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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】粉末食品
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/39 20060101AFI20230731BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20230731BHJP
   A23L 2/68 20060101ALI20230731BHJP
   A23L 2/42 20060101ALI20230731BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
A23L2/00 Q
A23L2/52
A23L2/00 D
A23L2/00 N
A23L2/00 B
A23L2/00 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018246296
(22)【出願日】2018-12-27
(65)【公開番号】P2020103186
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 優美
(72)【発明者】
【氏名】中島 雄
【審査官】高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-104912(JP,A)
【文献】特開2014-023479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
FSTA/AGRICOLA/BIOSIS/BIOTECHNO/CABA/CAPLUS/SCISEARCH/TOXCENTER(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)増粘多糖類 13質量%以下
(B)炭酸塩
(C)ヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、アスコルビン酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上 1~30質量%
を含有する飲料用粉末食品であって、成分(B)に対する成分(A)の含有質量比[(A)/(B)]が0.6~2.5、成分(B)に対する成分(C)の含有質量比[(C)/(B)]が0.8~3であり、水で20質量倍希釈したときに、25℃における粘度が5~50mPa・sである、袋状包材で包装されてなる飲料用粉末食品。
【請求項2】
成分(A)がキサンタンガム、グアガム及びタマリンドガムから選ばれる1種又は2種以上である請求項1記載の飲料用粉末食品。
【請求項3】
成分(C)がクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、L-アスコルビン酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は2記載の飲料用粉末食品。
【請求項4】
成分(A)の含有量が1~10質量%である請求項1~3のいずれか1項記載の飲料用粉末食品。
【請求項5】
成分(A)に対する成分(C)の含有質量比[(C)/(A)]が0.2~5である請求項1~4のいずれか1項記載の飲料用粉末食品。
【請求項6】
包装形態がスティック包装又はピロー包装である請求項1~5のいずれか1項記載の飲料用粉末食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘性を有する飲料を提供するための袋状包材で包装されてなる粉末食品に関する。
【背景技術】
【0002】
熱水等を注ぐだけで飲用できるよう簡便性を訴求したインスタント飲料が数多く上市されている。そのなかに、溶解時に粘性(とろみ)を有するものがある。適度な粘性を有する飲料は、飲料成分が喉に留まり易く、風味を強く感じることができたり、心地良い飲みごたえを有すること、また、喉をゆっくり通過するため、嚥下困難者にとっては誤嚥の恐れが少ない等の利点がある。
【0003】
一般に、粘性の付与には増粘多糖類等の増粘剤が使用されるが、増粘剤を粉末の状態で水に添加すると溶解が不十分で所望の粘性を付与できないという問題が生じる場合がある。これまでに、増粘剤の溶解性を改善する技術は種々検討されており、例えば、カラギーナンやキサンタンガム等のアニオン性高分子物質と、継粉防止剤として発泡成分(炭酸水素ナトリウム及び有機酸)を含有する粉末状の服薬補助食品(特許文献1)、増粘多糖類、セルロース、水溶性糖類及び金属塩にさらに発泡成分を含有するトロミ付け用の錠剤(特許文献2)等が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-104912号公報
【文献】特開2014-23479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1や2の技術のように、増粘剤の溶解時に、発泡成分を共存させることにより増粘剤の溶解性は向上する。しかし、袋状包材で包装して保存すると吸湿等によって炭酸塩と有機酸の中和反応が生じ、袋状包材が膨張するという課題にはこれまで注目されていなかった。また、保存時に吸湿等による炭酸塩と有機酸の中和反応が生じることで、溶解時の発泡量も十分でない事も判明した。
さらに、袋状包材で包装されてなるインスタント飲料とした際には、溶解時にすぐに飲用できるよう良好な溶解性を有する一方で、飲用時には発泡成分の異味がないことが望まれる。
従って、本発明は、熱水等への良好な溶解性を有し、かつ飲用時の有機酸の刺激味が低減され、さらには保存中の包材の膨張が抑制された飲料用の粉末食品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討の結果、炭酸塩に対して、増粘多糖類とヒドロキシカルボン酸等の有機酸を特定の量比で含有させ、且つ水に溶解した際に特定範囲の粘度になるように調整すれば、吸湿等による炭酸塩と有機酸の中和反応を抑制することで、保存中の包材の膨張を抑制することができ、かつ短時間で水に溶解することができ、飲用時に有機酸の刺激味が低減された飲料用の粉末食品を提供できることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)増粘多糖類
(B)炭酸塩
(C)ヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、アスコルビン酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上の有機酸 1~30質量%
を含有する飲料用粉末食品であって、成分(B)に対する成分(A)の含有質量比[(A)/(B)]が0.6~4、成分(B)に対する成分(C)の含有質量比[(C)/(B)]が0.8~3であり、水で20質量倍希釈したときに、25℃における粘度が5~200mPa・sである、袋状包材で包装されてなる飲料用粉末食品を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、溶解時に短時間で水に溶解することができ、飲用時に有機酸の刺激味が低減され、さらに保存中の包材の膨張が抑制された、袋状包材で包装されてなる飲料用粉末食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において「飲料用粉末食品」とは、水系媒体を用いて液体状に希釈溶解して飲料として供される、20℃±15℃で粉末状態の食品を意味する。水系媒体としては、例えば、水、牛乳等が挙げられる。水系媒体の温度は問わない。水系媒体は、飲用性の点から、40℃以上、更に70~90℃の水が好ましい。また、本発明において、溶解時の水への溶解性を単に「溶解性」、飲用時の有機酸の刺激味を単に「有機酸の刺激味」、保存中の包材の膨張を単に「包材の膨張」と定義し、以下記載する。
【0010】
本発明の飲料用粉末食品は、成分(A)として増粘多糖類を含有する。本明細書において「増粘多糖類」とは、単糖分子がグリコシド結合によって重合した糖であり、重合している単糖単位の数が10以上のものを意味する。増粘多糖類は、前記構造を有する限り特に制限はないが、広く食品分野において使用され、簡便に入手できるといった観点から、キサンタンガム、ジェランガム、ローカストビーンガム、グアガム、アラビアガム、タマリンドガム及びセルロース誘導体から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましく、溶解性を向上させる観点、及び包材の膨張を抑制する観点から、キサンタンガム、グアガム及びタマリンドガムから選ばれる1種又は2種以上であることがより好ましく、キサンタンガム、グアガムから選ばれる1種又2種であることがさらに好ましい。セルロース誘導体とは、セルロースの構成成分であるグルコースの水酸基が置換されたものである。
【0011】
本発明の飲料用粉末食品は、水で20質量倍希釈したときに、25℃における粘度が5~200mPa・sである。斯かる粘度であるように増粘多糖類の量と種類を調整すれば、溶解時に良好な粘性(とろみ)を飲料に付与しつつも溶解性に優れ、かつ有機酸の刺激味が抑制され、さらに包材の膨張が抑制された、袋状包材で包装されてなる飲料用の粉末食品を得ることができる。
水で20質量倍希釈したときの25℃における粘度は、包材の膨張を抑制する観点から、好ましくは8mPa・s以上であり、また、溶解性を向上させる観点、及び有機酸の刺激味を抑制する観点から、好ましくは100mPa・s以下、より好ましくは50mPa・s以下であり、さらに好ましくは40mPa・s以下である。そして、水で20質量倍希釈したときの25℃における粘度は、好ましくは8~100mPa・s、より好ましくは8~50mPa・s、さらに好ましくは8~40mPa・sである。
飲料用粉末食品中の成分(A)の含有量は、包材の膨張を抑制する観点、及び炭酸塩の苦味を抑制する観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上であり、また、溶解性を向上させる観点から、好ましくは18質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは13質量%以下である。そして、飲料用粉末食品中の成分(A)の含有量は、1~18質量%、より好ましくは2~15質量%、さらに好ましくは2~13質量%である。
【0012】
成分(A)がキサンタンガムの場合、飲料用粉末食品中の含有量は、包材の膨張を抑制する観点、及び有機酸の刺激味を抑制する観点、炭酸塩の苦味を抑制する観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上であり、さらに好ましくは3質量%以上であり、また、溶解性を向上させる観点から、好ましくは18質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは13質量%以下、よりさらに好ましくは10質量%以下であり、ことさらに好ましくは7質量%以下である。
また、成分(A)がグアガムの場合、飲料用粉末食品中の含有量は、包材の膨張を抑制する観点から、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上であり、また、溶解性を向上させる観点から、好ましくは18質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。
また、成分(A)がタマリンドガムの場合、飲料用粉末食品中の含有量は、包材の膨張を抑制する観点から、好ましくは2質量%以上であり、より好ましくは7質量%以上であり、また溶解性を向上させる観点から、好ましくは18質量%以下であり、15質量%以下である。
【0013】
本発明の飲料用粉末食品は、成分(B)として炭酸塩を含有する。炭酸塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、セスキ炭酸ナトリウム等が挙げられる。なかでも、良好な風味を有する観点、及び溶解性を向上させる観点から、好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムであり、より好ましくは炭酸水素ナトリウムである。
【0014】
本発明の飲料用粉末食品は、炭酸塩を2種以上含有することができる。
本発明の飲料用粉末食品中、成分(B)の含有量は、溶解性を向上させる観点から、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上であり、また、包材の膨張を抑制する観点、及び炭酸塩の苦味を抑制する観点から、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは12質量%以下である。そして、飲料用粉末食品中の成分(B)の含有量は、好ましくは0.5~20質量%、より好ましくは1~15質量%、さらに好ましくは2~12質量%である。
【0015】
本発明の飲料用粉末食品は、成分(B)に対する成分(A)の含有質量比[(A)/(B)]が0.6~4である。炭酸塩に対して増粘多糖類を斯かる特定の量比で含有させることで、溶解性に優れ、かつ有機酸の刺激味が抑制され、さらに包材の膨張が抑制された、飲料用の粉末食品を得ることができる。
成分(B)に対する成分(A)の含有質量比[(A)/(B)]は溶解時の溶解性を向上させる観点から、4以下であって、好ましくは3以下であり、より好ましくは2.5以下であり、さらに好ましくは1.8以下であり、よりさらに好ましくは1.5以下であり、さらによりさらに好ましくは1.3以下であり、ことさらに好ましくは1.0以下である。そして、成分(B)に対する成分(A)の含有質量比[(A)/(B)]は、0.6~4であり、好ましくは0.6~3であり、より好ましくは0.6~2.5であり、さらに好ましくは0.6~1.8であり、よりさらに好ましくは0.6~1.5であり、さらによりさらに好ましくは0.6~1.3であり、ことさらに好ましくは0.6~1.0である。
【0016】
本発明の飲料用粉末食品は、成分(C)としてヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、アスコルビン酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上の有機酸を含有する。
ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、乳酸、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、キナ酸等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。
アスコルビン酸には、立体異性体であるL-アスコルビン酸及びエリソルビン酸が含まれる。
成分(C)としては、広く食品分野において使用され、簡便に入手できるといった観点から、好ましくは乳酸、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、キナ酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、L-アスコルビン酸、エリソルビン酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは溶解性を向上させる観点、包材の膨張を抑制する観点、及び有機酸の刺激味を抑制する観点から、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、L-アスコルビン酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上であり、保存中の包材の膨張をより抑制する観点から、さらに好ましくは酒石酸、フマル酸、L-アスコルビン酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上であり、よりさらに好ましくは酒石酸、L-アスコルビン酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上である。
ヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸及びアスコルビン酸の塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、更にナトリウム塩及びカリウム塩が好ましく、更にナトリウム塩が好ましい。
【0017】
本発明の飲料用粉末食品中、成分(C)の含有量は1~30質量%であるが、溶解性を向上させる観点、及び有機酸の刺激味を抑制する観点から、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは4質量%以上であり、さらに好ましくは5質量%以上であり、よりさらに好ましくは6質量%以上であり、また、有機酸の刺激味を低減する観点、かつ保存中の包材の膨張を抑制する観点から、好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは18質量%以下であり、よりさらに好ましくは15質量%以下であり、ことさらに好ましくは12質量%以下である。そして、成分(C)の含有量は、1~30質量%であり、好ましくは3~25質量%であり、より好ましくは3~20質量%であり、さらに好ましくは4~18質量%であり、よりさらに好ましくは5~15質量%であり、ことさらに好ましくは6~12質量%である。
【0018】
本発明の飲料用粉末食品は、成分(B)に対する成分(C)の含有質量比[(C)/(B)]が0.8~3である。炭酸塩に対してヒドロキシカルボン酸等の有機酸を斯かる特定の量比で含有させることで、溶解性に優れ、有機酸の刺激味もしくは炭酸塩の苦味が抑制された、飲料用の粉末食品を得ることができる。
成分(B)に対する成分(C)の含有質量比[(C)/(B)]は、溶解時の溶解性を向上させる観点、及び炭酸塩の苦味を抑制する観点から、0.8以上であって、好ましくは1.0以上であり、また、保存中の包材の膨張を抑制する観点、及び有機酸の刺激味を抑制する観点から、3以下であって、好ましくは2.7以下であり、より好ましくは2.5以下である。そして、成分(B)に対する成分(C)の含有質量比[(C)/(B)]は、0.8~3であり、好ましくは0.8~2.7であり、より好ましくは1.0~2.5である。
【0019】
また、本発明の飲料用粉末食品は、成分(A)に対する成分(C)の含有質量比[(C)/(A)]が、溶解性を向上させる観点から、好ましくは0.2以上であって、より好ましくは0.6以上、さらに好ましくは1.5以上であり、また、有機酸の刺激味を低減する観点、かつ包材の膨張を抑制する観点から、好ましくは5以下、より好ましくは3.5以下、さらに好ましくは2.9以下である。そして、成分(A)に対する成分(C)の含有質量比[(C)/(A)]は、好ましくは0.2~5、より好ましくは0.6~3.5、さらに好ましくは1.5~2.9である。
【0020】
また、本発明の飲料用粉末食品は、成分(B)及び(C)の合計量に対する成分(A)の含有質量比[(A)/((B)+(C))]が、有機酸の刺激味を低減する観点、かつ包材の膨張を抑制する観点から、好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.2以上であり、また、溶解性を向上させる観点から、好ましくは1.5以下であり、より好ましくは1以下である。そして、成分(B)及び(C)の合計量に対する成分(A)の含有質量比[(A)/((B)+(C))]は、好ましくは0.1~1.5、より好ましくは0.2~1である。
【0021】
本発明の飲料用粉末食品は、上記成分の他に本発明の効果を損なわない範囲において、甘味料、アミノ酸、タンパク質、ビタミン、ミネラル、乳製品、エキス類、香料、着色料、保存料等が適宜配合されていてもよい。添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定することができる。
【0022】
本発明の飲料用粉末食品は、成分(C)以外の酸味料の含有量は、刺激味を低減する観点から、好ましくは0.5質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%であり、よりさらに好ましくは実質0質量%である。
【0023】
また、本発明の飲料用粉末食品は、必要に応じて許容される担体を含有することができる。例えば、賦形剤(例えば、グルコース、ガラクトース、フルクトース等の単糖類、スクロース、ラクトース、マルトース、パラチノース等の二糖類、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、還元パラチノース等の糖アルコール);結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、アルファー化デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、プルラン、メチルセルロース、硬化油等);崩壊剤(例えば、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン、トウモロコシデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等);滑沢剤(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、二酸化ケイ素等);嬌味剤(例えば、ステビア等);オリゴ糖、寒天、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、リン酸水素カルシウム、増量剤、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、希釈剤等の担体が挙げられる。担体の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定することができる。
【0024】
本発明に用いる賦形剤としては、包材の膨張を抑制する観点、及び風味の観点から、パラチノース等の二糖類、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、還元パラチノース等の糖アルコールから選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましく、マルチトール及びエリスリトールから選ばれる1種又は2種がより好ましく、マルチトールがさらに好ましい。
本発明に用いる賦形剤の含有量は、包材の膨張を抑制する観点、及び有機酸の刺激味を低減する観点から、本発明の飲料用粉末食品中に、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上であり、さらに好ましくは60質量%以上であり、溶解性を向上させる観点から、好ましくは98質量%以下であり、より好ましくは95質量%以下であり、さらに好ましくは92質量%以下である。
【0025】
本発明の飲料用粉末食品は、袋状包材で包装されてなる。包材は、飲料用粉末食品を湿気の影響から保護する目的で防湿機能を有する包材を用い、袋内部を乾燥状態に保つことが好ましい。
防湿機能を有する包材は、特に制限はないが、低水蒸気透過性の包材、例えば、アルミ蒸着フィルム、ガラス蒸着処理したPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等の材質の包材が挙げられる。袋内部には必要に応じて乾燥剤を入れてもよい。
飲料用粉末食品の水分量は、防腐防黴、製品の安定性を考慮して、好ましくは5質量%以下である。水分量は、加熱乾燥法により求めることができる。
【0026】
本発明の飲料用粉末食品は、一回の飲用分毎に小分け包装した形態とすることが好ましい。例えば、スティック包装したもの、ピロー包装したものを挙げることができる。小分け包装の内容量は、好ましくは0.5~10g、更に好ましくは1~5gである。
【0027】
本発明の飲料用粉末食品を液体状に希釈溶解する水系媒体の量は、適宜選択可能である。飲用性の点から、一回の飲用分あたり20mL~100mL、更に20mL~50mLとすることが好ましい。
また、希釈倍率は、溶解時の簡便性の観点から、好ましくは10~30質量倍であり、より好ましくは15~25質量倍であり、さらに好ましくは18~22質量倍である。
【0028】
飲料用粉末食品2.5gを20℃±15℃の水47.5gで希釈溶解したときの還元飲料のpH(25℃)は、飲料時の風味を向上させる観点から、好ましくは3以上7以下である。
【0029】
本発明の飲料用粉末食品は、常法にしたがって製造することが可能であり、適宜の方法を採り得る。例えば、成分(A)、成分(B)及び成分(C)、必要に応じて担体及び/又は添加剤を、成分(B)に対する成分(A)の含有質量比[(A)/(B)]及び成分(B)に対する成分(C)の含有質量比[(C)/(B)]が上記範囲内となるように、且つ水に溶解した際に特定の範囲の粘度になるように混合し、包装して製造することができる。成分(A)、成分(B)及び成分(C)の混合順序は特に限定されず、任意の順序で添加しても、3者を同時に添加してもよい。混合方法としては、撹拌、震盪等の適宜の方法を採用することが可能であり、混合装置を使用しても構わない。混合装置の混合方式は、容器回転型でも、容器固定型でもよい。容器回転型として、例えば、水平円筒型、V型、ダブルコーン型、立方体型等を採用することができる。また、容器固定型として、例えば、リボン型、スクリュー型、円錐形スクリュー型、パドル型、流動層型、フィリップスブレンダ-等を採用することができる。
また、公知の造粒法により造粒物としてもよい。例えば、成分(A)及び成分(C)、必要に応じて担体及び/又は添加剤を上記と同様に混合後、造粒し、次いで得られた造粒物と成分(C)、必要に応じて担体及び/又は添加剤を混合、包装して製造することができる。造粒方法としては、例えば、噴霧造粒、流動層造粒、圧縮造粒、転動造粒、撹拌造粒、押出造粒、粉末被覆造粒等が挙げられる。なお、造粒条件は、造粒方法により適宜選択することができる。
【0030】
本発明の飲料用粉末食品は、保存中の包材の膨張を抑制する観点、溶解時の水への溶解性を向上させる観点、及び飲用時に有機酸の刺激味を低減させる観点から、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)増粘多糖類 1~18質量%
(B)炭酸塩
(C)酒石酸、フマル酸、アスコルビン酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上の有機酸 1~30質量%
を含有する飲料用粉末食品であって、成分(B)に対する成分(A)の含有質量比[(A)/(B)]が0.6~4、成分(B)に対する成分(C)の含有質量比[(C)/(B)]が0.8~3であり、水で20質量倍希釈したときに、25℃における粘度が5~200mPa・sである、袋状包材で包装されてなる飲料用粉末食品であることが好ましい。
【0031】
本発明の飲料用粉末食品は、保存中の包材の膨張を抑制する観点、溶解時の水への溶解性を向上させる観点、及び飲用時に有機酸の刺激味を低減させる観点から、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)増粘多糖類 2~15質量%
(B)炭酸塩
(C)酒石酸、フマル酸、アスコルビン酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上の有機酸 3~20質量%
を含有する飲料用粉末食品であって、成分(B)に対する成分(A)の含有質量比[(A)/(B)]が0.6~2.5、成分(B)に対する成分(C)の含有質量比[(C)/(B)]が1.0~2.7であり、水で20質量倍希釈したときに、25℃における粘度が5~200mPa・sである、袋状包材で包装されてなる飲料用粉末食品であることが好ましい。
【0032】
上述した実施形態に関し、本発明は以下の飲料用粉末食品を開示する。
【0033】
<1>次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)増粘多糖類
(B)炭酸塩
(C)ヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、アスコルビン酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上の有機酸 1~30質量%
を含有する飲料用粉末食品であって、成分(B)に対する成分(A)の含有質量比[(A)/(B)]が0.6~4、成分(B)に対する成分(C)の含有質量比[(C)/(B)]が0.8~3であり、水で20質量倍希釈したときに、25℃における粘度が5~200mPa・sである、袋状包材で包装されてなる飲料用粉末食品。
【0034】
<2>成分(A)が、好ましくはキサンタンガム、ジェランガム、ローカストビーンガム、グアガム、アラビアガム、タマリンドガム及びセルロース誘導体から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはキサンタンガム、グアガム及びタマリンドガムから選ばれる1種又は2種以上であり、さらに好ましくはキサンタンガム及びグアガムから選ばれる1種又は2種である<1>に記載の飲料用粉末食品。
<3>成分(A)の含有量が、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上であり、また、好ましくは18質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは13質量%以下であり、また、好ましくは1~18質量%、より好ましくは2~15質量%、さらに好ましくは2~13質量%である<1>又は<2>に記載の飲料用粉末食品。
<4>水で20質量倍希釈したときの25℃における粘度が、5mPa・s以上であり、好ましくは8mPa・s以上であり、また、200mPa・s以下であり、好ましくは100mPa・s以下、より好ましくは50mPa・s以下、さらに好ましくは40mPa・s以下であり、また、5~200mPa・sであり、好ましくは8~100mPa・s、より好ましくは8~50mPa・s、さらに好ましくは8~40mPa・sである<1>~<3>のいずれかに記載の飲料用粉末食品。
<5>成分(B)が、好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム及びセスキ炭酸ナトリウムから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムから選ばれる1種又は2種であり、さらに好ましくは炭酸水素ナトリウムである<1>~<4>のいずれかに記載の飲料用粉末食品。
<6>成分(B)の含有量が、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは12質量%以下であり、また、好ましくは0.5~20質量%、より好ましくは1~15質量%、さらに好ましくは2~12質量%である<1>~<5>のいずれかに記載の飲料用粉末食品。
<7>成分(B)に対する成分(A)の含有質量比[(A)/(B)]が、4以下であり、好ましくは3以下、より好ましくは2.5以下、さらに好ましくは1.8以下、よりさらに好ましくは1.5以下、さらによりさらに好ましくは1.3以下、ことさらに好ましくは1.0以下であり、また、0.6~4であり、好ましくは0.6~3、より好ましくは0.6~2.5、さらに好ましくは0.6~1.8、よりさらに好ましくは0.6~1.5、さらによりさらに好ましくは0.6~1.3、ことさらに好ましくは0.6~1.0である<1>~<6>のいずれかに記載の飲料用粉末食品。
<8>成分(C)が、好ましくは乳酸、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、キナ酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、L-アスコルビン酸、エリソルビン酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、L-アスコルビン酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上であり、さらに好ましくは酒石酸、フマル酸、L-アスコルビン酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上であり、よりさらに好ましくは酒石酸、L-アスコルビン酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上である<1>~<7>のいずれかに記載の飲料用粉末食品。
<9>成分(C)の含有量が、1質量%以上であり、好ましくは3質量%以上、より好ましくは4質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、よりさらに好ましくは6質量%以上であり、また、30質量%以下であり、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは18質量%以下、よりさらに好ましくは15質量%以下、ことさらに好ましくは12質量%以下であり、また、1~30質量%であり、好ましくは3~25質量%、より好ましくは3~20質量%、さらに好ましくは4~18質量%、よりさらに好ましくは5~15質量%、ことさらに好ましくは6~12質量%である<1>~<8>のいずれかに記載の飲料用粉末食品。
<10>成分(B)に対する成分(C)の含有質量比[(C)/(B)]が、0.8以上であり、好ましくは1.0以上であり、また、3以下であり、好ましくは2.7以下、より好ましくは2.5以下であり、また、0.8~3であり、好ましくは0.8~2.7、より好ましくは1.0~2.5である<1>~<9>のいずれかに記載の飲料用粉末食品。
<11>成分(A)に対する成分(C)の含有質量比[(C)/(A)]が、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.6以上、さらに好ましくは1.5以上であり、また、好ましくは5以下、より好ましくは3.5以下、さらに好ましくは2.9以下であり、また、好ましくは0.2~5、より好ましくは0.6~3.5、さらに好ましくは1.5~2.9である<1>~<10>のいずれかに記載の飲料用粉末食品。
<12>成分(B)及び(C)の合計量に対する成分(A)の含有質量比[(A)/((B)+(C))]が、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上であり、また、好ましくは1.5以下、より好ましくは1以下であり、また、好ましくは0.1~1.5、より好ましくは0.2~1である<1>~<11>のいずれかに記載の飲料用粉末食品。
<13>成分(C)以外の酸味料の含有量が、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%、よりさらに好ましくは実質0質量%である<1>~<12>のいずれかに記載の飲料用粉末食品。
<14>包材形態が、好ましくはスティック包装又はピロー包装である<1>~<13>のいずれかに記載の飲料用粉末食品。
<15>飲料用粉末食品2.5gを20℃±15℃の水47.5gで希釈溶解したときの還元飲料のpH(25℃)が、好ましくは3以上7以下である<1>~<14>のいずれかに記載の飲料用粉末食品。
<16><1>~<15>のいずれかに記載の飲料用粉末食品を20~100mLの水に溶解させてなる飲料。
【実施例
【0035】
[炭酸塩の分析]
飲料用粉末食品中の炭酸塩の含有量の分析方法は以下の通りである。
飲料用粉末食品を0.1~0.2g採取し、水10mLと50%りん酸2mLを加え密栓した。10分間超音波処理を行った後、1時間放置しヘッドスペースガスをガスクロマトグラフに供してCO2量を求め、発生したCO2量から算出した。
<ガスクロマトグラフ操作条件>
機種:GC-14B、(株)島津製作所
検出器:TCD
カラム:Chromosorb101,80~100mesh
ガラス管,φ3.2mm×2m
温度:カラム50℃,注入口及び検出器100℃
セル電流75mA
ガス圧力:ヘリウム(キャリヤーガス)100kPa
注入量:ヘッドスペースガス0.2mL
【0036】
[有機酸の分析]
飲料用粉末食品中の有機酸の含有量の分析方法は以下の通りである。
飲料用粉末食品を1g採取し5%過塩素酸20mLを加え、10分間振とうすることで抽出した。これを水で200mLに定容し10分間超音波処理を行った。ろ過後高速液体クロマトグラフに供した。
<高速液体クロマトグラフ操作条件>
機種:LC-20AD、(株)島津製作所
検出器:紫外可視吸光光度計SPD-20AV、(株)島津製作所
カラム:Shim-pack SCR-102H 300×80(長さ×内径(mm))(株)島津製作所
カラム温度:40℃
移動相:3mmоl/L過塩素酸
反応液:0.2mmоl/Lブロムチモールブルー含有
15mmоl/Lりん酸水素二ナトリウム溶液
流量:移動相1.0mL/min、反応液1.4mL/min
測定波長:445nm
【0037】
[粘度の測定]
100mLビーカーに粉末食品2.5g、水47.5gを注ぎ、測定条件25℃で、音叉型振動粘度計SV-10(AND社)を使用して測定した。
【0038】
[pHの測定]
100mLビーカーに粉末食品2.5g、水47.5gを注ぎ、測定条件25℃で、COMPACTpHMETER LAQUAtwin-pH-33(HORIBA社)を使用して測定した。
【0039】
〔原料〕
キサンタンガム:xanthan gum FFCS(jungbunzlauer)
グアガム:グアパックPF-20(DSP五協(株))
タマリンドガム:グリロイド(DSP五協(株))
炭酸水素ナトリウム:重曹(食添C)(東ソー(株))
酒石酸:L-酒石酸(扶桑化学工業(株))
クエン酸:クエン酸フソウ(無水)(扶桑化学工業(株))※無水和物
リンゴ酸:リンゴ酸フソウ(扶桑化学工業(株))
アスコルビン酸:L-アスコルビン酸、ビタミンC TypeS(扶桑化学工業(株))
フマル酸:フマル酸(扶桑化学工業(株))
コハク酸:コハク酸(扶桑化学工業(株))
マルチトール:アマルティMR-50(三菱商事フードテック(株))
【0040】
実施例1~10及び比較例1~7
表1に記載の配合組成で各成分を均一に混合し、飲料用粉末食品を得た。得られた飲料用粉末食品について粘度及びpHの測定と、次の溶解性評価、膨れ評価及び官能評価を行った。
【0041】
〔溶解性の評価〕
100mLビーカーに、上記の各実施例及び比較例で得られた粉末食品と撹拌子を入れ、90℃の湯47.5mLを注ぎ、800rpm/minで撹拌した。湯を注いでからサンプルが完全に溶解するまでの時間を計測した。評価基準は下記の通りとし、評点を決定した。
評価基準
5:溶解するまでの時間が10秒未満
4:溶解するまでの時間が10秒以上30秒未満
3:溶解するまでの時間が30秒以上60秒未満
2:溶解するまでの時間が60秒以上90秒未満
1:溶解するまでの時間が90秒以上
〔膨れ評価〕
上記の各実施例及び比較例で得られた粉末食品をアルミピロー(30mm×100mm)に入れ密封後、60℃の恒温槽で24時間保存した。保存前後のピローの体積をアルキメデス法によって測定し、保存によるピローの膨れ体積を計算した。評価基準は下記の通りとし、評点を決定した。
評価基準
5:膨れ体積が0.5mL未満
4:膨れ体積が0.5mL以上1mL未満
3:膨れ体積が1mL以上2mL未満
2:膨れ体積が2mL以上5mL未満
1:膨れ体積が5mL以上
【0042】
〔官能評価〕
上記の各実施例及び比較例で得られた飲料用粉末食品2.5gを25℃の水47.5mLに溶解して還元飲料を調製し、飲用時の「有機酸由来の刺激味」、「炭酸塩由来の苦味」を専門パネル3名で評価した。評価基準は下記の通りとし、専門パネル3名の協議により評点を決定した。
評価基準:有機酸由来の刺激味
専門パネル3名が、飲用時にまったく刺激味を感じない実施例1を「5」、飲用時に強い刺激味を感じる比較例6を評価基準の「1」、飲用時にわずかに刺激味を感じる実施例10を評価基準の「3」として評価した。
5:まったく刺激味を感じない
4:ごくわずかに刺激味を感じる
3:わずかに刺激味を感じる
2:刺激味を感じる
1:強い刺激味を感じる
評価基準:炭酸塩由来の苦味
専門パネル3名が、飲用時にまったく苦味を感じない実施例2を「5」として評価した。
5:まったく苦味を感じない
4:ごくわずかに苦味を感じる
3:わずかに苦味を感じる
2:苦味を感じる
1:強い苦味を感じる
結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
実施例11~14及び比較例8~12
表2に記載の配合組成で各成分を均一に混合し、飲料用粉末食品を得た。得られた飲料用粉末食品について、実施例1と同様の方法で測定と溶解性評価、膨れ評価及び官能評価を行った。その結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
実施例15~16
表3に記載の配合組成で各成分を均一に混合し、飲料用粉末食品を得た。得られた飲料用粉末食品について、実施例1と同様の方法で測定と溶解性評価、膨れ評価及び官能評価(有機酸由来の刺激味)を行った。その結果を表3に示す。
【0047】
【表3】
【0048】
実施例17~22
表4に記載の配合組成で各成分を均一に混合し、飲料用粉末食品を得た。得られた飲料用粉末食品について、実施例1と同様の方法で測定と溶解性評価、膨れ評価及び官能評価(有機酸由来の刺激味)を行った。その結果を表4に示す。
【0049】
【表4】
【0050】
表1~4から、(A)増粘多糖類、(B)炭酸塩及び(C)ヒドロキシカルボン酸等の有機酸を含有させ、(B)炭酸塩に対する、(A)増粘多糖類の質量比[(A)/(B)]と(C)ヒドロキシ酸等の有機酸の質量比[(C)/(B)]を特定範囲内に制御し、且つ水に溶解した際に特定範囲内の粘度とすることで、包材の膨張を抑制することができ、また、短時間で水に溶解する飲料用粉末食品が得られることが確認された。
また、本発明の飲料用粉末食品から調製した還元飲料は、ヒドロキシカルボン酸等の有機酸による刺激味も抑えられて良好な風味であることが確認された。