(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-08
(45)【発行日】2023-08-17
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H10K 50/115 20230101AFI20230809BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20230809BHJP
G09F 9/302 20060101ALI20230809BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20230809BHJP
G09G 3/3233 20160101ALI20230809BHJP
H05B 33/14 20060101ALI20230809BHJP
H05B 44/00 20220101ALI20230809BHJP
H05B 45/60 20220101ALI20230809BHJP
H10K 59/121 20230101ALI20230809BHJP
H10K 59/35 20230101ALI20230809BHJP
H10K 59/70 20230101ALI20230809BHJP
【FI】
H10K50/115
G09F9/30 339Z
G09F9/30 365
G09F9/302 C
G09G3/20 623A
G09G3/20 632G
G09G3/20 641P
G09G3/20 642K
G09G3/20 650M
G09G3/20 660V
G09G3/20 680H
G09G3/3233
H05B33/14 Z
H05B44/00
H05B45/60
H10K59/121
H10K59/35
H10K59/70
(21)【出願番号】P 2021573645
(86)(22)【出願日】2020-01-27
(86)【国際出願番号】 JP2020002821
(87)【国際公開番号】W WO2021152672
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】上野 雅史
(72)【発明者】
【氏名】塩原 直樹
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107527942(CN,A)
【文献】特開2007-122033(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0261715(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0128458(US,A1)
【文献】特開2006-215559(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0261783(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106601923(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0130853(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0108872(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0248029(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0175514(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109616504(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109473560(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107611274(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105932028(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/115
G09F 9/30
G09F 9/302
G09G 3/20
G09G 3/3233
H05B 33/14
H05B 44/00
H05B 45/60
H10K 59/121
H10K 59/35
H10K 59/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1トランジスタと電気的に接続する第1画素電極と、
第2トランジスタと電気的に接続し、前記第1画素電極と同層に形成される第2画素電極と、
前記第1画素電極よりも上層に形成され、前記第1画素電極と重畳する第1発光層と、
前記第2画素電極よりも上層に形成され、前記第2画素電極と重畳する第2発光層と、を備え、
前記第1発光層は、第1色を発光する量子ドット発光層を含み、
前記第2発光層は、
前記第1色と異なる第2色を発光する有機発光層を含み、
前記第1画素電極を含む第1サブ画素と、
前記第2画素電極を含む第2サブ画素と、
前記第1色の入力信号および前記第2色の入力信号を受けて、前記第1サブ画素に対応する第1信号と前記第2サブ画素に対応する第2信号とを生成する信号処理回路と、を備え、
前記第2信号に基づくホールド制御と、前記第1信号に基づくインパルス制御とを行うドライバを備える表示装置。
【請求項2】
第3トランジスタと電気的に接続し、前記第1画素電極と同層に形成される第3画素電極と、
前記第3画素電極よりも上層に形成され、前記第3画素電極と重畳する第3発光層と、を備え、
前記第3発光層は、前記第1色および前記第2色と異なる第3色を発光する量子ドット発光層を含む請求項
1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第3画素電極を含む第3サブ画素を備え、
前記信号処理回路は、第3色の入力信号を受けて、前記第3サブ画素に対応する第3信号を生成する請求項
2に記載の表示装置。
【請求項4】
第4トランジスタと電気的に接続し、前記第1画素電極と同層に形成される第4画素電極と、
前記第4画素電極よりも上層に形成され、前記第4画素電極と重畳する第4発光層と、を備え、
前記第4発光層は、前記第2色を発光する量子ドット発光層を含む請求項
1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第4画素電極を含む第4サブ画素を備え、
前記信号処理回路は、前記第4サブ画素に対応する第4信号を生成する請求項
4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第2サブ画素および前記第4サブ画素を含む画素について、
前記第2色の入力信号に対応する
前記第2色の輝度は、前記第2信号に対応する
前記第2サブ画素の輝度と、前記第4信号に対応する
前記第4サブ画素の輝度との加算に等しい、請求項
5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記信号処理回路は、前記画素の
前記第2色の入力信号が、前記画素を含む画像領域の第2色階調値平均よりも大きい場合に、前記第2信号を前記第2色階調値平均と等しくする、請求項
6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記信号処理回路は、前記画素を含む画像領域に対して、
前記第2色の入力信号についてのフィルタ処理を行い、
前記画素の
前記第2色の入力信号が、前記画素の
前記第2色のフィルタ処理値よりも大きい場合に、前記第2信号を、前記第2色のフィルタ処理値と等しくし、
前記画素の
前記第2色の入力信号が、前記画素の
前記第2色のフィルタ処理値以下である場合には、前記第4信号の階調値を0とする、請求項
6に記載の表示装置。
【請求項9】
前記信号処理回路は、前記画素の
前記第2色の入力信号が第2色用閾値よりも低い場合に、前記第4信号を前記第2信号よりも高い階調値とする、請求項
6に記載の表示装置。
【請求項10】
前記信号処理回路は、前記画素の
前記第2色の入力信号が第2色用閾値以上の場合に、前記第2信号を前記第4信号よりも高い階調値とする、請求項
6に記載の表示装置。
【請求項11】
前記信号処理回路は、表示色域モードに応じて、前記第2色の入力信号に対する
前記第2信号および
前記第4信号の階調値を設定する、請求項
6に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第2信号に基づくホールド制御と、前記第4信号に基づくインパルス制御とを行うドライバを備える、請求項
5から11のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
第3トランジスタと電気的に接続し、前記第1画素電極と同層に形成される第3画素電極と、
前記第3画素電極よりも上層に形成され、前記第3画素電極と重畳する第3発光層と、を備え、
前記第3発光層は、前記第1色および前記第2色と異なる第3色を発光する量子ドット発光層を含む請求項
4から11のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項14】
第5トランジスタと電気的に接続し、前記第1画素電極と同層に形成される第5画素電極と、
前記第5画素電極よりも上層に形成され、前記第5画素電極と重畳する第5発光層と、を備え、
前記第5発光層は、前記第3色を発光する有機発光層を含む請求項
3に記載の表示装置。
【請求項15】
前記第5画素電極を含む第5サブ画素を備え、
前記信号処理回路は、前記第5サブ画素に対応する第5信号を生成する請求項
14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記信号処理回路は、表示色域モードに応じて、前記第3色の入力信号に対する
前記第3信号および
前記第5信号の階調値を設定する、請求項
15に記載の表示装置。
【請求項17】
前記第5信号に基づくホールド制御と、前記第3信号に基づくインパルス制御とを行うドライバを備える、請求項
15または16に記載の表示装置。
【請求項18】
第4トランジスタと電気的に接続し、前記第1画素電極と同層に形成される第4画素電極と、
第5トランジスタと電気的に接続し、前記第1画素電極と同層に形成される第5画素電極と、
第6トランジスタと電気的に接続し、前記第1画素電極と同層に形成される第6画素電極と、
前記第4画素電極よりも上層に形成され、前記第4画素電極と重畳する第4発光層と、を備え、
前記第5画素電極よりも上層に形成され、前記第5画素電極と重畳する第5発光層と、
を備え、
前記第6画素電極よりも上層に形成され、前記第6画素電極と重畳する第6発光層と、を備え、
前記第4発光層は、前記第2色を発光する量子ドット発光層を含み、
前記第5発光層は、前記第3色を発光する有機発光層を含み、
前記第6発光層は、前記第1色を発光する有機発光層を含む、請求項
3に記載の表示装置。
【請求項19】
前記第4画素電極を含む第4サブ画素と、
前記第5画素電極を含む第5サブ画素と、
前記第6画素電極を含む第6サブ画素と、を備え、
前記信号処理回路は、前記第4サブ画素に対応する第4信号と、前記第5サブ画素に対応する第
5信号と、前記第6サブ画素に対応する第6信号とを生成する、請求項
18に記載の表示装置。
【請求項20】
前記第1サブ画素、前記第2サブ画素、前記第3サブ画素、前記第4サブ画素、前記第5サブ画素、および前記第6サブ画素を含む画素について、
前記第1色の入力信号に対応する
前記第1色の輝度は、前記第1信号に対応する
前記第1サブ画素の輝度と、前記第6信号に対応する
前記第6サブ画素の輝度との加算に等しく、
前記第2色の入力信号に対応する
前記第2色の輝度は、前記第2信号に対応する
前記第2サブ画素の輝度と、前記第4信号に対応する
前記第4サブ画素の輝度との加算に等しく、
前記第3色の入力信号に対応する
前記第3色の輝度は、前記第3信号に対応する
前記第3サブ画素の輝度と、前記第5信号に対応する
前記第5サブ画素の輝度との加算に等しい、請求項
19に記載の表示装置。
【請求項21】
前記信号処理回路は、
前記画素の
前記第1色の入力信号が、前記画素を含む画像領域の第1色階調値平均よりも大きい場合に、前記第6信号を前記第1色階調値平均と等しくし、
前記画素の
前記第2色の入力信号が、前記画素を含む
前記画像領域の第2色階調値平均よりも大きい場合に、前記第2信号を前記第2色階調値平均と等しくし、
前記画素の
前記第3色の入力信号が、前記画素を含む
前記画像領域の第3色階調値平均よりも大きい場合に、前記第5信号を前記第3色階調値平均と等しくする、請求項
20に記載の表示装置。
【請求項22】
前記信号処理回路は、前記画素を含む画像領域に対して、前記第1色の入力信号、前記第2色の入力信号、および前記第3色の入力信号それぞれについてのフィルタ処理を行い、
前記画素の
前記第1色の入力信号が、前記画素の
前記第1色のフィルタ処理値よりも大きい場合に、前記第6信号を、前記第1色のフィルタ処理値と等しくする一方、前記画素の
前記第1色の入力信号が、前記画素の
前記第1色のフィルタ処理値以下である場合には、前記第1信号の階調値を0とし、
前記画素の
前記第2色の入力信号が、前記画素の
前記第2色のフィルタ処理値よりも高い場合に、前記第2信号を、前記第2色のフィルタ処理値と等しくする一方、前記画素の
前記第2色の入力信号が、前記画素の
前記第2色のフィルタ処理値以下である場合には、前記第4信号の階調値を0とし、
前記画素の
前記第3色の入力信号が、前記画素の
前記第3色のフィルタ処理値よりも大きい場合に、前記第5信号を、前記第3色のフィルタ処理値と等しくする一方、前記画素の
前記第3色の入力信号が、前記画素の
前記第3色のフィルタ処理値以下である場合には、前記第3信号の階調値を0とする、請求項
20に記載の表示装置。
【請求項23】
前記信号処理回路は、
前記画素の
前記第1色の入力信号が第1色用閾値よりも低い場合に、前記第1信号を前記第6信号よりも高い階調値とし、
前記画素の
前記第2色の入力信号が第2色用閾値よりも低い場合に、前記第4信号を前記第2信号よりも高い階調値とし、
前記画素の
前記第3色の入力信号が第3色用閾値よりも低い場合に、前記第3信号を前記第5信号よりも高い階調値とする、請求項
20に記載の表示装置。
【請求項24】
前記信号処理回路は、
前記画素の
前記第1色の入力信号が第1色用閾値以下の場合に、前記第6信号を前記第1信号よりも高い階調値とし、
前記画素の
前記第2色の入力信号が第2色用閾値以下の場合に、前記第2信号を前記第4信号よりも高い階調値とし、
前記画素の
前記第3色の入力信号が第3色用閾値以下の場合に、前記第5信号を前記第3信号よりも高い階調値とする、請求項
20に記載の表示装置。
【請求項25】
表示色域モードに応じて、前記第1色の入力信号に対する
前記第1信号および
前記第6信号の階調値と、前記第2色の入力信号に対する
前記第2信号および
前記第4信号の階調値と、前記第3色の入力信号に対する
前記第3信号および
前記第5信号の階調値とを設定する、請求項
19に記載の表示装置。
【請求項26】
前記第2信号、
前記第5信号および前記第6信号に基づくホールド制御と、前記第1信号、前記第3信号、および
前記第4信号に基づくインパルス制御とを行うドライバを備える、請求項
19~25のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項27】
第3トランジスタと電気的に接続し、前記第1画素電極と同層に形成される第3画素電極と、
第4トランジスタと電気的に接続し、前記第1画素電極と同層に形成される第4画素電極と、
前記第3画素電極よりも上層に形成され、前記第3画素電極と重畳する第3発光層と、
前記第4画素電極よりも上層に形成され、前記第4画素電極と重畳する第4発光層と、を備え、
前記第3発光層は、前記第1色および前記第2色と異なる第3色を発光する量子ドット発光層を含み、
前記第4発光層は、前記第1色、前記第2色および前記第3色とは異なる第4色を発光する量子ドット発光層を含み、
前記第2色は白色である、請求
項1に記載の表示装置。
【請求項28】
前記第1画素電極を含む
前記第1サブ画素と、
前記第3画素電極を含む第3サブ画素と、
前記第4画素電極を含む第4サブ画素と、
前記第2画素電極を含む第7サブ画素と、
前記第1色の入力信号、
前記第3色の入力信号、および
前記第4色の入力信号を受けて、前記第1サブ画素に対応する
前記第1信号と、前記第3サブ画素に対応する第3信号と、前記第4サブ画素に対応する第4信号と、前記第7サブ画素に対応する第7信号とを生成する
前記信号処理回路と、
を備える、請求項
27に記載の表示装置。
【請求項29】
前記信号処理回路は、
前記第1色の入力信号、
前記第3色の入力信号、および
前記第4色の入力信号から白色の入力信号を生成し、
前記白色の入力信号を用いて前記第7信号を生成する
前記信号処理回路と、を備える、請求項
28に記載の表示装置。
【請求項30】
前記第1サブ画素、前記第3サブ画素、前記第4サブ画素、および前記第7サブ画素を含む画素について、
前記第1色の入力信号に対応する
前記第1色の輝度は、前記第1信号に対応する
前記第1サブ画素の輝度と、前記第7信号に対応する、
前記第7サブ画素の
前記第1色の輝度との加算に等しく、
前記第3色の入力信号に対応する
前記第3色の輝度は、前記第3信号に対応する
前記第3サブ画素の輝度と、前記第7信号に対応する、
前記第7サブ画素の
前記第3色の輝度との加算に等しく、
前記第4色の入力信号に対応する
前記第4色の輝度は、前記第4信号に対応する
前記第4サブ画素の輝度と、前記第7信号に対応する、
前記第7サブ画素の
前記第4色の輝度との加算に等しい、請求項
29に記載の表示装置。
【請求項31】
前記信号処理回路は、前記画素の
前記白色の入力信号が、前記画素を含む画像領域の白色階調値平均よりも大きい場合に、前記第7信号を前記白色階調値平均と等しくする、請求項
30に記載の表示装置。
【請求項32】
前記信号処理回路は、前記画素を含む画像領域に対して、
前記白色の入力信号についてのフィルタ処理を行い、
前記画素の
前記白色の入力信号が、前記画素の
前記白色のフィルタ処理値よりも大きい場合に前記第7信号を前記白色のフィルタ処理値と等しくし、
前記画素の
前記白色の入力信号が、前記画素の
前記白色のフィルタ処理値以下である場合には、前記第7信号を前記白色の入力信号と等しくする、請求項
30に記載の表示装置。
【請求項33】
前記信号処理回路は、
前記画素の
前記白色の入力信号が白色用閾値よりも低い場合に、前記第7信号の階調値をゼロとする、請求項
30に記載の表示装置。
【請求項34】
前記信号処理回路は、
前記画素の
前記白色の入力信号が白色用閾値以上の場合に、前記第7信号を前記白色の入力信号と等しくする、請求項
30に記載の表示装置。
【請求項35】
前記第7信号に基づくホールド制御と、前記第1信号、前記第3信号、および
前記第4信号に基づくインパルス制御とを行うドライバを備える、請求項
28~34のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アノードおよびカソード間に、有機発光層および量子ドット発光層を積層させてなる発光素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国公開特許公報「特開2015-216059」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、量子ドット発光層上に有機発光層が形成されているため、量子ドット発光層から上方に出射する光は有機発光層を通り、有機発光層から下方に出射する光は量子ドット層を通ることになり、量子ドット発光層および有機発光層それぞれの光取出し効率が低下するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様にかかる表示装置は、第1トランジスタと電気的に接続する第1画素電極と、第2トランジスタと電気的に接続する第2画素電極と、前記第1画素電極よりも上層に形成され、前記第1画素電極と重畳する第1発光層と、前記第2画素電極よりも上層に形成され、前記第2画素電極と重畳する第2発光層と、を備え、前記第1発光層は第1色を発光する量子ドット発光層を含み、前記第2発光層は第1色と異なる第2色を発光する有機発光層を含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、量子ドット発光層および有機発光層それぞれの光取出し効率を高めた画素構造を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1(a)は、本実施形態の表示装置の構成を示す模式的平面図であり、
図1(b)は、表示装置の構成を示す断面図である。
【
図3】
図3(a)は実施形態1の画素の構成を示す平面図であり、
図3(b)は実施形態1の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4(a)は、
図3(a)のA-A断面図であり、
図4(b)は、
図3(a)のB-B断面図である。
【
図5】
図5(a)は、赤に関する階調輝度特性であり、
図5(b)は、赤に関する電圧-輝度曲線であり、
図5(c)は、青に関する階調輝度特性であり、
図5(d)は、青に関する電圧-輝度曲線であり、
図5(e)は、緑に関する階調輝度特性であり、
図5(f)は、緑に関する電圧-輝度曲線である。
【
図6】
図6(a)は、第1制御方法における、赤の入力信号の処理方法を示す模式図であり、
図6(b)は、第1制御方法における、青の入力信号の処理方法を示す模式図であり、
図6(c)は、第1制御方法における、緑の入力信号の処理方法を示す模式図である。
【
図7】第1制御方法における、赤の入力信号の別の処理方法を示す模式図である。
【
図8】第1制御方法における、青の入力信号の別の処理方法を示す模式図である。
【
図9】第1制御方法における、緑の入力信号の別の処理方法を示す模式図である。
【
図10】
図10(a)は、第2制御方法における、赤の入力信号の処理方法を示す模式図であり、
図10(b)は、第2制御方法における、青の入力信号の処理方法を示す模式図であり、
図10(c)は、第2制御方法における、緑の入力信号の処理方法を示す模式図である。
【
図11】
図11(a)は有機発光層をもつ発光素子(OLED)の色域と、量子ドット発光層をもつ発光素子(QLED)の色域とを示すグラフであり、
図11(b)は、第3制御方法における、赤の入力信号の処理方法を示す模式図であり、
図11(c)は、第3制御方法における、青の入力信号の処理方法を示す模式図であり、
図11(d)は、第3制御方法における、緑の入力信号の処理方法を示す模式図である。
【
図12】
図12(a)は、第4制御方法における、赤の入力信号の処理方法を示す模式図であり、
図12(b)は、第4制御方法における、青の入力信号の処理方法を示す模式図であり、
図12(c)は、第4制御方法における、緑の入力信号の処理方法を示す模式図である。
【
図13】
図13(a)は、第5制御方法における、赤の入力信号の処理方法を示す模式図であり、
図13(b)は、第5制御方法における、青の入力信号の処理方法を示す模式図であり、
図13(c)は、第5制御方法における、緑の入力信号の処理方法を示す模式図である。
【
図14】
図14(a)は実施形態2の画素の構成を示す平面図であり、
図14(b)は実施形態2の表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図15】
図15(a)は、赤に関する階調輝度特性であり、
図15(b)は、赤に関する電圧-輝度曲線であり、
図15(c)は、青に関する階調輝度特性であり、
図15(d)は、青に関する電圧-輝度曲線であり、
図15(e)は、緑に関する階調輝度特性であり、
図15(f)は、緑に関する電圧-輝度曲線である。
【
図16】第6制御方法における、赤・青・緑の入力信号の処理方法を示す模式図である。
【
図17】第6制御方法における、赤・青・緑の入力信号の別の処理方法を示す模式図である。
【
図18】
図18(a)は、白色に関する階調輝度特性であり、
図18(b)は、第7制御方法における、赤・青・緑の入力信号の処理方法を示す模式図である。
【
図19】第8制御方法における、赤・青・緑の入力信号の処理方法を示す模式図である。
【
図20】第9制御方法における、赤・青・緑の入力信号の処理方法を示す模式図である。
【
図21】
図21(a)は実施形態3の画素の構成を示す平面図であり、
図21(b)は実施形態3の表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図22】第10制御方法における、赤・青・緑の入力信号の処理方法を示す模式図である。
【
図23】
図23(a)は実施形態4の画素の構成を示す平面図であり、
図23(b)は実施形態4の表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図24】
図24(a)は実施形態5の画素の構成を示す平面図であり、
図24(b)は実施形態5の表示装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1(a)は、本実施形態の表示装置の構成を示す模式的平面図であり、
図1(b)は、表示装置の構成を示す断面図である。
【0009】
図1に示すように、表示装置2では、基板12上に、バリア層3、薄膜トランジスタ層4、トップエミッション(上層側へ発光する)タイプの発光素子層5、および封止層6がこの順に形成され、表示領域DAに、それぞれが自発光タイプの発光素子を含む複数のサブ画素SPが形成される。表示領域DAを取り囲む額縁領域NAには端子部TAが設けられる。
【0010】
基板12は、ガラス基板、あるいは、ポリイミド等の樹脂を主成分とする可撓性基材であり、例えば、2層のポリイミド膜およびこれらに挟まれた無機膜によって基板12を構成することもできる。バリア層(アンダーコート層)3は、水、酸素等の異物の侵入を防ぐ無機絶縁層であり、例えば、窒化シリコン、酸化シリコン等を用いて構成することができる。
【0011】
図1(b)に示すように、薄膜トランジスタ層4は、バリア層3よりも上層の半導体層PSと、半導体層PSよりも上層のゲート絶縁膜16と、ゲート絶縁膜16よりも上層の第1金属層(ゲート電極GEを含む)と、第1金属層よりも上層の第1層間絶縁膜18と、第1層間絶縁膜18よりも上層の第2金属層(初期化配線IL含む)と、第2金属層よりも上層の第2層間絶縁膜20と、第2層間絶縁膜20よりも上層の第3金属層(データ信号線DLを含む)と、第3金属層よりも上層の平坦化膜21とを含む。
【0012】
半導体層PSは、例えば低温形成のポリシリコン(LTPS)であり、ゲート電極GEおよび半導体層PSを含むようにトランジスタTRが構成される。
【0013】
第1金属層、第2金属層、および第3金属層は、例えば、アルミニウム、タングステン、モリブデン、タンタル、クロム、チタン、および銅の少なくとも1つを含む金属の単層膜あるいは複層膜によって構成される。
【0014】
ゲート絶縁膜16、第1層間絶縁膜18、および第2層間絶縁膜20は、例えば、CVD法によって形成された、酸化シリコン(SiOx)膜あるいは窒化シリコン(SiNx)膜またはこれらの積層膜によって構成することができる。平坦化膜21は、例えば、ポリイミド、アクリル樹脂等の塗布可能な有機材料によって構成することができる。
【0015】
発光素子層5は、平坦化膜21よりも上層の画素電極PEと、画素電極PEのエッジを覆う絶縁性のエッジカバー膜23と、エッジカバー膜23よりも上層のEL(エレクトロルミネッセンス)層24と、EL層24よりも上層の上部電極UEとを含む。エッジカバー膜23は、例えば、ポリイミド、アクリル樹脂等の有機材料を塗布した後にフォトリソグラフィよってパターニングすることで形成される。
【0016】
図1に示すように、発光素子層5には、例えば、異なる色を発する複数の発光素子が形成され、各発光素子が、島状の画素電極PE、EL層24(発光層を含む)、および上部電極UEを含む。上部電極UEは、複数の発光素子で共通する、ベタ状の共通電極である。
【0017】
EL層24は、例えば、下層側から順に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層を積層することで構成される。発光層は、蒸着法あるいはインクジェット法、フォトリソグラフィ法によって、エッジカバー膜23の開口(サブ画素ごと)に、島状に形成される。他の層は、島状あるいはベタ状(共通層)に形成する。また、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層のうち1以上の層を形成しない構成とすることもできる。
【0018】
画素電極PE(例えば、アノード)は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)とAg(銀)あるいはAgを含む合金との積層によって構成される、光反射電極である。上部電極UE(例えば、カソード)は、例えばマグネシウム銀合金等の金属薄膜で構成され、光透過性を有する。
【0019】
発光素子層5には、原色(例えば、赤、青、緑)の光を発する量子ドットを含む量子ドット発光層と、原色(例えば、赤、青、緑)の光を発する有機化合物を含む有機発光層とが含まれる。量子ドットは、例えば、数nm~数十nmの粒径を有する無機半導体であり、電流等によって発光する。
【0020】
有機発光層については、画素電極PEおよび上部電極UE間の駆動電流によって正孔と電子が有機発光層内で再結合し、これによって生じたエキシトンが基底状態に遷移する過程で光が放出される。量子ドット発光層については、画素電極PEおよび上部電極UE間の駆動電流によって正孔と電子が量子ドット発光層内で再結合し、これによって生じたエキシトンが、量子ドットの伝導帯準位(conduction band)から価電子帯準位(valence band)に遷移する過程で光が放出される。
【0021】
図1(b)において、発光素子層5を覆う封止層6は、水、酸素等の異物の発光素子層5への浸透を防ぐ層であり、例えば、2層の無機封止膜26・28とこれら間に形成される有機膜27とで構成することができる。
【0022】
図2は画素回路の一例を示す回路図である。
図1の表示領域DAには、サブ画素ごとに、発光素子およびこれを制御する画素回路PKが設けられ、薄膜トランジスタ層4には、この画素回路およびこれに接続する配線が形成される。
【0023】
図2の画素回路PKは、容量素子Cpと、ゲート端子が前段(n-1段)の走査信号線Gn-1に接続される第1初期化トランジスタTR1と、ゲート端子が自段(n段)の走査信号線Gn(第1走査信号線)に接続される閾値制御トランジスタTR2と、ゲート端子が自段(n段)の走査信号線Gnに接続される書き込み制御トランジスタTR3と、発光素子Xの電流を制御する駆動トランジスタTR4と、ゲート端子が発光制御線EM(n段)に接続される電源供給トランジスタTR5と、ゲート端子が発光制御線EM(n段)に接続される発光制御トランジスタTR6と、を含む。
【0024】
駆動トランジスタTR4のゲート端子は、容量素子Cpを介して高電圧側電源線PLに接続されるとともに、第1初期化トランジスタTR1を介して初期化電源線ILに接続される。駆動トランジスタTR4のソース端子は、書き込み制御トランジスタTR3を介してデータ信号線DLに接続されるとともに、電源供給トランジスタTR5を介して高電圧側電源線PLに接続される。駆動トランジスタTR4のドレイン端子は、発光制御トランジスタTR6を介して発光素子Xのアノードに接続されるとともに、閾値制御トランジスタTR2を介して駆動トランジスタTR4のゲート端子に接続される。
【0025】
〔実施形態1〕
図3(a)は実施形態1の画素の構成を示す平面図であり、
図3(b)は実施形態1の構成を示すブロック図である。
図4(a)は、
図3(a)のA-A断面図であり、
図4(b)は、
図3(a)のB-B断面図である。
【0026】
図3・4に示すように、実施形態1の画素は、第1トランジスタTRaと電気的に接続する第1画素電極E1と、第2トランジスタTRbと電気的に接続する第2画素電極E2と、第3トランジスタTRcと電気的に接続する第3画素電極E3と、第4トランジスタTRdと電気的に接続する第4画素電極E4と、第5トランジスタTReと電気的に接続する第5画素電極E5と、第6トランジスタTRfと電気的に接続する第6画素電極E6と、第1画素電極E1よりも上層に形成され、第1画素電極E1と重畳する第1発光層Q1と、第2画素電極E2よりも上層に形成され、第2画素電極E2と重畳する第2発光層J2と、第3画素電極E3よりも上層に形成され、第3画素電極E3と重畳する第3発光層Q3と、第4画素電極E4よりも上層に形成され、第4画素電極E4と重畳する第4発光層Q4と、第5画素電極E5よりも上層に形成され、第5画素電極E5と重畳する第5発光層J5と、第6画素電極E6よりも上層に形成され、第6画素電極E6と重畳する第6発光層J6とを備える。第1画素電極E1~第6画素電極E6は、同層に、それぞれが島状に形成される。なお、上層とは、比較となる層よりも後の工程で形成されていることを意味し、同層とは、同一工程にて同材料で形成されていることを意味する。
【0027】
第1発光層Q1は、赤(例えば、第1色)の光を発する量子ドット発光層であり、第2発光層J2は、青(例えば、第2色)の光を発する有機発光層であり、第3発光層Q3は、緑(例えば、第3色)の光を発する量子ドット発光層であり、第4発光層Q4は、青の光を発する量子ドット発光層であり、第5発光層J5は、赤の光を発する有機発光層であり、第6発光層J6は、緑の光を発する有機発光層である。すなわち、赤、青、緑それぞれの光が、量子ドット発光層および有機発光層から出射される。
【0028】
第1サブ画素SP1は、第1画素電極E1および第1発光層Q1を含み、第2サブ画素SP2は、第2画素電極E2および第2発光層J2を含み、第3サブ画素SP3は、第3画素電極E3および第3発光層Q3を含み、第4サブ画素SP4は、第4画素電極E4および第4発光層Q4を含み、第5サブ画素SP5は、第5画素電極E5および第5発光層J5を含み、第6サブ画素SP6は、第6画素電極E6および第6発光層J6を含む。
【0029】
画素PXは、行方向(例えば、走査信号線Gnの延伸方向)に並ぶ、第1サブ画素SP1、第3サブ画素SP3、および第4サブ画素SP4と、第1サブ画素SP1と列方向(例えば、データ信号線DLの延伸方向)に隣接する第6サブ画素SP6と、第3サブ画素SP3と列方向に隣接する第5サブ画素SP5と、第4サブ画素SP4と列方向に隣接する第2サブ画素SP2とで構成される。
【0030】
図4は、実施形態1の表示装置の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、表示装置2は、入力信号を処理する信号処理回路と、画素PXを駆動するドライバとを含む。
【0031】
信号処理回路は、各画素に対応する色ごとの入力信号(階調データ)を受けて、各サブ画素に対応する信号(階調データ)を生成する。具体的には、1画素に対応する、赤の入力信号Rx、青の入力信号Bx、および緑の入力信号Gxを受けて、第1サブ画素SP1に対応する第1信号Rq、第2サブ画素SP2に対応する第2信号Bj、第3サブ画素SP3に対応する第3信号Gq、第4サブ画素SP4に対応する第4信号Bq、第5サブ画素SP5に対応する第5信号Gj、および第6サブ画素SP6に対応する第6信号Rjを生成する。以下では、各色256階調(階調値:0~255)の場合を説明する。
【0032】
ドライバは、第1信号Rq(デジタル信号)に基づいて第1サブ画素SP1に電圧信号A1を出力し、第2信号Bj(デジタル信号)に基づいて第2サブ画素SP2に電圧信号A2を出力し、第3信号Gq(デジタル信号)に基づいて第3サブ画素SP3に電圧信号A3を出力し、第4信号Bq(デジタル信号)に基づいて第4サブ画素SP4に電圧信号A4を出力し、第5信号Gj(デジタル信号)に基づいて第5サブ画素SP5に電圧信号A5を出力し、第6信号Rj(デジタル信号)に基づいて第6サブ画素SP6に電圧信号A6を出力する。
【0033】
図5(a)は、赤に関する階調輝度特性であり、
図5(b)は、赤に関する電圧-輝度曲線であり、
図5(c)は、青に関する階調輝度特性であり、
図5(d)は、青に関する電圧-輝度曲線であり、
図5(e)は、緑に関する階調輝度特性であり、
図5(f)は、緑に関する電圧-輝度曲線である。
【0034】
図5(a)(b)について、赤の階調輝度特性TLRから得られる、赤の入力信号Rxに対応する輝度L(Rx)は、赤の階調輝度特性TLRから得られる、第1信号Rqに対応する輝度L1および第6信号Rjに対応する輝度L5の和に等しい。第1サブ画素の階調輝度特性および第6サブ画素の階調輝度特性それぞれは、赤の階調輝度特性TLRとなるように設定しておく。こうすれば、第1サブ画素または第6サブ画素のみの発光で赤の階調輝度特性TLRを再現することができる。輝度L1は、第1サブ画素の電圧輝度曲線VLRqにおけるA1に対応する値であり、輝度L6は、第6サブ画素の電圧輝度曲線VLRjにおけるA6に対応する値である。
【0035】
図5(c)(d)について、青の階調輝度特性TLBから得られる、青の入力信号Bxに対応する輝度L(Bx)は、青の階調輝度特性TLBから得られる、第4信号Bqに対応する輝度L4および第2信号Bjに対応する輝度L2の和に等しい。第2サブ画素の階調輝度特性および第4サブ画素の階調輝度特性それぞれは、青の階調輝度特性TLBとなるように設定しておく。こうすれば、第2サブ画素または第4サブ画素のみの発光で青の階調輝度特性TLBを再現することができる。輝度L4は、第4サブ画素の電圧輝度曲線VLBqにおけるA4に対応する値であり、輝度L2は、第2サブ画素の電圧輝度曲線VLBjにおけるA2に対応する値である。
【0036】
図5(e)(f)について、緑の階調輝度特性TLGから得られる、緑の入力信号Gxに対応する輝度L(Gx)は、緑の階調輝度特性TLGから得られる、第3信号Gqに対応する輝度L3および第5信号Gjに対応する輝度L5の和に等しい。第3サブ画素の階調輝度特性および第5サブ画素の階調輝度特性それぞれは、緑の階調輝度特性TLGとなるように設定しておく。こうすれば、第3サブ画素または第5サブ画素のみの発光で緑の階調輝度特性TLGを再現することができる。輝度L3は、第3サブ画素の電圧輝度曲線VLGqにおけるA3に対応する値であり、輝度L5は、第5サブ画素の電圧輝度曲線VLGjにおけるA5に対応する値である。
【0037】
赤の階調輝度特性TLRを用いて、赤の入力信号(Rx)に対応する輝度L(Rx)を算出することができ、逆関数を用いて、輝度L(Rx)に対応する赤の入力信号Rxを算出することができる。さらに、例えば、第6信号Rjと赤の階調輝度特性TLRからL6が決まれば、輝度L(Rx)-L6=L1であるから、逆関数を用いて第1信号Rqを算出することができる。これらの算出には、ルックアップテーブルを用いてもよい。
【0038】
同様に、青の階調輝度特性TLBを用いて、青の入力信号(Bx)に対応する輝度L(Bx)を算出することができ、逆関数を用いて、輝度L(Bx)に対応する青の入力信号Bxを算出することができる。さらに、例えば、第2信号Bjと青の階調輝度特性TLBからL2が決まれば、輝度L(Bx)-L2=L4であるから、逆関数を用いて第4信号Bqを算出することができる。また、緑の階調輝度特性TLGを用いて、緑の入力信号(Gx)に対応する輝度L(Gx)を算出することができ、逆関数を用いて、輝度L(Gx)に対応する緑の入力信号Gxを算出することができる。さらに、例えば、第5信号Gjと緑の階調輝度特性TLGからL5が決まれば、輝度L(Gx)-L5=L3であるから、逆関数を用いて第3信号Gqを算出することができる。
【0039】
<第1制御方法>
第1制御方法は、有機発光層の劣化抑制を目的の1つとし、画素間での入力信号の階調差に基づいて、量子ドット発光層および有機発光層の発光量を制御する。
図6(a)は、第1制御方法における、赤の入力信号の処理方法を示す模式図であり、
図6(b)は、第1制御方法における、青の入力信号の処理方法を示す模式図であり、
図6(c)は、第1制御方法における、緑の入力信号の処理方法を示す模式図である。
【0040】
図6(a)では、画素PXの赤色の入力信号Rxが、画素PXを含む3×3画素の画像領域の赤色階調値平均よりも大きい場合に、第6信号Rjを赤色階調値平均と等しくし、画素PXの赤色の入力信号Rxが赤色階調値平均よりも小さい場合に、第6信号Rjを赤色の入力信号Rxと等しくする。例えば、Rx=200、階調値平均=60であれば、第6信号Rj=60とし、Rx=20、階調値平均=30であれば、第6信号Rj=20とする。第1信号Rqについては、赤の階調輝度特性TLRを用いて求めることができる。
【0041】
図6(b)では、画素PXの青色の入力信号Bxが、画素PXを含む3×3画素の画像領域の青色階調値平均よりも大きい場合に、第2信号Bjを青色階調値平均と等しくし、画素PXの青色の入力信号Bxが青色階調値平均よりも小さい場合に、第2信号Rjを青色の入力信号Bxと等しくする。 例えば、Bx=150、階調値平均=100であれば、第2信号Bj=100とし、Bx=30、階調値平均=40であれば、第2信号Bj=30とする。第4信号Bqについては、青の階調輝度特性TLBを用いて求めることができる。
【0042】
図6(c)では、画素PXの緑色の入力信号Gxが、画素PXを含む3×3画素の画像領域の緑色階調値平均よりも大きい場合に、第5信号Gjを緑色階調値平均と等しくし、画素PXの緑色の入力信号Gxが緑色階調値平均よりも小さい場合に、第5信号Gjを緑色の入力信号Gxと等しくする。例えば、Gx=210、階調値平均=70であれば、第5信号Gj=70とし、Gx=40、階調値平均=60であれば、第5信号Gj=40とする。第3信号Gqについては、緑の階調輝度特性TLGを用いて求めることができる。
【0043】
図7は、第1制御方法における、赤の入力信号の別の処理方法を示す模式図である。
図7では、画素PXを含む画像領域に対して、赤の入力信号についてのフィルタ処理(例えば、2次元ローパスフィルタLPFの適用)を行い、画素PXの赤の入力信号Rxが、画素PXの赤のフィルタ処理値よりも大きい場合に、第6信号Rjを、赤のフィルタ処理値と等しくし、画素PXの赤の入力信号が、画素PXの赤のフィルタ処理値以下である場合には、第6信号Rjを赤の入力信号Rxと等しくする(第1信号Rqの階調値を0にする)。例えば、Rx=200、フィルタ処理値=70であれば、第6信号Rj=70とし、Rx=10、フィルタ処理値=22であれば、第6信号Rj=10(Rq=0)とする。第1信号Rqについては、赤の階調輝度特性TLRを用いて求めることができる。
【0044】
図8は、第1制御方法における、青の入力信号の別の処理方法を示す模式図である。
図8では、画素PXを含む画像領域に対して、青の入力信号についてのフィルタ処理(例えば、2次元ローパスフィルタLPFの適用)を行い、画素PXの青の入力信号Bxが、画素PXの青のフィルタ処理値よりも大きい場合に、第2信号Bjを、青のフィルタ処理値と等しくし、画素PXの赤の入力信号が、画素PXの赤のフィルタ処理値以下である場合には、第2信号Bjを青の入力信号Bxと等しくする(第4信号Bqの階調値を0にする)。例えば、Bx=200、フィルタ処理値=70であれば、第2信号Bj=70とし、Bx=10、フィルタ処理値=22であれば、第2信号Bj=10(Bq=0)とする。第4信号Bqについては、青の階調輝度特性TLBを用いて求めることができる。
【0045】
図9は、第1制御方法における、緑の入力信号の別の処理方法を示す模式図である。
図9では、画素PXを含む画像領域に対して、緑の入力信号についてのフィルタ処理(例えば、2次元ローパスフィルタLPFの適用)を行い、画素PXの緑の入力信号Gxが、画素PXの緑のフィルタ処理値よりも大きい場合に、第5信号Gjを、緑のフィルタ処理値と等しくし、画素PXの緑の入力信号が、画素PXの緑のフィルタ処理値以下である場合には、第5信号Gjを緑の入力信号Gxと等しくする(第3信号Gqの階調値を0にする)。例えば、Gx=200、フィルタ処理値=70であれば、第5信号Gj=70とし、Gx=10、フィルタ処理値=22であれば、第5信号Gj=10(Gq=0)とする。第3信号Gqについては、緑の階調輝度特性TLGを用いて求めることができる。
【0046】
なお、ハイパスフィルタを用いてフィルタ処理することもできる。この場合は、例えば、フィルタ処理値と入力信号の差に基づいて、第1信号Rq、第4信号Bq、および第3信号Gqを算出することができる。
【0047】
第1制御方法によれば、3色の有機発光層(J2・J5・J6)の劣化が抑制され、画素間の劣化ばらつきに起因する焼き付き現象を低減させることができる。また、量子ドット発光層および有機発光層それぞれの光取出し効率が高められる。
【0048】
なお、
図6では、画素領域(ブロック)のサイズを3画素×3画素としているが、10画素×10画素等、任意に設定可能である。また、
図7~
図9のLPFのタップ数も一例に過ぎず、任意に設定することができる。
【0049】
<第2制御方法>
第2制御方法は、低階調域の表示品位向上を目的の1つとし、低階調領域では量子ドット発光層の発光を優先させ、高階調領域では有機発光層の発光を優先させる。
図10(a)は、第2制御方法における、赤の入力信号の処理方法を示す模式図であり、
図10(b)は、第2制御方法における、青の入力信号の処理方法を示す模式図であり、
図10(c)は、第2制御方法における、緑の入力信号の処理方法を示す模式図である。
【0050】
図10(a)では、画素PXについて、赤の入力信号Rxの階調値が赤用閾値Rtより低い場合に、第1信号Rqの階調値を第6信号Gjの階調値よりも高くする一方、赤の入力信号Rxが赤用閾値Rtより高い場合に、第1信号の階調値Rqを第5信号の階調値Rjよりも低くする。例えば、赤用閾値Rt>Rx=20の場合は、第1信号Rq=20、第6信号Gj=0とする一方、赤用閾値Rt<Rx=200の場合は、第6信号Rj>第1信号Rqとする。
【0051】
図10(b)では、画素PXについて、青の入力信号Bxの階調値が青用閾値Btより低い場合に、第4信号Bqの階調値を第2信号Bjの階調値よりも高くする一方、青の入力信号Bxが青用閾値Btより高い場合に、第4信号の階調値Bqを第2信号の階調値Bjよりも低くする。例えば、青用閾値Bt>Bx=30の場合は、第4信号Bq=30、第2信号Bj=0とする一方、青用閾値Bt<Bx=230の場合は、第2信号Bj>第4信号Bqとする。
【0052】
図10(c)では、画素PXについて、緑の入力信号Gxの階調値が緑用閾値Gtより低い場合に、第3信号Gqの階調値を第5信号Gjの階調値よりも高くする一方、緑の入力信号Gxが緑用閾値Gtより高い場合に、第3信号の階調値Gqを第6信号の階調値Gjよりも低くする。例えば、緑用閾値Gt>Gx=30の場合は、第3信号Gq=30、第5信号Gj=0とする一方、緑用閾値Gt<Gx=230の場合は、第5信号Gj>第3信号Gqとする。
第2制御方法によれば、3色の有機発光層(J2・J5・J6)では階調制御し難い低階調領域を量子ドット発光層(Q1・Q3・Q4)で表示し、高階調領域は発光効率の高い有機発光層(J2・J5・J6)を優先的に発光させることができ、低階調領域の表示品位を向上と高階調領域の消費電力の抑制を図ることができる。
【0053】
<第3制御方法>
第3制御方法は、色再現範囲の拡大を目的の1つとし、表示装置の表示色域モードに応じて、量子ドット発光層および有機発光層の発光量を制御する。
図11(a)は有機発光層をもつ発光素子(OLED)の色域と、量子ドット発光層をもつ発光素子(QLED)の色域とを示すグラフであり、
図11(b)は、第3制御方法における、赤の入力信号の処理方法を示す模式図であり、
図11(c)は、第3制御方法における、青の入力信号の処理方法を示す模式図であり、
図11(d)は、第3制御方法における、緑の入力信号の処理方法を示す模式図である。
【0054】
図11(a)に示すように、表示装置2では、有機発光層をもつ発光素子(OLED)による色域と、量子ドット発光層をもつ発光素子(QLED)による色域とを利用することができる。
【0055】
図11(b)では、表示色域モードに応じて、赤色の入力信号Rxに対する第1信号Rqおよび第6信号Rjの階調値を設定する。例えば、Rx=255、Bx=0、Gx=0として、表示装置2が第1表示色域モードであれば、第1信号Rq=255、第6信号Rj=0とし、表示装置2が第2表示色域モードであれば、第1信号Rq=0、第6信号Rj=255とする。
【0056】
図11(c)では、表示色域モードに応じて、青色の入力信号Bxに対する第4信号Bqおよび第2信号Bjの階調値を設定する。例えば、Rx=0、Bx=255、Gx=0として、表示装置2が第1表示色域モードであれば、第4信号Bq=255、第2信号Bj=0とし、表示装置2が第2表示色域モードであれば、第4信号Bq=0、第2信号Bj=255とする。
【0057】
図11(d)では、表示色域モードに応じて、緑色の入力信号Gxに対する第3信号Gqおよび第5信号Gjの階調値を設定する。例えば、Rx=0、Bx=0、Gx=255として、表示装置2が第1表示色域モードであれば、第3信号Gq=255、第5信号Gj=0とし、表示装置2が第2表示色域モードであれば、第3信号Gq=0、第5信号Gj=255とする。
【0058】
第3制御方法によれば、表示色域モードに応じて、量子ドット発光層(Q1・Q4・Q3)の発光と、有機発光層(J2・J5・J6)の発光とを切り替えることにより、色再現範囲を調整することが可能となる。
【0059】
<第4制御方法>
第4制御方法は、有機発光層の劣化抑制を目的の1つとし、ピーク輝度での有機発光層の発光量を抑制する。
図12(a)は、第4制御方法における、赤の入力信号の処理方法を示す模式図であり、
図12(b)は、第4制御方法における、青の入力信号の処理方法を示す模式図であり、
図12(c)は、第4制御方法における、緑の入力信号の処理方法を示す模式図である。
【0060】
図12(a)では、画素PXを含む画像領域に対して、赤の入力信号についてのフィルタ処理(例えば、2次元ローパスフィルタLPFの適用)を行い、画素PXの赤の入力信号Rxが、画素PXの赤のフィルタ処理値よりも大きい場合に、第6信号Rjを、赤のフィルタ処理値と等しくする。例えば、Rx=250、フィルタ処理値=210であれば、第6信号Rj=210とする。第1信号Rqについては、赤の階調輝度特性TLRを用いて求めることができる。
【0061】
図12(b)では、画素PXを含む画像領域に対して、青の入力信号についてのフィルタ処理(例えば、2次元ローパスフィルタLPFの適用)を行い、画素PXの青の入力信号Bxが、画素PXの青のフィルタ処理値よりも大きい場合に、第2信号Bjを、青のフィルタ処理値と等しくする。例えば、Bx=250、フィルタ処理値=210であれば、第2信号Bj=210とする。第4信号Bqについては、青の階調輝度特性TLBを用いて求めることができる。
【0062】
図12(c)では、画素PXを含む画像領域に対して、緑の入力信号についてのフィルタ処理(例えば、2次元ローパスフィルタLPFの適用)を行い、画素PXの緑の入力信号Gxが、画素PXの緑のフィルタ処理値よりも大きい場合に、第5信号Gjを、緑のフィルタ処理値と等しくする。例えば、Gx=250、フィルタ処理値=210であれば、第5信号Gj=210とする。第3信号Gqについては、緑の階調輝度特性TLGを用いて求めることができる。
【0063】
第4制御方法によれば、ピーク輝度表示時の有機発光層の劣化抑制に加え、量子ドット発光層を点灯させることによる色再現性の向上を図ることができる。
【0064】
<第5制御方法>
図13(a)は、第5制御方法における、赤の入力信号の処理方法を示す模式図であり、
図13(b)は、第5制御方法における、青の入力信号の処理方法を示す模式図であり、
図13(c)は、第5制御方法における、緑の入力信号の処理方法を示す模式図である。
第5制御方法は、動画表示品位の向上を目的の1つとし、有機発光層のホールド型発光と量子ドット発光層のインパルス型発光を組み合わせる。
【0065】
図13(a)では、ドライバが、画素PXについて、第1信号Rqに基づく、第1サブ画素SP1のインパルス制御と、第6信号Gjに基づく、第6サブ画素SP6のホールド制御とを行う。例えば、Rx=20である(Rxが低階調領域である)場合は、第1信号Rq=60、第6信号Gj=0として、第1サブ画素SP1を1フレーム期間の1/3だけ点灯させる(インパルス制御)。また、Rx=120である(Rxが低階調領域でない)場合は、例えば、第1信号Rq=180、第6信号Rj=50として、第1サブ画素SP1を1フレーム期間の1/3だけ点灯させ(インパルス制御)、第6サブ画素SP6を1フレーム期間中点灯させる(ホールド制御)。この場合、階調輝度特性TLRのRxに対応する輝度=(階調輝度特性TLRのRqに対応する輝度)×1/3+階調輝度特性TLRのRjに対応する輝度の関係となる。
【0066】
図13(b)では、ドライバが、画素PXについて、第4信号Bqに基づく、第4サブ画素SP4のインパルス制御と、第2信号Bjに基づく、第2サブ画素SP2のホールド制御とを行う。例えば、Bx=20である(Bxが低階調領域である)場合は、第4信号Bq=60、第2信号Bj=0として、第4サブ画素SP4を1フレーム期間の1/3だけ点灯させる(インパルス制御)。また、Bx=120である(Bxが低階調領域でない)場合は、例えば、第4信号Bq=180、第2信号Bj=50として、第4サブ画素SP4を1フレーム期間の1/3だけ点灯させ(インパルス制御)、第2サブ画素SP2を1フレーム期間中点灯させる(ホールド制御)。この場合、階調輝度特性TLBのBxに対応する輝度=(階調輝度特性TLBのBqに対応する輝度)×1/3+階調輝度特性TLBのBjに対応する輝度の関係となる。
【0067】
図13(c)では、ドライバが、画素PXについて、第3信号Gqに基づく、第3サブ画素SP3のインパルス制御と、第5信号Gjに基づく、第5サブ画素SP5のホールド制御とを行う。例えば、Gx=20である(Gxが低階調領域である)場合は、第3信号Gq=60、第5信号Gj=0として、第3サブ画素SP3を1フレーム期間の1/3だけ点灯させる(インパルス制御)。また、Gx=120である(Gxが低階調領域でない)場合は、例えば、第3信号Gq=180、第5信号Gj=50として、第3サブ画素SP3を1フレーム期間の1/3だけ点灯させ(インパルス制御)、第5サブ画素SP5を1フレーム期間中点灯させる(ホールド制御)。この場合、階調輝度特性TLGのGxに対応する輝度=(階調輝度特性TLGのGqに対応する輝度)×1/3+階調輝度特性TLGのGjに対応する輝度の関係となる。
【0068】
第5制御方法によれば、3色の入力信号の階調値に応じて、量子ドット発光層(Q1・Q4・Q3)のインパルス制御、および有機発光層(J2・J6・J5)のホールド制御を行うことにより、動画の表示品位を向上に加え、低階調領域の表示再現性の向上、および有機発光層の劣化抑制を図ることができる。
【0069】
〔実施形態2〕
図14(a)は実施形態2の画素の構成を示す平面図であり、
図14(b)は実施形態2の表示装置の構成を示すブロック図である。
図14に示すように、第1発光層Q1は、赤の光を発する量子ドット発光層を含み、第3発光層Q3は、緑の光を発する量子ドット発光層を含み、第4発光層Q4は、青の光を発する量子ドット発光層を含み、第2発光層J2は、青の光を発する有機発光層を含み、第5発光層J5は、緑の光を発する有機発光層を含み、第6発光層J6は、赤の光を発する有機発光層を含む。
【0070】
第1サブ画素SP1は、第1画素電極E1および第1発光層Q1を含み、第3サブ画素SP3は、第3画素電極E3および第3発光層Q3を含み、第4サブ画素SP4は、第4画素電極E4および第4発光層Q4を含み、第7サブ画素SP7は、第2画素電極E2および第2発光層J2を含む。第2発光層J2は、第2画素電極E2よりも上層に形成される白色発光層であり、第2画素電極E2と重畳する。
【0071】
第2色発光層J2は、例えば、赤の光を発する有機発光層、青の光を発する有機発光層および緑の光を発する有機発光層が積層されてなる白色発光層でもよいし、赤の光を発する有機発光物質、青の光を発する有機発光物質および緑の光を発する有機発光物質が混合されてなる、白色発光層でもよい。
【0072】
画素PXは、行方向に並ぶ、第1サブ画素SP1、第3サブ画素SP3、第4サブ画素SP4、および第7サブ画素SP7で構成される。
【0073】
信号処理回路は、赤の入力信号Rx、青の入力信号Bx、および緑の入力信号Gxを受けて、第1サブ画素SP1に対応する第1信号Rq、第3サブ画素SP3に対応する第3信号Gq、第4サブ画素SP4に対応する第4信号Bq、および第7サブ画素SP7に対応する第7信号Wjを生成する。以下では、Rx,Bx,Gxの最小値をWxとする。
【0074】
ドライバは、第1信号Rq(デジタル信号)に基づいて第1サブ画素SP1に電圧信号A1を出力し、第3信号Gq(デジタル信号)に基づいて第3サブ画素SP3に電圧信号A3を出力し、第4信号Bq(デジタル信号)に基づいて第4サブ画素SP4に電圧信号A4を出力し、第7信号Wj(デジタル信号)に基づいて第7サブ画素SP7に電圧信号A7r・A7b・A7gを出力する。
【0075】
図15(a)は、赤に関する階調輝度特性であり、
図15(b)は、赤に関する電圧-輝度曲線であり、
図15(c)は、青に関する階調輝度特性であり、
図15(d)は、青に関する電圧-輝度曲線であり、
図15(e)は、緑に関する階調輝度特性であり、
図15(f)は、緑に関する電圧-輝度曲線である。
【0076】
図15(a)(b)について、赤の階調輝度特性TLRから得られる、赤の入力信号Rxに対応する輝度L(Rx)は、赤の階調輝度特性TLRから得られる、第1信号Rqに対応する輝度L1および第7信号Wjに対応する輝度Lrの和に等しい。輝度L1は、第1サブ画素の電圧輝度曲線VLRqにおけるA1に対応する値であり、輝度Lrは、赤の有機発光層の電圧輝度曲線VLRjにおけるA7rに対応する値である。
【0077】
図15(c)(d)について、青の階調輝度特性TLBから得られる、青の入力信号Bxに対応する輝度L(Bx)は、青の階調輝度特性TLBから得られる、第4信号Bqに対応する輝度L4および第7信号Wjに対応する輝度Lbの和に等しい。輝度L4は、第4サブ画素の電圧輝度曲線VLBqにおけるA4に対応する値であり、輝度Lbは、青の有機発光層の電圧輝度曲線VLBjにおけるA7bに対応する値である。
【0078】
図15(e)(f)について、緑の階調輝度特性TLGから得られる、緑の入力信号Gxに対応する輝度L(Gx)は、緑の階調輝度特性TLGから得られる、第3信号Gqに対応する輝度L3および第7信号Wjに対応する輝度Lgの和に等しい。輝度L3は、第3サブ画素の電圧輝度曲線VLGqにおけるA3に対応する値であり、輝度Lgは、緑の有機発光層の電圧輝度曲線VLGjにおけるA7gに対応する値である。
【0079】
<第6制御方法>
図16は、第6制御方法における、赤・青・緑の入力信号の処理方法を示す模式図である。
図16では、画素PXの白色の入力信号Wxが、画素PXを含む画像領域の白色階調値平均よりも大きい場合に、第7信号Wjを白色階調値平均と等しくする。また、画素PXの白色の入力信号Wxが、画素PXを含む画像領域の白色階調値平均よりも小さい場合に、第7信号Wjを白色の入力信号Wxと等しくする。
【0080】
例えば、
図16(a)に示すように、Wx=110、階調値平均=30<Wxであれば、第7信号Wj=30とする。また、例えば、
図16(b)に示すように、Wx=40、階調値平均=50>Wxであれば、第7信号Wj=40とする。第1信号Rq、第4信号Bq、第3信号Gqについては、階調輝度特性TLR・TLB・TLG(
図15参照)を用いて求めることができる。
【0081】
図17は、第6制御方法における、赤・青・緑の入力信号の別の処理方法を示す模式図である。
図17では、画素PXを含む画像領域に対して、白色の入力信号Wxについてのフィルタ処理を行い、画素PXの白色の入力信号Wxが、画素PXの白色のフィルタ処理値よりも大きい場合には第7信号Wjを白色のフィルタ処理値と等しくし、画素PXの白色の入力信号Wxが、画素PXの白色のフィルタ処理値以下である場合には、第7信号Wjを白色の入力信号Wxと等しくする。
【0082】
例えば、
図17(a)に示すように、Wx=200、フィルタ処理値=70<Wxであれば、第7信号Wj=70とする。また、例えば、
図17(b)に示すように、Wx=10、フィルタ処理値=22>Wxであれば、第7信号Wj=10とする。第1信号Rq、第4信号Bq、第3信号Gqについては、階調輝度特性TLR・TLB・TLG(
図15参照)を用いて求めることができる。
第6制御方法によれば、第7サブ画素SP7の有機発光層の劣化が抑制され、画素間の劣化ばらつきに起因する焼き付き現象を低減させることができる。
図16では、画素領域(ブロック)のサイズ、LPFのタップ数を3画素×3画素としているが、10画素×10画素等、任意に設定可能である。
【0083】
<第7制御方法>
図18(a)は、白色に関する階調輝度特性であり、
図18(b)は、第7制御方法における、赤・青・緑の入力信号の処理方法を示す模式図である。
【0084】
図18(a)では、画素PXについて、画素PXの白色の入力信号Wxが白色用閾値Wtよりも低い場合に、第7信号Wjの階調値をゼロとし、画素PXの白色の入力信号Wxが白色用閾値Wt以上の場合に、第7信号Wjを白色の入力信号Wxと等しくする。
【0085】
例えば、
図18(b)に示すように、白用閾値Wt=30、Wx=20(<Wt)であれば、第7信号Wj=0とし、Wx=200(>Wt)であれば、第7信号Wj=200とする。第1信号Rq、第4信号Bq、第3信号Gqについては、階調輝度特性TLR・TLB・TLG(
図15参照)を用いて求めることができる。
【0086】
第7制御方法によれば、3色の有機発光層(J2・J5・J6)では階調制御し難い低階調領域を量子ドット発光層(Q1・Q3・Q4)で表示し、高階調領域は発光効率の高い有機発光層(J2・J5・J6)を優先的に発光させることができ、低階調領域の表示品位を向上と高階調領域の消費電力の抑制を図ることができる。
【0087】
<第8制御方法>
図19は、第8制御方法における、赤・青・緑の入力信号の処理方法を示す模式図である。
【0088】
図19では、画素PXを含む画像領域に対して、白の入力信号についてのフィルタ処理(例えば、2次元ローパスフィルタLPFの適用)を行い、画素PXの白の入力信号Wxが、画素PXの白のフィルタ処理値よりも大きい場合に、第7信号Wjを、白のフィルタ処理値と等しくする。例えば、Wx=250、フィルタ処理値=210であれば、第7信号Wj=210とする。第1信号Rq、第4信号Bq、第3信号Gqについては、階調輝度特性TLR・TLB・TLG(
図15参照)を用いて求めることができる。
【0089】
第8制御方法によれば、ピーク輝度表示時の有機発光層の劣化抑制に加え、有機発光層を点灯させることによる消費電力の抑制、および量子ドット発光層を点灯させることによる色再現性の向上を図ることができる。
【0090】
<第9制御方法>
図20は、第9制御方法における、赤・青・緑の入力信号の処理方法を示す模式図である。
図20では、ドライバが、画素PXについて、第1信号Rq、第4信号Bqおよび第3信号Gqに基づくインパルス制御と、第7信号Wjに基づくホールド制御とを行う。
【0091】
例えば、
図20(a)に示すように、Wx=20である(Wxが低階調領域である)場合は、第1信号Rq=60、第4信号Bq=90、第3信号Gq=90、第7信号Wj=0として、第1サブ画素SP1、第4サブ画素SP4および第3サブ画素SP3を1フレーム期間の1/3だけ点灯させる(インパルス制御)。
【0092】
また、例えば、
図20(b)に示すように、Wx=120である(Wxが低階調領域でない)場合は、例えば、第1信号Rq=190、第4信号Bq=190、第3信号Gq=100、第7信号Wj=90として、第1サブ画素SP1、第4サブ画素SP4および第3サブ画素SP3を1フレーム期間の1/3だけ点灯させ(インパルス制御)、第7サブ画素SP7を1フレーム期間中点灯させる(ホールド制御)。
【0093】
この場合、階調輝度特性TLRのRxに対応する輝度=(階調輝度特性TLRのRqに対応する輝度)×1/3+階調輝度特性TLRのWjに対応する輝度、階調輝度特性TLBのBxに対応する輝度=(階調輝度特性TLBのBqに対応する輝度)×1/3+階調輝度特性TLBのWjに対応する輝度、階調輝度特性TLGのGxに対応する輝度=(階調輝度特性TLGのGqに対応する輝度)×1/3+階調輝度特性TLGのWjに対応する輝度、の関係となる。
【0094】
第9制御方法によれば、3色の入力信号の階調値に応じて、量子ドット発光層(Q1・Q4・Q3)のインパルス制御、および有機発光層(J2・J6・J5)のホールド制御を行うことにより、動画の表示品位を向上に加え、低階調領域の表示再現性の向上、および有機発光層の劣化抑制を図ることができる。
【0095】
〔実施形態3〕
図21(a)は実施形態3の画素の構成を示す平面図であり、
図21(b)は実施形態3の表示装置の構成を示すブロック図である。
図21に示すように、第1発光層Q1は、赤(例えば、赤)を発光する量子ドット発光層を含み、第2発光層J2は、青(例えば、青)を発光する有機発光層を含み、第3発光層Q3は、緑(例えば、緑)を発光する量子ドット発光層を含む。
【0096】
第1サブ画素SP1は、第1画素電極E1および第1発光層Q1を含み、第2サブ画素SP2は、第2画素電極E2および第2発光層J2を含み、第3サブ画素SP3は、第3画素電極E3および第3発光層Q3を含む。
【0097】
画素PXは、行方向に並ぶ、第1サブ画素SP1、第3サブ画素SP3、および第2サブ画素SP2で構成される。
【0098】
信号処理回路は、赤の入力信号Rx、青の入力信号Bx、および緑の入力信号Gxを受けて、第1サブ画素SP1に対応する第1信号Rq、第2サブ画素SP2に対応する第2信号Bj、第3サブ画素SP3に対応する第3信号Gqを生成する。
【0099】
<第10制御方法>
図22は、第10制御方法における、赤・青・緑の入力信号の処理方法を示す模式図である。
図22では、ドライバが、画素PXについて、第1信号Rqおよび第3信号Gqに基づくインパルス制御と、第2信号Bjに基づくホールド制御とを行う。
【0100】
例えば、
図22(a)に示すように、Rx=20、Bx=30、Gx=30である(Rx・Bx・Gxが低階調領域である)場合は、第1信号Rq=60、第2信号Bj=30、第3信号Gq=90として、第1サブ画素SP1および第3サブ画素SP3を1フレーム期間の1/3だけ点灯させ(インパルス制御)、第2サブ画素SP2を1フレーム期間中点灯させる(ホールド制御)。
【0101】
また、例えば、
図22(b)に示すように、Rx=100、Bx=160、Gx=100である(Rx・Bx・Gxが低階調領域でない)場合は、第1信号Rq=240、第2信号Bj=160、第3信号Gq=240として、第1サブ画素SP1および第3サブ画素SP3を1フレーム期間の1/3だけ点灯させ(インパルス制御)、第2サブ画素SP2を1フレーム期間中点灯させる(ホールド制御)。
【0102】
第10制御方法によれば、3色の入力信号の階調値に応じて、量子ドット発光層(Q1・Q3)のインパルス制御、および有機発光層(J2)のホールド制御を行うことにより、動画の表示品位を向上に加え、低階調領域の表示再現性の向上、および有機発光層の劣化抑制を図ることができる。
【0103】
〔実施形態4〕
図23(a)は実施形態4の画素の構成を示す平面図であり、
図23(b)は実施形態4の表示装置の構成を示すブロック図である。
図23に示すように、第1発光層Q1は、赤の光を発する量子ドット発光層を含み、第2発光層J2は、青の光を発する有機発光層を含み、第3発光層Q3は、緑の光を発する量子ドット発光層を含み、第5発光層J5は、緑の光を発する有機発光層を含む。
【0104】
第1サブ画素SP1は、第1画素電極E1および第1発光層Q1を含み、第2サブ画素SP2は、第2画素電極E2および第2発光層J2を含み、第3サブ画素SP3は、第3画素電極E3および第3発光層Q3を含み、第5サブ画素SP5は、第5画素電極E5および第5発光層J5を含む。
【0105】
画素PXは、行方向に並ぶ、第1サブ画素SP1、第3サブ画素SP3、第5サブ画素SP5、および第2サブ画素SP2で構成される。
【0106】
信号処理回路は、赤の入力信号Rx、青の入力信号Bx、および緑の入力信号Gxを受けて、第1サブ画素SP1に対応する第1信号Rq、第2サブ画素SP2に対応する第2信号Bj、第3サブ画素SP3に対応する第3信号Gq、第5サブ画素SP5に対応する第5信号Gjを生成する。
【0107】
本実施形態では、実施形態1で説明した第1制御方法、第2制御方法、第3制御方法、第4制御方法および第5制御方法を行うことができる。
【0108】
<第1制御方法>
実施形態4では、第3サブ画素SP3に対応する第3信号Gq、第5サブ画素SP5に対応する第5信号Gjについて、
図6(c)および
図9の制御方法を適用することができる。
【0109】
<第2制御方法>
実施形態4では、第3サブ画素SP3に対応する第3信号Gq、第5サブ画素SP5に対応する第5信号Gjについて、
図10(c)の制御方法を適用することができる。
【0110】
<第3制御方法>
実施形態4では、第3サブ画素SP3に対応する第3信号Gq、第5サブ画素SP5に対応する第5信号Gjについて、
図11(d)の制御方法を適用することができる。
【0111】
<第4制御方法>
実施形態4では、第3サブ画素SP3に対応する第3信号Gq、第5サブ画素SP5に対応する第5信号Gjについて、
図12(c)の制御方法を適用することができる。
【0112】
<第5制御方法>
実施形態4では、第3サブ画素SP3に対応する第3信号Gq、第5サブ画素SP5に対応する第5信号Gjについて、
図13(c)の制御方法を適用することができる。
【0113】
〔実施形態5〕
図24(a)は実施形態5の画素の構成を示す平面図であり、
図24(b)は実施形態5の表示装置の構成を示すブロック図である。
図24に示すように、第1発光層Q1は、赤の光を発する量子ドット発光層を含み、第2発光層J2は、青の光を発する有機発光層を含み、第3発光層Q3は、緑の光を発する量子ドット発光層を含み、第4発光層Q4は、青の光を発する量子ドット発光層を含む。
【0114】
第1サブ画素SP1は、第1画素電極E1および第1発光層Q1を含み、第2サブ画素SP2は、第2画素電極E2および第2発光層J2を含み、第3サブ画素SP3は、第3画素電極E3および第3発光層Q3を含み、第4サブ画素SP4は、第4画素電極E4および第4発光層Q4を含む。
【0115】
画素PXは、行方向に並ぶ、第1サブ画素SP1および第4サブ画素SP4と、第1サブ画素SP1と列方向に隣接する第2サブ画素SP2と、第4サブ画素SP4と列方向に隣接する第3サブ画素SP3とで構成される。
【0116】
信号処理回路は、赤の入力信号Rx、青の入力信号Bx、および緑の入力信号Gxを受けて、第1サブ画素SP1に対応する第1信号Rq、第2サブ画素SP2に対応する第2信号Bj、第3サブ画素SP3に対応する第3信号Gq、第4サブ画素SP4に対応する第4信号Bqを生成する。
【0117】
本実施形態では、実施形態1で説明した第1制御方法、第2制御方法、第3制御方法、第4制御方法および第5制御方法を行うことができる。
【0118】
<第1制御方法>
実施形態5では、第2サブ画素SP2に対応する第2信号Bj、第4サブ画素SP4に対応する第4信号Bqについて、
図6(b)および
図8の制御方法を適用することができる。
【0119】
<第2制御方法>
実施形態5では、第2サブ画素SP2に対応する第2信号Bj、第4サブ画素SP4に対応する第4信号Bqについて、
図10(b)の制御方法を適用することができる。
【0120】
<第3制御方法>
実施形態5では、第2サブ画素SP2に対応する第2信号Bj、第4サブ画素SP4に対応する第4信号Bqについて、
図11(c)の制御方法を適用することができる。
【0121】
<第4制御方法>
実施形態5では、第2サブ画素SP2に対応する第2信号Bj、第4サブ画素SP4に対応する第4信号Bqについて、
図12(b)の制御方法を適用することができる。
【0122】
<第5制御方法>
実施形態5では、第2サブ画素SP2に対応する第2信号Bj、第4サブ画素SP4に対応する第4信号Bqについて、
図13(b)の制御方法を適用することができる。
【0123】
上述の各実施形態は、例示および説明を目的とするものであり、限定を目的とするものではない。これら例示および説明に基づけば、多くの変形形態が可能になることが、当業者には明らかである。
【符号の説明】
【0124】
2 表示装置
4 薄膜トランジスタ層
5 発光素子層
6 封止層
12 基板
16 ゲート絶縁膜
18 第1層間絶縁膜
20 第2層間絶縁膜
21 平坦化膜
22 第1電極
23 エッジカバー膜
24 EL層
25 第2電極
X 発光素子
SP1~SP6 第1~第6サブ画素
E1~E6 第1~第6画素電極
Q1・Q3・Q4 量子ドット発光層
J2・J5・J6 有機発光層