールアミン繰り返し単位を含んでもよく、これら単位の各々は、置換されていないか、または1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0039】
式(I)の繰り返し単位は、コポリマーの繰り返し単位の1~90モル%、場合によっては10~50モル%を構成することができる。
【0040】
アリーレン繰り返し単位は、式(VII)~(X)から選択することができる。
【0041】
式中、各出現におけるtは、独立して、0、1、2、3または4、好ましくは1または2であり;Rは各出現において独立して、置換基であり;各出現におけるsは、独立して、0、1または2、好ましくは0または1であり;及び、Rは各出現において独立して、2つのR基が連結されて、非置換または置換環を形成し得る置換基である。
【0042】
存在する場合、それぞれのRおよびRは、
―アルキル、場合によりC1-20アルキル(ここで、1つ以上の非隣接C原子は、場合により置換されたアリールまたはヘテロアリール、O、S、置換されたN、C=Oまたは-COO-で置換されてもよく、そして1つ以上のH原子はFで置換されてもよい);
-アリール及びヘテロアリール基、好ましくはC6-20アリール基、より好ましくはフェニルであり、これらは非置換であっても1つ以上の置換基で置換されていてもよい;及び
-アリール又はヘテロアリール基、好ましくはC6-20アリール基、より好ましくはフェニル基の直鎖または分岐鎖であり、これらの基の各々は独立して置換されていてもよく、任意に式-(Ar12の基であり、ここで、各Ar12は独立してアリールまたはヘテロアリール基であり、vは少なくとも2、好ましくはフェニル基の分岐鎖または直鎖である
から成る群から独立して選択されてもよい。
【0043】
又はRがアリールもしくはヘテロアリール基、またはアリールもしくはヘテロアリール基の直鎖もしくは分枝鎖を含む場合は、前記又は各アリールもしくはヘテロアリール基は、以下からなる群から選択される1つ以上の置換基Rで置換されていてもよい。
1つ以上の隣接しないC原子がO、S、置換されたN、C=Oおよび-COO-で置き換えられてもよく、アルキル基の1つ以上のH原子がFで置き換えられてもよい;
NR 、OR、SR、SiR 及び
フッ素、ニトロ、シアノ
式中、各Rは、アルキル、好ましくはC1-20アルキル;及びアリールまたはヘテロアリール、好ましくはフェニル、場合により1以上のC1-20アルキル基で置換されていてもよい。
【0044】
存在する場合は、置換されたNは、-NR10-であってもよく、ここで、R10は置換基であり、場合によりC1-40のヒドロカルビル基、場合によりC1-20アルキル基である。
【0045】
またはRのアリール基またはヘテロアリール基の好ましい置換基は、C1-20アルキルから選択される。
【0046】
2つの基Rが環を形成する場合、環の1つ以上の置換基は、存在する場合、場合によりC1-20アルキル基から選択される。
【0047】
好ましくは、存在する場合には各々のR、及びRは、C1-40ヒドロカルビルから独立に選択される。好ましいC1-40ヒドロカルビル基はC1-20アルキル;非置換フェニル;1つ以上のC1-20アルキル基で置換されたフェニル;およびフェニル基の直鎖または分枝鎖であり、ここで、各フェニルは、非置換であり得るか、または1つ以上のC1-20アルキル基で置換され得る。
【0048】
アリーレン共反復単位は、ポリマーの反復単位の10~90モル%を形成し得る。
【0049】
アリールアミン共反復単位は、好ましくは式(VI)の反復単位から選択される。
【0050】
式中、Ar、Arand Ar10は各出現において独立して、置換または非置換アリールまたはヘテロアリールから選択され、gは0、1または2、好ましくは0または1であり、R13は各出現において独立して、置換基であり、d、eおよびfはそれぞれ独立して、1、2または3である。
【0051】
gが1または2である場合、各出現において同一または異なっていてもよいR13は、好ましくは、アルキル、場合によりC1-20アルキル、Ar11、およびAr11の分岐または直鎖からなる群から選択され、各出現におけるAr11は、独立して置換または非置換のアリールまたはヘテロアリールで基である。
【0052】
Ar、Arから選択される任意の2つの芳香族基またはヘテロ芳香族基、ならびに、存在する場合、同じN原子に直接結合されるAr10およびAr11は、直接結合または2価の連結原子もしくは基によって連結され得る。好ましい二価の連結原子および基には、O、S;置換N;および置換Cが含まれる。
【0053】
Ar及びAr10は、好ましくはC6-20アリールであり、より好ましくはフェニルであり、これは、置換されていなくてもよく、または1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0054】
g=0の場合、Arは好ましくはC6-20アリール、より好ましくはフェニルであり、これは、置換されていなくてもよく、または1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0055】
g=1の場合、Arは好ましくはC6-20アリール、より好ましくはフェニルまたは多環式芳香族基、例えばナフタレン、ペリレン、アントラセンまたはフルオレンであり、これらは置換されていなくてもよく、または1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0056】
13は、好ましくはAr11、またはAr11基の分岐鎖又は直鎖である。各出現におけるAr11は、好ましくは、非置換であっても、または1つ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルである。
【0057】
例示的な基R13は以下を含み、これらの各々は非置換であっても、または1つ以上の置換基で置換されていてもよく、ここで、*はNへの結合点を表す。
【0058】
deおよびfは、好ましくはそれぞれ1である。
【0059】
Ar、Ar、および、存在する場合、Ar10およびAr11は、それぞれ独立して、非置換であるか、または、1つ以上、場合により1、2、3または4の置換基で置換されている。例示的な置換基は置換または非置換アルキル、場合によりC1-20アルキルから選択することができ、ここで、1つ以上の非隣接C原子は場合により置換されたアリールまたはヘテロアリール(好ましくはフェニル)、O、S、C=Oまたは-COO-で置き換えることができ、及び1つ以上のH原子は、Fで置き換えることができる。
【0060】
Ar、Ar、および存在する場合にはAr10およびAr11の好ましい置換基は、C1-40ヒドロカルビル、好ましくはC1-20アルキルである。
【0061】
式(VI)の好ましい繰り返し単位には、式(VI-1)、(VI-2)および(VI-3)の非置換または置換単位が含まれる。
【0062】
【0063】
実施形態において、Arは直接結合であるか、またはSp1で置換されており、式(I)の基は、重合体鎖からつり下がっている式(Id)の置換基である。
【0064】
式中、nは0または1である。
【0065】
式(Id)の基は、ポリマーの式(Ie)の繰り返し単位の一部であってもよい。
【0066】
式中、BUは、非置換であっても、1個以上の置換基で置換されていてもよい繰り返し単位の骨格単位である。
式(Ie)の繰り返し単位を含むポリマーは、非共役または共役ポリマーであってもよい。
【0067】
式(Ie)の繰り返し単位を含むポリマーが共役ポリマーである場合、BUは、芳香族基およびヘテロ芳香族基、場合により、繰り返し単位が式(Id)の基で置換されている上記の式(VII)~(X)の基から選択される。
【0068】
式(Ie)の繰り返し単位を含む非共役ポリマーの場合、BUはエチレン単位、例えば、アクリレートまたはアルキルアクリレートモノマー、場合によりメタクリレートモノマーの重合によって形成される繰り返し単位であってもよい。式(Id)の基は、式(Ie)の繰り返し単位の唯一の置換基であってもよく、または1つ以上の置換基、場合により1つ以上のC1-6アルキル基で置換されていてもよい。
【0069】
場合により、Rはアルキレン鎖の1つまたは複数の非隣接C原子がO、S、C=O、COOで置き換えられてもよく、1つまたは複数のC原子がフェニルで置き換えられていてもよい、C1~20直鎖または分岐アルキレン鎖である。
【0070】
例示的な基Rとしては式-C(=O)O-R14-(式中、R14は直接結合またはC1-10アルキル基である)のエステル基、およびC1-20ヒドロカルビル基(場合により、アルキル;フェニル;フェニルアルキル;およびアルキルフェニルから選択される基)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
式(Ie)の典型的な繰り返し単位は以下である。
【0072】
ここで、Rは、R4に関連して記述されるとおりである。
【0073】
本明細書に記載のポリマーは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定したポリスチレン当量数平均分子量(Mn)が約3×10~1×10、好ましくは1×10~5×10であってもよい。本明細書に記載されるポリマーのポリスチレン当量重量平均分子量(Mw)は、1×10~1×10、好ましくは1×10~1×10であり得る。
【0074】
本明細書に記載のポリマーは、好ましくは非晶質である。
【0075】
実施形態において、式(I)の基を含む材料は非ポリマー化合物であり、すなわち、式(I)の基は、ポリマー鎖に直接的または間接的に結合されない。場合により、本明細書に記載の非ポリマー化合物は、約2,000ダルトン未満または約1,000ダルトン未満の分子量を有する。
【0076】
式(I)の基を含む材料は、好ましくは真空レベルから少なくとも2.6 eV、好ましくは矩形波ボルタンメトリーによって測定される真空レベルから少なくとも2.7または少なくとも2.8 eVの最低空分子軌道(LUMO)レベルを有する。
【0077】
発光組成物
式(I)の基を含む材料は、発光材料、好ましくは燐光材料のためのホストとして使用することができる。
【0078】
式(I)の基を含む材料は、発光材料の対応する励起状態エネルギー準位と少なくとも同じであることが好ましく、より好ましくはそれよりも高い励起状態エネルギー準位を有する。蛍光材料の場合は、式(I)の基を含む材料の最低一重項励起状態(S)エネルギー準位が好ましくは蛍光材料のSエネルギー準位と少なくとも同じか、またはそれより高い。燐光材料の場合は、式(I)の基を含む材料の最低三重項励起状態(T)エネルギー準位が少なくとも燐光材料のTエネルギー準位と同じかそれ以上であることが望ましい。
【0079】
式(I)の基を含む材料および蛍光化合物の一重項励起状態エネルギー準位は、それらのフォトルミネセンススペクトルから決定することができる。
【0080】
式(I)の基を含む材料のT準位は、低温燐光分光法(Y.VRomaovskii et al、Physical Review Letters、2000、85 (5)、p1027、Avan Dijken et al、Journal of American Chemical Society、2004、126、p7718)によって測定されるその燐光スペクトルのエネルギー開始から決定することができる。
【0081】
燐光物質のTは、その室温(25℃)燐光スペクトルから測定することができる。
【0082】
発光材料は、ホストのLUMOよりも0.4 eV未満深い(真空レベルから遠い)LUMOを有することができる。
【0083】
発光材料は、式(I)の基を含む材料と混合されてもよく、または共有結合されてもよい。したがって、本明細書に記載されるような発光材料および式(I)の基を含む材料の「組成物」は、ポリマーなどの単一の化合物、または式(I)の基を含む材料及び発光材料を含む、または、それらからなる混合物であってもよいことが理解されるのであろう。
【0084】
発光材料は、赤外線エミッタと混合された式(I)の基を含むホスト材料を含む組成物中に、0.1~40重量%、任意に1~20重量%の範囲の量で提供されてもよい。
【0085】
式(I)の基を含むホスト材料がポリマーである場合、発光材料は、ポリマー主鎖の側基もしくは末端基として、またはポリマー主鎖中の繰り返し単位として提供されてもよい。この場合、発光材料を含む繰り返し単位は、ポリマーの繰り返し単位の0.1~40モル%を形成することができる。
【0086】
発光材料
好ましくは、本明細書に記載の発光材料が少なくとも650nm、場合により650~1000nm、好ましくは700~850nmの範囲のピークを有するフォトルミネセンススペクトルを有する赤外線エミッタである。
【0087】
発光材料のフォトルミネッセンススペクトルはポリスチレンフィルム中の材料の5重量%を石英基板上に流延し、Hamamatsu製の装置C9920-02を用いて窒素環境下で測定することによって測定することができる。
【0088】
本明細書に記載の赤外線エミッタは、蛍光または燐光赤外線エミッタ、好ましくは燐光エミッタとすることができる。
【0089】
赤外線エミッタは好ましくは燐光性金属錯体であり、場合によりルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、プラチナまたは金の錯体であり、好ましくはIr3+である。燐光性金属錯体は、好ましくは少なくとも1つのC,N-シクロメタル化二座配位子を含む。
【0090】
例示的な赤外線エミッタは、Chuk-Lam Ho、Hua LiおよびWai-Yeung Wong、”Red to near-infrared organometallic phosphorescent dyes for OLED applications”、JOrganometに開示されている。Chem.751 (2014)、261-285 and WO 2017/103584、その内容は本明細書に参照により取り込まれる。
【0091】
有機発光装置
式(I)の基を含む材料は、有機発光デバイスに提供されてもよい。
【0092】
図1はいかなる縮尺にも描かれていないが、一実施形態によるOLED 100を概略的に示す。OLED 100は、基板107上に担持され、アノード101、カソード105、およびアノードとカソードとの間の発光層103を備える。
【0093】
発光層は、式(I)の基を含む材料および発光材料、好ましくは赤外線材料を含むか、またはそれらからなる。
【0094】
好ましくは、発光層103は、使用時に発光するデバイスの唯一の層である。
【0095】
好ましくは、使用時にデバイスによって放出される光の少なくとも90%または95%、より好ましくは全ての光が発光材料から放出される光である。
【0096】
アノードとカソードとの間に、正孔輸送層、電子輸送層、正孔ブロッキング層、電子ブロッキング層、正孔注入層および電子注入層を含むが、これらに限定されない、更なる層(図示せず)を設けてもよい。
【0097】
1つ以上の更なる層を含む例示的なOLED構造は以下を含む。
アノード/正孔注入層/発光層/カソード
アノード/正孔輸送層/発光層/カソード
アノード/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/カソード
アノード/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/カソード
アノード/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/カソード
【0098】
好ましくは、デバイスが正孔注入層および正孔輸送層の一方または両方、より好ましくは両方を含む。
【0099】
好ましくは、デバイスが電子輸送層および電子注入層のうちの少なくとも1つを含む。
【0100】
電荷輸送層及び電荷ブロッキング層
【0101】
正孔輸送層は、OLEDのアノードと発光層との間に設けられてもよい。
【0102】
電子輸送層は、OLEDのカソードと発光層との間に設けられてもよい。
【0103】
アノードと発光層との間に電子ブロッキング層を設けてもよい。
【0104】
カソードと発光層との間に正孔ブロッキング層を設けてもよい。
【0105】
輸送層とブロッキング層とを組み合わせて使用することができる。HOMO準位とLUMO準位に依存して、単一層は正孔と電子の一方を輸送し、正孔と電子の他方をブロックする。
【0106】
電荷輸送層又は電荷ブロッキング層は、特に、その電荷輸送層または電荷ブロッキング層の上にある層が溶液から堆積される場合、架橋されてもよい。この架橋に用いる架橋性基は、ビニル基、アクリレート基等の反応性二重結合を含む架橋性基、ベンゾシクロブタン基であってもよい。架橋性基は、電荷輸送または電荷ブロッキングポリマーの主鎖からの置換基ペンダントとして提供されてもよい。電荷輸送層または電荷ブロッキング層の形成に続いて、架橋性基は、熱処理または照射によって架橋され得る。
【0107】
存在する場合、アノードと発光層との間に位置する正孔輸送層は、好ましくは矩形波ボルタンメトリーによって測定して5.5eV以下、より好ましくは約4.8~5.5eVのHOMO準位を有する正孔輸送材料を含有する。正孔輸送層の正孔輸送材料のHOMO準位は、正孔輸送に対する小さな障壁を提供するために、正孔輸送層の成分、場合により発光材料または式(I)の基を含む材料のHOMOの0.2eV以内、場合により0.1eV以内になるように選択することができる。
【0108】
正孔輸送ポリマーの正孔輸送材料は、本明細書に記載の式(VI)の繰り返し単位を含むポリマー、場合により式(VI)の繰り返し単位のホモポリマー、または式(VI)の繰り返し単位および1つ以上の共繰り返し単位、場合により本明細書に記載の1つ以上のアリーレン共繰り返し単位を含むコポリマーであってもよい。このような正孔輸送ポリマーの1つ以上の繰り返し単位は、正孔輸送ポリマーの堆積後に架橋されて正孔輸送層を形成し得る架橋可能な基、場合により架橋可能な二重結合基および/または架橋可能なベンゾシクロブタン基で置換されてもよい。
【0109】
存在する場合、発光層とカソードとの間に位置する電子輸送層は矩形波ボルタンメトリーによって測定されるように、約2.5~3.5eVのLUMOレベルを有することが好ましい。0.2~2nmの範囲の厚さを有する一酸化ケイ素または二酸化ケイ素または他の薄い誘電体層の層を、カソードに最も近い発光層とカソードとの間に設けることができる。
【0110】
電子輸送層は、フルオレン反復単位の鎖のような、場合により置換されたアリーレン反復単位の鎖を含むポリマーを含有することができる。
【0111】
正孔注入層
導電性有機材料又は無機材料から形成され得る導電性正孔注入層は、アノードから半導体ポリマーの1つまたは複数の層への正孔注入を補助するために、アノードと1つまたは複数の発光層との間に提供され得る。正孔輸送層は、正孔注入層と組み合わせて使用してもよい。
【0112】
ドープされた有機正孔注入材料の例としては、場合により置換され、ドープされたポリ(エチレンジオキシチオフェン)(PEDT)、特に、EP0901176およびEP0947123に開示されているようなポリスチレンスルホン酸(PSS)、ポリアクリル酸またはフッ素化スルホン酸、例えば、Nafion(登録商標);US5723873及びUS5798170に開示されているポリアニリン;および任意に置換されたポリチオフェンまたはポリ(チエノチオフェン)でドープされたPEDTが挙げられる。導電性無機材料の例には、Journal of Physics D: Applied Physics(1996)、29(11)、2750-2753に開示されているように、VOx、MoOxおよびRuOxのような遷移金属酸化物が含まれる。
【0113】
カソード
カソードは、発光層または複数の層への電子の注入を可能にする仕事関数を有する材料から選択される。
【0114】
カソードは、アルミニウムの層のような単一の材料からなっていてもよい。カソードは、WO98/10621に開示されているように、複数の金属、例えば低仕事関数材料と高仕事関数材料、例えばカルシウム及びアルミニウムの二重層を含むことができる。カソードは、例えば、WO98/57381、Appl.Phys. Lett.2002,81(4),634及びWO02/84759に開示されているように、元素バリウムを含有する層、または、元素マグネシウムを含有する層を含むことができる。カソードは、OLEDの発光層とカソードの1つ以上の導電層(例えば、1つ以上の金属層)との間に、金属化合物の薄い(例えば、1~5nmの厚さ)層を含み得る。例示的な金属化合物には、電子注入を補助するためのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物またはフッ化物、例えば、WO00/48258に開示されているフッ化リチウム、Appl.Phys.Lett.2001,79(5),2001に開示されているフッ化バリウム、および酸化バリウムが含まれる。デバイスへの電子の効率的な注入を提供するために、カソードは、好ましくは3.5eV未満、より好ましくは3.2eV未満、最も好ましくは3eV未満の仕事関数を有する。金属の仕事関数は、例えば、Michaelson, J.Appl.Phys.48(11),4729,1977に見出すことができる。
【0115】
層形成
式(I)の基を含む材料を含む層は、真空蒸着および溶液からの堆積を含むがこれらに限定されない任意の適切な方法によって堆積されてもよい。好ましくは、式(I)の基を含む材料は、1つ以上の有機溶媒に溶解された式(I)の基を含む材料を含む配合物から堆積される。配合物は、式(I)の基およびその中に溶解された発光材料を含む化合物を含むことができる。
【0116】
適切な溶媒には、トルエンおよびキシレンのような1つ以上のアルキル置換基を有するベンゼン、ならびにモノアルコキシベンゼンまたはポリアルコキシベンゼン、およびそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0117】
典型的な溶液堆積技術は、スピンコーティング、ディップコーティング、ロールツーロールコーティングまたはロールツーロール印刷、ドクターブレードコーティング、スロットダイコーティング、グラビア印刷、スクリーン印刷およびインクジェット印刷などの印刷およびコーティング技術を含む。
【0118】
溶液堆積法を使用して、(存在する場合には)正孔注入層、電荷輸送層、および電荷ブロッキング層を含むOLEDの他の層を形成することができる。
【0119】
アプリケーション
本明細書に記載される赤外線発光有機発光ダイオードは暗視ゴーグル、センサー、およびCMOSチップにおいて使用されてもよいが、これに限定されない。センサは本明細書に記載されるような1つ以上のOLEDと、少なくとも1つの光検出器デバイスとを含むことができ、1つ以上の光検出器デバイスまたは各光検出器デバイスは、1つ以上のOLEDからの放出を検出するように構成される。任意に、センサのOLED、好ましくはウェアラブルセンサのOLEDは、5V以下の動作電圧を有する。
【実施例
【0120】
測定
HOMOおよびLUMOレベルを、作用電極電位が時間に対して直線的にランプされる矩形波ボルタンメトリーによって測定した。サイクリックボルタンメトリーが設定電位に達すると、作用極の電位ランプは反転する。この反転は、単一の実験中に複数回起こり得る。作動電極における電流を印加電圧に対してプロットし、サイクリックボルタモグラムトレースを与える。
【0121】
CVによってHOMOまたはLUMOエネルギーレベルを測定するための装置はアセトニトリル中のtert-ブチルアンモニウムペルクロレート/またはtert-ブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート溶液、サンプルがフィルムとしてコーティングされるガラス状炭素作用電極、白金対電極(電子のドナーまたはアクセプター)、および参照ガラス電極からなり、Ag/AgClは漏れない。フェロセンを、計算目的(Ag/AgCl/フェロセンと試料/フェロセンとの間の電位差の測定)のために実験の最後にセルに添加した。
【0122】
方法と設定:
直径3mmのガラス状炭素作用電極
Ag/AgCl/リークなし基準電極
白金線補助電極
アセトニトリル中の0.1Mテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロリン酸
LUMO=4.8-フェロセン(ピーク・トゥ・ピーク最大平均)+ 開始
試料:トルエンで回転させた5mg/mLを1滴@3000rpm LUMO(還元)測定:良好な可逆的還元事象は、典型的には200 mV/sおよび-2.5Vのスイッチング電位で測定された厚膜について観察される。還元事象を測定し、10サイクルにわたって比較し、3rdサイクルで測定を行った。開始は、縮小事象の最も急勾配の部分における最良適合線とベースラインとの交点で行われた。
【0123】
合成
【0124】
材料データ
表1に示す構造のLUMO準位を矩形波ボルタンメトリーにより測定した。
【0125】
表1に示すように、化合物例1は、比較化合物1よりも深い(真空から遠い)LUMOを有する。
【0126】
本発明を特定の例示的な実施形態に関して説明したが、本明細書で開示される特徴の様々な修正、変更、および/または組み合わせが、以下の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱することなく、当業者には明らかであろうことが理解されるのであろう。
図1