(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】住宅用太陽光発電システムおよびその敷設方法
(51)【国際特許分類】
E04D 13/18 20180101AFI20230810BHJP
H02S 20/23 20140101ALI20230810BHJP
E04D 3/35 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
E04D13/18 ETD
H02S20/23 A
E04D3/35 Q
(21)【出願番号】P 2019073289
(22)【出願日】2019-04-08
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 慎介
(72)【発明者】
【氏名】大越 泰
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-182264(JP,A)
【文献】特開2019-167706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 1/00- 3/40
E04D 13/00-15/07
F24S 20/67-20/69
H02S 10/00-10/40
H02S 20/23-20/25
H02S 30/00-99/00
H10K 30/00
H10K 30/50-30/57
H10K 39/00-39/18
H01L 31/04-31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1枚の建材一体型である太陽電池モジュールを含む住宅用太陽光発電システムであって、
前記太陽電池モジュールとルーフィングとの間に、前記太陽電池モジュールとは別部材であり、かつ前記太陽電池モジュールとは離隔して配置される防火用不燃板を備えており、
前記防火用不燃板は、前記太陽電池モジュールの配置領域を全面的に覆うように前記太陽電池モジュールと前記ルーフィングとの間に介在し、
前記太陽電池モジュールと前記防火用不燃板との間に、前記太陽電池モジュールから引き出される
ケーブルおよびコネクタを含むケーブル部材が配置されていることを特徴とする住宅用太陽光発電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の住宅用太陽光発電システムであって、
前記防火用不燃板が、前記ルーフィングから離隔して配置されることを特徴とする住宅用太陽光発電システム。
【請求項3】
請求項2に記載の住宅用太陽光発電システムであって、
前記太陽電池モジュールの棟側端部は、後固定部材を介して屋根に取り付けられるものであり、
前記防火用不燃板の軒側端部は、前記後固定部材上に載置されることで前記ルーフィングから離隔されていることを特徴とする住宅用太陽光発電システム。
【請求項4】
請求項2に記載の住宅用太陽光発電システムであって、
前記太陽電池モジュールの棟側端部は、後固定部材を介して屋根に取り付けられるものであり、
前記防火用不燃板は、前記後固定部材と一体的に構成されていることを特徴とする住宅用太陽光発電システム。
【請求項5】
少なくとも1枚の建材一体型である太陽電池モジュールを含む住宅用太陽光発電システムであって、
前記太陽電池モジュールの棟側端部は、後固定部材を介して屋根に取り付けられるものであり、
前記後固定部材は、前記太陽電池モジュールから引き出されるケーブル部材が載置される保持トレイ部を有しており、
前記太陽電池モジュールとルーフィングとの間に、前記太陽電池モジュールとは別部材である防火用不燃板を備えており、
前記後固定部材、前記保持トレイ部および前記防火用不燃板は、前記太陽電池モジュールの配置領域を全面的に覆うように前記太陽電池モジュールと前記ルーフィングとの間に介在し、
前記防火用不燃板の軒側端部は、前記後固定部材上に載置されていることを特徴とする住宅用太陽光発電システム。
【請求項6】
少なくとも1枚の建材一体型である太陽電池モジュールを含む住宅用太陽光発電システムの敷設方法であって、
前記太陽電池モジュールの棟側端部は、後固定部材を介して屋根に取り付けられるものであり、
前記太陽電池モジュールとは別部材であり、かつ前記太陽電池モジュールとは離隔して配置される防火用不燃板をルーフィング上に載置する第1工程と、
前記第1工程で載置された前記防火用不燃板の上に、前記太陽電池モジュールを前記後固定部材と共に載置し、前記防火用不燃板の
棟側端部と前記後固定部材とを木ネジにて屋根に共締めして固定する第2工程とを含むことを特徴とする住宅用太陽光発電システムの敷設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建材一体型である太陽電池モジュールを用いた住宅用太陽光発電システムおよびその敷設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅用太陽光発電システムは、家屋の屋根に太陽電池モジュールを架台や設置金具等を用いて設置することで形成されるものである。住宅用太陽光発電システムで使用される太陽電池モジュールとして、建材一体型である(屋根材に太陽電池モジュールが組み込まれている)太陽電池モジュールが普及している(例えば特許文献1,2)。一般的な住宅の屋根は、垂木、野地板(屋根下地)およびルーフィング(防水シート)といった部材の上に、瓦やスレート等の屋根材を載せる構造となっている。建材一体型の太陽電池モジュールは、ルーフィングの上に瓦を葺くようにして設置できるものである。
【0003】
太陽電池モジュールとしては、大きく分類して「屋根置き型」「鋼板等敷設型」、「鋼板等付帯型」および「鋼板等なし型」の4つのタイプがある。うち、「鋼板等敷設型」、「鋼板等付帯型」および「鋼板等なし型」の3つが、建材一体型の太陽電池モジュールに相当する。
【0004】
「鋼板等敷設型」の瓦型太陽電池モジュールは、モジュール直下のルーフィング表面に、鋼板等の不燃材料を敷設し、その上にモジュールを設置するものである。「鋼板等付帯型」の瓦型太陽電池モジュールは、モジュールの裏面に鋼板等の不燃材料を付帯し、鋼板等が付帯されたモジュールをルーフィングの上に直接設置するものである。「鋼板等なし型」の瓦型太陽電池モジュールは、モジュールの裏面に鋼板等が付帯されていないモジュールをルーフィングの上に直接設置するものである。
【0005】
2019年1月28日に消費者安全調査委員会より調査報告書(非特許文献1)が公表された。非特許文献1では、「鋼板等なし型」の太陽電池モジュールについて、モジュールが発火したと推定した場合にモジュールから屋根(野地板)への延焼プロセスが実験により確認された例が報告されており、このような延焼を防ぐための防火対策の必要性が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-147286号公報
【文献】特開2013-249582号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】消費者安全調査委員会「消費者安全法第23条第1項の規定に基づく自己等原因調査報告書/住宅用太陽光発電システムから発生した火災事故等」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
建材一体型の太陽電池モジュール、もしくはモジュールから引き出されるケーブルから万一発火した場合、火元が屋根と近接していることから大きな被害に繋がるリスクがある。「鋼板等なし型」の太陽電池モジュールは、野地板またはルーフィングへの延焼の可能性があることから、非特許文献1でも提言されているように安全性を向上させることが重要である。
【0009】
また、「鋼板等付帯型」の瓦型太陽電池モジュールでは、ケーブルが屋根のルーフィング上に直接設置されている。このため、非特許文献1では、「鋼板等付帯型」の瓦型太陽電池モジュールにおいても、ケーブルが発火した場合には屋根への延焼のリスクがあることが記載されている。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、モジュールもしくはケーブルから万一発火した場合の屋根への延焼を防止できる住宅用太陽光発電システムおよびその敷設方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様である住宅用太陽光発電システムは、少なくとも1枚の建材一体型である太陽電池モジュールを含む住宅用太陽光発電システムであって、前記太陽電池モジュールとルーフィングとの間に、前記太陽電池モジュールとは別部材であり、かつ前記太陽電池モジュールとは離隔して配置される防火用不燃板を備えており、前記太陽電池モジュールと前記防火用不燃板との間に、前記太陽電池モジュールから引き出されるケーブル部材が配置されていることを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、太陽電池モジュールの下方に防火用不燃板が配置されており、この防火用不燃板は太陽電池モジュールとは別部材であり、かつ太陽電池モジュールとは離隔されている。防火用不燃板の上にはケーブル部材も配置されるため、太陽電池モジュールが「鋼板等なし型」である場合に、モジュールやケーブル部材から発火が生じても、防火用不燃板によって屋根への延焼が防止され、防火性能の高い住宅用太陽光発電システムとすることができる。また、太陽電池モジュールが「鋼板等付帯型」である場合にも、ケーブル部材から発火したときの屋根への延焼が防止できる。
【0013】
また、上記住宅用太陽光発電システムでは、前記防火用不燃板が、前記ルーフィングから離隔して配置される構成とすることができる。
【0014】
上記の構成によれば、防火用不燃板がルーフィングから離隔して配置されているため、防火用不燃板がルーフィング上の水の流れを阻害することがない。また、防火用不燃板がルーフィングと接触している場合に比べて放熱性が良くなり、万一発火した場合の安全性を高めることが期待できる。
【0015】
また、上記住宅用太陽光発電システムでは、前記太陽電池モジュールの棟側端部は、後固定部材を介して屋根に取り付けられるものであり、前記防火用不燃板の軒側端部は、前記後固定部材上に載置されることで前記ルーフィングから離隔されている構成とすることができる。
【0016】
上記の構成によれば、防火用不燃板をルーフィングから容易に離隔させることができる。
【0017】
また、上記住宅用太陽光発電システムでは、前記太陽電池モジュールの棟側端部は、後固定部材を介して屋根に取り付けられるものであり、前記防火用不燃板は、前記後固定部材と一体的に構成されている構成とすることができる。
【0018】
上記の構成によれば、住宅用太陽光発電システムにおける部材点数の削減を図ることができる。
【0019】
また、本発明の第2の態様である住宅用太陽光発電システムは、少なくとも1枚の建材一体型である太陽電池モジュールを含む住宅用太陽光発電システムであって、前記太陽電池モジュールの棟側端部は、後固定部材を介して屋根に取り付けられるものであり、前記後固定部材は、前記太陽電池モジュールから引き出されるケーブル部材が載置される保持トレイ部を有しており、前記太陽電池モジュールとルーフィングとの間に、前記太陽電池モジュールとは別部材である防火用不燃板を備えており、前記防火用不燃板の軒側端部は、前記後固定部材上に載置されていることを特徴としている。
【0020】
上記の構成によれば、保持トレイ部の上にケーブル部材が載置されるため、太陽電池モジュールが「鋼板等なし型」や「鋼板等付帯型」である場合に、ケーブル部材から発火が生じても、保持トレイ部によって屋根への延焼が防止され、防火性能の高い住宅用太陽光発電システムとすることができる。さらに、太陽電池モジュールが「鋼板等なし型」である場合に、モジュール部材から発火が生じても、防火用不燃板によって屋根への延焼が防止され、防火性能の高い住宅用太陽光発電システムとすることができる。
【0021】
また、本発明の第3の態様である住宅用太陽光発電システムの敷設方法は、少なくとも1枚の建材一体型である太陽電池モジュールを含む住宅用太陽光発電システムの敷設方法であって、前記太陽電池モジュールの棟側端部は、後固定部材を介して屋根に取り付けられるものであり、前記太陽電池モジュールとルーフィングとの間に、前記太陽電池モジュールとは別部材であり、かつ前記太陽電池モジュールとは離隔して配置される防火用不燃板をルーフィング上に載置する第1工程と、前記第1工程で載置された前記防火用不燃板の上に、前記太陽電池モジュールを前記後固定部材と共に載置し、前記防火用不燃板の軒側端部と前記後固定部材とを木ネジにて屋根に共締めして固定する第2工程とを含むことを特徴としている。
【0022】
上記の構成によれば、防火用不燃板は太陽電池モジュールの設置前に屋根上に載置するだけでよく、敷設工程の大幅な増加を招くことなく、防火性能の高い住宅用太陽光発電システムを敷設することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の住宅用太陽光発電システムおよびその敷設方法は、防火用不燃板もしくは保持トレイ部によって、モジュールもしくはケーブルから発火した場合の屋根への延焼を防止でき、防火性能の高い住宅用太陽光発電システムを提供できるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の住宅用太陽光発電システムに使用される太陽電池モジュールの概略構成を示す平面図である。
【
図2】
図1の太陽電池モジュールの軒側および棟側の端部を含む断面図である。
【
図3】実施の形態1に係る住宅用太陽光発電システムの敷設作業の途中状態を説明する断面図である。
【
図4】実施の形態1に係る住宅用太陽光発電システムで使用される軒用不燃板の平面図および断面図である。
【
図5】実施の形態1に係る住宅用太陽光発電システムの敷設作業の途中状態を説明する断面図である。
【
図6】実施の形態1に係る住宅用太陽光発電システムで使用される後固定部材を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA-A断面図である。
【
図7】実施の形態1に係る住宅用太陽光発電システムの敷設作業の途中状態を説明する断面図である。
【
図8】実施の形態1に係る住宅用太陽光発電システムで使用される一般用不燃板の平面図および断面図である。
【
図9】実施の形態1に係る住宅用太陽光発電システムの敷設作業の途中状態を説明する断面図である。
【
図10】実施の形態1に係る住宅用太陽光発電システムの敷設作業の途中状態を説明する断面図である。
【
図11】太陽電池モジュールと防火用不燃板との重なり具合を示す平面図である。
【
図12】実施の形態1に係る住宅用太陽光発電システムの敷設作業の途中状態を説明する断面図である。
【
図13】実施の形態1に係る住宅用太陽光発電システムの敷設作業の途中状態を説明する断面図である。
【
図14】実施の形態2に係る住宅用太陽光発電システムの一構成例を示す断面図である。
【
図15】実施の形態3に係る住宅用太陽光発電システムの一構成例を示す断面図である。
【
図16】実施の形態4に係る住宅用太陽光発電システムの一構成例を示す断面図である。
【
図17】実施の形態4に係る住宅用太陽光発電システムの一構成例を示す断面図である。
【
図18】実施の形態4に係る住宅用太陽光発電システムの一構成例を示す断面図である。
【
図19】実施の形態4に係る住宅用太陽光発電システムの一構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
<太陽電池モジュールの構成>
まずは、本発明の住宅用太陽光発電システムに使用される太陽電池モジュール1の基本構成を
図1および
図2を参照して説明する。太陽電池モジュール1は、ルーフィングの上に瓦を葺くようにして設置できる建材一体型の太陽電池モジュールである。また、太陽電池モジュール1は、ここでは「鋼板等なし型」の太陽電池モジュールとされている。太陽電池モジュール1自体は公知の構成であるため、以下に、太陽電池モジュール1の構成を簡単に説明する。
【0027】
図1は、太陽電池モジュール1の概略構成を示す平面図である。太陽電池モジュール1は、太陽光を光電変換する四角形状の太陽電池パネル2と、この太陽電池パネル2の周縁部に配置した枠3とで構成されている。枠3は、太陽電池モジュールの4辺のそれぞれに対して取り付けられる4本のモジュール枠によって構成される。太陽電池モジュール1では、屋根の水流れ方向に沿って対向する2辺において、軒側に取り付けられる前枠31と棟側に取り付けられる後枠32とが異なる形状となっている。
【0028】
太陽電池パネル2は、例えば1枚のガラス板と保護層(バックシート)の間に太陽電池セルを挟み込んで封止したものである。あるいは、2枚のガラス板の間に、透明電極膜、光電変換層(半導体層)、および裏面電極膜を順次積層してなる太陽電池セルを挟み込んで、各ガラス板の端部を封止したものでもよい。この太陽電池パネル2についてより詳細に説明すれば、透光性基板であるガラス基板に透明電極と、半導体層からなる光電変換層と、裏面電極層とをこの順に積層して、太陽電池セルを形成し、裏面電極層側に保護板である透光性のガラス基板を貼り合わせて、各ガラス基板間を封止した構成である。
【0029】
図2は、太陽電池モジュール1の軒側および棟側の端部を含む断面図である。前枠31および後枠32は、例えばアルミ材からなり、長手方向に垂直な断面の形状は、基本的には何れの箇所でも同一形状となっている。尚、
図2に示す前枠31および後枠32の断面構造は、あくまで一例であり、本発明はこの構造に限定されるものではない。
【0030】
前枠31の上端には、棟側が開口した断面略コ字形状のパネル前端保持部311が形成されている。パネル前端保持部311には、太陽電池パネル2の前端部が嵌入され保持される。パネル前端保持部311と太陽電池パネル2とは接着剤等によって接着されており、この接着により太陽電池パネル2に前枠31が固定される。前枠31の下端には、棟側に向かってほぼ水平に延びる第1係合部312が形成されている。
【0031】
後枠32の前面側上端には、軒側が開口した断面略コ字形状のパネル後端保持部321が形成されている。パネル後端保持部321には、太陽電池パネル2の後端部が嵌入され保持される。パネル後端保持部321と太陽電池パネル2とは接着剤等によって接着されており、この接着により太陽電池パネル2に後枠32が固定される。
【0032】
後枠32の上面32aには、上面32aから上方に立設され、さらに軒側に向かって屈曲して形成された断面略L字形状の第2係合部322が形成されている。後枠32の下面32bには、下面32bから下方に立設され、さらに軒側に向かって屈曲して形成された断面略L字形状の第3係合部323が形成されている。
【0033】
また、太陽電池モジュール1の裏面には、前枠31と後枠32とを接続して補強するための補強バー33が設けられていてもよい。補強バー33は、前端側が前枠31に接続され、後端側が後枠32に接続されることによって、前枠31および後枠32が太陽電池パネル2から外れることを防止するものである。
【0034】
続いて、本実施の形態1に係る住宅用太陽光発電システムの構造および敷設手順、すなわち、太陽電池モジュール1の屋根取付構造および設置手順を、
図3ないし
図9を参照して説明する。
【0035】
本実施の形態に係る住宅用太陽光発電システムは、複数枚の太陽電池モジュール1を勾配屋根の水流れ方向Aに沿って瓦を葺くようにして設置可能となっている。また、太陽電池モジュール1は、水流れ方向Aだけでなく、水平方向(水流れ方向Aと直交する方向)に沿っても複数並べてアレイ状に配置される。このように水平方向に並べられる太陽電池モジュール1同士も枠3によって接続されるが、この接続構造は周知の構造を利用可能であるため、ここでは詳細な説明を省略する。尚、本発明の住宅用太陽光発電システムは、複数枚の太陽電池モジュール1をアレイ状に配置する構成に限定されるものではなく、少なくとも1枚の太陽電池モジュール1を含んで構成されるものであればよい。
【0036】
複数枚の太陽電池モジュール1を水流れ方向Aに沿って設置するときには、軒側から棟側に向かって順に設置される。このため、以下の説明では、住宅用太陽光発電システムにおいて最も軒側に設置される太陽電池モジュール1を1列目とし、棟側に向かって2列目、3列目…と数えるものとする。
【0037】
住宅用太陽光発電システムが敷設される屋根は、野地板6の上にルーフィング7が敷かれ、ルーフィング7の上に瓦5や太陽電池モジュール1を引っ掛けるための桟木8が所定間隔で配置されている。
【0038】
住宅用太陽光発電システムの敷設作業の第1段階では、
図3に示すように、屋根の最も軒側に瓦5が取り付けられる。具体的には、瓦5の後端が桟木8に引っ掛けられ、桟木8に木ねじ等により固定される。このとき、瓦5の上面5aの後端部分には、前固定金具91が載置され、前固定金具91は木ねじ等により瓦5と共締めされる。瓦5と共締めされた前固定金具91は、瓦5の上面5aとの間に軒側が開放された隙間を形成し、この隙間に前枠31の第1係合部312を係合するようになっている。
【0039】
瓦5および前固定金具91が設置されると、同じく
図3に示すように、瓦5の棟側に軒用不燃板41が載置される。軒用不燃板41は、1列目の太陽電池モジュール1の下方に配置されるものであり、太陽電池モジュール1のモジュールやケーブルから発火したときに、屋根への延焼を防ぐためもの防火用不燃板である。軒用不燃板41は、不燃性であればその材料は特に限定されるものではないが、鋼板等が好適に使用できる。
【0040】
図4は、軒用不燃板41の平面図および断面図である。軒用不燃板41の前端(軒側端部)には、上方に立設され、さらに軒側に向かって屈曲して形成された断面略L字形状の屈曲部411が形成されている。軒用不燃板41の後端(棟側端部)には、上方に凸形状であり、断面略コ字形状の凸部412が形成されている。凸部412のさらに後方(棟側)には、平板部413が繋がって形成されている。また、軒用不燃板41には、軒用不燃板41上を流れる雨水等を排水する排水溝や排水孔が適宜設けられていてもよい。
【0041】
軒用不燃板41は、屈曲部411を瓦5の後端に載せ、凸部412を桟木8に載せるように載置される。こうして載置された軒用不燃板41は、ルーフィング7との間にある程度の空間を設けて(すなわち、ルーフィング7と離隔して)設置することが可能となっている。さらに、凸部412が桟木8に引っ掛かることにより、施工途中に軒用不燃板41が勾配屋根において重力により滑り落ちることを防止して施工性を向上させる効果もある。
【0042】
軒用不燃板41とルーフィング7との離隔距離は、例えば1~14mmである。また、離隔距離を3mm以上とすることでよりルーフィング7上を水が流れやすくなり、ルーフィング7と接触している場合よりも発火時の安全性を高めることもできる。また、一般的な桟木8の高さは15mm程度であるため、離隔距離を10mm以下とすることで、より凸部412が桟木8に引っ掛かりやすくなる。
【0043】
軒用不燃板41が載置されると、
図5に示すように、その上に1列目の太陽電池モジュール1が設置される。このとき、1列目の太陽電池モジュール1から引き出されるケーブル11やコネクタ12も、軒用不燃板41の上に載置される。尚、ここでは、ケーブル11やコネクタ12が特許請求の範囲に記載のケーブル部材に相当する。
【0044】
1列目の太陽電池モジュール1の設置には後固定金具92が使用される。
図6は、後固定金具92を示す図であり、(a)が平面図、(b)が(a)のA-A断面図である。
【0045】
後固定金具92の前端(軒側端部)には、上方に立設され、さらに棟側に向かって屈曲して形成された断面略L字形状の第4係合部921が形成されている。尚、第4係合部921には、
図6(a)に示すように、複数の切欠きが形成されていてもよい。後固定金具92の後端(棟側端部)には、下方に立設した係合片922が形成されている。係合片922は、後固定金具92の後端に複数のスリット状の切込みを入れ、この切込みに挟まれた箇所を下方に折り曲げることによって形成される。
【0046】
太陽電池モジュール1の設置の前段階として、
図5に示すように、太陽電池モジュール1に後固定金具92が取り付けられる。具体的には、後枠32の第3係合部323に後固定金具92の第4係合部921を係合させることによって、太陽電池モジュール1に後固定金具92が取り付けられる。
【0047】
後固定金具92が取り付けられた太陽電池モジュール1は、前枠31の第1係合部312を前固定金具91に係合させ、かつ、後固定金具92を桟木8に載せるようにして配置される。このとき、後固定金具92の係合片922は桟木8の棟側に位置し、配置された太陽電池モジュール1が重力によって滑り落ちることを防止する。配置された太陽電池モジュール1は、後固定金具92を先に載置されていた軒用不燃板41と共に、木ねじ等により桟木8に共締めすることで設置(固定)される。このため、軒用不燃板41には複数のねじ穴414が所定間隔で形成されており(
図4参照)、後固定金具92には複数のねじ穴923が所定間隔で形成されている(
図6参照)。
【0048】
1列目の太陽電池モジュール1が設置されると、
図7に示すように、1列目の太陽電池モジュール1の棟側に一般用不燃板42が載置される。一般用不燃板42は、2列目以降の太陽電池モジュール1の下方に配置されるものであり、太陽電池モジュール1のモジュールやケーブルから発火したときに、屋根への延焼を防ぐための防火用不燃板である。一般用不燃板42は、軒用不燃板41と同様に、不燃性であればその材料は特に限定されるものではないが、鋼板等が好適に使用できる。
【0049】
図8は、一般用不燃板42の平面図および断面図である。一般用不燃板42の後端(棟側端部)には、上方に凸形状であり、断面略コ字形状の凸部421が形成されている。凸部421のさらに後方(棟側)には、平板部422が繋がって形成されている。また、一般用不燃板42においても、一般用不燃板42上を流れる雨水等を排水する排水溝や排水孔が適宜設けられていてもよい。また、一般用不燃板42においても、複数のねじ穴423が所定間隔で形成されている。
【0050】
一般用不燃板42は、その前端(軒側端部)を軒用不燃板41の平板部413に載せ、凸部421を桟木8に載せるように載置される。こうして載置された一般用不燃板42は、ルーフィング7との間にある程度の空間を設けて設置することが可能となっている。さらに、凸部421が桟木8に引っ掛かることにより、施工途中に一般用不燃板42が勾配屋根において重力により滑り落ちることを防止して施工性を向上させる効果もある。
【0051】
一般用不燃板42とルーフィング7との離隔距離は、例えば1~14mmである。また、離隔距離を3mm以上とすることでよりルーフィング7上を水が流れやすくなり、ルーフィング7と接触している場合よりも発火時の安全性を高めることもできる。また、一般的な桟木8の高さは15mm程度であるため、離隔距離を10mm以下とすることで、より凸部421が桟木8に引っ掛かりやすくなる。
【0052】
一般用不燃板42が載置されると、
図9に示すように、その上に2列目の太陽電池モジュール1が設置される。尚、太陽電池モジュールから引き出されるケーブルやコネクタは、当該モジュールの下側(裏側)に配置されることもあれば、モジュール棟側に引き上げられる(つまり当該モジュールの下側には配置されない)場合もある。このとき、ケーブル11やコネクタ12が太陽電池モジュール1の下側(裏側)に配置されるものであれば、2列目の太陽電池モジュール1から引き出されるケーブル11やコネクタ12も、一般用不燃板42の上に載置することができる。
【0053】
また、ケーブル11やコネクタ12が太陽電池モジュール1の下側(裏側)に配置されるものであっても、ケーブル11やコネクタ12が一般用不燃板42の上に載置される構成には限定されない。例えば、ケーブル11やコネクタ12が何らかの部材を用いて太陽電池パネル2の裏面に貼り付けられるなどして、太陽電池モジュール1と防火用不燃板との間に配置される構成であってもよい。このような構成であっても、ケーブル11およびコネクタ12と屋根との間に一般用不燃板42が存在することに変わりはない。
【0054】
2列目の太陽電池モジュール1の設置方法は、1列目の太陽電池モジュール1と概ね同じであるが、前枠31の第1係合部312を1列目の太陽電池モジュール1の後枠32の第2係合部322に係合させる点のみ異なっている。3列目以降の太陽電池モジュール1は、2列目の太陽電池モジュール1と同様の方法で設置される。また、最終列(最も棟側)の太陽電池モジュール1のさらに棟側には、
図10に示すように、瓦5が設置されてもよい。
【0055】
以上のように、本実施の形態1に係る住宅用太陽光発電システムでは、太陽電池モジュール1の下方に防火用不燃板である軒用不燃板41または一般用不燃板42が配置されており、これらの防火用不燃板は太陽電池モジュール1とは別部材であり、かつ太陽電池モジュール1とは離隔されている。そして、これらの防火用不燃板の上にはケーブル11やコネクタ12も載置できるようになっている。
図11は、太陽電池モジュール1と防火用不燃板との重なり具合を示す平面図である。尚、
図11では、防火用不燃板(ここでは一般用不燃板42)を斜線ハッチングにて示している。
図11に示すように、これらの防火用不燃板は、太陽電池モジュール1の配置領域を全面的に覆うようにして太陽電池モジュール1と屋根との間に介在する。
【0056】
このため、太陽電池モジュール1が「鋼板等なし型」である場合に、モジュールやケーブルから発火が生じても、防火用不燃板によって屋根への延焼が防止され、防火性能の高い住宅用太陽光発電システムとすることができる。尚、ケーブル11やコネクタ12は、必ずしも防火用不燃板の上に載置されていなくてもよく、太陽電池モジュール1と防火用不燃板との間に配置されていればよい。この場合でも、上記と同様の効果を得ることができる。
【0057】
尚、本発明においては、太陽電池モジュール1は「鋼板等なし型」に限定されるものではない。すなわち、太陽電池モジュール1が「鋼板等付帯型」である場合にも、ケーブルから発火したときの屋根への延焼が防止され、本発明の適用が有効である。
【0058】
また、軒用不燃板41および一般用不燃板42は、防火用不燃板である軒用不燃板41および一般用不燃板42上の水を排水し、これらの防火用不燃板の上に水が溜まることを防止するための排水溝(または排水孔)を有していることが望ましい。すなわち、防火用不燃板上の水は水流れ方向Aに沿って流れ、当該防火用不燃板に設けられた排水溝から、もしくは、その軒側に設置された他の防火用不燃板の排水溝から排水される構成とすることができる。さらに、これらの防火用不燃板は、ルーフィング7から離隔して配置されているため、ルーフィング7上の水の流れを阻害することはない。尚、これらの排水溝は、屋根の水平方向(水流れ方向Aと直交する方向)において、軒用不燃板41のねじ穴414や一般用不燃板42のねじ穴423の間に配置されることが好ましい。ねじ穴414やねじ穴423の箇所では、木ネジが野地板6にまで差し込まれているため、この箇所は防水的に最も弱くなっており、これらの排水溝はこれらのねじ孔からできるだけ離れて設けられていることが好ましい。
【0059】
尚、上記説明の住宅用太陽光発電システムでは、1列目の太陽電池モジュール1の軒側に通常の瓦5を設置した構成としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、
図12に示すように、屋根の最も軒側から1列目の太陽電池モジュール1を設置してもよい。この場合は、最初に前固定金具93と軒用不燃板43とを木ねじ等で屋根に共締めし、その後、1列目の太陽電池モジュール1を設置する。2列目以降の太陽電池モジュール1の設置方法を上述した説明と同じである。また、
図12では、軒用不燃板43を前固定金具93の下に配置し、軒用不燃板43および前固定金具93を屋根に共締めしているが、
図13に示すように、前固定金具93のみを屋根に木ねじ等で固定し、軒用不燃板43’を前固定金具93の上に載置する構成としてもよい。また、図示は省略するが、軒用不燃板43と前固定金具93とが一体化された部材を用いてもよい。
【0060】
また、住宅用太陽光発電システムにおいては、各太陽電池モジュール1に対してアース(接地)を取ることが必要となる。従来の住宅用太陽光発電システムでは、含まれている太陽電池モジュール間でアース接続を行っているが、本実施の形態1に係る住宅用太陽光発電システムでは、固定金具(前固定金具91,93や後固定金具92)や防火用不燃板(軒用不燃板41,43や一般用不燃板42)同士が接触しており、これらが連続して導通しているため、これらの固定金具や防火用不燃板をアース経路として利用することで、より確実なアースを得ることもできる。
【0061】
固定金具や防火用不燃板をアース経路として利用する場合は、他の部材との接触面の任意の箇所(好適には複数箇所)にアース用スパイク(突起)(
図4,8参照)を設ける構成としてもよい。このようなアース用スパイクを設けた箇所では接触する部材同士に圧接力が発生し、部材間の導通をより確実なものとすることができる。
【0062】
〔実施の形態2〕
上記実施の形態1では、前固定金具91と軒用不燃板41とを別々の部材として用い、後固定金具92と一般用不燃板42とを別々の部材として用いていたが、これらを一体の部材として使用し、部材点数を削減することも可能である。すなわち、防火用不燃板に前固定金具や後固定金具の機能を備えさせることも可能である。
【0063】
本実施の形態2に係る住宅用太陽光発電システムは、
図14に示すように、前固定金具の機能を備えた軒用不燃板44や、後固定金具の機能を備えた一般用不燃板45を使用している。
【0064】
軒用不燃板44は、1列目の太陽電池モジュール1の防火用不燃板として使用されると共に、1列目の太陽電池モジュール1の前固定金具として使用される。また、一般用不燃板45は、2列目以降の太陽電池モジュール1の防火用不燃板として使用されると共に、その軒側にある太陽電池モジュール1の後固定金具として使用される。
【0065】
但し、一般用不燃板45を後固定金具として使用するときは、その棟側にさらに太陽電池モジュール1が設置されることが前提となるため、一般用不燃板45は最終列の太陽電池モジュール1の後固定金具としては使用されない。最終列の太陽電池モジュール1の後固定金具には、実施の形態1で説明した後固定金具92が使用される。
【0066】
〔実施の形態3〕
上記実施の形態1では、太陽電池モジュール1から引き出されるケーブル11やコネクタ12を防火用不燃板である軒用不燃板41および一般用不燃板42の上に載置して保持する構成としている。これに対し、本実施の形態3では、ケーブル11やコネクタ12を保持する機能を前固定金具および後固定金具に持たせたものである。
【0067】
本実施の形態3に係る住宅用太陽光発電システムは、
図15に示すように、ケーブル11やコネクタ12を保持する機能を備えた前固定金具94および後固定金具95を使用している。具体的には、前固定金具94および後固定金具95は、桟木8にねじ止めされる部分のさらに棟側に保持トレイ(保持トレイ部)941および保持トレイ(保持トレイ部)951をそれぞれ備えている。ケーブル11およびコネクタ12は、保持トレイ941および保持トレイ951上に載置・保持される。
【0068】
また、本実施の形態3に係る住宅用太陽光発電システムでは、防火用不燃板として一般用不燃板46が使用される。一般用不燃板46は、その前端を保持トレイ941または保持トレイ951の後部壁に引っ掛けるようにして載置できるようになっている。尚、本実施の形態3においても、最終列の太陽電池モジュール1の後固定金具には、実施の形態1で説明した後固定金具92が使用される。
【0069】
本実施の形態3に係る住宅用太陽光発電システムでは、太陽電池モジュール1が「鋼板等なし型」である場合には一般用不燃板46を使用するが、太陽電池モジュール1が「鋼板等付帯型」である場合には一般用不燃板46を省略することができる。これは、「鋼板等付帯型」の太陽電池モジュール1では、ケーブル11やコネクタ12から発火したときの屋根への延焼を防止できればよく、その効果は前固定金具94および後固定金具95に設けられた保持トレイ941および保持トレイ951のみでも得られるためである。
【0070】
また、本実施の形態3に係る住宅用太陽光発電システムでは、防火用不燃板として一般用不燃板46の1種類のみの使用でよく、この場合はコスト面でのメリットもある。
【0071】
〔実施の形態4〕
上記実施の形態1~3では、住宅用太陽光発電システムが敷設される屋根に桟木8が設けられている場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、住宅用太陽光発電システムは桟木8が設けられていない屋根にも敷設可能である。この場合の住宅用太陽光発電システムの構成例を以下の
図16ないし
図19に示す。
【0072】
図16に示す住宅用太陽光発電システムは、太陽電池モジュール1、後固定金具96、保持トレイ板(保持トレイ部)97および一般用不燃板47を用いて構成されている。この住宅用太陽光発電システムの敷設手順としては、一般用不燃板47(の後端)、後固定金具96および保持トレイ板97を木ネジ等で野地板6およびルーフィング7に共締めして固定し、さらに棟側に次列の一般用不燃板47を載置する。一般用不燃板47の前端には段差部471が設けられており、この段差部471を保持トレイ板97の後端に引っ掛けることで固定前の一般用不燃板47の滑り落ちが防止できる。さらに、載置された次列の一般用不燃板47の上に次列の太陽電池モジュール1を設置する。これらの手順の繰り返しで、
図16に示す住宅用太陽光発電システムを敷設することができる。
【0073】
図17に示す住宅用太陽光発電システムは、太陽電池モジュール1、後固定金具98および一般用不燃板47を用いて構成されている。後固定金具98は、
図16に示す後固定金具96および保持トレイ板97を一体化した部材である。このため、
図17に示す住宅用太陽光発電システムの敷設手順は、
図16に示す住宅用太陽光発電システムと基本的に同じである。
【0074】
図18に示す住宅用太陽光発電システムは、太陽電池モジュール1および一般用不燃板48を用いて構成されている。また、
図18に示す住宅用太陽光発電システムは、太陽電池モジュール1および一般用不燃板49を用いて構成されている。一般用不燃板48および一般用不燃板49は、前列の太陽電池モジュール1に対する後固定金具の機能を持たせたものである。また、一般用不燃板48はほぼ全体でルーフィング7と接触するような配置とされているが、一般用不燃板49はねじ止めされる部分以外をルーフィング7から離隔して配置できるようになっている。
【0075】
これらの住宅用太陽光発電システムの敷設手順としては、一般用不燃板48または一般用不燃板49を木ネジ等で野地板6およびルーフィング7に固定し、その上に太陽電池モジュール1を設置する。これらの手順の繰り返しで、
図18または
図19に示す住宅用太陽光発電システムを敷設することができる。
【0076】
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0077】
1 太陽電池モジュール
11 ケーブル(ケーブル部材)
12 コネクタ(ケーブル部材)
2 太陽電池パネル
3 枠
31 前枠
32 後枠
41,43,44 軒用不燃板(防火用不燃板)
42,45,46,47,48,49 一般用不燃板(防火用不燃板)
5 瓦
6 野地板
7 ルーフィング
8 桟木
91,93,94 前固定金具
92,95,96,98 後固定金具
97 保持トレイ板(保持トレイ部)
941,951 保持トレイ(保持トレイ部)