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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/861 20060101AFI20230803BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20230803BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20230803BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20230803BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20230803BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20230803BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20230803BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20230803BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20230803BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
H01L29/91 E
H01L21/28 301A
H01L27/04 H
H01L27/06 311A
H01L27/06 311B
H01L27/088 C
H01L27/088 E
H01L27/088 331A
H01L29/50 M
H01L29/78 653A
H01L29/78 657A
H01L29/91 C
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019068673
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020167338
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 泰詔
(72)【発明者】
【氏名】奥田 肇
(72)【発明者】
【氏名】大隅 悠史
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-149502(JP,A)
【文献】特開2017-143136(JP,A)
【文献】国際公開第2014/199558(WO,A1)
【文献】特開2019-036688(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0301553(US,A1)
【文献】特開2002-270841(JP,A)
【文献】特開2010-287786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/28、21/822、21/8234、
27/04、27/06、27/088、
29/417、29/78、
29/861、29/868
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有する基板と、
前記主面に形成されたトレンチ、前記トレンチに埋め込まれたポリシリコン層、前記ポリシリコン層に形成されたp型のアノード領域、および、前記ポリシリコン層に形成されたn型のカソード領域を有する感温ダイオード構造と、を含み、
前記感温ダイオード構造は、前記ポリシリコン層に形成されたp型のウェル領域を含み、
前記アノード領域は、前記ウェル領域のp型不純物濃度を超えるp型不純物濃度を有し、前記ウェル領域の表層部に形成され、
前記カソード領域は、前記ウェル領域の表層部に形成されていて、
前記ウェル領域は、前記ポリシリコン層の底部から間隔を空けて形成されている、半導体装置。
【請求項2】
前記ウェル領域は、前記ポリシリコン層の表層部に形成されている、請求項に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記カソード領域は、前記ウェル領域を介して前記アノード領域に電気的に接続されている、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記カソード領域は、前記アノード領域から間隔を空けて形成されている、請求項のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記感温ダイオード構造は、前記アノード領域および前記カソード領域に対して前記ポリシリコン層の底部側の領域に形成された不純物無添加のノンドープ領域を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ノンドープ領域の厚さは、前記アノード領域の厚さおよび前記カソード領域の厚さを超えている、請求項に記載の半導体装置。
【請求項7】
主面を有する基板と、
前記主面に形成されたトレンチ、前記トレンチに埋め込まれたポリシリコン層、前記ポリシリコン層に形成されたp型のアノード領域、および、前記ポリシリコン層に形成されたn型のカソード領域を有する感温ダイオード構造と、を含み、
前記感温ダイオード構造は、前記アノード領域および前記カソード領域に対して前記ポリシリコン層の底部側の領域に形成された不純物無添加のノンドープ領域を含み、
前記ノンドープ領域の厚さは、前記アノード領域の厚さおよび前記カソード領域の厚さを超えている、半導体装置。
【請求項8】
前記トレンチは、平面視において環状に形成された環状トレンチを含み、
前記アノード領域は、前記ポリシリコン層において前記環状トレンチ内の部分に形成され、
前記カソード領域は、前記ポリシリコン層において前記環状トレンチ内の部分に形成されている、請求項1~のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記トレンチは、前記環状トレンチの外周側壁に連通する第1接続トレンチを含み、
前記感温ダイオード構造は、前記ポリシリコン層において前記第1接続トレンチ内の部分に形成され、前記アノード領域に電気的に接続されたp型のアノードコンタクト領域を含む、請求項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記トレンチは、前記環状トレンチの外周側壁に連通する第2接続トレンチを含み、
前記感温ダイオード構造は、前記ポリシリコン層において前記第2接続トレンチ内の部分に形成され、前記カソード領域に電気的に接続されたn型のカソードコンタクト領域を含む、請求項またはに記載の半導体装置。
【請求項11】
複数の前記感温ダイオード構造を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
複数の前記感温ダイオード構造は、一方の前記感温ダイオード構造の前記アノード領域が他方の前記感温ダイオード構造の前記カソード領域に対向する向きで互いに間隔を空けて形成されている、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記トレンチから間隔を空けて前記主面に形成されたアノードトレンチ、および、前記アノードトレンチに埋設されたアノード配線電極を有するアノード配線構造と、
前記主面の上に形成され、前記アノード配線電極および前記アノード領域を電気的に接続するアノード・アノード配線と、をさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記トレンチから間隔を空けて前記主面に形成されたカソードトレンチ、および、前記カソードトレンチに埋設されたカソード配線電極を有するカソード配線構造と、
前記主面の上に形成され、前記カソード配線電極および前記カソード領域を電気的に接続するカソード・カソード配線と、をさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項15】
主面を有する基板と、
前記主面に形成されたトレンチ、前記トレンチに埋め込まれたポリシリコン層、前記ポリシリコン層に形成されたp型のアノード領域、および、前記ポリシリコン層に形成されたn型のカソード領域を有する感温ダイオード構造と、を含み、
前記トレンチから間隔を空けて前記主面に形成されたアノードトレンチ、および、前記アノードトレンチに埋設されたアノード配線電極を有するアノード配線構造と、
前記主面の上に形成され、前記アノード配線電極および前記アノード領域を電気的に接続するアノード・アノード配線と、をさらに含む、半導体装置
【請求項16】
主面を有する基板と、
前記主面に形成されたトレンチ、前記トレンチに埋め込まれたポリシリコン層、前記ポリシリコン層に形成されたp型のアノード領域、および、前記ポリシリコン層に形成されたn型のカソード領域を有する感温ダイオード構造と、を含み、
前記トレンチから間隔を空けて前記主面に形成されたカソードトレンチ、および、前記カソードトレンチに埋設されたカソード配線電極を有するカソード配線構造と、
前記主面の上に形成され、前記カソード配線電極および前記カソード領域を電気的に接続するカソード・カソード配線と、をさらに含む、半導体装置。
【請求項17】
前記感温ダイオード構造は、前記トレンチの内壁に形成された絶縁層、および、前記絶縁層を挟んで前記トレンチに埋設された前記ポリシリコン層を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記基板は、半導体層からなる、請求項1~17のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記トレンチから間隔を空けて前記主面に形成されたゲートトレンチ、前記ゲートトレンチの内壁に形成されたゲート絶縁層、および、前記ゲート絶縁層を挟んで前記ゲートトレンチに埋設された埋設電極を含むトレンチゲート構造をさらに含む、請求項18に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記埋設電極は、前記ゲート絶縁層を挟んで前記ゲートトレンチの底壁側に埋設された底側電極、前記ゲート絶縁層を挟んで前記ゲートトレンチの開口側に埋設された開口側電極、ならびに、前記底側電極および前記開口側電極の間に介在する中間絶縁層を含む絶縁分離型の電極構造を有している、請求項19に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感温ダイオード構造を備えた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、基板と、基板の上に形成された絶縁膜と、絶縁膜の上に形成された温度検出用ダイオード(感温ダイオード構造)と、を含む半導体装置を開示している。温度検出用ダイオードは、ポリシリコン層と、ポリシリコン層に形成されたp型のアノード領域と、ポリシリコン層に形成されたn型のカソード領域と、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2014/162844号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態は、感温ダイオード構造に起因する大型化を抑制できる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、主面を有する基板と、前記主面に形成されたトレンチ、前記トレンチに埋め込まれたポリシリコン層、前記ポリシリコン層に形成されたp型のアノード領域、および、前記ポリシリコン層に形成されたn型のカソード領域を有する感温ダイオード構造と、を含む、半導体装置を提供する。
この半導体装置によれば、感温ダイオード構造が基板の内部に作りこまれている。これにより、感温ダイオード構造に起因する半導体装置の大型化を抑制できる。
【0006】
本発明の一実施形態は、主面を有する半導体層と、前記主面に形成されたトレンチ、前記トレンチの内壁に形成された絶縁層、前記絶縁層を挟んで前記トレンチに埋め込まれたポリシリコン層、および、前記ポリシリコン層に形成されたpn接合構造を有する感温ダイオード構造と、前記主面に形成されたゲートトレンチ、前記ゲートトレンチの内壁に形成されたゲート絶縁層、および、前記ゲート絶縁層を挟んで前記ゲートトレンチに埋設された埋設電極を有するトレンチゲート構造と、を含む、半導体装置を提供する。
【0007】
この半導体装置によれば、感温ダイオード構造が半導体層の内部に作りこまれている。これにより、感温ダイオード構造に起因する半導体装置の大型化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置を1つの方向から見た斜視図である。
図2図2は、図1に示す半導体装置の電気的構造を示すブロック回路図である。
図3図3は、図1に示す半導体装置の通常動作およびアクティブクランプ動作を説明するための回路図である。
図4図4は、図3に示す回路図に適用される主要な電気信号の波形図である。
図5図5は、図1に示す領域Vの断面斜視図である。
図6図6は、図5から電極を取り除いた断面斜視図である。
図7図7は、図6から半導体層の上の構造を取り除いた断面斜視図であって、第1形態例に係るチャネル構造を含む形態を示す断面斜視図である。
図8図8は、図7の平面図である。
図9図9は、図5に示す第1トレンチゲート構造および第2トレンチゲート構造を含む領域の拡大断面図である。
図10図10は、図5に示す第1トレンチゲート構造の拡大断面図である。
図11図11は、図5に示す第2トレンチゲート構造の拡大断面図である。
図12A図12Aは、図7に対応する領域の断面斜視図であって、第2形態例に係るチャネル構造を含む形態を示す断面斜視図である。
図12B図12Bは、図7に対応する領域の断面斜視図であって、第3形態例に係るチャネル構造を含む形態を示す断面斜視図である。
図13図13は、アクティブクランプ耐量および面積抵抗率の関係を実測によって調べたグラフである。
図14A図14Aは、図1に示す半導体装置の第1制御例に係る通常動作を説明するための断面斜視図である。
図14B図14Bは、図1に示す半導体装置の第1制御例に係るアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。
図15A図15Aは、図1に示す半導体装置の第2制御例に係る通常動作を説明するための断面斜視図である。
図15B図15Bは、図1に示す半導体装置の第2制御例に係るアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。
図16図16は、図1に示す領域XVIの内部構造を示す平面図である。
図17図17は、図16に示す領域XVIIの拡大図である。
図18図18は、図16から1つの感温ダイオード構造を取り出して示す拡大図である。
図19図19は、感温ダイオード構造を、領域分離構造およびトレンチゲート構造と共に示す斜視図である。
図20図20は、図19から層間絶縁層の上の構造を取り除いた断面斜視図である。
図21図21は、図19から半導体層の上の構造を取り除いた断面斜視図である。
図22図22は、図16のXXII-XXII線に沿う断面図である。
図23図23は、図16のXXIII-XXIII線に沿う断面図である。
図24図24は、図16のXXIV-XXIV線に沿う断面図である。
図25図25は、図1に示す感温ダイオードの電気的構造を示す回路図である。
図26A図26Aは、図1に示す半導体装置の製造方法の一例を示す断面図である。
図26B図26Bは、図26Aの後の工程を示す断面図である。
図26C図26Cは、図26Bの後の工程を示す断面図である。
図26D図26Dは、図26Cの後の工程を示す断面図である。
図26E図26Eは、図26Dの後の工程を示す断面図である。
図26F図26Fは、図26Eの後の工程を示す断面図である。
図26G図26Gは、図26Fの後の工程を示す断面図である。
図26H図26Hは、図26Gの後の工程を示す断面図である。
図26I図26Iは、図26Hの後の工程を示す断面図である。
図26J図26Jは、図26Iの後の工程を示す断面図である。
図26K図26Kは、図26Jの後の工程を示す断面図である。
図26L図26Lは、図26Kの後の工程を示す断面図である。
図26M図26Mは、図26Lの後の工程を示す断面図である。
図26N図26Nは、図26Mの後の工程を示す断面図である。
図26O図26Oは、図26Nの後の工程を示す断面図である。
図26P図26Pは、図26Oの後の工程を示す断面図である。
図26Q図26Qは、図26Pの後の工程を示す断面図である。
図26R図26Rは、図26Qの後の工程を示す断面図である。
図26S図26Sは、図26Rの後の工程を示す断面図である。
図27図27は、図7に対応する領域の断面斜視図であって、本発明の第2実施形態に係る半導体装置を示す斜視図である。
図28A図28Aは、図27に示す半導体装置の第1制御例に係る通常動作を説明するための断面斜視図である。
図28B図28Bは、図27に示す半導体装置の第1制御例に係るアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。
図29A図29Aは、図27に示す半導体装置の第2制御例に係る通常動作を説明するための断面斜視図である。
図29B図29Bは、図27に示す半導体装置の第2制御例に係るアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。
図30A図30Aは、図27に示す半導体装置の第3制御例に係る通常動作を説明するための断面斜視図である。
図30B図30Bは、図27に示す半導体装置の第3制御例に係るアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。
図31図31は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置を1つの方向から見た斜視図である。
図32図32は、図31に示す領域XXXIIの断面斜視図である。
図33図33は、図32から電極を取り除いた断面斜視図である。
図34図34は、図33から半導体層の上の構造を取り除いた断面斜視図である。
図35A図35Aは、図34に示す半導体装置の通常動作を説明するための断面斜視図である。
図35B図35Bは、図34に示す半導体装置のアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。
図36図36は、図32に対応する領域の断面斜視図であって、本発明の第4実施形態に係る半導体装置を示す断面斜視図である。
図37図37は、図36から半導体層の上の構造を取り除いた断面斜視図である。
図38A図38Aは、図36に示す半導体装置の通常動作を説明するための断面斜視図である。
図38B図38Bは、図36に示す半導体装置のアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。
図39図39は、図36に対応する領域の断面斜視図であって、本発明の第5実施形態に係る半導体装置を示す断面斜視図である。
図40A図40Aは、図39に示す半導体装置の第1制御例に係る通常動作を説明するための断面斜視図である。
図40B図40Bは、図39に示す半導体装置の第1制御例に係るアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。
図41A図41Aは、図39に示す半導体装置の第2制御例に係る通常動作を説明するための断面斜視図である。
図41B図41Bは、図39に示す半導体装置の第2制御例に係るアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。
図42図42は、図7に対応する領域の断面斜視図であって、本発明の第6実施形態に係る半導体装置を示す断面斜視図である。
図43A図43Aは、図42に示す半導体装置の通常動作を説明するための断面斜視図である。
図43B図43Bは、図42に示す半導体装置のアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。
図44図44は、図7に対応する領域の断面斜視図であって、本発明の第7実施形態に係る半導体装置を示す斜視図である。
図45A図45Aは、図44に示す半導体装置の通常動作を説明するための断面斜視図である。
図45B図45Bは、図44に示す半導体装置のアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。
図46図46は、図7に対応する領域の断面斜視図であって、本発明の第8実施形態に係る半導体装置を示す一部切り欠き断面斜視図である。
図47A図47Aは、図46に示す半導体装置の通常動作を説明するための断面斜視図である。
図47B図47Bは、図46に示す半導体装置のアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。
図48図48は、本発明の第9実施形態に係る半導体装置を1つの方向から見た斜視図である。
図49図49は、図48に示す半導体装置の電気的構造を示すブロック回路図である。
図50図50は、図48に示す半導体装置の通常動作およびアクティブクランプ動作を説明するための回路図である。
図51図51は、図50に示す回路図に適用される主要な電気信号の波形図である。
図52図52は、半導体パッケージを、封止樹脂を透過して示す斜視図である。
図53図53は、図52の平面図である。
図54図54は、第1形態例に係る回路モジュールの一部を示す平面図である。
図55図55は、第2形態例に係る回路モジュールの一部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置1を1つの方向から見た斜視図である。以下では、半導体装置1がハイサイド側のスイッチングデバイスである形態例について説明するが、半導体装置1はハイサイド側のスイッチングデバイスに限定されるものではない。半導体装置1は、各種構造の電気的な接続形態や機能を調整することにより、ローサイド側のスイッチングデバイスとしても提供されることができる。
【0010】
図1を参照して、半導体装置1は、基板の一例としての半導体層2を含む。半導体層2は、シリコンを含む。半導体層2は、直方体形状のチップ状に形成されている。半導体層2は、一方側の第1主面3、他方側の第2主面4、ならびに、第1主面3および第2主面4を接続する側面5A,5B,5C,5Dを有している。
第1主面3および第2主面4は、それらの法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状に形成されている。側面5Aおよび側面5Cは、第1方向Xに沿って延び、第1方向Xに交差する第2方向Yに互いに対向している。側面5Bおよび側面5Dは、第2方向Yに沿って延び、第1方向Xに互いに対向している。第2方向Yは、より具体的には、第1方向Xに直交している。
【0011】
半導体層2には、出力領域6および入力領域7が設定されている。出力領域6は、側面5C側の領域に設定されている。入力領域7は、側面5A側の領域に設定されている。平面視において、出力領域6の面積SOUTは、入力領域7の面積SIN以上である(SIN≦SOUT)。
面積SINに対する面積SOUTの比SOUT/SINは、1以上10以下であってもよい(1<SOUT/SIN≦10)。比SOUT/SINは、1以上2以下、2以上4以下、4以上6以下、6以上8以下、または、8以上10以下であってもよい。入力領域7の平面形状および出力領域6の平面形状は、任意であり、特定の形状に限定されない。むろん、比SOUT/SINは、0を超えて1未満であってもよい。
【0012】
出力領域6は、絶縁ゲート型のトランジスタの一例としてのパワーMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)9を含むトランジスタ領域である。パワーMISFET9は、ゲート、ドレインおよびソースを含む。
入力領域7は、制御回路の一例としてのコントロールIC(Integrated Circuit)10を含む。コントロールIC10は、種々の機能を実現する複数種の機能回路を含む。複数種の機能回路は、外部からの電気信号に基づいてパワーMISFET9を駆動制御するゲート制御信号を生成する回路を含む。コントロールIC10は、パワーMISFET9と共に所謂IPD(Intelligent Power Device)を形成している。IPDは、IPM(Intelligent Power Module)とも称される。
【0013】
入力領域7は、領域分離構造8によって出力領域6から電気的に絶縁されている。図1では、領域分離構造8がハッチングによって示されている。具体的な説明は省略されるが、領域分離構造8は、トレンチに絶縁体が埋め込まれたトレンチ絶縁構造を有していてもよい。
半導体層2の上には、複数(この形態では6つ)の電極11,12,13,14,15、16が形成されている。図1では、ハッチングによって複数の電極11~16が示されている。複数の電極11~16は、導線(たとえばボンディングワイヤ)等によって外部接続される端子電極として形成されている。複数の電極11~16の個数、配置および平面形状は任意であり、図1に示される形態に限定されない。
【0014】
複数の電極11~16の個数、配置および平面形状は、パワーMISFET9の仕様やコントロールIC10の仕様に応じて調整される。複数の電極11~16は、この形態では、ドレイン電極11(電源電極)、ソース電極12(出力電極)、入力電極13、基準電圧電極14、ENABLE電極15およびSENSE電極16を含む。
ドレイン電極11は、半導体層2の第2主面4の上に形成されている。ドレイン電極11は、半導体層2の第2主面4に電気的に接続されている。ドレイン電極11は、パワーMISFET9のドレインや、コントロールIC10の各種回路に電源電圧VBを伝達する。
【0015】
ドレイン電極11は、Ti層、Ni層、Au層、Ag層およびAl層のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。ドレイン電極11は、Ti層、Ni層、Au層、Ag層またはAl層を含む単層構造を有していてもよい。ドレイン電極11は、Ti層、Ni層、Au層、Ag層およびAl層のうちの少なくとも2つを任意の態様で積層させた積層構造を有していてもよい。
【0016】
ソース電極12は、第1主面3において出力領域6の上に形成されている。ソース電極12は、パワーMISFET9のソースに電気的に接続されている。ソース電極12は、パワーMISFET9によって生成された電気信号を外部に伝達する。
入力電極13、基準電圧電極14、ENABLE電極15およびSENSE電極16は、第1主面3において入力領域7の上にそれぞれ形成されている。入力電極13は、コントロールIC10を駆動するための入力電圧を伝達する。
【0017】
基準電圧電極14は、コントロールIC10に基準電圧(たとえばグランド電圧)を伝達する。ENABLE電極15は、コントロールIC10の一部または全部の機能を有効または無効にするための電気信号を伝達する。SENSE電極16は、コントロールIC10の異常を検出するための電気信号を伝達する。
半導体層2の上には、制御配線の一例としてのゲート制御配線17がさらに形成されている。ゲート制御配線17は、出力領域6および入力領域7に選択的に引き回されている。ゲート制御配線17は、出力領域6においてパワーMISFET9のゲートに電気的に接続され、入力領域7においてコントロールIC10に電気的に接続されている。
【0018】
ゲート制御配線17は、コントロールIC10によって生成されたゲート制御信号をパワーMISFET9のゲートに伝達する。ゲート制御信号は、オン信号Vonおよびオフ信号Voffを含み、パワーMISFET9のオン状態およびオフ状態を制御する。
オン信号Vonは、パワーMISFET9のゲート閾値電圧Vth以上(Vth<Von)である。オフ信号Voffは、パワーMISFET9のゲート閾値電圧Vth未満(Voff<Vth)である。オフ信号Voffは、基準電圧(たとえばグランド電圧)であってもよい。
【0019】
ゲート制御配線17は、この形態では、第1ゲート制御配線17A、第2ゲート制御配線17Bおよび第3ゲート制御配線17Cを含む。第1ゲート制御配線17A、第2ゲート制御配線17Bおよび第3ゲート制御配線17Cは、互いに電気的に絶縁されている。
この形態では、2つの第1ゲート制御配線17Aが異なる領域に引き回されている。また、2つの第2ゲート制御配線17Bが異なる領域に引き回されている。また、2つの第3ゲート制御配線17Cが異なる領域に引き回されている。
【0020】
第1ゲート制御配線17A、第2ゲート制御配線17Bおよび第3ゲート制御配線17Cは、同一のまたは異なるゲート制御信号をパワーMISFET9のゲートに伝達する。ゲート制御配線17の個数、配置、形状等は任意であり、ゲート制御信号の伝達距離や、伝達すべきゲート制御信号の数に応じて調整される。
ソース電極12、入力電極13、基準電圧電極14、ENABLE電極15、SENSE電極16およびゲート制御配線17は、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種をそれぞれ含んでいてもよい。
【0021】
ソース電極12、入力電極13、基準電圧電極14、ENABLE電極15、SENSE電極16およびゲート制御配線17は、Al-Si-Cu(アルミニウム-シリコン-銅)合金、Al-Si(アルミニウム-シリコン)合金、および、Al-Cu(アルミニウム-銅)合金のうちの少なくとも1種をそれぞれ含んでいてもよい。
ソース電極12、入力電極13、基準電圧電極14、ENABLE電極15、SENSE電極16およびゲート制御配線17は、同一種の電極材料を含んでいてもよいし、互いに異なる電極材料を含んでいてもよい。
【0022】
図2は、図1に示す半導体装置1の電気的構造を示すブロック回路図である。以下では、半導体装置1が車に搭載される場合を例にとって説明する。
半導体装置1は、ドレイン電極11、ソース電極12、入力電極13、基準電圧電極14、ENABLE電極15、SENSE電極16、ゲート制御配線17、パワーMISFET9およびコントロールIC10を含む。
【0023】
ドレイン電極11は、電源に接続される。ドレイン電極11は、パワーMISFET9およびコントロールIC10に電源電圧VBを提供する。電源電圧VBは、10V以上20V以下であってもよい。ソース電極12は、負荷に接続される。
入力電極13は、MCU(Micro Controller Unit)、DC/DCコンバータ、LDO(Low Drop Out)等に接続されてもよい。入力電極13は、コントロールIC10に入力電圧を提供する。入力電圧は、1V以上10V以下であってもよい。基準電圧電極14は、基準電圧配線に接続される。基準電圧電極14は、パワーMISFET9およびコントロールIC10に基準電圧を提供する。
【0024】
ENABLE電極15は、MCUに接続されてもよい。ENABLE電極15には、コントロールIC10の一部または全部の機能を有効または無効にするための電気信号が入力される。SENSE電極16は、抵抗器に接続されてもよい。
パワーMISFET9のゲートは、ゲート制御配線17を介してコントロールIC10(後述するゲート制御回路25)に接続されている。パワーMISFET9のドレインは、ドレイン電極11に接続されている。パワーMISFET9のソースは、コントロールIC10(後述する電流検出回路27)およびソース電極12に接続されている。
【0025】
コントロールIC10は、センサMISFET21、入力回路22、電流・電圧制御回路23、保護回路24、ゲート制御回路25、アクティブクランプ回路26、電流検出回路27、電源逆接続保護回路28および異常検出回路29を含む。
センサMISFET21のゲートは、ゲート制御回路25に接続されている。センサMISFET21のドレインは、ドレイン電極11に接続されている。センサMISFET21のソースは、電流検出回路27に接続されている。
【0026】
入力回路22は、入力電極13および電流・電圧制御回路23に接続されている。入力回路22は、シュミットトリガ回路を含んでいてもよい。入力回路22は、入力電極13に印加された電気信号の波形を整形する。入力回路22によって生成された信号は、電流・電圧制御回路23に入力される。
電流・電圧制御回路23は、保護回路24、ゲート制御回路25、電源逆接続保護回路28および異常検出回路29に接続されている。電流・電圧制御回路23は、ロジック回路を含んでいてもよい。
【0027】
電流・電圧制御回路23は、入力回路22からの電気信号および保護回路24からの電気信号に応じて、種々の電圧を生成する。電流・電圧制御回路23は、この形態では、駆動電圧生成回路30、第1定電圧生成回路31、第2定電圧生成回路32および基準電圧・基準電流生成回路33を含む。
駆動電圧生成回路30は、ゲート制御回路25を駆動するための駆動電圧を生成する。駆動電圧は、電源電圧VBから所定値を差し引いた値に設定されてもよい。駆動電圧生成回路30は、電源電圧VBから5Vを差し引いた5V以上15V以下の駆動電圧を生成してもよい。駆動電圧は、ゲート制御回路25に入力される。
【0028】
第1定電圧生成回路31は、保護回路24を駆動するための第1定電圧を生成する。第1定電圧生成回路31は、ツェナーダイオードやレギュレータ回路(ここではツェナーダイオード)を含んでいてもよい。第1定電圧は、1V以上5V以下であってもよい。第1定電圧は、保護回路24(より具体的には、後述する負荷オープン検出回路35等)に入力される。
【0029】
第2定電圧生成回路32は、保護回路24を駆動するための第2定電圧を生成する。第2定電圧生成回路32は、ツェナーダイオードやレギュレータ回路(ここではレギュレータ回路)を含んでいてもよい。第2定電圧は、1V以上5V以下であってもよい。第2定電圧は、保護回路24(より具体的には、後述する過熱保護回路36や低電圧誤動作抑制回路37)に入力される。
【0030】
基準電圧・基準電流生成回路33は、各種回路の基準電圧および基準電流を生成する。基準電圧は、1V以上5V以下であってもよい。基準電流は、1mA以上1A以下であってもよい。基準電圧および基準電流は、各種回路に入力される。各種回路がコンパレータを含む場合、基準電圧および基準電流は、当該コンパレータに入力されてもよい。
保護回路24は、電流・電圧制御回路23、ゲート制御回路25、異常検出回路29、パワーMISFET9のソースおよびセンサMISFET21のソースに接続されている。保護回路24は、過電流保護回路34、負荷オープン検出回路35、過熱保護回路36および低電圧誤動作抑制回路37を含む。
【0031】
過電流保護回路34は、過電流からパワーMISFET9を保護する。過電流保護回路34は、ゲート制御回路25およびセンサMISFET21のソースに接続されている。過電流保護回路34は、電流モニタ回路を含んでいてもよい。過電流保護回路34によって生成された信号は、ゲート制御回路25(より具体的には、後述する駆動信号出力回路40)に入力される。
【0032】
負荷オープン検出回路35は、パワーMISFET9のショート状態やオープン状態を検出する。負荷オープン検出回路35は、電流・電圧制御回路23およびパワーMISFET9のソースに接続されている。負荷オープン検出回路35によって生成された信号は、電流・電圧制御回路23に入力される。
過熱保護回路36は、パワーMISFET9の温度を監視し、過度な温度上昇からパワーMISFET9を保護する。過熱保護回路36は、電流・電圧制御回路23に接続されている。過熱保護回路36は、感温デバイスを含む。過熱保護回路36は、より具体的には、感温デバイスの一例としての感温ダイオードDTを含む。過熱保護回路36によって生成された信号は、電流・電圧制御回路23に入力される。
【0033】
低電圧誤動作抑制回路37は、電源電圧VBが所定値未満である場合にパワーMISFET9が誤動作するのを抑制する。低電圧誤動作抑制回路37は、電流・電圧制御回路23に接続されている。低電圧誤動作抑制回路37によって生成された信号は、電流・電圧制御回路23に入力される。
ゲート制御回路25は、パワーMISFET9のオン状態およびオフ状態、ならびに、センサMISFET21のオン状態およびオフ状態を制御する。ゲート制御回路25は、電流・電圧制御回路23、保護回路24、パワーMISFET9のゲートおよびセンサMISFET21のゲートに接続されている。
【0034】
ゲート制御回路25は、電流・電圧制御回路23からの電気信号および保護回路24からの電気信号に応じて、ゲート制御配線17の個数に応じた複数種のゲート制御信号を生成する。複数種のゲート制御信号は、ゲート制御配線17を介してパワーMISFET9のゲートおよびセンサMISFET21のゲートにそれぞれ入力される。
ゲート制御回路25は、より具体的には、発振回路38、チャージポンプ回路39および駆動信号出力回路40を含む。発振回路38は、電流・電圧制御回路23からの電気信号に応じて発振し、所定の電気信号を生成する。発振回路38によって生成された電気信号は、チャージポンプ回路39に入力される。チャージポンプ回路39は、発振回路38からの電気信号を昇圧させる。チャージポンプ回路39によって昇圧された電気信号は、駆動信号出力回路40に入力される。
【0035】
駆動信号出力回路40は、チャージポンプ回路39からの電気信号および保護回路24(より具体的には、過電流保護回路34)からの電気信号に応じて複数種のゲート制御信号を生成する。複数種のゲート制御信号は、ゲート制御配線17を介してパワーMISFET9のゲートおよびセンサMISFET21のゲートに入力される。センサMISFET21およびパワーMISFET9は、ゲート制御回路25によって同時に制御される。
【0036】
アクティブクランプ回路26は、逆起電力からパワーMISFET9を保護する。アクティブクランプ回路26は、ドレイン電極11、パワーMISFET9のゲートおよびセンサMISFET21のゲートに接続されている。アクティブクランプ回路26は、複数のダイオードを含んでいてもよい。
アクティブクランプ回路26は、互いにバイアス接続された複数のダイオードを含んでいてもよい。アクティブクランプ回路26は、互いに逆バイアス接続された複数のダイオードを含んでいてもよい。アクティブクランプ回路26は、互いにバイアス接続された複数のダイオード、および、互いに逆バイアス接続された複数のダイオードを含んでいてもよい。
【0037】
複数のダイオードは、pn接合ダイオード、または、ツェナーダイオード、もしくは、pn接合ダイオードおよびツェナーダイオードを含んでいてもよい。アクティブクランプ回路26は、互いにバイアス接続された複数のツェナーダイオードを含んでいてもよい。アクティブクランプ回路26は、互いに逆バイアス接続されたツェナーダイオードおよびpn接合ダイオードを含んでいてもよい。
【0038】
電流検出回路27は、パワーMISFET9およびセンサMISFET21を流れる電流を検出する。電流検出回路27は、保護回路24、異常検出回路29、パワーMISFET9のソースおよびセンサMISFET21のソースに接続されている。電流検出回路27は、パワーMISFET9によって生成された電気信号およびセンサMISFET21によって生成された電気信号に応じて、電流検出信号を生成する。電流検出信号は、異常検出回路29に入力される。
【0039】
電源逆接続保護回路28は、電源が逆接続された際に、逆電圧から電流・電圧制御回路23やパワーMISFET9等を保護する。電源逆接続保護回路28は、基準電圧電極14および電流・電圧制御回路23に接続されている。
異常検出回路29は、保護回路24の電圧を監視する。異常検出回路29は、電流・電圧制御回路23、保護回路24および電流検出回路27に接続されている。過電流保護回路34、負荷オープン検出回路35、過熱保護回路36および低電圧誤動作抑制回路37のいずれかに異常(電圧の変動等)が生じた場合、異常検出回路29は、保護回路24の電圧に応じた異常検出信号を生成し、外部に出力する。
【0040】
異常検出回路29は、より具体的には、第1マルチプレクサ回路41および第2マルチプレクサ回路42を含む。第1マルチプレクサ回路41は、2つの入力部、1つの出力部および1つの選択制御入力部を含む。第1マルチプレクサ回路41の入力部には、保護回路24および電流検出回路27がそれぞれ接続されている。第1マルチプレクサ回路41の出力部には、第2マルチプレクサ回路42が接続されている。第1マルチプレクサ回路41の選択制御入力部には、電流・電圧制御回路23が接続されている。
【0041】
第1マルチプレクサ回路41は、電流・電圧制御回路23からの電気信号、保護回路24からの電圧検出信号および電流検出回路27からの電流検出信号に応じて、異常検出信号を生成する。第1マルチプレクサ回路41によって生成された異常検出信号は、第2マルチプレクサ回路42に入力される。
第2マルチプレクサ回路42は、2つの入力部および1つの出力部を含む。第2マルチプレクサ回路42の入力部には、第2マルチプレクサ回路42の出力部およびENABLE電極15がそれぞれ接続されている。第2マルチプレクサ回路42の出力部には、SENSE電極16が接続されている。
【0042】
ENABLE電極15にMCUが接続され、SENSE電極16に抵抗器が接続されている場合、MCUからENABLE電極15にオン信号が入力され、SENSE電極16から異常検出信号が取り出される。異常検出信号は、SENSE電極16に接続された抵抗器によって電気信号に変換される。半導体装置1の状態異常は、この電気信号に基づいて検出される。
【0043】
図3は、図1に示す半導体装置1のアクティブクランプ動作を説明するための回路図である。図4は、図3に示す回路図の主要な電気信号の波形図である。
ここでは、パワーMISFET9に誘導性負荷Lが接続された回路例を用いて、半導体装置1の通常動作およびアクティブクランプ動作を説明する。ソレノイド、モータ、トランス、リレー等の巻線(コイル)を利用したデバイスが、誘導性負荷Lとして例示される。誘導性負荷Lは、L負荷とも称される。
【0044】
図3を参照して、パワーMISFET9のソースは、誘導性負荷Lに接続されている。パワーMISFET9のドレインは、ドレイン電極11に電気的に接続されている。パワーMISFET9のゲートおよびドレインは、アクティブクランプ回路26に接続されている。アクティブクランプ回路26は、この回路例では、m個(mは自然数)のツェナーダイオードDZおよびn個(nは自然数)のpn接合ダイオードDを含む。pn接合ダイオードDは、ツェナーダイオードDZに対して逆バイアス接続されている。
【0045】
図3および図4を参照して、オフ状態のパワーMISFET9のゲートにオン信号Vonが入力されると、パワーMISFET9がオフ状態からオン状態に切り替わる(通常動作)。オン信号Vonは、ゲート閾値電圧Vth以上(Vth≦Von)の電圧を有している。パワーMISFET9は、所定のオン時間TONだけ、オン状態に維持される。
パワーMISFET9がオン状態に切り替わると、ドレイン電流IDが、パワーMISFET9のドレインからソースに向けて流れ始める。ドレイン電流IDは、零から所定の値まで増加し、飽和する。誘導性負荷Lは、ドレイン電流IDの増加に起因して誘導性エネルギを蓄積させる。
【0046】
パワーMISFET9のゲートにオフ信号Voffが入力されると、パワーMISFET9がオン状態からオフ状態に切り替わる。オフ信号Voffは、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧(Voff<Vth)を有している。オフ信号Voffは、基準電圧(たとえばグランド電圧)であってもよい。
パワーMISFET9がオン状態からオフ状態に切り替わる遷移時では、誘導性負荷Lの誘導性エネルギが、逆起電力としてパワーMISFET9に印加される。これにより、パワーMISFET9がアクティブクランプ状態になる(アクティブクランプ動作)。パワーMISFET9がアクティブクランプ状態になると、ソース電圧VSSが、基準電圧(グランド電圧)未満の負電圧まで急激に下降する。
【0047】
このとき、ソース電圧VSSは、アクティブクランプ回路26の動作に起因して、電源電圧VBから制限電圧VLおよびクランプオン電圧VCLPを減算した電圧以上の電圧(VSS≧VB-VL-VCLP)に制限される。
換言すると、パワーMISFET9がアクティブクランプ状態になると、パワーMISFET9のドレイン・ソース間のドレイン電圧VDSは、クランプ電圧VDSSCLまで急激に上昇する。クランプ電圧VDSSCLは、パワーMISFET9およびアクティブクランプ回路26によって、クランプオン電圧VCLPおよび制限電圧VLを加算した電圧以下の電圧(VDS≦VCLP+VL)に制限される。
【0048】
制限電圧VLは、この形態では、アクティブクランプ回路26におけるツェナーダイオードDZの端子間電圧VZおよびpn接合ダイオードの端子間電圧VFの総和(VL=m・VZ+n・VF)である。
クランプオン電圧VCLPは、パワーMISFET9のゲート・ソース間に印加される正電圧(つまり、ゲート電圧VGS)である。クランプオン電圧VCLPは、ゲート閾値電圧Vth以上(Vth≦VCLP)である。したがって、パワーMISFET9は、アクティブクランプ状態においてオン状態を維持する。
【0049】
クランプ電圧VDSSCLが最大定格ドレイン電圧VDSSを超えた場合(VDSS<VDSSCL)、パワーMISFET9は破壊に至る。パワーMISFET9は、クランプ電圧VDSSCLが最大定格ドレイン電圧VDSS以下(VDSSCL≦VDSS)になるように設計される。
クランプ電圧VDSSCLが最大定格ドレイン電圧VDSS以下の場合(VDSSCL≦VDSS)、ドレイン電流IDがパワーMISFET9のドレインからソースに向けて流れ続け、誘導性負荷Lの誘導性エネルギがパワーMISFET9において消費(吸収)される。
【0050】
ドレイン電流IDは、アクティブクランプ時間TAVを経て、パワーMISFET9のオフ直前のピーク値IAVからゼロに減少する。これにより、ゲート電圧VGSが基準電圧(たとえばグランド電圧)になり、パワーMISFET9がオン状態からオフ状態に切り替わる。
パワーMISFET9のアクティブクランプ耐量Eacは、アクティブクランプ動作時におけるパワーMISFET9の耐量によって定義される。アクティブクランプ耐量Eacは、より具体的には、パワーMISFET9のオン状態からオフ状態への遷移時において、誘導性負荷Lの誘導性エネルギに起因して生じる逆起電力に対するパワーMISFET9の耐量によって定義される。
【0051】
アクティブクランプ耐量Eacは、さらに具体的には、クランプ電圧VDSSCLに起因して生じるエネルギに対するパワーMISFET9の耐量によって定義される。たとえば、アクティブクランプ耐量Eacは、制限電圧VL、クランプオン電圧VCLP、ドレイン電流IDおよびアクティブクランプ時間TAVを用いて、Eac=(VL+VCLP)×ID×TAVの式で表される。
【0052】
図5は、図1に示す領域Vの断面斜視図である。図6は、図5からソース電極12およびゲート制御配線17を取り除いた断面斜視図である。図7は、図6から層間絶縁層142を取り除いた断面斜視図であって、第1形態例に係るチャネル構造を含む形態を示す断面斜視図である。
図8は、図7の平面図である。図9は、図5に示す第1トレンチゲート構造60(第1ゲート構造)および第2トレンチゲート構造70(第2ゲート構造)を含む領域の拡大断面図である。図10は、図5に示す第1トレンチゲート構造60の拡大断面図である。図11は、図5に示す第2トレンチゲート構造70の拡大断面図である。
【0053】
図5図11を参照して、半導体層2は、この形態では、n型の半導体基板51およびn型のエピタキシャル層52を含む積層構造を有している。半導体基板51によって半導体層2の第2主面4が形成されている。エピタキシャル層52によって半導体層2の第1主面3が形成されている。半導体基板51およびエピタキシャル層52によって半導体層2の側面5A~5Dが形成されている。
【0054】
エピタキシャル層52は、半導体基板51のn型不純物濃度未満のn型不純物濃度を有している。半導体基板51のn型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下であってもよい。エピタキシャル層52のn型不純物濃度は、1×1015cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。
エピタキシャル層52は、半導体基板51の厚さTsub未満の厚さTepi(Tepi<Tsub)を有している。厚さTsubは、50μm以上450μm以下であってもよい。厚さTsubは、50μm以上150μm以下、150μm以上250μm以下、250μm以上350μm以下、または、350μm以上450μm以下であってもよい。
【0055】
厚さTsubを低減させることにより、抵抗値を低減できる。厚さTsubは、研削によって調整される。この場合、半導体層2の第2主面4は、研削痕を有する研削面であってもよい。
エピタキシャル層52の厚さTepiは、厚さTsubの1/10以下であることが好ましい。厚さTepiは、5μm以上20μm以下であってもよい。厚さTepiは、5μm以上10μm以下、10μm以上15μm以下、または、15μm以上20μm以下であってもよい。厚さTepiは、5μm以上15μm以下であることが好ましい。
【0056】
半導体基板51は、ドレイン領域53として半導体層2の第2主面4側に形成されている。エピタキシャル層52は、ドリフト領域54(ドレインドリフト領域)として半導体層2の第1主面3の表層部に形成されている。ドリフト領域54の底部は、半導体基板51およびエピタキシャル層52の境界によって形成されている。以下、エピタキシャル層52をドリフト領域54という。
【0057】
出力領域6において半導体層2の第1主面3の表層部には、p型のボディ領域55が形成されている。ボディ領域55は、パワーMISFET9の基礎となる領域である。ボディ領域55のp型不純物濃度は、1×1016cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。
ボディ領域55は、ドリフト領域54の表層部に形成されている。ボディ領域55の底部は、ドリフト領域54の底部に対して第1主面3側の領域に形成されている。ボディ領域55の厚さは、0.5μm以上2μm以下であってもよい。ボディ領域55の厚さは、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、または、1.5μm以上2μm以下であってもよい。
【0058】
パワーMISFET9は、第1MISFET56(第1トランジスタ)および第2MISFET57(第2トランジスタ)を含む。第1MISFET56は、第2MISFET57から電気的に分離されており、独立して制御される。第2MISFET57は、第1MISFET56から電気的に分離されており、独立して制御される。
つまり、パワーMISFET9は、第1MISFET56および第2MISFET57の双方がオン状態において駆動するように構成されている(Full-ON制御)。また、パワーMISFET9は、第1MISFET56がオン状態である一方で第2MISFET57がオフ状態で駆動するように構成されている(第1Half-ON制御)。さらに、パワーMISFET9は、第1MISFET56がオフ状態である一方で第2MISFET57がオン状態で駆動するように構成されている(第2Half-ON制御)。
【0059】
Full-ON制御の場合、全ての電流経路が解放された状態でパワーMISFET9が駆動される。したがって、半導体層2内のオン抵抗は相対的に低下する。一方、第1Half-ON制御または第2Half-ON制御の場合、一部の電流経路が遮断された状態でパワーMISFET9が駆動される。したがって、半導体層2内のオン抵抗は相対的に増加する。
【0060】
第1MISFET56は、より具体的には、複数の第1FET(Field Effect Transistor)構造58を含む。複数の第1FET構造58は、平面視において第1方向Xに沿って間隔を空けて配列され、第2方向Yに沿って帯状にそれぞれ延びている。複数の第1FET構造58は、平面視において全体としてストライプ状に形成されている。
図5図8では、第1FET構造58の一端部側の領域を図示し、第1FET構造58の他端部側の領域の図示を省略している。第1FET構造58の他端部側の領域の構造は、第1FET構造58の一端部側の領域の構造とほぼ同様である。以下では、第1FET構造58の一端部側の領域の構造を例にとって説明し、第1FET構造58の他端部側の領域の構造についての説明は省略する。
【0061】
各第1FET構造58は、この形態では、第1トレンチゲート構造60を含む。第1トレンチゲート構造60の第1幅WT1は、0.5μm以上5μm以下であってもよい。第1幅WT1は、第1トレンチゲート構造60が延びる方向(第2方向Y)に直交する方向(第1方向X)の幅である。
第1幅WT1は、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、1.5μm以上2μm以下、2μm以上2.5μm以下、2.5μm以上3μm以下、3μm以上3.5μm以下、3.5μm以上4μm以下、4μm以上4.5μm以下、または、4.5μm以上5μm以下であってもよい。第1幅WT1は、0.8μm以上1.2μm以下であることが好ましい。
【0062】
第1トレンチゲート構造60は、ボディ領域55を貫通し、ドリフト領域54に達している。第1トレンチゲート構造60の第1深さDT1は、1μm以上10μm以下であってもよい。第1深さDT1は、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。第1深さDT1は、2μm以上6μm以下であることが好ましい。
【0063】
第1トレンチゲート構造60は、一方側の第1側壁61、他方側の第2側壁62、ならびに、第1側壁61および第2側壁62を接続する底壁63を含む。以下では、第1側壁61、第2側壁62および底壁63を纏めて「内壁」または「外壁」ということがある。
半導体層2内において第1側壁61が第1主面3との間で成す角度(テーパ角)の絶対値は、90°を超えて95°以下(たとえば91°程度)であってもよい。半導体層2内において第2側壁62が第1主面3との間で成す角度(テーパ角)の絶対値は、90°を超えて95°以下(たとえば91°程度)であってもよい。第1トレンチゲート構造60は、断面視において第1主面3側から底壁63側に向けて第1幅WT1が狭まる先細り形状(テーパ形状)に形成されていてもよい。
【0064】
第1トレンチゲート構造60の底壁63は、ドリフト領域54の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。第1トレンチゲート構造60の底壁63は、ドリフト領域54の底部に向かう凸湾曲状(U字状)に形成されている。
第1トレンチゲート構造60の底壁63は、ドリフト領域54の底部に対して1μm以上10μm以下の第1間隔IT1を空けて第1主面3側の領域に位置している。第1間隔IT1は、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。第1間隔IT1は、1μm以上5μm以下であることが好ましい。
【0065】
第2MISFET57は、この形態では、複数の第2FET構造68を含む。複数の第2FET構造68は、平面視において第1方向Xに沿って間隔を空けて配列され、第2方向Yに沿って帯状にそれぞれ延びている。
複数の第2FET構造68は、複数の第1FET構造58と同一方向に沿って延びている。複数の第2FET構造68は、平面視において全体としてストライプ状に形成されている。複数の第2FET構造68は、この形態では、1個の第1FET構造58を挟む態様で複数の第1FET構造58と交互に配列されている。
【0066】
図5図8では、第2FET構造68の一端部側の領域を図示し、第2FET構造68の他端部側の領域の図示を省略している。第2FET構造68の他端部側の領域の構造は、第2FET構造68の一端部側の領域の構造とほぼ同様である。以下では、第2FET構造68の一端部側の領域の構造を例にとって説明し、第2FET構造68の他端部側の領域の構造についての説明は省略する。
【0067】
各第2FET構造68は、この形態では、第2トレンチゲート構造70を含む。第2トレンチゲート構造70の第2幅WT2は、0.5μm以上5μm以下であってもよい。第2幅WT2は、第2トレンチゲート構造70が延びる方向(第2方向Y)に直交する方向(第1方向X)の幅である。
第2幅WT2は、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、1.5μm以上2μm以下、2μm以上2.5μm以下、2.5μm以上3μm以下、3μm以上3.5μm以下、3.5μm以上4μm以下、4μm以上4.5μm以下、または、4.5μm以上5μm以下であってもよい。第2幅WT2は、0.8μm以上1.2μm以下であることが好ましい。
【0068】
第2トレンチゲート構造70の第2幅WT2は、第1トレンチゲート構造60の第1幅WT1以上(WT1≦WT2)であってもよい。第2幅WT2は、第1幅WT1以下(WT1≧WT2)であってもよい。第2幅WT2は、第1幅WT1とほぼ等しいことが好ましい(WT1=WT2)。
第2トレンチゲート構造70は、ボディ領域55を貫通し、ドリフト領域54に達している。第2トレンチゲート構造70の第2深さDT2は、1μm以上10μm以下であってもよい。第2深さDT2は、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。第2深さDT2は、2μm以上6μm以下であることが好ましい。
【0069】
第2トレンチゲート構造70の第2深さDT2は、第1トレンチゲート構造60の第1深さDT1以上(DT1≦DT2)であってもよい。第2深さDT2は、第1深さDT1以下(DT1≧DT2)であってもよい。第2深さDT2は、第1深さDT1とほぼ等しいことが好ましい(DT1=DT2)。
第2トレンチゲート構造70は、一方側の第1側壁71、他方側の第2側壁72、ならびに、第1側壁71および第2側壁72を接続する底壁73を含む。以下では、第1側壁71、第2側壁72および底壁73を纏めて「内壁」または「外壁」ということがある。
【0070】
半導体層2内において第1側壁71が第1主面3との間で成す角度(テーパ角)の絶対値は、90°を超えて95°以下(たとえば91°程度)であってもよい。半導体層2内において第2側壁72が第1主面3との間で成す角度(テーパ角)の絶対値は、90°を超えて95°以下(たとえば91°程度)であってもよい。第2トレンチゲート構造70は、断面視において第1主面3側から底壁73側に向けて第2幅WT2が狭まる先細り形状(テーパ形状)に形成されていてもよい。
【0071】
第2トレンチゲート構造70の底壁73は、ドリフト領域54の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。第2トレンチゲート構造70の底壁73は、ドリフト領域54の底部に向かう凸湾曲状(U字状)に形成されている。
第2トレンチゲート構造70の底壁73は、ドリフト領域54の底部に対して1μm以上10μm以下の第2間隔IT2を空けて第1主面3側の領域に位置している。第2間隔IT2は、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。第2間隔IT2は、1μm以上5μm以下であることが好ましい。
【0072】
複数の第1トレンチゲート構造60および複数の第2トレンチゲート構造70の間の領域には、セル領域75がそれぞれ区画されている。複数のセル領域75は、平面視において第1方向Xに沿って間隔を空けて配列され、第2方向Yに沿って帯状にそれぞれ延びている。複数のセル領域75は、第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70と同一方向に沿って延びている。複数のセル領域75は、平面視において全体としてストライプ状に形成されている。
【0073】
第1トレンチゲート構造60の外壁からは、ドリフト領域54内に第1空乏層が拡がる。第1空乏層は、第1トレンチゲート構造60の外壁から第1主面3に沿う方向および法線方向Zに向けて広がる。同様に、第2トレンチゲート構造70の外壁からは、ドリフト領域54内に第2空乏層が拡がる。第2空乏層は、第2トレンチゲート構造70の外壁から第1主面3に沿う方向および法線方向Zに向けて広がる。
【0074】
第2トレンチゲート構造70は、第2空乏層が第1空乏層に重なる態様で、第1トレンチゲート構造60から間隔を空けて配列されている。つまり、第2空乏層は、セル領域75において第2トレンチゲート構造70の底壁73に対して第1主面3側の領域で第1空乏層に重なる。このような構造によれば、第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70に電界が集中するのを抑制できるから、ブレークダウン電圧の低下を抑制できる。
【0075】
第2空乏層は、第2トレンチゲート構造70の底壁73に対してドリフト領域54の底部側の領域で第1空乏層に重なることが好ましい。このような構造によれば、第1トレンチゲート構造60の底壁63および第2トレンチゲート構造70の底壁73に電界が集中するのを抑制できるから、ブレークダウン電圧の低下を適切に抑制できる。
第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70の側壁間のピッチPSは、0.2μm以上2μm以下であってもよい。ピッチPSは、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61(第2側壁62)および第2トレンチゲート構造70の第2側壁72(第1側壁71)の間において、第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70が延びる方向(第2方向Y)に直交する方向(第1方向X)の距離である。
【0076】
ピッチPSは、0.2μm以上0.4μm以下、0.4μm以上0.6μm以下、0.6μm以上0.8μm以下、0.8μm以上1.0μm以下、1.0μm以上1.2μm以下、1.2μm以上1.4μm以下、1.4μm以上1.6μm以下、1.6μm以上1.8μm以下、または、1.8μm以上2.0μm以下であってもよい。ピッチPSは、0.3μm以上1.5μm以下であることが好ましい。
【0077】
第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70の中央部間のピッチPCは、1μm以上7μm以下であってもよい。ピッチPCは、第1トレンチゲート構造60の中央部および第2トレンチゲート構造70の中央部の間において、第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70が延びる方向(第2方向Y)に直交する方向(第1方向X)の距離である。
【0078】
ピッチPCは、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、4μm以上5μm以下、5μm以上6μm以下、または、6μm以上7μm以下であってもよい。ピッチPCは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
図9および図10を参照して、第1トレンチゲート構造60は、より具体的には、第1ゲートトレンチ81、第1絶縁層82および第1電極83を含む。第1ゲートトレンチ81は、第1主面3を第2主面4側に向けて掘り下げることによって形成されている。
【0079】
第1ゲートトレンチ81は、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61、第2側壁62および底壁63を区画している。以下では、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61、第2側壁62および底壁63を、第1ゲートトレンチ81の第1側壁61、第2側壁62および底壁63ともいう。
第1絶縁層82は、第1ゲートトレンチ81の内壁に沿って膜状に形成されている。第1絶縁層82は、第1ゲートトレンチ81内において凹状の空間を区画している。第1絶縁層82において第1ゲートトレンチ81の底壁63を被覆する部分は、第1ゲートトレンチ81の底壁63に倣って形成されている。これにより、第1絶縁層82は、第1ゲートトレンチ81内においてU字状に窪んだU字空間を区画している。
【0080】
第1絶縁層82は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)および酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも1種を含む。第1絶縁層82は、この形態では、SiO層からなる単層構造を有している。
第1絶縁層82は、第1ゲートトレンチ81の底壁63側から第1主面3側に向けてこの順に形成された第1底側絶縁層84および第1開口側絶縁層85を含む。
【0081】
第1底側絶縁層84は、第1ゲートトレンチ81の底壁63側の内壁を被覆している。第1底側絶縁層84は、より具体的には、ボディ領域55の底部に対して第1ゲートトレンチ81の底壁63側の内壁を被覆している。第1底側絶縁層84は、第1ゲートトレンチ81の底壁63側においてU字空間を区画している。第1底側絶縁層84は、U字空間を区画する平滑な内壁面を有している。第1底側絶縁層84は、ドリフト領域54に接している。第1底側絶縁層84の一部は、ボディ領域55に接していてもよい。
【0082】
第1開口側絶縁層85は、第1ゲートトレンチ81の開口側の内壁を被覆している。第1開口側絶縁層85は、より具体的には、ボディ領域55の底部に対して第1ゲートトレンチ81の開口側の領域において第1ゲートトレンチ81の第1側壁61および第2側壁62を被覆している。第1開口側絶縁層85は、ボディ領域55に接している。第1開口側絶縁層85の一部は、ドリフト領域54に接していてもよい。
【0083】
第1底側絶縁層84は、第1厚さT1を有している。第1開口側絶縁層85は、第1厚さT1未満の第2厚さT2(T2<T1)を有している。第1厚さT1は、第1底側絶縁層84において第1ゲートトレンチ81の内壁の法線方向に沿う厚さである。第2厚さT2は、第1開口側絶縁層85において第1ゲートトレンチ81の内壁の法線方向に沿う厚さである。
【0084】
第1ゲートトレンチ81の第1幅WT1に対する第1厚さT1の第1比T1/WT1は、0.1以上0.4以下であってもよい。第1比T1/WT1は、0.1以上0.15以下、0.15以上0.2以下、0.2以上0.25以下、0.25以上0.3以下、0.3以上0.35以下、または、0.35以上0.4以下であってもよい。第1比T1/WT1は、0.25以上0.35以下であることが好ましい。
【0085】
第1底側絶縁層84の第1厚さT1は、1500Å以上4000Å以下であってもよい。第1厚さT1は、1500Å以上2000Å以下、2000Å以上2500Å以下、2500Å以上3000Å以下、3000Å以上3500Å以下、または、3500Å以上4000Å以下であってもよい。第1厚さT1は、1800Å以上3500Å以下であることが好ましい。
【0086】
第1厚さT1は、第1ゲートトレンチ81の第1幅WT1に応じて、4000Å以上12000Å以下に調整されてもよい。第1厚さT1は、4000Å以上5000Å以下、5000Å以上6000Å以下、6000Å以上7000Å以下、7000Å以上8000Å以下、8000Å以上9000Å以下、9000Å以上10000Å以下、10000Å以上11000Å以下、または、11000Å以上12000Å以下であってもよい。この場合、第1底側絶縁層84の厚化によって半導体装置1の耐圧を高めることができる。
【0087】
第1開口側絶縁層85の第2厚さT2は、第1底側絶縁層84の第1厚さT1の1/100以上1/10以下であってもよい。第2厚さT2は、100Å以上500Å以下であってもよい。第2厚さT2は、100Å以上200Å以下、200Å以上300Å以下、300Å以上400Å以下、または、400Å以上500Å以下であってもよい。第2厚さT2は、200Å以上400Å以下であることが好ましい。
【0088】
第1底側絶縁層84は、第1ゲートトレンチ81の第1側壁61および第2側壁62を被覆する部分から第1ゲートトレンチ81の底壁63を被覆する部分に向けて第1厚さT1が減少する態様で形成されている。
第1底側絶縁層84において第1ゲートトレンチ81の底壁63を被覆する部分の厚さは、第1底側絶縁層84において第1ゲートトレンチ81の第1側壁61および第2側壁62を被覆する部分の厚さよりも小さい。第1底側絶縁層84によって区画されたU字空間の底壁側の開口幅は、第1厚さT1の減少分だけ拡張されている。これにより、U字空間の先細りが抑制されている。このようなU字空間は、たとえば、第1底側絶縁層84の内壁に対するエッチング法(たとえばウエットエッチング法)によって形成される。
【0089】
第1電極83は、第1絶縁層82を挟んで第1ゲートトレンチ81に埋め込まれている。第1電極83にはオン信号Vonおよびオフ信号Voffを含む第1ゲート制御信号(第1制御信号)が印加される。第1電極83は、この形態では、第1底側電極86、第1開口側電極87および第1中間絶縁層88を含む絶縁分離型のスプリット電極構造を有している。
【0090】
第1底側電極86は、第1絶縁層82を挟んで第1ゲートトレンチ81の底壁63側に埋設されている。第1底側電極86は、より具体的には、第1底側絶縁層84を挟んで第1ゲートトレンチ81の底壁63側に埋設されている。第1底側電極86は、第1底側絶縁層84を挟んでドリフト領域54に対向している。第1底側電極86の一部は、第1底側絶縁層84を挟んでボディ領域55に対向していてもよい。
【0091】
第1底側電極86は、第1上端部86A、第1下端部86Bおよび第1壁部86Cを含む。第1上端部86Aは、第1ゲートトレンチ81の開口側に位置している。第1下端部86Bは、第1ゲートトレンチ81の底壁63側に位置している。第1壁部86Cは、第1上端部86Aおよび第1下端部86Bを接続し、第1ゲートトレンチ81の内壁に沿って壁状に延びている。
【0092】
第1上端部86Aは、第1底側絶縁層84から露出している。第1上端部86Aは、第1底側絶縁層84に対して第1主面3側に突出している。これにより、第1底側電極86は、第1ゲートトレンチ81の開口側において、第1底側絶縁層84および第1開口側絶縁層85との間で、断面視において逆凹状のリセスを区画している。第1上端部86Aの幅は、第1壁部86Cの幅未満である。
【0093】
第1下端部86Bは、第1ゲートトレンチ81の底壁63に向かう凸湾曲状に形成されている。第1下端部86Bは、より具体的には、第1底側絶縁層84によって区画されたU字空間の底壁に倣って形成されており、第1ゲートトレンチ81の底壁63に向かう滑らかな凸湾曲状に形成されている。
このような構造によれば、第1底側電極86に対する局所的な電界集中を抑制できるから、ブレークダウン電圧の低下を抑制できる。特に、第1底側絶縁層84の拡張されたU字空間に第1底側電極86を埋設することにより、第1底側電極86が第1上端部86Aから第1下端部86Bに向けて先細り形状になることを適切に抑制できる。これにより、第1底側電極86の第1下端部86Bに対する局所的な電界集中を適切に抑制できる。
【0094】
第1底側電極86は、導電性ポリシリコン、タングステン、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。第1底側電極86は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。導電性ポリシリコンは、n型不純物またはp型不純物を含んでいてもよい。導電性ポリシリコンは、n型不純物を含むことが好ましい。
【0095】
第1開口側電極87は、第1絶縁層82を挟んで第1ゲートトレンチ81の開口側に埋設されている。第1開口側電極87は、より具体的には、第1開口側絶縁層85を挟んで第1ゲートトレンチ81の開口側に区画された逆凹状のリセスに埋設されている。第1開口側電極87は、第1開口側絶縁層85を挟んでボディ領域55に対向している。第1開口側電極87の一部は、第1開口側絶縁層85を挟んでドリフト領域54に対向していてもよい。
【0096】
第1開口側電極87は、導電性ポリシリコン、タングステン、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。第1開口側電極87は、第1底側電極86と同一種の導電材料を含むことが好ましい。第1開口側電極87は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。導電性ポリシリコンは、n型不純物またはp型不純物を含んでいてもよい。導電性ポリシリコンは、n型不純物を含むことが好ましい。
【0097】
第1中間絶縁層88は、第1底側電極86および第1開口側電極87の間に介在し、第1底側電極86および第1開口側電極87を電気的に絶縁している。第1中間絶縁層88は、より具体的には、第1底側電極86および第1開口側電極87の間の領域において第1底側絶縁層84から露出する第1底側電極86を被覆している。第1中間絶縁層88は、第1底側電極86の第1上端部86A(より具体的には突出部)を被覆している。第1中間絶縁層88は、第1絶縁層82(第1底側絶縁層84)に連なっている。
【0098】
第1中間絶縁層88は、第3厚さT3を有している。第3厚さT3は、第1底側絶縁層84の第1厚さT1未満(T3<T1)である。第3厚さT3は、第1厚さT1の1/100以上1/10以下であってもよい。第3厚さT3は、100Å以上500Å以下であってもよい。第3厚さT3は、100Å以上200Å以下、200Å以上300Å以下、300Å以上400Å以下、または、400Å以上500Å以下であってもよい。第3厚さT3は、200Å以上400Å以下であることが好ましい。
【0099】
第1中間絶縁層88は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)および酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも1種を含む。第1中間絶縁層88は、この形態では、SiO層からなる単層構造を有している。
第1開口側電極87において第1ゲートトレンチ81から露出する露出部は、この形態では、第1主面3に対して第1ゲートトレンチ81の底壁63側に位置している。第1開口側電極87の露出部は、第1ゲートトレンチ81の底壁63に向かう湾曲状に形成されている。
【0100】
第1開口側電極87の露出部は、膜状に形成された第1キャップ絶縁層89によって被覆されている。第1キャップ絶縁層89は、第1ゲートトレンチ81内において第1絶縁層82(第1開口側絶縁層85)に連なっている。第1キャップ絶縁層89は、酸化シリコン(SiO)を含んでいてもよい。
各第1FET構造58は、p型の第1チャネル領域91(第1チャネル)をさらに含む。第1チャネル領域91は、ボディ領域55において第1絶縁層82(第1開口側絶縁層85)を挟んで第1電極83(第1開口側電極87)に対向する領域に形成される。
【0101】
第1チャネル領域91は、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61または第2側壁62、もしくは、第1側壁61および第2側壁62に沿って形成されている。第1チャネル領域91は、この形態では、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61および第2側壁62に沿って形成されている。
各第1FET構造58は、ボディ領域55の表層部に形成されたn型の第1ソース領域92をさらに含む。第1ソース領域92は、ボディ領域55内においてドリフト領域54との間で第1チャネル領域91を画定する。第1ソース領域92のn型不純物濃度は、ドリフト領域54のn型不純物濃度を超えている。第1ソース領域92のn型不純物濃度は、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。
【0102】
各第1FET構造58は、この形態では、複数の第1ソース領域92を含む。複数の第1ソース領域92は、ボディ領域55の表層部において第1トレンチゲート構造60に沿って間隔を空けて形成されている。複数の第1ソース領域92は、より具体的には、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61または第2側壁62、もしくは、第1側壁61および第2側壁62に沿って形成されている。複数の第1ソース領域92は、この形態では、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61および第2側壁62に沿って間隔を空けて形成されている。
【0103】
複数の第1ソース領域92の底部は、ボディ領域55の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。これにより、複数の第1ソース領域92は、第1絶縁層82(第1開口側絶縁層85)を挟んで第1電極83(第1開口側電極87)に対向している。このようにして、第1MISFET56の第1チャネル領域91が、ボディ領域55において複数の第1ソース領域92およびドリフト領域54に挟まれた領域に形成される。
【0104】
第1ソース領域92の厚さは、0.01μm以上1.5μm以下であってもよい。第1ソース領域92の厚さは、0.01μm以上0.05μm以下、0.05μm以上0.1μm以下、0.1μm以上0.25μm以下、0.25μm以上0.5μm以下、0.5μm以上0.75μm以下、0.75μm以上1μm以下、1μm以上1.25μm以下、または、1.25μm以上1.5μm以下であってもよい。
【0105】
各第1FET構造58は、ボディ領域55の表層部に形成されたp型の第1コンタクト領域93をさらに含む。第1コンタクト領域93のp型不純物濃度は、ボディ領域55のp型不純物濃度を超えている。第1コンタクト領域93のp型不純物濃度は、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。
各第1FET構造58は、この形態では、複数の第1コンタクト領域93を含む。複数の第1コンタクト領域93は、ボディ領域55の表層部において第1トレンチゲート構造60に沿って間隔を空けて形成されている。複数の第1コンタクト領域93は、より具体的には、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61または第2側壁62、もしくは、第1側壁61および第2側壁62に沿って形成されている。
【0106】
複数の第1コンタクト領域93は、この形態では、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61および第2側壁62に沿って間隔を空けて形成されている。複数の第1コンタクト領域93は、より具体的には、複数の第1ソース領域92に対して交互の配列となる態様でボディ領域55の表層部に形成されている。複数の第1コンタクト領域93の底部は、ボディ領域55の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。
【0107】
第1コンタクト領域93の厚さは、0.01μm以上1.5μm以下であってもよい。第1コンタクト領域93の厚さは、0.01μm以上0.05μm以下、0.05μm以上0.1μm以下、0.1μm以上0.25μm以下、0.25μm以上0.5μm以下、0.5μm以上0.75μm以下、0.75μm以上1μm以下、1μm以上1.25μm以下、または、1.25μm以上1.5μm以下であってもよい。
【0108】
図9および図11を参照して、第2トレンチゲート構造70は、第2ゲートトレンチ101、第2絶縁層102および第2電極103を含む。第2ゲートトレンチ101は、第1主面3を第2主面4側に向けて掘り下げることによって形成されている。
第2ゲートトレンチ101は、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71、第2側壁72および底壁73を区画している。以下では、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71、第2側壁72および底壁73を、第2ゲートトレンチ101の第1側壁71、第2側壁72および底壁73ともいう。
【0109】
第2絶縁層102は、第2ゲートトレンチ101の内壁に沿って膜状に形成されている。第2絶縁層102は、第2ゲートトレンチ101内において凹状の空間を区画している。第2絶縁層102において第2ゲートトレンチ101の底壁73を被覆する部分は、第2ゲートトレンチ101の底壁73に倣って形成されている。これにより、第2絶縁層102は、第2ゲートトレンチ101内においてU字状に窪んだU字空間を区画している。
【0110】
第2絶縁層102は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)および酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも1種を含む。第2絶縁層102は、この形態では、SiO層からなる単層構造を有している。
第2絶縁層102は、第2ゲートトレンチ101の底壁73側から第1主面3側に向けてこの順に形成された第2底側絶縁層104および第2開口側絶縁層105を含む。
【0111】
第2底側絶縁層104は、第2ゲートトレンチ101の底壁73側の内壁を被覆している。第2底側絶縁層104は、より具体的には、ボディ領域55の底部に対して第2ゲートトレンチ101の底壁73側の内壁を被覆している。第2底側絶縁層104は、第2ゲートトレンチ101の底壁73側においてU字空間を区画している。第2底側絶縁層104は、U字空間を区画する平滑な内壁面を有している。第2底側絶縁層104は、ドリフト領域54に接している。第2底側絶縁層104の一部は、ボディ領域55に接していてもよい。
【0112】
第2開口側絶縁層105は、第2ゲートトレンチ101の開口側の内壁を被覆している。第2開口側絶縁層105は、より具体的には、ボディ領域55の底部に対して第2ゲートトレンチ101の開口側の領域において第2ゲートトレンチ101の第1側壁71および第2側壁72を被覆している。第2開口側絶縁層105は、ボディ領域55に接している。第2開口側絶縁層105の一部は、ドリフト領域54に接していてもよい。
【0113】
第2底側絶縁層104は、第4厚さT4を有している。第2開口側絶縁層105は、第4厚さT4未満の第5厚さT5(T5<T4)を有している。第4厚さT4は、第2底側絶縁層104において第2ゲートトレンチ101の内壁の法線方向に沿う厚さである。第5厚さT5は、第2開口側絶縁層105において第2ゲートトレンチ101の内壁の法線方向に沿う厚さである。
【0114】
第2ゲートトレンチ101の第2幅WT2に対する第4厚さT4の第2比T4/WT2は、0.1以上0.4以下であってもよい。第2比T4/WT2は、0.1以上0.15以下、0.15以上0.2以下、0.2以上0.25以下、0.25以上0.3以下、0.3以上0.35以下、または、0.35以上0.4以下であってもよい。第2比T4/WT2は、0.25以上0.35以下であることが好ましい。
【0115】
第2比T4/WT2は、第1比T1/WT1以下(T4/WT2≦T1/WT1)であってもよい。第2比T4/WT2は、第1比T1/WT1以上(T4/WT2≧T1/WT1)であってもよい。第2比T4/WT2は、第1比T1/WT1と等しくてもよい(T4/WT2=T1/WT1)。
第2底側絶縁層104の第4厚さT4は、1500Å以上4000Å以下であってもよい。第4厚さT4は、1500Å以上2000Å以下、2000Å以上2500Å以下、2500Å以上3000Å以下、3000Å以上3500Å以下、または、3500Å以上4000Å以下であってもよい。第4厚さT4は、1800Å以上3500Å以下であることが好ましい。
【0116】
第4厚さT4は、第2ゲートトレンチ101の第2幅WT2に応じて、4000Å以上12000Å以下であってもよい。第4厚さT4は、4000Å以上5000Å以下、5000Å以上6000Å以下、6000Å以上7000Å以下、7000Å以上8000Å以下、8000Å以上9000Å以下、9000Å以上10000Å以下、10000Å以上11000Å以下、または、11000Å以上12000Å以下であってもよい。この場合、第2底側絶縁層104の厚化によって半導体装置1の耐圧を高めることができる。
【0117】
第4厚さT4は、第1厚さT1以下(T4≦T1)であってもよい。第4厚さT4は、第1厚さT1以上(T4≧T1)であってもよい。第4厚さT4は、第1厚さT1と等しくてもよい(T4=T1)。
第2開口側絶縁層105の第5厚さT5は、第2底側絶縁層104の第4厚さT4未満(T5<T4)である。第5厚さT5は、第4厚さT4の1/100以上1/10以下であってもよい。100Å以上500Å以下であってもよい。第5厚さT5は、100Å以上200Å以下、200Å以上300Å以下、300Å以上400Å以下、または、400Å以上500Å以下であってもよい。第5厚さT5は、200Å以上400Å以下であることが好ましい。
【0118】
第5厚さT5は、第2厚さT2以下(T5≦T2)であってもよい。第5厚さT5は、第2厚さT2以上(T5≧T2)であってもよい。第5厚さT5は、第2厚さT2と等しくてもよい(T5=T2)。
第2底側絶縁層104は、第2ゲートトレンチ101の第1側壁71および第2側壁72を被覆する部分から第2ゲートトレンチ101の底壁73を被覆する部分に向けて第4厚さT4が減少する態様で形成されている。
【0119】
第2底側絶縁層104において第2ゲートトレンチ101の底壁73を被覆する部分の厚さは、第2底側絶縁層104において第2ゲートトレンチ101の第1側壁71および第2側壁72を被覆する部分の厚さよりも小さい。第2底側絶縁層104によって区画されたU字空間の底壁側の開口幅は、第4厚さT4の減少分だけ拡張されている。これにより、U字空間の先細りが抑制されている。このようなU字空間は、たとえば、第2底側絶縁層104の内壁に対するエッチング法(たとえばウエットエッチング法)によって形成される。
【0120】
第2電極103は、第2絶縁層102を挟んで第2ゲートトレンチ101に埋め込まれている。第2電極103にはオン信号Vonおよびオフ信号Voffを含む所定の第2ゲート制御信号(第2制御信号)が印加される。
第2電極103は、この形態では、第2底側電極106、第2開口側電極107および第2中間絶縁層108を含む絶縁分離型のスプリット電極構造を有している。第2底側電極106は、この形態では、第1底側電極86に電気的に接続されている。第2開口側電極107は、第1開口側電極87から電気的に絶縁されている。
【0121】
第2底側電極106は、第2絶縁層102を挟んで第2ゲートトレンチ101の底壁73側に埋設されている。第2底側電極106は、より具体的には、第2底側絶縁層104を挟んで第2ゲートトレンチ101の底壁73側に埋設されている。第2底側電極106は、第2底側絶縁層104を挟んでドリフト領域54に対向している。第2底側電極106の一部は、第2底側絶縁層104を挟んでボディ領域55に対向していてもよい。
【0122】
第2底側電極106は、第2上端部106A、第2下端部106Bおよび第2壁部106Cを含む。第2上端部106Aは、第2ゲートトレンチ101の開口側に位置している。第2下端部106Bは、第2ゲートトレンチ101の底壁73側に位置している。第2壁部106Cは、第2上端部106Aおよび第2下端部106Bを接続し、第2ゲートトレンチ101の内壁に沿って壁状に延びている。
【0123】
第2上端部106Aは、第2底側絶縁層104から露出している。第2上端部106Aは、第2底側絶縁層104に対して第1主面3側に突出している。これにより、第2底側電極106は、第2ゲートトレンチ101の開口側において、第2底側絶縁層104および第2開口側絶縁層105との間で、断面視において逆凹状のリセスを区画している。第2上端部106Aの幅は、第2壁部106Cの幅未満である。
【0124】
第2下端部106Bは、第2ゲートトレンチ101の底壁73に向かう凸湾曲状に形成されている。第2下端部106Bは、より具体的には、第2底側絶縁層104によって区画されたU字空間の底壁に倣って形成されており、第2ゲートトレンチ101の底壁73に向かう滑らかな凸湾曲状に形成されている。
このような構造によれば、第2底側電極106に対する局所的な電界集中を抑制できるから、ブレークダウン電圧の低下を抑制できる。特に、第2底側絶縁層104の拡張されたU字空間に第2底側電極106を埋設することにより、第2底側電極106が第2上端部106Aから第2下端部106Bに向けて先細り形状になることを適切に抑制できる。これにより、第2底側電極106の第2下端部106Bに対する局所的な電界集中を適切に抑制できる。
【0125】
第2底側電極106は、導電性ポリシリコン、タングステン、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。第2底側電極106は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。導電性ポリシリコンは、n型不純物またはp型不純物を含んでいてもよい。導電性ポリシリコンは、n型不純物を含むことが好ましい。
【0126】
第2開口側電極107は、第2絶縁層102を挟んで第2ゲートトレンチ101の開口側に埋設されている。第2開口側電極107は、より具体的には、第2開口側絶縁層105を挟んで第2ゲートトレンチ101の開口側に区画された逆凹状のリセスに埋設されている。第2開口側電極107は、第2開口側絶縁層105を挟んでボディ領域55に対向している。第2開口側電極107の一部は、第2開口側絶縁層105を挟んでドリフト領域54に対向していてもよい。
【0127】
第2開口側電極107は、導電性ポリシリコン、タングステン、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。第2開口側電極107は、第2底側電極106と同一種の導電材料を含むことが好ましい。第2開口側電極107は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。導電性ポリシリコンは、n型不純物またはp型不純物を含んでいてもよい。導電性ポリシリコンは、n型不純物を含むことが好ましい。
【0128】
第2中間絶縁層108は、第2底側電極106および第2開口側電極107の間に介在し、第2底側電極106および第2開口側電極107を電気的に絶縁している。第2中間絶縁層108は、より具体的には、第2底側電極106および第2開口側電極107の間の領域において第2底側絶縁層104から露出する第2底側電極106を被覆している。第2中間絶縁層108は、第2底側電極106の第2上端部106A(より具体的には突出部)を被覆している。第2中間絶縁層108は、第2絶縁層102(第2底側絶縁層104)に連なっている。
【0129】
第2中間絶縁層108は、第6厚さT6を有している。第6厚さT6は、第2底側絶縁層104の第4厚さT4未満(T6<T4)である。第6厚さT6は、第4厚さT4の1/100以上1/10以下であってもよい。第6厚さT6は、100Å以上500Å以下であってもよい。第6厚さT6は、100Å以上200Å以下、200Å以上300Å以下、300Å以上400Å以下、または、400Å以上500Å以下であってもよい。第6厚さT6は、200Å以上400Å以下であることが好ましい。
【0130】
第6厚さT6は、第3厚さT3以下(T6≦T3)であってもよい。第6厚さT6は、第3厚さT3以上(T6≧T3)であってもよい。第6厚さT6は、第3厚さT3と等しくてもよい(T6=T3)。
第2中間絶縁層108は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)および酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも1種を含む。第2中間絶縁層108は、この形態では、SiO層からなる単層構造を有している。
【0131】
第2開口側電極107において第2ゲートトレンチ101から露出する露出部は、この形態では、第1主面3に対して第2ゲートトレンチ101の底壁73側に位置している。第2開口側電極107の露出部は、第2ゲートトレンチ101の底壁73に向かう湾曲状に形成されている。
第2開口側電極107の露出部は、膜状に形成された第2キャップ絶縁層109によって被覆されている。第2キャップ絶縁層109は、第2ゲートトレンチ101内において第2絶縁層102(第2開口側絶縁層105)に連なっている。第2キャップ絶縁層109は、酸化シリコン(SiO)を含んでいてもよい。
【0132】
各第2FET構造68は、p型の第2チャネル領域111(第2チャネル)をさらに含む。第2チャネル領域111は、より具体的には、ボディ領域55において第2絶縁層102(第2開口側絶縁層105)を挟んで第2電極103(第2開口側電極107)に対向する領域に形成される。
第2チャネル領域111は、より具体的には、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71または第2側壁72、もしくは、第1側壁71および第2側壁72に沿って形成されている。第2チャネル領域111は、この形態では、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71および第2側壁72に沿って形成されている。
【0133】
各第2FET構造68は、ボディ領域55の表層部に形成されたn型の第2ソース領域112をさらに含む。第2ソース領域112は、ボディ領域55内においてドリフト領域54との間で第2チャネル領域111を画定する。
第2ソース領域112のn型不純物濃度は、ドリフト領域54のn型不純物濃度を超えている。第2ソース領域112のn型不純物濃度は、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。第2ソース領域112のn型不純物濃度は、第1ソース領域92のn型不純物濃度とほぼ等しいことが好ましい。
【0134】
各第2FET構造68は、この形態では、複数の第2ソース領域112を含む。複数の第2ソース領域112は、ボディ領域55の表層部において第2トレンチゲート構造70に沿って間隔を空けて形成されている。複数の第2ソース領域112は、より具体的には、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71または第2側壁72、もしくは、第1側壁71および第2側壁72に沿って形成されている。複数の第2ソース領域112は、この形態では、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71および第2側壁72に沿って間隔を空けて形成されている。
【0135】
各第2ソース領域112は、この形態では、第1方向Xに沿って各第1ソース領域92と対向している。各第2ソース領域112は、各第1ソース領域92と一体を成している。図7および図8では、第1ソース領域92および第2ソース領域112を境界線によって区別して示しているが、第1ソース領域92および第2ソース領域112の間の領域には、実際には明確な境界線はない。
【0136】
各第2ソース領域112は、第1方向Xに沿って各第1ソース領域92の一部または全部と対向しないように、各第1ソース領域92から第2方向Yにずれて形成されていてもよい。つまり、複数の第1ソース領域92および複数の第2ソース領域112は、平面視において千鳥状に配列されていてもよい。
複数の第2ソース領域112の底部は、ボディ領域55の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。これにより、複数の第2ソース領域112は、第2絶縁層102(第2開口側絶縁層105)を挟んで第2電極103(第2開口側電極107)に対向している。このようにして、第2MISFET57の第2チャネル領域111が、ボディ領域55において複数の第2ソース領域112およびドリフト領域54に挟まれた領域に形成される。
【0137】
第2ソース領域112の厚さは、0.01μm以上1.5μm以下であってもよい。第2ソース領域112の厚さは、0.01μm以上0.05μm以下、0.05μm以上0.1μm以下、0.1μm以上0.25μm以下、0.25μm以上0.5μm以下、0.5μm以上0.75μm以下、0.75μm以上1μm以下、1μm以上1.25μm以下、または、1.25μm以上1.5μm以下であってもよい。
【0138】
各第2FET構造68は、ボディ領域55の表層部に形成されたp型の第2コンタクト領域113をさらに含む。第2コンタクト領域113のp型不純物濃度は、ボディ領域55のp型不純物濃度を超えている。第2コンタクト領域113のp型不純物濃度は、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。第2コンタクト領域113のp型不純物濃度は、第1コンタクト領域93のp型不純物濃度とほぼ等しいことが好ましい。
【0139】
各第2FET構造68は、この形態では、複数の第2コンタクト領域113を含む。複数の第2コンタクト領域113は、ボディ領域55の表層部において第2トレンチゲート構造70に沿って間隔を空けて形成されている。複数の第2コンタクト領域113は、より具体的には、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71または第2側壁72、もしくは、第1側壁71および第2側壁72に沿って形成されている。複数の第2コンタクト領域113の底部は、ボディ領域55の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。
【0140】
複数の第2コンタクト領域113は、この形態では、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71および第2側壁72に沿って間隔を空けて形成されている。複数の第2コンタクト領域113は、より具体的には、複数の第2ソース領域112に対して交互の配列となる態様でボディ領域55の表層部に形成されている。
第2コンタクト領域113の厚さは、0.01μm以上1.5μm以下であってもよい。第2コンタクト領域113の厚さは、0.01μm以上0.05μm以下、0.05μm以上0.1μm以下、0.1μm以上0.25μm以下、0.25μm以上0.5μm以下、0.5μm以上0.75μm以下、0.75μm以上1μm以下、1μm以上1.25μm以下、または、1.25μm以上1.5μm以下であってもよい。
【0141】
図7および図8を参照して、各第2コンタクト領域113は、この形態では、第1方向Xに沿って各第1コンタクト領域93と対向している。各第2コンタクト領域113は、各第1コンタクト領域93と一体を成している。
図7では、第1ソース領域92および第2ソース領域112と区別するため、第1コンタクト領域93および第2コンタクト領域113を纏めて「p」の記号で示している。また、図8では、第1コンタクト領域93および第2コンタクト領域113を境界線によって区別して示しているが、第1コンタクト領域93および第2コンタクト領域113の間の領域には、実際には明確な境界線はない。
【0142】
各第2コンタクト領域113は、第1方向Xに沿って各第1コンタクト領域93の一部または全部と対向しないように、各第1コンタクト領域93から第2方向Yにずれて形成されていてもよい。つまり、複数の第1コンタクト領域93および複数の第2コンタクト領域113は、平面視において千鳥状に配列されていてもよい。
図7および図8を参照して、半導体層2の第1主面3において第1トレンチゲート構造60の一端部および第2トレンチゲート構造70の一端部の間の領域からは、この形態では、ボディ領域55が露出している。第1ソース領域92、第1コンタクト領域93、第2ソース領域112および第2コンタクト領域113は、第1主面3において第1トレンチゲート構造60の一端部および第2トレンチゲート構造70の一端部に挟まれた領域に形成されていない。
【0143】
同様に、図示はしないが、半導体層2の第1主面3において第1トレンチゲート構造60の他端部および第2トレンチゲート構造70の他端部の間の領域からは、この形態では、ボディ領域55が露出している。第1ソース領域92、第1コンタクト領域93、第2ソース領域112および第2コンタクト領域113は、第1トレンチゲート構造60の他端部および第2トレンチゲート構造70の他端部に挟まれた領域に形成されていない。
【0144】
図5図8を参照して、半導体層2の第1主面3には、複数(この形態では2つ)のトレンチコンタクト構造120が形成されている。複数のトレンチコンタクト構造120は、一方側のトレンチコンタクト構造120および他方側のトレンチコンタクト構造120を含む。
一方側のトレンチコンタクト構造120は、第1トレンチゲート構造60の一端部および第2トレンチゲート構造70の一端部側の領域に位置する。他方側のトレンチコンタクト構造120は、第1トレンチゲート構造60の他端部および第2トレンチゲート構造70の他端部側の領域に位置する。
【0145】
他方側のトレンチコンタクト構造120は、一方側のトレンチコンタクト構造120とほぼ同様の構造を有している。以下では、一方側のトレンチコンタクト構造120側の構造を例にとって説明し、他方側のトレンチコンタクト構造120側の構造についての具体的な説明は、省略される。
トレンチコンタクト構造120は、第1トレンチゲート構造60の一端部および第2トレンチゲート構造70の一端部に接続されている。トレンチコンタクト構造120は、この形態では、平面視において第1方向Xに沿って帯状に延びている。
【0146】
トレンチコンタクト構造120の幅WTCは、0.5μm以上5μm以下であってもよい。幅WTCは、トレンチコンタクト構造120が延びる方向(第1方向X)に直交する方向(第2方向Y)の幅である。
幅WTCは、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、1.5μm以上2μm以下、2μm以上2.5μm以下、2.5μm以上3μm以下、3μm以上3.5μm以下、3.5μm以上4μm以下、4μm以上4.5μm以下、または、4.5μm以上5μm以下であってもよい。幅WTCは、0.8μm以上1.2μm以下であることが好ましい。
【0147】
幅WTCは、第1トレンチゲート構造60の第1幅WT1とほぼ等しいことが好ましい(WTC=WT1)。幅WTCは、第2トレンチゲート構造70の第2幅WT2とほぼ等しいことが好ましい(WTC=WT2)。
トレンチコンタクト構造120は、ボディ領域55を貫通し、ドリフト領域54に達している。トレンチコンタクト構造120の深さDTCは、1μm以上10μm以下であってもよい。深さDTCは、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。深さDTCは、2μm以上6μm以下であることが好ましい。
【0148】
深さDTCは、第1トレンチゲート構造60の第1深さDT1とほぼ等しいことが好ましい(DTC=DT1)。深さDTCは、第2トレンチゲート構造70の第2深さDT2とほぼ等しいことが好ましい(DTC=DT2)。
トレンチコンタクト構造120は、一方側の第1側壁121、他方側の第2側壁122、ならびに、第1側壁121および第2側壁122を接続する底壁123を含む。以下では、第1側壁121、第2側壁122および底壁123を纏めて「内壁」ということがある。第1側壁121は、第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70に接続された接続面である。
【0149】
第1側壁121、第2側壁122および底壁123は、ドリフト領域54内に位置している。第1側壁121および第2側壁122は、法線方向Zに沿って延びている。第1側壁121および第2側壁122は、第1主面3に対して垂直に形成されていてもよい。
半導体層2内において第1側壁121が第1主面3との間で成す角度(テーパ角)の絶対値は、90°を超えて95°以下(たとえば91°程度)であってもよい。半導体層2内において第2側壁122が第1主面3との間で成す角度(テーパ角)の絶対値は、90°を超えて95°以下(たとえば91°程度)であってもよい。トレンチコンタクト構造120は、断面視において半導体層2の第1主面3側から底壁123側に向けて幅WTCが狭まる先細り形状(テーパ形状)に形成されていてもよい。
【0150】
底壁123は、ドリフト領域54の底部に対して第1主面3側の領域に位置している。底壁123は、ドリフト領域54の底部に向かう凸湾曲状に形成されている。底壁123は、ドリフト領域54の底部に対して1μm以上10μm以下の間隔ITCを空けて第1主面3側の領域に位置している。間隔ITCは、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。間隔ITCは、1μm以上5μm以下であることが好ましい。
【0151】
間隔ITCは、第1トレンチゲート構造60の第1間隔IT1とほぼ等しいことが好ましい(ITC=IT1)。間隔ITCは、第2トレンチゲート構造70の第2間隔IT2とほぼ等しいことが好ましい(ITC=IT2)。
トレンチコンタクト構造120は、コンタクトトレンチ131、コンタクト絶縁層132およびコンタクト電極133を含む。コンタクトトレンチ131は、半導体層2の第1主面3を第2主面4側に向けて掘り下げることによって形成されている。
【0152】
コンタクトトレンチ131は、トレンチコンタクト構造120の第1側壁121、第2側壁122および底壁123を区画している。以下では、トレンチコンタクト構造120の第1側壁121、第2側壁122および底壁123を、コンタクトトレンチ131の第1側壁121、第2側壁122および底壁123ともいう。
コンタクトトレンチ131の第1側壁121は、第1ゲートトレンチ81の第1側壁61および第2側壁62に連通している。コンタクトトレンチ131の第1側壁121は、第2ゲートトレンチ101の第1側壁71および第2側壁72に連通している。コンタクトトレンチ131は、第1ゲートトレンチ81および第2ゲートトレンチ101との間で1つのトレンチを形成している。
【0153】
コンタクト絶縁層132は、コンタクトトレンチ131の内壁に沿って膜状に形成されている。コンタクト絶縁層132は、コンタクトトレンチ131内において凹状の空間を区画している。コンタクト絶縁層132においてコンタクトトレンチ131の底壁123を被覆する部分は、コンタクトトレンチ131の底壁123に倣って形成されている。
コンタクト絶縁層132は、第1底側絶縁層84(第2底側絶縁層104)と同様の態様で、コンタクトトレンチ131内においてU字状に窪んだU字空間を区画している。つまり、コンタクト絶縁層132は、コンタクトトレンチ131の底壁123側の領域が拡張され、先細りが抑制されたU字空間を区画している。このようなU字空間は、たとえば、コンタクト絶縁層132の内壁に対するエッチング法(たとえばウエットエッチング法)によって形成される。
【0154】
コンタクト絶縁層132は、第7厚さT7を有している。第7厚さT7は、1500Å以上4000Å以下であってもよい。第7厚さT7は、1500Å以上2000Å以下、2000Å以上2500Å以下、2500Å以上3000Å以下、3000Å以上3500Å以下、または、3500Å以上4000Å以下であってもよい。第7厚さT7は、1800Å以上3500Å以下であることが好ましい。
【0155】
第7厚さT7は、トレンチコンタクト構造120の幅WTCに応じて、4000Å以上12000Å以下であってもよい。第7厚さT7は、4000Å以上5000Å以下、5000Å以上6000Å以下、6000Å以上7000Å以下、7000Å以上8000Å以下、8000Å以上9000Å以下、9000Å以上10000Å以下、10000Å以上11000Å以下、または、11000Å以上12000Å以下であってもよい。この場合、コンタクト絶縁層132の厚化によって半導体装置1の耐圧を高めることができる。
【0156】
第7厚さT7は、第1底側絶縁層84の第1厚さT1とほぼ等しいことが好ましい(T7=T1)。第7厚さT7は、第2底側絶縁層104の第4厚さT4とほぼ等しいことが好ましい(T7=T4)。
コンタクト絶縁層132は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)および酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも1種を含む。コンタクト絶縁層132は、第1絶縁層82(第2絶縁層102)と同一の絶縁材料からなることが好ましい。コンタクト絶縁層132は、この形態では、SiO層からなる単層構造を有している。
【0157】
コンタクト絶縁層132は、第1ゲートトレンチ81およびコンタクトトレンチ131の間の連通部において第1絶縁層82と一体を成している。コンタクト絶縁層132は、第2ゲートトレンチ101およびコンタクトトレンチ131の間の連通部において第2絶縁層102と一体を成している。
コンタクト絶縁層132は、この形態では、第1ゲートトレンチ81の一端部および第2ゲートトレンチ101の一端部に引き出された引き出し絶縁層132Aを有している。引き出し絶縁層132Aは、連通部を横切って第1ゲートトレンチ81の一端部の内壁を被覆している。引き出し絶縁層132Aは、連通部を横切って第2ゲートトレンチ101の一端部の内壁を被覆している。
【0158】
引き出し絶縁層132Aは、第1ゲートトレンチ81内において第1底側絶縁層84および第1開口側絶縁層85と一体を成している。引き出し絶縁層132Aは、第1ゲートトレンチ81の一端部の内壁において、第1底側絶縁層84と共にU字空間を区画している。
引き出し絶縁層132Aは、第2ゲートトレンチ101内において第2底側絶縁層104および第2開口側絶縁層105と一体を成している。引き出し絶縁層132Aは、第2ゲートトレンチ101の一端部の内壁において、第2底側絶縁層104と共にU字空間を区画している。
【0159】
コンタクト電極133は、コンタクト絶縁層132を挟んでコンタクトトレンチ131に埋め込まれている。コンタクト電極133は、第1電極83および第2電極103とは異なり、一体物としてコンタクトトレンチ131に埋め込まれている。コンタクト電極133は、コンタクトトレンチ131から露出する上端部、コンタクト絶縁層132に接する下端部を有している。
【0160】
コンタクト電極133の下端部は、第1底側電極86(第2底側電極106)と同様の態様で、コンタクトトレンチ131の底壁123に向かう凸湾曲状に形成されている。コンタクト電極133の下端部は、より具体的には、コンタクト絶縁層132によって区画されたU字空間の底壁に倣って形成されており、底壁123に向かう滑らかな凸湾曲状に形成されている。
【0161】
このような構造によれば、コンタクト電極133に対する局所的な電界集中を抑制できるから、ブレークダウン電圧の低下を抑制できる。特に、コンタクト絶縁層132の拡張されたU字空間にコンタクト電極133を埋設することにより、コンタクト電極133が上端部から下端部に向けて先細り形状になることを適切に抑制できる。これにより、コンタクト絶縁層132の下端部に対する局所的な電界集中を適切に抑制できる。
【0162】
コンタクト電極133は、第1ゲートトレンチ81およびコンタクトトレンチ131の間の接続部において第1底側電極86に電気的に接続されている。コンタクト電極133は、第2ゲートトレンチ101およびコンタクトトレンチ131の間の接続部において第2底側電極106に電気的に接続されている。これにより、第2底側電極106は、第1底側電極86に電気的に接続されている。
【0163】
コンタクト電極133は、より具体的には、第1ゲートトレンチ81の一端部および第2ゲートトレンチ101の一端部に引き出された引き出し電極133Aを有している。引き出し電極133Aは、第1ゲートトレンチ81およびコンタクトトレンチ131の間の連通部を横切って第1ゲートトレンチ81内に位置している。引き出し電極133Aは、さらに、第2ゲートトレンチ101およびコンタクトトレンチ131の間の連通部を横切って第2ゲートトレンチ101内に位置している。
【0164】
引き出し電極133Aは、第1ゲートトレンチ81内においてコンタクト絶縁層132によって区画されたU字空間に埋め込まれている。引き出し電極133Aは、第1ゲートトレンチ81内において第1底側電極86と一体を成している。これにより、コンタクト電極133は、第1底側電極86に電気的に接続されている。
第1ゲートトレンチ81内においてコンタクト電極133および第1開口側電極87の間には、第1中間絶縁層88が介在している。これにより、コンタクト電極133は、第1ゲートトレンチ81内において第1開口側電極87から電気的に絶縁されている。
【0165】
引き出し電極133Aは、第2ゲートトレンチ101内においてコンタクト絶縁層132によって区画されたU字空間に埋め込まれている。引き出し電極133Aは、第2ゲートトレンチ101内において第2底側電極106と一体を成している。これにより、コンタクト電極133は、第2底側電極106に電気的に接続されている。
第2ゲートトレンチ101内においてコンタクト電極133および第2開口側電極107の間には、第2中間絶縁層108が介在している。これにより、コンタクト電極133は、第2ゲートトレンチ101内において第2開口側電極107から電気的に絶縁されている。
【0166】
コンタクト電極133は、導電性ポリシリコン、タングステン、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。コンタクト電極133は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。導電性ポリシリコンは、n型不純物またはp型不純物を含んでいてもよい。導電性ポリシリコンは、n型不純物を含むことが好ましい。コンタクト電極133は、第1底側電極86および第2底側電極106と同一の導電材料を含むことが好ましい。
【0167】
コンタクト電極133においてコンタクトトレンチ131から露出する露出部は、この形態では、第1主面3に対してコンタクトトレンチ131の底壁123側に位置している。コンタクト電極133の露出部は、コンタクトトレンチ131の底壁123に向かう湾曲状に形成されている。
コンタクト電極133の露出部は、膜状に形成された第3キャップ絶縁層139によって被覆されている。第3キャップ絶縁層139は、コンタクトトレンチ131内においてコンタクト絶縁層132に連なっている。第3キャップ絶縁層139は、酸化シリコン(SiO)を含んでいてもよい。
【0168】
図5図11を参照して、半導体層2の第1主面3の上には、主面絶縁層141が形成されている。主面絶縁層141は、第1主面3を選択的に被覆している。主面絶縁層141は、第1絶縁層82、第2絶縁層102およびコンタクト絶縁層132に連なっている。主面絶縁層141は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)および酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも1種を含む。主面絶縁層141は、第1絶縁層82、第2絶縁層102およびコンタクト絶縁層132と同一の絶縁材料からなることが好ましい。主面絶縁層141は、この形態では、SiO層からなる単層構造を有している。
【0169】
主面絶縁層141の上には、層間絶縁層142が形成されている。層間絶縁層142は、主面絶縁層141の厚さを超える厚さを有していてもよい。層間絶縁層142は、主面絶縁層141のほぼ全域を被覆している。層間絶縁層142は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)および酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも1種を含む。
【0170】
層間絶縁層142は、この形態では、酸化シリコンの一例としてのUSG(Undoped Silica Glass)層を含む。層間絶縁層142は、USG層からなる単層構造を有していてもよい。層間絶縁層142は、平坦化された主面を有していてもよい。層間絶縁層142の主面は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって研削された研削面であってもよい。
【0171】
層間絶縁層142は、酸化シリコンの一例としてのPSG(Phosphor Silicate Glass)および/またはBPSG(Boron Phosphor Silicate Glass)を含んでいてもよい。層間絶縁層142は、半導体層2側からこの順に積層されたPSG層およびBPSG層を含む積層構造を有していてもよい。層間絶縁層142は、第1主面3側からこの順に積層されたBPSG層およびPSG層を含む積層構造を有していてもよい。
【0172】
図5および図6を参照して、出力領域6において層間絶縁層142には、第1プラグ電極143、第2プラグ電極144、第3プラグ電極145および第4プラグ電極146が埋め込まれている。この形態では、複数の第1プラグ電極143、複数の第2プラグ電極144、複数の第3プラグ電極145および複数の第4プラグ電極146が、層間絶縁層142に埋め込まれている。第1プラグ電極143、第2プラグ電極144、第3プラグ電極145および第4プラグ電極146は、タングステンをそれぞれ含んでいてもよい。
【0173】
複数の第1プラグ電極143は、層間絶縁層142において第1トレンチゲート構造60の第1開口側電極87を被覆する部分にそれぞれ埋め込まれている。複数の第1プラグ電極143は、この形態では、第1トレンチゲート構造60の一端部側の領域において層間絶縁層142を貫通し、1対1対応の関係で複数の第1開口側電極87に接続されている。
【0174】
むろん、1つの第1開口側電極87に対して複数の第1プラグ電極143が接続されていてもよい。図示は省略されるが、複数の第1プラグ電極143は、一端部側の領域と同様の態様で、層間絶縁層142において第1トレンチゲート構造60の他端部側の領域を被覆する部分にも埋め込まれている。
複数の第1プラグ電極143は、この形態では、第1方向Xに沿って一列に間隔を空けて配列されている。各第1プラグ電極143は、平面視において三角形状、四角形状、五角形状、六角形状等の多角形状、もしくは、円形状または楕円形状に形成されていてもよい。各第1プラグ電極143は、この形態では、平面視において四角形状に形成されている。
【0175】
複数の第2プラグ電極144は、層間絶縁層142において第2トレンチゲート構造70の第2開口側電極107を被覆する部分にそれぞれ埋め込まれている。複数の第2プラグ電極144は、この形態では、第2トレンチゲート構造70の一端部側の領域において層間絶縁層142を貫通し、1対1対応の関係で複数の第2開口側電極107に接続されている。
【0176】
むろん、1つの第2開口側電極107に対して複数の第2プラグ電極144が接続されていてもよい。図示は省略されるが、複数の第2プラグ電極144は、一端部側の領域と同様の態様で、層間絶縁層142において第2トレンチゲート構造70の他端部側の領域を被覆する部分にも埋め込まれている。
複数の第2プラグ電極144は、この形態では、第1方向Xに沿って一列に間隔を空けて配列されている。各第2プラグ電極144は、平面視において三角形状、四角形状、五角形状、六角形状等の多角形状、もしくは、円形状または楕円形状に形成されていてもよい。各第2プラグ電極144は、この形態では、平面視において四角形状に形成されている。
【0177】
複数の第3プラグ電極145は、層間絶縁層142においてコンタクト電極133を被覆する部分にそれぞれ埋め込まれている。複数の第3プラグ電極145は、層間絶縁層142を貫通し、コンタクト電極133に接続されている。
図示は省略されるが、複数の第3プラグ電極145は、一端部側の領域と同様の態様で、層間絶縁層142において他方側のトレンチコンタクト構造120のコンタクト電極133を被覆する部分にも埋め込まれている。
【0178】
複数の第3プラグ電極145は、この形態では、第1方向Xに沿って一列に間隔を空けて配列されている。各第3プラグ電極145は、平面視において三角形状、四角形状、五角形状、六角形状等の多角形状、もしくは、円形状または楕円形状に形成されていてもよい。各第3プラグ電極145は、この形態では、平面視において四角形状に形成されている。
【0179】
複数の第4プラグ電極146は、層間絶縁層142において複数のセル領域75を被覆する部分にそれぞれ埋め込まれている。各第4プラグ電極146は、層間絶縁層142を貫通し、各セル領域75にそれぞれ接続されている。各第4プラグ電極146は、より具体的には、各セル領域75において、第1ソース領域92、第1コンタクト領域93、第2ソース領域112および第2コンタクト領域113に電気的に接続されている。
【0180】
各第4プラグ電極146は、平面視において各セル領域75に沿って延びる帯状に形成されている。各第4プラグ電極146の第2方向Yの長さは、各セル領域75の第2方向Yの長さ未満であってもよい。
むろん、各セル領域75には、複数の第4プラグ電極146が接続されていてもよい。この場合、複数の第4プラグ電極146は、各セル領域75に沿って間隔を空けて形成される。さらにこの場合、各第4プラグ電極146は、平面視において三角形状、四角形状、五角形状、六角形状等の多角形状、もしくは、円形状または楕円形状に形成されていてもよい。
【0181】
出力領域6において層間絶縁層142の上には、前述のソース電極12およびゲート制御配線17が形成されている。ソース電極12は、層間絶縁層142の上において複数の第4プラグ電極146に一括して電気的に接続されている。ソース電極12には、基準電圧(たとえばグランド電圧)が印加される。基準電圧は、複数の第4プラグ電極146を介して第1ソース領域92、第1コンタクト領域93、第2ソース領域112および第2コンタクト領域113に伝達される。
【0182】
ゲート制御配線17のうちの第1ゲート制御配線17Aは、層間絶縁層142の上において複数の第1プラグ電極143に電気的に接続されている。第1ゲート制御配線17Aには、コントロールIC10からのゲート制御信号が入力される。ゲート制御信号は、第1ゲート制御配線17Aおよび複数の第1プラグ電極143を介して第1開口側電極87に伝達される。
【0183】
ゲート制御配線17のうちの第2ゲート制御配線17Bは、層間絶縁層142の上において複数の第2プラグ電極144に電気的に接続されている。第2ゲート制御配線17Bには、コントロールIC10からのゲート制御信号が入力される。ゲート制御信号は、第2ゲート制御配線17Bおよび複数の第2プラグ電極144を介して第2開口側電極107に伝達される。
【0184】
ゲート制御配線17のうちの第3ゲート制御配線17Cは、層間絶縁層142の上において複数の第3プラグ電極145に電気的に接続されている。第3ゲート制御配線17Cには、コントロールIC10からのゲート制御信号が入力される。ゲート制御信号は、第3ゲート制御配線17Cおよび複数の第3プラグ電極145を介してコンタクト電極133に伝達される。つまり、コントロールIC10からのゲート制御信号は、コンタクト電極133を介して第1底側電極86および第2底側電極106に伝達される。
【0185】
第1MISFET56(第1トレンチゲート構造60)および第2MISFET57(第2トレンチゲート構造70)が共にオフ状態に制御される場合、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111は共にオフ状態に制御される。
第1MISFET56および第2MISFET57が共にオン状態に制御される場合、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111は共にオン状態に制御される(Full-ON制御)。
【0186】
第1MISFET56がオン状態に制御される一方で、第2MISFET57がオフ状態に制御される場合、第1チャネル領域91はオン状態に制御され、第2チャネル領域111はオフ状態に制御される(第1Half-ON制御)。
第1MISFET56がオフ状態に制御される一方で、第2MISFET57がオン状態に制御される場合、第1チャネル領域91はオフ状態に制御され、第2チャネル領域111はオン状態に制御される(第2Half-ON制御)。
【0187】
このようにして、パワーMISFET9では、1つの出力領域6に形成された第1MISFET56および第2MISFET57を利用して、Full-ON制御、第1Half-ON制御および第2Half-ON制御を含む複数種の制御が実現される。
第1MISFET56を駆動させるとき(つまり、ゲートのオン制御時)、第1底側電極86にオン信号Vonが印加され、第1開口側電極87にオン信号Vonが印加されてもよい。この場合、第1底側電極86および第1開口側電極87は、ゲート電極として機能する。
【0188】
これにより、第1底側電極86および第1開口側電極87の間の電圧降下を抑制できるから、第1底側電極86および第1開口側電極87の間の電界集中を抑制できる。また、半導体層2のオン抵抗を低下させることができるから、消費電力の低減を図ることができる。
第1MISFET56を駆動させるとき(つまり、ゲートのオン制御時)、第1底側電極86にオフ信号Voff(たとえば基準電圧)が印加され、第1開口側電極87にオン信号Vonが印加されてもよい。この場合、第1底側電極86がフィールド電極として機能する一方で、第1開口側電極87がゲート電極として機能する。これにより、寄生容量を低下させることができるから、スイッチング速度の向上を図ることができる。
【0189】
第2MISFET57を駆動させるとき(つまり、ゲートのオン制御時)、第2底側電極106にオン信号Vonが印加され、第2開口側電極107にオン信号Vonが印加されてもよい。この場合、第2底側電極106および第2開口側電極107は、ゲート電極として機能する。
これにより、第2底側電極106および第2開口側電極107の間の電圧降下を抑制できるから、第2底側電極106および第2開口側電極107の間の電界集中を抑制できる。また、半導体層2のオン抵抗を低下させることができるから、消費電力の低減を図ることができる。
【0190】
第2MISFET57を駆動させるとき(つまり、ゲートのオン制御時)、第2底側電極106にオフ信号Voff(基準電圧)が印加され、第2開口側電極107にオン信号Vonが印加されてもよい。この場合、第2底側電極106がフィールド電極として機能する一方で、第2開口側電極107がゲート電極として機能する。これにより、寄生容量を低下させることができるから、スイッチング速度の向上を図ることができる。
【0191】
図7および図8を参照して、第1チャネル領域91は、各セル領域75において第1チャネル面積S1で形成されている。第1チャネル面積S1は、各セル領域75に形成された複数の第1ソース領域92のトータル平面面積によって定義される。
第1チャネル領域91は、各セル領域75において第1チャネル割合R1(第1割合)で形成されている。第1チャネル割合R1は、各セル領域75の平面面積を100%としたとき、各セル領域75において第1チャネル面積S1が占める割合である。
【0192】
第1チャネル割合R1は、0%以上50%以下の範囲で調整される。第1チャネル割合R1は、0%以上5%以下、5%以上10%以下、10%以上15%以下、15%以上20%以下、20%以上25%以下、25%以上30%以下、30%以上35%以下、35%以上40%以下、40%以上45%以下、または、45%以上50%以下であってもよい。第1チャネル割合R1は、10%以上35%以下であることが好ましい。
【0193】
第1チャネル割合R1が50%の場合、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61および第2側壁62のほぼ全域に第1ソース領域92が形成される。この場合、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61および第2側壁62に第1コンタクト領域93は形成されない。第1チャネル割合R1は、50%未満であることが好ましい。
第1チャネル割合R1が0%の場合、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61および第2側壁62に第1ソース領域92は形成されない。この場合、第1トレンチゲート構造60の第1側壁61および第2側壁62にボディ領域55および/または第1コンタクト領域93だけが形成される。第1チャネル割合R1は、0%を超えることが好ましい。この形態では、第1チャネル割合R1が25%である例が示されている。
【0194】
第2チャネル領域111は、各セル領域75において第2チャネル面積S2で形成されている。第2チャネル面積S2は、各セル領域75に形成された複数の第2ソース領域112のトータル平面面積によって定義される。
第2チャネル領域111は、各セル領域75において第2チャネル割合R2(第2割合)で形成されている。第2チャネル割合R2は、各セル領域75の平面面積を100%としたとき、各セル領域75において第2チャネル面積S2が占める割合である。
【0195】
第2チャネル割合R2は、0%以上50%以下の範囲で調整される。第2チャネル割合R2は、0%以上5%以下、5%以上10%以下、10%以上15%以下、15%以上20%以下、20%以上25%以下、25%以上30%以下、30%以上35%以下、35%以上40%以下、40%以上45%以下、または、45%以上50%以下であってもよい。第2チャネル割合R2は、10%以上35%以下であることが好ましい。
【0196】
第2チャネル割合R2が50%の場合、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71および第2側壁72のほぼ全域に第2ソース領域112が形成される。この場合、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71および第2側壁72に第2コンタクト領域113は形成されない。第2チャネル割合R2は、50%未満であることが好ましい。
第2チャネル割合R2が0%の場合、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71および第2側壁72に第2ソース領域112は形成されない。この場合、第2トレンチゲート構造70の第1側壁71および第2側壁72にボディ領域55および/または第2コンタクト領域113だけが形成される。第2チャネル割合R2は、0%を超えることが好ましい。この形態では、第2チャネル割合R2が25%である例が示されている。
【0197】
このように、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111は、各セル領域75において0%以上100%以下(好ましくは0%を超えて100%未満)の総チャネル割合RT(RT=R1+R2)で形成される。
各セル領域75における総チャネル割合RTは、この形態では、50%である。この形態では、全ての総チャネル割合RTがほぼ等しい値に設定されている。したがって、出力領域6内(単位面積)における平均チャネル割合RAVは50%となる。平均チャネル割合RAVは、全ての総チャネル割合RTの和を、総チャネル割合RTの総数で除したものである。
【0198】
以下、図12Aおよび図12Bに、平均チャネル割合RAVを調整した場合の形態例を示す。図12Aは、図7に対応する領域の断面斜視図であって、第2形態例に係るチャネル構造を含む形態を示す断面斜視図である。図12Bは、図7に対応する領域の断面斜視図であって、第3形態例に係るチャネル構造を含む形態を示す断面斜視図である。
図12Aでは、平均チャネル割合RAVが約66%に調整された場合の形態例が示されている。各セル領域75の総チャネル割合RTは、約66%である。図12Bでは、平均チャネル割合RAVが33%に調整された場合の形態例が示されている。各セル領域75の総チャネル割合RTは、33%である。
【0199】
総チャネル割合RTは、セル領域75毎に調整されてもよい。つまり、異なる値をそれぞれ有する複数の総チャネル割合RTがセル領域75毎に適用されてもよい。総チャネル割合RTは、半導体層2の温度上昇に関係している。たとえば、総チャネル割合RTを増加させると、半導体層2の温度が上昇し易くなる。一方で、総チャネル割合RTを減少させると、半導体層2の温度が上昇し難くなる。
【0200】
これを利用して、総チャネル割合RTは、半導体層2の温度分布に応じて調整されてもよい。たとえば、半導体層2において温度が高まり易い領域の総チャネル割合RTを比較的小さくし、半導体層2において温度が高まり難い領域の総チャネル割合RTを比較的大きくしてもよい。
半導体層2において温度が高まり易い領域として、出力領域6の中央部を例示できる。半導体層2において温度が高まり難い領域として、出力領域6の周縁部を例示できる。むろん、半導体層2の温度分布に応じて総チャネル割合RTを調整しながら、平均チャネル割合RAVが調整されてもよい。
【0201】
20%以上40%以下(たとえば25%)の総チャネル割合RTを有するセル領域75を、温度が高まり易い領域(たとえば中央部)に複数集約させてもよい。60%以上80%以下(たとえば75%)の総チャネル割合RTを有するセル領域75を、温度が高まり難い領域(たとえば周縁部)に複数集約させてもよい。40%を超えて60%未満(たとえば50%)の総チャネル割合RTを有するセル領域75を、温度が高まり易い領域および温度が高まり難い領域の間の領域に複数集約させてもよい。
【0202】
さらに、20%以上40%以下の総チャネル割合RT、40%以上60%以下の総チャネル割合RTおよび60%以上80%以下の総チャネル割合RTが、規則的な配列で、複数のセル領域75に適用されてもよい。
一例として、25%(low)→50%(middle)→75%(high)の順に繰り返す3種の総チャネル割合RTが、複数のセル領域75に適用されてもよい。この場合、平均チャネル割合RAVは、50%に調整されてもよい。このような構造の場合、比較的簡単な設計で、半導体層2の温度分布に偏りが形成されるのを抑制できる。このような構造を適用した具体的な形態は、次の実施形態に示される。
【0203】
図13は、アクティブクランプ耐量Eacおよび面積抵抗率Ron・Aの関係を実測によって調べたグラフである。図13のグラフは、第1MISFET56および第2MISFET57を同時にオン状態およびオフ状態に制御した場合の特性を示している。
図13において、縦軸はアクティブクランプ耐量Eac[mJ/mm]を示し、横軸は面積抵抗率Ron・A[mΩ・mm]を示している。アクティブクランプ耐量Eacは、図3において述べた通り、逆起電力に対する耐量である。面積抵抗率Ron・Aは、通常動作時における半導体層2内のオン抵抗を表している。
【0204】
図13には、第1プロット点P1、第2プロット点P2、第3プロット点P3および第4プロット点P4が示されている。第1プロット点P1、第2プロット点P2、第3プロット点P3および第4プロット点P4は、平均チャネル割合RAV(つまり、各セル領域75に占める総チャネル割合RT)が66%、50%、33%および25%に調整された場合の特性をそれぞれ示している。
【0205】
平均チャネル割合RAVを増加させた場合、通常動作時において面積抵抗率Ron・Aが低下し、アクティブクランプ動作時においてアクティブクランプ耐量Eacが低下した。これとは反対に、平均チャネル割合RAVを低下させた場合、通常動作時において面積抵抗率Ron・Aが増加し、アクティブクランプ動作時においてアクティブクランプ耐量Eacが向上した。
【0206】
面積抵抗率Ron・Aを鑑みると、平均チャネル割合RAVは33%以上(より具体的には33%以上100%未満)であることが好ましい。アクティブクランプ耐量Eacを鑑みると、平均チャネル割合RAVは33%未満(より具体的には0%を超えて33%未満)であることが好ましい。
平均チャネル割合RAVの増加に起因して面積抵抗率Ron・Aが低下したのは、電流経路が増加したためである。平均チャネル割合RAVの増加に起因してアクティブクランプ耐量Eacが低下したのは、逆起電力に起因する急激な温度上昇が引き起こされたためである。
【0207】
とりわけ、平均チャネル割合RAV(総チャネル割合RT)が比較的大きい場合には、互いに隣り合う第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70の間の領域において局所的かつ急激な温度上昇が発生する可能性が高まる。アクティブクランプ耐量Eacは、この種の温度上昇に起因して低下したと考えられる。
一方、平均チャネル割合RAVの低下に起因して面積抵抗率Ron・Aが増加したのは、電流経路が縮小したためである。平均チャネル割合RAVの低下に起因してアクティブクランプ耐量Eacが向上したのは、平均チャネル割合RAV(総チャネル割合RT)が比較的小さくなり、局所的かつ急激な温度上昇が抑制されたためと考えられる。
【0208】
図13のグラフの結果から、平均チャネル割合RAV(総チャネル割合RT)に基づく調整法にはトレードオフの関係が存在するため、当該トレードオフの関係から切り離して優れた面積抵抗率Ron・Aおよび優れたアクティブクランプ耐量Eacを両立することは困難であることが分かる。
この一方、図13のグラフの結果から、パワーMISFET9において、通常動作時に第1プロット点P1(RAV=66%)に近づく動作をさせ、アクティブクランプ動作時に第4プロット点P4(RAV=25%)に近づく動作をさせることにより、優れた面積抵抗率Ron・Aおよび優れたアクティブクランプ耐量Eacを両立できることが分かる。そこで、この形態では、以下の制御が実施される。
【0209】
図14Aは、図1に示す半導体装置1の第1制御例に係る通常動作を説明するための断面斜視図である。図14Bは、図1に示す半導体装置1の第1制御例に係るアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。図14Aおよび図14Bでは、説明の便宜上、第1主面3の上の構造を省略し、ゲート制御配線17を簡略化している。
図14Aを参照して、パワーMISFET9の通常動作時では、第1ゲート制御配線17Aに第1オン信号Von1が入力され、第2ゲート制御配線17Bに第2オン信号Von2が入力され、第3ゲート制御配線17Cに第3オン信号Von3が入力される。
【0210】
第1オン信号Von1、第2オン信号Von2および第3オン信号Von3は、コントロールIC10からそれぞれ入力される。第1オン信号Von1、第2オン信号Von2および第3オン信号Von3は、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧をそれぞれ有している。第1オン信号Von1、第2オン信号Von2および第3オン信号Von3は、ほぼ等しい電圧をそれぞれ有していてもよい。
【0211】
この場合、第1開口側電極87、第2開口側電極107、第1底側電極86および第2底側電極106がそれぞれオン状態になる。つまり、第1開口側電極87、第2開口側電極107、第1底側電極86および第2底側電極106は、ゲート電極としてそれぞれ機能する。
これにより、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111は共にオン状態に制御される。図14Aでは、オン状態の第1チャネル領域91および第2チャネル領域111がドット状のハッチングによって示されている。
【0212】
その結果、第1MISFET56および第2MISFET57の双方が駆動される(Full-ON制御)。通常動作時のチャネル利用率RUは、100%である。通常動作時の特性チャネル割合RCは、50%である。チャネル利用率RUは、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111のうちオン状態に制御されている第1チャネル領域91および第2チャネル領域111の割合である。
【0213】
特性チャネル割合RCは、平均チャネル割合RAVにチャネル利用率RUを乗じた値(RC=RAV×RU)である。パワーMISFET9の特性(面積抵抗率Ron・Aおよびアクティブクランプ耐量Eac)は、特性チャネル割合RCに基づいて定められる。これにより、面積抵抗率Ron・Aは、図13のグラフにおいて第2プロット点P2で示された面積抵抗率Ron・Aに近づく。
【0214】
一方、図14Bを参照して、パワーMISFET9のアクティブクランプ動作時では、第1ゲート制御配線17Aにオフ信号Voffが入力され、第2ゲート制御配線17Bに第1クランプオン信号VCon1が入力され、第3ゲート制御配線17Cに第2クランプオン信号VCon2が入力される。
オフ信号Voff、第1クランプオン信号VCon1および第2クランプオン信号VCon2は、コントロールIC10からそれぞれ入力される。オフ信号Voffは、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧(たとえば基準電圧)を有している。第1クランプオン信号VCon1および第2クランプオン信号VCon2は、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧をそれぞれ有している。第1クランプオン信号VCon1および第2クランプオン信号VCon2は、ほぼ等しい電圧をそれぞれ有していてもよい。第1クランプオン信号VCon1および第2クランプオン信号VCon2は、通常動作時の電圧以下または未満の電圧を有していてもよい。
【0215】
この場合、第1開口側電極87がオフ状態となり、第1底側電極86、第2底側電極106および第2開口側電極107がそれぞれオン状態になる。これにより、第1チャネル領域91がオフ状態に制御されると共に第2チャネル領域111がオン状態に制御される。図14Bでは、オフ状態の第1チャネル領域91が塗りつぶしハッチングによって示され、オン状態の第2チャネル領域111がドット状のハッチングによって示されている。
【0216】
その結果、第1MISFET56がオフ状態に制御される一方で、第2MISFET57がオン状態に制御される(第2Half-ON制御)。これにより、アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUが、零を超えて通常動作時のチャネル利用率RU未満となる。
アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUは、50%である。また、アクティブクランプ動作時の特性チャネル割合RCは、25%である。これにより、アクティブクランプ耐量Eacは、図13のグラフにおいて第4プロット点P4で示されたアクティブクランプ耐量Eacに近づく。
【0217】
第1制御例では、アクティブクランプ動作時において第2Half-ON制御が適用された例について説明した。しかし、アクティブクランプ動作時において第1Half-ON制御が適用されてもよい。
図15Aは、図1に示す半導体装置1の第2制御例に係る通常動作を説明するための断面斜視図である。図15Bは、図1に示す半導体装置1の第2制御例に係るアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。図15Aおよび図15Bでは、説明の便宜上、第1主面3の上の構造を省略し、ゲート制御配線17を簡略化している。
【0218】
図15Aを参照して、パワーMISFET9の通常動作時では、第1ゲート制御配線17Aに第1オン信号Von1が入力され、第2ゲート制御配線17Bに第2オン信号Von2が入力され、第3ゲート制御配線17Cにオフ信号Voffが入力される。
第1オン信号Von1、第2オン信号Von2およびオフ信号Voffは、コントロールIC10からそれぞれ入力される。第1オン信号Von1および第2オン信号Von2は、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧をそれぞれ有している。第1オン信号Von1および第2オン信号Von2は、ほぼ等しい電圧をそれぞれ有していてもよい。オフ信号Voffは、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧(たとえば基準電圧)を有している。
【0219】
この場合、第1開口側電極87および第2開口側電極107がそれぞれオン状態になり、第1底側電極86および第2底側電極106がそれぞれオフ状態になる。つまり、第1開口側電極87および第2開口側電極107がゲート電極として機能する一方で、第1底側電極86および第2底側電極106がフィールド電極として機能する。
これにより、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111は共にオン状態に制御される。図15Aでは、オン状態の第1チャネル領域91および第2チャネル領域111がドット状のハッチングによって示されている。
【0220】
その結果、第1MISFET56および第2MISFET57の双方が駆動される(Full-ON制御)。通常動作時のチャネル利用率RUは、100%である。通常動作時の特性チャネル割合RCは、50%である。これにより、面積抵抗率Ron・Aは、図13のグラフにおいて第2プロット点P2で示された面積抵抗率Ron・Aに近づく。
一方、図15Bを参照して、パワーMISFET9のアクティブクランプ動作時では、第1ゲート制御配線17Aに第1オフ信号Voff1が入力され、第2ゲート制御配線17Bにクランプオン信号VConが入力され、第3ゲート制御配線17Cに第2オフ信号Voff2が入力される。
【0221】
第1オフ信号Voff1、クランプオン信号VConおよび第2オフ信号Voff2は、コントロールIC10からそれぞれ入力される。第1オフ信号Voff1は、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧(たとえば基準電圧)を有している。クランプオン信号VConは、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧を有している。クランプオン信号VConは、通常動作時の電圧以下または未満の電圧を有していてもよい。第2オフ信号Voff2は、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧値(たとえば基準電圧)を有している。
【0222】
この場合、第1開口側電極87、第1底側電極86および第2底側電極106がそれぞれオフ状態となり、第2開口側電極107がオン状態になる。これにより、第1チャネル領域91がオフ状態に制御されると共に第2チャネル領域111がオン状態に制御される。図15Bでは、オフ状態の第1チャネル領域91が塗りつぶしハッチングによって示され、オン状態の第2チャネル領域111がドット状のハッチングによって示されている。
【0223】
その結果、第1MISFET56がオフ状態に制御される一方で、第2MISFET57がオン状態に制御される(第2Half-ON制御)。これにより、アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUが、零を超えて通常動作時のチャネル利用率RU未満となる。
アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUは、50%である。また、アクティブクランプ動作時の特性チャネル割合RCは、25%である。これにより、アクティブクランプ耐量Eacは、図13のグラフにおいて第4プロット点P4で示されたアクティブクランプ耐量Eacに近づく。
【0224】
第2制御例では、アクティブクランプ動作時において第2Half-ON制御が適用された例について説明した。しかし、アクティブクランプ動作時において第1Half-ON制御が適用されてもよい。
図16は、図1に示す領域XVIの内部構造を示す平面図である。図17は、図16に示す領域XVIIの拡大図である。図18は、図16から1つの感温ダイオード構造431を取り出して示す拡大図である。図19は、感温ダイオード構造431を、領域分離構造401および第1トレンチゲート構造60(第2トレンチゲート構造70)と共に示す斜視図である。
【0225】
図20は、図19から層間絶縁層142の上の構造を取り除いた断面斜視図である。図21は、図19から半導体層2の上の構造を取り除いた断面斜視図である。図22は、図16のXXII-XXII線に沿う断面図である。図23は、図16のXXIII-XXIII線に沿う断面図である。図24は、図16のXXIV-XXIV線に沿う断面図である。
図20図22は、感温ダイオード構造431、領域分離構造401および第1トレンチゲート構造60(第2トレンチゲート構造70)を纏めて示す模式図であり、特定箇所の断面斜視図を示していない。
【0226】
図1および図16図25を参照して、半導体装置1は、半導体層2の第1主面3に形成された1つまたは複数(この形態では2つ)の領域分離構造401を含む。領域分離構造401は、前述の領域分離構造8の一部によって形成されている。領域分離構造401の個数は任意である。領域分離構造401は、3つ以上形成されていてもよい。
領域分離構造401は、第1主面3において感温デバイス領域402および出力領域6を区画している。感温デバイス領域402は、この形態では、出力領域6内に区画されている。感温デバイス領域402は、前述の過熱保護回路36の感温ダイオードDTが形成される領域である。
【0227】
領域分離構造401は、さらに、出力領域6内において配線通路領域403を区画している。配線通路領域403は、入力領域7から出力領域6内に向けて延び、入力領域7および感温デバイス領域402を接続している。感温デバイス領域402および配線通路領域403は、入力領域7の一部の領域が出力領域6内に引き延ばされた領域でもある。
領域分離構造401は、第1領域分離構造401Aおよび第2領域分離構造401Bを含む。第1領域分離構造401Aは、平面視において入力領域7から出力領域6に向けて延び、出力領域6内において感温デバイス領域402および配線通路領域403を区画している。第2領域分離構造401Bは、平面視において第1領域分離構造401Aの外側から感温デバイス領域402および配線通路領域403を区画している。第2領域分離構造401Bは、第1領域分離構造401Aから間隔を空けて形成され、第1領域分離構造401Aに並走している。
【0228】
複数の領域分離構造401は、分離トレンチ404、分離絶縁層405および分離電極406をそれぞれ含む。分離トレンチ404は、第1主面3を第2主面4に向けて掘り下げることによって形成されている。分離トレンチ404は、エピタキシャル層52に形成されている。
分離トレンチ404の幅WSは、第1ゲートトレンチ81の幅WT1を超えている(WT1<WS)。幅WSは、分離トレンチ404が延びる方向に直交する方向の幅である。幅WSは、1μm以上2μm以下であってもよい。幅WSは、1μm以上1.2μm以下、1.2μm以上1.4μm以下、1.4μm以上1.6μm以下、1.6μm以上1.8μm以下、または、1.8μm以上2μm以下であってもよい。幅WSは、1.2μm以上1.8μm以下であることが好ましい。
【0229】
分離トレンチ404の深さDSは、第1ゲートトレンチ81の第1深さDT1以上(DT1≦DS)であってもよい。深さDSは、第1深さDT1以下(DS≦DT1)であってもよい。深さDSは、第1深さDT1とほぼ等しいことが好ましい(DS=DT1)。
深さDSは、1μm以上10μm以下であってもよい。深さDSは、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。深さDSは、2μm以上6μm以下であることが好ましい。
【0230】
分離絶縁層405は、分離トレンチ404の内壁に形成されている。分離絶縁層405は、分離トレンチ404の内壁に沿って膜状に形成されている。これにより、分離絶縁層405は、分離トレンチ404内においてリセス空間を区画している。
分離絶縁層405は、一様な厚さTSさを有している。厚さTSは、分離トレンチ404の内壁の法線方向に沿う厚さである。厚さTSは、第1開口側絶縁層85の第2厚さT2を超えている(T2<TS)。厚さTSは、第1底側絶縁層84の第1厚さT1とほぼ等しいことが好ましい(TS=T1)。
【0231】
厚さTSは、1500Å以上4000Å以下であってもよい。厚さTSは、1500Å以上2000Å以下、2000Å以上2500Å以下、2500Å以上3000Å以下、3000Å以上3500Å以下、または、3500Å以上4000Å以下であってもよい。厚さTSは、1800Å以上3500Å以下であることが好ましい。
分離絶縁層405は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)および酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも1種を含む。分離絶縁層405は、第1絶縁層82と同一の絶縁材料からなることが好ましい。分離絶縁層405は、この形態では、SiO層からなる単層構造を有している。
【0232】
分離電極406は、分離絶縁層405を挟んで分離トレンチ404に埋め込まれている。分離電極406は、より具体的には、分離トレンチ404内において分離絶縁層405によって区画されたリセス空間に埋設されている。
分離電極406は、導電性ポリシリコン、タングステン、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。分離電極406は、この形態では、導電性ポリシリコン層を含む。導電性ポリシリコン層は、n型不純物またはp型不純物を含んでいてもよい。導電性ポリシリコン層は、n型不純物を含むことが好ましい。
【0233】
分離電極406において分離トレンチ404から露出する露出部は、この形態では、第1主面3に対して分離トレンチ404の底壁側に位置している。分離電極406の露出部は、分離トレンチ404の底壁に向かう湾曲状に形成されていてもよい。
分離電極406の露出部は、膜状に形成された第4キャップ絶縁層407によって被覆されている。第4キャップ絶縁層407は、分離トレンチ404内において分離絶縁層405に連なっている。第4キャップ絶縁層407は、酸化シリコン(SiO)を含んでいてもよい。
【0234】
半導体装置1は、半導体層2の第1主面3に形成されたアノード配線構造411を含む。アノード配線構造411は、過熱保護回路36の一つの配線を形成し、感温ダイオードDTにアノード電圧を伝達する。アノード配線構造411は、入力領域7から配線通路領域403を通って感温デバイス領域402に引き回されている。
アノード配線構造411は、アノードトレンチ412、アノード絶縁層413およびアノード配線電極414を含む。アノードトレンチ412は、第1主面3を第2主面4に向けて掘り下げることによって形成されている。アノードトレンチ412は、エピタキシャル層52に形成されている。
【0235】
アノードトレンチ412の幅WANは、第1ゲートトレンチ81の幅WT1を超えている(WT1<WAN)。幅WANは、アノードトレンチ412が延びる方向に直交する方向の幅である。幅WANは、分離トレンチ404の幅WSとほぼ等しいことが好ましい(WAN=WS)。
幅WANは、1μm以上2μm以下であってもよい。幅WANは、1μm以上1.2μm以下、1.2μm以上1.4μm以下、1.4μm以上1.6μm以下、1.6μm以上1.8μm以下、または、1.8μm以上2μm以下であってもよい。幅WANは、1.2μm以上1.8μm以下であることが好ましい。
【0236】
アノードトレンチ412の深さDANは、第1ゲートトレンチ81の第1深さDT1以上(DT1≦DAN)であってもよい。深さDANは、第1深さDT1以下(DAN≦DT1)であってもよい。深さDANは、第1深さDT1とほぼ等しいことが好ましい(DT1=DAN)。深さDANは、分離トレンチ404の深さDSとほぼ等しいことが好ましい(DAN=DS)。
【0237】
深さDANは、1μm以上10μm以下であってもよい。深さDANは、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。深さDANは、2μm以上6μm以下であることが好ましい。
アノードトレンチ412は、感温デバイス領域402においてアノード配線トレンチ415およびアノード接続トレンチ416を含む。アノードトレンチ412は、この形態では、複数(4つ)のアノード接続トレンチ416を含む。アノード接続トレンチ416の個数は、後述する感温ダイオード構造431の個数に応じて調整される。
【0238】
アノード配線トレンチ415は、第1方向Xに沿って延びる帯状に形成されている。複数のアノード接続トレンチ416は、アノード配線トレンチ415から感温デバイス領域402の内方に向けてそれぞれ帯状に引き出されている。複数のアノード接続トレンチ416は、第2方向Yに沿う帯状に形成されている。アノード接続トレンチ416の引き出し量は任意である。
【0239】
アノード絶縁層413は、アノードトレンチ412の内壁に形成されている。アノード絶縁層413は、アノードトレンチ412の内壁に沿って膜状に形成されている。これにより、アノード絶縁層413は、アノードトレンチ412内においてリセス空間を区画している。
アノード絶縁層413は、一様な厚さTANを有している。厚さTANは、アノードトレンチ412の内壁の法線方向に沿う厚さである。厚さTANは、第1開口側絶縁層85の第2厚さT2を超えている(T2<TAN)。厚さTANは、第1底側絶縁層84の第1厚さT1とほぼ等しいことが好ましい(T1=TAN)。アノード絶縁層413は、分離絶縁層405の厚さTSとほぼ等しいことが好ましい(T1=TS)。
【0240】
厚さTANは、1500Å以上4000Å以下であってもよい。厚さTANは、1500Å以上2000Å以下、2000Å以上2500Å以下、2500Å以上3000Å以下、3000Å以上3500Å以下、または、3500Å以上4000Å以下であってもよい。厚さTANは、1800Å以上3500Å以下であることが好ましい。
アノード絶縁層413は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)および酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも1種を含む。アノード絶縁層413は、第1絶縁層82と同一の絶縁材料からなることが好ましい。アノード絶縁層413は、この形態では、SiO層からなる単層構造を有している。
【0241】
アノード配線電極414は、アノード絶縁層413を挟んでアノードトレンチ412に埋め込まれている。アノード配線電極414は、より具体的には、アノードトレンチ412内においてアノード絶縁層413によって区画されたリセス空間に埋設されている。
アノード配線電極414は、アノード配線部417およびアノード配線接続部418を含む。アノード配線部417は、アノード配線トレンチ415内に位置している。アノード配線接続部418は、アノード接続トレンチ416内に位置している。
【0242】
アノード配線電極414は、導電性ポリシリコン、タングステン、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。アノード配線電極414は、この形態では、導電性ポリシリコン層を含む。導電性ポリシリコン層は、n型不純物またはp型不純物を含んでいてもよい。導電性ポリシリコン層は、n型不純物を含むことが好ましい。
【0243】
アノード配線電極414においてアノードトレンチ412から露出する露出部は、この形態では、第1主面3に対してアノードトレンチ412の底壁側に位置している。アノード配線電極414の露出部は、アノードトレンチ412の底壁に向かう湾曲状に形成されていてもよい。
アノード配線電極414の露出部は、膜状に形成された第5キャップ絶縁層419によって被覆されている。第5キャップ絶縁層419は、アノードトレンチ412内においてアノード絶縁層413に連なっている。第5キャップ絶縁層419は、酸化シリコン(SiO)を含んでいてもよい。
【0244】
半導体装置1は、半導体層2の第1主面3に形成されたカソード配線構造421を含む。カソード配線構造421は、過熱保護回路36の一つの配線を形成し、感温ダイオードDTにカソード電圧を伝達する。カソード配線構造421は、入力領域7から配線通路領域403を通って感温デバイス領域402に引き回されている。
カソード配線構造421は、カソードトレンチ422、カソード絶縁層423およびカソード配線電極424を含む。カソードトレンチ422は、第1主面3を第2主面4に向けて掘り下げることによって形成されている。カソードトレンチ422は、エピタキシャル層52に形成されている。
【0245】
カソードトレンチ422の幅WKTは、第1ゲートトレンチ81の幅WT1を超えている(WT1<WKT)。幅WKTは、カソードトレンチ422が延びる方向に直交する方向の幅である。幅WKTは、アノードトレンチ412の幅WANとほぼ等しいことが好ましい(WKT=WAN)。幅WKTは、分離トレンチ404の幅WSとほぼ等しいことが好ましい(WKT=WS)。
【0246】
幅WKTは、1μm以上2μm以下であってもよい。幅WKTは、1μm以上1.2μm以下、1.2μm以上1.4μm以下、1.4μm以上1.6μm以下、1.6μm以上1.8μm以下、または、1.8μm以上2μm以下であってもよい。幅WKTは、1.2μm以上1.8μm以下であることが好ましい。
カソードトレンチ422の深さDKTは、第1ゲートトレンチ81の第1深さDT1以上(DT1≦DKT)であってもよい。深さDKTは、第1深さDT1以下(DKT≦DT1)であってもよい。深さDKTは、第1深さDT1とほぼ等しいことが好ましい(DT1=DKT)。深さDKTは、アノードトレンチ412の深さDANとほぼ等しいことが好ましい(DKT=DAN)。
【0247】
深さDKTは、1μm以上10μm以下であってもよい。深さDKTは、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。深さDKTは、2μm以上6μm以下であることが好ましい。
カソードトレンチ422は、感温デバイス領域402においてカソード配線トレンチ425およびカソード接続トレンチ426を含む。カソードトレンチ422は、この形態では、複数(4つ)のカソード接続トレンチ426を含む。カソード接続トレンチ426の個数は、後述する感温ダイオード構造431の個数に応じて調整される。
【0248】
カソード配線トレンチ425は、アノード配線トレンチ415(アノード接続トレンチ416)から第2方向Yに間隔を空けて形成され、第1方向Xに沿って延びる帯状に形成されている。複数のカソード接続トレンチ426は、カソード配線トレンチ425から感温デバイス領域402の内方に向けてそれぞれ帯状に引き出されている。
複数のカソード接続トレンチ426は、より具体的には、カソード配線トレンチ425からアノード配線トレンチ415に向けて引き出されている。複数のカソード接続トレンチ426は、第2方向Yに沿う帯状に形成されている。複数のカソード接続トレンチ426は、平面視においてアノード接続トレンチ416の延長線上から第1方向Xにずれて形成されている。カソード接続トレンチ426の引き出し量は任意である。
【0249】
カソード絶縁層423は、カソードトレンチ422の内壁に形成されている。カソード絶縁層423は、カソードトレンチ422の内壁に沿って膜状に形成されている。これにより、カソード絶縁層423は、カソードトレンチ422内においてリセス空間を区画している。
カソード絶縁層423は、一様な厚さTKTを有している。厚さTKTは、カソードトレンチ422の内壁の法線方向に沿う厚さである。厚さTKTは、第1開口側絶縁層85の第2厚さT2を超えている(T2<TKT)。厚さTKTは、第1底側絶縁層84の第1厚さT1とほぼ等しいことが好ましい(T1=TKT)。厚さTKTは、分離絶縁層405の厚さTSとほぼ等しいことが好ましい(TKT=TS)。厚さTKTは、アノード絶縁層413の厚さTANとほぼ等しいことが好ましい(TKT=TAN)。
【0250】
厚さTKTは、1500Å以上4000Å以下であってもよい。厚さTKTは、1500Å以上2000Å以下、2000Å以上2500Å以下、2500Å以上3000Å以下、3000Å以上3500Å以下、または、3500Å以上4000Å以下であってもよい。厚さTKTは、1800Å以上3500Å以下であることが好ましい。
カソード絶縁層423は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)および酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも1種を含む。カソード絶縁層423は、第1絶縁層82と同一の絶縁材料からなることが好ましい。カソード絶縁層423は、この形態では、SiO層からなる単層構造を有している。
【0251】
カソード配線電極424は、カソード絶縁層423を挟んでカソードトレンチ422に埋め込まれている。カソード配線電極424は、より具体的には、カソードトレンチ422内においてカソード絶縁層423によって区画されたリセス空間に埋設されている。
カソード配線電極424は、カソード配線部427およびカソード配線接続部428を含む。カソード配線部427は、カソード配線トレンチ425内に位置している。カソード配線接続部428は、カソード接続トレンチ426内に位置している。
【0252】
カソード配線電極424は、導電性ポリシリコン、タングステン、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。カソード配線電極424は、この形態では、導電性ポリシリコン層を含む。導電性ポリシリコン層は、n型不純物またはp型不純物を含んでいてもよい。導電性ポリシリコン層は、n型不純物を含むことが好ましい。
【0253】
カソード配線電極424においてカソードトレンチ422から露出する露出部は、この形態では、第1主面3に対してカソードトレンチ422の底壁側に位置している。カソード配線電極424の露出部は、カソードトレンチ422の底壁に向かう湾曲状に形成されていてもよい。
カソード配線電極424の露出部は、膜状に形成された第6キャップ絶縁層429によって被覆されている。第6キャップ絶縁層429は、カソードトレンチ422内においてカソード絶縁層423に連なっている。第6キャップ絶縁層429は、酸化シリコン(SiO)を含んでいてもよい。
【0254】
半導体装置1は、感温デバイス領域402に形成された感温ダイオードDTを含む。感温ダイオードDTは、領域分離構造401を挟んでパワーMISFET9によって取り囲まれている。感温デバイス領域402は、領域分離構造401によってパワーMISFET9から電気的に絶縁されている。感温ダイオードDTを出力領域6内に形成することにより、パワーMISFET9の温度を適切に監視できる。
【0255】
感温ダイオードDTは、感温デバイス領域402においてアノード配線トレンチ415およびカソード配線トレンチ425に挟まれた領域に形成されている。感温ダイオードDTは、半導体層2の第1主面3に形成された1つまたは複数(この形態では12個)の感温ダイオード構造431を含む。
複数の感温ダイオード構造431は、平面視において第1方向Xおよび第2方向Yに間隔を空けて形成されている。複数の感温ダイオード構造431は、この形態では、平面視において3行4列の行列状に配列されている。複数の感温ダイオード構造431は、行方向(第1方向X)にほぼ等しいピッチで配列されている。複数の感温ダイオード構造431は、列方向(第2方向Y)にほぼ等しいピッチで配列されている。
【0256】
複数の感温ダイオード構造431の第1行目、第2行目および第3行目は、カソード配線トレンチ425からアノード配線トレンチ415に向けてこの順に定義される。複数の感温ダイオード構造431の第1列目、第2列目、第3列目および第4列目は、アノード配線トレンチ415(カソード配線トレンチ425)の基端部から先端部に向けてこの順に定義される。アノード配線トレンチ415(カソード配線トレンチ425)の基端部は、配線通路領域403側の端部である。
【0257】
複数の感温ダイオード構造431は、同様の構造をそれぞれ有している。以下では、1つの感温ダイオード構造431を例にとって説明する。感温ダイオード構造431は、ダイオードトレンチ432、ダイオード絶縁層433およびポリシリコン層434を含む。ダイオードトレンチ432は、第1主面3を第2主面4に向けて掘り下げることによって形成されている。ダイオードトレンチ432は、エピタキシャル層52に形成されている。
【0258】
ダイオードトレンチ432の深さDDは、第1ゲートトレンチ81の第1深さDT1以上(DT1≦DD)であってもよい。深さDDは、第1深さDT1以下(DD≦DT1)であってもよい。深さDDは、第1深さDT1とほぼ等しいことが好ましい(DD=DT1)。深さDDは、分離トレンチ404の深さDSとほぼ等しいことが好ましい(DS=DD)。深さDDは、アノードトレンチ412の深さDANとほぼ等しいことが好ましい(DD=DAN)。深さDDは、カソードトレンチ422の深さDKTとほぼ等しいことが好ましい(DD=DKT)。
【0259】
深さDDは、1μm以上10μm以下であってもよい。深さDDは、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。深さDDは、2μm以上6μm以下であることが好ましい。
ダイオードトレンチ432は、より具体的には、環状トレンチ435、第1接続トレンチ436および第2接続トレンチ437を含む。環状トレンチ435は、この形態では、平面視において四角環状に形成されている。環状トレンチ435は、より具体的には、平面視において第2方向Yに沿って延びる長方形環状に形成されている。環状トレンチ435の平面形状は任意である。環状トレンチ435は、平面視において円環状、長円環状または楕円環状に形成されていてもよい。
【0260】
環状トレンチ435は、内周側壁438および外周側壁439を含む。環状トレンチ435は、第1トレンチ部441、第2トレンチ部442、第3トレンチ部443および第4トレンチ部444を含む。環状トレンチ435の内周側壁438および外周側壁439は、第1トレンチ部441、第2トレンチ部442、第3トレンチ部443および第4トレンチ部444によって形成されている。
【0261】
第1トレンチ部441および第2トレンチ部442は、平面視において第1方向Xに沿って延び、第2方向Yに対向している。第1トレンチ部441および第2トレンチ部442は、環状トレンチ435の短辺を形成している。第3トレンチ部443および第4トレンチ部444は、平面視において第2方向Yに沿って延び、第1方向Xに対向している。第3トレンチ部443および第4トレンチ部444は、環状トレンチ435の長辺を形成している。
【0262】
環状トレンチ435の幅WAは、第1ゲートトレンチ81の幅WT1を超えている(WT1<WA)。幅WAは、環状トレンチ435が延びる方向に直交する方向の幅である。幅WAは、分離トレンチ404の幅WSとほぼ等しいことが好ましい(WA=WS)。幅WAは、アノードトレンチ412の幅WANとほぼ等しいことが好ましい(WA=WAN)。幅WAは、カソードトレンチ422の幅WKTとほぼ等しいことが好ましい(WA=WKT)。
【0263】
幅WAは、1μm以上2μm以下であってもよい。幅WAは、1μm以上1.2μm以下、1.2μm以上1.4μm以下、1.4μm以上1.6μm以下、1.6μm以上1.8μm以下、または、1.8μm以上2μm以下であってもよい。幅WAは、1.2μm以上1.8μm以下であることが好ましい。
第1接続トレンチ436は、環状トレンチ435の外周側壁439に連通している。第1接続トレンチ436は、より具体的には、第1トレンチ部441の外周側壁439に連通している。第1接続トレンチ436は、平面視において第1トレンチ部441の外周側壁439から第1トレンチ部441に交差する方向に延びている。第1接続トレンチ436は、平面視において第2方向Yに沿って帯状に引き出されている。
【0264】
第1接続トレンチ436は、平面視において第3トレンチ部443と同一直線状に形成されている。つまり、第1接続トレンチ436は、第3トレンチ部443との間の1つの直線状のトレンチを形成している。第1接続トレンチ436の長さは任意である。第1接続トレンチ436の長さは、第3トレンチ部443の長さ未満であってもよい。
第1接続トレンチ436の幅WC1は、第1ゲートトレンチ81の幅WT1を超えている(WT1<WC1)。幅WC1は、第1接続トレンチ436が延びる方向に直交する方向の幅である。幅WC1は、環状トレンチ435の幅WAとほぼ等しいことが好ましい(WC1=WA)。
【0265】
幅WC1は、1μm以上2μm以下であってもよい。幅WC1は、1μm以上1.2μm以下、1.2μm以上1.4μm以下、1.4μm以上1.6μm以下、1.6μm以上1.8μm以下、または、1.8μm以上2μm以下であってもよい。幅WC1は、1.2μm以上1.8μm以下であることが好ましい。
第2接続トレンチ437は、第1接続トレンチ436とは異なる位置において環状トレンチ435の外周側壁439に連通している。第2接続トレンチ437は、より具体的には、第2トレンチ部442の外周側壁439に連通している。第2接続トレンチ437は、平面視において第2トレンチ部442の外周側壁439から第2トレンチ部442に交差する方向に延びている。第2接続トレンチ437は、平面視において第2方向Yに沿って帯状に引き出されている。
【0266】
第2接続トレンチ437は、平面視において第1接続トレンチ436の延長線上から第1方向Xにずれて形成されている。第2接続トレンチ437は、平面視において第4トレンチ部444と同一直線状に形成されている。つまり、第2接続トレンチ437は、第4トレンチ部444との間の1つの直線状のトレンチを形成している。第2接続トレンチ437の長さは、任意である。第2接続トレンチ437の長さは、第4トレンチ部444の長さ未満であってもよい。
【0267】
第2接続トレンチ437の幅WC2は、第1ゲートトレンチ81の幅WT1を超えている(WT1<WC2)。幅WC2は、第2接続トレンチ437が延びる方向に直交する方向の幅である。幅WC2は、環状トレンチ435の幅WAとほぼ等しいことが好ましい(WC2=WA)。
幅WC2は、1μm以上2μm以下であってもよい。幅WC2は、1μm以上1.2μm以下、1.2μm以上1.4μm以下、1.4μm以上1.6μm以下、1.6μm以上1.8μm以下、または、1.8μm以上2μm以下であってもよい。幅WC2は、1.2μm以上1.8μm以下であることが好ましい。
【0268】
ダイオード絶縁層433は、ダイオードトレンチ432の内壁に形成されている。ダイオード絶縁層433は、ダイオードトレンチ432の内壁に沿って膜状に形成されている。これにより、ダイオード絶縁層433は、ダイオードトレンチ432内においてリセス空間を区画している。
ダイオード絶縁層433は、一様な厚さTDIさを有している。厚さTDIは、ダイオードトレンチ432の内壁の法線方向に沿う厚さである。厚さTDIは、第1開口側絶縁層85の第2厚さT2を超えている(T2<TDI)。厚さTDIは、第1底側絶縁層84の第1厚さT1とほぼ等しいことが好ましい(TDI=T1)。厚さTDIは、分離絶縁層405の厚さTSとほぼ等しいことが好ましい(TDI=TS)。
【0269】
厚さTDIは、1500Å以上4000Å以下であってもよい。厚さTDIは、1500Å以上2000Å以下、2000Å以上2500Å以下、2500Å以上3000Å以下、3000Å以上3500Å以下、または、3500Å以上4000Å以下であってもよい。厚さTDIは、1800Å以上3500Å以下であることが好ましい。
ダイオード絶縁層433は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)および酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも1種を含む。ダイオード絶縁層433は、第1絶縁層82と同一の絶縁材料からなることが好ましい。ダイオード絶縁層433は、この形態では、SiO層からなる単層構造を有している。
【0270】
ポリシリコン層434は、ダイオード絶縁層433を挟んでダイオードトレンチ432に埋め込まれている。ポリシリコン層434は、より具体的には、ダイオードトレンチ432内においてダイオード絶縁層433によって区画されたリセス空間に埋設されている。
ポリシリコン層434は、環状部451、第1接続部452および第2接続部453を含む。環状部451は、環状トレンチ435内に位置している。第1接続部452は、第1接続トレンチ436内に位置している。第2接続部453は、第2接続トレンチ437内に位置している。
【0271】
ポリシリコン層434においてダイオードトレンチ432から露出する露出部は、この形態では、第1主面3に対してダイオードトレンチ432の底壁側に位置している。ポリシリコン層434の露出部は、ダイオードトレンチ432の底壁に向かう湾曲状に形成されていてもよい。
感温ダイオード構造431は、ポリシリコン層434に形成されたpn接合構造を含む。pn接合構造は、ポリシリコン層434に形成されたp型のウェル領域461、p型のアノード領域462およびn型のカソード領域463を含む。
【0272】
ウェル領域461は、ポリシリコン層434の表層部に形成されている。ウェル領域461は、より具体的には、ポリシリコン層434の表層部の全域に形成されている。つまり、ウェル領域461は、環状部451の表層部、第1接続部452の表層部および第2接続部453の表層部に形成されている。ウェル領域461は、ポリシリコン層434の底部から間隔を空けて形成されている。
【0273】
ウェル領域461のp型不純物濃度は、1×1016cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。ウェル領域461のp型不純物濃度は、ボディ領域55のp型不純物濃度とほぼ等しいことが好ましい。
ウェル領域461の厚さは、ボディ領域55の厚さとほぼ等しいことが好ましい。ウェル領域461の厚さは、0.5μm以上2μm以下であってもよい。ウェル領域461の厚さは、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、または、1.5μm以上2μm以下であってもよい。
【0274】
アノード領域462は、ポリシリコン層434の表層部に形成されている。アノード領域462は、ポリシリコン層434の底部から間隔を空けて形成されている。アノード領域462は、より具体的には、ウェル領域461の表層部に形成されている。アノード領域462の底部は、ウェル領域461の底部に対してポリシリコン層434の露出部側に位置している。
【0275】
アノード領域462は、平面視においてウェル領域461を露出させるように環状部451の一部の領域に形成されている。アノード領域462は、より具体的には、第1トレンチ部441に形成されている。
アノード領域462は、さらに、第1トレンチ部441から第3トレンチ部443および第4トレンチ部444のいずれか一方または双方に引き出されている。アノード領域462は、この形態では、第1トレンチ部441から第3トレンチ部443および第4トレンチ部444に引き出されている。
【0276】
アノード領域462において第3トレンチ部443および第4トレンチ部444に位置する部分は、第2トレンチ部442から第1トレンチ部441側に間隔を空けて形成されている。これにより、アノード領域462は、ポリシリコン層434の環状部451においてウェル領域461を露出させている。
アノード領域462のp型不純物濃度は、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。アノード領域462のp型不純物濃度は、第1コンタクト領域93のp型不純物濃度とほぼ等しいことが好ましい。アノード領域462のp型不純物濃度は、第2コンタクト領域113のp型不純物濃度とほぼ等しいことが好ましい。
【0277】
アノード領域462の厚さは、0.01μm以上1.5μm以下であってもよい。アノード領域462の厚さは、0.01μm以上0.05μm以下、0.05μm以上0.1μm以下、0.1μm以上0.25μm以下、0.25μm以上0.5μm以下、0.5μm以上0.75μm以下、0.75μm以上1μm以下、1μm以上1.25μm以下、または、1.25μm以上1.5μm以下であってもよい。
【0278】
カソード領域463は、ポリシリコン層434の表層部に形成されている。カソード領域463は、ポリシリコン層434の底部から間隔を空けて形成されている。カソード領域463は、より具体的には、ウェル領域461の表層部に形成されている。カソード領域463の底部は、ウェル領域461の底部に対してポリシリコン層434の露出部側に位置している。
【0279】
カソード領域463は、平面視においてウェル領域461を露出させるように環状部451の一部の領域に形成されている。カソード領域463は、アノード領域462から間隔を空けて形成されている。カソード領域463は、より具体的には、環状部451において第2トレンチ部442に位置する部分に形成されている。
カソード領域463は、さらに、第2トレンチ部442から第3トレンチ部443および第4トレンチ部444のいずれか一方または双方に引き出されている。カソード領域463は、この形態では、第2トレンチ部442から第3トレンチ部443および第4トレンチ部444に引き出されている。
【0280】
カソード領域463において第3トレンチ部443および第4トレンチ部444に位置する部分は、第1トレンチ部441から第2トレンチ部442側に間隔を空けて形成されている。これにより、カソード領域463は、ポリシリコン層434の環状部451においてウェル領域461を露出させている。
カソード領域463は、環状部451においてウェル領域461を挟んでアノード領域462と対向している。カソード領域463は、アノード領域462に電気的に接続されている。カソード領域463は、より具体的には、ウェル領域461を介してアノード領域462に電気的に接続されている。
【0281】
カソード領域463のn型不純物濃度は、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。カソード領域463のn型不純物濃度は、第1ソース領域92のn型不純物濃度とほぼ等しいことが好ましい。
カソード領域463の厚さは、第1ソース領域92の厚さとほぼ等しいことが好ましい。カソード領域463の厚さは、0.01μm以上1.5μm以下であってもよい。カソード領域463の厚さは、0.01μm以上0.05μm以下、0.05μm以上0.1μm以下、0.1μm以上0.25μm以下、0.25μm以上0.5μm以下、0.5μm以上0.75μm以下、0.75μm以上1μm以下、1μm以上1.25μm以下、または、1.25μm以上1.5μm以下であってもよい。
【0282】
カソード領域463は、アノード領域462との間でpn接合ダイオード464を形成する。pn接合ダイオード464は、カソード領域463およびアノード領域462の間のpn接合部を含む。pn接合ダイオード464は、より具体的には、カソード領域463およびアノード領域462の間のpn接合部、ならびに、カソード領域463およびウェル領域461の間のpn接合部を含む。
【0283】
ウェル領域461を形成することによって、pn接合部から拡がる空乏層を適切に拡張できる。これにより、耐圧を高めることができる。カソード領域463およびアノード領域462の間のpn接合部だけを含むpn接合ダイオード464が形成されてもよい。ただし、この場合には、pn接合部から拡がる空乏層が狭くなる。したがって、ウェル領域461が形成されていることが好ましい。
【0284】
感温ダイオード構造431は、ポリシリコン層434に形成されたp型のアノードコンタクト領域465を含む。アノードコンタクト領域465は、ポリシリコン層434の第1接続部452に形成されている。アノードコンタクト領域465は、第1接続部452の表層部に形成されている。
アノードコンタクト領域465は、ポリシリコン層434の底部から間隔を空けて形成されている。アノードコンタクト領域465は、ウェル領域461の表層部に形成されている。アノードコンタクト領域465の底部は、ウェル領域461の底部に対してポリシリコン層434の露出部側に位置している。
【0285】
アノードコンタクト領域465は、環状部451および第1接続部452の連通部においてアノード領域462と一体を成している。アノードコンタクト領域465は、アノード領域462のp型不純物濃度とほぼ等しいp型不純物濃度を有している。アノードコンタクト領域465は、アノード領域462の厚さとほぼ等しい厚さを有している。アノードコンタクト領域465は、アノード領域462が第1接続部452に引き出された部分でもある。
【0286】
感温ダイオード構造431は、ポリシリコン層434に形成されたn型のカソードコンタクト領域466を含む。カソードコンタクト領域466は、ポリシリコン層434の第2接続部453に形成されている。カソードコンタクト領域466は、第2接続部453の表層部に形成されている。
カソードコンタクト領域466は、ポリシリコン層434の底部から間隔を空けて形成されている。カソードコンタクト領域466は、ウェル領域461の表層部に形成されている。カソードコンタクト領域466の底部は、ウェル領域461の底部に対してポリシリコン層434の露出部側に位置している。
【0287】
カソードコンタクト領域466は、環状部451および第2接続部453の連通部においてカソード領域463と一体を成している。カソードコンタクト領域466は、カソード領域463のn型不純物濃度とほぼ等しいn型不純物濃度を有している。カソードコンタクト領域466は、カソード領域463の厚さとほぼ等しい厚さを有している。カソードコンタクト領域466は、カソード領域463が第2接続部453に引き出された部分でもある。
【0288】
感温ダイオード構造431は、ポリシリコン層434に形成された不純物無添加のノンドープ領域467を含む。ノンドープ領域467は、ポリシリコン層434の底部側の領域に形成されている。ノンドープ領域467は、環状部451の底部側の領域、第1接続部452の底部側の領域および第2接続部453の底部側の領域に形成されている。
ノンドープ領域467は、アノード領域462の底部およびカソード領域463の底部に対してポリシリコン層434の底部側の領域に形成されている。ノンドープ領域467は、アノードコンタクト領域465の底部およびカソードコンタクト領域466の底部に対してポリシリコン層434の底部側の領域に形成されている。ノンドープ領域467は、より具体的には、ウェル領域461の底部に対してポリシリコン層434の底部側の領域に形成されている。
【0289】
ノンドープ領域467の厚さは、アノード領域462の厚さおよびカソード領域463の厚さを超えていることが好ましい。ノンドープ領域467の厚さは、ウェル領域461の厚さを超えていることがさらに好ましい。ノンドープ領域467は、法線方向Zに関して、ウェル領域461の底部からポリシリコン層434の中間部を横切って、ポリシリコン層434の底部まで形成されている。
【0290】
ポリシリコン層434の露出部は、膜状に形成された第7キャップ絶縁層468によって被覆されている。第7キャップ絶縁層468は、ダイオードトレンチ432内においてダイオード絶縁層433に連なっている。第7キャップ絶縁層468は、酸化シリコン(SiO)を含んでいてもよい。
図17を参照して、複数の感温ダイオード構造431は、一方の感温ダイオード構造431のアノード領域462が他方の感温ダイオード構造431のカソード領域463に対向する向きで互いに間隔を空けて行列状に配列されている。
【0291】
複数の感温ダイオード構造431は、平面視において第1接続トレンチ436および第2接続トレンチ437が第2方向Yに沿って延びる姿勢で行列状に配列されている。複数の感温ダイオード構造431は、対応する第1接続トレンチ436および第2接続トレンチ437同士が第1方向Xに互いに対向するように行列状に配列されている。
第1行目の感温ダイオード構造431の第2接続トレンチ437は、平面視において第1方向Xにカソード接続トレンチ426に対向している。第2行目の感温ダイオード構造431の第2接続トレンチ437は、第1方向Xに第1行目の感温ダイオード構造431の第1接続トレンチ436に対向している。
【0292】
第3行目の感温ダイオード構造431の第2接続トレンチ437は、平面視において第1方向Xに第2行目の感温ダイオード構造431の第1接続トレンチ436に対向している。第3行目の感温ダイオード構造431の第1接続トレンチ436は、平面視において第1方向Xにアノード接続トレンチ416に対向している。
複数の感温ダイオード構造431の第1接続トレンチ436は、平面視において同一直線上に位置している。複数の感温ダイオード構造431の第1接続トレンチ436は、平面視においてカソード接続トレンチ426の延長線上に位置している。複数の感温ダイオード構造431の第2接続トレンチ437は、平面視において同一直線上に位置している。複数の感温ダイオード構造431の第2接続トレンチ437は、平面視においてアノード接続トレンチ416の延長線上に位置している。
【0293】
半導体装置1は、感温デバイス領域402において第1主面3に形成された複数のダミー領域分離構造471を含む。複数のダミー領域分離構造471は、複数の感温ダイオード構造431と同程度のピッチで第1主面3に形成されている。
複数のダミー領域分離構造471は、アノード配線構造411およびカソード配線構造421との間で感温ダイオードDT(複数の感温ダイオード構造431)が形成された領域を取り囲んでいる。複数のダミー領域分離構造471は、より具体的には、複数(この形態では2つ)の第1ダミー領域分離構造471Aおよび複数(この形態では2つ)の第2ダミー領域分離構造471Bを含む。
【0294】
複数の第1ダミー領域分離構造471Aは、アノード接続トレンチ416の基端部およびカソード接続トレンチ426の基端部の間の領域に形成されている。複数の第1ダミー領域分離構造471Aは、第1方向Xに間隔を空けて形成され、第2方向Yに沿って帯状に延びている。
複数の第2ダミー領域分離構造471Bは、アノード接続トレンチ416の先端部およびカソード接続トレンチ426の先端部の間の領域に形成されている。複数の第2ダミー領域分離構造471Bは、第1方向Xに間隔を空けて形成され、第2方向Yに沿って帯状に延びている。
【0295】
複数のダミー領域分離構造471は、領域分離構造401と同様に、分離トレンチ404、分離絶縁層405および分離電極406を含む。複数のダミー領域分離構造471の具体的な説明は省略する。
複数のダミー領域分離構造471は、製造工程時において、複数の感温ダイオード構造431の間で生じ得るばらつきを低減するために形成されている。すなわち、第2列目の感温ダイオード構造431は、第1方向Xに関して、第1列目の感温ダイオード構造431および第3列目の感温ダイオード構造431に対向している。同様に、第3列目の複数の感温ダイオード構造431は、第1方向Xに関して、第2列目の感温ダイオード構造431および第4列目の感温ダイオード構造431に対向している。
【0296】
これに対して、第1列目の複数の感温ダイオード構造431は、第1方向Xに関して、第2列目の感温ダイオード構造431に対向しているにすぎない。同様に、第4列目の複数の感温ダイオード構造431は、第1方向Xに関して、第3列目の感温ダイオード構造431に対向しているにすぎない。第1列目および第4列目の感温ダイオード構造431の周囲の構造は、第2列目および第3列目の感温ダイオード構造431の周囲の構造とは異なる。
【0297】
製造工程時におけるプロセス誤差には、感温ダイオード構造431の周囲の構造に起因するものが含まれる。複数のダミー領域分離構造471は、第1列目および第4列目の感温ダイオード構造431の周囲の構造を、第2列目および第3列目の感温ダイオード構造431の周囲の構造に近づける。これにより、製造工程時に生じるプロセス誤差を軽減できるから、複数の感温ダイオード構造431を適切に形成できる。
【0298】
半導体装置1は、第1主面3の上において感温デバイス領域402および配線通路領域403を被覆するフィールド絶縁層481を含む。フィールド絶縁層481は、分離絶縁層405、アノード絶縁層413、カソード絶縁層423およびダイオード絶縁層433と一体的に形成している。
フィールド絶縁層481は、一様な厚さTFさを有している。厚さTFは、第1主面3の法線方向Zに沿う厚さである。厚さTFは、主面絶縁層141の厚さを超えている。厚さTFは、第1開口側絶縁層85の第2厚さT2を超えている(T2<TF)。厚さTFは、第1底側絶縁層84の第1厚さT1とほぼ等しいことが好ましい(TF=T1)。厚さTFは、分離絶縁層405の厚さTSとほぼ等しいことが好ましい(TF=TS)。厚さTFは、ダイオード絶縁層433の厚さTDIとほぼ等しいことが好ましい(TF=TDI)。
【0299】
厚さTFは、1500Å以上4000Å以下であってもよい。厚さTFは、1500Å以上2000Å以下、2000Å以上2500Å以下、2500Å以上3000Å以下、3000Å以上3500Å以下、または、3500Å以上4000Å以下であってもよい。厚さTDIは、1800Å以上3500Å以下であることが好ましい。
フィールド絶縁層481は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)および酸化タンタル(Ta)のうちの少なくとも1種を含む。フィールド絶縁層481は、第1絶縁層82と同一の絶縁材料からなることが好ましい。
【0300】
フィールド絶縁層481は、この形態では、SiO層からなる単層構造を有している。フィールド絶縁層481、分離絶縁層405、アノード絶縁層413、カソード絶縁層423およびダイオード絶縁層433は、一様な厚さを有する1つの絶縁層によって形成されていることが好ましい。
前述の層間絶縁層142は、第1主面3の上において感温デバイス領域402および配線通路領域403を被覆している。半導体装置1は、層間絶縁層142において感温デバイス領域402を被覆する部分に埋め込まれた複数のプラグ電極482,483,484,485(貫通電極)を含む。複数のプラグ電極482~485は、タングステンをそれぞれ含んでいてもよい。
【0301】
複数のプラグ電極482~485は、より具体的には、複数のアノード配線プラグ電極482、複数のカソード配線プラグ電極483、複数のアノードプラグ電極484および複数のカソードプラグ電極485を含む。
複数のアノード配線プラグ電極482は、層間絶縁層142において複数のアノード配線接続部418を被覆する部分にそれぞれ埋め込まれている。複数のアノード配線プラグ電極482は、複数のアノード配線接続部418にそれぞれ接続されている。
【0302】
複数のカソード配線プラグ電極483は、層間絶縁層142において複数のカソード配線接続部428を被覆する部分にそれぞれ埋め込まれている。複数のカソード配線プラグ電極483は、複数のカソード配線接続部428にそれぞれ接続されている。
複数のアノードプラグ電極484は、層間絶縁層142において複数のアノードコンタクト領域465を被覆する部分にそれぞれ埋め込まれている。複数のアノードプラグ電極484は、複数のアノードコンタクト領域465にそれぞれ接続されている。
【0303】
複数のカソードプラグ電極485は、層間絶縁層142において複数のカソードコンタクト領域466を被覆する部分にそれぞれ埋め込まれている。複数のカソードプラグ電極485は、複数のカソードコンタクト領域466にそれぞれ接続されている。
半導体装置1は、層間絶縁層142において感温デバイス領域402を被覆する部分の上に形成された複数の配線486,487,488を含む。複数の配線486~488は、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種をそれぞれ含んでいてもよい。
【0304】
複数の配線486~488はAl-Si-Cu(アルミニウム-シリコン-銅)合金、Al-Si(アルミニウム-シリコン)合金、および、Al-Cu(アルミニウム-銅)合金のうちの少なくとも1種をそれぞれ含んでいてもよい。
複数の配線486~488は、より具体的には、1つまたは複数(この形態では1つ)の第1配線486、複数の第2配線487、および、1つまたは複数(この形態では1つ)の第3配線488を含む。
【0305】
第1配線486は、複数のアノード配線接続部418および複数のアノードコンタクト領域465を被覆している。第1配線486は、平面視において複数のアノード配線接続部418および複数のアノードコンタクト領域465に交差している。第1配線486は、この形態では、第1方向Xに沿って延びる帯状に延び、複数のアノード配線接続部418および複数のアノードコンタクト領域465に交差している。
【0306】
第1配線486は、アノード配線接続部418との交差部においてアノード配線プラグ電極482に接続されている。第1配線486は、アノードコンタクト領域465との交差部においてアノードプラグ電極484に接続されている。
これにより、第1配線486は、アノード配線電極414および第3行目のアノードコンタクト領域465を電気的に接続している。つまり、第1配線486は、アノード・アノード配線として形成されている。
【0307】
複数の第2配線487は、平面視において第1方向Xおよび第2方向Yに沿って間隔を空けて形成されている。複数の第2配線487は、対応する一組のアノードコンタクト領域465およびカソードコンタクト領域466をそれぞれ被覆している。各第2配線487は、第1方向Xに隣り合うカソードコンタクト領域466およびアノードコンタクト領域465を被覆している。
【0308】
各第2配線487は、平面視において対応する一組のアノードコンタクト領域465およびカソードコンタクト領域466に交差している。各第2配線487は、この形態では、第1方向Xに沿って帯状に延び、対応する一組のアノードコンタクト領域465およびカソードコンタクト領域466に交差している。
各第2配線487は、対応するアノードコンタクト領域465との交差部においてアノードプラグ電極484に接続されている。各第2配線487は、対応するカソードコンタクト領域466との交差部においてカソードプラグ電極485に接続されている。
【0309】
これにより、各第2配線487は、一方の感温ダイオード構造431のアノードコンタクト領域465および他方の感温ダイオード構造431のカソードコンタクト領域466を電気的に接続している。つまり、第2配線487は、アノード・カソード配線として形成されている。
第3配線488は、複数のカソード配線接続部428および複数のカソードコンタクト領域466を被覆している。第3配線488は、平面視において複数のカソード配線接続部428および複数のカソードコンタクト領域466に交差している。第3配線488は、この形態では、第1方向Xに沿って帯状に延び、複数のカソード配線接続部428および複数のカソードコンタクト領域466に交差している。
【0310】
第3配線488は、カソード配線接続部428との交差部においてカソード配線プラグ電極483に接続されている。第3配線488は、カソードコンタクト領域466との交差部においてカソードプラグ電極485に接続されている。
これにより、第3配線488は、カソード配線電極424および第3行目のカソードコンタクト領域466を電気的に接続している。つまり、第3配線488は、カソード・カソード配線として形成されている。
【0311】
図25は、図1に示す感温ダイオードDTの電気的構造を示す回路図である。
図25を参照して、感温ダイオードDTは、アノード配線構造411(アノード配線電極414)およびカソード配線構造421(カソード配線電極424)の間に接続されている。感温ダイオードDTは、複数(この形態では4つ)の直列回路491が互いに並列接続された回路構造を有している。各直列回路491は、順方向直列接続された複数(この形態では3つ)のpn接合ダイオード464を含む。
【0312】
アノード配線構造411およびカソード配線構造421の間に感温ダイオードDTの閾値電圧Vth以上の電圧が印加されると、感温ダイオードDTを介してアノード配線構造411からカソード配線構造421に電流が流れる。過熱保護回路36は、感温ダイオードDTを流れる電流に基づいて所定の電気信号を生成し、前述の電流・電圧制御回路23に伝達する。
【0313】
以上、半導体装置1は、半導体層2に形成されたIPD(Intelligent Power Device)を含む。IPDは、パワーMISFET9、および、パワーMISFET9を制御するコントロールIC10を含む。パワーMISFET9は、より具体的には、第1MISFET56および第2MISFET57を含む。コントロールIC10は、第1MISFET56および第2MISFET57を個別に制御する。
【0314】
コントロールIC10は、より具体的には、通常動作時に第1MISFET56および第2MISFET57をオン状態に制御し、アクティブクランプ動作時に第1MISFET56をオフ状態に制御すると共に第2MISFET57をオン状態に制御する。
したがって、通常動作時には、第1MISFET56および第2MISFET57を利用して電流を流すことができる。これにより、面積抵抗率Ron・A(オン抵抗)の低減を図ることができる。よって、面積抵抗率Ron・A(オン抵抗)に起因する温度上昇を抑制できる。
【0315】
一方、アクティブクランプ動作時には、第1MISFET56を停止させた状態で第2MISFET57を利用して電流を流すことができるから、第2MISFET57によって逆起電力を消費(吸収)できる。これにより、逆起電力に起因する急激な温度上昇を抑制できるから、アクティブクランプ耐量Eacの向上を図ることができる。
半導体装置1は、より具体的には、第1FET構造58を含む第1MISFET56、および、第2FET構造68を含む第2MISFET57を有している。第1FET構造58は、第1トレンチゲート構造60および第1チャネル領域91を含む。第2FET構造68は、第2トレンチゲート構造70および第2チャネル領域111を含む。
【0316】
この場合、コントロールIC10は、通常動作時およびアクティブクランプ動作時の間で異なる特性チャネル割合RC(チャネルの面積)が適用されるように、第1MISFET56および第2MISFET57を制御する。コントロールIC10は、より具体的には、アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUが、零を超えて通常動作時のチャネル利用率RU未満となるように第1MISFET56および第2MISFET57を制御する。
【0317】
したがって、通常動作時には、特性チャネル割合RCが相対的に増加する。これにより、電流経路が相対的に増加するから、面積抵抗率Ron・A(オン抵抗)の低減を図ることができる。よって、面積抵抗率Ron・A(オン抵抗)に起因する温度上昇を抑制できる。一方、アクティブクランプ動作時には、特性チャネル割合RCが相対的に減少する。これにより、逆起電力に起因する急激な温度上昇を抑制できるから、アクティブクランプ耐量Eacの向上を図ることができる。
【0318】
よって、図13に示されるトレードオフの関係から切り離して、優れた面積抵抗率Ron・Aおよび優れたアクティブクランプ耐量Eacの両立を図ることができる半導体装置1を提供できる。
さらに、半導体装置1によれば、感温ダイオード構造431が半導体層2の内部に作りこまれている。これにより、感温ダイオード構造431に起因する半導体装置1の大型化を抑制できる。
【0319】
また、半導体装置1によれば、アノード配線構造411が半導体層2の内部に作りこまれている。これにより、アノード配線に起因する半導体装置1の大型化を抑制できる。また、半導体装置1によれば、カソード配線構造421が半導体層2の内部に作りこまれている。これにより、カソード配線に起因する半導体装置1の大型化を抑制できる。
また、半導体装置1によれば、感温ダイオードDTが出力領域6内に形成されている。これにより、パワーMISFET9の温度を適切に監視できる。感温ダイオードDTは、より具体的には、出力領域6内において第1トレンチゲート構造60(第2トレンチゲート構造70)と同様に、トレンチ構造を有している。
【0320】
感温ダイオードDTは、半導体層2の第1主面3に沿う横方向に第1トレンチゲート構造60(第2トレンチゲート構造70)に対向している。これにより、パワーMISFET9で生じた熱を、半導体層2を介して感温ダイオードDTに伝達させることができる。その結果、パワーMISFET9の温度をより一層適切に監視できる。
また、感温ダイオードDTは、出力領域6および感温デバイス領域402を区画する領域分離構造401を含む。これにより、感温ダイオードDTをパワーMISFET9から電気的に適切に分離させることができる。
【0321】
また、半導体装置1によれば、第1チャネル領域91の面積および第2チャネル領域111の面積を調整することによって出力領域6において生じる熱のばらつきを抑制できる。また、半導体装置1によれば、アクティブクランプ動作時において第1MISFET56および第2MISFET57が個別に制御されるため、逆起電力に起因する温度上昇を抑制できる。これにより、パワーMISFET9および感温ダイオード構造431によって出力領域6で生じる温度上昇を適切に対処できる。
【0322】
また、半導体装置1によれば、複数の感温ダイオード構造431が、環状トレンチ435、第1接続トレンチ436および第2接続トレンチ437をそれぞれ含む。一方の感温ダイオード構造431の第1接続部452(第1接続トレンチ436)は、他方の感温ダイオード構造431の第2接続部453(第2接続トレンチ437)に第1方向Xに対向するように形成されている。
【0323】
第1接続部452には、層間絶縁層142を貫通するプラグ電極(アノードプラグ電極484)が接続されている。第2接続部453には、層間絶縁層142を貫通するプラグ電極(カソードプラグ電極485)が接続されている。
層間絶縁層142の上には、第1接続部452側のプラグ電極(アノードプラグ電極484)および第2接続部453側のプラグ電極(カソードプラグ電極485)を電気的に接続する配線(第2配線487)が形成されている。これにより、環状トレンチ435を含む構造において、配線抵抗を抑制しながら、第1接続部452および第2接続部453を簡素な構造で電気的に接続できる。
【0324】
配線(第2配線487)は、より具体的には、第1接続部452および第2接続部453に交差する方向に延びている。配線(第2配線487)は、さらに具体的には、第1接続部452および第2接続部453を最短距離で接続している。これにより、配線抵抗を適切に抑制できる。
半導体装置1では、第1接続部452にアノードコンタクト領域465が形成され、第2接続部453にカソードコンタクト領域466が形成されている。したがって、配線抵抗を抑制しながら、複数の感温ダイオード構造431を電気的に接続できる。
【0325】
半導体装置1では、感温ダイオード構造431およびアノード配線構造411の間においても、これと同様の効果を達成されている。また、半導体装置1では、感温ダイオード構造431およびカソード配線構造421の間においても、これと同様の効果を達成されている。
図26A図26Sは、図1に示す半導体装置1の製造方法の一例を示す断面図である。図26A図26Sは、感温ダイオード構造431、領域分離構造401および第1トレンチゲート構造60(第2トレンチゲート構造70)を纏めて示す模式図であり、特定箇所の断面図を示していない。
【0326】
図26Aを参照して、半導体ウエハ504層501が用意される。半導体ウエハ504層501は、第1ウエハ主面502および第2ウエハ主面503を含む。第1ウエハ主面502および第2ウエハ主面503は、半導体層2の第1主面3および第2主面4にそれぞれ対応している。
半導体ウエハ504層501は、半導体ウエハ504およびエピタキシャル層505を含む積層構造を有している。第1ウエハ主面502は、エピタキシャル層505によって形成されている。第2ウエハ主面503は、半導体ウエハ504によって形成されている。エピタキシャル層505は、半導体ウエハ504の主面からシリコンをエピタキシャル成長させることによって形成されている。半導体ウエハ504およびエピタキシャル層505は、半導体基板51およびエピタキシャル層52にそれぞれ対応している。
【0327】
図26Bを参照して、複数のトレンチ506が、第1ウエハ主面502に形成される。複数のトレンチ506は、第1ゲートトレンチ81、第2ゲートトレンチ101、コンタクトトレンチ131、分離トレンチ404、アノードトレンチ412、カソードトレンチ422およびダイオードトレンチ432を含む。
複数のトレンチ506は、レジストマスク(図示せず)を介するエッチング法によって第1ウエハ主面502の不要な部分を除去することによって形成される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。
【0328】
図26Cを参照して、第1ベース絶縁層507が、第1ウエハ主面502の上に形成される。第1ベース絶縁層507は、第1ウエハ主面502および複数のトレンチ506の内壁に沿って膜状に形成される。第1ベース絶縁層507は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法または酸化処理法によって形成されてもよい。第1ベース絶縁層507は、この形態では、熱酸化処理法によって形成される。
【0329】
図26Dを参照して、第1ポリシリコン層508が、第1ウエハ主面502の上に形成される。第1ポリシリコン層508は、複数のトレンチ506を埋めて第1ウエハ主面502を被覆する。第1ポリシリコン層508は、CVD法によって形成されてもよい。
図26Eを参照して、ハードマスク509が、第1ポリシリコン層508の上に形成される。ハードマスク509は、この形態では、酸化シリコン(より具体的にはTEOS)からなる。ハードマスク509は、CVD法(たとえばプラズマCVD法)によって形成されてもよい。
【0330】
図26Fを参照して、ハードマスク509が、所定形状にパターニングされる。ハードマスク509は、複数のダイオードトレンチ432を被覆し、それ以外の領域を露出させる。ハードマスク509の不要な部分は、レジストマスク(図示せず)を介するエッチング法によって除去されてもよい。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。
【0331】
図26Gを参照して、n型不純物が、第1ポリシリコン層508に導入される。n型不純物の一例としての燐が、ハードマスク509を介する燐デポ法によって第1ポリシリコン層508に導入されてもよい。
これにより、第1ポリシリコン層508において第1ゲートトレンチ81、第2ゲートトレンチ101、コンタクトトレンチ131、分離トレンチ404、アノードトレンチ412およびカソードトレンチ422に埋設された部分に導電性が付与される。一方、第1ポリシリコン層508においてダイオードトレンチ432に埋設された部分は、不純物無添加の状態が維持される。燐デポ法の後、ハードマスク509は除去される。
【0332】
図26Hを参照して、第1ポリシリコン層508の不要な部分が除去される。第1ポリシリコン層508の不要な部分は、エッチング法によって除去されてもよい。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。第1ポリシリコン層508の不要な部分は、第1ベース絶縁層507が露出するまで除去される。
【0333】
これにより、コンタクト電極133がコンタクトトレンチ131内に形成される。また、分離電極406が分離トレンチ404内に形成される。また、アノード配線電極414がアノードトレンチ412内に形成される。また、カソード配線電極424がカソードトレンチ422内に形成される。また、ポリシリコン層434がダイオードトレンチ432内に形成される。
【0334】
図26Iを参照して、第1ゲートトレンチ81および第2ゲートトレンチ101内の第1ポリシリコン層508の不要な部分がさらに除去される。第1ポリシリコン層508の不要な部分は、レジストマスク(図示せず)を介するエッチング法によって除去されてもよい。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。
【0335】
第1ポリシリコン層508の不要な部分は、第1ポリシリコン層508のエッチング面が第1ゲートトレンチ81および第2ゲートトレンチ101の深さ方向途中部に位置するまで除去さえる。これにより、第1ゲートトレンチ81内に第1底側電極86が形成される。また、第2ゲートトレンチ101内に第2底側電極106が形成される。
図26Jを参照して、第1ベース絶縁層507の不要な部分が除去される。第1ベース絶縁層507の不要な部分は、エッチング法によって除去されてもよい。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。
【0336】
これにより、第1ベース絶縁層507が、第1底側絶縁層84、第2底側絶縁層104、コンタクト絶縁層132、分離絶縁層405、アノード絶縁層413、カソード絶縁層423、ダイオード絶縁層433およびフィールド絶縁層481に分割される。
図26Kを参照して、複数の絶縁層510が形成される。複数の絶縁層510は、第1開口側絶縁層85、第1中間絶縁層88、第2開口側絶縁層105、第2中間絶縁層108、第3キャップ絶縁層139、主面絶縁層141、第4キャップ絶縁層407、第5キャップ絶縁層419、第6キャップ絶縁層429および第7キャップ絶縁層468を含む。複数の絶縁層510は、CVD法または酸化処理法によって形成されてもよい。複数の絶縁層510は、この形態では、熱酸化処理法によって形成される。
【0337】
図26Lを参照して、第2ポリシリコン層511が、第1ウエハ主面502の上に形成される。第2ポリシリコン層511は、第1ゲートトレンチ81および第2ゲートトレンチ101を埋めて第1ウエハ主面502を被覆する。第2ポリシリコン層511は、CVD法によって形成されてもよい。
図26Mを参照して、第2ポリシリコン層511に、n型不純物が導入される。n型不純物の一例としての燐が、燐デポ法によって第2ポリシリコン層511に導入されてもよい。これにより、第2ポリシリコン層511に導電性が付与される。
【0338】
図26Nを参照して、第2ポリシリコン層511の不要な部分が除去される。第2ポリシリコン層511の不要な部分は、エッチング法によって除去されてもよい。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。
第2ポリシリコン層511の不要な部分は、主面絶縁層141が露出するまで除去される。これにより、第1ゲートトレンチ81内に第1開口側電極87が形成される。また、第2ゲートトレンチ101内に第2開口側電極107が形成される。
【0339】
図26Oを参照して、第1キャップ絶縁層89および第2キャップ絶縁層109が形成される。第1キャップ絶縁層89および第2キャップ絶縁層109は、CVD法または酸化処理法によって形成されてもよい。第1キャップ絶縁層89および第2キャップ絶縁層109は、この形態では、熱酸化処理法によって形成される。
図26Pを参照して、ボディ領域55およびウェル領域461が形成される。ボディ領域55およびウェル領域461は、この形態では、イオン注入マスク(図示せず)を介するイオン注入法によって同時に形成される。
【0340】
ボディ領域55は、出力領域6における第1ウエハ主面502の表層部にp型不純物を導入することによって形成される。ウェル領域461は、ダイオードトレンチ432内のポリシリコン層434の表層部にp型不純物を導入することによって形成される。ウェル領域461は、ボディ領域55とは異なるイオン注入マスクを用いて異なる工程で形成されてもよい。
【0341】
図26Qを参照して、第1ソース領域92、第2ソース領域112、カソード領域463およびカソードコンタクト領域466が形成される。第1ソース領域92、第2ソース領域112、カソード領域463およびカソードコンタクト領域466は、この形態では、イオン注入マスク(図示せず)を介するイオン注入法によって同時に形成される。
第1ソース領域92および第2ソース領域112は、出力領域6における第1ウエハ主面502の表層部にn型不純物を導入することによって形成される。カソード領域463およびカソードコンタクト領域466は、ダイオードトレンチ432内のポリシリコン層434の表層部にn型不純物を導入することによって形成される。
【0342】
カソード領域463およびカソードコンタクト領域466は、第1ソース領域92および第2ソース領域112とは異なるイオン注入マスクを用いて異なる工程で形成されてもよい。
図26Rを参照して、第1コンタクト領域93、第2コンタクト領域113、アノード領域462およびアノードコンタクト領域465が形成される。第1コンタクト領域93、第2コンタクト領域113、アノード領域462およびアノードコンタクト領域465は、この形態では、イオン注入マスク(図示せず)を介するイオン注入法によって同時に形成される。
【0343】
第1コンタクト領域93および第2コンタクト領域113は、出力領域6における第1ウエハ主面502の表層部にp型不純物を導入することによって形成される。アノード領域462およびアノードコンタクト領域465は、ダイオードトレンチ432内のポリシリコン層434の表層部にp型不純物を導入することによって形成される。
p型不純物の導入工程(図26R参照)およびn型不純物の導入工程(図26Q参照)の工程順は任意である。p型不純物の導入工程は、n型不純物の導入工程に先立って実施されてもよい。p型不純物の導入工程およびn型不純物の導入工程が複数回に亘って交互に実施されてもよい。
【0344】
図26Sを参照して、層間絶縁層142が、第1ウエハ主面502の上に形成される。層間絶縁層142は、CVD法によって形成されてもよい。次に、第1プラグ電極143、第2プラグ電極144、第3プラグ電極145、第4プラグ電極146、カソード配線プラグ電極483、アノードプラグ電極484およびカソードプラグ電極485が、層間絶縁層142に埋め込まれる。
【0345】
この工程では、まず、層間絶縁層142において第1プラグ電極143、第2プラグ電極144、第3プラグ電極145、第4プラグ電極146、カソード配線プラグ電極483、アノードプラグ電極484およびカソードプラグ電極485を埋め込むべき領域が除去される。層間絶縁層142の不要な部分は、レジストマスク(図示せず)エッチング法によって除去されてもよい。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。
【0346】
次に、層間絶縁層142に形成された複数の開口にタングステンが埋め込まれる。これにより、第1プラグ電極143、第2プラグ電極144、第3プラグ電極145、第4プラグ電極146、カソード配線プラグ電極483、アノードプラグ電極484およびカソードプラグ電極485が形成される。
次に、ドレイン電極11、ソース電極12、入力電極13、基準電圧電極14、ENABLE電極15、SENSE電極16、ゲート制御配線17、第1配線486、第2配線487および第3配線488が形成される。ドレイン電極11、ソース電極12、入力電極13、基準電圧電極14、ENABLE電極15、SENSE電極16、ゲート制御配線17、第1配線486、第2配線487および第3配線488は、スパッタ法および/またはCVD法によって形成されてもよい。
【0347】
その後、半導体ウエハ501が選択的に切断されて、複数の半導体装置1が切り出される。以上を含む工程を経て、半導体装置1が形成される。
図27は、図7に対応する領域の断面斜視図であって、本発明の第2実施形態に係る半導体装置151を示す斜視図である。以下では、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0348】
半導体装置1では、1個の第1FET構造58および1個の第2FET構造68が交互に配列される態様で、複数の第1FET構造58および複数の第2FET構造68が形成されている。これに対して、半導体装置151では、複数(この形態では2個)の第1FET構造58の群および複数(この形態では2個)の第2FET構造68の群が交互に配列される態様で、複数の第1FET構造58および複数の第2FET構造68が形成されている。
【0349】
また、半導体装置1では、第2チャネル割合R2(第2チャネル面積S2)が、第1チャネル割合R1(第1チャネル面積S1)とほぼ等しい。これに対して、半導体装置151では、第2チャネル割合R2が、第1チャネル割合R1とは異なっている(R1≠R2)。第2チャネル割合R2は、より具体的には、第1チャネル割合R1未満(R2<R1)である。以下、半導体装置151の構造について具体的に説明する。
【0350】
図27を参照して、複数のセル領域75は、この形態では、互いに隣り合う2個の第1FET構造58の間の領域、互いに隣り合う1個の第1FET構造58および1個の第2FET構造68の間の領域、ならびに、互いに隣り合う2個の第2FET構造68の間の領域にそれぞれ区画されている。
複数のセル領域75には、この形態では、互いに異なる値を有する3種の総チャネル割合RTが適用されている。3種の総チャネル割合RTは、第1総チャネル割合RT1、第2総チャネル割合RT2および第3総チャネル割合RT3を含む。
【0351】
第1総チャネル割合RT1は、互いに隣り合う2個の第1FET構造58の間の領域に適用されている。互いに隣り合う2個の第1FET構造58の間の領域には、その構造上、第2チャネル領域111は形成されない。
第1総チャネル割合RT1は、互いに隣り合う2個の第1FET構造58の第1チャネル割合R1の合計値である。第1総チャネル割合RT1は、一例として60%以上80%以下に調整されていてもよい。第1総チャネル割合RT1は、この形態では、75%に調整されている。第1総チャネル割合RT1において、一方側の第1チャネル割合R1および他方側の第1チャネル割合R1は、それぞれ37.5%である。
【0352】
第2総チャネル割合RT2は、互いに隣り合う1個の第1FET構造58および1個の第2FET構造68の間の領域に適用されている。互いに隣り合う1個の第1FET構造58および1個の第2FET構造68の間の領域には、その構造上、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111が形成される。
第2総チャネル割合RT2は、第1チャネル割合R1および第2チャネル割合R2の合計値である。第2総チャネル割合RT2は、一例として40%を超えて60%未満に調整されていてもよい。第2総チャネル割合RT2は、この形態では、50%に調整されている。第2総チャネル割合RT2において、第1チャネル割合R1は25%であり、第2チャネル割合R2は25%である。
【0353】
第3総チャネル割合RT3は、互いに隣り合う2個の第2FET構造68の間の領域に適用されている。互いに隣り合う2個の第2FET構造68の間の領域には、その構造上、第1チャネル領域91は形成されない。
第3総チャネル割合RT3は、互いに隣り合う2個の第2FET構造68の第2チャネル割合R2の合計値である。第3総チャネル割合RT3は、一例として20%以上40%以下に調整されていてもよい。第3総チャネル割合RT3は、この形態では、25%に調整されている。第3総チャネル割合RT3において、一方側の第2チャネル割合R2および他方側の第2チャネル割合R2は、それぞれ12.5%である。
【0354】
第1チャネル領域91は、全チャネルのうちの50%(1/2)を超える割合を占めている。この形態では、第1チャネル領域91は全チャネルのうちの62.5%を占め、第2チャネル領域111は全チャネルのうちの37.5%を占めている。つまり、第2チャネル割合R2は、第1チャネル割合R1未満(R2<R1)である。平均チャネル割合RAVは、この形態では、50%である。半導体装置151における他の構造は、半導体装置1と同様である。この形態では、以下に説明される制御が実施される。
【0355】
図28Aは、図1に示す半導体装置151の第1制御例に係る通常動作を説明するための断面斜視図である。図28Bは、図1に示す半導体装置151の第1制御例に係るアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。図28Aおよび図28Bでは、説明の便宜上、第1主面3の上の構造を省略し、ゲート制御配線17を簡略化している。
図28Aを参照して、パワーMISFET9の通常動作時では、第1ゲート制御配線17Aに第1オン信号Von1が入力され、第2ゲート制御配線17Bに第2オン信号Von2が入力され、第3ゲート制御配線17Cに第3オン信号Von3が入力される。
【0356】
第1オン信号Von1、第2オン信号Von2および第3オン信号Von3は、コントロールIC10からそれぞれ入力される。第1オン信号Von1、第2オン信号Von2および第3オン信号Von3は、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧をそれぞれ有している。第1オン信号Von1、第2オン信号Von2および第3オン信号Von3は、ほぼ等しい電圧をそれぞれ有していてもよい。
【0357】
この場合、第1開口側電極87、第2開口側電極107、第1底側電極86および第2底側電極106がそれぞれオン状態になる。つまり、第1開口側電極87、第2開口側電極107、第1底側電極86および第2底側電極106は、ゲート電極としてそれぞれ機能する。
これにより、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111は共にオン状態に制御される。図28Aでは、オン状態の第1チャネル領域91および第2チャネル領域111がドット状のハッチングによって示されている。
【0358】
その結果、第1MISFET56および第2MISFET57の双方が駆動される(Full-ON制御)。通常動作時のチャネル利用率RUは、100%である。通常動作時の特性チャネル割合RCは、50%である。これにより、面積抵抗率Ron・Aは、図13のグラフにおいて第2プロット点P2で示された面積抵抗率Ron・Aに近づく。
一方、図28Bを参照して、パワーMISFET9のアクティブクランプ動作時では、第1ゲート制御配線17Aにオフ信号Voffが入力され、第2ゲート制御配線17Bに第1クランプオン信号VCon1が入力され、第3ゲート制御配線17Cに第2クランプオン信号VCon2が入力される。
【0359】
オフ信号Voff、第1クランプオン信号VCon1および第2クランプオン信号VCon2は、コントロールIC10からそれぞれ入力される。オフ信号Voffは、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧(たとえば基準電圧)を有している。第1クランプオン信号VCon1および第2クランプオン信号VCon2は、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧をそれぞれ有している。第1クランプオン信号VCon1および第2クランプオン信号VCon2は、ほぼ等しい電圧をそれぞれ有していてもよい。第1クランプオン信号VCon1および第2クランプオン信号VCon2は、通常動作時の電圧以下または未満の電圧をそれぞれ有していてもよい。
【0360】
この場合、第1開口側電極87がオフ状態となり、第2開口側電極107、第1底側電極86および第2底側電極106がそれぞれオン状態になる。これにより、第1チャネル領域91がオフ状態に制御されると共に第2チャネル領域111がオン状態に制御される。図28Bでは、オフ状態の第1チャネル領域91が塗りつぶしハッチングによって示され、オン状態の第2チャネル領域111がドット状のハッチングによって示されている。
【0361】
その結果、第1MISFET56がオフ状態に制御される一方で、第2MISFET57がオン状態に制御される(第2Half-ON制御)。これにより、アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUが、零を超えて通常動作時のチャネル利用率RU未満になる。アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUは、より具体的には、第2チャネル割合R2を超える第1チャネル割合R1(R2<R1)を有する第1チャネル領域91がオフ状態に制御されるため、通常動作時のチャネル利用率RUの1/2未満になる。
【0362】
アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUは、37.5%である。また、アクティブクランプ動作時の特性チャネル割合RCは、18.75%である。これにより、アクティブクランプ耐量Eacは、図13のグラフにおいて第4プロット点P4で示されたアクティブクランプ耐量Eacに近づくか、または、当該アクティブクランプ耐量Eacを超える。
【0363】
図29Aは、図27に示す半導体装置151の第2制御例に係る通常動作を説明するための断面斜視図である。図29Bは、図27に示す半導体装置151の第2制御例に係るアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。図29Aおよび図29Bでは、説明の便宜上、第1主面3の上の構造を省略し、ゲート制御配線17を簡略化している。
【0364】
図29Aを参照して、パワーMISFET9の通常動作時では、第1ゲート制御配線17Aに第1オン信号Von1が入力され、第2ゲート制御配線17Bに第2オン信号Von2が入力され、第3ゲート制御配線17Cにオフ信号Voffが入力される。
第1オン信号Von1、第2オン信号Von2およびオフ信号Voffは、コントロールIC10からそれぞれ入力される。第1オン信号Von1および第2オン信号Von2は、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧をそれぞれ有している。第1オン信号Von1および第2オン信号Von2は、ほぼ等しい電圧をそれぞれ有していてもよい。オフ信号Voffは、基準電圧であってもよい。
【0365】
この場合、第1開口側電極87および第2開口側電極107がそれぞれオン状態になり、第1底側電極86および第2底側電極106がそれぞれオフ状態になる。つまり、第1開口側電極87および第2開口側電極107がゲート電極として機能する一方で、第1底側電極86および第2底側電極106がフィールド電極として機能する。
これにより、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111は共にオン状態に制御される。図29Aでは、オン状態の第1チャネル領域91および第2チャネル領域111がドット状のハッチングによって示されている。
【0366】
その結果、第1MISFET56および第2MISFET57の双方が駆動される(Full-ON制御)。通常動作時のチャネル利用率RUは、100%である。通常動作時の特性チャネル割合RCは、50%である。これにより、面積抵抗率Ron・Aは、図13のグラフにおいて第2プロット点P2で示された面積抵抗率Ron・Aに近づく。
一方、図29Bを参照して、パワーMISFET9のアクティブクランプ動作時では、第1ゲート制御配線17Aに第1オフ信号Voff1が入力され、第2ゲート制御配線17Bにクランプオン信号VConが入力され、第3ゲート制御配線17Cに第2オフ信号Voff2が入力される。
【0367】
第1オフ信号Voff1、クランプオン信号VConおよび第2オフ信号Voff2は、コントロールIC10からそれぞれ入力される。第1オフ信号Voff1は、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧(たとえば基準電圧)を有している。クランプオン信号VConは、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧を有している。クランプオン信号VConは、通常動作時の電圧以下または未満の電圧を有していてもよい。第2オフ信号Voff2は、基準電圧であってもよい。
【0368】
この場合、第1開口側電極87、第1底側電極86および第2底側電極106がそれぞれオフ状態となり、第2開口側電極107がオン状態になる。これにより、第1チャネル領域91がオフ状態に制御されると共に第2チャネル領域111がオン状態に制御される。図29Bでは、オフ状態の第1チャネル領域91が塗りつぶしハッチングによって示され、オン状態の第2チャネル領域111がドット状のハッチングによって示されている。
【0369】
その結果、第1MISFET56がオフ状態に制御される一方で、第2MISFET57がオン状態に制御される(第2Half-ON制御)。これにより、アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUが、零を超えて通常動作時のチャネル利用率RU未満になる。アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUは、より具体的には、第2チャネル割合R2を超える第1チャネル割合R1(R2<R1)を有する第1チャネル領域91がオフ状態に制御されるため、通常動作時のチャネル利用率RUの1/2未満になる。
【0370】
アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUは、37.5%である。また、アクティブクランプ動作時の特性チャネル割合RCは、18.75%である。これにより、アクティブクランプ耐量Eacは、図13のグラフにおいて第4プロット点P4で示されたアクティブクランプ耐量Eacに近づくか、または、当該アクティブクランプ耐量Eacを超える。
【0371】
図30Aは、図27に示す半導体装置151の第3制御例に係る通常動作を説明するための断面斜視図である。図30Bは、図27に示す半導体装置151の第3制御例に係るアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。図30Aおよび図30Bでは、説明の便宜上、第1主面3の上の構造を省略し、ゲート制御配線17を簡略化している。
【0372】
図30Aを参照して、パワーMISFET9の通常動作時では、第1ゲート制御配線17Aにオン信号Vonが入力され、第2ゲート制御配線17Bに第1オフ信号Voff1が入力され、第3ゲート制御配線17Cに第2オフ信号Voff2が入力される。
オン信号Von、第1オフ信号Voff1および第2オフ信号Voff2は、コントロールIC10からそれぞれ入力される。オン信号Vonは、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧を有している。第1オフ信号Voff1および第2オフ信号Voff2は、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧(たとえば基準電圧)をそれぞれ有していてもよい。
【0373】
この場合、第1開口側電極87がオン状態になり、第1底側電極86、第2底側電極106および第2開口側電極107がそれぞれオフ状態になる。つまり、第1開口側電極87がゲート電極として機能する一方で、第1底側電極86および第2底側電極106がフィールド電極として機能する。
これにより、第1チャネル領域91がオン状態に制御されると共に第2チャネル領域111がオフ状態に制御される。図30Aでは、オン状態の第1チャネル領域91がドット状のハッチングによって示され、オフ状態の第2チャネル領域111が塗りつぶしハッチングによって示されている。
【0374】
その結果、第1MISFET56がオン状態に制御される一方で、第2MISFET57がオフ状態に制御される(第1Half-ON制御)。これにより、通常動作時の特性チャネル割合RCは、第1チャネル割合R1未満の第2チャネル割合R2(R2<R1)を有する第2チャネル領域111がオフ状態に制御されるから、平均チャネル割合RAV未満になる。
【0375】
通常動作時のチャネル利用率RUは、62.5%である。また、通常動作時の特性チャネル割合RCは、31.25%である。これにより、面積抵抗率Ron・Aは、図13のグラフにおいて第3プロット点P3で示された面積抵抗率Ron・Aに近づく。
一方、図30Bを参照して、パワーMISFET9のアクティブクランプ動作時では、第1ゲート制御配線17Aに第1オフ信号Voff1が入力され、第2ゲート制御配線17Bにクランプオン信号VConが入力され、第3ゲート制御配線17Cに第2オフ信号Voff2が入力される。
【0376】
第1オフ信号Voff1、クランプオン信号VConおよび第2オフ信号Voff2は、コントロールIC10からそれぞれ入力される。第1オフ信号Voff1は、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧(たとえば基準電圧)を有している。クランプオン信号VConは、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧を有している。クランプオン信号VConは、通常動作時の電圧以下または未満の電圧を有していてもよい。第2オフ信号Voff2は、基準電圧であってもよい。
【0377】
この場合、第2開口側電極107がオン状態になり、第1底側電極86、第1開口側電極87および第2底側電極106がそれぞれオフ状態になる。つまり、第2開口側電極107がゲート電極として機能する一方で、第1底側電極86および第2底側電極106がフィールド電極として機能する。
これにより、第1チャネル領域91がオフ状態に制御されると共に第2チャネル領域111がオン状態に制御される。図30Bでは、オフ状態の第1チャネル領域91が塗りつぶしハッチングによって示され、オン状態の第2チャネル領域111がドット状のハッチングによって示されている。
【0378】
その結果、第1MISFET56がオフ状態に制御される一方で、第2MISFET57がオン状態に制御される(第2Half-ON制御)。これにより、アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUは、第2チャネル割合R2を超える第1チャネル割合R1(R2<R1)を有する第1チャネル領域91がオフ状態に制御されるから、零を超えて通常動作時のチャネル利用率RU未満となる。
【0379】
アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUは、37.5%である。また、アクティブクランプ動作時の特性チャネル割合RCは、18.75%である。これにより、アクティブクランプ耐量Eacは、図13のグラフにおいて第2プロット点P2で示されたアクティブクランプ耐量Eacに近づくか、または、当該アクティブクランプ耐量Eacを超える。
【0380】
第3制御例では、通常動作時およびアクティブクランプ動作時において、第3ゲート制御配線17Cにオフ信号Voffが入力されている。しかし、通常動作時およびアクティブクランプ動作時において、第3ゲート制御配線17Cにオン信号Vonが入力されてもよい。
以上、半導体装置151によっても半導体装置1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。とりわけ、半導体装置151によれば、第2チャネル割合R2が、第1チャネル割合R1とは異なっている(R1≠R2)。第2チャネル割合R2は、より具体的には、第1チャネル割合R1未満である(R1>R2)。
【0381】
コントロールIC10は、このような構造において、アクティブクランプ動作時におけるチャネル利用率RUが、零を超えて通常動作時におけるチャネル利用率RU未満となるように第1MISFET56および第2MISFET57を制御する。コントロールIC10は、より具体的には、アクティブクランプ動作時において第1チャネル領域91をオフ状態に制御し、第2チャネル領域111をオン状態に制御する。これにより、アクティブクランプ耐量Eacの向上効果を高めることができる。
【0382】
また、半導体装置151によれば、第3制御例で示されたように、通常動作時に第1Half-ON制御を適用し、アクティブクランプ動作時に第2Half-ON制御を適用できる。また、半導体装置151によれば、通常動作時に第2Half-ON制御を適用し、アクティブクランプ動作時に第1Half-ON制御を適用することもできる。
したがって、半導体装置151によれば、制御法を変更するだけで、同一の平均チャネル割合RAVを有していながら、種々の面積抵抗率Ron・Aおよびアクティブクランプ耐量Eacを実現できる。
【0383】
また、半導体装置151では、複数(この形態では2個)の第1FET構造58の群および複数(この形態では2個)の第2FET構造68の群が交互に配列される態様で、複数の第1FET構造58および複数の第2FET構造68が形成されている。
複数の第1FET構造58が互いに隣り合う構造では、互いに隣り合う複数の第1FET構造58の間の領域において第2チャネル領域111に接続させることなく第1チャネル領域91を形成できる。したがって、第1チャネル領域91を適切に形成できるから、第1チャネル割合R1を適切に調整できる。
【0384】
同様に、複数の第2FET構造68が互いに隣り合う構造では、互いに隣り合う複数の第2FET構造68の間の領域において第1チャネル領域91に接続させることなく第2チャネル領域111を形成できる。したがって、第2チャネル領域111を適切に形成できるから、第2チャネル割合R2を適切に調整できる。これにより、平均チャネル割合RAVおよび特性チャネル割合RCを適切に調整できる。
【0385】
図31は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置161を1つの方向から見た斜視図である。図32は、図31に示す領域XXXIIの断面斜視図である。図33は、図32からソース電極12およびゲート制御配線17を取り除いた断面斜視図である。図34は、図33から層間絶縁層142を取り除いた断面斜視図である。以下では、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0386】
半導体装置1では、ゲート制御配線17が、第1ゲート制御配線17A、第2ゲート制御配線17Bおよび第3ゲート制御配線17Cを含む。これに対して、半導体装置161では、ゲート制御配線17は、第3ゲート制御配線17Cを有さず、第1ゲート制御配線17Aおよび第2ゲート制御配線17Bだけを含む。
また、半導体装置1では、第2底側電極106が、第1底側電極86に電気的に接続されている。これに対して、半導体装置161では、第2底側電極106が第1底側電極86から電気的に絶縁されている。
【0387】
半導体装置161は、より具体的には、第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70を互いに電気的に絶縁させる態様で、第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70にそれぞれ接続された複数のトレンチコンタクト構造120を含む。
第1FET構造58の他端部および第2FET構造68の他端部側の領域の構造は、第1FET構造58の一端部および第2FET構造68の一端部側の領域の構造と同様である。以下では、第1FET構造58の一端部および第2FET構造68の一端部側の領域の構造を例にとって説明し、第1FET構造58の他端部および第2FET構造68の他端部側の領域の構造についての説明は省略する。
【0388】
図31図34を参照して、複数のトレンチコンタクト構造120は、複数の第1トレンチコンタクト構造162および複数の第2トレンチコンタクト構造163を含む。複数の第1トレンチコンタクト構造162は、複数の第2トレンチゲート構造70から間隔を空けて、対応する複数の第1トレンチゲート構造60の一端部にそれぞれ接続されている。第1トレンチコンタクト構造162は、この形態では、対応する第1トレンチゲート構造60に対して1対1対応の関係で接続されている。
【0389】
複数の第2トレンチコンタクト構造163は、複数の第1トレンチゲート構造60から間隔を空けて、対応する複数の第2トレンチゲート構造70の一端部にそれぞれ接続されている。第2トレンチコンタクト構造163は、この形態では、対応する第2トレンチゲート構造70に対して1対1対応の関係で接続されている。
各第1トレンチコンタクト構造162は、第1コンタクトトレンチ164、第1コンタクト絶縁層165および第1コンタクト電極166を含む。第1コンタクトトレンチ164、第1コンタクト絶縁層165および第1コンタクト電極166は、前述のコンタクトトレンチ131、コンタクト絶縁層132およびコンタクト電極133にそれぞれ対応している。
【0390】
第1コンタクトトレンチ164は、第1ゲートトレンチ81の一端部に連通している。第1方向Xに関して、第1コンタクトトレンチ164の幅WTC1は、第1ゲートトレンチ81の第1幅WT1にほぼ等しい(WTC1=WT1)。第1コンタクトトレンチ164は、第1ゲートトレンチ81との間で第2方向Yに沿って延びる1つのトレンチを形成している。
【0391】
第1コンタクト絶縁層165は、第1ゲートトレンチ81および第1コンタクトトレンチ164の間の連通部において第1絶縁層82と一体を成している。第1コンタクト絶縁層165は、より具体的には、第1ゲートトレンチ81内に引き出された引き出し絶縁層165Aを含む。引き出し絶縁層165Aは、前述の引き出し絶縁層132Aに対応している。つまり、第1コンタクト絶縁層165は、連通部を横切って第1ゲートトレンチ81内において第1底側絶縁層84および第1開口側絶縁層85と一体を成している。
【0392】
第1コンタクト電極166は、第1ゲートトレンチ81および第1コンタクトトレンチ164の間の連通部において第1底側電極86と一体を成している。第1コンタクト電極166は、より具体的には、第1ゲートトレンチ81内に引き出された引き出し電極166Aを含む。引き出し電極166Aは、前述の引き出し電極133Aに対応している。
つまり、第1コンタクト電極166は、連通部を横切って第1ゲートトレンチ81内において第1底側電極86に電気的に接続されている。第1ゲートトレンチ81内において第1コンタクト電極166および第1開口側電極87の間には、第1中間絶縁層88が介在している。
【0393】
各第2トレンチコンタクト構造163は、第2コンタクトトレンチ167、第2コンタクト絶縁層168および第2コンタクト電極169を含む。第2コンタクトトレンチ167、第2コンタクト絶縁層168および第2コンタクト電極169は、前述のコンタクトトレンチ131、コンタクト絶縁層132およびコンタクト電極133にそれぞれ対応している。
【0394】
第2コンタクトトレンチ167は、第2ゲートトレンチ101の一端部に連通している。第1方向Xに関して、第2コンタクトトレンチ167の幅WTC2は、第2ゲートトレンチ101の第2幅WT2にほぼ等しい(WTC2=WT2)。第2コンタクトトレンチ167は、第2ゲートトレンチ101との間で第2方向Yに沿って延びる1つのトレンチを形成している。
【0395】
第2コンタクト絶縁層168は、第2ゲートトレンチ101および第2コンタクトトレンチ167の間の連通部において第2絶縁層102と一体を成している。第2コンタクト絶縁層168は、より具体的には、第2ゲートトレンチ101内に引き出された引き出し絶縁層168Aを含む。引き出し絶縁層168Aは、前述の引き出し絶縁層132Aに対応している。つまり、第2コンタクト絶縁層168は、連通部を横切って第2ゲートトレンチ101内において第2底側絶縁層104および第2開口側絶縁層105と一体を成している。
【0396】
第2コンタクト電極169は、第2ゲートトレンチ101および第2コンタクトトレンチ167の間の連通部において第2底側電極106と一体を成している。第2コンタクト電極169は、より具体的には、第2ゲートトレンチ101内に引き出された引き出し電極169Aを含む。引き出し電極169Aは、前述の引き出し電極133Aに対応している。
【0397】
つまり、第2コンタクト電極169は、連通部を横切って第2ゲートトレンチ101内において第2底側電極106に電気的に接続されている。第2ゲートトレンチ101内において第2コンタクト電極169および第2開口側電極107の間には、第2中間絶縁層108が介在している。
第2コンタクト電極169は、第1コンタクト電極166から電気的に絶縁されている。これにより、第2底側電極106は、第1底側電極86から電気的に絶縁されている。つまり、第1底側電極86および第2底側電極106は、互いに独立して制御可能に構成されている。
【0398】
複数の第3プラグ電極145は、この形態では、複数の第3プラグ電極145Aおよび複数の第3プラグ電極145Bを含む。複数の第3プラグ電極145Aは、層間絶縁層142において第1トレンチコンタクト構造162の第1コンタクト電極166を被覆する部分にそれぞれ埋め込まれている。複数の第3プラグ電極145Aは、層間絶縁層142を貫通し、第1コンタクト電極166に接続されている。
【0399】
複数の第3プラグ電極145Bは、層間絶縁層142において第2トレンチコンタクト構造163の第2コンタクト電極169を被覆する部分にそれぞれ埋め込まれている。複数の第3プラグ電極145Bは、層間絶縁層142を貫通し、第2コンタクト電極169に接続されている。
ゲート制御配線17のうちの第1ゲート制御配線17Aは、第1底側電極86および第1開口側電極87に電気的に接続されている。第1ゲート制御配線17Aは、より具体的には、層間絶縁層142の上において複数の第1プラグ電極143および複数の第3プラグ電極145Aに電気的に接続されている。第1ゲート制御配線17Aの配線パターンは任意である。
【0400】
第1ゲート制御配線17Aには、コントロールIC10からのゲート制御信号が入力される。ゲート制御信号は、複数の第1プラグ電極143および複数の第3プラグ電極145Aを介して第1底側電極86および第1開口側電極87に伝達される。
したがって、第1底側電極86および第1開口側電極87は、この形態では、同時に同電圧に制御される。これにより、第1底側電極86および第1開口側電極87の間に電位差が形成されることを適切に抑制できるから、第1中間絶縁層88に対する電界集中を適切に抑制できる。その結果、第1トレンチゲート構造60の耐圧を高めることができる。
【0401】
ゲート制御配線17のうちの第2ゲート制御配線17Bは、第2底側電極106および第2開口側電極107に電気的に接続されている。第2ゲート制御配線17Bは、より具体的には、層間絶縁層142の上において複数の第2プラグ電極144および複数の第3プラグ電極145Bに電気的に接続されている。第2ゲート制御配線17Bの配線パターンは任意である。
【0402】
第2ゲート制御配線17Bには、コントロールIC10からのゲート制御信号が入力される。ゲート制御信号は、複数の第1プラグ電極143および複数の第3プラグ電極145Bを介して第2底側電極106および第2開口側電極107に伝達される。
したがって、第2底側電極106および第2開口側電極107は、この形態では、同時に同電圧に制御される。これにより、第2底側電極106および第2開口側電極107の間に電位差が形成されることを適切に抑制できるから、第2中間絶縁層108に対する電界集中を適切に抑制できる。その結果、第2トレンチゲート構造70の耐圧を高めることができる。
【0403】
図35Aは、図34に示す半導体装置161の通常動作を説明するための断面斜視図である。図35Bは、図34に示す半導体装置161のアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。図35Aおよび図35Bでは、説明の便宜上、第1主面3の上の構造を省略し、ゲート制御配線17を簡略化している。
図35Aを参照して、パワーMISFET9の通常動作時では、第1ゲート制御配線17Aに第1オン信号Von1が入力され、第2ゲート制御配線17Bに第2オン信号Von2が入力される。第1オン信号Von1および第2オン信号Von2は、コントロールIC10からそれぞれ入力される。
【0404】
第1オン信号Von1および第2オン信号Von2は、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧をそれぞれ有している。第1オン信号Von1および第2オン信号Von2は、ほぼ等しい電圧をそれぞれ有していてもよい。
この場合、第1開口側電極87、第2開口側電極107、第1底側電極86および第2底側電極106がそれぞれオン状態になる。つまり、第1開口側電極87、第2開口側電極107、第1底側電極86および第2底側電極106は、ゲート電極としてそれぞれ機能する。
【0405】
これにより、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111は共にオン状態に制御される。図35Aでは、オン状態の第1チャネル領域91および第2チャネル領域111がドット状のハッチングによって示されている。
その結果、第1MISFET56および第2MISFET57の双方が駆動される(Full-ON制御)。通常動作時のチャネル利用率RUは、100%である。通常動作時の特性チャネル割合RCは、50%である。これにより、面積抵抗率Ron・Aは、図13のグラフにおいて第2プロット点P2で示された面積抵抗率Ron・Aに近づく。
【0406】
一方、図35Bを参照して、パワーMISFET9のアクティブクランプ動作時では、第1ゲート制御配線17Aにオフ信号Voffが入力され、第2ゲート制御配線17Bにクランプオン信号VConが入力される。
オフ信号Voffおよびクランプオン信号VConは、コントロールIC10からそれぞれ入力される。オフ信号Voffは、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧(たとえば基準電圧)を有している。クランプオン信号VConは、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧を有している。クランプオン信号VConは、通常動作時の電圧以下または未満の電圧を有していてもよい。
【0407】
この場合、第1底側電極86および第1開口側電極87がそれぞれオフ状態となり、第2底側電極106および第2開口側電極107がそれぞれオン状態になる。これにより、第1チャネル領域91がオフ状態に制御されると共に第2チャネル領域111がオン状態に制御される。図35Bでは、オフ状態の第1チャネル領域91が塗りつぶしハッチングによって示され、オン状態の第2チャネル領域111がドット状のハッチングによって示されている。
【0408】
その結果、第1MISFET56がオフ状態に制御される一方で、第2MISFET57がオン状態に制御される(第2Half-ON制御)。これにより、アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUが、零を超えて通常動作時のチャネル利用率RU未満になる。
アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUは、50%である。また、アクティブクランプ動作時の特性チャネル割合RCは、25%である。これにより、アクティブクランプ耐量Eacは、図13のグラフにおいて第4プロット点P4で示されたアクティブクランプ耐量Eacに近づく。
【0409】
この制御例では、アクティブクランプ動作時において第2Half-ON制御が適用された例について説明した。しかし、アクティブクランプ動作時において第1Half-ON制御が適用されてもよい。
以上、半導体装置161によっても半導体装置1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。とりわけ、半導体装置161によれば、第2底側電極106が第1底側電極86から電気的に絶縁されており、第2開口側電極107が第1開口側電極87から電気的に絶縁されている。
【0410】
コントロールIC10は、このような構造において、第1MISFET56の第1底側電極86および第1開口側電極87を同時に同電圧に制御する。これにより、通常動作時およびアクティブクランプ動作時において第1底側電極86および第1開口側電極87の間に電位差が形成されることを適切に抑制できる。その結果、第1中間絶縁層88に対する電界集中を適切に抑制できるから、第1トレンチゲート構造60の耐圧を高めることができる。
【0411】
また、コントロールIC10は、第2MISFET57の第2底側電極106および第2開口側電極107を同時に同電圧に制御する。これにより、通常動作時およびアクティブクランプ動作時において第2底側電極106および第2開口側電極107の間に電位差が形成されることを適切に抑制できる。その結果、第2中間絶縁層108に対する電界集中を適切に抑制できるから、第2トレンチゲート構造70の耐圧を高めることができる。
【0412】
図36は、図32に対応する領域の断面斜視図であって、本発明の第4実施形態に係る半導体装置171を示す断面斜視図である。図37は、図36から半導体層2の上の構造を取り除いた断面斜視図である。以下では、半導体装置161に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
以下では、第1FET構造58の一端部および第2FET構造68の一端部側の領域の構造を例にとって説明し、第1FET構造58の他端部および第2FET構造68の他端部側の領域の構造についての説明は省略する。
【0413】
半導体装置161では、1個の第1FET構造58および1個の第2FET構造68が交互に配列される態様で、複数の第1FET構造58および複数の第2FET構造68が形成されている。これに対して、半導体装置171では、複数(この形態では2個)の第1FET構造58の群および複数(この形態では2個)の第2FET構造68の群が交互に配列される態様で、複数の第1FET構造58および複数の第2FET構造68が形成されている。
【0414】
また、半導体装置161では、複数の第1トレンチコンタクト構造162が1対1対応の関係で対応する第1トレンチゲート構造60に接続されている。これに対して、半導体装置171では、複数の第1トレンチコンタクト構造162が、互いに隣り合う複数(この形態では2個)の第1トレンチゲート構造60の群にそれぞれ接続されている。複数の第1トレンチコンタクト構造162は、平面視においてアーチ状に形成されている。
【0415】
また、半導体装置161では、複数の第2トレンチコンタクト構造163が1対1対応の関係で対応する第2トレンチゲート構造70に接続されている。これに対して、半導体装置171では、複数の第2トレンチコンタクト構造163が、互いに隣り合う複数(この形態では2個)の第2トレンチゲート構造70の群にそれぞれ接続されている。複数の第2トレンチコンタクト構造163は、平面視においてアーチ状に形成されている。以下、半導体装置171の構造について具体的に説明する。
【0416】
図36および図37を参照して、複数のセル領域75は、この形態では、互いに隣り合う2個の第1FET構造58の間の領域、互いに隣り合う1個の第1FET構造58および1個の第2FET構造68の間の領域、ならびに、互いに隣り合う2個の第2FET構造68の間の領域にそれぞれ区画されている。
複数のセル領域75には、この形態では、3種の総チャネル割合RTが適用されている。3種の総チャネル割合RTは、第1総チャネル割合RT1、第2総チャネル割合RT2および第3総チャネル割合RT3を含む。
【0417】
第1総チャネル割合RT1は、互いに隣り合う2個の第1FET構造58の間の領域に適用されている。互いに隣り合う2個の第1FET構造58の間の領域には、その構造上、第2チャネル領域111は形成されない。
第1総チャネル割合RT1は、互いに隣り合う2個の第1FET構造58の第1チャネル割合R1の合計値である。第1総チャネル割合RT1は、0%以上100%以下(好ましくは0%を超えて100%未満)に調整されていてもよい。第1総チャネル割合RT1は、この形態では、50%に調整されている。第1総チャネル割合RT1において、一方側の第1チャネル割合R1および他方側の第1チャネル割合R1は、それぞれ25%である。
【0418】
第2総チャネル割合RT2は、互いに隣り合う1個の第1FET構造58および1個の第2FET構造68の間の領域に適用されている。互いに隣り合う1個の第1FET構造58および1個の第2FET構造68の間の領域には、その構造上、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111が形成される。
第2総チャネル割合RT2は、第1チャネル割合R1および第2チャネル割合R2の合計値である。第2総チャネル割合RT2は、0%以上100%以下(好ましくは0%を超えて100%未満)に調整されていてもよい。第2総チャネル割合RT2は、この形態では、50%に調整されている。第2総チャネル割合RT2において、第1チャネル割合R1は25%であり、第2チャネル割合R2は25%である。
【0419】
第3総チャネル割合RT3は、互いに隣り合う2個の第2FET構造68の間の領域に適用されている。互いに隣り合う2個の第2FET構造68の間の領域には、その構造上、第1チャネル領域91は形成されない。
第3総チャネル割合RT3は、互いに隣り合う2個の第2FET構造68の第2チャネル割合R2の合計値である。第3総チャネル割合RT3は、0%以上100%以下(好ましくは0%を超えて100%未満)に調整されていてもよい。第3総チャネル割合RT3は、この形態では、50%に調整されている。第3総チャネル割合RT3において、一方側の第2チャネル割合R2および他方側の第2チャネル割合R2は、それぞれ25%である。
【0420】
第1チャネル領域91は全チャネルのうちの1/2(50%)を占め、第2チャネル領域111は全チャネルのうちの1/2(50%)を占めている。平均チャネル割合RAVは、この形態では、50%である。
各第1トレンチコンタクト構造162において第1コンタクトトレンチ164は、互いに隣り合う複数の第1ゲートトレンチ81の一端部に連通している。第1コンタクト絶縁層165は、各第1ゲートトレンチ81および第1コンタクトトレンチ164の間の連通部において第1絶縁層82と一体を成している。
【0421】
第1コンタクト絶縁層165は、より具体的には、各第1ゲートトレンチ81内に引き出された引き出し絶縁層165Aを含み、連通部を横切って各第1ゲートトレンチ81内において第1底側絶縁層84および第1開口側絶縁層85と一体を成している。
第1コンタクト電極166は、各第1ゲートトレンチ81および第1コンタクトトレンチ164の間の連通部において第1底側電極86と一体を成している。第1コンタクト電極166は、より具体的には、各第1ゲートトレンチ81内に引き出された引き出し電極166Aを含み、連通部を横切って各第1ゲートトレンチ81内において第1底側電極86に電気的に接続されている。各第1ゲートトレンチ81内において第1コンタクト電極166および第1開口側電極87の間には、第1中間絶縁層88が介在している。
【0422】
各第2トレンチゲート構造70において第2コンタクトトレンチ167は、互いに隣り合う複数の第2ゲートトレンチ101の一端部に連通している。第2コンタクト絶縁層168は、各第2ゲートトレンチ101および第2コンタクトトレンチ167の間の連通部において第2絶縁層102と一体を成している。
第2コンタクト絶縁層168は、より具体的には、各第2ゲートトレンチ101内に引き出された引き出し絶縁層168Aを含み、連通部を横切って各第2ゲートトレンチ101内において第2底側絶縁層104および第2開口側絶縁層105と一体を成している。
【0423】
第2コンタクト電極169は、各第2ゲートトレンチ101および第2コンタクトトレンチ167の間の連通部において第2底側電極106と一体を成している。第2コンタクト電極169は、より具体的には、各第2ゲートトレンチ101内に引き出された引き出し電極169Aを含み、連通部を横切って各第2ゲートトレンチ101内において第2底側電極106に電気的に接続されている。各第2ゲートトレンチ101内において第2コンタクト電極169および第2開口側電極107の間には、第2中間絶縁層108が介在している。
【0424】
図38Aは、図36に示す半導体装置171の通常動作を説明するための断面斜視図である。図38Bは、図36に示す半導体装置171のアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。図38Aおよび図38Bでは、説明の便宜上、第1主面3の上の構造を省略し、ゲート制御配線17を簡略化している。
図38Aを参照して、パワーMISFET9の通常動作時では、第1ゲート制御配線17Aに第1オン信号Von1が入力され、第2ゲート制御配線17Bに第2オン信号Von2が入力される。第1オン信号Von1および第2オン信号Von2は、コントロールIC10からそれぞれ入力される。
【0425】
第1オン信号Von1および第2オン信号Von2は、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧をそれぞれ有している。第1オン信号Von1および第2オン信号Von2は、ほぼ等しい電圧をそれぞれ有していてもよい。
この場合、第1開口側電極87、第2開口側電極107、第1底側電極86および第2底側電極106がそれぞれオン状態になる。つまり、第1開口側電極87、第2開口側電極107、第1底側電極86および第2底側電極106は、ゲート電極としてそれぞれ機能する。
【0426】
これにより、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111は共にオン状態に制御される。図38Aでは、オン状態の第1チャネル領域91および第2チャネル領域111がドット状のハッチングによって示されている。
その結果、第1MISFET56および第2MISFET57の双方が駆動される(Full-ON制御)。通常動作時のチャネル利用率RUは、100%である。通常動作時の特性チャネル割合RCは、50%である。これにより、面積抵抗率Ron・Aは、図13のグラフにおいて第2プロット点P2で示された面積抵抗率Ron・Aに近づく。
【0427】
一方、図38Bを参照して、パワーMISFET9のアクティブクランプ動作時では、第1ゲート制御配線17Aにオフ信号Voffが入力され、第2ゲート制御配線17Bにクランプオン信号VConが入力される。
オフ信号Voffおよびクランプオン信号VConは、コントロールIC10からそれぞれ入力される。オフ信号Voffは、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧(たとえば基準電圧)である。クランプオン信号VConは、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧を有している。クランプオン信号VConは、通常動作時の電圧以下または未満の電圧を有していてもよい。
【0428】
この場合、第1底側電極86および第1開口側電極87がそれぞれオフ状態となり、第2底側電極106および第2開口側電極107がそれぞれオン状態になる。これにより、第1チャネル領域91がオフ状態に制御されると共に第2チャネル領域111がオン状態に制御される。図38Bでは、オフ状態の第1チャネル領域91が塗りつぶしハッチングによって示され、オン状態の第2チャネル領域111がドット状のハッチングによって示されている。
【0429】
その結果、第1MISFET56がオフ状態に制御される一方で、第2MISFET57がオン状態に制御される(第2Half-ON制御)。これにより、アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUが、零を超えて通常動作時のチャネル利用率RU未満になる。
アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUは、50%である。また、アクティブクランプ動作時の特性チャネル割合RCは、25%である。これにより、アクティブクランプ耐量Eacは、図13のグラフにおいて第4プロット点P4で示されたアクティブクランプ耐量Eacに近づく。
【0430】
この制御例では、アクティブクランプ動作時において第2Half-ON制御が適用された例について説明した。しかし、アクティブクランプ動作時において第1Half-ON制御が適用されてもよい。
以上、半導体装置171によっても半導体装置161に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。また、半導体装置171では、複数(この形態では2個)の第1FET構造58の群および複数(この形態では2個)の第2FET構造68の群が交互に配列される態様で、複数の第1FET構造58および複数の第2FET構造68が形成されている。
【0431】
複数の第1FET構造58が互いに隣り合う構造では、互いに隣り合う複数の第1FET構造58の間の領域において第2チャネル領域111に接続させることなく第1チャネル領域91を形成できる。したがって、第1チャネル領域91を適切に形成できるから、第1チャネル割合R1を適切に調整できる。
同様に、複数の第2FET構造68が互いに隣り合う構造では、互いに隣り合う複数の第2FET構造68の間の領域において第1チャネル領域91に接続させることなく第2チャネル領域111を形成できる。したがって、第2チャネル領域111を適切に形成できるから、第2チャネル割合R2を適切に調整できる。これにより、平均チャネル割合RAVおよび特性チャネル割合RCを適切に調整できる。
【0432】
図39は、図36に対応する領域の断面斜視図であって、本発明の第5実施形態に係る半導体装置181を示す断面斜視図である。以下では、半導体装置171に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
複数のセル領域75には、この形態では、互いに異なる値を有する第1総チャネル割合RT1、第2総チャネル割合RT2および第3総チャネル割合RT3が適用されている。
【0433】
第1総チャネル割合RT1は、一例として60%以上80%以下に調整されていてもよい。第1総チャネル割合RT1は、この形態では、75%に調整されている。第1総チャネル割合RT1において、一方側の第1チャネル割合R1および他方側の第1チャネル割合R1は、それぞれ37.5%である。
第2総チャネル割合RT2は、一例として40%を超えて60%未満に調整されていてもよい。第2総チャネル割合RT2は、この形態では、50%に調整されている。第2総チャネル割合RT2において、第1チャネル割合R1は25%であり、第2チャネル割合R2は25%である。
【0434】
第3総チャネル割合RT3は、一例として20%以上40%以下に調整されていてもよい。第3総チャネル割合RT3は、この形態では、25%に調整されている。第3総チャネル割合RT3において、一方側の第2チャネル割合R2および他方側の第2チャネル割合R2は、それぞれ12.5%である。
第1チャネル領域91は、全チャネルのうちの50%(1/2)を超える割合を占めている。この形態では、第1チャネル領域91は全チャネルのうちの62.5%を占め、第2チャネル領域111は全チャネルのうちの37.5%を占めている。つまり、第2チャネル割合R2は、第1チャネル割合R1未満(R2<R1)である。平均チャネル割合RAVは、この形態では、50%である。半導体装置181における他の構造は、半導体装置171と同様である。この形態では、以下に説明される制御が実施される。
【0435】
図40Aは、図39に示す半導体装置181の第1制御例に係る通常動作を説明するための断面斜視図である。図40Bは、図39に示す半導体装置181の第1制御例に係るアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。図40Aおよび図40Bでは、説明の便宜上、第1主面3の上の構造を省略し、ゲート制御配線17を簡略化している。
【0436】
図40Aを参照して、パワーMISFET9の通常動作時では、第1ゲート制御配線17Aに第1オン信号Von1が入力され、第2ゲート制御配線17Bに第2オン信号Von2が入力される。第1オン信号Von1および第2オン信号Von2は、コントロールIC10からそれぞれ入力される。
第1オン信号Von1および第2オン信号Von2は、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧をそれぞれ有している。第1オン信号Von1および第2オン信号Von2は、ほぼ等しい電圧をそれぞれ有していてもよい。
【0437】
この場合、第1開口側電極87、第2開口側電極107、第1底側電極86および第2底側電極106がそれぞれオン状態になる。つまり、第1開口側電極87、第2開口側電極107、第1底側電極86および第2底側電極106は、ゲート電極としてそれぞれ機能する。
これにより、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111は共にオン状態に制御される。図40Aでは、オン状態の第1チャネル領域91および第2チャネル領域111がドット状のハッチングによって示されている。
【0438】
その結果、第1MISFET56および第2MISFET57の双方が駆動される(Full-ON制御)。通常動作時のチャネル利用率RUは、100%である。通常動作時の特性チャネル割合RCは、50%である。これにより、面積抵抗率Ron・Aは、図13のグラフにおいて第2プロット点P2で示された面積抵抗率Ron・Aに近づく。
一方、図40Bを参照して、パワーMISFET9のアクティブクランプ動作時では、第1ゲート制御配線17Aにオフ信号Voffが入力され、第2ゲート制御配線17Bにクランプオン信号VConが入力される。
【0439】
オフ信号Voffおよびクランプオン信号VConは、コントロールIC10からそれぞれ入力される。オフ信号Voffは、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧(たとえば基準電圧)を有している。クランプオン信号VConは、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧をそれぞれ有している。クランプオン信号VConは、通常動作時の電圧以下または未満の電圧を有していてもよい。
【0440】
この場合、第1底側電極86および第1開口側電極87がそれぞれオフ状態となり、第2底側電極106および第2開口側電極107がそれぞれオン状態になる。これにより、第1チャネル領域91がオフ状態に制御されると共に第2チャネル領域111がオン状態に制御される。図40Bでは、オフ状態の第1チャネル領域91が塗りつぶしハッチングによって示され、オン状態の第2チャネル領域111がドット状のハッチングによって示されている。
【0441】
その結果、第1MISFET56がオフ状態に制御される一方で、第2MISFET57がオン状態に制御される(第2Half-ON制御)。これにより、アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUが、零を超えて通常動作時のチャネル利用率RU未満になる。アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUは、より具体的には、通常動作時のチャネル利用率RUの1/2未満になる。
【0442】
アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUは、37.5%である。また、アクティブクランプ動作時の特性チャネル割合RCは、18.75%である。これにより、アクティブクランプ耐量Eacは、図13のグラフにおいて第4プロット点P4で示されたアクティブクランプ耐量Eacに近づくか、または、当該アクティブクランプ耐量Eacを超える。
【0443】
図41Aは、図39に示す半導体装置181の第2制御例に係る通常動作を説明するための断面斜視図である。図41Bは、図39に示す半導体装置181の第2制御例に係るアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。図41Aおよび図41Bでは、説明の便宜上、第1主面3の上の構造を省略し、ゲート制御配線17を簡略化している。
【0444】
図41Aを参照して、パワーMISFET9の通常動作時では、第1ゲート制御配線17Aにオン信号Vonが入力され、第2ゲート制御配線17Bにオフ信号Voffが入力される。オン信号Vonおよびオフ信号Voffは、コントロールIC10からそれぞれ入力される。オン信号Vonは、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧を有している。オン信号Vonは、オフ信号Voffは、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧(たとえば基準電圧)を有している。
【0445】
この場合、第1底側電極86および第1開口側電極87がそれぞれオン状態になり、第2底側電極106および第2開口側電極107がそれぞれオフ状態になる。つまり、第1底側電極86および第1開口側電極87がゲート電極として機能する一方で、第2底側電極106および第2開口側電極107がフィールド電極として機能する。
これにより、第1チャネル領域91がオン状態に制御されると共に第2チャネル領域111がオフ状態に制御される。図41Aでは、オン状態の第1チャネル領域91がドット状のハッチングによって示され、オン状態の第2チャネル領域111が塗りつぶしハッチングによって示されている。
【0446】
その結果、第1MISFET56がオン状態に制御される一方で、第2MISFET57がオフ状態に制御される(第1Half-ON制御)。これにより、通常動作時の特性チャネル割合RCは、第1チャネル割合R1未満の第2チャネル割合R2(R2<R1)を有する第2チャネル領域111がオフ状態に制御されるから、平均チャネル割合RAV未満になる。
【0447】
通常動作時のチャネル利用率RUは、62.5%である。また、通常動作時の特性チャネル割合RCは、31.25%である。これにより、面積抵抗率Ron・Aは、図13のグラフにおいて第3プロット点P3で示された面積抵抗率Ron・Aに近づく。
一方、図41Bを参照して、パワーMISFET9のアクティブクランプ動作時では、第1ゲート制御配線17Aにオフ信号Voffが入力され、第2ゲート制御配線17Bにクランプオン信号VConが入力される。オフ信号Voffおよびクランプオン信号VConは、コントロールIC10からそれぞれ入力される。
【0448】
オフ信号Voffは、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧(たとえば基準電圧)を有している。クランプオン信号VConは、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧を有している。クランプオン信号VConは、通常動作時の電圧以下または未満の電圧を有していてもよい。
この場合、第1底側電極86および第1開口側電極87がそれぞれオフ状態になり、第2底側電極106および第2開口側電極107がそれぞれオン状態になる。つまり、第1底側電極86および第1開口側電極87がフィールド電極として機能する一方で、第2底側電極106および第2開口側電極107がゲート電極として機能する。
【0449】
これにより、第1チャネル領域91がオフ状態に制御されると共に第2チャネル領域111がオン状態に制御される。図41Bでは、オフ状態の第1チャネル領域91が塗りつぶしハッチングによって示され、オン状態の第2チャネル領域111がドット状のハッチングによって示されている。
その結果、第1MISFET56がオフ状態に制御される一方で、第2MISFET57がオン状態に制御される(第2Half-ON制御)。アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUは、第1チャネル割合R1未満の第2チャネル割合R2(R2<R1)を有する第2チャネル領域111がオン状態に制御されるから、零を超えて通常動作時のチャネル利用率RU未満になる。
【0450】
アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUは、37.5%である。また、アクティブクランプ動作時の特性チャネル割合RCは、18.75%である。これにより、アクティブクランプ耐量Eacは、図13のグラフにおいて第2プロット点P2で示されたアクティブクランプ耐量Eacに近づくか、または、当該アクティブクランプ耐量Eacを超える。
【0451】
以上、半導体装置181によっても半導体装置171に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。とりわけ、半導体装置181によれば、第2チャネル割合R2が、第1チャネル割合R1とは異なっている(R1≠R2)。第2チャネル割合R2は、より具体的には、第1チャネル割合R1未満である(R1>R2)。
コントロールIC10は、このような構造において、アクティブクランプ動作時におけるチャネル利用率RUが、零を超えて通常動作時におけるチャネル利用率RU未満となるように第1MISFET56および第2MISFET57を制御する。これにより、アクティブクランプ耐量Eacの向上効果を高めることができる。
【0452】
また、半導体装置181によれば、第2制御例で示されたように、通常動作時に第1Half-ON制御を適用し、アクティブクランプ動作時に第2Half-ON制御を適用できる。また、半導体装置181によれば、通常動作時に第2Half-ON制御を適用し、アクティブクランプ動作時に第1Half-ON制御を適用することもできる。すなわち、半導体装置181によれば、制御法を変更するだけで、同一の平均チャネル割合RAVを有していながら、種々の面積抵抗率Ron・Aおよびアクティブクランプ耐量Eacを実現できる。
【0453】
図42は、図7に対応する領域の断面斜視図であって、本発明の第6実施形態に係る半導体装置191を示す断面斜視図である。以下では、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
半導体装置1では、第1トレンチゲート構造60において、第1絶縁層82が第1底側絶縁層84および第1開口側絶縁層85を含み、第1電極83が第1底側電極86、第1開口側電極87および第1中間絶縁層88を含む。
【0454】
これに対して、半導体装置191では、第1絶縁層82が第1底側絶縁層84を含まず、第1電極83が第1底側電極86および第1中間絶縁層88を含まない。つまり、半導体装置191では、第1絶縁層82が第1開口側絶縁層85に相当する第1ゲート絶縁層192を含み、第1電極83が第1開口側電極87に相当する第1ゲート電極193を含む。
【0455】
また、半導体装置1では、第2トレンチゲート構造70において、第2絶縁層102が第2底側絶縁層104および第2開口側絶縁層105を含み、第2電極103が第2底側電極106、第2開口側電極107および第2中間絶縁層108を含む。
これに対して、半導体装置191では、第2絶縁層102が第2底側絶縁層104を含まず、第2電極103が第2底側電極106および第2中間絶縁層108を含まない。つまり、半導体装置191では、第2絶縁層102が第2開口側絶縁層105に相当する第2ゲート絶縁層194を含み、第2電極103が第2開口側電極107に相当する第2ゲート電極195を含む。
【0456】
また、半導体装置1は、トレンチコンタクト構造120を有している。これに対して、半導体装置191は、トレンチコンタクト構造120を有していない。以下、半導体装置191の構造について具体的に説明する。
第1トレンチゲート構造60において、第1ゲート絶縁層192は、第1ゲートトレンチ81の内壁に沿って膜状に形成されている。第1ゲート絶縁層192は、第1ゲートトレンチ81内において凹状の空間を区画している。
【0457】
第1ゲート絶縁層192において第1ゲートトレンチ81の底壁63を被覆する部分の厚さは、第1ゲート絶縁層192において第1ゲートトレンチ81の第1側壁61および第2側壁62を被覆する部分の厚さよりも大きくてもよい。むろん、第1ゲート絶縁層192は、一様な厚さを有していてもよい。
第1ゲート電極193は、第1ゲート絶縁層192を挟んで第1ゲートトレンチ81に埋め込まれている。第1ゲート電極193は、より具体的には、第1ゲートトレンチ81において第1ゲート絶縁層192によって区画された凹状の空間に一体物として埋め込まれている。第1ゲート電極193にはオン信号Vonおよびオフ信号Voffを含む第1ゲート制御信号(第1制御信号)が印加される。
【0458】
第1ゲート電極193は、導電性ポリシリコン、タングステン、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。第1ゲート電極193は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。導電性ポリシリコンは、n型不純物またはp型不純物を含んでいてもよい。導電性ポリシリコンは、n型不純物を含むことが好ましい。
【0459】
第2トレンチゲート構造70において、第2ゲート絶縁層194は、第2ゲートトレンチ101の内壁に沿って膜状に形成されている。第2ゲート絶縁層194は、第2ゲートトレンチ101内において凹状の空間を区画している。
第2ゲート絶縁層194において第2ゲートトレンチ101の底壁73を被覆する部分の厚さは、第2ゲート絶縁層194において第2ゲートトレンチ101の第2側壁72および第2側壁72を被覆する部分の厚さよりも大きくてもよい。むろん、第2ゲート絶縁層194は、一様な厚さを有していてもよい。
【0460】
第2ゲート電極195は、第2ゲート絶縁層194を挟んで第2ゲートトレンチ101に埋め込まれている。第2ゲート電極195は、より具体的には、第2ゲートトレンチ101において第2ゲート絶縁層194によって区画された凹状の空間に一体物として埋め込まれている。第2ゲート電極195にはオン信号Vonおよびオフ信号Voffを含む第2ゲート制御信号(第2制御信号)が印加される。
【0461】
第2ゲート電極195は、導電性ポリシリコン、タングステン、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。第2ゲート電極195は、第1ゲート電極193と同一種の導電材料を含んでいることが好ましい。第2ゲート電極195は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。導電性ポリシリコンは、n型不純物またはp型不純物を含んでいてもよい。導電性ポリシリコンは、n型不純物を含むことが好ましい。
【0462】
具体的な図示は省略されるが、第1ゲート制御配線17Aは第1ゲート電極193に電気的に接続され、第2ゲート制御配線17Bは第2ゲート電極195に電気的に接続される。
図43Aは、図42に示す半導体装置191の通常動作を説明するための断面斜視図である。図43Bは、図42に示す半導体装置191のアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。
【0463】
図43Aを参照して、パワーMISFET9の通常動作時では、第1ゲート制御配線17Aに第1オン信号Von1が入力され、第2ゲート制御配線17Bに第2オン信号Von2が入力される。第1オン信号Von1および第2オン信号Von2は、コントロールIC10からそれぞれ入力される。
第1オン信号Von1および第2オン信号Von2は、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧をそれぞれ有している。第1オン信号Von1および第2オン信号Von2は、ほぼ等しい電圧をそれぞれ有していてもよい。
【0464】
この場合、第1ゲート電極193および第2ゲート電極195がそれぞれオン状態になる。これにより、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111は共にオン状態に制御される。図43Aでは、オン状態の第1チャネル領域91および第2チャネル領域111がドット状のハッチングによって示されている。
その結果、第1MISFET56および第2MISFET57の双方が駆動される(Full-ON制御)。通常動作時のチャネル利用率RUは、100%である。通常動作時の特性チャネル割合RCは、50%である。これにより、面積抵抗率Ron・Aは、特性チャネル割合RCが50%未満である場合に比べて低下する。
【0465】
一方、図43Bを参照して、パワーMISFET9のアクティブクランプ動作時では、第1ゲート制御配線17Aにオフ信号Voffが入力され、第2ゲート制御配線17Bにクランプオン信号VConが入力される。
オフ信号Voffおよびクランプオン信号VConは、コントロールIC10からそれぞれ入力される。オフ信号Voffは、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧(たとえば基準電圧)を有している。クランプオン信号VConは、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧を有している。クランプオン信号VConは、通常動作時の電圧以下または未満の電圧を有していてもよい。
【0466】
この場合、第1ゲート電極193がオフ状態となり、第2ゲート電極195がオン状態になる。これにより、第1チャネル領域91がオフ状態に制御されると共に第2チャネル領域111がオン状態に制御される。図43Bでは、オフ状態の第1チャネル領域91が塗りつぶしハッチングによって示され、オン状態の第2チャネル領域111がドット状のハッチングによって示されている。
【0467】
その結果、第1MISFET56がオフ状態に制御される一方で、第2MISFET57がオン状態に制御される(第2Half-ON制御)。これにより、アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUが、零を超えて通常動作時のチャネル利用率RU未満となる。
アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUは、50%である。また、アクティブクランプ動作時の特性チャネル割合RCは、25%である。これにより、アクティブクランプ耐量Eacは、特性チャネル割合RCが25%を超える場合に比べて向上する。
【0468】
この制御例では、アクティブクランプ動作時において第2Half-ON制御が適用された例について説明した。しかし、アクティブクランプ動作時において第1Half-ON制御が適用されてもよい。
以上、半導体装置191によっても半導体装置1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。この形態では、第2チャネル割合R2(第2チャネル面積S2)が、第1チャネル割合R1(第1チャネル面積S1)とほぼ等しい例を示した。しかし、第2チャネル割合R2は、第2実施形態(図27参照)の場合と同様に、第1チャネル割合R1と異なっていてもよい(R1≠R2)。第2チャネル割合R2は、第1チャネル割合R1未満(R2<R1)であってもよい。
【0469】
図44は、図42に対応する領域の断面斜視図であって、本発明の第7実施形態に係る半導体装置201を示す斜視図である。以下では、半導体装置191に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
半導体装置191では、1個の第1FET構造58および1個の第2FET構造68が交互に配列される態様で、複数の第1FET構造58および複数の第2FET構造68が形成されている。これに対して、半導体装置201では、複数(この形態では2個)の第1FET構造58の群および複数(この形態では2個)の第2FET構造68の群が交互に配列される態様で、複数の第1FET構造58および複数の第2FET構造68が形成されている。
【0470】
また、半導体装置191は、トレンチコンタクト構造120を有していない。これに対して、半導体装置201は、トレンチコンタクト構造120を有している。半導体装置201は、より具体的には、第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70を互いに電気的に絶縁させる態様で、第1トレンチゲート構造60および第2トレンチゲート構造70にそれぞれ接続された複数のトレンチコンタクト構造120を含む。
【0471】
また、半導体装置191では、第2チャネル割合R2(第2チャネル面積S2)が、第1チャネル割合R1(第1チャネル面積S1)とほぼ等しい。これに対して、半導体装置201では、第2チャネル割合R2が、第1チャネル割合R1とは異なっている(R1≠R2)。第2チャネル割合R2は、より具体的には、第1チャネル割合R1未満(R2<R1)である。以下、半導体装置201の構造について具体的に説明する。
【0472】
図44を参照して、複数のセル領域75は、互いに隣り合う2個の第1FET構造58の間の領域、互いに隣り合う1個の第1FET構造58および1個の第2FET構造68の間の領域、ならびに、互いに隣り合う2個の第2FET構造68の間の領域にそれぞれ区画されている。
複数のセル領域75には、この形態では、互いに異なる値を有する3種の総チャネル割合RTが適用されている。3種の総チャネル割合RTは、第1総チャネル割合RT1、第2総チャネル割合RT2および第3総チャネル割合RT3を含む。
【0473】
第1総チャネル割合RT1は、互いに隣り合う2個の第1FET構造58の間の領域に適用されている。互いに隣り合う2個の第1FET構造58の間の領域には、その構造上、第2チャネル領域111は形成されない。
第1総チャネル割合RT1は、互いに隣り合う2個の第1FET構造58の第1チャネル割合R1の合計値である。第1総チャネル割合RT1は、一例として60%以上80%以下に調整されていてもよい。第1総チャネル割合RT1は、この形態では、75%に調整されている。第1総チャネル割合RT1において、一方側の第1チャネル割合R1および他方側の第1チャネル割合R1は、それぞれ37.5%である。
【0474】
第2総チャネル割合RT2は、互いに隣り合う1個の第1FET構造58および1個の第2FET構造68の間の領域に適用されている。互いに隣り合う1個の第1FET構造58および1個の第2FET構造68の間の領域には、その構造上、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111が形成される。
第2総チャネル割合RT2は、第1チャネル割合R1および第2チャネル割合R2の合計値である。第2総チャネル割合RT2は、一例として40%を超えて60%未満に調整されていてもよい。第2総チャネル割合RT2は、この形態では、50%に調整されている。第2総チャネル割合RT2において、第1チャネル割合R1は25%であり、第2チャネル割合R2は25%である。
【0475】
第3総チャネル割合RT3は、互いに隣り合う2個の第2FET構造68の間の領域に適用されている。互いに隣り合う2個の第2FET構造68の間の領域には、その構造上、第1チャネル領域91は形成されない。
第3総チャネル割合RT3は、互いに隣り合う2個の第2FET構造68の第2チャネル割合R2の合計値である。第3総チャネル割合RT3は、一例として20%以上40%以下に調整されていてもよい。第3総チャネル割合RT3は、この形態では、25%に調整されている。第3総チャネル割合RT3において、一方側の第2チャネル割合R2および他方側の第2チャネル割合R2は、それぞれ12.5%である。
【0476】
第1チャネル領域91は、全チャネルのうちの50%(1/2)を超える割合を占めている。この形態では、第1チャネル領域91は全チャネルのうちの62.5%を占め、第2チャネル領域111は全チャネルのうちの37.5%を占めている。つまり、第2チャネル割合R2は、第1チャネル割合R1未満(R2<R1)である。平均チャネル割合RAVは、この形態では、50%である。
【0477】
複数のトレンチコンタクト構造120は、複数の第1トレンチコンタクト構造202および複数の第2トレンチコンタクト構造203を含む。複数の第1トレンチコンタクト構造202は、複数の第2トレンチゲート構造70から間隔を空けて、対応する複数の第1トレンチゲート構造60の一端部にそれぞれ接続されている。複数の第1トレンチコンタクト構造202は、平面視においてアーチ状に形成されている。
【0478】
複数の第2トレンチコンタクト構造203は、複数の第1トレンチゲート構造60から間隔を空けて、対応する複数の第2トレンチゲート構造70の一端部にそれぞれ接続されている。複数の第2トレンチコンタクト構造203は、平面視においてアーチ状に形成されている。
各第1トレンチコンタクト構造202は、第1コンタクトトレンチ204、第1コンタクト絶縁層205および第1コンタクト電極206を含む。第1コンタクトトレンチ204、第1コンタクト絶縁層205および第1コンタクト電極206は、この形態では、第1ゲートトレンチ81、第1ゲート絶縁層192および第1ゲート電極193に対応した構造をそれぞれ有している。
【0479】
各第1トレンチコンタクト構造202において第1コンタクトトレンチ204は、互いに隣り合う複数の第1ゲートトレンチ81の一端部に連通している。第1コンタクト絶縁層205は、各第1ゲートトレンチ81および第1コンタクトトレンチ204の間の連通部において第1ゲート絶縁層192と一体を成している。第1コンタクト電極206は、各第1ゲートトレンチ81および第1コンタクトトレンチ204の間の連通部において第1ゲート電極193と一体を成している。
【0480】
各第2トレンチコンタクト構造203は、第2コンタクトトレンチ207、第2コンタクト絶縁層208および第2コンタクト電極209を含む。第2コンタクトトレンチ207、第2コンタクト絶縁層208および第2コンタクト電極209は、この形態では、第2ゲートトレンチ101、第2ゲート絶縁層194および第2ゲート電極195に対応した構造をそれぞれ有している。
【0481】
各第2トレンチコンタクト構造203において第2コンタクトトレンチ207は、互いに隣り合う複数の第2ゲートトレンチ101の一端部に連通している。第2コンタクト絶縁層208は、各第2ゲートトレンチ101および第2コンタクトトレンチ207の間の連通部において第2ゲート絶縁層194と一体を成している。第2コンタクト電極209は、各第2ゲートトレンチ101および第2コンタクトトレンチ207の間の連通部において第2ゲート電極195と一体を成している。
【0482】
具体的な図示は省略されるが、第1ゲート制御配線17Aは第1ゲート電極193および第1コンタクト電極206に電気的に接続され、第2ゲート制御配線17Bは第2ゲート電極195および第2コンタクト電極209に電気的に接続される。
図45Aは、図44に示す半導体装置201の通常動作を説明するための断面斜視図である。図45Bは、図44に示す半導体装置201のアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。図45Aおよび図45Bでは、説明の便宜上、第1主面3の上の構造を省略し、ゲート制御配線17を簡略化している。
【0483】
図45Aを参照して、パワーMISFET9の通常動作時では、第1ゲート制御配線17Aに第1オン信号Von1が入力され、第2ゲート制御配線17Bに第2オン信号Von2が入力される。第1オン信号Von1および第2オン信号Von2は、コントロールIC10からそれぞれ入力される。
第1オン信号Von1および第2オン信号Von2は、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧をそれぞれ有している。第1オン信号Von1および第2オン信号Von2は、ほぼ等しい電圧をそれぞれ有していてもよい。
【0484】
この場合、第1ゲート電極193および第2ゲート電極195がそれぞれオン状態になる。これにより、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111は共にオン状態に制御される。図45Aでは、オン状態の第1チャネル領域91および第2チャネル領域111がドット状のハッチングによって示されている。
その結果、第1MISFET56および第2MISFET57の双方が駆動される(Full-ON制御)。通常動作時のチャネル利用率RUは、100%である。通常動作時の特性チャネル割合RCは、50%である。これにより、面積抵抗率Ron・Aは、特性チャネル割合RCが50%未満である場合に比べて低下する。
【0485】
一方、図45Bを参照して、パワーMISFET9のアクティブクランプ動作時では、第1ゲート制御配線17Aにオフ信号Voffが入力され、第2ゲート制御配線17Bにクランプオン信号VConが入力される。オフ信号Voffおよびクランプオン信号VConは、コントロールIC10からそれぞれ入力される。
オフ信号Voffは、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧(たとえば基準電圧)を有している。クランプオン信号VConは、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧を有している。クランプオン信号VConは、通常動作時の電圧以下または未満の電圧を有していてもよい。
【0486】
この場合、第1ゲート電極193がオフ状態となり、第2ゲート電極195がオン状態になる。これにより、第1チャネル領域91がオフ状態に制御されると共に第2チャネル領域111がオン状態に制御される。図45Bでは、オフ状態の第1チャネル領域91が塗りつぶしハッチングによって示され、オン状態の第2チャネル領域111がドット状のハッチングによって示されている。
【0487】
その結果、第1MISFET56がオフ状態に制御される一方で、第2MISFET57がオン状態に制御される(第2Half-ON制御)。これにより、アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUが、零を超えて通常動作時のチャネル利用率RU未満となる。アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUは、より具体的には、通常動作時のチャネル利用率RUの1/2未満になる。
【0488】
アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUは、37.5%である。また、アクティブクランプ動作時の特性チャネル割合RCは、18.75%である。これにより、アクティブクランプ耐量Eacは、特性チャネル割合RCが18.75%を超える場合に比べて向上する。
以上、半導体装置201によっても半導体装置191に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。また、半導体装置201では、複数(この形態では2個)の第1FET構造58の群および複数(この形態では2個)の第2FET構造68の群が交互に配列される態様で、複数の第1FET構造58および複数の第2FET構造68が形成されている。
【0489】
複数の第1FET構造58が互いに隣り合う構造では、互いに隣り合う複数の第1FET構造58の間の領域において第2チャネル領域111に接続させることなく第1チャネル領域91を形成できる。したがって、第1チャネル領域91を適切に形成できるから、第1チャネル割合R1を適切に調整できる。
同様に、複数の第2FET構造68が互いに隣り合う構造では、互いに隣り合う複数の第2FET構造68の間の領域において第1チャネル領域91に接続させることなく第2チャネル領域111を形成できる。したがって、第2チャネル領域111を適切に形成できるから、第2チャネル割合R2を適切に調整できる。これにより、平均チャネル割合RAVおよび特性チャネル割合RCを適切に調整できる。
【0490】
図46は、図7に対応する領域の断面斜視図であって、本発明の第8実施形態に係る半導体装置211を示す一部切り欠き断面斜視図である。以下では、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
半導体装置1は、トレンチゲート型の第1FET構造58およびトレンチゲート型の第2FET構造68を含む。これに対して、半導体装置211は、プレーナゲート型の第1FET構造58およびプレーナゲート型の第2FET構造68を含む。以下、半導体装置211の具体的な構造について説明する。
【0491】
図46を参照して、半導体層2の第1主面3の表層部には、複数のボディ領域55が形成されている。複数のボディ領域55は、パワーMISFET9の基礎となる領域である。複数のボディ領域55は、第1方向Xに沿って間隔を空けて形成され、第2方向Yに沿って帯状に延びている。複数のボディ領域55は、平面視において全体としてストライプ状に形成されている。
【0492】
各第1FET構造58は、各ボディ領域55の表層部に形成された第1ソース領域92を含む。第1ソース領域92は、第2方向Yに沿って帯状に延びている。各第2FET構造68は、各ボディ領域55の表層部に形成された第2ソース領域112を含む。第2ソース領域112は、より具体的には、第1方向Xに沿って間隔を空けて形成され、第2方向Yに沿って帯状に延びている。
【0493】
各第1FET構造58および各第2FET構造68は、各ボディ領域55の表層部に形成されたp型のコンタクト領域212を含む。コンタクト領域212は、第1FET構造58および第2FET構造68に共有されている。コンタクト領域212は、第1ソース領域92および第2ソース領域112の間の領域に形成されている。コンタクト領域212は、第2方向Yに沿って帯状に延びている。
【0494】
第1FET構造58は、半導体層2の第1主面3の上に形成された第1プレーナゲート構造213を含む。第1プレーナゲート構造213は、第2方向Yに沿って帯状に延び、ドリフト領域54、ボディ領域55および第1ソース領域92に対向している。
各第1プレーナゲート構造213は、より具体的には、第1ゲート絶縁層214および第1ゲート電極215を含む。第1ゲート絶縁層214は、第1主面3の上に形成されている。第1ゲート絶縁層214は、第1主面3の上においてドリフト領域54、ボディ領域55および第1ソース領域92を被覆している。第1ゲート電極215は、第1ゲート絶縁層214を挟んでドリフト領域54、ボディ領域55および第1ソース領域92に対向している。
【0495】
第1MISFET56の第1チャネル領域91は、この形態では、ボディ領域55においてドリフト領域54および第1ソース領域92の間の領域に形成される。第1チャネル領域91は、第1ゲート絶縁層214を挟んで第1ゲート電極215に対向する。
第2FET構造68は、半導体層2の第2主面4の上に形成された第2プレーナゲート構造223を含む。第2プレーナゲート構造223は、第2方向Yに沿って帯状に延び、ドリフト領域54、ボディ領域55および第2ソース領域112に対向している。
【0496】
各第2プレーナゲート構造223は、より具体的には、第2ゲート絶縁層224および第2ゲート電極225を含む。第2ゲート絶縁層224は、第2主面4の上に形成されている。第2ゲート絶縁層224は、第2主面4の上においてドリフト領域54、ボディ領域55および第2ソース領域112を被覆している。第2ゲート電極225は、第2ゲート絶縁層224を挟んでドリフト領域54、ボディ領域55および第2ソース領域112に対向している。
【0497】
第2MISFET57の第2チャネル領域111は、この形態では、ボディ領域55においてドリフト領域54および第2ソース領域112の間の領域に形成される。第2チャネル領域111は、第2ゲート絶縁層224を挟んで第2ゲート電極225に対向する。
第1主面3の上には、層間絶縁層142が形成されている。層間絶縁層142には、複数のソース開口230が形成されている。各ソース開口230は、層間絶縁層142において互いに隣り合う第1プレーナゲート構造213および第2プレーナゲート構造223の間の領域を被覆する部分に形成されている。各ソース開口230は、第1ソース領域92、第2ソース領域112およびコンタクト領域212を露出させている。
【0498】
具体的な図示は省略されるが、ソース電極12は、各ソース開口230に入り込むように層間絶縁層142の上に形成される。ソース電極12は、各ソース開口230内において第1ソース領域92、第2ソース領域112およびコンタクト領域212に電気的に接続される。また、具体的な図示は省略されるが、第1ゲート制御配線17Aは第1ゲート電極193に電気的に接続され、第2ゲート制御配線17Bは第2ゲート電極195に電気的に接続される。
【0499】
図47Aは、図46に示す半導体装置211の通常動作を説明するための断面斜視図である。図47Bは、図46に示す半導体装置211のアクティブクランプ動作を説明するための断面斜視図である。
図47Aを参照して、パワーMISFET9の通常動作時では、第1ゲート制御配線17Aに第1オン信号Von1が入力され、第2ゲート制御配線17Bに第2オン信号Von2が入力される。第1オン信号Von1および第2オン信号Von2は、コントロールIC10からそれぞれ入力される。
【0500】
第1オン信号Von1および第2オン信号Von2は、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧をそれぞれ有している。第1オン信号Von1および第2オン信号Von2は、ほぼ等しい電圧を有していてもよい。
この場合、第1ゲート電極193および第2ゲート電極195がそれぞれオン状態になる。これにより、第1チャネル領域91および第2チャネル領域111は共にオン状態に制御される。
【0501】
その結果、第1MISFET56および第2MISFET57の双方が駆動される(Full-ON制御)。通常動作時のチャネル利用率RUは、100%である。通常動作時の特性チャネル割合RCは、50%である。これにより、面積抵抗率Ron・Aは、特性チャネル割合RCが50%未満である場合に比べて低下する。
一方、図47Bを参照して、パワーMISFET9のアクティブクランプ動作時では、第1ゲート制御配線17Aにオフ信号Voffが入力され、第2ゲート制御配線17Bにクランプオン信号VConが入力される。オフ信号Voffおよびクランプオン信号VConは、コントロールIC10からそれぞれ入力される。
【0502】
オフ信号Voffは、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧(たとえば基準電圧)を有している。クランプオン信号VConは、ゲート閾値電圧Vth以上の電圧を有している。クランプオン信号VConは、通常動作時の電圧以下または未満の電圧を有していてもよい。
この場合、第1ゲート電極193がオフ状態となり、第2ゲート電極195がオン状態になる。これにより、第1チャネル領域91がオフ状態に制御されると共に第2チャネル領域111がオン状態に制御される。
【0503】
その結果、第1MISFET56がオフ状態に制御される一方で、第2MISFET57がオン状態に制御される(第2Half-ON制御)。これにより、アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUが、零を超えて通常動作時のチャネル利用率RU未満になる。アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUは、50%である。また、アクティブクランプ動作時の特性チャネル割合RCは、25%である。これにより、アクティブクランプ耐量Eacは、特性チャネル割合RCが25%を超える場合に比べて向上する。
【0504】
以上、半導体装置211によっても半導体装置1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
図48は、本発明の第9実施形態に係る半導体装置241を1つの方向から見た斜視図である。以下では、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0505】
前述の第1実施形態では、半導体装置1がハイサイド側のスイッチングデバイスである形態例について説明した。しかし、半導体装置1は、ローサイド側のスイッチングデバイスとしても提供されることができる。ここでは、ローサイド側のスイッチングデバイスとして製造された半導体装置1の一形態例を、第9実施形態に係る半導体装置241として説明する。
【0506】
半導体装置241に組み込まれるパワーMISFET9の構造(制御例)としては、第1実施形態に係るパワーMISFET9の構造(制御例)に限らず、第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態、第5実施形態、第6実施形態、第7実施形態および第8実施形態に示されたパワーMISFET9の構造(制御例)のいずれか1つが適用される。半導体装置241のパワーMISFET9の構造(制御例)の説明については、第1~第8実施形態に係るパワーMISFET9の構造(制御例)の説明のいずれか1つが準用されるものとし、省略する。
【0507】
図48を参照して、半導体装置241は、第1実施形態等と同様に、半導体層2を含む。半導体層2には、第1実施形態等と同様に、出力領域6および入力領域7が設定されている。出力領域6は、パワーMISFET9を含む。入力領域7は、コントロールIC10を含む。
半導体層2の上には、複数(この形態では3つ)の電極11,12,13が形成されている。図48では、ハッチングによって複数の電極11~13が示されている。複数の電極11~13の個数、配置および平面形状は任意であり、図48に示される形態に限定されない。
【0508】
複数の電極11~13の個数、配置および平面形状は、パワーMISFET9の仕様やコントロールIC10の仕様に応じて調整される。複数の電極11~13は、この形態では、ドレイン電極11(出力電極)、ソース電極12(基準電圧電極)および入力電極13を含む。
ドレイン電極11は、第1実施形態等と同様に、半導体層2の第2主面4の上に形成されている。ドレイン電極11は、パワーMISFET9によって生成された電気信号を外部に伝達する。
【0509】
ソース電極12は、第1実施形態等と同様に、第1主面3において出力領域6の上に形成されている。ソース電極12は、パワーMISFET9やコントロールIC10の各種機能回路に基準電圧(たとえばグランド電圧)を提供する。
入力電極13は、第1実施形態等と同様に、第1主面3において入力領域7の上に形成されている。入力電極13は、コントロールIC10を駆動するための入力電圧を伝達する。
【0510】
半導体層2の上には、第1実施形態等と同様に、制御配線の一例としてのゲート制御配線17が形成されている。ゲート制御配線17は、この形態では、第1ゲート制御配線17A、第2ゲート制御配線17Bおよび第3ゲート制御配線17Cを含む。ゲート制御配線17は、出力領域6および入力領域7に選択的に引き回されている。ゲート制御配線17は、出力領域6においてパワーMISFET9のゲートに電気的に接続され、入力領域7においてコントロールIC10に電気的に接続されている。
【0511】
図49は、図48に示す半導体装置241の電気的構造を示すブロック回路図である。以下では、半導体装置241が車に搭載される場合を例にとって説明する。
半導体装置241は、出力電極としてのドレイン電極11、基準電圧電極としてのソース電極12、入力電極13、ゲート制御配線17、パワーMISFET9およびコントロールIC10を含む。
【0512】
ドレイン電極11は、パワーMISFET9のドレインに電気的に接続されている。ドレイン電極11は、負荷に接続される。ソース電極12は、パワーMISFET9のソースに電気的に接続されている。ソース電極12は、パワーMISFET9およびコントロールIC10に基準電圧を提供する。
入力電極13は、MCU、DC/DCコンバータ、LDO等に接続されてもよい。入力電極13は、コントロールIC10に入力電圧を提供する。パワーMISFET9のゲートは、ゲート制御配線17を介してコントロールIC10(後述するゲート制御回路25)に接続されている。
【0513】
コントロールIC10は、この形態では、電流・電圧制御回路23、保護回路24、ゲート制御回路25およびアクティブクランプ回路26を含む。
電流・電圧制御回路23は、ソース電極12、入力電極13、保護回路24およびゲート制御回路25に接続されている。電流・電圧制御回路23は、入力電極13からの電気信号および保護回路24からの電気信号に応じて、種々の電圧を生成する。電流・電圧制御回路23は、この形態では、駆動電圧生成回路30、第1定電圧生成回路31、第2定電圧生成回路32および基準電圧・基準電流生成回路33を含む。
【0514】
駆動電圧生成回路30は、ゲート制御回路25を駆動するための駆動電圧を生成する。駆動電圧生成回路30によって生成された駆動電圧は、ゲート制御回路25に入力される。
第1定電圧生成回路31は、保護回路24を駆動するための第1定電圧を生成する。第1定電圧生成回路31は、ツェナーダイオードやレギュレータ回路を含んでいてもよい。第1定電圧は、保護回路24(たとえば過電流保護回路34)に入力される。
【0515】
第2定電圧生成回路32は、保護回路24を駆動するための第2定電圧を生成する。第2定電圧生成回路32は、ツェナーダイオードやレギュレータ回路を含んでいてもよい。第2定電圧は、保護回路24(たとえば過熱保護回路36)に入力される。
基準電圧・基準電流生成回路33は、各種回路の基準電圧および基準電流を生成する。基準電圧および基準電流は、各種回路に入力される。各種回路がコンパレータを含む場合、基準電圧および基準電流は、当該コンパレータに入力されてもよい。
【0516】
保護回路24は、電流・電圧制御回路23、ゲート制御回路25およびパワーMISFET9のソースに接続されている。保護回路24は、過電流保護回路34および過熱保護回路36を含む。
過電流保護回路34は、過電流からパワーMISFET9を保護する。過電流保護回路34は、ゲート制御回路25に接続されている。過電流保護回路34は、電流モニタ回路を含んでいてもよい。過電流保護回路34によって生成された信号は、ゲート制御回路25(より具体的には、後述する駆動信号出力回路40)に入力される。
【0517】
過熱保護回路36は、過度な温度上昇からパワーMISFET9を保護する。過熱保護回路36は、電流・電圧制御回路23に接続されている。過熱保護回路36は、半導体装置241の温度を監視する。過熱保護回路36は、感温ダイオードDTを含む。過熱保護回路36によって生成された信号は、電流・電圧制御回路23に入力される。
ゲート制御回路25は、パワーMISFET9のオン状態およびオフ状態を制御する。ゲート制御回路25は、電流・電圧制御回路23、保護回路24、パワーMISFET9のゲートに接続されている。
【0518】
ゲート制御回路25は、電流・電圧制御回路23からの電気信号および保護回路24からの電気信号に応じて、ゲート制御配線17の個数に応じた複数種のゲート制御信号を生成する。複数種のゲート制御信号は、ゲート制御配線17を介してパワーMISFET9のゲートに入力される。
ゲート制御回路25は、より具体的には、発振回路38、チャージポンプ回路39および駆動信号出力回路40を含む。発振回路38は、電流・電圧制御回路23からの電気信号に応じて発振し、所定の電気信号を生成する。発振回路38によって生成された電気信号は、チャージポンプ回路39に入力される。チャージポンプ回路39は、発振回路38からの電気信号を昇圧させる。チャージポンプ回路39によって昇圧された電気信号は、駆動信号出力回路40に入力される。
【0519】
駆動信号出力回路40は、チャージポンプ回路39からの電気信号および保護回路24(より具体的には、過電流保護回路34)からの電気信号に応じて複数種のゲート制御信号を生成する。複数種のゲート制御信号は、ゲート制御配線17を介してパワーMISFET9のゲートに入力される。これにより、パワーMISFET9が駆動制御される。
アクティブクランプ回路26は、逆起電力からパワーMISFET9を保護する。アクティブクランプ回路26は、ドレイン電極11、パワーMISFET9のゲートに接続されている。
【0520】
図50は、図48に示す半導体装置241の通常動作およびアクティブクランプ動作を説明するための回路図である。図51は、図50に示す回路図に適用される主要な電気信号の波形図である。
ここでは、パワーMISFET9に誘導性負荷Lが接続された回路例を用いて、半導体装置241の通常動作およびアクティブクランプ動作を説明する。ソレノイド、モータ、トランス、リレー等の巻線(コイル)を利用したデバイスが、誘導性負荷Lとして例示される。誘導性負荷Lは、L負荷とも称される。
【0521】
図50を参照して、パワーMISFET9のソースは、グランドに接続されている。パワーMISFET9のドレインは、誘導性負荷Lに電気的に接続されている。パワーMISFET9のゲートおよびドレインは、アクティブクランプ回路26に接続されている。パワーMISFET9のゲートおよびソースは、抵抗Rに接続されている。アクティブクランプ回路26は、この回路例では、互いにバイアス接続されたk個(kは自然数)のツェナーダイオードDZを含む。
【0522】
図50および図51を参照して、オフ状態のパワーMISFET9のゲートにオン信号Vonが入力されると、パワーMISFET9がオフ状態からオン状態に切り替わる(通常動作)。オン信号Vonは、ゲート閾値電圧Vth以上(Vth≦Von)の電圧を有している。パワーMISFET9は、所定のオン時間TONだけ、オン状態に維持される。
【0523】
パワーMISFET9がオン状態に切り替わると、ドレイン電流IDが、パワーMISFET9のドレインからソースに向けて流れ始める。ドレイン電流IDは、パワーMISFET9のオン時間TONに比例して増加する。誘導性負荷Lは、ドレイン電流IDの増加に起因して誘導性エネルギを蓄積させる。
パワーMISFET9のゲートにオフ信号Voffが入力されると、パワーMISFET9がオン状態からオフ状態に切り替わる。オフ信号Voffは、ゲート閾値電圧Vth未満の電圧(Voff<Vth)を有している。オフ信号Voffは、基準電圧(たとえばグランド電圧)であってもよい。パワーMISFET9がオフ状態に切り替わると、誘導性負荷Lの誘導性エネルギが、逆起電力としてパワーMISFET9に印加される。
【0524】
これにより、パワーMISFET9がアクティブクランプ状態になる(アクティブクランプ動作)。パワーMISFET9がアクティブクランプ状態になると、ドレイン電圧VDSが、クランプ電圧VDSSCLまで急激に上昇する。
クランプ電圧VDSSCLが最大定格ドレイン電圧VDSSを超えた場合(VDSS<VDSSCL)、パワーMISFET9は破壊に至る。パワーMISFET9は、クランプ電圧VDSSCLが最大定格ドレイン電圧VDSS以下(VDSSCL≦VDSS)になるように設計される。
【0525】
クランプ電圧VDSSCLが最大定格ドレイン電圧VDSS以下の場合(VDSSCL≦VDSS)、逆方向電流IZが、アクティブクランプ回路26に流れる。これにより、アクティブクランプ回路26の端子間に制限電圧VLが形成される。制限電圧VLは、この形態では、アクティブクランプ回路26におけるツェナーダイオードDZの端子間電圧VZの総和(VL=k・VZ)である。
【0526】
また、逆方向電流IZは、抵抗Rを通過してグランドに至る。これにより、抵抗Rの端子間に端子間電圧VRが形成される。抵抗Rの端子間電圧VR(=IZ×R)は、ゲート閾値電圧Vth以上(Vth≦VR)に調整される。端子間電圧VRは、クランプオン電圧VCLPとしてパワーMISFET9のゲート・ソース間に印加される。したがって、パワーMISFET9は、アクティブクランプ状態においてオン状態を維持する。クランプオン電圧VCLP(端子間電圧VR)は、オン信号Von未満の電圧を有していてもよい。
【0527】
これにより、誘導性負荷Lの誘導性エネルギが、パワーMISFET9において消費(吸収)される。ドレイン電流IDは、アクティブクランプ時間TAVを経て、パワーMISFET9のオフ直前のピーク値IAVからゼロに減少する。これにより、ゲート電圧VGSがグランド電圧になり、ドレイン電圧VDSが電源電圧VBになり、パワーMISFET9がオン状態からオフ状態に切り替わる。
【0528】
パワーMISFET9のアクティブクランプ耐量Eacは、アクティブクランプ動作時における耐量によって定義される。アクティブクランプ耐量Eacは、より具体的には、パワーMISFET9のオン状態からオフ状態への遷移時において、誘導性負荷Lの誘導性エネルギに起因して生じる逆起電力に対する耐量によって定義される。
アクティブクランプ耐量Eacは、さらに具体的には、図47の回路例で明らかにされたように、クランプ電圧VDSSCLに起因して生じるエネルギに対する耐量によって定義される。
【0529】
以上、半導体装置241によっても半導体装置1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
本発明の実施形態について説明したが、本発明はさらに他の形態で実施できる。
前述の各実施形態では、感温ダイオード構造431が環状トレンチ435、第1接続トレンチ436および第2接続トレンチ437を含むダイオードトレンチ432を有している例について説明した。しかし、第1接続トレンチ436および第2接続トレンチ437を有さないダイオードトレンチ432が形成されてもよい。
【0530】
前述の各実施形態では、感温ダイオード構造431が環状トレンチ435、第1接続トレンチ436および第2接続トレンチ437を含むダイオードトレンチ432を有している例について説明した。しかし、ダイオードトレンチ432は、環状トレンチ435に代えて、平面視において一方方向(たとえば第2方向Y)に沿って直線状に延びる帯状トレンチを含んでいてもよい。
【0531】
この場合、帯状トレンチの一端部に第1接続トレンチ436が接続され、帯状トレンチの他端部に第2接続トレンチ437が接続される。帯状トレンチ、第1接続トレンチ436および第2接続トレンチ437は、直線状に延びる一つのトレンチを形成する。
前述の各実施形態では、領域分離構造401、アノード配線構造411およびカソード配線構造421が別体的に形成された例について説明した。しかし、領域分離構造401、アノード配線構造411およびカソード配線構造421は、印加される電圧が異なるが、互いに共通した構造を有している。
【0532】
したがって、領域分離構造401の一部を利用してアノード配線構造411および/またはカソード配線構造421が形成されていてもよい。また、領域分離構造401に代えてアノード配線構造411およびカソード配線構造421だけが形成されていてもよい。
前述の各実施形態において、第3ゲート制御配線17Cに電気的に接続される第1底側電極86および第2底側電極106がフィールド電極として機能する場合、第3ゲート制御配線17Cは、コントロールICに代えてソース電極12に電気的に接続されていてもよい。
【0533】
この場合、第3ゲート制御配線17Cは、ソース電極12から引き出されていてもよい。したがって、基準電圧(たとえばグランド電圧)は、ソース電極12から第3ゲート制御配線17Cを介して第1底側電極86および第2底側電極106に伝達される。このような構造によっても、半導体装置1等に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
【0534】
前述の各実施形態において、アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUおよび通常動作時のチャネル利用率RUを適切に制御できるのであれば、複数の第1FET構造58および複数の第2FET構造68の配列は任意である。
たとえば、複数の第2FET構造68は、複数の第1FET構造58を挟む態様で複数の第1FET構造58と交互に配列されていてもよい。複数の第2FET構造68は、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の第1FET構造58を挟む態様で複数の第1FET構造58と交互に配列されていてもよい。
【0535】
同様に、複数の第1FET構造58は、複数の第2FET構造68を挟む態様で複数の第1FET構造58と交互に配列されていてもよい。複数の第1FET構造58は、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の第2FET構造68を挟む態様で複数の第2FET構造68と交互に配列されていてもよい。
むろん、複数(2個以上)の第1FET構造58の群および複数(2個以上)の第2FET構造68の群が、互いに交互に配列されていてもよい。また、複数の第1FET構造58の群および1個の第2FET構造68が交互に配列される態様で、複数の第1FET構造58および複数の第2FET構造68が形成されていてもよい。また、1個の第1FET構造58および複数の第2FET構造68の群が交互に配列される態様で、複数の第1FET構造58および複数の第2FET構造68が形成されていてもよい。
【0536】
ただし、複数の第1FET構造58および/または複数の第2FET構造68が群となって配列される場合、半導体層2の温度分布に偏りが形成されやすくなる。したがって、4個以下の第1FET構造58および/または4個以下の第2FET構造68が群となって配列されることが好ましい。
前述の各実施形態において、アクティブクランプ動作時のチャネル利用率RUおよび通常動作時のチャネル利用率RUを適切に制御できるのであれば、各セル領域75における総チャネル割合RTの値は任意である。
【0537】
たとえば、前述の実施形態の幾つかにおいて、第1総チャネル割合RT1、第2総チャネル割合RT2および第3総チャネル割合RT3を含む総チャネル割合RTが複数のセル領域75に適用された例を説明した。
しかし、互いに異なる値を有する複数種(2種以上)の総チャネル割合RTが複数のセル領域75に適用されてもよい。たとえば、互いに異なる値を有する2種、3種、4種、5種または6種、もしくは、それ以上の総チャネル割合RTが複数のセル領域75に適用されてもよい。
【0538】
また、前述の各実施形態では、パワーMISFET9が、第1MISFET56および第2MISFET57を含む例について説明した。しかし、パワーMISFET9は、互いに独立して制御可能な2個、3個、4個、5個または6個、もしくは、それ以上のMISFETを含んでいてもよい。複数(2個以上)のMISFETは、トレンチゲート構造に接続されるゲート制御配線17の個数を変更するだけで形成されることができる。
【0539】
この場合、コントロールIC10は、アクティブクランプ動作時におけるチャネル利用率RUが、零を超えて通常動作時におけるチャネル利用率RU未満となるように複数(2個以上)のMISFETを制御する。
前述の各実施形態において、ゲート制御配線17は、ドレイン電極11、ソース電極12、入力電極13、基準電圧電極14、ENABLE電極15およびSENSE電極16とは異なるレイヤに形成されていてもよいし、同一のレイヤに形成されていてもよい。また、ゲート制御配線17において、第1ゲート制御配線17A、第2ゲート制御配線17Bおよび第3ゲート制御配線17Cは、互いに異なるレイヤに形成されていてもよいし、同一のレイヤに形成されていてもよい。
【0540】
前述の各実施形態において、p型の半導体部分がn型の半導体部分とされ、n型の半導体部分がp型の半導体部分とされてもよい。この場合、前述の各実施形態の説明は、「n型」の部分が「p型」と読み替えられ、「p型」の部分が「n型」と読み替えられる。
前述の各実施形態に係る半導体装置1,151,161,171,181,191,201,211,241は、図52および図53に示されるように、半導体パッケージに組み込まれてもよい。図52は、半導体パッケージ301を、封止樹脂307を透過して示す斜視図である。図53は、図52の平面図である。
【0541】
図52および図53を参照して、半導体パッケージ301は、この形態では、所謂SOP(Small Outline Package)である。半導体パッケージ301は、ダイパッド302、半導体チップ303、導電性接合材304、複数(この形態では8個)のリード電極305A~305H、複数(この形態では8個)の導線306A~306Hおよび封止樹脂307を含む。
【0542】
ダイパッド302は、直方体形状に形成された金属板からなる。ダイパッド302は、鉄、アルミニウムまたは銅を含んでいてもよい。半導体チップ303は、第1~第9実施形態に係る半導体装置1,151,161,171,181,191,201,211,241のいずれか1つからなる。半導体チップ303は、ここでは、第1実施形態に係る半導体装置1からなる。
【0543】
半導体チップ303は、第2主面4をダイパッド302に対向させた姿勢で、ダイパッド302の上に配置されている。半導体チップ303のドレイン電極11は、導電性接合材304を介してダイパッド302に接続されている。導電性接合材304は、金属ペーストまたは半田であってもよい。
複数のリード電極305A~305Hは、第1リード電極305A、第2リード電極305B、第3リード電極305C、第4リード電極305D、第5リード電極305E、第6リード電極305F、第7リード電極305Gおよび第8リード電極305Hを含む。リード電極の個数は、半導体チップ303の機能に応じて選択され、図52および図53に示される個数に限定されない。
【0544】
複数のリード電極305A~305Hは、鉄、アルミニウムまたは銅を含んでいてもよい。複数のリード電極305A~305Hは、ダイパッド302から間隔を空けてダイパッド302の周囲に配置されている。
より具体的には、4つのリード電極305A~305Dは、ダイパッド302の一辺に沿って間隔を空けて配列されている。残りの4つのリード電極305E~305Hは、ダイパッド302においてリード電極305A~305Dが配列された辺に対向する辺に沿って間隔を空けて配列されている。
【0545】
複数のリード電極305A~305Hは、配列方向に直交する方向に沿って延びる帯状にそれぞれ形成されている。複数のリード電極305A~305Hは、ダイパッド302に対向する一端部、および、その反対側の他端部を有している。複数のリード電極305A~305Hの一端部は、半導体チップ303に内部接続される。複数のリード電極305A~305Hの他端部は、実装基板等の接続対象に外部接続される。
【0546】
複数の導線306A~306Hは、第1導線306A、第2導線306B、第3導線306C、第4導線306D、第5導線306E、第6導線306F、第7導線306Gおよび第8導線306Hを含む。導線の個数は、半導体チップ303(半導体装置)の機能に応じて選択され、図52および図53に示される個数に限定されない。
第1導線306Aは、第1リード電極305Aの一端部およびソース電極12に電気的に接続されている。第1導線306Aは、この形態では、金属クリップからなる。第1導線306Aは、鉄、金、アルミニウムまたは銅を含んでいてもよい。第1導線306Aは、パワーMISFET9で生じた熱を、外部に効率的に放散させる。むろん、第1導線306Aは、ボンディングワイヤからなっていてもよい。
【0547】
第2導線306Bは、第2リード電極305Bの一端部および基準電圧電極14に電気的に接続されている。第3導線306Cは、第3リード電極305Cの一端部およびENABLE電極15に電気的に接続されている。第4導線306Dは、第4リード電極305Dの一端部およびSENSE電極16に電気的に接続されている。
第5導線306Eは、第5リード電極305Eの一端部およびダイパッド302に電気的に接続されている。第6導線306Fは、第6リード電極305Fの一端部およびダイパッド302に電気的に接続されている。第7導線306Gは、第7リード電極305Gの一端部および入力電極13に電気的に接続されている。第8導線306Hは、第8リード電極305Hの一端部およびダイパッド302に電気的に接続されている。
【0548】
第2~第8導線306B~306Hは、この形態では、ボンディングワイヤからなる。第2~第8導線306B~306Hは、金、アルミニウムまたは銅をそれぞれ含んでいてもよい。半導体チップ303および複数のリード電極305A~305Hに対する複数の導線306A~306Hの接続形態は任意であり、図52および図53に示される接続形態に限定されない。
【0549】
封止樹脂307は、複数のリード電極305A~305Hの他端部を露出させるように、半導体チップ303、ダイパッド302、複数のリード電極305A~305Hの一端部および複数の導線306A~306Hを封止している。封止樹脂307は、直方体形状に形成されている。封止樹脂307は、エポキシ樹脂を含んでいてもよい。
半導体パッケージ301の形態は、SOPに制限されない。半導体パッケージ301としては、TO(Transistor Outline)、QFN(Quad For Non Lead Package)、DFP(Dual Flat Package)、DIP(Dual Inline Package)、QFP(Quad Flat Package)、SIP(Single Inline Package)またはSOJ(Small Outline J-leaded Package)、もしくは、これらに類する種々の形態が適用されてもよい。
【0550】
半導体パッケージ301(半導体装置1,151,161,171,181,191,201,211,241)は、図54に示されるように、回路モジュールに組み込まれてもよい。図54は、第1形態例に係る回路モジュール311の一部を示す平面図である。
図54を参照して、回路モジュール311は、実装基板312、複数の配線313、半導体パッケージ301(半導体装置1,151,161,171,181,191,201,211,241)、および、導電性接合材314を含む。
【0551】
実装基板312は、主面315を含む。複数の配線313は、実装基板312の主面315に形成されている。半導体パッケージ301(半導体装置1,151,161,171,181,191,201,211,241)は、導電性接合材314を介して複数の配線313に電気的に接続されるように実装基板312に実装されている。導電性接合材314は、金属ペーストまたは半田であってもよい。
【0552】
前述の各実施形態では、半導体装置1,151,161,171,181,191,201,211,241がパワーMISFET9およびコントロールIC10を一体的に備えている例について説明した。
しかし、パワーMISFET9だけを有する半導体装置1,151,161,171,181,191,201,211,241が採用されてもよい。また、パワーMISFET9だけを有する半導体装置1,151,161,171,181,191,201,211,241が、前述の半導体パッケージ301に組み込まれてもよい。
【0553】
パワーMISFET9だけを有する半導体パッケージ301(半導体装置1,151,161,171,181,191,201,211,241)は、図55に示されるように、回路モジュールに組み込まれてもよい。図55は、第2形態例に係る回路モジュール321の一部を示す平面図である。
図55を参照して、回路モジュール321は、実装基板322、複数の配線323、半導体パッケージ301(半導体装置1,151,161,171,181,191,201,211,241)、第1導電性接合材324、コントロールICデバイス325、および、第2導電性接合材326を含む。
【0554】
実装基板322は、主面327を含む。複数の配線323は、実装基板322の主面327に形成されている。半導体パッケージ301は、実装基板322に実装されている。半導体パッケージ301は、第1導電性接合材324を介して複数の配線323に電気的に接続されている。第1導電性接合材324は、金属ペーストまたは半田であってもよい。
【0555】
コントロールICデバイス325は、コントロールIC10(図2図49参照)を含む。コントロールICデバイス325は、実装基板322に実装されている。コントロールICデバイス325は、第2導電性接合材326を介して複数の配線323に電気的に接続されている。コントロールICデバイス325は、さらに、複数の配線323を介して半導体パッケージ301に電気的に接続されている。
【0556】
半導体パッケージ301に対するコントロールICデバイス325の電気的な接続態様は、図2と同様である。コントロールICデバイス325は、半導体パッケージ301(半導体装置1,151,161,171,181,191,201,211,241)を外部から制御する。
このような構造によっても、前述の各実施形態において述べた効果を奏することができる。この形態では、コントロールIC10を含むワンチップのコントロールICデバイス325が実装基板322に実装された例について説明した。
【0557】
しかし、コントロールICデバイス325に代えて、コントロールIC10と同様の機能を有する回路網が、実装基板322に実装されていてもよい。コントロールIC10と同様の機能を有する回路網は、複数のディスクリートデバイスや任意の機能を有するICチップを実装基板322に実装することによって構成されてもよい。
むろん、前述の各実施形態におけるコントロールIC10やコントロールIC10と同様の機能を有する回路網の構成は任意であり、全ての機能回路(つまり、センサMISFET21、入力回路22、電流・電圧制御回路23、保護回路24、ゲート制御回路25、アクティブクランプ回路26、電流検出回路27、電源逆接続保護回路28および異常検出回路29)を含む必要は必ずしもなく、一部の機能回路は取り除かれてもよい。
【0558】
この明細書は、第1~第9実施形態に示された特徴の如何なる組み合わせ形態をも制限しない。第1~第9実施形態は、それらの間で任意の態様および任意の形態において組み合わせられることができる。つまり、第1~第9実施形態に示された特徴が任意の態様および任意の形態で組み合わされた形態が採用されてもよい。
この明細書および図面から抽出される特徴の例を以下に示す。
【0559】
A群は、優れたオン抵抗および優れたアクティブクランプ耐量を両立できる半導体装置を提供することを目的とする。
[A1]半導体層と、前記半導体層に形成された絶縁ゲート型の第1トランジスタと、前記半導体層に形成された絶縁ゲート型の第2トランジスタと、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタに電気的に接続されるように前記半導体層の上に形成され、通常動作時に前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタをオン状態に制御し、アクティブクランプ動作時に前記第1トランジスタをオフ状態に制御すると共に前記第2トランジスタをオン状態に制御する制御信号を伝達する制御配線と、を含む、半導体装置。
【0560】
この半導体装置によれば、通常動作時には、第1トランジスタおよび第2トランジスタを利用して電流を流すことができる。これにより、オン抵抗の低減を図ることができる。一方、アクティブクランプ動作時には、第1トランジスタを停止させた状態で第2トランジスタを利用して電流を流すことができる。これにより、逆起電力に起因する急激な温度上昇を抑制しながら、第2トランジスタによって逆起電力を消費(吸収)できる。その結果、アクティブクランプ耐量の向上を図ることができる。よって、優れたオン抵抗および優れたアクティブクランプ耐量を両立できる。
【0561】
[A2]前記制御配線は、前記第1トランジスタに電気的に接続された第1制御配線、および、前記第1トランジスタから電気的に絶縁された状態で前記第2トランジスタに電気的に接続された第2制御配線を含む、A1に記載の半導体装置。
[A3]半導体層と、前記半導体層に形成された絶縁ゲート型の第1トランジスタと、前記半導体層に形成された絶縁ゲート型の第2トランジスタと、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタに電気的に接続されるように前記半導体層に形成され、通常動作時に前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタをオン状態に制御し、アクティブクランプ動作時に前記第1トランジスタをオフ状態に制御すると共に前記第2トランジスタをオン状態に制御する制御回路と、を含む、半導体装置。
【0562】
この半導体装置によれば、通常動作時には、第1トランジスタおよび第2トランジスタを利用して電流を流すことができる。これにより、オン抵抗の低減を図ることができる。一方、アクティブクランプ動作時には、第1トランジスタを停止させた状態で第2トランジスタを利用して電流を流すことができる。これにより、逆起電力に起因する急激な温度上昇を抑制しながら、第2トランジスタによって逆起電力を消費(吸収)できる。その結果、アクティブクランプ耐量の向上を図ることができる。よって、優れたオン抵抗および優れたアクティブクランプ耐量を両立できる。
【0563】
[A4]半導体層と、第1チャネルを含み、前記半導体層に形成された絶縁ゲート型の第1トランジスタと、第2チャネルを含み、前記半導体層に形成された絶縁ゲート型の第2トランジスタと、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタに電気的に接続されるように前記半導体層の上に形成され、アクティブクランプ動作時における前記第1チャネルおよび前記第2チャネルの利用率が、零を超えて通常動作時における前記第1チャネルおよび前記第2チャネルの利用率未満となるように前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタを制御する制御信号を伝達する制御配線と、を含む、半導体装置。
【0564】
この半導体装置によれば、通常動作時では、第1チャネルおよび第2チャネルの利用率が相対的に増加する。これにより、電流経路が相対的に増加するから、オン抵抗の低減を図ることができる。一方、アクティブクランプ動作時では、第1チャネルおよび第2チャネルの利用率が相対的に減少する。これにより、逆起電力に起因する急激な温度上昇を抑制できるから、アクティブクランプ耐量の向上を図ることができる。よって、優れたオン抵抗および優れたアクティブクランプ耐量の両立を図ることができる。
【0565】
[A5]前記制御配線は、前記第1トランジスタに電気的に接続された第1制御配線、および、前記第1トランジスタから電気的に絶縁された状態で前記第2トランジスタに電気的に接続された第2制御配線を含む、A4に記載の半導体装置。
[A6]半導体層と、第1チャネルを含み、前記半導体層に形成された絶縁ゲート型の第1トランジスタと、第2チャネルを含み、前記半導体層に形成された絶縁ゲート型の第2トランジスタと、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタに電気的に接続されるように前記半導体層に形成され、アクティブクランプ動作時における前記第1チャネルおよび前記第2チャネルの利用率が、零を超えて通常動作時における前記第1チャネルおよび前記第2チャネルの利用率未満となるように前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタを制御する制御回路と、を含む、半導体装置。
【0566】
この半導体装置によれば、通常動作時では、第1チャネルおよび第2チャネルの利用率が相対的に増加する。これにより、電流経路が相対的に増加するから、オン抵抗の低減を図ることができる。一方、アクティブクランプ動作時では、第1チャネルおよび第2チャネルの利用率が相対的に減少する。これにより、逆起電力に起因する急激な温度上昇を抑制できるから、アクティブクランプ耐量の向上を図ることができる。よって、優れたオン抵抗および優れたアクティブクランプ耐量の両立を図ることができる。
【0567】
[A7]前記第1チャネルは、平面視において第1割合で形成されており、前記第2チャネルは、平面視において前記第1割合とは異なる第2割合で形成されている、A4~6のいずれか一つに記載の半導体装置。
[A8]前記第2チャネルは、前記第1割合未満の第2割合で形成されている、A7に記載の半導体装置。
【0568】
[A9]前記第1トランジスタは、前記半導体層に接する第1絶縁層および前記第1絶縁層を挟んで前記半導体層に対向する第1電極を有する第1ゲート構造を含み、前記第2トランジスタは、前記半導体層に接する第2絶縁層および前記第2絶縁層を挟んで前記半導体層に対向する第2電極を有する第2ゲート構造を含む、A1~A8のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0569】
[A10]前記第1トランジスタは、複数の前記第1ゲート構造を含み、前記第2トランジスタは、複数の前記第2ゲート構造を含む、A9に記載の半導体装置。
[A11]複数の前記第2ゲート構造は、1個または複数の前記第1ゲート構造を挟む態様で、複数の前記第1ゲート構造と交互に配列されている、A10に記載の半導体装置。
【0570】
[A12]複数の前記第1ゲート構造は、第1方向に沿って間隔を空けて形成され、前記第1方向に交差する第2方向に沿って帯状にそれぞれ延びており、複数の前記第2ゲート構造は、前記第1方向に沿って間隔を空けて形成され、前記第2方向に沿って帯状にそれぞれ延びている、A10またはA11に記載の半導体装置。
[A13]前記半導体層は、主面を含み、前記第1ゲート構造は、前記主面に形成された第1トレンチ、前記第1トレンチの内壁に沿う前記第1絶縁層、および、前記第1絶縁層を挟んで前記第1トレンチに埋設された前記第1電極を含む第1トレンチゲート構造を有し、前記第2ゲート構造は、前記主面に形成された第2トレンチ、前記第2トレンチの内壁に沿う前記第2絶縁層、および、前記第2絶縁層を挟んで前記第2トレンチに埋設された前記第2電極を含む第2トレンチゲート構造を有している、A9~A12のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0571】
[A14]前記第1電極は、前記第1絶縁層を挟んで前記第1トレンチの底壁側に埋設された第1底側電極、前記第1絶縁層を挟んで前記第1トレンチの開口側に埋設された第1開口側電極、ならびに、前記第1底側電極および前記第1開口側電極の間に介在する第1中間絶縁層を含む絶縁分離型の電極構造を有しており、前記第2電極は、前記第2絶縁層を挟んで前記第2トレンチの底壁側に埋設された第2底側電極、前記第2絶縁層を挟んで前記第2トレンチの開口側に埋設された第2開口側電極、ならびに、前記第2底側電極および前記第2開口側電極の間に介在する第2中間絶縁層を含む絶縁分離型の電極構造を有している、A13に記載の半導体装置。
【0572】
[A15]前記第2開口側電極は、前記第1開口側電極から電気的に絶縁されている、A14に記載の半導体装置。
[A16]前記第2底側電極は、前記第1底側電極に電気的に接続されている、A14またはA15に記載の半導体装置。
[A17]前記第2底側電極は、前記第1底側電極から電気的に絶縁されている、A14またはA15に記載の半導体装置。
【0573】
[A18]前記第1電極は、一体物として前記第1トレンチに埋設されており、前記第2電極は、一体物として前記第2トレンチに埋設されている、A13に記載の半導体装置。
[A19]実装基板と、前記実装基板に実装されたA1~A18のいずれか一つに記載の半導体装置と、を含む、回路モジュール。
【0574】
B群は、複数の環状トレンチにそれぞれ埋設された複数の電極を備える構造において、配線抵抗を抑制しながら、複数の電極を簡素な構造で電気的に接続できる半導体装置を提供することを目的とする。
[B1]主面を有する基板と、第1環状トレンチ、および、平面視において前記第1環状トレンチの外周側壁から第1方向に引き出された第1接続トレンチを含み、前記主面に形成された第1トレンチと、前記第1トレンチから前記第1方向に間隔を空けて形成された第2環状トレンチ、および、平面視において前記第1方向に直交する第2方向に前記第1接続トレンチと対向するように前記第2環状トレンチの外周側壁から前記第1環状トレンチに向けて引き出された第2接続トレンチを含み、前記主面に形成された第2トレンチと、前記第1環状トレンチ内の第1環状部および前記第1接続トレンチ内の第1接続部を含み、前記第1トレンチに埋設された第1電極と、前記第2環状トレンチ内の第2環状部および前記第2接続トレンチ内の第2接続部を含み、前記第2トレンチに埋設された第2電極と、前記主面の上において前記第1電極および前記第2電極を被覆する絶縁層と、前記絶縁層を貫通して前記第1電極の前記第1接続部に接続された第1貫通電極と、前記絶縁層を貫通して前記第2電極の前記第2接続部に接続された第2貫通電極と、前記絶縁層の上において前記第1貫通電極および前記第2貫通電極に接続された配線と、を含む、半導体装置。
【0575】
この半導体装置によれば、配線の配線抵抗を抑制しながら、第1環状トレンチに埋設された第1電極および第2環状トレンチに埋設された第2電極を簡素な構造で電気的に接続できる。
[B2]前記配線は、前記第2方向に沿って延びている、B1に記載の半導体装置。
[B3]前記配線は、前記第1貫通電極および前記第2貫通電極を最短距離で接続している、B1またはB2に記載の半導体装置。
【0576】
[B4]前記第1電極は、第1ポリシリコン層を含み、前記第2電極は、第2ポリシリコン層を含む、B1~B3のいずれか一つに記載の半導体装置。
[B5]前記第1ポリシリコン層の前記第1接続部に形成された第1導電型の第1コンタクト領域と、前記第2ポリシリコン層の前記第2接続部に形成された第2導電型の第2コンタクト領域と、をさらに含み、前記配線は、前記第1コンタクト領域および前記第2コンタクト領域を電気的に接続している、B4に記載の半導体装置。
【0577】
[B6]前記第1ポリシリコン層の前記第1環状部に形成された第1pn接合構造と、前記第2ポリシリコン層の前記第2環状部に形成された第2pn接合構造と、をさらに含む、B4またはB5に記載の半導体装置。
[B7]前記配線は、前記第1pn接合構造および前記第2pn接合構造を直列に接続している、B6に記載の半導体装置。
【0578】
[C1]トランジスタ領域および感温デバイス領域を含む半導体層と、前記トランジスタ領域に形成された絶縁ゲート型の第1トランジスタと、前記トランジスタ領域に形成された絶縁ゲート型の第2トランジスタと、前記感温デバイス領域に形成され、前記トランジスタ領域の温度を監視する感温ダイオードと、前記トランジスタ領域において前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタに電気的に接続されるように前記半導体層の上に形成され、通常動作時に前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタをオン状態に制御し、アクティブクランプ動作時に前記第1トランジスタをオフ状態に制御すると共に前記第2トランジスタをオン状態に制御する制御信号を伝達する制御配線と、を含む、半導体装置。この半導体装置によれば、トランジスタ領域の温度上昇に適切に対処できる。
【0579】
[C2]前記制御配線は、前記第1トランジスタに電気的に接続された第1制御配線、および、前記第1トランジスタから電気的に絶縁された状態で前記第2トランジスタに電気的に接続された第2制御配線を含む、C1に記載の半導体装置。
[C3]トランジスタ領域および感温デバイス領域を含む半導体層と、前記トランジスタ領域に形成された絶縁ゲート型の第1トランジスタと、前記トランジスタ領域に形成された絶縁ゲート型の第2トランジスタと、前記感温デバイス領域に形成され、前記トランジスタ領域の温度を監視する感温ダイオードと、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタに電気的に接続されるように前記半導体層に形成され、通常動作時に前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタをオン状態に制御し、アクティブクランプ動作時に前記第1トランジスタをオフ状態に制御すると共に前記第2トランジスタをオン状態に制御する制御回路と、を含む、半導体装置。この半導体装置によれば、トランジスタ領域の温度上昇に適切に対処できる。
【0580】
[C4]トランジスタ領域および感温デバイス領域を含む半導体層と、第1チャネルを含み、前記トランジスタ領域に形成された絶縁ゲート型の第1トランジスタと、第2チャネルを含み、前記トランジスタ領域に形成された絶縁ゲート型の第2トランジスタと、前記感温デバイス領域に形成され、前記トランジスタ領域の温度を監視する感温ダイオードと、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタに電気的に接続されるように前記半導体層の上に形成され、アクティブクランプ動作時における前記第1チャネルおよび前記第2チャネルの利用率が、零を超えて通常動作時における前記第1チャネルおよび前記第2チャネルの利用率未満となるように前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタを制御する制御信号を伝達する制御配線と、を含む、半導体装置。この半導体装置によれば、トランジスタ領域の温度上昇に適切に対処できる。
【0581】
[C5]前記制御配線は、前記第1トランジスタに電気的に接続された第1制御配線、および、前記第1トランジスタから電気的に絶縁された状態で前記第2トランジスタに電気的に接続された第2制御配線を含む、C4に記載の半導体装置。
[C6]トランジスタ領域および感温デバイス領域を含む半導体層と、第1チャネルを含み、前記トランジスタ領域に形成された絶縁ゲート型の第1トランジスタと、第2チャネルを含み、前記トランジスタ領域に形成された絶縁ゲート型の第2トランジスタと、前記感温デバイス領域に形成され、前記トランジスタ領域の温度を監視する感温ダイオードと、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタに電気的に接続されるように前記半導体層に形成され、アクティブクランプ動作時における前記第1チャネルおよび前記第2チャネルの利用率が、零を超えて通常動作時における前記第1チャネルおよび前記第2チャネルの利用率未満となるように前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタを制御する制御回路と、を含む、半導体装置。この半導体装置によれば、トランジスタ領域の温度上昇に適切に対処できる。
【0582】
[C7]前記感温ダイオードは、前記感温デバイス領域に形成されたトレンチ、前記トレンチに埋め込まれたポリシリコン層、前記ポリシリコン層に形成されたp型のアノード領域、および、前記ポリシリコン層に形成されたn型のカソード領域を有する感温ダイオード構造を含む、C1~C6のいずれか1つに記載の半導体装置。
[D1]主面を有する基板と、平面視において第1方向に沿って延び、前記第1方向に直交する第2方向に対向する第1トレンチ部および第2トレンチ部、ならびに、平面視において前記第2方向に沿って延び、前記第1方向に対向する第3トレンチ部および第4トレンチ部を一体的に含み、前記主面に形成された環状トレンチと、前記環状トレンチに埋設されたポリシリコン層と、前記ポリシリコン層において前記第1トレンチ部内の部分に形成されたp型のアノード領域と、前記ポリシリコン層において前記第2トレンチ部内の部分に形成されたn型のカソード領域と、を含む、半導体装置。
【0583】
この半導体装置によれば、トレンチ、ポリシリコン層、アノード領域およびカソード領域を含むダイオード構造が基板の内部に作りこまれている。これにより、ダイオード構造に起因する半導体装置の大型化を抑制できる。
[D2]前記アノード領域は、前記第1トレンチ部から前記第3トレンチ部および前記第4トレンチ部のいずれか一方または双方に引き出されている、D1に記載の半導体装置。
【0584】
[D3]前記アノード領域において前記第3トレンチ部および前記第4トレンチ部のいずれか一方または双方に引き出された部分は、前記第2トレンチ部から前記第1トレンチ部側に間隔を空けて形成されているD2に記載の半導体装置。
[D4]前記カソード領域は、前記第2トレンチ部から前記第3トレンチ部および前記第4トレンチ部のいずれか一方または双方に引き出されている、D1~D3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0585】
[D5]前記カソード領域において前記第3トレンチ部および前記第4トレンチ部のいずれか一方または双方に引き出された部分は、前記第1トレンチ部から前記第2トレンチ部側に間隔を空けて形成されているD4に記載の半導体装置。
[D6]前記カソード領域は、前記アノード領域から間隔を空けて形成されている、D1~D5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0586】
[D7]前記環状トレンチの前記第1トレンチ部に連通し、前記第2方向に延びるように前記主面に形成された第1接続トレンチと、前記環状トレンチの前記第2トレンチ部に連通し、前記第2方向に延びるように前記主面に形成された第2接続トレンチと、をさらに含み、前記ポリシリコン層は、前記環状トレンチ、前記第1接続トレンチおよび前記第2接続トレンチに埋設されている、D1~D6のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0587】
[D8]前記ポリシリコン層において前記第1接続トレンチ内の部分に形成され、前記アノード領域に電気的に接続されたp型のアノードコンタクト領域と、前記ポリシリコン層において前記第2接続トレンチ内の部分に形成され、前記カソード領域に電気的に接続されたn型のカソードコンタクト領域と、をさらに含む、D7に記載の半導体装置。
[D9]前記ポリシリコン層の表層部に形成されたp型のウェル領域をさらに含み、前記アノード領域は、前記ウェル領域のp型不純物濃度を超えるp型不純物濃度を有し、前記ウェル領域の表層部に形成され、前記カソード領域は、前記ウェル領域の表層部に形成されている、D1~D8のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0588】
本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、これらは本発明の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本発明はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0589】
1 半導体装置
2 半導体層
3 第1主面
6 出力領域
55 ボディ領域
60 第1トレンチゲート構造
70 第2トレンチゲート構造
81 第1ゲートトレンチ
83 第1電極
86 第1底側電極
87 第1開口側電極
88 第1中間絶縁層
92 第1ソース領域
93 第1コンタクト領域
101 第2ゲートトレンチ
103 第2電極
106 第2底側電極
107 第2開口側電極
108 第2中間絶縁層
112 第2ソース領域
113 第2コンタクト領域
401 領域分離構造
402 感温デバイス領域
404 分離トレンチ
405 分離絶縁層
406 分離電極
411 アノード配線構造
412 アノードトレンチ
414 アノード配線電極
421 カソード配線構造
422 カソードトレンチ
424 カソード配線電極
431 感温ダイオード構造
432 ダイオードトレンチ
433 ダイオード絶縁層
434 ポリシリコン層
435 環状トレンチ
436 第1接続トレンチ
437 第2接続トレンチ
439 外周側壁
461 ウェル領域
462 アノード領域
463 カソード領域
465 アノードコンタクト領域
466 カソードコンタクト領域
467 ノンドープ領域
486 アノード配線
488 カソード配線
151 半導体装置
161 半導体装置
171 半導体装置
181 半導体装置
191 半導体装置
201 半導体装置
211 半導体装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26A
図26B
図26C
図26D
図26E
図26F
図26G
図26H
図26I
図26J
図26K
図26L
図26M
図26N
図26O
図26P
図26Q
図26R
図26S
図27
図28A
図28B
図29A
図29B
図30A
図30B
図31
図32
図33
図34
図35A
図35B
図36
図37
図38A
図38B
図39
図40A
図40B
図41A
図41B
図42
図43A
図43B
図44
図45A
図45B
図46
図47A
図47B
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55