(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】ヘアドライヤ
(51)【国際特許分類】
A45D 20/12 20060101AFI20230803BHJP
A45D 20/10 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
A45D20/12 J
A45D20/10 Z
(21)【出願番号】P 2019137379
(22)【出願日】2019-07-26
【審査請求日】2022-03-23
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【氏名又は名称】山内 聡
(72)【発明者】
【氏名】下田 卓也
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-246309(JP,A)
【文献】実開昭55-151207(JP,U)
【文献】特開2006-305084(JP,A)
【文献】特開2013-078610(JP,A)
【文献】実開昭56-037905(JP,U)
【文献】特表2004-508120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 20/12
A45D 20/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライヤ本体と、
前記ドライヤ本体に取り付けられる吹き出しノズルと
を備えているヘアドライヤであって、
前記ドライヤ本体は、
風の吹き出し経路の下流端側に位置する正面部を有し、
前記正面部には、
前記正面部の左側の端部側に開口部を有する第1の吹き出し口と、
前記正面部の右側の端部側に開口部を有する第2の吹き出し口と、
前記第1の吹き出し口と前記第2の吹き出し口との間の位置に配置されている表示部と
が設けられており、
前記吹き出しノズルは、
前記ドライヤ本体の前記正面部に取り付けられる取付部と、
吹き出し口を有し、前記取付部に対して回動する回動部と
を有しており、
前記取付部には、前記ドライヤ本体に取り付けられたときに前記表示部を露出させる切り欠きが設けられている、
ヘアドライヤ。
【請求項2】
前記取付部は、前記ドライヤ本体に対して固定された状態で取り付けられる、
請求項1に記載のヘアドライヤ。
【請求項3】
前記切り欠きが前記ドライヤ本体の把持部側に位置するように、前記ドライヤ本体に取り付けられる、
請求項1または2に記載のヘアドライヤ。
【請求項4】
前記表示部には、風の温度を表す温度表示部が含まれており、
前記ドライヤ本体に取り付けられたときに、前記温度表示部が視認可能となっている、
請求項1から3の何れか1項に記載のヘアドライヤ。
【請求項5】
前記ドライヤ本体には、前記表示部が配置されている側と同じ側に、操作部が設けられている、請求項1から4の何れか1項に記載のヘアドライヤ。
【請求項6】
前記正面部は、湾曲した凹面形状を有しており、前記正面部の凹みの部分に前記表示部が設けられている、請求項1から5の何れか1項に記載のヘアドライヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアドライヤの吹き出し口に取り付けられる吹き出しノズル、およびこの吹き出しノズルを有しているヘアドライヤに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアドライヤには、現在の動作状態などを使用者に知らせるために、動作状態などを表示する表示手段を有しているものがある。例えば、特許文献1には、一端に吸込口、他端に吹出口を有する筒状の本体ケースを備え、前記本体ケースの外面には、自身の長手方向を本体ケースの筒の軸線方向に一致させる形で配置され、特定の動作に連動して内部に光が導入される照光板が設けられているヘアードライヤーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヘアドライヤの中には、吹き出し口に吹き出しノズルを取り付けて使用可能なものもある。吹き出しノズルは、種々の形状を有しており、その形状によって、ヘアドライヤから外部へ送出される風を収束させたり、拡散させたりすることができる。このような吹き出しノズルを取り付けた状態でヘアドライヤを使用する場合にも、表示部に表示されている現在の動作状態を使用しながら確認できることが望ましい。
【0005】
そこで、本発明では、吹き出し口に吹き出しノズルが取り付けられたヘアドライヤにおいて、動作状態などの表示をより視認しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面にかかるヘアドライヤの吹き出しノズルは、風の吹き出し経路の下流端に表示部が配置されているドライヤ本体に取り付けられる。この吹き出しノズルは、前記ドライヤ本体の風の吹き出し経路の下流端に取り付けられる取付部と、吹き出し口を有し、前記取付部に対して回動する回動部とを有している。この吹き出しノズルにおいて、前記取付部には、前記ドライヤ本体に取り付けられたときに前記表示部を露出させる切り欠きが設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一局面にかかるヘアドライヤの吹き出しノズルによれば、吹き出し口が配置されている領域に表示部が設けられているヘアドライヤの吹き出し口に取り付けた場合に、表示内容を視認可能な状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態にかかるヘアドライヤの外観構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示すヘアドライヤを異なる方向から見たときの外観構成を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示すヘアドライヤにおいて、ドライヤ本体から吹き出しノズルを取り外した状態で示す斜視図である。
【
図4】
図1に示すヘアドライヤにおいて、ドライヤ本体に吹き出しノズルを取り付ける様子を示す斜視図である。
【
図5】
図1に示すヘアドライヤを構成するドライヤ本体を示す正面図である。
【
図6】
図1に示すヘアドライヤを構成する吹き出しノズルを示す斜視図である。
【
図7】
図6に示す吹き出しノズルを構成する回動部を示す斜視図である。
【
図8】
図6に示す吹き出しノズルを構成する回動部を示す斜視図である。
【
図9】
図6に示す吹き出しノズルを構成する取付部を示す斜視図である。
【
図10】
図6に示す吹き出しノズルを構成する取付部を示す斜視図である。
【
図11】
図1に示すヘアドライヤの吹き出しノズルの回動部の位置を変えた状態を示す斜視図である。
【
図12】
図1に示すヘアドライヤの吹き出しノズルの回動部の位置を変えた状態を示す斜視図である。
【
図13】第2の実施形態にかかるヘアドライヤの外観構成を示す上方斜視図である。
【
図14】
図13に示すヘアドライヤを構成するドライヤ本体の正面部を示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0010】
<第1の実施形態>
本実施形態では、本発明の一実施形態にかかる吹き出しノズル50が取り付けられたヘアドライヤ1を例に挙げて説明する。吹き出しノズル50は、ドライヤ本体10とは別部材であって、ドライヤ本体10から取り外し可能に構成される。言い換えれば、吹き出しノズル50をドライヤ本体10に取り付けた状態で使用可能であり、吹き出しノズル50をドライヤ本体10から取り外した状態でも使用可能である。
【0011】
(ヘアドライヤの全体構成)
先ず、本実施形態にかかるヘアドライヤ1の全体構成について説明する。
図1は、ヘアドライヤ1を下方側から見たときの正面側の斜視図である。
図2には、ヘアドライヤ1を斜め前方側から見たときの斜視図である。
図3は、ヘアドライヤ1を構成するドライヤ本体10から吹き出しノズル50を取り外した状態で示す斜視図である。
図4は、ドライヤ本体10に対して吹き出しノズル50を取り付ける様子を示す斜視図である。
【0012】
本明細書では、ヘアドライヤ1の各構成要素の形状および位置関係などを説明するにあたって、便宜上、ヘアドライヤ1を
図1などに示すようなX(X1-X2)方向(左右方向)、Y(Y1-Y2)方向(上下方向)、Z(Z1-Z2)方向(前後方向)という三方向の座標軸で規定する。
【0013】
ヘアドライヤ1は、主として、ドライヤ本体10と吹き出しノズル50とで構成されている。
図3などに示すように、ドライヤ本体10と吹き出しノズル50とは、着脱可能な構成となっている。吹き出しノズル50は、ドライヤ本体10の吹き出し口12(具体的には、12aおよび12b)が配置されている正面部11aに取り付けられる。
【0014】
(ドライヤ本体の構成)
続いて、ドライヤ本体10のより具体的な構成について
図3から
図5などを参照しながら説明する。
図5には、ドライヤ本体10を正面側(吹き出し口側、Z1側)から見たときの外観を示す。
【0015】
ドライヤ本体10は、主として、本体部11と、把持部20とで構成されている。本体部11は、内部に送風機構および風の吹き出し経路を有しており、吸い込み口23から吸い込んだ空気を吹き出し口12(具体的には、12aおよび12b)から吹き出す。
【0016】
本体部11は、前後方向(Z1-Z2方向)に軸を有する略円柱形の外形形状を有している。本体部11のZ1側は、正面部11a(吹き出し口12aおよび12bの配置面)を構成している。正面部11aには、風の吹き出し口12が配置されている。風の吹き出し口12は、第1の吹き出し口12aと第2の吹き出し口12bという2つの吹き出し口で構成されている。本体部11内における各吹き出し口12aおよび12bの後方側(Z2側)には、風の吹き出し経路および送風機構が設けられている。各吹き出し口12aおよび12bの配置面である正面部11aは、風の吹き出し経路の下流端を構成している。
【0017】
本体部11のZ2側は、背面部11bを構成している。背面部11bには、空気の吸い込み口23が配置されている(
図4参照)。
【0018】
図5に示すように、各吹き出し口12aおよび12bは、本体部11の正面部11aの左右何れかの端部に配置されている。第1の吹き出し口12aは、正面部11aを正面から見て左側(X1側)の端部に沿って上下方向(Y方向)に形成されている。第2の吹き出し口12bは、正面部11aを正面からみて右側(X2側)の端部に沿って上下方向(Y方向)に形成されている。
【0019】
各吹き出し口12aおよび12bは、上下方向(Y方向)に細長い形状(縦長形状)の開口部を有している。より具体的には、第1の吹き出し口12aおよび第2の吹き出し口12bは、略円形状の正面部11aの外周の一部に沿って円弧状に形成されている。第1の吹き出し口12aの開口部と、第2の吹き出し口12bの開口部とは、中央部15を間に挟んで反対側の位置にそれぞれ配置されている。各吹き出し口12aおよび12bの開口部がこのような形状となっていることで、ドライヤ本体10を用いて髪を乾燥させるときに、施術箇所の髪の伸長方向に沿った方向に各開口部の長手方向を合わせることができる。
【0020】
把持部20は、本体部11の下方に位置している。把持部20は、ヘアドライヤ1の使用時に使用者の持ち手となる部分である。把持部20のZ1側は、正面部20aを構成している。把持部20の正面部20aには、操作部40が設けられている。ヘアドライヤ1の使用時に、使用者が操作部40(具体的には、電源スイッチ42)を操作することで、ヘアドライヤ1が動作を開始したり停止したりする。また、操作部40(具体的には、操作ボタン41)が操作されることで、吹き出し口12から吹き出す風の種類(温風/冷風)および風量などが調節される。また、操作部40(具体的には、操作ボタン41)が操作されることで、ヘアドライヤ1の運転モードが切り換えられる。
【0021】
把持部20の下方には、電源コード22が取り付けられている。なお、本発明の別の態様では、ドライヤ本体10はコードレスタイプであってもよい。この場合には、例えば、本体部11または把持部20の内部に一次電池または二次電池が備えられている。
【0022】
図5に示すように、ドライヤ本体10の正面側(Z1側)は、略円形状の正面部11aと、正面部11aよりも幅狭の略長方形状の正面部20aと、正面部11aから正面部20aへ向かって徐々に幅が狭くなる傾斜面20bとで構成される。
【0023】
図2などに示すように、傾斜面20bが配置されている部分のドライヤ本体10の側面は、湾曲形状16aとなっている。また、背面部11bが配置されている部分のドライヤ本体10の側面は、湾曲形状16aと対称の湾曲形状16bとなっている。このような湾曲形状16aおよび16bによってくびれが形成されることで、ドライヤ本体10を持ちやすい形状とすることができる。
【0024】
表示部30および操作部40は何れも、ドライヤ本体10の正面側(Z1側)に配置されている。また、操作部40を構成する複数の操作ボタン41のうちの少なくとも一つは、傾斜面20bに配置されている。
【0025】
図3に示すように、略円形状の正面部11aは、Z1側から見たときに最も左側に位置する左側端部13aと、最も右側に位置する右側端部13bと、最も上方に位置する上端部14aと、最も下方に位置する下端部14bとを有している。
【0026】
図3などに示すように、正面部11aは、湾曲した凹面形状になっている。さらに、この湾曲した凹面形状を有する正面部11aでは、左右方向(X方向)の端部(すなわち、左側端部13aおよび右側端部13b)の方が、上下方向(Y方向)の端部(すなわち、上端部14aおよび下端部14b)よりも、側面視および上面視(または下面視)において前方側(Z1側)に位置している。すなわち、本体部11の上下方向(Y方向)の端部は、本体部11の左右方向(X方向)の端部よりも、風の流れの上流側(Z2側)に凹んでいる。
【0027】
表示部30は、風の吹き出し経路の下流端側(すなわち、正面部11a)に配置されている。表示部30は、正面部11aにおいて各吹き出し口12aおよび12bが設けられている左右方向(X方向)の端部13aおよび13bよりも凹んでいる中央部15の近傍に配置されている。また、表示部30は、正面部11aの上端部14aよりも前方側(Z1側)へ突出していない下端部14b側に配置されている。
【0028】
これにより、例えば
図1に示すように、斜め前方側からドライヤ本体10の正面部11aを使用者が見たときに、表示部30の内容を確認することができる。正面部11aが平坦な形状の場合には、光の反射などの影響で、吹き出し口12aおよび12bの間に位置する表示部30の情報が確認しにくいことがある。これに対して、本実施形態では、湾曲した凹面形状を有している正面部11aの凹みの部分に表示部30が設けられていることで、光の反射の影響が小さくなり、表示部30を確認しやすくすることができる。また、このような構成により、より広範囲の方向から(例えば、傾きの大きな斜め方向から)表示部30を確認することが可能となる。
【0029】
例えば、表示部30は、運転モード表示部31と、温度表示部32とで構成されている。運転モード表示部31は、例えば、通常モード、速乾モード、スタイリングモード、ヘアケアモード(イオン吹き出しモード)などのドライヤ本体10が有している各種運転モードを表示するための表示部である。本実施形態では、運転モード表示部31は、4個のLEDランプ31a~31dで構成されている。
【0030】
図5に示すように、運転モード表示部31を構成する複数のLEDランプ31a・31b・31c・31dは、正面部11aの下方に縦方向(Y方向)に並んで配置されている。より詳しくは、各LEDランプ31a・31b・31c・31dは、正面部11aのほぼ中央を通る中央線を延長した部分に配置されている。ヘアドライヤ1の使用者が、操作部40の操作ボタン41(具体的には、運転モードを切り換えるための操作ボタン41)を操作することによって、ヘアドライヤ1の運転モードが切り換わる。そして、複数のLEDランプ31a・31b・31c・31dのうち、選択された現在の運転モードに該当するLEDランプが点灯する。
【0031】
温度表示部32は、温風/冷風などのように、吹き出し口12から吹き出される風の温度を示すものである。本実施形態では、温度表示部32は、中央部15の外周に環状に設けられている。温度表示部32は、例えば、色によって風の温度を表示している。具体的には、温風が吹き出される場合には、温度表示部32は赤色となり、冷風が吹き出される場合には、温度表示部32は青色となる。なお、本実施形態では、温度表示部32は、中央部15の外周に全体に環状に設けられているが、別の実施形態では、中央部15の外周下半分に半環状に設けられてもよいし、中央部15の外周上半分に半環状に設けられてもよい。
【0032】
この場合、温度表示部32は、赤色のLEDランプ、青色のLEDランプ、および導光部材などで構成される。導光部材は、環状の形状を有しており、中央部15の外周を取り囲むように配置されている。赤色のLEDランプおよび青色のLEDランプは、導光部材の後方側に配置されている。そして、吹き出し口12から温風が吹き出される場合には、赤色のLEDランプが点灯し、赤色光が導光部材によって拡散されて環状に発色する。また、吹き出し口12から冷風が吹き出される場合には、青色のLEDランプが点灯し、青色光が導光部材によって拡散されて環状に発色する。これにより、使用者は、吹き出される風が温風であるか冷風であるかを容易に識別することができる。
【0033】
また、本体部11の正面部11aには、吹き出しノズル50の固定爪54が嵌まり込む嵌め込み部55が設けられている。本実施形態では、4個の嵌め込み部55が設けられている。各嵌め込み部55は、第1の吹き出し口12aおよび第2の吹き出し口12bの各端部に配置されている。
【0034】
操作部40は、複数個の操作ボタン41と、一つの電源スイッチ42とを有している。
【0035】
各操作ボタン41は、本体部11の正面部11aと把持部20の正面部20aとの間の領域(すなわち、傾斜面20b)に配置されている。これにより、使用者は、把持部20を把持している手と同じ手の指(例えば、親指)を使って操作ボタン41の押圧動作を行うことができる。また、各操作ボタン41を傾斜面20bに配置することで、各操作ボタン41の押圧方向を、風の送出方向(すなわち、Z方向)の方向ベクトルとは異ならせることができる。
【0036】
電源スイッチ42は、各操作ボタン41の下方に設けられている。電源スイッチ42は、把持部20の正面部20aに設けられている。電源スイッチ42が操作されることで、ドライヤ本体10の運転が開始したり、停止したりする。なお、電源スイッチ42は、上下方向にスライドするスライドスイッチである。
【0037】
風量表示部43は、電源スイッチ42の下方に設けられている。風量表示部43は、把持部20の正面部20aに設けられている。使用者が操作ボタン41(具体的には、風量を切り換えるための操作ボタン41)を操作することによってドライヤ本体10の風量が変わった場合には、風量表示部43における表示内容が変更される。これにより、使用者は、風量表示部を見ることで、ドライヤ本体10の風量を確認することができる。
【0038】
本実施形態にかかるドライヤ本体10では、表示部30が配置されている側と同じ側に、操作部40が設けられている。これにより、使用者は操作部40を見ながら各操作ボタン41を操作しつつ、同じ側に配置されている表示部30における表示内容も確認することができる。
【0039】
(吹き出しノズルの構成)
続いて、吹き出しノズル50のより具体的な構成について、
図6から
図10を参照しながら説明する。
図6には、吹き出しノズル50の外観構成を示す。
図7および
図8には、それぞれ異なる方向から見たときの回動部62の外観構成を示す。
図9および
図10には、それぞれ異なる方向から見たときの取付部61の外観構成を示す。
【0040】
吹き出しノズル50は、主として、取付部61と、回動部62とで構成される。吹き出しノズル50は、内部に送風路57を有する。送風路は、前方側(Z1側)へ向かって収束するような形状に構成されている。送風路57の先端部(風の送出方向の最下流側)には、吹き出し口51が設けられている。
【0041】
取付部61は、ドライヤ本体10の吹き出し口12(具体的には、12aおよび12b)が配置されている正面部11a(すなわち、ドライヤ本体10の風の吹き出し経路の下流端)に取り付けられる。取付部61は、主として、後方筒状部71と、前方筒状部72とで構成されている。
【0042】
後方筒状部71は、背面部73、第1の切り欠き52、第2の切り欠き53、複数の固定爪54、および送風路57などを有している。背面部73は、ドライヤ本体10に取り付けられたときに、ドライヤ本体10の正面部11aの中央部15およびその周辺を覆うような構成となっている。背面部73の左右両側には送風路57が形成されている。各送風路57は、ドライヤ本体10に取り付けられたときに、ドライヤ本体10の第1の吹き出し口12aおよび第2の吹き出し口12bに対応する位置に設けられている。
【0043】
固定爪54は、ドライヤ本体10の正面部11aに形成されている嵌め込み部55に対応する位置に設けられている。本実施形態では、嵌め込み部55の個数に合わせて、4個の固定爪54が形成されている。各固定爪54は、後方側(Z2側)へ突出した形状となっており、ドライヤ本体10の嵌め込み部55に対してZ2方向に差し込まれる(
図4参照)。これにより、取付部61は、ドライヤ本体10に対して固定された状態で取り付けられる。すなわち、回動部62を回動させたときに、取付部61は回動することなく、位置が変更されない。
【0044】
第1の切り欠き52は、後方筒状部71の下方部分を切欠くように形成されている。第2の切り欠き53は、後方筒状部71の上方部分を切欠くように形成されている。これらの切り欠き52および53は、吹き出しノズル50がドライヤ本体10に取り付けられたときにドライヤ本体10の表示部30を露出させるような構成となっている。具体的には、
図1に示すように、吹き出しノズル50をドライヤ本体10に取り付けた状態で、ヘアドライヤ1を正面側(Z1側)下方から見たときに、ドライヤ本体10に設けられた表示部30の少なくとも一部が第1の切り欠き52から視認可能となっている。
【0045】
また、本実施形態では、温度表示部32は、中央部15の外周に全体に環状に設けられているため、ヘアドライヤ1を正面側(Z1側)上方から見たとき、温度表示部32の一部を、第2の切り欠き53からも視認可能となっている。
【0046】
このようにすることで、鏡を見ながらヘアドライヤ1から頭の上部に風を送る際に、ヘアドライヤ1を頭部の上方に持ち上げドライヤ本体1のZ方向を垂直に近い状態で使用すると、温度表示部32が鏡に映りやすくなる。よって、鏡を見ながらヘアドライヤ1を使用する際に、鏡に映った温度表示部32を確認できるので便利である。
【0047】
なお、表示部30がドライヤ本体10の正面部11aの下方部分に配置されている場合、第2の切り欠き53は設けられていなくてもよい。
【0048】
回動部62は、取付部61に対して回動可能に構成されている。回動部62は、内部に送風路57を有しており、送風路57の最下流側に吹き出し口51を有している。回動部62は、後方筒状部81と、前方収束部82とを有している。
【0049】
後方筒状部81は、取付部61の前方筒状部72を覆うように配置される。後方筒状部81の内部には、取付部61の前方筒状部72の外周面に対して摺動する摺動突起83・83が形成されている。
【0050】
前方収束部82は、先端へ向かって先細りの形状を有している。前方収束部82の内部には、取付部61の送風路57と連通する送風路57が形成されている。前方収束部82の先端(Z1側)には、細長い形状の吹き出し口51が形成されている。吹き出しノズル50がこのような形状の吹き出し口51を有していることで、ドライヤ本体10から吹き出された風を所定の方向に一つに収束した状態で施術箇所(毛髪など)へ吹き出すことができる。
【0051】
(吹き出しノズルのドライヤ本体への取り付けについて)
続いて、吹き出しノズル50をドライヤ本体10に取り付ける方法、および吹き出しノズル50が取り付けられた状態のヘアドライヤ1の構成(特に、正面部分の構成)について説明する。
【0052】
ドライヤ本体10に吹き出しノズル50を取り付ける際には、ドライヤ本体10と吹き出しノズル50とを、前後方向(Z方向、例えば
図4に示す矢印方向)に相対的に移動させて、嵌め込み部55に対して固定爪54を嵌め込む。これにより、吹き出しノズル50の取付部61は、ドライヤ本体10に対して固定される。
【0053】
一方、吹き出しノズル50の回動部62は、取付部61に対して回動するような構成となっているため、取付部61がドライヤ本体10に対して固定された状態であっても、回動部62は回動可能となっている。また、回動部62を回動させても、固定爪54が嵌め込み部55に嵌め込まれているため、取付部61は回動しない。
【0054】
図11および
図12には、吹き出しノズル50の回動部62の位置を異ならせた状態のヘアドライヤ1の前面側の構成を示す。これらの図に示すように、回動部62は、図中矢印で示す方向に回動して位置を変えることができる。そのため、ヘアドライヤ1の使用者は、施術箇所に対するヘアドライヤ1の向きなどに応じて吹き出し口51の向きが適切な状態となるように、適宜回動部62を動かすことができる。
【0055】
なお、
図1、
図11、および
図12に示すように、回動部62の位置がそれぞれ異なっている場合であっても、取付部61に設けられている第1の切り欠き52の位置は変わらない。そのため、使用者は、ヘアドライヤ1の使用中に回動部62がどの位置にあっても、第1の切り欠き52から表示部30の表示内容を確認することができる。そして、使用者は、ヘアドライヤ1の正面側に位置する操作部40を前方斜め下方から見ながら各操作ボタン41を操作しつつ、同じ側に配置されている表示部30における表示内容を確認することができる。
【0056】
これにより、使用者は、運転モード表示部31を構成する複数のLEDランプ31a・31b・31c・31dのうちのどのLEDランプが点灯しているかを確認することできる。したがって、使用者は、操作ボタン41を操作したときに、どの運転モードに移行したかを即座に知ることができる。
【0057】
また、本実施形態では、中央部15の周囲に環状に設けられている温度表示部32の一部を、第1の切り欠き52から視認できるように構成されている。これにより、ヘアドライヤ1の使用者は、吹き出される風が温風であるか冷風であるかを容易に識別することができる。
【0058】
なお、本実施形態では、表示部30は、ドライヤ本体10の正面部11aの下方(すなわち、把持部20に近い側)に設けられている。そして、吹き出しノズル50をドライヤ本体10に取り付ける際には、この表示部30の表示内容が露出するように、第1の切り欠き52がドライヤ本体10の把持部20側(Y2側)に位置するようにドライヤ本体10に取り付けられる。これにより、吹き出しノズル50がドライヤ本体10に取り付けられた状態であっても、吹き出しノズル50の先端部分によって視界が遮られることなく、操作部40と表示部30とを同じ側(すなわち、前方斜め下方側)から見ることができる。
【0059】
また、使用者が表示部30の情報を直接見ながら操作部40を操作する場合、操作部40側を使用者側に向けて操作するため、吹き出し口12は上方を向くことになる。すなわち、操作時に吹き出し口12が下方を向くことがない。よって、洗面台などの鏡の前でヘアドライヤ1を使用する際に、洗面台に置かれているものをヘアドライヤ1からの風で吹き飛ばす可能性を低減できる。
【0060】
また、正面部11aは、
図3などに示すように上下方向に伸びる凹部を有している。そのため、使用者が表示部30の情報を直接見ながら操作部40を操作する場合、表示部30をヘアドライヤ1の斜め下方側から視認することができる。すなわち、ヘアドライヤ1の吹き出し口12を顔の正面からずらした状態で操作部40を操作することができる。よって、顔に温風を当てることなく、表示部30を確認できるようになる。なお、ドライヤ本体10に吹き出しノズル50を取り付けた状態でも、
図1に示すように、表示部30をヘアドライヤ1の斜め下方側から視認することができる。
【0061】
(第1の実施形態のまとめ)
本実施形態にかかるヘアドライヤ1は、ドライヤ本体10と吹き出しノズル50とを有している。ドライヤ本体10には、風の吹き出し経路の下流端(Z1側)に表示部30が配置されている。吹き出しノズル50は、ドライヤ本体10に取り付けられる。吹き出しノズル50は、取付部61と、吹き出し口51を有する回動部62とを有している。取付部61は、ドライヤ本体10の風の吹き出し経路の下流端に取り付けられる。回動部62は、取付部61に対して回動する。取付部61には、ドライヤ本体10の表示部30の配置位置と対応する位置に第1の切り欠き52が設けられており、ドライヤ本体10に取り付けられたときに表示部30を露出させることができる。
【0062】
この構成によれば、ドライヤ本体10の風の吹き出し部分に吹き出しノズル50が取り付けられたヘアドライヤ1において、現在の運転モード、風量、風の温度などといった動作状態に関する表示をより視認しやすくすることができる。
【0063】
<第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。上述の第1の実施形態では、ドライヤ本体10の正面部11aの下方に表示部が配置されている例について説明した。しかし、表示部の配置位置はこれに限定されない。第2の実施形態では、ドライヤ本体10の正面部11aの上方に表示部が配置されている構成を例に挙げて説明する。それ以外の構成については、第1の実施形態とほぼ同様の構成を適用することができる。そこで、以下では、第1の実施形態とは異なる構成を中心に説明する。
【0064】
図13には、第2の実施形態にかかるヘアドライヤ101を示す。ヘアドライヤ101は、主として、ドライヤ本体110と吹き出しノズル150とで構成されている。ドライヤ本体110と吹き出しノズル150とは、取り外し可能な構成となっている。第1の実施形態と同様に、吹き出しノズル150は、ドライヤ本体10の吹き出し口12(具体的には、12aおよび12b)が配置されている正面部11aに取り付けられる。
【0065】
図14には、ドライヤ本体110の正面部11aの構成を模式的に示す。正面部11aの左右両側の端部には、吹き出し口12aおよび12bが配置されている。
図14では、吹き出し口12aおよび12bの配置領域に沿って各吹き出し口12aおよび12bの端部同士を結ぶ仮想延長線を破線で示す。表示部130は、この破線で囲まれた領域内に配置されている。第1の実施形態では、表示部30は、正面部11aの下方に配置されているが、本実施形態では、表示部130は、正面部11aの上方に配置されている。
【0066】
表示部130は、例えば、2個のLEDランプ131・131で構成されている。但し、表示部130の構成はこれに限定はされない。
【0067】
第1の実施形態と同様に、吹き出しノズル150は、主として、取付部61と、回動部62とで構成される。取付部61および回動部62は、第1の実施形態と同様の構成を適用することができる。但し、取付部61には、切り欠き153が1つだけ形成されている。切り欠き153は、第1の実施形態で説明した第2の切り欠き53と同様に、後方筒状部71の上方部分を切欠くように形成されている。
【0068】
切り欠き153は、吹き出しノズル150がドライヤ本体110に取り付けられたときにドライヤ本体110の表示部130を露出させるような構成となっている。具体的には、
図13に示すように、吹き出しノズル150をドライヤ本体110に取り付けた状態で、ヘアドライヤ101を正面側の上方から見たときに、ドライヤ本体110に設けられた表示部130のLEDランプ131が切り欠き153から視認可能となっている。
【0069】
このようにすることで、鏡を見ながらヘアドライヤ101から頭の上部に風を送る際に、ヘアドライヤ101を頭部の上方に持ち上げドライヤ本体110のZ方向を垂直に近い状態で使用すると、表示部130が鏡に映りやすくなる。よって、鏡を見ながらヘアドライヤ101を使用する際に、鏡に映った表示部130を確認できるので便利である。
【0070】
以上のように、吹き出しノズルに設けられている切り欠きは、ドライヤ本体に吹き出しノズルを取り付けたときに、ドライヤ本体の正面部に設けられている表示部を露出させるような位置に形成されていればよい。
【0071】
<第3の実施形態>
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。上述の第1および第2の実施形態では、ドライヤ本体10の正面部11aの下方または上方に表示部が配置されている例について説明した。しかし、表示部の配置位置はこれに限定されない。
【0072】
別の例では、正面部11aの左右何れか、あるいは、左右両側に表示部を配置することもできる。この場合、ドライヤ本体に取り付けられる吹き出しノズルには、第1および第2の実施形態とは異なる位置に切り欠きが設けられる。すなわち、第3の実施形態にかかる吹き出しノズルには、ドライヤ本体に取り付けられたときに表示部を露出させることができるように、取付部の左右何れか、あるいは、左右両側に切り欠きが設けられている。
【0073】
上記以外の構成については、第1および第2の実施形態と同様の構成を適用することができる。
【0074】
(まとめ)
本発明の一局面は、ヘアドライヤの吹き出しノズル(例えば、吹き出しノズル50,150)に関する。この吹き出しノズルは、風の吹き出し経路の下流端に表示部(例えば、表示部30,130)が配置されているドライヤ本体(例えば、ドライヤ本体10,110)に取り付けられる。この吹き出しノズルは、前記ドライヤ本体の風の吹き出し経路の下流端に取り付けられる取付部(例えば、取付部61)と、吹き出し口(例えば、吹き出し口51)を有し、前記取付部に対して回動する回動部(例えば、回動部62)とを有している。前記取付部には、前記ドライヤ本体に取り付けられたときに前記表示部を露出させる切り欠き(例えば、第1の切り欠き52、切り欠き153)が設けられている。
【0075】
上記の本発明の一局面にかかるヘアドライヤの吹き出しノズル(例えば、吹き出しノズル50,150)において、前記取付部(例えば、取付部61)は、前記ドライヤ本体(例えば、ドライヤ本体10,110)に対して固定された状態で取り付けられてもよい。すなわち、吹き出しノズルの取付部およびドライヤ本体には、互いを固定するための接合部が設けられていてもよい。この接合部としては、例えば、上述の第1の実施形態で説明したような嵌め込み部55および固定爪54が挙げられる。また、別の例では、接合部は磁石であってもよい。
【0076】
上記の本発明の一局面にかかるヘアドライヤの吹き出しノズル(例えば、吹き出しノズル50)は、前記切り欠き(例えば、第1の切り欠き52)が前記ドライヤ本体(例えば、ドライヤ本体10)の把持部側(例えば、把持部20が位置するY2側)に位置するように、前記ドライヤ本体に取り付けられてもよい。この構成によれば、把持部に操作部が配置されている構成において、操作部と切り欠きから露出する表示部とが近接するため、操作部と表示部とを使用者の視界に同時に入れることができる。
【0077】
上記の本発明の一局面にかかるヘアドライヤの吹き出しノズル(例えば、吹き出しノズル50)において、前記表示部(例えば、表示部30)には、風の温度を表す温度表示部(例えば、温度表示部32)が含まれており、前記吹き出しノズルが前記ドライヤ本体(例えば、ドライヤ本体10)に取り付けられたときに、前記温度表示部(例えば、温度表示部32)が視認可能な構成となっていてもよい。
【0078】
本発明のもう一つの局面は、ヘアドライヤに関する。このヘアドライヤは、上記の何れかの構成の吹き出しノズルと、ドライヤ本体とを有している。
【0079】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1 :ヘアドライヤ
10 :ドライヤ本体
11 :本体部
11a :正面部(風の吹き出し経路の下流端側の本体部の表面)
11b :背面部
12a :第1の吹き出し口
12b :第2の吹き出し口
15 :中央部
16a :湾曲形状
16b :湾曲形状
20 :把持部
20a :(把持部の)正面部
20b :傾斜面
23 :吸い込み口
30 :表示部
31 :運転モード表示部
32 :温度表示部
40 :操作部
41 :操作ボタン
42 :電源スイッチ
43 :風量表示部
50 :吹き出しノズル
51 :吹き出し口
52 :第1の切り欠き(切り欠き)
61 :取付部
62 :回動部
101 :ヘアドライヤ
110 :ドライヤ本体
130 :表示部
150 :吹き出しノズル
153 :切り欠き