IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ・ボーイング・カンパニーの特許一覧

特許7320344コンフォーマルフルオロポリマーコーティング
<>
  • 特許-コンフォーマルフルオロポリマーコーティング 図1
  • 特許-コンフォーマルフルオロポリマーコーティング 図2
  • 特許-コンフォーマルフルオロポリマーコーティング 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】コンフォーマルフルオロポリマーコーティング
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/04 20060101AFI20230727BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20230727BHJP
   C09D 7/20 20180101ALI20230727BHJP
   C09J 201/10 20060101ALI20230727BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20230727BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20230727BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20230727BHJP
   B05D 7/14 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
C09D201/04
C09D5/00 D
C09D7/20
C09J201/10
B32B27/00 D
B32B15/08 Q
B05D7/24 302L
B05D7/14
B05D7/24 302Y
【請求項の数】 24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018198831
(22)【出願日】2018-10-23
(65)【公開番号】P2019108522
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-10-18
(31)【優先権主張番号】15/791,948
(32)【優先日】2017-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ノワック, アンドリュー ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス, エイプリル アール.
(72)【発明者】
【氏名】シャーマン, エレナ エム.
【審査官】藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-162562(JP,A)
【文献】特開平07-290637(JP,A)
【文献】国際公開第2010/137542(WO,A1)
【文献】特開2017-001166(JP,A)
【文献】特開2015-209493(JP,A)
【文献】特開2016-121331(JP,A)
【文献】特開平2-68174(JP,A)
【文献】特開2015-175561(JP,A)
【文献】特開平2-8285(JP,A)
【文献】特表2016-525155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00- 7/24
B32B 1/00- 43/00
C09D 1/00- 10/00
C09D 10/00-201/10
C09J 1/00- 5/10
C09J 9/00-201/10
C09K 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルオロポリマーコートされた構成要素を形成するための方法であって、
構成要素の表面上に酢酸、ジルコニウム テトラ-n-プロポキシド、及び(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランの反応生成物である接着促進剤を適用すること[プロセス104];
接着促進剤上に有機材料を適用すること[プロセス106];及び
有機材料上にフルオロポリマーと、フラン又はフッ素化溶媒から選択される溶媒との混合物を適用すること[プロセス108]
を含む方法。
【請求項2】
前記接着促進剤を適用することが、前記構成要素の金属表面に前記接着促進剤を適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記接着促進剤を適用することが、1種以上のアルミニウム、ニッケル、鋼、マグネシウム又はチタン合金を含む金属表面に前記接着促進剤を適用することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
30℃から70℃の温度で前記接着促進剤を硬化させることをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記接着促進剤上に有機材料を適用することが、1種以上のエポキシ、ポリウレタン又は繊維強化プラスチックである有機材料を適用することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記接着促進剤上に有機材料を適用することが、0.000013mから0.00013mの厚さを有する層である有機材料を適用すること及び0.000013mから0.00013mの厚さを有する層である接着促進剤を適用することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記フルオロポリマーが、フルオロアクリレート、フルオロシリコーンアクリレート、フルオロウレタン、ペルフルオロポリエーテル、ペルフルオロポリオキセタン、ポリビニリデンフルオライド、及びペルフルオロアルコキシアルカンから選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記溶媒が、40℃から200℃の沸点を有するフッ素化溶媒である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記フッ素化溶媒が、式(I):
-(CF)n-R (I)
[式中、nは1から25の整数であり;R及びRは、独立して、-CF、水素、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アミノアリール、アリールオキシ、アルキル、アリール、1から25の炭素を有するカルボン酸基、アルデヒド、ケトン、及び-CF(CF)q(CH)p[式中、qは0から25の整数であり、pは1から25の整数である]である]
によって表される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記溶媒が、40℃から200℃の沸点を有するフランである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記フラン溶媒が、式(IIa)又は(IIb):
[式中、R、R、R及びRは、独立して、水素、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アミノアリール、アリールオキシ、アルキル、アリール、1から25の炭素を有するカルボン酸基、アルデヒド及びケトンである]
によって表される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記混合物が、エポキシ、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリエーテル、カルバマート、及びポリシロキサンから選択される、1種以上の追加のポリマーをさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記混合物が、25℃で0.00046Pasから1Pasの粘度を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記混合物を適用することが、前記有機材料層上に83000Paから120000Paの圧力で前記混合物を噴霧することを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記混合物を適用することが、前記混合物の複数の層を噴霧して、前記有機材料上に0.000051mから0.00051mの厚さを有するフルオロポリマー層を形成することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記フルオロポリマー層が、層の全体積に基づいて20%から70%の平均空隙率を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記フルオロポリマー層が、1重量%未満の添加物含量を有する、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
フルオロポリマーと、フラン又はフッ素化溶媒から選択される溶媒とを含む第2の混合物を、第1のフルオロポリマー層上に、第2の混合物の複数の層を噴霧することによって適用して、0.000051mから0.00051mの厚さを有する第2のフルオロポリマー層を形成することをさらに含む、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記有機材料上に前記混合物を適用する間、金属表面を45℃から55℃に加熱すること[プロセス110]をさらに含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
フルオロポリマーと、フラン又はフッ素化溶媒から選択される溶媒とを含む第2の混合物を、マイラーシート上に適用することによって、自立フィルムを形成すること[プロセス112]をさらに含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記自立フィルムを90℃から150℃の温度でホットプレスすること[プロセス114]をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
エポキシ接着剤を前記自立フィルムのフルオロポリマー表面又はフルオロポリマーコートされた金属のフルオロポリマー表面に適用し、前記自立フィルムのフルオロポリマー表面を前記フルオロポリマーコートされた金属のフルオロポリマー表面に、又は前記フルオロポリマーコートされた金属のフルオロポリマー表面を前記自立フィルムのフルオロポリマー表面にプレスし、プレスされたアセンブリを形成することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記プレスされたアセンブリを金属プレート上に配置すること、前記プレスされたアセンブリ上にバッグを配置すること、及び真空バッグに6900Paから140000Paの圧力で真空を適用することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記プレスされたアセンブリを38 から150 の温度で、-17 /分から-6.7 /分の温度上昇率で硬化することをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、コンフォーマルフルオロポリマーコーティングを非平坦な表面上に配置するための方法を提供する。本開示の態様は、フルオロポリマーコーティングをさらに提供する。
【背景技術】
【0002】
航空機上への霜、氷又は雪の蓄積は、航空機の翼全体での気流を変化させ、揚力を低下させ、抗力を増大させる。この蓄積はまた総重量を増し、離陸に必要な揚力を増大させる。したがって、霜、氷又は雪は通常、離陸前に除去される。飛行中には、航空機の外表面への着氷を防ぐため、高温のエンジン抽気、電気毛布、メカニカルブーツ又はこれらの組み合わせが使用されうる。これらの手段は、しかしながら、エネルギーを消費し、航空機の重量を増し、燃費を低下させる。
【0003】
地上では、高温グリコールスプレーの形態の防氷液及び解凍液が使用される。このような液は効果的であるが、追加費用を発生させ、追加の適用時間からゲート遅延を引き起こしうる。その結果、航空機から氷を除去するための新しいオプションが望まれる。
【0004】
氷蓄積を減少又は防止するために、フルオロポリマーが表面にコートされうる。しかしながら、航空機部品が平坦でない(例えば、曲率を有する)ところ、例えば翼の前縁で、フルオロポリマーコーティングは、滑らかなコーティング表面と比較して、雨又は砂にさらされたときにずっと速く摩滅する波打ったテクスチャを有する。さらに、フルオロポリマーコーティングは、堆積したコーティングのクリープ/フローのために、航空機部品の曲面全体での約10ミルの最大厚さを有する。
【0005】
非平坦な表面で滑らかな疎氷性コーティングを形成するための方法が必要である。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、表面上に接着促進剤を適用すること;接着促進剤上に有機材料を適用すること;及び有機材料上にフルオロポリマーと、フラン又はフッ素化溶媒から選択される溶媒の混合物を適用することを含む、フルオロポリマーコートされた金属を形成するための方法を提供する。
【0007】
本開示の態様は、構成要素上に約5ミルから約80ミルの厚さ、層の全体積に基づいて約20%から約70%の平均空隙率、及びcmあたり約1011から約1013ボイドのボイド密度を有する、フルオロポリマーコーティングをさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の上述の特徴が詳細に理解されるように、上で簡潔に要約された本開示のより具体的な説明は、実施形態を参照することによって行われ、その一部は添付の図面に示されている。しかしながら、添付図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示しており、それゆえ、本開示の範囲を限定するとみなすべきではなく、本開示は、他の等しく有効な実施形態を認めうることに留意されたい。
【0009】
図1】一態様による、滑らかな疎氷性コーティングがその上に配置された表面を製造するための方法の流れ図である。
図2】一態様による、ロボットスプレーである。
図3】一態様による、真空バッグ装置の透視図である。
【0010】
理解を促すために、可能であれば、図に共通する同一の要素を示すために、同一の参照番号が用いられる。ある態様の要素及び特徴は、さらなる詳述なく別の態様に有利に取り込まれうると考えられる。
【0011】
〔詳細な説明〕
本開示は、表面上に接着促進剤を適用すること;接着促進剤上に有機材料を適用すること;及び有機材料上にフルオロポリマーと、フラン又はフッ素化溶媒から選択される溶媒の混合物を適用することを含む、フルオロポリマーコートされた金属を形成するための方法を提供する。本開示の方法は、非平坦な表面、例えば非平坦な金属表面などに、改善された雨及び砂の侵食耐性を有する、滑らかな疎氷性コーティングを提供する。
【0012】
翼の表面準備
図1は、滑らかな疎氷性コーティングがその上に配置された表面を製造するための方法(100)である。少なくとも一態様において、図1に示したように、表面、例えば構成要素の表面などは、研磨及び/又は溶媒で洗浄されうる(ブロック102)。構成要素はビークル、例えば風力タービン、衛星、又は自動車、電車、ボートなどの一部でありうる。ビークル構成要素は、例えば航空機の着陸ギア、パネル又はジョイントなどの構造的構成要素などの、ビークルの構成要素である。ビークル構成要素の例は、翼(動翼など)、補助電源ユニット、航空機のノーズ、燃料タンク、テイルコーン、パネル、2つ以上のパネルの間のコートされたラップジョイント、翼から胴体のアセンブリ、構造的航空機複合材、胴体本体ジョイント、翼リブから外板のジョイント、及び/又は他の内部構成要素を含む。少なくとも一態様において、表面は研磨パッドで研磨され、露出面を提供する。例えば、酸化アルミニウムを除去し、元素のアルミニウム表面を露出させるために、アルミニウム表面は研磨される。少なくとも一態様において、研磨パッドは、約100から約1000のグリット表面、例えば約400グリットから約500グリットなどを有する。適切な研磨パッドは、3M Corporationから入手可能なスコッチブライト(商標)研磨パッドを含む。研磨された表面は、放たれた表面材料又は破片を除去するために石鹸及び水を用いてこすって洗浄されうる。洗浄後、表面(ビークル構成要素の表面など)は、洗剤を含むアルカリ溶液に導入されうる。追加的に又は代替的に、洗剤を含むアルカリ溶液は表面に噴霧されうる。アルカリ溶液は、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム又は炭酸ナトリウムでありうる。洗剤は、International Products Corporation of Burlington,New Jerseyから入手可能なMicro-90(登録商標)洗剤(界面活性剤及びキレート剤を含む)でありうる。洗剤を含むアルカリ溶液のpHは、約7から約12、例えば約9などでありうる。洗剤を有するアルカリ溶液に存在する表面(ビークル構成要素の表面など)は、約1分間から約1時間、例えば約20分間など、超音波処理されうる。洗剤を有するアルカリ溶液は表面の酸化の追加的除去を提供する。表面(ビークル構成要素の表面など)はその後、溶液から除去され、水で洗浄され、アセトン浴に導入されうる。アセトン浴に存在する表面は、約1分間から約1時間、例えば約20分間など、超音波処理されうる。表面はアセトン浴から除去され、乾燥される。表面は、窒素又はアルゴンなどの不活性雰囲気下で、さらなる使用まで貯蔵されうる。
【0013】
フルオロポリマーは、研磨された表面に直接(例えば、以下に記載した方法で)適用されうるか、研磨された表面は、以下に記載したような、さらなる表面準備を受けうる。
【0014】
噴霧適用のための表面準備
少なくとも一態様において、図1に示したように、表面への有機材料の結合を強化するために、金属接着促進剤は表面(ブロック104)に適用される。少なくとも一態様において、方法は、酢酸、ジルコニウム テトラ-n-プロポキシド、及び(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランの反応生成物である接着促進剤を適用することを含む。接着促進剤は、例えば3M Surface Pre-Treatment AC-131 CBなどのBoegel(登録商標)でありうる。3%AC-131キットが3M Corporationから得られうる。接着促進剤は表面上の層でありうる。3%AC-131は非クロム酸塩の変換コーティングであり、典型的にアルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、マグネシウム、及びチタン合金上に配置される。AC-131は、氷酢酸(GAA)、ジルコニウム テトラ-n-プロポキシド(TPOZ)の水性混合物であるパートA、(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン(GTMS)であるパートBを有する。2つの構成要素は一緒に混合され(パートA+パートB)、混合物中のシリコーン対ジルコニウムのモル比は2.77:1である。パートA中の酢酸対TPOZのモル比は0.45:1である。測定された体積のGAA及びTPOZは、約10分間激しく混合され、その後AC-131キットからパートAに加えられうる。予め混合されたパートA溶液はその後、AC-131キットから測定された体積のパートB溶液に加えられ、30分間の誘導期間が続きうる。この溶液はその後、噴霧、浸漬、ブラッシング、及び/又はワイピングによって表面(ビークル構成要素の表面など)に配置される。例えば、適切な噴霧の形は、スプレーガン、高体積低圧スプレーガン、及び/又はハンドポンプスプレーを用いる噴霧を含む。溶液はその後ゾルゲルを形成するために(室温又は高温で)硬化される。少なくとも一態様において、硬化温度は、約10℃から約150℃、例えば約20℃から約100℃、約30℃から約70℃、約40℃から約50℃などである。硬化は約15分から約72時間の期間で実行されうる。接着促進剤層は、約0.5ミルから約5ミル、例えば約1ミルから約2ミルなどの厚さを有しうる。
【0015】
少なくとも一態様において、図1に示したように、有機材料は接着促進剤上に堆積される(ブロック106)。有機材料は接着促進剤上の層でありうる。有機材料は、例えばエポキシ、ポリウレタンなどのプライマー、例えばエポキシ又はウレタンプライマーなどのプライマー材料又は繊維強化プラスチックを含みうる。堆積は、ゾルゲルを有機材料で、塗装、噴霧、浸漬、接触、粘着、及び/又は結合して有機材料層を形成することを含みうる。有機材料層は、約0.5ミルから約5ミル、例えば約1ミルから約2ミルなどの厚さを有しうる。
【0016】
フルオロポリマーの噴霧適用
少なくとも一態様において、図1に示したように、フルオロポリマーは粘着促進剤層上又は有機材料層又は表面(例えば、金属表面)に堆積される(ブロック108)。フルオロポリマーは、フルオロアクリレート、フルオロシリコーンアクリレート、フルオロウレタン、ペルフルオロポリエーテル、ペルフルオロポリオキセタン、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、及びペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)を含む。フルオロエタンは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレンプロピレンポリマー(FEP)(ヘキサフルオロプロピレンとテトラフルオロエチレンのコポリマーである)、及びエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)を含む。
【0017】
表面(ビークル構成要素の表面など)は、噴霧の間に構成要素の2つ以上の側面に容易なアクセスを許すように、(例えばクランプ又はリングなどによって)吊るされうる。
【0018】
フルオロポリマーは、フラン溶媒又はフッ素化溶媒の一方又は両方に溶解される。典型的に、フルオロポリマーのフッ素原子の量が理由で、従来の噴霧及び結合堆積技術は、フルオロポリマーとの溶媒不適合により使用できない。フラン溶媒又はフッ素化溶媒は、フルオロポリマーの溶解(及び流動性)に十分は極性及び噴霧適用の使用にとって十分に低い揮発性(すなわち、十分に高い沸点)を提供することが発見された。加えて、フラン溶媒又はフッ素化溶媒の沸点は、フルオロポリマー層の滑らかでコンフォーマルな表面を提供することができる最小のボイド形成で、フルオロポリマー層から容易に除去されるのに十分低い。少なくとも一態様において、溶媒は、約40℃から約200℃、例えば約50℃から約100℃、約60℃から約90℃などの沸点を有する。
【0019】
少なくとも一態様において、フッ素化溶媒は、式(I):
-(CF)n-R (I)
[式中、nは約1から約25の整数であり;R及びRは、独立して、-CF、水素、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アミノアリール、アリールオキシ、アルキル、アリール、約1から約25の炭素を有するカルボン酸基、カルボニル、ケトン、アルデヒド、及び-CF(CF)q(CH)p[式中、qは約0から約25の整数であり、pは約1から約25の整数である]である]
によって表されるものであって、フッ素化溶媒は約40℃から約200℃の沸点を有する。本開示のフルオロポリマーとは異なり、大部分の化合物は、フッ素化溶媒に可溶性ではない。例えば、多くの有機分子及び多くの非フッ素化又は部分的にフッ素化された化合物は、フッ素化溶媒に可溶性ではない。
【0020】
少なくとも一態様において、フラン溶媒は、式(IIa)又は(IIb)
[式中、R、R、R及びRは、独立して、水素、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アミノアリール、アリールオキシ、アルキル、アリール、約1から約25の炭素を有するカルボン酸基、カルボニル、及びアルキルケトンカルボニルである]
によって表されるものであって、フラン溶媒は約40℃から約200℃の沸点を有する。
【0021】
比較的に、メチルエチルケトンはフルオロポリマーに溶解しない。さらに、フルオロポリマーは、例えばクロロホルム及びジクロロメタンなどの塩素化溶媒に限定された溶解性を有する。これらの溶媒は十分に極性ではなく、フルオロポリマーを分散させることができないからである。加えて、例えばジクロロメタンなどの大部分の塩素化溶媒の揮発性は、噴霧適用にとって高すぎる。
【0022】
混合物は、エポキシ、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリエーテル、カルバマート(例えばポリウレタンなど)、及びポリシロキサンなどの1種以上の追加のポリマーをさらに含みうる。ポリウレタンは、例えば、それらの両方が溶媒光沢クリアコートである、PPG Aerospace of Sylmar,Californiaから入手可能なDESOTHANE(登録商標)HS CA8800/B900及びAkzo Nobel Aerospace Coatings in Waukegan,Illinoisから入手可能なECLIPSE(登録商標)(ECL-G-7)を含みうる。
【0023】
本開示のフルオロポリマー及び溶媒の混合物は、ASTM D445-17aで決定される25℃で約0.00046Pasから約1Pas、例えばASTM D445-17aで決定される25℃で約0.001Pasから約0.8Pasなどの粘度を有する。本開示のフルオロポリマー及び溶媒の混合物は、非平坦な表面、例えば非平坦な金属表面などに、コンフォーマルにコートするために(例えば、ビークル構成要素の曲面上へのコンフォーマル堆積)、十分に高い粘度、例えば0.00046Pas又はそれより大きい粘度を提供しうる。コンフォーマルコーティングは表面全体にわたって実質的に均一な厚さを有する。
【0024】
フルオロポリマーが、フラン溶媒又はフッ素化溶媒の一方又は両方に溶解された後に、フルオロポリマー溶液は、適切な噴霧装置、例えばエアーブラシなどを用いて粘着促進剤層又は有機材料層の上に噴霧される。少なくとも一態様において、噴霧の間、噴霧装置のノズルは、接着促進剤層又は有機材料層の表面から、表面のコントロールされた位置で噴霧を供給するために十分に近い距離である、約0.5インチから約30インチ、例えば約2ンチから約10インチ、約4ンチから約8インチなどの距離に離される。少なくとも一態様において、フルオロポリマー溶液は、接着促進剤層又は有機材料層の上に、約7psiから約24psi、例えば約12psiから約18psiなどの圧力で噴霧される。他のスプレー/圧力のオプションは:約10psiから約60psiのHVLP/LVLP;約20psiから約50psiのエアーブラシ;約500psiから約2000psiの油圧スプレー;約100psiから約1000psiのロボットスプレーを含みうる。
【0025】
噴霧装置のノズルは、接着促進剤層又は有機材料層の表面に平行に動かされる。接着促進剤層又は有機材料層の表面に平行なノズルの2つの完全な動き(「往復」)は、1つの「パス」として言及される。1つのパスは、表面上に、約0.5ミルから約2ミル、例えば約0.8ミルから約1.2ミル、約1ミルなどの厚さでフルオロポリマー溶液を堆積させうる。1つのパスから次のパスの時間は、約0.1分から約30分、例えば約0.5分から約5分、約1分から約2分などでありうる。パスの間の提供時間は、個別のパスによって堆積された層からの溶媒除去を促進させる。この層ごとの噴霧アプローチは、ボイドを作る1つの厚い層から溶媒を蒸発させる代わりに、溶媒が各層から蒸発することを許す。いくつかのパスの後、フルオロポリマー層は、約2ミルから約20ミル、例えば約5ミルから約15ミル、約8ミルから約12ミルなどの厚さを有して形成される。フルオロポリマー層は室温で、少なくとも約10時間、例えば少なくとも約15時間、少なくとも約16時間などで硬化されうる。あるいは、硬化はフルオロポリマー層を、約20℃から約100℃、例えば約30℃から約90℃、約40℃から約80℃などの温度で加熱することによって促進されうる。硬化は約15分から約5時間、例えば約4時間などで実行されうる。少なくとも一態様において、本開示のフルオロポリマー層は、層の全体積に基づいて水銀圧入により決定される、約20%から約70%、例えば約40%から約60%、約45%から約55%などの平均空隙率を有し、フルオロポリマー層の滑らかな、コンフォーマルな表面を提供しうる。少なくとも一態様において、本開示のフルオロポリマー層は、水銀圧入試験(ASTM D4284-12)によって決定される、cmあたり約1011から約1013ボイド、例えばcmあたり約2×1011から約8×1012ボイドなどの平均ボイド密度を有し、フルオロポリマー層の滑らかな、コンフォーマルな表面を提供しうる。少なくとも一態様において、本開示のフルオロポリマー層は、ASTM D7127-05(ポータブルスタイラス器具を用いた研磨ブラスト洗浄金属表面の表面粗さの測定の標準的な試験法)によって決定される、約100マイクロインチ未満、例えば約90マイクロインチ未満、約80マイクロインチ未満、約70マイクロインチ未満、約5マイクロインチから約100マイクロインチ、約20マイクロインチから約80マイクロインチなどの表面粗さを有する。本開示の滑らかなフルオロポリマー層は、フルオロポリマー層上での安定した水の層流を提供しうる。
【0026】
少なくとも一態様において、第2のフルオロポリマー層は、第1のフルオロポリマー層と類似又は同じ方法で、第1のフルオロポリマー層上に堆積される。フルオロポリマー溶液は、適切な噴霧装置、例えばエアーブラシなどを用いて第1のフルオロポリマー層上に噴霧される。噴霧の間、噴霧装置のノズルは、第1のフルオロポリマー層の表面から、約0.5インチから約30インチ、例えば約2ンチから約10インチ、約4ンチから約8インチなどの距離に離される。フルオロポリマー溶液は、第1のフルオロポリマー層上に、約7psiから約24psi、例えば約12psiから約18psiの圧力で噴霧される。他のスプレー/圧力のオプションは:約10psiから約60psiのHVLP/LVLP;約20psiから約50psiのエアーブラシ;約500psiから約2000psiの油圧スプレー;約100psiから約1000psiのロボットスプレーを含みうる。噴霧装置のノズルは、第1のフルオロポリマー層の表面に平行に動かされる。1つのパスは、表面上に、約0.5ミルから約2ミル、例えば約0.8ミルから約1.2ミル、約1ミルなどの厚さでフルオロポリマー溶液を堆積させうる。1つのパスから次のパスの時間は、約0.1分から約30分、例えば約0.5分から約5分、約1分から約2分などでありうる。パスの間の提供時間は、個別のパスによって堆積された層からの溶媒除去を促進させる。この層ごとの噴霧アプローチは、ボイドを作る1つの厚い層から溶媒を蒸発させる代わりに、溶媒が各層から蒸発することを許す。いくつかのパスの後、第2のフルオロポリマー層は、約2ミルから約20ミル、例えば約5ミルから約15ミル、約8ミルから約12ミルなどの厚さを有して形成される。第2のフルオロポリマー層は室温で、少なくとも約10時間、例えば少なくとも約15時間、少なくとも約16時間などで硬化されうる。あるいは、硬化はフルオロポリマー層を、約20℃から約100℃、例えば約30℃から約90℃、約40℃から約80℃などの温度で加熱することによって促進されうる。硬化は約15分から約5時間、例えば約4時間などで実行されうる。
【0027】
少なくとも一態様において、第1のフルオロポリマー層、第2のフルオロポリマー層、接着促進剤、及び/又は有機材料を堆積させるための噴霧装置はロボットスプレーである。図2はロボットスプレーである。図2に示したように、材料(例えばフルオロポリマーと溶媒の混合物など)は、使い捨てのポリエチレンライナーを用いて圧力ポット(201)に充填される。蓋(202)が取り付けられて気密で締められる。流体送達ホース(203)は、圧力ポットの内側のピックアップチューブ(204)に連結される。ポットを加圧してピックアップチューブ及びラインに材料を押し込むために、圧力調整された窒素又は乾燥空気がライン(205)を通じて注入される。圧力ポットは、過度の加圧を防止して材料の除去又は追加のためにポットから圧力をブリードするために、圧力リリーフバルブを有する。送達される流体の圧力をコントロールするために、調整器がガン(206)の近くに置かれる。ガンでの流体圧力のコントロールは、ガンのスプレーノズルを通る体積流量をコントロールする。ガンの近くへの調整器の取り付けは、ホースの長さ、ホースの直径又はロボットアームの高さからの圧力低下の影響を除去する。流量をコントロールするために、ノズルコントロールも必要である。ノズルオリフィス内のわずかな製造ばらつきは、異なる液体流量をもたらしうる。一定で繰り返し可能なノズルを通る体積流量を与えるために、ノズルコントロール及びガンでの圧力調整は一緒に働く。ノズルからの一定の噴霧分散を与えるために、ライン(207)を通るエアーアシスト噴霧圧力も調整及びコントロールされる。
【0028】
ロボット(208)はガンを運び、非平坦な表面(209)から一定のオフセット及びコントロールされた速度を有して、構成要素の表面を横切るようにプログラムされている。ノズルからの噴霧は典型的に平坦なファンのパターンを有する。噴霧材料の大部分は、ファンの縁に送達される量を漸減させて、ファンの中心に堆積される。スプレーファンにおけるこの不均一な分布を補うために、ロボットは分布を均一にするために隣接したパスを重ねるようにプログラムされる。典型的なパスインデクシングは1/4ファン幅である。
【0029】
少なくとも一態様において、図1に示したように、方法(100)は、表面上にフルオロポリマーを堆積させる前、間、及び/又は後に、表面(ビークル構成要素の表面など)を加熱することを含む(ブロック110)。例えば、表面上にフルオロポリマーを堆積させる間に表面を加熱することは、ビークル構成要素の曲がった(非平坦な)表面にコンフォーマルな堆積を提供する、in-situ溶媒除去及びフルオロポリマーと溶媒を含む混合物の増加した粘度を提供しうる。表面上にフルオロポリマーを堆積させる間に表面を加熱することは、溶媒が除去されるので、トラップされた溶媒によって引き起こされるボイドを減少又は除去して、全体的により厚いコーティング(例えば、10ミルから20ミル)を達成するために、フルオロポリマーの追加の均一な層を提供しうる。表面上にフルオロポリマーを堆積させる間に表面を加熱することは、室温で硬化された層と比較してより滑らかな層をさらに提供する。コンフォーマルコーティングは表面にわたって実質的に均一な厚さを有する。加熱の間、表面(ビークル構成要素の表面など)は、表面に接触する適切な熱電対、例えばタイプK又はタイプJ熱電対などによって決定される、約30℃から約70℃、例えば約45℃から約55℃などの温度を有しうる。表面を加熱することは、表面の光曝露(例えば、紫外光)を用いて実行されうる。光は赤外線(IR)又は紫外線(UV)でありうる。表面の光への曝露(及び加熱)は、365nmで最大エミッタンスを有するH+電球付きのFUSION UV硬化ユニットを用いて実行されうる。少なくとも一態様において、UV/IR硬化ユニットの電球は、噴霧装置のノズルからの材料の流れの方向に対して約45°に指向される。少なくとも一態様において、UV/IR硬化ユニットの電球は、表面から、約8インチから約3フィート、例えば約11ンチから約1.5フィートなどの距離に離される。IR硬化ユニットは、例えば、改善された雨及び砂の侵食に対する耐久性を提供する、そうでなければより波打った効果を有したであろうコーティングの滑らかな表面テクスチャを提供する。
【0030】
自立フィルムを形成すること
少なくとも一態様において、図1に示したように、方法(100)は、自立フルオロポリマーフィルムを形成することを含む(ブロック112)。フルオロポリマーとフラン溶媒又はフッ素化溶媒の一方又は両方の混合物は、上に記載したように、マイラーシート、例えばシラン処理されたマイラーなどの上に、適切な噴霧装置、例えばエアーブラシなどを用いて噴霧される。少なくとも一態様において、噴霧の間、噴霧装置のノズルは、マイラーシートの表面から、約0.5インチから約30インチ、例えば約2ンチから約10インチ、約4ンチから約8インチなどの距離に離される。少なくとも一態様において、フルオロポリマー溶液は、マイラーシートの上に、約7psiから約24psi、例えば約12psiから約18psiなどの圧力で噴霧される。他のスプレー/圧力のオプションは:約10psiから約60psiのHVLP/LVLP;約20psiから約50psiのエアーブラシ;約500psiから約2000psiの油圧スプレー;約100psiから約1000psiのロボットスプレーを含みうる。噴霧装置のノズルは、マイラーシートの表面に平行に動かされる。マイラーシートの表面に平行なノズルの2つの完全な動き(「往復」)は、1つの「パス」として言及される。1つのパスは、表面上に、約0.5ミルから約2ミル、例えば約0.8ミルから約1.2ミル、約1ミルなどの厚さでフルオロポリマー溶液を堆積させうる。1つのパスから次のパスの時間は、約0.1分から約30分、例えば約0.5分から約5分、約1分から約2分などでありうる。パスの間の提供時間は、個別のパスによって堆積された層からの溶媒除去を促進させる。この層ごとの噴霧アプローチは、ボイドを作る1つの厚い層から溶媒を蒸発させる代わりに、溶媒が各層から蒸発することを許す。いくつかのパスの後、フルオロポリマー層は、約2ミルから約20ミル、例えば約5ミルから約15ミル、約8ミルから約12ミルなどの厚さを有して形成される。フルオロポリマー層は室温で、少なくとも約10時間、例えば少なくとも約15時間、少なくとも約16時間などで硬化されうる。あるいは、硬化はフルオロポリマー層を、約20℃から約100℃、例えば約30℃から約90℃、約40℃から約80℃などの温度で加熱することによって促進されうる。硬化は約15分から約5時間、例えば約4時間などで実行されうる。
【0031】
少なくとも一態様において、第2のフルオロポリマー層は、自立フィルムを形成するために、第1のフルオロポリマー層と類似又は同じ方法で、第1のフルオロポリマー層上に堆積される。フルオロポリマー溶液は、適切な噴霧装置、例えばエアーブラシなどを用いて第1のフルオロポリマー層上に噴霧される。少なくとも一態様において、噴霧の間、噴霧装置のノズルは、第1のフルオロポリマー層の表面から、約0.5インチから約30インチ、例えば約2ンチから約10インチ、約4ンチから約8インチなどの距離に離される。少なくとも一態様において、フルオロポリマー溶液は、第1のフルオロポリマー層上に、約7psiから約24psi、例えば約12psiから約18psiなどの圧力で噴霧される。他のスプレー/圧力のオプションは:約10psiから約60psiのHVLP/LVLP;約20psiから約50psiのエアーブラシ;約500psiから約2000psiの油圧スプレー;約100psiから約1000psiのロボットスプレーを含みうる。噴霧装置のノズルは、第1のフルオロポリマー層の表面に平行に動かされる。1つのパスは、表面上に、約0.5ミルから約2ミル、例えば約0.8ミルから約1.2ミル、約1ミルなどの厚さでフルオロポリマー溶液を堆積させうる。1つのパスから次のパスの時間は、約0.1分から約30分、例えば約0.5分から約5分、約1分から約2分などでありうる。いくつかのパスの後、第2のフルオロポリマー層は、約2ミルから約20ミル、例えば約5ミルから約15ミル、約8ミルから約12ミルなどの厚さを有して形成される。第2のフルオロポリマー層は室温で、少なくとも約10時間、例えば少なくとも約15時間、少なくとも約16時間などで硬化されうる。あるいは、硬化はフルオロポリマー層を、約20℃から約100℃、例えば約30℃から約90℃、約40℃から約80℃などの温度で加熱することによって促進されうる。硬化は約15分から約5時間、例えば約4時間などで実行されうる。
【0032】
自立フィルムは、約90℃から約150℃、例えば約100℃などでホットプレスされうる。少なくとも一態様において、2つのプラテンは所望の温度(例えば、100℃)に加熱される。自立フィルムは2つのリリース層(例えば、シラン処理されたマイラー)の間に置かれて、ホットプラテンの間に置かれる。ホットプラテンはその後、フィルムに圧力と熱を提供しながら閉じられる。熱可塑性物質が流れ、フィルムの厚さはシムの使用でコントロールされうる。プラテンはその後、圧力が除去される前に冷却される。ホットプレスのために選択される温度は、熱可塑性又はポリマーのフィルムに依存する。少なくとも一態様において、プラテンの温度は、ポリマーのTg(ガラス転移温度)より高いが、分解温度より低い。
【0033】
フルオロポリマーコートされた表面への自立フィルムの結合
少なくとも一態様において、図1に示したように、方法(100)は、自立フィルムをフルオロポリマーコートされた表面に結合することを含む(ブロック114)。接着剤は、自立フィルムの露出した(例えば、外側の)フルオロポリマー表面又はフルオロポリマーコートされた構成要素の露出した(例えば、外側の)フルオロポリマー表面の一方又は両方に適用されうる。接着剤と適用された表面の間の空気含量を減少又は除去するために、接着剤は、自立フィルムのフルオロポリマー表面又はフルオロポリマーコートされた構成要素のフルオロポリマー表面の一方又は両方の上に圧力でプレスされうる。接着剤は、適切な接着剤、例えばエポキシなど、例えば3M Corporationから得られるAF163-2Kを含む。接着剤が自立フィルムのフルオロポリマー表面に適用される場合、接着剤の反対面にある保護ライナーはその後除去され、フルオロポリマーコートされた構成要素のフルオロポリマー表面の上に置かれ、その後フルオロポリマーコートされた構成要素のフルオロポリマー表面の上に圧力でプレスされる。接着剤がフルオロポリマーコートされた構成要素のフルオロポリマー表面に適用される場合、接着剤の反対面にある保護ライナーはその後除去され、自立フィルムのフルオロポリマー表面の上に置かれ、その後自立フィルムのフルオロポリマー表面の上に圧力でプレスされる。
【0034】
全体(プレスされた)アセンブリはその後真空バッグ内でシールされる。図3は真空バッグ装置(300)の透視図である。図3に示すように、真空シール(304)に連結された真空ホース(302)を含む。真空シール(304)は真空バッグ(306)に連結される。真空バッグ(306)は、金属プレート(308)及び位置(310a)及び(310b)で示される2つのアセンブリの上に配置される。金属プレート(308)は改善した真空効率を提供する。金属プレートは平坦な金属プレートであり、アルミニウム又はステンレス鋼を含みうる。真空バッグに結合された金属プレートがなければ、真空バッグは、アセンブリの周りを自由に包み、バッグ内にボイド及び/又はクリース(それらは、クリース及び/又はプリーツの位置に依存して、アセンブリ上のコーティングテクスチャに影響を与えうる)を作ることが発見された。
【0035】
真空は、アセンブリのフルオロポリマーコートされた金属への自立フィルムとの接触を確実にするバッグ(306)に適用される。真空バギング工程の間のバッグ(306)内の圧力は、約1psiから約20psi、例えば約7psiから約10psiなどでありうる。空気が、自立フィルムとアセンブリのフルオロポリマーコートされた金属との間の結合ラインから実質的に又は完全に除去されると、バギングされたアセンブリは(プレスされたアセンブリの)接着剤を硬化させるためにオーブンに移される。オーブンの温度は、約100Fから約300F、例えば約150Fから約250F、210Fなどでありうる。温度傾斜率は約1F/分から約20F/分、例えば約2F/分などでありうる。硬化は約15分から約5時間、例えば約3時間などで実行されうる。硬化の後、過剰なフィルム(存在する場合)は、構成要素の縁から刈り込まれる。真空バッグは、真空バッグ内に配置される、1種以上のブリーザ材料、例えば多孔質綿材料などを含有しうる。ブリーザ材料はアセンブリ表面への真空の接続を提供する。
【0036】
真空バギング手順の後、アセンブリは、約5ミルから約80ミルの厚さ、層の全体積に基づいて約20%から約70%の平均空隙率、及び水銀圧入試験(ASTM D4284-12)によって決定される、cmあたり約1011から約1013ボイドのボイド密度を有するフルオロポリマー層を有しうる。少なくとも一態様において、本開示のフルオロポリマー層は、ASTM D7127-05(ポータブルスタイラス器具を用いた研磨ブラスト洗浄金属表面の表面粗さの測定の標準的な試験法)によって決定される、約100マイクロインチ未満、例えば約90マイクロインチ未満、約80マイクロインチ未満、約70マイクロインチ未満、約5マイクロインチから約100マイクロインチ、約20マイクロインチから約80マイクロインチなどの表面粗さを有する。本開示の滑らかなフルオロポリマー層は、フルオロポリマー層上での安定した水の層流を提供しうる。
【0037】
コーティング挙動を改善するための添加剤
塗料及びコーティングに添加剤を加えることは業界の常識であるが、コーティングの防氷性能を保持することは重要である。より滑らかな仕上げ、コートされた表面のより良好なぬれ、環境影響並びに水分、熱、及びUV曝露などの条件への抵抗性をもたらすために使用されうる。これらの添加剤のいくつかは、技術の不適合な化学組成物の微細構造を変えうるコーティング組成物の表面エネルギーを変更することによって働く。不適合な化学の微細構造及び層分離は、高い防氷性能を有するために重要であり、大幅に変更すべきでない。これらの添加剤は、氷が、凍結の遅延や氷の付着にも影響しうるコーティングの表面とどのように相互作用するかも変えうる、コーティングの表面に移動してもよい。
【0038】
コーティング技術における構成要素の化学的性質は、環境からの水分を容易に吸収し、コーティングの早期硬化及び二酸化炭素の生成をもたらす可能性がある。この問題を軽減するため、水分捕捉剤(例えばIncozol-2などのオキサゾリジン)を、フルオロポリマーと本開示の溶媒の混合物に加えうる。表面ぬれ及び構成要素上のコーティングの展延を改善するため、ぬれ剤(例えば、顔料親和性基を有する高分子量ブロックコポリマーであるDisperbyk-166などのブロックコポリマー)及び/又は消泡剤(例えばシリコーン不含消泡剤である、BYK-051N)が、フルオロポリマーと本開示の溶媒の混合物に含まれうる。これらの添加剤は粒子ではないが、小分子添加剤である。それらは水分捕捉剤であるか、又はボイド形成を減少させる。より少ないボイド量は、フィルムの完全性/強度を促進する。ボイドは顕微鏡検査を用いて巨視的に観察されうる。
【0039】
本開示の添加剤は、適切な水分捕捉剤、ぬれ剤、及び/又は消泡剤を含む。水分捕捉剤は、イソホロンジイソシアナート(IPDI)及びオキサゾリジン(例えば4-エチル-2-メチル-2-(3-メチルブチル)-1,3-オキサゾリジンなど)を含みうる。ぬれ剤は、ポリアミド、長鎖脂肪酸部分を有するポリアミド、及びp-ドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA)を含みうる。消泡剤は、ポリ(ジメチルシロキサン)液、ポリ(オクチルアクリレート)、SiO、ポリエーテル末端基を有するシロキサン、及びトリポリリン酸カリウムを含みうる。
【0040】
本開示のフルオロポリマーコーティングの処理の強化により、これらの添加剤の量は、従来の堆積、硬化、及び真空バギングの方法論を使用して準備されたフルオロポリマーコーティングと比較して、本開示のコーティングから減少又は除去することができた。少なくとも一態様において、本開示のフルオロポリマー層は、従来の防氷層の高い添加剤含量と比較して製造時間及び費用を抑え;フルオロポリマー表面での添加剤の蓄積を減少させる又は防ぐのに十分に低い、約1重量%未満、例えば約0.5重量%未満などの添加剤含量を有する。
【実施例
【0041】
以下の実施例において、アルミニウム動翼が使用された(「翼」と称する)。
【0042】
実施例1
翼の表面準備:3M Scotch-Brite(商標)400-500グリットを用いて、翼の表面を均一に傷つけ、その下のアルミニウムを露出させた。翼は放たれた表面材料又は残された破片を除去するために石鹸及び水を用いてこすって洗浄された。リンスした後、見本は、Micro90洗剤を含む温アルカリ水で満たしたビーカー中に置かれ、20分間超音波浴に置かれた。見本は、石鹸を除去するために完全にリンスされ、アセトン入りビーカーに置かれ、20分間超音波浴に置かれた。さらなる使用まで窒素(N)で満たされたキャビネット中に置かれる前に、翼は乾燥された。
【0043】
噴霧適用のための表面準備:翼の表面準備の次の工程は、アルミニウム表面への有機材料の結合を強化するための金属接着促進剤の追加であった(3M 表面前処理 AC-131 CB)。製造者の指示に従って、促進剤は準備され、翼の表面全体の1つのパスを噴霧する前に、最低導入時間の30分間は置くことが許された。AC-131が乾燥されると(適用後、最低15分で72時間以内)、開始剤は翼に適用された。製造者の指示に従って、CA7502開始剤は準備され、1時間の導入時間が許された。その後すぐに、翼の表面全体の軽いコート(1から2ミルの厚さ)として、開始剤が噴霧された。
【0044】
翼の準備:フルオロポリマーはプラスチック容器中でテトラヒドロフランに溶解された。溶液はボルテックスされ、FlackTekスピードミキサー中に2300rpmで15秒間置かれた。溶液は、底部供給Iwataエアーブラシに特有のガラス瓶に移された。この噴霧適用のために、中程度から大量の塗料を処理する能力のため、0.5mmニードル/ノズルを有するIwata Eclipse HP-BCSエアーブラシが使用された。エアーブラシはエアーコンプレッサーに40psiの圧力で接続された。噴霧中に見本の両側面への容易なアクセスを許すために、翼は、リングスタンドにしっかりと接続したロッド(最大0.625インチのロッド直径)に吊るされた。表面に平行なゆっくりとしたストロークで、翼の各側面は、前縁から始まり後縁まで、4~8インチの距離から噴霧された。噴霧の重複を最小にして翼の1つの側面を覆うために、3つのパス(右と後ろにほぼ等しいパス)が十分であった。両側面が噴霧されると、前縁は1~2のパスで覆われた。溶媒は次のラウンドの適用の前に、1~2分間フラッシュオフすることが許された。各ストロークの速度は、10ミルの厚さのコーティングを得るのに必要なラウンドの量を決定する(平均8~12ラウンド)であろう。目標厚さに達すると、硬化と溶媒蒸発を許すために、翼は、周囲条件で最低16時間置くことが許された。16時間後に、同じプロトコールに従って、第2の10ミルコートが適用された。再び、見本は80℃4時間での最終硬化の前に置くことが許された。このフルオロポリマー混合物について、10ミルよりも厚いコートを噴霧することはフィルム内に泡及び凝集破壊をもたらすことが発見された。
【0045】
自立フィルム:フルオロポリマーはプラスチック容器中でテトラヒドロフランに溶解された。溶液はボルテックスされ、FlackTekスピードミキサー中に2300rpmで15秒間置かれた。溶液は、底部供給Iwataエアーブラシに特有のガラス瓶に注がれた。この噴霧適用のために、中程度から大量の塗料を処理する能力のため、0.5mmニードル/ノズルを有するIwata Eclipse HP-BCSエアーブラシが使用された。フルオロポリマー溶液は、シラン処理されたマイラーのシートに直接噴霧された。エアーブラシはマイラー上の4~8インチの距離に保持され、表面に平行なストロークで噴霧された。フィルムの全目標厚さは各コートが10ミル厚さ制限を有する20ミルであった。第1の10ミル厚さフィルムは表面に適用され、16時間乾燥することが許された。次の日、新しいフルオロポリマー溶液が第1のコート上に噴霧され、20ミルの全厚さを与えた。コーティングは80℃4時間での最終硬化の前に、16時間硬化することが許された。自立フィルムはその後厚さを均一にするために100℃でホットプレスされた。
【0046】
翼へのフィルムの結合
翼及び自立フィルムの準備に続いて、エポキシフィルム接着剤(AF163-2K)を用いてそれらは一緒に結合された。翼全体を覆うのに十分なAF163-2Kの一部がストックロールから切断された。接着剤の露出面は自立フィルムの反対に置かれ、間の空気は確実に除去された。接着剤の反対面にある保護ライナーは除去され、0%コード(前縁)に沿って開始する翼の表面上に配置された。フィルム/接着剤は試料の後縁に向かって表面に沿って徐々にプレスされ、全てのボイドが除去された。接着剤が構成要素の表面に固定されると、アセンブリ全体を真空バッグ内にシールする前に、それはきれいな平坦な表面に転がされた。アセンブリはその後、図3に示す(金属プレートを有する)装置を用いて真空バッグ処理された。真空(7~10psi)がバッグに適用され、翼のフィルム表面への密着を確実にした。全空気が結合ラインから除去されると、接着剤を硬化するために、バギングされた試料は2F/分の傾斜で210F3時間に設定されたオーブンに移された。接着剤が硬化した後、過剰なフィルムは試料の縁から刈り込まれた。
【0047】
真空バギングの新しい手順は、多数の翼準備の経路を同時に提供する。我々は平坦な金属プレートをプロトコールに組み入れ、ブリーザ材料を使用することで、より良好な真空効率を得た。金属プレートがなければ、真空バッグは翼の周りをより自由に包み、バッグ内にボイド及びクリース(それらは、クリース及びプリーツの位置に依存して、翼上のコーティングテクスチャに影響を与える)を作った。
【0048】
実施例2
コーティング厚さを増加させるための方法:第2の翼は、噴霧工程中の熱の追加を除いて、上に記載したものと類似の方法で準備された。これは、構成要素又はコートされた表面に55℃までを提供するIRランプを用いることで達成された。IRランプはそうでなければよりオレンジピール、波打った効果を示すコーティング技術の滑らかな表面テクスチャをもたらすことを助ける。滑らかな表面テクスチャを有する望みは、雨及び砂の侵食に対する耐久性を改善することである。粗い表面テクスチャ又はコーティング表面上の突起は、砂及び雨が利用するアンカーを提供することによって侵食を加速させる。技術は平坦な表面及び航空宇宙関連の幾何学的形状の両方への改善を示す。IRランプはより速くフラッシュオフさせ、コーティングが乾燥及び硬化することを許す。これは、トラップされた溶媒が逃げることによって引き起こされるボイドなどの負の効果が減少された、全体的により厚いコーティングをもたらすより多くのコートの追加を許す。熱はコーティングが表面を流れて平らにし、滑らかなテクスチャをもたらすことも許す。
【0049】
さらに、本開示は以下の条項による実施例を含む。
【0050】
条項1.フルオロポリマーコートされた構成要素を形成するための方法であって、構成要素の表面上に接着促進剤を適用すること;接着促進剤上に有機材料を適用すること;及び有機材料上にフルオロポリマーと、フラン又はフッ素化溶媒から選択される溶媒の混合物を適用することを含む方法。
【0051】
条項2.前記接着促進剤を適用することが、前記構成要素の非平坦な金属表面に前記接着促進剤を適用することを含む、条項1に記載の方法。
【0052】
条項3.前記接着促進剤を適用することが、1種以上のアルミニウム、ニッケル、鋼、マグネシウム又はチタン合金を含む金属表面に前記接着促進剤を適用することを含む、条項2に記載の方法。
【0053】
条項4.前記接着促進剤を適用することが、酢酸、ジルコニウム テトラ-n-プロポキシド、及び(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランの反応生成物である接着促進剤を適用することを含む、条項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【0054】
条項5.約30℃から約70℃の温度で前記接着促進剤を硬化させることをさらに含む、条項4に記載の方法。
【0055】
条項6.前記接着促進剤上に有機材料を適用することが、1種以上のエポキシ、ポリウレタン又は繊維強化プラスチックである有機材料を適用することを含む、条項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【0056】
条項7.前記接着促進剤上に有機材料を適用することが、約0.5ミルから約5ミルの厚さ有する層である有機材料を適用すること及び約0.5ミルから約5ミルの厚さを有する層である接着促進剤を適用することを含む、条項6に記載の方法。
【0057】
条項8.前記フルオロポリマーが、フルオロアクリレート、フルオロシリコーンアクリレート、フルオロウレタン、ペルフルオロポリエーテル、ペルフルオロポリオキセタン、ポリビニリデンフルオライド、及びペルフルオロアルコキシアルカンから選択される、条項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【0058】
条項9.前記溶媒が、約40℃から約200℃の沸点を有するフッ素化溶媒である、条項8に記載の方法。
【0059】
条項10.前記フッ素化溶媒が、式(I):
-(CF)n-R (I)
[式中、nは約1から約25の整数であり;R及びRは、独立して、-CF、水素、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アミノアリール、アリールオキシ、アルキル、アリール、約1から約25の炭素を有するカルボン酸基、アルデヒド、ケトン、及び-CF(CF)q(CH)p[式中、qは約0から約25の整数であり、pは約1から約25の整数である]である]
によって表される、条項9に記載の方法。
【0060】
条項11.前記溶媒が、約40℃から約200℃の沸点を有するフランである、条項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【0061】
条項12.前記フラン溶媒が、式(IIa)又は(IIb):
[式中、R、R、R及びRは、独立して、水素、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アミノアリール、アリールオキシ、アルキル、アリール、約1から約25の炭素を有するカルボン酸基、アルデヒド及びケトンである]
によって表される、条項11に記載の方法。
【0062】
条項13.前記混合物が、エポキシ、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリエーテル、カルバマート、及びポリシロキサンから選択される、1種以上の追加のポリマーをさらに含む、条項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【0063】
条項14.前記混合物が、25℃で約0.00046Pasから約1Pasの粘度を有する、条項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【0064】
条項15.前記混合物を適用することが、前記有機材料層上に約12psiから約18psiの圧力で前記混合物を噴霧することを含む、条項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【0065】
条項16.前記混合物を適用することが、前記混合物の複数の層を噴霧して、前記有機材料上に約2ミルから約20ミルの厚さを有するフルオロポリマー層を形成することを含む、条項15に記載の方法。
【0066】
条項17.前記フルオロポリマー層が、層の全体積に基づいて約20%から約70%の平均空隙率を有する、条項16に記載の方法。
【0067】
条項18.前記フルオロポリマー層が、cmあたり約1011から約1013ボイドのボイド密度を有する、条項16又は17に記載の方法。
【0068】
条項19.前記フルオロポリマー層が、約1重量%未満の添加物含量を有する、条項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【0069】
条項20.フルオロポリマーと、フラン又はフッ素化溶媒から選択される溶媒とを含む第2の混合物を、第1のフルオロポリマー層上に、第2の混合物の複数の層を噴霧することによって適用して、約2ミルから約20ミルの厚さを有する第2のフルオロポリマー層を形成することをさらに含む、条項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【0070】
条項21.前記有機材料上に前記混合物を適用する間、前記金属表面を約45℃から約55℃に加熱することをさらに含む、条項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【0071】
条項22.フルオロポリマーと、フラン又はフッ素化溶媒から選択される溶媒とを含む第2の混合物を、マイラーシート上に適用することによって、自立フィルムを形成することをさらに含む、条項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【0072】
条項23.前記自立フィルムを約90℃から約150℃の温度でホットプレスすることをさらに含む、条項22に記載の方法。
【0073】
条項24.エポキシ接着剤を前記自立フィルム又は前記フルオロポリマーコートされた金属に適用し、前記自立フィルムを前記フルオロポリマーコートされた金属に、又は前記フルオロポリマーコートされた金属を前記自立フィルムにプレスし、プレスされたアセンブリを形成することをさらに含む、条項23に記載の方法。
【0074】
条項25.前記プレスされたアセンブリを金属プレート上に配置すること、前記プレスされたアセンブリ上にバッグを配置すること、及び前記真空バッグに約1psiから約20psiの圧力で真空を適用することをさらに含む、条項24に記載の方法。
【0075】
条項26.前記プレスされたアセンブリを約100Fから約300Fの温度で、1F/分から20F/分の温度上昇率で硬化することをさらに含む、条項25に記載の方法。
【0076】
条項27.金属構成要素;及び前記金属構成要素に配置された約5マイクロインチから約100マイクロインチの表面粗さを有するフルオロポリマー層を含むアセンブリ。
【0077】
条項28.前記フルオロポリマーが、フルオロアクリレート、フルオロシリコーンアクリレート、フルオロウレタン、ペルフルオロポリエーテル、ペルフルオロポリオキセタン、ポリビニリデンフルオライド、及びペルフルオロアルコキシアルカンから選択される、条項27に記載のアセンブリ。
【0078】
条項29.前記フルオロポリマー層が、約1重量%未満の添加物含量を有する、条項28に記載のアセンブリ。
【0079】
全体的に、本開示の方法は、非平坦な表面上に改善された雨及び砂の侵食耐性を有する滑らかな疎氷性コーティングを提供する。航空使用の文脈で議論されたが、例えば風力タービンブレード、非航空宇宙輸送、及び衛星受信アンテナを含む通信などにおける、本開示の方法の他の可能な使用が考えられる。
【0080】
定義
用語「非平坦な表面」は、少なくともいくらかの曲率を有する表面を含む。例えば、少なくとも一態様において、非平坦な表面は、約1/16”から約5フィートの曲率半径(例えば最小曲率半径など)を有しうる。
【0081】
用語「アルキル」は、1から約20の炭素原子を含有する、置換されるか又は置換されない、直鎖又は分岐の非環状アルキル基を含む。少なくとも一態様において、アルキルは、C1-10アルキル、C1-7アルキル又はC1-5アルキルである。アルキルの例は、限定しないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、及びこれらの構造異性体を含む。
【0082】
用語「シクロアルキル」は、1から約20の炭素原子を含有する、置換されるか又は置換されない、環状アルキル基を含む。
【0083】
用語「アリール」は、各環に最大6原子の任意の単環式、二環式、又は三環式炭素環を指し、少なくとも1つの環は、芳香族であるか、又は、5-若しくは6-員のシクロアルキル基と融着した炭素環式芳香族基を含む5から14の炭素原子の芳香族環系である。アリール基の例には、限定しないが、フェニル、ナフチル、アントラセニル又はピレニルが含まれる。
【0084】
用語「アルコキシ」は、RO--であり、Rは、本明細書で定義されたアルキルである。用語アルキルオキシ、アルコキシル、及びアルコキシは、交換可能に使用されてもよい。アルコキシの例は、限定しないが、メトキシル、エトキシル、プロポキシル、ブトキシル、ペントキシル、ヘキシルオキシル、ヘプチルオキシル、オクチルオキシル、ノニルオキシル、デシルオキシル、及びこれらの構造異性体を含む。
【0085】
用語「ヘテロシクリル」は、各環に最大10原子を有する任意の単環式、二環式又は三環式環を指し、少なくとも1つの環は、芳香族であり、N、O、及びSから選択される、環内の1から4のヘテロ原子を含む。ヘテロシクリルの非限定的な例は、限定しないが、ピリジル、チエニル、フラニル、ピリミジル、イミダゾリル、ピラニル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾイル(isoxazoyl)、ピロリル、ピリダジニル、ピラジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ベンゾチエニル、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル(benzooxazolyl)、ベンゾイミダゾリル、イソインドリル、ベンゾトリアゾリル、プリニル、チアナフテニル、及びピラジニルを含む。ヘテロシクリルの付着は、芳香族環を介して、又は、非芳香族環若しくはへテロ原子を含まない環を通して、起こりうる。
【0086】
用語「ヒドロキシ」及び「ヒドロキシル」は、それぞれ-OHのことを指す。
【0087】
用語「アミノ」は第一級、第二級又は第三級のアミンを含む基を指す。アミノ基の一例は-NHである。アミノ基はR又はR(例えば、

[式中、
は、例えば、シアノ、ハロアシル、アルケニルカルボニル、ヒドロキシアルケニルカルボニル、アミノアルケニルカルボニル、モノアルキルアミノアルケニルカルボニル、ジアルキルアミノアルケニルカルボニル、ハロアルケニルカルボニル、シアノアルケニルカルボニル、アルコキシカルボニルアルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、ヒドロキシアルキニルカルボニル、アルキルカルボニルアルケニルカルボニル、シクロアルキルカルボニルアルケニルカルボニル、モノアルキルアミノカルボニルアルケニルカルボニル、ジアルキルアミノカルボニルアルケニルカルボニル又はアルケニルスルホニルであってもよく、Rは、例えば、H、アルキル又はシクロアルキルであってもよい]
で置換されていてもよい。
【0088】
本開示の化合物は、化合物の互変異性体、幾何異性体又は立体異性体を含む。さらに、化合物のエステル、オキシム、オニウム、水和物、溶媒和物、及びN-オキシド体も本開示に含まれる。本開示はこのような化合物全てを考慮しており、それには、本開示に含まれる、cis-及びtrans-幾何異性体(Z-及びE-幾何異性体)、R-及びS-鏡像異性体、ジアステレオマー、d-異性体、l-異性体、アトロプ異性体、エピマー、配座異性体、回転異性体、異性体の混合物、これらのラセミ体が含まれる。
【0089】
本開示の様々な態様の説明は、例示を目的として提示されているものであり、網羅的な説明であること、又は開示された態様に限定されることを意図していない。当業者には、記載の態様の範囲及び精神から逸脱することなく、多数の修正例及び変更例が明らかであろう。本明細書で使用された用語は、態様の原理、市場で見られる技術に対する実用的適用又は技術的改善を最もよく説明するため、或いは、他の当業者が本明細書で開示された態様を理解することを可能にするために選択されている。以上は本開示の態様を対象としているが、本開示の他の態様及びさらなる態様は、その基本的な範囲を逸脱しない限り、考案してもよい。
図1
図2
図3