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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-19
(45)【発行日】2023-07-27
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/00 20200101AFI20230720BHJP
【FI】
D06F39/00 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021157330
(22)【出願日】2021-09-28
(62)【分割の表示】P 2017170849の分割
【原出願日】2017-09-06
(65)【公開番号】P2021192851
(43)【公開日】2021-12-23
【審査請求日】2021-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】坂元 仁
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-244185(JP,A)
【文献】特開2017-080009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物の出し入れに使用される開口部を前面に備える外箱と、
前記外箱内の左右方向中央、且つ、前記開口部に開口する前側が斜め上方を向くように傾斜して配置された水槽と、
前記外箱の上面と前記水槽との間に配置された基板ボックスとを備え、
前記基板ボックスが、前記外箱内の前方且つ左右方向の中央を含む領域に配置され
前記基板ボックスが、
回路部品を搭載した回路基板と、
前記回路基板を覆う基板ケースと、
前記基板ケース内に収容され、前記回路部品を冷却する冷却ファンと、を有し、
前記基板ケースの上面に第1通気口が設けられ、
前記冷却ファンは、前記回路基板及び前記第1通気口に対して前記冷却ファンの回転軸が延びる方向に対向するように前記回路基板側に取り付けられた軸流ファンであり、
前記冷却ファンの送風によって、前記回路基板で発生した熱を前記第1通気口から前記基板ケースの上方に排熱する、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機において、
前記基板ケースの側面に、第2通気口が設けられている、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項2に記載の洗濯機において、
前記第1通気口が前記基板ボックス内の空気を排出し、前記第2通気口が前記基板ボックス内に空気を吸気するように、前記冷却ファンが駆動される、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項3に記載の洗濯機において、
水槽内の空気を加熱する加熱装置と、
加熱された空気を循環させるための循環経路と、
前記循環経路を循環する空気に含まれる糸屑を取り除く糸屑フィルタと、を更に備えており、
前記糸屑フィルタが前記外箱の上面部の後方に配設されるとともに、前記第2通気口が前記基板ケースの前面に配設される、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1つに記載の洗濯機において、
前記外箱の上面前方には電源ボタンが配置されており、
前記基板ケースの上面には、前記電源ボタンを収容するための切欠きが設けられている、
ことを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗濯機の外箱内には基板ボックスが設けられており、該基板ボックスが、洗濯機の運転を制御するための回路基板と、回路基板が取り付けられるベース体と、回路基板を覆う基板ケースと、回路基板に搭載された回路部品を冷却するための冷却ファンとを有するものがある(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-85868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の洗濯機では、ベース体と基板ケースとを組み合わせることによって、基板ボックスが組み立てられるが、回路基板がベース体に取り付けられるとともに、冷却ファンが基板ケースに取り付けられている。すなわち、冷却ファンと回路基板とが、異なる部材に取り付けられている。このとき、冷却ファンが、回路部品に対して上下方向に対向して、すなわち、冷却ファンおよび回路部品が、基板ボックスの高さ方向に並んで配置されている。
【0005】
冷却ファンが基板ケースに取り付けられた構成では、冷却ファンが作動すると、冷却ファンの送風によって、基板ケースの撓みが発生する。冷却ファンを回路部品に近づけた配置にすると、基板ケースの撓みによって、冷却ファンが、回路部品と干渉するおそれがある。このことを防止するため、冷却ファンを回路部品から離した構成すなわち基板ケースをベース体から離した構成にする必要があり、基板ボックスの高さが高くなってしまう。また、基板ボックスを組み立てるときの組立公差を考慮して、冷却ファンを回路部品から離して配置する必要があるので、基板ボックスの高さが高くなってしまう。このように、冷却ファンが基板ケースに取り付けられた構成では、基板ボックスの高さが高くなるので、基板ボックスの小型化が困難であり、洗濯機の外箱内での狭い設置スペースに基板ボックスを配置することができず、基板ボックスの設置の自由度が低いという問題がある。
【0006】
そこで、この発明の課題は、洗濯機の外箱内での狭い設置スペースにも配置できる小型の基板ボックスを備える洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の一態様に係る洗濯機は、
外箱と、
前記外箱内に配置された水槽と、
前記外箱と前記水槽との間に配置された基板ボックスとを備え、
前記基板ボックスが、
回路部品を搭載した回路基板と、
回路基板を覆う基板ケースと、
前記回路部品を冷却する冷却ファンと、
前記冷却ファンが取り付けられるファン取付部とを有し、
前記ファン取付部が、少なくとも前記冷却ファンと前記回路基板との間で延在して、前記冷却ファンが、前記回路基板または前記回路基板に搭載された前記回路部品に対して前記基板ボックスの高さ方向に離間して配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、基板ボックスにおいて、冷却ファンが、回路基板側において、回路基板または回路部品に対して基板ボックスの高さ方向に並んで配設されている。冷却ファンが、ファン取付部によって取り付けられているので、冷却ファンによる送風の影響を受けにくく、冷却ファンと回路部品との間隔が安定している。したがって、冷却ファンを回路部品に近づけることすなわち基板ケースを回路基板に近づけることができるので、基板ボックスを小型化できる。それにより、洗濯機の外箱内での狭い設置スペースに基板ボックスを配置することができ、基板ボックスの設置の自由度が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る洗濯機の一例としてのドラム式洗濯乾燥機の斜視図である。
図2図1に示したドラム式洗濯乾燥機のドアを開けた状態の斜視図である。
図3図1に示したドラム式洗濯乾燥機から上面部を取り外したときの上枠体の上面図である。
図4】基板ボックスの斜視図である。
図5】基板ボックスの平面図である。
図6】基板ボックスから第一の基板ケースを取り外したときの斜視図である。
図7】基板ボックスから第一の基板ケースを取り外したときの平面図である。
図8図5に示した基板ボックスのVIII-VIII線に沿った断面図である。
図9図5に示した基板ボックスのIX-IX線に沿った断面図である。
図10】ファン取付体の平面図である。
図11】第2実施形態に係る洗濯機の基板ボックスでの支持部の構成を説明する図である。
図12】第3実施形態に係る洗濯機の基板ボックスでの支持部の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明に係る洗濯機を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0011】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態の洗濯機の一例としてのドラム式洗濯乾燥機1の斜視図を示している。図1において、101は上面部、102は排水フィルタ用ドア、103は前面部、104は後面部、105は側板部、106は底台である。
【0012】
このドラム式洗濯乾燥機1は、図1に示すように、外箱100と、外箱100の開口部100a(図2に示す)を開閉するドア50と、外箱100の内部に配置された水槽4(図2に図示)と、その水槽4内に回転可能に配置された回転ドラム3(図2に示す)を備える。
【0013】
また、外箱100の上面部101の左後面側には、給水口10が設けられている。また、外箱100の上面部101の右後面側には、気流フィルタ装置30が装着されている。気流フィルタ装置30には、循環経路を循環する気流に含まれる糸屑を取り除く糸屑フィルタが装着されている。また、外箱100の上面部101の右前面側には、電源ボタン31が設けられている。さらに、外箱100の上面部101の左上側には、洗剤ケース11が装着されている。
【0014】
ドア50は、正面視で略四角形状のドア本体部51と、ドア本体部51の上部から後方に傾斜するように設けられたドア傾斜部52とを備える。このドア50のドア傾斜部52には、運転動作を選択して指示入力すると共に運転状態を表示する表示操作部54が設けられている。
【0015】
図2は、ドラム式洗濯乾燥機1のドア50を開けた状態の斜視図を示している。図2において、図1に示すドラム式洗濯乾燥機1と同一の構成部には同一参照番号を付している。
【0016】
ドラム式洗濯乾燥機1の外箱100は、図2に示すように、上面部101と、前面部103と、後面部104と、一対の側板部105(図2では一方を示す)と、底台106とによって構成されている。
【0017】
外箱100の前面部103は、第1平面部103aと、第1平面部103aの上側に延在する上傾斜部103bと、第1平面部103aの下側に延在する第2平面部103cとを有する。
【0018】
上記前面部103には、洗濯物の出し入れに使用される開口部100aが設けられている。上記前面部103の開口部100aの周縁には、環状部材17が設けられている。
【0019】
また、前面部103の前面側には、開口部100aを開閉するためのドア50が、上下方向に離間した2つのヒンジ部40で回動可能に取り付けられている。
【0020】
また、ドア50の後面側には、ユーザーによって操作されるロック解除部53が設けられている。ロック解除部53は、ドア50の厚み方向の前側にスライド移動することにより、ドア50のロック解除を行う機能を有する。係合爪57は、ロック解除部53の動きに連動するように構成されている。
【0021】
ドア50が閉められた状態で、ユーザーの操作によりロック解除部53がドア50の厚み方向の前側にスライド移動すると、係合爪57が非係合側に移動することにより被係合部20に対する係合爪57の係合が解除されて、ドア50が開放される。また、ドア50を開いた状態から閉じた状態にすると、ドア50の係合爪57が外箱100の被係合部20に係合する。
【0022】
環状部材17と外箱100の開口部100aの周縁部分とで、ゴムや軟質樹脂等の弾性体から成るパッキン18を挟んで保持している。これにより、ドア50を閉じると、ドア50に取り付けられた円錐台形状のガラス製の窓部材56がパッキン18に密着して、回転ドラム3を収容する水槽4において、水密性かつ気密性が保たれ、水槽4内の液体が水槽の外へ漏れ出ることを防止できる。
【0023】
また、外箱100内に配置された水槽4および回転ドラム3は、ドア50側に開口しており、ドア50を開くことにより外箱100の開口部100aを介して回転ドラム3内に洗濯物(図示せず)を出し入れできる。
【0024】
また、上記ドラム式洗濯乾燥機1は、外箱100内の後面側かつ下部に配置された乾燥用のヒートポンプユニット(図示せず)と、該ヒートポンプユニットによって水槽4内の空気を加熱して加熱された空気を循環させるための循環経路(図示せず)とを備えている。
【0025】
また、外箱100の第2平面部103cの左下側には、排水フィルタ用ドア102が開閉可能に取り付けられている。この排水フィルタ用ドア102を開いて、外箱100内の下側に装着された糸屑フィルタ(図示せず)を交換する。
【0026】
上記構成のドラム式洗濯乾燥機1では、表示操作部54(図1に示す)から運転コースの選択や各工程の時間設定などが入力されると、その選択情報や設定情報が入力された制御装置(図示せず)によって、例えば洗濯から乾燥までの一連の動作を実行する。
【0027】
図3は、図1に示したドラム式洗濯乾燥機1から上面部101を取り外したときの上枠体35の上面図を示している。上枠体35には、例えば、洗剤ケース11と基板ボックス60とが配設されている。すなわち、基板ボックス60は、ドラム式洗濯乾燥機1の外箱100内の内側上部であって、外箱100の上面部101と上枠体35との間で形成される、高さの低い狭い設置スペースに配設されている。
【0028】
図4は、基板ボックス60の斜視図であり、図5は、基板ボックス60の平面図である。
【0029】
図4および図5に示すように、基板ボックス60は、ベース体62と、第一の基板ケース64と、第二の基板ケース66と、回路基板68(図6などに図示)とを有する。
【0030】
ベース体62は、回路基板68を支持する板状体であり、樹脂などの電気絶縁材料からなる。ベース体62は、第一の基板ケース64の側および第二の基板ケース66の側の各周縁部において、ガイド溝63をそれぞれ有する。各ガイド溝63は、第一の基板ケース64および第二の基板ケース66の各終端部の配置をガイドするように構成されている。
【0031】
第一の基板ケース64および第二の基板ケース66は、金属部材を所望形状に板金加工したものである。第一の基板ケース64は、ベース体62で支持された回路基板68を覆うケース蓋である。第二の基板ケース66は、ベース体62のうち、回路基板68の反対側を覆うケース蓋である。第一の基板ケース64の上面には、第一の基板ケース64を貫通する排気口65が形成されている。排気口65は、冷却ファン80の上方に設けられている。第一の基板ケース64の側面には、第一の基板ケース64を貫通する吸気口69が形成されている。吸気口69は、後述する放熱板84の側方近傍に設けられている。なお、冷却ファン80による送風の流れ方向を逆にして、排気口65を吸気口として使用するとともに、吸気口69を排気口として使用することもできる。
【0032】
排気口65の周囲には、ねじ止め用の貫通穴(図示しない)が複数個形成されている。ねじ止め用の貫通穴は、後述するファン取付体70の固定ボス部77(図6などに図示)に対応する位置に配設されている。第一の基板ケース64は、固定ボス部77に対して、ケース固定ねじ88で固定されている。基板ケース64が、固定ボス部77を介してファン取付体70に固定されているため基板ケース64が振動しにくくなっているので、冷却ファン80の送風に伴う、第一の基板ケース64の振動音の発生を防止できる。
【0033】
図6は、基板ボックス60から第一の基板ケース64を取り外したときの斜視図である。図7は、基板ボックス60から第一の基板ケース64を取り外したときの平面図である。図8は、図5に示した基板ボックス60のVIII-VIII線に沿った断面図である。図9は、図5に示した基板ボックス60のIX-IX線に沿った断面図である。図10は、ファン取付体70の平面図である。
【0034】
図6および図7に示すように、基板ボックス60から第一の基板ケース64を取り外すと、基板ボックス60内に収納されている回路基板68が現れる。回路基板68は、ドラム式洗濯乾燥機1の様々な運転を制御するための各種制御回路を備える。回路基板68は、例えば、ガラスエポキシ基板に配線パターンが印刷されたプリント基板である。回路基板68には、各種制御回路を構成する様々な回路部品82が搭載されている。回路部品82は、例えば、コンデンサ、抵抗、ダイオード、トランジスタ、リレー、コイル、電源トランス、スイッチング素子、パワーモジュールなどである。
【0035】
図8および図9に示すように、回路基板68に搭載された回路部品のうち、発熱性の回路部品92(例えば、インテリジェント・パワー・モジュール(Intelligent Power Module:略してIPM))の上には、冷却フィンを有する放熱板84が取り付けられている。放熱板84を備える発熱性の回路部品92は、回路基板68の側方側に配設されている。放熱板84の冷却フィンは、回路基板68の直交方向に(上下方向に)延びている。後述する冷却ファン80による風が、放熱板84の周辺では、回路基板68に沿って流れる。
【0036】
図6から図9に示すように、回路基板68の上には、ファン取付体70と、ファン取付体70に取り付けられた冷却ファン80とが配設されている。冷却ファン80およびファン取付体70は、例えば、回路基板68の大略中央部分に配設される。冷却ファン80は、羽根および駆動モータを有する軸流ファンであるが、羽根および駆動モータの図示を省略して、枠体だけを図示している。枠体は、平面視で方形形状をしている。枠体の各コーナー部には、ファン貫通穴91が形成されている。ファン貫通穴91は、ファン取付体70に対する位置決めまたは固定のために使用される。また、後述するように、ファン貫通穴91は、取付ボス部83に対する位置決めまたは固定のために使用される。冷却ファン80は、軸流の風を発生して、発熱性の回路部品92から発生した熱を基板ボックス60の外に排出して、基板ボックス60内が昇温するのを防止する。
【0037】
図6から図10を参照しながら、ファン取付体70について説明する。
【0038】
ファン取付部の一例として働くファン取付体70は、ファン搭載部71と支持部72とを有する。ファン搭載部71は、図10に示すように平面視で方形形状をしている。支持部72は、図8および図9に示すように、回路基板68に向けて延びて回路基板68に固定するための支持脚である。ファン取付体70は、例えば樹脂の成形体であり、ファン搭載部71と支持部72とが一体化されることによって形成されている。
【0039】
図10に示すように、ファン搭載部71の中央部には、通気穴79が形成されている。通気穴79によって、冷却ファン80によって発生した軸流の風が、冷却ファン80の周囲では上下方向に(回路基板68の直交方向に)流れることができる。ファン搭載部71のコーナー部よりも内側部分には、盛り上がった隆起部73が形成されている。隆起部73は、上方に突出する係合ボス、または、係合穴を有する。係合ボスを有する隆起部73は、係合ボスが冷却ファン80のファン貫通穴91に係合することによって、冷却ファン80を位置決めするために使用される。係合ボスを有する隆起部73は、例えば、左上および右下のコーナー部にそれぞれ位置する。係合穴を有する隆起部73は、ファン貫通穴91に挿通したねじによって、冷却ファン80を固定するために使用される。係合穴を有する隆起部73は、例えば、右上のコーナー部に位置する。
【0040】
例えば、ファン搭載部71の左下のコーナー部には、ファン係止部78が形成されている。ファン係止部78は、上方に延びる板状部であり、その上端に係止ツメを有する。ファン係止部78は、冷却ファン80の側面に当接するとともに、係止ツメが冷却ファン80の上端部に係合することによって、冷却ファン80を位置決めし且つ係止する。
【0041】
例えば、ファン搭載部71の左上および右下のコーナー部のそれぞれには、固定ボス部77が形成されている。各固定ボス部77は、ファン搭載部71に取り付けられた冷却ファン80の高さを超える高さで上方に延びている。各固定ボス部77には、ねじ止めするためのねじ穴が形成されている。固定ボス部77のねじ穴に対してケース固定ねじ88を螺合させることによって、第一の基板ケース64がねじで固定される。
【0042】
回路基板68の側には、冷却ファン80付きのファン取付体70と、回路基板68の上で引き回される複数の配線95とが、配設されている。そこで、例えば、ファン搭載部71の上側部および右側部のそれぞれには、結束固定部75が形成されている。各結束固定部75は、回路基板68の上で引き回される配線95(図7に図示)を結束する結束バンドを固定するための係合部である。また、例えば、ファン搭載部71の左側部には、結束フック76が形成されている。結束フック76は、冷却ファン80の配線95を結束するために設けられている。支持部72によって回路基板68とファン搭載部71との間には作業スペースが形成されて、回路基板68から離間したファン搭載部71に対して結束固定部75が設けられているので、配線95の結束作業が容易になる。配線95を結束固定部75や結束フック76で予め結束して固定することによって、冷却ファン80に対する配線95の干渉防止が確実になるとともに、配線95の取り回しが容易になる。
【0043】
ファン搭載部71の各コーナー部近傍の側面での外側部分には、支持部72が形成されている。図示した例では、4つの支持部72が形成されている。第1実施形態に示した支持部72は、ファン搭載部71から回路基板68まで延びる支持脚である。すなわち、ファン取付体70においては、支持部72が、ファン搭載部71と回路基板68との間で延在している。言い換えれば、ファン取付部としてのファン取付体70が、冷却ファン80と回路基板68との間で延在している。例えば、左上、左下および右上のそれぞれのコーナー部に位置する3つの支持部72は、回路基板68側の端部において、基板係止ツメ81を有する。基板係止ツメ81が回路基板68に形成された基板係止穴(図示しない)と係合することによって、ファン取付体70が回路基板68に固定される。
【0044】
また、例えば、右下のコーナー部に位置する支持部72は、回路基板68側の端部において、鍔部74を有する。鍔部74には、貫通穴が形成されている。鍔部74の貫通穴に対応するように、回路基板68にも、貫通穴(図示しない)が形成されている。両方の貫通穴に対応するように、ベース体62のボス(図示しない)には、ねじ穴(図示しない)が形成されている。取付体固定ねじが、鍔部74および回路基板68の各貫通穴に挿通されるとともに、ベース体62のボスのねじ穴と螺合するように構成されている。これにより、鍔部74を有する支持部72と、回路基板68とが、ベース体62に対して共締めで固定される。
【0045】
このように、冷却ファン80が取り付けられたファン搭載部71が、固定基板68に固定された支持部72によって支持されている。言い換えれば、冷却ファン80が、ファン取付部としてのファン取付体70によって取り付けられているので、冷却ファン80による送風の影響を受けにくく、冷却ファン80と回路部品82との間隔が安定している。したがって、冷却ファン80を回路部品82に近づけることすなわち基板ケース64を回路基板68に近づけることができる。また、ファン取付体70を回路基板68上に配置した上で支持部72を回路基板68に固定することによって、ファン取付体70を回路基板68に取り付けることができるので、回路基板68に対するファン取付体70の取付が簡単である。
【0046】
回路基板68には、非発熱性の回路部品82および発熱性の回路部品92が搭載されている。当該回路部品82,92を搭載した回路基板68に対して、冷却ファン80付きのファン取付体70が回路基板68に固定される。そのあと、ウレタン樹脂をポッティングすることによって、回路基板68の防水・防湿対策が施される。また、ウレタン樹脂のポッティングによって、ファン取付体70の支持部72と回路基板68との間での固定が補強される。
【0047】
冷却ファン80が取り付けられた支持部72の直下には、非発熱性であり且つ高さの低い回路部品82が、配置されるかまたは配置されない。支持部72の直下において、このような回路部品82が配置される場合、冷却ファン80が、回路基板68に搭載された回路部品82に対して基板ボックス60の高さ方向(上下方向)に離間して対面するように配設されている。支持部72の直下において、このような回路部品82が配置されていない場合、冷却ファン80が、回路基板68に対して基板ボックス60の高さ方向(上下方向)に離間して対面するように配設されている。
【0048】
放熱板84付きの発熱性の回路部品92の上に、冷却ファン80付きのファン取付体70を配設することも当然に可能であるが、当該部分での基板ボックス60の高さが非常に高くなってしまう。非発熱性の回路部品82には、放熱板84が取り付けられることがないため、冷却ファン80付きのファン取付体70を配設しても、当該部分での基板ボックス60の高さが高くなることはない。したがって、基板ボックス60を小型化できる。
【0049】
ファン取付部としてのファン取付体70が、冷却ファン80と回路基板68との間で延在して、冷却ファン80が、回路基板68側において、回路基板68または回路部品82に対して基板ボックス60の高さ方向(上下方向)に並んで配設されている。冷却ファン80が、ファン取付体70によって取り付けられているので、冷却ファン80による送風の影響を受けにくく、冷却ファン80と回路部品82との間隔が安定している。したがって、冷却ファン80を回路部品82に近づけることすなわち基板ケース64を回路基板68に近づけることができるので、基板ボックス60を小型化できる。それにより、洗濯機1の外箱100内の狭い設置スペースに基板ボックス60を配置することができ、基板ボックス60の設置の自由度が高くなる。
【0050】
上述したように、回路基板68の側には、冷却ファン80付きのファン取付体70と、回路基板68の上で引き回される複数の配線95とが、配設されている。冷却ファン80および配線95が、同じ部材(すなわち回路基板68)の側にあるので、冷却ファン80が回路基板68上の配線95と干渉しないように配線95を予め位置決めすることが容易である。また、結束固定部75および/または結束フック76によって配線95を結束してファン取付体70のファン搭載部71に固定できる。
【0051】
また、冷却ファン80と配線95とが異なる部材に配設された構成では、冷却ファン80が配線95と干渉しないようにしながら基板ボックス60を組み立てるという煩雑な作業を行うことを要するため、基板ボックス60の組立作業性が悪い。これに対して、冷却ファン80および配線95が、同じ部材(すなわち回路基板68)の側にある構成では、配線95を予め位置決めした上で、組立作業を行うことができるので、配線95の隔離スペースも不要であるため基板ボックス60を小型化できるとともに、基板ボックス60の組立作業性が良好である。
【0052】
したがって、上記第1実施形態のドラム式洗濯乾燥機1によれば、基板ボックス60において、冷却ファン80が、回路基板68側において、回路基板68または回路部品82に対して基板ボックス60の高さ方向に並んで配設されている。冷却ファン80が、ファン取付部としてのファン取付体70によって取り付けられているので、冷却ファン80による送風の影響を受けにくく、冷却ファン80と回路部品82との間隔が安定している。したがって、冷却ファン80を回路部品82に近づけることすなわち基板ケース64を回路基板68に近づけることができるので、基板ボックス60を小型化できる。それにより、洗濯機1の外箱100内の狭い設置スペースに基板ボックス60を配置することができ、基板ボックス60の設置の自由度が高くなる。そして、ドラム式洗濯乾燥機1の高さを抑制できる。
【0053】
〔第2実施形態〕
第2実施形態に係る洗濯機の一例としてのドラム式洗濯乾燥機は、ファン取付体70、回路基板68のボス穴86およびベース体62の取付ボス部83を除いて、第1実施形態のドラム式洗濯乾燥機1と同一の構成をしている。
【0054】
第1実施形態のドラム式洗濯乾燥機1では、ファン取付体70がファン搭載部71および支持部72を有し、ファン搭載部71および支持部72によって、冷却ファン80が、回路基板68または回路基板68に搭載された回路部品82に対して離間して配設されるように構成されていた。これに対して、この第2実施形態のドラム式洗濯乾燥機では、図11に示すように、ベース体62が取付ボス部83を有し、取付ボス部83によって、冷却ファン80が、回路基板68または回路基板68に搭載された回路部品82に対して離間して配設されている。
【0055】
すなわち、ベース体62には、少なくとも3つの、好ましくは4つの取付ボス部83が形成されている。取付ボス部83のそれぞれは、ベース体62から冷却ファン80の下面まで延びている。例えば、左下および右上の取付ボス部83の上端部のそれぞれには、ねじ穴83aが形成されている。また、右下の取付ボス部83の上部には、位置決め用の突起部が形成されている。冷却ファン80には、ねじ穴83aおよび位置決め用の突起部のそれぞれに対応するファン貫通穴91が形成されている。回路基板68には、各取付ボス部83を挿通するためのボス穴86が形成されている。各取付ボス部83は、回路基板68のボス穴86にそれぞれ挿通される。そして、ねじ穴83aを有する取付ボス部83は、冷却ファン80の下面に当接してねじ85で固定されている。また、突起部を有する取付ボス部83によって冷却ファン80が位置決めされている。取付ボス部83によって、冷却ファン80が取付されているとともに支持されている。したがって、取付ボス部83は、ファン取付部として働いている。
【0056】
ファン取付部の一例として働く取付ボス部83が、冷却ファン80とベース体62との間で、すなわち少なくとも冷却ファン80と回路基板68との間で延在して、冷却ファン80が、回路基板68または回路基板68に搭載された回路部品82に対して基板ボックス60の高さ方向(上下方向)に離間して配設されている。したがって、上記第2実施形態のドラム式洗濯乾燥機は、第1実施形態のドラム式洗濯乾燥機1と同様の効果を有する。さらに、ファン取付部として働く取付ボス部83を介して、冷却ファン80がベース体62に取り付けられているので、ベース体62の取付ボス部83に取り付けられた冷却ファン80の振動が回路基板68に伝わりにくくなり、回路基板68の信頼性が向上する。
【0057】
〔第3実施形態〕
第3実施形態に係る洗濯機の一例としてのドラム式洗濯乾燥機は、ファン取付体70の支持部72および回路基板68のボス穴86を除いて、第1実施形態のドラム式洗濯乾燥機1と同一の構成をしている。
【0058】
第1実施形態のドラム式洗濯乾燥機1では、ファン取付体70が支持部72を有し、支持部72が、ファン搭載部71から回路基板68まで延びるとともに、回路基板68の上で固定されていた。これに対して、この第3実施形態のドラム式洗濯乾燥機では、図12に示すように、ファン取付部として働くファン取付体70が、支持部72を有し、ファン取付体70が、冷却ファン80からベース体62まで延びるとともに、支持部72がベース体62の上で固定されている。
【0059】
すなわち、ファン取付部としてのファン取付体70は、ファン搭載部71からベース体62まで延びる支持部72を有する。回路基板68には、当該支持部72を挿通するためのボス穴86が形成されている。支持部72のベース体62側の端部には、ねじ穴が形成されている。ベース体62には、支持部72の端部に形成されたねじ穴に対応する挿通穴が形成されている。支持部72は、回路基板68のボス穴86に挿通されたあと、ベース体62にベース固定ねじ87で固定される。このような支持部72によって、冷却ファン80の取り付けられたファン搭載部71が支持されている。また、ポッティングされるウレタン樹脂が、ベース体62の挿通穴から漏れ出ることを防止するように、当該挿通穴をシール材で埋めること、あるいは、ベース体62とベース固定ねじ87のヘッド部との間にパッキンを介在配置して隙間を埋めることを行うことができる。
【0060】
ファン取付体70が、冷却ファン80とベース体62との間で、すなわち少なくとも冷却ファン80と回路基板68との間で延在して、冷却ファン80が、回路基板68または回路基板68に搭載された回路部品82に対して基板ボックス60の高さ方向(上下方向)に離間して配設されている。したがって、上記第3実施形態のドラム式洗濯乾燥機は、第1実施形態のドラム式洗濯乾燥機1と同様の効果を有する。
【0061】
また、上記第1実施形態から第3実施形態では、洗濯機としてドラム式洗濯乾燥機について説明したが、乾燥機能を有さないドラム式洗濯乾燥機、乾燥機能を有する縦型洗濯乾燥機、乾燥機能を有さない縦型洗濯機にこの発明を適用してもよい。
【0062】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記第1実施形態から第3実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、上記第1実施形態から第3実施形態で記載した内容を適宜に組み合わせたものを、この発明の一実施形態としてもよい。
【0063】
この発明および実施形態をまとめると、次のようになる。
【0064】
この発明の一態様に係る洗濯機は、
外箱100と、
外箱100内に配置された水槽4と、
外箱100と水槽4との間に配置された基板ボックス60とを備え、
基板ボックス60が、
回路部品82を搭載した回路基板68と、
回路基板68を覆う基板ケース64と、
回路部品82を冷却する冷却ファン80と、
冷却ファン80が取り付けられるファン取付部70とを有し、
ファン取付部70が、少なくとも冷却ファン80と回路基板68との間で延在して、冷却ファン80が、回路基板68または回路基板68に搭載された前記回路部品82に対して基板ボックス60の高さ方向に離間して配設されていることを特徴とする。
【0065】
上記構成によれば、基板ボックス60において、冷却ファン80が、回路基板68側において、回路基板68または回路部品82に対して基板ボックス60の高さ方向に並んで配設されている。冷却ファン80が、ファン取付部70によって取り付けられているので、冷却ファン80による送風の影響を受けにくく、冷却ファン80と回路部品82との間隔が安定している。したがって、冷却ファン80を回路部品82に近づけること、すなわち、基板ケース64を回路基板68に近づけることができるので、基板ボックス60を小型化できる。それにより、洗濯機1の外箱100内の狭い設置スペースに基板ボックス60を配置することができ、基板ボックス60の設置の自由度が高くなる。
【0066】
また、一実施形態の洗濯機では、
ファン取付部70が、回路基板68に固定される支持部72を有する。
【0067】
上記実施形態によれば、ファン取付部70の支持部72を回路基板68に固定することによって、ファン取付部70を回路基板68に取り付けることができるので、回路基板68に対するファン取付部70の取付が簡単である。
【0068】
また、一実施形態の洗濯機では、
基板ボックス60が、回路基板68を支持するベース体62をさらに有し、
ベース体62には、冷却ファン80まで延びる取付ボス部83が形成されるとともに、回路基板68には、取付ボス部83を挿通するためのボス穴86が形成されて、
取付ボス部83は、ボス穴86を介して冷却ファン80に固定されることによって、ファン取付部として働く。
【0069】
上記実施形態によれば、ファン取付部として働く取付ボス部83を介して、冷却ファン80がベース体62に取り付けられるので、ベース体62の取付ボス部83に取り付けられた冷却ファン80の振動が回路基板68に伝わりにくくなり、回路基板68の信頼性が向上する。
【0070】
また、一実施形態の洗濯機では、
ファン取付部70には、ファン取付部70に取り付けられた冷却ファン80の周囲であり且つ冷却ファン80の高さよりも高く延びる固定ボス部77が形成されており、
基板ケース64が、固定ボス部77を介してファン取付部70に固定されている。
【0071】
上記実施形態によれば、基板ケース64が、固定ボス部77を介してファン取付部70に固定されているため基板ケース64が振動しにくくなっているので、冷却ファン80の送風に伴う、基板ケース64の振動音の発生を防止できる。
【0072】
また、一実施形態の洗濯機では、
ファン取付部70には、回路基板68の上で引き回される配線95を結束して固定するための結束固定部75が設けられている。
【0073】
上記実施形態によれば、ファン取付部70によって回路基板68と冷却ファン80との間には作業スペースが形成されて、回路基板68から離間したファン取付部70に対して結束固定部75が設けられているので、配線95の結束作業が容易になる。また、例えば、結束バンドを使って配線95を結束した場合に、配線95が結束バンドを介して結束固定部75に固定されるので、冷却ファン80に対する配線95の干渉防止が確実になるとともに、配線95の取り回しが容易になる。
【0074】
また、一実施形態の洗濯機では、
洗濯機がドラム式洗濯機であって、
基板ボックス60が、ドラム式洗濯機の外箱100内での内側上部に配設される。
【0075】
上記実施形態によれば、ドラム式洗濯機の外箱100内での内側上部に形成される、高さが低くて狭い設置スペースに基板ボックス60が配設できるので、基板ボックス60の設置の自由度が高くなる。
【符号の説明】
【0076】
1…ドラム式洗濯乾燥機(洗濯機)
3…回転ドラム
3a…回転ドラム開口部
4…水槽
10…給水口
11…洗剤ケース
17…環状部材
18…パッキン
20…被係合部
30…気流フィルタ装置
31…電源ボタン
35…上枠体
40…ヒンジ部
50…ドア
51…ドア本体部
52…ドア傾斜部
53…ロック解除部
54…表示操作部
56…窓部材
57…係合爪
60…基板ボックス
62…ベース体
63…ガイド溝
64…第一の基板ケース
65…排気口
66…第二の基板ケース
68…回路基板
69…吸気口
70…ファン取付体(ファン取付部)
71…ファン搭載部
72…支持部
73…隆起部
74…鍔部
75…結束固定部
76…結束フック
77…固定ボス部
78…ファン係止部
79…通気穴
80…冷却ファン
81…基板係止ツメ
82…非発熱性の回路部品
83…取付ボス部(ファン取付部)
83a…ねじ穴
84…放熱板
85…取付係止ツメ
86…ボス穴
87…ベース固定ねじ
88…ケース固定ねじ
91…ファン貫通穴
92…発熱性の回路部品
95…配線
100…外箱
100a…開口部
101…上面部
102…排水フィルタ用ドア
103…前面部
103a…第1平面部
103b…上傾斜部
103c…第2平面部
104…後面部
105…側板部
106…底台
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12