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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】ポリオキサゾリドン及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20230724BHJP
   C08G 18/18 20060101ALI20230724BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
C08G18/00 030
C08G18/18
C08G18/76
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019537108
(86)(22)【出願日】2018-02-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-19
(86)【国際出願番号】 EP2018053612
(87)【国際公開番号】W WO2018149844
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2021-02-10
(31)【優先権主張番号】17000254.7
(32)【優先日】2017-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17190143.2
(32)【優先日】2017-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17208317.2
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】トマス,ハンス-ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】シュッテ,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】エリンク,ベレント
(72)【発明者】
【氏名】マット,パトリク
【審査官】吉田 早希
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-054027(JP,A)
【文献】国際公開第2016/102358(WO,A1)
【文献】特表平06-504080(JP,A)
【文献】特開2012-251161(JP,A)
【文献】国際公開第2014/076024(WO,A1)
【文献】特表2014-516374(JP,A)
【文献】特開平03-059018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00 - 18/87
C08G 71/00 - 71/04
C08K 3/00 - 13/08
C08L 1/00 - 101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともジイソシアネート及びジエポキシドから触媒を用いて製造される熱可塑性ポリマーであって、前記触媒が、次の式(I)
【数1】
(式中、nは1、2、3又は4であり、
[A]は、第四級アンモニウムカチオンであり、少なくとも1個の窒素原子及び更に任意に酸素又は硫黄原子を有する少なくとも1種の5~6員複素環を含み、前記複素環の前記窒素原子はC~C18‐アルキルで四級化され;及び
[Y]n‐は、一価、二価、三価又は四価のアニオンである)
を有する塩を含むイオン液体である、熱可塑性ポリマー。
【請求項2】
前記触媒が、1‐エチル‐3‐メチルイミダゾリウムブロマイド(EMIM‐Br)、1‐エチル‐3‐メチルイミダゾリウムクロリド(EMIM‐Cl)、1‐エチル‐3‐メチルイミダゾリウムジシアンジアミド(EMIM‐DICY)、1‐エチル‐3‐メチルイミダゾリウムヨージド(EMIM‐I)、1‐エチル‐3‐メチルイミダゾリウムジエチルホスフェート(EMIM‐DEP)、1‐ベンジル‐3‐メチルイミダゾリウムクロリド(BEMIM‐Cl)、1‐ブチル‐1‐メチルピペリジニウムクロリド(BMPM‐Cl)及び1‐(2‐ヒドロキシエチル)‐3‐メチルイミダゾリウムクロリド(HEMIM-Cl)の群から選択される、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
前記触媒が、1‐エチル‐3‐メチルイミダゾリウムブロマイド(EMIM‐Br)、1‐ベンジル‐3‐メチルイミダゾリウムクロリド(BEMIM‐Cl)、1‐ブチル‐1‐メチルピペリジニウムクロリド(BMPM‐Cl)、1‐(2‐ヒドロキシエチル)‐3‐メチルイミダゾリウムクロリド(HEMIM‐Cl)の群から選択される、請求項1または2に記載のポリマー。
【請求項4】
前記触媒に加えて、尿素誘導体である共触媒を使用する、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項5】
前記ジエポキシドが、ビスフェノールA、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル又はこれら2種の混合物をベースとするジエポキシドの群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項6】
使用する前記ジエポキシドが、カルダノールをベースとするジグリシジルエーテルと組み合わせた、ビスフェノールA又はビスフェノールFのジグリシジルエーテルの混合物、又はその2種の混合物である、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項7】
前記ジイソシアネートが芳香族ジイソシアネートである、請求項1から6のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項8】
前記ジイソシアネートが、トリレンジイソシアネート(TDI)、ナフチレン1,5‐ジイソシアネート(NDI)又はジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、又はこれらのイソシアネートのうち少なくとも2種の混合物である、請求項1から7のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のポリマーを、少なくともジイソシアネート及びジエポキシドから触媒を用いて製造する方法であって、前記触媒が、次の式(I)
【数2】
(式中、nは1、2、3又は4であり、
[A]は、第四級アンモニウムカチオンであり、少なくとも1個の窒素原子及び更に任意に酸素又は硫黄原子を有する少なくとも1種の5~6員複素環を含み、前記複素環の前記窒素原子はC~C18‐アルキルで四級化され;及び
[Y]n‐は、一価、二価、三価又は四価のアニオンである)
を有する塩であるイオン液体であり、
- 前記ジエポキシド及び前記触媒を反応温度に加熱する、及び
- 次いで前記ジイソシアネートを計量して入れる、方法。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載のポリマーを、少なくともジイソシアネート及びジエポキシドから触媒を用いて製造する方法であって、前記触媒が、次の式(I)
【数3】
(式中、nは1、2、3又は4であり、
[A]は、第四級アンモニウムカチオンであり、少なくとも1個の窒素原子及び更に任意に酸素又は硫黄原子を有する少なくとも1種の5~6員複素環を含み、前記複素環の前記窒素原子はC~C18‐アルキルで四級化され;及び
[Y]n‐は、一価、二価、三価又は四価のアニオンである)
を有する塩であるイオン液体であり、
- 前記触媒を溶媒中に溶解し、前記溶媒と共に反応温度に加熱する、及び
- 前記ジイソシアネートと前記ジエポキシドとの混合物を計量して入れる、方法。
【請求項11】
前記反応が酸素を除いて行われる、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記反応温度が140℃~220℃の範囲である、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ジエポキシドの前記ジイソシアネートに対するモル比が、1.0:0.5~0.5:1.0の範囲である、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記触媒濃度が、前記ジエポキシドのエポキシド基に対して0.05モル%~5.0モル%である、請求項9から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記触媒に加えて、尿素誘導体である共触媒を使用すると共に、
前記共触媒の濃度が、前記ジエポキシドのエポキシド基に対して0.01モル%~1000モル%である、請求項9から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
射出成形、カレンダー加工、粉末焼結、レーザー焼結、融解圧縮又は押出しによる成形品の製造のために、又は熱可塑性材料用の改質剤として、請求項1から8のいずれか一項に記載のポリマーを使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオキサゾリドンとも称される、ジイソシアネート及びジエポキシドをベースとする熱可塑性ポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
ジイソシアネート及びジエポキシドをベースとするポリオキサゾリドンの製造は、原則として既知である。この場合、例えばDE102014226838A1で述べられているように、焦点の大部分は架橋構造に向けられている。イソシアネートとエポキシドから出発して、ポリオキサゾリドンの熱可塑特性に対して不利な影響を有する一連の副反応がここで起こる。
【0003】
直鎖ポリオキサゾリドンの合成は、文献WO2015/173111A1、WO2015/173110A1、US2014/012299、DE102014226226838A1及びWO2014/076024A1に記載されている。しかしながら、ここに記載された触媒は、触媒としてのイオン液体の使用を伴わない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】DE102014226838A1
【文献】WO2015/173111A1
【文献】WO2015/173110A1
【文献】US2014/012299
【文献】DE102014226226838A1
【文献】WO2014/076024A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明の目的は、ポリオキサゾリドンの特性、特に熱可塑特性に不利な影響を及ぼさないように、副反応が僅かな程度にしか起こらない場合の、熱可塑性ポリオキサゾリドンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
驚くべきことに、最終生成物中にも存在することができる適した触媒を用いてポリオキサゾリドンを製造することによって、ポリオキサゾリドンの生成物特性、特に熱可塑特性も、大幅に改善することが可能であった。
【0007】
故に本発明は、少なくともジイソシアネート及びジエポキシドから触媒を用いて製造されるポリマーに関する。その触媒はイオン液体である。
【0008】
本発明は更にこのポリマーの製造方法及びその使用方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ジエポキシド
ジエポキシドは、分子当たり好ましくは厳密に2個のエポキシド基を有するエポキシドである。これらのエポキシドは、飽和又は不飽和、脂肪族、脂環式、芳香族又は複素環式のいずれでも可能である。それらは、反応条件下で妨害副反応を引き起こさない置換基、例えばアルキル又はアリール置換基、エーテル基などを更に含むことができる。
【0010】
ジエポキシドは、好ましくは、二価アルコール、フェノール、これらのフェノールの水素化生成物及び/又はノボラックをベースとするポリグリシジルエーテルである。ノボラックは、フェノールとアルデヒドとの、特にホルムアルデヒドとの、酸性触媒の存在下での反応生成物であり、ここでジグリシジルエーテルが特に好ましい。しかしながら、エーテル基を含有しない他の構造をベースとするジエポキシドも可能である。
【0011】
他の好ましいジエポキシドは、天然原材料のジグリシジルエーテル、好ましくはカルダノールをベースとする。そのような生成物の典型的な例は、Cardolite NC 514(Cardolite社から)である。このエポキシドの利点は芳香族系間の比較的長いアルキル鎖であり、このアルキル鎖は、このエポキシドから製造されるポリマーに、より大きな程度の柔軟性をもたらす。脂肪族構造要素の利点は、芳香族ジグリシジルエーテルと組み合わせると特に効果的である。従って、脂肪族ジグリシジルエーテルをベースとする芳香族ジグリシジルエーテルと組み合わせたジエポキシドが特に好ましい。
【0012】
これらのエポキシド化合物のエポキシド当量(EEW)は、好ましくは100~5000の間、特に150~500の間である。ここで、物質のエポキシド当量は、1モルのオキシラン環を含む物質の(グラムでの)量として定義される。決定方法は、実施例に記載する。
【0013】
次の化合物が多価フェノールとして好ましく考慮される:レゾルシノール、ヒドロキノン、2,2‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ジヒドロキシジフェニルメタンの異性体混合物(ビスフェノールF)、テトラブロモビスフェノールA、4,4’‐ジヒドロキシジフェニルシクロヘキサン、4,4’‐ジヒドロキシ‐3,3‐ジメチルジフェニルプロパン、4,4’‐ジヒドロキシジフェニル、4,4’‐ジヒドロキシベンゾフェノール、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)‐1,1‐エタン、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)‐1,1‐イソブタン、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)スルホン、とりわけ、上記化合物の塩素化及び臭素化生成物;ここで、ビスフェノールAが非常に特に好ましい。ビスフェノールAジグリシジルエーテルの市販品の例は、DOW USA社のDER 331、DER 330、又はドイツLeuna Harze社のEpilox A18‐00である。
【0014】
イソシアネート
本発明の場合、「ジイソシアネート」は、好ましくは次のリストから選択される、単一の物質又は物質の混合物のいずれかであると理解される。ジイソシアネートは、好ましくは有機イソシアネート、より好ましくは脂肪族、脂環式、芳香脂肪族及び/又は芳香族イソシアネートであり、更に好ましくはトリ‐、テトラ‐、ペンタ‐、ヘキサ‐、ヘプタ‐及び/又はオクタメチレンジイソシアネート、2‐メチルペンタメチレン1,5‐ジイソシアネート、2‐エチルブチレン‐1,4‐ジイソシアネート、ペンタメチレン‐1,5‐ジイソシアネート、ブチレン‐1,4‐ジイソシアネート、1‐イソシアナト‐3,3,5‐トリメチル‐5‐イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4‐及び/又は1,3‐ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、シクロヘキサン1,4‐ジイソシアネート、1‐メチルシクロヘキサン2,4‐及び/又は2,6‐ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’‐、2,4’‐及び/又は2,2’‐ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,2’‐、2,4’‐及び/又は4,4’‐ジイソシアネート(MDI)、ナフチレン1,5‐ジイソシアネート(NDI)、トリレン‐2,4‐及び/又は2,6‐ジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニル3,3’‐ジイソシアネート、ジフェニルエタン1,2‐ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’‐、2,4’‐及び2,2’‐ジイソシアネート(H12MDI)、パラフェニレン2,4‐ジイソシアネート(PPDI)、テトラメチレンキシレン2,4‐ジイソシアネート(TMXDI)、好ましくはジフェニルメタン2,2’‐、2,4’‐及び/又は4,4’‐ジイソシアネート(MDI)及び/又はヘキサメチレン1,6‐ジイソシアネート(HDI)の群から選択される。上記のリストから選択される芳香族ジイソシアネートが好ましい。イソシアネートは、更に好ましくは、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及びナフチレン1,5‐ジイソシアネート(NDI)の群から選択される。トリレンジイソシアネート(TDI)又はジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が、非常に特に好ましい。
【0015】
触媒
熱可塑性ポリマーの製造に使用される触媒はイオン液体である。イオン液体は有機塩であり、そのイオンは、電荷の非局在化及び立体効果の結果として、安定した結晶格子の形成を妨げる。従って、格子エネルギーに打ち勝ち、固体結晶構造を破壊するのには、ほんの僅かな量の熱エネルギーで十分である。故にそれらイオン液体は、250℃未満、好ましくは200℃未満、特に好ましくは150℃未満の温度で液体である塩であり、ここで、その塩は、水などの溶媒中に溶解しない。
【0016】
イオン液体のカチオンは、好ましくはアルキル化されており、更に好ましくは次の群:イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、グアニジニウム、ウロニウム、チオウロニウム、ピペリジニウム、モルホリニウム、アンモニウム及びホスホニウム、から選択される。イオン液体中のアニオンは、好ましくは:テトラフルオロボレート、トリフルオロアセテート、トリフレート、ヘキサフルオロホスフェート、ホスフィネート及びトシレートの群から選択される、ハロゲン化物又は錯イオンであることが好ましい。別の好ましい実施形態では、アニオンは有機イオン、好ましくはイミド又はアミドである。
【0017】
本発明の意味内で、イオン液体は、好ましくは以下の一般式の塩である。
【0018】
(A) 一般式(I)
【化1】
(式中、nは1、2、3又は4であり、[A]は第四級アンモニウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウムカチオン又はホスホニウムカチオンであり、[Y]n-は一価、二価、三価又は四価のアニオンである)
の塩;又は
(B)一般式(II)の混合塩
[A[A[Y]n‐ (IIa)、式中n=2;
[A]+[A]+[A]+[Y]n‐ (IIb)、式中n=3;又は
[A[A[A[A[Y]n- (IIc)、式中n=4、及び
[A、[A、[A及び[Aは、それぞれ独立して[A]について述べた群から選択され、[Y]n-は、(A)において述べた意味を有する;又は
(C)一般式(III)の混合塩
[A[A[A[M[Y]n- (IIIa)、式中n=4;
[A[A[M[M[Y]n- (IIIb)、式中n=4;
[A[M[M[M[Y]n- (IIIc)、式中n=4;
[A[A[M[Y]n- (IIId)、式中n=3;
[A[M[M[Y]n- (IIIe)、式中n=3;
[A[M[Y]n- (IIIf)、式中n=2;
[A[A[M2+[Y]n- (IIIg)、式中n=4;
[A[M[M2+[Y]n- (IIIh)、式中n=4;
[A[M3+[Y]n- (IIIi)、式中n=4;又は
[A[M2+[Y]n- (IIIj)、式中n=3及び、
[A、[A及び[Aは、それぞれ独立して[A]について述べた群から選択され、[Y]n-は、(A)において述べた意味を有し、[M、[M、[Mは一価の金属カチオン、[M2+は二価の金属カチオン及び[M3+は三価の金属カチオンである。
【0019】
イオン液体のカチオン[A]を形成するのに適した化合物は、例えばDE10202838A1から既知である。例えば、そのような化合物は、酸素、リン、硫黄又は特に窒素原子、例えば少なくとも1個の窒素原子、好ましくは1~10個の窒素原子、特に好ましくは1~5個、非常に特に好ましくは1~3個、及び特に1~2個の窒素原子を含み得る。酸素、硫黄又はリン原子などのさらなるヘテロ原子も、任意に存在することができる。窒素原子は、イオン液体のカチオン中の正電荷の適した担体であり、このカチオンから平衡状態で、プロトン又はアルキルラジカルがアニオンに移動して電気的に中性の分子を生成することができる。
【0020】
窒素原子がイオン液体のカチオン中の正電荷の担体である場合、カチオンは、例えばアミン又は窒素複素環の窒素原子の四級化によるイオン液体の合成において、最初に生成することができる。四級化は、窒素原子のアルキル化によって達成することができる。使用するアルキル化試薬に応じて、異なるアニオンを有する塩が得られる。四級化において所望のアニオンを直接形成することが不可能である場合、これはさらなる合成工程において実施することができる。例えば、アンモニウムハロゲン化物から出発して、ハロゲン化物をルイス酸と反応させて、ハロゲン化物及びルイス酸から錯アニオンを形成することができる。代替として、所望のアニオンに対するハロゲン化物イオンの交換が可能である。これは、イオン交換体による、形成された金属ハロゲン化物の沈殿を伴う金属塩の添加によって、又は強酸によるハロゲン化物イオンの置換(ハロゲン化水素酸の遊離(liberation)を伴う)によって、達成することができる。適した方法は、例えばAngew.Chem.2000、112、第3926頁~第3945頁及びそこに引用されている文献に記述されている。
【0021】
アミン又は窒素複素環の窒素原子を四級化することができる適したアルキルラジカルは、例えば、C~C18‐アルキル、好ましくはC~C10‐アルキル、特に好ましくはC~C‐アルキル、非常に特に好ましくはメチルである。アルキル基は、非置換である、又は1種以上の同一又は異なる置換基を有することができる。
【0022】
少なくとも1個の窒素原子及び任意に酸素又は硫黄原子を有する、少なくとも1個の5~6員複素環、特に5員複素環を含む化合物が好ましく、1、2又は3個の窒素原子及び1個の硫黄又は酸素原子を有する少なくとも1個の5~6員複素環を含む化合物が特に好ましく、2個の窒素原子を有するものが非常に特に好ましい。芳香族複素環が更に好ましい。
【0023】
特に好ましい化合物は、1000g/モル未満、非常に特に好ましくは500g/モル未満のモル質量を有するものである。
【0024】
更に、式(IVa)~(IVx3)
【化2】



の化合物から選択されるカチオン、及びこれらの構造を含むオリゴマーが好ましい。
【0025】
更に適したカチオンは、一般式(IVy)及び(IVz)
【化3】
の化合物、及びこれらの構造を含むオリゴマーである。
【0026】
上述の式(IVa)~(IVz)において、
- ラジカルRは、水素、1~20個の炭素原子を有し、非置換であるか又は1~5個のヘテロ原子又は適した官能基で遮断又は置換されている、炭素を含有する有機、飽和又は不飽和、非環式又は環式、脂肪族、芳香族又は芳香脂肪族ラジカルであり;及び
- ラジカルR~Rは、それぞれ独立して、水素、スルホ基又は1~20個の炭素原子を有し、非置換であるか又は1~5個のヘテロ原子又は適した官能基で遮断又は置換されている、炭素を含有する有機、飽和又は不飽和、非環式又は環式、脂肪族、芳香族又は芳香脂肪族ラジカルであり、ここで上述の式(IV)中で炭素原子に結合している(ヘテロ原子には結合していない)ラジカルR~Rは更にハロゲン又は官能基であり得;又は
- R~Rのうちの2個の隣接するラジカルは一緒になって、1~30個の炭素原子を有し、非置換であるか又は1~5個のヘテロ原子又は適した官能基で遮断又は置換されている、二価の炭素を含有する有機、飽和又は不飽和、非環式又は環式、脂肪族、芳香族又は芳香脂肪族ラジカルである。
【0027】
ラジカルR及びR~Rの定義において可能なヘテロ原子は、原則として、形式的な意味では、‐CH‐、‐CH‐、‐C≡又は=C=基を置き換えることができるすべてのヘテロ原子である。炭素を含有するラジカルがヘテロ原子を含む場合、酸素、窒素、硫黄、リン及びケイ素が好ましい。好ましい基として特に、‐O‐、‐S‐、‐SO‐、‐SO‐、‐NR’‐、‐N=、‐PR’‐、‐PR’及び‐SiR’‐が挙げられ、ラジカルR’は炭素を含有するラジカルの残りの部分である。ここで、ラジカルR~Rは、上述の式(IV)において、炭素原子に結合している(ヘテロ原子には結合していない)場合には、ヘテロ原子を介して直接結合することもできる。
【0028】
可能な官能基は、原則として、炭素原子又はヘテロ原子に結合することができるすべての官能基である。適した例は、‐NR’及び‐CN(シアノ)である。官能基及びヘテロ原子は直接隣接していてもよく、複数の隣接した原子の組み合わせ、例えば‐O‐(エーテル)、‐S‐(チオエーテル)、‐COO‐(エステル)又は‐CONR’‐(第三級アミド)、例えば、ジ(C~C‐アルキル)アミノ、C~C‐アルキルオキシカルボニル又はC~C‐アルキルオキシも同様に包含される。ラジカルR’は、炭素を含有するラジカルの残りの部分である。
【0029】
好ましいハロゲンは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素である。
【0030】
好ましくは、ラジカルRは、
‐ 合計で1~20個の炭素原子を有し、かつ非置換であるか、又はハロゲン、フェニル、シアノによって一~多置換されている非分岐又は分岐C~C18‐アルキル、例えば、メチル、エチル、1‐プロピル、2‐プロピル、1‐ブチル、2‐ブチル、2‐メチル‐1‐プロピル(イソブチル)、2‐メチル‐2‐プロピル(tert‐ブチル)、1‐ペンチル、2‐ペンチル、3‐ペンチル、2‐メチル‐1‐ブチル、3‐メチル‐1‐ブチル、2‐メチル‐2‐ブチル、3‐メチル‐2‐ブチル、2,2‐ジメチル‐1‐プロピル、1‐ヘキシル、2‐ヘキシル、3‐ヘキシル、2‐メチル‐1‐ペンチル、3‐メチル‐1‐ペンチル、4‐メチル‐1‐ペンチル、2‐メチル‐2‐ペンチル、3‐メチル‐2‐ペンチル、4‐メチル‐2‐ペンチル、2‐メチル‐3‐ペンチル、3‐メチル‐3‐ペンチル、2,2‐ジメチル‐1‐ブチル、2,3‐ジメチル‐1‐ブチル、3,3‐ジメチル‐1‐ブチル、2‐エチル‐1‐ブチル、2,3‐ジメチル‐2‐ブチル、3,3‐ジメチル‐2‐ブチル、1‐ヘプチル、1‐オクチル、1‐ノニル、1‐デシル、1‐ウンデシル、1‐ドデシル、1‐テトラデシル、1‐ヘキサデシル、1‐オクタデシル、ベンジル、3‐フェニルプロピル、2‐シアノエチル、2‐(メトキシカルボニル)エチル、2‐(エトキシカルボニル)エチル、2‐(n‐ブトキシカルボニル)エチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ヘプタフルオロイソプロピル、ノナフルオロブチル、ノナフルオロイソブチル、ウンデシルフルオロペンチル及びウンデシルフルオロイソペンチル;
‐ 1~100単位及び末端基としてC~C‐アルキルを有するグリコール、ブチレングリコール及びそれらのオリゴマー、例えばRO‐(CHR‐CH‐O)‐CHR‐CH‐又はRO‐(CHCHCHCHO)‐CHCHCHCHO‐(式中、R及びRは、好ましくはメチル又はエチルであり、nは、好ましくは0~3である)、特に3‐オキサブチル、3‐オキサペンチル、3,6‐ジオキサヘプチル、3,6‐ジオキサオクチル、3,6,9‐トリオキサデシル、3,6,9‐トリオキサウンデシル、3,6,9,12‐テトラオキサトリデシル及び3,6,9,12‐テトラオキサテトラデシル;
‐ ビニル;
‐ 1‐プロペン‐1‐イル、1‐プロペン‐2‐イル及び1‐プロペン‐3‐イル;及び
‐ N,N‐ジ‐C~C‐アルキルアミノ、例えばN,N‐ジメチルアミノ及びN,N‐ジエチルアミノ、
である。
【0031】
ラジカルRは、特に好ましくは、非分岐及び非置換のC~C18‐アルキル、例えばメチル、エチル、1‐プロピル、1‐ブチル、1‐ペンチル、1‐ヘキシル、1‐ヘプチル、1‐オクチル、1‐デシル、1‐ドデシル、1‐テトラデシル、1‐ヘキサデシル、1‐オクタデシル、特にメチル、エチル、1‐ブチル及び1‐オクチル、及びCHO‐(CHCHO)‐CHCH‐及びCHCHO‐(CHCHO)‐CHCH‐(式中、nは0~3)である。
【0032】
好ましくは、ラジカルR~Rはそれぞれ独立して、
‐ 水素;
‐ ハロゲン;
‐ 適した官能基;
‐ 適した官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で任意に置換された、及び/又は1個以上の酸素及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換又は非置換イミノ基で任意に遮断された、C~C18‐アルキル;
‐ 適した官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で任意に置換された、及び/又は1個以上の酸素及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換又は非置換イミノ基で任意に遮断された、C~C18‐アルケニル;
‐ 適した官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で任意に置換された、C~C12‐アリール;
‐ 適した官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で任意に置換された、C~C12‐シクロアルキル;
‐ 適した官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で任意に置換された、C~C12‐シクロアルケニル;又は
‐ 酸素、窒素及び/又は硫黄原子を有し、適した官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環;又は2つの隣接基(それらが結合している原子で一緒になっている)で任意に置換された5~6員複素環
‐ 適した官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で任意に置換され、1個以上の酸素及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換又は非置換イミノ基で任意に遮断された、不飽和、飽和又は芳香環、
である。
【0033】
適した官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で任意に置換されたC~C18‐アルキルは、好ましくはメチル、エチル、1‐プロピル、2‐プロピル、1‐ブチル、2‐ブチル、2‐メチル‐1‐プロピル(イソブチル)、2‐メチル‐2‐プロピル(tert‐ブチル)、1‐ペンチル、2‐ペンチル、3‐ペンチル、2‐メチル‐1‐ブチル、3‐メチル‐1‐ブチル、2‐メチル‐2‐ブチル、3‐メチル‐2‐ブチル、2,2‐ジメチル‐1‐プロピル、1‐ヘキシル、2‐ヘキシル、3‐ヘキシル、2‐メチル‐1‐ペンチル、3‐メチル‐1‐ペンチル、4‐メチル‐1‐ペンチル、2‐メチル‐2‐ペンチル、3‐メチル‐2‐ペンチル、4‐メチル‐2‐ペンチル、2‐メチル‐3‐ペンチル、3‐メチル‐3‐ペンチル、2,2‐ジメチル‐1‐ブチル、2,3‐ジメチル‐1‐ブチル、3,3‐ジメチル‐1‐ブチル、2‐エチル‐1‐ブチル、2,3‐ジメチル‐2‐ブチル、3,3‐ジメチル‐2‐ブチル、ヘプチル、オクチル、2‐エチルヘキシル、2,4,4‐トリメチルペンチル、1,1,3,3‐テトラメチルブチル、1‐ノニル、1‐デシル、1‐ウンデシル、1‐ドデシル、1‐トリデシル、1‐テトラデシル、1‐ペンタデシル、1‐ヘキサデシル、1‐ヘプタデシル、1‐オクタデシル、シクロペンチルメチル、2‐シクロペンチルエチル、3‐シクロペンチルプロピル、シクロヘキシルメチル、2‐シクロヘキシルエチル、3‐シクロヘキシルプロピル、ベンジル(フェニルメチル)、ジフェニルメチル(ベンズヒドリル)、トリフェニルメチル、1‐フェニルエチル、2‐フェニルエチル、3‐フェニルプロピル、α,α‐ジメチルベンジル、p‐トリルメチル、1‐(p‐ブチルフェニル)エチル、p‐クロロベンジル、2,4‐ジクロロベンジル、p‐メトキシベンジル、m‐エトキシベンジル、2‐シアノエチル、2‐シアノプロピル、2‐メトキシカルボニルエチル、2‐エトキシカルボニルエチル、2‐ブトキシカルボニルプロピル、1,2‐ジ(メトキシカルボニル)エチル、メトキシ、エトキシ、1,3‐ジオキソラン‐2‐イル、1,3‐ジオキサン‐2‐イル、2‐メチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル、4‐メチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル、2‐ジメチルアミノエチル、2‐ジメチルアミノプロピル、3‐ジメチルアミノプロピル、4‐ジメチルアミノブチル、6‐ジメチルアミノヘキシル、2‐フェノキシエチル、2‐フェノキシプロピル、3‐フェノキシプロピル、4‐フェノキシブチル、6‐フェノキシヘキシル、2‐メトキシエチル、2‐メトキシプロピル、3‐メトキシプロピル、4‐メトキシブチル、6‐メトキシヘキシル、2‐エトキシエチル、2‐エトキシプロピル、3‐エトキシプロピル、4‐エトキシブチル、6‐エトキシヘキシル、C2(n‐a)+(1‐b)2a+b(式中、nは1~30であり、0≦a≦nであり、b=0又は1(例えば、CF、C、CHCH‐C(n‐2)2(n‐2)+1、C13、C17、C1021、C1225)である)、クロロメチル、2‐クロロエチル、トリクロロメチル、1,1‐ジメチル‐2‐クロロエチル、メトキシメチル、2‐ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、2‐イソプロポキシエチル、2‐ブトキシプロピル、2‐オクチルオキシエチル、2‐メトキシイソプロピル、2‐(メトキシカルボニル)メチル、2‐(エトキシカルボニル)メチル、2‐(n‐ブトキシカルボニル)メチル、ブチルチオメチル、2‐ドデシルチオエチル、2‐フェニルチオエチル、5‐メトキシ‐3‐オキサペンチル、8‐メトキシ‐3,6‐ジオキサオクチル、11‐メトキシ‐3,6,9‐トリオキサウンデシル、7‐メトキシ‐4‐オキサヘプチル、11‐メトキシ‐4,8‐ジオキサウンデシル、15‐メトキシ‐4,8,12‐トリオキサペンタデシル、9‐メトキシ‐5‐オキサノニル、14‐メトキシ‐5,10‐ジオキサテトラデシル、5‐エトキシ‐3‐オキサペンチル、8‐エトキシ‐3,6‐ジオキサオクチル、11‐エトキシ‐3,6,9‐トリオキサウンデシル、7‐エトキシ‐4‐オキサヘプチル、11‐エトキシ‐4,8‐ジオキサウンデシル、15‐エトキシ‐4,8,12‐トリオキサペンタデシル、9‐エトキシ‐5‐オキサノニル又は14‐エトキシ‐5,10‐オキサテトラデシルである。
【0034】
適した官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で任意に置換された、及び/又は1個以上の酸素及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換又は非置換イミノ基で任意に遮断された、C~C18‐アルケニルは、好ましくはビニル、2‐プロペニル、3‐ブテニル、シス‐2‐ブテニル、トランス‐2‐ブテニル又はC2(n‐a)‐(1‐b)2a‐b(式中、n≦30、0≦a≦n及びb=0又は1)である。
【0035】
適した官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で任意に置換されたC~C12‐アリールは、好ましくはフェニル、トリル、キシリル、α‐ナフチル、β‐ナフチル、4‐ジフェニルイル(4‐diphenylyl)、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、tert‐ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルオキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6‐ジメチルフェニル、2,4,6‐トリメチルフェニル、2,6‐ジメトキシフェニル、2,6‐ジクロロフェニル、4‐ブロモフェニル、2‐ニトロフェニル、4‐ニトロフェニル、2,4‐ジニトロフェニル、2,6‐ジニトロフェニル、4‐ジメチルアミノフェニル、4‐アセチルフェニル、メトキシエチルフェニル、エトキシメチルフェニル、メチルチオフェニル、イソプロピルチオフェニル又はtert‐ブチルチオフェニル、又はC(5‐a)(式中、0≦a≦5)である。
【0036】
適した官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で任意に置換されたC~C12‐シクロアルキルは、好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル、C2(n‐a)‐(1‐b)2a‐b(式中、n≦30、0≦a≦n、及びb=0又は1である)、及び例えばノルボルニル又はノルボルネニルなどの飽和又は不飽和二環式系である。
【0037】
適した官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で任意に置換されたC~C12‐シクロアルケニルは、好ましくは3‐シクロペンチル、2‐シクロヘキセニル、3‐シクロヘキセニル、2,5‐シクロヘキサジエニル又はC2(n‐a)‐3(1‐b)2a‐3b(n≦30、0≦a≦n、及びb=0又は1である)である。
【0038】
酸素、窒素及び/又は硫黄原子を有し、適した官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で任意に置換された5~6員複素環は、好ましくはフリル、チオフェニル、ピリル、ピリジル、インドリル、ベンゾオキサゾリル、ジオキソリル、ジオキシル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ジメチルピリジル、メチルキノリル、ジメチルピリル、メトキシフリル、ジメトキシピリジル又はジフルオロピリジルである。
【0039】
2個の隣接するラジカルが一緒に、適した官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で任意に置換され、1個以上の酸素及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換又は非置換イミノ基で任意に遮断された、不飽和、飽和又は芳香環を形成する場合、これは好ましくは1,3‐プロピレン、1,4‐ブチレン、1,5‐ペンチレン、2‐オキサ‐1,3‐プロピレン、1‐オキサ‐1,3‐プロピレン、2‐オキサ‐1,3‐プロピレン、1‐オキサ‐1,3‐プロペニレン、3‐オキサ‐1,5‐ペンチレン、1‐アザ‐1,3‐プロペニレン、1‐C~C‐アルキル‐1‐アザ‐1,3‐プロペニレン、1,4‐ブタ‐1,3‐ジエニレン、1‐アザ‐1,4‐ブタ‐1,3‐ジエニレン又は2‐アザ‐1,4‐ブタ‐1,3‐ジエニレンである。
【0040】
上述のラジカルが酸素及び/又は硫黄原子及び/又は置換又は非置換イミノ基を含む場合、酸素及び/又は硫黄原子及び/又はイミノ基の数は、制限を受けない。一般に、その数はラジカルにおいて5以下、好ましくは4以下、非常に特に好ましくは3以下の量である。
【0041】
上述のラジカルがヘテロ原子を含む場合、一般に、2個のヘテロ原子の間に少なくとも1個の炭素原子、好ましくは少なくとも2個の炭素原子がある。
【0042】
特に好ましくは、ラジカルR~Rは、それぞれ独立して、
‐ 水素;
‐ 合計で1~20個の炭素原子を有し、かつ非置換であるか、又はハロゲン、フェニル、シアノ、C~C‐アルコキシカルボニルによって一~多置換されている非分岐又は分岐C~C18‐アルキル、及び/又は例えばメチル、エチル、1‐プロピル、2‐プロピル、1‐ブチル、2‐ブチル、2‐メチル‐1‐プロピル(イソブチル)、2‐メチル‐2‐プロピル(tert‐ブチル)、1‐ペンチル、2‐ペンチル、3‐ペンチル、2‐メチル‐1‐ブチル、3‐メチル‐1‐ブチル、2‐メチル‐2‐ブチル、3‐メチル‐2‐ブチル、2,2‐ジメチル‐1‐プロピル、1‐ヘキシル、2‐ヘキシル、3‐ヘキシル、2‐メチル‐1‐ペンチル、3‐メチル‐1‐ペンチル、4‐メチル‐1‐ペンチル、2‐メチル‐2‐ペンチル、3‐メチル‐2‐ペンチル、4‐メチル‐2‐ペンチル、2‐メチル‐3‐ペンチル、3‐メチル‐3‐ペンチル、2,2‐ジメチル‐1‐ブチル、2,3‐ジメチル‐1‐ブチル、3,3‐ジメチル‐1‐ブチル、2‐エチル‐1‐ブチル、2,3‐ジメチル‐2‐ブチル、3,3‐ジメチル‐2‐ブチル、1‐ヘプチル、1‐オクチル、1‐ノニル、1‐デシル、1‐ウンデシル、1‐ドデシル、1‐テトラデシル、1‐ヘキサデシル、1‐オクタデシル、ベンジル、3‐フェニルプロピル、2‐シアノエチル、2‐(メトキシカルボニル)エチル、2‐(エトキシカルボニル)エチル、2‐(n‐ブトキシカルボニル)エチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ヘプタフルオロイソプロピル、ノナフルオロブチル、ノナフルオロイソブチル、ウンデシルフルオロペンチル及びウンデシルフルオロイソペンチル;
‐ 1~100単位及び末端基としてC~C‐アルキルを有するグリコール、ブチレングリコール及びそのオリゴマー、例えばRO‐(CHR‐CH‐O)‐CHR‐CH‐又はRO‐(CHCHCHCHO)‐CHCHCHCHO‐(式中、R及びRは好ましくはメチル又はエチルであり、nは好ましくは0~3、特に3‐オキサブチル、3‐オキサペンチル、3,6‐ジオキサヘプチル、3,6‐ジオキサオクチル、3,6,9‐トリオキサデシル、3,6,9‐トリオキサウンデシル、3,6,9,12‐テトラオキサトリデシル及び3,6,9,12‐テトラオキサテトラデシル;
‐ ビニル;
‐ 1‐プロペン‐1‐イル、1‐プロペン‐2‐イル及び1‐プロペン‐3‐イル;及び
‐ N,N‐ジ‐C~C‐アルキルアミノ、例えばN,N‐ジメチルアミノ及びN,N‐ジエチルアミノ;
であり、
IIIwがIIIの場合、Rは水素ではない。
【0043】
ラジカルR~Rは、非常に特に好ましくは、それぞれ独立して、水素又はC~C18‐アルキル、例えばメチル、エチル、1‐ブチル、1‐ペンチル、1‐ヘキシル、1‐ヘプチル、1‐オクチル、又はフェニル、2‐シアノエチル、2‐(メトキシカルボニル)エチル、2‐(エトキシカルボニル)エチル、2‐(n‐ブトキシカルボニル)エチル、N,N‐ジメチルアミノ、N,N‐ジエチルアミノ、塩素、及びCHO‐(CHCHO)‐CHCH‐及びCHCHO‐(CHCHO)‐CHCH‐(式中、nは0~3である)であり、IIIwがIIIである場合、Rは水素ではない。
【0044】
使用するピリジニウムイオン(IVa)は、非常に特に好ましくは、
‐ ラジカルR~Rのうちの1つがメチル、エチル又は塩素であり、残りのラジカルR~Rが水素であるもの;
‐ Rがジメチルアミノであり、残りのラジカルR、R、R及びRが水素であるもの;
‐ ラジカルR~Rの全てが水素であるもの;
‐ R及びR又はR及びRが1,4‐ブタ‐1,3‐ジエニレンであり、残りのラジカルR、R、R及びRが水素であるもの;
及び特に、
‐ R~Rが水素であるもの;又は
‐ ラジカルR~Rのうちの1つがメチル又はエチルであり、残りのラジカルR1~Rが水素であるもの、
である。
【0045】
非常に特に好ましいピリジニウムイオン(IVa)としては、1‐メチルピリジニウム、1‐エチルピリジニウム、1‐(1‐ブチル)ピリジニウム、1‐(1‐ヘキシル)ピリジニウム、1‐(1‐オクチル)ピリジニウム、1‐(1‐ヘキシル)ピリジニウム、1‐(1‐オクチル)ピリジニウム、1‐(1‐ドデシル)ピリジニウム、1‐(1‐テトラデシル)ピリジニウム、1‐(1‐ヘキサデシル)ピリジニウム、1,2‐ジメチルピリジニウム、1‐エチル‐2‐メチルピリジニウム、1‐(1‐ブチル)‐2‐メチルピリジニウム、1‐(1‐ヘキシル)‐2‐メチルピリジニウム、1‐(1‐オクチル)‐2‐メチルピリジニウム、1‐(1‐ドデシル)‐2‐メチルピリジニウム、1‐(1‐テトラデシル)‐2‐メチルピリジニウム、1‐(1‐ヘキサデシル)‐2‐メチルピリジニウム、1‐メチル‐2‐エチルピリジニウム、1,2‐ジエチルピリジニウム、1‐(1‐ブチル)‐2‐エチルピリジニウム、1‐(1‐ヘキシル)‐2‐エチルピリジニウム、1‐(1‐オクチル)‐2‐エチルピリジニウム、1‐(1‐ドデシル)‐2‐エチルピリジニウム、1‐(1‐テトラデシル)‐2‐エチルピリジニウム、1‐(1‐ヘキサデシル)‐2‐エチルピリジニウム、1,2‐ジメチル‐5‐エチルピリジニウム、1,5‐ジエチル‐2‐メチルピリジニウム、1‐(1‐ブチル)‐2‐メチル‐3‐エチルピリジニウム、1‐(1‐ヘキシル)‐2‐メチル‐3‐エチルピリジニウム及び1‐(1‐オクチル)‐2‐メチル‐3‐エチルピリジニウム、1‐(1‐ドデシル)‐2‐メチル‐3‐エチルピリジニウム、1‐(1‐テトラデシル)‐2‐メチル‐3‐エチルピリジニウム及び1‐(1‐ヘキサデシル)‐2‐メチル‐3‐エチルピリジニウムが挙げられる。
【0046】
使用するピリダジニウムイオン(IVb)は、非常に特に好ましくは、
‐ R~Rが水素であるもの;又は
‐ ラジカルR~Rのうちの1つがメチル又はエチルであり、残りのラジカルR~Rが水素であるもの、
である。
【0047】
使用するピリミジニウムイオン(IVc)は、非常に特に好ましくは、
‐ Rが水素、メチル又はエチルであり、R~Rがそれぞれ独立して水素又はメチルであるもの;又は
‐ Rが水素、メチル又はエチルであり、R及びRがメチルであり、Rが水素であるもの、
である。
【0048】
使用するピラジニウムイオン(IVd)は、非常に特に好ましくは、
‐ Rが水素、メチル又はエチルであり、R~Rがそれぞれ独立して水素又はメチルであるもの;
‐ Rが水素、メチル又はエチルであり、R及びRがメチルであり、Rが水素であるもの;
‐ R~Rがメチルである;又は
‐ R~Rが水素であるもの、
である。
【0049】
使用するイミダゾリウムイオン(IVe)は、非常に特に好ましくは、
‐ Rが水素、メチル、エチル、1‐プロピル、1‐ブチル、1‐ペンチル、1‐ヘキシル、1‐オクチル又は2‐シアノエチルであり、R~Rがそれぞれ独立して水素、メチル又はエチルであるもの
である。
【0050】
非常に特に好ましいイミダゾリウムイオン(IVe)としては、1‐メチルイミダゾリウム、1‐エチルイミダゾリウム、1‐(1‐ブチル)イミダゾリウム、1‐(1‐オクチル)イミダゾリウム、1‐(1‐ドデシル)イミダゾリウム、1‐(1‐テトラデシル)イミダゾリウム、1‐(1‐ヘキサデシル)イミダゾリウム、1,3‐ジメチルイミダゾリウム、1‐エチル‐3‐メチルイミダゾリウム、1‐(1‐ブチル)‐3‐メチルイミダゾリウム、1‐(1‐ブチル)‐3‐エチルイミダゾリウム、1‐(1‐ヘキシル)‐3‐メチルイミダゾリウム、1‐(1‐ヘキシル)‐3‐エチルイミダゾリウム、1‐(1‐ヘキシル)‐3‐ブチルイミダゾリウム、1‐(1‐オクチル)‐3‐メチルイミダゾリウム、1‐(1‐オクチル)‐3‐エチルイミダゾリウム、1‐(1‐オクチル)‐3‐ブチルイミダゾリウム、1‐(1‐ドデシル)‐3‐メチルイミダゾリウム、1‐(1‐ドデシル)‐3‐エチルイミダゾリウム、1‐(1‐ドデシル)‐3‐ブチルイミダゾリウム、1‐(1‐ドデシル)‐3‐オクチルイミダゾリウム、1‐(1‐テトラデシル)‐3‐メチルイミダゾリウム、1‐(1‐テトラデシル)‐3‐エチルイミダゾリウム、1‐(1‐テトラデシル)‐3‐ブチルイミダゾリウム、1‐(1‐テトラデシル)‐3‐オクチルイミダゾリウム、1‐(1‐ヘキサデシル)‐3‐メチルイミダゾリウム、1‐(1‐ヘキサデシル)‐3‐エチルイミダゾリウム、1‐(1‐ヘキサデシル)‐3‐ブチルイミダゾリウム、1‐(1‐ヘキサデシル)‐3‐オクチルイミダゾリウム、1,2‐ジメチルイミダゾリウム、1,2,3‐トリメチルイミダゾリウム、1‐エチル‐2,3‐ジメチルイミダゾリウム、1‐(1‐ブチル)‐2,3‐ジメチルイミダゾリウム、1‐(1‐ヘキシル)‐2,3‐ジメチルイミダゾリウム、1‐(1‐オクチル)‐2,3‐ジメチルイミダゾリウム、1,4‐ジメチルイミダゾリウム、1,3,4‐トリメチルイミダゾリウム、1,4‐ジメチル‐3‐エチルイミダゾリウム、3‐ブチルイミダゾリウム、1,4‐ジメチル‐3‐オクチルイミダゾリウム、1,4,5‐トリメチルイミダゾリウム、1,3,4,5‐テトラメチルイミダゾリウム、1,4,5‐トリメチル‐3‐エチルイミダゾリウム、1,4,5‐トリメチル‐3‐ブチルイミダゾリウム、1,4,5‐トリメチル‐3‐オクチルイミダゾリウム及び1‐(プロプ‐1‐エン‐3‐イル)‐3‐メチルイミダゾリウムが挙げられる。
【0051】
最も好ましい1,3‐ジアルキルイミダゾリウムイオンは、1‐ブチル‐3‐メチルイミダゾリウムイオン及び1‐エチル‐3‐メチルイミダゾリウムイオンである。
【0052】
使用するピラゾリウムイオン(IVf)、(IVg)又は(IVg’)は、非常に特に好ましくは、
‐ Rが水素、メチル又はエチルであり、R~Rがそれぞれ独立して水素又はメチルであるものである。
【0053】
使用するピラゾリウムイオン(IVh)は、非常に特に好ましくは、
‐ R~Rがそれぞれ独立して水素又はメチルであるものである。
【0054】
使用する1‐ピラゾリニウムイオン(IVi)は、非常に特に好ましくは、
‐ R~Rがそれぞれ独立して水素又はメチルであるものである。
【0055】
使用する2‐ピラゾリニウムイオン(IVj)又は(IVj’)は、非常に特に好ましくは、
‐ Rが水素、メチル、エチル又はフェニルであり、R~Rがそれぞれ独立して水素又はメチルであるものである。
【0056】
使用する3‐ピラゾリニウムイオン(IVk)又は(IVk’)は、非常に特に好ましくは、
‐ R及びRがそれぞれ独立して水素、メチル、エチル又はフェニルであり、R~Rがそれぞれ独立して水素又はメチルであるものである。
【0057】
使用するイミダゾリニウムイオン(IVl)は、非常に特に好ましくは、
‐ R及びRがそれぞれ独立して水素、メチル、エチル、1‐ブチル又はフェニルであり、R及びRがそれぞれ独立して水素、メチル又はエチルであり、R及びRがそれぞれ独立して水素又はメチルであるものである。
【0058】
使用するイミダゾリニウムイオン(IVm)又は(IVm’)は、非常に特に好ましくは、
‐ R及びRがそれぞれ独立して水素、メチル又はエチルであり、R~Rがそれぞれ独立して水素又はメチルであるものである。
【0059】
使用するイミダゾリニウムイオン(IVn)又は(IVn’)は、非常に特に好ましくは、
‐ R~Rがそれぞれ独立して水素、メチル又はエチルであり、R~Rがそれぞれ独立して水素又はメチルであるものである。
【0060】
使用するチアゾリウムイオン(IVo)又は(IVo’)及びオキサゾリウムイオン(IVp)は、非常に特に好ましくは、
‐ Rが水素、メチル、エチル又はフェニルであり、R及びRがそれぞれ独立して水素又はメチルであるものである。
【0061】
使用する1,2,4‐トリアゾリウムイオン(IVq)、(IVq’)又は(IVq’’)は、非常に特に好ましくは、
‐ R及びRがそれぞれ独立して水素、メチル、エチル又はフェニルであり、Rが水素、メチル又はフェニルであるものである。
【0062】
使用する1,2,3‐トリアゾリウムイオン(IVr)、(IVr’)又は(IVr”)は、非常に特に好ましくは、
‐ Rが水素、メチル又はエチルであり、R及びRがそれぞれ独立して水素又はメチルであり、又はR及びRが一緒に1,4‐ブタ‐1,3‐ジエニレンであるものである。
【0063】
使用するピロリジニウムイオン(IVs)は、非常に特に好ましくは、
‐ Rが水素、メチル、エチル又はフェニルであり、R~Rがそれぞれ独立して水素又はメチルであるものである。
【0064】
使用するイミダゾリジニウムイオン(IVt)は、非常に特に好ましくは、
‐ R及びRがそれぞれ独立して水素、メチル、エチル又はフェニルであり、R及びR及びR~Rがそれぞれ独立して水素又はメチルであるものである。
【0065】
使用するアンモニウムイオン(IVu)は、非常に特に好ましくは、
‐ R~Rがそれぞれ独立してC~C18‐アルキルであるもの;又は
‐ R及びRが一緒に1,5‐ペンチレン又は3‐オキサ‐1,5‐ペンチレン及びRがC~C18‐アルキル又は2‐シアノエチルであるもの、
である。
【0066】
群(IVu)からの非常に特に好ましいアンモニウムイオンには、メチルトリ(1‐ブチル)アンモニウム及びテトラ(1‐ブチル)アンモニウムが挙げられ;群(IVx1)からはN,N‐ジメチルピペリジニウム及び1‐ブチル‐1‐メチルピペリジニウムが挙げられ;群(IVx2)からは1‐エチル‐3‐メチルイミダゾリニウムが挙げられ;群(IVx3)からはN,N‐ジメチルモルホリニウムが挙げられる。
【0067】
上記のラジカルRでの四級化によって、一般式(IVu)の第四級アンモニウムイオンが誘導される第三級アミンの例は、ジエチル‐n‐ブチルアミン、ジエチル‐tert‐ブチルアミン、ジエチル‐n‐ペンチルアミン、ジエチルヘキシルアミン、ジエチルオクチルアミン、ジエチル(2‐エチルヘキシル)アミン、ジ‐n‐プロピルブチルアミン、ジ‐n‐プロピル‐n‐ペンチルアミン、ジ‐n‐プロピルヘキシルアミン、ジ‐n‐プロピルオクチルアミン、ジ‐n‐プロピル(2‐エチルヘキシル)アミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピル‐n‐プロピルアミン、ジイソプロピルブチルアミン、ジイソプロピルペンチルアミン、ジイソプロピルヘキシルアミン、ジイソプロピルオクチルアミン、ジイソプロピル(2‐エチルヘキシル)アミン、ジ‐n‐ブチルエチルアミン、ジ‐n‐ブチル‐n‐プロピルアミン、ジ‐n‐ブチル‐n‐ペンチルアミン、ジ‐n‐ブチルヘキシルアミン、ジ‐n‐ブチルオクチルアミン、ジ‐n‐ブチル(2‐エチルヘキシル)アミン、N‐n‐ブチルピロリジン、N‐sec‐ブチルピロリジン、N‐tert‐ブチルピロリジン、N‐n‐ペンチルピロリジン、N,N‐ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N‐ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N‐ジ‐n‐ブチルシクロヘキシルアミン、N‐n‐プロピルピペリジン、N‐イソプロピルピペリジン、N‐n‐ブチルピペリジン、N‐sec‐ブチルピペリジン、N‐tert‐ブチルピペリジン、N‐n‐ペンチルピペリジン、N‐n‐ブチルモルホリン、N‐sec‐ブチルモルホリン、N‐tert‐ブチルモルホリン、N‐n‐ペンチルモルホリン、N‐ベンジル‐N‐エチルアニリン、N‐ベンジル‐N‐n‐プロピルアニリン、N‐ベンジル‐N‐イソプロピルアニリン、N‐ベンジル‐N‐n‐ブチルアニリン、N,N‐ジメチル‐p‐トルイジン、N,N‐ジエチル‐p‐トルイジン、N,N‐ジ‐n‐ブチル‐p‐トルイジン、ジエチルベンジルアミン、ジ‐n‐プロピルベンジルアミン、ジ‐n‐ブチルベンジルアミン、ジエチルフェニルアミン、ジ‐n‐プロピルフェニルアミン及びジ‐n‐ブチルフェニルアミンである。
【0068】
一般式(IVu)の好ましい第四級アンモニウム塩は、上記のラジカルRでの四級化によって、以下の第三級アミン、例えばジイソプロピルエチルアミン、ジエチル‐tert‐ブチルアミン、ジイソプロピルブチルアミン、ジ‐n‐ブチル‐n‐ペンチルアミン、N,N‐ジ‐n‐ブチルシクロヘキシルアミン及びペンチル異性体から誘導される第三級アミンから誘導されることができるものである。
【0069】
特に好ましい第三級アミンは、ジ‐n‐ブチル‐n‐ペンチルアミン及びペンチル異性体から誘導される第三級アミンである。3個の同一のラジカルを有する更に好ましい第三級アミンはトリアリルアミンである。
【0070】
使用するグアニジニウムイオン(IVv)は、非常に特に好ましくは、
‐ 窒素原子が環構造中に存在するもの;又は
‐ R~Rがメチルであるもの、
である。
【0071】
非常に特に好ましいグアニジニウムイオン(IVv)は、N,N,N’,N’,N”,N”‐ヘキサメチルグアニジニウムである。
【0072】
使用するコリニウム(cholinium)イオン(IVw)は、非常に特に好ましくは、
‐ R及びRがそれぞれ独立してメチル、エチル、1‐ブチル又は1‐オクチルであり、Rがメチル又はエチルであるもの;
‐ Rがメチル、エチル、1‐ブチル又は1‐オクチルであり、Rが-CH‐CH‐OR基であり、R及びRがそれぞれ独立してメチル又はエチルであるもの;又は
‐ Rが‐CH‐CH‐OR基であり、Rが‐CH‐CH‐OR基であり、R~Rがそれぞれ独立してメチル又はエチルであるもの、
である。
【0073】
特に好ましいコリニウムイオン(IVw)は、Rがメチル、エチル、5‐メトキシ‐3‐オキサペンチル、8‐メトキシ‐3,6‐ジオキサオクチル、11‐メトキシ‐3,6,9‐トリオキサウンデシル、7‐メトキシ‐4‐オキサヘプチル、11‐メトキシ‐4,8‐ジオキサウンデシル、15‐メトキシ‐4,8,12‐トリオキサペンタデシル、9‐メトキシ‐5‐オキサノニル、14‐メトキシ‐5,10‐オキサテトラデシル、5‐エトキシ‐3‐オキサペンチル、8‐エトキシ‐3,6‐ジオキサオクチル、11‐エトキシ‐3,6,9‐トリオキサウンデシル、7‐エトキシ‐4‐オキサヘプチル、11‐エトキシ‐4,8‐ジオキサウンデシル、15‐エトキシ‐4,8,12‐トリオキサペンタデシル、9‐エトキシ‐5‐オキサノニル又は14‐エトキシ‐5,10‐オキサテトラデシルから選択されるものである。
【0074】
使用するアミジニウムイオン(IVx)は、非常に特に好ましくは、窒素原子が環構造中に存在するものである。
【0075】
非常に特に好ましいアミジニウムイオン(IVx)としては、モノプロトン化形態の1,8‐ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク‐7‐エン(DBU)又は1,5‐ジアザビシクロ[4.3.0]ノン‐5‐エンが挙げられる。
【0076】
使用するホスホニウムイオン(IVy)は、非常に特に好ましくは、
‐ R~Rが、それぞれ独立して、C~C18‐アルキル、特にブチル、イソブチル、1‐ヘキシル又は1‐オクチルであるものである。
【0077】
上述の複素環式カチオンの中では、ピリジニウムイオン、ピラゾリニウムイオン、ピラゾリウムイオン及びイミダゾリニウムイオン及びイミダゾリウムイオンが好ましい。アンモニウムイオンもまた好ましい。
【0078】
特に好ましいのは、1‐メチルピリジニウム、1‐エチルピリジニウム、1‐(1‐ブチル)ピリジニウム、1‐(1‐ヘキシル)ピリジニウム、1‐(1‐オクチル)ピリジニウム、1‐(1‐ヘキシル)ピリジニウム、1‐(1‐オクチル)ピリジニウム、1‐(1‐ドデシル)ピリジニウム、1‐(1‐テトラデシル)ピリジニウム、1‐(1‐ヘキサデシル)ピリジニウム、1,2‐ジメチルピリジニウム、1‐エチル‐2‐メチルピリジニウム、1‐(1‐ブチル)‐2‐メチルピリジニウム、1‐(1‐ヘキシル)‐2‐メチルピリジニウム、1‐(1‐オクチル)‐2‐メチルピリジニウム、1‐(1‐ドデシル)‐2‐メチルピリジニウム、1‐(1‐テトラデシル)‐2‐メチルピリジニウム、1‐(1‐ヘキサデシル)‐2‐メチルピリジニウム、1‐メチル‐2‐エチルピリジニウム、1,2‐ジエチルピリジニウム、1‐(1‐ブチル)‐2‐エチルピリジニウム、1‐(1‐ヘキシル)‐2‐エチルピリジニウム、1‐(1‐オクチル)‐2‐エチルピリジニウム、1‐(1‐ドデシル)‐2‐エチルピリジニウム、1‐(1‐テトラデシル)‐2‐エチルピリジニウム、1‐(1‐ヘキサデシル)‐2‐エチルピリジニウム、1,2‐ジメチル‐5‐エチルピリジニウム、1,5‐ジエチル‐2‐メチルピリジニウム、1‐(1‐ブチル)‐2‐メチル‐3‐エチルピリジニウム、1‐(1‐ヘキシル)‐2‐メチル‐3‐エチルピリジニウム、1‐(1‐オクチル)‐2‐メチル‐3‐エチルピリジニウム、1‐(1‐ドデシル)‐2‐メチル‐3‐エチルピリジニウム、1‐(1‐テトラデシル)‐2‐メチル‐3‐エチルピリジニウム、1‐(1‐ヘキサデシル)‐2‐メチル‐3‐エチルピリジニウム、1‐メチルイミダゾリウム、1‐エチルイミダゾリウム、1‐(1‐ブチル)‐イミダゾリウム、1‐(1‐オクチル)イミダゾリウム、1‐(1‐ドデシル)イミダゾリウム、1‐(1‐テトラデシル)イミダゾリウム、1‐(1‐ヘキサデシル)イミダゾリウム、1,3‐ジメチルイミダゾリウム、1‐エチル‐3‐メチルイミダゾリウム、1‐(1‐ブチル)‐3‐メチルイミダゾリウム、1‐(1‐ヘキシル)‐3‐メチルイミダゾリウム、1‐(1‐オクチル)‐3‐メチルイミダゾリウム、1‐(1‐ドデシル)‐3‐メチルイミダゾリウム、1‐(1‐テトラデシル)‐3‐メチルイミダゾリウム、1‐(1‐ヘキサデシル)‐3‐メチルイミダゾリウム、1,2‐ジメチルイミダゾリウム、1,2,3‐トリメチルイミダゾリウム、1‐エチル‐2,3‐ジメチルイミダゾリウム、1‐(1‐ブチル)‐2,3‐ジメチルイミダゾリウム、1‐(1‐ヘキシル)‐2,3‐ジメチルイミダゾリウム、及び1‐(1‐オクチル)‐2,3‐ジメチルイミダゾリウム、1,4‐ジメチルイミダゾリウム、1,3,4‐トリメチルイミダゾリウム、1,4‐ジメチル‐3‐エチルイミダゾリウム、3‐ブチルイミダゾリウム、1,4‐ジメチル‐3‐オクチルイミダゾリウム、1,4,5‐トリメチルイミダゾリウム、1,3,4,5‐テトラメチルイミダゾリウム、1,4,5‐トリメチル‐3‐エチルイミダゾリウム、1,4,5‐トリメチル‐3‐ブチルイミダゾリウム、1,4,5‐トリメチル‐3‐オクチルイミダゾリウム、及び1‐(プロプ‐1‐エン‐3‐イル)‐3‐メチルイミダゾリウムである。
【0079】
使用できるアニオンは、原則として全てのアニオンである。
【0080】
イオン液体のアニオン[Y]n‐は、好ましくは、
‐ ハロゲン化物の群
‐ 一般式:
RCOO1‐
のカルボン酸の群
‐ 一般式:
HCO 1‐、CO 2‐、RCO 1‐
のカルボネート及び炭酸エステルの群。
‐ 一般式:
R(COOH)(COO (n≧0、m>0)
の多塩基カルボン酸の群
‐ 一般式:
(OH)(O (m+n+p+q=6、q>0)
の芳香族ヒドロキシル化合物の群
から選択される。
【0081】
式中、Rは、C~C30‐アルキル、1個以上の隣接していない酸素及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換イミノ基で任意に遮断されたC~C18‐アルキル、C~C14‐アリール、C~C12‐シクロアルキル、又は酸素、窒素及び/又は硫黄原子を有する5~6員複素環を意味し、このうちの2つは一緒になって、1個以上の酸素及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の非置換又は置換されたイミノ基で任意に遮断された、不飽和、飽和又は芳香環を形成し得、上記のラジカルがそれぞれ適した官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で更に置換され得る。
【0082】
式中、適した官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で任意に置換されたC~C18‐アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n‐ブチル、sec‐ブチル、tert‐ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2‐エチルヘキシル、2,4,4‐トリメチルペンチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、1,1‐ジメチルプロピル、1,1‐ジメチルブチル、1,1,3,3‐テトラメチルブチル、ベンジル、1‐フェニルエチル、α,α‐ジメチルベンジル、ベンズヒドリル、p‐トリルメチル、1‐(p‐ブチルフェニル)エチル、p‐クロロベンジル、2,4‐ジクロロベンジル、p‐メトキシベンジル、m‐エトキシベンジル、2‐シアノエチル、2‐シアノプロピル、2‐メトキシカルボニルエチル、2‐エトキシカルボニルエチル、2‐ブトキシカルボニルプロピル、1,2‐ジ(メトキシカルボニル)エチル、2‐メトキシエチル、2‐エトキシエチル、2‐ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、1,3‐ジオキソラン‐2‐イル、1,3‐ジオキサン‐2‐イル、2‐メチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル、4‐メチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐イル、2‐イソプロポキシエチル、2‐ブトキシプロピル、2‐オクチルオキシエチル、クロロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1‐ジメチル‐2‐クロロエチル、2‐メトキシイソプロピル、2‐エトキシエチル、ブチルチオメチル、2‐ドデシルチオエチル、2‐フェニルチオエチル、2,2,2‐トリフルオロエチル、2‐ジメチルアミノエチル、2‐ジメチルアミノプロピル、3‐ジメチルアミノプロピル、4‐ジメチルアミノブチル、6‐ジメチルアミノヘキシル、2‐フェノキシエチル、2‐フェノキシプロピル、3‐フェノキシプロピル、4‐フェノキシブチル、6‐フェノキシヘキシル、2‐メトキシエチル、2‐メトキシプロピル、3‐メトキシプロピル、4‐メトキシブチル、6‐メトキシヘキシル、2‐エトキシエチル、2‐エトキシプロピル、3‐エトキシプロピル、4‐エトキシブチル又は6‐エトキシヘキシルである。
【0083】
1個以上の隣接していない酸素及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換又は非置換イミノ基によって任意に遮断されたC~C18‐アルキルは、例えば、5‐メトキシ‐3‐オキサペンチル、8‐メトキシ‐3,6‐ジオキサオクチル、11‐メトキシ‐3,6,9‐トリオキサウンデシル、7‐メトキシ‐4‐オキサヘプチル、11‐メトキシ‐4,8‐ジオキサウンデシル、15‐メトキシ‐4,8,12‐トリオキサペンタデシル、9‐メトキシ‐5‐オキサノニル、14‐メトキシ‐5,10‐オキサテトラデシル、5‐エトキシ‐3‐オキサペンチル、8‐エトキシ‐3,6‐ジオキサオクチル、11‐エトキシ‐3,6,9‐トリオキサウンデシル、7‐エトキシ‐4‐オキサヘプチル、11‐エトキシ‐4,8‐ジオキサウンデシル、15‐エトキシ‐4,8,12‐トリオキサペンタデシル、9‐エトキシ‐5‐オキサノニル又は14‐エトキシ‐5,10‐オキサテトラデシルである。
【0084】
隣接していない酸素及び/又は硫黄原子及び/又はイミノ基の数は、原則として制限されていないか、又はラジカル又は環構成単位のサイズによって自動的に制限される。一般に、その数はそれぞれのラジカルにおいて5以下、好ましくは4以下、又は非常に特に好ましくは3以下の量である。更に一般に、2個のヘテロ原子の間に少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個の炭素原子がある。
【0085】
置換及び非置換イミノ基は、例えば、イミノ、メチルイミノ、イソプロピルイミノ、n‐ブチルイミノ又はtert‐ブチルイミノであり得る。
【0086】
用語「官能基」は、例えば、次のものを意味すると理解されるべきである:ジ(C~C‐アルキル)アミノ、C~C‐アルキルオキシカルボニル、シアノ又はC~C‐アルコキシである。ここで、C~C‐アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n‐ブチル、sec‐ブチル又はtert‐ブチルである。
【0087】
適した官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で任意に置換されたC~C14‐アリールは、例えば、フェニル、トリル、キシリル、α‐ナフチル、β‐ナフチル、4‐ジフェニル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、tert‐ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルオキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6‐ジメチルフェニル、2,4,6‐トリメチルフェニル、2,6‐ジメトキシフェニル、2,6‐ジクロロフェニル、4‐ブロモフェニル、2‐又は4‐ニトロフェニル、2,4‐又は2,6‐ジニトロフェニル、4‐ジメチルアミノフェニル、4‐アセチルフェニル、メトキシエチルフェニル又はエトキシメチルフェニルである。
【0088】
適した官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で任意に置換されたC~C12‐シクロアルキルは、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル、及び飽和又は不飽和二環式系、例えばノルボルニル又はノルボルネニルなどである。
【0089】
酸素、窒素及び/又は硫黄原子を有する5~6員複素環は、例えば、フリル、チオフェニル、ピリル、ピリジル、インドリル、ベンゾオキサゾリル、ジオキソリル、ジオキシル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ジメチルピリジル、メチルキノリル、ジメチルピリル、メトキシフリル、ジメトキシピリジル、ジフルオロピリジル、メチルチオフェニル、イソプロピルチオフェニル又はtert‐ブチルチオフェニルである。
【0090】
イオン液体中の特に好ましいアニオンは、ハロゲン化物、更に好ましくは塩化物、臭化物及びヨウ化物であり、非常に特に好ましくは塩化物である。
【0091】
触媒は、好ましくは、1‐エチル‐3‐メチルイミダゾリウムブロマイド(EMIM‐Br)、1‐エチル‐3‐メチルイミダゾリウムクロリド(EMIM‐Cl)、1‐エチル‐3‐メチルイミダゾリウムジシアンジアミド(EMIM‐DICY)、1‐エチル‐3‐メチルイミダゾリウムヨージド(EMIM‐I)、1‐エチル‐2,3‐メチルイミダゾリウムブロマイド(EDMIM‐Br)、1‐エチル‐3‐メチルイミダゾリウムジエチルホスフェート(EMIM‐DEP)、1‐ベンジル‐3‐メチルイミダゾリウムクロリド(BEMIM‐Cl)、1‐ブチル‐1‐メチルピペリジニウムクロリド(BMPM‐Cl)、1‐(2‐ヒドロキシエチル)‐3‐メチルイミダゾリウムクロリド(HEMIM‐Cl)の群から選択される。
【0092】
触媒は、特に好ましくは、1‐エチル‐3‐メチルイミダゾリウムブロマイド(EMIM‐Br)、1‐ベンジル‐3‐メチルイミダゾリウムクロリド(BEMIM‐Cl)、1‐ブチル‐1‐メチルピペリジニウムクロリド(BMPM‐Cl)、1‐ブチル‐3‐メチルピペリジニウムクロリド(BMPM‐Cl)、1‐(2‐ヒドロキシエチル)‐3‐メチルイミダゾリウムクロリド(HEMIM‐Cl)の群から選択される。更に好ましい一実施形態では、これらの触媒の少なくとも2種を使用する。
【0093】
更に好ましい一実施形態では、イオン液体はルイス酸とルイス塩基との組み合わせであり、これらは好ましくは上述の好ましいもののうちの1種から選択される。
【0094】
共触媒:
他の好ましい実施形態では、上述の触媒に加えて、尿素誘導体が共触媒として使用される。
【0095】
共触媒としての尿素の使用は、イソシアネートとエポキシドとの反応を補助する。イソシアネートのより迅速な反応は有利である。反応混合物中のイソシアネートの滞留時間が長いほどイソシアネートの三量体化の可能性が増し、故にオキサゾリドン形成に対する化学選択性が損なわれるからである。分解時、例えば熱供給時に、第一級アミンを取り除かない尿素が好ましい。
【0096】
よって適した共触媒は、次の式
【化4】
(式中、
R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して1~10個の炭素原子を有するアルキルラジカルであり、
又は
R1及びR2は、それぞれ独立して1~10個の炭素原子を有するアルキルラジカルであり、R3はアリールラジカルであり、R4は同時に水素原子であるか、又はR3はアリールラジカルであり、R4は水素原子である)
の尿素誘導体である。
【0097】
好ましい一実施形態では、アリールラジカルは、好ましくは別の尿素ラジカルによって置換される。他の好ましい実施形態では、アリールラジカルは、複数の尿素ラジカルによって置換される。対応する構造は、ポリ尿素とも称される。
【0098】
他の好ましい実施形態では、アルキル置換基は互いに結合しており、環構造を含む。これらの好ましい例は、1,3‐ジメチル‐3,4,5,6‐テトラヒドロ‐2(1H)‐ピリミジノン及び1,3‐ジメチル‐2‐イミダゾリジノンである。
【0099】
3,3’‐(4‐メチル‐1,3‐フェニレン)ビス(1,1‐ジメチル尿素)及び1,1‐ジメチル‐3‐フェニル尿素の群から選択される共触媒が特に好ましい。この種類の市販品は、例えば、商品名DyhardのAlzChem社のジメチル尿素である。
【0100】
ポリマーの製造:
ジエポキシド、ジイソシアネート及び触媒は、上記で特定した列挙及び選択に従って使用される。
【0101】
第一段階において、エポキシドと触媒を溶媒中に溶解し、反応温度に加熱する。反応温度は、好ましくは140℃~220℃の範囲であり、より好ましくは150℃~200℃、特に好ましくは160℃~180℃である。
【0102】
溶液を窒素で不活性化する;酸素は反応において除かれなければならない。次いで、反応温度を維持したまま、イソシアネートをゆっくり計量して入れる。
【0103】
反応混合物中の遊離イソシアネートの含量は、イソシアネートの三量体化を防ぐためにできるだけ低く保たれるべきである。これは、イソシアネートを計量して入れる速度及び/又は反応性、すなわち添加する触媒の量によって制御される。
【0104】
好ましい一実施形態では、反応混合物の水含量は0.1質量%未満である。故に、尿素をもたらすイソシアネートの副反応が特に防止される。ジエポキシドの対ジイソシアネートに対するモル比は、1.0:0.5~0.5:1.0、好ましくは1.0:0.9~0.9:1.0の範囲であり、特に好ましくは1.0:1.0である。触媒濃度は、エポキシド基に対して、0.05モル%~5モル%、好ましくは0.05モル%~2モル%、特に好ましくは0.05モル%~0.5モル%である。共触媒の濃度は、ジエポキシドのエポキシド基に対して、0.01モル%~1000モル%、好ましくは0.05モル%~100モル%、特に好ましくは0.05モル%~10モル%、特に0.05モル%~1モル%である。
【0105】
好ましい一実施形態では、共触媒を反応のための溶媒として使用し、ここで好ましい実施形態では、共触媒は1,3‐ジメチル‐2‐イミダゾリドンである。溶媒は使用前に乾燥させるのが好ましい。好ましい一実施形態では、溶媒をモレキュラーシーブによって乾燥させる。
【0106】
適した溶媒は、イソシアネートと反応しないように、非プロトン性及び極性であり、好ましくはジクロロベンゼン、好ましくは1,2‐ジクロロベンゼン、1,2,3‐、1,2,4‐及び1,3,5‐トリクロロベンゼン、スルホラン、メシチレン又はN‐メチルピロリドンである。特に好ましい溶媒はスルホラン(テトラヒドロチオフェン1,1‐ジオキシド)である。
【0107】
別の好ましい実施形態では、触媒を、更に好ましくは共触媒と一緒に、溶媒A中に入れ、次いで反応温度に加熱する。触媒、好ましい実施形態では触媒及び共触媒を含む溶媒は、混合物Aとも称される。酸素が反応に悪影響を及ぼすので、混合物Aからは酸素が遊離される、すなわち不活性化される。好ましい一実施形態では、この不活性化のために窒素が使用される。その場合、イソシアネートを溶媒B中でジエポキシドと均質に混合し(これは混合物Bとも称する)、反応温度を維持したまま、触媒、好ましくは触媒及び共触媒を含む混合物A中にゆっくりと計量して入れる。混合物Aと混合物Bの混合物が反応混合物である。別の好ましい実施形態では、共触媒は混合物B中に存在する。
【0108】
更に好ましい実施形態では、エポキシド及び触媒を最初に入れ、次いで反応温度に加熱し、次いでイソシアネートを添加する。イソシアネートは連続的又は不連続的に、すなわち少しずつ添加する。この方法では、溶媒は、もしある場合、好ましくはほとんど使用しない。結果として融解粘度は非常に高くなる可能性があり、そのために特に適した攪拌系を使用しなければならない。そのような攪拌系の好ましい例は、押出機又はPlasti‐Corders、例えばBrabender社によって供給されるものなどである。
【0109】
言及した方法において、イソシアネートの三量体化を抑制するために、反応混合物中の遊離イソシアネートの含量をできるだけ低く保つことが重要である。これは、以下の特徴の少なくとも1つによって制御される:混合物Bを計量して入れる速度、触媒の反応性、共触媒の反応性、添加した触媒の量、共触媒の量及び/又は反応温度。
【0110】
言及した方法は、酸素が反応に対して不利な影響を有するので、酸素を除いて行われることが好ましい。
【0111】
本方法の反応温度は、好ましくは140℃~220℃、より好ましくは150℃~200℃、特に好ましくは160℃~180℃の範囲である。
【0112】
使用方法
本発明はまた、本発明によるポリマーを、コーティング、絶縁要素、ベローズ(bellows)、膜、繊維、成形品、建物用又は輸送用の床、不織布、好ましくはシール、ローラー、靴底、ホース、ケーブル、プラグコネクタ、ケーブルプラグ、プラグ部品、ケーブル外装、クッション、積層体、形材(profiles)、ベルト、サドル、フォーム(調製物のさらなる発泡による)、プラグ結合、牽引ケーブル、太陽電池モジュール、自動車のトリム、ケーブルハーネス構成要素、相互接続装置、相互接続装置構成要素、三次元射出成形相互接続装置、電気接続要素、メカトロニクス構成要素、熱可塑性材料用の改質剤、すなわち別の材料の特性に影響を及ぼす物質、から選択される施用製造のために使用する方法に関する。これらの使用方法のそれぞれはそれのみで、施用とも称される好ましい実施形態である。このためにポリマーは、好ましくは第一の段階で顆粒又は粉末の形態で提供される。そこから好ましくは射出成形、カレンダー加工、粉末焼結又は押出しによって、施用製造する。
【0113】
本発明に従って熱可塑性成形組成物から製造することができる成形品又は半製品は、例えば自動車産業、電気産業、電子産業、電気通信産業、情報技術産業、娯楽産業及びコンピュータ産業において、乗り物やその他の移動手段、船舶、宇宙船、家庭用シナリオ、事務所の備品、スポーツ、薬品、及び一般に防火性能を高める必要がある建物の物品及び部品に、使用することができる。
【0114】
次の実施例は、例えば、触媒の有利な特性及び本発明によるポリマーにおけるその触媒の使用方法を示す。実施例は、本発明の概念に関して決して限定するものではない。
【実施例
【0115】
原料:
o‐クレシルグリシジルエーテル(CAS番号2210‐79‐9)、Sigma‐Aldrich社
ナフチルイソシアネート(CAS番号86‐84‐0)、Sigma‐Aldrich社
ビスフェノールAジグリシジルエーテル(CAS番号1675‐54‐3)、Sigma‐Aldrich社 D 3415‐250g
トリレン2,4‐ジイソシアネート(2,4‐TDI)(CAS番号584‐84‐9)、Sigma‐Aldrich社
N,N”‐(4‐メチル‐m‐フェニレン)ビス[N’,N’‐ジメチル尿素](DYHARD(登録商標)UR500)、(CAS番号17526‐94‐2)、AlzChem社
触媒:
1‐エチル‐3‐メチルイミダゾリウムクロリド(EMIM‐Cl、CAS番号65039‐09‐0、Basionics St 80、BASF社)
1‐エチル‐3‐メチルイミダゾリウムジシアンジアミド(EMIM‐DICY、CAS番号370865‐89‐7、Basionics VS 03、BASF社)
1‐エチル‐3‐メチルイミダゾリウムエチルサルフェート(EMIM‐EtOSO、CAS番号342843‐75‐5、Basionics LQ 01、BASF社)
1‐エチル‐3‐メチルイミダゾリウムブロマイド(EMIM‐Br、CAS番号65039‐08‐9、Iolitec社)
1‐エチル‐3‐メチルイミダゾリウムトシレート(EMIM‐TOS、CAS番号328090‐25‐1、Iolitec社)
1‐エチル‐3‐メチルイミダゾリウムジエチルホスフェート(EMIM‐DEP、CAS番号848641‐69‐0、Iolitec社)
1‐ベンジル‐3‐メチルイミダゾリウムクロリド(BEMIM‐Cl、CAS番号36443‐38‐8、Iolitec社)
1‐ブチル‐1‐メチルピペリジニウムクロリド(BMPM‐Cl、CAS番号845790‐13‐8、Iolitec社)
1‐ブチル‐3‐メチルイミダゾリウムクロリド(BMIM‐Cl、CAS番号79917‐90‐1、Iolitec社)
1‐(2‐ヒドロキシエチル)‐3‐メチルイミダゾリウムクロリド(HEMIM‐Cl、CAS番号61755‐34‐8、Iolitec社)
共触媒:
N,N”‐(4‐メチル‐m‐フェニレン)ビス[N’,N’‐ジメチル尿素](DYHARD(登録商標)UR500)(CAS番号17526‐94‐2)、AlzChem社
溶媒:
スルホラン(CAS番号126‐33‐0、Merck社、番号845056)、4Åモレキュラーシーブにかけて乾燥(Roth社、ビーズ状)
N,N‐ジメチルアセトアミド(DMAC)(CAS番号127‐19‐5、Merck社、番号803235)
1,2‐ジクロロベンゼン(CAS番号95‐50‐1、Sigma‐Aldrich社)
酢酸(CAS番号64‐19‐7、Bernd Kraft社、番号16873.4000)
モデル反応(触媒の選択性を決定するため):
乾燥窒素で不活性化し、温度センサー、マグネチックスターラー、コンデンサー、セプタム及びコンデンサーを介したN2パージを有する50ml三口フラスコ中に、8.0g(48.72ミリモル)のo‐クレジルグリシジルエーテル(CAS番号2210‐79‐9、Sigma‐Aldrich社)を量り入れ、0.24ミリモル(0.5モル%)の触媒と混合した。混合物を、油浴によって160℃に撹拌しながら加熱し、これで触媒を完全に溶解した。次に、4.12g(24.36ミリモル)のナフチルイソシアネート(CAS番号86‐84‐0、Sigma‐Aldrich社)を、セプタムを介してシリンジポンプ/カニューレによって5分以内で一定の計量速度で添加した。添加直後に、約200~300μlの反応液の試料を、セプタムを介してシリンジによって採取し、IRスペクトルを記録した。その後0.5時間、1時間及び1時間ごとの間隔で、さらなる試料を採取し、IRによって分析した。2256cm‐1でのIRバンドの減少によって識別できるイソシアネートの完全な変換の後、撹拌を反応温度で更に1時間行い、次にフラスコの内容物を撹拌しながら約70℃に冷却して、標本瓶に分け入れた。エポキシド滴定(EEW)及びGPC分析を実施した(溶媒DMAC、標準は合成的に調製したナフチルイソシアネートの三量体である)。
【0116】
【表1】
【0117】
IR ROx/Trは、IRによって決定される、オキサゾリドンの三量体(イソシアヌレート)に対する比である。
EEW=エポキシド当量は、エポキシホモ重合の副反応の尺度である。
表は、実施例4、7、8、9及び10の触媒が特に良好なポリマー特性をもたらすことを示す。従ってこれらが好ましい。
【0118】
実施例11‐ポリマー反応
乾燥窒素で不活性化し、マグネチックスターラー、コンデンサー、温度センサー及びセプタムを備えた100mlの三口丸底フラスコ中に、10.0g(28.6ミリモル)のビスフェノールAジグリシジルエーテル(CAS番号1675‐54‐3、Sigma‐Aldrich社 D 3415‐250g)及び20.9mg(0.143ミリモル)の1‐エチル‐3‐メチルイミダゾリウムクロリド(EMIM‐Cl、Basionics St 80、BASF社、CAS番号65039‐09‐0)を秤量して、58.24gのスルホラン中に溶解した。溶液をN2パージ下で160℃に加熱した。60分以内に、4.54g(26.1ミリモル)の2,4‐TDI(CAS番号584‐84‐9、Sigma‐Aldrich社)を、撹拌しながらシリンジポンプ/カニューレによって連続的に計量して入れた。完全に添加した後、約200~300μlの試料をシリンジによって採取し、IRによって分析した。試料を定期的に採取し、2256cm‐1でのIRバンドの減少によって識別できるイソシアネートの完全な変換の後、撹拌を反応温度で更に1時間行い、次に溶液を約50℃に冷却して、激しく攪拌しながら400mlのエタノール/水混合物(80/20v/v)にゆっくりと添加した。これにより形成されたポリマーを沈殿させ、真空濾過により分離することができた。ポリマーを各回100mlのエタノールを含むフィルターで2回精製し、次いでペトリ皿で真空乾燥オーブン中約50℃で一定質量になるまで乾燥させた。白色の微粉末が得られ、これはDMAC中で透明な溶液をもたらし、以下の指数を有した。
反応性(tNCO=0、分):300分
Mn(GPC):2591g/モル
Tg(DSC):178℃
ox/三量体(IR):0.62
融解範囲:150~160℃(コフラー)
【0119】
実施例12‐ポリマー反応
乾燥窒素で不活性化し、マグネチックスターラー、コンデンサー、温度センサー及びセプタムを備えた100mlの三口丸底フラスコ中に、10.0g(28.6ミリモル)のビスフェノールAジグリシジルエーテル(CAS番号1675‐54‐3、Sigma‐Aldrich社 D 3415‐250g)及び27.3mg(0.143ミリモル)の1‐エチル‐3‐メチルイミダゾリウムブロマイド(EMIM‐Br、Iolitec社、CAS番号65039‐08‐9)及び7.5mg(0.0284ミリモル)のN,N”‐(4‐メチル‐m‐フェニレン)ビス[N’,N’‐ジメチル尿素](DYHARD(登録商標)UR500、AlzChem社、CAS番号17526‐94‐2)を量り取り、59.94gのスルホラン中に溶解した。溶液をN2パージ下で160℃に加熱した。60分以内に、4.95g(28.4ミリモル)の2,4‐TDI(CAS番号584‐84‐9、Sigma‐Aldrich社)を、撹拌しながらシリンジポンプ/カニューレによって連続的に計量して入れた。完全に添加した後、試料をシリンジによって採取し、IRによって分析した。試料を定期的に採取し、2256cm‐1でのIRバンドの減少により識別できるイソシアネートの完全な変換の後、撹拌を反応温度で更に1時間行い、次に溶液を約50℃に冷却して、激しく攪拌しながら400mlのエタノール/水混合物(80/20v/v)にゆっくりと添加した。これにより形成されたポリマーを沈殿させ、真空濾過により分離することができた。ポリマーを各回100mlのエタノールで2回精製し、次いでペトリ皿で真空乾燥オーブン中約50℃で一定質量になるまで乾燥させた。白色の微粉末が得られ、これはDMAC中で透明な溶液をもたらし、以下の指数を有した。
反応性(tNCO=0、分):90分
Mn(GPC):6344
Tg(DSC):179℃
ox/三量体(IR):0.69
【0120】
実施例13‐ポリマー反応、好ましい実施形態
乾燥窒素で不活性化し、精密ガラススターラー、コンデンサー、温度センサー、滴下漏斗及びセプタムを備えた500mlの三口丸底フラスコ中に、135.9gのスルホラン及び0.1372g(71.5ミリモル)の1‐ブチル‐1‐メチルピペリジニウムクロリド(BMPM‐Cl、CAS番号845790‐13‐8)及び0.0378g(14.3ミリモル)のN,N”‐(4‐メチル‐m‐フェニレン)ビス[N’,N’‐ジメチル尿素](DYHARD(登録商標)UR500、AlzChem社、CAS番号17526‐94‐2)を秤量して、175℃に加熱した。これで触媒を完全に溶解した。別の容器中で、50.0g(0.1431モル)のビスフェノールAジグリシジルエーテル(CAS番号1675‐54‐3)及び23.7g(0.1359モル)の2,4‐TDI(CAS番号584‐84‐9)を、36.4gの1,2‐ジクロロベンゼンと混合し、混合物を室温で撹拌しながら均質化した。混合物を滴下漏斗に移し、90分かけて一定の計量速度で触媒溶液中に計量して入れた。完全に添加した後、試料をシリンジによって採取し、IRによって分析した。オキサゾリドンバンド(1750cm‐1)について明確なピークが観察され、遊離イソシアネートについてのシグナル(2256cm‐1)は観察されなかった。反応溶液を反応温度で更に1時間撹拌し、次に約80℃に冷却して、激しく撹拌しながら1000mlのエタノール/水混合物(80/20v/v)にゆっくりと添加した。これにより形成されたポリマーを沈殿させ、真空濾過により分離することができた。ポリマーを各回100mlのエタノールで2回洗浄し、次いでペトリ皿で真空乾燥オーブン中約80℃で一定質量になるまで乾燥させた。得られた粉末を次に200mlのジクロロメタン中に溶解し、800mlのエタノール中に再び沈殿させた。ポリマーを濾過により除去して、各回100mlのエタノールで2回スラリー化し、濾過した。このようにして得られたポリマー粉末を、次に真空乾燥オーブン中160℃で4時間乾燥させた。白色の微粉末が得られ、これはDMAC中で透明な溶液をもたらし、以下の指数を有した。
反応性(tNCO=0、分):溶液の添加完了後
Mn(GPC):11865
Tg(DSC):179℃
ox/三量体(IR):0.71
【0121】
実施例14‐触媒(R)の化学選択性の決定:
オキサゾリドンの形成に関する触媒作用の化学選択性は、次の式に従って、オキサゾリドン(1750cm‐1)及びイソシアヌレート(1705cm‐1)についてのIRシグナルを評価することにより査定される。
【0122】
【数1】
【0123】
実施例15‐エポキシド数(%EpO)の決定
化合物中のオキシラン基(「エポキシド基」)の含量を特徴付けるために、エポキシド滴定を行った。得られたエポキシド数(%EpO)は、100グラムの試料中に何グラムのオキシラン酸素が存在するかを示す。指示薬としてクリスタルバイオレットを使用した。決定には、水、塩基及びアミンが存在しないことが必要であった。
【0124】
試薬:
(1) 氷酢酸中0.1N過塩素酸(Merck社)
(2) 400mlの氷酢酸中100gのテトラエチルアンモニウムブロマイドの溶液の形態のテトラエチルアンモニウムブロマイド(Fluka社)
(3) クリスタルバイオレット(Merck社);指示薬溶液を調製するため、100mlの酢酸中0.2gのクリスタルバイオレットを使用した。
【0125】
手順:
オキシラン環を含む試料0.2~0.5gを最初に三角フラスコに入れる。試料を50mlの無水アセトンに溶解する。次いで、10mlのテトラエチルアンモニウムブロマイド溶液(上記参照)及び3滴のクリスタルバイオレット溶液(上記参照)を添加する。混合物を氷酢酸中の0.1N過塩素酸溶液で滴定する。色が青から緑に変わり次第エンドポイントに到達する。
【0126】
測定誤差を除くために、実際の滴定を行う前に、ブランク試験を行った(これはオキシラン化合物を含まない)。
【0127】
評価:
エポキシド含量%EpOは次のように計算される:%EpO=[(a‐b)+0.160]/E
a:=滴定における0.1N過塩素酸のmlでの消費量
b:=ブランク試験における0.1N過塩素酸のmlでの消費量
E:=グラムでの初期試料質量
エポキシド当量(EEW)は次の式によって計算される:
EEW=1600/%EpO
EEWの単位はg/eqである。
【0128】
反応性とは、試料がIRにおいてイソシアネートバンド(2256cm‐1)の可視シグナルをもはやもたらさない期間である。