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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】作業プラットフォーム移動機システム
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20230803BHJP
   B64F 5/00 20170101ALI20230803BHJP
   E04G 1/24 20060101ALN20230803BHJP
【FI】
B66F9/24 H
B64F5/00
E04G1/24 301A
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019128395
(22)【出願日】2019-07-10
(65)【公開番号】P2020050521
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】16/033,438
(32)【優先日】2018-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リチャーズ, チャールズ エム.
(72)【発明者】
【氏名】トロイ, ジェームズ ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】ムーア, スティーヴン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ウェブスター, クルト エフ.
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0011403(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102701122(CN,A)
【文献】特開2007-183172(JP,A)
【文献】特開2018-30225(JP,A)
【文献】特開2002-87797(JP,A)
【文献】米国特許第3831709(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/24
B64F 5/00
E04G 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静止した対象物(110)に対して作業プラットフォーム(100)を位置合わせする方法であって、
前記作業プラットフォーム(100)に駆動車両(20)を取り付けることと、
前記作業プラットフォーム(100)上で間隔を空けて配置される第1及び第2のセンサ(40a、40b)から、前記第1のセンサ(40a)と前記対象物(110)との間の第1の距離及び前記第2のセンサ(40b)と前記対象物(110)との間の第2の距離を示す信号を受信することと、
前記信号に基づいて前記作業プラットフォーム(100)を前記駆動車両(20)と共に移動し、前記作業プラットフォーム(100)を前記対象物(110)に対して位置合わせして、前記作業プラットフォーム(100)と前記対象物(110)との間の距離を短縮することと
を含む方法。
【請求項2】
前記信号に基づいて、前記作業プラットフォーム(100)と前記対象物(110)との間の対象物角度を計算することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記作業プラットフォームの長手方向の中心線に対する前記駆動車両(20)の前進運動の角度を感知し、前記角度に基づいて前記作業プラットフォームに対する前記駆動車両(20)の位置を調整することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記駆動車両のメモリ回路に、前記第1及び第2のセンサ(40a、40b)の距離変数、前記作業プラットフォーム(100)の次元側面、及び前記作業プラットフォーム(100)に対する前記駆動車両(20)の取り付け位置を記憶することを更に含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記駆動車両(20)を動作させ、前記第1及び第2のセンサ(40a、40b)から前記信号を受信する前に、制御ユニット(60)を通して前記作業プラットフォーム(100)を移動することを更に含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記駆動車両(20)を前記作業プラットフォーム(100)に取り付けた後に、前記作業プラットフォーム(100)の一部を持ち上げ、前記作業プラットフォーム(100)の、作業面と接触した状態のホイール(105)の数を制限することを更に含み、前記ホイール(105)が前記作業面と接触した状態を維持することで、前記作業プラットフォーム(100)が、前記駆動車両(20)によって移動されている間に、その周囲を回転するホイール回転軸を形成する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
生のセンサデータを含む前記信号とともに、前記第1及び第2のセンサ(40a、40b)から前記信号を受信することを更に含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記対象物(110)に対して前記駆動車両(20)と共に前記作業プラットフォーム(100)を移動させながら、前記作業プラットフォーム(100)に対する前記駆動車両(20)の角度位置を調整することを更に含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記作業プラットフォーム(100)が前記対象物(110)と位置合わせされ、前記対象物(110)から所定の距離だけ間隔を空けて配置されると、前記駆動車両(20)を停止することを更に含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
静止した対象物(110)に対して作業プラットフォーム(100)を位置合わせするための方法であって、
旋回点(P)で前記作業プラットフォーム(100)に駆動車両(20)を取り付けることと、
前記作業プラットフォーム(100)上で間隔を空けて配置される第1及び第2のセンサ(40a、40b)から、前記第1のセンサ(40a)と前記対象物(110)との間の第1の距離及び前記第2のセンサ(40b)と前記対象物(110)との間の第2の距離を示す信号を受信することと、
前記信号に基づいて、前記作業プラットフォーム(100)と前記対象物(110)との間の対象物角度(α)を計算することと、
回転センサ信号に基づいて、前記駆動車両(20)の前方移動方向と前記作業プラットフォーム(100)の長手方向の中心線との間の駆動車両角度(β)を計算することと、
前記駆動車両(20)と共に前記作業プラットフォーム(100)を前記対象物(110)に向かって移動させながら、前記対象物角度(α)及び前記駆動車両角度(β)を計算し、前記対象物角度(α)及び前記駆動車両角度(β)に基づいて、前記作業プラットフォーム(100)と前記対象物(110)との間のオフセット距離がゼロに達する前に、前記作業プラットフォーム(100)の運動経路の回転面を完成させることと
を含む方法。
【請求項11】
前記回転センサ信号に基づいて、前記対象物(110)に対して前記作業プラットフォーム(100)を移動しながら、前記旋回点(P)で前記作業プラットフォーム(100)に対する前記駆動車両(20)の角度位置を調整することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記作業プラットフォーム(100)の前記オフセット距離がゼロに達すると、センサデータに基づいて前記駆動車両(20)を停止することを更に含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記作業プラットフォーム(100)の限られた数のホイール(105)が作業面(99)と接触した状態になるように、前記作業プラットフォーム(100)の一部を前記作業面(99)より上に持ち上げることを更に含む、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記駆動車両(20)の本体(21)に対して前記駆動車両(20)上のリフト機構(27)を延ばし、前記作業プラットフォーム(100)の前記一部を持ち上げることを更に含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、対象物に対して作業プラットフォームを移動させるためのシステムを対象とし、より詳細には、作業プラットフォームの対象物に対する距離及び位置合わせを計算するために、リアルタイムセンサフィードバックに基づいて制御される駆動車両を備えたシステムを対象とする。
【背景技術】
【0002】
多くの産業環境では、加工中の製品などの対象物などの対象物に対してオペレータ及び/又は機器を配置するために、作業プラットフォームを使用する。作業プラットフォームは、複数のオペレータや機器をサポートするために大きくなることが多い。更に、プラットフォームは、大きな対象物に対してオペレータ及び/又は機器を配置するために、大きな寸法を有する可能性がある。1つの用途は、大型の民間航空機で使用するための作業プラットフォームである。航空機で様々な動作を実行するために、作業プラットフォームの高さは20フィートを超える可能性がある。作業プラットフォームを移動及び配置する現在の方法には、作業プラットフォームを手動で押したり引いたりする作業者が含まれる。作業プラットフォームのサイズと重量が大きいため、この移動は難しい場合が多く、複数の作業者が必要である。作業プラットフォームの移動と配置に必要な大きな力により、作業者が負傷する可能性がある。
【0003】
作業者が作業プラットフォームを対象物に対して正確に配置することが困難なことが多い。作業プラットフォームが対象物に対して適切に配置されていない場合、例えば、所望の位置から離れすぎている又は間隔を空けて配置されている場合など、作業者及び/又は機器が対象物で作業するのが難しいこともある。作業プラットフォームを手動で移動する場合のもう1つの問題は、対象物を損傷する可能性である。作業プラットフォームは、移動中に誤って対象物に衝突する可能性がある。これは、作業プラットフォームが様々な製造プロセス中にしばしば必要とされる対象物に対して非常に近い位置にあることが必要な場合に特に起こる。
【発明の概要】
【0004】
1つの態様は、静止した対象物に対して作業プラットフォームを位置合わせする方法を対象とする。方法は、作業プラットフォームに駆動車両を取り付けることを含む。方法は、作業プラットフォーム上で間隔を空けて配置される第1及び第2のセンサから、第1のセンサと対象物との間の第1の距離及び第2のセンサと対象物との間の第2の距離を示す信号を受信することを含む。方法はまた、信号に基づいて作業プラットフォームを駆動車両と共に移動し、作業プラットフォームを対象物に対して位置合わせして、作業プラットフォームと対象物との間の距離を短縮することを含む。
【0005】
1つの態様では、方法はまた、信号に基づいて、作業プラットフォームと対象物との間の対象物角度を計算することを含む。
【0006】
1つの態様では、方法はまた、作業プラットフォームの長手方向の中心線に対する駆動車両の前進運動の角度を感知し、角度に基づいて作業プラットフォームに対する駆動車両の向きを調整することを含む。
【0007】
1つの態様では、方法はまた、駆動車両のメモリ回路に、第1及び第2のセンサの距離変数、作業プラットフォームの次元側面、及び作業プラットフォームに対する駆動車両の取り付け位置を記憶することを含む。
【0008】
1つの態様では、方法はまた、駆動車両を動作させ、第1及び第2のセンサから信号を受信する前に、制御ユニットを通して作業プラットフォームを移動することを含む。
【0009】
1つの態様では、方法はまた、駆動車両を作業プラットフォームに取り付けた後に、作業プラットフォームの一部を持ち上げ、作業プラットフォームの、作業面と接触した状態のホイールの数を制限することを更に含み、ホイールが作業面と接触した状態を維持することで、作業プラットフォームが、駆動車両によって移動されている間に、その周囲を回転するホイール回転軸を形成する。
【0010】
1つの態様では、方法はまた、生のセンサデータを含む信号とともに、第1及び第2のセンサから信号を受信することを含む。
【0011】
1つの態様では、方法はまた、対象物に対して駆動車両と共に作業プラットフォームを移動させながら、作業プラットフォームに対する駆動車両の角度位置を調整することを含む。1つの態様では、方法はまた、作業プラットフォームが対象物と位置合わせされ、対象物から所定の距離だけ離れたときに、駆動車両を停止することを含む。
【0012】
1つの態様は、静止した対象物に対して作業プラットフォームを位置合わせするための方法を対象とする。方法は、旋回点で作業プラットフォームに駆動車両を取り付けることを含む。方法は、作業プラットフォーム上で間隔を空けて配置される第1及び第2のセンサから、第1のセンサと対象物との間の第1の距離及び第2のセンサと対象物との間の第2の距離を示す信号を受信することを含む。方法は、信号に基づいて、作業プラットフォームと対象物との間の対象物角度を計算することを含む。方法は、回転センサ信号に基づいて、駆動車両の前方移動方向と作業プラットフォームの長手方向の中心線との間の駆動車両角度を計算することを含む。方法は、駆動車両と共に作業プラットフォームを対象物に向かって移動させながら、対象物角度及び駆動車両角度を計算し、対象物角度及び駆動車両角度に基づいて、作業プラットフォームと対象物との間のオフセット距離がゼロに達する前に、作業プラットフォームの運動経路の回転面を完成させることを含む。
【0013】
1つの態様では、方法はまた、回転センサ信号に基づいて、対象物に対して作業プラットフォームを移動しながら、旋回点で作業プラットフォームに対する駆動車両の角度位置を調整することを含む。
【0014】
1つの態様では、方法はまた、作業プラットフォームのオフセット距離がゼロに達すると、センサデータに基づいて駆動車両を停止することを含む。
【0015】
1つの態様では、方法はまた、作業プラットフォームの限られた数のホイールが作業面と接触した状態になるように、作業プラットフォームの一部を作業面より上に持ち上げることを含む。1つの態様では、方法はまた、駆動車両の本体に対して駆動車両上のリフト機構を延ばし、作業プラットフォームを持ち上げ、作業プラットフォームのホイールから駆動車両へ負荷を移動して、駆動車両の牽引力を高めることを含む。
【0016】
1つの態様は、静止した対象物に対して作業プラットフォームを位置合わせするためのシステムを対象とする。システムは、本体、本体に取り付けられた部材、及び本体(21)に旋回可能に取り付けられ、かつ作業プラットフォームに取り付けられるように構成されたマウントを備える駆動車両と、駆動車両の移動を制御するように構成された処理回路と、第1の位置で作業プラットフォームに取り付けられ、かつ作業プラットフォームと対象物との間の第1の位置で第1の距離を検出するように構成された第1のセンサと、第1の位置から間隔を空けて配置される第2の位置で作業プラットフォームに取り付けられ、かつ作業プラットフォームと対象物との間の第2の位置で第2の距離を検出するように構成された第2のセンサと、作業プラットフォームの駆動車両に対する角度を感知する回転センサとを含む。処理回路は、第1及び第2のセンサ並びに回転センサから信号を受信し、その信号に基づいて、駆動車両の移動を制御して、作業プラットフォームと対象物との間の間隙及び位置合わせを調整するように構成される。
【0017】
1つの態様では、システムはまた、本体及びマウントに取り付けられ、かつ作業プラットフォームを持ち上げるために、本体に対してマウントを上昇させるように構成されたリフト機構を含み、持ち上げることにより、作業プラットフォームから駆動車両に負荷を移動させ、駆動車両のホイールの牽引力を高める。
【0018】
1つの態様では、処理回路は、第1及び第2のセンサからの信号に基づいて、作業プラットフォームと対象物との間の角度である対象物角度を計算するように構成される。
1つの態様では、処理回路は、駆動車両上の回転センサからの読み取り値に基づいて、作業プラットフォームと共に旋回点から駆動車両の前方移動方向に延びる第1の線と、旋回点から延び、作業プラットフォームのホイール回転軸に垂直かつ作業プラットフォームの長手方向の中心線に平行である第2の線との間の角度である駆動車両角度を計算するように構成される。
【0019】
1つの態様では、システムはまた、作業プラットフォームに装着され、少なくとも1列のライトを含むディスプレイであって、第1及び第2のセンサから受信した信号に基づいて1つ又は複数のライトを照射するディスプレイを含む。
【0020】
1つの態様では、システムはまた、処理回路と通信し、制御ユニットから受信した信号に基づいて駆動車両を制御するように構成された制御ユニットを含む。
【0021】
上述の特徴、機能、及び利点は、様々な態様において単独で実現することが可能であるか、又は更に別の態様において組み合わせることが可能であるが、これらの態様は、以下の説明及び添付図面を参照することによって更に詳細に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】対象物に対して作業プラットフォームを配置するための移動機システムの上面図を示す概略図である。
図2】作業プラットフォームに取り付けられた駆動車両の背面斜視図である。
図3】駆動車両の概略図である。
図4】作業プラットフォームに取り付けられ、作業プラットフォームを持ち上げる駆動車両の概略側面図である。
図5】移動機システムの概略図である。
図6】ライト付きディスプレイの概略図である。
図7】A及びBは、ライト付きディスプレイの概略図である。
図8A】ライト付きディスプレイの概略図である。
図8B】ライト付きディスプレイの概略図である。
図8C】ライト付きディスプレイの概略図である。
図9】対象物に対して作業プラットフォームを配置する移動機システムの上面図を示す概略図である。
図10】対象物に対して作業プラットフォームを配置する移動機システムの上面図を示す概略図である。
図11】対象物に対して作業プラットフォームを配置する移動機システムの上面図を示す概略図である。
図12】対象物に対して作業プラットフォームを位置合わせ及び配置する移動機システムを使用する方法のフローチャート図である。
図13】作業プラットフォームの斜視図である。
図14】航空機に位置する作業プラットフォームの上面図である。
図15】作業対象物に対して作業プラットフォームを配置及び位置合わせするために作業プラットフォームに取り付けられた複数の駆動車両の上面図を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本出願は、静止した対象物に対して作業プラットフォームを移動する移動機システムを対象とする。発動機システムは、作業プラットフォームに取り付けられるように構成された駆動車両を含む。センサは、作業プラットフォームに取り付けられ、センサと対象物との間の距離を検出する。駆動車両の動作に使用される位置合わせ角度を決定し、作業プラットフォームを作業対象物に対して位置合わせして移動するために、センサからの信号が使用される。
【0024】
図1は、静止した対象物110に対して作業プラットフォーム100を動かすための移動機システム10を概略的に示す。発動機システム10は、作業プラットフォーム100に取り付けられる駆動車両20を含む。駆動車両20は、作業プラットフォーム100のホイール105の間を延びる作業プラットフォーム100のホイール回転軸Aに沿った旋回点の周りで、作業プラットフォーム100を動かすように構成される。駆動車両20は更に、作業プラットフォーム100が対象物110から間隔を空けて配置される距離を示す信号をセンサ40から受信するように構成される。駆動車両20は、距離情報を処理して、静止した対象物110に対して作業プラットフォーム100を操舵するために、間隔及び位置合わせを決定する。
【0025】
図2は、作業プラットフォーム100に取り付けられた駆動車両20を示す。図3は、駆動車両20の構成要素を概略的に示す。駆動車両20は、作業プラットフォーム100に旋回可能に取り付けられるように構成されたマウント22を備えた本体21を含む。ファスナ103は、マウント22を作業プラットフォーム100に取り付けることができる。1つの設計では、マウント22は、互いに旋回結合される一対のプレートを含む。別の設計は、マウント22を本体21に取り付けるファスナの周囲を旋回するマウント22を含む。更に別の設計は、マウント22と本体21との間のジンバル結合を含む。旋回結合は、駆動車両20が作業プラットフォーム100に対して異なる角度の向きで配置されるようにする旋回点Pを形成する。これにより、駆動車両20は、対象物110に対する作業プラットフォーム100の角度位置を調整する。アブソリュートエンコーダ又はポテンショメータなどの回転センサ28は、マウント22及び/又は作業プラットフォーム100と本体21との間に形成された旋回点Pで角度を感知する。角度は、旋回点Pを通って延びる垂直軸周囲の回転であるヨー軸角度を含みうる。
【0026】
駆動車両20のリフト機構27は、本体21に対するマウント22の垂直位置を選択的に調整することができる。リフト機構27は、作業プラットフォーム100の一部を作業面99の上に持ち上げる。図4に示すように、これにより、作業プラットフォーム100の1つ又は複数のホイール104を作業面99の上に持ち上げることができる。作業プラットフォーム100の1つ又は複数のホイール105は、作業面99と接触した状態であり、作業プラットフォーム100を操舵するために使用される作業プラットフォーム100のホイール回転軸Aを形成する。リフト機構27は、格納位置と延長位置との間を移動する、はめ込み、はさみ、及び/又は旋回構造を備えた、延長可能なアームを含むことができる。格納位置では、マウント22を位置合わせして結合するために、駆動車両20を作業プラットフォーム100の下で動かすことができる延長位置では、マウント22及び作業プラットフォーム100の一部が持ち上げられる。リフト機構27は、延長位置と格納位置との間を移動するために空気圧で駆動することができる。
【0027】
駆動車両20はまた、作業面99にわたり移動するための駆動部材23も含む。駆動部材23は、ホイールを含むことができ、又は作業面99に対して直接接触するように構成される連続トラックを含むことができる。ホイールを備えた駆動部材23は、多軸運動のためのオムニホイール、メカナムホイール、及び旋回駆動ホイールモジュールとして構成することができる。
【0028】
駆動車両20は、1つの表面99に電力を供給するための1つ又は複数のモータ25を含む。歯車列は、モータ25と駆動部材23との間を延びうる。駆動車両20は、1つ又は複数の駆動部材23に電力を供給する単一のモータ25、又は各々が1つ又は複数の駆動部材23に電力を供給する2つ以上のモータ25を含むことができる。電源26は、1つ又は複数の駆動部材23を再充電することができる。この電力は、駆動車両20を駆動して、作業プラットフォーム100を作業バッテリー全体に移動させ、駆動車両20上のモータ25及び他の構成要素に電力を提供する。電源26はまた、電源26を再充電するためのソーラーパネルを含むことができる。
【0029】
駆動車両20はまた、適切なソフトウェア及び/又はファームウェアで構成された1つ又は複数のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)などを含むことができる1つ又は複数の処理回路(処理回路31として示す)を含む。コンピュータ可読記憶媒体(メモリ回路32として示す)は、作業プラットフォーム100を位置合わせするために使用される技術を実装するために処理回路31を構成するデータ及びコンピュータ可読プログラムコードを記憶する。メモリ回路32は、非一過性のコンピュータ可読媒体であり、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フラッシュメモリなどの様々なメモリデバイスを含みうる。
【0030】
オペレータインターフェース33は、キーパッド、タッチパッド、ファンクションキー、スクロールホイール、ゲームパッド、ジョイスティック、又は他のタイプのコンピュータ入力デバイスなどの1つ又は複数のユーザ入力デバイスを含む。オペレータインターフェース33は、ユーザ入力デバイスとしても機能する従来の液晶ディスプレイ(LCD)又はタッチスクリーンディスプレイなどのディスプレイスクリーンを含むことができる。
【0031】
システムインターフェース34は、オペレータが駆動車両20を制御するために使用する遠隔制御ユニット60と通信するように構成される。システムインターフェース34は、遠隔制御ユニット60と無線で通信するように構成されたトランシーバを含む。システムインターフェース34はまた、遠隔制御ユニット60との有線結合を提供することができる。システムインターフェース34はまた、製造プロセスの複数の異なる態様を監督するシステム制御ユニットなどの他の遠隔構成要素と通信することができる。システムインターフェース34はまた、遠隔ソースから電力を供給することもできる。電源26を再充電し、及び/又は駆動車両20上の1つ又は複数の構成要素に電力を供給するために、この電源を使用することができる。
【0032】
図4は、作業プラットフォーム100に取り付けられた駆動車両20を示す。マウント22は、作業プラットフォーム100に取り付けられ、リフト機構27によって本体21の上に持ち上げられる。この配置により、作業プラットフォーム100の1つ又は複数のホイール104が作業面99の上に持ち上げられる。この配置は、作業面99上にホイール105を維持し、駆動車両20による作業プラットフォーム100の移動を提供する作業プラットフォーム100のホイール回転軸Aを提供する。作業プラットフォーム100を持ち上げると、駆動車両20にも負荷がかかる。この負荷は、作業面99に対する駆動部材23の牽引力を増加させる可能性がある。
【0033】
移動機システム10はまた、作業プラットフォーム100と対象物110との間の距離を検出するセンサ40を含む。1つの設計は、作業プラットフォーム100の異なる部分で距離を検出するために、作業プラットフォーム100に沿って間隔を空けて配置された一対のセンサ40を含む。他の設計は、3つ以上のセンサ40を含むことができる。
【0034】
図1及び図4に示すように、センサ40は、対象物110に面する作業プラットフォーム100のエッジ109に沿って配置されるように構成される。各センサ40は、作業プラットフォーム100に取り付けるための取り付け部材41を含むことができる。取り付け部材41は、センサ40を作業プラットフォーム100に固定するためのファスナを受けることができる。センサ40は、作業プラットフォーム100のエッジ109に沿った異なる場所に取り付けられるよう更に構成される。この間隔により、各センサ40は、対象物110から離れた作業プラットフォーム100の異なる部分の距離を検出することができる。
【0035】
作業プラットフォーム100と対象物110との間の距離を検出するために、様々な異なるセンサ40を使用することができる。センサ40は、エミッタとレシーバを備えたLidarセンサを含むことができる。エミッタはパルスレーザ光を放射し、レシーバは反射したパルスを受け取るように構成される。センサ40はまた、超音波距離センサ又はレーダーベースの距離測定センサを含むがこれらに限定されない様々な他の感知技術を使用することもできる。作業プラットフォーム100に取り付けられる異なるセンサ40は、同一の又は異なる感知技術を含むことができる。
【0036】
図5に示されるように、処理回路42は、各センサ40に関連付けることができる。処理回路42は、適切なソフトウェア及び/又はファームウェアで構成された1つ又は複数のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)などを含むことができる。コンピュータ可読記憶媒体(メモリ回路43として示す)は、センサ40の機能中に使用される技術を実装するために処理回路42を構成するデータ及びコンピュータ可読プログラムコードを記憶する。各メモリ回路43は、非一過性のコンピュータ可読媒体であり、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フラッシュメモリなどの様々なメモリデバイスを含みうる。各処理回路42は、それぞれのセンサ40から信号を受信し、センサ40と対象物110との間の距離を特定する。次に、この情報は処理回路31に信号を送られて、駆動車両20の動きを制御する。センサ40での処理は、作業プラットフォーム100の移動中に駆動車両20の位置及び/又は速度を調整するために、駆動車両20の応答率を増加させる。追加的に又は代替的には、駆動車両20の処理回路31は、生のセンサデータを受信し、センサ40と対象物110との間の距離を計算することができる。1つの設計では、距離計算を実行する処理回路31が生のセンサ信号を受信するため、センサ40に関連付けられた処理回路42又はメモリ回路43は存在しない。1つの設計では、センサ40は、限られた量のセンサデータを処理する。処理回路31は、データに対して追加の処理を実行する。
【0037】
駆動車両20を遠隔制御するために、オペレータは、制御ユニット60を使用することができる。制御ユニット60は、リフト機構27のオン/オフ、方向制御、速度制御、配置、及び他の機能を含むことができる。制御ユニット60は、キーパッド、タッチパッド、ファンクションキー、スクロールホイール、ゲームパッド、ジョイスティック、又は他のタイプのコンピュータ入力デバイスといった、1つ又は複数のユーザ入力デバイスを含むことができる。制御ユニット60はまた、ユーザ入力デバイスとしても機能する従来の液晶ディスプレイ(LCD)又はタッチスクリーンディスプレイなどのディスプレイスクリーンを含むことができる。制御ユニット60は、システムインターフェース34を介して処理回路31と通信するための無線トランシーバを提供することができる。追加的に又は代替的には、制御ユニット60は、駆動車両20と通信するように配線結合することができる。
【0038】
発動機システム10は、駆動車両20のオペレータ制御及び駆動車両20の自動制御を提供する。オペレータ制御は、制御ユニット60を介して行われる。自動制御は、センサ40からの入力に基づいて、リアルタイムで駆動車両20を制御する処理回路31を提供する。
【0039】
オペレータ制御を容易にするために、ディスプレイ50は、作業プラットフォーム100の対象物110への位置合わせ及び/又は近接の視覚的表示を提供する。図6に示すように、ディスプレイ50は、水平列に位置合わせされた多数の別個のライト51を含む。ライト51のそれぞれは、作業プラットフォーム100の対象物110に対する位置合わせを示すために個別に照明することができる。ディスプレイ50は、センサ40の処理回路42から受信した信号に基づいて制御される。1つの設計では、ディスプレイ50は処理回路42によって制御される。追加的に又は代替的には、ディスプレイ50は、センサ40からの信号を処理し、様々なライト51の照明を決定する処理回路及び関連するメモリ回路を含むことができる。
【0040】
ディスプレイ50は、制御ユニット60で駆動車両20を制御しているオペレータが見るために配置される。図4に示すように、ディスプレイ50は、作業プラットフォーム100に取り付けるための取り付け部材52を含むことができる。ディスプレイ50はまた、対象物110を含むがこれに限定されない他の場所、及び作業プラットフォーム100及び/又は対象物110に近接するスタンド上に配置することもできる。
【0041】
ライト51は、オン状態(すなわち、照明状態)とオフ状態(すなわち、非照明状態)との間で個別に制御及び調整可能である。ライト51は、様々な構成で照明されて、作業プラットフォーム100と対象物110の相対位置をユーザに視覚的に表示することができる。
【0042】
図7Aは、ディスプレイの中央部分53内でオン状態にあるライト51の数が限られている照明構成を含む。中央部分53から離れたライト51はオフ状態にある。これは、作業プラットフォーム100が対象物110と位置合わせされていることを視覚的に示す。図7Bは、作業プラットフォーム100が対象物110と位置合わせされていないことを視覚的に示す照明構成を含む。これには、ディスプレイ50の中央部分53から離れた限られた数の照明ライト51が含まれる。中央部分53のライトを含め、ライト51の残りは照明されない。位置ずれの程度は、照明ライト51が中央部分53から離れている距離によって視覚的に示すことができる。中央部分53に隣接するライト51の照明は、比較的少量の位置ずれを示しうる。ディスプレイ50の外側エッジでのライト51の照明は、より大きな量の位置ずれを含む可能性がある。
【0043】
種々のライト51はまた、配置の追加の視覚的表示を提供するために異なる色を含むこともできる。これは、第1の色である中央部分53のライト51と、1つ又は複数の異なる色である中央部分53から離れたライト51とを含むことができる。1つの設計では、ライトは、中央部分53から離れた距離に基づいて、異なる色を有する。ライト51は、中央部分53から離れるにつれて徐々に変化して、位置ずれの程度を視覚的に示すことができる。一例として、中央部分53のライト51は緑色にすることができる。中央部分53に隣接するライト51は、わずかな位置ずれ量を示す黄色になりうる。黄色のライトの外側のライト51はオレンジ色で、より大きな位置ずれ量を示している。ディスプレイ50の外周のライト51は赤色とすることができ、極端な位置ずれ量を示している。
【0044】
図8Aは、作業プラットフォーム100の対象物110に対する位置合わせを視覚的に示す別のディスプレイ50を含む。ディスプレイ50は、ライト51の水平列を有する第1の部分57、ライト51の垂直列を有する第2の部分58、及びライト51の別の垂直列を有する第3の部分59を含む。第2及び第3の部分58、59は、第1の部分57に垂直でありうる。第1の部分57は、作業プラットフォーム100の対象物110に対する位置合わせを視覚的に示すことができる。第2の部分58は、第1のセンサ40aが対象物110から離れている距離を視覚的に示し、第3の部分59は、第2のセンサ40bが対象物110から離れている距離を視覚的に示す。
【0045】
図8Aは、作業プラットフォーム100が対象物110と位置合わせされていないときに照明されるディスプレイ50を含む。中央部分53から離れたライト51が照明される(そして中央部分53のライト51は照明されない)。第2及び第3の部分58、59の比較は、第2の部分58に対応する第1のセンサ40aが第2のセンサ40b(第3の部分59に対応する)よりも対象物110から離れていることを視覚的に示す。これは、第3の部分59よりも第2の部分58で照明されるライト51が少ないためである。
【0046】
図8Bは、作業プラットフォーム100が対象物110と位置合わせされているディスプレイ50を含む。第1の部分57の中央部分53内のライト51は照明され、他のライト51はオフである。第2及び第3の部分58、59は、作業プラットフォーム100がまだ対象物110から離れていることを示す。第2及び第3の部分58、59の下部に沿ったライト51が照明され、上部に沿ったライトはオフである。これは、作業プラットフォーム100と対象物110との間に残っている距離の範囲を視覚的に示す。更に、第2及び第3の部分58、59は、同じライト51が第1及び第2の部分58、59のそれぞれで照明されるため、作業プラットフォーム100が対象物110と位置合わせされることを示す。
【0047】
図8Cは、作業プラットフォーム110が対象物110と位置合わせされ、かつ対象物110から所望の距離だけ離れた状態のディスプレイ50を示す。第1の部分57の中央部分53内のライト51が照明され、他のライト51はオフの状態である。これは、作業プラットフォーム100が対象物110と位置合わせされていることを示す。更に、第2及び第3の部分58、59に沿ったライト51の各々が照明される。これは、作業プラットフォーム100が位置合わせされ、対象物110から所望の距離にあることを視覚的に示す。
【0048】
いくつかの設計では、単一のディスプレイ50がオペレータによる視覚的観察に使用される。他の設計は、2つ以上のディスプレイ50を含むことができる。これは、各センサ40に関連付けられた別個のディスプレイ50を含むことができる。ある特定の設計では、2つのディスプレイ50が使用され、それぞれがセンサ40の1つに結合されている。各ディスプレイ50をセンサ40に個別に結合することは、構成するのがより簡単でありうる対象物110からの所望の距離は、使用状況に応じて変化しうる。これは、対象物110に対して位置しているか、対象物110から様々な距離離れているセンサ40を含むことができる。所望の距離は、メモリ回路32、42に事前にプログラムすることができる。追加的又は代替的に、所望の距離をオペレータが入力することができる。
【0049】
図9に示されるように、駆動車両20は、駆動車両20が作業プラットフォーム100に取り付けられる旋回点Pの周りで作業プラットフォーム100に対して回転する。作業プラットフォーム100は、作業プラットフォーム100のホイール回転軸Aと、旋回点Pから延びてベクトルRに垂直な線Vとの交点に位置する回転点Wを中心に回転する。作業プラットフォーム100のホイール回転軸Aは、回転点を提供するが、それは、ホイール105がそれらの角度位置でロックされる(すなわち、ロック可能なキャスターホイール105でありうるホイール105の向きが、作業プラットフォーム100に対して固定される)からである。更に、作業プラットフォーム100上の追加のホイール104は、駆動車両20によって作業面99よりわずかに上昇させることができる(図4を参照)。
【0050】
処理回路31は、様々なデータ項目を使用して、作業プラットフォーム100の自動位置合わせを実行する。図9に示すように、これには、センサ40間で測定された距離「a」が含まれる。距離「b」は、作業プラットフォーム100のホイール回転軸Aと旋回点Pとの間の距離である。距離「s」は、作業プラットフォーム100のエッジ109におけるセンサ40と作業プラットフォーム100のホイール回転軸Aとの間の距離である。距離「d1」は、第1のセンサ40aと対象物110との間の感知された距離である。距離「d2」は、第2のセンサ40bと対象物110との間の感知された距離である。
【0051】
駆動車両20は、旋回点Pから延びるベクトルRによって示される前方運動を含む。線Hは、旋回点Pから駆動車両20の長手方向の中心線に沿って延び、作業プラットフォーム100のホイール回転軸Aに垂直である。線Vは、旋回点Pから延び、前方運動ベクトルRに垂直である。点Wは、線Vと作業プラットフォーム100のホイール回転軸Aとの交点である。線Tは、対象物110のエッジに沿って延びる。
【0052】
処理回路31は、作業プラットフォーム100に沿って間隔を空けて配置された2つのセンサ40a、40bからの読み取り値に基づいて、作業プラットフォーム100の配置を計算する。距離読み取り値と作業プラットフォーム100の形状を使用して、処理回路31は、作業プラットフォーム100と対象物110との間の角度を計算する。この対象物角度αは、作業プラットフォーム100のホイール回転軸Aと対象物110の正面と一致する線Tとの間の角度である。対象物角度αは、式(1)で定義される。
α= atan(d1-d2/a) (式1)
【0053】
駆動車両角度βは、回転センサ28によって測定され、作業プラットフォーム100の駆動車両20に対する角度である。この角度βは、駆動車両20の前方運動を示すベクトルRと、旋回点Pから延び、ホイール回転軸Aに垂直であり、作業プラットフォーム100の長手方向の中心線Hである線Hとによって形成される。
【0054】
処理回路31は、ホイール105の位置、作業プラットフォーム100の長手方向中心線H、ホイール回転軸A、センサ分離距離a、及び旋回点Pを含む、作業プラットフォーム100の形状と共に、駆動車両角度βのフィードバックを使用し、位置合わせのための対象物角度αに達するよう、駆動車両20が従うために必要なベクトルを計算する。角度の位置合わせが達成した後、処理回路31は、作業プラットフォーム100を対象物110に向かって移動させながら、対象物角度αを維持するために、角度βを調整する。処理回路31は、作業プラットフォーム100と対象物110との間の所望のオフセット距離が達成されるまで、センサ40からのフィードバックを使用する。この時点で、処理回路31は、駆動車両20を停止させる。センサ40からの読み取り値に基づく連続的なフィードバックは、必要な位置合わせを可能にするために、駆動車両の角度βの必要な調整を提供する。
【0055】
作業プラットフォーム100の回転位置合わせは、対象物110と衝突することなく、対象物110の位置合わせに必要な作業プラットフォーム100の回転点を決定することにより達成される。処理回路31は、作業プラットフォーム100のベクトルVとホイール回転軸Aとの交点にプラットフォーム旋回点Wを設定する。作業プラットフォーム100の対象物110に対する衝突しない経路を生成するために、運動経路の回転態様は、対象物110からの所望の距離に到達する前に完了するべきである。図10に示すように、これは、作業プラットフォーム100の回転点距離D2が、対象物110の境界エッジ線と作業プラットフォーム100のホイール回転軸Aとの交点の距離D1以下であることを意味する。
【0056】
図10は、対象物110に対して接触する前に、作業プラットフォーム100を位置合わせすることができる配置を示す。距離D2は、距離D1以下である。図11は、作業プラットフォーム100が対象物110に接触する前に位置合わせを達成しない配置を示す。この接触は、D2がD1よりも大きいために発生する。図11では、駆動車両20は、必要な位置合わせを可能にするために、駆動車両角度βを変更する(ここに示される状況から角度βを増加させることを含むだろう)ように調整される。
【0057】
処理回路31は、駆動車両20の移動中に様々な距離及び位置合わせを連続的に計算することができる。最小駆動車両角度βは、初期対象物角度αと所望のアプローチオフセット距離に基づいて決定される。最小駆動車両角度sは、式(2)で定義される。
smin=atan(b/((s+(d1+d2)/2)/tan(α))) (式2)
【0058】
実際には、初期駆動車量角度βを最小駆動車量角度βよりも大きく設定して、所望のオフセット距離が達成される前に位置合わせを達成することができる。処理回路31は、対象物角度αがゼロになるまで対象物110に向かって移動しながら、対象物角度αを連続的に算出する。
【0059】
処理回路31はまた、駆動車両20が対象物110に向かって移動するときに、駆動車両20の速度も制御することができる。速度は、対象物角度αがゼロに等しくない時間に連続的に計算することができる。速度は、式(3)に基づいて計算することができる。
Speed=Kp *α+sin(α)*(Kmin_yaw_rate) (式3)
【0060】
処理回路31には、対象物角度α、旋回点P、及びセンサオフセットなど、作業プラットフォーム100の移動の様々な計算を正確に決定するための様々なデータポイント及び寸法が提供される。運動学的な寸法変数が組み込まれた運動制御方程式は、処理回路31とメモリ回路32で事前にプログラムすることができる。これは、変数(a、b、sなど)の設定を含むことができる。
【0061】
運動学変数は、オペレータに制御ユニット60又は駆動車両20の入力を介して手動で入力させ、実行時に変数を含むファイルをロードする作業プラットフォーム100に関連付けられたID番号をオペレータに選択させ、又はある種の自動選択プロセスを有する、運動制御アプリにハードコーディングするといった、様々な方法で設定することができる。ある設計は、駆動車両20及び/又は制御ユニット60によってスキャンされた作業プラットフォーム100上のRFIタグに基づいてデータをロードすることができる。
【0062】
図12は、作業プラットフォーム100を対象物110に対して位置合わせする方法を示す。駆動車両20及びセンサ40が起動される(ブロック200)。これは、構成要素自体で、又は制御ユニット60などを介して遠隔で完了することができる。駆動車両20は、作業プラットフォーム100に対して配置され、作業プラットフォーム100に取り付けることができる(ブロック202)。
【0063】
取り付けられると、マウント22は、リフト機構27を通して持ち上げることができる(ブロック203)。これにより、作業プラットフォーム100の一部分を持ち上げることができる。これは、作業プラットフォーム100を持ち上げて、エッジ109上及び/又はエッジ109に向かうホイール105のみが作業面99と接触した状態になるようにすることを含みうる。これはまた、駆動車両20に負荷をかけ、作業面99との牽引力を増大させることができる。この段階で、作業面99と接触しているホイール105を通って延びる作業プラットフォーム100のホイール回転軸A、及び駆動車両20の本体21に旋回可能に結合されたマウント22に沿って、作業プラットフォーム100の移動が生じる。
【0064】
駆動車両20は、対象物110からの距離を示す信号をセンサ40から受信する(ブロック204)。駆動車両20がいったん作業プラットフォーム100に取り付けられると、センサ40からの信号を受信し始めることができる。処理回路31は、センサ40及び/又は処理回路42に信号を送り、信号の送信を開始することができる。1つの設計では、作業プラットフォーム100を上昇させるためのリフト機構27の作動により、センサ40が信号の送信を開始する。
【0065】
センサ40からの信号もディスプレイ50に送られる。これにより、駆動車両20を制御しているオペレータの位置合わせ及び/又は配置の視覚的表示のために、適用可能なライト51が照明する。
【0066】
駆動車両20、したがって作業プラットフォーム100の移動を制御するために、コマンドをオペレータから受信し続けることができる(ブロック206)。これらのコマンドは、駆動車両20から離れた遠隔に位置するオペレータからの制御ユニット60から受信することができる。オペレータは、制御ユニット60を介して、作業プラットフォーム100を対象物110から離れた近似オフセット位置内に移動させる。
【0067】
オペレータは、作業プラットフォーム100の移動を制御するために自動位置合わせプロセスを使用するかどうか決定する(ブロック208)。自動位置合わせプロセスが使用されない場合、移動は、制御ユニット60を介してオペレータによって制御することができる(ブロック210)。オペレータは、移動を制御する際に、作業プラットフォーム100の対象物110に対する物理的位置を観察することができる。追加的又は代替的には、オペレータはまた、ディスプレイ50を観察して、位置合わせ及び/又は位置を決定することもできる。
【0068】
自動位置合わせプロセスが使用される場合(ブロック208)、オペレータは、自動位置合わせプロセスが移動を引き継ぐべきであることを示すコマンドを制御ユニット60を介して入力することができる(ブロック212)。起動されると、処理回路31は、センサデータのフィードバックに基づいて移動を制御する。上記の設計には、駆動車両20に配置された処理回路31が含まれる。処理回路31はまた、駆動車両20から離れて位置することもできる。
【0069】
発動機システム10では、様々な異なる作業プラットフォーム100を使用することができる。図13は、作業者及び/又は機器を配置するために持ち上げられた作業面を備えた作業プラットフォーム100を示す。作業プラットフォーム100はまた、持ち上げられた作業面への出入りを提供するステップを含むことができる。
【0070】
発動機システム10は、様々な異なる対象物に対して作業を行うために、様々な異なる環境で使用することができる。図14は、対象物110における1つの用途が航空機である場合を含む。航空機110の異なる部分への作業を行うために、1つ又は複数の作業プラットフォーム100を使用することができる。発動機システム10は、様々な車両で使用することができる。1つの車両は、各々が乗客を収容するように構成された座席の列を含む民間航空機を含む。他の車両は、有人航空機、無人航空機、有人宇宙船、無人宇宙船、有人回転翼機、無人回転翼航空機、衛星、ロケット、ミサイル、有人地上航空機、無人地上航空機、有人水上輸送車両、無人水上輸送車両、有人水面下輸送車両、無人水面下輸送車両、船舶、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0071】
上記の例は、作業プラットフォーム100に取り付けられた単一の駆動車両20を含む。発動機システム10はまた、作業プラットフォーム100に取り付けられた複数の駆動車両20を含むことができる。複数の駆動車両20は、連携作用して、作業プラットフォーム100を移動及び位置合わせすることができる。図15は、作業プラットフォーム100に取り付けられた一対の駆動車両20a、20bを示す。作業プラットフォーム100のホイール105はキャスターであり、様々な角度位置で回転することができる。駆動車両20a、20bのそれぞれは、センサ40a、40bから信号を受信する。これらの信号に基づいて、駆動車両20a、20bは、適用可能な方向の配置を決定することができる。加えて、駆動車両20a、20bは、それらの間で通信して、作業プラットフォーム100を操舵するための移動を更に決定することができる。1つの移動機システム10では、駆動車両20a、20bの一方がマスターであり、移動を決定し、他方の駆動車両20a、20bを方向付ける。他の移動機システム10は、センサ40a、40bからの信号に基づいて、それらの移動を計算する両方の駆動車両20a、20bを含む。
【0072】
更に、本開示は、下記の条項による実施形態を含む。
条項1. 静止した対象物(110)に対して作業プラットフォーム(100)を位置合わせする方法であって、
作業プラットフォーム(100)に駆動車両(20)を取り付けることと、
作業プラットフォーム(100)上で間隔を空けて配置された第1及び第2のセンサ(40a、40b)から、第1のセンサ(40a)と対象物(110)との間の第1の距離及び第2のセンサ(40b)と対象物(110)との間の第2の距離を示す信号を受信することと、
信号に基づいて作業プラットフォーム(100)を駆動車両(20)と共に移動し、作業プラットフォーム(100)を対象物(110)に対して位置合わせして、作業プラットフォーム(100)と対象物(110)との間の距離を短縮することと
を含む方法。
条項2. 信号に基づいて、作業プラットフォーム(100)と対象物(110)との間の対象物角度を計算することを更に含む、条項1に記載の方法。
条項3. 作業プラットフォームの長手方向の中心線に対する駆動車両(20)の前進運動の角度を感知し、角度に基づいて作業プラットフォームに対する駆動車両(20)の位置を調整することを更に含む、条項1又は2に記載の方法。
条項4. 駆動車両のメモリ回路に、第1及び第2のセンサ(40a、40b)の距離変数、作業プラットフォーム(100)の次元側面、及び作業プラットフォーム(100)に対する駆動車両(20)の取り付け位置を記憶することを更に含む、条項1から3のいずれか一項に記載の方法。
条項5. 駆動車両(20)を動作させ、第1及び第2のセンサ(40a、40b)から信号を受信する前に、制御ユニット(60)を通して作業プラットフォーム(100)を移動することを更に含む、条項1から4のいずれか一項に記載の方法。
条項6. 駆動車両(20)を作業プラットフォーム(100)に取り付けた後に、作業プラットフォーム(100)の一部を持ち上げ、作業プラットフォーム(100)の、作業面と接触した状態のホイール(105)の数を制限することを更に含み、ホイール(105)が作業面と接触した状態を維持することで、作業プラットフォーム(100)が、駆動車両(20)によって移動されている間に、その周囲を回転するホイール回転軸を形成する、条項1から5のいずれか一項に記載の方法。
条項7. 生のセンサデータを含む信号とともに、第1及び第2のセンサ(40a、40b)から信号を受信することを更に含む、条項1から6のいずれか一項に記載の方法。
条項8. 対象物(110)に対して駆動車両(20)と共に作業プラットフォーム(100)を移動させながら、作業プラットフォーム(100)に対する駆動車両(20)の角度位置を調整することを更に含む、条項1から7のいずれか一項に記載の方法。
条項9. 作業プラットフォーム(100)が対象物(110)と位置合わせされ、対象物(110)から所定の距離だけ間隔を空けて配置されると、駆動車両(20)を停止することを更に含む、条項1から8のいずれか一項に記載の方法。
条項10. 静止した対象物(110)に対して作業プラットフォーム(100)を位置合わせするための方法であって、
旋回点(P)で作業プラットフォーム(100)に駆動車両(20)を取り付けることと、
作業プラットフォーム(100)上で間隔を空けて配置される第1及び第2のセンサ(40a、40b)から、第1のセンサ(40a)と対象物(110)との間の第1の距離及び第2のセンサ(40b)と対象物(110)との間の第2の距離を示す信号を受信することと、
信号に基づいて、作業プラットフォーム(100)と対象物(110)との間の対象物角度(α)を計算することと、
回転センサ信号に基づいて、駆動車両(20)の前方移動方向と作業プラットフォーム(100)の長手方向の中心線との間の駆動車両角度(β)を計算することと、
駆動車両(20)と共に作業プラットフォーム(100)を対象物(110)に向かって移動させながら、対象物角度(α)及び駆動車両角度(β)を計算し、対象物角度(α)及び駆動車両角度(β)に基づいて、作業プラットフォーム(100)と対象物(110)との間のオフセット距離がゼロに達する前に、作業プラットフォーム(100)の運動経路の回転面を完成させることと
を含む方法。
条項11. 回転センサ信号に基づいて、対象物(110)に対して作業プラットフォーム(100)を移動しながら、旋回点(P)で作業プラットフォーム(100)に対する駆動車両(20)の角度位置を調整することを更に含む、条項10に記載の方法。
条項12. 作業プラットフォーム(100)のオフセット距離がゼロに達すると、センサデータに基づいて駆動車両(20)を停止することを更に含む、条項10又は11に記載の方法。
条項13. 作業プラットフォーム(100)の限られた数のホイール(105)が作業面(99)と接触した状態になるように、作業プラットフォーム(100)の一部を作業面(99)より上に持ち上げることを更に含む、条項10から12のいずれか一項に記載の方法。
条項14. 駆動車両(20)の本体(21)に対して駆動車両(20)上のリフト機構(27)を延ばし、作業プラットフォーム(100)の一部を持ち上げることを更に含む、条項13に記載の方法。
条項15. 静止した対象物(110)に対して作業プラットフォーム(100)を位置合わせするためのシステムであって、
駆動車両(20)であって、
本体(21)、
本体(21)に取り付けられた部材(23)、及び
本体(21)に旋回可能に取り付けられ、かつ作業プラットフォーム(100)に取り付けられるように構成されたマウント(22)
を備える駆動車両(20)と、
駆動車両(21)の移動を制御するように構成された処理回路(31)と、
第1の位置で作業プラットフォーム(100)に取り付けられ、かつ作業プラットフォーム(100)と対象物(110)との間の第1の位置で第1の距離を検出するように構成された第1のセンサ(40a)と、
第1の位置から間隔を空けて配置される第2の位置で作業プラットフォーム(100)に取り付けられ、かつ作業プラットフォーム(100)と対象物(110)との間の第2の位置で第2の距離を検出するように構成された第2のセンサ(40b)と、
作業プラットフォーム(100)の駆動車両(20)に対する角度を感知する回転センサと
を備え、
処理回路(31)が、第1及び第2のセンサ(40a、40b)並びに回転センサ(28)から信号を受信し、その信号に基づいて、駆動車両(20)の移動を制御して、作業プラットフォーム(100)と対象物(110)との間の間隙及び位置合わせを調整するように構成されるシステム。
条項16. 本体(21)及びマウント(22)に取り付けられ、かつ作業プラットフォーム(100)の一部分を持ち上げるために、本体(21)に対してマウント(22)を上昇させるように構成されたリフト機構(27)を更に備える、条項15に記載のシステム。
条項17. 処理回路(31)が、第1及び第2のセンサ(40a、40b)からの信号に基づいて、作業プラットフォーム(100)と対象物(110)との間の角度である対象物角度を計算する、条項15又は16に記載のシステム。
条項18. 処理回路(31)が、駆動車両(20)上の回転センサ(28)からの読み取り値に基づいて、作業プラットフォームと共に旋回点から駆動車両の前方移動方向に延びる第1の線と、旋回点から延び、作業プラットフォームのホイール回転軸に垂直かつ作業プラットフォーム(100)の長手方向の中心線に平行である第2の線との間の角度である駆動車両角度を計算する、条項15又は16に記載のシステム。
条項19. 作業プラットフォーム(100)に装着され、少なくとも1列のライト(51)を含むディスプレイ(50)であって、第1及び第2のセンサ(40a、40b)から受信した信号に基づいて1つ又は複数のライト(51)を照射するディスプレイ(50)を更に備える、条項15から18のいずれか一項に記載のシステム。
条項20. 処理回路(31)と通信し、制御ユニット(60)から受信した信号に基づいて駆動車両(20)を制御する制御ユニット(60)を更に備える、請求項15から19のいずれか一項に記載のシステム。
【0073】
本発明は、本発明の本質的な特性から逸脱することなく、本明細書で具体的に説明した方法以外の方法で実施されてもよい。本実施形態は、あらゆる点で例示的であり、限定的ではないとみなされるべきであり、添付の特許請求の範囲の意味及び均等性の範囲内にあるすべての変更は、そこに含まれることが意図される。
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