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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】局所組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20230808BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20230808BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20230808BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20230808BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20230808BHJP
   A61K 31/12 20060101ALI20230808BHJP
   A61K 31/164 20060101ALI20230808BHJP
   A61K 31/53 20060101ALI20230808BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20230808BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20230808BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/35
A61K8/42
A61K9/06
A61K9/107
A61K31/12
A61K31/164
A61K31/53
A61K47/24
A61P17/16
A61Q17/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020564157
(86)(22)【出願日】2019-05-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 EP2019062206
(87)【国際公開番号】W WO2019219606
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-01-12
(31)【優先権主張番号】18173222.3
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】メンドロク-エディンガー, クリスティーン
【審査官】▲高▼橋 明日香
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-178437(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014104257(DE,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03260113(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03228299(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03269425(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0115638(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、p-ヒドロキシアセトフェノン及びD-パンテノールを含む局所組成物であって、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに対するD-パンテノールの重量比が少なくとも1.25である局所組成物。
【請求項2】
ス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに対する前記D-パンテノールの比率が少なくとも1.5である、請求項1に記載の局所組成物。
【請求項3】
ス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに対する前記p-ヒドロキシアセトフェノンの重量比が0.05~1の範囲で選択される、請求項1又は2に記載の局所組成物。
【請求項4】
前記組成物が、前記組成物の全重量に基づいて、0.45~20重量%の範囲で選択される量のD-パンテノールを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の局所組成物。
【請求項5】
前記組成物が、前記組成物の全重量に基づいて、0.4~10重量%の範囲で選択される量のビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の局所組成物。
【請求項6】
前記組成物の全重量に基づいて、0.001~5重量%の量のp-ヒドロキシアセトフェノンを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の局所組成物。
【請求項7】
前記組成物が化粧品組成物又は医薬組成物である、請求項1~6のいずれか一項に記載の局所組成物。
【請求項8】
前記組成物がサンケア製品である、請求項1~7のいずれか一項に記載の局所組成物。
【請求項9】
前記組成物が、O/W乳化剤の存在下で水相中に分散された油性相を含むO/Wエマルションである、請求項1~8のいずれか一項に記載の局所組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物で汚れた織物から前記組成物を洗浄することを促進するためのD-パンテノールの使用。
【請求項11】
ス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに対する前記D-パンテノールの重量比が、5以下の範囲で選択される、請求項10に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、D-パンテノール、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(BEMT)及びp-ヒドロキシアセトフェノン(HAP)を含む局所組成物に関する。
【0002】
サンケア製品は、長年にわたってかなり進化してきた。かつてはUV-B線がしわ、皮膚疾患、及び皮膚癌の最も重要な原因であると考えられていたので、以前の製剤は、ユーザーをUV-B放射線から保護することが意図されていた。しかしながら、より最近の研究では、太陽光損傷及び皮膚疾患、例えば、エリテマトーデス並びに黒色腫及び非黒色腫皮膚癌などの発症において、UV-A放射線は同等に又はさらにより重要であることが示された。したがって、今日の焦点は、UVA(320~400nm)光及び/又はUVB(280~320nm)光をできるだけ多く除去することに向けられている。その結果として、光安定性でありながら高SPF(紫外線防御指数)及び高UVA防御を示すサンケア製品の必要性が絶えず増大している。
【0003】
この点において、日焼け止め剤は、一般に、BEMT、ブチルメトキシジベンゾイルメタン又は及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾアートなどの少なくとも1つのUVAフィルタを含有する。しかしながら、UVAフィルタは、布地を染色することが知られている。これは、日焼け止め剤の使用後に消費者がそのTシャツの黄色い染みに悩まされるので一般的な問題である。これを防止するために、消費者は日焼け止め剤の使用量を減らす傾向があるが、同時に、保護される程度が低い。UV放射線の皮膚に対する有害作用はよく知られている。したがって、消費者が適切な防御のために十分な日焼け止め剤を適用することを保証するために、産業界はこのような種類の問題の解決策を提供することが重要である。
【0004】
その上、消費者はますます、保存剤を含まない製剤又は代替の保存システムを有する製剤を探している。この点において、ヒドロキシアセトフェノン(すなわち、p-ヒドロキシアセトフェノン、HAP)が保存増強剤として使用される。
【0005】
したがって、本発明の目的は、従来技術の不都合を改善し、特にBEMTなどの少なくとも1つのUVAフィルタを含み、織物染色の低減を示すか、又はこのようなUVAフィルタで汚れた織物からそれを除去することを促進する(すなわち、改善する又は容易にする)局所組成物、特にサンケア製品を開発することであった。
【0006】
驚くことに、BEMT及びp-ヒドロキシアセトフェノンを含む日焼け止め剤に特定の量のD-パンテノールを添加すると、前記組成物の織物染色が著しく低減され、さらに、洗浄によるその除去が促進されることが見出された。
【0007】
したがって、本発明は、1つの態様では、BEMT、D-パンテノール及びp-ヒドロキシアセトフェノンを含む局所組成物に関し、ここで、D-パンテノール対BEMTの重量比は、少なくとも1、好ましくは少なくとも1.1、より好ましくは少なくとも1.25、さらにより好ましくは少なくとも1.5であり、例えば、最も好ましくは少なくとも1.75、例えば、少なくとも2である。これは、局所組成物が、1重量部(part per weight)のBEMTを含有する場合に、少なくとも1、好ましくは少なくとも1.1、より好ましくは少なくとも1.25、例えば、さらにより好ましくは少なくとも1.5、例えば、最も好ましくは少なくとも1.75、例えば、少なくとも2重量部のD-パンテノールを含有することを意味する。
【0008】
「局所」という用語は、本明細書では、特に、皮膚、頭皮、まつげ、眉毛、爪、粘膜及び毛髪、好ましくは皮膚であるケラチン物質への外用を意味すると理解される。
【0009】
「BEMT」は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI)又はベモトリジノール(INN)(CAS番号187393-00-6)を表す。BEMTは、UVB線もUVA線も吸収する広域UVフィルタの機能を果たす。BEMTは、310nm及び340nmの2つの吸収ピークを有する。BEMTは、サン、デイケア、アルファベット製品、例えばBBクリーム、美白製品、カラー化粧品における使用のために示される。
【0010】
本発明の全ての実施形態において、BEMTは、組成物の全重量に基づいて、0.4~10重量%の範囲、好ましくは、0.4~10重量%、0.4~9重量%、0.4~8重量%、0.4~7重量%、0.4~6重量%、0.4~5重量%、0.4~4重量%、0.5~3重量%、0.8~9重量%、0.8~8重量%、0.8~7重量%、0.8~6重量%、0.8~5重量%、0.8~4重量%、0.8~3重量%の範囲、例えば、1~5重量%、2~5重量%、又は1~3重量%の範囲で選択される量で有利に使用される。
【0011】
D-パンテノールは、パンテノール(INCI)、デクスパンテノール、プロビタミンB5、又は(+)-(R)-2,4-ジヒドロキシ-N-(3-ヒドロキシプロピル)-3,3-ジメチルブチルアミド(dimethylbutyramid)とも称される。D-パンテノールは水和を改善し、皮膚のかゆみ及び炎症を低減し、皮膚の弾力性を改善し、表皮創傷治癒を促進する。D-パンテノールは市販されており、例えば、DSM Nutritional Products Europe Ltd.によって販売されている。
【0012】
本発明の全ての実施形態において、D-パンテノールは、組成物の全重量に基づいて、0.45~20重量%の範囲、好ましくは0.45~18重量%、0.45~16重量%、0.45~15重量%、0.5~12.5重量%、0.5~10重量%、0.5~8重量%の範囲、より好ましくは0.5~6重量%の範囲、例えば、0.5~5重量%の範囲で選択される量で有利に使用される。さらにより好ましくは、本発明に従う製剤中のパンテノールの量は、0.75~5重量%、1~5重量%、又は2~5重量%の範囲で選択される。
【0013】
本明細書においてヒドロキシアセトフェノン又はHAP(CAS No.99-93-4)とも表されるp-ヒドロキシアセトフェノンは、抗酸化及び鎮静化特性を有する多機能性化粧品成分である。これは、穏やかで安全な保存増強剤として使用することができる。p-ヒドロキシアセトフェノンは市販されている。
【0014】
本発明の全ての実施形態において、p-ヒドロキシアセトフェノンは、組成物の全重量に基づいて、0.001~5重量%の範囲、好ましくは0.01~4重量%、0.1~3重量%の範囲、より好ましくは0.1~1.5重量%の範囲で選択される量で有利に使用される。さらに好ましい範囲は、組成物の全重量に基づいて、0.005~4.5重量%、0.05~3重量%、0.1~2重量%、及び0.25~1.5重量%である。
【0015】
特に有利な実施形態では、本発明は、BEMT、D-パンテノール及びp-ヒドロキシアセトフェノンを含む局所組成物に関し、ここで、D-パンテノール対BEMTの重量比は、1.1~5の範囲(すなわち、1重量部のBEMT対1.1~5重量部のD-パンテノール)、好ましくは1.1~4の範囲(すなわち、1重量部のBEMT対1.1~4重量部のD-パンテノール)、最も好ましくは1.1~3の範囲(すなわち、1重量部のBEMT対1.1~3重量部のD-パンテノール)、例えば、特に1.15~2の範囲(すなわち、1重量部のBEMT対1.15~2重量部のD-パンテノール)で選択される。
【0016】
本発明の全ての実施形態において、好ましくは、局所組成物はBEMT、D-パンテノール及びp-ヒドロキシアセトフェノンを含み、ここで、HAP対BEMTの重量比(w/w)は、0.01~1の範囲(すなわち、1重量部のBEMT対0.01~1重量部のHAP)で選択される。
【0017】
さらなる実施形態では、局所組成物は、BEMT、D-パンテノール及びp-ヒドロキシアセトフェノンを含み、ここで、HAP対BEMTの重量比は、0.05~1の範囲(すなわち、1重量部のBEMT対0.05~1重量部のHAP)、好ましくは0.1~1の範囲(すなわち、1重量部のBEMT対0.1~1重量部のHAP)、より好ましくは0.2~1(すなわち、1重量部のBEMT対0.2~1重量部のHAP)、最も好ましくは0.25~1の範囲(すなわち、1重量部のBEMT対0.25~1重量部のHAP)で選択される。
【0018】
本発明の全ての実施形態において、有利には、HAPの量はBEMTの量よりも少ない。したがって、好ましい実施形態では、本発明に従う組成物は、1未満、例えば、0.05~0.9の範囲、好ましくは0.1~0.75の範囲、最も好ましくは0.25~0.5の範囲のHAP対BEMTの重量比を示す。
【0019】
したがって、本発明の全ての実施形態において、局所組成物は、好ましくは、BEMT、D-パンテノール及びp-ヒドロキシアセトフェノンを含み、ここで、HAP対BEMTの重量比は、1重量部のBEMT対0.05~0.9重量部のHAP、1重量部のBEMT対0.1~0.8重量部のHAP、1重量部のBEMT対0.1~0.75重量部のHAP、1重量部のBEMT対0.2~0.6重量部のHAP、又は1重量部のBEMT対0.25~0.5重量部のHAPの範囲で選択される。
【0020】
さらなる実施形態では、局所組成物は、BEMT、D-パンテノール及びp-ヒドロキシアセトフェノンを含み、ここで、D-パンテノール対BEMTの重量比は、少なくとも1.1、好ましくは少なくとも1.2であり、且つHAP対BEMTの重量比は、0.05~0.9の範囲で選択される。
【0021】
さらなる実施形態では、局所組成物は、BEMT、D-パンテノール及びp-ヒドロキシアセトフェノンを含み、ここで、
- D-パンテノール対BEMTの重量比は少なくとも1.15、好ましくは少なくとも1.2であり、例えば、1.15~5、1.15~4、1.15~3、1.15~2、1.15~2で選択され、且つ
- HAP対BEMTの重量比は、0.05~1の範囲、好ましくは0.1~1の範囲、最も好ましくは0.2~1の範囲、例えば、0.25~1の範囲、例えば、1重量部のBEMT対0.05~0.9重量部のHAP、1重量部のBEMT対0.1~0.8重量部のHAP、1重量部のBEMT対0.1~0.75重量部のHAP、1重量部のBEMT対0.2~0.6重量部のHAP、1重量部のBEMT対0.25~0.5重量部のHAPの範囲で選択される。
【0022】
本発明に従う特に好ましい局所組成物は、BEMT、D-パンテノール及びp-ヒドロキシアセトフェノンを含み、ここで、D-パンテノール対BEMTの重量比は、1.1~5の範囲、好ましくは1.1~4の範囲、より好ましくは1.1~3の範囲、最も好ましくは1.1~2.5の範囲で選択され、且つHAP対BEMTの重量比は、0.1~0.75の範囲で選択される。
【0023】
本発明のさらなる実施形態では、BEMT、D-パンテノール及びp-ヒドロキシアセトフェノンを含む局所組成物は、化粧品組成物又は医薬組成物である。
【0024】
本発明のさらなる実施形態では、BEMT、D-パンテノール及びp-ヒドロキシアセトフェノンを含む局所組成物は、サンケア製品(すなわち、日焼け止め剤)である。
【0025】
本発明のさらなる実施形態は、特に洗浄後のBEMTの織物(布)染色を低減するため、及び/又は本発明に従う局所組成物で汚れた織物からその組成物を洗浄することを促進するための、上記の局所組成物の使用に関する。好ましくは、前記組成物はp-ヒドロキシアセトフェノンをさらに含む。
【0026】
別の実施形態では、本発明は、UVAフィルタ、例えば、好ましくはBEMT又はp-ヒドロキシアセトフェノンの存在下のBEMTに起因する織物(布)染色を低減するためのD-パンテノールの使用に関する。
【0027】
さらに、本発明は、好ましくはBEMTなどの少なくとも1つのUVAフィルタで汚れた織物からの前記UVAフィルタの洗浄性を促進するための、前記UVAフィルタを含有する局所組成物中でのD-パンテノールの使用に関する。前記組成物は、好ましくは、p-ヒドロキシアセトフェノンをさらに含む。
【0028】
本発明のさらなる実施形態は、特に洗浄後に、好ましくはBEMTなどの少なくとも1つのUVAフィルタを含む局所組成物による織物(布)染色を低減するための方法に関し、前記方法は、前記組成物にD-パンテノールを取り込むことを含む。前記組成物は、好ましくは、p-ヒドロキシアセトフェノンをさらに含む。
【0029】
別の実施形態では、本発明は、好ましくはBEMTなどの少なくとも1つのUVAフィルタを含有する局所組成物の織物からの洗浄性を促進するための方法及び使用に関し、前記方法は、前記組成物にD-パンテノールを添加することを包含する。前記組成物は、好ましくは、p-ヒドロキシアセトフェノンをさらに含む。
【0030】
本明細書で使用されるUVAフィルタという用語は、特に、BEMT、ブチルメトキシジベンゾイルメタン[PARSOL(登録商標)1789、CAS:70356-09-1]及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾアート[UVINUL(登録商標)A Plus、CAS:302776-68-7]を指し、最も好ましくは、BEMTを指す。
【0031】
D-パンテノール及びBEMT、又はBEMT及びp-ヒドロキシアセトフェノンの比率に関して本明細書に示される全ての優先度及び定義は、本発明に従う全ての使用及び方法にも当てはまることは十分に理解される。BEMT、D-パンテノール及びp-ヒドロキシアセトフェノンの含量(量)についても同じことが当てはまる。さらに、BEMTに対して与えられる量及び比率は、他のUVAフィルタ、すなわちブチルメトキシジベンゾイルメタン及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾアートにも当てはまる。
【0032】
特に有利な実施形態では、本発明に従う使用及び方法は、
- 少なくとも1.15、好ましくは少なくとも1.2であり、例えば、1.15~5、1.15~4、1.15~3、1.15~2、1.15~2の範囲で選択されるD-パンテノール対BEMTの重量比、及び
- 0.05~1の範囲、好ましくは0.1~1の範囲、最も好ましくは0.2~1の範囲、例えば、0.25~1の範囲、例えば、1重量部のBEMT対0.05~0.9重量部のHAP、1重量部のBEMT対0.1~0.8重量部のHAP、1重量部のBEMT対0.1~0.75重量部のHAP、1重量部のBEMT対0.2~0.6重量部のHAP、1重量部のBEMT対0.25~0.5重量部のHAPの範囲で選択されるHAP対BEMTの重量比
の使用を含む。
【0033】
本発明の全ての実施形態において好ましい局所組成物は、油性相及び水相を含有するエマルションであり、例えば、特に、O/W、W/O、Si/W、W/Si、O/W/O、W/O/W多重又はピッカリングエマルションである。このようなエマルション中に存在する油性相(すなわち、全ての油及び脂肪を含有する相)の量は、組成物の全重量に基づいて、好ましくは少なくとも10重量%、例えば、10~60重量%の範囲、好ましくは15~50重量%の範囲、最も好ましくは15~40重量%の範囲である。
【0034】
1つの好ましい実施形態によると、本発明に従う局所組成物は、O/W乳化剤の存在下、好ましくはリン酸セチル、例えば最も好ましくはセチルリン酸カリウムの存在下で水相中に分散された油性相を含むO/Wエマルションである。
【0035】
さらなる実施形態では、本発明は、日焼け止め剤として使用するための本明細書に記載される実施形態に従う局所組成物、又は本明細書に記載される実施形態に従う局所組成物の日焼け止め剤としての使用に関する。
【0036】
さらなる実施形態では、本発明は、上記の組成物のいずれか1つに従う組成物で汚れた織物から前記組成物を洗浄することを促進するためのD-パンテノールの使用に関する。
【0037】
さらなる実施形態では、本発明は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン又はビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン及びp-ヒドロキシアセトフェノンに起因する織物染色を低減するためのD-パンテノールの使用に関する。
【0038】
さらなる実施形態では、本発明は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン又はビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン及びp-ヒドロキシアセトフェノンを含む局所組成物による織物の染みを低減するための方法に関し、前記方法は、前記組成物にD-パンテノールを取り込むことを含む。
【0039】
さらなる実施形態では、本発明は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン又はビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン及びp-ヒドロキシアセトフェノンを含有する局所組成物の織物からの洗浄性を促進するための方法に関し、前記方法は、組成物にD-パンテノールを添加することを含む。
【0040】
ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(BEMT)に加えて、本発明に従う局所組成物中にさらなるUVフィルタが存在していてもよい。これらのUVフィルタは全ての市販のUVフィルタ物質であり、限定はされないが、例えば、特に(INCI名)ポリシリコーン-15、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、トリス-ビフェニルトリアジン、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、3-ベンジリデンカンファー、オクトクリレン、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘキシル、ホモサレート、エチルヘキシルトリアゾン、酸化亜鉛、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、ベンゾフェノン-3、二酸化チタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾアートである。
【0041】
さらに、局所組成物は、ポリシリコーンベースのUVフィルタをさらに含み得る。好ましくは、ポリシリコーンベースのUVフィルタは、ベンザルマロナートタイプの発色団残基を有する。最も好ましいポリシリコーンベースのUVは、DSM Nutritional Products Ltd.において商品名PARSOL(登録商標)SLXで市販されているポリシリコーン-15(INCI)である。
【0042】
好ましくはベンザルマロナートタイプの発色団残基を有するポリシリコーンベースのUVフィルタ、例えばポリシリコーン-15の、本発明に従う組成物中の量は、組成物の全重量に基づいて、好ましくは、0.1~10重量%の範囲、例えば、0.5~8重量%の範囲、例えば、最も好ましくは1~5重量%の範囲で選択される。さらなる範囲は、0.2~10重量%、0.3~9重量%又は0.4~8重量%である。
【0043】
しかしながら、本発明に従う全ての実施形態において、たとえ洗浄後に染色が著しく低減されるとしても、ポリシリコーン-15はBEMTの初期染色特性(洗浄前)を増大させるので、組成物はポリシリコーン-15を全く含有しないことが好ましい。
【0044】
本発明に従う局所組成物は局所適用を対象としているので、これらは、生理学的に許容可能な媒体、すなわち、皮膚、粘膜、及びケラチン繊維などのケラチン物質に適合する媒体を含む。特に、生理学的に許容可能な媒体は、美容的に許容可能な担体である。
【0045】
美容的に許容可能な担体という用語は、化粧品組成物中で従来使用されている全ての担体及び/又は賦形剤及び/又は希釈剤を指す。
【0046】
本発明に従う好ましい局所組成物は、スキンケア調製物、装飾調製物、及び機能性調製物である。
【0047】
スキンケア調製物の例は、特に、光防御調製物、アンチエイジング調製物、光老化を処置するための調製物、ボディオイル、ボディローション、ボディージェル、トリートメントクリーム、皮膚の保護軟膏、スキンパウダー、保湿ジェル、保湿スプレー、顔用及び/又は体用保湿剤、皮膚の日焼け用調製物(すなわち、ヒト皮膚の人工的/サンレス日焼け及び/又は褐色化のための組成物)、例えばセルフタンニングクリーム、並びに皮膚美白調製物である。
【0048】
装飾調製物の例は、特に、口紅、アイシャドウ、マスカラ、ドライ及びモイストメイクアップ製剤、ルージュ及び/又はパウダーである。
【0049】
機能性調製物の例は、限定はされないが、ホルモン調製物、ビタミン調製物、野菜抽出物調製物、アンチエイジング調製物、及び/又は抗微生物(抗菌又は抗真菌)調製物などの、活性成分を含有する化粧品組成物又は医薬組成物である。
【0050】
特定の実施形態では、本発明に従う局所組成物は、紫外線防御ミルク、紫外線防御ローション、紫外線防御クリーム、紫外線防御オイル、サンブロック、又はSPF(紫外線防御指数)を有するデイケアクリームなどの光防御調製物(サンケア製品)である。特に興味深いのは、紫外線防御クリーム、紫外線防御ローション、紫外線防御ミルク及び紫外線防御調製物である。
【0051】
本発明に従う局所組成物は、溶媒又は脂肪性物質中の懸濁液又は分散液の形態、或いは代替的に、エマルション若しくはマイクロエマルション(特に、水中油(O/W)型又は油中水(W/O)型、水中シリコーン(Si/W)型又はシリコーン中水(W/Si)型)、PIT-エマルション、多重エマルション(例えば、油中水中油(O/W/O)型又は水中油中水(W/O/W)型)、ピッカリングエマルション、ヒドロゲル、アルコールゲル、リポゲル、単相若しくは多相溶液、又は小胞分散液の形態、或いは他の通常の形態でよく、これらは、ペンによって、マスクとして、又はスプレーとして適用することもできる。
【0052】
本発明に従う局所組成物は、有利に、O/W乳化剤の存在下で水相中に分散された油性相を含む水中油(O/W)型エマルションの形態である。このようなO/Wエマルションの調製は当業者によく知られており、実施例で説明される。
【0053】
1つの有利な実施形態では、組成物はさらにリン酸エステル乳化剤を含有する。好ましいリン酸エステル乳化剤の中には、C8~10アルキルエチルホスフェート、C9~15アルキルホスフェート、セテアレス-2リン酸、セテアレス-5リン酸、セテス-8リン酸、セテス-10リン酸、リン酸セチル、C6~10パレス-4リン酸、C12~15パレス-2リン酸、C12~15パレス-3リン酸、DEA-セテアレス-2リン酸、DEA-リン酸セチル、DEA-オレス-3リン酸、セチルリン酸カリウム、デセス-4リン酸、デセス-6リン酸及びトリラウレス-4リン酸がある。本発明に従う特定のリン酸エステル乳化剤はセチルリン酸カリウムであり、例えば、DSM Nutritional Products Ltd KaiseraugstでAmphisol(登録商標)Kとして市販されている。
【0054】
本発明に従う局所組成物は、それがO/Wエマルションである場合、好ましくは、ジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30、ジラウリン酸PEG-4、ジオレイン酸PEG-8、オレイン酸PEG-40ソルビット、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル、PEG-20アーモンド脂肪酸グリセリル、PEG-25水添ヒマシ油、ステアリン酸グリセリル(及び)ステアリン酸PEG-100、オリーブ油脂肪酸PEG-7、オレイン酸PEG-8、ラウリン酸PEG-8、PEG-60アーモンド脂肪酸グリセリル、セスキステアリン酸PEG-20メチルグルコース、ステアリン酸PEG-40、ステアリン酸PEG-100、ラウリン酸PEG-80ソルビタン、ステアレス-2、ステアレス-12、オレス-2、セテス-2、ラウレス-4、オレス-10、オレス-10/ポリオキシル10オレイルエーテル、セテス-10、イソステアレス-20、セテアレス-20、オレス-20、ステアレス-20、ステアレス-21、セテス-20、イソセテス-20、ラウレス-23、ステアレス-100、クエン酸ステアリン酸グリセリル(glycerylstearatcitrate)、ステアリン酸グリセリル(自己乳化型)、ステアリン酸、ステアリン酸塩、ジステアリン酸ポリグリセリル-3-メチルグリコース(polyglyceryl-3-methylglycosedistearate)のリストから選択される少なくとも1つのO/W又はSi/W乳化剤を含有する。さらに適切な乳化剤は、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ラウリルグルコシド、デシルグルコシド、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ポリステアリン酸スクロース及び水和ポリイソブテンである。さらに、乳化剤として1つ又は複数の合成ポリマーが使用され得る。例えば、PVPエイコセンコポリマー、アクリレート/C10~30アルキルアクリレートクロスポリマー、アクリレート/ステアレス-20メタクリレートコポリマー、PEG-22/ドデシルグリコールコポリマー、PEG-45/ドデシルグリコールコポリマー、及びこれらの混合物。
【0055】
O/W乳化剤の別の特定の適切な種類は、例えば、商品名OLIVEM 1000で販売されている(INCI名)オリーブ油脂肪酸セテアリル及びオリーブ油脂肪酸ソルビタン(化学組成:オリーブ油脂肪酸のソルビタンエステル及びセテアリルエステル)として知られている、オリーブ油に由来する非イオン性自己乳化系である。
【0056】
さらに適切なのは、市販の高分子乳化剤、例えば、Noveonにより商品名Pemulen(登録商標)TR-1及びTR-2で市販されているアクリレート/C10~30アルキルアクリレートクロスポリマーなどの疎水的に改質されたポリアクリル酸である。
【0057】
特に適切な乳化剤の別の種類は、脂肪酸のポリグリセロールエステル又はジエステル(ポリグリセリルエステル/ジエステルとも呼ばれる)(すなわち、ポリグリセリンとのエステル化によって脂肪酸が結合されたポリマー)、例えば、EvonikでIsolan GPSとして市販されているもの[INCI名 ジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4(すなわち、イソステアリン酸、ポリヒドロキシステアリン酸及びセバシン酸の混合物とポリグリセリン-4とのジエステル)]、又はCognisで入手可能なDehymuls PGPH(INCI ジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-2)などである。
【0058】
また、例えばCrodaで入手可能なBrij 72(ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル)又はBrij 721(ポリオキシエチレン(21)ステアリルエーテル)などのポリアルキレングリコールエーテルも適している。
【0059】
少なくとも1つのO/W又はSi/W乳化剤は、好ましくは、組成物の全重量に基づいて0.5~10重量%、例えば、特に0.5~5重量%の範囲、例えば、最も具体的には0.5~4重量%の範囲の量で使用される。
【0060】
適切なW/O又はW/Si乳化剤は、ポリグリセリル-2-ジポリヒドロキシステアラト(dipolyhydroxystearat)、PEG-30ジポリヒドロキシステアラト(dipolyhydroxystearat)、セチルジメチコンコポリオール、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3オレイン酸/イソステアリン酸のポリグリセロールエステル、ヘキサリシノール酸ポリグリセリル-6、オレイン酸ポリグリセリル-4、オレイン酸ポリギルセリル-4(polygylceryl-4 oleate)/ヤシ油脂肪酸PEG-8プロピレングリコール、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、リシノール酸カリウム、ヤシ油脂肪酸ナトリウム、牛脂脂肪酸ナトリウム、ヒマシ油脂肪酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、及びこれらの混合物である。さらに適切なW/Si乳化剤は、ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及び/又はPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及び/又はセチルPEG/PPG-10/1ジメチコン及び/又はPEG-12ジメチコンクロスポリマー及び/又はPEG/PPG-18/18ジメチコンである。少なくとも1つのW/O乳化剤は、好ましくは、組成物の全重量に関して約0.001~10重量%の量、より好ましくは0.2~7重量%の量で使用される。
【0061】
本発明に従う局所組成物は、さらに有利には、少なくとも1つの補助界面活性剤、例えば、モノ及びジグリセリド、並びに/又は脂肪アルコールの群から選択されるものを含有する。補助界面活性剤は、組成物の全重量に基づいて、一般に0.1~10重量%の範囲、例えば、特に0.5~6重量%の範囲、例えば、最も具体的には1~5重量%の範囲で選択される量で使用される。特に適切な補助界面活性剤は、アルキルアルコール、例えば、セチルアルコール(Lorol C16、Lanette 16)、セテアリルアルコール(Lanette O)、ステアリルアルコール(Lanette 18)、ベヘニルアルコール(Lanette 22)、ステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル(Estol 3650)、水添ココ-グリセリド(Lipocire Na10)、並びにこれらの混合物のリストから選択される。
【0062】
本発明に従うO/Wエマルション形態の組成物は、例えば、O/Wエマルションのための全ての製剤形態で、例えば、セラム、ミルク又はクリームの形態で提供することができ、これらは、通常の方法に従って調製される。本発明の主題である組成物は局所適用を対象としており、特に、例えばUV放射線の有害作用に対してヒト皮膚を保護すること(抗しわ、アンチエイジング、保湿、抗紫外線防御など)が意図される皮膚用組成物又は化粧品組成物を構成することができる。
【0063】
本発明の有利な実施形態によると、組成物は化粧品組成物を構成し、皮膚への局所適用を対象とする。
【0064】
最後に、本発明の主題は、特に皮膚などのケラチン物質の美容的処置のための方法であり、ここで、上記の組成物が、特に皮膚などの前記ケラチン物質に適用される。本方法は、特に日光皮膚炎及び/又は光老化などのUV放射線の有害作用に対して皮膚を保護するのに特に適している。
【0065】
本発明によると、本発明に従う組成物は、皮膚美白;日焼け防止;色素沈着過剰の処置;ざ瘡、しわ、筋、萎縮及び/又は炎症の防止又は低減;キレート剤及び/又は捕捉剤;抗セルライト及び痩身(例えば、フィタン酸)、引き締め、保湿及び活性化(energizing)、セルフタンニング、鎮静化のための成分、並びに弾力性及び皮膚バリアを改善するための薬剤、及び/又はさらなるUVフィルタ物質、青色光防御剤、並びに局所組成物において従来使用されている担体及び/又は賦形剤若しくは希釈剤などのさらなる成分を含み得る。他に何も記載されなければ、以下で言及される賦形剤、添加剤、希釈剤などは、本発明に従う局所組成物に適している。化粧品及び皮膚用の補助剤及び添加剤の必要量は、所望の製品に基づいて、当業者により容易に決定することができる。追加の成分は、油性相に、水相に、又は適切であると考えられる場合にはこれらとは別に添加することができる。添加の方法は、当業者によって容易に適合され得る。
【0066】
本明細書において有用な美容的に活性な成分は、場合により、2つ以上の利益を提供することができる、又は2つ以上の作用機序によって作用することができる。
【0067】
本発明の局所化粧品組成物は、通常の化粧品補助剤及び添加剤、例えば、保存剤/酸化防止剤、脂肪性物質/油、水、有機溶媒、シリコーン、増粘剤、柔軟剤、乳化剤、日焼け止め剤、消泡剤、保湿剤、香料などの美的成分、界面活性剤、充填剤、封鎖剤、アニオン性、カチオン性、非イオン性若しくは両性ポリマー若しくはこれらの混合物、噴射剤、酸性化若しくは塩基性化剤、染料、着色料/着色剤、研磨剤、吸収剤、精油、皮膚感覚剤、収斂剤、消泡剤、顔料若しくはナノ顔料、例えば、紫外放射線を物理的に遮断することにより光防御効果を提供するのに適したもの、又は化粧品組成物に通常配合される任意の他の成分も含有し得る。本発明の組成物で使用するのに適しており、スキンケア産業で一般に使用されるこのような化粧品成分は、例えば、限定はされないが、オンラインINFO BASE(http://online.personalcarecouncil.org/jsp/Home.jsp)により利用可能なPersonal Care Product Council(http://www.personalcarecouncil.org/)によるInternational Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbookに記載される。
【0068】
化粧品及び皮膚用の補助剤及び添加剤の必要量は、当業者により(所望の生成物に基づいて)容易に選択することができ、限定はされないが、実施例において説明されるであろう。
【0069】
当然ながら当業者は、本発明に従う組合せと本質的に関連する有利な特性が、想定される1つ又は複数の追加によって悪影響を受けないか、又は実質的に受けないように、上記の任意選択的な追加の1つ又は複数の化合物及び/又はその量を注意して選択するであろう。
【0070】
本発明に従う局所組成物は、一般に、3~10の範囲のpH、好ましくは4~8の範囲のpH、最も好ましくは4~7の範囲のpHを有する。pHは、当該技術分野における標準的な方法に従って、例えばクエン酸などの適切な酸、又はNaOHなどの塩基を用いて、所望されるように容易に調整することができる。
【0071】
本発明に従う局所組成物はさらに、皮膚を鎮静化及び軟化させる1つ又は複数の皮膚軟化剤を含有していてもよい。例として、皮膚軟化剤は、炭酸ジカプリリル又は安息香酸C12~15アルキルであり得る。さらなる皮膚軟化剤は、シリコーン(ジメチコン、シクロメチコン)、植物油(ブドウ種子、ゴマ種子、ホホバなど)、バター(ココアバター、シアバター)、アルコール(ステアリルアルコール、セチルアルコール)、及びペトロラタム誘導体(ワセリン、鉱油)である。
【0072】
本発明に従う化粧品組成物は、有利に、保存剤又は保存増強剤を含む。好ましくは、追加の保存剤又は保存増強剤は、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリン、カプリル酸グリセリル、カプリリルグリコール、1,2-ヘキサンジオール、プロパンジオール、プロピレングリコール、及びこれらの混合物からなる群から選択される。存在する場合、保存剤又は保存増強剤は、組成物の全重量に基づいて、好ましくは、0.01~2重量%の量、より好ましくは0.05~1.5重量%の量、最も好ましくは0.1~1.0重量%の量で使用される。本発明に従う化粧品組成物は、例えばパラベン及び/又はメチルイソチアゾリノンなどの任意のさらなる/他の保存剤を含有しないことが特に好ましい。
【0073】
以下の実施例は、本発明の組成物及び効果をさらに説明するために提供される。これらの実施例は説明のためだけのものであって、本発明の範囲を限定することは決して意図されない。
【0074】
[実験部分]
表1に概説されるクリーム製剤を調製した。その後、以下の手順でクリームを綿の布地に適用した:弾力性のストラップを有するプラスチックボトルの最上部に、織物(A5サイズの綿織物の切断片)を固定する。織物が固定されたボトルをはかりに乗せる。0.36g(+/-0.1g)の日焼け止め製剤を布地の上に秤量し、直径5cmの領域に均一に分配する。次に、布地を15分間乾燥させた後、スポットのL、a、b値を測定した。
【0075】
その後、300mlの水及び1gの洗剤を含むビーカー中40℃で、攪拌しながら布地を1時間洗浄した後、300mlの新たな水の中で布地を15分間すすいだ。布地を15分間乾燥させた後、スポットのL、a、b値を再度測定した。各試行について、3枚の別の布地を使用し、したがって、各結果は3枚の布地の平均である。
【0076】
b値の説明:b値が高いほど布地はより黄色であり、数値がより負であるほど布地はより白色/青みがかった色である。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
表2から読み取ることができるように、BEMTを含む局所組成物に多量のD-パンテノールを添加すると、その染色は著しく低減される。