(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】送風装置及び送風方法
(51)【国際特許分類】
F04D 25/10 20060101AFI20230809BHJP
F04D 27/00 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
F04D25/10 302Q
F04D25/10 302L
F04D27/00 R
F04D27/00 U
(21)【出願番号】P 2019175503
(22)【出願日】2019-09-26
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】藤井 勝司
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-42854(JP,A)
【文献】特開昭63-120896(JP,A)
【文献】特許第5658836(JP,B1)
【文献】特開2019-65837(JP,A)
【文献】特開2016-11597(JP,A)
【文献】特開2012-237238(JP,A)
【文献】特開平2-78795(JP,A)
【文献】特開平6-147188(JP,A)
【文献】中国実用新案第207093421(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第107237772(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107237771(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 1/00-13/16;
17/00-19/02;
21/00-25/16;
29/00-35/00
F04D 27/00-27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンを有する送風部と、
前記送風部の姿勢を変更する変更部と、
前記変更部を制御する制御部と
を備え、
前記ファンは、
複数の羽根を有する羽根部と、
前記複数の羽根が外周に固定された回転
ボスと
を含み、
前記回転
ボスの位置を
、初期状態と前記初期状態から所定範囲内で変更
した変更状態とを交互に繰り返すように、前記制御部
が前記変更部を制御
する所定モードを有し、
前記初期状態は、前記所定モードを実行する情報を受けたときの状態であり、
前記所定範囲は、
前記初期状態のときの前記ファンを該ファンの回転軸方向から見たときに、前記回転
ボスが、
前記初期状態の前記回転
ボスの外周に対応する仮想線に外接するように移動したときの前記回転
ボスの最大軌跡によって定まる範囲を示す、送風装置。
【請求項2】
前記送風部は、所定方向に空気を送風し、
前記変更部は、第1回転軸線で前記送風部を回動させ、
前記所定方向は、前記第1回転軸線に直交する、請求項1に記載の送風装置。
【請求項3】
前記変更部は、第2回転軸線で前記送風部を更に回動させ、
前記第2回転軸線は、前記第1回転軸線に直交する、請求項2に記載の送風装置。
【請求項4】
前記送風部は、前記ファンを覆うガードを有し、
前記ガードは、前記回転
ボスに対して前記所定方向に位置するカバー部材を有する、請求項2
又は請求項
3に記載の送風装置。
【請求項5】
操作情報を受付ける受付部を更に備え、
前記操作情報に基づいて、前記制御部は前記変更部を制御する、請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の送風装置。
【請求項6】
所定距離内に対象物が存在するか否かを検知する検知部を更に備え、
前記検知部の検知結果に基づいて、前記制御部は前記変更部を制御する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の送風装置。
【請求項7】
前記回転
ボスは、第1直径を有する円筒体を含み、
前記所定範囲は、前記第1直径の3倍の第2直径を有する円筒体を示す、請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載の送風装置。
【請求項8】
ファン、及び、前記ファンを覆うガードを有し、空気を送風する送風部と、
前記送風部の姿勢を変更する変更部と、
前記変更部を制御する制御部と
を備え、
前記ファンは、
複数の羽根を有する羽根部と、
前記複数の羽根が外周に固定された回転
ボスと
を含み、
前記ガードは、前記回転
ボスに対して前記空気が送風される方向に位置するカバー部材を有し、
前記カバー部材の位置を所定範囲内で変更するように、前記制御部は前記変更部を制御し、
前記回転ボスの位置を、初期状態と前記初期状態から所定範囲内で変更した変更状態とを交互に繰り返すように、前記制御部が前記変更部を制御する所定モードを有し、
前記初期状態は、前記所定モードを実行する情報を受けたときの状態であり、
前記所定範囲は、
前記初期状態のときの前記ファンを該ファンの回転軸方向から見たときに、前記カバー部材が、
前記初期状態の前記カバー部材の外周に対応する仮想線に外接するように移動したときの前記カバー部材の最大軌跡によって定まる範囲を示す、送風装置。
【請求項9】
前記カバー部材は、第3直径を有する円板を含み、
前記所定範囲は、前記第3直径の3倍の第4直径を有する円を示す、請求項
8に記載の送風装置。
【請求項10】
複数の羽根を有する羽根部と、
前記複数の羽根が外周に固定された回転
ボスと
を含む、ファンを有する送風部によって空気を送風する送風方法であって、
前記回転ボスの位置を、初期状態と前記初期状態から所定範囲内で変更した変更状態とを交互に繰り返すように、制御部が前記送風部を制御する所定モードを有し、
前記初期状態は、前記所定モードを実行する情報を受けたときの状態であり、
前記回転
ボスの位置を所定範囲内で変更する工程を含み、
前記所定範囲は、
前記初期状態のときの前記ファンを該ファンの回転軸方向から見たときに、前記回転
ボスが、
前記初期状態の前記回転
ボスの外周に対応する仮想線に外接するように移動したときの前記回転
ボスの最大軌跡によって定まる範囲を示す、送風方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風装置及び送風方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の扇風機は、羽根と、羽根用モータと、上下首振りモータと、左右首振りモータと、ファンガードとを有する。羽根用モータは、羽根を回転させる。上下首振りモータは、羽根を上下首振りさせる。左右首振りモータは、羽根を左右首振りさせる。ファンガードは、羽根を収容する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の扇風機では、扇風機の中央領域に位置する羽根の回転軸部から風は発生しないため、扇風機の前面に顔を近づけた場合、顔の中央に風を受けることができなかった。扇風機から離れると、顔の中央も風を受けることができるが、風が弱くなった。
【0005】
本発明は、中央に強い風を送風できる送風装置及び送風方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の1局面によれば、送風装置は、送風部と、変更部と、制御部とを備える。前記送風部は、ファンを有する。前記変更部は、前記送風部の姿勢を変更する。前記制御部は、前記変更部を制御する。前記ファンは、複数の羽根を有する羽根部と、前記複数の羽根が外周に固定された回転軸部とを含む。前記回転軸部の位置を所定範囲内で変更するように、前記制御部は前記変更部を制御する。前記所定範囲は、前記回転軸部が、前記初期状態の前記回転軸部の外周に対応する仮想線に外接するように移動したときの前記回転軸部の最大軌跡によって定まる範囲を示す。
【0007】
本願の1局面によれば、送風装置は、送風部と、変更部と、制御部とを備える。前記送風部は、ファン、及び、前記ファンを覆うガードを有し、空気を送風する。前記変更部は、前記送風部の姿勢を変更する。前記制御部は、前記変更部を制御する。前記ファンは、複数の羽根を有する羽根部と、前記複数の羽根が外周に固定された回転軸部とを含む。前記ガードは、前記回転軸部に対して前記空気が送風される方向に位置するカバー部材を有する。前記カバー部材の位置を所定範囲内で変更するように、前記制御部は前記変更部を制御する。前記所定範囲は、前記カバー部材が、初期状態の前記カバー部材の外周に対応する仮想線に外接するように移動したときの前記カバー部材の最大軌跡によって定まる範囲を示す。
【0008】
本願の1局面によれば、送風方法は、ファンを有する送風部によって空気を送風する送風方法である。前記ファンは、複数の羽根を有する羽根部と、前記複数の羽根が外周に固定された回転軸部とを含む。前記送風方法は、前記回転軸部の位置を所定範囲内で変更するように、前記制御部は前記変更部を制御する工程を含む。前記所定範囲は、前記初期状態の前記回転軸部の外周に対応する仮想線に外接するように、前記回転軸部が移動したときの前記回転軸部の最大軌跡によって定まる範囲を示す。
【発明の効果】
【0009】
本発明の送風装置及び送風方法によれば、中央に強い風を送風できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る扇風機の一例を示す正面図である。
【
図2】第1実施形態に係る扇風機を示す側面図である。
【
図3】第1実施形態に係る扇風機を示す断面図である。
【
図4】第1実施形態に係る扇風機の構成を示すブロック図である。
【
図5】第1実施形態に係る送風部の姿勢を変更する扇風機の一例を示す正面図である。
【
図6】第1実施形態に係る送風部の姿勢を変更する扇風機の一例を示す平面図である。
【
図7】第1実施形態に係る送風部の姿勢を変更する扇風機の他の一例を示す正面図である。
【
図8】第1実施形態に係る送風部の姿勢を変更する扇風機の他の一例を示す側面図である。
【
図9】第1実施形態に係る扇風機の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る送風部の姿勢を変更する扇風機の一例を示す正面図である。
【
図11】第2実施形態に係る送風部の姿勢を変更する扇風機の一例を示す平面図である。
【
図12】本発明の第3実施形態に係る扇風機の一例を示す側面図である。
【
図13】本発明の第4実施形態に係る送風部の姿勢を変更する扇風機の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0012】
[第1実施形態]
図1~
図3を参照して、本発明の第1実施形態に係る扇風機の構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る扇風機の一例を示す正面図である。
図2は、第1実施形態に係る扇風機を示す側面図である。
図3は、第1実施形態に係る扇風機を示す断面図である。また、第1実施形態では、図中に、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を示す。Z軸は鉛直方向に平行であり、X軸及びY軸は水平方向に平行である。
【0013】
図1~
図3に示すように、扇風機1は、ベース141と、第1支柱142と、第2支柱143と、送風部20と、モータ31と、制御部30と、操作パネル141aとを備える。扇風機1は、送風装置の一例である。モータ31は、変更部の一例である。操作パネル141aは、受付部の一例である。
【0014】
ベース141は、床面に載置される。ベース141の外形は、例えば、平面視でほぼ円形をなす扁平状を有する。そして、ベース141の前方上面には、操作パネル141aが設けられる。操作パネル141aは、操作情報を受付ける。操作情報は、ユーザーによって入力された情報を示す。操作パネル141aは、操作情報を制御部30に出力する。
【0015】
第1実施形態では、扇風機1の操作パネル141aが配置される側を扇風機1の前側とし、その反対側を扇風機1の後側と規定する。X軸の正方向は、扇風機1の前側を示す。また、扇風機1を前側から視たときの右側を扇風機1の右側とし、その反対側を扇風機1の左側と規定する。Y軸の正方向は、扇風機1の右側を示す。なお、これらの向きは、本発明の扇風機1の使用時の向きを限定するものではない。
【0016】
第1支柱142は、ベース141から上方に延びる。具体的には、第1支柱142は、ベース141の後方上面から垂直に延びる。
【0017】
第2支柱143は、上部143bと下部143aとを有する。下部143aは、第1支柱142に対して第2回転軸線AXで回転する。第2回転軸線AXは、Z軸に沿って延びている。具体的には、第1支柱142の上部142aは、下部143a内に挿入されている。下部143aは、第1支柱142の上部142aに回転自在に組み付けられる。
【0018】
下部143aは、モータ143cを有する。モータ143cは、変更部の一例である。モータ143cは、第2回転軸線AXで下部143aを回動させる。例えば、モータ143cは、左右に約90°(-90°から90°の間)で下部143aを回動させる。モータ143cは、例えば、ステッピングモータである。モータ143cは、制御部30によって駆動される。
【0019】
送風部20は、第2支柱143に対して第1回転軸線BXで回動する。第1回転軸線BXは、第2回転軸線AXと直交する。具体的には、上部143bは、第1部と第2部とを有する。送風部20は、第1部と第2部との間に位置する。送風部20は、第1部と第2部とに回動自在に組み付けられる。
【0020】
モータ31は、送風部20の姿勢を変更する。具体的には、モータ31は、第1回転軸線BXで送風部20を回動させる。例えば、モータ31は、上下に約45°(-45°から45°の間)で送風部20の第1回転軸部20aを回動させる。モータ31は、例えば、ステッピングモータである。モータ31は、制御部30によって駆動される。
【0021】
送風部20は、所定方向D1に空気を送風する。具体的には、送風部20は、駆動部カバー21と、ファンモータ12と、ファン11と、ガード22とを有する。所定方向D1は、ファンモータ12の位置からファン11の位置に向かう方向を示す。所定方向D1は、第1回転軸線BXと直交する。
【0022】
ファン11は、例えば、回転ボス111と、羽根部112とを含む。回転ボス111は、回転軸部の一例である。回転ボス111は、例えば、第1直径R1を有する円筒体を含む。羽根部112は、複数の羽根を有する。複数の羽根の各々は、互いに同一形状をなす。回転ボス111の外周には、複数の羽根が固定される。なお、回転ボス111と複数の羽根とは、一体化されていてもよい。
【0023】
ファンモータ12は、所定方向D1側を開口した駆動部カバー21により覆われている。ファンモータ12は、所定方向D1に突出した第2回転軸部121を有する。第2回転軸部121は、第3回転軸線CXで回転する。第3回転軸線CXは、所定方向D1に沿って延びている。第2回転軸部121は、回転ボス111の中央に取付けられる。その結果、ファン11は、ファンモータ12によって第3回転軸線CXで回転する。
【0024】
ガード22は、例えば、ファン11を覆う網状体である。ガード22は、例えば、円筒形の周縁部221と、複数の第1骨部222と、円形のカバー板223と、複数の第2骨部224とを有する。カバー板223は、カバー部材の一例である。
【0025】
周縁部221の内周部は、ファン11の外周部に対向する。複数の第1骨部222の各々は、直線状に設けられ、所定方向D1に沿っている。複数の第1骨部222は、互いに間隔を有して配置される。複数の第1骨部222の一端の各々は、駆動部カバー21と連結され、複数の第1骨部222の他端の各々は、周縁部221と連結される。
【0026】
カバー板223は、回転ボス111に対して空気が送風される方向に位置する。つまり、カバー板223は、回転ボス111に対して所定方向D1に位置する。具体的には、カバー板223は、ファン11の前面に対向する。カバー板223は、例えば、第1直径R1より大きい第3直径R3を有する円板である。複数の第2骨部224の各々は、直線状に設けられ、所定方向D1に沿っている。複数の第2骨部224は、互いに間隔を有して配置される。複数の第2骨部224の一端の各々は、周縁部221と連結され、複数の第2骨部224の他端の各々は、カバー板223の外周端と連結される。
【0027】
図4を参照して、扇風機1の構成について詳細に説明する。
図4は、第1実施形態に係る扇風機1の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、扇風機1は、記憶部40を更に備える。
【0028】
記憶部40は、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)によって構成される。記憶部40は、扇風機1の各部の動作を制御するための制御プログラムを記憶する。
【0029】
制御部30は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーを含むハードウェア回路である。制御部30は、記憶部40に格納された制御プログラムを実行することにより、モータ31、モータ143c及びファンモータ12を制御する。
【0030】
具体的には、制御部30は、操作パネル141aからの操作情報に基づいて、ファンモータ12を駆動する。その結果、ファン11によって空気は、扇風機1の周囲を流通する。詳細には、ファン11に吸い込まれた空気は、ガード22を経てファン11の所定方向D1に吹き出される。
【0031】
また、制御部30は、操作パネル141aからの操作情報に基づいて、モータ143cを駆動する。その結果、下部143aは、モータ143cによって第1支柱142に対して回動する。よって、所定方向D1は、左右に約90°で変更される。従って、ファン11に吸い込まれた空気は、所定方向D1が左右に約90°で変更されながら、ガード22を経て吹き出される。
【0032】
更に、制御部30は、操作パネル141aからの操作情報に基づいて、モータ31を駆動する。その結果、送風部20は、モータ31によって第2支柱143に対して回動する。よって、所定方向D1は、上下に約45°で変更される。従って、ファン11に吸い込まれた空気は、所定方向D1が上下に約45°で変更されながら、ガード22を経て吹き出される。
【0033】
また、第1実施形態に係る扇風機1は、送風部20の制御方法として、所定モードを有する。所定モードは、扇風機1は所定範囲内で送風部20の姿勢を変更するモードである。例えば、所定モードでは、使用者が扇風機1をドライヤーとして使用したい場合に、扇風機1は所定範囲内で送風部20を回動する。
【0034】
制御部30は、操作パネル141aからの所定モードを示す操作情報に基づいて、モータ31、モータ143c及びファンモータ12を制御する。
【0035】
図5は、送風部20の姿勢を変更する扇風機1の一例を示す正面図である。
図6は、送風部20の姿勢を変更する扇風機1の一例を示す平面図である。
図5及び
図6に示すように、制御部30は、回転ボス111の位置を所定範囲LB内で変更するように、モータ31及びモータ143cを制御する。
【0036】
所定範囲LBは、回転ボス111が、初期状態の回転ボス111の外周に対応する仮想線LAに外接するように、移動したときの回転ボス111の最大軌跡LBによって定まる範囲を示す。例えば、所定範囲LBは、第1直径R1の3倍の第2直径R2を有する円筒体を示すことが好ましい。
【0037】
詳細には、初期状態は、所定方向D1が第1回転軸線BX及び第2回転軸線AXに直交する状態を示す。例えば、所定方向D1が、X軸に沿って延びている。回転ボス111は、中心軸がX軸に沿って延びている円筒体である。回転ボス111は、X軸の正方向側に位置する前側円環体111aと、X軸の負方向側に位置する後側円環体111bとを有する。
【0038】
一方、変更状態は、初期状態の回転ボス111の位置から、回転ボス111の位置が変更された状態を示す。詳細には、所定方向D1と反対側から視たときに、初期状態の回転ボス111の前側円環体111aの外周と、変更状態の回転ボス111の前側円環体111aの外周とが外接する状態を示す。具体的には、モータ143cは、左方にα°で下部143aを回動させる。その結果、回転ボス111の前側円環体111aの外周は、初期状態での回転ボス111の前側円環体111aの外周に対応する仮想線LAの左方に外接する。そして、制御部30は、変更状態と初期状態とを交互に繰り返すように、モータ31及びモータ143cを制御する。
【0039】
以上のように、第1実施形態によれば、回転ボス111の位置を所定範囲LB内で変更するため、中央に強い風を送風できる。その結果、扇風機1の前面に顔を近づけた場合、顔の中央及び輪郭を含む顔全体に強い風を受けることができる。
【0040】
また、第1回転軸線BXで送風部20を回動させることによって、初期状態の送風部20の回転ボス111の位置と、変更状態の回転ボス111の位置とを異ならせることができる。
【0041】
そして、使用者は操作パネル141aで所定モードを示す操作情報を入力することによって、中央に強い風を送風できる。その結果、使用者の所望時に強い風を受けることができる。
【0042】
更に、カバー板223を有する場合にも、顔の中央及び輪郭を含む顔全体に強い風を受けることができる。
【0043】
また、
図7は、送風部20の姿勢を変更する扇風機1の他の一例を示す正面図である。
図8は、送風部20の姿勢を変更する扇風機1の他の一例を示す平面図である。
図7及び
図8に示すように、制御部30は、回転ボス111の位置を所定範囲LB内で変更するように、モータ143cを制御する。
【0044】
詳細には、所定方向D1と反対側から視たときに、初期状態の回転ボス111の前側円環体111aの外周と、変更状態の回転ボス111の前側円環体111aの外周とが外接する状態を示す。具体的には、モータ143cは、上方にα°で送風部20を回動させる。その結果、回転ボス111の前側円環体111aの外周は、初期状態での回転ボス111の前側円環体111aの外周に対応する仮想線LAの上方に外接する。
【0045】
更に詳細には、制御部30は、初期状態の回転ボス111の外周に対応する仮想線LAと、変更状態の回転ボス111の外周とが外接した状態で、回転ボス111が仮想線LAの外周を回転するように、モータ31及びモータ143cを制御する。
【0046】
以上のように、第1実施形態によれば、回転ボス111が仮想線LAの外周を回転するため、中央に強い風を常に送風できる。その結果、扇風機1の前面に顔を近づけた場合、顔の中央及び輪郭を含む顔全体に強い風を常に受けることができる。
【0047】
ここで、
図9を参照して、第1実施形態に係る扇風機1の処理について説明する。
図9は、扇風機1の処理の一例を示すフローチャートである。
【0048】
図9に示すように、まず、ステップS101において、操作パネル141aは、操作情報を受付ける。処理がステップS102に進む。
【0049】
次に、ステップS102において、制御部30は、回転ボス111の位置を所定範囲LB内で変更するように、モータ31及びモータ143cを制御する。
【0050】
[第2実施形態]
次に、
図10及び
図11を参照して、第2実施形態に係る扇風機1について説明する。
図10は、送風部20の姿勢を変更する扇風機1の一例を示す正面図である。
図11は、送風部20の姿勢を変更する扇風機1の一例を示す平面図である。第2実施形態に係る扇風機1では、回転ボス111の移動範囲が相違している。以下では、主に、第1実施形態と異なる点を説明する。
【0051】
図10及び
図11に示すように、制御部30は、送風部20の回転ボス111の中心が、初期状態の回転ボス111の外周に対応する仮想線LAを通過するように、モータ31及びモータ143cを制御する。具体的には、モータ143cは、左右方向にβ°で下部143aを回動させとともに、モータ31は、上下方向にβ°で送風部20を回動させる。その結果、回転ボス111の前側円環体111aの中心は、初期状態の回転ボス111の前側円環体111aの外周を通過する。
【0052】
以上のように、第2実施形態によれば、回転ボス111の位置を所定範囲LB内で変更するため、中央に強い風を送風できる。その結果、扇風機1の前面に顔を近づけた場合、顔の中央及び輪郭を含む顔全体に強い風を受けることができる。
【0053】
[第3実施形態]
次に、
図12を参照して、第3実施形態に係る扇風機1について説明する。第3実施形態に係る扇風機1では、検知部213を更に備える点で相違している。以下では、主に、第1実施形態と異なる点を説明する。
【0054】
扇風機1は、検知部213を更に備える。検知部213は、所定距離内に対象物が存在するか否かを検知する。所定距離は、例えば、30cmである。対象物は、例えば、人の顔である。検知部213は、例えば、測距センサー又はカメラである。検知部213は、第1支柱142に設けられる。検知部213は、検知情報を制御部30に出力する。
【0055】
検知部213の検知結果に基づいて、制御部30はモータ31及びモータ143cを制御する。具体的には、所定距離内に対象物が存在する場合、制御部30は、回転ボス111の位置を所定範囲LB内で変更するように、モータ31及びモータ143cを制御する。
【0056】
以上のように、第3実施形態によれば、扇風機1の前面に顔を近づけた場合、顔の中央及び輪郭を含む顔全体に強い風を受けることができる。
【0057】
[第4実施形態]
次に、
図13を参照して、第4実施形態に係る扇風機1について説明する。
図13は、送風部20の姿勢を変更する扇風機1の一例を示す正面図である。第4実施形態に係る扇風機1では、送風部20の移動範囲が相違している。以下では、主に、第1実施形態と異なる点を説明する。
【0058】
図13に示すように、制御部30は、カバー板223の位置を所定範囲LD内で変更するように、モータ31及びモータ143cを制御する。
【0059】
所定範囲LDは、カバー板223が、初期状態のカバー板223の外周に対応する仮想線LCに外接するように移動したときのカバー板223の最大軌跡LDによって定まる範囲を示す。例えば、所定範囲LDは、第3直径R3の3倍の第4直径R4を有する円を示すことが好ましい。
【0060】
変更状態は、初期状態のカバー板223の位置から、カバー板223の位置が変更された状態を示す。詳細には、所定方向D1と反対側から視たときに、初期状態のカバー板223の外周と、変更状態のカバー板223の外周とが外接する状態を示す。
【0061】
以上のように、第4実施形態によれば、カバー板223の位置を所定範囲LD内で変更するため、中央に強い風を送風できる。その結果、扇風機1の前面に顔を近づけた場合、顔の中央及び輪郭を含む顔全体に強い風を受けることができる。
【0062】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の個数等は、図面作成の都合から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0063】
(1)
図1~
図9を参照して説明したように、初期状態は、所定方向D1が第1回転軸線BX及び第2回転軸線AXに直交する状態を示すが、本発明はこれに限定されない。例えば、初期状態は、操作情報を受付けた時の状態を示してもよい。
【0064】
(2)
図1~
図9を参照して説明したように、所定モードを示す操作情報が入力されると、モータ31及びモータ143cは、送風部20を回動したが、本発明はこれに限定されない。例えば、変更部は、送風部20を平行移動してもよい。具体的には、変更部は、送風部20を上下方向に移動してもよく、左右方向に移動してもよい。
【0065】
(3)
図1~
図9を参照して説明したように、所定モードを示す操作情報が入力されると、制御部30は、送風部20の姿勢を連続的に変更したが、本発明はこれに限定されない。例えば、制御部30は、送風部20の姿勢を間欠的に変更してもよい。また、ファンモータ12の回転速度を調整できる場合には、制御部30は、ファンモータ12の回転速度を速くしてもよい。例えば、ファンモータ12の回転速度を9段階に調整できる場合には、制御部30は、ファンモータ12の回転速度を、早くなる上位の3段階のいずれかに調整してもよい。
【0066】
(4)
図1~
図9を参照して説明したように、扇風機1は、ベース141を備えたが、本発明はこれに限定されない。例えば、扇風機1の第2支柱143は、壁に取付けられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、送風装置の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 扇風機
11 ファン
12 ファンモータ
20 送風部
30 制御部
31 モータ
111 回転ボス
112 羽根部
143c モータ
213 検知部
D1 所定方向