(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-04
(45)【発行日】2023-08-15
(54)【発明の名称】太陽電池パネル構造体
(51)【国際特許分類】
H02S 30/20 20140101AFI20230807BHJP
【FI】
H02S30/20
(21)【出願番号】P 2020184563
(22)【出願日】2020-11-04
【審査請求日】2022-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】501100881
【氏名又は名称】イーソル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100157912
【氏名又は名称】中島 健
(74)【代理人】
【識別番号】100074918
【氏名又は名称】瀬川 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 昌木
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第201117755(CN,Y)
【文献】特開2005-230355(JP,A)
【文献】特開平09-178337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04-31/078
H02S 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面・背面・右側面・左側面・上面の5面を構成するように5枚の太陽電池パネルを略立方体形状に組み付けてなり、
正面・背面・右側面・左側面を構成する前記太陽電池パネルは、左右両端部で他の前記太陽電池パネルと直角に突き合わされており、この直角に突き合わされた前記太陽電池パネル同士は、両者を貫通する固定具によって直接固定されて
おり、
正面・背面・右側面・左側面を構成する前記太陽電池パネルの少なくとも一部の下端面には、前記太陽電池パネル構造体をパレットに固定するための取付穴が形成されている、
太陽電池パネル構造体。
【請求項2】
正面・背面・右側面・左側面を構成する前記太陽電池パネルの左右両端部は、太陽電池セルを配列したパネル部の表面に対して垂直な表面を有する垂直片と、前記垂直片の表面に対して垂直な表面を有する先端片と、を備え、
正面・背面・右側面・左側面を構成する前記太陽電池パネルの左右両端部において、前記垂直片の表面と前記先端片の表面とが突き合わされている、
請求項1に記載の太陽電池パネル構造体。
【請求項3】
上面を構成する前記太陽電池パネルは、ヒンジによって上下に開閉可能に取り付けられている、
請求項1または2のいずれか1項に記載の太陽電池パネル構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽電池パネルを組み合わせた太陽電池パネル構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な太陽電池パネルは、架台に固定されて屋根の上などの日当たりのよい場所に固定される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、こうした太陽電池パネルは、電気供給が難しい場所でも発電を行うことができるため、太陽電池パネルを使用して、電源工事が困難な場所での電源確保を行ったり、非常時や災害時の電源確保を行ったりすることが考えられる(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-124162号公報
【文献】特開2016-208839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したような従来の太陽電池パネルで電源確保を行おうとした場合、太陽電池パネルを固定するための架台が必要となるため、設置場所が限られるという問題や、施工に時間や手間がかかるという問題があった。
【0006】
なお、携帯できるような小型の太陽電池パネルを使用すれば、上記したような設置場所や施工作業の問題は生じない。しかしながら、太陽電池パネルの面積が小さくなるため、十分な発電量が得られないという問題が生じていた。
そこで、本発明は、発電量を確保しつつも、限られたスペースに設置することができ、施工も容易な太陽電池パネル構造体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するため、本発明に係る太陽電池パネル構造体は、正面・背面・右側面・左側面・上面の5面を構成するように5枚の太陽電池パネルを略立方体形状に組み付けてなり、正面・背面・右側面・左側面を構成する前記太陽電池パネルは、左右両端部で他の前記太陽電池パネルと直角に突き合わされており、この直角に突き合わされた前記太陽電池パネル同士は、両者を貫通する固定具によって直接固定されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上記の通りであり、5枚の太陽電池パネルを略立方体形状に組み付けてなる。このような構成によれば、太陽電池パネル構造体の設置スペースに対して、太陽電池パネルの表面積を大きく確保できるため、発電量を確保しつつも、限られたスペースに設置することができる。
【0009】
また、直角に突き合わされた太陽電池パネル同士を固定具によって直接固定しているため、太陽電池パネルを固定するための特殊な架台やフレーム材などが不要である。部品点数を減らすことで、搬送や組み立てが容易であり、また、製造コストも抑制することができる。
【0010】
また、太陽電池パネル構造体の内部には空間があるので、この空間に物を収容することができる。例えば、太陽電池パネルで発電した電気を蓄電するための二次電池や、非常用のアイテム、太陽電池パネルで発電した電気で作動する発信機などを収容することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】太陽電池パネル構造体の(a)平面図、(b)右側面図、(c)背面図、(d)底面図である。
【
図2】太陽電池パネルの(a)平面図、(b)正面図、(c)右側面図、(d)背面図、(e)底面図である。
【
図3】(a)太陽電池パネルのX-X線端面図、(b)太陽電池パネルの組み合わせ方を示す図である。
【
図4】太陽電池パネルをパレットに固定する例を示す図である。
【
図5】太陽電池パネル構造体の上面を構成する太陽電池パネルを開いた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
本実施形態に係る太陽電池パネル構造体10は、太陽光を使用して発電を行うためのものであり、
図1に示すように、正面11A・背面11B・右側面11C・左側面11D・上面11Eの5面を構成するように5枚の太陽電池パネル11を略立方体形状に組み付けて構成されている。
【0013】
この5枚の太陽電池パネル11は、
図2に示す同一形状のものが使用されている。この太陽電池パネル11は、パネル部12と、フレーム部20と、を備えている。なお、5枚の太陽電池パネル11は、完全に同一形状である必要はなく、略立方体形状に組み付けられるものであればよい。具体的には、フレーム部20の寸法が同一であればよく、後述する取付穴22aや貫通穴26a,27aの有無など、どの面に使用されるかによって細部に違いがあっても構わない。
【0014】
太陽電池パネル11のパネル部12は、複数の太陽電池セル13を配置した四角形の板状部である。パネル部12に配置された複数の太陽電池セル13は、互いに電気的に接続されており、最終的に後述する端子ボックス28と電気的に接続されている。
【0015】
このパネル部12の構成は周知であるため詳細は図示しないが、複数の太陽電池セル13は板状の基材によって挟み込まれて保持されており、表面側の基材は光が入射されるように透光性を有している。このような構成により、表面側から入射した光エネルギーを太陽電池セル13が吸収して、電気エネルギーに変換するようになっている。
【0016】
なお、このパネル部12の裏面には、
図2(d)に示すように、太陽電池パネル11からの出力を取り出すための端子ボックス28が固定されている。複数の太陽電池セル13によって発電された電気は、この端子ボックス28へと送られ、外部に取り出すことができるようになっている。また、この端子ボックス28からは、出力用のリード線29が引き出されている。このリード線29を使用することで、太陽電池パネル11を他の太陽電池パネル11や蓄電池などと電気的に接続することができる。
【0017】
太陽電池パネル11のフレーム部20は、パネル部12の周縁を保持するためのものである。本実施形態に係るフレーム部20は、アルミ製の押出形材を四方枠組みして構成されている。具体的には、
図2(b)等に示すように、互いに対向する位置に配置された一対の第1枠部22と、互いに対向する位置に配置された一対の第2枠部25と、の4本の部材を組み合わせることで構成されている。なお、これらの第1枠部22部材および第2枠部25の内側には、
図3(a)に示すように、パネル部12を保持するための保持溝21が形成されている。この保持溝21は、4本の部材を組み合わせたときにフレーム部20の内側に周状に連続する溝を形成する。このような構成により、パネル部12の四辺の周縁が保持溝21に挿入されて保持されている。
【0018】
なお、上記した第1枠部22は、正面11A・背面11B・右側面11C・左側面11Dを構成する太陽電池パネル11において、上辺と下辺とをなすように組み付けられている。また、上記した第2枠部25は、正面11A・背面11B・右側面11C・左側面11Dを構成する太陽電池パネル11において、左右の両辺をなすように組み付けられている。このため、これら4枚の太陽電池パネル11においては、第1枠部22が天面および底面に臨むようになっており、また、隣り合う太陽電池パネル11の第2枠部25が互いに直角に臨むようになっている。
【0019】
上記した第2枠部25は、
図3(a)に示すように、略L字形に形成されており、パネル部12の表面に対して垂直な表面を有する垂直片26と、垂直片26の表面に対して垂直な表面を有する先端片27と、を備えている。垂直片26は、パネル部12の端部から直角に延設されており、先端片27は、垂直片26の先端を内側に直角に折り返した形状となっている。この垂直片26および先端片27を備えることで、正面11A・背面11B・右側面11C・左側面11Dを構成する太陽電池パネル11の左右両端部は、パネル部12の端部をコ字状に内側に折り返したような形状となっている。なお、上記した保持溝21は、垂直片26の裏側に形成されている。
【0020】
ところで、正面11A・背面11B・右側面11C・左側面11Dを構成する太陽電池パネル11は、
図3(b)に示すように、左右両端部で他の太陽電池パネル11と直角に突き合わされており、より詳しくは、4つの角部において、隣り合う第2枠部25が互いに直角に突き合わされている。この直角に突き合わされた2つの第2枠部25は、両者を貫通する固定ネジ32(固定具)によって直接固定されている。
【0021】
更に詳しく説明すると、4つの角部において、垂直片26の表面と先端片27の表面とが面で接触して、互いに重ね合わされている。そして、重ね合わせた垂直片26と先端片27とを同時に貫通するように固定ネジ32が取り付けられている。この固定ネジ32の先端には固定ナット33が螺着されており、これにより、突き合わされた2つの第2枠部25が固定されるようになっている。
【0022】
なお、垂直片26および先端片27には、固定ネジ32の取り付けを容易とするために、貫通穴26a,27aが穿たれている。本実施形態においては、
図2(c)および
図2(d)に示すように、垂直片26の上下の2箇所に貫通穴26aを設けるとともに、先端片27の上下の2箇所に貫通穴27aを設けている。この垂直片26の貫通穴26aと先端片27の貫通穴27aとは、互いに同じ高さ位置に形成されている。このため、
図3(b)に示すように垂直片26の貫通穴26aと先端片27の貫通穴27aとを重ね合わせて固定ネジ32で固定したときに、正面11A・背面11B・右側面11C・左側面11Dを構成する太陽電池パネル11が同じ高さで揃うようになっている。また、
図3(b)に示すように垂直片26の貫通穴26aと先端片27の貫通穴27aとを重ね合わせて固定ネジ32で固定したときに、直角に突き合わされた2つのフレーム部20の表面が面一となるように(接合部に段差ができないように)、穴の位置が設定されている。
【0023】
ところで、
図3(b)においては、正面11Aを構成する太陽電池パネル11の左右の先端片27を、それぞれ、右側面11Cを構成する太陽電池パネル11の垂直片26と、左側面11Dを構成する太陽電池パネル11の垂直片26とに固定し、背面11Bを構成する太陽電池パネル11の先端片27を、それぞれ、右側面11Cを構成する太陽電池パネル11の垂直片26と、左側面11Dを構成する太陽電池パネル11の垂直片26とに固定している。しかしながら、これに限らず、正面11Aを構成する太陽電池パネル11の左右の垂直片26を、それぞれ、右側面11Cを構成する太陽電池パネル11の先端片27と、左側面11Dを構成する太陽電池パネル11の先端片27とに固定し、背面11Bを構成する太陽電池パネル11の垂直片26を、それぞれ、右側面11Cを構成する太陽電池パネル11の先端片27と、左側面11Dを構成する太陽電池パネル11の先端片27とに固定してもよい。
【0024】
このように四角柱状に組み合わされた太陽電池パネル11の上部には、
図5に示すように、上面11Eを構成する太陽電池パネル11が、ヒンジによって上下に開閉可能に取り付けられている。本実施形態においては、背面11Bを構成する太陽電池パネル11の上端部と、上面11Eを構成する太陽電池パネル11の後端部とが、ヒンジ(図示せず)によって接続されている。このため、上面11Eの太陽電池パネル11が「ふた」として機能するようになっており、この上面11Eの太陽電池パネル11を開けることで、太陽電池パネル構造体10の内部を容易に開放することができる。内部を開放することで、組み立て後に内部の配線作業を容易に行うことができる。また、太陽電池パネル構造体10の内部を収容ボックスとして使用することができる。
【0025】
特に図示しないが、本実施形態においては、太陽電池パネル構造体10の内部に二次電池が収容されており、太陽電池パネル11で発電した電気を蓄電できるようになっている。このため、災害などの緊急時であっても、上面11Eの太陽電池パネル11を開けるだけで、すぐに電気を使用することができる。その他、災害用の備蓄品や、緊急連絡用の発振器などを、太陽電池パネル構造体10の内部に収容してもよい。
【0026】
なお、本実施形態においては、上面11Eの太陽電池パネル11を開閉しやすいように、上面11Eの太陽電池パネル11の前面に取っ手30を取り付けている(
図1参照)。また、鍵を取り付けるための鍵用プレート31が、正面11Aの太陽電池パネル11の上部に取り付けられている。この鍵用プレート31には、南京錠の掛け金などを通すための穴が開けられている。鍵をかける場合には、鍵用プレート31の穴と取っ手30の内側とに、南京錠の掛け金を通し、ロックすればよい。
【0027】
この太陽電池パネル構造体10は、そのまま地面に置いても問題ないが、降雨時に水没する可能性がある場所に設置する場合は、パレット40等の上に載置することが望ましい。
【0028】
パレット40の上に載置する場合、正面11A・背面11B・右側面11C・左側面11Dを構成する太陽電池パネル11の少なくとも一部の下端面に、
図2(e)に示すように、太陽電池パネル構造体10をパレット40に固定するための取付穴22aを形成してもよい。例えば、Uボルト34で太陽電池パネル構造体10をメッシュ状のパレット40に固定する場合、Uボルト34の脚部の幅と等しい間隔で一対の取付穴22aを貫通形成する。
図2(e)に示す例では、左右の二か所に、それぞれ一対の取付穴22aを設けている。このような取付穴22aを使用すれば、
図4に示すように、Uボルト34の脚部を、パレット40の網目から一対の取付穴22aに挿入し、この脚部の先端にナット35を取り付けることで、太陽電池パネル構造体10をパレット40に固定することができる。このとき、太陽電池パネル構造体10の内部からナット35を取り付けることになるが、上面11Eの太陽電池パネル11を開けることができるので、作業が容易である。
【0029】
なお、本実施形態においては、太陽電池パネル構造体10をパレット40に固定するためにUボルト34を使用したが、これに限らず、コ字形のボルトやまっすぐなボルトを使用してもよい。
【0030】
以上説明したように、本実施形態に係る太陽電池パネル構造体10は、5枚の太陽電池パネル11を略立方体形状に組み付けてなる。このような構成によれば、太陽電池パネル構造体10の設置スペースに対して、太陽電池パネル11の表面積を大きく確保できるため、発電量を確保しつつも、限られたスペースに設置することができる。
【0031】
また、直角に突き合わされた太陽電池パネル11同士を固定ネジ32によって直接固定しているため、太陽電池パネル11を固定するための特殊な架台やフレーム材などが不要である。部品点数を減らすことで、搬送や組み立てが容易であり、また、製造コストも抑制することができる。
【0032】
また、太陽電池パネル構造体10の内部には空間があるので、この空間に物を収容することができる。例えば、太陽電池パネル11で発電した電気を蓄電するための二次電池や、非常用のアイテム、太陽電池パネル11で発電した電気で作動する発信機などを収容することも可能である。
【0033】
また、本実施形態においては、正面11A・背面11B・右側面11C・左側面11Dを構成する太陽電池パネル11の左右両端部は、太陽電池セル13を配列したパネル部12の表面に対して垂直な表面を有する垂直片26と、この垂直片26の表面に対して垂直な表面を有する先端片27と、を備え、正面11A・背面11B・右側面11C・左側面11Dを構成する太陽電池パネル11の左右両端部において、この垂直片26の表面と先端片27の表面とが突き合わされている。このような構成によれば、同じ形状の一種類の太陽電池パネル11を組み合わせて、太陽電池パネル構造体10の正面11A・背面11B・右側面11C・左側面11Dを構成することができる。よって、部品の種類が最小限となるので、製造コストの抑制や在庫管理の容易化など、様々なメリットがある。
【0034】
また、本実施形態においては、上面11Eを構成する太陽電池パネル11は、ヒンジによって上下に開閉可能に取り付けられている。このため、太陽電池パネル構造体10の内部を容易に開放できるので、設置やメンテナンスが容易であり、内部を収容空間として使用することができる。
【0035】
また、本実施形態においては、正面11A・背面11B・右側面11C・左側面11Dを構成する太陽電池パネル11の少なくとも一部の下端面には、太陽電池パネル構造体10をパレット40に固定するための取付穴22aが形成されている。このため、容易に太陽電池パネル構造体10をパレット40に固定することができ、また、取り外しも容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0036】
10 太陽電池パネル構造体
11 太陽電池パネル
11A 正面
11B 背面
11C 右側面
11D 左側面
11E 上面
12 パネル部
13 太陽電池セル
20 フレーム部
21 保持溝
22 第1枠部
22a 取付穴
25 第2枠部
26 垂直片
26a 貫通穴
27 先端片
27a 貫通穴
28 端子ボックス
29 リード線
30 取っ手
31 鍵用プレート
32 固定ネジ(固定具)
33 固定ナット
34 Uボルト
35 ナット
40 パレット