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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-09
(45)【発行日】2023-08-18
(54)【発明の名称】自転車用携帯駐輪装置
(51)【国際特許分類】
   B62H 3/12 20060101AFI20230810BHJP
【FI】
B62H3/12
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019166939
(22)【出願日】2019-09-13
(65)【公開番号】P2021041876
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000250432
【氏名又は名称】理研軽金属工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】杉山 諒介
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-099123(JP,A)
【文献】実開平04-043171(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第109930348(CN,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0477432(KR,Y1)
【文献】特開2019-107952(JP,A)
【文献】実開昭57-130778(JP,U)
【文献】特開平11-147491(JP,A)
【文献】特開平08-085393(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0117288(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62H 3/12
A47G 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のサドルを引っ掛けて支持可能な支持部と、
前記支持部の左右に配置された脚部と、
を備え、
前記支持部は、上面が断面円弧状であり、全体が断面弾丸形状に形成され、長手方向に長尺な支持棒と、前記支持棒に係合され、前記支持棒の上面と同断面であり、前記支持棒とほぼ同じ長さの長尺な緩衝材とからなり、前記緩衝材は少なくとも前記支持棒の上面から前記支持棒と係合する位置までを覆い、前記緩衝材の内面には長手方向に凸部が形成され、前記凸部によって係合される前記支持棒と前記緩衝材間には空間を有し、前記緩衝材の外面は凹凸部が形成されていないことを特徴とする、自転車用駐輪装置。
【請求項2】
前記緩衝材の少なくとも一方の側面は、前記支持棒よりも突出していることを特徴とする、請求項1に記載の自転車用駐輪装置。
【請求項3】
長手方向において前記緩衝材を前記支持棒よりやや短く形成し、前記支持棒の両端部上には隙間を有していることを特徴とする、請求項1または2記載の自転車用駐輪装置。
【請求項4】
前記支持棒と前記緩衝材は、受溝と引掛け片により係合されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の自転車用駐輪装置。
【請求項5】
前記緩衝材は、前記支持棒と係合する位置に抜け止め部を備えていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の自転車用駐輪装置。
【請求項6】
前記支持部の両端には、前記脚部を連結する金具が固定され、前記金具は、前記緩衝材の両端を覆っていることを特徴とする、請求項1に記載の自転車用駐輪装置。
【請求項7】
前記支持棒は、多目的溝が配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の自転車用駐輪装置。
【請求項8】
前記支持棒は、前記緩衝材によって全面を覆われていることを特徴とする、請求項1に記載の自転車用駐輪装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロードバイク等の自立式スタンドを持たない自転車を安定して駐輪することができる自転車用駐輪装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自転車のサドルを架ける横棒を上下にずらした二本とし左右の支柱に取付けた自転車駐輪スタンドハンガーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3177674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記したような自転車駐輪スタンドハンガーでは、自転車のサドルを架ける横棒に滑り止め機能を備えていないため、駐輪時または駐輪後に自転車を傷つける恐れまたは、駐輪後に自転車が滑って落下する等の問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、自立式スタンドを持たない自転車を安定して駐輪することができる自転車用駐輪装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
請求項1に記載の発明は、自転車のサドルを引っ掛けて支持可能な支持部と、前記支持部の左右に配置された脚部と、を備え、前記支持部は、上面が断面円弧状であり、全体が断面弾丸形状に形成され、長手方向に長尺な支持棒と、前記支持棒に係合され、前記支持棒の上面と同断面であり、前記支持棒とほぼ同じ長さの長尺な緩衝材とからなり、前記緩衝材は少なくとも前記支持棒の上面から前記支持棒と係合する位置までを覆い、前記緩衝材の内面には長手方向に凸部が形成され、前記凸部によって係合される前記支持棒と前記緩衝材間には空間を有し、前記緩衝材の外面は凹凸部が形成されていないことを特徴とする。
【0007】
【0008】
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の特徴点に加え、前記緩衝材の少なくとも一方の側面は、前記支持棒よりも突出していることを特徴とする。
【0010】
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項または2記載の発明の特徴点に加え、長手方向において前記緩衝材を前記支持棒よりやや短く形成し、前記支持棒の両端部上には隙間を有していることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の発明の特徴点に加え、前記支持部の両端には、前記脚部を連結する金具が固定され、前記金具は、前記緩衝材の両端を覆っていることを特徴とする。
【0013】
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、前記支持棒と前記緩衝材は、受溝と引掛け片により係合されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1~4のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、前記緩衝材は、前記支持棒と係合する位置に抜け止め部を備えていることを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の発明の特徴点に加え、前記支持棒は、多目的溝が配置されていることを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の発明の特徴点に加え、前記支持棒は、前記緩衝材によって全面を覆われていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、自転車を支持する支持部と、支持部の左右に配置された脚部と、を備え、支持部は、支持棒と緩衝材とからなる自転車用駐輪装置のため、緩衝材により、駐輪時または駐輪後の自転車への傷防止と、駐輪後に自転車が不安定な支持になり難く、自転車用駐輪装置からの落下を防ぐ。
【0019】
緩衝材は、支持棒に係合するだけのため、作業性が良い。また、係合した支持棒と緩衝材間には、空間を有しているため、支持棒と緩衝材の接触する面積が減少することにより、摩擦抵抗が減り、スムーズなスライドのみで係合したり、空間分だけ緩衝材の直径が大きいため、緩衝材を支持棒に嵌め込みのみで係合したりできる。また、空間により、駐輪時または駐輪後のクッション効果も兼ね備え、自転車への衝撃を低減させることで自転車への傷防止と、自転車が不安定な支持になり難く、安定した駐輪ができる。
【0020】
緩衝材の上面は、支持棒の上面と同断面に形成されているので、緩衝材により、駐輪時または駐輪後の自転車への傷防止と、駐輪後に自転車が不安定な支持になり難く、自転車用駐輪装置からの落下を防ぐ。
【0021】
請求項2に記載の発明は上記の通りであり、緩衝材の少なくとも一方の側面は、支持棒よりも突出しているため、支持棒の側面に接触する自転車のシートポストへの傷を防止する。また、サドルの支持面が少ない自転車でも突出部分でサドルレール等を支持することができ、自転車の種類を問わず安定した駐輪ができる。
【0022】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、支持棒の上面が断面円弧状に形成されているので、自転車のサドルが引っ掛けやすい。また、支持棒の下面が断面角形状に形成されているので、子どもが鉄棒等の遊具にして遊ぶ危険性を減少させることができる。
【0023】
請求項3に記載の発明は上記の通りであり、長手方向において、緩衝材を支持棒より短く形成することで支持棒の両端部上には隙間ができるため、緩衝材が熱膨張により長手方向に伸びても、緩衝材が支持棒から脱落しない。
【0024】
請求項6に記載の発明は上記の通りであり、支持部の両端には、脚部を連結する金具が固定され、金具は、緩衝材の両端を覆っているため、緩衝材が熱収縮により長手方向に縮んでも、緩衝材の端部が金具で見えることがなく、意匠性が良い。
【0025】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、緩衝材は、支持棒の側面で係合し、緩衝材が支持棒の上面から支持棒に係合される側面までを覆っているため、緩衝材により、駐輪時または駐輪後に自転車のサドルおよびシートポストへの傷を防止する。また、緩衝材を支持棒の下面で係合し、緩衝材が支持棒の上面から支持棒に係合される下面までを覆っているので、緩衝材により、駐輪時または駐輪後に自転車のサドルおよびシートポストへの傷を防止する。また、見えづらい下面での係合のため、意匠性が良い。
【0026】
請求項4に記載の発明は上記の通りであり、支持棒と緩衝材は、受溝に引掛け片を引っ掛けるだけで係合できるため、作業性が良い。
【0027】
請求項5に記載の発明は上記の通りであり、緩衝材は、支持棒と係合する位置に抜け止め部を備えているため、緩衝材が抜けたり、外されたりすることを防止できる。また、支持棒と密着させることで、雨水やほこり等の侵入を防ぐ。また、抜け止め部に手を掛けると引掛け片が受溝に係合させやすいため、抜け止め部が係合時のガイド機能を兼ね備え、作業性が良い。
【0028】
請求項7に記載の発明は上記の通りであり、支持棒には、多目的溝が配置されているため、表示具(看板)で広告や標識機能を持たせたり、フックを引っ掛けてカバンやヘルメット等の小物や自転車のハンドルまたはトップチューブを引っ掛けて駐輪したりでき、利便性が高い。また、突出した緩衝材を支持する支持部材を多目的溝に支持させることで、サドルの支持面が少ない自転車でも支持部材によってサドルレール等を支持することができ、利便性が高い。
【0029】
請求項8に記載の発明は上記の通りであり、支持棒は、緩衝材によって全面を覆われているため、緩衝材により、様々な種類の自転車でも駐輪時または駐輪後に自転車のサドルおよびシートポスト、トップチューブへの傷を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】自転車用駐輪装置を示す外観図である。
図2図1の部分拡大分解斜視図である。
図3】(a)支持部の分解斜視図、(b)係合された支持部の斜視図である。
図4】支持部の拡大分解断面図である。
図5】係合された支持部の断面図である。
図6】係合された支持部の(a)側面の部分断面図、(b)上面の部分断面図である。
図7】支持部の変形例を示す(a)多目的溝から緩衝材が突出した断面図、(b)支持棒の側面から緩衝材が突出した断面図である。
図8】(a)図7(a)の支持部にサドルの支持面が少ない自転車を駐輪した断面図、(b)図7(b)の支持部に自転車を駐輪した断面図である。
図9】支持部の別の変形例を示す、(a)側面下方よりで緩衝材を係合した断面図、(b)側面下方で緩衝材を係合した断面図である。
図10】支持部のさらに別の変形例を示す、(a)下面で緩衝材を係合した断面図、(b)全面で支持棒を覆った断面図である。
図11図1の部分拡大斜視図である。
図12】自転車を引っ掛けた状態を示す外観図である。
図13】多目的溝を使用した斜視図である。
図14】脚部の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施形態について、図を参照しつつ説明する。
【0032】
本実施形態に係る自転車用駐輪装置10は、例えば、ロードバイク等の自立式スタンドを持たない自転車40を安定して駐輪するためのものである。この自転車用駐輪装置10は、図1および図2に示すように、支持部20と、左右の脚部30と、左右の金具32と、を備えて構成される。
【0033】
支持部20は、図12に示すように、自転車40のサドル41を引っ掛けて支持可能な棒状の部材である。本実施形態に係る支持部20は、図3(a)、図3(b)、図5に示すように、長手方向に長尺なアルミ等の金属からなる支持棒21と、樹脂からなる長尺な緩衝材22を組み合わせて構成されている。具体的には、図4に示すように、上面21aの断面が円弧状に形成され、下面21bが断面角形状に形成された支持棒21と、支持棒21の上面21aと同断面の上面22aが形成された緩衝材22からなる。この支持棒21の上面21aが断面円弧状に形成されているので、自転車40のサドル41が引っ掛けやすい。また、支持棒21の下面21bが断面角形状に形成されているので、子どもが鉄棒等の遊具にして遊ぶ危険性を減少させることができる。また、緩衝材22の上面22aが支持棒21の上面21aと同断面に形成されているので、緩衝材22により、駐輪時または駐輪後の自転車40への傷防止と、駐輪後に自転車40が不安定な支持になり難く、自転車用駐輪装置10からの落下を防ぐ。
【0034】
支持棒21の上面21aの断面円弧状と下面21bの断面角形状を連結する両側面21cには、図4に示すように、断面略L字状の受溝21dと断面略台形状の多目的溝21fが上下に連なって形成され、受溝21dと多目的溝21fの境界に上向きの凸部21eを備え、上面21aと下面21bの内面にはビスホール21gが形成されている。この受溝21dは、図6(a)に示すように、後述の緩衝材22の引掛け片22cを引っ掛けて係合させるための溝であり、受溝21dの端部から引掛け片22cの端部を挿通し、緩衝材22を支持棒21にスライドのみで係合させたり、一方の受溝21dに引掛け片22cを嵌め込み、嵌め込みんだ引掛け片22cを軸に他方の受溝21dに引掛け片22cを嵌め込みのみで係合したりできる。なお、係合方法はこれらに限定されず、緩衝材22の上面22aから押し、引掛け片22cを受溝21dに嵌め込みでの係合や支持棒21に緩衝材22を接着しても良い。その際、後述の緩衝材22の抜け止め部22dに手を掛けると、引掛け片22cが受溝21dに係合させやすいため、抜け止め部22dが係合時のガイド効果を奏する。また、係合によって組み合わされると凸部21eは、抜け止め部22dと係合するため、緩衝材22が抜けたり、外されたりすることを防止できる。さらに、支持棒21と緩衝材22を凸部21eと抜け止め部22bが密着することで、雨水やほこり等の侵入を防ぐ。なお、多目的溝21fの利用方法については後で説明する。また、図2図11に示すように、支持棒21の両端部には小口フタ35が上下のビスホール21gによって固定される。この小口フタ35には、多目的溝21fが連なる位置に水抜き孔35aを形成し、多目的溝21f内に侵入した雨水等を排水できる。
【0035】
緩衝材22の断面円弧状の上面22aの両端部22bには、図4図5に示すように、内方に向けた断面略L字状の引掛け片22cと下方に向けた抜け止め部22dが形成され、上面22aの内面には、長手方向にわたって凸部22eが複数配置されている。この引掛け片22cは、前述のとおり、支持棒21の受溝21dに引掛け片22cを係合させることで支持棒21と組み合わされる。その際、図6(b)に示すように、上面22aの内面に設けた凸部22eによって、係合した支持棒21と緩衝材22間には凸部22eの高さ分またはそれ以上の空間Tができる。これにより、支持棒21と緩衝材22の接触する面積が減少することで摩擦抵抗が減り、スムーズなスライドのみで係合したり、空間T分だけ緩衝材22の直径が大きく且つ、緩衝材22の弾力性により、支持棒21に嵌め込みのみで係合したりできる。さらに、この空間Tにより、駐輪時または駐輪後のクッション効果も兼ね備え、自転車40への衝撃を低減させることで、自転車40への傷防止と、自転車40が不安定な支持になり難く、安心感のある安定した駐輪ができる。また、前述のとおり、抜け止め部22dは、緩衝材22が抜けたり、外されたりすることを防止したり、雨水やほこり等の侵入を防いだり、係合時のガイド効果も奏する。また、緩衝材22の形状は上記した実施形態のものに限らず、種々のものが考えられる。
【0036】
例えば、図7(a)、図7(b)に示すように、緩衝材22の側面が突出した構成でも良い。本実施形態に係る緩衝材22は、図7(a)に示すように、後述の多目的溝21fを介して長尺な支持部材22fを支持棒21の側面21cから突出させることで、図8(a)に示すように、サドル41の支持面が少ない自転車40でも支持部材22fでサドルレール43等を支持することができ、自転車40の種類を問わず安定した駐輪ができる。
また、図7(b)に示すように、緩衝材22の側面を突出した凸部22gを形成させることで、図8(b)に示すように、サドル41だけでなく、支持棒の側面21cに接触するシートポスト42を支持することができ、自転車40への傷を防止する。
【0037】
また、図9(a)、図9(b)、図10(a)に示すように、後述の多目的溝21fの位置を変えることで支持棒21を覆う範囲を支持棒21の側面21cの下方まで広げても良い。本実施形態に係る支持棒21および緩衝材22は、図9(a)に示すように、多目的溝21fを支持棒21の側面21cの下方に形成することで、係合する位置を側面21cの下方よりにしたり、図9(b)に示すように、多目的溝21fを支持棒の下面21bに形成することで、係合する位置を側面21cの下方にしたり、図10(a)に示すように、係合する位置を支持棒の下面21bにすることで、サドル41だけでなく、支持棒21の側面21cに接触するシートポスト42を支持することができ、自転車40への傷を防止する。
【0038】
また、図10(b)に示すように、支持棒21を緩衝材22によって全面を覆っても良い。本実施形態に係る緩衝材22は、支持棒21と同断面であり、空間T分だけ緩衝材22が大きく形成され、支持棒21の端部から緩衝材22を挿通し、緩衝材22が支持棒21にスライドのみで係合されている。これにより、図12に示すような自転車40においても、駐輪時または駐輪後に自転車40のサドル41およびシートポスト42、トップチューブ44への傷を防止する。
【0039】
緩衝材22は摩擦係数が高い材質が良いため、ポリ塩化ビニール等の弾力性のある合成樹脂が好ましい。そのため、アルミ等の金属からなる支持棒21と伸縮率が相違しているので、図11に示すように、支持棒21より緩衝材22の方が隙間Sの分だけ短く形成されている。これにより、熱膨張で緩衝材22が長手方向に伸びても、緩衝材22が支持棒21から脱落しない。逆に、熱収縮により緩衝材22が長手方向に縮んでも、緩衝材22の端部を後述の金具32で覆っているため、緩衝材22がない隙間Sが外部から視認されることはなく、意匠性が良い。
【0040】
支持棒21の多目的溝21fは、図7(a)、図8(a)、図13に示すように、様々な用途で使用するための溝である。本実施形態に係る多目的溝21fは、前述のとおり、多目的21fに長尺な支持部材22fを支持させて、支持棒21の側面21cから突出させることで、サドル41の支持面が少ない自転車40でも支持部材22fでサドルレール43等を支持することができる。また、図13に示すように、フック51を多目的溝21f内に支持させてカバン52等の小物を引っ掛けたり、表示具53を支持させることで看板や標識機能を持たせたりすることができる。この多目的溝21fの用途はこれらに限らず、ヘルメット等の自転車40に関係する物を引っ掛けたり、フック51を複数支持させて自転車40のハンドルやトップチューブ44を引っ掛けて駐輪したりでき、利便性が高い。また、支持するものはフック51に限らず、多目的溝21f内にナット等の金具を挿入させておき、その金具から垂直に一対の棒状部材を突出させ、その一対の棒状部材上に板材を取付けて棚板を設けても良く、様々な用途が可能であり、これらに限定されない。
【0041】
脚部30は、支持部20の左右に配置されており、図1図2に示すように、支持部20を水平に支持するためのものである。本実施形態に係る脚部30は、略V字形の一対の棒状部材31と、一対の棒状部材31の一方の端部と支持部20を接続させる金具32と、一対の棒状部材31の間に取付けられる開き防止機構33と、一対の棒状部材31の他方の端部に取付けられる脚固定金具34と、を備える。具体的には、上部が支持棒21とほぼ同断面に形成され、下部が一対の棒状部材31の一方の端部を挟持するための二股が形成された左右の金具32の上部には、支持部20の端部を挿入し、下部に一対の棒状部材31の一方の端部を挿入して、ビス等で固定する。これにより、支持部20が水平に支持される。なお、前述のとおり、金具32は、緩衝材22の端部を覆っているため、緩衝材22がない隙間Sが外部から視認されることはなく、意匠性が良い。
【0042】
開き防止機構33は、略V字形の一対の棒状部材31が所定の角度以上に開かないように維持するための板材である。本実施形態に係る開き防止機構33は、図1に示すように、一対の棒状部材31のやや上方にビス等の止め具で固定されている。これにより、人が開き防止機構33に足を掛ける等の危険性を減少させることができる。また、開き防止機構33は、上記した実施形態のものに限らず、種々のものが考えられる。
【0043】
例えば、図14に示すように、開き防止機構33に表示具36の看板や標識機能を兼ね備え、自転車40を駐輪するマークを表示させても良い。これにより、自転車40を駐輪するための装置と認識ができ、子どもが鉄棒等の遊具にして遊ぶ危険性を減少させることができる。
【0044】
脚固定金具34は、一対の棒状部材31の他方の端部を挟持し、地面に一対の棒状部材31を固定するためのものである。本実施形態に係る脚固定金具34は、図2図14に示すように、一対の棒状部材31の他方の端部を挟持してビス等の止め具で固定し、地面に平行した面でボルト等の止め具で固定することで、地面へ確実に取付けられる。また、一対の棒状部材31を挟持した下面には空間Uがあるため、一対の棒状部材31の内部に侵入した雨水等を排水することができる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態によれば、自転車40を支持する支持部20と、支持部20の左右に配置された脚部30と、を備え、支持部20は、支持棒21と緩衝材22とからなる自転車用駐輪装置10のため、緩衝材22により、駐輪時または駐輪後の自転車40への傷防止と、駐輪後に自転車40が不安定な支持になり難く、自転車用駐輪装置10からの落下を防ぐ。
【0046】
また、緩衝材22は、支持棒21に係合するだけのため、作業性が良い。また、係合した支持棒21と緩衝材22間には、空間Tを有しているため、支持棒21と緩衝材22の接触する面積が減少することにより、摩擦抵抗が減り、スムーズなスライドのみで係合したり、空間T分だけ緩衝材22の直径が大きいため、緩衝材22を支持棒21に嵌め込みのみで係合したりできる。また、空間Tにより、駐輪時または駐輪後のクッション効果も兼ね備え、自転車40への衝撃を低減させることで自転車40への傷防止と、自転車40が不安定な支持になり難く、安定した駐輪ができる。
【0047】
また、緩衝材22の上面22aは、支持棒21の上面21aと同断面に形成されているので、緩衝材22により、駐輪時または駐輪後の自転車40への傷防止と、駐輪後に自転車40が不安定な支持になり難く、自転車用駐輪装置10からの落下を防ぐ。
【0048】
また、緩衝材22の少なくとも一方の側面は、支持棒21よりも突出しているため、支持棒21の側面21cに接触する自転車40のシートポスト42への傷を防止する。また、サドル41の支持面が少ない自転車40でも突出部分(支持部材22f、凸部22g)でサドルレール43等を支持することができ、自転車40の種類を問わず安定した駐輪ができる。
【0049】
また、支持棒21の上面21aが断面円弧状に形成されているので、自転車40のサドル41が引っ掛けやすい。また、支持棒21の下面21bが断面角形状に形成されているので、子どもが鉄棒等の遊具にして遊ぶ危険性を減少させることができる。
【0050】
また、長手方向において、緩衝材22を支持棒21より短く形成することで支持棒21の両端部上には隙間Sができるため、緩衝材22が熱膨張により長手方向に伸びても、緩衝材22が支持棒21から脱落しない。
【0051】
また、支持部20の両端には、脚部30を連結する金具32が固定され、金具32は、緩衝材22の両端を覆っているため、緩衝材22が熱収縮により長手方向に縮んでも、緩衝材22の端部が金具32で見えることがなく、意匠性が良い。
【0052】
また、緩衝材22は、支持棒21の側面21cで係合し、緩衝材22が支持棒21の上面21aから支持棒21に係合される側面21cまでを覆っているため、緩衝材22により、駐輪時または駐輪後に自転車40のサドル41およびシートポスト42への傷を防止する。また、緩衝材22を支持棒21の下面21bで係合し、緩衝材22が支持棒21の上面21aから支持棒21に係合される下面21bまでを覆っているので、緩衝材22により、駐輪時または駐輪後に自転車40のサドル41およびシートポスト42への傷を防止する。また、見えづらい下面21bでの係合のため、意匠性が良い。
【0053】
また、支持棒21と緩衝材22は、受溝21dに引掛け片22cを引っ掛けるだけで係合できるため、作業性が良い。
【0054】
また、緩衝材22は、支持棒21と係合する位置に抜け止め部22dを備えているため、緩衝材22が抜けたり、外されたりすることを防止できる。また、支持棒21と密着させることで、雨水やほこり等の侵入を防ぐ。また、抜け止め部22dに手を掛けると引掛け片22cが受溝21dに係合させやすいため、抜け止め部22dが係合時のガイド機能を兼ね備え、作業性が良い。
【0055】
また、支持棒21には、多目的溝21fが配置されているため、表示具53(看板)で広告や標識機能を持たせたり、フック51を引っ掛けてカバン52やヘルメット等の小物や自転車40のハンドルまたはトップチューブ44を引っ掛けて駐輪したりでき、利便性が高い。また、突出した緩衝材22を支持する支持部材22fを多目的溝21fに支持させることで、サドル41の支持面が少ない自転車40でも支持部材22fでサドルレール43等によって支持することができ、利便性が高い。
【0056】
また、支持棒21は、緩衝材22によって全面を覆われているため、緩衝材22により、様々な種類の自転車40でも駐輪時または駐輪後に自転車40のサドル41およびシートポスト42、トップチューブ44への傷を防止する。
【符号の説明】
【0057】
10 自転車用駐輪装置
20 支持部
21 支持棒
21a 上面
21b 下面
21c 側面
21d 受溝
21e 凸部
21f 多目的溝
21g ビスホール
22 緩衝材
22a 上面
22b 端部
22c 引掛け片
22d 抜け止め部
22e 凸部
22f 支持部材
22g 凸部
30 脚部
31 棒状部材
32 金具
33 開き防止機構
34 脚固定金具
35 小口フタ
35a 水抜き孔
36 表示具(開き防止機構)
40 自転車
41 サドル
42 シートポスト
43 サドルレール
44 トップチューブ
51 フック
52 カバン(小物)
53 表示具(看板)
S 隙間
T、U 空間
図1
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