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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】酸処理された濾過助剤配合物
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/10 20060101AFI20230810BHJP
   B01D 37/02 20060101ALI20230810BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20230810BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20230810BHJP
   C01B 33/18 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
B01J20/10 B
B01D37/02 G
B01J20/28 Z
B01J20/30
C01B33/18 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018539868
(86)(22)【出願日】2017-01-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-04-04
(86)【国際出願番号】 US2017015425
(87)【国際公開番号】W WO2017132558
(87)【国際公開日】2017-08-03
【審査請求日】2019-10-31
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-28
(31)【優先権主張番号】62/288,218
(32)【優先日】2016-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】313009947
【氏名又は名称】アイメリーズ フィルトレーション ミネラルズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(72)【発明者】
【氏名】タニグチ,ジェフリー,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ティオミロヴ,ライザ
【合議体】
【審判長】三崎 仁
【審判官】河本 充雄
【審判官】後藤 政博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/004349(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0129490(US,A1)
【文献】特開平09-052709(JP,A)
【文献】特開平08-173718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J20/00-20/34
B01D36/00-37/08
C01B33/00-33/193
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過助剤組成物を製造する方法であって、
第1の粒径分布を有する第1のシリカ系濾過助剤を準備することと、
第2の粒径分布を有する第2のシリカ系濾過助剤を準備することと、
前記第1のシリカ系濾過助剤と前記第2のシリカ系濾過助剤とを配合することで、濾過助剤組成物を形成することと、
を含み、
前記濾過助剤組成物は、前記第1の粒径分布が、前記第2の粒径分布よりも大きいd50を有するような多峰性の粒径分布を有し、
第1のシリカ系濾過助剤は、10μmから50μmまでの範囲のd 50 を有し、
第2のシリカ系濾過助剤は、0.5μmから15μmまでの範囲のd 50 を有する、
方法。
【請求項2】
前記第1のシリカ系濾過助剤組成物を、前記第2のシリカ系濾過助剤組成物との配合の前に酸処理することを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記酸は、シュウ酸及び氷酢酸からなる群から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のシリカ系濾過助剤組成物を、前記第1のシリカ系濾過助剤組成物との配合の前に酸処理することを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記濾過助剤組成物を、前記第1のシリカ系濾過助剤と前記第2のシリカ系濾過助剤とを配合した後に酸処理することを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記酸処理された第1のシリカ系濾過助剤は、20ppm以下の可溶性鉄含量を有する、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記酸処理された第2のシリカ系濾過助剤は、20ppm以下の可溶性鉄含量を有する、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記濾過助剤組成物は、0.05ダルシーから0.2ダルシーまでの範囲の透過性を有する、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記濾過助剤組成物は、5重量%から95重量%までの前記第1のシリカ系濾過助剤を含む、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2016年1月28日に出願された米国仮特許出願第62/288,218号の優先権の利益を主張する。上記米国仮特許出願は、引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。
【0002】
本開示は、酸処理された濾過助剤に関する。本開示はさらに、酸処理された濾過助剤の製造方法及び酸処理された濾過助剤の使用方法に関する。本開示はまた、低い可溶性金属含量及び高い濾過速度を有する濾過助剤製品に関する。
【背景技術】
【0003】
緑茶等の多くの飲料は、飲料の製造過程の結果として包装中に浮遊している濁ったフロック状(綿状)の沈殿様の(precipitate-like)沈殿物、粒子等(まとめて「沈殿物」と呼ぶ)を有し得る。茶のような透明容器に詰められる飲料の場合には、沈殿物は望ましくない外観をもたらし、その市場価値の損失を引き起こし、又は沈殿物を有する飲料を避ける消費者の志向に基づいて売り上げの低下をもたらし得る。
【0004】
沈殿物は、飲料の製造直後に沈殿し始め得る「一次沈殿物」、及び貯蔵の間及び販売業者又は消費者へと運ばれる間を含む製造後に徐々に沈殿し得る「二次沈殿物」を含む様々な形で説明され得る。一次沈殿物の形成は、遠心分離、酵素処理、及び膜濾過を含む方法により軽減することが試みられているが、その効果はまちまちである。幾つかの方法が提案され、試みられているものの、二次沈殿物を防ぐことはより難しい。濾過は1つの提案される方法であるが、十分な濾過特性を有する濾過助剤は高価であり、需要も多い。したがって、そのような濾過助剤は入手が困難であり、所望の飲料の生産原価を高め得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、飲料の濾過のための改善された濾過助剤を提供することが望まれ得る。より低い生産原価を有すると共に許容可能な濾過速度を有する、沈殿物及び不純物を低減する濾過助剤を提供することも望まれ得る。改善された液体の濾過方法を提供することも望まれ得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの態様によれば、濾過助剤組成物は、第1の粒径分布を有する第1の酸処理されたシリカ系濾過助剤と、第2の粒径分布を有する第2の酸処理されたシリカ系濾過助剤とを含み得る。該濾過助剤組成物は、上記第1の粒径分布が、上記第2の粒径分布よりも大きいd50を有するような多峰性の粒径分布を有し得る。
【0007】
別の態様によれば、濾過助剤組成物を製造する方法は、第1の粒径分布を有する第1のシリカ系濾過助剤を準備することと、第2の粒径分布を有する第2のシリカ系濾過助剤を準備することと、上記第1のシリカ系濾過助剤と上記第2のシリカ系濾過助剤とを配合することで、濾過助剤組成物を形成することとを含み得る。該濾過助剤組成物は、上記第1の粒径分布が、上記第2の粒径分布よりも大きいd50を有するような多峰性の粒径分布を有し得る。もう1つの態様において、上記第1のシリカ系濾過助剤及び第2のシリカ系濾過助剤が、酸処理され得る。
【0008】
別の態様によれば、流体を濾過する方法は、第1の酸処理されたシリカ系濾過助剤及び第2の酸処理されたシリカ系濾過助剤を含む濾過助剤組成物を準備することと、該濾過助剤組成物を通して流体を濾過することとを含み得る。該濾過助剤組成物は、上記第1のシリカ系濾過助剤の粒径分布が、上記第2のシリカ系濾過助剤の粒径分布よりも大きいd50を有するような粒径分布を有し得る。
【0009】
更に別の態様によれば、濾過助剤を製造する方法は、第1のシリカ系濾過助剤組成物を準備することと、シュウ酸及び氷酢酸の群から選択される第1の酸組成物を準備することと、上記第1のシリカ系濾過助剤組成物から上記第1の酸組成物を使用して可溶性金属を抽出することとを含み得る。
【0010】
例示的な実施形態を、添付の図面を参照することにより更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】例示的な濾過助剤の時間に対する差圧のグラフである。
図2】例示的な濾過助剤の時間に対するHatch濁度のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
幾つかの実施形態によれば、本開示は、飲料の濾過のための酸処理されたシリカ系濾過助剤を提供し得る。
【0013】
用語「約」及び「およそ」は、参照量又は参照値とほとんど同じであることを示し、特定された量又は値の±5%を包含するものと解されるべきである。
【0014】
鉱物質に関する粒径特性は、当業者に既知の方法に従って、日機装株式会社の一員であるマイクロトラック社によって供給されるMicrotrac S3500レーザー回折装置を使用して水性媒体中に完全に分散された状態の粒状材料の光散乱を使用して測定した。粒子のサイズは「等価球径」(esd)と呼ばれる。測定された粒径は、esd値より小さい所与のサイズを有する粒子の重量に対する累積パーセントのプロットとして提供され得る。中央粒径d50は、粒子の50重量%が特定値のesdよりも小さい時点のesdであると定められた値である。
【0015】
珪藻岩等の多くのシリカ系材料は、液体、例えばビール又は緑茶等の茶を濾過するために使用することができる。これは、幾つかの場合において、鉄(Fe2+イオン及び/又はFe3+イオンとして)又はアルミニウム(Al3+イオンとして)等の金属による液体の汚染をもたらすことがある。したがって、珪藻岩製品における可溶性鉄含量及び/又は可溶性アルミニウム含量の減少を含む可溶性金属含量の減少が望まれる。ビール中に可溶な可溶性金属イオン(例えば、ビール可溶性イオン、ビール可溶性アルミニウム)の量は、これらの不純物による汚染が起こる度合いの有用な指標を与えることができ、それは茶等のその他の液体中での可溶性の指標ともなり得る。
【0016】
その業界では、珪藻岩製品からの鉄の可溶性を測定するための分析法が確立されている。本明細書で使用される方法によれば、濾過助剤は、クエン酸/エタノール溶液で浸出される。その溶液中に存在する第二鉄イオンは、次いでアスコルビン酸の添加により還元される。得られた第一鉄は、鉄濃度が分光光度計により測定されるようにFerroZine(商標)試薬、つまり3-(2-ピリジル)-5,6-ビス(4-フェニルスルホン酸)-1,2,4-トリアジンの二ナトリウム塩の化合物と共に紫色の錯体を形成する。本明細書で使用される場合に「可溶性鉄含量」とは、クエン酸/エタノール溶液の抽出手順(実施例3を参照)により測定された可溶性鉄の量を指す。
【0017】
珪藻岩製品からの鉄の可溶性を試験するためのもう1つの方法では、誘導結合アルゴンプラズマ発光分光分析(ICP)が使用される。この方法では、濾過助剤から鉄を抽出するためにHClが使用され、その後に酸抽出物がICPにより分析される。
【0018】
アメリカ醸造化学者学会(ASBC、1987年)により開発された更にもう1つの方法では、様々な液体に関する鉄可溶性の指標として鉄のビール可溶性含量が測定される。ASBC法は、1,10-フェナントロリン(すなわち、o-フェナントロリン、C12)を使用する較正された比色法である。試験対象の試料が不焼成品である場合に、その試料は、空気中、110℃で一定の重さになるまで乾燥させた後に、空気中で室温にまで冷却する(すなわち、乾燥させる)べきである。試験対象の試料が焼成品又は融剤焼成品である場合に、その試料は、空気中、室温で一定の重さになるまで乾燥させるべきである。5gの試料を200mLの脱炭酸ビール(例えばBUDWEISER(商標)、Anheuser-Busch社の登録商標)に室温で添加し、その混合物を5分50秒の経過時間にわたり断続的にかき混ぜる。次いで該混合物を、直ちに25cm径の濾紙を収容する漏斗に移し、そこから最初の30秒の間に回収された濾液を破棄する。次いで濾液をその後の150秒間にわたり回収し、25mLの部分をおよそ25mgのアスコルビン酸(C)で処理して、溶解された鉄イオンを還元して第一鉄(すなわち、Fe2+)状態にすることで、「試料抽出物」が得られる。1mLの0.3%(重量/容量)の1,10-フェナントロリンの添加により発色させ、30分後に、得られた試料溶液の吸光度を標準較正曲線と比較する。その較正曲線は、ビール中の既知の濃度の標準鉄溶液から作製される。未処理の濾液は、濁度及び色を較正するためのメソッドブランクとして使用される。吸光度は、分光光度計(この場合には、Milton & Bradley社のSpectronic)を使用して505nmで測定される。定量限界(すなわち、検出限界)は、1kgの濾過助剤当たりにおよそ2mgのFeであり得る。
【0019】
珪藻岩製品からのアルミニウムの可溶性を測定するための分析法も確立されている。本明細書で使用される方法によれば、濾過助剤は、クエン酸/エタノール溶液で浸出され、次いで濾液中のアルミニウムが黒鉛炉内で原子化される。アルミニウムの基底状態原子は、中空陰極ランプにより放出される309.4nmの放射を吸収する。次いでアルミニウムの濃度は、ベールの法則の適用により得られる較正曲線を参照して決定される。本明細書で使用される場合に「可溶性アルミニウム含量」は、クエン酸/エタノール溶液の抽出手順(実施例4を参照)により測定された可溶性アルミニウムの量を指す。
【0020】
珪藻岩製品からのアルミニウムの可溶性を測定するためのもう1つの方法では、誘導結合アルゴンプラズマ発光分光分析(ICP)が使用される。試料抽出物を、アメリカ醸造化学者学会(ASBC)のビールのための方法(鉄について先に記載した)に従って調製し、脱イオン水中2%(容量/容量)の硝酸で20%(容量/容量)のビールの濃度に希釈する。この希釈は、プラズマの安定性を維持しながら感度を最適化するために必要である。希釈された抽出物溶液からの分析データは、160nmから800nmまでの多重分光分析の状態で作動し得るBaird社のモデルPSXのシーケンシャル型ICP分光光度計を用いて収集することができる。そのユニットは、8.5Pa(約65ミリトル)に排気された温度調節機構付きの0.75m改良式ツェルニ・ターナーモノクロメータ(Acton Research Corporation社製モデルL-507)を備えており、40.68MHzの無線周波数を生成する結晶制御オシレータを使用し、そして700Wの進行電力(本明細書で表される分析のため)と0.5W未満の反射電力をかけることにより、同心円型溶融シリカトーチ装置でプラズマを生成する。溶接グレードの液体アルゴンを一次プラズマのために使用し、マスフローコントローラ(Emerson Electric Company社のBrooks Instrument営業部のモデル5876)を通しておよそ46の相対単位で供給した。アルゴンパージを、Matheson社製ロタメータで測定される4.0の相対単位でインターフェース光学系に供給した。波長は、160.000nmの格子エッジで、かつ15.859nmの一次標準アルゴン発光波長で確立された絶対参照波長を用いて、サインバー機構を使用して選択した。可溶性アルミニウムは、396.152nmの一次スペクトル線で測定することができる。カルシウム、バナジウム及びマンガンからのスペクトル干渉は、この線について評価することもでき、干渉測定をすることで、これらの追加の金属について説明することができる。試料溶液についての強度は、市販のアルミニウム標準参照溶液(Spex Industries, Inc社)からビール中で調製された一連の標準についての強度と比較され得る。定量限界(すなわち、検出限界)は、1kgの濾過助剤当たりにおよそ2mgのAlであり得る。
【0021】
上記シリカ系濾過助剤の全シリカ含量(酸処理前又は酸処理後の両方)は、X線蛍光分光法を使用することにより測定することができる。この技術は、アルミニウム、鉄、及びナトリウム等のその他の元素の全含量を測定するためにも有用である。
【0022】
シリカ系濾過助剤の全元素含量を測定するために「溶融四ホウ酸塩マトリックス」型のX線蛍光法を使用することができる。この方法では、2グラムの珪藻岩試料(空気中950℃で1時間にわたり焙焼した後)が7.7グラムの四ホウ酸リチウム(Li)と一緒に溶融され、その溶融物は40mmのボタン状物へと鋳造される。そのボタン状物は、Philips社のPW1600同時X線蛍光分光計を使用して分析される。このシステムは、40種を上回る参照材料を使用して較正され、そのほとんどは、Govindaraju, K. (July, 1989), Geostandards Newsletter, Vol, XIIIにおいて列挙されている。ケイ素、アルミニウム、鉄又はナトリウム等の主要元素についての計数時間は60秒間であり、各々の元素は、それ自身の固定チャネルにより測定される。強熱減量データは、上述の焙焼から得られる。シリカ構造内の水和の自然損失に対応するために、全ての例の場合の全ケイ素含量、全アルミニウム含量、全鉄含量及び全ナトリウム含量は、それぞれの高酸化物(SiO、Al、Fe、及びNaO)に関して強熱後基準で報告され得る。本明細書で使用される場合に、用語「強熱後基準で」とは、分析前に空気中950℃で1時間にわたり焙焼することによる試料の前処理を表している。
【0023】
全元素含量を測定するための代替となる「圧縮バインダーマトリックス」型のX線蛍光法においては、3グラムの珪藻岩試料(空気中950℃で1時間にわたり焙焼した後)が、0.75グラムのSPECTROBLEND(登録商標、Chemplex社)バインダーに加えられる。その混合物は、インパクトボールを有する炭化タングステン製混合バイアル中で5分間にわたり振り混ぜることにより粉砕される。得られた混合物を次いで、31mmのダイ中で1平方インチ当たり24000ポンド(165MPa)に加圧することで、ペレットが形成される。次いで化学組成は、基本パラメータのもと動作するSpectrace 6000エネルギー分散型X線蛍光分光計を使用して、試料と同様に調製された6種の珪藻岩標準を使用して較正し、測定される。該装置は、電気冷却式Li(Si)検出器及び50kVロジウムターゲットX線源を使用し、およそ50%の不感時間で試料励起がもたらされるように構成されている。スペクトルからのピーク強度は、単一元素参照スペクトルとの線形分析比較により分析される。具体的には、ケイ素測定、アルミニウム測定、及び鉄測定のために使用されるKαピーク強度は、それぞれ1.740keV、1.487keV、及び6.403keVのエネルギーと対応する。次いで、珪藻岩標準に関するピーク強度は、純粋元素の計数率に変換され、それらの計数率は、ピーク強度及びデータフィッティングにより試料中の元素含量を測定するために使用される。この方法は、相対誤差が溶融四ホウ酸塩マトリックス法の場合よりも大幅に大きいナトリウムを除き全ての元素について上述された方法と同等の結果を達成する。
【0024】
幾つかの実施形態によれば、濾過助剤組成物は、第1の粒径分布を有する第1の酸処理されたシリカ系濾過助剤、及び第2の粒径分布を有する第2の酸処理されたシリカ系濾過助剤を含み得る。該濾過助剤組成物は、第1の粒径分布が、第2の粒径分布よりも大きいd50を有するような多峰性の粒径分布を有し得る。
【0025】
幾つかの実施形態によれば、上記濾過助剤組成物は、約5重量%から約95重量%までの上記第1の酸処理されたシリカ系濾過助剤を含み得る。例えば、上記濾過助剤組成物は、約15重量%から約85重量%までの、約30重量%から約70重量%までの、約40重量%から約60重量%までの、約10重量%から約40重量%までの、約60重量%から約90重量%までの、又は約45重量%から約55重量%までの上記第1の酸処理されたシリカ系濾過助剤を含み得る。
【0026】
幾つかの実施形態によれば、上記濾過助剤組成物は、約0.005ダルシーから約0.5ダルシーまでの範囲の透過性を有し得る。例えば、上記濾過助剤組成物は、約0.05ダルシーから約0.3ダルシーまでの範囲の、0.05ダルシーから約0.1ダルシーまでの範囲の、又は約0.1ダルシーから約0.2ダルシーまでの範囲の透過性を有し得る。
【0027】
幾つかの実施形態によれば、上記濾過助剤組成物は、約20μS/cm未満の導電率を有し得る。例えば、上記濾過助剤組成物は、約0.01μS/cmから約20μS/cmまでの、約0.1μS/cmから約15μS/cmまでの、又は約0.1μS/cmから約10μS/cmまでの範囲の導電率を有し得る。
【0028】
幾つかのその他の実施形態によれば、上記濾過助剤組成物は、約0.05g/cmから約0.5g/cmまでの範囲の、例えば約0.1g/cmから約0.3g/cmまでの、又は約0.1g/cmから約0.25g/cmまでの範囲の遠心分離湿潤密度を有し得る。
【0029】
幾つかの実施形態によれば、上記第1の酸処理されたシリカ系濾過助剤は、日本食品添加物公定書の試験方法(JSFA)に従って測定された約50ppm未満又はそれと等しい全可溶性重金属含量を有し得る。
【0030】
幾つかの実施形態によれば、上記第1の酸処理されたシリカ系濾過助剤は、約20ppm未満又はそれと等しい可溶性鉄含量(すなわち、1kgの濾過助剤当たりに20mgのFe)を有し得る。例えば、上記第1の酸処理されたシリカ系濾過助剤は、約15ppm未満若しくはそれと等しい、約10ppm未満若しくはそれと等しい、約8ppm未満若しくはそれと等しい、約7ppm未満若しくはそれと等しい、又は約5ppm未満若しくはそれと等しい可溶性鉄含量を有し得る。幾つかの場合において、上記第1の酸処理されたシリカ系濾過助剤は、約3ppm未満若しくはそれと等しい、約2ppm未満若しくはそれと等しい、約1ppm未満若しくはそれと等しい、又は更に約0.5ppm未満若しくはそれと等しい可溶性鉄含量を有し得る。
【0031】
幾つかの実施形態によれば、上記第1の酸処理されたシリカ系濾過助剤は、約20ppm未満又はそれと等しい可溶性アルミニウム含量(すなわち、1kgの濾過助剤当たりに20mgのAl)を有し得る。例えば、上記第1の酸処理されたシリカ系濾過助剤は、約15ppm未満若しくはそれと等しい、約10ppm未満若しくはそれと等しい、約8ppm未満若しくはそれと等しい、約5ppm未満若しくはそれと等しい、約2ppm未満若しくはそれと等しい、又は更に約1ppm未満若しくはそれと等しい可溶性アルミニウム含量を有し得る。
【0032】
幾つかの実施形態によれば、上記第1の酸処理されたシリカ系濾過助剤は、強熱後基準で報告されて、約90%(重量/重量)より大きい又はそれと等しいSiOの、例えば約91%(重量/重量)より大きい若しくはそれと等しいSiOの、約92%(重量/重量)より大きい若しくはそれと等しいSiOの、約93%(重量/重量)より大きい若しくはそれと等しいSiOの、約94%(重量/重量)より大きい若しくはそれと等しいSiOの、約95%(重量/重量)より大きい若しくはそれと等しいSiOの、約96%(重量/重量)より大きい若しくはそれと等しいSiOの、約97%(重量/重量)より大きい若しくはそれと等しいSiOの、約98%(重量/重量)より大きい若しくはそれと等しいSiOの、約99%(重量/重量)より大きい若しくはそれと等しいSiOの、又は99.5%(重量/重量)より大きい若しくはそれと等しいSiOの全シリカ含量を有し得る。
【0033】
幾つかの実施形態によれば、上記第1の酸処理されたシリカ系濾過助剤は、Feとして報告されて、約1.5%(重量/重量)未満又はそれと等しい全鉄含量、例えば約1.2%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約1.0%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約0.8%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約0.6%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約0.5%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約0.3%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約0.2%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、又は約0.1%(重量/重量)未満若しくはそれと等しいFeの全鉄含量を有し得る。幾つかの例においては、上記第1の酸処理されたシリカ系濾過助剤は、約0.1%(重量/重量)から約1.5%(重量/重量)までの、約0.2%(重量/重量)から約1.0%(重量/重量)までの、又は約0.3%(重量/重量)から約0.8%(重量/重量)までの範囲の全鉄含量を有し得る。少なくとも1つの例においては、上記第1の酸処理されたシリカ系濾過助剤は、強熱後基準で報告されて、約0.005%(重量/重量)から約0.3%(重量/重量)までの範囲のFe、例えば約0.2%(重量/重量)未満又はそれと等しいFeの全鉄含量を有し得る。
【0034】
幾つかの実施形態によれば、上記第1の酸処理されたシリカ系濾過助剤は、Alとして報告されて、約6.0%(重量/重量)未満又はそれと等しい全アルミニウム含量、例えば約5.5%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約5.0%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約4.5%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約4.0%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約3.5%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約3.0%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約2.5%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約2.0%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約1.5%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約1.0%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約0.5%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、又は約0.3%(重量/重量)未満若しくはそれと等しいAlの全アルミニウム含量を有し得る。幾つかの例においては、上記第1の酸処理されたシリカ系濾過助剤は、約0.01%(重量/重量)から約6.0%(重量/重量)までの、約0.05%(重量/重量)から約3.0%(重量/重量)までの、又は約0.1%(重量/重量)から約1.0%(重量/重量)までの範囲の全アルミニウム含量を有し得る。少なくとも1つの例においては、上記第1の酸処理されたシリカ系濾過助剤は、強熱後基準で報告されて、約0.01%(重量/重量)から約0.5%(重量/重量)までの範囲のAl、例えば約0.1%(重量/重量)から約0.4(重量/重量)のAlの全鉄含量を有し得る。
【0035】
幾つかの実施形態によれば、上記第2の酸処理されたシリカ系濾過助剤は、日本食品添加物公定書の試験方法(JSFA)に従って測定された約50ppm未満又はそれと等しい全可溶性重金属含量を有し得る。
【0036】
幾つかの実施形態によれば、上記第2の酸処理されたシリカ系濾過助剤は、約20ppm未満又はそれと等しい可溶性鉄含量(すなわち、1kgの濾過助剤当たりに20mgのFe)を有し得る。例えば、上記第2の酸処理されたシリカ系濾過助剤は、約15ppm未満若しくはそれと等しい、約10ppm未満若しくはそれと等しい、約8ppm未満若しくはそれと等しい、約7ppm未満若しくはそれと等しい、又は約5ppm未満若しくはそれと等しい可溶性鉄含量を有し得る。幾つかの場合において、上記第2の酸処理されたシリカ系濾過助剤は、約3ppm未満若しくはそれと等しい、約2ppm未満若しくはそれと等しい、約1ppm未満若しくはそれと等しい、又は更に約0.5ppm未満若しくはそれと等しい可溶性鉄含量を有し得る。
【0037】
幾つかの実施形態によれば、上記第2の酸処理されたシリカ系濾過助剤は、約20ppm未満又はそれと等しい可溶性アルミニウム含量(すなわち、1kgの濾過助剤当たりに10mgのAl)を有し得る。例えば、上記第2の酸処理されたシリカ系濾過助剤は、約15ppm未満若しくはそれと等しい、約10ppm未満若しくはそれと等しい、約8ppm未満若しくはそれと等しい、約5ppm未満若しくはそれと等しい、約2ppm未満若しくはそれと等しい、又は更に約1ppm未満若しくはそれと等しい可溶性アルミニウム含量を有し得る。
【0038】
幾つかの実施形態によれば、上記第2の酸処理されたシリカ系濾過助剤は、強熱後基準で報告されて、約90%(重量/重量)より大きい又はそれと等しいSiOの、例えば約91%(重量/重量)より大きい若しくはそれと等しいSiOの、約92%(重量/重量)より大きい若しくはそれと等しいSiOの、約93%(重量/重量)より大きい若しくはそれと等しいSiOの、約94%(重量/重量)より大きい若しくはそれと等しいSiOの、約95%(重量/重量)より大きい若しくはそれと等しいSiOの、約96%(重量/重量)より大きい若しくはそれと等しいSiOの、約97%(重量/重量)より大きい若しくはそれと等しいSiOの、約98%(重量/重量)より大きい若しくはそれと等しいSiOの、約99%(重量/重量)より大きい若しくはそれと等しいSiOの、又は99.5%(重量/重量)より大きい若しくはそれと等しいSiOの全シリカ含量を有し得る。
【0039】
幾つかの実施形態によれば、上記第2の酸処理されたシリカ系濾過助剤は、Feとして報告されて、約1.5%(重量/重量)未満又はそれと等しい全鉄含量、例えば約1.2%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約1.0%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約0.8%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約0.6%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約0.5%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約0.3%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約0.2%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、又は約0.1%(重量/重量)未満若しくはそれと等しいFeの全鉄含量を有し得る。幾つかの例においては、上記第2の酸処理されたシリカ系濾過助剤は、約0.1%(重量/重量)から約1.5%(重量/重量)までの、約0.2%(重量/重量)から約1.0%(重量/重量)までの、又は約0.3%(重量/重量)から約0.8%(重量/重量)までの範囲の全鉄含量を有し得る。少なくとも1つの例においては、上記第2の酸処理されたシリカ系濾過助剤は、強熱後基準で報告されて、約0.005%(重量/重量)から約0.3%(重量/重量)までの範囲のFe)、例えば約0.2%(重量/重量)未満又はそれと等しいFeの全鉄含量を有し得る。
【0040】
幾つかの実施形態によれば、上記第2の酸処理されたシリカ系濾過助剤は、Alとして報告されて、約6.0%(重量/重量)未満又はそれと等しい全アルミニウム含量、例えば約5.5%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約5.0%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約4.5%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約4.0%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約3.5%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約3.0%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約2.5%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約2.0%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約1.5%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約1.0%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、約0.5%(重量/重量)未満若しくはそれと等しい、又は約0.3%(重量/重量)未満若しくはそれと等しいAlの全アルミニウム含量を有し得る。幾つかの例においては、上記第2の酸処理されたシリカ系濾過助剤は、約0.01%(重量/重量)から約6.0%(重量/重量)までの、約0.05%(重量/重量)から約3.0%(重量/重量)までの、又は約0.1%(重量/重量)から約1.0%(重量/重量)までの範囲の全アルミニウム含量を有し得る。少なくとも1つの例においては、上記第2の酸処理されたシリカ系濾過助剤は、強熱後基準で報告されて、約0.01%(重量/重量)から約0.5%(重量/重量)までの範囲のAl、例えば約0.1%(重量/重量)から約0.4(重量/重量)のAlの全鉄含量を有し得る。幾つかの実施形態によれば、上記濾過助剤組成物は、約0.1L/m・分から約45L/m・分までの範囲の濾過流束を有し得る。例えば、上記濾過助剤組成物は、約1L/m・分から約15L/m・分までの、約10L/m・分から約30L/m・分までの、又は約25L/m・分から約45L/m・分までの範囲の濾過流束を有し得る。
【0041】
幾つかの実施形態によれば、上記濾過助剤組成物は、1.0g/Lでの濾過の1時間後に約4.0bar未満の圧力差を有し得る。例えば、上記濾過助剤組成物は、1.0g/Lでの濾過の1時間後に約3.5bar未満の、又は1.0g/Lでの濾過の1時間後に約3.0bar未満の圧力差を有し得る。
【0042】
幾つかの実施形態によれば、上記濾過助剤組成物は、1.0g/Lでの濾過の2時間後に約6.0bar未満の圧力差を有し得る。例えば、上記濾過助剤組成物は、1.0g/Lでの濾過の2時間後に約5.5bar未満の、1.0g/Lでの濾過の2時間後に約5.0bar未満の、又は1.0g/Lでの濾過の2時間後に約4.5bar未満の圧力差を有し得る。
【0043】
幾つかの実施形態によれば、濾過助剤組成物を製造する方法は、第1の粒径分布を有する第1のシリカ系濾過助剤を準備することと、第2の粒径分布を有する第2のシリカ系濾過助剤を準備することと、上記第1のシリカ系濾過助剤と上記第2のシリカ系濾過助剤とを配合することで、濾過助剤組成物を形成することとを含み得る。該濾過助剤組成物は、上記第1の粒径分布が、上記第2の粒径分布よりも大きいd50を有するような多峰性の粒径分布を有し得る。上記第1のシリカ系濾過助剤及び第2のシリカ系濾過助剤は、酸処理された濾過助剤を含み得る。
【0044】
幾つかの実施形態によれば、上記方法は、上記第1のシリカ系濾過助剤組成物を、上記第2のシリカ系濾過助剤組成物との配合の前に酸処理することを含むことができる。幾つかの実施形態によれば、上記酸は、シュウ酸、氷酢酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、アスコルビン酸、及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0045】
幾つかの実施形態によれば、上記方法は、上記第2のシリカ系濾過助剤組成物を、上記第1のシリカ系濾過助剤組成物との配合の前に酸処理することを含むことができる。
【0046】
幾つかの実施形態によれば、上記方法は、上記濾過助剤組成物を、上記第1のシリカ系濾過助剤と上記第2のシリカ系濾過助剤とを配合した後に酸処理することを含むことができる。
【0047】
幾つかの実施形態によれば、上記濾過助剤組成物の粒径分布は、多峰性の粒径分布、例えば二峰性又は三峰性の粒径分布を有し得る。
【0048】
幾つかの実施形態によれば、上記流体は、飲料組成物であり得る。幾つかの実施形態によれば、上記流体は、緑茶を含むことができる。
【0049】
幾つかの実施形態によれば、濾過助剤を製造する方法は、第1のシリカ系濾過助剤組成物を準備することと、シュウ酸及び氷酢酸の群から選択される第1の酸組成物を準備することと、上記第1のシリカ系濾過助剤組成物から上記第1の酸組成物を使用して可溶性金属を抽出することとを含むことができる。
【0050】
幾つかの実施形態によれば、上記方法は、第2のシリカ系濾過助剤組成物を準備することと、シュウ酸及び氷酢酸の群から選択される第2の酸組成物を準備することと、上記第2のシリカ系濾過助剤組成物から上記第2の酸組成物を使用して可溶性金属を抽出することとを含むことができる。
【0051】
幾つかの実施形態によれば、上記第1の酸組成物及び上記第2の酸組成物は、同じ酸を含む。
【0052】
幾つかの実施形態によれば、上記第1のシリカ系濾過助剤組成物からの可溶性金属の抽出と、上記第2のシリカ系濾過助剤組成物からの可溶性金属の抽出は、同時に行われる。
【0053】
幾つかの実施形態によれば、上記第1の酸処理されたシリカ系濾過助剤組成物は、約50ppm未満又はそれと等しい全可溶性金属含量を有し得る。幾つかの実施形態によれば、上記第1の酸処理されたシリカ系濾過助剤組成物は、約20ppm未満又はそれと等しい(例えば、0ppmより大きく、かつ20ppm未満)可溶性鉄含量、例えば約0.1ppmから約15ppmまでの、約0.2ppmから約10ppmまでの、又は約0.3ppmから約5ppmまでの範囲の可溶性鉄含量を有し得る。幾つかの実施形態によれば、上記第1の酸処理されたシリカ系濾過助剤組成物は、約20ppm未満又はそれと等しい(例えば、0ppmより大きく、かつ20ppm未満)可溶性アルミニウム含量、例えば約0.1ppmから約15ppmまでの、約0.2ppmから約10ppmまでの、又は約0.3ppmから約5ppmまでの範囲の可溶性アルミニウム含量を有し得る。
【0054】
幾つかの実施形態によれば、上記第2の酸処理されたシリカ系濾過助剤組成物は、約50ppm未満又はそれと等しい全可溶性金属含量を有し得る。幾つかの実施形態によれば、上記第2の酸処理されたシリカ系濾過助剤組成物は、約20ppm未満又はそれと等しい可溶性鉄含量(すなわち、1kgの濾過助剤当たりに20mgのFe)、例えば約0.1ppmから約15ppmまでの、約0.2ppmから約10ppmまでの、又は約0.3ppmから約5ppmまでの範囲の可溶性鉄含量を有し得る。幾つかの実施形態によれば、上記第2の酸処理されたシリカ系濾過助剤組成物は、約20ppm未満又はそれと等しい(例えば、0ppmより大きく、かつ20ppm未満)可溶性アルミニウム含量、例えば約0.1ppmから約15ppmまでの、約0.2ppmから約10ppmまでの、又は約0.3ppmから約5ppmまでの範囲の可溶性アルミニウム含量を有し得る。
【0055】
幾つかの実施形態によれば、上記第1の酸処理されたシリカ系濾過助剤組成物は、約10μmから約50μmまでの、例えば約15μmから約30μmまでの、又は約15μmから約25μmまでの範囲のd50を有し得る。
【0056】
幾つかの実施形態によれば、上記第2の酸処理されたシリカ系濾過助剤組成物は、約0.5μmから約15μmまでの、例えば約2μmから約10μmまでの、又は約5μmから約10μmまでの範囲のd50を有し得る。
【0057】
幾つかの実施形態によれば、上記第1のシリカ系濾過助剤は、第2のシリカ系濾過助剤よりも大きな中央孔径を有し得る。例えば、上記第1のシリカ系濾過助剤は、約1μmから約5μmまでの範囲の中央孔径を有し得て、かつ上記第2のシリカ系濾過助剤は、約0.1μmから約1μmまでの範囲のd50を有し得る。
【0058】
シリカ系濾過助剤
具体的な実施形態は、珪藻岩に関して論じられ得るが、上記シリカ系濾過助剤は、1種以上のシリカ系濾過材、例えば生物起源シリカ、天然ガラス、パーライト、軽石、火山灰、焼成カオリン、スメクタイト、雲母、タルク、シラス、黒曜石、ピッチストーン、もみ殻灰、及びそれらの組み合わせを含み得ると理解される。幾つかの実施形態によれば、ケイ酸塩基材は、生物起源シリカを含み得る。幾つかの実施形態によれば、ケイ酸塩基材は、珪藻岩を含み得る。
【0059】
本明細書で使用される用語「生物起源シリカ」は、生きている生物により産生又は惹起されるシリカを指す。生物起源シリカの1つの例は、珪藻土(「DE」又は「ケイソウ土」としても知られる)から得られる珪藻岩である。珪藻岩は、珪藻植物の珪質の被殻(すなわち殻又は骨格)の形の生物起源シリカが豊富な堆積物である。珪藻植物は、生きている珪藻植物中で丸薬容器のように共に良くはまり合う2つの殻を含む様々な複雑な構造の装飾のある珪質の骨格又は被殻を有する珪藻綱の多種多様な微視的な単細胞の藻類である。珪藻岩は、水棲珪藻植物の名残り(remains)から形成し得るため、珪藻岩鉱床は、現在の水場又はかつての水場の近くに見出され得る。これらの鉱床は一般的に、淡水及び海水の起源に基づいて2つのカテゴリーに分けられる。淡水珪藻岩は一般的に、乾燥した湖床から採掘され、低い結晶性シリカ含量及び高い鉄含量を有することを特徴とし得る。それに対して、海水珪藻岩は一般的に、海洋域から取り出され、高い結晶性シリカ含量及び低い鉄含量を有することを特徴とし得る。珪藻植物の被殻の形態は種間で大きく異なることがあり、分類学的分類のための基礎となり、少なくとも2000種の異なる種が知られている。各々の殻の表面は、一連の開口部により中断されており、それらの開口部は、被殻の複雑な微細構造を含み、個々の種に特有の柄を与える。典型的な被殻のサイズは、約0.75μmから約1000μmまでの範囲にあり得る。幾つかの実施形態においては、該被殻のサイズは、約10μmから約150μmまでの範囲にあり得る。このサイズ範囲の被殻は、化学平衡を維持する条件で貯蔵されれば、その多孔質かつ複雑な構造のほとんどを長期の地質年代を通じて事実上無傷に保つほど十分に耐久性であり得る。
【0060】
生物起源シリカのその他の起源には、植物、動物、及び微生物が含まれ、それらは、独特な特徴を有する濃縮されたシリカ源を提供し得る。例えば、もみ殻は十分なシリカを含み、もみ殻はその珪質残留物、つまり「もみ殻灰」として通常知られる製品のために商業的に灰にされ得る。或る特定の海綿動物も濃縮されたシリカ源であり、その残骸は地質学上の鉱床中に針骨として見出され得る。
【0061】
本明細書で使用される用語「天然ガラス」は、珪質マグマ又は溶岩の急冷により形成される「火山ガラス」とも呼ばれ得る天然ガラスを指す。例えばパーライト、軽石、軽石粉、黒曜石、及びピッチストーンを含む幾つかの種類の天然ガラスが知られている。パーライト及び軽石等の火山ガラスは、塊状鉱床中に存在し、広範に商業的に使用されている。固結形の場合にしばしば「凝灰岩」と呼ばれる火山灰は、ガラス状の形態であり得る小さな粒子又は破片を含む。本明細書で使用される場合に、用語「天然ガラス」は、火山灰を含む。
【0062】
天然ガラスは、流紋岩と化学的に等価であり得る。粗面岩、石英安山岩、安山岩、ラタイト及び玄武岩と化学的に等価である天然ガラスも知られているが、あまり一般的でない場合がある。用語「黒曜石」は一般的に、シリカが豊富な多数の天然ガラスに適用される。黒曜石ガラスは、そのシリカ含量に従ってサブカテゴリーに分類することができ、その際、流紋岩質黒曜石(一般に約73重量%のSiOを含有する)が最も一般的である。
【0063】
パーライトは、例えば約72重量%~約75重量%のSiO、約12重量%~約14重量%のAl、約0.5重量%~約2重量%のFe、約3重量%~約5重量%のNaO、約4重量%~約5重量%のKO、約0.4重量%~約1.5重量%のCaO、及び少量のその他の金属元素を含有し得る水和天然ガラスである。パーライトは、その他の天然ガラスとは、比較的多量(例えば約2重量%~約5重量%)の化学結合水、ガラスのような真珠光沢の存在、及び特徴的な同心円状又は弓状のタマネギの皮のような(すなわち真珠状の)破面により区別することができる。パーライト製品は、粉砕及び熱膨張により製造することができ、高い気孔率、低い嵩密度及び化学的不活性等の特有の物理的特性を有し得る。本明細書で使用される「パーライト」は、膨張パーライトも含む。
【0064】
タルクは、ケイ酸マグネシウム鉱物、鉱物の緑泥石(ケイ酸マグネシウムアルミニウム)、又はそれら2種の混合物である。タルクは任意に、その他の鉱物、例えばドロマイト及び/又はマグネサイトを伴う場合がある。タルクはまた、滑石としても知られる合成タルクも含む。特定の実施形態においては、上記タルクは、大型結晶質タルク又は微結晶質タルクであってもよい。個々のタルク小板(数千の基本薄板)の個々の小板サイズ、すなわちSedigraph法により測定される中央直径は、鉱床の形成条件に応じて、約1μmから100μm超まで変動し得る。個々の小板サイズは、タルクのラメラリティーを決める。ラメラリティーの高いタルクは、大きな個々の小板を有することとなり、一方で、微結晶質タルクは、小さい小板を有することとなる。全てのタルクは、層状であるとみなすことができるが、それらの小板サイズは、鉱床ごとに異なる。小さい結晶は、「微結晶質タルク」として知られる小型で緻密な鉱石をもたらす。大きな結晶は、「大型結晶質タルク」として知られる薄層となる。既知の微結晶質タルク鉱床は、モンタナ州(イエローストーン)及びオーストラリア(スリー・スプリングス)に位置している。微結晶質構造において、タルク基本粒子は、より大きい小板から構成される大型結晶質構造と比較して小さい小板から構成されている。
【0065】
軽石は、メソ孔質構造(例えば、時々約1mmまでの孔径を有する細孔又は気孔を有する)を特徴とする天然ガラスである。軽石の多孔質の性質は、非常に低い見かけ密度を与え、多くの場合には水面に浮くことを可能にする。ほとんどの商業的な軽石は、約60重量%から約70重量%までのSiOを含有する。軽石は、粉砕及び分級により処理され得て、そして製品は、軽量骨材として使用することができ、そしてまた研磨剤、吸着剤、及び充填剤として使用することができる。未発泡の軽石及び熱発泡された軽石は、濾過成分として使用することもできる。
【0066】
シリカ系濾過助剤の配合物
幾つかの実施形態によれば、濾過助剤組成物は、2種の別々のシリカ系濾過助剤組成物を配合することにより製造することができる。例えば、濾過助剤組成物は、第1の粒径分布を有する第1のシリカ系濾過助剤、及び第2の粒径分布を有する第2のシリカ系濾過助剤を含み得る。上記第1のシリカ系濾過助剤組成物及び第2のシリカ系濾過助剤組成物は、酸処理された濾過助剤であり得る。
【0067】
上記濾過助剤組成物は、第1の粒径分布が、第2の粒径分布よりも大きいd50を有するような多峰性の粒径分布を有し得る。幾つかの実施形態によれば、上記濾過助剤組成物は、多峰性分布、例えば二峰性分布又は三峰性分布を有し得る。
【0068】
幾つかの実施形態によれば、第1の粒径分布は、第2の粒径分布よりも大きいd50を有する。例えば、上記第1の粒径分布は、約10μmから約50μmまでの、例えば約15μmから約30μmまでの、又は約15μmから約25μmまでの範囲のd50を有し得て、かつ上記第2の粒径分布は、約0.5μmから約15μmまでの、例えば約2μmから約10μmまでの、又は約5μmから約10μmまでの範囲のd50を有し得る。例えばさらに、上記第1の粒径分布は、約5μmから約20μmまでの、例えば約5μmから約10μmまでの範囲のd10を有し得て、及び/又は約60μmから約90μmまでの、例えば約70μmから約85μmまでの範囲のd90を有し得る。幾つかの例においては、上記第2の粒径分布は、約1μmから約5μmまでの、例えば約2μmから約3μmまでの範囲のd10を有し得て、及び/又は約15μmから約30μmまでの、例えば約20μmから約25μmまでの範囲のd90を有し得る。
【0069】
もう1つの態様によれば、上記第1の粒径分布は、上記第2の粒径分布のd50よりも少なくとも5μm大きいd50を有し得る。例えば、上記第1の粒径分布は、上記第2の粒径分布のd50よりも少なくとも約10μm大きいd50を有し得る。もう1つの態様においては、上記第1の粒径分布は、上記第2の粒径分布のd50よりも約5μmから約40μmまでの範囲だけ大きいd50、例えば上記第2の粒径分布のd50よりも約5μmから約20μmまでの、約5μmから約15μmまでの、又は約5μmから約10μmまでの範囲だけ大きいd50を有し得る。
【0070】
幾つかの実施形態によれば、上記第1のシリカ系濾過助剤は、第2のシリカ系濾過助剤よりも大きな中央孔径を有し得る。例えば、上記第1のシリカ系濾過助剤は、約1μmから約5μmまでの範囲の中央孔径を有し得て、かつ上記第2のシリカ系濾過助剤は、約0.1μmから約1μmまでの範囲の中央孔径を有し得る。
【0071】
幾つかの実施形態によれば、上記濾過助剤組成物は、約5重量%から約95重量%までの上記第1の酸処理されたシリカ系濾過助剤を含み得る。例えば、上記濾過助剤組成物は、約40重量%から約95重量%までの、約60重量%から約90重量%までの、約70重量%から約95重量%までの、約65重量%から約75重量%までの、約75重量%から約85重量%までの、又は約85重量%から約95重量%までの上記第1の酸処理されたシリカ系濾過助剤を含み得る。
【0072】
酸処理
幾つかの実施形態によれば、上記シリカ系濾過助剤は、少なくとも1種の酸で処理され得る。例えば、上記シリカ系濾過助剤は、少なくとも1種の弱酸、例えばシュウ酸、氷酢酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、アスコルビン酸、及びそれらの混合物で処理され得る。上記酸処理は、シリカ系濾過助剤と酸又は酸及び水の混合物とを混合することにより実施され得る。幾つかの実施形態によれば、上記酸処理は、酸又は酸及び水の混合物をシリカ系濾過助剤上に吹き付けることを含み得る。幾つかの実施形態によれば、シリカ系濾過助剤及び酸の混合物、又はシリカ系濾過助剤、酸及び水の混合物は、酸を添加する間に又は酸を添加した後に混合され得る。
【0073】
幾つかの実施形態によれば、上記酸処理されたシリカ系濾過助剤は、上記酸処理の後に乾燥され得る。乾燥は炉内で行うことができ、それは1時間以上、又は一晩にわたるものであってもよい。例えば、上記酸処理されたシリカ系濾過助剤は、約70℃を上回る若しくはそれと等しい温度、約80℃を上回る若しくはそれと等しい温度、約90℃を上回る若しくはそれと等しい温度、又は約100℃を上回る若しくはそれと等しい温度で乾燥され得る。例えば、上記乾燥は、約70℃から約120℃までの範囲で、例えば約80℃から約110℃までの、約90℃から約110℃までの、約90℃から約100℃までの、又は約100℃から約110℃までの範囲で行うことができる。
【0074】
上記処理における酸の量は、シリカ系濾過助剤と酸とを合わせた全重量に対して約5重量%超又はそれと等しくてもよく、例えば酸とシリカ系濾過助剤とを合わせた全重量に対して、約7重量%超若しくはそれと等しく、約8重量%超若しくはそれと等しく、約9重量%超若しくはそれと等しく、約10重量%超若しくはそれと等しく、約11重量%超若しくはそれと等しく、約12重量%超若しくはそれと等しく、約13重量%超若しくはそれと等しく、約14重量%超若しくはそれと等しく、約15重量%超若しくはそれと等しく、約16重量%超若しくはそれと等しく、約17重量%超若しくはそれと等しく、約18重量%超若しくはそれと等しく、約19重量%超若しくはそれと等しく、又は約20重量%超若しくはそれと等しくてもよい。
【0075】
水及び酸の混合物がシリカ系濾過助剤の処理に使用される場合に、上記処理における酸の量は、シリカ系濾過助剤と酸と水とを合わせた全重量に対して約5重量%超又はそれと等しくてもよく、例えばシリカ系濾過助剤と酸と水とを合わせた全重量に対して、約7重量%超若しくはそれと等しく、約8重量%超若しくはそれと等しく、約9重量%超若しくはそれと等しく、約10重量%超若しくはそれと等しく、約11重量%超若しくはそれと等しく、約12重量%超若しくはそれと等しく、約13重量%超若しくはそれと等しく、約14重量%超若しくはそれと等しく、約15重量%超若しくはそれと等しく、約16重量%超若しくはそれと等しく、約17重量%超若しくはそれと等しく、約18重量%超若しくはそれと等しく、約19重量%超若しくはそれと等しく、又は約20重量%超若しくはそれと等しくてもよい。上記処理における水及び酸の量は、シリカ系濾過助剤と酸と水とを合わせた全重量に対して約5重量%超又はそれと等しくてもよく、例えばシリカ系濾過助剤と酸と水とを合わせた全重量に対して、約8重量%超若しくはそれと等しく、約10重量%超若しくはそれと等しく、約11重量%超若しくはそれと等しく、約12重量%超若しくはそれと等しく、約13重量%超若しくはそれと等しく、約14重量%超若しくはそれと等しく、約15重量%超若しくはそれと等しく、約16重量%超若しくはそれと等しく、約17重量%超若しくはそれと等しく、約18重量%超若しくはそれと等しく、約19重量%超若しくはそれと等しく、約20重量%超若しくはそれと等しく、約22重量%超若しくはそれと等しく、又は約24重量%超若しくはそれと等しくてもよい。
【0076】
特定の理論により縛られることを望むものではないが、上記酸処理により、シリカ系濾過助剤に反応が起こり、該シリカ系濾過助剤から可溶性金属が除去されると考えられる。
【0077】
幾つかの実施形態によれば、シリカ系濾過助剤の酸による処理は、流速及び/又は不純物、例えば緑茶若しくはビール中の沈殿物の吸着を高めることもできる。シリカ系濾過助剤を処理するための酸及び水の混合物を、流速及び酸処理されたシリカ系濾過助剤の吸着特性の特定の調整のために更に使用することができる。例えば、そのような処理は、酸処理されたシリカ系濾過助剤の湿潤密度を低下させ得る。そのような処理は乾燥工程の必要性を排除することもでき、それは生産原価を減らし得る。
【0078】
幾つかの実施形態によれば、酸処理は、上記シリカ系濾過助剤を濾過助剤組成物へと配合する前に又はその後に行うことができる。酸処理が配合の前に行われる場合には、酸の選択は、それぞれの濾過助剤組成物の特性の特定の調整のために使用され得て、又は濾過助剤のシリカ系材料の種類に特に適しているように選択され得る。上記酸処理された濾過助剤は、濾過助剤の生産原価を減らしつつも、許容可能な又は改善された濾過特性を与えることができる。本明細書で使用される場合に、酸処理された濾過助剤とは、配合の前、配合の後、又はその両方のいずれかで酸処理された濾過助剤を指す。
【0079】
幾つかの実施形態によれば、第1の酸処理された濾過助剤及び第2の酸処理された濾過助剤を有する濾過助剤組成物は、二峰性分布を有し得る。粒径の二峰性分布は、第1の酸処理された濾過助剤に対応する一方の分布と、第2の分布に対応するもう一方の分布とを含む。
【0080】
幾つかの実施形態によれば、上記濾過助剤組成物は、二峰性分布又は三峰性分布であり得る多峰性の粒径分布を有し得るが、より高次の粒径分布も想定される。多峰性分布においては、各々のピーク又はモードは、濾過助剤組成物中の1種のシリカ系濾過助剤に対応する。
【0081】
特定の理論に縛られることを望むものではないが、配合された濾過助剤組成物の粒径分布が広いほど、孔径分布がより広くなると考えられる。結果として、濾過助剤組成物により除去される沈殿物がその各サイズ範囲で細孔を閉塞又は封鎖し得る場合に、得られた濾過助剤組成物中により大きいサイズ及びより小さいサイズの更なる細孔が残る。残った細孔は、液流及び沈殿物の継続的な濾過を可能にする相互接続された経路を有したままとなる。孔径分布が増大するため、流動抵抗が減少して、任意の所与の流束で同じ程度の濾液清澄化がなされ得る。
【0082】
その濾過助剤組成物の濾過性能は、濾過助剤組成物の等しい処理量でのより低い差圧により示され得る。濾過成果は、同等の透過性を有する単一のコントロール組成物に対して、濾液の清澄度及び濾過液の使用量の点で比較することもできる。例えば、例示的な濾過助剤組成物は、濾過速度及び濾過成果の組み合わせに基づいて濾過助剤の構成成分のいずれかよりも良好な濾過性能を示し得る。
【0083】
以下の実施例は、本開示の態様を説明することを目的とするものであって、それを限定する性質のものではない。本開示は、上記詳細な説明及び下記の実施例に見合った追加の実施形態を含むものと解される。
【実施例
【0084】
実施例1
例示的な濾過助剤組成物を、約20μmのd50及び約2.5μmの中央孔径を有する粗大な酸処理された珪藻岩と、約7μmのd50及び約0.5μmの中央孔径を有する微細な酸処理された珪藻岩とを配合することにより調製した。約20μmのd50及び約2.5μmの中央孔径を有する微細な酸処理された珪藻岩のコントロール組成物も調製した。表1は、その配合物における微細な珪藻岩及び粗大な珪藻岩の比率を示す。
【0085】
【表1】
【0086】
次いでコントロール試料及び試料A~Dの各々を使用して、伊藤園(登録商標)の緑茶(おーいお茶)を濾過した。蠕動ポンプを使用して、各々の試料についての20ml/分の流速及び4.00L/m・分の濾過流束を維持した。各々の濾過助剤組成物の透過性は、0.11ダルシーであった。濾過助剤を、ボディーフィードで濾過液1L当たり1.0g又は濾過液1L当たり1.4gのいずれかで供給した。表2~表7は、コントロール試料及び例示的な濾過助剤の経時的な全流速、圧力及びHatch濁度(NTU)を示す。
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
【表4】
【0090】
【表5】
【0091】
【表6】
【0092】
【表7】
【0093】
図1は、1.0g/Lのボディーフィードでのコントロール試料、試料A及び試料Bの経時的な差圧、並びに1.4g/Lのボディーフィードでの試料Bの経時的な差圧のグラフを示す。
【0094】
図2は、1.0g/Lのボディーフィードでのコントロール試料、試料A及び試料Bの経時的なHatch濁度(NTU)、並びに1.4g/Lのボディーフィードでの試料Bの経時的なHatch濁度(NTU)のグラフを示す。
【0095】
実施例2
実施例1の濾過助剤組成物の製造のために使用される粗大な珪藻岩(DE2)及び微細な珪藻岩(DE1)の試料の粒径分布を測定し、それらを表8で報告する。
【0096】
【表8】
【0097】
実施例3
以下は、濾過助剤試料(例えば、珪藻岩材料又は珪藻岩材料の混合物)中の可溶性鉄の量を測定するための手順を説明するものである。
【0098】
1000ml容のメスフラスコ中で4.6gのクエン酸一水和物をおよそ500mlの脱イオン水中に溶かした後に、200mlのエチルアルコール(約95%)を添加することにより、クエン酸/エタノール溶液を調製する。かき回して混ぜる。10.5mlの2.0NのNaOH溶液を添加する。その溶液を、脱イオン水で1000mlの目盛りまで希釈する。
【0099】
1.00グラムの濾過助剤試料と100mlの上記クエン酸/エタノール溶液とを500ml容の三角フラスコ中で合することにより、濾過助剤試料をクエン酸/エタノール溶液で抽出する。そのフラスコに蓋をし、かき回して混ぜる。そのフラスコをプラットフォームシェーカー(INNOVA 2000又は相当品)上に設置し、250rpmで2時間にわたり振盪する。2時間が経過したら、そのスラリーを0.45μm孔径のメンブレンフィルタ(Fisher社ブランドの吸引フィルターホルダー、焼結ガラスサポート付き、350ml容量、前置フィルターサイズ35mm、又は相当品)を通じて濾過する。濾液を清浄なフラスコに移す。
【0100】
2.57gのFerroZine(商標)試薬を500mlの酢酸アンモニウム/酢酸緩衝液(37.5gの酢酸アンモニウムと75mlの氷酢酸とを合し、脱イオン水で500mlに希釈して調製される)中に溶かすことによりFerroZine(商標)試薬溶液を調製する。そのFerrozine(商標)試薬溶液を褐色のガラス瓶中で貯蔵する。
【0101】
Fe測定
1. 分光光度計(Milton Roy社製21D又は相当品)をオンにし、波長を560nmに調整し、吸光度モードに設定する。どの測定の前にも20分間にわたり装置をウォームアップさせる。
2. 較正標準:25mlのブランクのクエン酸/エタノール溶液を6本の試験管のそれぞれにピペットで入れる。10μl、20μl、50μl、100μl及び200μlの100μg/mlのFe標準溶液(Fe参照標準溶液、1000ppm、Fisher社認証済、又は相当品)を6本の試験管のうちそれぞれ5本(その6本目の試験管はブランク参照である)中にスパイクし、よく混ぜる。これらの較正標準は、それぞれ0.04μg/ml、0.08μg/ml、0.20μg/ml、0.40μg/ml、及び0.80μg/mlのFe濃度に相当する。
3. 濾過助剤試料:25mlの濾過助剤試料を、試料ごとにラベルを付けた試験管中にピペットで入れる。
4. およそ25mgの粉末化されたL-アスコルビン酸(C、ACSグレード認証済)をそれぞれの試験管(すなわち、ブランク、較正標準、及び濾過助剤試料)に添加し、5秒間~15秒間にわたりよく混ぜる(Thermolyne社製ミキサー又は相当品)。
5. 1.0mlのFerroZine(商標)試薬をそれぞれの試験管に添加し、よく混ぜる。それらの試験管を発色のために15分間にわたり静置させる。
6. それぞれの溶液を清浄な丸型キュベット(直径1インチ)中に移し、該キュベットを分光光度計のキュベットアダプター中に差し込む。キュベットにあるマークが試料ホルダーにあるマークを指すように該キュベットの位置合わせをする。
7. 較正標準と同様であるが、Fe標準溶液を添加せずに調製されたクエン酸/エタノールブランクで吸光度を0.000に調節する。
8. 低い方から始めて高い方へと連続的にFe較正標準を測定し、吸光度を同じキュベット及び同じキュベット位置で測定する。キュベットはそれぞれの測定後にすすぐ。各測定値を記録する。
9. 濾過助剤試料の吸光度を測定する。
10. Fe濃度を吸光度に対してプロットし、較正曲線から濾過助剤試料のFe濃度を測定する。あるいは標準データに対して線形回帰を行い、回帰方程式:Fe(mg/kg)=(濾液のFe濃度(ppm)×100)/試料の重さ(g)に従って結果を計算する。
【0102】
実施例4
以下は、濾過助剤試料(例えば、珪藻岩材料又は珪藻岩材料の混合物)中の可溶性アルミニウムの量を測定するための手順を説明するものである。
【0103】
100ml容のメスフラスコ中で2mlの硝酸を約50mlの脱イオン水中にピペットで入れた後に、10.0mlのAl参照標準溶液(1000ppm、Fisher社認証済、又は相当品)をピペットで入れ、100mlの目盛りに希釈する(1ml=100μgのAl)ことによりアルミニウム標準溶液(10ppm及び100ppm)を調製する。
【0104】
0.35gの硝酸マグネシウム六水和物(Mg(NO・6HO)を100mlの脱イオン水中に溶かし、0.2mlのTriton(商標)X-100を添加し、ゆっくりとかき回して混ぜることによりマトリックスモディファイヤを調製する。
【0105】
1000ml容のメスフラスコ中で4.6gのクエン酸一水和物をおよそ500mlの脱イオン水中に溶かした後に、200mlのエチルアルコール(約95%)を添加することにより、クエン酸/エタノール溶液を調製する。かき回して混ぜる。10.5mlの2.0NのNaOH溶液を添加する。その溶液を、脱イオン水で1000mlの目盛りまで希釈する。
【0106】
1.00グラムの濾過助剤試料と100mlの上記クエン酸/エタノール溶液とを500ml容の三角フラスコ中で合することにより、濾過助剤試料をクエン酸/エタノール溶液で抽出する。そのフラスコに蓋をし、かき回して混ぜる。そのフラスコをプラットフォームシェーカー(INNOVA 2000又は相当品)上に設置し、250rpmで2時間にわたり振盪する。2時間が経過したら、そのスラリーを0.45μm孔径のメンブレンフィルタ(Fisher社ブランドの吸引フィルターホルダー、焼結ガラスサポート付き、350ml容量、前置フィルターサイズ35mm、又は相当品)を通じて濾過する。その三角フラスコを脱イオン水ですすぎ、濾液をそのフラスコに移し、蓋をする。
【0107】
各々の試料採取後に上記フィルターホルダー及び上記フラスコを脱イオン水で入念にすすぐ。約200mlのブランクのクエン酸/エタノール溶液を、ブランクとして使用するために、そして必要であれば試料の希釈に使用するために同様にして濾過する。
【0108】
Al測定
1. 較正標準:10本の較正済みの目盛り付き試験管に、それぞれ0ppm、10ppm、25ppm、50ppm、100ppm、200ppm、300ppm、400ppm、600ppm、及び800ppmとラベルを付ける。10μl、25μl、50μl、100μl、200μl、300μl、400μl、600μl、及び800μlの10ppmのAl標準溶液をそれらの試験管のうち9本中にピペットで入れる。ブランクのクエン酸/エタノール溶液を各々の試験管に10mlの目盛りまで添加して、Al較正標準として用いる。ブランクとしての10本目の試験管に10mlのブランクのクエン酸/エタノール溶液を添加する。
2. 10本の清浄な使い捨てポリスチレン試験管を、Alをスパイクした9種のクエン酸/エタノール較正標準及びブランクのためにラベルし、各々の濾過助剤試料のために1本の試験管をラベルする。
3. 1.00mlのブランクと各々の較正標準と濾過助剤試料とをそれぞれのラベルが付けられた試験管にピペットで入れる。1.00mlのマトリックスモディファイヤを各々の試験管中に添加し、蓋をする。内容物が完全に混ざるように各々の試験管をゆっくりと反転させる。
4. アルミニウム中空陰極ランプを黒鉛炉原子吸光分光計(以下の表9における装置パラメータを参照)に取り付ける。該分光計及びD2バックグラウンド補正装置の電源を入れる。
5. 最低吸光度が達成されるように波長を約309.4nmに調節する。上記中空陰極ランプのX軸及びY軸制御を調整して、中空陰極ランプを軸方向に移動させて、ランプの位置を最適化する。最低吸光度計測値が出るようにランプ電流及びPMT出力を最適化したら(約0.000のABS計測値に調整)、BGCスイッチを入れ、ABS計測値がゼロに戻るようにバランスコントロールノブを調整する(注記:D2バックグラウンド補正装置が使用される場合には、ビームスプリッタは所定の位置にある必要がある)。
6. 少なくとも15分間にわたり暖機させる。吸光度計測値がゼロに戻るように波長、PMT出力、及びBGCバランスコントロールを再調整する必要がある場合がある。
7. アルゴンガス供給及び冷却水を始動させる。
8. 積分器をオンにする。適切な積分パラメータを設定する。スペクトル分析においてはピーク面積を使用すべきであることが推奨される。
9. どの測定の前にも、炉の清浄化のために数回の注入及び燃焼のサイクルを行うべきである。この作業において使用される清浄化溶液は、脱イオン水及びマトリックスモディファイヤ(1:1)で作ることができる。20μlのその清浄化溶液を炉管中のL'vovプラットフォーム上に注入する。「START」ボタンを押すことにより原子化サイクルを開始する。炉が最低のバックグラウンド吸光に達するためには、そのような清浄化操作が数回必要となる場合がある。
10. 20μlのクエン酸/エタノールのブランクを注入し、表9に従ってプログラムされた原子化サイクルを開始する。
11. 工程10を、Al較正標準のそれぞれを低濃度から高濃度にまで連続的に注入することにより繰り返した後に、各々の未知の試料を注入する。各々の標準及び試料で3回の注入が行われるべきである。各スペクトルを記録する。
12. 試料が最高の作業標準のピーク面積よりも高いピーク面積を示す場合に、その試料は、測定の前にブランクのクエン酸エタノールで希釈すべきである。最高精度のために、希釈された試料のピーク面積は、最高の標準よりも低いべきである。
13. そのピーク面積データを使用して、Al濃度を吸光度に対してプロットし、較正曲線から未知の試料のAl濃度を求める。あるいは標準データに対して線形回帰を行い、回帰方程式:Al(ppm)=(C×D.F.×0.1)/試料の重さ(g)(式中、Cは較正曲線からのAl濃度読取値(ppb)であり、D.F.は希釈率である)に従って結果を計算する。
【0109】
【表9】
【0110】
実施例5
実施例2からの粗大な珪藻岩(DE2)の幾つかの試料をシュウ酸で処理した。それぞれの場合に、75.5kgの珪藻岩を、757Lの85℃に予熱されたシュウ酸の0.5N溶液に添加して、スラリーを作った。該スラリーを85℃で2時間にわたり適度にかき混ぜ、その後に吸引濾過により濾過した。酸処理の後に、各々の濾過された固体を、pH調整のために表9にまとめられるように水酸化アンモニウム(0.1%、0.02%又は0.01%)又は過炭酸ナトリウム(1%、0.5%、0.2%又は0.1%)中に再懸濁した。次いで酸処理された珪藻岩試料を再び濾過し、脱イオン水で5、6回すすいだ。
【0111】
可溶性鉄含量は、実施例3で先に記載したようにクエン酸/エタノール溶液での抽出により測定した。得られたpH及び可溶性鉄含量を表10に示す。酸処理されたDE2試料C、D及びGの化学組成は、表11に約1.3%のバルク鉄(Fe)濃度、約5%のアルミニウム(Al)濃度、及び約91%のシリカ(SiO)濃度で示される。
【0112】
【表10】
【0113】
【表11】
【0114】
表10での結果は、水酸化アンモニウム及び過炭酸ナトリウムの両者が、pHを約5~8の範囲に調整したことを示している。しかしながら、0.1%の過炭酸ナトリウムですすぐと(試料G)pH及びクエン酸/エタノール可溶性鉄の値は所望の範囲で生じた。より高い濃度の過炭酸ナトリウム(0.2%、0.5%及び1%)は、八面体形錯体中に鉄を固定化し、水によるすすぎを切り抜けて、後続のクエン酸/エタノール抽出において可溶性形で現れ得るシュウ酸第二鉄ナトリウムの形成の可能性を高めることができる。
【0115】
実施例6
粗大な珪藻岩の幾つかの試料(DE2)及び微細な珪藻岩の1つの試料(DE1)を、実施例5で先に記載したように0.5Nのシュウ酸で処理し、0.1%の過炭酸ナトリウムですすいだ。可溶性鉄含量を先の実施例3に記載されるように測定した。可溶性アルミニウム含量を先の実施例4に記載されるように測定した。結果を表11に示す。
【0116】
【表12】
【0117】
本発明の他の実施形態は、本明細書の考察及び本明細書に開示される本発明の実施から当業者に明らかとなる。本明細書及び実施例は単なる例示とみなされることが意図されるものであり、本発明の真の範囲及び趣旨は添付の特許請求の範囲により示される。
図1
図2