(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】タッチ入力装置およびタッチ入力装置を備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20230728BHJP
G06F 3/16 20060101ALI20230728BHJP
G06F 3/04842 20220101ALI20230728BHJP
G06F 3/04883 20220101ALI20230728BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20230728BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
G06F3/041 500
G06F3/16 660
G06F3/04842
G06F3/04883
G03G21/00 386
G03G21/00 500
G03G21/00 510
B41J29/42 F
(21)【出願番号】P 2019136126
(22)【出願日】2019-07-24
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】福田 吉夫
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-172443(JP,A)
【文献】特開2017-199101(JP,A)
【文献】特開2020-135279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/16
G06F 3/04842
G06F 3/04883
G03G 21/00
B41J 29/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指のタッチ位置を検出するタッチパネルと、
前記タッチパネルを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記タッチパネルによって検出された前記タッチ位置に基づき、予め定められたタッチ操作を検出した場合、前記タッチパネルの表示に不具合が生じた可能性があるものと判定
し、
スワイプ操作を受け付けていないにもかかわらず、前記タッチパネルによって検出された前記タッチ位置に基づき、スワイプ操作を検出した場合、前記タッチパネルの表示に不具合が生じた可能性があるものと判定することを特徴とするタッチ入力装置。
【請求項2】
ユーザーに予め定められたメッセージの報知を行う報知部およびユーザーからの操作を受け付ける操作部をさらに備え、
前記制御部が前記タッチ操作を検出した場合、前記タッチパネルの表示に不具合があるか否かの確認メッセージを前記報知部に報知させ、
前記タッチパネルの表示に不具合がある旨の回答を示す操作を前記操作部が受け付けた場合、前記制御部は、前記タッチパネルの表示に不具合が生じたものと判定する請求項1に記載のタッチ入力装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記タッチパネルの表示に不具合が生じたものと判定した場合、前記報知部のメッセージに応じて予め定められた簡易操作を受け付ける簡易操作モードに移行する請求項2に記載のタッチ入力装置。
【請求項4】
前記制御部が、前記タッチパネルによって検出された前記タッチ位置に基づき、予め定められたタッチ無効領域へのタッチ操作を予め定められた回数以上検出した場合、前記タッチパネルの表示に不具合が生じた可能性があるものと判定する請求項1~3のいずれか1つに記載のタッチ入力装置。
【請求項5】
前記制御部が、前記タッチパネルによって検出された前記タッチ位置に基づき、予め定められたタッチ無効領域へのタッチ操作を予め定められた時間内に予め定められた回数以上検出した場合、前記タッチパネルの表示に不具合が生じた可能性があるものと判定する請求項1~4のいずれか1つに記載のタッチ入力装置。
【請求項6】
前記制御部が、前記タッチパネルによって検出された前記タッチ位置に基づき、予め定められたタッチ有効領域へのタッチ操作を予め定められた時間内に予め定められた回数以上連続で検出した場合、前記タッチパネルの表示に不具合が生じた可能性があるものと判定する請求項1~5のいずれか1つに記載のタッチ入力装置。
【請求項7】
前記制御部が、前記タッチパネルによって検出された前記タッチ位置に基づき、予め定められた距離以上離れた2点以上の領域においてタッチ操作を同時検出した場合、前記タッチパネルの表示に不具合が生じた可能性があるものと判定する請求項1~6のいずれか1つに記載のタッチ入力装置。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1つに記載のタッチ入力装置と、
前記タッチ入力装置から入力された操作指令に基づき、画像データを処理して画像を形成する画像形成部とを備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タッチ入力装置およびタッチ入力装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリンタやスキャナなどの画像形成装置は、インターフェースとして、出力装置に液晶パネル、入力装置にタッチパネル方式を採用したものが多く用いられている。
【0003】
タッチパネルは、物理キーのように押し込む動作を行う必要がなく、パネルに指を触れるだけで入力操作が検知されるため、利便性が高い。
また、入力インターフェースをタッチパネル方式とすることで、物理キー等の物理的な機構によって制限されることがなく、出力装置の表示画像に合わせて入力エリアを設定できるため、自由度の高い入力インターフェースを構築できる。
【0004】
しかしながら、液晶パネルの表示に不具合が生じた場合、表示画像にずれが生じたり、設定どおりに画像が表示されなかったりするにもかかわらず、タッチ操作が正常に動作するため、ユーザーが誤操作に気付きにくいという問題がある。
【0005】
従来、バックライトの故障による液晶パネルの表示の不具合の問題を解決するため、光源駆動回路から供給される駆動電流を監視し、駆動電流が所定の閾値(例えば2mA以下)まで低下すれば、バックライトに故障発生と検知する故障検知部を備えた熱源機用操作装置の発明が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、液晶パネルの表示の不具合には、バックライトの故障によって画面が見えなくなる場合に限られず、例えば、液晶漏れによって画面が見えにくくなったり、回線やケーブル等の接続不良によって表示画像にずれが生じたり、また、画面の劣化等で画面が曇ったりした場合など、さまざまな内的・外的要因が考えられる。
【0008】
しかしながら、これらの内的・外的要因のすべてに対処するため、液晶パネルの表示不具合を検知するセンサを設ければ、手間やコストがかるため、現実的ではない。
【0009】
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、その目的は、故障検知用のセンサを新たに設けることなく、従来よりも簡便かつ安価にタッチパネルの表示の不具合を検知するタッチ入力装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)この発明は、指のタッチ位置を検出するタッチパネルと、前記タッチパネルを制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記タッチパネルによって検出された前記タッチ位置に基づき、予め定められたタッチ操作を検出した場合、前記タッチパネルの表示に不具合が生じた可能性があるものと判定することを特徴とするタッチ入力装置を提供するものである。
【0011】
この発明において、「タッチ入力装置」は、タッチパネルを備え、指先やペン等で画面上をタッチし、画面上の位置を指定することによって操作する入力装置である。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、ユーザーのタッチ操作のみに基づき、タッチパネルの表示の不具合の有無を検知するため、特別なセンサを新たに設けることなく、従来よりも簡便かつ安価にタッチパネルの表示の不具合を検知するタッチ入力装置が実現される。
【0013】
さらに、この発明の好ましい態様について説明する。
【0014】
(2)ユーザーに予め定められたメッセージの報知を行う報知部およびユーザーからの操作を受け付ける操作部をさらに備え、前記制御部が前記タッチ操作を検出した場合、前記タッチパネルの表示に不具合があるか否かの確認メッセージを前記報知部に報知させ、前記タッチパネルの表示に不具合がある旨の回答を示す操作を前記操作部が受け付けた場合、前記制御部は、前記タッチパネルの表示に不具合が生じたものと判定するものであってもよい。
【0015】
「報知部」は、例えば、スピーカーにメッセージ等の音声を発生させることによって、メッセージ等を周囲に報知する部分である。
【0016】
このようにすれば、ユーザーのタッチ操作および確認メッセージに対する回答に基づき、タッチパネルの表示の不具合の有無を検知するため、故障検知用のセンサを新たに設けることなく、従来よりも簡便かつ安価にタッチパネルの表示の不具合を検知するタッチ入力装置が実現される。
【0017】
(3)前記制御部は、前記タッチパネルの表示に不具合が生じたものと判定した場合、前記報知部のメッセージに応じて予め定められた簡易操作を受け付ける簡易操作モードに移行するものであってもよい。
【0018】
「予め定められた簡易操作」は、タッチパネルの表示に不具合が生じた場合において、例えば、音声ガイダンスの操作指示に基づいて行われる操作である。
【0019】
このようにすれば、ユーザーのタッチ操作に基づき、タッチパネルの表示の不具合を検知した場合、所定の簡易操作モードに移行するため、従来よりも簡便かつ安価にタッチパネルの表示の故障を検知して、ユーザーの操作を受け付けるタッチ入力装置が実現される。
【0020】
(4)前記制御部が、前記タッチパネルによって検出された前記タッチ位置に基づき、予め定められたタッチ無効領域へのタッチ操作を予め定められた回数以上検出した場合、前記タッチパネルの表示に不具合が生じた可能性があるものと判定するものであってもよい。
【0021】
このようにすれば、所定のタッチ無効領域へのタッチ操作を所定回数以上検出した場合に、タッチパネルの表示の不具合の可能性を検知するため、故障検知用のセンサを新たに設けることなく、従来よりも簡便かつ安価にタッチパネルの表示の不具合を検知するタッチ入力装置が実現される。
【0022】
(5)前記制御部が、前記タッチパネルによって検出された前記タッチ位置に基づき、予め定められたタッチ無効領域へのタッチ操作を予め定められた時間内に予め定められた回数以上検出した場合、前記タッチパネルの表示に不具合が生じた可能性があるものと判定するものであってもよい。
【0023】
このようにすれば、所定のタッチ無効領域へのタッチ操作を所定時間内に所定回数以上検出した場合に、タッチパネルの表示の不具合の可能性を検知するため、故障検知用のセンサを新たに設けることなく、従来よりも簡便かつ安価にタッチパネルの表示の不具合を検知するタッチ入力装置が実現される。
【0024】
(6)前記制御部が、前記タッチパネルによって検出された前記タッチ位置に基づき、予め定められたタッチ有効領域へのタッチ操作を予め定められた時間内に予め定められた回数以上連続で検出した場合、前記タッチパネルの表示に不具合が生じた可能性があるものと判定するものであってもよい。
【0025】
このようにすれば、タッチ有効領域へのタッチ操作を所定時間内に所定回数以上連続で検出した場合に、タッチパネルの表示の不具合の可能性を検知するため、故障検知用のセンサを新たに設けることなく、従来よりも簡便かつ安価にタッチパネルの表示の不具合を検知するタッチ入力装置が実現される。
【0026】
(7)前記制御部が、前記タッチパネルによって検出された前記タッチ位置に基づき、予め定められた距離以上離れた2点以上の領域においてタッチ操作を同時検出した場合、前記タッチパネルの表示に不具合が生じた可能性があるものと判定するものであってもよい。
【0027】
このようにすれば、所定距離以上離れた2点以上の領域でタッチ操作を同時検出した場合に、タッチパネルの表示の不具合の可能性を検知するため、故障検知用のセンサを新たに設けることなく、従来よりも簡便かつ安価にタッチパネルの表示の不具合を検知するタッチ入力装置が実現される。
【0028】
(8)前記制御部が、スワイプ操作を受け付けていないにもかかわらず、前記タッチパネルによって検出された前記タッチ位置に基づき、スワイプ操作を検出した場合、前記タッチパネルの表示に不具合が生じた可能性があるものと判定するものであってもよい。
【0029】
このようにすれば、操作部がスワイプ操作を受け付けていないにもかかわらず、スワイプ操作を検出した場合に、タッチパネルの表示の不具合の可能性を検知するため、故障検知用のセンサを新たに設けることなく、従来よりも簡便かつ安価にタッチパネルの表示の不具合を検知するタッチ入力装置が実現される。
【0030】
(9)前記タッチ入力装置と、前記タッチ入力装置から入力された操作指令に基づき、画像データを処理して画像を形成する画像形成部とを備えた画像形成装置であってもよい。
【0031】
「画像形成装置」は、トナーによる像形成に電子写真方式を用いるプリンタなどの複写(コピー機能)機能を有する複写機や複合機、または複写以外の機能をも含むMFP(Multifunction Peripheral:多機能周辺装置)など、画像を形成して出力する装置である。
【0032】
このようにすれば、ユーザーのタッチ操作のみに基づき、タッチパネルの表示の不具合の有無を検知するため、故障検知用のセンサを新たに設けることなく、従来よりも簡便かつ安価にタッチパネルの表示の不具合を検知するタッチ入力装置を備えた画像形成装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】この発明の画像読取装置を備えたデジタル複合機の外観を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示すデジタル複合機のパネルユニットを示す説明図である。
【
図4】
図1に示すデジタル複合機の概略構成を示すブロック図である。
【
図5】
図1に示すデジタル複合機のタッチパネルの操作に基づく表示部171の不具合の検出とその対応の流れを示すフローチャートである。
【
図6】
図1に示すデジタル複合機の表示部におけるタッチ操作の一例を示す説明図である。
【
図7】
図1に示すデジタル複合機の表示部における異常タッチ操作の一例を示す説明図である。
【
図8】
図1に示すデジタル複合機の表示部における異常タッチ操作の一例を示す説明図である。
【
図9】
図1に示すデジタル複合機の表示部における異常タッチ操作の一例を示す説明図である。
【
図10】
図1に示すデジタル複合機の表示部における異常タッチ操作の一例を示す説明図である。
【
図11】
図1に示すデジタル複合機の表示部における異常タッチ操作の一例を示す説明図である。
【
図12】
図1に示すデジタル複合機の表示部における異常タッチ操作の一例を示す説明図である。
【
図13】
図1に示すデジタル複合機の表示部における簡易操作の一例を示す説明図である。
【
図14】
図1に示すデジタル複合機の表示部における簡易操作の一例を示す説明図である。
【
図15】この発明の実施形態2に係るデジタル複合機の異常操作の一例を示す説明図である。
【
図16】この発明の実施形態3に係るデジタル複合機の簡易操作の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
【0035】
〔実施形態1〕
図1~
図4に基づき、この発明のタッチ入力装置の一実施形態であるデジタル複合機1について説明する。
図1は、この発明の画像読取装置を備えたデジタル複合機1の外観を示す斜視図である。
図2は、
図1に示すデジタル複合機1の平面図である。
図3は、
図1に示すデジタル複合機1のパネルユニット17を示す説明図である。
図4は、
図1に示すデジタル複合機1の概略構成を示すブロック図である。
【0036】
なお、この発明は、デジタル複合機1に限定されるものではなく、例えば、スマートフォンやタブレット等の携帯端末、パーソナルコンピュータ、乗車券や食券等を販売する自動券売機、病院や銀行等の精算機、セルフのガソリンスタンド、キャッシュレジスタなどのタッチ入力装置を用いたすべての機器に適用可能である。
【0037】
デジタル複合機1は、画像データをデジタル処理し、複写機能やスキャナ機能、ファクシミリ機能を有する複合機やMFP(Multifunction Peripheral:多機能周辺装置)などの装置である。
【0038】
図1および
図2に示すように、デジタル複合機1は、パネルユニット17およびスピーカー181を備える。
【0039】
図3に示すように、パネルユニット17は、表示部171および操作部172を備え、操作部172は、タッチパネル1721および物理キー操作部1722から構成される。
【0040】
タッチパネル1721は、液晶パネル等から構成された表示パネルと、表示パネルに重ねて配置され、ユーザーの指が近づいた位置を検出する静電容量方式のタッチパネルとから構成される。
【0041】
静電容量方式のタッチパネル1721は、制御ICを搭載した基板層の上に、多数の電極からなる縦横のパターンを有する透明電極層を並べ、前記透明電極層上にガラスやプラスチックからなる絶縁体フィルムを重ねた構造を有する。指をパネルの表面に近づけると、指を近づけた部分の電極に静電容量の変化が生じ、静電容量の変化に起因する電流量の比率を測定することで、タッチ位置を検出することができる。
また、静電容量方式のタッチパネル1721は複数の電極を有するため、一度に多数のタッチ位置を検出(マルチタッチ)することもできる。
なお、タッチパネルの方式としては、静電容量方式に限られず、電磁誘導方式、抵抗膜方式および赤外線方式など、任意の形式のものを用いてもよい。
【0042】
物理キー操作部1722は、表示灯17221、電源キー17222、節電キー17223、ホームキー17224および数字キー17225等の物理的なハードキーを備える。
【0043】
ホームキー17224は、動作モードを選択するホーム画面に表示部171の表示画面を戻すためのキーである。
また、ホームキー17224を長押しした場合に、簡易操作モード(後述)に移行できるようにしてもよい。
【0044】
デジタル複合機1は、操作部172や通信部15(
図4参照)を介して受付けたユーザーからの指示に基づき、印刷、コピー、スキャンまたは画像送信(Scan to Email, Scan to Ftp)等のジョブを実行する。
【0045】
次に、
図4に基づき、デジタル複合機1の概略構成を説明する。
図4は、
図1に示すデジタル複合機1の概略構成を示すブロック図である。
図4に示すように、デジタル複合機1は、制御部10、画像読取部11、画像形成部12、記憶部13、画像処理部14、通信部15、給紙部16、パネルユニット17、報知部18および計時部19を備える。
【0046】
また、本願発明の実施形態1に係るタッチ入力部20は、制御部10、記憶部13、パネルユニット17、報知部18および計時部19から構成される。
【0047】
なお、この発明の「タッチ入力装置」は、タッチ入力部20によって実現される。
【0048】
以下、デジタル複合機1の各構成要素を説明する。
【0049】
制御部10は、デジタル複合機1を統合的に制御するものであって、CPU、RAM、ROM、各種のインターフェース回路等からなる。
制御部10は、デジタル複合機1全体の動作をコントロールするために、各センサの検知、モーター、クラッチ、パネルユニット17等、あらゆる負荷の監視・制御を行う。
【0050】
画像読取部11は、原稿台に置かれた原稿や原稿トレイから搬送されてきた原稿を検知して読み取り、画像データを生成する部分である。また、外部の情報処理装置(不図示)またはファクシミリ装置(不図示)等で生成された画像データを取得する部分である。
【0051】
なお、画像データを外部の情報処理装置等から取得する場合、有線または無線ネットワークを経由して画像データを取得するものであっても、またはUSB等に記録された画像データを取得するものであってもよく、また、これらを組み合わせたものであってもよい。
【0052】
画像形成部12は、画像処理部14によって生成された画像データを用紙上に印刷出力する部分であり、LSU121を備える。
LSU121は、画像読取部11によって取得されたデジタル信号からなる画像情報に対応するレーザー光を帯電状態にある感光体ドラムの表面に照射して、静電潜像を形成する装置である。
【0053】
記憶部13は、デジタル複合機1の各種機能を実現するために必要な情報や、制御プログラムなどを記憶する素子や記憶媒体である。例えば、RAMやROM等の半導体素子、ハードディスク、フラッシュ記憶部、SSD等の記憶媒体が用いられる。
なお、データを保持する領域がハードディスクドライブで、プログラムを保持する領域がフラッシュ記憶部で構成するといったように、プログラムとデータが異なる装置に保持されてもよい。
【0054】
画像処理部14は、画像読取部11によって読み取られた原稿画像を適正な電気信号に変換して画像データを生成し、画像読取部11から入力された画像データを操作部172からの指令に従い、拡大・縮小等の出力に適するように処理を行う部分である。
【0055】
通信部15は、ネットワーク等を介して、コンピュータや携帯情報端末、外部の情報処理装置やファクシミリ装置等との通信をおこない、メールやFAXなどの種々の情報をこれら外部の通信装置と送受信する部分である。
【0056】
給紙部16は、給紙カセット、手差トレイに格納された用紙を画像形成部12まで搬送する部分である。
【0057】
パネルユニット17は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)を備えたユニットであり、表示部171および操作部172を備える。
【0058】
表示部171は、各種情報の表示を行う部分である。表示部171は、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、ELディスプレイなどで構成され、オペレーティングシステムやアプリケーションソフトウェアが処理状態など電子的なデータを表示するためのモニタやラインディスプレイなどの表示装置である。制御部10は、表示部171を通じて、デジタル複合機1の動作および状態の表示を行う。
【0059】
操作部172は、タッチパネル1721および物理キー操作部1722を備え、ユーザーからの指令を受け付ける部分である。
【0060】
報知部18は、スピーカー181を備える。
報知部18は、スピーカー181にブザー音やメッセージ等の音声を発生させることによって、警告やメッセージ等を周囲に報知する部分である。
【0061】
また、報知部18は、事前に登録されたユーザーの携帯端末にメッセージ等を送信するようにしてもよい。
また、報知部18は、スマートスピーカーなどのデジタル複合機1と連携する音声発生装置や画像表示装置がある場合は、当該音声発生装置や画像表示装置を通じて、メッセージ等を報知するようにしてもよい。
【0062】
また、報知部18は、通信部15を通じて外部の管理サーバーにアラートメールを送信したり、コールセンターに連絡したりするものであってもよい。
管理者は、アラートメールの送信先となるメールアドレスやコールセンターへの連絡先を予め登録しておく。
【0063】
計時部19は、時間を計測する部分であり、例えば、内蔵時計やネットワークを通じて時刻を取得する。
操作部172は、計時部19が取得した時間を参照して、タッチ操作等の時間を検知する。
【0064】
<表示部171の不具合検出方法>
次に、
図5~
図15に基づき、この発明の実施形態1に係るデジタル複合機1の表示部171の不具合検出方法について説明する。
図5は、
図1に示すデジタル複合機1のタッチパネル1721の操作に基づく表示部171の不具合の検出とその対応の流れを示すフローチャートである。また、
図6は、
図1に示すデジタル複合機1の表示部171におけるタッチ操作の一例を示す説明図である。また、
図7~
図12は、
図1に示すデジタル複合機1の表示部171における異常タッチ操作の一例を示す説明図である。
【0065】
図5のステップS1において、デジタル複合機1のタッチパネル1721が予め定められた異常タッチ操作を検出したか否かを判定する(ステップS1)。
【0066】
なお、異常タッチ操作の詳細については、後述する。
【0067】
タッチパネル1721が異常タッチ操作を検出していない場合(ステップS1の判定がNoの場合)、ステップS2において、タッチパネル1721は、通常どおりタッチ操作を受け付け、ジョブを実行する(ステップS2)。
その後、制御部10は処理を終了する。
【0068】
一方、タッチパネル1721が異常タッチ操作を検出した場合(ステップS1の判定がYesの場合)、ステップS3において、制御部10は、報知部18を通じて不具合確認用の音声ガイダンスを実行する(ステップS3)。
【0069】
なお、ユーザーからの表示部171の不具合承認の具体的な確認方法については、後述する。
【0070】
続いて、ステップS4において、制御部10は、操作部172を通じて、ユーザーから表示部171の不具合を承認する旨の応答があったか否かを判定する(ステップS4)。
【0071】
ユーザーから表示部171の不具合を承認する旨の応答がなかった場合(ステップS4の判定がNoの場合)、ステップS2において、タッチパネル1721は、通常どおりタッチ操作を受け付け、ジョブを実行する(ステップS2)。
その後、制御部10は処理を終了する。
【0072】
一方、ユーザーから表示部171の不具合を承認する旨の応答があった場合(ステップS4の判定がYesの場合)、ステップS5において、制御部10は、表示部171の不具合が生じたものと判定し、報知部18を通じて、コールセンターや管理サーバー等に連絡する(ステップS5)。
また、報知部18を通じての連絡が困難な場合は、音声によりコールセンターに連絡するように、連絡先とともにユーザーに報知するようにしてもよい。
【0073】
その後、ステップS6において、制御部10は、簡易操作モードに移行する(ステップS6)。
【0074】
続いて、ステップS7において、制御部10は、報知部18を通じて簡易操作用の音声ガイダンスを実行する(ステップS7)。
【0075】
次に、ステップS8において、制御部10は、予め定められた簡易操作に基づき、印刷やスキャン等のジョブを実行する(ステップS8)。
【0076】
次に、ステップS9において、制御部10は、次回の操作が開始された場合も簡易操作モードを開始できるように簡易操作モード設定を記憶部13に記憶させる(ステップS9)。
【0077】
次に、
図6~
図12に基づき、不具合検出用のタッチ操作の詳細について説明する。
【0078】
図6に示すように、ユーザーが人差し指でパネルの一点をタッチした場合を想定する。
このとき、タッチパネル1721は、ユーザーがタッチした部分TPを検知する。
【0079】
ここで、制御部10は、タッチパネル1721が以下の(1)~(6)のタッチ操作を検出した場合、異常タッチ操作が発生したものと判定する。
【0080】
≪異常タッチ操作の例≫
(1)
図7に示すように、表示部171において入力の割り当てがない部分TPが何度も非連続で押された場合
このとき、タッチパネル1721は、入力の割り当てがない部分TPが押された回数をカウントし、当該回数が予め定められた回数(例えば、10回)以上になったとき、制御部10は、異常タッチ操作が発生したものと判定する。
ここで、「非連続で押された場合」とは、入力の割り当てがない部分TP押された回数を時間制限なしにカウントして、所定回数以上になった場合をいうものとする。
【0081】
(2)
図7において、表示部171において入力の割り当てがない部分TPが何度も連続で押された場合
例えば、当該回数が、予め定められた時間内に予め定められた回数(例えば、3秒間に5回)以上になったとき、制御部10は、異常タッチ操作が発生したものと判定する。
なお、この場合、異常タッチ操作が発生したか否かの判定は、所定時間以内に連続でない、入力の割り当てがない部分TPが押された回数で判定してもよい。
【0082】
(3)
図8および
図9に示すように、表示部171において入力の割り当てがある部分が何度も連続で押された場合
例えば、
図8において、入力の割り当てがある部分TP1が押された場合、
図9に示すような画面が表示部171に表示される。
一方、
図9において、入力の割り当てがある部分TP2が押された場合、
図8に示す画面に戻る。
それゆえ、入力の割り当てがある部分であっても、何度も同一の領域へ押されることによって
図8および
図9に示すように画面がループする場合、意味のあるタッチ操作とは思われないため、制御部10は、異常タッチ操作が発生したものと判定する。
なお、入力の割り当てがある場合であっても、同一の領域へ短時間で連打があった場合も異常と思われるため、所定時間内に同一の領域へ所定回数以上連続で押された場合も、異常タッチ操作が発生したものと判定するようにしてもよい。
【0083】
(4)
図10に示すように、タッチの入力部分が複数箇所にわたる場合
例えば、
図10において、2点以上の部分TP1~TP3がほぼ同時に押された場合、ユーザーが表示部171の表示の故障により適当に画面をタッチしている可能性があるため、制御部10は、異常タッチ操作が発生したものと判定する。
【0084】
(5)
図11に示すように、タッチの入力範囲が予め定められた範囲よりも広い場合
例えば、
図11において、通常の指の範囲よりも広い部分TPがほぼ同時に押された場合、ユーザーが表示部171の表示の故障により手のひらの全体などで画面をタッチしている可能性があるため、制御部10は、異常タッチ操作が発生したものと判定する。
【0085】
(6)
図12に示すように、スワイプ操作の受付がない画面において、スワイプ操作SPが行われた場合
例えば、
図12において、スワイプ操作の受付がない画面において、画面をなぞるように指を動かすスワイプ操作SPを検出した場合、ユーザーが表示部171の表示の故障により画面をスワイプしている可能性があるため、制御部10は、異常タッチ操作が発生したものと判定する。
【0086】
≪簡易操作の例≫
次に、
図13および
図14に基づき、簡易操作の例について説明する。
図13および
図14は、
図1に示すデジタル複合機1の表示部171における簡易操作の一例を示す説明図である。
【0087】
不具合承認の具体的な確認方法としては、
図13に示すように、表示部171の入力割り当て部分を左右に2分割し、報知部18の音声ガイダンスに対し、ユーザーが左側領域をタッチした場合は「YES」と判定し、右側領域をタッチした場合は「NO」と判定する。
【0088】
また、
図14に示すように、報知部18の音声ガイダンスに対し、ユーザーが表示部171の画面のいずれかの部分をタッチした回数をカウントし、予め定められた時間内にタッチされた回数に応じた操作を受け付けるようにしてもよい。
【0089】
≪不具合承認の具体的な確認方法の例≫
なお、
図5のステップS4における不具合承認の具体的な確認方法としては、簡易操作を用いた次のような方法があげられる。
【0090】
例えば、報知部18が「表示不具合でしょうか? Yesなら画面左側を、Noなら画面右側を押してください」と音声ガイダンスを行った場合、ユーザーは画面が不具合なら表示部171の左側をタッチし、画面の不具合がなければ、表示部171の右側をタッチする。
【0091】
このようにして、表示部171の表示不具合が発生したとき、特定の故障検知部を新たに設けることなく、ユーザーのタッチ操作のみに基づき、表示部171の故障の有無を検知することができるため、従来よりも簡便かつ安価にタッチパネル1721の表示の不具合を検知するデジタル複合機1を実現することが可能となる。
【0092】
〔実施形態2〕
次に、
図15に基づき、この発明の実施形態2に係るデジタル複合機1の異常操作の検出について説明する。
図15は、この発明の実施形態2に係るデジタル複合機1の異常操作の一例を示す説明図である。
【0093】
実施形態2において、
図15に示すように、ホームキー17224を長押しする等、ユーザーが予め定められた操作を行った場合、制御部10は、操作部172が異常操作を検出したものとして、制御部10は、報知部18を通じて不具合確認用の音声ガイダンスを実行するようにしてもよい。
【0094】
また、物理キー操作部1722のキーをランダムに押すなど、不自然な操作を検出した場合も、制御部10は、操作部172が異常操作を検出したものと判定してもよい。
【0095】
このようにして、ユーザーの操作のみに基づき、表示部171の故障の有無を検知するため、従来よりも簡便かつ安価にタッチパネル1721の表示の不具合を検知するデジタル複合機1を実現することが可能となる。
【0096】
〔実施形態3〕
次に、
図16に基づき、この発明の実施形態3に係るデジタル複合機1の簡易操作について説明する。
図16は、この発明の実施形態3に係るデジタル複合機1の簡易操作の一例を示す説明図である。
【0097】
簡易操作モードにおいて、報知部18の音声ガイダンスに対し、操作部172は、数字キー17225による操作を受け付けるようにしてもよい。
【0098】
例えば、報知部18が「表示不具合でしょうか? Yesなら1キーを、Noなら2キーを押してください」と音声ガイダンスを行った場合、ユーザーは画面が不具合ならの数字キー17225の1をタッチし、画面の不具合がなければ、数字キー17225の2をタッチする。
【0099】
また、報知部18が「A3用紙に印刷する場合は3キーを、A4用紙に印刷する場合は4キーを押してください」と音声ガイダンスを行った場合、ユーザーはA3用紙に印刷するなら数字キー17225の3をタッチし、A4用紙に印刷するなら数字キー17225の4をタッチする。
【0100】
このように、簡易操作として、数字キー17225を用いることで、表示部171の故障の際も、ユーザーはジョブを実行することが可能となる。
【0101】
〔実施形態4〕
次に、この発明の実施形態4に係るデジタル複合機1の異常操作の検出について説明する。
【0102】
実施形態3において、ユーザーが電源をONにした後、印刷等のジョブを一切行うことなく、再び電源をOFFにしてデジタル複合機1を再度起動した場合も、制御部10は、異常操作を検出したものとしてもよい。
【0103】
また、予め定められた短い時間の間に、ユーザーがデジタル複合機1の電源のON・OFFを何回も実行した場合も、制御部10は、異常操作を検出したものとしてもよい。
【0104】
また、予め定められた短い時間の間に、ユーザーが電源コードの抜き差しを実行した場合も、制御部10は、異常操作を検出したものとしてもよい。
【0105】
さらに、デジタル複合機1に本体の振動を検知する振動検知部を設けるようにしてもよい。
この場合、例えば、ユーザーがデジタル複合機1の本体を何度も叩いたり、揺さぶったり、また、用紙トレイを何度も開け閉めしたりした場合など、振動検知部が本体の振動を検知した場合に、制御部10は、異常操作を検出したものとするようにしてもよい。
【0106】
このようにして、ユーザーの電源のON・OFF等の特定の操作に基づき、表示部171の故障の有無を検知するため、従来よりも簡便かつ安価にタッチパネル1721の表示の不具合を検知するデジタル複合機1を実現することが可能となる。
【0107】
〔実施形態5〕
次に、この発明の実施形態5に係るデジタル複合機1の簡易操作について説明する。
【0108】
実施形態5において、原稿台の開け閉めを検知した場合、ユーザーがコピーまたはスキャンを実行するものとして、報知部18は、簡易モードにおいて、コピーまたはスキャンに関連した操作に係る音声ガイダンスを実行するようにしてもよい。
【0109】
また、トレイの開放検知部を設け、報知部18が「A3用紙に印刷する場合はA3以外のトレイを、A4用紙に印刷する場合はA4以外のトレイを開けてください」と音声ガイダンスを行うことで、表示部171の表示によらず、簡易操作できるようにしてもよい。
【0110】
このように、簡易操作として、デジタル複合機1の本体の動作に応じた音声ガイダンスを行った上でユーザーの簡易操作を受け付けることによって、表示部171の故障の際も、ユーザーはジョブを実行することが可能となる。
【0111】
この発明の好ましい態様には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれる。
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0112】
1:デジタル複合機、 10:制御部、 11:画像読取部、 12:画像形成部、 13:記憶部、 14:画像処理部、 15:通信部、 16:給紙部、 17:パネルユニット、 18:報知部、 19:計時部、 20:タッチ入力部、 121:LSU、 171:表示部、 172:操作部、 181:スピーカー、 1721:タッチパネル、 1722:物理キー操作部、 17221:表示灯、 17222:電源キー、 17223:節電キー、 17224:ホームキー、 17225:数字キー、 SP:スワイプ操作、 TP,TP1,TP2,TP3:部分