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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】容器の製造方法、容器の製造装置、容器
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/42 20060101AFI20230808BHJP
   B29C 49/04 20060101ALI20230808BHJP
   B65D 1/02 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
B29C49/42
B29C49/04
B65D1/02 221
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022580287
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 JP2022047336
【審査請求日】2023-01-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514192398
【氏名又は名称】ギバーライフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085291
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 実
(74)【代理人】
【識別番号】100117798
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 慎一
(74)【代理人】
【識別番号】100166899
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 慶太
(72)【発明者】
【氏名】平井 俊宇
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0134124(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2022/0127036(US,A1)
【文献】国際公開第2022/029028(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00-49/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項16】
前記手段Aにおいて、前記コアが、前記ダイに設けられた中央の穴の中心位置から偏心させた位置になるよう配され、前記ダイから押し出される前記パリソンの肉厚を一部の周壁が他部の周壁よりも薄く形成されるよう押し出す手段を有し、形成された容器が周方向に異なる肉厚で形成される、
請求項9乃至13のいずれか1項記載の容器の製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肉厚の異なる部分を具備する容器、その製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のダイレクトブロー成形装置は、溶融状態の熱可塑性樹脂をチューブ状に押し出してパリソンを形成するパリソン形成ダイ(以下、単に「ダイ」という。)と、ダイの熱可塑性樹脂の排出開口部の中央に配置されたコアと、形成されたパリソンの一端部を封止した状態でパリソンを挟み込み、内側から膨張させて容器形状とするための容器型と、を備える。
【0003】
また、従来のダイレクトブロー成形装置では、異なる肉厚の容器を成形できるよう、パリソンの厚みを変えるためコアを上下に調整できるようになっている(特許文献1参照)。また、特許文献1のダイレクトブロー成形装置は、コアを傾斜できるようになっていて、容器の周方向の厚みを調整できるようになっている。
【0004】
その他、容器の内面にリブ(凸部)を形成するために、コアに溝を形成する発明が開示されている(特許文献2参照)。このコアの溝は、コアの軸方向に沿って延びていて、この溝によって、ダイから押し出されるパリソンの内面に、高さ方向に沿った直線状のリブが形成される。そして、このパリソンを上述した容器型に入れて、パリソンを容器の形状に膨張させることで、内面に高さ方向に沿った直線状のリブを有する容器が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-228734号公報
【文献】特公平1-18846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のダイレクトブロー成形装置では、容器の均一な肉厚の調整や、容器の内面に高さ方向に沿った直線状のリブを形成することはできるものの、容器の内面に高さ方向に連続する凹凸を備える容器を製造することはできず、そのような発想さえなかった。また、容器の内面に高さ方向に連続する凹凸を備える容器も存在しなかった。
【0007】
また、容器の外面側に凹凸を形成する場合は、パリソンを挟み込む容器型を凹凸のある形状にすれば容易く形成できるが、内面側に凹凸を具備する容器や肉厚が異なる容器を形成することはできなかった。
【0008】
本発明の発明者は、容器の内面に凹凸を形成するために鋭意研究を行い、試行錯誤のすえ、本発明の完成に至ったものである。本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、内面側に凹凸を具備する容器の製造方法及び製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の態様にかかる容器の製造方法は、容器の製造方法であって、チューブ状のパリソンを形成する工程Aと、前記パリソンを金型で挟み込む工程Bと、前記パリソンを内側から膨らませて容器を形成する工程Cとを備え、前記工程Aは、前記パリソンを形成する樹脂がダイから押し出される際に、コア又はダイが上下動して肉厚の異なるパリソンが連続して押し出され、形成された容器の内面に凹凸が形成されることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、コア又はダイが連続して上下動することで、コアとダイのクリアランスが変わり、そこから押し出される樹脂の量が変わる。これにより、押し出されたパリソンの肉厚が高さ方向で異なるものとなり、このパリソンを金型で挟み込んだ状態で、エアー等によって内側からパリソンを膨らませることで、容器の内面に凹凸を形成することが可能となる。この製造方法によって形成される凹凸は、高さ方向に形成され、凹部と凸部が滑らかに連続する凹凸となる。
【0011】
また、この容器の製造方法は、前記工程Aが、所定の間隔、所定の振幅でコア又はダイを上下動させるものである。この構成によれば、所定の間隔で、所定の肉厚の容器を製造することができる。
【0012】
また、この容器の製造方法は、前記工程Aが、容器の内面の高さ方向の全長に渡って連続する凹凸が形成されるようにコア又はダイを上下動させることができる。この構成によれば、容器の内面の高さ方向の全長に渡って、連続する凹凸が形成された容器とすることができる。
【0013】
また、この容器の製造方法は、前記工程Aが、容器の内面の高さ方向の一部に渡って連続する凹凸が形成されるようにコア又はダイを上下動させ、それ以外の他部は凹凸が形成されないようにコア及びダイを上下動させないようにすることができる。この構成によれば、容器の内面の高さ方向の一部に連続する凹凸が形成され、その他の部分が均一な肉厚の容器とすることができる。
【0014】
また、この容器の製造方法は、形成された容器が高さ方向に異なる肉厚で形成されるようにすることができる。この構成によれば、容器の高さ方向において、周壁の肉厚の異なる部分が在する容器とすることができる。
【0015】
また、この容器の製造方法は、前記工程Aが、前記ダイから押し出されて垂れ下がった前記パリソンの下端を挟持し、該パリソンの下端を挟持したまま該パリソンを周方向へ捻る工程を備える構成とすることができる。この構成によれば、容器の内面に凹凸が形成され、かつ、螺旋状の模様を有する容器とすることができる。
【0016】
また、この容器の製造方法は、前記工程Aが、突条を内面に有するチューブ状のパリソンを形成する工程を含む。この構成によれば、容器の内面に凹凸が形成され、かつ、高さ方向に直線状の突条を有する容器とすることができる。
【0017】
また、この容器の製造方法は、前記工程Aにおいて、前記コアを、前記ダイに設けられた中央の穴の中心位置から偏心させた位置になるよう配し、前記ダイから押し出される前記パリソンの肉厚を一部の周壁が他部の周壁よりも薄く形成されるよう押し出し、形成された容器が周方向に異なる肉厚で形成されるようにすることができる。
【0018】
この構成によれば、コアをダイの中央の穴の中心位置から偏心させた位置に配置することで、コアとダイのクリアランスが左右で変わり、そこから押し出される樹脂の量が変わる。これにより、押し出されたパリソンの肉厚が周方向で異なるものとなり、このパリソンを金型で挟み込んだ状態で、エアー等によって内側からパリソンを膨らませることで、容器の周方向で肉厚が異なる容器を形成することができる。
【0019】
本発明の一の態様にかかる容器の製造装置は、容器の製造装置であって、チューブ状のパリソンを形成する手段Aと、前記パリソンを金型で挟み混む手段Bと、前記パリソンを内側から膨らませて容器を形成する手段Cとを備え、前記手段Aは、前記パリソンを形成する樹脂がダイから押し出される際に、コア又はダイが上下動して肉厚の異なるパリソンが連続して押し出す手段であり、形成された容器の内面に凹凸が形成されることを特徴とする。この構成によれば、この製造装置を用いることで、内面に凹凸が形成される容器を製造することができる。
【0020】
また、この容器の製造装置は、前記手段Aが、所定の間隔、所定の振幅でコア又はダイを上下動させる手段を有する構成とすることができる。
【0021】
また、この容器の製造装置は、前記手段Aが、容器の内面の高さ方向の全長に渡って凹凸が形成されるようにコア又はダイを上下動させる手段を有する構成とすることができる。
【0022】
また、この容器の製造装置は、前記手段Aが、容器の内面の高さ方向の一部に渡って凹凸が形成されるようにコア又はダイを上下動させ、それ以外の他部は凹凸が形成されないようにコア及びダイを上下動させない手段を有する構成とすることができる。
【0023】
また、この容器の製造装置は、形成された容器が高さ方向に異なる肉厚で形成される構成とすることができる。
【0024】
また、この容器の製造装置は、前記手段Aが、前記ダイから押し出されて垂れ下がった前記パリソンの下端を挟持し、該パリソンの下端を挟持したまま該パリソンを周方向へ捻る手段を有する構成とすることができる。
【0025】
また、この容器の製造装置は、前記手段Aが、突条を内面に有するチューブ状のパリソンを形成する手段である構成とすることができる。
【0026】
また、この容器の製造装置は、前記手段Aにおいて、前記コアが、前記ダイに設けられた中央の穴の中心位置から偏心させた位置になるよう配され、前記ダイから押し出される前記パリソンの肉厚を一部の周壁が他部の周壁よりも薄く形成されるよう押し出す手段を有し、形成された容器が周方向に異なる肉厚で形成される構成とすることができる。
【0027】
本発明の一の態様にかかる容器は、外面がフラットに形成され、内面の高さ方向に連続する凹凸が形成されていることを特徴とする。この構成によれば、従来は製造できなかった外面がフラットで、内面の高さ方向に連続する凹凸が形成された容器となすことができる。
【0028】
また、この容器は、前記凹凸が、内面の高さ方向の全長に渡って連続する凹凸が形成されている。
【0029】
また、この容器は、前記凹凸が、内面の高さ方向の一部に渡って凹凸が形成されていて、それ以外の他部に凹凸が形成されていない。
【0030】
また、この容器は、高さ方向に異なる肉厚で形成されている。
【0031】
また、この容器は、内面に高さ方向に渡って突条が形成されている。
【0032】
また、この容器は、前記突条が螺旋状に形成されている。
【0033】
また、この容器は、周方向に異なる肉厚で形成されている。
【発明の効果】
【0034】
本発明は、内面側に凹凸を具備する容器とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
<容器の製造装置>
以下、本発明に係る一実施形態を図面に基づき説明するが、本発明は下記実施形態に限定されるものではない。図1は本発明の第一実施形態に係る容器の製造工程を示す、容器の製造装置の概略図である。図2は同容器の製造装置のパリソン形成機の断面図である。図3は同パリソン形成機の要部の断面図である。図4はX-X断面図である。図5はパリソン形成機のコアの動きを説明する説明図である。図6はコアを制御する制御図である。
【0036】
(1.全体構成)
まず、容器の製造装置について説明し、容器の製造方法、容器の順に説明する。
この製造装置は、ダイレクトブロー成形により、内面に凹凸を有する容器を容易に製造することができる製造装置1(以下「ダイレクトブロー成形装置1」と称する。)である。
【0037】
図1に示すように、ダイレクトブロー成形装置1は、チューブ状のパリソン4を形成するパリソン形成機5と、パリソン4を容器形状に膨張させて容器2を得る容器形成機6とを備えている。そして、パリソン形成機5によって、溶融樹脂3がパリソン4を押しだし、パリソン4が容器形成機6に挟み込まれた状態で、パリソン4の内部からエアーによって膨張され、容器が形成される。なお、ダイレクトブロー成形装置1では、容器形成機6が、パリソン形成機5に対して移動自在に構成されている。
【0038】
(2.パリソン形成機)
図1図2に示すように、パリソン形成機5は、熱可塑性の樹脂3を加熱し、加熱されて溶融状態になった樹脂3をチューブ状に押し出し、これによりパリソン4が形成される。本実施形態の一例として、樹脂3にPETを使用しているが、その他の熱可塑性の樹脂を用いることも可能である。
【0039】
パリソン形成機5は、溶融状態の熱可塑性樹脂をチューブ状に押し出してパリソン4を形成するためのダイヘッド本体8と、溶融された樹脂をダイヘッド本体8に供給する樹脂材料供給部7とを有している。
【0040】
樹脂材料供給部7は、漏斗状をなす樹脂材料投入口11、樹脂材料投入口11の下部に設置され樹脂材料を加熱するための円筒状をなす加熱筒12と、加熱筒12の内部の樹脂材料を押し出すための押し出しスクリュー13と、押し出しスクリュー13を駆動する電動モータ14とを有している。
【0041】
押し出しスクリュー13は、加熱筒12の内部に加熱筒12と同軸に設置されて円柱状をなし、外周にらせん状の歯を有している。押し出しスクリュー13は、電動モータ14より駆動されて回転する。これにより、加熱筒12内にある樹脂が、ダイヘッド本体8に押し出される。
【0042】
(3.ダイヘッド)
図2図3に示すように、ダイヘッド本体8は、溶融状態の熱可塑性樹脂をチューブ状に押し出す際の軸型となるマンドレル18が入れ子状に嵌合され、ダイヘッド本体8の内周面と、マンドレル18の外周面との間に、環状通路19が形成される。
【0043】
また、ダイヘッド本体8の端部には環状のダイ20が配され、ダイヘッド本体8に挿通されて、先端がダイ20と面一か突出するコア30が配されている。
【0044】
ダイヘッド本体8の軸芯とコア30の軸芯は、同一線上に設けられている。コア30は、マンドレル18を挿通するコアシャフト15の一方端部に連結され、コアシャフト15の他方端部はダイヘッド本体8の開口部とは反対側の端部に連結され、サーボモータ16に接続されて、コア30が上下動可能に構成されている。
【0045】
また、このサーボモータ16は、図示しない制御部に接続されていて、サーボモータ16を制御することで、コア30が上下動できるよう制御される。
【0046】
図3図4に示すように、コア30の中央には、通風口32から軸方向に伸びる通風路34が形成されている。この通風路34については後述する。
【0047】
また、ダイヘッド本体8の内周面とコア30の外周面との間には、環状通路19に続く環状の樹脂経路が形成されている。
【0048】
ダイ20は、ダイヘッド本体8の端部に配され、ダイ20の内周面とコア30の外周面との間に環状の樹脂経路が形成されている。そして、ダイ20の開口部において、ダイ20とコア30とによって、環状のパリソン吐出用のノズル口33が形成されている(図4参照)。これにより、押出機から投入された樹脂が樹脂通路を通過して、パリソン4がノズル口33から吐出される。
【0049】
なお、本実施形態において、ダイ20は、開口部近傍の内周面において、テーパ面を有している。そして、コア30をダイヘッド本体8の上下方向に移動させることで、ダイ20とコア30との隙間が変化して、押し出される樹脂量及びパリソンの厚みが変更される(図5参照)。
【0050】
なお、コア30の形状は、本実施形態においては底面が円形で構成されているが、これに限らず歯車形状や星形形状などとすることも可能である。また、ダイ20は、上下方向だけでなく、水平方向に移動可能な構成としてもよい。このようにすれば、ダイ20の下面の穴と、コア30の底面との隙間を調整することができ、周方向でパリソンの厚みを調整することが可能となる。これにより、周方向で肉厚の異なる容器を製造することができる(図12参照)。
【0051】
また、パリソン形成機5は、マンドレル18に形成された後述する通風路22と、通風路22に加圧冷却気体を供給する気体供給源17とを有している。
【0052】
気体供給源17は、気体流としての加圧冷却気体を、マンドレル18の通風路22に供給している。通風路22は、パリソン4の内側に通じている。加圧冷却気体は、例えば、所定の圧力の常温の空気である。
【0053】
これにより、加圧冷却気体が、通風路22を通じて、通風口32からパリソン4内に吹き込まれるようになっている。その結果、ダイヘッド本体8により形成されたパリソン4をチューブ状に保つことができる。
【0054】
(4.容器形成機)
次に、チューブ状になったパリソン4を容器の形にする容器形成機6について説明する。図1に示すように、容器形成機6は、基台60と、基台60に設置された2つの容器型25と、形成される容器2の口部の径に応じたブローピン26を有する打ち込み装置27と、基台60とともに容器型25及び打ち込み装置27を移動させる移動機構(図示なし)とを備える。容器型25は、パリソン4を挟み込み、パリソン4の内部から空気等を吹き出して膨張させ、容器形状に形成するためのものである。
【0055】
具体的には、パリソン4の一部を、容器型25内に収容し、容器型25内に収容されたパリソン4を、ブローピン26から高圧の空気を噴射して、パリソン4を内側から容器形状に膨張させて冷却して、容器2を得るようになっている。
【0056】
なお、ブローピン26は、コア30及びマンドレル18の中央を挿通する形で配されていてもよく、この場合ブローピンを上下動可能に構成し、容器型で挟み込まれたパリソン4の上方から挿通して加圧冷却気体を吹き出す構成としてもよい。また、ブローピンを用いずに、通風路22からコア30の通風口32を介して、パリソン4の上方から、加圧冷却気体を吹き出す構成とすることもできる。
【0057】
容器型25は、容器2を形成する部分としての凹部の内面が、容器2の外面の形状に形成されている。また、容器型25は、横方向に相対移動可能な一対の分離型29により構成されている。なお、本実施形態の分離型29は左右一対で構成されているが、例えば3つや4つの構成としてもよい。
【0058】
容器型25がダイヘッド本体8の下側に移動した後、パリソン4が一対の分離型29の間に配置されると、互いに離隔していた一対の分離型29が互いに接近して、分離面同士が互いに接するようになっている。この状態の容器型25内で、パリソン4を膨張させて容器形状に形成するようになっている。
【0059】
また、容器形成機6は、ブローピン26に形成された通風路と、この通風路に加圧冷却気体を供給する第2の気体供給源28とを有している。
【0060】
第2の気体供給源28は、加圧冷却気体としての所定の圧力の常温の空気を、ブローピン26の通風路に供給している。この通風路は、容器型25内にあるパリソン4の内側に連通可能である。これにより、加圧冷却気体が、通風路を通じて、パリソン4内に所要のタイミングで吹き出されるようになっている。
【0061】
容器型25による容器2の形成が終了すると、容器形成機6の移動機構が、容器型25をダイヘッド本体8の下側から退避させるとともに、次の容器型25をダイヘッド本体8の下側へ移動させる。この構成により、連続して容器2を形成することができる。
【0062】
<容器の製造方法>
(1.全体)
続き、容器の製造方法(以下、ダイレクトブロー成形方法という)について説明する。本実施形態のダイレクトブロー成型方法は、(1)溶融状態の熱可塑性樹脂3をチューブ状に押し出しパリソン4を形成するパリソン形成工程と、(2)形成されたパリソン4を容器型25で挟み込み、容器型25内のパリソン4内に加圧冷却気体を吹き込むことによりパリソン4を容器形状に膨張させつつ冷却し、容器2を得る容器形成工程と、を主として備えている。
【0063】
(2.パリソン形成工程)
図1に示すように、パリソン形成工程では、固形状態の樹脂3が樹脂材料投入口11から加熱筒12に投入される。加熱筒12に投入された樹脂3は、加熱筒12の熱を受け、徐々に溶融する。これとともに、溶融した樹脂3は、電動モータ14により駆動された押し出しスクリュー13の押し出し力により、加熱筒12からダイヘッド本体8に運ばれる。
【0064】
ダイヘッド本体8に達した溶融状態の樹脂3は、環状通路19を通過し、ダイヘッド本体8の下方へ押し出される。これにより、チューブ状のパリソン4が形成される。
【0065】
この時、サーボモータ16の制御によって、コア30が上下に往復移動することで、ダイ20とコア30との隙間が随時変化するとともに、押し出される樹脂量が変化する。これにより、高さ方向に厚い肉厚と、薄い肉厚とが交互になった状態のパリソン4が押し出される(図5図6参照)。
【0066】
また、このパリソン4が形成されるときに、通風路22から通風口32を通して加圧冷却気体が吹き出される。この加圧冷却気体は、弱く加圧(たとえば、0.5~1.0kg/cm)されており、容器型25で挟み込んだ状態でパリソン4の内側から吹き込む加圧冷却気体よりも低圧としている。通風路22の加圧冷却気体が、軟化状態にある円筒状のパリソン4の内側の空洞に向けて吹き出されたときに、円筒状のパリソン4の形状が実質的に変化しないようにするためである。
【0067】
(3.容器形成工程)
次に、図1に示すように、パリソン4の外側に、一対の分離型29が開いた状態で位置決めされる。このとき、パリソン4はダイから垂れ下がった状態である。その後、一対の分離型29がパリソン4を挟み込むことにより、パリソン4の下側が封止される。なお、パリソン4の下端部分は切断される。
【0068】
次に、下端部が封止されたパリソン4の上端部が、ホットカッター(図示せず)により切断される。
【0069】
また、通風路22からの加圧冷却気体は、パリソン4の形成開始の時点から、パリソン4の所定部が切断されるまでのあいだ吹き出されている。なお、加圧冷却気体は、所要のタイミングで吹き出されるようにしてもよい。
【0070】
次に、切断されたパリソン4の上端部の開口に、ブローピン26が挿入される。その後、ブローピン26の通風路の吹出口から、約0.39~0.49MPaの加圧空気が、底部が閉塞されたパリソン4内に吹き込まれる。これにより、高温で半固形状態にあるパリソン4が膨張する。その結果、パリソン4の肉厚が薄くなりながら膨らみ、パリソン4が容器型25の内面に沿うように形成される。
【0071】
この時、高さ方向に肉厚の厚い部分と薄い部分とが交互に連続しているので、パリソン4が膨張すると、外側は容器型に沿った形状となる一方、肉厚の厚い部分が内側に隆起したような形状となる。これにより、肉厚の厚い部分と薄い部分とで、内側に隆起した凸部201と隆起していない凹部202とが交互に滑らかに連続した形状の容器が半固形状態で形成される(図7参照)。
【0072】
ついで、容器型25を冷却することにより、容器2が固形化される。そして、一対の分離型29を互いに離隔させて、一対の分離型29から容器2を取り外し、図7に示す容器2が完成する。
【0073】
なお、通風路22および通風路34を通る加圧冷却気体としては、空気に限らず、パリソン4を形成する樹脂3と反応しない気体、例えば不活性ガスでもよい。
【0074】
<容器>
図8は、本実施形態の容器の縦断面図である。容器2は、有底の角筒状であり、頂部に口部が形成され、口部の外周面には雄ねじが形成されている。また、容器2は、内側に隆起した凸部201と隆起していない凹部202とが高さ方向に連続する一方、外側の各面は凹凸のない平坦な面で形成され、すっきりした外形を有する。
【0075】
このように構成された容器2は、その外側の面は凹凸がなく平坦な面であるので、ラベルを貼付することが容易であるし、積み重ねることも容易である。また、容器2が透明または半透明とすることで、内側に隆起した凸部と隆起していない凹部とが高さ方向に連続しているので、外から見た時に光の反射や屈折などで、非常に綺麗で見栄えがよい。また、中に入れた液体が外から視認できるので、化粧品や医薬品などを収容するための容器として好適である。
【0076】
また、内側に隆起した凸部の隆起分量や、凸部のスパンは、上述したコア30の上下動の制御によって変更可能である(図6参照)。例えば、図8(a)は、容器2よりも凸部のスパンを長くした容器である。また、図8(b)(c)に示すように、連続した凸部が高さ方向全てに表れる容器2以外に、一部のみに形成された容器とすることも可能である。また、図8(d)に示すように、容器型25を変更することで、角筒状以外に円筒状や球形のほか、高さ方向の中間部が膨らんだ丸みを帯びた形状などとすることも可能である。
【0077】
<その他の実施形態>
本発明は、上記の実施形態のほか、例えば、以下のような構成とすることも可能である。図9(a)(b)は上記と別の実施形態の容器の製造工程を示す容器の製造装置の概略図である。図10はY-Y断面図である。図11は別の実施形態に係る容器を示す図である。図12は別の実施形態に係る容器の製造装置のパリソン形成機のコアの動きを説明する説明図である。
【0078】
(1.内面に突条を形成する構成)
上記した実施形態のコア30は、底面が円形状に構成されたものであるが、これにかえて図10に示すように、歯車状の底面を有するコア110とすることで、内面に突条が形成された容器とすることができる。
【0079】
このコア110は、複数の凹溝111が、マンドレル18の周方向に関して、互いに均等に離隔して配置されている。複数の凹溝111は、互いに等しい形状とされている。各凹溝111は、環状通路19における樹脂3の流れ方向の両側に向けて開放されている。凹溝111は、環状通路19の出口の一部を区画している。
【0080】
また、コアには、加圧冷却気体を吹き出す複数の吹出口112と、各凹溝111から中央に向けて伸びる風路113と、中央に環状の風路114とが形成されている。
【0081】
そして、本実施形態のパリソン形成機5によれば、凹溝111付きのマンドレル18を有するダイヘッド本体8の環状通路19を通して、溶融状態の熱可塑性樹脂を押し出すことにより、内周に突条120を有するチューブ状のパリソン4を形成できる。このパリソン4形成時に、マンドレル18の通風路から凹溝111を通して気体流をパリソン4内に吹き込むことができる。
【0082】
したがって、気体流を、凹溝111を通してパリソン4の内周の突条120(図9(a)参照)に重点的に沿うようにして流すことができるので、パリソン4の突条120を集中的に冷却でき、パリソン4の突条120の形を崩れないように維持することができる。例えば、上述のように形成されたパリソン4を膨張させて容器形状に形成するときに、突条120の形状崩れを抑制することができ、その結果、容器の内周に形状精度の良い突条211を形成することができる(図11(a))。また、上記気体流によって、凹溝111内を通過する突条120の表面と凹溝111の内面との間に、薄い気体層が形成されるので、凹溝111内を熱可塑性樹脂が流動し易くなる。
【0083】
そして、この製造装置を用いることで、樹脂が押し出されパリソン4が形成される時に、マンドレル18の吹出口112(図10参照)から加圧冷却気体をパリソン4の内周の突条120に沿うように流れる。これが、パリソンの内面の突条120を冷却する冷却工程である。これにより、パリソン4の突条120を集中的に冷却でき、パリソン4の突条120の形を崩れないように維持することができる。
【0084】
したがって、例えば、上述のように形成されたパリソン4を膨張させて容器形状に形成するときに、突条120の形状崩れを抑制することができ、その結果、図11(a)に示す容器の胴部の内周面に形状精度の良い突条211を形成することができる。
【0085】
また、通風路22からの加圧冷却気体によって、凹溝111内を通過する突条120の表面と凹溝111の内面との間に、薄い気体層が形成されるので、凹溝111内を熱可塑性樹脂3が流動し易くなる。その結果、容器2の螺旋条221の形状精度をより一層高めることができる。
【0086】
また、通風路22の吹出口112は、凹溝111の最上流側端部の底に配置されている。これにより、加圧冷却気体は、パリソン4の突条120を形成直後にすぐに冷却し始めることができる。
【0087】
また、通風路22の吹出口112が、凹溝111を形成する部材としての凹溝形成部材に形成されているので、吹出口112と凹溝111とが互いに精度良く位置決めされる。これにより、通風路22からの加圧冷却気体を凹溝111に確実に沿わせることができる。その結果、容器の突条211の形状精度をより一層高めることができる。
【0088】
このコアの構成を変更した製造装置によって形成される容器は、内面に高さ方向に隆起部が連続し、かつ、内面に高さ方向に伸びる突条を備える容器となる。
【0089】
(2.螺旋条形成機を備えた製造装置)
図9(b)に示すように、上記した実施形態の製造装置に、内面に螺旋条などを形成するために、パリソンを捻る捻回機構を追加する構成とすることもできる。
【0090】
図9(b)に示すように、捻回機構100は、挟持部としての一対のアーム102と、開閉機構103と、回転部としての回転モータ104とを備えている。
【0091】
一対のアーム102は、パリソン4を掴むためのものである。一例として、アームの材質はアルミニウム、アーム102の外面をテフロン(登録商標)で被覆されている。
【0092】
各アーム102は、その下端部が開閉機構103に接続されている。開閉機構103を駆動させると、一対のアーム102の上端部が離間接近することにより、一対のアーム102の開閉動作が行われる。各アーム102は、その上端部が内側へ屈曲した形状を有している。また、このアーム102は幅広の形状を有していて、このような形状にすることによって、アーム102がパリソン4を掴みやすくなっている。
【0093】
そして、この捻回機構100のアーム102が、押し出されて垂れ下がったパリソン4の下側部分を掴み、パリソン4の外周面の下側部分が、アーム102の力で潰れた状態になる。このように、パリソン4の外周面の下側部分を潰すことによって、一対のアーム102にしっかりとパリソン4を掴ませることができる。
【0094】
そして、パリソン4の下側部分を一対のアーム102に掴ませた状態で、回転モータ104を所定の回転速度で所定の回転角度だけ駆動させる。この回転モータ104の駆動により、回転モータ104の回転軸周りに一対のアーム102が回転して、パリソン4が周方向へ捻れる。例えば、パリソン4の内面に高さ方向に伸びる突条120があると、直線状の突条が螺旋状の突条となる。
【0095】
その後は、容器型でパリソンを挟み込み、加圧空気にてパリソンを内側から膨張させて冷却することで、螺旋状の突条を有する容器とすることができる。
【0096】
この捻回機構100を追加した製造装置によれば、内面に高さ方向に隆起した凸部と凹部が連続し、かつ、内面に螺旋状の突条221を備える容器を製造することが可能となる(図11(b))。
【0097】
(3.ダイとコアが水平方向に相対移動可能な製造装置)
また、図12に示すように、ダイ20とコア30とを水平方向に移動可能な構成とすることで、周方向の肉厚を調整する機構を備える製造装置とすることもできる。この場合、コア30のみを水平移動可能に構成するほか、ダイ20やダイ20を含むロッド50部分を水平移動可能な構成としたり、コア30を含むマンドレル18全体を水平移動可能に構成してもよい。すなわち、ダイ20とコア30が相対的に水平移動可能とすればよい。水平移動可能な構成としては、サーボモータなどを接続して移動を制御可能とすればよい。
【0098】
これにより、ダイ20に対して、コア30が上下方向かつ水平方向に移動可能な構成とすることができるので、押し出されるパリソンの肉厚を調整して、内面に高さ方向に隆起した凸部と凹部が連続し、かつ、周方向の一部が薄い肉厚の容器とすることができる。そのほか、内面に高さ方向に凸部と凹部が連続し、かつ、高さ方向及び周方向の一部分がその他の部分よりも薄い肉厚部を有する形状とすることも可能であり、このような容器とすることで、薄い肉厚部分を指などで押圧することで、中の液体を押し出すことができる容器となる。
【0099】
(4.その他)
以上の通り、本発明は前述の実施形態をとりうることができるが、本発明は前述した実施の形態に限定されず、本発明の範囲から逸脱せずに、様々な変更を行うことができ、均等物を実施形態の要素の代わりに用いることができる。加えて、本発明の基本的な範囲から逸脱せずに、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるための多くの変形がなされてもよい。
【0100】
例えば、上記の実施形態では、コア30を上下動させる構成であるが、ダイ20を上下動させる構成とすることも考えられ、この場合パリソンを押し出す際にダイ20を上下動させることで、同様の効果が得られると考えられる。この場合、例えばロッド50を伸縮可能にするなどしてダイ20を上下動可能な構成とすることが考えられる。したがって、本発明は、前述した実施の形態に限定されることがなく、特許請求の範囲に収まるすべての実施形態を含む。
【図面の簡単な説明】
【0101】
図1】本発明の一実施形態に係る容器の製造工程を示す容器の製造装置の概略図である。
図2】同容器の製造装置のパリソン形成機の断面図である。
図3】同パリソン形成機の要部の断面図である。
図4図1におけるX-X断面図である。
図5】同パリソン形成機のコアの動きを説明する説明図である。
図6】同パリソン形成機のコアを制御する制御図である。
図7】本発明の第一実施形態に係る容器を示す図である。
図8】容器の変形例を示す図である。
図9】別の実施形態の容器の製造工程を示す容器の製造装置の概略図である。
図10】別の実施形態の容器の製造装置のパリソン形成機のY-Y断面図である。
図11】別の実施形態に係る容器を示す図である。
図12】別の実施形態に係る容器の製造装置のパリソン形成機のコアの動きを説明する説明図である。
【符号の説明】
【0102】
1 ダイレクトブロー成形装置
2 容器
3 樹脂
4 パリソン
5 パリソン形成機
6 容器形成機
7 樹脂材料供給部
8 ダイヘッド本体
11 樹脂材料投入口
12 加熱筒
13 押し出しスクリュー
14 電動モータ
15 コアシャフト
16 サーボモータ
17 気体供給源
18 マンドレル
19 環状通路
20 ダイ
22 通風路
25 容器型
26 プロ―ピン
27 打ち込み装置
28 気体供給源
29 分離型
30 コア
32 通風口
33 ノズル口
34 通風路
60 基台
100 捻回機構
101 基台
102 アーム
103 開閉機構
104 回転モータ
110 コア
111 凹溝
112 吹出口
113 風路
114 環状風路
120 突条
201 凸部
202 凹部
211 突条
221 螺旋条
【要約】
【課題】 内面に凹凸を有する容器を製造する。
【解決手段】 容器の製造方法であって、チューブ状のパリソンを形成する工程Aと、前記パリソンを金型で挟み込む工程Bと、前記パリソンを内側から膨らませて容器を形成する工程Cと、を備え、前記工程Aは、前記パリソンを形成する樹脂がダイから押し出される際に、コアが上下動して肉厚の異なるパリソンが連続して押し出され、形成された容器の内面に凹凸が形成されることを特徴とする、容器の製造方法。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12