(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】音出力システム、音出力方法、送信装置、及び音出力装置
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20230801BHJP
【FI】
H04R3/00 310
(21)【出願番号】P 2020004368
(22)【出願日】2020-01-15
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】依田 拓人
【審査官】渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-512433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/00-15/12
H04B 7/24- 7/26
H04R 3/00- 3/14
H04R 5/00- 5/04
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音を出力する音出力装置と、前記音出力装置に通信可能に接続され、前記音出力装置に音データを送信する送信装置と、を備える音出力システムであって、
前記音出力装置が前記送信装置と通信可能に接続されているときに、前記音出力装置の接続を、前記送信装置との接続から前記送信装置以外の通信装置との接続に切り替える場合、
前記音出力装置は、
前記音出力装置との接続の切断を送信先に要求する切断要求信号、又は、前記送信装置との接続から前記通信装置との接続に切り替えることを示す切替信号を、前記送信装置に送信すると共に、
前記切断要求信号又は前記切替信号の送信により所定時間、前記送信装置との接続が切断されている間に、前記通信装置との接続を送信先に要求する接続要求信号を前記通信装置から受信した場合に、前記通信装置との接続を試みる出力側接続制御部を備え、
前記送信装置は、
前記切断要求信号又は前記切替信号を受信したときに、前記音出力装置との接続を切断し、所定時間の間、その切断状態を維持する送信側接続制御部を備える、音出力システム。
【請求項2】
前記送信側接続制御部は、前記所定時間の間、前記切断状態を維持した後に、前記送信装置との接続を送信先に要求する接続要求信号を、前記音出力装置に送信する、請求項1に記載の音出力システム。
【請求項3】
前記送信側接続制御部は、前記送信装置との接続を送信先に要求する接続要求信号の前記音出力装置への送信を前記所定時間の間中止することにより、前記切断状態を維持する、請求項1又は2に記載の音出力システム。
【請求項4】
前記音出力装置は、前記音出力装置と送信先との接続を切断する入力操作、又は前記送信装置との接続から前記通信装置との接続に切り替える入力操作を受け付ける操作部を備え、
前記出力側接続制御部は、前記操作部が前記入力操作を受け付けたときに、前記切断要求信号又は前記切替信号を前記送信装置に送信する、請求項1から3の何れか1項に記載の音出力システム。
【請求項5】
前記送信側接続制御部は、前記所定時間の経過後、前記音出力装置との再接続を試みた結果、前記再接続に失敗した場合、再接続を試みた音出力装置とは異なる他の音出力装置との接続を試みる、請求項1から4の何れか1項に記載の音出力システム。
【請求項6】
前記音出力装置は、
電源と、
前記所定時間、前記送信装置との接続が切断されている間に、前記出力側接続制御部が前記通信装置との接続を確立できなかった場合、前記電源をオフにする電源制御部と、を備える、請求項1から5の何れか1項に記載の音出力システム。
【請求項7】
音を出力する音出力装置と、前記音出力装置に通信可能に接続され、前記音出力装置に音データを送信する送信装置と、を備える音出力システムにおける音出力方法であって、
前記音出力装置が前記送信装置と通信可能に接続されているときに、前記音出力装置の接続を、前記送信装置との接続から前記送信装置以外の通信装置との接続に切り替える場合、
前記音出力装置が、前記音出力装置との接続の切断を送信先に要求する切断要求信号、又は、前記送信装置との接続から前記通信装置との接続に切り替えることを示す切替信号を、前記送信装置に送信する送信工程と、
前記送信装置が、前記切断要求信号又は前記切替信号を受信したときに、前記音出力装置との接続を切断し、所定時間の間、その切断状態を維持する切断状態維持工程と、
前記音出力装置が、前記送信工程における前記切断要求信号又は前記切替信号の送信により所定時間、前記送信装置との接続が切断されている間に、前記通信装置との接続を送信先に要求する接続要求信号を前記通信装置から受信した場合に、前記通信装置との接続を試みる接続工程と、を含む、音出力方法。
【請求項8】
音を出力する音出力装置に通信可能に接続され、前記音出力装置に音データを送信する送信装置であって、
前記音出力装置が前記送信装置と通信可能に接続されているときに、前記音出力装置の接続を、前記送信装置との接続から前記送信装置以外の通信装置との接続に切り替える場合、
前記音出力装置との接続の切断を送信先に要求する切断要求信号、又は、前記送信装置との接続から前記通信装置との接続に切り替えることを示す切替信号を前記音出力装置から受信したときに、前記音出力装置との接続を切断し、所定時間の間、その切断状態を維持する送信側接続制御部を備える、送信装置。
【請求項9】
前記送信側接続制御部は、前記所定時間の間、前記切断状態を維持した後に、前記送信装置との接続を送信先に要求する接続要求信号を、前記音出力装置に送信する、請求項8に記載の送信装置。
【請求項10】
前記送信側接続制御部は、前記送信装置との接続を送信先に要求する接続要求信号の前記音出力装置への送信を前記所定時間の間中止することにより、前記切断状態を維持する、請求項8又は9に記載の送信装置。
【請求項11】
音を出力する音出力装置であって、
前記音出力装置が、前記音出力装置に音データを送信する送信装置と通信可能に接続されているときに、前記音出力装置の接続を、前記送信装置との接続から前記送信装置以外の通信装置との接続に切り替える場合、
前記音出力装置との接続の切断を送信先に要求する切断要求信号、又は、前記送信装置との接続から前記通信装置との接続に切り替えることを示す切替信号を、前記送信装置に送信すると共に、
前記切断要求信号又は前記切替信号の送信により所定時間、前記送信装置との接続が切断されている間に、前記通信装置との接続を送信先に要求する接続要求信号を前記通信装置から受信した場合に、前記通信装置との接続を試みる出力側接続制御部を備える、音出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音出力システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ヘッドフォンとの無線接続が切断された場合、機器IDに基づいてヘッドフォンに対して無線接続処理を行うオーディオプレーヤが開示されている。特許文献1のオーディオプレーヤは、所定の回数または時間を上限として、ヘッドフォンとの再接続が成功するまで再接続処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のオーディオプレーヤは、ヘッドフォンとの無線接続が切断された場合当該ヘッドフォンとの再接続を試みるため、他のヘッドフォンと無線接続することができない。また、特許文献1のオーディオプレーヤにおいて、所定の回数または時間内に上記ヘッドフォンとの再接続に失敗した場合に、他のヘッドフォンと無線接続されることは想定されていない。
【0005】
本発明の一態様は、音出力装置を、送信装置以外の通信装置と簡易に接続することが可能な音出力システム等を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る音出力システムは、音を出力する音出力装置と、前記音出力装置に通信可能に接続され、前記音出力装置に音データを送信する送信装置と、を備える音出力システムであって、前記音出力装置が前記送信装置と通信可能に接続されているときに、前記音出力装置の接続を、前記送信装置との接続から前記送信装置以外の通信装置との接続に切り替える場合、前記音出力装置は、前記音出力装置との接続の切断を送信先に要求する切断要求信号、又は、前記送信装置との接続から前記通信装置との接続に切り替えることを示す切替信号を、前記送信装置に送信すると共に、前記切断要求信号又は前記切替信号の送信により所定時間、前記送信装置との接続が切断されている間に、前記通信装置との接続を送信先に要求する接続要求信号を前記通信装置から受信した場合に、前記通信装置との接続を試みる出力側接続制御部を備え、前記送信装置は、前記切断要求信号又は前記切替信号を受信したときに、前記音出力装置との接続を切断し、所定時間の間、その切断状態を維持する送信側接続制御部を備える。
【0007】
また、本発明の一態様に係る音出力方法は、音を出力する音出力装置と、前記音出力装置に通信可能に接続され、前記音出力装置に音データを送信する送信装置と、を備える音出力システムにおける音出力方法であって、前記音出力装置が前記送信装置と通信可能に接続されているときに、前記音出力装置の接続を、前記送信装置との接続から前記送信装置以外の通信装置との接続に切り替える場合、前記音出力装置が、前記音出力装置との接続の切断を送信先に要求する切断要求信号、又は、前記送信装置との接続から前記通信装置との接続に切り替えることを示す切替信号を、前記送信装置に送信する送信工程と、前記送信装置が、前記切断要求信号又は前記切替信号を受信したときに、前記音出力装置との接続を切断し、所定時間の間、その切断状態を維持する切断状態維持工程と、前記音出力装置が、前記送信工程における前記切断要求信号又は前記切替信号の送信により所定時間、前記送信装置との接続が切断されている間に、前記通信装置との接続を送信先に要求する接続要求信号を前記通信装置から受信した場合に、前記通信装置との接続を試みる接続工程と、を含む。
【0008】
また、本発明の一態様に係る送信装置は、音を出力する音出力装置に通信可能に接続され、前記音出力装置に音データを送信する送信装置であって、前記音出力装置が前記送信装置と通信可能に接続されているときに、前記音出力装置の接続を、前記送信装置との接続から前記送信装置以外の通信装置との接続に切り替える場合、前記音出力装置との接続の切断を送信先に要求する切断要求信号、又は、前記送信装置との接続から前記通信装置との接続に切り替えることを示す切替信号を前記音出力装置から受信したときに、前記音出力装置との接続を切断し、所定時間の間、その切断状態を維持する送信側接続制御部を備える。
【0009】
また、本発明の一態様に係る音出力装置は、音を出力する音出力装置であって、前記音出力装置が、前記音出力装置に音データを送信する送信装置と通信可能に接続されているときに、前記音出力装置の接続を、前記送信装置との接続から前記送信装置以外の通信装置との接続に切り替える場合、前記音出力装置との接続の切断を送信先に要求する切断要求信号、又は、前記送信装置との接続から前記通信装置との接続に切り替えることを示す切替信号を、前記送信装置に送信すると共に、前記切断要求信号又は前記切替信号の送信により所定時間、前記送信装置との接続が切断されている間に、前記通信装置との接続を送信先に要求する接続要求信号を前記通信装置から受信した場合に、前記通信装置との接続を試みる出力側接続制御部を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、音出力装置を通信装置と簡易に接続できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1に係る音出力システムの一例を示すブロック図である。
【
図2】送信装置及び音出力装置の一例を示す斜視図である。
【
図3】実施形態1に係る音出力システムにおける処理の流れの一例を示すタイミングチャートである。
【
図4】実施形態1に係る音出力システムにおける処理の流れの一例を示すタイミングチャートである。
【
図5】実施形態2に係る音出力システムの一例を示すブロック図である。
【
図6】実施形態3に係る音出力システムにおける処理の流れの一例を示すタイミングチャートである。
【
図7】実施形態4に係る音出力システムにおける処理の流れの一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0013】
<音出力システムの概要>
図1は、音出力システム1の一例を示すブロック図である。音出力システム1は、表示装置2から出力される音を、送信装置3を介して音出力装置4から出力するシステムである。
図1に示すように、音出力システム1は、表示装置2、送信装置3、音出力装置4、及び通信装置5を備える。但し、音出力システム1は、その基本構成として、表示装置2と通信可能に接続される送信装置3と、送信装置3又は通信装置5と通信可能に接続される音出力装置4と、を備えていればよい。
【0014】
表示装置2は、音データを含むコンテンツ等を表示する装置である。表示装置2は、据置型の装置であって、例えばテレビ又はPC(Personal Computer)である。表示装置2は、音データを含むコンテンツ等を報知する報知装置であればよい。
【0015】
送信装置3は、表示装置2及び音出力装置4と通信可能に接続され、表示装置2から送信される音データを、音出力装置4に送信する装置である。例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブルを、表示装置2及び送信装置3のそれぞれが備えるUSB端子に接続することにより、送信装置3は表示装置2と有線接続される。これにより、USBケーブルを介して送信装置3の各部に電力が供給される。そのため、送信装置3は電源ボタンを備えていなくてよい。また、送信装置3は、例えば光デジタルケーブルを介して表示装置2と有線接続されることにより、表示装置2からの音データを受信する。
【0016】
音出力装置4は、音を出力する装置である。音出力装置4は、例えば、送信装置3と通信可能に接続され、送信装置3から受信した音データを音として出力する。音出力装置4は、例えば、送信装置3と無線接続されるウェアラブル機器である。音出力装置4は、例えばBluetooth(登録商標)規格により、送信装置3と無線接続される。
【0017】
図2は、送信装置3及び音出力装置4の一例を示す斜視図である。本実施形態の送信装置3は例えば携帯型の装置であり、例えば
図2に示すような形状を有する。また、
図2に示すように、本実施形態の音出力装置4は、ユーザの首に装着されるウェアラブル機器であり、ユーザの首に装着可能な形状の筐体48を備える。
図2の例では、筐体48は、平面視したときに、中心線CLを軸として略線対称、かつ略C字型形状を有する。
【0018】
音出力装置4は、
図2に示すように、スピーカ45及び操作部46を備える。スピーカ45及び操作部46は、筐体48に設けられている。スピーカ45は、音を出力する音出力部である。
図2の例では、スピーカ45は、音出力装置4をユーザの首に装着したときにユーザの耳近傍となる、筐体48における2箇所(中心線CLを介して略線対称な位置)に設けられている。
【0019】
操作部46は、ユーザの各種入力操作を受け付ける部分であり、例えば操作ボタンである。操作部46は、例えば、電源44による音出力装置4の各部への電力供給を開始又は停止する(電源44をオン又はオフにする)ための電源ボタン461、及び、無線接続のためのペアリングを実行するための無線接続実行ボタン462を備える。また、操作部46は、例えば、音の再生又は停止を実行するための再生/停止ボタン463、及び、音量を調節する音量調節ボタン464を備える。
【0020】
また、操作部46は、音出力装置4と送信装置3との接続を切断する入力操作、又は音出力装置4と通信装置5との接続を切断する入力操作を受け付ける切断操作部を備える。切断操作部は、例えば、電源ボタン461、無線接続実行ボタン462、再生/停止ボタン463、及び音量調節ボタン464の少なくとも2つを同時に押下することによりその機能が実行されてもよい。又は、切断操作部は、これらの操作ボタンとは異なる単独の操作ボタンとして実現されてもよい。
【0021】
音出力装置4が切断操作部を備えることにより、ユーザは、ユーザの首に装着している(つまり手元にある)音出力装置4に対して操作を行うだけで、接続の切断又は接続を行うことができる。
【0022】
通信装置5は、各種装置と通信可能に接続される装置であり、かつ、音データを含むコンテンツを報知する装置である。本実施形態では、通信装置5は、音出力装置4と通信可能に接続される、送信装置3以外の装置である。通信装置5は、例えば携帯型の情報端末であり、例えばスマートフォン、タブレットである。音出力装置4は通信装置5と通信可能に接続された場合、通信装置5から受信した音データを音として出力する。音出力装置4は、例えばBluetooth(登録商標)規格により、通信装置5と無線接続される。
【0023】
なお、送信装置3は、送信装置3と接続された装置の接続履歴を記憶している。送信装置3は、他の装置との接続を試みる場合、接続履歴を参照して、最後に接続していた装置を接続先として特定する。音出力装置4及び通信装置5も同様である。
【0024】
<送信装置の処理>
送信装置3は、送受信部31、制御部32、及び記憶部33を備える。送受信部31は、音出力装置4に、表示装置2から受信した音データを音出力装置4に送信する。また、送受信部31は、音出力装置4との間において各種信号の送受信を行う。記憶部33は、制御部32で使用するプログラム及びデータを記憶する。
【0025】
制御部32は、送信装置3の各部を統括的に制御する。制御部32は、送信側接続制御部321及び計時部322を備える。
【0026】
送信側接続制御部321は、送信装置3を音出力装置4と通信可能に接続する、又はその接続を切断する。送信側接続制御部321は、例えば以下の処理を行う。なお、送信側接続制御部321は、音出力装置4との接続及びその切断処理として、使用する通信規格(例:Bluetooth(登録商標)規格)において規定された処理を行う。
【0027】
送信側接続制御部321は、音出力装置4が送信装置3と通信可能に接続されているときに、音出力装置4から、音出力装置4との接続の切断を送信先に要求する切断要求信号を受信したときに、音出力装置4との接続を切断する。
【0028】
送信側接続制御部321は、音出力装置4が送信装置3と通信可能に接続されていないときに、音出力装置4から、音出力装置4との接続を送信先に要求する接続要求信号を受信したときに、音出力装置4との接続を試みる。送信側接続制御部321は、音出力装置4との接続を確立できる場合には、接続要求信号に対する応答として、送信装置3と送信先との接続を許可する接続許可信号を音出力装置4に送信する。送信側接続制御部321は、上記接続を確立できない場合には、上記応答として、送信装置3と送信先との接続を拒否する接続拒否信号を音出力装置4に送信する。
【0029】
送信側接続制御部321は、音出力装置4が送信装置3と通信可能に接続されていないときに、送信装置3との接続を送信先に要求する接続要求信号を送信しても構わない。送信側接続制御部321は、接続要求信号に対する応答として、音出力装置4と送信先との接続を許可する接続許可信号を音出力装置4から受信した場合には、音出力装置4との接続処理を行う。送信側接続制御部321は、上記応答として、音出力装置4と送信先との接続を拒否する接続拒否信号を音出力装置4から受信した場合には、音出力装置4との接続処理を行わない。
【0030】
音出力装置4が送信装置3と通信可能に接続されているときに、音出力装置4の接続を、送信装置3との接続から通信装置5との接続に切り替える場合について考える。この場合、送信側接続制御部321は、送受信部31が音出力装置4から切断要求信号から受信したときに、音出力装置4との接続を切断し、所定時間の間、その切断状態を維持する。具体的には、送信側接続制御部321は、接続要求信号の音出力装置4への送信を所定時間の間中止することにより、上記切断状態を維持する。そして、送信側接続制御部321は、所定時間の間、上記切断状態を維持した後に(つまり、所定時間の経過後)、接続要求信号を音出力装置4に送信する。送信側接続制御部321は、規定された時間間隔で接続要求信号を発信する発信制御部と、音出力装置4から切断要求信号を受信したときに、発信制御部に接続要求信号の発信を所定時間中止させる発信中止制御部と、を備えるとも換言できる。
【0031】
例えば、送信側接続制御部321は、送信装置3と音出力装置4とが通信可能に接続されていない場合(接続が確立していない場合)に、規定された時間間隔(例:1分間隔)で定期的に、接続要求信号を音出力装置4に送信している。本実施形態では、送信側接続制御部321は、送信装置3と音出力装置4とが通信可能に接続しているとき音出力装置4から切断要求信号を受信した場合、例えば音出力装置4にその応答を行ってから所定時間の間、接続要求信号の音出力装置4への送信を中止する。
【0032】
所定時間は、例えば、通信装置5における、音出力装置4との接続設定のための、想定されるユーザ操作時間である。所定時間としては、通信装置5を音出力装置4と通信可能に接続するときに、その接続設定のための通信装置5に対する入力操作を行うのに十分な時間であって、かつ、通信装置5と音出力装置4とが通信可能に接続されるのに十分な時間が設定される。このように所定時間を設定することにより、音出力装置4を通信装置5と接続する時間を十分に確保できる。
【0033】
但し、所定時間は、上記入力操作に要する時間、及び通信装置5と音出力装置4との接続に要する時間として想定される時間を大幅に超えない範囲で設定される。つまり、所定時間は有限な時間である。これにより、送信側接続制御部321は、予め設定された有限な時間だけ、音出力装置4への接続要求信号の送信を中止し、当該時間経過後には、当該接続要求信号の送信を行うための入力操作を受付けることなく、当該接続要求信号の送信を開始できる。所定時間は、実験等により設定され、例えば1分に設定される。
【0034】
本実施形態では、通信装置5は、ユーザによる接続操作を受け付けた後、通信装置5との接続を送信先に要求する接続要求信号(通信装置5に関連する装置情報)を定期的に出力している。この場合、所定時間は、
通信装置5の定期的な接続要求信号の送信時間間隔<所定時間≦ユーザ操作時間
と規定されても構わない。所定時間を上記送信時間間隔よりも長く設定することにより、音出力装置4は送信装置3からの接続要求信号を受信する前に、通信装置5からの接続要求信号を受信できる。また、ユーザ操作時間を上限として所定時間を設定することにより、音出力装置4が通信装置5との接続を確立できなかった場合の送信装置3又は音出力装置4の次の処理までの待機時間を必要以上に長くすることを回避できる。但し、通信装置5は、ユーザによる接続操作を受け付けなくても、接続要求信号を定期的に出力してもよい。
【0035】
計時部322は、各種信号の送受信のタイミングに応じて計時を開始する。計時部322は、例えば、音出力装置4からの切断要求信号に対し、音出力装置4にその応答を行ったときから、所定時間(例:1分)を計時する。
【0036】
<音出力装置の処理>
音出力装置4は、上述したスピーカ45、及び操作部46の他、送受信部41、制御部42、記憶部43、及び電源44を備える。送受信部41は、送信装置3又は通信装置5から音データを受信する。また、送受信部41は、音出力装置4又は通信装置5との間において各種信号の送受信を行う。記憶部43は、制御部42で使用するプログラム及びデータを記憶する。電源44は、音出力装置4の各部へ電力供給を行う電力供給部である。
【0037】
制御部42は、音出力装置4の各部を統括的に制御する。制御部42は、出力側接続制御部421、電源制御部423、音出力制御部424、及び操作制御部425を備える。
【0038】
出力側接続制御部421は、音出力装置4を、送信装置3又は通信装置5と通信可能に接続する、又はその接続を切断する。出力側接続制御部421は、例えば以下の処理を行う。なお、出力側接続制御部421は、送信装置3又は通信装置5との接続及びその切断処理として、使用する通信規格(例:Bluetooth(登録商標)規格)において規定された処理を行う。通信装置5についても同様である。
【0039】
出力側接続制御部421は、音出力装置4が送信装置3と通信可能に接続されているときに、音出力装置4と送信装置3との接続を切断する入力操作を操作部46が受け付けたとき、切断要求信号を送信装置3に送信する。これにより、音出力装置4は、操作部46への入力操作を受け付けた場合に、送信装置3との接続を切断するための処理を実行できる。同様に、出力側接続制御部421は、音出力装置4が通信装置5と通信可能に接続されているときに、音出力装置4と通信装置5との接続を切断する入力操作を操作部46が受け付けたとき、切断要求信号を通信装置5に送信する。また、出力側接続制御部421は、通信装置5と送信先との切断を要求する切断要求信号を通信装置5から受信した場合には、通信装置5に対して、接続の切断を許可する切断許可信号を送信する。
【0040】
出力側接続制御部421は、音出力装置4が送信装置3と通信可能に接続されていないときに、送信装置3から接続要求信号を受信したときに、送信装置3との接続を試みる。出力側接続制御部421は、送信装置3との接続を確立できる場合には、接続要求信号に対する応答として、音出力装置4と送信先との接続を許可する接続許可信号を送信装置3に送信する。出力側接続制御部421は、上記接続を確立できない場合には、上記応答として、音出力装置4と送信先との接続を拒否する接続拒否信号を送信装置3に送信する。出力側接続制御部421は、通信装置5との接続を試みる場合も同様の処理を行う。
【0041】
出力側接続制御部421は、音出力装置4が送信装置3と通信可能に接続されていないときに、音出力装置4との接続を送信先に要求する接続要求信号を送信しても構わない。出力側接続制御部421は、接続要求信号に対する応答として、送信装置3と送信先との接続を許可する接続許可信号を送信装置3から受信した場合には、送信装置3との接続処理を行う。出力側接続制御部421は、上記応答として、送信装置3と送信先との接続を拒否する接続拒否信号を送信装置3から受信した場合には、送信装置3との接続処理を行わない。出力側接続制御部421は、通信装置5との接続を試みる場合も同様の処理を行ってよい。
【0042】
音出力装置4が送信装置3と通信可能に接続されているときに、音出力装置4の接続を、送信装置3との接続から通信装置5との接続に切り替える場合について考える。この場合、上述したように、出力側接続制御部421は、切断要求信号を送信装置3に送信する。その後、出力側接続制御部421は、切断要求信号の送信により所定時間、送信装置3との接続が切断されている間に、接続要求信号を通信装置5から受信した場合に、通信装置5との接続を試みる。出力側接続制御部421は、切断要求信号を送信装置3に送信する送信制御部と、上記の場合に通信装置5との接続を試みる接続制御部と、を備えるとも換言できる。
【0043】
電源制御部423は、電源44による音出力装置4の各部への電力供給を制御する。電源制御部423は、所定時間、音出力装置4と送信装置3との接続が切断されている間に、出力側接続制御部421が通信装置5との接続を確立できなかった場合、電源44をオフにしてもよい。この場合、音出力装置4の省電力化を図ることができる。本実施形態では、上記接続を確立できなかった場合であっても電源制御部423が電源44のオンを維持することにより、送信装置3と音出力装置4との再接続処理が実行される。
【0044】
音出力制御部424は、スピーカ45による音の出力を制御する。音出力制御部424は、送信装置3又は通信装置5から受信した音データを、スピーカ45から音として出力する。また例えば、音出力制御部424は、音出力装置4と通信装置5との接続可否に応じた報知を行う。音出力制御部424は、音出力装置4が通信装置5との接続を確立できたときには、通信装置5との接続が完了したことを示す音(例:音声)を出力する。音出力制御部424は、音出力装置4が通信装置5との接続を確立できなかったときには、接続エラーが発生したことを示す音(例:音声)を出力する。この場合、音出力制御部424は、例えば、警告音としてビープ音を報知する。又は、音出力制御部424は、通信装置5において音出力装置4との接続のための操作を行う旨のユーザに対する指示を示す音声(例:「接続したい通信装置5において接続操作を行ってください」といった音声)を出力する。なお、音出力制御部424は、通信装置5と同様、送信装置3との接続可否に応じて、音又は音声を出力しても構わない。
【0045】
操作制御部425は、操作部46において受け付けたユーザの入力操作に基づく通知を、音出力装置4の各部に対して行う。操作制御部425は、例えば、切断操作部の押下を出力側接続制御部421に通知する。換言すれば、操作制御部425は、音出力装置4と送信装置3又は通信装置5との接続を切断する入力操作を操作部46が受け付けたときに、出力側接続制御部421にその入力操作があったことを通知する。その他、操作制御部425は、例えば、無線接続実行ボタン462の押下を出力側接続制御部421に、電源ボタン461の押下を電源制御部423に、又は、再生/停止ボタン463若しくは音量調節ボタン464の押下を音出力制御部424に通知する。
【0046】
<音出力システムにおける処理>
次に、音出力システム1における処理の流れ(音出力方法)の一例について説明する。
図3及び
図4は、音出力システムにおける処理の流れの一例を示すタイミングチャートである。
図3は、音出力装置4を送信装置3と接続した後、その接続を切断し、音出力装置4を通信装置5と接続するまでの処理の一例を示す。
図4は、その後、音出力装置4と通信装置5との接続を切断し、音出力装置4を送信装置3と再接続するまでの処理の一例を示す。なお本処理では、音出力装置4は、送信装置3及び音出力装置4の何れかとのみ接続可能な仕様になっているものとして説明する。
【0047】
図3に示すように、まず、ユーザは、USBケーブルを、表示装置2及び送信装置3のUSB端子に差し込む(S1)。これにより、送信装置3の電源がオンとなる(S2)。また、ユーザは、音出力装置4の電源ボタン461を押下する(S3)。音出力装置4の電源制御部423は、この押下に伴い、待機電源により音出力装置4の電源44をオンにする(S4)。
【0048】
音出力装置4では、電源44がオンになった後、出力側接続制御部421は、送受信部41を介して、接続要求信号を送信装置3に送信する(S5)。送信装置3では、送信装置3の電源がオンになった後、送信側接続制御部321は、送受信部31を介して接続要求信号を受信する。送信側接続制御部321は、音出力装置4との接続を確立するために、接続要求信号に対する応答として、音出力装置4に接続許可信号を送信する(S6)。送信側接続制御部321が接続許可信号を送信することにより、また、出力側接続制御部421が接続許可信号を受信することにより、送信装置3と音出力装置4との接続が確立される(S7)。これにより、音出力装置4は、表示装置2から送信装置3を介して送信される音データを音として出力できる。上記接続が確立された後、音出力装置4の音出力制御部424は、送信装置3との接続が完了したことを示す音(例:音声)を報知しても構わない。
【0049】
送信装置3と音出力装置4とが通信可能に接続しているときに、音出力装置4の接続を、送信装置3との接続から通信装置5との接続に切り替える場合、ユーザは、音出力装置4の操作部46を介して、その接続を切断する入力操作(切断操作)を行う(S8)。音出力装置4では、操作部46が上記入力操作を受け付けると(S9)、出力側接続制御部421は、切断要求信号を送信装置3に送信する(S10;送信工程)。送信装置3では、送信側接続制御部321は、切断要求信号を受信したとき、その応答として切断許可信号を音出力装置4に送信する(S11)。これにより、送信装置3と音出力装置4との接続が切断される(S12)。
【0050】
送信装置3では、送信側接続制御部321は、S12において、音出力装置4との接続を切断し、所定時間の間(例:1分間)、その切断状態を維持する(切断状態維持工程)。具体的には、送信側接続制御部321は、1分間、音出力装置4への接続要求信号の送信を中止する。計時部322は、切断許可信号を送信したタイミングで1分間の計時を開始する。計時部322は、切断要求信号を受信したタイミングで当該計時を開始しても構わない。
【0051】
この1分間に、ユーザは、通信装置5を音出力装置4に通信可能に接続するための入力操作(接続操作)を、通信装置5に対して行う(S13)。ユーザは、上記入力操作として、無線通信機能をオンにするか、又は当該機能がオンの場合には、接続先として音出力装置4を選択する操作を行う。通信装置5は、上記入力操作を受け付けると(S14)、音出力装置4との接続を確立するために、接続要求信号を音出力装置4に送信する(S15)。音出力装置4では、出力側接続制御部421は接続要求信号を受信すると、通信装置5との接続を確立するために、接続要求信号に対する応答として接続許可信号を通信装置5に送信する(S16)。つまり、出力側接続制御部421は、送信装置3への切断要求信号の送信により1分間、音出力装置4と送信装置3との接続が切断されている間に、接続要求信号を通信装置5から受信した場合に、通信装置5との接続を試みる(接続工程)。
【0052】
上記接続許可信号の送信により通信装置5との接続を試みることにより、音出力装置4と通信装置5との接続が確立される(S17)。この場合、音出力装置4は、通信装置5から送信される音データを音として出力できる。上記接続が確立された後、音出力装置4の音出力制御部424は、通信装置5との接続が完了したことを示す音(例:音声)を出力しても構わない(S18)。
【0053】
計時部322が1分間の計時を完了すると、送信側接続制御部321は、音出力装置4への接続要求信号の送信を開始する(S19)。このとき、音出力装置4は、通信装置5と接続状態となっている。そのため、出力側接続制御部421は、受信した接続要求信号に対する応答として、接続拒否信号を送信装置3へ送信する(S20)。これにより、音出力装置4は、送信装置3とは接続されない。
【0054】
送信側接続制御部321は、音出力装置4への接続要求信号の送信を、規定された時間間隔(例:1分間隔)で定期的に行う。計時部322は、接続拒否信号を受信したときから(又は接続要求信号を送信したときから)1分間の計時を開始する。計時部322が1分間の計時を完了すると、送信側接続制御部321は、再度、接続要求信号を音出力装置4に送信する(S26)。
【0055】
上記規定された時間の間に、音出力装置4の接続を、通信装置5との接続から送信装置3との接続に切り替える場合、ユーザは、音出力装置4の操作部46を介して、その接続を切断する入力操作(切断操作)を行う(S21)。音出力装置4では、操作部46が上記入力操作を受け付けると(S22)、出力側接続制御部421は、切断要求信号を通信装置5に送信する(S23)。通信装置5は、切断要求信号を受信すると、その応答として切断許可信号を音出力装置4に送信する(S24)。これにより、通信装置5と音出力装置4との接続が切断される(S25)。通信装置5は、ユーザによる接続操作を受け付けない限り、音出力装置4への接続要求信号の送信を行わない。
【0056】
S26において、送信側接続制御部321が接続要求信号を音出力装置4に送信するとき、音出力装置4は通信装置5と非接続状態となっている。そのため、出力側接続制御部421は、受信した接続要求信号に対する応答として、接続許可信号を送信装置3に送信する(S27)。これにより、送信装置3と音出力装置4との接続が再度確立される(S28)。
【0057】
<その他の処理>
音出力装置4の接続を、送信装置3との接続から通信装置5との接続に切り替える場合には、上述した処理が行われる。一方、音出力装置4の接続を、通信装置5との接続から送信装置3との接続に切り替える場合には、例えば以下の処理が行われる。
【0058】
例えば、ユーザが通信装置5の無線接続機能を一時的にオフにする。この場合、通信装置5は、当該オフの入力操作を受け付けると、切断要求信号を音出力装置4に送信する。音出力装置4は、切断要求信号を受信すると、その応答として切断許可信号を通信装置5に送信すると共に、接続要求信号を受信可能な状態となる。送信装置3は、定期的に接続要求信号を発信しているため、音出力装置4は、送信装置3からの接続要求信号を受信でき、送信装置3との接続を確立できる。
【0059】
また、音出力装置4は、操作部46に対する入力操作を受け付けることにより、通信装置5との接続を切断しても構わない。但しこの場合、通信装置5は、音出力装置4との接続を切断した場合、音出力装置4との再接続を試みない仕様となっている。そのためこの場合も、音出力装置4は、送信装置3との接続を確立できる。
【0060】
<変形例>
音出力装置4の接続を、送信装置3との接続から通信装置5との接続に切り替える場合、出力側接続制御部421は、当該接続に切り替えることを示す切替信号を、切断要求信号に代えて送信装置3に送信しても構わない。また、音出力装置4の接続を、通信装置5との接続から送信装置3との接続に切り替える場合も同様、出力側接続制御部421は、当該接続に切り替えることを示す切替信号を、切断要求信号に代えて通信装置5に送信しても構わない。また、音出力装置4の操作部46が受け付ける切断操作は、音出力装置4の接続を、送信装置3との接続から通信装置5との接続に切り替える切替操作、又は、通信装置5との接続から送信装置3との接続に切り替える切替操作であっても構わない。つまり、操作部46は、切断操作部に代えて、音出力装置4の接続を、送信装置3との接続から通信装置5との接続、又は、通信装置5との接続から送信装置3との接続に切り替える入力操作を受け付ける切替操作部を備えていてもよい。
【0061】
また本実施形態では、音出力装置4の接続対象が、1台の送信装置3及び1台の通信装置5であって、音出力装置4がその何れか一方にのみ接続可能な仕様となっている場合を例に挙げて説明した。つまり、下記の上限数が1台に設定されている場合を例に挙げて説明した。しかし、音出力装置4は、複数の送信装置3及び/又は複数の通信装置5と同時に接続される仕様であっても構わない。
【0062】
但しこの場合、音出力装置4には、音出力装置4と接続可能な装置の上限数が設定されている。従って、上限数を超えて、音出力装置4を送信装置3及び/又は通信装置5と接続する場合には、既に接続されている送信装置3及び/又は通信装置5の何れかとの接続を切断する必要がある。音出力装置4が送信装置3との接続を切断して通信装置5との接続を試みる場合、及び、音出力装置4が通信装置5との接続を切断して送信装置3との接続を試みる場合には、それぞれ上述した処理が行われる。
【0063】
またこの場合、音出力装置4は、音出力装置4とどの装置が接続され、どの装置との接続を切断したのかを特定している。その特定を実現するために、音出力装置4は、通信接続中の装置からその装置名を示す情報を取得する。これにより、音出力装置4は、通信接続中の装置との接続が切断されるときに、当該装置(切断対象となる装置)を特定できる。また、音出力装置4は、新たに通信接続する装置(切替先となる装置)を特定できる。さらに、音出力装置4は、音データの送信元の装置からは、音データに係るコンテンツの種類を示す情報(曲名、番組名又は書籍名等を示す情報)を取得する。これにより、音出力装置4は、切断対象となる装置からの音データに係るコンテンツの種類、及び、切替先となる装置からの音データに係るコンテンツの種類をそれぞれ特定できる。音出力装置4は、特定した切断対象及び/又は切替先となる装置の名称を、音声として出力しても構わない。また、音出力装置4は、切断対象及び/又は切替先となる装置からの音データに係るコンテンツの種類を、音声として出力しても構わない。
【0064】
〔主たる効果〕
以上のように、音出力システム1では、音出力装置4の接続を、送信装置3との接続から通信装置5との接続に切り替える場合、以下の処理が実行される。音出力装置4の出力側接続制御部421は、切断要求信号又は切替信号を送信すると共に、その送信により所定時間、送信装置3との接続が切断されている間に、接続要求信号を通信装置5から受信した場合に、通信装置5との接続を試みる。送信装置3の送信側接続制御部321は、切断要求信号又は切替信号を受信したときに、音出力装置4との接続を切断し、所定時間(有限の時間)の間、その切断状態を維持する。送信装置3は、その切断状態を維持するために、音出力装置4への接続要求信号の送信を所定時間の間中止する。
【0065】
送信装置3は、所定時間の間、上記切断状態を維持することにより、音出力装置4が送信装置3以外の通信装置5との接続を試みる時間を確保することができる。つまり、送信装置3は、所定時間の間、上記切断状態を維持するだけで(具体的には、音出力装置4への接続要求信号の送信を中止するだけで)、音出力装置4に上記接続の時間を与えることができる。
【0066】
また、音出力装置4は、所定時間、送信装置3が上記切断状態を維持している間(具体的には、送信装置3が音出力装置4への接続要求信号の送信を中止している間)に、上記接続を試みることができる。つまり、音出力装置4は、切断要求信号を送信装置3に送信するだけで、送信装置3からの接続要求信号を受信しない時間を確保でき、その時間の間に上記接続を試みることができる。
【0067】
従って、音出力システム1では、簡易な手法にて、音出力装置4の接続を、送信装置3との接続から通信装置5との接続に切り替えることができる。
【0068】
また、送信側接続制御部321は、所定時間の間、上記切断状態を維持した後に、接続要求信号を音出力装置4に送信する。そのため、送信側接続制御部321は、上記切断状態を維持した所定時間の経過後には、接続要求信号の送信を行うための入力操作を受付けることなく、自動的に、接続要求信号の送信を開始できる。従って、所定時間の間に音出力装置4が通信装置5と接続されていない場合に、送信装置3は、音出力装置4との再接続を試みることができる。
【0069】
ここで、上述したように、上限数を超えて音出力装置を通信装置と接続する場合には、音出力装置は送信装置又は通信装置との接続を切断する必要がある。特に、音出力装置が送信装置との接続を切断して通信装置との接続を試みる場合、以下のような問題が発生する。
【0070】
送信装置は、電源ボタン、及び、無線通信機能をオン又はオフするための切替ボタンを備えていない。そのため、USBケーブルが表示装置に接続されている限り、送信装置の電源も無線通信機能もオンとなっている。換言すれば、ユーザがUSBケーブルを表示装置2から引き抜かない限り、送信装置の無線通信機能がオフにならない。ユーザがリモートコントローラを用いて表示装置の電源をオフしたとしても、USB端子に電力供給が行われている場合もある。この場合には、表示装置の電源をオフしたとしても、送信装置の無線通信機能はオンのまま維持される。
【0071】
そのため、音出力装置の接続を、送信装置の接続から通信装置の接続に切り替える場合、送信装置と音出力装置との接続を切断するために、ユーザは、USBケーブルを表示装置2から引き抜くことにより、送信装置の無線通信機能をオフにする必要がある。USB端子は、表示装置の側面又は裏面に配置されている場合が多いため、USBケーブルの抜き差しはユーザにとって非常に面倒な作業である。
【0072】
また、音出力装置の接続を、送信装置の接続から通信装置の接続に切り替えるために、ユーザが例えば以下の操作を行ったとする。ユーザは音出力装置の電源をオフにして音出力装置の無線通信機能をオフにすることにより、音出力装置と送信装置との接続を切断する。その後、ユーザは音出力装置の電源を再度オンにして音出力装置の無線通信機能をオンにしたとする。送信装置は、最後に接続していた装置(この場合は音出力装置)との接続を試みる仕様であるため、通信装置による音出力装置との接続操作が行われる前に、送信装置と音出力装置との接続が確立されてしまう。従ってこの方法では、音出力装置の接続を通信装置の接続へと切り替えることができない。
【0073】
音出力システム1では、音出力装置4は、操作部46が切断操作又は切替操作を受け付けることにより、送信装置3との接続を切断し、所定時間の間に、通信装置5との接続を試みることができる。つまり、ユーザは、ユーザの首に装着した音出力装置4の操作部46への操作を行うだけで、音出力装置4の接続を、送信装置3の接続から通信装置5の接続へと切り替えることができる。
【0074】
従って、ユーザは、USBケーブルを表示装置2から引き抜いたり、音出力装置4の電源44に対する操作を行ったりすることなく、音出力装置4の接続を通信装置5の接続へと簡易にかつ効率的に切り替えることができる。通信装置5がスマートフォン又はタブレットである場合、ユーザはその手元に通信装置5を置いている場合が多い。そのため、ユーザは、音出力装置4と、送信装置3又は通信装置5との接続切替を、手元にある音出力装置4又は通信装置5に対する操作だけで行うことができる。
【0075】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。以降の実施形態についても同様である。
【0076】
音出力システム1Aは、送信装置3と通信可能に接続される音出力装置4を複数備える点で、音出力システム1と異なる。
図5の例では、音出力システム1Aは音出力装置4を2つ備えているが、3つ以上備えていても構わない。この場合、上述したように、送信装置3の送信側接続制御部321は、最後に接続していた音出力装置4に接続要求信号を送信する。通信装置5も同様である。但し、通信装置5は、接続先となる音出力装置4をユーザに選択させても構わない。
【0077】
音出力システム1Aであっても、実施形態1と同様、各音出力装置4は、音出力装置4の接続を、送信装置3の接続から通信装置5の接続に、簡易な手法にて切り替えることができる。
【0078】
なお本実施形態において、音出力装置4が複数台ある場合には、複数の音出力装置4のそれぞれに対して1つの送信装置3又は少なくとも1つの通信装置5が接続される構成であっても構わない。
【0079】
〔実施形態3〕
図6は、
図5に示す音出力システム1Aにおける処理の流れの一例を示すタイミングチャートである。
【0080】
本実施形態では、送信装置3の送信側接続制御部321は、所定時間の経過後、音出力装置4との再接続を試みた結果、再接続に失敗した場合、再接続を試みた音出力装置4とは異なる他の音出力装置4との接続を試みる。本実施形態では、再接続対象となる音出力装置4を第1音出力装置4A、第1音出力装置4Aとは異なる他の音出力装置4を第2音出力装置4Bと称して説明する。実施形態4においても同様である。
【0081】
図6に示すように、第1音出力装置4Aと送信装置3との接続が切断された後(S12)、所定時間の間に、第1音出力装置4Aは通信装置5と通信可能に接続される(S17)。そのため、第1音出力装置4Aの出力側接続制御部421は、送信装置3からの接続要求信号に対する応答として、接続拒否信号を送信装置3に送信する(S20)。
【0082】
送信側接続制御部321は、接続拒否信号を受信すると、第1音出力装置4Aとの再接続に失敗したと判定する。この場合、送信側接続制御部321は、第1音出力装置4Aと通信可能に接続できないため、記憶部33の接続履歴を参照して、第1音出力装置4A以外で最後に接続していた第2音出力装置4Bを特定する。
【0083】
送信側接続制御部321は、特定した第2音出力装置4Bとの接続を試みるために、接続要求信号を第2音出力装置4Bに送信する(S41)。第2音出力装置4Bの出力側接続制御部421は、受信した接続要求信号に対する応答として、接続許可信号を送信する(S42)。これにより、送信装置3と第2音出力装置4Bとの接続が確立される(S43)。
【0084】
このように、送信装置3は、第1音出力装置4Aとの再接続に失敗した場合、第2音出力装置4Bとの接続を試みる。そのため、例えば第1音出力装置4Aが故障している場合であっても、表示装置2の音出力を第2音出力装置4Bから行うことができる。
【0085】
なお、第2音出力装置4Bは、送信装置3からの音データを音として出力可能な装置であればどのような装置であってもよく、例えば、第1音出力装置4Aと接続されている通信装置5とは異なる他の通信装置5であっても構わない。
【0086】
〔実施形態4〕
図7は、実施形態4に係る音出力システム1Aにおける処理の流れの一例を示すタイミングチャートである。なお、S54~S56の処理は、
図6に示すS41~S43と同じ処理であるため、その説明を割愛する。
【0087】
本実施形態においても、実施形態3と同様、送信側接続制御部321は、第1音出力装置4Aとの再接続に失敗した場合、第2音出力装置4Bとの接続を試みる。但し、本実施形態では、第1音出力装置4Aの電源44がオフになっていることに起因して、送信側接続制御部321が第1音出力装置4Aとの再接続に失敗する点で、実施形態3とは異なる。
【0088】
具体的には、
図7に示すように、S13において、通信装置5は、第1音出力装置4Aとの接続操作を受け付ける。第1音出力装置4Aの出力側接続制御部421は、S12において第1音出力装置4Aが送信装置3と切断された後の規定された時間(所定時間未満の時間)の間、通信装置5からの接続要求信号を待機する。この時間の間に通信装置5から接続要求信号を受信しなかった場合、第1音出力装置4Aの音出力制御部424は、通信装置5との接続が確立できなかったものとして、接続エラーが発生したことを示す音(例:音声)を報知する(S51)。
【0089】
本実施形態では、第1音出力装置4Aの制御部42は、送信装置3との接続が切断されてからの所定時間を計時する。この計時は、制御部42に計時部を備えることにより実現されても構わない。制御部42は、例えば、
図3のS10で切断要求信号を送信装置3に送信したとき、又は、
図3のS11で送信装置3からの切断許可信号を受信したときから所定時間の計時を開始する。また、制御部42は、所定時間の計時開始と同じタイミングで、上記規定された時間の計時も開始する。
【0090】
所定時間が経過すると、第1音出力装置4Aでは、電源制御部423が電源44をオフにする(S52)。また、所定時間が経過すると、送信装置3では、送信側接続制御部321は、最後に接続していた第1音出力装置4Aに接続要求信号を送信する(S53)。その後、送信側接続制御部321は、接続要求信号の送信から規定された時間が経過するまで、接続要求信号に対する応答(接続許可信号又は接続拒否信号)の受信を待機する。
【0091】
本処理では、S52において第1音出力装置4Aでは電源44がオフとなっているため、出力側接続制御部421は、上記規定された時間内に、接続要求信号に対する応答を行うことができない。そのため、送信側接続制御部321は、上記規定された時間内に、接続要求信号に対する応答を受信することができない。
【0092】
この場合、送信側接続制御部321は、上記規定された時間内に接続要求信号に対する応答を受信しなかったと判定し、次の接続要求信号の送信先として、第1音出力装置4A以外で最後に接続していた第2音出力装置4Bを特定する。送信側接続制御部321は、特定した第2音出力装置4Bに、接続要求信号を送信する(S54)。
【0093】
従って、所定時間の経過後に第1音出力装置4Aの電源44がオフになったことに起因して、送信装置3と第1音出力装置4Aとの再接続が確立されなかった場合も、実施形態3と同様に、表示装置2の音出力を第2音出力装置4Bから行うことができる。
【0094】
〔ソフトウェアによる実現例〕
送信装置3の制御ブロック(特に制御部32の各機能ブロック)、及び音出力装置4の制御ブロック(特に制御部42の各機能ブロック)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0095】
後者の場合、送信装置3及び音出力装置4は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0096】
〔本発明の別表現〕
本発明の一態様に係る音出力システムは、以下のように表現することもできる。
【0097】
本発明の一態様に係る音声出力システム(音出力システムに対応)は、送信機(送信装置に対応)と音声出力装置(音出力装置に対応)とを備える音声出力システムであって、
上記音声出力装置は、上記送信機と接続されているときに、他の端末装置(通信装置に対応)との接続に切り替える入力があった場合、他の端末装置との接続に切り替えることを示す切替信号を上記送信機に送信する送信部(送信装置の送受信部に対応)と、上記切替信号の送信後、所定時間以内に他の端末装置から接続要求信号を受信したことに基づき、当該他の端末装置と接続する制御部(出力側接続制御部に対応)と、を備え、
上記送信機は、上記音声出力装置から上記切替信号を受信したことに基づき、当該音声出力装置への(定期的な)接続要求信号の送信を止め、当該音声出力装置との接続の切断を所定時間継続する送信機制御部(送信側接続制御部に対応)を備える。
【0098】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0099】
1、1A 音出力システム
3 送信装置
4 音出力装置
4A 第1音出力装置(音出力装置)
4B 第2音出力装置(音出力装置)
44 電源
46 操作部
321 送信側接続制御部
421 出力側接続制御部
423 電源制御部