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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-20
(45)【発行日】2023-07-28
(54)【発明の名称】ヒト毛髪をスタイリングする方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20230721BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20230721BHJP
   A61Q 5/04 20060101ALI20230721BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/41
A61Q5/04
A61Q5/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020529264
(86)(22)【出願日】2018-11-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2018081677
(87)【国際公開番号】W WO2019105777
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-11-17
(31)【優先権主張番号】17204291.3
(32)【優先日】2017-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファルコフスキー,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】トムリンソン,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ヴィートホフ,ヘレナ
(72)【発明者】
【氏名】カース,ニコル
【審査官】松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-161496(JP,A)
【文献】特開昭59-231008(JP,A)
【文献】特開昭59-172413(JP,A)
【文献】特表平10-511703(JP,A)
【文献】国際公開第2017/036969(WO,A1)
【文献】特開平10-101532(JP,A)
【文献】国際公開第2017/108743(WO,A1)
【文献】Lash Expansion Mascara, MINTEL GNPD [ONLINE],2004.09,[検索日 2022.11.29]インターネット:<URL:https://www.gnpd.com/sinatra>(Database accession no.301254)
【文献】Lash Expansion Mascara, MINTEL GNPD [ONLINE],2003.06,[検索日 2022.11.29]インターネット:<URL:https://www.gnpd.com/sinatra>(Database accession no.209676)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/81
A61K 8/41
A61Q 5/04
A61Q 5/06
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/KOSMET(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト毛髪を再スタイリングするための組成物であって、
前記組成物は、
水溶性で、少なくとも145℃の融点を有し、且つスルホン酸基を含む、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、及び
トラヒドロキシプロピルエチレンジアミンである、少なくとも2つのアミノ基を有する有機アミン
を含み、
ここで、「ヒト毛髪を再スタイリングする」とは、
前記組成物を、ヒト毛髪に塗布すること、
その後毛髪を、その表面の組成物と共に、145から250℃までの温度で、熱処理し、この熱処理の間にヘアスタイルを変えること、
その後毛髪を100℃未満の温度まで放冷すること、並びに
その後毛髪を、その表面の組成物と共に、145から250℃までの温度で、熱処理することによってヘアスタイルを変えること
を含む、方法を意味する、
前記組成物
【請求項2】
ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸が、0.1から10重量%までの量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも2つのアミノ基を有する有機アミンが、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸の部分的又は完全な中和をもたらす量で存在し、且つ組成物が、1から14までのpH値を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
組成物が少なくとも1つの更なるポリマーを含み、この更なるポリマーが、非イオン性ポリマー、アニオン性ポリマー又はカチオン性ポリマーからなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
組成物がエアゾール製剤又は非エアゾール製剤であり、且つ製剤が、ゲル、ムース、スプレー、セラム及びワックスからなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物を、ヒト毛髪に塗布すること、
その後毛髪を、その表面の組成物と共に、145から250℃までの温度で、熱処理し、この熱処理の間にヘアスタイルを変えること、
その後毛髪を100℃未満の温度まで放冷すること、並びに
その後毛髪を、その表面の組成物と共に、145から250℃までの温度で、熱処理することによってヘアスタイルを変えること
を含む、ヒト毛髪を再スタイリングする方法。
【請求項7】
ヘアスタイルを変えることが、ストレートニングアイロン、カーリングアイロン又はクリンパーからなる群から選択されるスタイリング装置によって行われる、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性で、少なくとも145℃の融点を有し、且つスルホン酸基を含むポリマー、及び少なくとも2つのアミノ基を有する有機アミン、及び場合により更なる化粧用成分を含む組成物に関する。更に、本発明は、水溶性で、少なくとも145℃の融点を有し、且つスルホン酸基を含むポリマー、及び有機アミン、及び場合により更なる化粧用成分を含む組成物をヒト毛髪に塗布すること、その後毛髪を、その表面の組成物と共に熱処理すること、その後毛髪を100℃未満の温度まで放冷すること、並びにその後毛髪を熱処理することによってヘアスタイルを変えることを含む、ヒト毛髪を再スタイリングする方法に関する。更に、本発明は、ヒト毛髪を再スタイリングするための、前記ポリマー又は前記組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
水又はエタノールに可溶なポリマーを含むヘアスタイリング製品は、今日の化粧品市場において非常に人気のある製品である。こうした製品は典型的には、液体又はワックス/ゲル様組成物を含み、ある程度長持ちするヘアスタイルを得るために湿った又は乾いた毛髪に塗布される。こうした製品は、エアゾールスプレー、スプレー、ムース、ゲル、ワックス、セラム又は他のテクスチャとして製造され得る。個々のポリマーやポリマーの組合せ以外に、特定のテクスチャ又は性能効果を調節するために数多くの補助成分が使用される。
【0003】
ヘアスタイリング製品の最も重要な性能は、剛性であり、ヘアスタイルの保持及び高湿度条件に耐える能力のそれぞれである。自然のままの毛髪も、ブロードライヤー又はストレートニング/カーリング装置を用いることによってスタイリングすることができる。熱処理のみをされた毛髪の最も重大な不利点は、ヘアスタイルの持続性の低さ及び湿気に対する感受性である。合成ポリマーと同様に、自然のままの毛髪も、その水分含量に応じてガラス転移温度(Tg)を有する。完全に乾燥したヒト毛髪(水分含量0%)のTgは、約144℃である。このTgは、水分含量の増加と共に低下し、約23%の水分含量で約0℃に到達する。
【0004】
毛髪の非常に低い水分含量(<5重量%)を得るための湿度条件は、加熱された装置による髪のストレートニング時にほぼ達成され得る。したがって、ストレートニングアイロンは、毛髪のスタイリングのためには少なくとも150℃で操作されるべきである。建物内の相対湿度は典型的には40%RHから60%RHまでである。季節及び気象条件に依存して、外部の相対湿度は、20%RHから90%RHまでである可能性がある。結果として、自然のままの毛髪は、水分を取り込み、Tgは室温又は周囲温度未満に低下する。毛髪がブロードライ又は熱処理のみを施された場合、ヘアスタイルは失われ、新たなヘアスタイリング処置が必要である。耐湿性ポリマーを含有するヘアスタイリング製品は、自然のままの毛髪のこの欠点を回避する。
【0005】
それにもかかわらず、ストレートニングアイロンのような装置は、消費者の好みに応じて、カーリー毛髪をストレートにするか又はストレート毛髪をカールすることができるため、非常に人気がある。前述のように、毛髪を別のスタイルに形作るために、これら装置には少なくとも150℃の温度が必要である。多くのストレートニングアイロンは、スタイリング処置を促進又は短縮するために、230℃までの温度さえも使用している。これら高温処理の主要な欠点は、約180℃を超える、特に約200℃を超える温度での毛髪の不可逆的損傷である。ヘアスタイリング市場には、この温度範囲における熱保護を謳っている製品がいくつかある。これらの製品は、毛髪繊維の周囲に被膜を形成し、キューティクルと呼ばれる毛髪外表面への加熱されたアイロンの直接的接触を防止しようとしている。それにもかかわらず、消費者の習慣によっては、これら製品は毛髪の損傷を完全には防止できない。したがって、多くのストレートニングアイロン又はクリンパーは、今日では、毛髪損傷を防止するために170℃~185℃のような低温において操作されている。
【0006】
大部分の合成ポリマーは、ガラス転移温度Tgを有する。分子量分布を調節し、それにより融点及びTgを調節するために特別な触媒を用いて連続的に製造されるPPのような標準的ポリマーが存在する。これらのポリマーは分子量分布が狭いために、容易に融解することができ、例えば、融解法における合成繊維/織物の製造に使用される。化粧品産業において典型的に使用されるポリマーは、一般に水溶性又はエタノール溶解性であるべきである。これらポリマーは典型的に、バッチ法で製造され、その大部分は、溶解性、耐水性又は官能特性のようなパラメーターを調節するために、特別なモノマーを含む。これらポリマーはまた、測定可能なガラス転移温度を有するが、その融解挙動は、PPのようなポリマーとは異なり、通常、実際の液/低粘度相転位は存在せず、それらのいくつかは高温では分解することさえある。これらポリマーが毛髪に塗布され、且つ200℃のような高温で処理された場合、しばしばべたついて高粘性となる。これらの物理特性は、適用に負の影響を与える。ストレートニングアイロンの滑らかな動きが妨げられ、場合によっては、加熱されたアイロンの毛髪上の滞留時間が増加し、更なる毛髪損傷を生じる。
【0007】
ヘアスタイリング製品が毛髪の容易な再スタイリングを可能にすることは望ましい。再スタイリングは、最初のヘアスタイルが作られ、しばらくの間その状態が保たれた後に、ヘアスタイルを変える、例えばカーリーからフラットに又はその逆に、変えることを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の根底にある問題は、ヒト毛髪を再スタイリングする方法であって、結果として毛髪が低損傷又は無損傷である、すなわち中等度の温度で操作し、且つ単に熱処理した自然のままの毛髪よりも安定なスタイリング効果をもたらす方法を提供することである。更に、本発明の根底にある問題は、ヒト毛髪を再スタイリングする組成物を提供することである。
【0009】
この問題は、本発明の組成物によって、及び本発明の方法によって解決される。この組成物は本発明の課題の1つである。この方法は、本発明のもう1つの課題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の組成物は、水溶性で、少なくとも145℃、好ましくは少なくとも160℃の融点を有し、且つスルホン酸基を含むポリマー、及び少なくとも2つのアミノ基を有する有機アミン、及び場合により、好ましくは溶媒、レオロジー調整剤、防腐剤、界面活性剤、乳化剤、香料、顔料及び着色剤からなる群から選択される、更なる化粧用成分を含む組成物である。
【0011】
本発明の方法は、前の段落で定義したポリマー、並びに、好ましくはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン及びテトラヒドロキシプロピルエチレンジアミンからなる群から選択される有機アミンを、好ましくは請求項6に定義した量で、並びに場合により更なる化粧用成分を含む組成物を、ヒト毛髪に塗布すること、その後毛髪を、その表面の組成物と共に、145から250℃まで、好ましくは150から230℃まで、より好ましくは150から190℃まで、より好ましくは160から185℃までの温度で、熱処理し、この熱処理の間にヘアスタイルを変えること、その後毛髪を100℃未満の温度まで放冷すること、並びにその後毛髪を、その表面の組成物と共に、145から250℃まで、好ましくは150から230℃まで、より好ましくは150から190℃まで、より好ましくは160から185℃までの温度で、熱処理することによってヘアスタイルを変えることを含む、ヒト毛髪を再スタイリングする方法である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例の毛束を示す画像である。
図2】実施例の毛束を示す画像である。
図3】実施例の毛束を示す画像である。
図4】実施例の毛束を示す画像である。
図5】実施例の毛束を示す画像である。
図6】実施例の毛束を示す画像である。
図7】実施例の毛束を示す画像である。
図8】実施例の毛束を示す画像である。
図9】実施例の毛束を示す画像である。
図10】実施例の毛束を示す画像である。
図11】実施例の毛束を示す画像である。
図12】実施例の毛束を示す画像である。
図13】実施例の毛束を示す画像である。
図14】実施例の毛束を示す画像である。
図15】実施例の毛束を示す画像である。
図16】実施例の毛束を示す画像である。
図17】実施例の毛束を示す画像である。
図18】実施例の毛束を示す画像である。
図19】実施例の毛束を示す画像である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
水溶性は、20℃で、少なくとも0.1%のポリマーの水溶液、好ましくは少なくとも2%のポリマーの水溶液を(中和剤又は他の添加剤を加えることなしに)作製することが可能であることを意味する。
【0014】
ポリマーの融点は、視覚的に決定することができる。粉末形態のポリマーを、細いガラス管に充填し、初めは不透明であった粉末が透明になるまで、すなわち融解状態になるまで、加熱する。加熱速度は、加熱速度を更に低下させることがより低い融点の決定をもたらすことがないよう、低速を選択する。テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミンは、BASF社から市販品として得ることができる(BASF社の商標はNeutrol(登録商標)TEである)。
【0015】
本発明の組成物又は本発明の方法の一実施形態において、製剤が使用され、且つ製剤は少なくとも1つの更なるポリマーを含み、この更なるポリマーは好ましくは0.1から10重量%までの濃度で使用される。
【0016】
本発明の組成物又は本発明の方法の一実施形態において、製剤が使用され、且つ製剤は少なくとも1つの更なるポリマーを含み、この更なるポリマーはカチオン性であり、好ましくは0.1から10重量%までの濃度で使用される。
【0017】
本発明の組成物又は本発明の方法の一実施形態において、製剤が使用され、且つ製剤は少なくとも1つの更なるポリマーを含み、この更なるポリマーはアニオン性であり、好ましくは0.1から10重量%までの濃度で使用される。
【0018】
本発明の組成物又は本発明の方法の一実施形態において、製剤が使用され、且つ製剤は少なくとも1つの更なるポリマーを含み、この更なるポリマーは非イオン性であり、好ましくは0.1から10重量%までの濃度で使用される。
【0019】
本発明の組成物又は本発明の方法の一実施形態において、製剤が使用され、且つ製剤は種々のポリマーの組合せを含み、これらの更なるポリマーは、0.1から15重量%までの総濃度で、好ましくは0.1から10重量%までの総濃度で、共に使用される。
【0020】
カチオン性ポリマーとの組合せは、一般に、より高い剛性及びより良好なヘアスタイル保持をもたらし、カール保持力及び気象耐性がカチオン性ポリマーの存在によって改善される。
【0021】
本発明の一実施形態において、本発明の組成物におけるポリマーは、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸及びポリスチレンスルホン酸からなる群から選択され、好ましくは、ポリマーは、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸である。
【0022】
記載の有機中和剤はまた、無機及び有機中和剤の混合物が使用されるよう組み合わせることができ、或いは種々の有機中和剤の混合物の使用は、組成物が好ましくは1から14まで、好ましくは3から9までのpH値を有するように、ポリマーの部分的又は完全な中和に至るような量で、用いられる。
【0023】
驚くべきことに、好ましいポリマーの熱活性化後の融解挙動及びスタイリング効果は、中和剤の選択によって調節することができることが分かった。実施例6は、この驚くべき効果を、熱処理した毛束の曲げ剛性値を測定することにより説明している。種々の中和剤の使用は、熱処理後の有意に異なる剛性値をもたらす。有機中和剤は、ストレートニングアイロンからの熱伝達が毛束上のポリマーをおそらくは融解し、それにより冷却後に毛髪繊維を再結合するであろうと考えられるところから、高い剛性値を生じる。この驚くべきプロセスは、水酸化ナトリウムにより中和されたポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸を含有する製剤においては機能しないが、BASF社の有機中和剤Neutrol(登録商標)TE(テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン)を用いると最も効果的(最高の剛性値)である。種々に中和されたポリマーの異なる物理化学的相挙動の正確な科学的説明は存在しないが、製剤を剛性又は柔軟性に関して微調整するために、それは好ましく使用することができる。ポリマーを中和するために使用されるアミン中の2つ以上のアミノ基の存在は、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミンを含む組成物の優れた特性に寄与すると考えられる。
【0024】
実施例7は、乾燥のみされたポリマー溶液の曲げ剛性値が全て同等レベルにあり、実質的に中和剤には依存しないことを示している。乾燥された毛束は、試験装置のカンチレバーによって破断された場合、より大きな断面積を有するので、絶対曲げ剛性値は、実施例6においてよりも高い。
【0025】
好ましいポリマーの中和剤によって種々に処理された毛束はまた、ヘアストレートナー、クリンプアイロン又はカーリングアイロンのような、種々のスタイリング装置によって、150℃から190℃までの好ましい温度範囲において毛髪を再スタイリングするために使用される。実施例8、9及び10は、この驚くべき効果を示す。実施例6の曲げ剛性値に従って、最良の再スタイリング効果は、Neutrol(登録商標)TEを中和剤として使用した場合に得ることができる。トリエタノールアミン又はアミノメチルプロパノールのような、他の有機アミンもまた、良好な結果をもたらす。
【0026】
実施例11及び12は、この驚くべき効果を種々の中和剤を含有する製剤と比較する。画像(図)において、無機中和剤で処理した毛束は広がり、最良のスタイリング結果はNeutrol(登録商標)TEにより達成され得ることを明瞭に見ることができる。ポリマーの融解は可逆的プロセスであるため、再スタイリング処置はまた、種々のスタイリング装置によって繰り返すことができる。150℃から190℃までの中等度の温度範囲であることにより、毛髪自体は、この再スタイリング処置の間に損傷されることはなく、中和剤の選択は、カーリー又はストレート毛髪のような、ヘアスタイルの剛性の調節を可能にする。
【0027】
上に記載のように、中和剤の選択は、熱処理された毛束の剛性に影響を与える。実施例11及び12の画像(図)において、好ましい中和剤及びポリマーのポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸によって処理及び熱活性化された毛束には縮れがより少ないこともまた見られた。特に、より高い剛性値を示している毛束は、150℃から190℃までの好ましい温度範囲における熱活性化後に、ほとんど縮れがない。これもまた、この温度範囲においてスタイリングされた水処理のみの毛束と比較して、主要な利点である。
【0028】
実施例13は、Neutrol(登録商標)TEを含有する製剤の抗縮れ効果が、毛束が高湿度に曝されていた場合にも、機能することを示す。
【0029】
本発明の一実施形態において、組成物は、各々アニオン界面活性剤又はベタイン界面活性剤又は非イオン界面活性剤を含有する、ヘアシャンプー及びシャワーゲルからなる群から選択される、リンスオフ組成物である。
【0030】
本発明の一実施形態において、組成物は、少なくとも1つのアニオン、非イオン又はカチオン界面活性剤を含有するコンディショナーである。
【0031】
本発明のもう1つの課題は、ヒト毛髪をスタイリングするための、本発明のポリマーの使用又は前に定義した製剤若しくは組成物の使用である。好ましくは、この使用は本発明の方法において実施される。
【0032】
本発明の方法の一実施形態において、この方法において使用される製剤は、ゲル、ムース、スプレー、セラム、クリーム及びワックスからなる群から選択される。
【0033】
本発明の組成物の一実施形態において、組成物は非エアゾール組成物であり、且つ組成物は、ゲル、ムース、スプレー、セラム、クリーム及びワックスからなる群から選択される。
【0034】
本発明のポリマーは、水溶性であり、したがって毛髪から容易に洗い落とすことができる。
【0035】
本発明のポリマーは、それを融解することによって、「熱活性化」され得る。このポリマーは、好ましくは非エアゾール製剤において、他のカチオン性、アニオン性又は非イオン性ポリマーと、組み合わせることができる。
【0036】
本発明のポリマーは、製剤、好ましくは、少なくとも1つの更なるカチオン性ポリマー、例えば、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-16、ポリクオタニウム-46又はポリクオタニウム-68を含有する非エアゾール製剤において使用することができる。
【0037】
本発明のポリマーは、製剤、好ましくは、少なくとも1つの更なるアニオン性ポリマー、例えば、アクリレーツコポリマー、アクリレート/メタクリルアミドコポリマー、アクリレーツ/t-ブチルアクリルアミドコポリマー、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニルコポリマー又はポリウレタンを含有する非エアゾール製剤において使用することができる。本発明のポリマーは、少なくとも1つの更なる非イオン性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルカプロラクタム又はポリビニルピロリドン/メタクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマーを更に含む製剤においても使用することができる。
【0038】
本発明の製剤又は組成物は、溶媒、例えばエタノール又はプロパノールを含むことができる。本発明の製剤又は組成物はまた、グリセリン、ソルビトール、パンテノール、タンパク質、レオロジー調整剤、防腐剤、界面活性剤、乳化剤、香料、顔料及び/又は着色剤のような、他の補助成分をも含むことができる。
【0039】
本発明のポリマーは、種々のヘアケア及びスタイリング製剤において製剤化することができる。本発明のポリマーはまた、そのアニオン性により、リンスオフ製剤において、例えば、ラウレス硫酸塩のようなエーテル硫酸塩界面活性剤、及び/又はココアミドプロピルベタインのようなベタイン界面活性剤、或いは、アルキルポリグルコシド又はエトキシル化脂肪アルコールのような非イオン界面活性剤を含有するヘアシャンプーにおいても製剤化することができる。カチオン界面活性剤を含有するヘアケアのためのリーブオンコンディショナーにおける使用が可能であり、更に湿潤時及び乾燥時の櫛通りを向上させることができる。
【0040】
本発明のポリマーの可能な適用処置は次の通りである。製品(ポリマー或いはポリマーを含む製剤又は組成物)を、例えばスプレー、ヘアクリーム、セラム又はコンディショナーを用いて湿った毛髪に塗布した後、毛髪を、ブロードライヤー及びブラシ又は櫛のような梳かし具を用いて乾燥させる。ポリマーはブロー乾燥/梳かし処置を容易にし、ポリマーは毛髪表面に均一に分布される。その後、塗布されたポリマーは、ストレートニングアイロン、カーリングアイロン又はクリンパーのような市販のスタイリング装置を用いて「熱活性化」され得る。
【0041】
本発明のポリマーの潤滑性により、150℃から190℃までの好ましい温度範囲において相が変わることのない他のポリマーと比較して、スタイリング装置の適用は、スムーズに動く。スタイリング装置の滑らかな動きは妨げられることがなく、加熱されたアイロンの毛髪上の滞留時間は更に低減される。したがって、毛髪損傷の可能性は、更に低減される。
【0042】
所望であれば、ポリマー被膜が毛髪上にある間に、ストレートにした毛髪のカーリングのように、毛髪を再スタイリングすることも可能である。ポリマー被膜はまた、標準的なヘアシャンプーを用いて、容易に洗い落とすこともできる。
【0043】
全体として、本発明の組成物は、熱処理装置によるスタイリング又は再スタイリングによる毛髪損傷を防止するためにヘアスタイリング及びヘアケア製剤に多くの新たな特徴を提供する。
【0044】
本発明のポリマーは、ヒト毛髪又は天然及び人工繊維の各々のような表面に塗布することができる。本発明のポリマーは、高温におけるヘアストレートニング又はヘアカーリングのような処置の間の毛髪損傷を防止するために、ゲル、クリーム、ムース、セラム又はスプレーのようなヘアスタイリング製品に、特に有用である。
【0045】
本発明の組成物における使用に適した更なる化粧用成分は、前の段落に記載されている。更に、本明細書の実施例において使用される成分は、好適である。更に、本発明の組成物における使用に適した化粧用成分を収載した、当業者に公知の数多くの教本、例えば「International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook」、第16版、2016年、CTFA編、が存在する。
【実施例
【0046】
濃度は、別の単位が明示的に与えられない限り、重量%(wt%)で示される。
【0047】
濃度は、別の定義が明示的に与えられない限り、有効成分(AM)の濃度を意味する。
【0048】
以下の実施例及び製剤において使用されるBASF社のRheocare(登録商標) HSP 1180は、14重量%AM~18重量%AM(有効成分)のポリマー含有量を有する製品である。したがって、製剤における12.5重量%のRheocare(登録商標) HSP 1180の使用は、結果として生じる製剤中、2重量%AMのポリマーを意味する。
【0049】
[実施例1]
以下のポリマー溶液を調製した:
- ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(BASF社のRheocare(登録商標) HSP 1180)、有効成分1重量%、アミノメチルプロパノールによりpH=6に調節、
- ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(BASF社のRheocare(登録商標) HSP 1180)、有効成分2重量%、アミノメチルプロパノールによりpH=6に調節、
- ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(BASF社のRheocare(登録商標) HSP 1180)、有効成分2重量%、アミノメチルプロパノールによりpH=4に調節、
- ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(BASF社のRheocare(登録商標) HSP 1180)、有効成分5重量%、アミノメチルプロパノールによりpH=6に調節。
【0050】
各実験において、1本の毛束(白人毛髪、2g/15cm長、ラウンド形状)をこれら種々のポリマー溶液に2回浸すことにより処理した。余分な製品は、指で絞ることにより除去した。次いで、湿った毛束を乾燥し、梳かした。次いで、曲げ剛性を、乾燥梳かし後、並びにストレートニングアイロン(Sleek and Curl, S1051、供給会社:Remington)を用いて150℃及び160℃のそれぞれで熱処理した後に、21℃で相対湿度65%の気候調節チャンバー内で、3点法(T.A.Plus Texture Analyzer、供給会社:Stable Micro Systemsにより行った)を用いて決定した。以下の値が得られた:
【0051】
【表1】
曲げ剛性値が高くなるほど毛髪スタイリングの効果及び安定性が高まる。
【0052】
[実施例2]
有効成分2重量%に希釈し且つpH=6に調節した以下のポリマー溶液を試験した:
- ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(BASF社のRheocare(登録商標) HSP 1180)、
- アクリレーツコポリマー(BASF社のLuviflex(登録商標) Soft)、
- VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマー(BASF社のLuviset(登録商標) Clear)。
【0053】
各事例において、10本の毛束(白人毛髪、2g/15cm長、ラウンド形状)をこれら種々のポリマー溶液に2回浸すことにより処理した。余分な製品は、指で絞ることにより除去した。次いで、湿った毛束を、21℃で相対湿度(RH)65%の気候調節チャンバー内で、垂直に吊るすことにより乾燥させた。最終的に、曲げ剛性を、乾燥後、乾燥梳かし後、及びストレートニングアイロンを用いて160℃で熱処理した後に、3点法(T.A.Plus Texture Analyzer、供給会社:Stable Micro Systems)を用いて決定した。以下の値が得られた:
【0054】
【表2】
Rheocare(登録商標) HSP 1180のみが、熱処理後の曲げ剛性を有意に増大するという結果をもたらした。
【0055】
[実施例3]
10本の毛束(白人毛髪、2g/15cm長、ラウンド形状)を、アミノメチルプロパノールでpH=6に調節した、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸の2重量%溶液に2回浸した。余分な製品は、指で絞ることにより除去した。次いで、湿った毛束を、市販のブロードライヤーを用いてブロー乾燥し、同時にブロー乾燥処置の間に、梳かした。最終的に、曲げ剛性を、ブロー乾燥/梳かし後及びストレートニングアイロンを用いて160℃で熱処理した後に、21℃及び/65%RHの気候調節チャンバー内で、3点法(T.A.Plus Texture Analyzer、供給会社:Stable Micro Systems)を用いて決定した。以下の値が得られた:
【0056】
【表3】
ブロー乾燥の間の梳かしは、ポリマーの分布を改善し、したがって熱処理後の曲げ剛性のより大きな増加をもたらすと結論することができる。
【0057】
[実施例4]
10本の毛束(白人毛髪、2g/15cm長、ラウンド形状)を、アミノメチルプロパノールでpH=1.5に調節した、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸の2重量%溶液に2回浸した。余分な製品は、指で絞ることにより除去した。次いで、湿った毛束を、市販のブロードライヤーを用いてブロー乾燥し、同時にブロー乾燥処置の間に梳かした。最終的に、曲げ剛性を、ブロー乾燥/梳かし後及びストレートニングアイロンを用いて160℃で熱処理した後に、21℃で65% RHの気候調節チャンバー内で、3点法(T.A.Plus Texture Analyzer、供給会社:Stable Micro Systems)を用いて決定した。以下の値が得られた:
【0058】
【表4】
実施例3及び4の比較は、pH1.5及び6は類似の結果に至ることを示す。
【0059】
[実施例5]
以下のポリマー溶液の凍結乾燥試料をISO 6321 (eに従って比較した。
- ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(BASF社のRheocare(登録商標) HSP 1180)、アミノメチルプロパノールによりpH=6に調節
- ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(BASF社のLuviskol(登録商標) VA 64)。
【0060】
ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(BASF社のRheocare(登録商標) HSP 1180)は、約160℃の融点を有するが、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(BASF社のLuviskol(登録商標) VA 64)は、約260℃で、融解することなく分解することが分かった。
【0061】
[実施例6]
種々の中和剤により(組成は製剤例を参照)、以下の製剤を調製した:
- 製剤No. HB-DE-16-121-001(水酸化ナトリウムで中和)
- 製剤No. HB-DE-16-121-008(水酸化ナトリウムで中和)
- 製剤No. HB-DE-16-121-012(アミノメチルプロパノールで中和)
- 製剤No. HB-DE-16-121-013(Neutrol(登録商標) TEで中和)
- 製剤No. HB-DE-16-121-018(アミノメチルプロパノールで中和)
- 製剤No. HB-DE-16-121-019(水酸化ナトリウムで中和)
- 製剤No. HB-DE-16-121-020(アミノメチルプロパノールで中和)
- 製剤No. HB-DE-16-121-021(トリエタノールアミンで中和)
【0062】
各実験において、10本の毛束(白人毛髪、2g/15cm長、ラウンド形状)を、これら種々の製剤の溶液に2回浸すことにより、これら種々の製剤で処理した。余分な製品は、指で絞ることにより除去した。次いで、湿った毛束を乾燥し、梳かした。ストレートニングアイロンを用いて160℃で熱処理した後に、21℃で65%の相対湿度の気候調節チャンバー内で、平らにした毛束の曲げ剛性を、3点法(T.A.Plus Texture Analyzer、供給会社:Stable Micro Systemsにより行った)を用いて決定した。以下の値が得られた:
【0063】
【表5】
製剤HB-DE-16-121-001、HB-DE-16-121-013、HB-DE-16-121-020及びHB-DE-16-121-021は、同一のシャシー(chassis)を有し、中和剤のみが変えられていた:
【0064】
【表6】
【0065】
[実施例7]
同一シャシーを有するが中和剤(組成は製剤例を参照)が異なる以下の製剤を調製した:
-製剤No. HB-DE-16-121-001(水酸化ナトリウムで中和)
- 製剤No. HB-DE-16-121-013(Neutrol(登録商標) TEで中和)
- 製剤No. HB-DE-16-121-020(アミノメチルプロパノールで中和)
- 製剤No. HB-DE-16-121-021(トリエタノールアミンで中和)
【0066】
各実験において、10本の毛束(白人毛髪、2g/15cm長、ラウンド形状)を、これら種々の製剤の溶液に2回浸すことにより、これら種々の製剤で処理した。余分な製品は、指で絞ることにより除去した。次いで、湿った毛束を、21℃で65%の相対湿度の気候調節チャンバー内で、一晩、乾燥のみさせた。次いで、21℃で65%の相対湿度の気候調節チャンバー内で、ラウンド形状で且つ乾燥した毛束の曲げ剛性を、3点法(T.A.Plus Texture Analyzer、供給会社:Stable Micro Systemsにより行った)を用いて決定した。以下の値が得られた:
【0067】
【表7】
【0068】
[実施例8]
実施例6の製剤No. HB-DE-16-121-013で処理した1本の毛束を、160℃のストレートニングアイロンで活性化しておき、MiracurlのBabyliss Proを用いて再スタイリングしてカーリー毛束(図1、左)を得た。その後、その毛束を、ストレートニングアイロン(Braun Satin Hair 7)を用いて再度処理して、ストレート毛髪を得た(図2、中央)。最終的に、毛束をカーリングアイロン(BaByliss Pro fashion attitude)を用いて処理し、くっきりとカールされた毛髪を得た(図3、右)。
【0069】
この処置は、好ましい温度範囲の160℃~185℃に調節した他のスタイリング装置を用いて、毛髪を損傷することなく、継続することができる。所望であれば、製品を洗い落すことができる。
【0070】
例えば、製剤No. HB-DE-16-121-013を、頭上の毛束に噴霧して、水処理のみの毛束よりも、保持力及び湿度耐性に優れた特別なヘアスタイル効果を創出することも可能である(実施例8を参照)。
【0071】
[実施例9]
実施例6の製剤No. HB-DE-16-121-020で処理した1本の毛束を160℃のストレートニングアイロンで活性化しておき、MiracurlのBabyliss Proを用いて再スタイリングしてカーリー毛束(図4、左)を得た。
【0072】
その後、その毛束を、ストレートニングアイロン(Braun Satin Hair 7)を用いて再度処理して、ストレート毛髪を得た(図5、中央)。最終的に、毛束をカーリングアイロン(BaByliss Pro fashion attitude)を用いて処理し、くっきりとカールされた毛髪を得た(図6、右)。
【0073】
[実施例10]
実施例6の製剤No. HB-DE-16-121-021で処理した1本の毛束を160℃のストレートニングアイロンで活性化しておき、MiracurlのBabyliss Proを用いて再スタイリングしてカーリー毛束(図7、左)を得た。
【0074】
その後、その毛束を、ストレートニングアイロン(Braun Satin Hair 7)を用いて再度処理して、ストレート毛髪を得た(図8、中央)。最終的に、毛束をカーリングアイロン(BaByliss Pro fashion attitude)を用いて処理し、くっきりとカールされた毛髪を得た(図9、右)。
【0075】
[実施例11]
実施例6の製剤No. HB-DE-16-121-001、HB-DE-16-121-013、HB-DE-16-121-020及びHB-DE-16-121-021(同一のシャシーだが、中和剤が異なる)で処理した4本の毛束を、160℃のストレートニングアイロンで活性化しておき、カーリングアイロン(BaByliss Pro fashion attitude)を用いて再スタイリングした後に比較した。
【0076】
【表8】
【0077】
[実施例12]
実施例6の製剤No. HB-DE-16-121-001、HB-DE-16-121-013、HB-DE-16-121-020及びHB-DE-16-121-021(同一のシャシーだが、中和剤が異なる)で処理した4本の毛束を、160℃のストレートニングアイロンで活性化しておき、クリンプアイロン(Ghd contour professional)を用いて再スタイリングした後に比較した。図(14、15、16、17)は、スタイリング効果を視覚化するために、毛束の側方から撮ったものである。
【0078】
【表9】
【0079】
[実施例13]
実施例8の毛束(図3、右、製剤No. HB-DE-16-121-013)及び水処理のみの毛束で、同様にカーリングアイロン(BaByliss Pro fashion attitude)で処理したものを、21℃/65%RHの気候調節コンテナ内に18時間置いた。
【0080】
図18において、水処理した毛束は広がっていることが認められ、製剤No. HB-DE-16-121-013で処理した毛束(図19)は、広がっておらず、縮れも見られない。
【0081】
実施例の解釈
実施例は、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸は、(融解することにより)「熱活性化」され得ることを示す。このポリマーで処理した毛髪は、ストレートニングアイロン、カーリングアイロン又はクリンパーのような市販のスタイリング装置を用いて、中等度の温度で容易にスタイリングすることができる。スタイリング効果は、製剤において使用された中和剤に強く依存する。実施例6、11及び12は、この驚くべき効果を示している。有機中和剤、特にNeutrol TE(テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン)の使用は、毛束の再スタイリングを可能にし、くっきりしたヘアスタイルをもたらす。
【0082】
これらの装置は、約160℃から230℃までの温度において作動させることができる。ポリマーの独特な性能により、好ましい適用温度は、160℃から185℃までであり得る。この温度範囲では、毛髪を損傷することを回避することができ、塗布され熱活性化されたポリマー被膜は、熱処理された自然のままの毛髪よりも機械的な又は湿度の影響に対してより耐性がある所望のヘアスタイルを形成する。
【0083】
実施例3及び4は、好ましい適用処置を示す。製品を、例えばスプレー、ヘアクリーム又はコンディショナーを用いて、湿った毛髪に塗布した後、毛髪を、ブロードライヤー及びブラシ又は櫛のような梳かし具を用いて、乾燥させる。ポリマーは、ブロー乾燥/梳かし処置を容易にし、ポリマーは毛髪表面に均一に分布される。その後、塗布されたポリマーは、ストレートニングアイロン、カーリングアイロン又はクリンパーのような市販のスタイリング装置を用いて「熱活性化」され得る。所望であれば、ポリマー被膜が毛髪上にある間に、ストレートにした毛髪のカーリングのように、毛髪を再スタイリングすることも可能である。ポリマー被膜はまた、標準的なヘアシャンプーを用いて、容易に洗い落とすこともできる。
【0084】
以下の製剤を調製し、試験した。%は、重量%を意味する。以下の製剤に使用されるBASF社のRheocare(登録商標) HSP 1180は、14重量%AMから18重量%AMまでのポリマー含有量を有する製品である。したがって、製剤における12.5重量%のRheocare(登録商標) HSP 1180の使用は、結果として生じる製剤中で2重量%AMのポリマーを意味する。
【0085】
製剤例
製剤No. HB-DE-16-121-001:ポンプスプレー
【0086】
【表10】
Rheocare(登録商標) HSP 1180は、約14から18重量%までのポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸を含有する水溶液である。
【0087】
特性:
pH値 4.67
粘度(23℃、Brookfield RVT、Sp4、10rpm) 1700mPa・s
外観 わずかに帯黄色、透明
【0088】
製造方法:
Rheocare HSP (登録商標)1180を水及びエタノールの混合物に溶解する。水酸化ナトリウムで、pHを~6に調節し、B相の成分を加える。C相を別個に溶解し、混合相A+Bに加える。必要であれば、D相によりpHを調節する。
【0089】
製剤No. HB-DE-16-121-004:セラム
【0090】
【表11】
【0091】
特性:
pH値 4.87
粘度(23℃、Brookfield RVT、Sp4、10rpm) 1020mPa・s
外観 不透明
【0092】
製造方法:
Rheocare(登録商標) HSP 1180を水に溶解し、pHを~4に調節する。A相の他の成分を1つずつ、加える。B相を別個に溶解し、A相に加える。必要であれば、C相によりpH<5に調節する。
【0093】
製剤No. HB-DE-16-121-005:へアゲル
【0094】
【表12】
【0095】
特性:
pH値 6.41
粘度(23℃、Brookfield RVT、Sp4、10rpm) 19200mPa・s
外観 透明、わずかに帯黄色のゲル
【0096】
製造方法:
Rheocare(登録商標) HSP 1180を水及びエタノールの混合物に溶解する。水酸化ナトリウムで、pHを~6に調節する。A相の他の成分を、1つずつ加える。B相を別個に溶解し、A相に加える。必要であれば、C相によりpHを調節する。
【0097】
製剤No. HB-DE-16-121-006:2相ポンプスプレー
【0098】
【表13】
【0099】
特性:
pH値 7.10
粘度(23℃、Brookfield RVT、Sp4、10rpm) 700mPa・s
外観 白色、乳状、真珠光沢
【0100】
製造方法:
Rheocare(登録商標) HSP 1180を水に溶解する。水酸化ナトリウムで、pHを~6に調節する。A相の他の成分を加える。B相を加える。C相によりpHを調節する。
【0101】
製剤No. HB-DE-16-121-007:ポンプスプレー
【0102】
【表14】
【0103】
特性:
pH値 6.11
粘度(23℃、Brookfield RVT、Sp4、10rpm) 1060mPa・s
外観 透明、帯黄色
【0104】
製造方法:
Rheocare(登録商標) HSP 1180を水及びエタノールの混合物に溶解する。水酸化ナトリウムで、pHを~6に調節する。A相の他の成分を、1つずつ加える。B相を別個に溶解し、A相に加える。C相によりpHを調節する。D相を加える。
【0105】
製剤No. HB-DE-16-121-008:ムース
【0106】
【表15】
【0107】
特性:
pH値 6.65
粘度(23℃、Brookfield RVT、Sp4、10rpm) 440mPa・s
外観 白色、乳状
【0108】
製造方法:
Rheocare(登録商標) HSP 1180を水に溶解する。pHを~6に調節する。A相の他の成分を加える。B相によりpHを調節する。
【0109】
製剤を適切なエアゾール容器に充填し、90:10から96:4までの比(溶液:噴射剤の比)で、以下の噴射剤のいずれか1つ又は混合物と共に充填する。
- プロパン/ブタン2.7bar
- プロパン/ブタン3.5bar
- プロパン/ブタン4.5bar
- イソブタン
- n-ブタン
- HFC 152a
【0110】
製剤No. HB-DE-16-121-012:ポンプムース
【0111】
【表16】
【0112】
特性:
pH値 4.84
粘度(23℃、Brookfield RVT、Sp4、10rpm) 1080mPa・s
外観 透明、わずかに帯黄色
【0113】
製造方法:
Rheocare(登録商標) HSP 1180を水に溶解する。pHを~4に調節する。A相の他の成分を加える。B相によりpH<5に調節する。
【0114】
製剤No. HB-DE-16-121-013:ポンプスプレー
【0115】
【表17】
【0116】
特性:
pH値 4.85
粘度(23℃、Brookfield RVT、Sp4、10rpm) 860mPa・s
外観 わずかに帯黄色、透明
【0117】
製造方法:
Rheocare HSP (登録商標)1180を水及びエタノールの混合物に溶解する。Neutrol(登録商標) TEで、pHを~6に調節し、B相の成分を加える。C相を別個に溶解し、混合相A+Bに加える。必要であれば、D相によりpHを調節する。
【0118】
製剤No. HB-DE-16-121-018:ムース
【0119】
【表18】
【0120】
特性:
pH値 7.0
粘度(23℃、Brookfield RVT、Sp4、10rpm) 480mPa・s
外観 わずかに帯黄色、混濁
【0121】
製造方法:
Rheocare(登録商標) HSP 1180を水に溶解する。pHを~6に調節する。A相の他の成分を加える。必要であれば、B相によりpHを調節する。
【0122】
製剤No. HB-DE-16-121-019:ポンプムース
【0123】
【表19】
【0124】
特性:
pH値 4.85
粘度(23℃、Brookfield RVT、Sp4、10rpm) 860mPa・s
外観 透明、わずかに帯黄色
【0125】
製造方法:
Rheocare(登録商標) HSP 1180を水に溶解する。pHを~4に調節する。A相の他の成分を加える。B相によりpHを<5に調節する。
【0126】
製剤No. HB-DE-16-121-020:ポンプスプレー
【0127】
【表20】
【0128】
特性:
pH値 4.76
粘度(23℃、Brookfield RVT、Sp4、10rpm) 2520mPa・s
外観 わずかに帯黄色、透明
【0129】
製造方法:
Rheocare HSP (登録商標)1180を水及びエタノールの混合物に溶解する。アミノメチルプロパノールで、pHを~6に調節し、B相の成分を加える。C相を別個に溶解し、混合相A+Bに加える。必要であれば、D相によりpHを調節する。
【0130】
製剤No. HB-DE-16-121-021:ポンプスプレー
【0131】
【表21】
【0132】
特性:
pH値 4.72
粘度(23℃、Brookfield RVT、Sp4、10rpm) 2040mPa・s
外観 わずかに帯黄色、透明
【0133】
製造方法:
Rheocare HSP (登録商標)1180を水及びエタノールの混合物に溶解する。トリエタノールアミンで、pHを~6に調節し、B相の成分を加える。C相を別個に溶解し、混合相A+Bに加える。必要であれば、D相によりpHを調節する。
本発明の実施形態として例えば以下を挙げることができる。
項1
水溶性で、少なくとも145℃、好ましくは少なくとも160℃の融点を有し、且つスルホン酸基を含むポリマー、及び
少なくとも2つのアミノ基を有する有機アミン、及び
場合により、好ましくは溶媒、レオロジー調整剤、防腐剤、界面活性剤、乳化剤、香料、顔料及び着色剤からなる群から選択される、更なる化粧用成分
を含む組成物。
項2
ポリマーが、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸及びポリスチレンスルホン酸からなる群から選択され、好ましくは、ポリマーが、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸である、項1に記載の組成物。
項3
少なくとも2つのアミノ基を有する有機アミンが、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン及びテトラヒドロキシプロピルエチレンジアミンからなる群から選択される、項1又は2に記載の組成物。
項4
少なくとも2つのアミノ基を有する有機アミンが、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミンである、項3に記載の組成物。
項5
ポリマーが、0.1から10重量%まで、好ましくは0.5から2.5重量%までの量で存在する、項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
項6
少なくとも2つのアミノ基を有する有機アミンが、ポリマーの部分的又は完全な中和をもたらす量で存在し、且つ組成物が、1から14まで、好ましくは3から9までのpH値を有する、項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
項7
組成物が少なくとも1つの更なるポリマーを含み、この更なるポリマーが、好ましくは0.1から10重量%までの濃度で存在し、且つ非イオン性ポリマー、アニオン性ポリマー又はカチオン性ポリマーからなる群から選択される、項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
項8
組成物がエアゾール製剤又は非エアゾール製剤であって、且つ製剤が、ゲル、ムース、スプレー、セラム及びワックスからなる群から選択される、項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
項9
項1又は2に定義したポリマーを、好ましくは項5に定義した量で、並びに、
好ましくはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン及びテトラヒドロキシプロピルエチレンジアミンからなる群から選択される、有機アミンを、好ましくは項6に定義した量で、並びに
場合により更なる化粧用成分
を含む組成物を、ヒト毛髪に塗布すること、
その後毛髪を、その表面の組成物と共に、145から250℃まで、好ましくは150から230℃まで、より好ましくは150から190℃まで、より好ましくは160から185℃までの温度で、熱処理し、この熱処理の間にヘアスタイルを変えること、
その後毛髪を100℃未満の温度まで放冷すること、並びに
その後毛髪を、その表面の組成物と共に、145から250℃まで、好ましくは150から230℃まで、より好ましくは150から190℃まで、より好ましくは160から185℃までの温度で、熱処理することによってヘアスタイルを変えること
を含む、ヒト毛髪を再スタイリングする方法。
項10
組成物が、項1から8のいずれか一項に記載の組成物である、項9に記載の方法。
項11
ヘアスタイルを変えることが、ストレートニングアイロン、カーリングアイロン又はクリンパーからなる群から選択されるスタイリング装置によって行われる、項9又は10に記載の方法。
項12
ヒト毛髪を再スタイリングするための、項1又は2に記載のポリマーの使用又は項1から8のいずれか一項に記載の組成物の使用であって、再スタイリングが、
ポリマー又は組成物をヒト毛髪に塗布すること、
その後毛髪を、その表面のポリマー又は組成物と共に、145から250℃まで、好ましくは150から230℃まで、より好ましくは150から190℃まで、より好ましくは160から185℃までの温度で、熱処理し、この熱処理の間にヘアスタイルを変えること、
その後毛髪を100℃未満の温度まで放冷すること、及び
その後毛髪を、その表面のポリマー又は組成物と共に、145から250℃まで、好ましくは150から230℃まで、より好ましくは150から190℃まで、より好ましくは160から185℃までの温度で、熱処理することによってヘアスタイルを変えること
を含む、使用。
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