IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧 ▶ 富士重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-電動車両 図1
  • 特許-電動車両 図2
  • 特許-電動車両 図3
  • 特許-電動車両 図4
  • 特許-電動車両 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】電動車両
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20230801BHJP
   B62D 25/24 20060101ALI20230801BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20230801BHJP
   B62D 25/16 20060101ALI20230801BHJP
   B60K 15/05 20060101ALI20230801BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20230801BHJP
【FI】
B62D25/08 H ZHV
B62D25/24 Z
B62D25/08 E
B62D25/20 C
B62D25/16 B
B60K15/05 B
B60K1/04 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020140370
(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公開番号】P2022035809
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2022-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】龍野 功幸
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2013/073327(JP,A1)
【文献】特開2014-136531(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0360732(US,A1)
【文献】特開2013-144520(JP,A)
【文献】特開2012-111352(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102012104986(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00- 6/12
B60K 7/00- 8/00
B60K 11/00-15/10
B60K 16/00
B62D 17/00-25/08
B62D 25/14-29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両であって、
エンジンルーム内に設けられている電気ユニットと、
カウルと、
前記カウルよりも車幅方向の外側に設けられているエプロンアッパメンバと、
前記エプロンアッパメンバよりも車幅方向の外側に設けられているフェンダーパネルと、
前記カウルよりも車幅方向の外側に設けられている充電リッドであって、前記フェンダーパネルに形成されている、充電リッドと、
前記エプロンアッパメンバと前記フェンダーパネルの間に設けられている充電ポートであって、前記充電リッドを開放したときに前記フェンダーパネルの開口から露出する位置に配置されている、充電ポートと、
前記カウルと前記充電リッドの間に設けられている充電ケーブルであって、前記充電ポートと前記電気ユニットを接続しており、前記エプロンアッパメンバと前記フェンダーパネルの間に配設されている部分を有する、充電ケーブルと、を備えており、
前記カウルの底壁には下方に向けて開口する排水口が形成されており、
前記排水口を画定する口縁の先端から口縁の先端と平行方向に延ばした仮想線を引いたときに、前記充電ケーブルは前記仮想線で囲まれた領域よりも上方の位置に配置されており、
前記カウルの前記底壁は、第1底壁部分と第2底壁部分を有しており、
前記第1底壁部分は、前記第2底壁部分よりも前記カウルの中央部側に位置する部分であり、
前記第2底壁部分は、前記第1底壁部分と前記排水口の間であって前記排水口に隣接する部分であり、
前記第2底壁部分の表面の傾斜角度が、前記第1底壁部分の表面の傾斜角度よりも大きい、電動車両。
【請求項2】
前記第2底壁部分の表面は、前記カウルの前記中央部から端部に向かう向きに沿って傾斜角度が増加する曲面を有している、請求項1に記載の電動車両。
【請求項3】
前記第2底壁部分に対向する対向壁、をさらに備えており、
前記対向壁の表面は、前記カウルの前記中央部から端部に向かう向きに沿って下方に傾斜している、請求項1又は2に記載の電動車両。
【請求項4】
前記対向壁の表面が平面で構成されている、請求項3に記載の電動車両。
【請求項5】
前記第1底壁部分の表面が平面で構成されており、
前記対向壁は、前記第1底壁部分の表面を伸ばした仮想面と交差する位置に配置されている、請求項3又は4に記載の電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、電動車両に関し、特に、電動車両の前部構造に関する。ここでいう電動車両とは、一又は複数の車輪をモータによって駆動する車両を広く意味し、例えば、外部電源によって充電される再充電式の電気自動車、及び、エンジンを併せ持つハイブリッド車等が含まれる。
【背景技術】
【0002】
雨水等がエンジンルームに浸入するのを防ぐために、車幅方向に沿って延びるカウルがフロントガラスとフードの間に設けられている。特許文献1には、車幅方向の端部の側壁に排水口が形成されたカウルが開示されている。カウルに浸入した雨水等は、側壁に形成された排水口を介して排水される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-167657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動車両の中には、例えばフェンダーパネルの上部に充電ポート用の開閉口である充電リッドが形成されることがある。フェンダーパネルの上部は、車幅方向に沿ってカウルの端部と対向する位置関係にある。このため、フェンダーパネルの上部に充電リッドが形成されていると、充電ポートに接続される充電ケーブルの一部がカウルの車幅方向の端部に近接して配設される。
【0005】
特許文献1のように、カウルの車幅方向の端部の側壁に排水口が形成されていると、排水口から排水された雨水等によって充電ケーブルの一部が被水する虞がある。本明細書は、カウルを備えた電動車両において、充電ケーブルの被水が抑えられる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する技術は、電動車両に具現化される。この電動車両は、カウルと、前記カウルよりも車幅方向の外側に設けられている充電リッドと、前記カウルと前記充電リッドの間に設けられている充電ケーブルと、を備えることができる。前記カウルの底壁には排水口が形成されている。前記カウルの底壁は、第1底壁部分と第2底壁部分を有することができる。前記第1底壁部分は、前記第2底壁部分よりも前記カウルの中央部側に位置する部分である。前記第2底壁部分は、前記第1底壁部分と前記排水口の間であって前記排水口に隣接する部分である。前記第2底壁部分の表面の傾斜角度が、前記第1底壁部分の表面の傾斜角度よりも大きい。
【0007】
上記した電動車両では、前記カウルの底壁に前記排水口が形成されている。このため、前記カウルに浸入した雨水等が前記カウルよりも車幅方向の外側に向けて排水されることが抑えられる。この結果、前記カウルと前記充電リッドの間に設けられている前記充電ケーブルの被水が抑えられる。さらに、上記した電動車両では、前記排水口に隣接する前記第2底壁部分の表面の傾斜角度が大きく形成されている。通常、前記カウルの底壁に前記排水口が設けられている場合、落葉等の固形物が前記排水口から排出され難くなるという問題がある。上記した電動車両では、前記第2底壁部分の表面の傾斜角度が大きく形成されているので、そのような固形物を前記排出口から円滑に排出することができる。このように、上記した電動車両では、落葉等の固形物の排出不良を抑えながら、前記充電ケーブルの被水を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例の電動車両10の構成を模式的に示す図。
図2】電動車両10の前部構造10fを模式的に示す図。
図3】車幅方向に垂直な断面図であって、図2中のIII-III線における断面図。
図4】車両前後方向に垂直な断面であって、図2中のIV-IV線における断面図。
図5】カウル31の排水口52を介して松葉等の固形物が排出される様子を示す図4の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書が開示する電動車両の一実施形態は、カウルと、前記カウルよりも車幅方向の外側に設けられている充電リッドと、前記カウルと前記充電リッドの間に設けられている充電ケーブルと、を備えることができる。前記カウルの底壁には排水口が形成されている。前記カウルの底壁は、第1底壁部分と第2底壁部分を有することができる。前記第1底壁部分は、前記第2底壁部分よりも前記カウルの中央部側に位置する部分である。前記第2底壁部分は、前記第1底壁部分と前記排水口の間であって前記排水口に隣接する部分である。前記第1底壁部分と前記第2底壁部分は、隣接して配置されていてもよい。前記第2底壁部分の表面の傾斜角度が、前記第1底壁部分の表面の傾斜角度よりも大きい。
【0010】
上記実施形態の前記電動車両では、前記第2底壁部分の表面が、前記カウルの中央部から端部に向かう向きに沿って傾斜角度が増加する曲面を有していてもよい。前記第2底壁部分の表面は、その全体が曲面で構成されていてもよく、曲面と平面の組み合わせで構成されていてもよい。前記第2底壁部分の表面が曲面を有していると、落葉等の固形物が前記排水口から円滑に排出され得る。
【0011】
上記実施形態の前記電動車両は、前記第2底壁部分に対向する対向壁をさらに備えていてもよい。前記対向壁は、前記カウルと一体化した前記カウルの構成部分であってもよく、前記カウルとは別体であってもよい。前記対向壁の表面は、前記カウルの中央部から端部に向かう向きに沿って下方に傾斜していてもよい。このような対向壁が設けられていると、落葉等の固形物の先端が前記対向壁によって前記排出口に向けてガイドされるので、落葉等の固形物が前記排水口から円滑に排出され得る。前記対向壁の表面は、特に限定されないが、平面で構成されていてもよい。
【0012】
上記実施形態の前記電動車両では、前記第1底壁部分の表面が平面で構成されていてもよい。この場合、前記対向壁は、前記第1底壁部分の表面を伸ばした仮想面と交差する位置に配置されていてもよい。このような位置関係に前記対向壁が配置されていると、前記第1底壁部分を流れてきた落葉等の固形物の先端が前記対向壁に確実に接触することができる。これにより、落葉等の固形物の先端が前記対向壁によって前記排水口に向けて良好にガイドされるので、落葉等の固形物が前記排水口から円滑に排出され得る。
【0013】
上記実施形態の前記電動車両は、エンジンルーム内に設けられている電気ユニットと、前記カウルよりも車幅方向の外側に設けられているエプロンアッパメンバと、前記エプロンアッパメンバよりも車幅方向の外側に設けられているフェンダーパネルと、前記エプロンアッパメンバと前記フェンダーパネルの間に設けられている充電ポートと、をさらに備えていてもよい。前記充電リッドは、前記フェンダーパネルに形成されていてもよい。前記充電ポートは、前記充電リッドを開放したときに前記エプロンアッパメンバの開口から露出する位置に配置されていてもよい。前記充電ケーブルは、前記充電ポートと前記電気ユニットを接続しており、前記エプロンアッパメンバと前記フェンダーパネルの間に配設されている部分を有していてもよい。
【実施例
【0014】
図面を参照して、実施例の電動車両10について説明する。図1に示すように、電動車両10は、ボデー12と、複数の車輪14f、14rと、を備えている。ボデー12は、特に限定されないが、金属で構成されている。複数の車輪14f、14rは、一対の前輪14fと、一対の後輪14rと、を有している。なお、車輪14f、14rの数については、四つに限定されない。
【0015】
電動車両10は、モータ16と、バッテリユニット18と、電気ユニット20と、をさらに備えている。モータ16は、複数の車輪14f、14rの少なくとも一つ(例えば、一対の後輪14r)を駆動する。モータ16とバッテリユニット18が電気ユニット20を介して接続されている。バッテリユニット18は、複数の二次電池セルを内蔵しており、外部の電力によって繰り返し充電可能に構成されている。
【0016】
電気ユニット20は、エンジンルーム内に設けられており、例えばDC-DCコンバータ及び/又はインバータといった、電力変換装置22(図3参照)を備えている。電気ユニット20は、バッテリユニット18からモータ16への供給電力を調節するように構成されている。電力変換装置22はまた、外部電源から供給される電力を調節してバッテリユニット18を充電するように構成されている。
【0017】
以下、図1図3を参照して、電動車両10の前部構造10fについて説明する。ボデー12は、ダッシュパネル30と、カウル31と、一対の右フロントサイドメンバ32R及び左フロントサイドメンバ32Lと、一対の右サスペンションタワー33R及び左サスペンションタワー33Lと、一対の右エプロンアッパメンバ34R及び左エプロンアッパメンバ34Lと、一対の右フェンダーパネル35R及び左フェンダーパネル35Lと、を備えている。
【0018】
ダッシュパネル30は、電動車両10の前部構造10fとその後方に位置するキャビン10cとの境界を画定している。
【0019】
カウル31は、雨水等がエンジンルームに浸入するのを防ぐために、フロントガラス(図示省略)とフード(図示省略)の間に設けられており、車幅方向(図示左右方向)に沿って延びている。本実施例におけるカウル31は、車幅方向に垂直な断面においてハット状の形態を有する板材である。カウル31はダッシュパネル30の上部30aに固定されるとともに、その両端部31a、31bの各々が対応するサスペンションタワー33R、33Lに固定されている。なお、カウル31の両端部31a、31bの各々は、サスペンションタワー33R、33Lに代えて、又は、サスペンションタワー33R、33Lに加えて、対応するエプロンアッパメンバ34R、34Lに固定されてもよい。カウル31の底壁に一対の排水口52が形成されている。一対の排水口52の各々は、対応する両端部31a、31bに隣接した位置の底壁に形成されている。カウル31に浸入した雨水等は、ハット形状の溝内を車幅方向に沿って流れ、排水口52を介して排水される。なお、排水口52に関するカウル31の構造については後述する。
【0020】
一対の右フロントサイドメンバ32R及び左フロントサイドメンバ32Lの各々は、ダッシュパネル30の下部から前方に向けて延びている。マウントフレーム40が一対のフロントサイドメンバ32R、32Lに固定されており、そのマウントフレーム40上に電気ユニット20が固定されている。なお、電気ユニット20は、前述した電力変換装置22を収容するハウジング24を備えている。ハウジング24は絶縁材料で構成されており、電力変換装置22をボデー12から電気的に絶縁している。
【0021】
一対の右サスペンションタワー33R及び左サスペンションタワー33Lの各々は、対応するフロントサイドメンバ32R、32Lよりも車幅方向の外側に位置しており、サスペンションを収容する空間を画定している。
【0022】
一対の右エプロンアッパメンバ34R及び左エプロンアッパメンバ34Lの各々は、対応するサスペンションタワー33R、33L及びカウル31よりも車幅方向の外側に位置しており、ダッシュパネル30から前方に延びている。
【0023】
一対の右フェンダーパネル35R及び左フェンダーパネル35Lの各々は、対応するエプロンアッパメンバ34R、34Lよりも車幅方向の外側に位置しており、車両前後方向に延びている。左フェンダーパネル35Lの上部後方、換言すると、ピラー15の下端部に近接した位置に充電リッド36が設けられている。充電リッド36は、特に限定されないが、車両側方から見たときにカウル31が配置されている高さと略同一の高さであってカウル31よりも後方に位置している。
【0024】
電動車両10はさらに、外部電源(例えば商用電源)用のコネクタが接続される充電ポート37と、充電ポート37と電気ユニット20を接続する充電ケーブル38と、を備えている。
【0025】
充電ポート37は、左エプロンアッパメンバ34Lと左フェンダーパネル35Lの間の空間に設けられており、充電リッド36を開放したときに左フェンダーパネル35Lの開口から露出する位置に配置されている。
【0026】
充電ケーブル38は、充電ポート37と電気ユニット20を接続するように、左エプロンアッパメンバ34Lと左フェンダーパネル35Lの間の空間、及び、エンジンルーム内に配設されている。充電ケーブル38は、充電ポート37の側部から車両前方に向けて左エプロンアッパメンバ34Lと左フェンダーパネル35Lの間の空間を伸びるとともに、左エプロンアッパメンバ34Lの前端の前方で屈曲し、車幅方向に沿ってエンジンルーム内を伸びて電気ユニット20に接続されている。左エプロンアッパメンバ34Lと左フェンダーパネル35Lの間の空間を伸びる充電ケーブル38の一部は、車両側方から見たときに、カウル31を横切るように伸びている。なお、この例では、図示明瞭化を目的として1本の充電ケーブル38のみが図示されているが、一又は複数本の充電ケーブル38が配設されていてもよい。
【0027】
図4に、カウル31の車両左側の端部31bに形成されている排水口52近傍の断面図を示す。なお、この断面は、車両前後方向に垂直な断面であり、車両後方から車両前方を見たときの断面である。排水口52は、カウル31の端部31bに隣接した位置の底壁54に形成されている。換言すると、排水口52は、カウル31の端部31bを画定する側壁56に接するように形成されており、底壁54と側壁56によって画定されている。排水口52は、下方に向けて開口しており、左エプロンアッパメンバ34Lと左フェンダーパネル35Lの間の空間に露出している。ここで、排水口52を画定する口縁から伸びる一点鎖線は、口縁の先端から口縁の先端と平行方向に延ばした仮想線である。充電ケーブル38は、この一点破線で囲まれた領域よりも上方の位置に配置されている。このため、排水口52から排水される雨水等によって充電ケーブル38が被水することが抑えられている。
【0028】
カウル31の底壁54は、第1底壁部分54aと、第2底壁部分54bと、を有している。なお、カウル31の底壁54は、これら底壁部分54a、54bとは別の底壁部分を有していてもよい。例えば、第2底壁部分54bよりも中央部側に、又は、第1底壁部分54aと第2底壁部分54bの間に、別の底壁部分が設けられていてもよい。
【0029】
第1底壁部分54aは、第2底壁部分54bよりもカウル31の中央部側に位置する部分である。この例では、第1底壁部分54aは、カウル31の中央部を含むように構成されており、カウル31の中央部から第2底壁部分54bまで延びている。第1底壁部分54aの表面は、平面で構成されており、カウル31の中央部から端部31bに向かう向きに沿って下方に僅かに傾斜している。ここで、第1底壁部分54aの表面の傾斜角度は、車両前後方向に垂直な断面において、第1底壁部分54aの表面と水平面の成す角度として定義される。
【0030】
第2底壁部分54bは、第1底壁部分54aと排水口52の間を延びており、排水口52に隣接する部分である。第2底壁部分54bの表面は、カウル31の中央部から端部31bに向かう向き沿って傾斜角度が増加する曲面で構成されている。具体的には、第2底壁部分54bの表面の傾斜角度は、第1底壁部分54a側の末端である第1末端点P1から排水口52側の末端である第2末端点P2まで単調増加している。ここで、第2底壁部分54bの表面の傾斜角度は、車両前後方向に垂直な断面において、第2底壁部分54bの表面の任意の点の接線と水平面の成す角度として定義される。このように、第2底壁部分54bの表面のいずれの点の傾斜角度も、第1底壁部分54aの表面の傾斜角度よりも大きく構成されている。第2底壁部分54bの第2末端点P2における傾斜角度は、特に限定されないが、30°以上であってもよく、45°以上であってもよい。また、第2底壁部分54bの車幅方向の長さ、即ち、第1末端点P1から第2末端点P2までの車幅方向の長さは、特に限定されないが、20~150mmであってもよく、特に40~100mmであってもよい。
【0031】
カウル31の側壁56は、第2底壁部分54bに対向する対向壁56aを有している。対向壁56aの表面は、平面で構成されており、カウル31の中央部から端部31bに向かう向きに沿って下方に向けて傾斜している。ここで、第1底壁部分54aから伸びる2点鎖線は、第1底壁部分54aの表面を伸ばした仮想面である。対向壁56aは、この仮想面と交差する位置に配置されている。
【0032】
図5に、長尺状の固形物が排水口52から排出される様子を示す。このような固形物としては、例えば小枝や針葉樹の葉等がある。通常、このような長尺状の固形物は、底壁54に形成された排水口52から排出され難いという問題がある。しかしながら、本実施例のカウル31では、第2底壁部分54bの表面の傾斜角度が大きく形成されているので、長尺状の固形物の長手軸が下向きになるように第2底壁部分54bの表面を流れることができる。この結果、本実施例のカウル31は、長尺状の固形物を排水口52から円滑に排出することができる。また、対向壁56aが設けられているので、対向壁56aによって長尺状の固形物の先端が排水口52に向けてガイドされ、長尺状の固形物の長手軸が下向きになるように第2底壁部分54bの表面を流れることができる。この結果、本実施例のカウル31は、長尺状の固形物を排水口52から円滑に排出することができる。このように、本実施例のカウル31は、長尺状の固形物の排出不良を抑えながら、充電ケーブル38の被水を抑えることができる。
【0033】
以上、本明細書が開示する技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書、又は、図面に説明した技術要素は、単独で、あるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。本明細書又は図面に例示した技術は、複数の目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0034】
10 :電動車両
20 :電気ユニット
30 :ダッシュパネル
31 :カウル
32L :左フロントサイドメンバ
32R :右フロントサイドメンバ
33L :左サスペンションタワー
33R :右サスペンションタワー
34L :左エプロンアッパメンバ
34R :右エプロンアッパメンバ
35L :左フェンダーパネル
35R :右フェンダーパネル
36 :充電リッド
37 :充電ポート
38 :充電ケーブル
52 :排水口
54 :底壁
54a :第1底壁部分
54b :第2底壁部分
56a :対向壁
図1
図2
図3
図4
図5