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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】易接着性ポリアミドフィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/34 20060101AFI20230801BHJP
【FI】
B32B27/34
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019063703
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020163587
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 卓郎
(72)【発明者】
【氏名】濱 貢介
【審査官】松浦 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-251772(JP,A)
【文献】特開2014-227511(JP,A)
【文献】特開2008-188774(JP,A)
【文献】特開2002-178470(JP,A)
【文献】特開昭53-037773(JP,A)
【文献】特開平03-130129(JP,A)
【文献】国際公開第2014/141871(WO,A1)
【文献】特開2009-113391(JP,A)
【文献】特開平11-335470(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0100685(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC B32B 1/00 - 43/00
B65D 65/00 - 65/46
B29C 55/00 - 55/30
B29C 61/00 - 61/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド6樹脂97.5~80質量%とポリアミド系エラストマー2.5~20質量%を含む基材層(A層)の少なくとも一方の面に、共重合体中の共重合成分の比率が3~35質量%であるポリアミド6共重合体を60~100質量%、ポリアミド6を0~40質量%を含む易接着層(B層)が積層されており、前記ポリアミド6共重合体がポリアミド6/66共重合体又ポリアミド6/12共重合体であることを特徴とする積層延伸ポリアミドフィルム。
【請求項2】
前記A層およびB層が、A層/B層、又はB層/A層/B層の順に積層されたことを特徴とする請求項1に記載の積層延伸ポリアミドフィルム。
【請求項3】
A層がポリアミド6/66共重合体を0.5~30質量%含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の積層延伸ポリアミドフィルム。
【請求項4】
A層がポリアミド6/12共重合体を0.5~30質量%含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の積層延伸ポリアミドフィルム。
【請求項5】
積層延伸ポリアミドフィルムの厚みが5~30μmであり、A層の厚みが4.5μm以上であり、B層の厚みが0.5μm以上であることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の積層延伸ポリアミドフィルム。
【請求項6】
耐水ラミネート強度が2.0N/15mm以上であることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の積層延伸ポリアミドフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐ピンホール性及び接着性に優れた二軸延伸ポリアミドフィルムに関するものである。特に、シーラントフィルムとの耐水接着強度に優れた二軸延伸ポリアミドフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
二軸延伸ポリアミドフィルムは引張強度、屈曲強度、耐ピンホール性、耐油性、酸素ガスバリア性等に優れるので、包装材料、特に食品包装用材料として使われている。
【0003】
二軸延伸ポリアミドフィルムは、通常、ポリエチレン、ポリプロピレン等のヒートシール可能なポリオレフィンフィルム(シーラントフィルムとも言う)を積層(ラミネートとも言う)して、袋となる縁部をヒートシールして包装袋などとして使用される。二軸延伸ポリアミドフィルムは、食品包装材料として広く使用されている。
【0004】
しかし、二軸延伸ポリアミドフィルムとシーラントフィルムのラミネートフィルムを液体スープ袋や水物用袋に使用した場合、ラミネートしたフィルム間の接着強度(ラミネート強度とも言う)が弱く、ラミネートしたフィルムが剥がれてしまうという問題点があった。特に、レトルト等の高温で熱水処理した後、ラミネートされたフィルム間に水が浸透し、二軸延伸ポリアミドフィルムとシーラントフィルムとの間のラミネート強度が極端に低下するという欠点があった。
【0005】
ラミネート強度を改良する方法としては、フィルムを製造する工程の中でフイルム表面をコーティングし、接着強度を上げる方法が提案されている(特許文献1参照)。しかし、この方法は、生産性が悪くなり、生産コストが高くなる問題があった。更に、コーティングによって、ブロッキングが発生する問題や筋やキズの欠点が発生する問題があった。そのため、コーティングなしでもラミネート強度が高い二軸延伸ポリアミドフィルムが求められていた。
【0006】
そこで、表層に共重合ポリアミドを配合した層を共押出しした未延伸シートを二軸延伸した積層ポリアミドフィルムが提案されている(特許文献2参照)。しかし、この方法ではラミネート強度が向上するが、強い耐水ラミネート強度を得るには、フィルムを製造する工程の中でフィルム表面をコーティングする必要があった。
【0007】
一方、ポリアミド6/66共重合体からなる逐次二軸延伸性を向上させた二軸延伸ポリアミドフィルムの製造方法が提案されている(特許文献3参照)。
また、チューブラー法による厚さ精度の良好な二軸延伸ポリアミド6/66共重合体フィルムの製造方法が提案されている(特許文献4参照)。
これらのポリアミド6/66共重合体からなる二軸延伸ポリアミドフィルムは、ポリアミド6やポリアミド66に比べて融点が低いため、耐熱性や高温での寸法安定性が悪く、ボイル処理やレトルト処理に使う包装袋用のフィルムには適さない。
【0008】
ポリアミド6を主成分である層とポリアミド6とポリアミド6/66からなる層とエチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物を含むバリア層を積層して押出した5層の二軸延伸ポリアミドフィルムが提案されている(特許文献5参照)。しかし、エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物を含むバリア層を含むため、テンターでのクリップ把持部のフィルムを回収し再使用することができない。ポリメタキシリレンアジパミドの主成分とする層をバリア層とすることも提案されている(特許文献6参照)。しかし、この場合フィルムの耐衝撃性や耐ピンホール性が悪くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許04660866
【文献】特許04178814
【文献】特公昭57-8647
【文献】特公平6-37081
【文献】特許05068084
【文献】特許05383563
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、従来の二軸延伸ポリアミドフィルムの上記問題点を解決し、耐ピンホール性及び接着性の優れた、特に耐水ラミネート強度に優れた二軸延伸ポリアミドフィルムを安価に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、鋭意検討した結果、ポリアミドエラストマーを含むポリアミド6が主成分の基材層にポリアミド6共重合体が主成分の易接着層を積層した二軸延伸ポリアミドフィルムによって課題を解決できることを見出した。
本発明は、以下の構成よりなる。
〔1〕 ポリアミド6樹脂98~80質量%とポリアミド系エラストマー2~20質量%を含む基材層(A層)の少なくとも一方の面に、共重合体中の共重合成分の比率が3~35質量%であるポリアミド6共重合体を60~100質量%、ポリアミド6を0~40質量%を含む易接着層(B層)が積層されていることを特徴とする易接着性ポリアミドフィルム。
〔2〕 前記A層およびB層が、A層/B層、又はB層/A層/B層の順に積層されたことを特徴とする〔1〕に記載の積層延伸ポリアミドフィルム。
〔3〕 前記ポリアミド6共重合体がポリアミド6/66共重合体であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の積層延伸ポリアミドフィルム。
〔4〕 A層がポリアミド6/66共重合体を0.5~30質量%含むことを特徴とする〔3〕に記載の積層延伸ポリアミドフィルム。
〔5〕 前記ポリアミド6共重合体がポリアミド6/12共重合体であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の積層延伸ポリアミドフィルム。
〔6〕 A層がポリアミド6/12共重合体を0.5~30質量%含むことを特徴とする〔5〕に記載の積層延伸ポリアミドフィルム。
〔7〕 積層延伸ポリアミドフィルムの厚みが5~30μmであり、A層の厚みが4.5μm以上であり、B層の厚みが0.5μm以上であることを特徴とする〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の積層延伸ポリアミドフィルム。
〔8〕 耐水ラミネート強度が2.0N/15mm以上であることを特徴とする〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の積層延伸ポリアミドフィルム。
【発明の効果】
【0012】
本発明の易接着性ポリアミドフィルムは、二軸延伸ポリアミドフィルムが持つ優れた衝撃強度、耐ピンホール性、ガスバリア性等に加え、耐水ラミネート強度が強いので、スープ包装袋や水物の包装袋等の輸送中に、衝撃や振動による包装袋の破袋の防止に有効である。
また、本発明の積層延伸ポリアミドフィルムは、コーティング工程を省けるため、生産性が良く経済的であり、また傷などの欠点が少ないという利点がある。さらに本発明の易接着性ポリアミドフィルムは、コーティング剤が積層されていないので衛生的であるという利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の易接着性ポリアミドフィルムを詳細に説明する。
本発明の積層延伸ポリアミドフィルムは、ポリアミド6樹脂98~80質量%とポリアミド系エラストマー2~20質量%を含む基材層(A層)の少なくとも一方の面に、共重合体中の共重合成分の比率が3~35質量%であるポリアミド6共重合体を60~100質量%、ポリアミド6を0~40質量%を含む易接着層(B層)が積層された積層延伸ポリアミドフィルムである。
本発明の積層延伸ポリアミドフィルムの積層構成としては、A層/B層、又はB層/A層/B層の順に積層された構成が挙げられる。
【0014】
本発明の積層延伸ポリアミドフィルムの合計厚みは、5~30μmである。積層延伸ポリアミドフィルムの合計厚みが30μmより厚い場合、強度的に性能が飽和する。また、シーラントとラミネートして包装袋とした時の柔軟性が悪くなる。
【0015】
本発明の積層延伸ポリアミドフィルムの基材層(A層)の厚みは、4.5μm以上である。基材層(A層)の厚みが4.5μmより薄い場合、フィルム全体が柔らかすぎて、印刷機や製袋機で加工できなくなる。本発明の積層延伸ポリアミドフィルムの積層構成は、前記のA層/B層、又はB層/A層/B層の順に積層された構成の他に、B層/A層/B層/A層/B層の順に積層された構成、更に多層の厚み構成にしても構わないが、この場合は、A層の合計の厚みが4.5μm以上であることが好ましい。
【0016】
本発明の積層延伸ポリアミドフィルムの易接着層(B層)の厚みは、0.5μm以上である。B層の厚みが、0.5μmより薄い場合、本発明の目的である耐水ラミネート強度が得られない。B層の厚みの上限は、特にない。ただし、B層の厚みが5μmより厚くなると耐水ラミネート強度は飽和してくるので5μm以下が好ましい。ここで0.5μm以上厚みが必要な易接着層(B層)は、シーラントとラミネートする側の表面のB層の厚みである。B層/A層/B層の順に積層された構成やB層/A層/B層/A層/B層の順に積層された構成などの場合は、シーラントとラミネートする表面となる層以外の層の厚みは0.5μmより薄くても構わない。
【0017】
<基材層(A層)>
本発明における基材層(A層)は、ポリアミド6樹脂97.5~80質量%とポリアミド系エラストマー2.5~20質量%を含むポリアミド樹脂組成物である。
本発明における基材層(A層)は、ポリアミド系エラストマー2.5~20質量%を含むことで、耐ピンホール素材としてのポリアミド系エラストマーが分散した構造を持ち、優れた耐屈曲ピンホール性、特に、低温環境下における耐屈曲ピンホール性が良好な積層延伸ポリアミドフィルムを得ることができる。
本発明における基材層(A層)は、ポリアミド6樹脂の含有量が97.5~80質量%であることで、衝撃強度などの機械的強度が良好な積層延伸ポリアミドフィルムを得ることができる。
【0018】
本発明における基材層(A層)に使用するポリアミド系エラストマーとしては、ポリアミド成分によって構成されるハードセグメントとポリオキシアルキレングリコール成分によって構成されるソフトセグメントからなるポリアミド系ブロック共重合体が挙げられる。ハードセグメントのポリアミド成分は、(1)ラクタム、(2)アミノ脂肪族カルボン酸、(3)脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸、又は(4)脂肪族ジアミンと芳香族ジカルボン酸からなる群から選択される。具体的には、(1)ω-ラウリルラクタム、ε-カプロラクタム、(2)アミノヘプタン酸、(3)ヘキサメチレンジアミン、ノナンジアミンとアジピン酸、セバシン酸、(4)ヘキサメチレンジアミン、ノナンジアミンとテレフタル酸、イソフタル酸を例示することができる。また、ポリアミド系ブロック共重合体のソフトセグメントを構成するポリオキシアルキレングリコールは、例えば、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシ-1,2-プロピレングリコール等が挙げられる。特にハードセグメントがポリアミド6又はポリアミド12であり、ソフトセグメントがポリオキシテトラメチレングリコールであるポリアミドエラストマーが耐屈曲ピンホール性の改善効果が高いので好ましい。
【0019】
本発明におけるポリアミド系エラストマーの融点は、ポリアミド成分によって構成されるハードセグメントとポリオキシアルキレングリコール成分によって構成されるソフトセグメントの種類と比率によって決められるが、通常は、120℃から180℃の範囲のものが使用される。
【0020】
本発明において、ポリアミド系エラストマーを積層延伸ポリアミドフィルムの基材層の構成成分にすることにより、積層延伸ポリアミドフィルムの耐屈曲ピンホール性、特に、低温環境下における耐屈曲ピンホール性を改善できる。
基材層のポリアミド樹脂組成物のポリアミド系エラストマーの含有量の下限は、2.5質量%である。これによって耐屈曲ピンホール性の良好な積層延伸ポリアミドフィルムが得られる。
基材層のポリアミド樹脂組成物のポリアミド系エラストマーの含有量の上限は、20質量%である。これによって他の機械的特性や透明性を維持しつつ、耐屈曲ピンホール性の良好な積層延伸ポリアミドフィルムが得られる。
【0021】
A層を構成するポリアミド樹脂組成物は、バージン原料のポリアミド6とポリアミド系エラストマーを混合したものである他、積層延伸ポリアミドフィルムを製造する際に生成する規格外フィルムや切断端材(耳トリム)を再生レジンとしてバージン原料に加えたものであってもよい。
【0022】
A層を構成するポリアミド樹脂組成物は、酸化防止剤を0.01~0.3質量%含有することが好ましい。酸化防止剤の含有量が上記の範囲を超えると、積層延伸ポリアミドフィルム表面への析出等による白化、ポリエチレン、ポリプロピレンシーラントとのラミネート加工時の接着性不良となり、上記の範囲を下回ると、A層のポリアミド樹脂組成物として屑材及び再生レジン等の回収再生原料を使用する場合に回収再生原料の熱劣化等による製膜操業性不良が発生することがある。
【0023】
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤が好ましい。フェノール系酸化防止剤は、完全ヒンダードフェノール系化合物又は部分ヒンダードフェノール系化合物が好ましい。例えば、テトラキス-〔メチレン-3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、ステアリル-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9-ビス〔1,1-ジメチル-2-〔β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等が挙げられる。
【0024】
上記フェノール系酸化防止剤をA層のポリアミド樹脂組成物に含有させることにより、積層延伸ポリアミドフィルムの製膜操業性が向上する。特に、フィルム屑材、再生レジン等を用いた回収再生原料混合系では、熱可塑性エラストマーの回収再生による熱劣化が起こりやすく、これに起因とする製膜操業不良が発生するため、操業効率低下による生産コスト上昇、及び、回収再生原料の使用量低下によりバージン原料の使用量が増え、生産コスト上昇を招く傾向にある。これに対して、酸化防止剤を、回収再生原料類を含むポリアミド系延伸フィルムのA層のポリアミド樹脂組成物に含有させることで、熱可塑性エラストマーをはじめとする各種重合体の熱劣化を抑制し、安定した製膜操業性を実現する。このことから、本発明によれば、操業性向上、及び回収再生原料の使用量増加による原料費低減により、生産コストの低減が可能となる。
【0025】
<易接着層(B層)>
本発明の積層延伸ポリアミドフィルムの易接着層(B層)は、共重合体中の共重合成分の比率が3~35質量%であるポリアミド6共重合体を60~100質量%含む。
易接着層(B層)のポリアミド6共重合体の含有量が60質量%より少ない場合、十分な耐水ラミネート強度が得られなくなる。
上記ポリアミド6共重合体中の共重合成分の比率は3~35質量%である。
共重合成分の比率が3質量%で未満である場合、十分な耐水ラミネート強度が得られなくなる。
共重合体中の共重合成分の比率が35質量%より大きいと、原料供給する際にハンドリングしにくくなる場合がある。
上記ポリアミド6共重合体の融点は、170~220℃が好ましい。より好ましくは、175~215℃、更に好ましくは180~210℃である。ポリアミド6共重合体の融点が215℃より高いと十分な耐水接着性が得られなくなる場合がある。ポリアミド6共重合体の融点が170℃より低いと、原料供給する際にハンドリングしにくくなる場合がある。
【0026】
上記易接着層(B層)に使用するポリアミド6共重合体は、ε-カプロラクタムまたはアミノカプロン酸に共重合成分を3~35質量%の比率で共重合して得られる。ここで共重合の比率は、共重合後に残存するモノマーを熱水などで除去した後の質量%である。
ε-カプロラクタムへの共重合成分としては、例えば、ε-カプロラクタム以外のラクタムやアミノカプロン酸以外のアミノ酸やジカルボン酸とジアミンの塩を共重合することで得られる。ポリアミド6共重合体の重合においてε-カプロラクタムと共重合されるモノマーとしては、例えば、ウンデカンラクタム、ラウリルラクタム、アミノウンデカン酸、アミノラウリル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ヘキサメチレンジアミン、ノナンジアミン、デカンジアミン、メチルペンタンジアミン、メタキシリレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、等が挙げられる。
上記ポリアミド6共重合体としては、例えば、ポリアミド6/66共重合体、ポリアミド6/12共重合体、ポリアミド6/6T共重合体、ポリアミド6/610共重合体、ポリアミド6/6I共重合体、ポリアミド6/9T共重合体、ポリアミド6/6I共重合体、ポリアミド6/11共重合体、などが挙げられる。
【0027】
易接着層(B層)に使用するポリアミド6/66共重合体は、ε-カプロラクタムとアジピン酸ヘキサメチレンジアンモニウム塩から重合する方法などで得られる。
Ultramid C3301(BASF社製)、Nylon 5023B(宇部興産株式会社製)などの市販されているものも使用できる。
なお、A層に0.5~30質量%含有させてもよいポリアミド6/66共重合体も、上記のものを使用できる。
【0028】
ポリアミド6/66共重合体中のポリアミド6とポリアミド66との共重合割合は、ポリアミド6/66共重合体中のポリアミド66の比率が3~35質量%である。好ましくは、5~30質量%である。より好ましくは、5~25質量%である。
ポリアミド6/66共重合体中のポリアミド66の比率が3質量%より少ない場合、本発明の課題である易接着性が発現しない。
ポリアミド6/66共重合体中のポリアミド66の比率が35質量%より多い場合、共重合体の結晶性が低くなり、取り扱いが困難になる場合がある。
ポリアミド6/66共重合体の相対粘度は、1.8~4.5であることが好ましく、より好ましくは、2.6~3.2である。
【0029】
易接着層(B層)に使用するポリアミド6/12共重合体は、ε-カプロラクタムとω-ラウリルラクタムから重合する方法などで得られる。
ナイロン樹脂7024B(宇部興産株式会社製)などの市販されているものも使用できる。
なお、A層に0.5~30質量%含有させてもよいポリアミド6/12共重合体も、上記のものを使用できる。
【0030】
ポリアミド6/12共重合体中のポリアミド6とポリアミド12との共重合割合は、ポリアミド6/12共重合体中のポリアミド12の比率が3~35質量%である。好ましくは、5~30質量%である。より好ましくは、5~25質量%である。
ポリアミド6/12共重合体中のポリアミド12の比率が3質量%より少ない場合、本発明の課題である易接着性が発現しない。
ポリアミド6/12共重合体中のポリアミド12の比率が35質量%より多い場合、共重合体の結晶性が低くなり、取り扱いが困難になる場合がある。
ポリアミド6/12共重合体の相対粘度は、1.8~4.5であることが好ましく、より好ましくは、2.5~4.0である。
【0031】
本発明における重要な点は、基材層(A層)のシーラントとラミネートする側の面にポリアミド6共重合体を含む易接着層(B層)を積層させることによって、シーラントとラミネートする面の結晶化度を下げているという点である。
【0032】
基材層(A層)にポリアミド共重合体を含む易接着層(B層)を積層する方法としては、フィードブロックやマルチマニホールドなどを使用した共押出法が好ましい。共押出法以外に、ドライラミネート法、押出ラミネート法等を選ぶこともできる。
【0033】
共押出法で積層する場合、A層及びB層に使用するポリアミドの相対粘度は、A層及びB層の溶融粘度の差が少なくなるように選択することが望ましい。
【0034】
本発明の積層延伸ポリアミドフィルムを得るための延伸方法は、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法いずれでもかまわない。逐次二軸延伸法の方が、製膜速度が上げられるので、製造コスト的に有利であるので好ましい。一軸延伸法による一軸延伸フィルムであっても構わなく、ラミネート強度が良好な一軸延伸ポリアミドフィルムが得られる。しかし、耐衝撃性、耐ピンホール性は二軸延伸ポリアミドフィルムの方が良好である。
装置としては通常の逐次二軸延伸装置が用いられる。製造の条件としては、押出温度は200℃~300℃、装置の流れ方法である縦方向(MDと略す場合がある)の延伸温度は50~100℃、縦方向の延伸倍率は2~5倍、装置の幅方向(TDと略す場合がある)延伸温度は120~200℃、幅方向延伸倍率は3~5倍、熱固定温度は200℃~230℃の範囲であることが好ましい。
【0035】
本発明の積層延伸ポリアミドフィルムの延伸条件としては、縦方向および幅方向にそれぞれ2.8倍以上延伸することが好ましく、幅方向は3.2倍以上が更に好ましい。また、熱固定温度は高い方がより高い耐水ラミネート強度が得られる傾向があるので好ましい。熱固定温度が200℃より低い場合、十分な耐水ラミネート強度と熱寸法安定性が得られない場合がある。
【0036】
シーラントとの接着強度を更に上げたい場合には、ポリアミド共重合体を含む層とシーラント層との間にコーティング層を設けても構わない。この場合、耐水ラミネート強度を高めるには、コーティング剤は耐水性であることが好ましい。また、シーラントとの接着強度を上げたい場合、コロナ処理や火炎処理等を施してもよい。
【0037】
本発明の積層延伸ポリアミドフィルムの易接着層(B層)及び/又は基材層(A層)には、耐水ラミネート強度などの特性を阻害しない範囲内で、滑剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐光剤、耐衝撃改良剤等の各種添加剤を含有させることができる。
特に表面エネルギーを下げる効果を発揮するエチレンビスステアリン酸アミド(EBS)等の有機滑剤を添加させると、フィルムの滑りが良くなるので好ましい。また、シリカ微粒子などの無機微粒子をブロッキング防止剤として添加させることが好ましい。
【0038】
本発明の積層延伸ポリアミドフィルムは、ヘイズ値が5.0%以下であることが好ましく、より好ましくは4.0%であり、更に好ましくは2.5%以下である。ヘイズ値が5.0%を上回ると透明性が悪くなり、透明性を生かした意匠性の高いデザインの包装材料としては好ましくない。
【実施例
【0039】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、実施例に限定されるものではない。
なお、フィルムの評価は次の測定法に基づいて行った。特に記載しない場合は、測定は23℃、相対湿度65%の環境の測定室で行った。
【0040】
(1)フィルムの厚み
フィルムの幅方向(TD)に10等分して(幅が狭いフィルムについては厚みを測定できる幅が確保できる幅になるよう当分する)、縦方向に100mmのフィルムを10枚重ねで切り出し、温度23℃、相対湿度65%の環境下で2時間以上コンディショニングする。
テスター産業製厚み測定器で、それぞれのサンプルの中央の厚み測定し、その平均値を厚みとした。
基材層(A層)と易接着層(B層)の厚みは、上記方法で測定した積層延伸ポリアミドフィルムの合計の厚みを基材層(A層)の吐出量と易接着層(B層)の吐出量を測定し、吐出量の比をもとに基材層(A層)と易接着層(B層)の厚みを算出した。
【0041】
(2)フィルムの熱収縮率
幅20mm×長さ250mmの寸法のフィルム各5個を縦方向(MD)及び幅方向(TD)から切り出し、試験片とした。各試験片には,試験片の中央部を中心にして間隔200mm±2mmの標線を付けた。加熱前の試験片の標線の間隔を0.1mmの精度で測定した。試験片を熱風乾燥機(エスペック社製、PHH-202)内に無荷重の状態で吊り下げ、160℃、10分の加熱条件で熱処理を施した。試験片を恒温槽から取り出して室温まで冷却した後,初めに測定したときと同じ部分について長さ及び幅を測定した。各試験片の寸法変化率は,縦方向及び横方向について寸法変化の初期値に対する百分率として計算した。各方向の寸法変化率は,その方向での測定値の平均とした。
【0042】
(3)フィルムの衝撃強度
東洋精機製作所株式会社製のフィルムインパクトテスターを使用し、温度23℃、相対湿度65%の環境下で10回測定し、その平均値で評価した。衝撃球面は、直径1/2インチのものを用いた。単位は15μm当たりの強度のJ/15μmを用いた。
【0043】
(4)フィルムの耐ピンホール性
テスター産業株式会社製の恒温槽付ゲルボフレックステスターBE1006を使用し、下記の方法によりピンホール数を測定した。
フィルムにポリエステル系接着剤〔東洋モートン株式会社製のTM-569(製品名)およびCAT-10L(製品名)を質量比で7.2/1に混合したもの(固形分濃度23%)〕を乾燥後の樹脂固形分が3.2g/mとなるように塗布した後、線状低密度ポリエチレンフィルム(L-LDPEフィルム:東洋紡株式会社製、リックス(登録商標)L4102)40μmをドライラミネートし、40℃の環境下で2日間エージングを行い、ラミネートフィルムを得た。
【0044】
得られたドライラミネートフィルムを28.0cm(11インチ)×24.0cm(9.4インチ)の大きさに切断し、切断後のフィルムを、温度23℃の相対湿度50%の条件下に、6時間以上放置してコンディショニングした。しかる後、その長方形テストフィルムを巻架して直径8.9.cm(3.5インチ)の円筒状にする。そして、その円筒状フィルムの一端を、ゲルボフレックステスターの円盤状固定ヘッドの外周に固定し、円筒状フィルムの他端を、固定ヘッドと19.4cm(7.6インチ)隔てて対向したテスターの円盤状可動ヘッドの外周に固定した。そして、可動ヘッドを固定ヘッドの方向に、平行に対向した両ヘッドの軸に沿って7.6cm(3.5インチ)接近させる間に440゜回転させ、続いて回転させることなく6.4cm(2.5インチ)直進させた後、それらの動作を逆向きに実行させて可動ヘッドを最初の位置に戻すという1サイクルの屈曲テストを、1分間あたり40サイクルの速度で、連続して1000サイクル繰り返した。実施は1℃で行った。しかる後に、テストしたフィルムの固定ヘッドおよび可動ヘッドの外周に固定した部分を除く19.4cm(7.6インチ)×25.5cm(11インチ)内の部分に生じたピンホール数を計測した(すなわち、495cm2(77平方インチ)当たりのピンホール数を計測した)。
【0045】
(5)耐水ラミネート強度(水付着条件下でのラミネート強度)
耐ピンホール性評価の説明に記載した方法と同様にして作製したラミネートフィルムを幅15mm×長さ200mmの短冊状に切断し、ラミネートフィルムの一端を二軸延伸ポリアミドフィルムと線状低密度ポリエチレンフィルムとの界面で剥離し、(株式会社島津製作所製、オートグラフ)を用い、温度23℃、相対湿度50%、引張り速度200mm/分、剥離角度90°の条件下で、上記短冊状ラミネートフィルムの剥離界面に水をスポイトで垂らしながらラミネート強度を3回測定し、その平均値で評価した。
【0046】
(6)原料ポリアミドの相対粘度
0.25gのポリアミドを25mlのメスフラスコ中で1.0g/dlの濃度になるように96%硫酸で溶解したポリアミド溶液を20℃にて相対粘度を測定した。
(7)原料ポリアミドの融点
JIS K7121に準じてセイコーインスルメンツ社製、SSC5200型示差走査熱量測定器を用いて、窒素雰囲気中で、試料重量:10mg、昇温開始温度:30℃、昇温速度:20℃/分で測定し、吸熱ピーク温度(Tmp)を融点として求めた。
【0047】
(実施例1-1)
押出機2台と380mm巾の共押出Tダイよりなる装置を使用し、A層/B層の構成で積層してTダイから溶融樹脂をシート状に押出し、20℃に温調した冷却ロールに密着させて厚み200μmの積層未延伸シートを得た。
A層とB層の樹脂組成物は以下のとおりである。
A層を構成する樹脂組成物:ナイロン6(東洋紡株式会社製、相対粘度2.8、融点220℃)97質量部、及びナイロン12がハードセグメントでポリテトラメチレングリコールがソフトセグメントとするポリアミド系エラストマー(アルケマ社製、PEBAX4033SA02)3.0質量部、シリカ微粒子0.54質量部及び脂肪酸アマイド0.15質量部からなるポリアミド樹脂組成物。
B層を構成する樹脂組成物:ポリアミド6(相対粘度2.8、融点220℃)9質量部とポリアミド6/66共重合体(ポリアミド66の比率が7質量%、相対粘度2.8、融点198℃)91質量部、シリカ微粒子0.54質量部及び脂肪酸アマイド0.15質量部からなる樹脂組成物。
なお、使用した原料は、水分率が0.1質量%になるように乾燥してから使用した。
【0048】
得られた積層未延伸シートを、ロール式延伸機に導き、ロールの周速差を利用して、80℃で縦方向に1.7倍延伸した後、70℃でさらに1.85倍延伸した。引き続き、この一軸延伸フィルムを連続的にテンター式延伸機に導き、110℃で予熱した後、幅方向(MD)に120℃で1.2倍、130℃で1.7倍、160℃で2.0倍延伸して、210℃で熱固定処理した後、210℃で3%および185℃で2%の緩和処理を行い、ついで易接着(B層)の表面をコロナ放電処理してA層/B層の順に積層された2種3層の積層二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
なお、積層延伸ポリアミドフィルムの厚みは、合計厚みが15μm、基材層(A層)の厚みが12μm、易接着層(B層)の厚みがそれぞれ1.5μmずつになるように、フィードブロックの構成と押出し機の吐出量を調整した。
【0049】
(実施例1-2)
基材層(A層)としてポリアミド6とポリアミド系エラストマー及びポリアミド6/66共重合体を質量比で90/5/5の割合で配合して溶融押出しし、易接着層(B層)としてポリアミド6とポリアミド6/66共重体を15/85質量比の割合となるように溶融押出しした。それ以外は実施例1-1と同じように積層二軸延伸ポリアミドフィルムを作製した。
【0050】
(実施例1-3)
易接着層(B層)としてポリアミド6とポリアミド6/66共重合体を30/70質量比で溶融押出ししたこと以外は実施例1-2と同じように積層二軸延伸ポリアミドフィルムを作製した。
【0051】
(実施例1-4)
易接着層(B層)としてポリアミド6とポリアミド6/66共重合体を40/60質量比で溶融押出ししたこと以外は実施例1-2と同じように積層二軸延伸ポリアミドフィルムを作製した。
【0052】
(実施例1-5)
ポリアミド6/66共重合体(ポリアミド66の比率が7質量%、相対粘度2.8、融点198℃)の代わりにポリアミド66の共重合比を大きくしたポリアミド6/66共重合体(ポリアミド66の比率が25質量%、相対粘度2.7、融点187℃)を質量比で15/85の割合で配合した以外は実施例1-2と同じように積層二軸延伸ポリアミドフィルムを作製した。
【0053】
(比較例1-1)
基材層(A層)としてポリアミド6を100質量%で溶融押出しした以外は実施例1-2と同じように積層二軸延伸ポリアミドフィルムを作製した。
【0054】
(比較例1-2)
易接着層(B層)としてポリアミド6とポリアミド6/66共重合体の質量比で50/50の割合で配合したものを溶融押出しした以外は、実施例1-2と同じように積層二軸延伸ポリアミドフィルムを作製した。
【0055】
実施例1-1~実施例1-5および比較例1-1、比較例1-2において作製した二軸延伸ポリアミドフィルムの耐水ラミネート強度及びその他の物性を表1に示した。
【0056】
【表1】
【0057】
表1の結果から明らかなように、易接着層(B層)に6/66共重合体を60質量%以上含む実施例1-1~実施例1-5の場合に、十分な耐水ラミネート強度が得られることがわかる。
一方、比較例1-1は、ポリアミドエラストマーが入っていないため耐ピンホール性が悪く、比較例1-2は、易接着層のポリアミド6/66共重合体の含有量が少ないため、十分な耐水ラミネート強度が得られない。
【0058】
(実施例2-1)
ポリアミド6/66共重合体(ポリアミド66の比率が7質量%、相対粘度2.8、融点198℃)の代わりにポリアミド6/12共重合体(宇部興産株式会社製7024B:相対粘度2.6、融点201℃)を質量比で9/91の割合で配合した以外は実施例1-1と同じように積層二軸延伸ポリアミドフィルムを作製した。
【0059】
(実施例2-2)
基材層(A層)としてポリアミド6とポリアミド系エラストマー及びポリアミド6/12共重合体を質量比で90/5/5の割合で配合して溶融押出しし、易接着層(B層)としてポリアミド6とポリアミド6/ポリアミド12共重体を15/85質量比の割合となるように溶融押出しした。それ以外は実施例2-1と同じように積層二軸延伸ポリアミドフィルムを作製した。
【0060】
(実施例2-3)
易接着層(B層)としてポリアミド6とポリアミド6/12共重合体を30/70質量比で溶融押出ししたこと以外は実施例2-2と同じように積層二軸延伸ポリアミドフィルムを作製した。
【0061】
(実施例2-4)
易接着層(B層)としてポリアミド6とポリアミド6/12共重合体を40/60質量比で溶融押出ししたこと以外は実施例2-2と同じように積層二軸延伸ポリアミドフィルムを作製した。
【0062】
(比較例2-1)
基材層(A層)としてポリアミド6を100質量%で溶融押出しした以外は実施例2-2と同じように積層二軸延伸ポリアミドフィルムを作製した。
【0063】
(比較例2-2)
易接着層(B層)としてポリアミド6とポリアミド6/12共重合体の質量比で50/50の割合で配合したものを溶融押出しした以外は、実施例2と同じように積層二軸延伸ポリアミドフィルムを作製した。
【0064】
実施例2-1~実施例2-4および比較例2-1、比較例2-2において作製した二軸延伸ポリアミドフィルムの耐水ラミネート強度及びその他の物性を表2に示した。
【0065】
【表2】
【0066】
表2の結果から明らかなように、易接着層(B層)にポリアミド6/12共重合体を60%以上含む実施例2-1~実施例2-4の場合に、十分な耐水ラミネート強度が得られることがわかる。
一方、比較例2-1はポリアミドエラストマーが入っていないため耐ピンホール性が悪く、比較例2-2は、易接着層(B層)のポリアミド6/12共重合体の含有量が少ないため、十分な耐水ラミネート強度が得られない。
【0067】
以上、本発明の積層延伸ポリアミドフィルムについて、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、各実施例に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の積層延伸ポリアミドフィルムは、耐熱性、耐衝撃性、耐ピンホール性に優れ、かつ耐水接着性(耐水ラミネート強度)にも優れている。このため、液体包装等の包装材料の用途に好適に用いることができる。
本発明の積層延伸ポリアミドフィルムは、特に、漬物袋、業務用途の大型の水物用の袋などに好適に用いることができる。