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特許7317764車両制御装置、車両制御プログラムおよび車両制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-21
(45)【発行日】2023-07-31
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御プログラムおよび車両制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/20 20130101AFI20230724BHJP
   B60R 25/25 20130101ALI20230724BHJP
   B60R 25/23 20130101ALI20230724BHJP
   E05B 49/00 20060101ALN20230724BHJP
【FI】
B60R25/20
B60R25/25
B60R25/23
E05B49/00 R
E05B49/00 A
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020095064
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021187322
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】399007408
【氏名又は名称】株式会社シイエム・シイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桜田 伸
(72)【発明者】
【氏名】高田 直幸
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 智
(72)【発明者】
【氏名】辰本 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】太田 恭久
(72)【発明者】
【氏名】矢島 哲
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0050700(US,A1)
【文献】特開2000-127905(JP,A)
【文献】特開2007-179474(JP,A)
【文献】特開2019-079272(JP,A)
【文献】特開2005-228065(JP,A)
【文献】特開2008-287677(JP,A)
【文献】特開2015-067106(JP,A)
【文献】特開2006-350566(JP,A)
【文献】特開2019-026243(JP,A)
【文献】特開2008-001310(JP,A)
【文献】特開2015-128988(JP,A)
【文献】特表2017-531112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/00 - 99/00
E05B 1/00 - 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードウェアを有するプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
車両の所有者を特徴付ける情報である所有者情報と、前記車両の運転席に着座したユーザを特徴付ける情報であるユーザ情報とを比較することにより、前記ユーザが前記所有者であるか否かを判定し、
前記ユーザが前記所有者ではないと判定した場合、前記所有者が予め取り決めたパスワードを要求する方法により、前記ユーザが、前記所有者から使用許可を得た正規使用者であるか否かを判定し、
前記ユーザが前記正規使用者であると判定した場合、前記所有者の端末への通知を行い、
前記ユーザが前記正規使用者ではないと判定した場合、前記車両の利用制限を行う、
車両制御装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記所有者情報と前記ユーザ情報とを比較することにより、予め設定された少なくとも一つの条件が満たされるか否かを判定し、
前記少なくとも一つの条件が満たされると判定した場合、前記ユーザが前記所有者ではないと判定する、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記所有者情報は、前記所有者が前記運転席に着座した際のシート位置、シート角度、ハンドル位置およびミラー角度のうちの少なくとも一つを含む第一のドライビングポジションであり、
前記ユーザ情報は、前記ユーザが前記運転席に着座した際のシート位置、シート角度、ハンドル位置およびミラー角度のうちの少なくとも一つを含む第二のドライビングポジションであり、
前記少なくとも一つの条件は、前記第一のドライビングポジションに対する前記第二のドライビングポジションの差の絶対値が、所定基準よりも大きいという第一の条件を含む、
請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記所有者情報は、前記所有者の体重を含み、
前記ユーザ情報は、前記ユーザの体重を含み、
前記少なくとも一つの条件は、前記所有者の体重に対する前記ユーザの体重の差の絶対値が、所定基準よりも大きいという第二の条件を含む、
請求項2または請求項3に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記所有者情報は、前記所有者の過去の体重の推移に基づく体重範囲を含み、
前記ユーザ情報は、前記ユーザの体重を含み、
前記少なくとも一つの条件は、前記体重範囲の上下限値に対する前記ユーザの体重の差の絶対値が、所定基準よりも大きいという第三の条件を含む、
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記車両の利用制限は、エンジン始動の禁止およびエンジン始動に必要なパスワードの要求の少なくとも一方である請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項7】
ハードウェアを有するプロセッサに、
車両の所有者を特徴付ける情報である所有者情報と、前記車両の運転席に着座したユーザを特徴付ける情報であるユーザ情報とを比較することにより、前記ユーザが前記所有者であるか否かを判定し、
前記ユーザが前記所有者ではないと判定した場合、前記所有者が予め取り決めたパスワードを要求する方法により、前記ユーザが、前記所有者から使用許可を得た正規使用者であるか否かを判定し、
前記ユーザが前記正規使用者であると判定した場合、前記所有者の端末への通知を行い、
前記ユーザが前記正規使用者ではないと判定した場合、前記車両の利用制限を行う、
ことを実行させる車両制御プログラム。
【請求項8】
前記プロセッサに、
前記所有者情報と前記ユーザ情報とを比較することにより、予め設定された少なくとも一つの条件が満たされるか否かを判定し、
前記少なくとも一つの条件が満たされると判定した場合、前記ユーザが前記所有者ではないと判定する、
ことを実行させる請求項に記載の車両制御プログラム。
【請求項9】
前記所有者情報は、前記所有者が前記運転席に着座した際のシート位置、シート角度、ハンドル位置およびミラー角度のうちの少なくとも一つを含む第一のドライビングポジションであり、
前記ユーザ情報は、前記ユーザが前記運転席に着座した際のシート位置、シート角度、ハンドル位置およびミラー角度のうちの少なくとも一つを含む第二のドライビングポジションであり、
前記少なくとも一つの条件は、前記第一のドライビングポジションに対する前記第二のドライビングポジションの差の絶対値が、所定基準よりも大きいという第一の条件を含む、
請求項に記載の車両制御プログラム。
【請求項10】
前記所有者情報は、前記所有者の体重を含み、
前記ユーザ情報は、前記ユーザの体重を含み、
前記少なくとも一つの条件は、前記所有者の体重に対する前記ユーザの体重の差の絶対値が、所定基準よりも大きいという第二の条件を含む、
請求項または請求項に記載の車両制御プログラム。
【請求項11】
前記所有者情報は、前記所有者の過去の体重の推移に基づく体重範囲を含み、
前記ユーザ情報は、前記ユーザの体重を含み、
前記少なくとも一つの条件は、前記体重範囲の上下限値に対する前記ユーザの体重の差の絶対値が、所定基準よりも大きいという第三の条件を含む、
請求項から請求項10のいずれか一項に記載の車両制御プログラム。
【請求項12】
前記車両の利用制限は、エンジン始動の禁止およびエンジン始動に必要なパスワードの要求の少なくとも一方である請求項から請求項11のいずれか一項に記載の車両制御プログラム。
【請求項13】
ハードウェアを有する第一のプロセッサであって、
車両の所有者を特徴付ける情報である所有者情報と、前記車両の運転席に着座したユーザを特徴付ける情報であるユーザ情報とを比較することにより、前記ユーザが前記所有者であるか否かを判定し、
前記ユーザが前記所有者ではないと判定した場合、前記所有者が予め取り決めたパスワードを要求する方法により、前記ユーザが、前記所有者から使用許可を得た正規使用者であるか否かを判定し、
前記ユーザが前記正規使用者であると判定した場合、前記所有者の端末への通知を行い、
前記ユーザが前記正規使用者ではないと判定した場合、前記車両の利用制限を行う第一のプロセッサを有する車両と、
ハードウェアを有する第二のプロセッサであって、前記車両から取得した通知を前記所有者に提示する第二のプロセッサを有する端末と、
を備える車両制御システム。
【請求項14】
前記第一のプロセッサは、
前記所有者情報と前記ユーザ情報とを比較することにより、予め設定された少なくとも一つの条件が満たされるか否かを判定し、
前記少なくとも一つの条件が満たされると判定した場合、前記ユーザが前記所有者ではないと判定する、
請求項13に記載の車両制御システム。
【請求項15】
前記所有者情報は、前記所有者が前記運転席に着座した際のシート位置、シート角度、ハンドル位置およびミラー角度のうちの少なくとも一つを含む第一のドライビングポジションであり、
前記ユーザ情報は、前記ユーザが前記運転席に着座した際のシート位置、シート角度、ハンドル位置およびミラー角度のうちの少なくとも一つを含む第二のドライビングポジションであり、
前記少なくとも一つの条件は、前記第一のドライビングポジションに対する前記第二のドライビングポジションの差の絶対値が、所定基準よりも大きいという第一の条件を含む、
請求項14に記載の車両制御システム。
【請求項16】
前記所有者情報は、前記所有者の体重を含み、
前記ユーザ情報は、前記ユーザの体重を含み、
前記少なくとも一つの条件は、前記所有者の体重に対する前記ユーザの体重の差の絶対値が、所定基準よりも大きいという第二の条件を含む、
請求項14または請求項15に記載の車両制御システム。
【請求項17】
前記所有者情報は、前記所有者の過去の体重の推移に基づく体重範囲を含み、
前記ユーザ情報は、前記ユーザの体重を含み、
前記少なくとも一つの条件は、前記体重範囲の上下限値に対する前記ユーザの体重の差の絶対値が、所定基準よりも大きいという第三の条件を含む、
請求項14から請求項16のいずれか一項に記載の車両制御システム。
【請求項18】
前記車両の利用制限は、エンジン始動の禁止およびエンジン始動に必要なパスワードの要求の少なくとも一方である請求項14から請求項17のいずれか一項に記載の車両制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両制御装置、車両制御プログラムおよび車両制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電子キーが定置状態にあるか否かに基づいて、運転者が車両の所有者であるか否かを判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-037795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リレーアタック対策や、カーシェアリング普及等の観点から、運転席に着座した人物がその車両の所有者であるか否かを精度よく判定することができる技術が求められている。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、運転席に着座した人物がその車両の所有者であるか否かを精度よく判定することができる車両制御装置、車両制御プログラムおよび車両制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る車両制御装置は、ハードウェアを有するプロセッサを備え、前記プロセッサが、車両の所有者を特徴付ける情報である所有者情報と、前記車両の運転席に着座したユーザを特徴付ける情報であるユーザ情報とを比較することにより、前記ユーザが前記所有者であるか否かを判定し、前記ユーザが前記所有者ではないと判定した場合、前記車両の利用制限および前記所有者の端末への通知の少なくとも一方を行う。
【0007】
本開示に係る車両制御プログラムは、ハードウェアを有するプロセッサに、車両の所有者を特徴付ける情報である所有者情報と、前記車両の運転席に着座したユーザを特徴付ける情報であるユーザ情報とを比較することにより、前記ユーザが前記所有者であるか否かを判定し、前記ユーザが前記所有者ではないと判定した場合、前記車両の利用制限および前記所有者の端末への通知の少なくとも一方を行う、ことを実行させる。
【0008】
本開示に係る車両制御システムは、ハードウェアを有する第一のプロセッサであって、車両の所有者を特徴付ける情報である所有者情報と、前記車両の運転席に着座したユーザを特徴付ける情報であるユーザ情報とを比較することにより、前記ユーザが前記所有者であるか否かを判定し、前記ユーザが前記所有者ではないと判定した場合、前記車両の利用制限および前記所有者の端末への通知の少なくとも一方を行う第一のプロセッサを有する車両と、ハードウェアを有する第二のプロセッサであって、前記車両から取得した通知を前記所有者に提示する第二のプロセッサを有する端末と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、運転席に着座した人物がその車両の所有者であるか否かを精度よく判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る車両制御装置を含む車両制御システムを概略的に示す図である。
図2図2は、実施形態に係る車両制御装置を含む車両制御システムの構成を概略的に示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る車両制御装置が実行する車両制御方法の処理手順の第一の例を示すフローチャートである。
図4図4は、実施形態に係る車両制御装置が実行する車両制御方法の処理手順の第二の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態に係る車両制御装置、車両制御プログラムおよび車両制御システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
(車両制御装置/車両制御システム)
本実施形態に係る車両制御装置、車両制御プログラムおよび車両制御システムについて、図1および図2を参照しながら説明する。本実施形態に係る車両制御装置、車両制御プログラムおよび車両制御システムは、運転席に着座した人物(以下、「ユーザ」という)がその車両の所有者(または正規使用者)であるか否かを判定し、その判定結果に基づいて車両の制御を行うためのものである。
【0013】
本実施形態におけるユーザは、車両を利用しようとする者であり、車両の所有者の他に、車両の所有者以外の者も含まれる。車両の所有者以外の者には、例えばカーシェアリング等で所有者から車両の使用許可を得ている正規使用者、車両の所有者でもなく正規使用者でもない者が含まれる。
【0014】
車両制御装置が適用される車両制御システム1は、図1に示すように、車両10と、端末20と、体重計30と、を備えている。本実施形態に係る車両制御装置は、具体的には車両10の機能により実現される。なお、車両制御システム1は、少なくとも車両10および端末20を備えていればよく、体重を利用した所有者(または正規使用者)の判定を行う場合にのみ体重計30を用いる。車両10、端末20および体重計30は、いずれも通信機能を備えており、ネットワークNWを通じて相互に通信可能に構成されている。このネットワークNWは、例えばインターネット回線網、携帯電話回線網等から構成される。
【0015】
(車両)
車両10は、外部と通信可能な移動体であり、図2に示すように、制御部11と、通信部12と、記憶部13と、着座センサ14と、を備えている。制御部11は、車両10に搭載される各種構成要素の動作を統括的に制御するECU(Electronic Control Unit)である。制御部11は、物理歴には、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等からなるプロセッサと、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等からなるメモリ(主記憶部)と、を備えている。
【0016】
制御部11は、記憶部13に格納されたプログラムを主記憶部の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等を制御することにより、所定の目的に合致した機能を実現する。制御部11は、記憶部13に格納されたプログラムの実行を通じて、判定部111および処理部112として機能する。
【0017】
判定部111は、運転席に着座したユーザの判定を行う。判定部111は、ユーザが着座した旨の検出情報が着座センサ14から入力された場合、記憶部13に格納された所有者情報131と、ユーザ情報とを比較することにより、ユーザが所有者であるか否かを判定する。
【0018】
所有者情報131とは、車両10の所有者に関する情報であって、当該所有者を特徴付ける情報である。この所有者情報131は、予め所有者から取得しておき、記憶部13に格納しておく。所有者情報131としては、例えば、所有者のドライビングポジション(第一のドライビングポジション)、所有者の体重、所有者の過去の体重の推移に基づく体重範囲、等が挙げられる。また、所有者のドライビングポジションとしては、所有者が車両10の運転席に着座した際のシート位置、シート角度、ハンドル位置およびミラー角度のうちの少なくとも一つが含まれる。
【0019】
所有者のドライビングポジションの取得方法は特に限定されず、例えば値を手動で入力してもよく、所有者が車両10を利用した際に、座席、ハンドル、ミラー等に設けられたセンサ等から自動的に取得してもよい。また、所有者の体重および過去の体重の推移に基づく体重範囲の取得方法についても特に限定されず、例えば値を手動で入力してもよく、所有者が車両10を利用した際に、着座センサ14によって取得してもよく、あるいは体重計30からネットワークNWを通じて取得してもよい。
【0020】
ユーザ情報とは、車両10の運転席に着座したユーザに関する情報であって、当該ユーザを特徴付ける情報である。このユーザ情報は、ユーザが車両10の運転席に着座した際に取得する。例えば、ユーザのドライビングポジション(第二のドライビングポジション)、ユーザの体重、等が挙げられる。また、ユーザのドライビングポジションとしては、ユーザが車両10の運転席に着座した際のシート位置、シート角度、ハンドル位置およびミラー角度のうちの少なくとも一つが含まれる。
【0021】
ユーザのドライビングポジションの取得方法は特に限定されず、例えば値を手動で入力してもよく、ユーザが車両10の運転席に着座した際に、座席、ハンドル、ミラーに設けられたセンサ等から自動的に取得してもよい。また、ユーザの体重の取得方法についても特に限定されず、例えば値を手動で入力してもよく、ユーザが車両10の運転席に着座センサ14によって取得してもよく、あるいは体重計30からネットワークNWを通じて取得してもよい。
【0022】
判定部111は、より具体的には、所有者情報131とユーザ情報とを比較することにより、予め設定された少なくとも一つの条件が満たされるか否かを判定する。この条件には、例えば、所有者のドライビングポジションに対するユーザのドライビングポジションの差の絶対値が、所定基準よりも大きいという第一の条件と、所有者の体重に対するユーザの体重の差の絶対値が、所定基準よりも大きいという第二の条件と、所有者の体重範囲の上下限値に対するユーザの体重の差の絶対値が、所定基準よりも大きいという第三の条件と、が含まれる。各条件における所定基準は、予め実験的に求めればよい。判定部111は、これらの第一の条件~第三の条件のうちの少なくとも一つが満たされると判定した場合、ユーザが車両10の所有者ではないと判定する。
【0023】
なお、判定部111は、ユーザが所有者であるかに加えて、ユーザが正規使用者であるか否かについて判定してもよい。この正規使用者とは、所有者から車両10の使用許可を得た者のことを示している。正規使用者の判定方法としては、例えば所有者が予め取り決めたパスワードを要求する方法、所有者がユーザに対して予め配布(送信)したQRコード(登録商標)の提示を要求する方法、予め登録されたユーザの生体情報(指紋、網膜、虹彩、顔、音声等)を利用した生体認証、等を用いることができる。
【0024】
処理部112は、判定部111の判定結果に基づいて車両10の制御を行う。判定部111によって、車両10の運転席に着座したユーザが車両10の所有者ではないと判定された場合、処理部112は、車両10の利用制限および所有者の端末20への通知の少なくとも一方を行う。車両10の利用制限は、例えば車両10のエンジン始動の禁止およびエンジン始動に必要なパスワードの要求、の少なくとも一方である。なお、パスワードの要求方法は特に限定されず、例えば車両10に設けられたカーナビ等を利用して画像または音声で提示してもよく、あるいはユーザが所有する端末等を利用して画像または音声で提示してもよい。
【0025】
なお、処理部112は、判定部111において、ユーザが所有者であるかに加えて、ユーザが正規使用者であるか否かについての判定が行われた場合、判定結果に応じて異なる処理を行う。例えば、判定部111によって、ユーザが正規使用者であると判定された場合、処理部112は、所有者の端末20への通知を行う。一方、判定部111によって、ユーザが正規使用者ではないと判定された場合、処理部112は、車両10の利用制限を行う。
【0026】
通信部12は、例えばDCM(Data Communication Module)等から構成され、ネットワークNWを介した無線通信により、端末20および体重計30との間で通信を行う。
【0027】
記憶部13は、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)およびリムーバブルメディア等の記録媒体から構成される。リムーバブルメディアとしては、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリ、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)のようなディスク記録媒体が挙げられる。また、記憶部13には、オペレーティングシステム(Operating System:OS)、各種プログラム、各種テーブル、各種データベース等が格納可能である。記憶部13には、所有者情報131が格納されている。
【0028】
着座センサ14は、車両10の運転席に設けられており、当該運転席にユーザが着座したか否かと、当該ユーザの体重を検出する。そして、着座センサ14は、検出した情報を制御部11に対して出力する。
【0029】
(端末)
端末20は、車両10から通知を受けるためのものである。端末20としては、例えば所有者が所有するスマートフォン、携帯電話、タブレット端末、ウェアラブルコンピュータ、パーソナルコンピュータ等が挙げられる。端末20は、制御部21と、通信部22と、記憶部23と、表示部24と、を備えている。制御部21および記憶部23の物理的な構成は、制御部11および記憶部13と同様である。
【0030】
通信部22は、例えばLAN(Local Area Network)インターフェースボード、無線通信のための無線通信回路等から構成される。通信部22は、公衆通信網であるインターネット等のネットワークNWに接続されている。そして、通信部22は、当該ネットワークNWに接続することにより、車両10との間で通信を行う。
【0031】
表示部24は、例えばLCD(液晶ディスプレイ)、OLED(有機ELディスプレイ)等から構成され、制御部21の制御に基づいて情報を表示する。表示部24は、例えば車両10の運転席に着座したユーザが車両10の所有者ではない場合に、その旨の通知を表示する。
【0032】
(体重計)
体重計30は、ユーザの体重を計測するためのものである。体重計30は、外部と通信可能に構成されている、いわゆるIoT(Internet of Things)体重計である。体重計30は、制御部31と、通信部32と、記憶部33と、表示部34と、を備えている。制御部31、通信部32、記憶部33および表示部34の物理的な構成は、制御部21、通信部22、記憶部23および表示部24と同様である。なお、表示部34は、体重計30の使用者の体重を表示する。
【0033】
(車両制御方法:第一の例)
本実施形態に係る車両制御装置が実行する車両制御方法の処理手順の第一の例について、図3を参照しながら説明する。本例では、ユーザが所有者であるかを判定し、所有者ではない場合に所定の処理を行う場合について説明する。
【0034】
まず、判定部111は、着座センサ14の検出情報に基づいて、ユーザが車両10の運転席に着座したか否かを判定する(ステップS1)。ユーザが車両10の運転席に着座したと判定した場合(ステップS1でYes)、判定部111は、ユーザが所有者であるか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2において、判定部111は、第一の条件~第三の条件を全て満たさないと判定した場合、ユーザが車両10の所有者であると判定する。一方、判定部111は、第一の条件~第三の条件のうちの少なくとも一つが満たされると判定した場合、ユーザが車両10の所有者ではないと判定する。
【0035】
ユーザが所有者であると判定した場合(ステップS2でYes)、判定部111は、本フローを終了する。一方、ユーザが所有者ではないと判定した場合(ステップS2でNo)、処理部112は、以下のいずれかの処理を実施し(ステップS3)、本フローを終了する。なお、ステップS1において、ユーザが車両10の運転席に着座していないと判定した場合、判定部111は、ステップS1に戻る。
(1)エンジン始動禁止
(2)所有者の端末20への通知
(3)エンジン始動に必要なパスワードの要求
【0036】
(車両制御方法:第二の例)
本実施形態に係る車両制御装置が実行する車両制御方法の処理手順の第二の例について、図4を参照しながら説明する。本例では、ユーザが所有者であるかに加えて、ユーザが正規使用者であるかについても判定し、所有者ではない場合と正規使用者ではない場合とで、異なる処理を行う場合について説明する。
【0037】
まず、判定部111は、着座センサ14の検出情報に基づいて、ユーザが車両10の運転席に着座したか否かを判定する(ステップS11)。ユーザが車両10の運転席に着座したと判定した場合(ステップS11でYes)、判定部111は、ユーザが所有者であるか否かを判定する(ステップS12)。なお、ステップS12の具体的な判定方法は、図3のステップS2と同様である。
【0038】
ユーザが所有者であると判定した場合(ステップS12でYes)、判定部111は、本フローを終了する。一方、ユーザが所有者ではないと判定した場合(ステップS12でNo)、判定部111は、ユーザが正規使用者であるか否かを判定する(ステップS13)。
【0039】
ユーザが正規使用者であると判定した場合(ステップS13でYes)、処理部112は、所有者の端末20への通知を行い(ステップS14)、本フローを終了する。ユーザが正規使用者ではないと判定した場合(ステップS13でNo)、処理部112は、車両10のエンジン始動を禁止し、本フローを終了する。なお、ステップS11において、ユーザが車両10の運転席に着座していないと判定した場合、判定部111は、ステップS11に戻る。
【0040】
以上説明した本実施形態に係る車両制御装置、車両制御プログラムおよび車両制御システム1によれば、車両10の運転席に着座したユーザが、車両10の所有者であるか否かを精度良く判定することができる。また、本実施形態に係る車両制御装置、車両制御プログラムおよび車両制御システム1によれば、運転席に着座したユーザが車両10の所有者ではない場合、車両10の利用制限や所有者の端末20への通知等を行うことができる。従って、例えば悪意のある第三者のリレーアタックにより、車両10のドアが不正に開錠されたような場合においても、車両10の盗難を防ぐことができる。
【0041】
また、本実施形態に係る車両制御装置、車両制御プログラムおよび車両制御システム1によれば、所有者が、当該所有者の権限の下で、車両10の制御を容易に行うことができるため、車両10を利用したカーシェアリングの普及に貢献することができる。
【0042】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、以上のように表わしかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付のクレームおよびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 車両制御システム
10 車両
11 制御部
111 判定部
112 処理部
12 通信部
13 記憶部
131 所有者情報
14 着座センサ
20 端末
21 制御部
22 通信部
23 記憶部
24 表示部
30 体重計
31 制御部
32 通信部
33 記憶部
34 表示部
NW ネットワーク
図1
図2
図3
図4