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特許7326128制御装置、動物用トイレ、電子機器、制御装置の制御方法および制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】制御装置、動物用トイレ、電子機器、制御装置の制御方法および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/01 20060101AFI20230807BHJP
【FI】
A01K1/01 801G
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019210498
(22)【出願日】2019-11-21
(65)【公開番号】P2021078456
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】堀田 康治
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-153420(JP,A)
【文献】特開2019-195325(JP,A)
【文献】国際公開第2018/092389(WO,A1)
【文献】特開2019-071894(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0299731(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/00 - 3/00
31/00 -31/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器を制御する制御装置であって、
動物の体重と、所定のタイミングから現在までに上記動物が排泄した排泄物の総量とを取得する取得部と、
上記体重と上記総量とに基づき、上記動物の発病の危険性を評価するための評価値を算出する評価値算出部と、
上記評価値が、上記体重に応じた閾値を超えるか否かを判定する判定部と、を備えており、
上記評価値算出部は、上記総量を上記体重で除算することにより上記評価値を算出し、
上記閾値は、上記体重の値が大きくなるほど小さくなることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
上記体重を変数とした関数により上記閾値を算出する閾値算出部をさらに備えることを特徴とする、請求項に記載の制御装置。
【請求項3】
上記評価値が、上記閾値を超えると判定された場合、その旨をユーザに通知する通知部をさらに備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
上記取得部は、上記総量として、上記動物が排泄した尿の総重量を取得することを特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
動物の体重を測定する体重測定装置と、所定のタイミングから現在までに上記動物が排泄した排泄物の総量を測定する排泄物量測定装置と、少なくとも1つの制御装置とを備える、動物用トイレであって、
上記制御装置は、
上記体重と、上記総量とを取得する取得処理と、
上記総量に少なくとも基づき、上記動物の発病の危険性を評価するための評価値を算出する評価値算出処理と、
上記評価値が、上記体重に応じた閾値を超えるか否かを判定する判定処理と、を行い、
上記制御装置は、上記評価値算出処理において、上記総量を上記体重で除算することにより上記評価値を算出し、
上記閾値は、上記体重の値が大きくなるほど小さくなることを特徴とする動物用トイレ。
【請求項6】
動物の体重を測定する体重測定装置と、所定のタイミングから現在までに上記動物が排泄した排泄物の総量を測定する排泄物量測定装置とを備える動物用トイレと通信可能に接続され、少なくとも1つの制御装置を備える電子機器であって、
上記制御装置は、
上記体重と、上記総量とを上記動物用トイレから取得する取得処理と、
上記総量に少なくとも基づき、上記動物の発病の危険性を評価するための評価値を算出する評価値算出処理と、
上記評価値が、上記体重に応じた閾値を超えるか否かを判定する判定処理と、を行い、
上記制御装置は、上記評価値算出処理において、上記総量を上記体重で除算することにより上記評価値を算出し、
上記閾値は、上記体重の値が大きくなるほど小さくなることを特徴とする電子機器。
【請求項7】
動物の体重と、所定のタイミングから現在までに動物が排泄した排泄物の総量とを取得する取得ステップと、
上記総量に少なくとも基づき、上記動物の発病の危険性を評価するための評価値を算出する評価値算出ステップと、
上記評価値が、上記体重に応じた閾値を超えるか否かを判定する判定ステップと、を含んでおり、
上記評価値算出ステップでは、上記総量を上記体重で除算することにより上記評価値を算出し、
上記閾値は、上記体重の値が大きくなるほど小さくなることを特徴とする制御装置の制御方法。
【請求項8】
請求項1に記載の制御装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、上記取得部、上記評価値算出部および上記判定部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物が排泄した排泄物の量に少なくとも基づく評価値が閾値を超えるか否かを判定する制御装置などに関する。
【背景技術】
【0002】
動物の健康管理において、排泄物の量を計測することは各種疾患の早期発見に有効である。下記の特許文献1には、排尿量を測定対象者の体重で除算した値を、閾値と比較することにより、測定対象者の健康状態を判定する技術が開示されている。
【0003】
また、猫の腎臓系疾患の兆候である多尿を判定するために、猫の1日の排尿量(g)を、当該猫の体重(kg)で除算した値(評価値)が、一定の閾値(例えば、50g)を超えるか否かを判定する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2018/092389号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した多尿の判定のための従来技術は、体重の重い猫の場合、多尿と判断され難いという問題がある。閾値が一定であるため、評価値が閾値を超えるためには、体重に比例した排尿量が必要となる。例えば、猫Aの2倍の体重である猫Bが多尿と判断されるためには、猫Aの2倍の排尿量が必要となる。しかしながら、体重が2倍になったとしても飲水量は2倍になるわけではなく、実際には2倍より少ない量となるため、猫Bの排尿量は猫Aの2倍より少なくなる。これにより、従来技術では、体重の重い猫が多尿と判断され難く、結果として、腎臓系疾患の早期発見ができないおそれがある。
【0006】
本発明の一態様は、排泄物の量の異常という兆候がある動物の疾患について、動物の体重に依らず、当該異常を早期発見することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る制御装置は、電子機器を制御する制御装置であって、動物の体重と、所定のタイミングから現在までに上記動物が排泄した排泄物の総量とを取得する取得部と、上記総量に少なくとも基づき、上記動物の発病の危険性を評価するための評価値を算出する評価値算出部と、上記評価値が、上記体重に応じた閾値を超えるか否かを判定する判定部と、を備える構成である。
【0008】
また、上記の課題を解決するために、本発明に係る動物用トイレは、動物の体重を測定する体重測定装置と、所定のタイミングから現在までに上記動物が排泄した排泄物の総量を測定する排泄物量測定装置と、少なくとも1つの制御装置とを備える、動物用トイレであって、上記制御装置は、上記体重と、上記総量とを取得する取得処理と、上記総量に少なくとも基づき、上記動物の発病の危険性を評価するための評価値を算出する評価値算出処理と、上記評価値が、上記体重に応じた閾値を超えるか否かを判定する判定処理と、を行う構成である。
【0009】
また、上記の課題を解決するために、本発明に係る電子機器は、動物の体重を測定する体重測定装置と、所定のタイミングから現在までに上記動物が排泄した排泄物の総量を測定する排泄物量測定装置とを備える動物用トイレと通信可能に接続され、少なくとも1つの制御装置を備える電子機器であって、上記制御装置は、上記体重と、上記総量とを上記動物用トイレから取得する取得処理と、上記総量に少なくとも基づき、上記動物の発病の危険性を評価するための評価値を算出する評価値算出処理と、上記評価値が、上記体重に応じた閾値を超えるか否かを判定する判定処理と、を行う構成である。
【0010】
また、上記の課題を解決するために、本発明に係る制御装置の制御方法は、動物の体重と、所定のタイミングから現在までに動物が排泄した排泄物の総量とを取得する取得ステップと、上記総量に少なくとも基づき、上記動物の発病の危険性を評価するための評価値を算出する評価値算出ステップと、上記評価値が、上記体重に応じた閾値を超えるか否かを判定する判定ステップと、を含む方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、排泄物の量の異常という兆候がある動物の疾患について、動物の体重に依らず、当該異常を早期発見することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1に係るペット用トイレの要部構成の一例を示すブロック図である。
図2図1に示すペット用トイレの外観構成の一例を示す斜視図である。
図3図1に示すペット用トイレの外観構成の一例を示す分解斜視図である。
図4図1に示すペット用トイレの外観構成の一例を示す断面図である。
図5】閾値テーブルの一具体例を示す図である。
図6図1に示す制御装置が実行する警告処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】実施形態2に係るペット用トイレの要部構成の一例を示すブロック図である。
図8図7に示す制御装置が実行する警告処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】実施形態3に係るペット用トイレの要部構成の一例を示すブロック図である。
図10】報知画像の一具体例を示す図である。
図11図10に示す制御装置が実行する警告処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図12】実施形態3に係るペット用トイレおよびスマートフォンの要部構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施形態1〕
(ペット用トイレ1Aの概要)
図1は、本実施形態に係るペット用トイレ1A(動物用トイレ)の要部構成の一例を示すブロック図である。ペット用トイレ1Aは、例えばペットの体重を測ると共に、ペットの排泄物である尿の重量を測る機能を備えたペット用のトイレとなっている。ペットとしては、例えば、家庭で飼われる動物であり、本実施形態では、当該ペットとして猫を例に挙げて説明するが、当該ペットは、猫以外の動物であってもよい。また、本実施形態では、上記排泄物として尿を例に挙げて説明するが、当該排泄物は、尿以外の動物の体から排泄される物質であってもよい。当該物質としては、例えば、糞便、吐瀉物、汗などが挙げられる。
【0014】
(ペット用トイレ1Aの外観構成)
図2は、ペット用トイレ1Aの外観構成の一例を示す斜視図である。図3は、ペット用トイレ1Aの外観構成の一例を示す分解斜視図である。図4は、ペット用トイレ1Aの外観構成の一例を示す断面図である。
【0015】
本実施の形態のペット用トイレ1Aは、図2図4に示すように、本体容器11、計測台12、排泄トレイ13、消耗品としての尿シート14、支持板15、体重計2(体重測定装置)、排泄物重量計3(排泄物量測定装置)、制御装置20A及び図示しないカバーを備えている。
【0016】
本体容器11は、中央部に開口11aを有すると共に、計測台12を支持する。計測台12は、ペットがそこに乗り、排泄する台である。計測台12の底面は開口12aを有している。開口12aにはメッシュ12bが設けられており、このメッシュ12bの上には、例えば猫砂等を敷くことも可能となっている。メッシュ12bは、本実施の形態では、尿等の液体は通過させるが、糞及びペットが持ってきた物体(おもちゃ)等は通過させない。メッシュ12bは、液体透過性の布又は薄膜等により形成されてもよい。また、計測台12の底面に形成される開口12aは、メッシュ12bに代えて、排泄物が通過する複数のスリットであってもよい。
【0017】
計測台12は、本実施の形態では凹型の容器のような形状であるが、計測台12の形状は任意であり、体重の計測のためにペットを乗せることができればよい。
【0018】
排泄トレイ13は、計測台12の開口12aと本体容器11の開口11aとの間に配置されて、排泄物を受ける部材である。排泄トレイ13は、本体容器11の側面に形成された側面穴11bから挿入及び抜き取り可能となっている。すなわち、ペットが計測台12で排尿すると、尿は、メッシュ12bが設けられた開口12aを通して、排泄トレイ13の底板13aに敷かれた尿シート14の上に落ちるようになっている。
【0019】
尿シート14は、尿等の液体を吸収する成分を含有するシートである。排尿された尿シート14は、排泄トレイ13を本体容器11から抜き出すことにより、容易に新品のものと交換可能となっている。
【0020】
支持板15は、体重計2、並びに排泄物重量計3及び制御装置20Aを支持する台板である。
【0021】
体重計2は、本実施形態では、本体容器11の例えば長方形の底部の4隅を支持するようにして4か所に設けられている。体重計2は、図示しないロードセルを備えており、ロードセルにて計測台12を含む本体容器11とペットとの合計の重量を計測する。この結果、これら合計の重量から計測台12を含む本体容器11の重量を風袋として差し引くことによって、ペットの体重を測定することができる。なお、本実施形態では、体重計2は4個設けられているので、ペットの体重は、体重計2での測定値の概ね4倍となる。
【0022】
排泄物重量計3は、ペットの排泄物である尿の重量を図示しないロードセルにて測定するものである。本実施形態では、排泄物重量計3は、長方形の支持板15の中央に設けられている。そして、排泄物重量計3の上面は、排泄トレイ13の底板13aに接触しており、これによって、尿シート14が敷かれた排泄トレイ13を一点支持している。すなわち、排泄トレイ13は、本体容器11に挿入したときには、排泄物重量計3の上面にのみ接触し、本体容器11には接触しない状態となっている。このため、排泄物重量計3は、尿シート14が敷かれた排泄トレイ13、又は排尿後の尿シート14が敷かれた排泄トレイ13の重量を測定可能となっている。この結果、排泄物重量計3の計量値から、排泄前の尿シート14の重量と排泄トレイ13の重量値との合計値を風袋として差し引くことにより、ペットの排泄物である尿の重量を測定することができる。すなわち、尿シート14に吸収された排泄物の重量を特定することができる。当該排泄物の重量は、すなわち、所定のタイミングから現在までにペットが排泄した排泄物の総量(総重量)である。なお、所定のタイミングとは、尿シート14が交換されたタイミングである。
【0023】
制御装置20Aは、本実施形態では、例えば、排泄物重量計3の下側に設けられている。つまり、制御装置20Aの上に排泄物重量計3が積層されている。ただし、必ずしもこれに限らず、制御装置20Aを別の位置に設けることが可能である。
【0024】
なお、本実施形態では、体重計2及び排泄物重量計3は、荷重センサとしての図示しないロードセルを含んでいる。ロードセルは、歪による抵抗値変化を電圧変化として検出するものである。ただし、本発明の一態様においでは、体重計2及び排泄物重量計3は、必ずしもロードセルに限らず、例えば電磁力平衡方式の重量計を使用することが可能である。電磁力平衡方式の重量計は、電磁力で天秤を釣り合わせ、そのときの電流を検出するものである。
【0025】
(制御系の構成)
ペット用トイレ1Aは、図1に示すように、体重計2、排泄物重量計3、記憶部4A、報知部5および制御装置20Aを備えている。
【0026】
体重計2は、計測台12を含む本体容器11とペットとの合計の重量を計測して、制御装置20Aに出力する。一例として、体重計2は、ペットが本体容器11内に入ったことによる荷重の変化をロードセルにより検知したとき、計測した重量を制御装置20Aに出力する。排泄物重量計3は、排尿後の尿シート14が敷かれた排泄トレイ13の重量を計測して、制御装置20Aに出力する。一例として、排泄物重量計3は、ペットが排泄したことによる荷重の変化をロードセルにより検知したとき、計測した重量を制御装置20Aに出力する。
【0027】
記憶部4Aは、制御装置20Aが使用するプログラムおよびデータを永続的に保持するハードウェアであり、ストレージと表現することもできる。記憶部4Aは、図1に示すように、閾値テーブル41を記憶している。閾値テーブル41の詳細については後述する。
【0028】
報知部5は、ユーザに対する出力を行うことにより、ユーザへの通知を行う。報知部5は、一例として、画像を表示する表示部、音声を出力する音声出力部、点灯および点滅の少なくとも一方を行う点灯部の少なくともいずれかであってもよいが、この例に限定されない。
【0029】
制御装置20Aは、ハードウェア構成の一例として、プロセッサおよびメモリ(ともに不図示)を備えている。一例として、プロセッサは、記憶部4Aにアクセスし、記憶部4Aに格納されているプログラム(不図示)をメモリにロードし、当該プログラムに含まれる一連の命令を実行する。これにより、制御装置20Aに含まれている各部が構成される。
【0030】
当該各部として、制御装置20Aは、重量取得部21A(取得部)、評価値算出部22、閾値決定部23A、判定部24および報知制御部25A(通知部)を含んでいる。
【0031】
重量取得部21Aは、体重計2による計量値を取得する。当該計量値は、計測台12を含む本体容器11とペットとの合計値である。そこで、重量取得部21Aは、当該計量値から本体容器11の重量を減算する。本体容器11の重量は、例えば、記憶部4Aに予め格納しておけばよい。これにより、重量取得部21Aは、ペットの体重の値を取得することができる。重量取得部21Aは、取得した体重を評価値算出部22および閾値決定部23Aへ出力する。
【0032】
また、重量取得部21Aは、排泄物重量計3による計量値を取得する。当該計量値は、排泄トレイ13の重量と吸収した尿を含む尿シート14の重量との合計値である。そこで、重量取得部21Aは、当該計量値から排泄トレイ13および尿シート14の重量を減算する。これらの重量は、例えば、記憶部4Aに予め格納しておけばよい。これにより、重量取得部21Aは、尿シート14が吸収した尿の重量(以下、「尿重量」)を取得することができる。尿重量は、すなわち、尿シート14が交換されてから現在までにペットが排泄した尿の総重量である。重量取得部21Aは、取得した尿重量を評価値算出部22へ出力する。
【0033】
評価値算出部22は、尿重量に少なくとも基づき、ペットの発病の危険性を評価するための評価値を算出する。本実施形態に係る評価値算出部22は、猫の腎臓系疾患の発病の危険性を評価するための評価値を算出する。より具体的には、当該評価値は、猫が多尿であるか否かを判定する値である。
【0034】
具体的には、評価値算出部22は、ペットの体重と尿重量とに基づき評価値を算出する。一例として、評価値算出部22は、尿重量をペットの体重で除算することにより評価値を算出する。例えば、尿重量が60gであり、ペットの体重が3kgである場合、評価値は60/3=20となる。評価値算出部22は、算出した評価値を閾値決定部23Aおよび判定部24へ出力する。
【0035】
閾値決定部23Aは、評価値と比較するための閾値を決定する。具体的には、閾値決定部23Aは、複数の閾値の候補から、取得したペットの体重に応じた閾値を決定する。一例として、閾値決定部23Aは、取得したペットの体重と、閾値テーブル41とに基づき、閾値を決定する。
【0036】
図5は、閾値テーブル41の一具体例を示す図である。閾値テーブル41は、複数の数値範囲の各々に、閾値を示す数値を対応付けて格納しているテーブルである。「体重(kg)」のカラムには、上記複数の数値範囲が格納されており、「閾値」のカラムには上記閾値を示す数値が格納されている。すなわち、閾値決定部23Aは、閾値テーブル41を参照し、ペットの体重がいずれの数値範囲に含まれるかを特定することにより、対応する閾値を決定する。
【0037】
図5に示すように、「閾値」のカラムに格納された各数値は、ペットの体重が重くなるほど小さくなるように設定されている。換言すれば、閾値テーブル41に格納された閾値は、ペットの体重に応じて重み付けされていると表現することもできる。
【0038】
閾値決定部23Aは、取得した体重が、上記複数の数値範囲のいずれに含まれるかを特定する。続いて、閾値決定部23Aは、特定した数値範囲に対応付けられている数値を特定する。これにより、閾値決定部23Aは、評価値と比較するための閾値を決定する。閾値決定部23Aは、決定した閾値を判定部24へ出力する。
【0039】
閾値決定部23Aは、例えば、取得した体重が3kgである場合、閾値テーブル41から「3.0~3.4」という数値範囲を特定する。そして、閾値決定部23Aは、当該数値範囲に対応付けられている「50」という数値を閾値として決定し、判定部24へ出力する。
【0040】
判定部24は、取得した評価値が、取得した閾値、すなわちペットの体重に応じた閾値を超えるか否かを判定する。判定部24は、評価値が閾値を超えると判定した場合、その旨を報知制御部25Aへ通知する。一方、判定部24は、評価値が閾値を超えない、すなわち閾値以下であると判定した場合、上記通知を行わない。
【0041】
報知制御部25Aは、評価値が閾値を超えると判定された場合、その旨をユーザに通知する。具体的には、報知制御部25Aは、判定部24からの通知を受けると、報知部5を制御して、評価値が閾値を超えたことの警告の出力を行わせる。
【0042】
(警告処理の流れ)
図6は、制御装置20Aが実行する警告処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0043】
重量取得部21Aは、体重および尿重量を、それぞれ、体重計2および排泄物重量計3から取得する(ステップS1、取得処理、取得ステップ、以下、「ステップ」を省略)と、取得した体重および尿重量を評価値算出部22へ出力する。また、重量取得部21Aは、取得した体重を閾値決定部23Aへ出力する。
【0044】
評価値算出部22は、取得した体重および尿重量から評価値を算出する(S2、評価値算出処理、評価値算出ステップ)。評価値算出部22は、算出した評価値を判定部24へ出力する。
【0045】
閾値決定部23Aは、取得した体重に対応する閾値を決定する(S3)。閾値決定部23Aは、決定した閾値を判定部24へ出力する。
【0046】
判定部24は、取得した評価値と閾値とを比較して、評価値が閾値を超えるか否かを判定する(S4、判定処理、判定ステップ)。評価値が閾値を超えると判定した場合(S4でYES)、判定部24はその旨を報知制御部25Aへ通知する。
【0047】
報知制御部25Aは、判定部24からの通知を受けると、報知部5を制御してユーザへの警告を出力させる(S5)。警告の態様は特に限定されない。例えば、報知制御部25Aは、表示部に警告画像を表示させてもよいし、音声出力部に警告の音声(アラーム)を出力させてもよいし、点灯部を点灯(または点滅)させてもよい。以上で、警告処理は終了する。
【0048】
判定部24は、評価値が閾値を超えないと判定した場合(S4でNO)、報知制御部25Aへの通知を行わない。換言すれば、S4でNOの場合、S5の処理は実行されず、警告処理は終了する。
【0049】
(効果)
以上のように、制御装置20Aは、ペットの体重と、所定のタイミングから現在までにペットが排泄した排泄物の総量とを取得する重量取得部21Aを備える。また、制御装置20Aは、上記体重と上記総量とに基づき、ペットの発病の危険性を評価するための評価値を算出する評価値算出部22を備える。また、制御装置20Aは、評価値が、ペットの体重に応じた閾値を超えるか否かを判定する閾値決定部23Aを備える。
【0050】
また、評価値算出部22は、排泄物の総量をペットの体重で除算することにより評価値を算出する。そして、上記閾値は、ペットの体重の値が大きくなるほど小さくなる。
【0051】
上記の構成によれば、排泄物の量の異常という兆候があるペットの疾患について、ペットの体重がどのようなものであったとしても、排泄物の量の異常を早期発見することができる。
【0052】
例えば、猫の腎臓系疾患においては、多尿という兆候があり、この兆候は、総排尿量を猫の体重で除算した値(評価値)が、特定の閾値を超えるか否かで判定している。従来、当該閾値は猫の体重に依らず一定である。このため、猫の体重が重くなればなるほど、多尿と判定されるために必要な総排尿量は多くなる。
【0053】
しかしながら、総排尿量は、猫の体重と比例して増加するものではないため、上記のような一定の閾値を使用した場合、猫の体重が重い場合、多尿の兆候を見逃す虞がある。
【0054】
ここで、この問題点について具体的に説明する。体重がXkgの猫Aと、体重が2Xkg、すなわち猫Aの2倍の体重である猫Bがいるとする。このとき、猫Bの総排尿量は、猫Aの総排尿量であるY(g)の2倍(2Y)とはならず、2Yより小さい値となる。これは、体重が2倍になったとしても飲水量が2倍になるわけではなく、実際には2倍より少ない量となるためである。このため、猫Bの評価値は、2Yを2Xで除算した値より小さくなる。このような場合において、一定の閾値と評価値とを比較する場合、猫Bにおいて、実際は多尿の兆候が出ているにもかかわらず、評価値が閾値を超えず、多尿と判定されない可能性がある。
【0055】
これに対し、上記の構成によれば、閾値が猫の体重に応じたものとなるので、多尿の兆候を見逃すことなく早期発見することができる。具体的には、閾値は、動物の体重の値が大きくなるほど小さくなるので、上記の猫Bにおいても、適切に多尿と判定することができる。つまり、一定の閾値を使用する場合に発見しづらい、体重の重い猫の多尿についても発見することができる。
【0056】
また、制御装置20Aは、上記評価値が、上記閾値を超えると判定された場合、その旨をユーザに通知する報知制御部25Aをさらに備える。これにより、ペットに疾患の兆候が表れたことを、ユーザに認識させることができる。
【0057】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。これは、実施形態2以降の実施形態でも同様である。
【0058】
図7は、本実施形態に係るペット用トイレ1Bの要部構成の一例を示すブロック図である。ペット用トイレ1Bの概要及び外観構成については、実施形態1で説明したペット用トイレ1Aと同様であるため、ここでは説明を繰り返さない。
【0059】
(制御系の構成)
ペット用トイレ1Bは、図7に示すように、体重計2、排泄物重量計3、記憶部4B、報知部5および制御装置20Bを備えている。
【0060】
記憶部4Bは、制御装置20Bが使用するプログラムおよびデータを永続的に保持するハードウェアであり、ストレージと表現することもできる。記憶部4Bは、図7に示すように、閾値用関数42を記憶している。閾値用関数42の詳細については後述する。
【0061】
制御装置20Bは、ハードウェア構成の一例として、プロセッサおよびメモリ(ともに不図示)を備えている。一例として、プロセッサは、記憶部4Bにアクセスし、記憶部4Bに格納されているプログラム(不図示)をメモリにロードし、当該プログラムに含まれる一連の命令を実行する。これにより、制御装置20Bに含まれている各部が構成される。
【0062】
当該各部として、制御装置20Bは、重量取得部21A、評価値算出部22、閾値決定部23B(閾値算出部)、判定部24および報知制御部25Aを含んでいる。
【0063】
閾値決定部23Bは、ペットの体重を変数とした関数により、評価値と比較するための閾値を算出する。具体的には、閾値決定部23Bは、閾値用関数42を用いて、ペットの体重の関数として閾値を算出する。一例として、閾値用関数42は、ペットの体重をxとした、「f(x)=50-(x-3)×2」という式(減少関数)であってもよい。このような式を用いることにより、閾値を、ペットの体重が重くなるほど小さくなるようにすることができる。閾値決定部23Bは、取得した体重の値を当該式のxに代入し、閾値f(x)を算出する。閾値決定部23Bは、算出した閾値を判定部24へ出力する。
【0064】
閾値決定部23Bは、例えば、取得した体重が3kgである場合、上記の式にx=3を代入し、閾値として、50-(3-3)×2=50を算出し、判定部24へ出力する。
【0065】
(警告処理の流れ)
図8は、制御装置20Bが実行する警告処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明したステップと同じ処理のステップについては、同じステップ番号を付記し、その説明を繰り返さない。これは、実施形態2以降の実施形態でも同様である。
【0066】
閾値決定部23Bは、閾値用関数42を用いて、取得した体重から閾値を算出する(S3)。閾値決定部23Bは、算出した閾値を判定部24へ出力する。
【0067】
(効果)
以上のように、制御装置20Bの閾値決定部23Bは、ペットの体重を変数とした関数により閾値を算出する。これにより、実施形態1で説明した、体重の範囲の各々に閾値を対応付ける構成と比べて、より適切な閾値を決定することができる。
【0068】
〔実施形態3〕
本発明のさらなる別の実施形態について、以下に説明する。図9は、本実施形態に係るペット用トイレ1Cの要部構成の一例を示すブロック図である。ペット用トイレ1Cの概要及び外観構成については、実施形態1で説明したペット用トイレ1Aと同様であるため、ここでは説明を繰り返さない。
【0069】
(制御系の構成)
ペット用トイレ1Cは、図9に示すように、体重計2、排泄物重量計3、記憶部4A、報知部5および制御装置20Cを備えている。
【0070】
制御装置20Cは、ハードウェア構成の一例として、プロセッサおよびメモリ(ともに不図示)を備えている。一例として、プロセッサは、記憶部4Aにアクセスし、記憶部4Aに格納されているプログラム(不図示)をメモリにロードし、当該プログラムに含まれる一連の命令を実行する。これにより、制御装置20Cに含まれている各部が構成される。
【0071】
当該各部として、制御装置20Cは、重量取得部21C、評価値算出部22、閾値決定部23C、判定部24、報知制御部25Cおよび尿量表示生成部26を含んでいる。
【0072】
重量取得部21Cが、実施形態1で説明した重量取得部21Aと異なる点は、取得した体重および尿重量を尿量表示生成部26へ出力する点である。
【0073】
閾値決定部23Cが、実施形態1で説明した閾値決定部23Aと異なる点は、決定した閾値を尿量表示生成部26へ出力する点である。
【0074】
尿量表示生成部26は、所定のタイミングから現在までにペットが排泄した排泄物の総量を示す画像を生成する。具体的には、尿量表示生成部26は、尿重量を示す報知画像を生成する。
【0075】
図10は、報知画像の一具体例を示す図である。当該報知画像は、一例として、図10に示すように現在の年月日および時刻、現在の総排尿量(すなわち尿重量)および総排尿量の上限値を含む。
【0076】
尿量表示生成部26は、一例として、重量取得部21Cおよび閾値決定部23Cのそれぞれから尿重量および閾値を取得し、さらに、カウンタ(不図示)から現在の年月日および時刻を取得することにより、図10に示す報知画像を生成する。尿量表示生成部26は、例えば、取得した閾値に取得した体重を乗算することにより、尿重量の上限値を算出する。尿量表示生成部26は、生成した報知画像を報知制御部25Cへ出力する。
【0077】
報知制御部25Cが、実施形態1で説明した報知制御部25Aと異なる点は、尿量表示生成部26から取得した報知画像を報知部5に出力させる点である。すなわち、本実施形態に係る報知部5は、表示部を含んでいる。
【0078】
(警告処理の流れ)
図11は、制御装置20Cが実行する警告処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0079】
尿量表示生成部26は、閾値決定部23Cが決定した閾値に基づき、尿重量の上限値を算出する(S21)。尿量表示生成部26は、算出した上限値、取得した尿重量、並びに現在の年月日および時刻から報知画像を生成し、報知制御部25Cへ出力する。
【0080】
報知制御部25Cは、報知部5を制御し、尿重量を報知させる(S22)。具体的には、報知制御部25Cは、報知部5に含まれる表示部に、報知画像を表示させる。
【0081】
(効果)
以上のように、制御装置20Cは、所定のタイミングから現在までにペットが排泄した排泄物の総量を示す画像を生成する尿量表示生成部26を備えている。また、制御装置20Cは、当該画像を表示部に表示させる報知制御部25Cを備えている。
【0082】
上記の構成によれば、ユーザは、ペットが排泄した排泄物の総量を認識することができる。上述したとおり、上記画像を、当該総量とともに、閾値決定部23Cが決定した閾値に基づく排泄物の上限値を含む画像とすれば、ユーザは、当該総量があとどれくらいで上限値に達するのかを認識することができる。
【0083】
なお、本実施形態に係る閾値決定部23Cは、実施形態1で説明した閾値決定部23Aと同様に、閾値テーブル41を用いて閾値を決定する構成であった。これに対し、閾値決定部23Cは、実施形態2で説明した閾値決定部23Bと同様に、閾値用関数42を用いて閾値を決定する構成であってもよい。
【0084】
〔実施形態4〕
本発明のさらなる別の実施形態について、以下に説明する。図12は、本実施形態に係るペット用トイレ1Dおよびスマートフォン30(電子機器)の要部構成の一例を示すブロック図である。ペット用トイレ1Dの概要及び外観構成については、実施形態1で説明したペット用トイレ1Aと同様であるため、ここでは説明を繰り返さない。
【0085】
(ペット用トイレ1Dの制御系の構成)
ペット用トイレ1Dは、図12に示すように、体重計2、排泄物重量計3、通信部6および制御装置40を備えている。
【0086】
制御装置40は、ハードウェア構成の一例として、プロセッサおよびメモリ(ともに不図示)を備えている。一例として、プロセッサは、記憶部(不図示)にアクセスし、当該記憶部に格納されているプログラム(不図示)をメモリにロードし、当該プログラムに含まれる一連の命令を実行する。例えば、制御装置40は、通信部6を制御して、体重計2および排泄物重量計3から取得した体重および尿重量を外部の装置へ送信させる。
【0087】
通信部6は、有線または無線通信により、外部の装置と情報の送受信を行う。通信部6は、例えば、ペットの体重および尿重量を外部の装置へ送信する。外部の装置は、例えば、図12に示すスマートフォン30であるが、この例に限定されない。
【0088】
(スマートフォン30の制御系の構成)
スマートフォン30は、図12に示すように、記憶部4A、報知部5、通信部7および制御装置20Dを備えている。
【0089】
通信部7は、有線または無線通信により、外部の装置と情報の送受信を行う。通信部7は、例えば、ペットの体重および尿重量を外部の装置から受信する。外部の装置は、例えば、図12に示すペット用トイレ1Dであるが、この例に限定されない。
【0090】
制御装置20Dは、ハードウェア構成の一例として、プロセッサおよびメモリ(ともに不図示)を備えている。一例として、プロセッサは、記憶部4Aにアクセスし、記憶部4Aに格納されているプログラム(不図示)をメモリにロードし、当該プログラムに含まれる一連の命令を実行する。これにより、制御装置20Dに含まれている各部が構成される。
【0091】
当該各部として、制御装置20Dは、重量取得部21D、評価値算出部22、閾値決定部23A、判定部24および報知制御部25Cを含んでいる。
【0092】
重量取得部21Cが、実施形態1で説明した重量取得部21Aと異なる点は、通信部7を介して、外部の装置(ペット用トイレ1D)から体重および尿重量を取得する点である。
【0093】
以上のように、本発明に係る制御装置は、ペット用トイレと異なる電子機器に備えられていてもよい。なお、当該電子機器はスマートフォン30に限定されない。当該電子機器は例えば、パーソナルコンピュータやタブレット端末などであってもよいし、サーバ(例えば、クラウドサーバ)であってもよい。後者の場合、ユーザへの警告を出力する装置は、例えば、ペット用トイレであってもよいし、スマートフォンなどのユーザ端末であってもよい。一例として、サーバは、評価値が閾値を超えると判定した場合、当該判定に基づく通知をペット用トイレまたはユーザ端末へ送信する(いわゆるプッシュ通知)。ペット用トイレまたはユーザ端末は、当該通知に基づき、上記警告を出力する。
【0094】
また、制御装置20Dは、実施形態2に係る制御装置20Bのように、閾値用関数42を用いて閾値を決定する構成であってもよい。また、制御装置20Dは、実施形態3に係る制御装置20Cのように、尿量表示生成部26を備えていてもよい。
【0095】
〔変形例〕
本発明に係る、体重計2、排泄物重量計3および制御装置20A~20Cを備えるトイレは、人間(例えば乳児、幼児)用のトイレであってもよい。すなわち、本開示に係る「動物」は人間も含む。
【0096】
〔ソフトウェアによる実現例〕
制御装置20A~20Dの制御ブロックは、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。なお、上記制御ブロックは、特に重量取得部21A,21C,21D、評価値算出部22、閾値決定部23A~23C、判定部24、報知制御部25A,25Cおよび尿量表示生成部26である。
【0097】
後者の場合、制御装置20A~20Dは、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0098】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る制御装置(制御装置20A~20D)は、電子機器(ペット用トイレ1A~1C、スマートフォン30)を制御する制御装置であって、動物の体重と、所定のタイミングから現在までに上記動物が排泄した排泄物の総量とを取得する取得部(重量取得部21A、21C、21D)と、上記体重と上記総量とに基づき、上記動物の発病の危険性を評価するための評価値を算出する評価値算出部(評価値算出部22)と、上記評価値が、上記体重に応じた閾値を超えるか否かを判定する判定部(判定部24)と、を備える構成である。
【0099】
上記の構成によれば、排泄物の量の異常という兆候がある動物の疾患について、動物の体重に依らず、当該異常を早期発見することができる。
【0100】
なお、所定のタイミングとは、例えば、それまでに排泄された排泄物を動物用トイレから取り除いたタイミングであり、排泄物が尿である場合、尿シートを交換したタイミングであってもよい。
【0101】
例えば、猫の腎臓系疾患においては、多尿という兆候があり、この兆候は、総排尿量を猫の体重で除算した値(評価値)が、特定の閾値を超えるか否かで判定している。当該閾値は猫の体重に依らず一定である。このため、猫の体重が重くなればなるほど、多尿と判定されるために必要な総排尿量は多くなる。
【0102】
しかしながら、総排尿量は、猫の体重と比例して増加するものではないため、上記のような一定の閾値を使用した場合、猫の体重が重い場合、多尿の兆候を見逃す虞がある。
【0103】
これに対し、上記の構成によれば、閾値が猫の体重に応じたものとなるので、多尿の兆候を見逃すことなく早期発見することができる。
【0104】
本発明の態様2に係る制御装置は、上記の態様1において、上記評価値算出部は、上記総量を上記体重で除算することにより上記評価値を算出し、上記閾値は、上記体重の値が大きくなるほど小さくなる構成としてもよい。
【0105】
上記の構成によれば、評価値が総排尿量を動物の体重で除算した値であり、かつ、動物の体重の増加量に対し、総排尿量の増加量が小さい場合に、適切な閾値となり、排泄物の量の異常という兆候がある動物の疾患について、動物の体重がどのようなものであったとしても、排泄物の量の異常を早期発見することができる。
【0106】
猫の腎臓系疾患における多尿という兆候の発見において、総排尿量を猫の体重で除算した値を評価値とする。ここで、体重がXkgの猫Aと、体重が2Xkg、すなわち猫Aの2倍の体重である猫Bがいるとする。このとき、猫Bの総排尿量は、猫Aの総排尿量であるY(g)の2倍(2Y)とはならず、2Yより小さい値となる。このため、猫Bの評価値は、2Yを2Xで除算した値より小さくなる。このような場合において、一定の閾値と評価値とを比較する場合、猫Bにおいて、実際は多尿の兆候が出ているにもかかわらず、評価値が閾値を超えず、多尿と判定されない可能性がある。
【0107】
一方、上記の構成によれば、閾値は、動物の体重の値が大きくなるほど小さくなるので、上記の猫Bにおいても、適切に多尿と判定することができる。つまり、一定の閾値を使用する場合に発見しづらい、体重の重い猫の多尿についても発見することができる。
【0108】
本発明の態様3に係る制御装置(制御装置20B)は、上記の態様1または2において、上記体重を変数とした関数により上記閾値を算出する閾値算出部(閾値決定部23B)をさらに備える構成としてもよい。
【0109】
上記の構成によれば、或る体重の範囲に1つの閾値を対応付ける構成と比べて、より適切な閾値とすることができる。
【0110】
本発明の態様4に係る制御装置は、上記の態様1から3のいずれかにおいて、上記評価値が、上記閾値を超えると判定された場合、その旨をユーザに通知する通知部(報知制御部25A、報知制御部25C)をさらに備える構成としてもよい。
【0111】
上記の構成によれば、動物に疾患の兆候が表れたことをユーザに認識させることができる。
【0112】
本発明の態様5に係る制御装置は、上記の態様1から4のいずれかにおいて、上記取得部は、上記総量として、上記動物が排泄した尿の総重量を取得する構成としてもよい。
【0113】
上記の構成によれば、例えば尿量の異常といった兆候が表れる腎臓系疾患を早期発見することができる。
【0114】
本発明の態様6に係る動物用トイレ(ペット用トイレ1A~1C)は、動物の体重を測定する体重測定装置(体重計2)と、所定のタイミングから現在までに上記動物が排泄した排泄物の総量を測定する排泄物量測定装置(排泄物重量計3)と、少なくとも1つの制御装置(制御装置20A~20C)とを備える、動物用トイレであって、上記制御装置は、上記体重と、上記総量とを取得する取得処理と、上記総量に少なくとも基づき、上記動物の発病の危険性を評価するための評価値を算出する評価値算出処理と、上記評価値が、上記体重に応じた閾値を超えるか否かを判定する判定処理と、を行う構成である。上記の構成によれば、態様1と同様の作用効果を奏する。
【0115】
本発明の態様7に係る電子機器(スマートフォン30)は、動物の体重を測定する体重測定装置(体重計2)と、所定のタイミングから現在までに上記動物が排泄した排泄物の総量を測定する排泄物量測定装置(排泄物重量計3)とを備える動物用トイレ(ペット用トイレ1D)と通信可能に接続され、少なくとも1つの制御装置(制御装置20D)を備える電子機器であって、上記制御装置は、上記体重と、上記総量とを上記動物用トイレから取得する取得処理と、上記総量に少なくとも基づき、上記動物の発病の危険性を評価するための評価値を算出する評価値算出処理と、上記評価値が、上記体重に応じた閾値を超えるか否かを判定する判定処理と、を行う構成である。上記の構成によれば、態様1と同様の作用効果を奏する。
【0116】
本発明の態様8に係る制御装置の制御方法は、動物の体重と、所定のタイミングから現在までに動物が排泄した排泄物の総量とを取得する取得ステップ(ステップS1)と、上記総量に少なくとも基づき、上記動物の発病の危険性を評価するための評価値を算出する評価値算出ステップ(ステップS2)と、上記評価値が、上記体重に応じた閾値を超えるか否かを判定する判定ステップ(ステップS4)と、を含む方法である。上記の構成によれば、態様1と同様の作用効果を奏する。
【0117】
本発明の各態様に係る制御装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記制御装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより上記制御装置をコンピュータにて実現させる制御装置、動物用トイレおよび電子機器の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0118】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0119】
1A、1B、1C、1D ペット用トイレ(動物用トイレ)
2 体重計(体重測定装置)
3 排泄物重量計(排泄物量測定装置)
20A、20B、20C、20D 制御装置
21A、21C、21D 重量取得部(取得部)
22 評価値算出部
23B 閾値決定部(閾値算出部)
24 判定部
25A、25C 報知制御部(通知部)
30 スマートフォン(電子機器)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12