(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】空気調和機の室内機及び空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 13/20 20060101AFI20230809BHJP
F24F 13/10 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
F24F1/0007 401C
F24F13/10 A
(21)【出願番号】P 2019136766
(22)【出願日】2019-07-25
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雅也
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-161185(JP,A)
【文献】特開2010-127537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/20
F24F 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機本体と、
前記室内機本体の前面及び下面の少なくとも一方に設けられ、風を吹出す吹出口と、
前記室内機本体内に設けられ、前記吹出口に接続された送風路と、
前記吹出口を開閉するように前記室内機本体に回転可能に設けられ、前記吹出口を開いた状態で前記吹出口からの吹出風の向きを制御する第1風向板と、
を備え、
前記室内機本体は、前記送風路と前記吹出口とのそれぞれを内部に形成するガイド壁を有し、
前記吹出口を開いた状態において、前記第1風向板の風上側端部は、
前記ガイド壁のうち前方に位置する前方ガイド壁の下端部よりも風上側に位置し且つ前記下端部に上方から重なることによって、前記吹出口よりも前記室内機本体の内側かつ前記送風路の外側に位置する、
空気調和機の室内機。
【請求項2】
前記第1風向板が前記吹出口を開いた状態において、前記第1風向板の前記風上側の端部が前記ガイド壁の前記送風路とは反対側に位置可能に構成されている、
請求項1に記載の空気調和機の室内機。
【請求項3】
前記第1風向板の回転軸は、前記ガイド壁の前記送風路側の面を風下側に延長した仮想延長面上または前記仮想延長面よりも外側に位置している、
請求項2に記載の空気調和機の室内機。
【請求項4】
前記第1風向板は、前記吹出口の上側部分を開閉するように前記室内機本体に回転可能に設けられており、
前記吹出口の下側部分を開閉するように前記室内機本体に回転可能に設けられた第2風向板をさらに備える、
請求項2または3のいずれか一項に記載の空気調和機の室内機。
【請求項5】
前記第2風向板が前記吹出口を開いた状態において、前記第2風向板の風上側の端部は、前記ガイド壁の外側に位置する、
請求項4に記載の空気調和機の室内機。
【請求項6】
前記第1風向板は、前記吹出口の上側部分を開閉するように前記室内機本体に回転可能に設けられており、
前記吹出口の下側部分を開閉するように前記室内機本体に回転可能に設けられた第2風向板をさらに備える、
請求項1に記載の空気調和機の室内機。
【請求項7】
前記第2風向板が前記吹出口を開いた状態において、前記第2風向板の風上側の端部は、前記ガイド壁の外側に位置する、
請求項6に記載の空気調和機の室内機。
【請求項8】
前記吹出口を閉じた状態において、前記第1風向板の先端部と、前記第2風向板の先端部とが最接近する、請求項4~7に記載の空気調和機の室内機。
【請求項9】
前記第1風向板を回転させる第1駆動部と、
前記第2風向板を回転させる第2駆動部と、
前記第1駆動部及び前記第2駆動部を収容する筐体と、
を有する駆動機構をさらに備える、請求項4~8のいずれか一項に記載の空気調和機の室内機。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の室内機を備える、空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の室内機及び空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、空気調和機の一例が記載されている。特許文献1に記載の空気調和機の室内ユニットは、室内ファンを収納するキャビネットを備えている。キャビネットには、上壁及び下壁が設けられている。これら上壁及び下壁の内側に、吹出口と、吹出口に至る空気通路とが形成されている。キャビネットには、吹出口を開閉する導風パネルと、補助ルーバとが接続されている。特許文献1に記載の室内ユニットでは、導風パネルと補助ルーバとにより吹出口から吹き出される風の風向が制御されている。
【0003】
引用文献1に記載の室内ユニットにおいて、補助ルーバは、上壁及び下壁の内側に設けられている。補助ルーバは、吹出口から吹き出される風が補助ルーバの上側及び下側の両方を通過するように配置されている。すなわち、補助ルーバは、吹出風の風路上に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
引用文献1に記載の室内ユニットにおいては、吹出風の風路上に補助ルーバの端部が位置している。このため、室内ユニットからの吹出風が補助ルーバの端部に衝突し、圧力損失が生じる虞がある。
【0006】
本開示の主な目的は、吹出風の圧力損失を抑制し得る空気調和機の室内機及び空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態の空気調和機の室内機は、室内機本体と、吹出口と、送風路と、第1風向板とを備える。吹出口は、室内機本体の前面及び下面の少なくとも一方に設けられている。吹出口は、風を吹出す。送風路は、室内機本体内に設けられている。送風路は、吹出口に接続されている。第1風向板は、吹出口を開閉するように室内機本体に回転可能に設けられている。第1風向板は、吹出口を開いた状態で吹出口からの吹出風の向きを制御する。吹出口を開いた状態において、第1風向板の風上側端部は、吹出口よりも室内機本体の内側かつ送風路の外側に位置する。
【0008】
本発明の一形態に係る空気調和機は、前記室内機を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る空気調和機の室内機の模式的斜視図である。
【
図2】一実施形態における吹出口が開けられた状態の室内機の模式的断面図である。
【
図3】一実施形態における吹出口が閉じられた状態の室内機の一部を拡大した模式的断面図である。
【
図4】一実施形態における冷房運転時の室内機の模式的断面図である。
【
図5】一実施形態における暖房運転時の室内機の模式的断面図である。
【
図6】一実施形態における駆動機構の模式的斜視図である。
【
図7】一実施形態における駆動機構の内部構造を表す模式的斜視図である。
【
図8】一実施形態における吹出口が閉じられた状態の駆動機構の内部構造を表す模式的側面図である。
【
図9】一実施形態における暖房運転時の駆動機構の内部構造を表す模式的側面図である。
【
図10】一実施形態における冷房運転時の駆動機構の内部構造を表す模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
【0011】
なお、本実施形態において、室内機2の幅方向を左右方向とし、室内機2の奥行き方向を前後方向とし、室内機2の高さ方向を上下方向とする。
【0012】
(空気調和機1の概要)
図1は、空気調和機1の室内機2の模式的斜視図である。
図2は、吹出口122が開けられた状態の室内機2の模式的断面図である。
図3は、吹出口122が閉じられた状態の室内機2の一部を拡大した模式的断面図である。
【0013】
空気調和機1は、
図1及び
図2に示す室内機2と、室外機とを備える。室内機2は、室内に備え付けられる。室外機は、室外に備え付けられる。室内機2と室外機とは、それぞれ、熱交換器を備えている。室内機2の熱交換器と、室外機の熱交換器とは、冷媒回路により接続されている。
【0014】
例えば、冷房運転時や除湿運転時においては、室内機2の熱交換器30(
図2を参照。)において、相対的に高温の内気と相対的に低温の冷媒との間で熱交換が行われることにより、内気が冷却される一方、冷媒は加熱される。加熱された冷媒は、冷媒回路を経由して室外機の熱交換器に移送される。室外機の熱交換器において、加熱された冷媒と低温の外気との間で熱交換が行われることにより、冷媒が冷却される一方、外気が加熱される。
【0015】
例えば、暖房運転時においては、室内機2の熱交換器30において、相対的に低温の内気と相対的に高温の冷媒との間で熱交換器が行われることにより、内気が加熱される一方、冷媒が冷却される。冷却された冷媒は、冷媒回路を経由して室外機の熱交換器に移送される。室外機の熱交換器において、冷却された冷媒と高温の外気との間で熱交換が行われることにより、冷媒が加熱される一方、外気が冷却される。
【0016】
(室内機2の概要)
図1及び
図2に示すように、室内機2は、室内の壁面3に固定されている。
図2に示すように、室内機2は、室内機本体10と、送風機20と、熱交換器30と、第1風向板40と、第2風向板50と、を備えている。室内機本体10は、筐体11と、ガイド壁12とを有する。
【0017】
筐体11は、送風機20及び熱交換器30が収容される収容室111を形成している。筐体11は、前面パネル112と、第1底面部113と、第2底面部114と、背面部115と、第1側壁部116(
図1を参照。)と、第2側壁部117と、を有する。
【0018】
前面パネル112は、収容室111の前方に位置している。背面部115は、収容室111の後方に位置している。
図1に示すように、第1側壁部116は、収容室111に対して幅方向の一方側(室内機2に向かって左側)に位置しており、第2側壁部117は、収容室111に対して幅方向の他方側(室内機2に向かって右側)に位置している。前面パネル112の幅方向の一方端(室内機2に向かって左側端)と、背面部115の幅方向の一方端(室内機2に向かって左側端)とは、第1側壁部116によって接続されている。前面パネル112の幅方向の他方端(室内機2に向かって右側端)と、背面部115の幅方向の他方端(室内機2に向かって右側端)とは、第2側壁部117によって接続されている。
【0019】
図2に示すように、筐体11には、上方に開口する開口部118が形成されている。開口部118は、収容室111に接続されている。この開口部118によって収容室111へ空気を吸い込む吸込口が構成されている。
【0020】
収容室111の下方には、第1底面部113と第2底面部114とが設けられている。詳細には、第1底面部113は、収容室111の前方部の下方に位置している。より詳細には、第1底面部113は、収容室111のうち、送風機20が設けられた領域よりも前方に位置する領域の少なくとも一部の下方を覆っている。第2底面部114は、収容室111の後方部の下方に位置している。詳細には、第2底面部114は、収容室111のうち、送風機20が設けられた領域よりも後方に位置する領域の少なくとも一部の下方を覆っている。
【0021】
第1底面部113は、水平部113aと、鉛直部113bとを有する。水平部113aは、前面パネル112の下端部から後方に向かって略水平に延びている。鉛直部113bは、水平部113aの後端部から下方に向かって略鉛直に延びている。これら鉛直部113b及び水平部113aにより段差が形成されている。
【0022】
送風機20は、収容室111に収容されている。送風機20は、幅方向に延びる軸心を中心に回転するファンにより構成されている。
【0023】
熱交換器30は、収容室111に収容されている。熱交換器30は、開口部118と送風機20との間の吸気経路上に配置されている。
【0024】
ガイド壁12は、筐体11に接続されている。本実施形態では、ガイド壁12は、筐体11と一体に形成されている。ガイド壁12の実質的に全体は、筐体11の収容室111内に位置している。ガイド壁12は、送風路121と、吹出口122とのそれぞれを内側に形成している。すなわち、ガイド壁12は、少なくとも一対の対向する部分を有し、その対向する部分の間に送風路121及び吹出口122とのそれぞれが形成されている。ガイド壁12は、送風機20と、筐体11の下面とにわたって設けられている。このため、送風路121は、送風機20から筐体11の下面に至るように形成されている。吹出口122は、室内機本体10の前面及び下面の少なくとも一方に設けられている。詳細には、吹出口122は、筐体11の下面もしくは下面よりも下方に位置している。なお、筐体11の下面は、第1底面部113および第2底面部114により構成されている。
【0025】
具体的に、本実施形態では、ガイド壁12は、前方ガイド壁123と、後方ガイド壁124とを有する。後方ガイド壁124は、前方ガイド壁123よりも後方に配置されている。後方ガイド壁124は、前方ガイド壁123と前後方向に離れている。これら前方ガイド壁123及び後方ガイド壁124と、第1側壁部116及び第2側壁部117(
図1を参照。)とによって送風路121及び吹出口122が形成されている。
【0026】
前方ガイド壁123は、対向部123aと、ガイド部123bとを含む。対向部123aは、送風機20の外周面と対向している。対向部123aは、下方に向かって後方に延びている。ガイド部123bは、対向部123aの下端部に接続されている。ガイド部123bは、対向部123aの下端部から下方に向かって斜め前方に延びている。ガイド部123bは、略平板状である。ガイド部123bの下端部123b1は、第1底面部113から前方に突出している。ガイド部123bの下端部123b1と、第1底面部113とにより、後方に向かって凹む線状凹部125が形成されている。線状凹部125は、幅方向に沿って延びている。すなわち、ガイド壁12は、筐体11から前方に向かって突出している突出部を有し、その突出部と筐体との間に後方に向かって凹む線状凹部125が形成されている。
【0027】
後方ガイド壁124は、略湾曲面状に形成されている。後方ガイド壁124の前端部は、第2底面部114の前端部と接続されている。
【0028】
吹出口122は、送風路121の下端に接続されている。吹出口122は、ガイド壁12の下端に位置している。吹出口122は、前方ガイド壁123の下端と、後方ガイド壁124の下端と、第1側壁部116及び第2側壁部117とによって形成されている。
【0029】
室内機2は、第1風向板40と第2風向板50とを備えている。第1風向板40と第2風向板50とは、それぞれ、吹出口122を開閉するように室内機本体10に開閉可能に設けられている。第1風向板40と第2風向板50とは、それぞれ、吹出口122から吹出される吹出風の向きを制御する。
【0030】
具体的に、第1風向板40は、吹出風の向きを下方に制御し得るように配置されている。第1風向板40は、吹出風の上方に位置し、吹出風が第1風向板40と接触することにより吹出風の風向が下向きに制御可能に設けられている。
【0031】
詳細には、第1風向板40は、第1底面部113または前方ガイド壁123に取り付けられている。第1風向板40は、双方向に回転可能に設けられている。第1風向板40は、吹出口122を開状態とする姿勢と、吹出口122の一部(具体的には、吹出口122の前方部分)を閉状態とする姿勢とをとることができるように回転可能に設けられている。
【0032】
第1風向板40の回転軸A1は、吹出口122よりも前方に位置している。
【0033】
第1風向板40の回転軸A1は、第1風向板40が吹出口122を開いた状態で第1風向板40の風上側端部と風下側端部との間に位置している。すなわち、第1風向板40は、第1風向板40が吹出口122を開いた状態において回転軸A1よりも風下側に位置する主部41と、風上側に位置する基端部42とを有する。主部41の吹出風の風向に沿った長さは、基端部42の吹出風の風向に沿った長さよりも長い。すなわち、主部41が主として風向制御を行っている。第1風向板40が吹出口122を開いた状態において、第1風向板40の基端部42は、吹出口122よりも室内機本体10の内側に位置している。具体的には、基端部42は、下端部123b1の先端よりも風上側に位置している。かつ、基端部42は、送風路121の外側に位置している。具体的には、基端部42は、ガイド壁12の外側(ガイド壁12の送風路121とは反対側)に位置している。
【0034】
例えば、風向板の導風面が送風路上に位置している場合は、吹出風の向きを制御でき、吹出風の流れが大きく阻害されたり、気流が大きく乱れたりし難い。それに対して、風向板の端部が送風路上に位置している場合は、吹出風が風向板の端部に衝突するため、吹出風の流れが阻害されると共に、気流が乱れる。従って、圧力損失が増大する。本実施形態では、第1風向板40が吹出口122を開いた状態において、第1風向板40の基端部42が、吹出口122よりも室内機本体10の内側かつ送風路121の外側に位置している。このため、基端部に吹出風が衝突しにくい。よって、吹出風の流れが阻害されたり、気流が乱れたりすることを抑制することができる。従って、圧力損失の発生を抑制することができる。また、基端部42と室内機本体10との間より吹出風が漏れることを抑制し得る。従って、吹出風の風量を増大し得る。
【0035】
基端部42の吹出風の風向に沿った長さ(
図2において、基端部42の延びる方向における基端部42の長さ)は、回転軸A1と吹出口122との前後方向に沿った長さよりも長い。このため、第1風向板40の基端部42は、ガイド壁12の外側に位置可能である。すなわち、基端部42は、ガイド壁12(具体的には、前方ガイド壁123、より具体的には、前方ガイド壁123の下端部123b1)の送風路121とは反対側に位置可能である。具体的には、第1風向板40が吹出口122を開いた状態において、第1風向板40の基端部42は、下端部123b1の送風路121とは反対側に位置する。すなわち、第1風向板40の基端部42の少なくとも一部は、第1風向板40が吹出口122を開いた状態において、ガイド部123bと上下方向に重なり得る。
【0036】
第1風向板40の回転軸A1は、ガイド壁12の送風路121側の面を風下側に延長した仮想延長面P1の上または仮想延長面P1よりも外側(
図2においては上側)に位置している。すなわち、回転軸A1は、仮想延長面P1よりも内側(
図2においては下側)に位置していない。具体的に、仮想延長面P1は、前方ガイド壁123の下端部123b1の送風路121側の面を、当該面の法線に対して直交する方向に沿って下流側に延長した仮想平面である。
【0037】
第2風向板50は、吹出風の向きを上方に制御し得るように配置されている。第2風向板50は、吹出風の下方に位置し、吹出風が第2風向板50と接触することにより吹出風の風向が上向きに制御可能に設けられている。
【0038】
詳細には、第2風向板50は、第2底面部114または後方ガイド壁124に取り付けられている。第2風向板50は、双方向に回転可能に設けられている。第2風向板50は、吹出口122を開状態とする姿勢と、吹出口122の一部(具体的には、吹出口122の後方部分)を閉状態とする姿勢とをとることができるように回転可能に設けられている。
【0039】
第2風向板50が吹出口122を開いた状態において、第2風向板50の風上側端部は、ガイド壁12の外側(ガイド壁12の送風路121とは反対側)に位置している。
【0040】
第2風向板50の回転軸A2は、吹出口122よりも後方に位置している。回転軸A2は、第2風向板50が吹出口122を開いた状態で第2風向板50の風上側端部に位置している。第2風向板50の風上側端部は、後方ガイド壁124と上下方向に重なっている。
【0041】
回転軸A2は、後方ガイド壁124の送風路121側の面を風下側に延長した仮想延長面P2の上または仮想延長面P2よりも外側(
図2においては下側)に位置している。すなわち、回転軸A2は、仮想延長面P2よりも内側(
図2においては上側)に位置していない。具体的に、仮想延長面P2は、後方ガイド壁124の下端部の送風路121側の面を、当該面の法線に対して直交する方向に沿って下流側に延長した仮想平面である。
【0042】
図3は、運転停止時における室内機2の模式的断面図である。
図3に示すように、第1風向板40及び第2風向板50が吹出口122を閉じた状態において、第1風向板40の先端部(
図3においては後端部)と、第2風向板50の先端部(
図3においては前端部)とが最接近する。第1風向板40及び第2風向板50が吹出口122を閉じた状態において、第1風向板40の先端部と第2風向板50の先端部とが対向している。
【0043】
図4は、冷房運転時の室内機2の模式的断面図である。
図4に示すように、冷房運転時においては、第1風向板40は、第1風向板40の全体が仮想延長面P1よりも上方に位置する姿勢をとる。第2風向板50は、第2風向板50の少なくとも先端部(下流側端部)が仮想延長面P2よりも上方に位置する姿勢をとる。第1風向板40と第2風向板50とは実質的に平行になる。このため、吹出口122からの吹出風は第2風向板50と接触し、第2風向板50により上方に導かれる。
【0044】
図5は、暖房運転時の室内機2の模式的断面図である。
図5に示すように、暖房運転時においては、第1風向板40は、主部41が仮想延長面P1よりも下側に位置する姿勢をとる。第2風向板50は、第2風向板50の全体が仮想延長面P2よりも下側に位置する姿勢をとる。第1風向板40と第2風向板50とは実質的に平行になる。このため、吹出口122からの吹出風は第1風向板40と接触し、第1風向板40により下方に導かれる。
【0045】
図6は、本実施形態における駆動機構60の模式的斜視図である。
図7は、本実施形態における駆動機構60の内部構造を表す模式的斜視図である。
図8は、本実施形態における吹出口が閉じられた状態の駆動機構60の内部構造を表す模式的側面図である。
図9は、本実施形態における暖房運転時の駆動機構60の内部構造を表す模式的側面図である。
図10は、本実施形態における冷房運転時の駆動機構60の内部構造を表す模式的側面図である。
【0046】
次に、本実施形態における第1風向板40及び第2風向板50の駆動機構60について、
図1及び
図6~
図10を参照しながら詳細に説明する。
【0047】
図1に示すように、室内機2は、駆動機構60を備えている。駆動機構60は、第1風向板40及び第2風向板50を駆動する機構である。具体的には、駆動機構60は、第1風向板40及び第2風向板50を回転させる。
【0048】
駆動機構60は、第1側壁部116の内面に取り付けられた第1駆動機構60aと、第2側壁部117の内面に取り付けられた第2駆動機構とを含む。第1駆動機構60aが第1風向板40及び第2風向板50に対して室内機2の幅方向の一方側(
図1においては右側)に位置しており、第2駆動機構が第1風向板40及び第2風向板50に対して室内機2の幅方向の他方側(
図1においては左側)に位置している。
【0049】
第1駆動機構60aと、第2駆動機構とは実質的に同様の構成を有する。このため、本実施形態では、第1駆動機構60aについて説明し、第1駆動機構60aの説明を第2駆動機構に援用するものとする。
【0050】
第1駆動機構60aは、
図6に示す筐体61と、
図7に示す第1駆動部62と、第2駆動部63と、
図6に示す第1動力源64aと、第2動力源64bとを備えている。本実施形態では、具体的には、第1動力源64a及び第2動力源64bは、それぞれ、電動モータにより構成されている。
【0051】
図6に示すように、筐体61は、本体61aと、蓋61bとを備えている。
図7に示すように、本体61aには、凹状の収容空間61cが形成されている。
図6に示すように、蓋61bは、収容空間61cを塞ぐように本体61aに取り付けられている。
【0052】
図7に示すように、第1駆動部62及び第2駆動部63は、収容空間61c内に配置されている。第1駆動部62は、ギア62aと、ギア62bとを有する。ギア62aとギア62bとは、それぞれ、筐体61により回転可能に支持されている。ギア62aには、筐体61の外側に取り付けられた第1動力源64a(
図6を参照。)に接続されている。ギア62aは、第1動力源64aにより回転駆動される。ギア62bは、ギア62aと噛み合っている。このため、ギア62bは、ギア62aの回転に伴って回転する。ギア62bには、アーム65aの一方側端部65a1が回転可能に取り付けられている。
図8に示すように、アーム65aの他方側端部65a2は、筐体61内から筐体61の外側に至っている。アーム65aの他方側端部65a2は、第1風向板40の回転軸A1よりも先端側(
図8においては後方側)に位置する部分に回転可能に取り付けられている。
【0053】
図7に示すように、第2駆動部63は、ギア63aと、ギア63bとを有する。ギア63aと、ギア63bとは、それぞれ、筐体63に回転可能に支持されている。ギア63aには、筐体61の外側に取り付けられた第2動力源64b(
図6を参照。)に接続されている。ギア63aは、第2動力源64bにより回転駆動されている。ギア63bは、ギア63aと噛み合っている。このため、ギア63bは、ギア63aの回転に伴って回転する。ギア63bには、アーム65bの一方側端部65b1が回転可能に取り付けられている。
図8に示すように、アーム65bの他方側端部65b2は、筐体61内から筐体61の外側に至っている。アーム65bの他方側端部65b2は、第2風向板50の回転軸A2よりも先端側(
図8においては前方側)に位置する部分に回転可能に取り付けられている。
【0054】
室内機2では、第1動力源64a及び第2動力源64bの動力により第1風向板40及び第2風向板50が回転する。具体的には、第1動力源64aによりギア62aが回転駆動されると、ギア62aの回転に伴ってギア62bが回転する。例えば、ギア62aが
図7及び
図8において反時計回り(左回り)に回転すると、ギア62bが
図7及び
図8において時計回り(右回り)に回転する。このギア62bの回転によりアーム65aが前方(
図7及び
図8においては左側)に押し出される。その結果、
図9及び
図10に示すように、第1風向板40が
図9及び
図10における時計回り(右回り)に回転駆動される。
【0055】
第2動力源64bによりギア63aが回転駆動されると、ギア63aの回転に伴ってギア63bが回転する。例えば、ギア63aが
図7及び
図8において時計回り(右回り)に回転すると、ギア63bが
図7及び
図8において反時計回り(左回り)に回転する。このギア63bの回転によりアーム65bが前方(
図7及び
図8においては左側)に押し出される。その結果、
図9及び
図10に示すように、第2風向板50が
図9及び
図10における反時計回り(左回り)に回転駆動される。
【0056】
(空気調和機1の動作)
次に、空気調和機1の動作について説明する。空気調和機1の電源がオフされた状態においては、
図3に示すように、第1風向板40と第2風向板50とにより吹出口122が閉じられている。吹出口122は、第1風向板40及び第2風向板50から実質的に露出していない。
【0057】
例えばユーザによりリモコン等の操作子が操作され、空気調和機1の電源がオンされると、
図2及び
図4に示すように、第1風向板40及び第2風向板50が回転し、吹出口122が開かれる。例えば、ユーザにより冷房運転または除湿運転が選択されると、
図5に示されるように、第1風向板40の実質的に全体が仮想延長面P1よりも上方に位置するように第1風向板40が回転駆動されると共に、第2風向板50の風下側部分が仮想延長面P2よりも上方に位置するように第2風向板50が回転駆動される。例えば、ユーザにより暖房運転が選択されると、
図6に示すように、第1風向板40の主部41が仮想延長面P1よりも下方に位置するように第1風向板40が回転駆動されると共に、第2風向板50の実質的に全体が仮想延長面P2よりも下方に位置するように第2風向板50が回転駆動される。このような第1風向板40及び第2風向板50の回転駆動により吹出口122が露出する。
【0058】
次に、送風機20と、室内機2及び室外機のそれぞれに設けられた熱交換器との駆動が開始される。送風機20が駆動されることにより、開口部118により構成された吸気口(
図2を参照)から室内の空気が収容室111内に給気される。給気された空気は、熱交換器30において冷却または加熱された後に送風機20、送風路121を経由して吹出口122から室内へと吹出される。吹出風の風向は、第1風向板40及び第2風向板50により制御される。具体的には、冷房または除湿運転時においては、吹出風は、第1風向板40及び第2風向板50により下方へと導かれる。暖房運転時においては、吹出風は、第1風向板40及び第2風向板50により上方へと導かれる。運転状態において、第1風向板40及び第2風向板50の少なくとも一方は、スイングしていてもよい。
【0059】
ユーザにより操作子が操作され、空気調和機1の電源がオフされると、送風機20と、室内機2及び室外機のそれぞれに設けられた熱交換器との駆動が停止されると共に、第1風向板40及び第2風向板50が回転して吹出口122が閉鎖される。
【0060】
以上説明したように、室内機2では、第1風向板40が吹出口122を開いた状態において、第1風向板40の基端部42が、吹出口122よりも室内機本体10の内側かつ送風路121の外側に位置している。このため、基端部42により風の吹き出しが阻害され難い。また、基端部42と室内機本体10との間より吹出風が漏れることを抑制することができる。従って、吹出風の圧力損失を抑制し得る。また、吹出風の整流性が損なわれにくいため、吹出風をより遠くまで送風し得る。
【0061】
吹出風の圧力損失を抑制する観点からは、第1風向板40の回転軸A1が仮想延長面P1よりも外側(送風路とは反対側)に位置していることが好ましい。
【0062】
同様の観点から、第2風向板50の風上側端部(
図2及び
図3においては後端部)がガイド壁12の外側に位置することが好ましい。第2風向板50の回転軸A2がガイド壁12の外側に位置することが好ましい。
【0063】
室内機2では、第1風向板40の風上側に位置する基端部42がガイド壁12の送風路121とは反対側に位置可能である。基端部42をガイド壁12の送風路121とは反対側に位置させることにより、ガイド壁12と第1風向板40との間から風が漏れることを抑制することができる。よって、吹出風の圧力損失を抑制し得、かつ、吹出風の風速を向上し得る。
【0064】
室内機2では、吹出口122の上側部分を開閉する第1風向板40と、吹出口122の下側部分を開閉する第2風向板50とが設けられている。このため、吹出風の風向の制御自由度を向上し得る。また、例えば、一枚の風向板を設けた場合と比較して第1風向板40と第2風向板50とを小型化することができる。よって、第1風向板40の駆動機構と第2風向板50の駆動機構とを小型化することができる。
【0065】
第1風向板40と第2風向板50とを小型化する観点からは、吹出口122を閉じた状態において、第1風向板40の先端部と第2風向板50の先端部とが最接近することが好ましく、対向することがより好ましい。
【0066】
室内機2では、第1風向板40を駆動する第1駆動部62と、第2風向板50を駆動する第2駆動部63とが共通の筐体61内に収納されている。このため、第1駆動部62と第2駆動部63との位置精度を向上することができる。よって、第1風向板40と第2風向板50とを高精度に駆動することができる。具体的には、第1風向板40と第2風向板50との成す角の大きさが所望する角度からずれることを抑制することができる。
【0067】
また、第1駆動部62と第2駆動部63とを共通の筐体61内に収納することにより、駆動機構60の小型化を図ることができる。
【0068】
上記実施形態では、前方ガイド壁123及び後方ガイド壁124と、第1側壁部116及び第2側壁部117とによって送風路121及び吹出口122が形成されている例について説明した。このように、ガイド壁は、他の部材と共に送風路及び吹出口を形成していてもよい。換言すれば、送風路及び吹出口を形成する壁部の一部がガイド壁により構成されていればよい。もっとも、送風路及び吹出口を形成する壁部の全体がガイド壁により構成されていてもよい。換言すれば、ガイド壁のみにより送風路及び吹出口が形成されていてもよい。
【0069】
上記実施形態では、吹出口122を閉じた状態において互いの先端部が対向する第1風向板40と第2風向板50とを備える例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。例えば、室内機は、1枚の風向板のみを備えていてもよい。その場合、1枚の風向板は、例えば、吹出風の上方に位置するように設けられていてもよいし、下方に位置するように設けられていてもよい。例えば、室内機は、3枚以上の風向板を備えていてもよい。その場合、例えば、3枚以上の風向板のうちの一枚を吹出風の上方に配置し、他の風向板のうちの1枚を下方に配置してもよい。また、例えば、第1風向板及び第2風向板が吹出口を閉じた状態において、第1風向板が少なくとも第2風向板の先端部を覆うように第1及び第2風向板が設けられていてもよい。例えば、第1風向板及び第2風向板が吹出口を閉じた状態において、第2風向板が少なくとも第1風向板の先端部を覆うように第1及び第2風向板が設けられていてもよい。
【0070】
風向板は、例えば、回転不能に設けられていてもよい。
【0071】
上記実施形態では、第1風向板40の回転軸A1が第1風向板の風上側端部と風下側端部との間に位置している例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。例えば、第1風向板の回転軸は、第1風向板の風上側端部に設けられていてもよい。すなわち、第1風向板の実質的に全体が第1風向板の回転軸よりも吹出風の風下側に位置していてもよい。
【0072】
上記実施形態では、第1駆動部62に動力を供給する第1動力源64aと、第2駆動部63に動力を供給する第2動力源64bとが別体に設けられている例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。例えば、第1駆動部に動力を供給する動力源と、第2駆動部に動力を供給する動力源とを一体に設けてもよい。すなわち、ひとつの動力源から第1駆動部及び第2駆動部の両方に動力を供給してもよい。このように、共通の動力源から第1駆動部及び第2駆動部に動力を供給することにより、第1風向板と第2風向板とをより高精度に駆動することができる。但し、第1風向板と第2風向板との制御自由度を高める観点からは、第1駆動部と第2駆動部とに対して別個に動力源を設けることが好ましい。
【0073】
上記実施形態では、駆動機構60が第1駆動機構60aと第2駆動機構との2つの駆動機構を含む例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。例えば、室内機は、室内機の幅方向において第1風向板及び第2風向板の一方側に位置するひとつの駆動機構により第1風向板及び第2風向板が駆動されるように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 空気調和機
2 室内機
10 室内機本体
121 送風路
122 吹出口
12 ガイド壁
40 第1風向板
50 第2風向板