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特許7328165光触媒分散液、光触媒被覆部材、光触媒フィルタ及び光触媒層の形成方法
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  • 特許-光触媒分散液、光触媒被覆部材、光触媒フィルタ及び光触媒層の形成方法 図1
  • 特許-光触媒分散液、光触媒被覆部材、光触媒フィルタ及び光触媒層の形成方法 図2
  • 特許-光触媒分散液、光触媒被覆部材、光触媒フィルタ及び光触媒層の形成方法 図3
  • 特許-光触媒分散液、光触媒被覆部材、光触媒フィルタ及び光触媒層の形成方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-07
(45)【発行日】2023-08-16
(54)【発明の名称】光触媒分散液、光触媒被覆部材、光触媒フィルタ及び光触媒層の形成方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/02 20060101AFI20230808BHJP
   A61L 9/00 20060101ALI20230808BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20230808BHJP
   A61L 9/18 20060101ALI20230808BHJP
   B01J 31/34 20060101ALI20230808BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20230808BHJP
   C09C 1/00 20060101ALI20230808BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20230808BHJP
   C09D 7/45 20180101ALI20230808BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20230808BHJP
   C09D 17/00 20060101ALI20230808BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
B01J35/02 J ZAB
A61L9/00 C
A61L9/01 B
A61L9/18
B01J31/34 A
B01J35/02 H
B01J37/02 301A
C09C1/00
C09D5/02
C09D7/45
C09D7/61
C09D17/00
C09D201/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020042243
(22)【出願日】2020-03-11
(65)【公開番号】P2021142473
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】堤之 朋也
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 徳隆
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 武史
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-520203(JP,A)
【文献】特開2000-317269(JP,A)
【文献】特開2016-106025(JP,A)
【文献】特開2010-222427(JP,A)
【文献】特開2001-070800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
A61L 9/00
A61L 9/01
A61L 9/18
C09C 1/00
C09D 5/02
C09D 7/45
C09D 7/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を含む分散媒と、界面活性剤と、可視光応答型光触媒微粒子と、吸着剤とを含み、
前記界面活性剤は、不揮発性を有し、かつ、0℃以下の凝固点を有し、
前記界面活性剤は、アミノ基含有化合物であることを特徴とする光触媒分散液。
【請求項2】
前記界面活性剤は、脂肪族化合物である請求項に記載の分散液。
【請求項3】
前記光触媒微粒子は、酸化タングステンを含む請求項1又は2に記載の分散液。
【請求項4】
前記吸着剤は、多孔質微粒子である請求項1~のいずれか1つに記載の分散液。
【請求項5】
前記分散液中の前記界面活性剤の含有量は、0.1wt%以上1.0wt%以下であり、
前記分散液中の前記吸着剤の含有量は、0.1wt%以上1.0wt%以下であり、
前記分散液中の前記光触媒微粒子の含有量は、0.1wt%以上1.0wt%以下である請求項1~のいずれか1つに記載の分散液。
【請求項6】
前記分散液中の前記光触媒微粒子の質量パーセント濃度は、前記分散液中の前記界面活性剤の質量パーセント濃度の0.5倍以上であり、
前記分散液中の前記光触媒微粒子と前記吸着剤の合計質量パーセント濃度は、前記分散液中の前記界面活性剤の質量パーセント濃度の5倍以下である請求項1~のいずれか1つに記載の分散液。
【請求項7】
前記吸着剤は、10nm以上1000nm以下の平均粒径を有する請求項1~のいずれか1つに記載の分散液。
【請求項8】
基材と、前記基材上に設けられた光触媒層とを備え、
前記光触媒層は、請求項1~のいずれか1つに記載の分散液の塗布層を乾燥させた層である光触媒被覆部材。
【請求項9】
フィルタ基材と、前記フィルタ基材上に設けられた光触媒層とを備え、
前記光触媒層は、請求項1~のいずれか1つに記載の分散液の塗布層を乾燥させた層である光触媒フィルタ。
【請求項10】
請求項に記載の光触媒フィルタと、前記光触媒フィルタに光を照射するように設けられた発光部と、空気が前記光触媒フィルタを通過するように設けられた送風部とを備える空気清浄装置。
【請求項11】
請求項1~のいずれか1つに記載の分散液を基材上に塗布することにより形成した塗布層を乾燥させる工程を含む光触媒層の形成方法。
【請求項12】
水を含む分散媒と、界面活性剤と、可視光応答型光触媒微粒子と、吸着剤とを含む光触媒分散液であって、
前記界面活性剤は、不揮発性を有し、かつ、0℃以下の凝固点を有し、
前記分散液中の前記界面活性剤の含有量は、0.1wt%以上1.0wt%以下であり、
前記分散液中の前記吸着剤の含有量は、0.1wt%以上1.0wt%以下であり、
前記分散液中の前記光触媒微粒子の含有量は、0.1wt%以上1.0wt%以下である光触媒分散液。
【請求項13】
水を含む分散媒と、界面活性剤と、可視光応答型光触媒微粒子と、吸着剤とを含む光触媒分散液であって、
前記界面活性剤は、不揮発性を有し、かつ、0℃以下の凝固点を有し、
前記分散液中の前記光触媒微粒子の質量パーセント濃度は、前記分散液中の前記界面活性剤の質量パーセント濃度の0.5倍以上であり、
前記分散液中の前記光触媒微粒子と前記吸着剤の合計質量パーセント濃度は、前記分散液中の前記界面活性剤の質量パーセント濃度の5倍以下である光触媒分散液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒分散液、光触媒被覆部材、光触媒フィルタ及び光触媒層の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光触媒性能を有する酸化タングステン粒子を水に分散させた光触媒分散液が知られている(例えば、特許文献1参照)。この光触媒分散液をフィルタ基材に塗布し、塗布層を乾燥させることにより表面に光触媒層を有する光触媒フィルタを形成することができる。この光触媒フィルタに揮発性有機化合物(VOC)や悪臭物質などを含む空気を通過させ、光触媒フィルタに可視光を照射すると、酸化タングステン粒子の光触媒性能で空気中のVOCや悪臭物質などの有機化合物を分解し空気を清浄化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-106025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、光触媒塗布前のフィルタ基材に油汚れがあったり、フィルタ基材が撥水性のものであったりすると、フィルタ基材に光触媒分散液が均一に付着せず、塗りムラが発生してしまう。ムラが発生すると光触媒層が薄い又は形成されていないところのフィルタ開口率が高くなり、流体がその部分を選択的に流れやすくなってしまう。そうすると、十分に光触媒による、消臭やVOC除去の性能が十分に発揮されないという問題が発生する。また、光触媒層が厚いところは、ちょっとした衝撃で光触媒層が剥がれ落ちる問題が発生する。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、光触媒活性の高く厚さが均一な光触媒層を形成することができる光触媒分散液を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、水を含む分散媒と、界面活性剤と、可視光応答型光触媒微粒子と、吸着剤とを含み、前記界面活性剤は、不揮発性を有し、かつ、0℃以下の凝固点を有することを特徴とする光触媒分散液を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の光触媒分散液は、水を含む分散媒と、可視光応答型光触媒微粒子と、吸着剤とを含む。この光触媒分散液をフィルタなどの基材に塗布し塗布層を乾燥させることにより基材上に光触媒微粒子と吸着剤とを含む光触媒層を形成することができる。光触媒層が吸着剤を含むことにより、空気中のVOCや悪臭物質などが光触媒層に吸着しやすくなり、VOCや悪臭物質などの捕集率を向上させることができる。また、光触媒層が可視光応答型光触媒微粒子を含むことにより、光触媒活性でVOCや悪臭物質などを分解することができ、空気を清浄化することができる。
本発明の光触媒分散液は、界面活性剤を含む。このことにより、基材に油汚れがある場合や基材が撥水性を有する場合であっても、光触媒分散液が基材表面ではじかれることを抑制することができ、基材上に光触媒分散液の塗布層をむらなく均一に形成することができる。そして、この塗布層を乾燥させることによりむらなく均一な光触媒層を基材上に形成することができる。このため、光触媒活性が低い部分が生じることや光触媒層が厚く基材から剥がれやすい部分が生じることを抑制することができる。
【0007】
界面活性剤は不揮発性を有する。このため、光触媒分散液の品質を安定化することができる。
界面活性剤は0℃以下の凝固点を有する。このため、光触媒分散液の塗布層を乾燥させることにより形成した光触媒層において界面活性剤は液体状態であり、固体状態として析出しない。従って、析出した界面活性剤が光を遮り光触媒微粒子が影になることがない。この結果、光触媒層に光触媒活性が低下する部分が生じることを抑制することができ、効率よく空気を清浄化することができる。
また、界面活性剤が光触媒微粒子の表面を覆っていたとしても、界面活性剤が液体状態であるため、光触媒活性により光触媒微粒子の表面を覆う界面活性剤を分解除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の光触媒分散液を用いて光触媒層を形成する方法の説明図である。
図2】本発明の一実施形態の光触媒フィルタの概略平面図である。
図3図2の破線A-Aにおける光触媒フィルタの概略断面図である。
図4】本発明の一実施形態の空気清浄装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の光触媒分散液は、水を含む分散媒と、界面活性剤と、可視光応答型光触媒微粒子と、吸着剤とを含み、前記界面活性剤は、不揮発性を有し、かつ、0℃以下の凝固点を有することを特徴とする。
【0010】
前記界面活性剤はアミノ基含有化合物であることが好ましい。また、前記界面活性剤は脂肪族化合物であることが好ましい。このことにより、光触媒分散液を用いて形成した光触媒層において、光触媒微粒子の表面を覆う界面活性剤を光触媒活性により分解することができる。
前記光触媒微粒子は酸化タングステンを含むことが好ましい。このことにより、光触媒分散液を用いて形成した光触媒層が可視光を受光することにより光触媒活性を有することができる。
前記吸着剤は多孔質微粒子であることが好ましい。このことにより、光触媒分散液を用いて形成した光触媒層のガス吸着特性を向上させることができる。
【0011】
本発明の光触媒分散液中の界面活性剤の含有量は0.1wt%以上1.0wt%以下であることが好ましく、前記分散液中の吸着剤の含有量は0.1wt%以上1.0wt%以下であることが好ましく、前記分散液中の光触媒微粒子の含有量は、0.1wt%以上1.0wt%以下であることが好ましい。このことにより、光触媒分散液を用いて形成した光触媒層のガス除去性能、付着性及び均一性を向上させることができる。
本発明の光触媒分散液中の光触媒微粒子の質量パーセント濃度は、前記分散液中の界面活性剤の質量パーセント濃度の0.5倍以上であることが好ましく、前記分散液中の光触媒微粒子と吸着剤の合計質量パーセント濃度は、前記分散液中の界面活性剤の質量パーセント濃度の5倍以下であることが好ましい。このことにより、光触媒分散液を用いて形成した光触媒層のガス除去性能、付着性及び均一性を向上させることができる。
前記吸着剤は、10nm以上1000nm以下の平均粒径を有することが好ましい。吸着剤の平均粒径が10nm以上であると、吸着剤の表面上に光触媒微粒子を付着させることができ、光触媒層の光触媒活性を向上させることができる。吸着剤の平均粒径が1000nm以下であると、光触媒層の基材の表面への付着強度を強くすることができ、光触媒層が基材の表面から剥がれ落ちることを抑制することができる。
【0012】
本発明は、基材と、基材上に設けられた光触媒層とを備える光触媒被覆部材も提供する。この光触媒層は、本発明の光触媒分散液の塗布層を乾燥させた層である。
本発明は、フィルタ基材と、フィルタ基材上に設けられた光触媒層とを備える光触媒フィルタも提供する。この光触媒層は、本発明の光触媒分散液の塗布層を乾燥させた層である。
本発明は、本発明の光触媒フィルタと、光触媒フィルタに光を照射するように設けられた発光部と、空気が光触媒フィルタを通過するように設けられた送風部とを備える空気清浄装置も提供する。
本発明は、本発明の光触媒分散液を基材上に塗布することにより形成した塗布層を乾燥させる工程を含む光触媒層の形成方法も提供する。
【0013】
以下、複数の実施形態を参照して本発明をより詳細に説明する。図面や以下の記述中で示す構成は、例示であって、本発明の範囲は、図面や以下の記述中で示すものに限定されない。
【0014】
第1実施形態
図1は本実施形態の光触媒分散液を用いて光触媒層を形成する方法の説明図である。
本実施形態の光触媒分散液7は、水を含む分散媒2と、界面活性剤と、可視光応答型光触媒微粒子3と、吸着剤4とを含み、前記界面活性剤は、不揮発性を有し、かつ、0℃以下の凝固点を有することを特徴とする。
図1に示したように、基材5の表面上に光触媒分散液7を塗布し、形成された塗布層を乾燥させることにより基材5の表面上に光触媒層6が形成された光触媒被覆部材10を形成することができる。
基材5への光触媒分散液7の塗布方法は、特に限定されないが、例えば、浸漬塗布法、スプレーコーティング、スクリーン印刷法、スピンコート法等である。
【0015】
分散媒2は、光触媒分散液7の分散媒であり、主成分として水を含む。分散媒2は水であってもよく、水-エタノール混合液であってもよい。また、分散媒2には、界面活性剤が溶解している。また、分散媒2にバインダーが溶解していてもよい。分散媒2に含まれる水は塗布層を乾燥させる際に蒸発する。
【0016】
光触媒微粒子3は、可視光応答型の光触媒の微粒子であり、具体的には酸化タングステン微粒子である。また、光触媒微粒子3は分散媒2中に分散している。光触媒分散液7が光触媒微粒子3を含むため、光触媒分散液7から形成した光触媒層6が光触媒活性を有することができる。
また、光触媒微粒子3はその表面に助触媒を有してもよい。助触媒は、例えば、Pt、Pd、Rh、Ru、Os、Irのような白金族金属を含む。助触媒は、金属微粒子として酸化タングステン微粒子の表面に付着していてもよく、酸化物又は水酸化物として酸化タングステン微粒子の表面に付着していてもよい。光触媒微粒子3が助触媒を有することにより、酸化タングステン(WO3)のエネルギーギャップを小さくして可視光領域での触媒活性を上げることができる。
【0017】
光触媒微粒子3の50%粒子径(メディアン径D50、累積分布50vol%の時の粒子径)は、1nm以上500nm以下であることが好ましく、さらに5nm以上200nm以下であることが好ましい。光触媒微粒子3の50%粒子径が5nm以上であると、凝集が少なく、再分散が容易である。光触媒微粒子3の50%粒子径が200nm以下であると、製造工程で他の成分と均一に混合しすく、離脱することも少なく良好である。
粒子径測定は、BET比表面積計やレーザ回折式粒度分布計や動的光散乱式粒度分布計等によって測定することができる。
【0018】
吸着剤4は、多孔質微粒子であり、分散媒2中に分散している。光触媒分散液7が吸着剤4を含むことにより、光触媒分散液7から形成した光触媒層6の吸着捕集機能を向上させることができる。
光触媒微粒子3の表面に界面活性剤が付着している場合、光触媒微粒子3の光触媒活性により界面活性剤が分解されるまで光触媒層6のガス分解性能が低下する。光触媒層6が吸着剤4を含むことにより、このガス分解性能が低下した期間内に吸着剤がガスを吸着することができ、光触媒層6のガス除去性能が低下することを抑制することができる。
吸着剤4は、例えば、炭酸カルシウム微粒子、活性炭微粒子、アパタイト微粒子、ゼオライト微粒子、アルミナ微粒子、シリカ微粒子などである。
【0019】
吸着剤4の50%粒子径(メディアン径D50、累積分布50vol%の時の粒子径)は、10nm以上1000nm以下であることが好ましい。吸着剤4の50%粒子径が10nm以上であると、吸着剤4の表面上に光触媒微粒子3を付着させることができ、光触媒層6の光触媒活性を向上させることができる。吸着剤4の50%粒子径が1000nm以下であると、光触媒層6の基材5の表面への付着強度を強くすることができ、光触媒層6が基材5の表面から剥がれ落ちることを抑制することができる。
吸着剤4の50%粒子径は、光触媒微粒子3の50%粒子径以上であることが好ましい。このことにより、吸着剤4の表面上に光触媒微粒子3を付着させることができ、光触媒層6の光触媒活性を向上させることができる。
【0020】
界面活性剤は、高い界面活性を示す物質である。また、界面活性剤は、親水基と親油基(疎水基)を有する有機化合物であってもよい。光触媒分散液7が界面活性剤を含むことにより、分散媒2中において光触媒微粒子3及び吸着剤4を安定的に分散させることができる。このことにより、均質な光触媒層6を形成することができる。また、基材5の表面の一部が疎水性であったり、基材5の表面全体が疎水性である場合でも、基材5と光触媒分散液7(塗布層)との間の界面において界面活性剤が界面活性を示すため、光触媒分散液7が基材5の表面からはじかれることを抑制することができる。このため、基材5の表面にむらなく(少ない部分や多すぎる部分がない)光触媒分散液7の塗布層を形成することができる。この塗布層を乾燥させることにより、基材5の表面にむらのない均質な光触媒層6を形成することができる。
【0021】
界面活性剤は、不揮発性を有することができる。このことにより、光触媒分散液7の品質を安定化することができる。
界面活性剤は0℃以下の凝固点を有する。このため、光触媒分散液7の塗布層を乾燥させることにより形成した光触媒層6において界面活性剤は液体状態であり、固体状態として析出しない。従って、析出した界面活性剤が光を遮り光触媒微粒子3が影になることがない。この結果、光触媒層6に光触媒活性が低下する部分が生じることを抑制することができ、効率よく空気を清浄化することができる。また、界面活性剤と共に光触媒微粒子3や吸着剤4が光触媒層6又は基材5から剥がれ落ちることを抑制することができる。
【0022】
界面活性剤は、アミノ基含有化合物であることが好ましい。このアミノ基は、第一級アミノ基(第一級アミン)であってもよく、第二級アミノ基(第二級アミン)であってもよく、第三級アミノ基(第三級アミン)であってもよい。また、界面活性剤は、脂肪族化合物であることが好ましい。脂肪族化合物は、芳香族化合物以外の有機化合物であり、鎖式構造の炭素骨格を有する化合物である。このことのより、光触媒層6において界面活性剤が光触媒微粒子3の表面を覆っていたとしても、光触媒活性により光触媒微粒子3の表面を覆う界面活性剤を分解除去することが可能になる。また、界面活性剤が液体状態であり流動性を有するため、光触媒微粒子3の表面を覆う界面活性剤のほとんどを分解除去することが可能になる。
界面活性剤の分子量(相対分子質量)は、200以上10000以下であることが好ましい。
【0023】
界面活性剤として、例えば、脂肪族ポリエーテル誘導体や脂肪族アミン誘導体が挙げられる。
ポリエーテルは、主鎖中にエーテル結合(-O-)を有する高分子化合物である。ポリエーテル誘導体は、例えば、ポリエーテル中の水素原子又は特定の原子団が他の原子又は他の原子団によって置換された化合物である。
界面活性剤として使用する脂肪族ポリエーテル誘導体は、エチレンオキサイド(又はエチレンオキサイド誘導体)及び/又はプロピレンオキサイド(又はプロピレンオキサイド誘導体)が重合した化合物(又はその誘導体)であることが好ましい。具体的には、脂肪族ポリエーテル誘導体は、ポリエチレングリコール誘導体、ポリプロピレングリコール誘導体、ポリ(エチレン/プロピレン)グリコール誘導体等が挙げられる。また、脂肪族ポリエーテル誘導体は低重合度のものが好ましく、脂肪族ポリエーテル誘導体の分子量(相対分子質量)は、200以上10000以下であることが好ましい。
【0024】
脂肪族アミンは、アンモニアの水素原子の1個又はそれ以上が炭化水素残基Rで置換された化合物である。脂肪族アミン誘導体は、例えば、脂肪族アミン中の水素原子又は特定の原子団が他の原子又は他の原子団によって置換された化合物である。脂肪族アミン誘導体は、第一級アミンであってもよく、第二級アミンであってもよく、第三級アミンであってもよい。
界面活性剤として使用する脂肪族アミン誘導体としてはポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンが好ましく、具体的にはポリオキシエチレンラウリルアミン(ポリオキシエチレンヤシアルキルアミン)、ポリオキシエチレンココナットアルキルアミン、ポリオキシエチレン(2)硬化牛脂アミン、ポリオキシエチレン(20)硬化牛脂アミンやモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0025】
光触媒分散液7中の界面活性剤の含有量は、0.1wt%以上1.0wt%以下であることが好ましく、光触媒分散液7中の吸着剤4の含有量は、0.1wt%以上1.0wt%以下であることが好ましく、光触媒分散液7中の光触媒微粒子3の含有量は、0.1wt%以上1.0wt%以下であることが好ましい。このことにより、光触媒分散液7を用いて形成した光触媒層6のガス除去性能、付着性及び均一性を向上させることができる。
【0026】
光触媒分散液7中の光触媒微粒子3の質量パーセント濃度は、光触媒分散液7中の界面活性剤の質量パーセント濃度の0.5倍以上であることが好ましく、0.6倍以上であることがさらに好ましい。光触媒分散液7中の光触媒微粒子3と吸着剤4の合計質量パーセント濃度は、光触媒分散液7中の界面活性剤の質量パーセント濃度の5倍以下であることが好ましく、4倍以下であることがさらに好ましい。
このような成分濃度を有する光触媒分散液7を用いると、基材上に光触媒層6をむらなく均一に形成することができる。さらに、形成した光触媒層6は、優れたガス除去性能を有し、基材5への付着性が優れている。
【0027】
第2実施形態
図2は本実施形態の光触媒フィルタの概略平面図であり、図3図2の破線A-Aにおける光触媒フィルタの概略断面図である。
本実施形態の光触媒フィルタ12は、フィルタ基材8と、フィルタ基材8上に設けられた光触媒層6とを備える。光触媒層6は、第1実施形態で説明した光触媒分散液7の塗布層を乾燥させた層である。
フィルタ基材8は、例えば、金網、パンチングメタル、エキスパンドメタル、不織布、布、樹脂成形体、ペーパーハニカムシートなどである。また、フィルタ基体8の材料は、光触媒層6の光触媒作用により劣化しない材料を用いることができる。
フィルタ基材8への光触媒分散液7の塗布方法は、特に限定されないが、例えば、浸漬塗布法、スプレーコーティング、スクリーン印刷法等である。
【0028】
第3実施形態
図4は本実施形態の空気清浄装置20の概略断面図である。
本実施形態の空気清浄装置20は、第2実施形態で説明した光触媒フィルタ12と、光触媒フィルタ12に光を照射するように設けられた発光部15と、空気が光触媒フィルタ12を通過するように設けられた送風部13とを備える。
空気清浄装置20は、室内から吸い込んだ空気を光触媒フィルタ12を用いて浄化する空気清浄機であってもよく、機器の排気口に設けられ機器から排出される空気を光触媒フィルタ12を用いて浄化する装置であってもよい。
発光部15は、例えばLEDであってもよく、蛍光灯であってもよい。
空気清浄装置20は、積層された複数の光触媒フィルタ12を有してもよい。
【0029】
光触媒分散液の調製
実施例1~7及び比較例1~4の光触媒分散液を調製した。なお、比較例1の分散液は光触媒を含んでいない。
<実施例1>
市販の酸化タングステン粉末(WO3、株式会社高純度化学研究所製)5gを水50mLに分散し、ビーズミル(日本コークス社製、MSC50-ZZ)を用いて、酸化タングステン粉末を90分間粉砕した。遠心分離機(H-201F、コクサン製)を用いて粉砕後の分散液を3000rpmの回転速度で5分間遠心分離を行い、粒径が大きい粒子を沈降分離し除去した。得られた酸化タングステン粒子(粒子径30nm)5gを水50mLに分散し、そこにPtが酸化タングステン粒子100重量部に対して0.5重量部となるようにヘキサクロロ白金酸水溶液(H2PtCl6)を分散液に入れて、攪拌し、その後濾過、水洗浄、乾燥することにより、粉末状のPt担持酸化タングステン光触媒を得た。
前記Pt担持酸化タングステン光触媒を前記ビーズミルで純水中に分散させ、光触媒濃度20wt%の光触媒スラリーを調製した。
【0030】
市販の炭酸カルシウム粉末(キシダ化学社製)5gを水50mLに分散し、ビーズミル(日本コークス社製、MSC50-ZZ)を用いて、炭酸カルシウム粉末を90分間粉砕した。遠心分離機(H-201F、コクサン製)を用いて粉砕後の分散液を3000rpmの回転速度で5分間遠心分離を行い、粒径が大きい粒子を沈降分離し除去した。得られた炭酸カルシウム粉末(粒子径30nm)5gを水50mLに分散し、炭酸カルシウムスラリーを調製した。
【0031】
前記光触媒スラリーに水と、界面活性剤としてエスリーム(登録商標)AD-3172M(日油社製)と、吸着剤として前記炭酸カルシウムスラリーとを加え、混合することで、光触媒濃度0.5wt%、界面活性剤濃度0.5wt%、吸着剤濃度0.5wt%の光触媒分散液を調製した。エスリームAD-3172Mは不揮発性液体であり、凝固点が0℃より低い。
【0032】
<実施例2>
前記光触媒スラリーに水と、界面活性剤としてエスリームAD-3172M(日油社製)と、吸着剤として前記炭酸カルシウムスラリーとを加え、混合することで、光触媒濃度1.0wt%、界面活性剤濃度0.4wt%、吸着剤濃度を1.0wt%の光触媒分散液を調製した。混合比を変えたこと以外は実施例1と同様に光触媒分散液を調製した。
【0033】
<実施例3>
前記光触媒スラリーに水と、界面活性剤としてエスリームAD-3172M(日油社製)と、吸着剤として前記炭酸カルシウムスラリーとを加え、混合することで、光触媒濃度0.1wt%、界面活性剤濃度0.2wt%、吸着剤濃度0.1wt%の光触媒分散液を調製した。混合比を変えたこと以外は実施例1と同様に光触媒分散液を調製した。
【0034】
<実施例4>
前記光触媒スラリーに水と、界面活性剤としてエスリームAD-3172M(日油社製)と、吸着剤として前記炭酸カルシウムスラリーとを加え、混合することで、光触媒濃度0.7wt%、界面活性剤濃度1.0wt%、吸着剤濃度0.7wt%の光触媒分散液を調製した。混合比を変えたこと以外は実施例1と同様に光触媒分散液を調製した。
【0035】
<実施例5>
前記光触媒スラリーに水と、界面活性剤としてエスリームAD-3172M(日油社製)と、吸着剤として前記炭酸カルシウムスラリーとを加え、混合することで、光触媒濃度0.3wt%、界面活性剤濃度0.4wt%、吸着剤濃度0.8wt%の光触媒分散液を調製した。混合比を変えたこと以外は実施例1と同様に光触媒分散液を調製した。
【0036】
<実施例6>
前記光触媒スラリーに水と、界面活性剤としてエスリームAD-3172M(日油社製)と、吸着剤として前記炭酸カルシウムスラリーとを加え、混合することで、光触媒濃度2.0wt%、界面活性剤濃度0.5wt%、吸着剤濃度1.5wt%の光触媒分散液を調製した。混合比を変えたこと以外は実施例1と同様に光触媒分散液を調製した。
【0037】
<実施例7>
前記光触媒スラリーに水と、界面活性剤としてエスリームAD-3172M(日油社製)と、吸着剤として前記炭酸カルシウムスラリーとを加え、混合することで、光触媒濃度0.1wt%、界面活性剤濃度0.4wt%、吸着剤濃度0.1wt%の光触媒分散液を調製した。混合比を変えたこと以外は実施例1と同様に光触媒分散液を調製した。
【0038】
<比較例1>
水に、界面活性剤としてエスリームAD-3172M(日油社製)と、吸着剤として前記炭酸カルシウムスラリーとを加え、混合することで、界面活性剤濃度0.5wt%、吸着剤濃度0.5wt%の吸着剤分散液を調製した。比較例1では、分散液に光触媒を添加していない。その他については、実施例1と同様に分散液を調製した。
【0039】
<比較例2>
前記光触媒スラリーに水と、吸着剤として前記炭酸カルシウムスラリーとを加え、混合することで、光触媒濃度0.5wt%、吸着剤濃度0.5wt%の光触媒分散液を調製した。比較例2では分散液に界面活性剤を添加していない。その他については、実施例1と同様に分散液を調製した。
【0040】
<比較例3>
前記光触媒スラリーに水と、界面活性剤としてエスリームAD-3172M(日油社製)とを加え、混合することで、光触媒濃度0.5wt%、界面活性剤濃度0.5wt%の光触媒分散液を調製した。比較例3では分散液に吸着剤を添加していない。その他については、実施例1と同様に分散液を調製した。
【0041】
<比較例4>
前記光触媒スラリーに水と、粉末状界面活性剤として食洗器用パウダー洗剤フィニッシュ(登録商標)(レキットベンキーザー・ジャパン株式会社製)と、吸着剤として前記炭酸カルシウムスラリーとを加え、混合することで、光触媒濃度0.5wt%、界面活性剤濃度0.5wt%、吸着剤濃度0.5wt%の光触媒分散液を調製した。比較例4では、界面活性剤として食洗器用パウダー洗剤フィニッシュを用いた。この洗剤は室温において固体である。その他については、実施例1と同様に分散液を調製した。
また、表1に実施例1~7及び比較例1~4の光触媒分散液の光触媒濃度、界面活性剤濃度、吸着剤濃度、(光触媒濃度)/(界面活性剤濃度)及び(光触媒濃度+吸着剤濃度)/(界面活性剤濃度)をまとめて示している。
【0042】
光触媒層のガス除去性能の評価
実施例1~7、比較例1~4の光触媒分散液を用いて形成した光触媒層のそれぞれについてガス除去性能及び繰り返しガス除去性能を以下のようにして評価した。
セルロース生地(125mm×125mm)に光触媒分散液を5gスポイドを使用してまんべんなく滴下し、セルロース生地上に塗布層を形成した。この塗布層を40℃の送風乾燥機で乾燥させ、セルロース生地上に光触媒層が形成された実施例1~7及び比較例1~4の11個の試験用サンプルを作製した。
【0043】
次に1Lのガスバック内に上記試験用サンプルを入れ、さらに100ppmのアセトアルデヒドガスを入れた。このガスバッグ内の試験用サンプルを青色LEDを用いて4500luxで5時間照射した後、ガスバッグ内のアセトアルデヒドガス濃度を検知管にて測定した(アセトアルデヒド分解実験)。(ガス残存率)=(測定されたガス濃度)/(初期ガス濃度100ppm)として、ガス残存率を計算した。そして、ガス残存率が20%未満であった試験用サンプルのガス除去性能の評価を○(good)とし、ガス残存率が20%以上50%未満であった試験用サンプルのガス除去性能の評価を△(average)とし、ガス残存率が50%以上であった試験用サンプルのガス除去性能の評価を×(bad)とした。
さらに、このようなアセトアルデヒド分解実験を10回繰り返し、10回目のガス残存率が20%未満であった試験用サンプルの繰り返しガス除去性能の評価を○(good)とし、10回目のガス残存率が20%以上50%未満であった試験用サンプルの繰り返しガス除去性能の評価を△(average)とし、10回目のガス残存率が50%以上であった試験用サンプルの繰り返しガス除去性能の評価を×(bad)とした。評価結果を表2に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
光触媒層の付着性の評価
実施例1~7、比較例1~4の光触媒分散液を用いて形成した光触媒層のそれぞれについて付着性を以下のようにして評価した。
セルロース生地(125mm×125mm)を光触媒分散液に浸して、セルロース生地上に塗布層を形成した。この塗布層が形成されたセルロース生地をガラス板の上で自然乾燥させ、光触媒層を形成した。光触媒層を形成した後、セルロース生地を4つ折りして折り目を付け、開くことにより試験用サンプルを作製した。この試験用サンプルに向けて0.5MPaのエアブローガンを45度の角度で10cm離した位置から5秒間噴射した。この噴射により光触媒層の付着性に応じて試験用サンプルから粉(酸化タングステン粉末又は炭酸カルシウム粉末)が剥がれ落ちる。この粉落ちの量で光触媒層の付着性について評価した。具体的には、エアーを吹きかけることによる試験用サンプルの重量変化量を測定した。そして、重量変化量が1mg未満であった試験用サンプルの付着性の評価を○(good)とし、重量変化量が1mg以上3mg未満であった試験用サンプルの付着性の評価を△(average)とし、重量変化量が3mg以上であった試験用サンプルの付着性の評価を×(bad)とした。評価結果を表2に示す。
【0047】
光触媒層の均一性の評価
実施例1~7、比較例1~4の光触媒分散液を用いて形成した光触媒層のそれぞれについて均一性を以下のようにして評価した。
セルロース生地(125mm×125mm)にサラダ油を1滴たらし、このサラダ油をペーパータオルで叩いて拭き取り、油汚れセルロース生地を作製した。この油汚れセルロース生地を光触媒分散液に浸して、油汚れセルロース生地上に塗布層を形成した。この塗布層が形成された油汚れセルロース生地をガラス板の上で自然乾燥させ、光触媒層を形成し試験用サンプルを作製した。そして、作製した試験用サンプルを目視することにより光触媒層が均一に形成されているかを確認した。そして、油汚れのため光触媒層が薄い又は形成されていない部分が直径5mm未満であった試験用サンプルの均一性の評価を○(good)とし、光触媒層が薄い又は形成されていない部分が直径5mm以上10mm未満であった試験用サンプルの均一性の評価を△(average)とし、光触媒層が薄い又は形成されていない部分が直径10mm以上であった試験用サンプルの均一性の評価を×(bad)とした。評価結果を表2に示す。
【0048】
総合評価
表2には、実施例1~7、比較例1~4の光触媒分散液の総合評価も示している。上記の各評価結果が、それぞれ「○」や「△」であり、「×」が含まれていない光触媒分散液の総合評価を○とした。上記の評価結果において「×」が含まれている光触媒分散液の総合評価を×とした。
【0049】
実施例1~7の光触媒分散液の総合評価はいずれも○であった。
比較例1の分散液は光触媒を含まないため、繰り返しガス除去性能の評価が×になった。また、比較例1のガス除去性能の評価が○になっているが、これはアセトアルデヒドが吸着剤に吸着することにより除去されたためと考えられる。
比較例2の光触媒分散液は界面活性剤を含まないため、付着性及び均一性の評価が×となった。この結果から、実施例1~7において界面活性剤が光触媒層の付着性及び均一性を向上させていることが確認された。
【0050】
比較例3の光触媒分散液は、吸着剤を含まないため、ガス除去性能の評価が×となった。これは、光触媒層形成直後は酸化タングステン微粒子の表面が界面活性剤で覆われ、光触媒層の光触媒活性が低下しているためと考えられる。
比較例4の光触媒分散液は、室温において固体である界面活性剤を含むため、繰り返しガス除去性能が×となった。これは、光触媒層中において析出した界面活性剤が、酸化タングステン微粒子の受光を阻害し、光触媒層の光触媒活性が低下したためと考えられる。また、比較例4の光触媒分散液は、付着性が×となった。これは、析出した界面活性剤が酸化タングステン微粒子又は炭酸カルシウム微粒子の付着性を低下させているためと考えられる。
【符号の説明】
【0051】
2:分散媒 3:光触媒微粒子 4:吸着剤 5:基材 6:光触媒層 7:光触媒分散液 8:フィルタ基材 9:容器 10:光触媒被覆部材 11:開口 12:光触媒フィルタ 13:送風部 15:発光部 16:筐体 20:空気清浄装置
図1
図2
図3
図4